令和3年4月14日(水曜日) 14時00分~16時00分
Web会議
遠藤 守 【主査】
青木 一彦
渥美 正博
石田 真康
稲谷 芳文
大貫 美鈴
小川 厚
新谷 美保子
竹森 祐樹
津田 佳明
中須賀 真一
永田 晴紀
福島 康仁
牧野 隆
武者 智宏
研究開発局長 生川 浩史
大臣官房審議官 長野 裕子
宇宙開発利用課課長 福井 俊英
宇宙開発利用課企画官 笠谷 圭吾
宇宙開発利用課課長補佐 渡邉 真人
宇宙開発利用課課長補佐 岡屋 俊一
(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事 張替 正敏
研究開発部門
第四研究ユニット ユニット長 沖田 耕一
【遠藤主査】定刻になりましたので、ただいまから文部科学省研究開発局主催の革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会の第8回会合を開催させていただきたいと思います。
本日も、新型コロナウイルス感染防止のためということで、オンラインでございます。本来ならそろそろフェース・ツー・フェースで皆さんと意見を合わせたいところですけれども、残念ながらそうもいきませんので、そこのところを御理解いただきましてありがとうございます。
それでは、まず事務局から、本日の会議に関する事務的な確認をお願いいたします。
【笠谷企画官(事務局)】はい、文部科学省事務局です。
本日は、革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会議に御所属いただいている16名の委員のうち、15名の委員に御出席いただく予定でございます。
次に、本日の資料ですが、お手元の議事次第4ポツのとおりです。
オンライン状況について、音声がつながらない等の問題等がございましたら、事務局へメール、電話等で御連絡ください。オンラインシステムの運用上の注意事項等は、事前送付いたしました運用の手引を御参照ください。
事務連絡は以上です。
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。
議題は、革新的将来宇宙輸送システムロードマップ検討会におけるこれまでの議論の整理という題になっておりますが、これまで7回のロードマップ検討委員会における皆さんの御意見等を踏まえて、事務局で中間まとめ案を作成するに当たって、言ってみれば中間まとめ案の骨子というような意味でまとめていただいております。これをまず事務局から説明をしていただいて、また皆さんと議論をさせていただきたいと思います。
それでは、事務局の笠谷企画官、お願いいたします。
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局です。御説明いたします。
(資料8-1について説明)
【遠藤主査】笠谷企画官、ありがとうございます。
それでは、今の事務局からの御説明を基に、中間まとめ案の骨子ということで皆さんの御意見を頂きたいと思いますが、説明を頂いた1ポツから3ポツまでのところは、これまでの検討会で議論した部分をまとめたというところでもありますし、今回初めてこのロードマップのまとめ、4ポツですね、「革新的将来宇宙輸送システムの実現に向けたロードマップ」について(官民の役割分担)、ここの部分については、今回文科省としての今後の取組についてのお考えというようなものも盛り込んだ形でこの資料を書いていただいたのではないかと思います。まず大きなポイントでありますこの4ポツのところを皆さんで御議論いただいて、それからまた1から3をまとめてというふうな順序で議論をさせていただきたいと思いますので、皆さんの忌憚(きたん)のない御意見をお願いしたいと。
それでは、御意見のある方は、例によって挙手のマークをお願いいたします。
永田先生、挙手されていますね。お願いいたします。
【永田委員】細かい話からで誠に恐縮ですが、コストを下げて需要を増やしていかなければいけないという大枠の中で、コストを下げるというと、部品の値段を下げるとか、量産効果とか、あるいは再使用というところが非常に重要だというのは御指摘のとおりだと思いますが、議論の中で運用の簡素化とか、つまり運用に係る工数を削減して、どんどん機体を発着させないと、これだけの需要はなかなか賄えないという話もあったと思います。したがいまして、ヘルスチェックの自動化も含めた、1機を飛ばして戻してくるという運用全体に必要な工数を下げるということも、需要を増やしコストを下げる両面のために非常に重要ですので、そこの指摘も文書の中に盛り込まれるといいと思います。よろしくお願いします。
【遠藤主査】それは5ポツのところの、飽くまでも例示でございますので、これをもう少し充実させるということでどうでしょうか。
【永田委員】はい、17ページのあたりですね。5ポツに運用工数削減による低コスト化について書いていただけると良いと思います。
【遠藤主査】結構だと思います。それでは、石田委員、お願いできますか。
【石田委員】先ほど御説明いただいた資料8-1の図で4のロードマップの御説明ですが、ここで質問です。私の理解が追いついていないのかもしれませんが、民間主導の宇宙輸送システムに関して何点か確認をしたいことがあります。先ほどの話の中で、P2Pという言葉がかなり多く出たのですが、民間主導による往還宇宙輸送システムというのはP2P専用を想定されていて、衛星の打ち上げは全くしないものを想定されているのかということが1点目ですね。もしそうだとすると、そのシステムは成り立つのだろうかと思ったということです。
またこれは国からの支援でいくと、実証技術の提供ということがあるのですが、宇宙輸送システムにおける官民の連携で政府ができることのもう一つはアンカーテナントをするということだと思います。民間主導で開発した宇宙輸送システムに対して、政府が何らかのお客としてアンカーテナントをするということがなくて、この宇宙輸送システムが自立的に回っていくのだろうかと思いました。要するに、初めての宇宙輸送システムで、世界中みんながある種、1号機を結構嫌がられる傾向があるので、自分で空打ちをするか、政府がアンカーテナントするかということがこのロケット業界の多分定説だと思うのですが、そこがどうなのかなということが少し分からなかったということです。
それから、P2Pという言葉には、1、2、3を含めると、多分「有人」ということが入った上での市場規模の算定になっていると思うのですが、これを見ると、旅客輸送技術というものは民間がやり、そこに「有人」が入っているのかなと思います。とすると、その辺りの技術開発というものは民間が自らのリスクでやるということなのかなと思うのです。仮に軌道に行くような宇宙輸送システムというものをこの民間主導のシステムにも求められるのだとすると、そこの技術は、日本は特に官民含めてプルーブされた技術というものを歴史的に実証していないわけですし、民間も独自でそれをやり切れるのかなと思います。簡単に言うと、現在の飛行機技術の延長でできますかというと、当然できないことも多々あると思っていて、その辺りの技術開発を、これは民間が頑張りますというような理解でいいのか、少しその辺りが疑問に思います。
以上の3点が先ほどの御説明できちんと私は理解ができなかったところもあるので、もし認識違いとかがあれば、それも含めてお教えいただければと思います。
【遠藤主査】ありがとうございます。ここについては、文科省笠谷企画官からお答えいただけますか。
【笠谷企画官(事務局)】はい、文科省事務局です。お答えいたします。
まず、この民間主導による開発というものがなぜ導かれてきたのかというところを申し上げますと、結局この基幹ロケット発展型ではP2P等の需要に対応するのはなかなか難しいというところが一つあります。民間で結構P2Pが大きい市場だという話もあって、そこを取り込むことは大事だという話もありました。従いまして、P2P等は別の方向で進める必要があると思います。ただし、これがP2Pだけに使ってくださいということではないと思います。P2Pだけに使うものではなくて、基幹ロケット発展型だけではP2Pはカバーできないので、何かしらほかの方法でカバーする方法はあります。そこはやはり民需でもあるので、民間主導というようになってきたということです。それが、例えばP2P対応機体の上段にロケットみたいなのを積んで衛星を投入することも考えられます。我々も広い意味でP2P対応機も単に飛行機を造ってくださいということではなくて、最終的には基幹ロケット発展型とのシナジー効果というものを求めており、全体的に宇宙へのアクセスを容易にするためということでございますので、こちらの民間主導の開発はP2P用途だけをやるものではないと考えています。つまりP2P輸送もやりつつ、例えば上段に何か積んで宇宙軌道への衛星投入というふうに使うというか、そこでも市場確保できるのであればそういう運用の仕方もあると思います。P2Pにしか使っていきませんということではありません。ただし、P2P市場が大きいという話もありますので、P2P輸送がちゃんとでき得るシステムということを提案させていただいたということでございます。
またアンカーテナンシーでございますが、今の段階で私の方からアンカーテナンシーをやりますというような確約はもちろんできません。そこは、おっしゃるとおり、民間でいきなり有人事業を始めるのかということはありますが、確かに実績のないところにはなかなか人は乗れないということはあると思いますので、国のアンカーテナンシーについては今後の議論として十分に考えていかなければいけないと思います。この報告書にも、確約ができないことは申し訳ありませんが、何かしらそういうことは考えていくというようなことを少し書かせていただきたいと思います。
有人の要素技術開発ですが、有人を官ミッションとしてやるということは現時点では決まっておりません。今、JAXAにおいても、この有人の技術開発ということをすぐにやるという話ではないかと思います。ただし、これは基本的には、先ほどの5.2兆円というP2P市場も当然有人ということも含めての市場でございますので、そこに対応しようとなれば、官民の役割分担ですとか、かなり難しい技術開発があるということですから、当然官も考え方を整理した上で参画しなければいけない可能性はあると思います。有人技術もあり、民だけの技術開発でということにはならないようにと、考えていかなければいけないところと思っております。すみません、以上でございます。
【遠藤主査】石田委員。
【石田委員】御説明ありがとうございました。解釈をどうするかによって、多分この図を見ると、民間の見方によってはかなりリスクが高く見えるような気もしましたので、今の3点に関して御質問した次第です。どうもありがとうございます。
【遠藤主査】私も1点申し上げると、石田委員の御意見にあったように、このフローチャートの事業化について、この表現だけだと、民間事業者が事業化構築をやるということで、官としての関与がどんな形かが具体的には今言えないということはありますが、当然事業化構築のこのフローチャートの中に官の関与、支援というか、官の位置づけが何らか読めるようなフローチャートであると、もう少し説得力があるような気がいたします。
それでは、そのほかの御意見は。
【永田委員】永田ですが、今のP2Pの話に関連して一つよろしいでしょうか。
【遠藤主査】はい、どうぞ。
【永田委員】P2Pの話ですが、高度100キロメートルぐらいのレベルで弾道宇宙旅行をやるという技術と、日本から欧米に行くというP2Pとはかなり技術的に開きが大きくて、高度100キロメートルに行ける程度の弾道ロケットだと、北海道全体をカバーするぐらいがせいぜいで、欧米にはとても行けないです。1万キロメートルオーバーぐらいのP2Pというのは、軌道速度ぐらいの速度が必要なので、軌道投入機の初段ロケットと同じような技術レベルになると思います。ですので、今議論されている欧米へ10時間以上かかるようなところをカバーするP2P輸送システムは、弾道宇宙旅行の技術とカップリングさせて造るというイメージではなくて、むしろ次世代の宇宙軌道投入機の初段を造ることとカップリングさせて造っていくような技術だということに注意をして設計する必要があると思います。そういう意味でいうと、そこを民間だけに任せるということは少し考えにくい話で、次世代の軌道投入機の技術開発と併せて、飛行距離1万キロメートルクラスのP2P対応システムの技術開発を考えるべきだと思います。以上です。
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省です。
【遠藤主査】はい、どうぞ。
【笠谷企画官(事務局)】今ほど永田先生からもありましたが、この民間事業者の事業化構築というところのラインですが、これは民間で体制ができたらあとは民間にお任せしますという話では当然なくて、先ほど申し上げましたが、特にこの1、2、3の要素技術の開発はJAXAの方が中心となって、民間事業者の意向がどういうところなのかということを聞いて、JAXAと民間で一緒にやるということで、これらの要素技術の獲得については十分に官が支援したいと思っています。
また、この飛行実証の開始についても、例えばこのサブスケールの飛行実証は官が発注するという形でやるとか、何も我々としては民間事業者に全てお任せしますということではありません。要素技術を官から提供していくとか、先ほどのアンカーテナントはできてからの話となりますが、事前にアンカーテナンシーの検討を進めるとか、飛行実証を始める際の支援ですとか、そういうところについては官で十分考えていきたいと思っております。
我々は、民間主導による開発ということを主眼で今回考えを整理させていただいておりますので、正に先ほどの、これだけでは民間にとってはリスキーに見えるとか、また民間が事業化を始めるに際して、どうしたら民間事業者が立ち上がってくれるだろうかという点でこれだけだとリスキーに見えるという御発言で結構ですので、「どうしたら大いに民間が立ち上がってくれるのか」という観点からも御意見を賜れば幸いでございます。
【遠藤主査】ありがとうございます。よろしくお願いします。
それでは、小川委員、お願いします。
【小川委員】小川です。地上分野の企業から見たオープンイノベーションのシナリオなのですが、やはり新しい分野に出ていくことはリスクもあるので、まず、やるとしたら、技術の種ができたところでスピンオフをし、そこでまず新たな事業の可能性を確認し、事業の見通しができた段階で、恐らく我々としてのベストは、また本業にスピンインをして、その成果で量産化、低コスト化を実施するというシナリオが一つあるのかなと思います。ただ、それだと余りにオープンイノベーションの期間が短いので、どれだけオープンイノベーションに参加いただけるかの議論が必要かと思います。
【遠藤主査】小川委員、私から質問させていただくと、自動車業界ではこのオープンイノベーションという取組は今どのように進んでおりますでしょうか。お話しいただける範囲で結構です。
【小川委員】弊社でもいろいろと取組、仕組みづくりを既にやっておりまして、社内で出たアイデアは、そうですね、まずはスモールビジネスからですが、それを外部の資金も集めながらスピンオフするということです。スピンアウトというより、まずはスピンオフ、カーブアウトをして、そこである程度育ったら、スピンインになるか、そのままある程度の資金を投入してビジネスを継続していくかという取組をしております。ただ、余り新規なもの対してはまだまだ取組ができておりませんが、今後やっていく予定です。
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。
牧野委員、お願いいたします。
【牧野委員】はい、牧野です。ありがとうございます。
永田さんの先ほどのコメントというか、質問に続けてなのですが、笠谷さんに説明していただいたロードマップ上の民間事業者というこの黒いラインですが、これまで何回も議論が出てきていますが、例えば40年代にP2P事業を目指すということが最終的な姿ですが、その前段階というか、プリカーサー的に言うと、例えば永田さんがおっしゃったように弾道宇宙旅行でビジネスをやろうとか、次は軌道間旅行で事業をやろうとか、そういう途中途中で、P2Pをゴールだとしても、その途中に前段階のビジネスというものがあるはずですね。それが、この1本のラインで書かれているという感じでしょうが、そういう意味で、例えば「弾道宇宙旅行ビジネス」を考える人たちというのがまずあって、その人たちが例えばどういう技術を欲しがっているかとか、それだとP2Pで必要な技術とはまた違うわけで、そういう意味では発展的になっていく書き方で説明していただくと、すごく分かりやすく民間も参入しやすいのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。
【遠藤主査】ありがとうございます。そういう表現の仕方も一案としてあると思いますので、ここは事務局に汗をかいていただいて。
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省、笠谷です。
ありがとうございます。今の御指摘ですがJAXAとも議論はしていて、技術的な弾道飛行から、P2Pへの発展シナリオで。何というか、P2Pというものは大きい話なので、P2Pを取りあえず目標として書いているのですが、その途中途中の技術であるとか、最後のP2Pに必要となる技術は何か同じ発展線上にあるのでしょうか。そこが少しはっきりしないところがあります。
【牧野委員】結構同じ発展線上で性能とかいろいろなものが向上していく過程にあるのですが、例えば弾道宇宙旅行機を造ろうと思うと、今の技術、今既にステート・オブ・ジ・アートである技術に少し追加すればできるとか、そういうものがだんだん難しくなっていくという感じですね。ただ、今あるものだけでやろうとすると、さすが弾道宇宙旅行でもそれを1日1回飛ばすということをやろうとすると、それはそれでまだハードルは高いと言えます。こんな感じですが、質問の答えになっていますか、笠谷さん。
【笠谷企画官(事務局)】はい、分かりました。最終目標に向けて段階的に技術も試す必要があるし、最終目標の事業化を待たずに何かしら提示できる事業的なものも必要だという理解でよろしいでしょうか。
【牧野委員】20年先の事業だけ言っていたら、さすがに私の寿命はないので。
【遠藤主査】ありがとうございました。渥美委員、お願いします。
【渥美委員】渥美です。
今の議論でミスリードしやすいことは、今画面上に出ている民間主導による開発という一点鎖線の枠の前に、もう少し段階的にいろいろな実験機を進めていくというような、国がある程度関与した形の開発というフェーズがどこにも書かれていないからだろうと思います。
牧野さんも言われていたように、例えば誘導とか、飛行機の飛ばし方とか、再使用させるときのオペレーションのやり方とかというようなことは、今のこのライン上のところでやってこられるだろうし、一方で、耐熱というような話では、先ほど説明があったように軌道上の速度まで行ったものが地上に降りるというときのスピードに対して耐えられるような耐熱技術が必要になるので、これは基幹ロケット発展型での2段再使用化技術であるとか。今言ったような形の枠組みを点線としてでも入れておくべきではないかなということが1点です。
それから、全体的な話で、まとめ方といいますか、少し確認も兼ねてなのですが、先ほどいろいろなミッションの話をされていたときに、いわゆる衛星の打ち上げと、太陽光発電だとか月基地だとかというようなことは、基本的に輸送業者から言うと全く違うものを打ち上げる話になります。何が違うかといいますと、これまで数トンから十数トンぐらいのものを打ち上げればよかったことに対して、合計2,000トンのものを打ち上げるとなった場合、ロケット型だろうとP2P型だろうと、いずれにせよ大量の物量を運ばなきゃいけなくなるので、どうあっても再使用化ということが極めて重要になると思います。
また3項の話になりますが、2項まで書かれていたものを3項の形態にするというときに、いきなりシステムAだとかBだとかCだとかということの前に、結局は再使用化を目指すということに集約されると思います。だから、再使用化を目指すのだという一文を定義して、その中のやり方としてA、B、Cという方法があるというようにまとめられるのがいいのではないかと思います。
特に再使用化という観点は、コストだけの観点ではなくて、今のロケットは、飛んだ後宇宙空間へ行ってどういうような状態になっているかが結局見られていないのです。再使用になって戻ってきてくれると、どの程度損傷を受けているのかとか、どういうような点を直さないといけないかというところを十分に確認することができる、物を見ることができるので信頼性の面でも、実質的な信頼性を上げるという点でも非常に大きな意味があると思います。
それから、短いターンアラウンドで日程的にいろいろなものを打ち上げるということ、いろいろなお客さんに対して対応ができるという日程面でのメリット、それから、デブリを防止するという観点でも非常に重要な価値があるので、コストだけではなく、信頼性、フレキシブルな日程、デブリ防止というような観点でも、再使用化を目指すということをまず掲げて、その後でどういうことをやるというように書かれた方がいいのではないかと思います。
それからもう一つ気になっている用語がありまして、基盤要素技術という言葉がよく出ているのですが、基盤要素技術というふうに言われると、大学の研究と大して変わらないようなイメージも持てるところもあれば、いろいろな解釈の仕方が出てくるだろうと思います。その段階で、例えば大学の研究レベルのものを渡したから実用化しろと言われても、それは無理なので、是非ともここのところの文章の中に、実用化につながるような技術というか、実用化技術だとかというような言葉がどこかにちゃんと入っていないといけないのかと思います。
その意味では、3ページ目の最後の文章ですが、基盤要素技術と書かれていますが、「基盤要素技術の成熟度を実用化レベルまで向上させて民間ミッションにも活用し」というような形で書いておかないと、先ほどの民間に渡すところの仕組みはどのような形にするのかという話を議論する際に、実際にJAXA主導でどこまでの技術開発をしますかという話を、ある程度その実用化というところまで定義しておかないと、とても民間事業者は誰も手は挙げてこないだろうと思いますので、そこのところまで書くことが必要ではないかと思います。
以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省でございます。渥美委員、御提案ありがとうございました。
我々の方も少し誤解を招くような文言で申し訳ありませんでした。我々としても、前回か前々回、牧野委員からも技術成熟度を6くらいまで上げてほしいとか、もうすぐで実用化できるところまで官で進めてほしいという話も頂いておりますので、いろいろな解釈がある文言を使用して申し訳ありませんでしたが、基本的には技術の実用化の手前くらいまでの開発は官で進めておいて、そのあとで民間事業者において技術の製品への実用化をやっていただくということを考えておりますので、そのような文言を付け加えたいと思います。
【遠藤主査】ありがとうございます。
そのほか、まだ御発言されていない方は是非お願いいたします。新谷委員、お願いします。
【新谷委員】はい、ありがとうございます。この資料8-1のフローチャート、ありがとうございました。これは、文科省さんから明確に官民でやっていくと、ここまで明確に言っていただくのは初めてなのではないかと思っておりまして、すごい資料だと思うのですが、民間、前段として事業体制を構築するような、ロビー活動とかそういった準備をする団体をまずつくって、結構早期なうちにこの事業化を構築する事業主体、営利社団法人に引き継いでいくところだと思うのですが、P2Pだと2040年なわけで、先ほど牧野委員とか石田委員とか色いろいろな方がおっしゃっていたと思うのですが、そこまでどのように売上げを立てていくのかなという疑問があります。
資金調達をするとしても、ずっと政府系金融機関がお金を入れ続けるのか、それでもやはり限界はありますし、市場からも集めていかなければいけないときに、どのような売上げを立てるという事業計画を決めていく会社になるのかということが少し分からなくなりました。どのように長年生きながらえて、2040年のP2P事業ができる会社になるのかなと思いました。先ほど笠谷さんから、どういうようにしたら民間が手を挙げてくれるかという話があったと思うので、もう少しブレークダウンした話が必要なのかなと思ったことが1点です。
あともう一点は、IPのところだと思っていて、オープンイノベーションということはすごくいいと思うのですが、ここの分野は日本では全然まだ、もちろん開発されているところはありますが、できそうという段階にはなっていないわけです。米国に目を向ければ、そのような輸送システムの実用化が近い会社が何社かあるわけで、そういったところが既にIPを持っていたり、世界的に特許を出していたりという中で、使えるものは使っていかなければ、特許化されていないところが見えるわけなので、使っていかなければいけないですが、それ以外に既に押さえられているところを、それを踏まないで新たに独自に開発していくのかどうか。技術なので私にはそれが今の段階では全然分かりませんが、それ自体が可能なのか。既に世界的な戦いになっている中でのIPという意味で、どこかからライセンスを受けずにやっていくことが可能なのかどうなのかというところが気になっております。
以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。
そのほか御意見のある方。稲谷先生、お願いします。
【稲谷委員】はい、ありがとうございます。
いろいろと皆さんに議論していただいて、我々も考えを述べさせていただいたところですが、今日のお話は二つの意味で先に進めるのによい話であったと思います。一つは、有人輸送も含めたマーケットということからバックキャストとして今やることを決めようという話が盛り込まれていること、それから、それをやる上での国と民間の新しい関係をつくろうということについて言及されていること、この二つの点が新しいことだと私は思います。
今、いろいろな議論で、P2Pということが非常に脚光を浴びて、大きなマーケットがあるということになっているのですが、私の考えは、やはり宇宙に出かける輸送手段をよくする一つで、あるいはその一里塚としてP2Pというものがあって、そこは別のものをつくるのではなくて一体のものとして考えること、あるいは、宇宙輸送手段をよくすることで、P2Pというマーケットもあるし、宇宙に出かけるマーケットもある、ひいては月や火星に向けて現実感が増すということ、そういう話の流れにしたいものだと思っています。
その上で、今後の議論ということも笠谷さんがおっしゃっていましたが、目指すべきところのメッセージみたいなことを申し上げさせていただくと、再使用という言葉で言うと、アメリカの民間などが先行しているというような状況がつくられているわけですが、ここで我々の目指そうとしているものは、やはりそれよりも優れたもの、技術革新を伴ってより大きなマーケットをキャプチャーできるという意味で、先行している者たちよりも優れたものをやるということで、日本を主語でやるべきかどうかという話はあるかもしれませんが、世界の中で勝ち戦をどうやってつくるか、そういう文脈でこの議論を私はするのがよいのではないかと思います。そういうメッセージを是非出したいというのが1点目です。
それから、民間と国との関係ということで、民間の事業者が出てくるとか出てこないとかいう話をしましたが、国が悪いので民間が出てこられないと言っても始まらないので、民間の側も何か変わらないといけない。例えば、国もこういうように民間と一緒にやるということでメッセージを出していただいたのであれば、民間側の体制をどうつくるであるとか、民間側も、レガシーの人たち、あるいはスタートアップしたいろいろな方がおられますが、それも今のままでは立ち行かないのであろうというぐらいのことで、ゲームチェンジというか、変革をしないとこういう世界は切り開けないのではないかと思って、そういうことも促すようなメッセージは是非出したい。それが2点目です。
3点目は、特に人を乗せるという話をしたときに、必ず安全の話とか、更に言えば、事故が起きたらどうするのだという話が必ず出てくることは避けられないと思います。有人の実行体制、責任主体のような観点のことを言うと、国が支えるから民間が責任を持ってやってくださいというだけではなかなか大変かなと思うところに対して、この検討会の議論に委ねるところもあるのかもしれませんが、制度整備をしますということは必要条件の一つだと思うのですが、民間がそういうことに踏み出せる新たな十分条件というものはどういうものかということを是非議論したい部分であって、そこがはっきりしないと、なかなか民間もリスクを負ってやるということは難しいかもしれないと思います.そこら辺についても今後の検討会における議論の対象にしていただければ大変有り難いと思いました。以上、感想を申し上げました。
【遠藤主査】ありがとうございます。
それでは続いて、福島委員、お願いします。
【福島委員】ありがとうございます。
14枚目のスライドのところです。以前も少しコメントさせていただいた点ではあるのですが、有人飛行実施に際しての安全規制法制度との対応検討を進めておくということで、笠谷さんからも御説明の中で言及がありましたとおり、特に国際的な法制度の検討を進めておくということは、やはり早めに行っておいた方がいいかと思います。
特にP2Pということを考えてみますと、これは宇宙と空をまたいだ交通管理ということになると思いますので、非常に新しい話になると思います。また、一つ気になっておりますのは、特にP2Pの行き先国との協議調整が必要になることはもちろんだと思うのですが、その飛行経路上にある国々との協議調整ということがもし必要になってくるとすれば、更にいろいろな時間のかかる協議調整が必要になってくると思います。この辺を早め早めに進めておく必要性、重要性というものは強調しても強調し過ぎることはないと考えております。
以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。
そのほか、政策委員でもある中須賀先生、何かこのペーパーについて御意見があれば頂きたいのですが。
【中須賀委員】ちょうど今手を挙げようとしていました。ありがとうございます。
政府の立場からしてやはり、P2Pという民間ベースでやっていくという話と、それから国の宇宙輸送機をいかに安くしていくかということを両にらみでやっていかなければいけないのだろうなと。そうしないと、なかなか政府の中で財務省に対して強く予算を取ることも難しくなるだろうということで、その辺はしっかりと両にらみでやっていかなければいけないだろうと思います。
そのときに国としてやるべきこと、あるいは、こういうP2P以外の事業者さんらでやる需要をどんどん取り込んで、いわゆる大きな需要にしていかなければいけないということで、その観点でいうと、この間、私のやっている基本政策部会で議論になったことは、宇宙太陽光発電の話でした。これは、要はグリーンイノベーションであるとか、カーボンニュートラルということを考えた上で、将来のエネルギーをどうしていくのかということにおいて非常に大事なテーマであるというような発表が行われました。それがなかなか実現できない非常に大きな問題点、課題というのは、やはり宇宙に輸送するコストが非常に高いというところです。一般的に言われているのは20分の1ないしは40分の1にしないと、なかなか宇宙太陽光発電もできないという話が出ました。それを一つ、この輸送系を低コストにした場合の非常に大きな大量輸送のターゲットとして考えていくということも必要ではないかなと思いました。
そんなことで、宇宙に物を持っていくということ、それからP2Pの両にらみで、いかにどういうシステムをつくっていけばいいかということを考えていくことが大事ではないかと思うのと、今言ったように、政府に近いところの需要をいかに取り込んで、大きな宇宙への輸送需要にしていくかという観点が必要かなと思っておりますので、是非文科省さんもこの宇宙太陽光発電の輸送系としても考えていただければいいのではないかと思うところです。以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。
それでは、竹森委員、いかがですか。何か御意見いただけますか。
【竹森委員】竹森です。
これまで8回やられて、文科省さんの牽引(けんいん)力で非常にすばらしく、わくわくするものに出来上がってきたなということで非常に楽しくなっております。
1点だけ印象として感じたところが、官民ということなのですが、我々は官の銀行でありつつ、民間を対象にして事業をやっているのですが、ここで事業者として民は誰がやるのかなと思っています。今、例えば宇宙に限って、そういった宇宙の民間としてはレガシーとベンチャー、それからジョイントベンチャー というものがあるのですが、実は30分前にispaceが月探査でUAEという大きなお客さんを獲得したということがプレスリリースされ、世界中にかなり出始めているのですが、宇宙ベンチャー、ようやくビジネスが始まってきた、ようやく光が見えてきて、中型の衛星も含めて始まってきたなという感じです。一方で、ビジネスがないところは資金切れもあって非常につらいところもあります。また数年前、正に国が音頭を取って、JAXAさんも参加し、我々も金を投資して、ベンチャーというのがようやく芽が出てきて始まってきたというものもあります。ですから、新しいものをこれから追いかけるような余裕はなくて、正に今始まっているところだというのが一つと、あと、例えばレガシーのところを見ると、正にH3の開発で三菱重工業さんは頑張っていて、またIHIエアロスペースさんなんかも入っている大手企業によるジョイントベンチャーで小型ロケットを造っていらっしゃる。これも正にロケットですごく苦労して進めているということだと思うのですね。したがってこういう宇宙ベンチャーさんとか、重工業の今の事業を成功させるこれがまず前提で、この成功の上で更にということだと思います。
このように民間がみんな忙しい中で、こういう事業は、総論としてはそのとおりですし、正に応援したいと思いますが、そもそも誰がやってくれるのかなということをイメージしながら考えるということもすごく大事かと思います。今の状況を踏まえてですね。あとは、航空業界がやっているような国際協力開発ですね。なかなか資金調達が難しい中で、国際協力開発はいろいろと可能性もあるでしょうから、例えばどの国でどう戦略を取りながら、このチャートの中でどことどう協力していくかというような発想が必要なのかと思います。
要は、どうやるのかということをこれからつくっていく中で、誰がやってくれそうかなということ、単独でできないのであればどこと組まないといけないのかというようなイメージも持った方がいいのかなという感想を持ちました。
以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。
それでは、武者委員、お願いします。
【武者委員】ありがとうございます。
このロードマップを、文科省でつくっていただいて、非常に分かりやすくなって、自分としてはいろいろなところが腹落ちできました。
2点ありまして、1点目は竹森委員が今おっしゃったことと私も全くかぶっておりまして、これは民間と言って誰がどうやってやるのか、どうやったら民間企業がこういう事業体制の中に入ってこられるのか。コメントになって恐縮なのですが、これだとなかなかイメージがつくれなくて、ここを多分詰めないと先に進まないのかなと思いました。
これをやる上で、例えば要素技術の特定について協議というふうに記載されておりますが、これは新谷先生でしたか、民間としてその要素技術だけではなかなか進まなくて、本当にその事業化をどうやっていくか、そこら辺も一緒にこの中で話さないと、会社の中でもこういうところにリソースを割くということを判断できないのではないかという気がしていました。これは一つ感想です。
もう一つは、民間が参加するときに、先が見えるということも重要ですが、例えば環境問題とか、もう世の中の流れができているので、これをやらなくてはいけないということになると、あっという間に、昨今の流れのように参加する体制が整うと思います。これがこの宇宙輸送の、特にP2Pだとか高頻度往還飛行型システムにどう当てはまるかは考えなくてはいけないのではないかと思います。そうした取組をやることで民間がやらざるを得ない、と言うと少し違ってくるかもしれないですが、参加しやすくなるような仕組みというものがあったらいいと思います。具体的なアイデアがなくて申し訳ありませんが、そのような感想を持ちました。以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。何か宇宙が、世の中が変わるきっかけになるというようなことだろうと思うのですが、どうですか。是非そういうものを皆さんで考えていただきたいと思います。航空事業の関連として、津田委員、御意見いかがでしょう。
【津田委員】ANAの津田でございます。
今回のアプローチが市場からのアプローチ、マーケットからのアプローチということで非常に良いと思っています。宇宙領域は個人的にはかなり素人なので、技術から入るのではなく、市場から入っていただいているので分かりやすく、お話をすごく理解できてここまで来ています。この流れで現在まとまっている内容に関しては全然違和感がないですし、異論もありません。
途中何度か意見させていただいた中で言いましたが、エアライングループとして輸送という面で興味があって見ている領域は、小型衛星打ち上げ事業と、最初はサブオービタルの宇宙旅行事業、次のステップでの2地点間高速輸送事業です。このまとめ全体を見て改めて思ったことが、宇宙輸送の方策としてシステムA、B、Cという形があるのですが、これ以外にも可能性のある輸送手段がないのかあるのか、ある場合にはその方策を見ておく必要はないでしょうか。確実にコスト競争力や品質でこれらが優位なのであれば、ここに書いてある形態だけでもいいのですが、そのような検証というものが裏側にあった方がいいのではないかなと思いました。
例えば小型衛星の打ち上げで、ヴァージン・オービットのアジア・日本における打ち上げの際に、ANAがサポートするような協定を結んでおり、その準備をしています。この小型衛星を打ち上げにおいては、ボーイング747を使用して上空まで小型ロケットを輸送して、上空で切り離してロケットを打ち上げます。その打ち上げ方というのは、ここの議論の対象に入っているのか分からないですし、資料には出ていないのですが、そういう方式もあったりします。
あと、P2Pでいえば、宇宙領域ではなく、航空事業領域では超音速旅客機の開発も進めていくことになっています。例えば、今回日本から9時間以上という一定領域のターゲットを見て、それが年間5.2兆円の売上げ予測となっており、この見立て自体は全く問題ないですけれども、ほかの超音速旅客機のようなところとマーケットがかぶってくると考えます。航空機で9時間以上のところは、超音速旅客機といっても4、5時間はかかってしまうので、それよりも1、2時間で行けるこちらの方がいいので、全体感からもこちらに研究等の投資を絞って開発していきましょうというような、代替手段も含めて日本全体での整理があるといいかなと思いました。以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。
さらに、皆さんから御質問を頂きたいと思うのですが、海外の動向に詳しい大貫委員、御意見いかがでしょうか。
【大貫委員】私の方からは、今示されています全体のお話、ロードマップではなくて、今までの議論の中で余り出てこなかったけれども、市場の面だとか、あるいはコストの面で重要なことかなということを三つほど述べさせていただけたらと思います。
今日のお話の中でも出ていましたが、法制ですとか規制ということはすごく重要ですが、スタンダードということも市場を獲得する上、あるいはコストの上で非常に重要だと思います。先ほども少し出ていましたSTM(宇宙交通管制)の議論がすごく高まっていますし、あるいは軌道上サービスでしたらコンファースというところでいろいろなスタンダードが今できつつあるところだと思うのですが、グローバルスタンダードというところは開発段階の最初からすごく意識することかと感じております。
二つ目ですが、今年も一つのロケットが百幾つもの小型衛星を打ち上げたということで多数打ち上げが進んでいますが、その打ち上げ方も多様化しているということが言えると思います。その中でブレイクする企業も出てきているのですが、その中にモメンタスという会社が入っています。軌道間サービス、スペースタグを開発していて、そこがもう実際に商業打ち上げをし出しているというところも注目すべきところかと思っています。スペースフライト、イグゾロンチ、Dオービットなどがスペースタグで軌道間輸送を始めています。このような打ち上げですとか輸送の多様化というところは、一つ着目してもいいところかなと感じます。
三つ目ですが、P2Pも含めて有人ということも排除しないで議論の中に入っていることだと思うのですが、オペレーションも一緒に考えるということは入っていますが、特に訓練というものも最初のうちから考慮すべきと思います。訓練をもっとシンプルにするとか、今までも国際宇宙ステーションに宇宙旅行客が行くことがありますが、その訓練において一つの大きなネックが訓練期間の長さなのですね。今のところは星の街でやるということだったわけですが、今年後半にクルードラゴンで初の民間人4人が乗るミッションが、国際宇宙ステーションには搭乗しないのですが、行われる予定になっています。今年の2月に発表して、乗る人は3月発表されて、これからどんな訓練をしてクルードラゴンに乗って民間人が行くのだろうという感じですが、訓練の短さだけではなくて、乗りやすい機体を造るということ、あるいは市場をつくる、コストを下げるということからも、オペレーションの中でも訓練を含めたオペレーション(運行)ということは重要なところかなと感じます。
以上三つをコメントさせていただきました。
【遠藤主査】ありがとうございます。
中須賀先生、手を挙げていらっしゃいますか。
【中須賀委員】先ほど宇宙太陽光発電の話を少し出させていただいたのですが、基本政策部会で今、何年か後、今から20年、30年、あるいはもっと先の世界、日本の社会を見たときに、そこに宇宙がどう貢献していけるだろうかというコンテクストで、ある種バックキャストしていくような方向での議論もいろいろやっているのですね。そうすると、先ほどの太陽光発電を含めた地球環境の把握とか、エネルギー問題解決とか、いろいろな観点で宇宙が使える場面がたくさんあるだろうということが見えてきているのですが、やはり一番大きな問題はコストなのですね。コストを根本的に下げることによって、非常に大きな宇宙の貢献の道が出てくるだろうと思います。そうすると、それを政府でやれば、それに対して更に民間の事業者が入ってくるような産業としてもできてくるだろうと考えます。そういう観点から言うと、やはり宇宙輸送のコストを根本的に下げることがものすごく大事だよねという議論になってくるのですね。
そうしたときに、どれだけ下げるかということは、数分の1ではなくて、数十分の1をやはり目指さないと駄目であるというような、先ほどの太陽光発電だと20分の1ぐらいにならないとなかなかペイしないという話もあったぐらいですので、それぐらい下げていくということが根本的に大事です。もともと今回のP2Pという議論も、根本的にコストを下げるには非常に大きな市場をつくらないと駄目だというところから発生しているということで、こういうP2P等によって非常に大きな市場ができるから、それに向けて検討することによって、輸送系が安くなる。安くなったことがドライビングフォースとなって宇宙利用が更に広がって、お客が出てくると、あるいは政府利用も広がっていくということ。こういううまいループを、このポジティブのループを回していくということを今やらないといけないし、あるいは世界の中ではそれを回した国が今後、宇宙ではリーディングのロールを取っていくのではないかというような雰囲気があります。そういうことを基本政策部会でも少し議論をしているので、そういう観点で、今回この官民の連携による非常に安い輸送系を目指した試みができてきたことは、政府としても歓迎すべきことではないかと思っております。ということで、是非継続してよろしくお願いしますということを申し上げたかったことです。 以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。
それでは、渥美委員が手を挙げていらっしゃいます。渥美委員、お願いします。
【渥美委員】今、中須賀先生の言われた20分の1、40分の1にしますということは、ロケットで言うと1段も2段も全部再使用化しなければ基本的には無理な話ですので、今、文科省でまとめられた中身は、2段の再使用化はもう少し先であるかのような文体になっていたかと思います。ここをちゃんとやっていかないと、結局P2Pにつながらない。それから、大幅なコスト低減につなげるのだということであれば、どうあっても宇宙空間を飛んでいくには第2段システムで物を運ばない限りに現状の技術レベルでは運べない話になるので、ここのところの話をもう少し早い段階からチャレンジするようなトーンがあってもいいのではないかと思います。以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。
これまで4ポツのロードマップのところを中心に皆様の御意見を頂いたのですが、それでは最後に、1から3、あるいは全体で意見があればお伺いしたいと思います。石田委員、お願いします。
【石田委員】ありがとうございます。2点だけ。
1点は、笠谷さんが、民間から見たときに、何を国が提供したらやりたいと思えるのかといったところについて今日何回か御発言があったかなと思うのですが、私がアメリカの打ち上げロケット企業さんで政府と協議をしてきたような幾つかの有名な企業さんの方々とお話したときに、彼らが政府に求めていることは大きく三つで、一つ目は資金で、それは開発の資金であるとか、運用が始まった後のお客さんとして初期需要をつくってくれるということ、いずれにしてもそういった資金といったものが一つと言っていました。二つ目が、歴史的に「ベストプラクティス」と思われている技術へのアクセス、専門家へのアクセスですね。国しか持っていない技術というものが明確にあるのがこの分野なので、「フィストリカルベストプラクティス」とこの業界でよく言いますが、そういったものへのアクセスという話があったことと、三つ目が正当性とか信頼性といったものを与えてくれることでした。これは、民間企業に対して投資をする投資家の方々から見ても、あるいはお客さんになる人から見ても、正当性、信頼性をどう担保するかということは多分大事ですので。大きくこの3点はよく言っていたと思ったので、先ほどのロードマップも含めて、そういったところを政府が直接的、間接的にでも支援できると、民間企業にとって魅力的なプランになっていくのかなと思いました。それが1点です。
2点目は、2030年や40年に向けた市場の見立てのところで、1点だけそこまで大きくなるかなと私個人的に思ったのが、コンステレーションのところがあったと思います。2030年の需要ぐらいまでが多分世の中にある数字で、そこから先は10%で伸ばされたというお話があったかと思うのですが、これもどちらかというとアメリカの打ち上げロケット屋さんと議論していて少し思うことが、メガコンステ配備のピークというものは、むしろ2020年代に来て、2030年以降はどちらかというとリプレース需要が多くなっていくのではないかということを考えている方が何となく私の周りでは多いかなと思っています。今見えていない通信以外のコンステレーションというものが、例えば基本政策部会とかでもこの間議論にも上がりましたが、PNTとかAPNTとか、ああいったもので小型衛星のコンステが出てくると、また新しい需要もあるかと思うのですが、今見えているコンステレーションに関していくと、配備がむしろ2030年までに大方終わっていく、その後はリプレースを中心になっていくという世界だと思うので、市場の見立てのところはどうかな、そういう見方もあるかなと思いました。以上2点でございます。
【遠藤主査】ありがとうございました。
【笠谷企画官(事務局)】事務局でございますが、今発言してもよろしいでしょうか。
【遠藤主査】はい、どうぞ。
【笠谷企画官(事務局)】委員の皆様、発言ありがとうございます。先ほど、正に米国の方々が政治に求めるものという御説明は非常に参考になりました。最初の方で石田委員からアンカーテナンシーの検討も言われておりましたし、「ベストプラクティス」への技術アクセスというところで、要素技術のレベルを高めて、それを受け手としてやってもらうということですとか、早い段階から民間とも、特にどういう技術が事業化のときに必要なのかとか、そういう対話もしていければいいのかなというところ、また、正当性、信頼性というところも、文部科学省としてこの計画をオーソライズして、官がちゃんとやるのだというところをお示しできればと思っています。
また、私が今思っておりますことは、冒頭で、2040年代、50年代の話でカーボンニュートラルという話があるということを言わせていただいたのですが、正にカーボンニュートラルでのゼロカーボンということを考えると、宇宙では、そこに打ち上げるまでとか、地上で物を作る際にはそれなりにかかわるのですが、活動自体は大気圏外でございますので、なかなか単純な話ではないのかもしれませんが、このカーボンニュートラルの制約は活動しているところではかかわらないので、このカーボンニュートラルの対応の関係であると、地上とは少し違う魅力があるのではないかと思っております。
【遠藤主査】ありがとうございます。
それでは、今日は非常に活発に御議論いただいて、なかなかこのロードマップの中間まとめが楽しみになってきたという感じですが、中間まとめ案は今日の議論を踏まえて事務局にて作成をお願いしたいと思います。その内容につきましては、次回、5月12日開催予定の第9回検討会でまた引き続き御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。
皆様、御議論ありがとうございました。本日御議論いただきました内容を踏まえまして、5月12日に向けて中間まとめの報告書案を作成していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の会議資料と議事録の公開について申し上げます。本日の会議資料は公開となりますので、既に文部科学省のホームページに掲載させていただいております。また、議事録についても公開となりますので、委員の皆様に御確認いただいた後、文科省のホームページに掲載させていただきます。よろしくお願いいたします。以上でございます。
【遠藤主査】それでは、本日の議事は全て終了いたしました。これをもちまして閉会といたしたいと思います。本日の活発な御議論ありがとうございました。
―― 了 ――
研究開発局宇宙開発利用課