資料2.第1回検討会における主な論点

1:研究船で実施する観測・研究

(会議での主な意見)

  • 北極域において、通年観測が可能になるということは研究者にとっても魅力的。また、これまで観測が困難であった海域から、日本が取得したデータを国際的に発信することは有意義。
  • 日本が主導力を発揮できる観測内容や観測海域を検討するためには、他国の北極域における観測実績等のレビューが必要。
  • 北極域での観測のみならず、中・低緯度域の海洋観測を行えると良いのではないか。

(次回会議で示して欲しい資料)

  • 諸外国の北極域研究船の活動状況(活動時期、活動範囲、観測項目など)


2:必要な観測機器、設備

(会議での主な意見)

  • 我が国の強みを発揮できる研究課題の把握、必要な観測機器等の検討が必要。
  • どのような観測機器を搭載するかによって、どのような船になるかが変わってくる
  • ムーンプールは、どのような観測機器をどのような海域で使用するかを考えつつ、その必要性を検討。バブラーシステムの選択肢もあるのではないか。
  • 氷海域で使用可能なAUVはまだないが、AUVの運用が可能な大きなムーンプールは作れない。(AUVを入れられない)。バブラーの方が現実的か。一方で、北極域以外での使用を考えると、バブラーよりムーンプールの方がメリットがあるのではないか。

3:砕氷・耐氷能力

(会議での主な意見)

  • “どの時期”に“どの海域”で観測を行うかによって、必要とされる砕氷能力は異なる。
  • 必要な観測ができる設計をすればよく、PCクラスを先に決める必要はない。
  • 船のスペックを考える上では、北極海での通年観測を実施するかしないかが分岐点。
  • 通年観測が可能な国際的な観測プラットフォームとして、国際的なプレゼンスを発揮するという目的であれば、PC2クラスの船の建造も有意義ではないか。
  • 真冬に極点まで行ける船が必ず必要かと問われればそうではない。PC5クラスの船
    でもできる仕事は多い。また、冬のデータは欲しいが、海氷のデータ等は夏の氷の薄い時期に係留系を投入して、測定する方法でも対応可能ではないか。
  • 今後、北極海の海氷の減少傾向は変わらない。船の建造までに数年、建造後の運用年数が20~30年あることを考えると、それほど大きな砕氷能力は必要ないのではないか。
  • PC2クラスの船はスペックが高すぎるのではないか。冬期に極点周辺行くより、春先に「みらい」で行けないところに行けるようになるという方が有意義ではないか。
  • 「みらい」は夏でも氷海には入っていけない。夏に氷海に入って行けるようになるだけでも、観測機会は向上する。
  • 今後の北極域における観測・研究の展開を考えると「しらせ」クラスの砕氷能力は必要ないが、一定の砕氷能力は必要。
  • 建造・運用コストなども踏まえた建造可能性の検討が必要。PC2クラスはオーバースペックで、費用対効果としても期待できないのでは。
  • 砕氷能力を上げると建造・運用コストも上がる。費用対効果を見据えながらの検討が必要。
  • PC2クラスとPC5クラス程度の船では、観測にどの程度の差がでるのか。その差は、投資額に見合ったものか。また、その差が埋まらないと日本の研究ニーズはどの程度阻害されるのかについての議論が必要。
  • 砕氷能力を上げるために必要となる費用は、砕氷能力をある程度とし、その分観測機器等の充実に充当した方が科学的成果が期待できるのではないか。
  • JAMSTECは、PC2クラスの船を運航することができるのか。

(次回会議で示して欲しい資料)

  • PC2クラスの研究船、PC5クラスの研究船及び「みらい」の観測項目、コスト、乗員数等の比較。

4:乗船可能研究者、乗組員等

(会議での主な意見)

  • 乗船する研究者の上限は50人程度。その他、乗組員(含む観測支援作業員)が必要。

5:「しらせ」の活用等

(会議での主な意見)

  • 「しらせ」を北極で活用してはどうかとの意見もあるが、昭和基地周辺の氷状は他国の基地周辺と比べて非常に厚く船にとっては非常に厳しい環境。南極への航海終了後、次の航海に向けた修理、整備等に必要な期間を考慮すれば、「しらせ」の北極での運用は困難。
  • 中国、韓国の船は両極に就航しているが主任務は南極だと推察される。このため、北極海においては、「みらい」と同程度の海域にしか進出していないと思われる。(なお、中韓の基地周辺の氷は昭和基地周辺ほど厳しくなく、船へのダメージは少ないと考えられる。)

(次回会議で示して欲しい資料)

  • 「しらせ」の運航・点検スケジュール

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研究開発局海洋地球課