革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会(第4回) 議事録

1.日時

令和3年1月18日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 各業界が想定する将来社会像について(その2)
  2. 2030年代/2040年代宇宙利用市場ニーズ/規模の議論
  3. その他

4.出席者

委員

遠藤 守 【主査】
青木 一彦
石田 真康
稲谷 芳文
大貫 美鈴
小川 厚
新谷 美保子
竹森 祐樹
津田 佳明
中須賀 真一
永田 晴紀
福島 康仁
牧野 隆
武者 智宏
村上 裕史

文部科学省

研究開発局長  生川 浩史
大臣官房審議官  長野 裕子
宇宙開発利用課課長  福井 俊英
宇宙開発利用課企画官  笠谷 圭吾
宇宙開発利用課課長補佐  渡邉 真人
宇宙開発利用課課長補佐  岡屋 俊一

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事  張替 正敏
 研究開発部門
  第四研究ユニット ユニット長  沖田 耕一

ispace株式会社
 CEO  袴田 武史

5.議事録

遠藤主査】こんにちは、皆さん。遠藤です。時間になりましたので、今日もよろしくお願いします。
 革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会の第4回を開催させていただきます。お忙しいところ、ありがとうございます。
 それでは、まず事務局から、今日の会議に関する事務的な確認事項がありましたらお願いします。
 
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。まずは、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 それでは、本日は革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会に御所属いただいている委員のうち、今少し遅れている方もいらっしゃいますが、MHIの渥美様も含めて、一応全員に御出席いただく予定でございます。
 また、本日はゲスト発表者といたしまして、ispace社CEOの袴田様にも御出席いただいております。ありがとうございます。
 次に、本日の資料ですが、お手元の議事次第4ポツのとおりです。
 オンライン状況について、音声がつながらない等の問題等がございましたら、事務局へメール、電話等で御連絡ください。オンラインシステムの運用上の注意事項等は、事前送付いたしました運用手引を御参照ください。
 事務連絡は以上でございます。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思いますが、最初の議題は、前回の第3回検討会に引き続きまして、各業界が想定する将来社会像についてということで、情報提供をお願いしております。今回は、今御紹介いただきましたように、ispace社の袴田CEOに月面ビジネス市場拡大と輸送需要ということでお話しいただき、続いて、石田委員から、宇宙利用の世界市場動向と将来予想ということでお話を頂きたいと思っていますので、よろしくお願いします。
 まず袴田さんからお願いいたします。よろしくお願いします。
 
【袴田CEO】ありがとうございます。ispace、袴田です。私の方から資料を共有しながらお話をさせていただきたいと思います。
 皆さま、ispaceは月面のビジネスの市場拡大というところを目指してやっているということは御存じかとは思います。本日、基本的な情報とともに、今後どういった、我々、構想を描いていて、どういったビジョンを、特に2040年ぐらいを目指して見ているかというところをお話させていただきたいと思います。
(資料4-1-1について説明)
 
【遠藤主査】ありがとうございました。
 ただ今の発表についての御質問は後ほどお受けしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 引き続きまして、石田委員、お願いいたします。
 
【石田委員】はい。承知しました。ではよろしくお願いいたします。
 頂いたお題が「宇宙利用の世界市場動向及び将来の予測」という、何か極めてチャレンジングなものですけれども、少しお話しできる範囲でお話しできればと思います。
 多くの方が御案内のとおり、去年、第4次の宇宙基本計画の改定をする中で、私も議論に関わらせていただいて、7つのマクロトレンドがこの中で議論されたかなと思いますが、将来の予想を考える上で、私、一番大事なのは、やはりこの宇宙活動の広がりというところで、アプリケーションが非常に多様化していくというところに尽きるかなという気がしております。
(資料4-1-2について説明)
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 お二方の発表は、次の議題の重要な情報になっているということですので、まず2番目の議論に入ってから、併せて御質問は受けたいと思います。
 それでは、2番目の議題に入りたいと思います。議題は、2030年代/40年代宇宙利用市場ニーズ/規模の議論ということです。これまでの検討会で委員各位から、皆さんから頂きました情報を基に、2030年代から40年代に至る間の宇宙利用市場のニーズ及びその量的・金額的規模につきまして、委員の方々にこれから御議論いただきたいと思っております。
 この議論を始める前に、今頂いたお2人の御報告と併せて、JAXAに将来の諸処の宇宙利用市場について調査をしていただきました。この発表をまずしていただきます。その後に、事務局から、この議論の進め方等の説明をしていただこうと思いますので、まずJAXAの沖田さんから説明をお願いいたします。
 
【沖田ユニット長(JAXA)】先ほど主査の方から御紹介のありました沖田でございます。
 2030年代から2040年代の宇宙利用市場ニーズ/規模について、JAXAにおいて調べた内容について御説明いたします。
(資料4-2-2について説明)
 
【遠藤主査】沖田さん、ありがとうございます。
 それでは、この後、皆さんで議論を進めてまいりたいと思うのですが、まず議論のたたき台といいますか、導入に、事務局の方でこれまでの議論を整理して、進め方について、ある程度提案といいますか、こういう考え方からいかがだろうかというのをまとめていただきましたので、まずそれを御説明させていただいて、それから皆さんで今後の論点とか進め方について議論をさせていただきたいと思います。
 それでは、お願いします。
 
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。
(資料4-2-1について説明)
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 それでは、あと1時間程度時間がございます。本日のこの議題、ニーズと規模の議論ということで、なかなか難しいテーマになっておりますけれども、こういうニーズと規模にかかわらず、本日は自由討論ということで、今後の論点に対する御提案とか等も含めて自由な討議を本日はしていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今、事務局からの整理のペーパーでもありましたように、やはり議論としては、大きくはサブオービタルも含んで、地球周回軌道と、いわゆる深宇宙、月・惑星探査というような2つに大きく分けて、この議論を進めさせていただく方がいいかなと思いますので、まずは基本的には地球周回のところから、サブオービタルみたいなものも含めた地球周回のところから議論をしていただければと思います。よろしくお願いします。
 毎回同じように、御発言の方は挙手マークを出していただいて、私が指名いたしますので御発言をお願いいたします。
 永田委員、お願いします。
 
【永田委員】それでは、サブオービタルと低軌道ということで、議論の大事な論点といいますか、今頂いた御説明の中で、軌道間の輸送であるとか、あるいは月から更に深宇宙へとか、地球から目的地までをダイレクトにつなぐのではなくて、その間、間をつなぐというのが非常に重要であるというようなお話があったと思うのですが、このことは非常に大事だと思っていまして、つまり、全体をネットワーク化してつなぐことを考えたときに、どこに拠点をつくるべきかという議論は、実は宇宙研の輸送系の中でもやっているところです。その中で一番難しいことが、実は地球の表面からLEOに行くという、つまり空気を抜けるところですね。LEOまで行ってしまえば、あとは結構つなぎようがあるのですけれども、この空気の層を抜けてLEOまでどうやって行くかというところの低価格化の戦略が実は一番大事かなというふうに思っていまして、これを有人化の技術開発、再利用技術の開発と絡めて、結構技術開発はリスクがありますので、そこのリスクを取るところは国が先導していくべきなのかなというふうに思ったことがありますという御指摘といいますか、そこも重要な論点ではないかという意見です。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。やはりそれは大きなポイントになると思います。
 その他、武者委員、手が挙がっていますのでお願いします。
 
【武者委員】今の御意見に関連するところなのですけれども、軌道間の移動だとか、あるいは低軌道からその先の深宇宙への移動というのは非常に重要だと思っています。加えて、低軌道では通信メガコンステが主流となっていますけれども、石田さんの御説明等にも出てきたと思いますけれども、ポストISSへの移動のニーズというのも引き続き考える必要があるのかなと思います。あとは、軌道遷移サービスをどうやっていくのかなということは、ここで議論させていただいた方がいいのではないかと、私も考えております。
 以上です。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 牧野委員、お願いします。
 
【牧野委員】昔から、自分が考えても余りアイデアがないので、誰か、もし考え方を御存じだったら教えてほしいところがあって、石田さんが候補者ですかね。
 何が大事かと思っているかというと、輸送系というのは、単なる輸送手段なので、いろいろと需要はあるということはよく分かっていて、その需要のマスですね。輸送費用が幾らになればどのぐらいのマスが増えるという関係式を、何かつくれる手段があればいいなと思うのですが、石田さん、何かアイデアないですか。
 
【遠藤主査】なかなか難しい御注文ですが、石田委員、何か御発言ありますか。
 
【石田委員】ありがとうございます。どうなのでしょうか。おっしゃるとおりで、何か物を運ぶ話と人を運ぶ話がまず分かれた方がいいと思うのですけれども、あとは、人を運ぶ話の中でも、今世の中にあるサービスを代替する新しいサービスの議論をするのか、今ない需要をつくるのかという議論も多分分けた方がいいと思います。
 牧野さんがおっしゃるとおり、例えば先ほどの宇宙旅行とP2Pの話というのは多分全然違う話で、宇宙旅行というのは新しいマーケットなので、単価は2,000万がいいのか、3,000万がいいのか、4,000万がいいのか、1億がいいのか、500万がいいのか。変な話ですけれども、安い方がいいのか、高い方がいいのか、結構自由に描ける世界だと思うのですね。だから、一般的には500万に下げた方が人の需要が多くなるからいいというのですけれども、果たして本当にそれが市場として健全か。例えば高級車の世界でいったら、高級車というのは2,000万、3,000万すること自体が価値であって、下げることに何ら価値がないというのが多分あると思うので、そういう意味でいうと、宇宙旅行の市場みたいなものは、単価が下がると人が多くなる。それが本当にいいのかという議論は結構自由度が高い議論かなと思います。
 P2Pの議論は多分逆だと思っていて、航空機という明確に今あるサービスを、言葉を選ばずに言えば代替する、破壊しに行くサービスに結構近いと思うので、距離と時間とコストといったところで、エアラインさんが提供しているサービスに対してどれぐらいだったら競争力があるのか、それは結構エコノミクスからすぐ計算できる話かなと思うので、そんなにある種変な話、難しい話ではないのかなと思います。したがって、やはり今あるサービスの代替をする輸送手段の議論をするのか、新しいニーズをつくりに行く輸送手段の議論をするのかというのは分けて議論するといことが、牧野さんがおっしゃっていることの議論の最初に明確にすべきことなのかなと思います。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 私も少しコメントさせていただくと、今の内容に関連しまして、P2Pは、やはり市場規模としては将来的に非常に大きなものになるものだとは思うものの、やはり実現するためには技術的にも制度的にも、有人で航空機を代替するというような部分もあるわけで、非常に難しいというか、時間がかかるだろうと考えます。そうすると、やはり中間段階で、そういうある程度の市場があって、技術も適用できていくというようなことを考えると、いわゆる宇宙旅行というのは、限定的ではあるものの、多国間の交渉とか、そういうものがなくてもできるのではないかと思うので、そういうような発展に応じた形態、技術の発展に応じて、ある程度の指標をステップアップしていくというような考えもあってもいいのかなというような気がします。
 少ししゃべってしまいました。その他の方、何か御意見があればお願いします。
 
【石田委員】そういえば遠藤主査、もう一点だけ、牧野さんの御質問に対して思ったのですけれども、移動そのものに価値があるマーケットと、移動は手段、先ほど牧野さんがおっしゃったとおり、手段であるマーケットの議論は、分けた方がいいと思っていて、宇宙旅行とかP2Pというのは移動そのものに価値があるわけですよね。だから、要するに人が何分で何千キロメートル、何万キロメートルの距離を幾らで移動することができると経済的にペイするのかということは、これは極論を言ったら、新幹線と飛行機が国内で「大阪までどちらを使いますか」で、みんなが結構競争するのと同じ話だと思っていて、移動の距離と時間で大体払われる金額というのが多分出てきて、そこに娯楽の要素が加わってくると、例えばファーストクラスとかビジネスクラスみたいに付加価値が乗ってくるという話なので、実は結構合理的に考えられる世界かなと思っています。
 衛星の打ち上げというのは、要するに輸送手段そのもの自体が、ロケットを造っている方々の前で失礼な発言になるかもしれないですけれども、輸送そのものが価値を生んでいるわけではなくて、輸送された衛星が価値を生むわけで、もっと言うと、衛星そのものが価値を生むわけではなくて、衛星から発せられる通信とかデータとかを地上で利活用して初めてお金が生まれると思うのですね。したがって、輸送の価値はどうやって決まるかというと、最終的に地上で生まれる経済規模から逆算されて本来は決まるべきであるということが、経済合理性的には多分正しいはずだと思うのですよ。
 面白いと思うのが、モルガン・スタンレーさんが2040年市場予測で、よく100兆円というマーケットを出していて、あれはメガコンステレーションのマーケットが伸びるという予測を出しているのですけれども、市場の内訳を見ていると、メガコンステレーションが地上で生む経済規模というのは数十兆円あるという見方をしているのですよね。10兆円単位であるとしているわけです。しかしながら、衛星製造とロケットの打ち上げマーケットは、実は彼らの予想では大して伸びていないのですよ、たしか。だから、衛星製造も今2兆円弱ぐらいのマーケットか、2兆円を超えるぐらいになる。あるいはロケットの打ち上げも、今、6,000億円とか7,000億円のマーケットが1兆円を超えるぐらいにはなるという予測にはなっているのですけれども、実は別にそこが膨大に伸びるとは言っていないのですね。実際伸びるのは、衛星通信を使って地上で行われる経済というのが大きくなって、それを実現する手段としての衛星製造がこれぐらい伸びる、ロケットの打ち上げがこれぐらい伸びるというふうになっているので、恐らくその打ち上げ手段とかの値段とか回数は何で決まってくるかというと、最終的に地上でどれだけの価値を衛星通信が生みますかというところの逆算で決まってくるので、多分そこが見えてこないと、本来的な打ち上げコストとして幾らが適正なのかという、先ほど牧野さんがどうやって計算するといいのかなとおっしゃったことに対する答えというのが出てこないかなと思います。移動そのものが価値なのか、移動は手段で、最終的な経済価値は他のものが生んでいて、経費として考えなきゃいけないのかで、多分計算を分けた方がいいかなと思いました。
 すみません。以上でございます。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 
【牧野委員】牧野ですけれども、石田さんのおっしゃることはよく分かります。物の輸送と、やはり人が移動するというのは本質的に違っていて、人が移動するというようなモビリティーの主体というのは何だというと、やはり自分が海外旅行に行きたいということです。アバターが行っても駄目なので。ただ、それでは幾らぐらいだとどのぐらいの市場規模があって、どのぐらいの国なり企業が投資をしてペイするという話をセットで考えようと思うと、「うーん、難しいな」と思って聞きました。ありがとうございました。
 
【石田委員】いえいえ、ありがとうございます。
 
【遠藤主査】それでは、他の方の御意見も頂戴したいと思います。
 ANAの津田委員、お願いします。
 
【津田委員】ANAの津田です。エアラインということでしたので、少し発言させていただきます。需要と価格の関係のところで、物と人と違うというのはそうだなと思います。意思を持った人と、意思を持っていない物とは違ってくるのですが、まず人の方については、エアラインが日頃どのように需要を見ているかというと、大きく3つに需要のタイプを分けます。1つはビジネス需要で、いわゆる出張のように、仕事の目的があって、航空券のお金の出どころが会社の会計から出てくるものになります。ANAというエアラインは、ここが得意だと思っています。2つ目の需要はVFR、ビジティング・フレンズ・アンド・レラティブス。日本でいうと帰省や冠婚葬祭のように何か目的を持ってプライベートで移動する場合です。人に会うケースが多いのですけれども、これは航空券のお金の出どころは自腹になります。最初からそこに目的があるケースです。3つ目がレジャーで、これは本来、そこ自体には目的とかニーズが最初からあるわけではないのですけれども、どちらかというと心の豊かさみたいなところを求めて移動する需要で、ここもお金の出どころは自腹、すなわち家計ということになります。
 1、2、3とあるのですけれども、1から3に向かうにつれて、価格選好性が高まり価格に敏感になります。レジャーは自腹ということもあり、目的が当初あるわけではないのだけれども、価格がある程度安いのだったら行こうかなという動機づけが働くので、価格選好性の係数が大きくなります。一方で、ビジネスの方は、会社の会計だということもあって、価格選好性は基本的にはそんなに強くないです。ここで関わってくるのは、スピードや所要時間との関係です。本当であれば飛行機に乗っている時間が長いほどお金がかかりそうですけれども、そうではなくてトータルの所要時間、すなわち旅程の最初の出発地から最終目的地までどれぐらい時間がかかってきます。直行便があれば当然それが一番速い選択肢となるので、運賃が高くても売れます。同じ旅程を経由便でしか運べないようなエアラインは、自分の拠点空港などを経由させながら、経由1回とか、場合によって2回、3回経由する代わりに、運賃を安くして提供するようになります。したがって所要時間と価格の関係を航空の例から引き出してくることはできるかなと思います。これが人の輸送の領域ですね。
 それから物の方ですが、物には意思がないので、早く届けたいと荷主が思うときは少しスピードとかも関わってきますけれども、ここはコストが直結していきますので、いかに安いコストで運送するかによって、どんどん輸送ニーズは高まってくると思います。したがってポイントは、打ち上げコストをいかに減らしていくかなというところだと考えます。
 今日、ヴァージン・オービットが打ち上げ実験に成功していますけれども、あのような水平型の離着陸で、空中に行ってからロケットを分離して発射させます。空気の重たいところを飛行機で燃費よく運んでから発射というモデルでコストを下げています。こうした打ち上げ方も有効な一つであり、コストを下げることで、需要が発生してくるのかなというふうに感じています。エアラインという言葉が出てきたので、少しコメントさせていただきました。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 それでは、続いて新谷委員、お願いできますか。
 
【新谷委員】新谷です。
 人と物で分けるというところがありましたが、まず、物というところの方に話をいきますと、今、津田さんの話にもあったとおり、ヴァージン・オービットが軌道投入まで完璧に成功したというリリースをされていたのですが、空中発射という打ち上げというのは、日本は現段階では技術を持っていないと思っています。ただ、宇宙活動法には航空機からの打ち上げというのが想定されているので、それを海外の事業者ではなく自国産業としてやるのかどうかという、その視点からの検討というのも言えることができたらと思っています。やるとなったら、その法整備というものが、今は活動法の中に、その安全審査基準が全くない状態になっていますので、そういったことも進むのではないかと思っています。
 既にあるものとしては縦打ちのロケットがあるわけですけれども、これに関しては、米国で行われている再利用という部分がまだ日本ではできていないというところですので、これをやる、やらないという話があるのだろうと思っています。それが自国でやるかどうか、自前でやるかどうかという観点で、物を運ぶ点について考えていることです。
 人の輸送に関しましては、石田さんが分けてくださったとおり、全く新しい産業をつくっていくという旅行の部分と、P2Pというものがあるというふうに思っています。その新しい部分という、旅行はやるかやらないかの世界だと思いますが、P2Pに関しては、それも先ほどの物のところと同じで、自国産業でどこまでやるかという話だと思っていまして、P2Pが本当に、これを世界が推し進めて可能になった場合に、日本としては、その機体が降りられる場所を用意するということをまずは先行してやるということもあるのだと思います。機体の開発までいくのかどうか、人を運ぶのかどうかということとはまた別に、その議論もあるのだろうと思っています。その自国産業であるかという視点をお伝えしたくてお話ししました。以上です。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 小川委員、お願いします。
 
【小川委員】ホンダの小川でございます。
 前回、非公開の場で話させていただいたので、その一部を今日共有させていただきたいと思います。
 自動車でいうと、特に自動運転の分野が一番利用する可能性が高いかなと思っています。今の運転支援技術というのは、ただ車載のセンサーを使って自分で事故を回避する、あるいは自動で動くのですけれども、将来に関して言うと、各々全ての交通参加者が協調してお互いよけ合うような制御になってきます。お互い協調するといっても、自分たちのセンサーだけでよけ合うのであれば、それは反応だけするようなものであれば今でもできます。そういう低レベルの制御、階層として低階層の制御は今でもできるのですが、衝突事故がゼロ、事故がなくなるということはどういうことかというと、まずコンダクターがいて、それぞれの交通参加者がどう動くかということを、高レベルの階層で整理をするということが必要になってきます。そのときに、5Gなんかで交差点ごとにエッジコンピューターなどを置き、制御するというやり方はあるのですけれども、これだと現実味がないので、恐らく宇宙なり空から通信でお互いやり取りするということが出てくると思います。確実にそういう自動運転の普及に向けてニーズはあると思っています。
 ただ、自動運転についてレベル3をホンダから発表させていただきましたけれども、レベル2以上になると各社、毎月のように戦略が変わって読めない状況というのがあります。というのは、やはり技術の難易度がまだ読み切れていないのと、お客さまがどこまで反応していただけるかというのが読み切れていないので、規模に関して言うと、残念ながら今、どちらかというと経営トップが判断をして突き進むしかない状況にあります。ただ言えることは、確実にそうやって、空から宇宙からコンダクターが全ての交通参加者をコントロールするという世界は、そう遠くない未来にやってくるということは確実に言えると思います。
 以上です。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 袴田さん、お願いします。
 
【袴田CEO】ispace、袴田です。もしよろしければ。
 我々の事業は深宇宙、月なので、直接的に事業をするわけではないのですが、自分の考えている観点からシェアできればなと思うのですけれども、我々も、まず地球から打ち上げるということが重要になってきますので、そこの輸送インフラというものを今後強化していただきたいというふうには考えています。宇宙自体の輸送を考えると、地球に対するサービスというものは非常に重要で、先ほど牧野さんですとか石田さんがお話しされていた、地球の経済に貢献をするものなので、地球の経済からニーズが出てくるのかなと思っています。
 そのときに、やはり地球周りのインフラ、衛星を中心としたインフラというものは非常に重要なものとなっていくので、そこをどうやって維持、メンテナンスしていくかというような視点になって、インスペースでの軌道変更の輸送というのがかなり多くなってくるのではないかなと思っています。
 その観点から、我々の事業としては、軌道遷移が多くなればエネルギーが必要になるので、燃料補給が必要になるだろう、燃料の処理が必要になるだろうというふうに思って、月面での水資源を中心とした資源開発というところを目指しているという背景があります。
 あと、地球からの輸送の量が、燃料を地球から打ち上げないということになると、かなり少なくなるという見方もあるかもしれませんが、結果的に宇宙での需要がどんどん広まっていけば、燃料だけではなくて、他の用途でどんどん需要が出てくるのではないかと思っています。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 それでは、まだ手を挙げていらっしゃる方がいますので、福島委員、お願いします。
 
【福島委員】ありがとうございます。
 私から1点、P2Pに関して、それを実現していく上での政策面での課題ということを述べておきたいと思います。といいますのは、P2Pについては、これまでの第1回から第4回までの議論を聞きまして、かなり具体的なビジョンをいろいろな会社の方が持たれていて、かつ潜在的な需要というものもかなりありそうだということを理解できたのですけれども、一方で、それが実際に、技術的にめどが立ってきたときに、どういうふうに、それを運行していくための制度を特に国際的につくっていくのかということが、同じぐらい重要な課題になってくるのかなというふうに考えております。
 例えば宇宙の交通管理ということを考えてみても、2006年にIAAがコズミックスタディーという有名なレポートを出しておりますけれども、15年ぐらいたった今でも、宇宙に関する包括的な交通管理の制度というものは国際的にはできていないということで、やはりこうした国際的な制度をつくっていくということは、非常に時間もかかるし、国際政治的にも難しい点があるというふうに感じております。そうした意味で、このP2Pというのは、空と宇宙をまたいだ交通管理ということを日本だけではなくて国際的に考えていかなくてはいけないということで、そうした議論も国際的に早めに始めていく必要があるというふうに考えております。
 以上です。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。大変重要な視点だと思います。
 稲谷委員、お願いします。
 
【稲谷委員】先ほど来、石田さんとか牧野さんとかが議論されていたマーケットの特性というか、規模のことなのですが、我々といいますか、輸送のコミュニティーでいろいろ議論していることは、次回以降、この会合でも御紹介させていただけるかと思っているのですが、宇宙旅行とかP2Pのマーケットの話が本日出たので、私どもで、宇宙旅行のマーケットというものについて過去に独自にリサーチをしたことがあって、もしよろしければ、今、昔の資料をお見せできるものがあるので、共有させていただいてよろしいでしょうか。
 
【稲谷委員】これは、我々の仲間で、20年以上前になるのですけれども、マーケットリサーチをしました。どんなマーケットリサーチかというと、切符1枚幾らだったら自分でお金を払って行きますかというアンケートをして、1枚1億円から1,000万円、500万円とずっと下がってくると、どこかで皆さん、手を挙げるわけです。これがその結果ですけれども、大体500万円、300万円、100万円と下がってくると、100万円ぐらいのところまで来ると、どの集団であっても4分の1ぐらいの人が手を挙げます。要するに、4分の1の人が100万円を自分のポケットから出して宇宙旅行に行きたいと思っているわけです。そうすると、何をやったかというと、4分の1という数字をマジックナンバーとすると、日本中で1億人いるとして、4分の1の人が行くとすると2,500万人です。そう発言した人が全員本当に行くかどうか分かりませんし、それが1日とか1年で行くわけでも多分ないと思うので、1世代回る間に全員が行くという前提をおくと、つまり25年で1世代が回るとすると、今の2,500万人が25年の間に全員行くとすると、1年間にお客さんが幾らいるだろうかという計算ができます。そうすると、1年間に2,500万人割る25なので、1年間に100万人行くという計算になります。そうすると、1年間に100万人の輸送ができる仕掛けをつくればいいということになります。そうすると、1年間に100万人なので、1日にすると3,000人です。
 今の、ようやく宇宙ステーションに人が行っているという世代からすると、とんでもなく桁違いに巨大な世界なのですけれども、それを考えるとどういうことが言えるかというと、ビジネスとしての収入モデルを考えると、今の最初にお見せしたグラフが左側の絵で、切符1枚が何百万円とか100万円で、年間旅客数が今のように計算したら出ますので、縦軸と横軸を掛け算すると、年間売上げ、あるいは年間収入になり、それをプロットしたのが右の絵です。
 というような例があって、それをやると、先ほどの1年間に100万人運ぶ、それから切符1枚100万円の桁だというふうにすると、日本国内を分母にしても、ビジネス規模は1兆円になるということになります。そのカーブのトレンドを見ると、一番ピークを持つところは、切符を高くし過ぎても客が減る、安くし過ぎても収入が減るということで、どこかにピークを持つというようなことになると、そのピークは大体、先ほどの100万円から200万円ぐらいのところにピークがあって、そうすると、年間売上げは1兆3,000億円という計算ができるという例があります。
 したがって、ここから先ほど来の牧野さん、石田さんの議論のマーケット規模というのは、ある種、希望調査から類推することができるということと、収入を最大にするというような観点からいくと、切符の値段は高いところ、あるいはお金持ちだけをターゲットにするのが良いかというと、この結果はもっと一般大衆化して、100万円ぐらいまで下りてくると、非常に規模のメリットが出てきてというようなマーケットの規模になるという例があるということを少し御紹介しておきたいことと、こういうことに基づいてビジネスのボリュームといいますか、輸送の能力を考えるとか、そういうふうにして物事を考えたらいいのではないかという例として、これを見ていただければいいかと思います。
 最近、P2Pも宇宙旅行も、いろいろなマーケットリサーチができていますし、マーケットリサーチの手法もいろいろだと思いますけれども、少しこういう例があるということと、私は個人的には、規模のメリットがある方に行かないと一般大衆化もしないし、マーケットも大きくならないという方に味方したいと思っていて、そういう例の御紹介と思って見ていただければいいと思います。これを御覧になって、石田さんとか牧野さんがどういうふうに思われるかは、少しお聞きしてみたいところだと思いますが。
 以上、すみません。時間を取りましたけれども紹介させていただきました。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 先ほど私も少し申し上げかけたのですが、この100万円、200万円というレベルになると大変市場が大きくなるということは大変分かりやすかったのですが、少なくともP2Pという、旅客輸送に入る前に、ただ単に宇宙に行くだけでも需要がある。宇宙観光ということですね。そうすると、これが1,000万になっても、現実にはヴァージンを予約している日本人の方も結構いるようですけれども。
 
【稲谷委員】その規模だと、やはり1,000人とか1万人という規模だというふうに思っていて。
 
【遠藤主査】要は、発展のステージとして、そういうところからまず入っていくというのが、P2Pはやはり、先ほども御指摘がありましたように制度的な課題もたくさん恐らく出てくると思いますので、いずれにせよ、こういうことが、ある一つのニーズと規模で発展のステップがある程度描けるのではないかなと思いました。
 
【稲谷委員】だから、ある種のマーケットというのは、客観性を持って言う部分と切り開く部分と両方あると思うのですけれども、そこの両面で何か良いやり方をつくっていくとか、あるいは、投資をする人たちからすると、客観性だけで仕事を多分するわけではないというところもあると思うので、ビジネスオポチュニティーというのは客観性だけでやるのではないという気もいたしますし、その辺が、ビジネスをやる方の意見も是非聞きたいところだなと思いました。
 
【遠藤主査】他の方、いかがでしょうか。
 それでは、最初、地球周回からと申し上げましたけれども、月・惑星探査という観点からも御発言があったらよろしくお願いします。
 いかがでしょうか。袴田さん、お願いします。
 
【袴田CEO】先ほどのプレゼンで概要をお話はしたのですが、もう少しコメントさせていただければなと思ってはいるのですが、まず、我々は、2040年代には1,000人ぐらいの人が月に住んでいるというビジョンを描いています。1万人ぐらいの人が地球と月を行き来している。そうすると、有人ということがまず実現しているという世界観になります。
 月面に住む1,000人も、恐らく数年、長期間、ずっと住んでいるというわけではなくて、定期的に地球と月を行き来しているというような形かとは思いますので、そういった人の移動を支えるような輸送インフラというものが必要になってくるというふうに思っています。ちなみに、この人数は日本だけではなくてグローバルですので、グローバリティーが必要となります。
 多分2040年ぐらいには、我々は現在、月をフォーカスしていますけれども、火星の方にも人が移住というか、探査が始まっているというふうに思いますので、そちらへの輸送もあり得るのではないかなと思っています。
 そうすると、2030年ぐらいには数百人規模の、恐らく有人の輸送が必要なのではないかというふうに思っています。有人の場合は、当初2020年代ですけれども、恐らくできても年に1回とかそのぐらいのレベル感なのではないかなと思っています。「有人」でいろいろな物事が進んでいく前には、必ず「無人」の輸送というのがあると思いますので、まずは無人の輸送が重要になってくるのではないかと思っています。
 NASAとかがリードすると、数トンレベルのものを運んでいこうというような話になりがちかなと思うのですけれども、特にビジネスでやる場合、本当に数トンのものが最初から必要かというと、そうではないのかなとは思っていて、それよりも、様々なものを小さくてもいいので運べるようなニーズが先行していくのではないかなというふうに感じています。ただ、人間が住むとなると、将来的には数トンレベルの、若しくは数十トンになっていくかもしれませんが、やはり輸送というものがないと成立はしない世界だと思っています。
 プレゼンの中でも申し上げたと思うのですが、有人の輸送が本格化してくるときに、無人がなくなるかというと、そうではないというふうに考えていて、人を運ぶものと荷物を運ぶものは分かれていくでしょうし、ニーズが異なっているので分かれていくでしょうし、無人の場合で緊急の輸送とか、よりフレキシビリティーの高い輸送システムというものが必要になってくるのではないかと考えています。
 有人の高い信頼性が必要な輸送インフラということを考えると、最初に無人でどれだけ、先に月ですとか火星とかに行く輸送を繰り返しやって、信頼性をいかに早期に高めていくかということが重要なのではないかなというふうに考えています。
 あと、先ほど低軌道、サブオービタルのところでコメントしましたが、インスペースの輸送というものは多くなっていくと思います。我々も、宇宙のロジスティクスシステムを作っていくために燃料補給というものが重要だろうと思っていますが、その燃料は火星に行くためにも使われますし、地球近郊の軌道を遷移するときの燃料にも使われていくのではないかと思います。そういった輸送のネットワークが今後作られていくのではないかと考えております。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。渥美委員、お待たせしました。お願いします。
 
【渥美委員】渥美です。途中から参加させていただいたので、前半の議論がよく分かっていないのですが、福島委員が言われていた国際的な話として、少し情報の提供だけしたいと思います。
今、ICAOのスタンスをしめす画面が出ているかと思います。宇宙の輸送に関する民間宇宙輸送事業が始まる前に、ICAOは、エアロスペースシンポジウムを開催して、いろいろな航空規制当局、いろいろな事業者を集めて、ICAOが定める規制だとか指導文書について意見交換をしているというのが現状ですね。米国と英国からいろいろな検討資料が出されていますけれども、ICAOは、基本的にはこれらを編集して、国際的な規制とか指導文書を作る素案をまとめようとしているというのが現状であります。
 こういう動きがありまして、インフォーマル・リーディング・グループ・オン・スペースという資料を見せているのですが、この中に入っているのが、FAAそれからUKですね。それからユーロコントロール、IAASSがあります。これらのメンバーが主体になって、宇宙に行くためには空を通過するので、航空当局としてその規制をしないということはないだろうということをICAOとしては考えています。そのときにFAAや何かの基準をベースにして規制を持ってこようとしているのですが、今お見せしているのがFAAのコマーシャルスペース・トランスポーテーションのレギュレーションについてのアクティビティーをまとめているものです。御存じのように、いろいろなコマーシャルの話を許可するために、FAAの中にいろいろなレギュレーションをつくっていく話をまとめていまして、現在は、一応ライセンシングという形でフライトを認めて、今回飛んだものもひっくるめて、いろいろなものを活動として動かしているというものがあります。
 コマーシャルの世界に入ってビジネスになり始めた際には、基本的には航空機と同じようなサーティフィケーションのシステムに変えていきたいということがFAAの考えているところでありまして、航空機の世界の話をよく御存じの方々は分かっていると思いますが、ここで決められたレギュレーションに従うか従わないかで、当然売れる、売れないという話が出てきますし、この中にどういうふうにして入るかによってバーゲニングパワーが大きく違うというところが航空機の世界にはあって、航空機の世界、FAAから宇宙の世界に手を伸ばしてきているという状態です。
 こちらは2019年の8月の記事ですけれども、ライセンシングシステムについてFAAの中で加速するという記事がスペースニュース等に出ているということです。宇宙ではチャプターの400番台までありますが、ここに500番台まで追加され、どんどん、どんどん作られいろいろなアクティビティーが動いているということが現状です。
 したがって、福島委員が言われたように、実際のバーゲニングパワーの話を議論しているときに、ここに対してどういうような形で入るかということを議論しておかないと、意味のあるような形でのバーゲニングパワーの議論にはならないと思っております。以上です。
 
【遠藤主査】貴重な情報ありがとうございます。
 それでは、牧野委員、お願いします。
 
【牧野委員】ありがとうございます。
 袴田さんに少し質問ですが、例えば2040年ぐらいに観光客が行くということとセットで、燃料を作る等、いろいろな産業が発達していくというつもりで僕も考えているのですが、月のGDPと言っていいのかどうか分かりませんが、GDPは人の観光で幾らぐらい、一般の観光産業で幾らぐらいとか、何か言った人はいませんでしょうか。
 何で聞くのかというと、GDPの20%ぐらいが物流輸送に関係する部分と思うので。
 
【袴田CEO】はい、そうですね。
 
【牧野委員】そういう意味で言うと、GDPはエリアで幾らだと言った人はいませんかという質問ですけれども。
 
【袴田CEO】まだ明確な数字を出した人はいないと理解しています。我々もエリアで出したいなという希望はございます。そうですね。
 少し話がそれるかもしれませんが、最近読んだ話で、アメリカのスペースフォースができる前のエアフォースの文書で、多分1年半ぐらい前の文書だと思うのですが、2060年ぐらいの宇宙全体のGDPが、地球のGDPの10%ぐらいになっているようなベストケースシナリオを考えているというような情報はありました。
 
【牧野委員】ありがとうございます。何か探してみます。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。竹森委員、お願いします。
 
【竹森委員】ありがとうございます。竹森です。3点ほどコメントをさせてください。
 1点目が、投資家はどう考えるのかなという話があったかに記憶しているのですけれども、我々、金融投資家が投資の判断をするときは、少し乱暴に申し上げて2つあって、1つが、いろいろ積み上げて、「これは需要があるな、お金がもうかるな」という積み上げのアプローチと、それから、積み上げても分からないので世界観からアプローチをしていくということ。この2つが大きくあるかなという気がします。
 今日、袴田さんの説明があったものは、ispaceとかロケット等も、いろいろと積み上げてはいるのですけれども、積み上げても分からないので、世界観から判断をしたというところですね。世界観というところで、やはり世論だと思うのですよね。世の中として、この世界観が世論を含めてどう醸成されているのかということ。我々金融投資家というと、やはり世論に弱いところもありますから、とにかくこの世界観というものがどうやって世論を含めて醸成されているかという点が非常に重要かなと思います。これは、前回も申し上げたのですが、その視点は是非もう一回言わせていただきたいと思います。
 2つ目ですが、P2Pの話を伺っていて、JAXAですけれども、私、JAXA航技研関係として、音速とか超音速ということで航空機を高速化するという話とか、あと、環境適用、つまり化石燃料が一体どこまで使えるのかなという視点もあると思うのですよね。JAXA内で、例えば拠点間輸送、2地点間輸送と、それから航空機を速くするという環境のトレードオフでどこまでできるかというところ、これは是非、私も興味がありますので、航空機でどこまで速くなるのかという、これとのトレードオフ、あとはロケットをP2Pで使って環境適用にどこまで対応できるのかというあたりのバランスというものは、是非何か考えていただきたいと思っています。こちらで飛行機を速めます、こちらで2地点間輸送をやりますだと、JAXAの中でちゃんと整理していないのかなという点が気になる2点目であります。
 3点目ですけれども、首相の所信表明演説もやられて、どこもかしこも水素だなと思うのですけれども、宇宙の技術というものが、客観的にいろいろ見ていて、例えば水素とか遠隔とか、今必要とされている技術は、正にこの宇宙に全部あると思うのですよね。したがって、宇宙は宇宙村でやって、何となく他の産業も入れているというふうには見えるのですけれども、今正に世論的にも盛んになっている「水素」とか「遠隔」等、ここで宇宙の人がもっと活躍できる場というのがあるのではないかと思います。そこで世論を醸成しながら、なるほど宇宙でこうやっていけば、例えば水素なり、今正に問題になっているような水素とか遠隔分野でも、この宇宙の人たちが、正に技術を握るのだ。よし、じゃ、お金を出そうとかいう話にもなってくるので、もう少し幅広い目線で、特にこの水素から遠隔分野のところで、この宇宙技術というものがまず地上でどう使えるかという、こういう視点も大事かなと考えます。
 以上3点ほどコメントを述べさせていただきました。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 JAXAさん、お願いします。それと、やはり宇宙産業と地上産業の融合といいますか、大変重要な視点だと思いますので、今後の議論に含めてまいりたいと思います。
 それでは、石田委員、お願いします。
 
【石田委員】ありがとうございます。
 先ほど牧野さんがおっしゃった点に関してなのですが、昔、知り合いから「地球で陸と海と空のGDPってどういう順番だと思う」というクイズをさせられたことを思い出しました。御案内のとおり、陸のGDPが圧倒的に1位なのですが、空と海のGDPを比較すると海の方が圧倒的に高く、空が一番低いという答えなのですが、海のGDPが何で大きいかは、それは石油なのですね。資源があるから、圧倒的にそこで経済価値が生まれるということなので、2030年、40年の月のGDPを考えるとすると、人の経済活動以上に、今正に国際的に議論されている月資源の議論が多分本当に価値があるのか、そうではないのかということになり、月のGDPを考えていく上で、恐らく分岐点になるような話かもしれないです。そういう観点で考えている人は、小惑星の方がより資源があるのではないかということを言っている国際的な人もいると思うので、多分人の活動と資源という話と両面で議論した方がいいのかなと思ったのが1つと、あと、今、竹森さんがおっしゃったように、僕もその考え方は大賛成なのですが、やはり宇宙単独で考えるよりは、宇宙の技術とかデータとかが地上に生む経済価値というものが、例えば本当に10兆円、20兆円、30兆円、40兆円とかあるという話があって、したがって宇宙空間にある宇宙のアセットが数兆円あって、それを打ち上げるために1兆円、2兆円とか3兆円とかの打ち上げ輸送手段というのがあるのだというストーリーから、大きく輸送に投資をしていくべきではないかということが、これからの時代では結構大事かなと思っています。正にそういった議論ができた上で、輸送システムに対して攻めの投資をしていく必要があるのだという議論ができるといいかなと思いました。
 以上でございます。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 今の議論をお聞きして、私、実は少し荒唐無稽と思われるかもしれませんが、GDPとか経済活動と宇宙との効果というものを測るときに、20年後、30年後を考えると、カーボンニュートラルという議論もありますし、宇宙輸送が格段の低価格、頻度で行われるようになれば、以前話題になった宇宙太陽光発電というのもあながち荒唐無稽な話ではなくて、大きな経済活動としてみなされるような時代が20年、30年のスパンで考えられるようになるのかなと考えます。そういう視点も、宇宙輸送を考えるとき、必要なのかなというような、今の御議論を聞いていて思いました。
 時間になってまいりましたが、今日、いろいろな皆さまの御意見をお聞きすることができまして、大変有意義な検討会になったと思っているのですが、次回以降、皆さんの今日の御意見も反映しながら進め方を整理してまいりたいと思うのですけれども、時間がなくて発言できなかった方、是非事務局に、メールベースで結構ですので、こういう観点でというような御意見を寄せていただければ、そういうものも含めて次回以降の進め方に参考にさせていただきたいと思います。事務局、そういう御案内もできればお願いをいたします。
 ということで、今日は大変長い時間、ありがとうございました。今日の議論はこれでおしまいにしたいと思いますが、事務局から連絡事項、ありましたらお願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】事務局でございます。
 今ほど遠藤主査からもありましたが、皆さま、御多忙とは思いますが、委員会の進め方等、御意見がありましたら、御連絡いただければと思います。御希望がございましたら文科省に来ていただくなり、我々を呼んでいただても構いませんので、適宜委員の皆さまとは意見交換をしていきたいと思っております。
 次に、会議資料と議事録の公開について申し上げます。
 本日の会議資料は公開となりますので、既に文科省のホームページに掲載させていただいております。また、議事録についても公開となりますので、委員の皆さまに御確認いただいた後、文科省のホームページに掲載させていただきます。よろしくお願いいたします。
 事務連絡は以上でございます。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 それでは、本日の議事はこれで終了とさせていただきます。
 大変ありがとうございました。次回以降もよろしくお願いいたします。
 

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課