平成28年3月4日(金曜日) 16時00分~17時30分
文部科学省 3階 1特別会議室
有馬座長 井川委員 櫻井委員 高橋委員 中尾委員 丸委員 宮崎委員 宮野委員 山本委員
馳文部科学大臣 冨岡文部科学副大臣 土屋文部科学事務次官 戸谷文部科学審議官 田中研究開発局長 加藤もんじゅ改革監 板倉大臣官房審議官(研究開発局担当) 信濃開発企画課長 岡村原子力課長 髙谷研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当) 次田「もんじゅ」の在り方検討対応室次長 (説明者) 日本原子力研究開発機構 児玉理事長 荒井もんじゅ運営計画・研究開発センター研究管理部長 飯島もんじゅ再生本部もんじゅ安全・改革室長
皆さん,お忙しいところ,お集まりいただき,ありがとうございます。「もんじゅ」の在り方に関する検討会の第4回を開催いたします。
本日,馳大臣は,国会でお忙しいところを御出席賜っており,途中から御退席と思いますが,検討会開催に当たり,一言御挨拶を賜れれば幸いです。お願い申し上げます。
本日も,メンバーの皆様には,お忙しい中,御出席いただきまして,改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございます。
また,傍聴の皆さんやマスコミの皆さんにも,熱心に耳にとどめていただき,ありがとうございます。また,この検討会は公開しておりますので,いろいろな情報を発信していただければ有り難いと思っています。
原子力規制委員会から,我々が勧告を頂いたのは11月。あれから,もう4か月がたちました。そして,本日は,4回目であります。少し遅いのではないかという指摘もありますが,私は,そうは思っておりません。というのは,そもそも,なぜ,こういう事態に至ったのかという総括は,丁寧にせざるを得ない。この間の議論で,櫻井委員から頂いた御指摘は,私も,全く,なるほど,そのとおりだという思いで聞いておりました。
同時に,総括を丁寧にした上で,では,どうあるべきかという議論に,そろそろ入っていかなければなりませんが,ここをきちんとやらないと,原子力規制委員会が求めている新たな運営主体,ここにお願いする場合,関係者の方々に,我々文部科学省としても,こういう事態であったのでこういう体制でと,お願いすることができません。
したがって,3段階と,最初から申しておりますが,総括の部分,あるべき論,そして,「もんじゅ」の運営主体。そもそも,我が国のエネルギー基本計画において,核燃料サイクル事業は堅持すると,政府の方針で決まっている以上,この方針の下において,どう新たな運営主体を設定していくか。私たちは,非常に壮大なる任務を得ているわけでありまして,検討委員会のメンバーの皆様には,御理解いただいておりますが,是非国民の皆様にも,こういう現状を御理解いただいた上で,我々は任務を果たしていくという強い決意で臨んでおりますので,本日も,テーマに従って,ヒアリング,また,意見交換等,よろしくお願いしたいと思います。
半年をめどにと言われておりますので,事務的にも作業を急いでいるわけではありますが,そうは言っても,議論を積み残して,先に進むわけにはいかないと考えておりますので,検討会のメンバーから頂いた御指摘を踏まえながら,次の会合の準備もし,作業を進めていきたいと思います。まさしく,半年をめどに,この結果を出していきたいし,出していかなければいけないことを,皆さん方にもお約束をしておきたいと思います。
本日は,大変申し訳ありませんが,この後,参議院の予算委員会で答弁がありますので,私の代わりに,冨岡副大臣が陪席をいたしますので,御容赦いただきたいと思います。
どうぞ,本日もよろしくお願いいたします。
大臣,ありがとうございました。
それでは,事務局から,出席者の紹介をお願いいたします。
本日は,井川委員が御欠席です。
また,本日,説明者として,日本原子力研究開発機構の児玉理事長,荒井部長のほか,飯島隆もんじゅ再生本部もんじゅ安全・改革室長が出席をしています。
それでは,事務局から,配付資料の確認をお願いします。
それでは,配付資料を確認いたします。
資料1「新型転換炉「ふげん」について」,資料2「海外高速炉の情勢」,資料3「「もんじゅ」に係る課題の検証における論点(例)」,資料4「「もんじゅ」の在り方に関する検討会委員の御質問への回答」。配付資料は,以上です。
その他,机上配付資料として,第3回の議事録をお配りしています。委員の先生方,毎回ではございますが,修正等ありましたら,3月8日までに,事務局までお知らせください。その後,ホームページにて,議事録を公開させていただきます。
どうもありがとうございました。
それでは,課題1「「もんじゅ」における運転管理と研究開発との関係について」に入ります。
検討会の第3回までは,本検討会の論点の大きな項目の一つである,「もんじゅ」の運営管理に必要となる技術的能力に関する課題の検証のため,日本原子力研究開発機構,電気事業者及びプラントメーカーなどから説明いただき,議論を重ねてまいりました。
今回は,運転管理と研究開発の関係に係る課題の検討を行います。これまでに委員から頂きました御意見の中でも,研究開発活動と「もんじゅ」の運転管理との関係について,問題提起がありました。そこで,今回は,我が国の原型炉の先行事例である「ふげん」や,諸外国における研究開発段階の高速炉の運転管理体制等々の実態について,日本原子力研究開発機構から紹介いただき,「もんじゅ」と比較して確認を行うなど,研究開発段階炉である「もんじゅ」の運転管理の在り方を考えるに当たって,有効な検証になるのではないかと思っております。
それでは,日本原子力研究開発機構から,御説明をお願いします。
今,座長から,御紹介いただきました,新型転換炉「ふげん」のこれまでの成果についてと,引き続き,海外高速炉の情勢について,荒井から説明をさせていただきます。
まず,資料1「新型転換炉「ふげん」について」の目次です。
「ふげん」開発の目的,概要,経緯,運転実績,主な開発成果,軽水炉の基本仕様等の比較,そして,「ふげん」と「もんじゅ」の比較。これは,細かく分かれており,開発体制,職員の構成,組織体制の推移,要員の経験年数構成,運転を取り巻く環境条件と,資料をまとめました。
2ページです。「ふげん」開発の目的ですが,大きく二つあります。一つ目が,濃縮ウランに頼らない(天然ウラン供給で稼働できる)炉である新型転換炉を開発すること。二つ目が,主要な機器を国産化し,国内技術の水準を向上させることに貢献をすること。これら二つを大きな目的として,「ふげん」の開発に取り組んでまいりました。
3ページです。「ふげん」開発の概要です。まず,開発・運転主体は,動力炉・核燃料開発事業団,現在の日本原子力研究開発機構の二つ前の組織で,1967年に設立しました。設備の設計・建設については,原子力産業の5社に委託し,さらに,日立製作所に主務会社として,基本設計や各社間の調整の取りまとめをしていただきました。燃料供給,使用済燃料再処理等々は,説明を割愛させていだきます。
4ページです。年表にまとめました。細かくて,恐縮ですが,ポイントとしては,1番上に書いてある二つです。年表については,1番上に「ふげん」,2行目に「常陽」,その下に「もんじゅ」,その下に「原子力界の出来事」で,ここでは,日本の軽水炉初号機である日本原子力発電敦賀1号炉と関西電力美浜1号炉を書きました。
これを見てもお分かりのように,1番目のポイントとして,「ふげん」は,軽水炉の初号機導入時期に,建設を開始しました。その後,試運転で,大きなトラブルなく滑り出すことができ,本格運転に移行しました。1995年ですが,「ふげん」の年表にあるように,「ATR(新型転換炉)開発計画中止」という国の方針が決まり,廃止措置に向けての準備を進め,2003年に運転を終了しました。
この時期,QMS(品質マネジメントシステム)取り込みの義務化など,規制の動きの前に運転を終了したのが,一つポイントだと思います。
5ページです。「ふげん」の運転実績をまとめました。縦の棒グラフが,設備利用率です。ずっと右肩上がりに上がっている細い線が,積算発電電力量です。
「ふげん」全体としては,平均設備利用率は62.2パーセントと,同時期に日本で造られた軽水炉と,ほぼ同レベルの設備利用率です。燃料としては,1,459体を装荷,そのうちプルトニウムとウランの混合酸化物燃料(MOX燃料)を772体装荷しました。これは,熱中性子炉のMOX燃料の装荷数としては世界一です。約1,850キログラムのプルトニウムを消費しました。
そして,昭和63年ですが,この「ふげん」の使用済燃料から回収したプルトニウムを,再度「ふげん」の燃料に入れて,それを「ふげん」の炉心に装荷しました。当時,我々としては,「燃料サイクルの輪が閉じた」と表現させていただきましたが,そういう実績があります。
6ページです。「ふげん」の主な開発成果をまとめました。
左側の縦の列で,大きく二つに分けています。一つ目が,上のグループにある,実証炉に向けた研究開発の成果です。二つ目が,下にある,運転保守に関連する研究開発成果です。
まず,実証炉に向けた研究開発成果です。細かく5項目書きましたが,特に,MOX燃料の燃料開発に,非常に成果を出せたと考えています。
二つ目の,運転保守に関連する研究開発です。1行目に書いてある,国産初号機として再循環ポンプ,逃がし安全弁等を「ふげん」に採用し,あるいは,希ガスホールドアップ装置等日本で軽水炉に先駆けて初採用した機器を,「ふげん」で性能実証しました。その後,「ふげん」の実績を踏まえて,軽水炉でも使っています。その一つ下ですが,軽水炉で1番大きく問題になった,応力腐食割れの対策である原子炉冷却水への水素注入技術は,「ふげん」で初めて実証し,その効果を確認して,その後,軽水炉であるBWR(沸騰水型原子炉)でも,この水素注入という技術を使っているところです。
時間の関係で,詳しい説明は割愛しますが,参考資料の17ページと18ページに「常陽」の成果についても,まとめています。
17ページが,「常陽」の諸元,役割・仕様です。
18ページに,「常陽」のこれまでの主な成果をまとめました。「常陽」の場合は,特に,燃料関係の照射試験を多く行っています。例えば,左側の上から二つ目,「高速炉の安全性の実証」に書きましたが,「MOX燃料の性能確認」で,試験用の特別な集合体を造り,燃料を少し溶かして,どのような挙動をするのかという燃料溶融試験や,長く燃やす,高燃焼度試験を実施してきました。
7ページです。「ふげん」と軽水炉の基本仕様等の比較をしました。項目として,炉型,出力,減速材,冷却材等々書いてありますが,一言で言うと,原子炉容器の形が,「ふげん」の場合,左の下に描かれているように,圧力管という管が幾つか集合した原子炉という形であるのに対して,沸騰水型(BWR)の原子炉容器は,右側に描いてあるような,全体が大きなお釜の形をしています。このように,原子炉容器の形は異なるけれども,そこから出てきた熱で蒸気を作って,タービンを回すという冷却系は,沸騰水型(BWR)と,ほとんど同じ形です。
続いて,8ページです。ここから,「もんじゅ」との比較です。
「開発体制」です。左側に「ふげん」,右側に「もんじゅ」について示しています。通商産業省や科学技術庁といった役所,そして,国内外の研究機関,官・学・民,あるいはメーカーとの関係ですが,「ふげん」,「もんじゅ」ともに,産・学・官の協力体制により開発をしました。「ふげん」は,5社に設計を発注しているのですが,設計の取りまとめをするために,主務会社を置きました。これは,日立製作所にお願いしました。一方,「もんじゅ」は,4社の合同出資による高速炉エンジニアリング株式会社という,総合役務調整会社を設立して,各社間の調整を実施しました。そういうことから,開発体制は,ほぼ同等だと評価しています。
続いて,9ページです。職員の構成について比較しました。上に「ふげん」,下に「もんじゅ」について示しています。
左から右に,運転開始から運転終了までの人員構成を示しましたが,「ふげん」の場合,職員の総人数は,大体150名で,ほぼ一定です。運転開始の初期は,電源開発,あるいは電力会社からの出向者と若いプロパーの職員で構成されていました。そして,1987年度から1994年度に,少し変化があります。これは,「もんじゅ」が1985年に建設を開始したことに関係して,「もんじゅ」に「ふげん」からプロパーの職員が異動しました。その差分を,電源開発から研修生を受け入れ,全体の要員を確保しています。1995年に,実証炉の中止,ATR計画の中止が決まり,電源開発の出向者が引き揚げ,その分,2002年度では,プロパーが増えている状況にあります。
「もんじゅ」については,1番左が,ナトリウム漏えい事故前の試運転のときです。全体を見て,総人数は,2009年度頃から大幅に増員しています。試運転の当初は,協定に基づき,電力会社からの出向者と日本原子力研究開発機構のプロパーで半々です。プロパーは,「ふげん」,大洗などから集めました。1995年の次,1996年に,ナトリウム漏えい事故が起こり,実証炉の行方が不透明になったこともあり,電力会社からの出向者の数が減っていくところ,運転員を中心にプロパーを増員していきました。2005年から2010年ですが,これは,改造工事を終えて15年ぶりに試運転を再開するために体制を強化するためや,あるいは,2009年に保全プログラムを導入し,保全の体制を強化していくために,職員を35名ほど増加するのと併せて,メーカー等からの出向者を,40人から85人と増やしました。さらに,2013年までの間は,保守体制の強化のために,メーカー等の出向者を増やしました。2013年から2014年は,もんじゅ改革,機構改革の一環で,プロパーの職員を増やすということで,150人から200人に増やしています。これは,日本原子力研究開発機構のほかの拠点,東海,大洗などからの異動,あるいは,実務者の中途採用で増やしました。かつ,電力会社からは,追加支援で10名ほど来ていただき,増えています。このように,職員の構成が変遷しています。
10ページです。組織体制の推移です。左側に「ふげん」の,上が試運転時,下が運転終了時の技術系体制,右側に「もんじゅ」の体制を示しています。
「ふげん」は,試運転時は,電力会社の経験者が,現場のライン職制についていました。ここに書いてあるように,所長から各課長が全て電力会社からの出向者です。プロパー職員,特に若い職員が,その下に入って,技術を習得し,そのプロパー職員がそのまま運転終了時までいて,運転経験を積んだプロパーが,ラインの管理職についているという組織体制の推移があります。
「もんじゅ」については,試運転開始時には,電力会社からの出向者とプロパーが半々でライン職制に入っています。現在では,ほぼプロパー職員が,ライン職制に付いています。ただし,職員層では,右端に書きましたが,保守部門のプロパー率が比較的低い状況になっています。
続いて,11ページです。プロパーと電力会社からの出向者との比率という組織体制の推移がありましたが,年齢構成として,どう変わったのかということを分析しました。左側が「ふげん」,右側が「もんじゅ」です。
先ほどもお話したように,「ふげん」の場合,試運転時には,若手のプロパー職員が大半で,見てお分かりいただけるように,20歳から25歳の人間が半数以上いました。試運転時のプロパーが,そのまま運転保守を行い,最後まで従事して,運転終了時の技術系プロパーの経験年数は,下の左の円グラフのように,非常に分散しており,多くの経験者がいます。そして,右は,そのうち保守部門のみを切り出して,経験年数を書いたものですが,20年以上の経験者が75パーセントでした。
それと比べて,「もんじゅ」の場合は,試運転時は,年齢構成として,いろいろな年齢層に分散していました。これは,「ふげん」あるいは「常陽」から職員を集めたこともあり,幅広い年齢層の職員で構成されています。その後,停止期間が長引く間に,定年退職や異動もあり,現時点では,「もんじゅ」の現場経験豊富なプロパーの割合が低く,保守部門では,20年以上の経験者は,20パーセント程度にとどまっている状況です。
続いて,12ページです。その他の要素として,運転を取り巻く環境条件について,整理しました。「ふげん」の場合,大きなトラブルがなく,試運転から本格運転に入り,結果として順調に稼働して,運転あるいは保守の経験を積むことができました。また,同時代の商用軽水炉と同じレベルの設備利用率を達成していましたが,運転を取り巻く環境条件が「もんじゅ」とは大きく異なると評価しています。特に,品質保証活動(QMS)の保安規定への取り込みや,東京電力福島第一原子力発電所事故以降の規制の変化,あるいは,保全プログラムの取り入れなどという規制の変化が運転終了後であったことが,要素として言えば,一つ挙げられると思います。
13ページです。これは,今までお話してきたことを一覧表に整理したものですので,説明は割愛させていただきます。
最後,14ページに,まとめを書きました。「ふげん」は,電力会社・メーカーとの協力体制,原子力産業メーカー数社に発注しているなどの状況は,「もんじゅ」と同様です。しかし,あえて相違点を挙げるとすれば,試運転開始前に採用したプロパーの多くが,そのまま運転終了まで従事できて,現場経験豊富な職員が多く存在することができたこと,そして,そのことから,2点目として,比較的プロパー率も高く推移し,「ふげん」の運転保守を実施できたこと,3点目として,試運転から成功裏に運転に移行して,順調に進むことができたことが,相違点として挙げられると考えています。
続いて,資料2「海外高速炉の情勢」について,御説明させていただきます。
目次です。世界の高速炉の開発状況,フランス,ロシア,インド等々について,概略を御説明し,フェニックス,BN-600,スーパーフェニックスの運営体制について調べられたところを,資料としてまとめました。
1ページ,世界の高速炉の開発状況です。ここに,全体の概括を取りまとめました。各国で,実験炉,原型炉,実証炉の建設が進んでいます。そして,2025年から2040年頃に,高速炉が実用化される計画である状況です。
世界を大きく分けると,一つ目は,エネルギーセキュリティの観点から,増殖を志向しているグループ,二つ目は,増殖技術を習得した上で,廃棄物対策を中心に研究開発を進めているグループに分かれると整理しました。
一つ目のグループの,ロシアでは,実証炉(BN-800)が,2014年6月に初臨界を迎え,昨年,2015年12月に,送電を開始しました。今,試運転をしている最中という状況です。
中国については,実験炉が初臨界を迎えて,2011年7月に初送電して,今年中に100パーセント出力を目指しているところです。その後は,原型炉をスキップして,実証炉に進むプランを持っていると聞いています。
インドについては,実験炉が運転中です。そして,「もんじゅ」と同じ原型炉が建設中で,2016年に初臨界を迎える予定です。
廃棄物対策を中心とするグループにおいて,フランスは,現在運転中の炉はありませんが,廃棄物対策のためのASTRIDという実証炉の設計を進めており,2030年頃に臨界を迎える予定です。
アメリカについても,運転中の炉はありませんが,国際協力を進めているところです。
3ページ以降,各国の状況を細かく述べていますが,簡単に説明させていただきます。
まず,3ページ,フランスですが,1番上の大枠にまとめましたが,一つ目のマル,原子力の主要なリード国の一つであるフランスで,原子力を基幹エネルギーとして,輸出戦略上の重要な産業と位置付けています。そして,二つ目,高速炉についても,将来の輸出産業として発展させていくことを想定していると,我々は考えています。下から三つ目のマルですが,現状は,環境負荷低減を強調し,プルトニウムの燃焼炉という利用に軸足を動かしているところです。
その下に,実績を幾つか書きましたが,2006年に,シラク大統領が,第4世代炉のプロトタイプ炉を2020年に運転開始と発表し,それを踏まえて,現在,その計画を進めています。4ページの二つ目ですが,2012年にプロトタイプ炉の技術仕様を決定し,進めています。
続いて,5ページ,ロシアです。ロシアは,上の箱に書いたように,原子力を最も経済的なエネルギー供給システムと位置付けて,積極的に進めています。二つ目のマルですが,2020年代の高速炉の実用化を目指し,2030年頃には,毎年発生する使用済燃料を,全量再処理する計画と聞いています。ウラン資源を増殖するところに軸足を置いた開発を進めています。
実績は,BN-600に続いて,6ページのBN-800の話は,先ほど1ページの年表で御説明をさせていただきました。BN-800は,2015年12月に,電力系統に初併入しました。今後の予定は,計画の一つ目のマルですが,BN-800は,2016年に定格出力運転開始予定です。ここで,補足させていただきますと,BN-800は,最初はウラン燃料とMOX燃料の混合炉心で,立ち上げます。その後,徐々にMOX燃料に移行して,2017年に,全部,MOX燃料の炉心に移行する予定で,プロジェクトを進めていると聞いています。
7ページに,インドのことを書きました。インドは,NPT(核不拡散防止条約)の非加盟国ですが,もともとここの技術はフランスの実験炉であるラプソディ(Rapsodie)の技術を輸入して,それをベースに,独自で開発をしてきています。四つ目のマルに書いたように,急増する電力需要と環境問題に対応するために,2020年代に高速炉実用化,2050年頃には高速炉を原子力発電の主流とするというエネルギー計画を定めて,進めています。
今の状況ですが, 7ページの実績の1番下に示したように,「もんじゅ」と同じフェーズのPFBRという原型炉が建設中で,2016年に運転開始の予定です。
8ページです。インドの今後の計画です。1番上に示しました,実用炉のFBR1&2,一つのサイトに二つの炉を作るツインプラントを計画しており,これを2024年から2025年頃に運転開始予定で計画を立てていると聞いています。
9ページ,アメリカです。アメリカは,原子力をエネルギーミックスの主要技術と位置付けてやってきていますが,今は,研究開発に特化しています。
研究開発に特化している内容については,10ページに示しました。最新の状況としては,ブッシュ大統領のときに研究開発を促進しましたが,オバマ政権になって開発を凍結して,長期的研究開発に主体を置く政策に戻りました。現状は,廃棄物対策関係の研究開発に特化しています。ブルーリボン委員会が,最終報告書を提出して,廃棄物政策のための研究開発の必要性に言及しているところです。
続いて,11ページ,中国です。ここに書いたのは,先ほど御説明をしましたが,実験炉CEFRを建設して,2014年に100パーセントの出力を達成しました。今後,原型炉をスキップして,実証炉を導入すると聞いています。
実証炉の話ですが,自主技術で実証炉を考えているというのが一つ,あともう一つは,ロシアとの協力で,BN-800を輸入する覚書も結んでいるという情報があります。
続いて,駆け足で大変恐縮ですが,12ページに,韓国の情報をまとめました。韓国も,エネルギー基本計画で,原子力を基調とすることを明示していますが,1点新しい情報として,実績の三つ目に示しましたが,2015年6月に米韓の原子力協定が改定されて,11月に発効しました。ここでは,韓国で乾式再処理の研究をする際の米国の個別同意が不要となりました。ただし,2行目の最後,プルトニウムを分離する研究開発は実施不可のままですが,いずれにしても,再処理に関する研究開発を韓国ができるようになったということが,大きなポイントです。
13ページから,運営体制について,簡単にまとめました。まず,13ページのフランスのフェニックスですが,所有者,運転者ともに,CEA(当時:フランス原子力庁)とEDF(当時:フランス電力公社)です。EDFは現在,株式会社化して,フランス電力株式会社となっていますが,いずれも開発,建設したときは国営であり,CEAという国とEDFという国営会社による運営であり,国の関与が大きい形で進んでいます。
職員の内訳は,CEAの職員80パーセント,EDFの職員20パーセントで構成されています。組織図を示しましたが,運転課から技術課まで4課の体制です。EDFの職員は,それぞれのセクションにまんべんなく配置されていましたが,軽水炉の発電の経験があることから,運転課に少し多めにいたということです。このような体制で,フェニックスは進めていました。
14ページです。ロシアのBN-600の運営体制です。BN-600については,組織図は公開資料がなかったので,御紹介できませんが,所有者,運転者ともに,ロスエネルゴアトムという株式会社です。ただし,このロスエネルゴアトムは,1番上のロシア国営原子力企業ロスアトムを筆頭にした,国営会社の傘下の一つで,国が相当関与した運営体制で進められています。
そして,15ページ,スーパーフェニックスです。これは,所有者,運転者ともに,NERSAという会社でした。NERSAとは,その下に書きましたが,EDF(フランス電力公社),ENEL(イタリア電力公社),そして,SBK(ドイツの合同会社)からの出資で設立された国際合弁企業です。ただし,運転については,NERSAの下で,EDFが実体として請け負っていました。
以上です。
どうも御丁寧に説明ありがとうございました。よく分かりました。ありがとうございます。
それでは,続いて,これまでの御議論を踏まえて更新した論点の中で,本日のテーマである,研究開発と運転管理の関係について,事務局から御説明をお願いします。
それでは,資料3「「もんじゅ」に係る課題の検証における論点(例)」の3ページを御覧ください。
この論点ペーパーは,第2回から御紹介しています委員の先生方の御意見を取りまとめている資料です。本日のテーマである「「もんじゅ」における研究開発と運転管理の関係」は,3ページの3番目の項目に挙げてあります。
簡単に御紹介をしますと,まず初め,「もんじゅ」は研究開発段階炉であるものの,発電プラントに近い点が認識されることが必要であること。二つ飛ばして,4番目,日本原子力研究開発機構は,研究開発法人として,研究開発成果の最大化が要請されていることから,「もんじゅ」の安全確保への取組が組織内で認められ,十分リスペクトされていないのではないかという御指摘。一つ飛ばして,研究開発段階炉の役割として,「もんじゅ」においては,前例がない中,機器などのハード面だけでなく,保全計画の策定も含めたソフト面での開発を併せて行うことも必要。この前後,保全計画に関する御指摘です。
それから,次もそうですが,「もんじゅ」は研究開発段階炉であるものの,それだけを強調しては,原子力規制委員会の認識とずれが生じ,勧告に十分に応えることにはならないことに留意する必要があるという御指摘。
また,最後の青字は,前回頂いた御指摘です。「もんじゅ」は研究開発段階炉であるため,保全計画などを最適化することもミッションの一つとされている。日本原子力研究開発機構では,保全計画・保安規定は,最適化する対象であることから,これらを「変えるものだから遵守しなくてもよい」という意識があったのではないかという御指摘。ほかにも,研究開発との関係において,ここに挙げた御指摘を頂いているところです。
以上です。
どうもありがとうございました。
それでは,今までの説明に,御質問,御意見を賜りたいと思います。どなたからでもどうぞ。御質問をお願いいたします。
説明,どうもありがとうございました。
3点ほど確認させていただきたいことがあります。
「ふげん」について,いろいろ御説明がありましたが,1点目,確認したいことは,QMSの施行がもっと早かったと仮定すると,「ふげん」でもやはり同じような問題が起こったと日本原子力研究開発機構では評価されていると,この資料から読めたのですけれども,それでよろしいでしょうか。
2点目,「ふげん」のスタートの体制を見ると,基本的には,トップには電力会社若しくは電源開発の方がいて,結局,そのDNAが最後まで引き継がれたので,うまくいったという主張をされているように理解できたのですけれども,そういうことでよろしいでしょうか。
3点目が,「ふげん」で,本日の議題となっている研究開発と運転保守,この切り分けが,どういう形でなされていたか,それについて,ほとんど御説明がなかったのですが,この点について,補足をお願いします。
以上,3点,よろしくお願いします。
はい,もんじゅ改革室の飯島です。
今の3点について,回答します。
まず1点目です。「ふげん」が,仮にQMSの施行が早かったら,取り込みが早かったら,同じことが起こっていたかということですが,そういう仮定への回答は,非常に難しいですが,基本的には,「ふげん」の場合,もし「もんじゅ」のように運転前にQMSの取り込みがあったとしても,問題が発生しなかったであろうとは,なかなか言いにくいかもしれません。しかし,「ふげん」の場合は,順調に運転を始めました。その中で,現場の経験といったものを,当時の電源開発,あるいは電力会社の経験者,経験豊富な方の下で,若いプロパーが,OJTで現場の実績を積み,また,トラブルなどもクリアしながら,成功体験を糧に,経験を積んでいきました。そういった,もし土壌ができたところであれば,恐らく電力会社と同じ対応が取れた可能性は高いとは思います。
2点目です。今,申したことと重なりますが,当時の体制図を見ていただくと分かるように,課長以上が,電源開発からのベテランの方でした。その下で,我々プロパーが鍛えられたということで,DNAと言ってよいのか分かりませんが,そういう下で指導され,それを引き継いでいったとは言えるかと思います。
3点目です。研究と運転の切り分けですが,最初は,とにかく運転をするということを,「ふげん」では志向していたと私は記憶しています。当時,「ふげん」は,国産炉で,初めての挑戦で,「あんなものは動くはずがない」といった外部の声もあった時代です。そういった中で,「必ず動かすぞ」と,皆,気合を入れて,それは,もう,メーカーと電源開発,日本原子力発電,我々動力炉・核燃料開発事業団が一体となって,それに向かってチャレンジしました。そういう意味で,当初は,運転を主に,とにかく始めるのだという気持ちでいました。その後,SCC(応力腐食割れ)の問題も起こり,研究開発の方に徐々に入っていった流れかと思います。
以上です。
ありがとうございました。
丸委員。
引き続き,比較についての質問です。
9ページの図で,プロパー比率については10ページにも言及がありますが,ざっと見て,プロパー比率が随分違って見えます。特に,「ふげん」は,当初,電力会社の方がいろいろ入っておられたこともあるのかもしれませんが,1984年からのグラフを見ると,プロパーが,やはり多いと見えるのですが,「もんじゅ」は一貫して,半分ぐらいのプロパー比率になっているわけです。
もう一つは,経験年数が随分違うという御説明がありました。その点は,まとめにも経験の差ということに触れていますが,質問は,なぜプロパー比率に相当な差があるのか,もう一つは,経験年数に大きな開きがあるように見えるのですが,これがどうしてそういう形になるのか,その理由と,それが「もんじゅ」のいろいろな今回の問題に対して,どう影響しているのだろうか,あるいは,今後の「もんじゅ」の体制を考えるときに,そういうことをどう対策できるのだろうかという点について,質問します。
まず1点目です。
当時の要員体制ですが,「ふげん」の場合は,まず動力炉・核燃料開発事業団発足から10年後に,試運転を開始しました。そういう意味で,動力炉・核燃料開発事業団というものが,あの当時,再処理,「ふげん」を立ち上げるために,一気に職員を採用しました。したがって,動力炉・核燃料開発事業団自体が,非常に若い職員で構成されていました。その中で,「ふげん」をやるために,若手職員をそこにまず配置しました。ただ,当時の動力炉・核燃料開発事業団としては,それだけでは,恐らくやっていけないだろう,したがって,電力会社や電源開発からの知恵を借りたい,力を借りたいということで,上のリーダークラス,課長以上のクラスに,電力会社からの出向者を配置しました。
つまり,全体の7割ぐらいが若年のプロパーで,上の3割ぐらいが,電力会社,あるいは電源開発からのベテランの方といった構成でスタートしたもので,これは,協定を結んで,そのようにしました。
一方で,「もんじゅ」の場合は,ある程度「ふげん」,再処理,東海事業所,あるいは大洗,「常陽」からの異動でプロパーを集めました。動力炉・核燃料開発事業団が発足してから20年後で,そういった状況になりました。そうすると,かなりの経験者もいたので,広い年齢分布を持ったプロパーの配置になり,したがって,電力会社に頼む部分も,そういう意味では,上から下まで広範囲に広がっていきました。
そういうことで,要員の年齢構成が,そもそも「ふげん」と「もんじゅ」で違っていました。それが,その後のプロパー率についても,安定していた「ふげん」に対して,「もんじゅ」では,経験を積んだ人が,その後,定年退職等で入れ替わってしまったということが,今の状況の要因だと思います。
これを直す対策があるのかということについてですが,そういった「もんじゅ」の状況を踏まえて,何とかしなければならないと思っています。一つは,人事異動や,経験者が少ないということをまず補うために,これから,少し時間が掛かるかもしれませんが,経験を積ませるというプログラムを組んでいきます。同時に,そういった人間でも,業務品質を落とすことなく,遂行できる業務のやり方,それから,IT化を進めて補っていくといった二つの考えで,現在,取り組んでいるところです。
丸委員,よろしいですか。
経験年数に随分差がある点が,非常に気になるのです。これは,人事異動やローテーションと関係していないのだろうか。つまり,「もんじゅ」の場合は,「もんじゅ」と,大洗にFBR(高速増殖炉)の組織がありますよね。ですから,その間のローテーションとかということで,人が随分入れ替わっているという要素がないのかということです。そういうことが,経験に不足を生じる原因となっていないかという点ですが。
はい,人事異動で,経験者が大洗などに異動してしまい,経験年数が低くなるということではなくて,試運転時にいた人たちが,年齢を重ねていって,退職していく。全体の要員数も,当初,保修部門は,試運転のときは,40人ぐらいでしたが,今は,約160人います。その分,職員も増えているのですけれども,外から出向の方にも来ていただいていて,どうしても経験年数は短くなるところがあります。
丸委員の御懸念というか,御質問というのは,確かにそう見えてしまうのがありますけれども,実人数ベースで整理をすると,もう少し見えるかと思います。
以上です。
はい,櫻井委員。
御趣旨がよく取れなかったので,質問です。
この資料の整理の前提としては,プロパー職員がたくさんいた方が,うまくいくという前提に立っておられると理解してよろしいのでしょうか。
今の御質問は,例えば, 10ページ,11ページ,12ページに,整理したことをおっしゃっているのだと思いますが,ここでは,プロパーというよりも,やはり保守をやっていくには,経験年数が1番重要だという理解,そういう趣旨で整理をさせていただきました。
補足させていただきます。
プロパーの数だけではないと思います。今,申し上げたように,経験年数もありますし,質の問題もあります。プロパーが多いと何が良いかと言いますと,技術伝承や経験伝承を計画的に行いやすくなることや,マイプラント意識が高まる,価値観が共有できるということもありますが,やはり数だけではなくて,経験や質の問題も,当然入ってくると思います。
日本原子力研究開発機構の資質の問題が,基本的にずっとテーマになっておりますので,お伺いしますが,昔から長くいる人たちが多ければ多いほど良いという話でもないのだろうということが一方で言えるかと思います。その点についての御認識は,いかがですか。
一般に,技術的な専門家の場合も,もちろん専門は非常に細分化されている部分もある一方で,実際に,現場で仕事をする場合には,かなり広い範囲に及ぶことはよくあることですし,そうしたことは事務系に限られないと思うのですが,そういうことも含めると,全体のプラントの運営ということについての目配りであるとか,行政対応まで入るかどうかは分かりませんが,それを支える技術的なアドバイスのようなことは当然していかないといけないとなってくると,また,いろいろな新しい課題にも対応していくということからすると,プロパーが多すぎるとよろしくない面もあるだろうと,一般論としては思いますので,その点について,もし何か御意見があれば,お伺いできればと思います。
組織をうまくやっていくというか,適切に対応していくためには,いろいろな人が必要だというのは,委員のおっしゃるとおりです。
ですから,行政対応というのが必要かというのもありますけれども,全体に,ジェネラルに,企画したりする人,これは,プロパーだけで本当にいいのか,外の人も必要か。
ただし,先ほど私がお話をさせていただいたのは,やはり,現場の設備の保守には,設備の特性や設計をしっかりと熟知する必要があります。設備というのは,壊れるなど,いろいろ悲鳴を出します。そういうときの対処では,やはり,経験知というのが,ものすごく効きます。その経験をしているか,していないかで,初動がいきなりできるのか,あるいは,いろいろ一生懸命考えてしまって,なかなかできないか。そういう部分では,やはり,経験年数をしっかり持っている方は,非常に必要だと思っています。
すみません。もう1点だけいいですか。座長。
どうぞ。
すみません,ありがとうございます。
お話を伺っていて,「ふげん」の場合と「もんじゅ」の場合で,何か決定的にここが違うという感じでもないかという印象を持ったのですが,そうすると,「もんじゅ」の場合は,ナトリウム漏えい事故や中継装置の落下の事案と職員の特質,プロパーかどうかということだと思いますが,そこは,どう関連しているのかを,本日でなくても結構なので,分析可能でしたら,教えていただけると有り難いと思います。
今の委員の御質問に対して即答できる整理ができていませんので,すみません。
はい,どうぞ,高橋委員。
一つ目は,「もんじゅ」の場合には,経験年数も0から5年までの方が大変多いのですが,ここで,管理職の方の経験年数というのは十分なのかが,少し気になりました。今,「もんじゅ」の場合には,管理職になるための,キャリアパスと言いますか,キャリアデザインのようなものが,何かあるのでしょうかというのが,1点目です。
はい,管理職になるためのキャリアパスの,いわゆる資格の認証が必要です。そのための基準が決められていまして,管理職試験に合格しないと,課長にはなれないとなっています。
その場合に実務経験は,どう考慮されるのですか。
それも含めて,何々の課長になるときに,その課長を,ある程度想定して試験を受けますが,実際には管理職になることがメインなので,どちらかというと,マネジメント力とか知識といった一般的なもの,現場でのそれまでの経験といったものを含め,総合して判断する形になります。
恐らく御質問の趣旨の中で,10ページに技術系体制の図がありますが,上の段が,試運転を開始したときです。この当時は,当然ながら,「もんじゅ」の経験は,皆,余りありません。試運転をこれから開始するというところなので,必ずそういう時代はあるものです。したがって,1995年当時は,全員が「もんじゅ」の経験としてはありません。しかしながら,電力会社からの出向者は,母体での運転の経験があります。プロパーの人間も,「常陽」や「ふげん」の経験があります。そういった者を連れてきています。
それが,20年たって,下の2015年になりました。このときに1点だけ違うのは,そういった形で,「もんじゅ」の経験を長く積んで,課長になった人間もいます。しかしながら,一方で,今回の保守管理不備を受けて,組織を増やした,課長の数を増やしたところもあります。それから,そもそも「もんじゅ」の全体の総員数が,100名ほど増えています。こういったことから,そういった人間は,結局,ここ数年で集めた人間です。それは,「もんじゅ」の経験という意味では,少ない者が多いということで,実は,この課長の中にも,そういう人間が含まれています。そういった人間は,例えば,東海あるいは「常陽」といったところでの課長とか課長代理の経験はあります。しかしながら,「もんじゅ」での経験という面では,少ない人間が含まれています。
はい,高橋委員。
もう一つ違う質問です。
体制上,メーカーや電力会社との連携という面では,ほとんど「ふげん」も「もんじゅ」も同じに見えますが,保守,あるいはトラブルが起きたときの対応とかも,連携という面で言うと,大体,同じだったと理解してよろしいですか。
はい,同じだったと理解いただいて,結構です。
もう1点だけ。
「もんじゅ」と「ふげん」の違いで,所長の上の組織に何か違いがあるのですか。所長以下は,こういうことですけれども,所長の上の違いは,何かあるのですか。
所長の上と言いますと,現在,「もんじゅ」は,理事長直轄の組織になっておりますので,比較がしづらいですが,当時は,所長の上は,本社に,その該当部分の本部というものがあり,その下に「もんじゅ」も「ふげん」もぶら下がっていましたから,基本的に同じです。変わりはないと思います。
今は,本部がなくなって,理事長直轄になっていますということですか。
本部というのは,理事が何人かいらしたのですか。
本部というのは,8ページの黄色く塗ってあるところに,新型転換炉開発本部,高速増殖炉開発本部という,それぞれの本部組織がありました。当時は副理事長が本部長で,本部長代理に,それぞれ新型転換炉担当の理事,「もんじゅ」の担当の理事がいました。
どうもありがとうございました。
はい,宮崎委員。
幾つか技術経営の観点から質問があります。
13ページです。この表を見て,私は,欠けている項目があると思いました。欠けている項目というのは,複雑性です。複雑性の観点から,どの程度違うのですか。
私は,技術的には,それほど詳しくありませんが,例えば,部品の数ですとか,それから,片方はナトリウムを使って冷却をしている,もう片方は水を使っている。あるいは,配管の長さですとかというように,複雑性の点から,どの程度違うのですか。
「もんじゅ」の方が,多分,より複雑だと思うのです。その場合,複雑システムという特徴があるわけです。私は,以前,複雑システムの研究もしていました。複雑システムの特徴として,バタフライ効果があるわけです。バタフライ効果というのは,一つの場所で小さな変化が起きても,別の場所で大きな影響を与えてしまう特徴のことです。バタフライという言葉を使っている意味は,バタフライが羽根を動かすと,別のところで嵐が起きるという例え話です。ですから,それに対応するためのことを考慮しなければなりません。
例えば,複雑性を考えた場合,10ページの組織図を見ただけでも,右側の「もんじゅ」の組織の方が,もっと複雑なわけですね,技術系体制としても。
それから,その「ふげん」と「もんじゅ」を比べた場合の違いというのは,やはり,知識,既に存在している知識のプールです。プールというのは,大きさ,深さ,奥行きにより,知識のプールの違いがあります。「もんじゅ」の場合は,こういうものが国内になく,もっと課題が多く,知識のプールの大きさの違いもあります。ですから,そういうこともこの項目に加えていただきたいと思います。でないと,誤解を招くと思います。
それから,要員のことですが,今から見ると,こうなっていたということは言えるわけです。しかし,試運転当時は,若い職員,20歳から25歳の人たちがほとんど占めていて,その人たちがきちんと運営できたということが言えるわけですね。そういう状況です。
まず,複雑さの違いですけれども,それは,やはり「もんじゅ」の方が多いと思います。概念的に言いますと,「ふげん」の場合は,BWR(沸騰水型原子炉)によく類似していますが,BWRに重水系というループが追加されたと考えていただければよいと思います。つまり,「ふげん」は,軽水炉であるBWRに重水系が付いたものです。一方で,「もんじゅ」は,ナトリウムループが,一次系統,二次系統とあり,それぞれが3ループずつあります。したがって,系統の数は,「もんじゅ」の方が多いことになります。
それから,機器数ですが,「もんじゅ」は,止まっている水・蒸気系という設備を除いても,約5万機器であるのに対し,「ふげん」は,保全計画は作っていなかったので,一概には言えませんが,設備図書で,約3万3,000の機器数です。規模的には,そのようなイメージで,「ふげん」の場合は,機器数では軽水炉と同じくらいと言えると思います。
ありがとうございました。
まだ,御議論があろうかと思いますが,時間が参りましたので,お願いがあります。
保守管理を確実に行えることが,今回の原子力規制委員会からの勧告に対して,重要なポイントですが,もう一方,「もんじゅ」においても,成果の創出が求められる研究開発活動も存在しています。
これらの点について,今後,組織の在り方について検討する際にも,引き続き関連の議論を行いたいと思います。
そこで,お願いは,いつものごとくでありますが,次の議論に向かって,質問をまとめて,事務局に御提出いただきたいと思います。本日時間があれば,また後ほど続けて御議論いただきましょう。
私からも,一つお願いがあって,「もんじゅ」の現在の状況も踏まえて,管理職対技術職員の人数構成は,理想的なものであるか,問題があるか。問題があるとすれば,どうすればよいか。理想的なものはどうかを,また一度,お答えいただければと思っています。特に,プロパーの人たちの経験を考えると,プロパーの人たちが,どのくらいの経験を持った人であるかということも,重要だと思います。その辺りも含めて,一つお答えを頂ければよいと思います。
了解いたしました。お答えさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
それでは,次の案件に移ります。
これまでに,各委員から出された質問のうち,日本原子力研究開発機構で回答をまとめたものを,御報告いただきます。
今回は,前回の議論であった,「もんじゅ」の過去の事故・トラブルに関する日本原子力研究開発機構とメーカーの役割分担,責任分担について,御回答を頂きます。
なお,今回の回答以外にも,宮野委員からは,日本原子力研究開発機構が考える研究開発段階炉の保全の在り方や,品質保証に関する商用軽水炉との比較という観点から,既に様々な質問を頂戴しています。大変重要な論点であり,電力会社及びメーカーの協力を頂きながら,日本原子力研究開発機構と文部科学省において,回答の準備が進められているところですが,こちらにつきましては,後日準備が出来次第,回答をお願いしたいと思います。
それでは,説明をお願いします。
引き続き,荒井から御説明します。
2ページから説明させていただきます。ナトリウム漏えい事故です。過去のことですので,おさらいも兼ねて,事故概要からまとめさせていただきました。
事故の概要です。温度計から2次系のナトリウムが漏えいしたという事故です。漏えいした原因は,温度計のさやが折れたことです。では,なぜ折れたかというと,ナトリウムの流体力により,流力振動,流れによって微細な振動が発生したためです。右の下に,温度計の断面を示しています。左側が従来型,右側が改良型です。左側の従来型の,丸が付いているところに,段つき部が見えますが,このさや管が振れて,この段つき部の細くなったところで折れたというのが,事象です。
3ページで,また詳しく原因等を御説明しますが,全ての2次系の温度計,48本ありますが,これを右下の絵にあるように,短く,段つき部のない形に改良して,全て交換しています。
3ページです。設計時の検討等についてまとめました。冒頭にお話したように,さや管が流れの振動で折れたということですが,その振動についての考慮については,少し専門的ですが,カルマン渦という,さや管の後ろに,交互に渦が出てくる流れが発生し,その流れによって振れるという共振の回避,共振しないように,カルマン渦によってさや管が振れないようにという考慮はしていました。
ただし,対称渦,交互に出ると申しましたが,両方同じように,双子渦が出る現象があります。双子渦,対称渦の放出を伴う振動に係る設計指針が,当時はなく,それについては考慮をしていませんでした。なお,この双子渦の設計指針については,温度計据付け後の平成3年に,ASME(アメリカ機械学会)規格,設計規格ですが,そこに指針が追加されました。
一つ飛び,契約上の対応について整理しました。まず,事故が発生したときには,瑕疵(かし)担保期間は過ぎていました。当時の動力炉・核燃料開発事業団は,損害賠償を求めることは極めて困難と判断をして,断念しました。ただし,メーカーから,応分の負担の申入れを頂き,事故調査・総点検費用の半額を負担するということになりました。2次系の温度計,48本全て交換したと,先ほど御説明しましたが,その費用については,メーカーが全額負担しています。
責任のありようは,次の行に書いたように,設計・製作・施工の責任は,当然メーカーにあります。ただし,メーカーの作った設計書を,当時の動力炉・核燃料開発事業団は承認していますので,動力炉・核燃料開発事業団側にも責任ありと自ら判断をして,メーカーの折半の負担というところにしています。
反省点の水平展開です。ナトリウム漏えい事故が起きた後に,原因究明を行い,その原因を踏まえての安全性総点検,「もんじゅ」の全体の設備の総点検をしました。この総点検の中で,水平展開に書いた項目の点検をして,問題がないことを確認し,あるいは,改善をした方が適切なものについては改善計画を立てて,それを全て実施しました。また,品質保証に関しても,改善を行い,取組を行ってきました。
続いて,4ページ,炉内中継装置の落下トラブルです。同じように,事故,トラブルの概要についてまとめました。
平成22年,燃料交換のときに用いる炉内中継装置を,作業が終わり,原子炉容器の外へ取り出す作業をしていたときに,つり上げ装置のつかみ部,グリッパから外れて,中継装置が落下しました。炉内中継装置というのは,右側の絵でピンク色の部分ですが,ここは,原子炉容器と原子炉容器の外側で燃料を出し入れするときに通過する通路ですが,その設備を取り出すために,その上の水色の原子炉機器輸送ケーシングという,取り出すための箱があって,そのグリッパが外れました。
外れ方ですが,右上に描いてあるように,左側が,正常な状態です。ピンク色の部分が,炉内中継装置の頭の部分で,それを水色の爪が両側に張り出して,炉内中継装置の頭をつかみます。張り出すためには,真ん中にある赤いかまぼこ型のパーツを差し込んで,緑色のグリッパを押し広げます。このかまぼこ型のパーツが平板にできていて,右の絵にあるように,それが回転して,90ミリメートルある幅が63ミリメートルとなってしまったことから,グリッパが十分に広がらず,片づりになり,その結果,炉内中継装置が落ちてしまったということです。
落下の直接原因については,今,説明したとおりです。再発防止対策等は,次の5ページで説明します。
まず,設計・建設時の検討です。原子炉機器輸送ケーシングのつかみ部の説明をしましたが,2本の爪で,真ん中の爪開閉ロッドというもので爪を開いたり閉じたりする方式は,「常陽」でも実績があります。ただし,「もんじゅ」では,ロッドの形状について,平板の形状を採用しました。そのとき,これは軸方向の駆動のみであり,回転しないとメーカーは考えて,そのネジの緩みに対する対応として,ゴムワッシャーの締めつけのみとしました。その結果として,使っている間に徐々に緩んで,回ってしまったということです。
設計・建設時の日本原子力研究開発機構の対応ですが,日本原子力研究開発機構は,落下させない設備設計とする要求は出していますが,それが,どのように担保されたのかを,きちんと確認していないところがありました。
二つ飛んで,契約上の対応ですが,こちらも瑕疵(かし)担保期間は経過していましたが,日本原子力研究開発機構は,損害賠償を求める調停を申し立てました。その結果,裁判所から和解案提示を受けて,メーカーから日本原子力研究開発機構に対し1億円を支払うことで,調停が成立しています。
責任体制については,先ほどのナトリウム漏えい事故と同じように,設計・製作・施工の責任はメーカーにもありますが,日本原子力研究開発機構側にも責任があると,自らも認識をしています。
再発防止としては,グリッパの構造を先ほどのロッドが回転しない構造に変更したりなどの改造をしています。また,同様なグリッパ機構を有する設備を対象として,確実にグリッパが把持できるかという確認をしています。これらの水平展開を実施しました。
以上です。
どうもありがとうございました。
ただいまの説明について,御質問があれば,お願いします。山本委員。
御説明ありがとうございました。
ものを作っているメーカーとの関係というのは,非常に重要だと私も認識していて,東京電力福島第一原子力発電所の事故の背後要因として,一つ挙げられているのは,電気事業者が,保守やその他の,いろいろな安全上に関わる作業をアウトソーシングしていって,空洞化していたのではないかという指摘もあるわけです。
そういう中で,東京電力福島第一原子力発電所の事故の後,日本原子力研究開発機構では,その問題に対して,どういう評価をして,どういう形で対応してきたかについて,説明をしていただければと思います。
これは,話が少し難しいところもありますので,本日お答えいただけるところがあればお答えいただいて,後日,補足の説明をしていただくことでもよいと思います。
よろしくお願いします。
アウトソース,調達管理の話になると思います。
それについて,東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえて,どのような確認をしたかというのを,正確に覚えていませんので,申し訳ありませんが,本日は,回答を控えさせていただきます。
はい,後日御説明いただくときに,アウトソーシング自体が別に悪いことだとは思いませんが,どこまで,どういう判断基準で,アウトソーシングできるのか,非常に重要な価値判断を含んでいると思いますので,そこのポリシーを含めて御説明いただければと思います。
了解しました。
2件のトラブルでは,日本原子力研究開発機構は,設計レビューはしているものの,見つからなかった,レビューする方にも責任があったという判断ですが,事業者側として,どこまでレスポンシビリティを持つかという問題について,まとめさせていただきたいと思います。
はい,どうぞ。櫻井委員。
単純な質問で,炉内中継装置の案件ですが,25億円の損害賠償を求める調停を申し立てられて,1億円で調停成立ということですが,随分低いところで手を打った感じがしますが,これは,どういう計算でしょうか。
すみません,後日回答いたします。
ありがとうございました。
一応,ここで終わりましょう。日本原子力研究開発機構とメーカーとの間の適切な役割分担,責任分担の在り方は,「もんじゅ」の運営主体が備えるべき機能,組織を考える上でも,参考になると思います。したがって,本件についても,検討会において,組織の在り方についての議論を行う際にも,引き続き関連の議論を行うことにしたいと思っています。
さて,検討会も,今回で第4回となりました。これまでの検討会では,「もんじゅ」の運転管理に必要となる能力や,運転管理と研究開発の関連について,議論をしてまいりました。
今後,本検討会では,これまでの技術的な観点を踏まえつつ,「もんじゅ」という組織や,ガバナンスの在り方等についても検討していかなければならないと考えています。
そこで,次回の検討会では,これまでの議論のある程度の総括として,「もんじゅ」において,特に対応が求められている課題と対策,更に対策を行うために必要な要件等について,各委員から御意見を頂きたいと考えています。
詳細については,後日,事務局より,各委員に御連絡しますので,御承知いただきたいと思います。
なお,本日,まだ御発言を頂いていない委員がお二人おられますので,ごく短く,宮野委員,中尾委員,何事か,おっしゃっていただけたら幸いです。
はい,宮野委員。
それでは,私から。
本日は,皆さん,たくさん発言されたので,私は控えました。細かい質問は,またお伺いしたいと思いますが,2点あります。
1点は,「ふげん」において,QMSはどうなっていたのかということが,本日は御説明ありませんでした。品質問題についてどうだったのかという問題については,やはり考えていただきたい。というのは,研究開発炉として動かしてきたのだと思いますが,その当時は,発電炉と同じとなっていなかったということで,QMSはどうなっていたかを,しっかりと捉えて,反映することが必要ではないかと思います。
もう一つは,これも教えていただいたのですが,世界では,こういう研究開発炉で,しかも発電をしている,そういったものに対して,どう取り組んでいるのか。研究開発炉に対して,どうQMSというものに取り組んでいるのかと,できれば調べていただければと思います。そうすると,答えがいずれ出てくる気がいたします。
以上,よろしくお願いします。
ありがとうございました。
中尾委員。
では,最後に,少しだけ。
3点あるのですが,1点目は,組織はどうだったのかですが,港を出てはいけない船に,航海技術がないだろうと言われても,それは困るという感じがします。先任士長が幾ら何人いても,航海したことがないのだから,言ってもしようがないだろうという感じがします。
でも,これから何かしなければいけないときに,ジョブ・ディスクリプションを書こうとしたら,上長に当たる原子力規制委員会に,「僕,どこまでやればいいのですか」ということを聞かないと,五里霧中で走れ走れと言われても困る。どこまでやればいいのということを,やはり話し合わなければいけないのではないかというのが,1点。
2点目は,「もんじゅ」の事故もいろいろあったかもしれませんが,余りクリティカルではなくて,失敗のリスクマネジメントで,よくケーススタディで出てくるのは,雪印と「もんじゅ」ですね。ほかと比べて大した事故でもなかったのに,対応が悪かった。「もんじゅ」の事故は,関西電力の蒸気発生器の事故と比べたら,いかに小さかったかということを必ず表にして出してきて,もっときちんと対応しましょうということです。私は,「もんじゅ」が,そんなに危ないという感じはしません。
3番目は,研究開発とは何だろうかということです。本日の資料を見たら,水素注入器を入れるとか,国産化した部品を入れるとか,そんなすごい研究開発ではないのではないか。しかし,なぜ,「もんじゅ」は出来が悪いのか,本質的に,軽水炉から比べたら悪いのか。それは,もしかしたらコストなのか。どんなにうまくやっても,発電したら,1キロワットアワー当たり50円くらい掛かってしまうのか。それは,全然分からないので,教えてもらいたいと思います。
技術のことは,一生懸命勉強したつもりですけれども,何の出来が悪いのか,よく分かりません。ですから,そうすると,コストかというところもあるのかもしれないし,もう少し何か教えていただければ,理解できるのではないかと思っています。
よろしくお願いします。
どうもありがとうございました。
本日予定されている議題は,以上で終わりましたので,事務局より事務連絡をお願いします。
座長,ありがとうございます。
事務局から事務連絡をさせていただきます。
今回の議事録は,いつものとおり,事務局で作成をした後,皆様方に御照会をさせていただきますので,よろしくお願いします。
次回ですけれども,3月23日頃を予定しています。調整等が整い次第,正式にお知らせします。
以上です。
以上で,本日の検討会を閉会いたします。
御議論及び御報告を大変熱心にしてくださいまして,ありがとうございました。また,御出席の全ての方に,御礼を申し上げます。ありがとうございました。
研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付