平成28年3月23日(水曜日)16時00分~17時30分
文部科学省 第2講堂(旧文部省庁舎6階)
有馬座長 井川委員 櫻井委員 高橋委員 丸委員 宮崎委員 宮野委員 山本委員
馳文部科学大臣 冨岡文部科学副大臣 土屋文部科学事務次官 戸谷文部科学審議官 田中研究開発局長 加藤もんじゅ改革監 板倉大臣官房審議官(研究開発局担当) 信濃開発企画課長 岡村原子力課長 高谷研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当) 次田「もんじゅ」の在り方検討対応室次長 (説明者) 日本原子力研究開発機構 児玉理事長 青砥理事/もんじゅ所長 荒井もんじゅ運営計画・研究開発センター計画管理部長
定刻となりましたので,「もんじゅ」の在り方に関する検討会の第5回を開催させていただきます。
本日は,お忙しいところ,皆さん御出席くださいまして,まことにありがとうございます。
第5回検討会開催に当たりまして,お忙しいところ,馳文部科学大臣が御出席でございますので,御挨拶いただきます。よろしくお願いします。
どうもお疲れ様でございます。3月23日ということで,年度末,それぞれお忙しいところ,こうして足をお運びいただいて,ありがとうございます。
とりわけ,福井県,敦賀市は,3月議会は終えられたのでしょうか。議会への対応で多忙であったと思いますが,本日は曲げて,こうして検討会に,地元自治体の当事者として出席していただいたこと,西川知事,また渕上市長に,まず御礼申し上げます。ありがとうございます。
本日で5回目となりましたが,昨年11月に原子力規制委員会から勧告を頂いた,その内容に真摯に向き合っていかなければいけない。三つの段階を考えておりまして,西川知事と渕上市長に,改めて申し上げます。この勧告を受けるに至った経緯も含めて,どこがどういうことで駄目だと勧告を受けたのか,総括をしっかりし,そして,新たな運営主体は,どうあるべきかを検討し,その上で,具体的な運営主体を選定していきたいという3段階で議論をしております。
その中において,有馬座長をはじめ,委員の皆さんには,非常に忌たんのない,核心をつく,また,将来への提言も含めた,いろいろな御意見を頂いているということであります。
本日は,西川知事と渕上市長には,地元自治体の責任者として,様々な声を踏まえて,これまでも御協力を頂いていることに,改めて感謝を申し上げます。そういった中でのお声を頂きたいと思います。
大変申し訳ありません。本日は,私,公務がありまして,途中退席することの無礼を先にお詫(わ)びしておきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
それでは,事務局から,出席者の紹介をお願いいたします。
委員ですが,本日,中尾委員,所用により御欠席と伺っています。
また,本日は,説明者として,西川一誠福井県知事,渕上隆信敦賀市長にお越しいただいております。また,日本原子力研究開発機構から,児玉理事長,青砥理事,荒井部長の出席をいただいています。
それでは,事務局より,配付資料の確認をお願いいたします。
それでは,議事次第に続きまして,本日の配付資料の説明をいたします。
資料1「新たな運営主体に求められる要件等に関する委員の意見について」,資料2「「もんじゅ」の保守管理不備に係る文部科学省の対応」,資料3「「もんじゅ」の在り方に関する検討会委員の御質問への回答」,資料4「「もんじゅ」に係る課題の検証における論点(例)」,その他,机上配付資料として,第4回議事録をお配りしています。委員の皆様にはメールで既に御確認いただいたものですが,修正等ありましたら,3月25日までに事務局までお知らせください。その後,ホームページに議事録を掲載させていただきます。
また,同じく,委員の先生方の机上には,議題2に関する各委員からの御意見をお配りしています。議題2の際に,御活用いただければと思います。
それでは,議題1「「もんじゅ」に関する地元自治体からの意見について」に入ります。
これまで,検討会では,「もんじゅ」の運転管理に必要となる技術的能力及び運転管理と研究開発との関係等,技術面からの検討を中心に,議論を進めてまいりました。
一方,「もんじゅ」の運営をはじめとした原子力の推進には,原子力事業所の立地する地域の御理解を頂くことが大前提となることは,申すまでもありません。そこで,「もんじゅ」が立地する地元の自治体である福井県及び敦賀市から,「もんじゅ」に対する御意見を伺い,それを検討会の議論に反映させていくことが重要であると考えております。
今回は,福井県の西川知事,敦賀市の渕上市長にお越しいただきましたので,それぞれ「もんじゅ」の運営主体について御要望,「もんじゅ」の運営についての御意見等をお伺いしたいと思います。本日は,西川知事,渕上市長の御出席を賜りまして,本当にありがとうございます。
まず,西川福井県知事から,御意見を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
福井県知事の西川でございます。よろしくお願いいたします。
それでは,私から,こうした機会を頂きましたので,御意見を申し上げます。
「もんじゅ」につきましては,申し上げたいことはいろいろありますが,今の段階では,基本的なことを申し上げておいた方がよろしいのではないかということで,そういう方向で簡単に申し上げますので,お聴き取りを願いたいと思います。
「もんじゅ」につきましては,平成7年12月のナトリウム漏えい事故以降,様々なトラブル,また,課題が次々と起こり,約20年間,ほとんど本来の目的である運転が,残念ながらなされていない状態が続いております。
こうした中,いろいろなことがございましたが,最近に至りまして,昨年11月でありますけれども,原子力規制委員会においては,「もんじゅ」について,まだ安全基準が作られない,作っていないままの状態の中でのことでありますが,そういう中で,文部科学大臣に対し勧告を出されたところであります。また,これを,文部科学省としてもお受け取りになっている状態でありますが,こうした現状については,立地地域として,まことに遺憾だと思っております。
国においては,平成26年4月に閣議決定をいたしましたエネルギー基本計画において,我が国は資源の有効活用や,放射性廃棄物の減量,減毒化の観点から,使用済燃料を再処理し,回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針とする,と定めているところであります。
そして,今,話題になっております「もんじゅ」に対しましては,廃棄物の減容,有毒度の低減,また,核不拡散技術等の向上のための国際的な研究拠点,このように位置付けるとしております。と同時に,実施体制の再整備や新規制基準への対応など,克服しなければならない課題について,国の責任の下,十分な対応を進めることをお決めになっているわけであります。
このように,エネルギー基本計画に位置付けられました「もんじゅ」の役割があるわけでありますので,国としては,その役割を,長期的な視野に立って,真剣に覚悟を持って考えなければ,この問題は,解決はできないと考えます。曖昧な先送りを繰り返すような不作為は,もはや許されない状況にあると考えます。
立地地方団体といたしましても,これまで「もんじゅ」につきましては,エネルギー研究開発拠点化計画の中核施設として位置付けるなど,安全確保に全力を,地元としても努力しながら,協力・支援に努めてまいったところでありますが,こうした現状の中では,地元の理解も得られにくくなるのではないかと考えます。さらに,現状では,文部科学省にとりましても,迷惑施設そのものの感が,なきにしもあらずであります。
したがって,この際,政府においては,これをしっかりやるというお気持ちをお持ちであるならば,様々なエネルギー問題全体を責任を持って進める,そして,総合的に判断のできる,これを進めるための新たな組織体制を,大事な時期でありますので,きちんと作り,そこにおいて,「もんじゅ」の今後の方向性とあるべき運営体制について,是非とも検討すべきであると考えます。
その他,様々なことについては,この際,この場では申し上げないことにいたしますが,そういうことかと思っております。
なお,こうした問題は,机上で議論すべきことだけではありませんので,是非とも,福井県,敦賀市の現場,また全世界的に,こうした問題が,どのように現状及び将来に向かって取り組む動きにあるのか,その運営,規制体制,あるいは,推進体制というのでしょうか,そういうものを,是非とも,委員各位,また,国としても把握されて,適切に対応に努めていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
以上です。
どうもありがとうございました。
続きまして,渕上敦賀市長から御説明をお願いいたします。
敦賀市の渕上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は,「もんじゅ」の在り方に関する検討会にお招きいただき,立地自治体として発言の機会を頂きまして,馳大臣並びに委員の皆様におかれましては,本当に感謝申し上げます。ありがとうございます。
敦賀市は,昭和50年の市議会での高速増殖炉建設促進陳情の採択から40年,「もんじゅ」が,資源の有効活用や放射性廃棄物の減容化,有害度の低減等,国際的にも研究成果が期待される国のエネルギー政策の根幹を担う施設であることを理解し,誇りを持って国策である原子力政策に協力してきたところであります。しかしながら,現状は,「もんじゅ」を受け入れてきた市民の期待に応えているとは到底言えず,まことに遺憾なことだと思っています。
これから,自治体としての本市の思いを述べたいと思いますので,よろしくお願いします。
私どもは,まさに地元中の地元ということで,市民も,建設から「もんじゅ」の取組を間近に見てきました。日本原子力研究開発機構の職員のみならず,関係する企業で働く多くの方々が市内に住み,敦賀に拠点を置いて業務に当たっており,「もんじゅ」の安全確保のために,懸命に日々の業務に取り組まれていると感じております。
しかしながら,「もんじゅ」は,原子力規制委員会から勧告を受け,先行きが不透明な状況にございます。本市は,平成17年の2法人統合の際に要望書を提出し,その中で,市民の安全・安心を第一に考え,研究開発偏重に陥ることなく,運転管理の強化,地域や社会の礎となる原子力安全文化の醸成に必要な基盤の整備を,一層充実するように求めてまいりましたが,私どもとしての要求に,結果として答えていただけなかったことは,非常に残念でございます。
今後,運営主体の在り方について,まず,日本原子力研究開発機構では,保守管理や品質保証活動が十分にできていないということで,運営主体を再構築することは必要でありますが,一方で,ナトリウムの取扱いを含め,日本原子力研究開発機構が持つ知識・技術は,新体制においても不可欠であると考えております。「もんじゅ」での経験が豊富な現場の人材を,十分に活用していく必要があると思います。
次に,高速増殖炉という,ほかにはない施設を安全に管理するためには,品質保証,保守管理,そして,「もんじゅ」に関する知識・技術を持つ人材を国内外から集約し,強固な体制を確立するとともに,将来にわたって,安全に運転を続けられるよう,技術や知識が継承できる体制とすることが,必要であると考えております。
また,国の関与の仕方については,これまでの文部科学省と日本原子力研究開発機構との関係性における問題点についても検証し,今後の運営主体の在り方に反映していただきたいと考えております。特に,十分な予算がないままでは,安全確保はできず,必要な人材を維持することもできませんので,たとえ今より予算が増えることになっても,必ず確保するという責任と覚悟を持っていただきたいと考えています。
それから,この勧告に至りました最大の要因が,日本原子力研究開発機構にあることは言うまでもありませんが,一方で,原子力規制委員会が規制の中で関わっていながら,このような段階に至ったことは,立地地域として看過できるものではないと思っております。立地地域としては,何より「もんじゅ」の安全が確保されていることが大前提であり,事業者の安全確保の取組はもちろん,原子力規制委員会の対応が「もんじゅ」の安全確保につながっていかなければならないと考えております。にもかかわらず,勧告文では,立地地域が最も知りたいその時点の「もんじゅ」の安全性について言及がなされなかったことは,まことに遺憾であり,立地地域を軽視しているのではないかと思わざるを得ません。
また,この勧告には,「段階に至った」との表現がありますが,原子力規制委員会は,何をしてきたのか,適切に指導していたのかという疑問を強く感じているところであります。原子力規制委員会が行ってきたこれまでの規制を見ても,明確な基準を持って判断しているとは感じられず,規制基準に関しても,国民に対する説明責任を十分に果たしていないと思っております。今回の勧告にある,「出力運転を安全に行う能力」という表現も抽象的であり,原子力規制委員会が求める水準を明確に示さなければ,今後の運営主体に必要な要件が,見えてこないと思います。
運営主体の在り方を検討する上で,非常に御苦労されているのではないかと懸念しているところでもありますけれども,原子力規制委員会の見解につきまして,本検討会で,勧告の妥当性も含めて,説明を受けることも必要なことではないかと思っております。
最後になりますけれども,冒頭でも申し上げましたとおり,本市は,「もんじゅ」が,国際的にも研究の成果が期待される国のエネルギー政策の根幹を担う施設であることを理解し,誇りを持って「もんじゅ」を受け入れております。我々は,国から責任のある説明を受け,国を信頼して,これまで協力しているところであります。
このような中,今回,原子力規制委員会から文部科学省への勧告という,国の内部での出来事が,立地地域に大きな影響を与えていることを,政府全体が重く受け止めていただかなければなりません。我々,立地地域では,勧告の意味を理解できないことや,先行きが不透明なことに対する動揺やフラストレーションが発生しております。平成7年には,「ふげん」に関しまして,本市に何の説明もなく,突然廃炉が決定されており,一方的な国の方針転換により,国策に対する不信が生じたこともあります。また,最近では,司法の判断も繰り返し変わるなど,立地地域として何を信頼すればよいのか,非常に困惑している状況にありますが,原子力政策は国策であり,国が国民に対して揺るぎない方針を強く発信していくべきであります。
「もんじゅ」については,文部科学省の研究計画では,日本は,アメリカ,フランスに代わって,実存する高速増殖炉を有する唯一の先進国であり,今後,我が国が果たすべき役割,責任は,大きいとしております。政府の責任において,「もんじゅ」の必要性,重要性を位置付けたわけであり,勧告を受けたからと言って,簡単に変わるものではないと認識しております。政府内でのコミュニケーションをしっかりと図り,責任を持って対応していただくことを,強く望むものであります。
立地自治体の住民は,東日本大震災にしても,「もんじゅ」の勧告にしても,大きな声を出したり,不安を表明したり,余りしておりません。それによって,遠くの方,また都会の方からは,「地元住民には大きなお金がわたっているから,何も言わないだろう」と言われることもあります。そうではなくて,地元住民は,安全と安心の中で,安全を懸けて,国の政策に協力しております。安心を担保にしている人は,不安だと簡単に言えますが,私たちは,安全ではないとなかなか言えない,言わないということも,御理解いただきたいと思います。
是非とも,この検討会で,幅広い観点から,十分に議論を尽くしていただき,安全に「もんじゅ」の研究開発を進めることのできる運営主体の在り方をお示しいただきますよう,お願い申し上げまして,私からの意見といたします。
どうもありがとうございました。
どうもありがとうございました。
それでは,ただいまの御説明への御質問や御意見をお願いいたします。各委員,御質問があれば,よろしくお願いいたします。
井川委員。
本日は,御説明ありがとうございました。
知事と市長に,一つずつ質問させていただきたいと思います。
福井県におかれましては,「もんじゅ」だけにとどまらず,高浜原子力発電所等々,いろいろな原子力発電所の再稼働を含めて,御苦労をされていると思うわけです。福井県は,ただ,原子力発電所との付き合いが非常に長くて,恐らく日本国内では,自治体としてかなり知見の高い,多くの知見をお持ちの自治体だと理解させていただいております。「もんじゅ」についても,先ほどおっしゃった平成7年12月の事故以降,長年にわたって,安全性等について,専門家も含めて御検討をされてきたと理解しています。
先ほど,もうこのままだと,地元としても,もう文部科学省に付き合っていられないという,心情的にもなかなかつらいところがあるとおっしゃったように理解しているのですが,ただ,問題は,ここは,安全とか安全性をいかに担保できる組織ができるかという場なので,長年御検討されてきた経験を元に,「もんじゅ」の現状について,安全性については,どのように御理解されているかを,お伺いできればと思います。
それから,申し訳ないのですが,続けて,市長にお伺いしたいのは,「もんじゅ」に対する思いというのが,強くあることも重く受け止めました。ただ,原子力規制庁,原子力規制委員会が,自分たちの説明責任を果たしていないと今おっしゃったように思ったのですが,これに対して,敦賀市として,原子力規制庁に対して,あるいは原子力規制委員会に対して,どのような御要望を直接されてきて,それに対して反応はどうか,回答はどうだったのかについて,お伺いできればと思います。その回答に対して,どういう御感想をお持ちかをお伺いできると有り難いのですが。
この2点です。以上です。
何か,お返事ありますか。
ただいまのお尋ねでございますが,今回のこうした「もんじゅ」についての将来,あるいは運営主体をどうするかという議論,また,商業炉の再稼働,あるいは,これに伴う司法との関係など,その背景として,政府における責任ある毅然(きぜん)としたエネルギー,原子力政策に対する態度と言いますか,考え方が,国民の目に,あるいは国民の心に十分届く議論ができていないことが,様々な事柄の原因であったり,背景であると,私は思っております。
したがって,「もんじゅ」につきましても,そういう観点から,原子力規制委員会がどうだとか,文部科学省がどうだという,国の中の議論ですから,お互い役割は違うけれども,統一した国の組織でありますので,そのあたりをしっかりまとめて,国民に対しても,あるいは,我々,特に地元に対しても,そうした責任ある組織なり,あるいは運営というものを,この機会に是非実行していただきたいというのが,お答えであります。
原子力規制委員会の勧告ですけれども,勧告では,安全上必要な資質がないとか,原子炉を起動していない段階ですら,保安上の措置を適正かつ誠実に,確実に行う能力を有していないと記載されておりまして,この勧告の記載からは,その時点での安全が確保されているかが,読み取ることができないということで,直ちに原子力規制委員会に尋ねに,東京へ来たのですけれども,そのときのお返事は,現状ではきちんと安全を確保されていると判断していますということはおっしゃってくださったのですが,それを公表していただかないと,公に言っていただかないと,やはり地元としては不安が残るということがございます。
私の口から「原子力規制委員会に聞きに行ったら,安全と言ってくれましたよ」と言ったところで,「本当かいな」と思う人もいるわけですから,どういうレベルでそういう勧告を出したのだと,そして,今は,現状,地元の安全はどうだということを言っていただけなかったことは,非常に不満を持っているところでございます。
ほかにございませんか。御質問,はい,どうぞ。山本委員。
御意見,どうもありがとうございました。
今,御意見の中でおっしゃっていただいたように,この検討会は,基本的には,「もんじゅ」の安全性をいかに確保して,そういうことを確保できる主体がどういうものであるかについて議論をしているわけですが,一方で,市長もおっしゃっていたように,研究開発施設という,当然そういう位置付けがあるわけで,安全を確保というのは,第一義的に重要だということについては,当然の前提として,福井県と敦賀市にとって,「もんじゅ」が研究開発施設であることの意味がどういうところにあるのか,どれぐらいの重さかを,もう一度確認させていただければと思います。
福井県としては,敦賀市も関連いたしますが,「もんじゅ」を,福井県を中心に,エネルギー研究の開発拠点の中核的な施設と,これまで位置付けております。
したがって,その意味での役割を,もちろん原子力発電所でありますから,安全は第一でありますけれども,そうした役割を担うと言いますか,そういう位置付けにしております。
そして,今,様々,そういう課題に応えられていないのが現状であります。
敦賀市としますと,研究開発施設,核燃料サイクル施設ということで,サイクルを回していくのだという国策に基づいて,「もんじゅ」があると考えておりまして,その国策に敦賀市が協力している,と強く思っています。
その中で,「もんじゅ」がなかなか動かないところで,いろいろな事象が起きて,地元とすると,なかなか動かないことは,つらいと思っておりますが,是非動いていただいて,世界に貢献することを果たしていただきたいと思っております。
ほかに御意見はありませんか。宮野委員。
御説明ありがとうございました。
今の研究施設との関連も若干あるのですけれども,渕上市長のおっしゃっていることは,私は,全くもっともだと思います。同感でございます。
ただ,「もんじゅ」がどういう位置付けにあるかは,やはり,しっかり御理解いただきたいと思うのですけれども,安全がまずいから指摘されているわけではないと思います。これから出力運転をしていくに当たって,品質管理をきちんとやらないと,安全にまで影響するとしていたと,私は理解をしておりますし,多分そういうことだと思っております。今,不安全だと言っているわけではない,そういうことがないようにするために,今しっかりしようと言ったというのが,理解だと思います。
研究開発段階の炉だという位置付けになっておりまして,そういう中で,いろいろ課していく段階では,設備そのものが十分でなかったりすることもあって,それで,研究開発段階炉になっているのだと思いますし,不具合がいろいろ出てくるのではないかと思うのですけれども,そういう不具合に対して,どう対応していったらよろしいでしょうか。
要するに,普通の発電と若干違うところがあると思います。そこを御理解いただかないと,多分,これからも,何かをしてはいけないと来るのではないか。そういったところの御意見を頂ければ,私も有り難いのですが,いかがでしょうか。
不具合に対する対応でございますが,敦賀には,いろいろな原子力の事業所がありますので,この日本原子力研究開発機構とほかにもございますので,いろいろなことを感じるときがあります。
そのときに,先ほども申し上げましたけれども,国の予算がそこに投入されていますので,非常に厳しい予算配分になっているのだろうと思います。
民間事業でやっているところにつきましては,ある程度予算を,あらかじめ余分に配分したり,いろいろなことができるわけですけれども,例えば,国の予算で要求して,要求の3分の2しか通らなかったとすると,3分の2しか工事ができないわけですね。ですから,そのへんが,非常に,私たちは,はた目で見ていて,ジレンマもありますし,苦しいだろうと同情もするところでございます。
ですから,先ほども申し上げましたように,次の運営主体を見つけるにしても,今よりも安くしてくださいという話になってくると,どこもできないだろうと強く感じます。
ですから,不具合に対応するというのが,一つは,そういう資金面であることは,間違いないと思いますし,もう一つは,ナトリウムを扱う上では,今の日本原子力研究開発機構が一番よいと思いますけれども,不具合を改善していくいろいろな品質管理のレベルにつきましては,やはり,電力事業者が優れている部分があると認識しております。
この機会を使って,文部科学省から,何か御質問がありませんか。
大丈夫です。
では,一つだけ。
はい,櫻井委員。
櫻井と申します。
西川知事に御質問させていただきたいのですが,少し踏み込んだ話になりますけれども,知事が,政府におけるエネルギー政策について,毅然(きぜん)とした態度が望まれる,求められるとおっしゃったかと思うのですが,それは,私も全く同感であります。
エネルギー基本計画が,一応できてはいますが,実際には,御案内のとおり,政府という主体自体が,厳密にいうと,本当にどういうふうに存在しているのかが問題で,分担管理原則の中でエネルギー政策も進めています。そうだとすると,「もんじゅ」に関して言いますと,差し当たってということになりますが,原子力規制委員会は規制委員会として存在していますが,「もんじゅ」についてきちんと立て直すことになると,やはり主務官庁である文部科学省の役割が,決定的に重要であろうと考えております。
もちろん,理屈上は,別の省庁に移すこともあり得るのかもしれませんが,差し当たりはそうではないと考えております。エネルギー基本計画についても,実態としては,モザイクで作っていることもあろうかと思うので,そういうことを踏まえると,現実的には,そこをしっかりスキームを作っていくことになるのではないかと,私自身は見ていますが,知事におかれましては,どういうお考えでいらっしゃいますでしょうか。
「もんじゅ」については,他のいろいろな制度もありますが,核燃料サイクルの基本に関わる制度でありまして,これは,日本の原子力全体,それから,世界の安全保障にも深く関わる課題でありますので,他の課題のように,簡単に物事をまとめるとか,あるいは整理するという程度のものではすまないと思います。国を挙げて,もちろん文部科学省がどうだと申し上げているわけではありませんが,関係省庁が力を合わせて,一つの統一した体制で,この問題に取り組まなければ,同じことの繰り返しになりかねないということでありますので,しっかりした体制を作って,この問題に全力で取り組む,これを,やるやらないという話をどうするかは別にして,やるのであれば,そういう体制でやる。やらないのであれば,何をやらない,どういう考えだということを,はっきりしなければ,こうした大事な問題の責任ある対応ができないと思いますし,国民にとっても困りますし,地元にとっても,こうした問題は,大変憂慮すべき状態を起こすと思いますので,この点を,委員各位には,十分御議論をお願いし,また,政治的な課題でもありますので,しっかりものを申していただきたいと思います。
それでは,時間が参りましたので,ありがとうございました。
本日は,西川知事,渕上市長,お忙しいところ,おいでいただきまして,ありがとうございました。大変参考になりました。
それでは,議題2「新たな運営主体に求められる要件等に関する委員の意見について」に入ります。
前回,委員の方々には,これまでの技術的な議論の総括として,対応が求められる課題と対策,さらに必要な要件等について,御意見を頂くことをお願いしてまいりました。今般,委員から提出していただいた意見について,事務局より紹介していただきます。
それでは,お手元の資料1を御覧ください。
委員の先生方には,この柱にございます,1,2,3,4の項目について,御意見を頂きたいと,事務局より御連絡させていただき,委員の先生方より,幾つか御意見を頂いています。それを,その項目ごとに整理をしたのが,このペーパーです。それぞれ,意見を頂いた委員のお名前を,意見の最後に書いています。
簡単に御紹介させていただきます。
1番目,「これまでの議論を踏まえ,「もんじゅ」において特に対応が求められる課題」ということで,新型炉の開発に際して,どう合理的に保存計画を策定すべきか。新型炉開発で,信頼性の高い部品を調達するため,メーカーの能力を向上させ,同時に監視できる体制の構築。安全性を確保した上で,現実的で実施可能な保全計画の作成。国内外の技術情報や規制動向に対する感度を高め,情報を活用。日本原子力研究開発機構の組織力の発揮と強化。「もんじゅ」内の業務遂行プロセスにおいてPDCAサイクルが十分機能する組織の構築。マイプラント意識の向上。商用炉と研究開発段階炉の基本的な相違を踏まえつつ,どのように「もんじゅ」の品質管理を行うべきか,軽水炉と比較して明確に示すことが必要。
2番目の項目,「1番目の課題を克服するために,必要となる対策」として,「もんじゅ」の運営主体とは切り離して,その上位に,新型炉としての保全計画を合理的に再検討するための組織,あるいは検討会を構築すべき。ナトリウム炉特有の技術と,これまで培ってきた保守技術を持った人達の連携による保全計画の作成及び実施のための検討と準備。対外情報を一元的に収集・フォローする体制整備。経営者から担当者・協力企業までのPerformance Indicatorを活用した進捗管理とコミュニケーションの強化。組織内各部署の役割と責任の明確化。研究開発部門のみならず,運転管理・保守管理部門にも陽を当てた組織の活性化。経営トップと連携する品質保証部門の強化。各階層の人材の適材適所への配置,プラント運営業務のプロフェッショナル教育の強化,長期的なローテーション計画作成。モチベーション向上のための動機付け,目標設定。業務のIT化推進。適切な人員,予算措置。エネルギー問題として,高速炉開発の位置付けの明確化。今後の「もんじゅ」の活用法の明確化。具体的なマイルストーンの設定,ロードマップの整備(責任組織と開発の分担,予算,達成目標などを明確にした上で取り組むことが必要)。
3番目,「「もんじゅ」の新たな運営主体に求められる具体的要件」として,どのようなことを考えておられるかという質問に対しては,新型炉としての保全計画等は上位の体制で検討することとし,以下の能力を備えること。当面の安全確保を継続して担える能力。保全計画の再策定等,今後の新型炉開発に有用なデータ,情報を提供できる能力。ナトリウム炉の知見・技術を持った人材及び保守技術を持った人材の確保。情報価値を判断でき,かつ活用しようとする安全文化を持った人材の育成。Performance IndicatorのPDCAを回す体制整備。「もんじゅ」を熟知していること。常にマイプラント意識の高揚を図り,運転・保守管理に係るPDCAサイクルを円滑に遂行できること。研究開発段階炉としての運転・保守実績データを評価し,成果を取りまとめる研究開発機能を有すること。「もんじゅ」のターゲットを明確にした上で,長期の取組を視野に入れて検討する必要ということで,研究開発炉としての品質管理の在り方の明確化,商用炉に相当する品質管理への移行。国の組織から切り離して,半民半官の組織として当面運用。次世代の高速炉開発の運営も,新たな運営主体が行うことを前提とした人材育成。電気事業者,メーカー及び日本原子力研究開発機構からの転籍者による人員構成。
4番目,最後には,「さらに議論が必要だと思われる事項」についての御意見です。新型炉開発における規制の在り方について,海外の知見を検討(EPR炉(フランス)のトラブル続きの事例,また,順調に進んだ事例)。人材の育成計画と適切な業務評価の在り方。PDCAを回せる柔軟な予算手当。「もんじゅ」の特徴を考慮した保全計画に求められる要件の整理。これまでの原子力規制庁からの各種要請に対する文部科学省の対応状況及び所見。主務省としての対応体制及び監督の在り方,福島事故を踏まえての「もんじゅ」における安全確保の在り方。原子力規制委員会が求めていることの明確化と,それを満たすための運営体制や事業規模等を含めた組織の在り方。
以上です。
どうもありがとうございました。
この後,文部科学省と日本原子力研究開発機構より,現段階で回答できるものを説明いただきますが,その前に,各委員より,特別補足されることがあれば,お願いしたいと思います。何か,こういうことを説明せよという,そういう御意志があればお願いいたします。
付け加えることはありませんか。どうぞ,宮崎委員。
すみません。幾つかあるのですが。
この中で,補足したい点が,幾つかあります。研究開発段階炉と発電炉と両方の特徴を備えている点ですけれども,私は,以前,宇宙開発委員会の特別委員をしていました。宇宙開発ですと,宇宙科学とかはやぶさのように,サイエンスを目的としたものと,あるいは,衛星通信とかGPSのように,技術開発を目的としたものがあります。しかし,はやぶさでも,イオンエンジンとかスイングバイとかいう技術によって,加速,減速,進路を変えることができ,精密測定技術が重要な技術でした。ですから,サイエンスのミッションの宇宙開発プロジェクトでも,技術に依存していて,技術的に成功しなければ,サイエンスのミッションも成功しません。私は,「もんじゅ」も同じように捉えることができると思います。ですから,研究開発段階炉として機能するためには,発電炉として,初めに機能することが必要だと思います。
それで,宇宙開発でも,サイエンスチームと技術チームは,密接に連携しながら,プロジェクトに取り組んでいますので,「もんじゅ」でも同様だと思います。人材育成の面ですけれども,知識の蓄積ができない点で,以前,一度発言しました,経験値の蓄積をどうやって行うのか,また,暗黙知をどうやって形式知に変えるのか,それをデータベース化していくことも必要だと思います。以前,そう申しました。
ですから,経験者のノウハウの,ナレッジマネジメントのシステムを導入することを勧めます。また,電力会社の方のノウハウ,又は,退職した人のノウハウも活用したらいかがでしょうか。
それから,インフラ整備ですね。IT化,システム化で,大幅に遅れていると思われますので,積極的に取り組むべきだと思います。
ナトリウム漏れの問題ですけれども,それは,原因は,温度計のさやが折れたことです。なぜ,さやが折れたかという説明は,ナトリウムの流体の振動により温度計のさやが折れたという説明がありました。私は,前回,4回目のときに,「もんじゅ」は複雑なシステムで,複雑なシステムの特徴として,バタフライ効果があることを言いました。チョウが羽をバタバタさせると,どこか別のところで嵐が起きる。私は,このナトリウム漏れも,バタフライ効果と全く同じように捉えられると思うのです。
ですから,ナトリウムの流体力の振動によって,温度計のさやが折れ,その結果としてナトリウムが漏えいするという重大な事故が発生したわけです。これは,まさにバタフライ効果です。
当時は振動に関わる設計指針がなかったので,考慮しなかった,平成3年に指針が追加されましたと説明がありました。中継機器落下事故でも,落下させない設備設計となる要求を出していたけれども,それをどのように担保されたかを,きちんと確認していなかったという説明もありました。ですから,委託したメーカーが作った部品などの設計を評価するシステムを導入するべきだと思います。
それから,これを予測することは不可能なことでした。つまり予想外だったわけですね。私は,人材のことで,通常の保全作業と,それから緊急問題が発生した際,どうやって対応できるようにするのか,これは,二つに分けるべきだと思います。著しく優秀で,問題に対してスピーディに解決できるように,様々な専門家に適切な指示を与えることができる,そういうエース級,一流の人材も必要ですし,それに加えて,ナトリウム漏えい事故のようなことについて,いつ,そういう問題が起きるか分かりませんので,すぐに対応できるという人材は,できれば,24時間そこにいて,交代で勤務するようなシステムも必要かと思います。若手技術者や研究者は,経験が少ないので,そういう人たちは,このようなエース級人材から指導されながら働いていくのがよろしいかと思います。
それから,人数が足りないというお話もありましたが,人数を増やせばよいというわけではありません。大型システムのソフトウエア開発などでは,人を増やしていくことによって,生産性が一応上がっていきますけれども,ある時点で,それ以上上がらなくなり,逆に,生産性が下がっていきます。ですから,このように,作業によって,人材育成も分けて考えた方がよいと思います。
大変重要な問題提起,ありがとうございました。
それでは,文部科学省から説明をお願いします。
資料2を御覧ください。
私が説明しますのは,先ほどの資料1の,「さらに議論が必要だと思われる事項」の中で,これまでの原子力規制庁からの各種要請に対する文部科学省の対応状況及び所見という課題がございましたので,それに対応する形で,御説明させていただきたいと思います。
まず,1枚目の「経過」です。これは,第1回で御説明したことと若干重なりますが,これまでどういうことをやってきたかを,御説明させていただきます。
もともと,平成24年にこの「もんじゅ」の保守管理不備の問題が出てまいりまして,その際,まず,平成24年12月12日に,原子力規制委員会から日本原子力研究開発機構に対して,1回目の保安措置命令及び報告徴収命令が発出されたところです。その際,同日付で,文部科学省から日本原子力研究開発機構に対して,原子力規制委員会の命令に従って真摯な対応を図ること,また,その取組に当たっては,日本原子力研究開発機構内部のみならず,第三者の立場からの意見の聴取及び確認を受ける仕組みを構築することなどの要請を行っております。
その次に,しかし,残念ながら,この原子力規制委員会からの日本原子力研究開発機構に対する命令及び報告聴取命令に対して,十分な対応ができなかったと,引き続き,また,原子力規制委員会から,平成25年5月15日及び22日に,新たに指摘が出たわけです。原子力規制庁から文部科学省に対しても,5月29日に適切な指導及び監督を求める要請がなされています。
それで,文部科学省では,日本原子力研究開発機構に対して,原子力規制委員会の命令等に対し,早急に必要な措置を講ずることを求める独立行政法人通則法に基づく是正措置命令を出しています。
その上で,2ページ目です。この後,文部科学省では,文部科学大臣を本部長とした日本原子力研究開発機構改革本部を,平成25年5月28日に設置して,外部の有識者を交え,議論を踏まえて,三つの柱(安全を最優先とした業務運営の考え方,業務の重点化,「もんじゅ」の運転管理体制の抜本改革)からなる改革の基本的方向性を取りまとめています。
実際,日本原子力研究開発機構では,この方向性を踏まえて,様々な改革に取り組んでいただくところです。その中で,文部科学省で特に課題として意識したもの,それに対する対応策について御説明いたします。
課題として,まず第1点,日本原子力研究開発機構の独立行政法人化以降,中期目標を策定し,法人側に示すだけであって,業務運営が日本原子力研究開発機構任せになりすぎていた,中期目標の設定においても,業務の効率化を重視し,安全を最優先した業務運営の思想に乏しかったという点については,安全性を重視した新たな中期目標を,平成27年4月に設定しております。また,毎年度法人の業務を評価し,前中期計画期間中の業務評価も実施しております。
また,機構の予算が硬直化しており,施設の運営においてトラブル等が生じた際に,機動的に対応しにくいという点については,特に「もんじゅ」の安全確保に必要な予算を確保しています。ここでは,「もんじゅ」に関する予算を増額した措置も取っています。
職員全体の士気向上を図るために,日本原子力研究開発機構が行う業務について,原子力政策の中で位置付けを明確にする必要があるという点については,先ほど福井県知事からも御引用いただきましたが,平成26年4月のエネルギー基本計画が新たに閣議決定され,その中で,「もんじゅ」については,国際的な研究拠点と位置付けています。また,それに先立つ平成25年9月には,文部科学省の研究計画作業部会において,「もんじゅ」が実際に運転再開した後にやるべき研究計画を,きちんとまとめています。
さらに,日本原子力研究開発機構の業務の重点化等のために,抜本改革をする法案を検討することについては,日本原子力研究開発機構の一部業務(量子ビーム,核融合部門)を他の法人に移管する法律案を,国会に提出して,実際に,この4月から,国立研究開発法人量子科学研究機構として,これらの量子ビーム,核融合部門については,新たな法人に統合,移管されることになりました。
それ以外にも,文部科学省としては,以下の取組を実施したところです。
理事長については,松浦祥次郎前原子力安全委員会委員長を,平成25年6月から平成27年3月まで,また,現在の児玉敏雄元三菱重工業株式会社副社長を,理事長に任命しています。
また,電力会社の知識とノウハウを導入するために,電気事業連合会に対して,平成25年7月には,支援を要請しています。また,この改革の状況をフォローアップするために,文部科学副大臣を本部長とするもんじゅ改革推進本部を,平成25年11月に設置しており,以降,定期的に,この本部を開催し,フォローアップを行っています。さらに,現地に,審議官級の職員と,技術系職員を追加で常駐させ,直接指導を実施しています。本日出席している加藤改革監が,審議官級の職員として,引き続き現地に常駐しています。
このような対応を行ってきたわけですが,残念ながら,原子力規制委員会より「もんじゅについて,機構の対応に実質的な改善があったとは認められず,文部科学省のこれまでの対応は,結果的に功を奏していない」と評価を受けたところです。
3ページ目ですが,「もんじゅ」の保守管理不備に関わる認識です。「もんじゅ」に対する認識として,日本原子力研究開発機構職員は,研究者としての性格が強く,品質保証という点で知識や認識が不足していた。また,「もんじゅ」の保全計画は,商業用原子炉をまねて,十分な検討をする時間がないまま導入しており,内容が合理的でなく不十分で過多である。また,計画内容を見直すとしていましたけれども,トラブルなどで予定どおり進められなかったことから,計画的な見直しを行ってこなかった。そういう意味では,日本原子力研究開発機構に電力事業者並みの品質保証が根付いていなかった中,「もんじゅ」の保全計画の内容が不十分であったことが,保守管理不備の根本にある原因だと認識しています。
そして,これまでの改革に対する評価としては,最近の保安検査で受けている主な指摘は,当初の指摘と異なって,日本原子力研究開発機構がこれまで受けた指摘に対し,真摯に対応を進め,改善が行われた中で,顕在化したものである。実際には,過去の保全計画の不十分な部分,あるいは「もんじゅ」の職員の末端まで品質保証の意識が十分浸透しきれていないことによる作業のミスということで,当初指摘されていた未点検とは,発生している問題の性質は変わってきており,「もんじゅ」に対する改善は着実に前進している。しかしながら,まだ一部対策の実施が十分徹底されてない等,見直すべき点はある。
こういう認識をしていましたが,今回,改めて原子力規制委員会の指摘に関わる認識について申し上げたいのが,4ページ目です。ここに言われているように,原子力規制委員会からは,施設の設備の老朽化や,運転員の流出等に対する懸念を踏まえて,早急な措置を講ずべきであるという勧告を受けているわけですので,我々としては,これは厳粛に受け止める必要があります。実際,保安検査において,度重なる保安規定違反の指摘を受けており,改善が迅速に進んでいるとは言い難いことは認めざるを得ないと思っています。
実際,保守管理不備に係る問題解決については,人員・予算といった経営資源の制約がある中で,これまでの保安検査における多数の指摘への対処に終始し,根本的な見直しまで,十分に手が回っていません。
文部科学省におけるこれまでの対応については,中期目標の設定や,日本原子力研究開発機構業務の重点化など,文部科学省が当事者として対応すべきことを行って,それに基づいて日本原子力研究開発機構による自主改善を求めたところですが,日本原子力研究開発機構との間で,十分な緊張関係を持って,強力に改善させていくことには至らなかったものと思います。
そういったことを考えると,新たな運営主体については,限られた経営資源の中で,これらの諸問題に,自発的かつ迅速に対応できる技術的能力及びガバナンス体制を備える必要があるという認識に至っています。
以上です。
どうもありがとうございました。
それでは,続いて,日本原子力研究開発機構から,今回の御意見に加えて,これまでに各委員から出された質問についても,回答できるものについて,説明をお願いいたします。
それでは,資料3で御質問に回答する前に,私,児玉から,一言述べさせていただきたいと思います。
「もんじゅ」の在り方に関する本検討会におきましては,委員の皆様方,あるいは地元の皆様から,多くの意見や御提案を頂きまして,まことにありがとうございます。
本検討会の議論により,「もんじゅ」は,研究開発段階の高速炉であるという特徴を踏まえて,高速炉の運転保守管理はどうあるべきか,品質保証の仕組みはどうあるべきかも創り上げる,いわゆるパイオニアとしての役割も有することも再認識いたしました。
今回の勧告を踏まえて,今後どのような運営体制になろうとも,私ども日本原子力研究開発機構は,「常陽」以来,ナトリウム取扱い技術や,高濃度のプルトニウムを取り扱う技術等,高速炉技術を蓄積した国内唯一の組織であり,「もんじゅ」を通じて開発成果を確実に生み出していくことは,日本原子力研究開発機構が関与すべき責務であると考えております。
この実現に向けて,私どもは,「もんじゅ」の安全について,責任を持って対処してまいりますし,意識も技術も仕組みも,引き続き改善,さらには向上に努めております。
第1回の在り方検討会の中で御説明いたしました,オールジャパン体制による保守管理不備への対応,及び潜在する根本的な課題解決に向けた活動も,そのうちの一つです。この活動で,我々が,保安規定で決めたことをきちんと実行しているかを,自主的に総点検する作業や,保守管理不備の原因の一つであった,保全計画自体の見直し作業,これらを有機的に結合して,経験の少ない職員でも使えるようにしていく,標準化,IT化作業等を,今,基本的に推進中でありますし,この4月には,原子力規制庁から指摘のあった機器の未点検状態を,全て解消する見通しでもあります。
また,実際に,「もんじゅ」を運営してきた立場から,御議論いただいています論点ですが,もう少し述べさせていただけたらと思います。先ほど来,委員の皆さんが御指摘のように,日本原子力研究開発機構は,元来,研究開発を実施する機関であるため,職員の中には研究者が多く在籍しておりますが,こと「もんじゅ」におきましては,職員全員を運転管理,保守管理部門に属する,いわゆる技術職として評価するメンバーとしています。
また,委員の皆様の御指摘の中で,業務のPDCAサイクルや,Key Performance Indicatorを活用した進捗管理,組織内各部署の役割と責任の明確化が重要との御意見がありましたが,これら,現時点で組織を挙げて,最も重点,力点を置いて取り組んでいる項目でもあり,今後はこの活動を組織内に定着させる活動を推進してまいります。
日本原子力研究開発機構としての改革,改善の歩みは,残念ながら,現状では原子力規制庁や国民の皆様の期待に応えられるものではありませんが,これを少しでも加速できるよう,全力を挙げて取り組みますので,監督官庁,地元の皆さんを含め,電力やメーカー等の民間の皆様のお力添えを,これからも是非よろしくお願いしたいと思います。
それでは,資料3に基づいて,今まで頂いた御質問について,荒井から御回答いたします。
それでは,資料3に基づいて,荒井から御説明します。
本日準備した質問回答は,全部で14項目準備させていただきました。これから,議論の時間もあるので,最初の四つだけ,この場では御説明させていただき,あとは,後ほど,読んでいただければと考えていますので,御容赦いただきます。
まず,シート1です。中国電力に比べて,日本原子力研究開発機構の対応が極めて遅いことは明らか,その主要因は何かという御質問を頂きました。これに対して,我々日本原子力研究開発機構の調査分析の中では,保全計画の見直しについて,本格運転開始に向けた保全プログラムを充実,発展させるための,資源投入に係る取組や展開が十分ではなかったと反省しております。また,現場の実態を把握し,課題解決に係る意思決定を行い,適切に処置するという保守管理のガバナンスが,十分でなかった,こういうものが日本原子力研究開発機構の対応における要因だと考えております。
シート2です。平成20年度に導入した保全計画が,問題を内包していると認識するに至ったのはいつか,その後改善にすぐ着手できなかったとすると,その理由は何かです。これについても,日本原子力研究開発機構の中の調査分析においては,平成21年1月の導入時に短期間で作ったものなので,点検間隔・頻度について,メーカー推奨値を保守的なものとして採用し,運用しながら本格運転開始までに,段階的に改善していけばよいと考えていたという意見を,調査の中では確認しています。
そして,保守管理上の不備の問題を,所として認識したのは,平成24年11月の時点です。認識した後,保全計画の見直しに着手しましたが,保安措置命令解除に必要な保全計画の改善の範囲を,どの範囲とするか,どう改善するかという判断が,適切ではありませんでした。そのため,最初から抜本的な見直しを行わず,段階的に改善範囲を拡大していく事態になり,結果として,時間を要してしまったと考えています。
シート3です。メーカーとの関係の観点から,アウトソーシングについて御質問を頂きました。現状,「もんじゅ」では,運転業務について,原子炉本体の設備ではない淡水供給設備,要するに,山水を採ってきて自分たちの発電所で使える水に精製する設備,排水処理設備,これは,放射性廃液ではない一般排水の処理設備,あとは,廃棄物処理設備の運転を請負契約で実施しています。
これらの設備の運転については,日本原子力研究開発機構で運転方法を確認・確立したものであり,また,万が一,設備に不具合があった場合でも,原子力施設の安全に,直接影響を与えることはありません。そして,トラブル発生時には,中央制御室に警報が発報するなど,日本原子力研究開発機構職員が速やかに認識できるという対応をとっており,日本原子力研究開発機構の管理の下で,これらの運転の請負業務を実施させているところです。
したがって,アウトソースをしているこれらの設備に関する技術の話については,技術力蓄積とか,日本原子力研究開発機構職員の技術力不足という問題が,今後も発生することはないと考えています。
シート4です。軽水炉と研究開発段階炉について,何が違うのか比較して,分析するべきとの御意見を頂いたところです。このうち,本日は,保守管理に関して検討,分析していることについて,御紹介させていただきます。
まず,保守管理については,軽水炉と研究開発段階炉とでは,同じ規格を適用して,同等の規制を受けています。研究開発段階炉の保守管理については,当然,原子炉施設の安全性確保を最優先とすることは同じですが,実用炉においては,それに加えて,電力供給信頼性を,保守管理上の目的,観点として,重要視しています。
そういう,状況を踏まえて,日本原子力研究開発機構では,「もんじゅ」とは別の大洗研究開発センターで,研究開発段階の発電用原子炉の特徴を考慮した保全はどうあるべきかという,保全の方向性について,検討を実施しています。この検討の中身については,6ページ以降で御紹介させていただきます。
5ページです。一方,「もんじゅ」の中では,保全計画の見直し改善を,これまで進めてきています。平成21年1月に保全プログラムを導入した後,平成26年12月に記載の適正化などの全面的な見直しをするとともに,平成26年6月より開始している,より科学的・合理的な保全計画の改善を,その第1段として,低温停止時に保安規定で機能要求のある機器についての技術根拠整備を行ったところです。
そして,現在も,オールジャパン体制で,技術根拠整備の作業を実施中で,作業を加速しています。それぞれの設備については,重要度に応じて順次進めており,現在は,安全重要度の分類クラス1・2の機器を優先して進めています。
これらの改善活動については,次ページ以降で御説明します,研究開発段階炉の保全の方向性という考え方も参考にして,改善を進めていきたいと考えています。
シート6です。ここから,大洗研究開発センターで検討している研究開発段階炉の保全の方向性について,少し御説明をさせていただきます。
研究開発段階炉の特徴として据えたのが,ここに書いてある3点です。軽水炉と異なるプラント仕様であること,保全対象や保全技術自体が,研究開発対象であること,そして,設計段階における大きな裕度を考慮してあることという,三つの特徴があります。これらの特徴を考慮して,研究開発段階炉の保守管理の目的について考えているところです。
一つ目のひし形ですが,研究開発段階炉の保守管理においては,原子炉施設の安全性確保を最優先とした上で,プラント仕様に適した保守管理体系を構築していくことが,我々のミッションです。二つ目に書きましたが,電力の供給信頼性の確保という,実用炉,商業炉では重要視されている観点については,研究開発段階炉にとっては,必ずしも優先度は高くないと考えており,それも考慮して保全を実施することが適切だと考えているところです。
シート7です。ここに,研究開発段階炉における検討の一例として,保全重要度の設定について資料を作りました。
保全重要度とは,機器の保全をどういうレベルでやるのかを決めるための重要度で,その重要度は,ここに書いたフローに従って決めていきます。フローに従って重要度を決めていく作業の中で,研究開発段階炉の特徴を考慮して対応していくことを考えており,そういう対応をしていくことが適切だと考えています。
例えば,保全重要度の最初のひし形で,「重要な系統機能はあるか?」から左側の「イエス」に行く,すなわち系統の保全重要度で高いものを選ぶに際しては,先ほど話をした,電力の供給信頼性の確保は,必ずしも優先度が高くないという観点も加味して,重要な系統を決めていく,ということを考えて,そういう検討結果をまとめているところです。
以降については,御説明は割愛させていただきます。
どうもありがとうございました。
ただいまの説明や他の委員の御意見につきまして,御質問や御意見等があれば,お願いしたいと思います。
特に,新たな運営主体に求められる具体的要件は,重要な論点なので,更に幅広い御意見を頂きたいと思います。
20分ほど議論をさせていただきたいと思いますが,どなたからでも。はい,櫻井委員。
資料2,文部科学省の資料について,よろしいでしょうか。
単純な質問ですので教えていただきたいのですが,1ページ目で,結局,文部科学省から,最初のぽつでは,「機構内部のみならず第三者の立場からの意見の聴取及び確認を受ける仕組みを構築すること等の要請を行った」とあって,この要請に対しては,実現されたという御認識なのかどうか。
それから,三つ目のぽつで,今度は,「文部科学省から日本原子力研究開発機構に対して,独立行政法人通則法に基づく是正措置命令を発出した」となっていますが,この是正措置命令については,実現されたという認識なのか。平成26年12月に,日本原子力研究開発機構から措置命令に対する報告書が提出されたとありますが,これは,原子力規制委員会に対する報告書ですね。ですから,それとは別に,文部科学省との関係では,是正措置命令は,決着がついているのかついていないのかをまずお伺いしたいと思います。
もう1点は,これはコメントに近いのですけれども,2ページ目です。文部科学省として,始終対応されてきたことは分かりますが,例えば,二つ目のぽつで,「課題」があって「対応策」とありますが,これは,ごく普通のことに見えます。つまり,独立行政法人ですから中期目標を作るのは,ごくごく普通のスキームの中での御対応ですし,それから,予算を確保するというのも,これは,省としての通常の仕事にとどまるのではないかと思います。エネルギー基本計画を閣議決定したとありますが,閣議決定しているのは内閣であって,文部科学省ではないので,そういう意味では,そういうふうに閣議決定の内容に取り込まれるように頑張ったという御趣旨でしょうか。
いずれにしても,説明の仕方が少々違うのではないかという感じが若干することと,次のぽつで,改革を指揮する理事長として,松浦元原子力安全委員会委員長と児玉元三菱重工業株式会社副社長を理事長に任命したとありますが,それが取組の中身ということになるのか,よく意味が分からないということがあります。
それから,もう1点ですが,3ページ目です。結局,現在,文部科学省が,「もんじゅ」に対してどう認識しているかという中で,「改革に対する評価」で,赤い四角の中ですが,問題の性質が変わってきているので,改善は着実に前進していると評価されていますが,前進しているはずなのに,原子力規制委員会からは,いきなり駄目出しをされているわけですね。そこのずれについて,どう認識されて,どう対応していこうとされているのかが,恐らく,4ページ目で少し出ているのかもしれませんけれども,求められている解だと思われます。
少しは良くなったと言っても,全然駄目だとされてしまったわけで,原子力規制委員会から,日本原子力研究開発機構に対して,まず直接命令を出していたわけですね。出していたのに,うまくいかないので,監督官庁に,少しきつく言ってくださいと要請があった。ところが,それをやったのに,どうも事態が改善しないので,もう日本原子力研究開発機構では駄目で,何か違う主体を考えたらという勧告ですので,そこは,依然として,文部科学省のここで示されている御認識と,原子力規制庁,原子力規制委員会の認識との間に,かなり大きなギャップがあると,第三者的には見えます。この点については,次回以降,また御説明があるのかもしれませんが,何か御認識があれば,お伺いできればと思います。
はい,田中局長。
まず, 1ページ目の「経過」の中で,2回にわたって文部科学省から日本原子力研究開発機構に対して,要請あるいは命令を出しております。例えば,1点目の要請で「第三者の立場から意見の聴取」については,実際に日本原子力研究開発機構はやっておりますけれども,この各々について,これに対してどうであった,こうであったと,報告書という形で,日本原子力研究開発機構から回答を頂いているわけではありません。基本的にやられたことの事実は確認していますが,ただ,残念ながら,この1点目の回答としては,当然,それが,原子力規制委員会には満足されていないので,2度目の措置命令が出ています。
それから,2点目の措置命令については,一応,これは,独立行政法人通則法に基づいて出しましたが,我々は,その後引き続いて,2ページ目にあります,文部科学省に日本原子力研究開発機構改革本部を設けていますので,最初の独立行政法人通則法に基づいて出した命令については,どういうことが書いてあるかというと,例えば,未点検機器の点検は,きちんと早急に完了しなさいとか,保全計画の見直しを早急に完了しなさい,あるいは,本件の責任の明確化を図った上で,再発防止に係る仕組みの整備を図ること等,かなり一般的に,書いてあるので,実際には,2ページ目にあるような,日本原子力研究開発機構改革本部の中でもっと詳細な方向を示し,それに基づいて日本原子力研究開発機構は改革計画をつくり,その改革計画を,平成25年10月から,全体として1年間,「もんじゅ」については,更に1年半やったことを,我々としては監督し,見ていたことになります。
それから,個別の箱の中で,御指摘のあった点について言いますと,もちろん中長期目標を定めること自身は,主務大臣の責任ですが,その中で言いたかったのは,安全性重視ということを柱として新たに入れた点が一つはあります。それから,2点目の安全確保に必要な予算について言うと,それ以前の段階では,「もんじゅ」の予算については,特に民主党政権時代を含めて,かなり大幅にカットされてきた状況があって,その中で,要するに「もんじゅ」の今回の原子力規制委員会の指摘を受けた後,十分,この保守点検をやるだけに必要なリソースができていないという認識に至ったので,改革本部のこの報告の後,その次の予算要求においては,大幅に増額して,必要な手当てをした状況があります。
それから,3点目のエネルギー基本計画の実施はおっしゃるとおりで,閣議決定なので,政府全体で進めていますが,櫻井委員がまさにおっしゃった,実際に,閣議決定とは,各々の担当部分について,各省が責任を持って実施しているわけでありますので,この閣議決定に当たっては,我々自身,もともと総合資源エネルギー調査会での議論,それから,当然,政府部内あるいは与党での議論の中に積極的に関わって,「もんじゅ」について,こういう形で,政府全体として位置付けられるまで持っていったところを目標としたところです。
それから,理事長の任命も,これも,もちろん主務大臣の責務としてやっていますが,各々松浦前理事長,それから現在の児玉理事長については,この「もんじゅ」の,あるいは原子力の置かれている状態を認識した上で,それに最もふさわしい方を選んだということで,これは取組というものではないとおっしゃるかもしれませんが,そういう視点で書かせていただいたということです。
それから,3ページ目の認識というのは,これは,ここまでやってきたことに対しての認識であって,現状の認識は,実は4ページ目です。
そういう意味で,最初の3ページまでの認識でやってきたものの,勧告を受けて,確かにおっしゃるとおりで,文部科学省の認識と原子力規制委員会の認識では,今回ギャップがあったことがはっきりしました。そういう意味で,4ページ目にあるのが,我々の今の認識であって,そのギャップを埋めるべく,この検討会において,我々は議論の結果を踏まえて次のステップに行きたいということです。現状の,確かに日本原子力研究開発機構としては前進して改善はしているけれども,そのスピードが,要するに追いついていないことが,一番大きな問題点として挙げられています。したがって,次の来るべき新しい主体においては,スピード感といいますか,最後に書いた,迅速にきちんと問題点をクリアしていけるものとして,制度設計をしていく必要があるだろうと思っています。
櫻井委員。
多分スピードだけではなくて,質的な違いが求められているということですけれども。
もちろん,そうです。
宮野委員。
それでは,私から。
たくさんコメントがあって,紙をお渡ししましたので,書いていただければと思うのですが,その中で,今のお話でも伺いましたが,まず,文部科学省の話です。いろいろなことをやられてきたのは,確かに私も聞いていますが,やられてきたことに対して,原子力規制委員会が一言で駄目出しをなされたことについて,全くできていないと聞こえてしまうのですが,本当にそうですかというのがあるのではないか。どこまでできていて,どこができていないのかをしっかり把握していただく必要があるのではないでしょうかというところだと思います。
「功を奏していない」とどこかに書いてありましたけれども,評価されていないところはあるかもしれません。というのは,指摘事項が出てきたからであって,中身に対する指摘はほとんどないのだと思っていますので,先ほど渕上市長から話がありましたが,何も指導していないではないかと,私もそう思うのですね。原子力規制委員会は何も指導していなくて,駄目出しをしているのは,再発しているからだという意見もありますが,そういう意味では,何が問題であったのかを,しっかり確認していただきたいと思います。
中身について,一つだけ申し上げますと,研究開発をやっているから,品質管理はいらないのだということは,大きな間違いです。品質管理をやっているのは,これも,資料に出てきたと思うのですが,フランスの高速増殖炉の開発炉では,ISO9001を取得しているわけです。その研究開発で取得しているのです。そういう意味では,品質管理をきちんと行うことは,研究開発だけではなくて,総務であろうが,人事であろうが,営業であろうが,全て品質管理というのは重要だということが根本的な問題であって,それで,どこも全て品質管理というものを取得しているわけですから,フランスの例を調べてもらったら,きちんと取っていましたが,日本原子力研究開発機構からの報告書の中にあると思いますが,そういうところも参考にしていただきたいと思います。
研究開発をどうやっていくのかといったところが,重要なところではないかと思いますので,指摘されているところは,しっかりともう一度見ていただきたいと思います。どこができてないかということの回答がほとんどないので,しっかりと回答を入れていただければと思います。
もう一つ,予算の話です。これで十分かは,予算を取ってきたとなっていますけれども,これは,品質管理を行っていく上で,どれだけの資源がいるのかを,多分日本原子力研究開発機構がまとめられるのではないか。私は,それを期待しています。
要するに,軽水炉と比較して,どれぐらいのことをやらなければいけないのか。そうすれば,相当の品質管理ができて,それにつながる,将来につながる安全確保になるのだと。今,安全確保ができていないわけではなくて,品質管理ができていないと言われているだけですので,そういう意味では,品質管理をどうするのかについては,しっかりやるというのであれば,どれぐらい予算が必要か,できたときには,しっかり予算を取ることが,解決につながるのではないかと思います。
それから,日本原子力研究開発機構には,たくさん説明いただきました。資料もたくさんあるのですが,規定類を定めているというのもありました。最初は,中国電力との話もありましたが,これもお願いしたように,定量的に比較しないと,電力会社が何をやっているかは分からないわけですから,これは,是非ポイントを定めて,中国電力がどうやってきたのかといったところで比較をされて,それで日本原子力研究開発機構としてどれぐらいにやるべきかと,予算化にもつながるところではないかと思い,やるべきだと思います。
規定に定めがあるのは,あらゆるところに書いてあります。これは,平成26年に報告書が出されたときに,こういう対策をとって,こう改善されているから,いいですと書いてあったと思いますし,今後,こういう改善を1年間やっていけば,しっかりできるはずですと言ってやってきたのが,また指摘を受けて,落第したと言われたわけですが,どうやってきたかという報告が,その後は全くないのだと思います。実際に,何がどういうふうにプログレスがあって,それが悪くて,保全計画の見直しをするのだと持っていかないと,何が悪かったから保全計画の見直しと,3年も4年も前に,最初に指摘をされたとき,保全計画の見直しをしないと言った理由はどこにあって,それが保全計画の見直しをしなければいけないというのは,こういう理由でこうしてやれば,次に,こういうふうに,いい方向につながるのだという説明が必要ではないかと思いますので,是非そういう説明を入れていただく必要があるのではないかと思います。
規定類があるから,やっている人たちの能力が担保されているという話もありますが,誰が認証しているのですか。誰が第三者として見ているのですか。悪い規定であれば何の役にも立たないわけで,しっかりそこをやることが必要で,それでいいかどうかと,そこをしっかりやらなければいけないので,その仕組みをどうするかが必要ではないかと思います。
根本的なところですが,どういう方向でこの組織を検討していくかを考えるに当たっては,「もんじゅ」をどういう位置付けで動かしていくのか。今は,停止しています。停止しているときに,では,発電をいつ目指すのか,発電を目指すには,どういうステップでやるのかという計画がなければ,品質対策にとって,いつ,どういう資源を投入していけばいいのかも分からないのではないか。そこらをどういうふうにして,議論をして,方向性を定めていくのか。若しくは,最初に,こういうふうに与えてやるのか。そのへんの強化状況を明確にする必要があるのではないかと思います。それがなければ,幾らやっても机上の空論であって,ロードマップのない対策はできないのと同じであって,やらなくてもよいと思えるのではないかと思います。
もう一つ,最後ですけれども,どこかに書いていたかと思いますが,文部科学省が,5月まではしっかり支援しますとおっしゃっていましたが,そこから先もしっかり支援をすると言っていただかなければいけないのではないか。それは,違いましたか。
5月までしか支援しないと言ったつもりは,全くありません。もちろん,引き続き,現在,「もんじゅ」は,日本原子力研究開発機構が所有し,保守管理していますので,これは,この議論が,もし新しい主体とかといったものを設立して,そこに引き渡されるまでは,引き続き日本原子力研究開発機構の責任だと思っていますので,そこについては,当然,文部科学省が,引き続ききちんと日本原子力研究開発機構にやっていただくために,必要なリソースの提供をしていきたいと思います。
当初の目的をきちんと達成する計画を,今の時点ではしっかり達成するために,支援をしていただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
ありがとございました。
井川委員,それから,高橋委員,丸委員が何も言っておられないので,一言ずつおっしゃって終わることにします。
まず,井川委員。
本日の知事,市長の議論も踏まえて,御説明を伺っていて,少し違和感があるのは,「もんじゅ」に求められているのは,今回の保守点検問題だけではなくて,長期的には,新しい規制基準をクリアして,運転再開ということまで見通した新しい体制というのを考えなければいけないのですけれども,申し訳ないのですが,文部科学省の御回答も,日本原子力研究開発機構の御回答も,そこまで見通した体制には,見えません。
これは,なぜかというと,先ほど,いろいろな先生から,いつまでに作るとか,いつまでに何をやるということも確認しなければいけないとおっしゃっていますが,これは,現状では,原子力規制庁,原子力規制委員会のものの言い方を拝見しても,ざっくりとしたことしか言っていなくて,これはなぜかというと,基準,ここをやれば大丈夫だという段階にも至っていなくて,富士山に登らなければいけないのに,まだ高尾山の話をしていてもしようがなくて,そこの落差が余りにも大きいことがあるのだと思うのですね。
それは,なぜかというと,日本原子力研究開発機構だけが悪いわけではなくて,文部科学省だけが悪いわけでもなくて,品質保証という,新型炉に対応するという難しい課題の中で,福島後の新しい基準に対応しなければいけないという,非常に難しい問題を抱えていることがあるので,私は,提案の中で,新しい体制を考えるときには,長期的なことをにらんで,新しい保全計画なり,あるいは,新型炉の開発に伴う規制の在り方を含めて議論しないと,この場で議論をしていても,恐らく,それは,限界がおのずとあると,見えてしようがないです。
でないと,先ほどの知事,市長の御懸念にも対応できないのではないかという意味で,本日の御回答の二つを見ていて,一生懸命御回答作りをされたのだろうけれども,やはり限界があるのですね。今回の保守点検だけ対応する,この紙を頂いても,なかなか,それで,では今後どうしたらいいのだという話には,多分すっきりといかないと思うので,そこのグランドデザイン,高速炉開発を完遂することまでにらんだ,新しい体制というのを考えることを,もう1回,整理していただいた上でやらないと,恐らく細かい保全のこととか,私たちがいるのは規制当局ではないので,それでしっかりやっているのかどうかを,幾ら細かく説明されても,それが個々の機器がどうだとか,重要度の個々の機器がどうだと言われても,基本的に分からないし,それがどのくらい,ここに書いてある,例えば,日本原子力研究開発機構の資料の7ページを見ても,これが原子力規制庁に通っているものなのか,今後,こうやりますと言われても,今後,原子力規制庁なり原子力規制委員会に通るものかも定かでないので,これでいいので,新しい体制はこうだと言われても,これは,それでいいですねとも言いようがないというのが,素朴な感想ですね。
だから,もう少し,大きなくくりの議論をしないと,恐らく出口なしになってしまうのではないかという,懸念を申し上げさせていただいて,引っくり返すようなことを言ってしまって,申し訳ないのですが,ありがとうございました。
ありがとうございました。
では,丸委員。
少し細かい質問で,恐縮です。
文部科学省から説明があった資料の3ページ目の改革に対する評価で「「もんじゅ」の職員の末端まで,品質保証の意識が十分浸透しきれていないことによる作業のミス」とあります。今回のことの発端は,作業ミスとか,失念するとか,そういうことなので,ここは非常に重要だと思いますが,意識が浸透していないので,作業ミスが起こるというのは,そこの因果関係ですけれども,例えば,品質保証の意識が薄いと,我々が普通に経験から考えると,工程が詰まっていってできなかったとか,予算が足りなかったとか,そういうことがあると思うのですが,作業ミスをする原因となる意識が十分浸透していないことが,非常に引っ掛かるのですね。
それで,理事長から,4月までに,未点検機器の解消,それから,以前から,5月くらいに新しい保全計画うんぬんというお話を聞いておりますので,それがうまくいくと期待するわけですが,現状は,現場の実態として,この意識の浸透は,非常に抽象的なので,点数にならないのだと思うのですけれども,ここが十分だと思われるのか,あるいは,やはり,ほかに優先することがあって,なかなかPDCAという言葉にしてしまうと,ちょっと形式的に聞こえるのですが,そういう声が十分管理側に届いているのか,そこが一番気になります。今後成功するために必要なところではないかと思いますが,そこらの御所感を頂ければと思います。
「もんじゅ」所長の青砥からお願いします。
文部科学省が,このページをどういう意味で書かれたかまでは解説できませんが,我々として,文部科学省にレポートを出して,報告をしている中身でいきますと,ここに書いてあるのは,当初は,過去の保全計画の不十分な部分と書いてあるように,点検計画の期限を越えたり越えなかったりするところに指摘が集中していました。
最近の,我々の保安検査の場で指摘されているものを見ますと,我々が,保安規定上,品質保証のところに書いている,プロセスの中断とか,プロセス中断後の連絡がきちんと行き届いているか,単純に言うと,自分たちの要領を,きちんと理解した上で,次のステップに正しくリリースしているかの不適合を出されています。
そのことは,自分たちとしては,どう考えているかも含めて言わないといけないのですが,それぞれについて,不適合の考え方は,かなり末端の職員まで浸透してきました。というのは,不適合だと思わずにやっていた事態からすれば,それは不適合だと確認した上で,不適合報告をできるようになったというレベルにあります。
ただ,それ自体は,まだ褒められたものではなくて,実際に,今度はもう一段進んだ上で,不適合を未然に防ぐステップに入っていくわけですけれども,今は,自分たちで自覚した上で,やってしまったことについて,自分たちの要領,あるいはルールにのっとってないといったところは確認できる。それを報告したところ,そのまま保安検査場で保安規定違反とされている事例を,ここでは指しているとお考えください。
つまり,むしろ,意識というよりも知識とか,読み込みが足りないとか,そういう観点だと思えばいいということですね。
ある意味では,おっしゃっているとおりで,実際に要領類の読み合わせ,あるいは確認をさせること,委員は,当たり前だとお考えでしょうが,ツールボックスミーティング(TBM)をどうするかといった対応の仕方で,そういったところを,少しずつ訓練の中で,皆,学んではいるのですが,最終的に,それが,先ほど言いましたように,プロセスの中断といった,自分たちが想定していなかったところに突き当たったときに,そのまま習い性となって出るかといったところで,まだまだ,そこまでの教育がいっていないと考えていただければと思います。
高橋委員,何かありますか。
なかなか難しいのですが,今回,委員から与えられた課題が幾つかあるのですが,これは,くくってみると三つぐらいしかなくて,一つは保全計画,あるいは保全計画に伴う品質管理の話と,それから,私は組織力と書きましたが,組織の話に分類されるのが一つ,もう一つは,情報の話と,三つぐらいですよね。
これまで,松浦理事長をはじめ,児玉理事長という立派な理事長の下でいろいろ改革を進めてきた中,今回文書を頂いてしまったということで,この延長線上の議論で,本当によいのだろうかと。感想として,井川委員と同じ心配をしているのが,1点であります。
それから,もう1点は,文部科学省に質問させていただきたいのですが,資料2の4ページの最後に,「限られた経営資源の中でこれらの諸問題に自発的かつ迅速に対応できる技術的能力及びガバナンス体制を整える必要がある」というのが結論ですが,ここに書かれた技術的能力とかガバナンス体制が,どういうことかというのがイメージしにくい。現状,こういうところの技術能力がないとか,ガバナンスのここが問題だというのが,あるのであれば教えていただきたいし,各委員は,課題に対して,必要となる対策等を整理したので,そういう形に出されるのかどうか,そこをお聞きしたいと思います。
どうぞ。
ここで書かせていただきたました技術的能力とかガバナンスという意味は,ガバナンスと書いておりますが,当然,今までの在り方検討会の中で,いろいろ説明させていただいた中から,また委員の方々から,いろいろ問題点の指摘を受けていますので,そういったものをきちんと解決できる技術的な,そういう意味では,本日もありました,保守管理に端を発するような,品質保証体制というのもありますし,本当は,将来的には,当然,運転再開に向けての,様々な新規制基準対応であったり,運転をきちんとやっていくところも含めた技術的能力になると思いますし,ガバナンスは,当然,そういう技術的能力に裏打ちされた形にはなると思いますけれども,この「もんじゅ」という炉を,きちんと運転を継続していくために必要なガバナンスとはどういう形になっているのか,それは,逆に言うと,問題点を克服するためのガバナンス体制という意味で書かせていただいているわけであります。
したがって,ここに書いてある2語というのは,これまでいろいろ出てきた課題を解決できるものとして,そういうものを捉える必要があると書かせていただいたものでございます。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
大分時間がオーバーしましたので,最後に,私からお願いがあります。
井川委員の質問のように,将来の新しい方向性まで見通すのは,なかなか難しいと思いますが,現在「もんじゅ」に与えられているミッションを達成する上で,人員にせよ,予算にせよ,体制にせよ,様々な問題に対し,どういうことをもって理想と考えるかを教えていただきたい。
現在,過去にさかのぼっていろいろ質問したり,将来に向かって,本当にいいものはどういうものかということについて,議論を重ねています。もちろん我々が考えなくてはいけないのですが,日本原子力研究開発機構と文部科学省では,どういうことを考えておられるのかお聞かせください。
特に,原子力規制委員会からの非常に厳しい問題提起に対して答える上で,理想的なものを,どう考えておられるのか,一度お聞かせいただければ幸いです。本日でなくて結構ですので,次回にでも,また,お教えいただければ幸いです。こちらも一生懸命考えたいと思いますけれども,まず,現場の方々がどう考えておられるかを,お聞かせいただければ幸いです。
本日は,10分ほどオーバーして申し訳ありませんでした。
今回の議論を踏まえて,この検討会で「もんじゅ」のあるべき姿の定義を,更に進めていきたいと思っております。委員の皆様方は,本日時間の関係などで十分発言できない方もおありになったと思いますけれども,随時,事務局へ御連絡くださって,質問事項があれば,お伝えいただければ幸いです。
本日予定されている議題は,以上ですが,事務局より,事務連絡をお願いいたします。
座長,ありがとうございます。
事務連絡です。
議事録は,いつものとおり,事務局で作成,照会を掛けさせていただきます。よろしくお願いいたします。
次回は,4月6日を予定しております。いつものことですが,調整が整い次第,正式に御案内を差し上げたいと思います。
以上です。
では,以上で,本日の検討会を閉会したいと思います。
本日は,本当にありがとうございました。
研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付