原子力損害賠償紛争審査会(第70回) 議事録

1.日時

令和8年2月18日(水曜日)10時00分~12時05分

2.場所

文部科学省内会議室及びオンライン

3.議題

  1. 原子力損害賠償紛争審査会による現地視察について
  2. 東京電力ホールディングス株式会社による賠償の現状及び今後の対応について
  3. 損害賠償請求訴訟の状況について
  4. 住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱いについて
  5. 原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況について
  6. 賠償の請求を促す広報等の取組状況について
  7. 地方公共団体等からの主な要望事項について
  8. その他

4.出席者

委員

大村会長、江口会長代理、足立委員、織委員、笠井委員、鹿野委員、古笛委員、田代委員、手嶋委員、横山委員

文部科学省

小林文部科学副大臣、坂本研究開発局長、清浦原子力損害賠償対策室長、嶋崎原子力損害賠償対策室室長代理、西山原子力損害賠償対策室次長

オブザーバー

【説明者】弓岡東京電力ホールディングス株式会社福島復興本社副代表、山崎東京電力ホールディングス福島原子力補償相談室長、田中原子力損害賠償紛争和解仲介室(原子力損害賠償紛争解決センター)室長、堀原子力損害賠償紛争和解仲介室(原子力損害賠償紛争解決センター)次長

5.議事録

【大村会長】  それでは時間になりましたので、第70回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。本日は、お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。また、オンラインで御参加の委員の方々もありがとうございます。
 初めに、本日は小林文部科学副大臣に御出席をいただいておりますので、御挨拶をいただきたいと思います。
 小林副大臣、よろしくお願い申し上げます。
 
【小林文部科学副大臣】  皆様、おはようございます。文部科学副大臣の小林茂樹でございます。本日は大変、皆様方、御多忙の中、このように当審査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 間もなく東日本大震災から15年ということでございます。東京電力福島原発事故から、15年の月日が経過しようとしております。この間、被害者の皆様方にとっては本当に御苦労の絶えない日々であったかと思います。
私は昨年の12月に福島県の原子力損害対策協議会の方々とお会いをいたしまして、ALPS処理水の海洋放出に伴う風評被害への対応、適切な指針の見直し、被害者の視点に立った迅速な賠償について御要望を伺ってまいりました。
 先日は東京電力の第五次総合特別事業計画を政府において認定をいたしました。その中で東京電力は「3つの誓い」を改めて徹底していくこととされ、迅速かつ、きめ細やかな賠償の徹底においては、本審査会でも御議論いただいてきたご高齢の方々等への対応について、新たに盛り込まれたと承知をしております。文部科学省としては、これらの取組が確実に行われることが重要であると考えております。
 文部科学省としては、中間指針の策定やADRセンターの和解仲介手続などを通じて、引き続き被害者の方々に寄り添いながら、適正な賠償が実施されるよう取り組んでまいります。大村会長をはじめ委員の先生方におかれましては、今後とも被害者の方々に寄り添い、迅速、公平かつ適正な賠償が適切に進むように、引き続き有意義な御議論をいただきますよう、お願いを申し上げます。
 以上で御挨拶といたします。途中で中座いたしますので、ご容赦賜りたいと思います。
 
【大村会長】  ありがとうございました。今、お話ありましたように、小林副大臣におかれましては、会議途中で御退席をされるということでございます。
 引き続きまして、事務局から報告事項があると伺っておりますので、御報告をお願いいたします。併せて、資料等の確認もお願いいたします。
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  事務局からの御報告でございます。原子力損害賠償紛争解決センター総括委員の交代がございましたので、御報告させていただきます。昨年7月20日付で沖野眞已委員が御退任されました。また、昨年8月1日付で垣内秀介東京大学大学院法学政治学研究科教授が大村会長に指名され、新たに就任されておりますので、この場を借りて御報告いたします。
 また、前回審査会以降の事務局の人事異動について御報告いたします。研究開発局長に坂本修一が着任しております。
 
【坂本研究開発局長】  坂本です。よろしくお願いいたします。
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  また、原子力損害賠償対策室次長といたしまして、私、西山も新たに着任しておりますことを御報告いたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は議事次第に記載のとおりですが、資料に不備等ございましたら、議事の途中でも結構ですので、事務局までお声がけください。
 また、本日は会場での対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式での開催となっております。御発言の際の注意事項につきましては、机上配付または事前にお送りしている資料を御確認ください。
 なお、本日は過半数以上の委員の皆様に御出席をいただいており、会議開催の要件を満たしておりますことをあらかじめ御報告させていただきます。
 
【大村会長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。
 まず、議題1には、原子力損害賠償紛争審査会による現地視察結果についてでございます。事務局から御説明をいただいた後、現地視察に参加された委員の皆様から一言ずつ所感をいただければと思います。
 それでは、まず、事務局から御説明をお願いいたします。
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  事務局から説明をさせていただきます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目、資料の1-1を御覧ください。令和7年9月1日から2日にかけまして、原子力損害賠償紛争審査会による現地視察を行いましたので、その結果を御報告させていただきます。
 今回の現地視察は、中間指針等に基づく賠償の実施状況を確認するため、被災地域の現場を視察することを目的として行ったものであり、大村会長、江口会長代理をはじめ、合計8名の委員の皆様に御参加いただきました。
 視察先は双葉町と大熊町の2つの町でございます。2つの町におきましては、帰還困難区域の現状や特定帰還居住区域の状況等を視察するとともに、町長、副町長、議長をはじめとした自治体の皆様と意見交換を行いました。さらに、視察先の双葉町に事故当時、居住しておられました被害者3名の方と意見交換を行いました。視察先の詳細は4.視察行程を御参照ください。
 次に、通しの3ページ目を御覧ください。現地視察におきまして、被災自治体等の皆様からいただきました御発言をまとめたものとなってございます。
 双葉町の意見交換では、この1番目のところでございますけれども、令和4年3月に確定した集団訴訟を踏まえて策定した中間指針第五次追補における日常生活阻害慰謝料の賠償対象期間の見直しについての御発言、そして2番目のところでございますけれども、ADRセンターの和解事例等の水平展開についての御発言、そして3番目のところですけれども、避難指示区域内の商工業者の営業損害及び就労不能損害の終期についての御発言、このような御発言等がございました。
 また、9番目、最後のところでございますけれども、賠償請求について、高齢者をはじめ被害者の方の中には対応が難しい方がいらっしゃる旨の御発言がございました。
 次に、大熊町のところでございます。大熊町での意見交換では、1番目のところでございますけれども、現地視察等を踏まえまして指針を不断に見直してほしいという趣旨の御発言、そして、次の通しの4ページのところですけれども2番目のところ、東京電力に対して賠償請求手続における被害者の負担軽減を含め、被害者の視点に立った誠実かつ迅速な賠償の対応を行っていただきたい趣旨の御発言、そして3番目のところですけれども、避難生活等の長期化等に伴う賠償についての御発言等がございました。
 これに対し、大村会長からは、東京電力が合理的かつ柔軟な対応と同時に被害者の方々の心情に配慮した誠実な対応による迅速、公平かつ適正な賠償を実施していくよう、審査会での審議等を通じてフォローアップをしていくことをお伝えするとともに、中間指針の考え方等について御説明いただきました。
 特に中間指針第五次追補における日常生活阻害慰謝料の賠償対象期間につきましては、日常生活阻害慰謝料と生活基盤喪失、変容による精神的損害に係る慰謝料との関係性を含めまして、賠償に関する考え方について丁寧に御説明をいただきました。また、高齢者をはじめ、被害者の賠償請求手続につきましては、審査会としても方策を検討する旨の御発言がございました。
 続きまして、通しの4ページ、下の部分でございますけども、4ページから6ページ目のところ、ずっとかけてございます。被害者住民の皆様との意見交換の部分でございます。
 次のページをおめくりいただいた3番目のところでございますけれども、商工業と農業、漁業とで賠償の終期に差がある旨の御発言、そして5ページの10番目のところでございますけれども、必要書類の用意には労力を要するため、細かい賠償請求をしていないとの御発言、そして11番目、個別事情に応じて賠償が受け取れる可能性があることが伝わっていないとの御発言等がございました。
 そして特に12番目、そして5ページ目の12番目、14番目、そして次のページの通しの6ページ、16番目にかけまして、賠償請求において高齢者をはじめ手続に困難を抱える方がいらっしゃる趣旨の御発言がございまして、委員の先生方からも御質問があるなど意見交換がございました。
 これに対しまして大村会長から、未来が見えない、先行きが不安だという住民の皆様のお気持ちを受け止める旨の御発言とともに、営業損害における一括賠償後の個別対応をはじめ、中間指針の考え方について丁寧に御説明をいただきました。また、大村会長から、賠償請求の手続につきまして課題として持ち帰りたいとの御発言がございました。
 各自治体から手交いただいた要望は、通しの7ページ目から20ページ目に添付してございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございました。今、お話しいただきましたけれども、今回の現地視察におきましては東京電力福島第一原子力発電所立地自治体を中心に、復興に向けて取り組んでいる被害者の方々のお話を伺い、中間指針に基づく賠償状況を確認するとともに、帰還困難区域の現状を中心に確認をいたしてまいりました。
 それでは、現地視察に出席をされた委員の皆様から順次、所感をいただければと思います。御発言の順序でございますけれども、会長代理の江口先生にまずお願いをいたしまして、その後、会場参加の委員の方から、まず五十音順でお話をいただき、その後、オンライン参加の委員の方にお願いをすると、最後に御質問等の時間を設けた後、私からも多少の所感を述べさせていただきたいと思っております。
 では、まずは江口委員、お願いできますでしょうか。
 
【江口会長代理】  江口でございます。今、御説明にもありましたように、私自身も住民の方、それから町の担当の、実際に担当されている課長さん方のお話を聞きましても、第五次追補を踏まえた追加賠償について、自分が対象になるか分からないから請求しないとか、東京電力に請求書の返送をしないという人がいるというお話が出ました。
 第五次追補による追加賠償というのは令和5年の4月から始まったもので、2年たってくると、だんだんこういう追加賠償があること自体が世の中から薄れていってしまうのかなと思うと、もう一度、こういう第五次追補の追加賠償があるよということ自体もきちんと広報していかないといけないのかなと感じました。
 一方で、町の担当者の方からは、やはり住民の方の現住所の把握というのがもう非常に難しいこともお聞きしましたので、とにかく早く物事は行わなければいけないんだなということも強く感じました。
 以上です。
 
【大村会長】  ありがとうございます。
 次は、鹿野さん。鹿野委員、お願いいたします。
 
【鹿野委員】  鹿野でございます。私からは現地を視察しての所感として、一般的な所感と、それから賠償に関するコメントないし所感を一つずつ申し上げたいと思います。
 まず、今回の視察におきましては駅前の商業施設の開設とか、あるいは農作物のプラント施設の開設なども見せていただきまして、復興に向けた取組が進んでいることも確認でき、それは大変喜ばしく思うと同時に、地域の皆様の大変な御努力に頭が下がる思いでございました。ただし一方で、帰還困難区域が解除されていない地域など、いまだに被災当時から手つかずの状態にある地域もかなり多く存在することも事実でありまして、そのことも忘れてはならないと思いました。
 それから賠償という点につきましては一部、今、江口会長代理がおっしゃったこととも関わりますけれども、いまだ賠償の請求の手続が複雑で分かりにくいという声も聞かれましたし、また特に第五次追補というものが出たことは抽象的には知っているけれども、例えば既に早い時期に一度、東電から賠償金を受け取っていたので、もう追加の請求はできないのだろうと思って請求を控えていらっしゃる方など、本来は追加賠償請求できる可能性があっても第五次追補の趣旨とか意味合い、あるいは自分がこれ該当するのかどうかということが、十分に伝わっていないと思われる件数が少なからずあることも確認できました。
 したがいまして、この第五次追補の意義などについて引き続き御理解いただけるように、さらに丁寧な説明や広報が必要だと感じた次第です。
 以上です。
 
【大村会長】  ありがとうございました。
 次は古笛さんですかね。お願いします。
 
【古笛委員】  古笛です。私も第五次追補に関しましては、江口会長代理や鹿野委員から出たような意見と同じような感想を持ちました。
 それとは別に視察に関してですが、視察させていただくと確実に復興自体は目に見える形で進んでいるなということをもう毎年毎年、感じるところです。それに反して、審査会に対して、被災地から、1年前と変わっていないとか、進んでいないとかいう意見があったことはとても残念に思いました。審査会としても、それから東電としても、決してこの取組に対して立ち止まっているわけではないのですけれども、被災地の現地からはそれが見えていない、伝わっていないところがあることは否定できません。私たちもそのことを心にとめて、公平、適正な賠償というものはなかなか難しい問題ではありますが、それに取り組んでいく必要があると感じました。
 以上です。
 
【大村会長】  ありがとうございます。
 続きましてオンラインに移りまして、笠井さんからお願いいたします。
 
【笠井委員】  ありがとうございます。オンラインで失礼いたします。私は現地に参りましたのが初めてでしたので、復興の様子もそうですけれども、やはり帰還困難区域の土地などの様子、田んぼだったところが林のようになっているといった、そういったことが一番印象に残りました。現地の様子という意味では、まず、それが1点です。
 そして賠償の関係ですけれども、ADRについて、なかなかうまく進まなかったような御意見があったことについては、やや意外にも思いましたけれども深刻な問題なのかなと感じました。
 また、先ほどから出ておりますけれども、高齢の方々の手続がなかなかうまくできないようなことへの対応というのは我々としても考えていかなければいけない。かなり今までもずっと関係者の方々は努力されていると思いますけれども、その後、なぜ、それがまだ最後までうまくいかないのかというあたりは気になったところでございます。
 以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございました。
 続きまして田代さん、お願いできますか。
 
【田代委員】  よろしくお願いいたします。
 私も今回初めて視察に参加させていただきました。ただ、私の場合、震災直後、本当に3月25日ぐらいから現地に入って、子供の甲状腺の調査とかに入った経験がございまして、そういう急性期の状況はよく知っていて、ただ、その後は福島県立医大を通して間接的に福島の状況をいろいろ見させていただいていたところがございます。
 今回初めて自治体の方とお話をさせて、お話を聞かせていただく機会を得たので、やっぱりその当時からはもう本当に全然違う、復興に向けて前向きな形で皆さん、住まれているというのがよく分かりました。
 施設も非常に立派なものができていて、そういう力強い復興が進んでいる一方で、かなり厳しい、特にお年寄りに対して厳しい、あるいは農業をやっている方々に対して非常に厳しい状況だということを、これ、なかなか一生懸命やっていても伝わっていかないような現状というのがよく分かりました。
 中間貯蔵施設なんかも実際に見させていただいたところで、ああいう大きいものがそこにあって、さあ、これを見ながらどうやって進めるかと、人の心ですから、すごくいろいろ複雑な思いを皆さん、抱えていらっしゃると思って、そこに、非常に人によって違う精神的な状況を持つところに、個別にこういう賠償の対応していくのは本当に難しいことだなということを、本当に実感させていただいたところでした。
 以上です。ありがとうございます。
 
【大村会長】  ありがとうございます。
 次、手嶋先生、お願いいたします。
 
【手嶋委員】  手嶋でございます。どうもありがとうございます。
 私も今回初めての視察だったということもございまして、これまで映像でありますとか報道でしか知らなかったことが、眼前に拝見させていただいたことが、ある意味、非常に強烈な印象を持ちました。また同時に、そういう状況というのを特に関東以外の方面の方に十分に知らされている状況になっているかなという、そこら辺のところをちょっと感じたところではございます。
 それと、今回の視察に際して現地の方々、特に被災者の方々のお声を直接聞ける機会があったのは非常によかったかと思います。その中でも、やっぱりその話が触れられていましたけれども、特に高齢者に対する目配りについて、さらに配慮が必要な状況にあるのかなということを感じた次第であります。
 私からは以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございます。
 それでは、最後になりますが横山さん、お願いいたします。
 
【横山委員】  横山でございます。私も今回は視察が初めてでございまして、既に笠井委員、手嶋委員、それから田代委員からもお話がありましたように、実際に現場で見て、笠井委員もおっしゃっていましたけれども畑だったところが林になっているような状況で、時間がたっているけれども状況としてはこういう状況なんだなということを、空気とか風も含めて感じることができたことが非常に大きかったと思います。
 また、その中で、何回もお話出ておりますけれども高齢化の問題、高齢者に対する対応ということの重要性がますます大きくなっているように思いました。その点では、もう今まで本当に工夫はされているのだろうとは思いますけれども、どれだけ私どもといいますか、東電でアウトリーチができるのかということ、それから希望があれば、これしますよというような受け身ではなくて、こちらから、これはいかがですかというような形でどういうふうに積極的に寄り添うことによって、1人も取り残さないという賠償を実現できるかということが課題であるかなと思いました。
 以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございました。最後に、私から私の所感を述べさせていただきたいと思います。
 もう何人かの委員の御発言の中にもございましたけれども、今回の視察先、前年度と同じ場所を見せていただいたところが何か所かございました。その中で、特に例えば双葉町、大熊町のそれぞれ駅の周辺などは随分様子が変わってきて、人が歩いているような、行き交うのが見られるようにもなってきております。そういう意味で、復興は着実に進んでいる印象を一方で抱いていました。
 他方、これも多くの委員の方々がおっしゃったように、なお立入りができない地域を見せていただきますと、15年前の状況がそのまま時間を経て残っている状況でありまして、このコントラストというのに非常に強い印象を受けたところでございます。
 今回の現地視察におきましては、さらに被災自治体に加えて双葉町の町民の方々との意見交換会も実施いたしました。被害者や自治体の方との意見交換におきましては個別事情に応じた賠償に関する周知、あるいは高齢者など自ら賠償手続を実施することに困難を抱えている方々への対応、さらに避難長期化によって生ずる様々な損害に対する賠償、指針の適時の適切な見直しなどについて多くの御要望をいただいたところでございます。
 第五次追補を含めた賠償に係る対応について、賠償は進展していると、着実に進展しているという声があった一方で、いまだに各自治体に問合せが来ている状況で御苦労されており、特に賠償手続がADRセンターを含めて複雑であるために、高齢者の方々を中心に賠償請求に進むことができていないといったお話も伺ったところでございます。ここでも、ある種のコントラストというのがあるんだなということを感じました。
 審査会におきましては、これまで迅速、公平かつ適正な賠償の実施が実現いたしますよう、東京電力の賠償状況について注視してきたところでございますけれども、このような被害者あるいは自治体の方々からの声をいただいておるところでもございますので、賠償に関する対応状況を検討し、審議することが重要であると考えております。
 そこで、東京電力及びADRセンターから現在の取組の状況や今後の取扱いについて、事情を伺いたいと思います。まず、東京電力から御報告をお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【弓岡副代表】  それでは、東京電力からお話させていただきます。
 私、東京電力ホールディングスの執行役員で、福島復興本社の副代表を務めております、弓岡と申します。大村会長より、弊社原子力損害賠償に関する取組を御説明するお時間を頂戴いたしました。この後、御説明申し上げますが、前提として簡単に何点かお話しさせていただきたいと思います。
 まずは、福島第一原子力発電所の事故から間もなく15年を迎えようとしておりますが、今なお、福島県及び広く社会の皆様に多大なる御心配と御負担をおかけしておりますことにつきまして、心より深くおわび申し上げます。本当に申し訳ございません。
 その上で、原子力損害賠償紛争審査会の委員の皆様におかれましては、現地での御視察や、また、弊社の賠償の対応に関しまして御確認をいただくなど、日頃から多大なる御尽力をいただき、本当に心よりお礼申し上げます。弊社は、まだまだ至りませんが、事故により被害をお受けになられた方々に対しまして審査会での審議内容等を踏まえ、全社を挙げて中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償も含めまして、迅速かつ適切な賠償に取り組んでおります。
 この1月には先ほど副大臣からもお話がありました、弊社の経営計画となります第五次総合特別事業計画を原子力損害賠償・廃炉等支援機構様とともに主務大臣様に申請し、認定をいただきました。その中で原子力損害賠償につきましては「3つの誓い」を徹底し、被害を受けられた方々に丁寧に対応させていただきながら、弊社事故に対する損害に対して迅速かつ適切な賠償を実施してまいります。
 また、少し廃炉の話になりますが、以前も審査会の先生方に、弊社福島第一原子力発電所を御視察いただいたこともございますが、機会がございましたら福島第一にもお越しいただき、廃炉の最新状況などについても、御説明させていただければ幸いでございます。
 弊社、まだまだ至りませんが、今、お話しいただきました御高齢の方々への対応を含め、様々模索してまいりました。本日はこの後、福島原子力補償相談室長の山崎から具体的な御説明申し上げます。何とぞよろしくお願いいたします。
 
【山崎室長】  弓岡より紹介いただきました、福島原子力補償相談室長の山崎と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、大村会長よりお話がございました当社の原子力損害賠償における御請求をいただいていない方への主な周知と、御請求手続に関する負担軽減の主な取組について、私から御説明させていただきます。お手数ですが、お手元の資料1-2を御覧いただきたいと思います。
 初めに、御請求いただいていない方への主な周知について御説明いたします。従来より当社はコールセンターや福島県内に御相談窓口を設置し、福島県内外にお住まいの被害に遭われた方々から御相談を承る体制を整備しております。コールセンター等においては、御請求いただいていない損害項目について御案内しております。例えば第五次追補等を踏まえた追加賠償について御相談いただいた際には過去の請求状況を確認させていただき、御請求いただいていない損害があれば改めて御案内するとともに、追加賠償の増額事由についても御案内しているところでございます。お一人お一人の御事情を丁寧に伺いながら、どのような損害が御請求いただけるのかを個別にお伝えしております。
 また、第五次追補等を踏まえた追加賠償では請求書を送付した後、御返送いただいていない場合はダイレクトメールやお電話を通じてお知らせするとともに、自治体様の広報誌へ記事を掲載するなど御請求の御案内を継続しております。
 加えて、お亡くなりになられた方に関する賠償の御案内としては、過去に相続人の代表者として御請求いただいた方へダイレクトメールで御案内を送付しております。
 また、第四次追補までの賠償を御請求いただいている方で、まだ御請求いただいていない損害項目がある方に対しましても同様の対応を行っており、きめ細やかな御案内に努めております。
 続きまして、御請求手続に関する御負担軽減の主な取組について御説明いたします。当社はコールセンターでのお電話に加え、御要望に応じて当社の社員が御自宅へ訪問させていただき、請求書の作成のお手伝いをさせていただいております。また、御請求を希望されていてもコールセンターでの御案内が聞こえにくい方や、県内にある常設の御相談窓口への御来訪が難しい方など、御請求者様にも様々な御事情がおありになるかと存じます。そのような方々への御負担を少しでも軽減すべく、お越しになりやすい場所への臨時御相談窓口の開設に努めておるところでございます。そのほか、高齢者福祉施設へ説明会の開催を御提案するなど、御請求者様の御要望に合わせた御負担軽減に努めております。
 また、証明書類の取得が困難な方についてですが、要介護状態であることによる精神的損害の賠償においては、当社は御請求者様からの証明書類の取得に関する委任をいただいた上で自治体様へお伺いし、要介護状態等の認定履歴の確認や取得を代行させていただいております。
 また、ALPS処理水の放出に関する事業者様などへの賠償においては、当社が訪問の上、その場で証明書類を確認させていただく、あるいは当社が提示する証明書類の準備が困難な場合は代替の書類を御提案するなど、御請求者様の個別の御事情を踏まえた柔軟な対応にも取り組んでいるところでございます。
 このような取組の上でも、御請求いただいていない方が一定数いらっしゃいます。現在、そのような方に向けて、一部の自治体様においてですが行政区長様など、地域の方の御理解と御協力をいただきながらお手続きが困難な方への接触の機会を創出し、御請求手続のお手伝いをさせていただいているところでございます。当社は引き続き、御高齢の方など御請求いただくことが困難な方に対して、きめ細やかな対応に努めてまいりたいと考えております。
 私からは以上となります。
 
【大村会長】  ありがとうございました。
 続きまして、ADRセンターからの御報告をお願いいたします。
 
【田中室長】  ありがとうございます。原子力損害賠償紛争解決センターの室長の田中でございます。ただいま、大村会長をはじめとする委員の先生方から御発言がございました、昨年9月の審査会の現地視察でいただいた御要望に関連するADRセンターの取組について御説明をさせていただきます。
 まず、本日の資料、通しページでは23ページ目の資料でございます。そちらを御覧ください。まず、個別事情に応じた賠償に関する周知についての取組でございます。
 これまでADRセンターでは、当センターの和解仲介手続によって個別事情に応じた賠償額の増額を受けられる可能性があることにつきまして、被害者の方に御自身のこととして捉えていただくことを目指し、積極的に広報、周知活動を行ってまいったところでございます。まず、地方公共団体等との連携によりまして、年間100回を超えます説明会を実施しております。調査官等が個別の御事情もお伺いをしながら、当センターでの話合いの手続について御説明をするとともに、その場での申立ても受け付けております。
 また、図1に記載しておりますような説明会を開催する地域に特化をした和解事例を掲載した広報チラシを作成いたしまして、地域の広報誌への同封、あるいは説明会の会場で直接お渡しする等の手段によりましてお知らせをしているところでございます。
 そのほか、当センターのホームページで包括的な事例集を公開するとともに、図2にありますような自治体ごとに作成をした事例集や、令和6年度に作成した当センターでの話合いの手続等の解説漫画冊子等を配布しております。
 続いて、直近で実施をしている取組を御説明させていただきます。図3に示しております令和8年4月発行の福島県全戸配布の広報紙、『つながる ふくしま ゆめだより』に掲載予定の広告をはじめ、直近の広報誌の広告記事等においては、簡潔な増額事由の例示や分かりやすいレイアウトによって申立てをより身近に感じていただけるような工夫を行っているところでございます。
 賠償の増額を受けられる見込みがあるにもかかわらず、その見込みが分からない、あるいは不安を感じておられると、そういった理由で申立てをこれまでされてこなかった被害者の方というのは、一定数いらっしゃるのではないかと思われるところでございます。当センターといたしましては説明会の実施も含め、個別事情に応じた賠償の可能性を発信する広報、周知活動を引き続き積極的に実施をしてまいります。
 引き続きまして、通し番号で24ページの資料を御覧ください。こちら、御高齢の方等、御自分で賠償手続を実施することに困難を抱えている方への対応についてでございます。当センターでは御高齢の方をはじめ、自ら複雑な賠償手続を行うことに困難を抱えている方にも当センターを利用していただけるよう、利用のためのハードルを下げるための取組を進めてまいりました。
 まず、申立てについての負担を軽減いたすために、図4にお示ししているとおり、申立書はチェックシートによる回答を中心とする簡易な構成としております。それで、このシートに記載をされた請求項目にチェックをしていただければ、具体的な事情を記載していただかなくても申立てを受理する形で運用しておりまして、その後、必要な事項は担当する調査官等がお電話等で御確認をさせていただくような取扱いをしているところでございます。
 また、福島県内に郡山の福島事務所、それから4つの支所を開設いたしまして和解仲介手続の説明や申立ての受け付けを行っているほか、先ほど申し上げましたように、年間100回を超える住民の方々への説明会で、調査官等が申立書の記載方法について直接御説明をしております。
 さらに、福島事務所で現在実施をしております平日夜間土曜窓口ではオンラインや電話での御参加も受け付けておりまして、説明会の会場に行くことが難しい方からも直接お話をお伺いしているところでございます。
 申立書を受け付けた後につきましても、調査官が申立内容の整理を積極的に行わせていただくほか、証拠書類の少ない場合であっても、被害の実態に即して申立人の御説明等に基づき、積極的な事実認定を行う等の対応をしているところでございます。
 そして直近で実施をいたしました取組としましては、ADRセンターのホームページにつきまして、利用される方の利便性及び分かりやすさの観点から令和8年1月にレイアウト等の改良を実施いたしました。
 例えば図5にお示しをしておりますが、手続方法の説明箇所や申立書の様式の掲載ページ等に移動できるリンクボタンをページの最上部に設置をすることで、申立てに当たって特に重要と思われる情報へのアクセスをしていただきやすくするなどの工夫を行っております。
 また、令和7年度は社協連携避難者支援センターと連携をした取組を実施しておりまして、戸別訪問される支援センターの職員の方にADRセンターについてのチラシをお渡しし、必要に応じてセンターを紹介していただくことを依頼いたしました。なお、社協といいますのは社会福祉協議会の略語でございます。
 そのほか、支援センターが主催をするイベントにおいて、ADRセンターの説明会も開催をさせていただきました。
 センターを利用する方には御高齢の方も多く、複雑な手続を実施することが困難な方の負担も低減していくことはとても重要であると考えているところでございます。これまでに述べました取組を継続していくとともに、さらなる負担軽減のための方策を引き続き検討をしてまいります。
 以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの東京電力及びADRセンターからの2つの御報告につきまして、まとめて御意見、御質問等ございましたらいただきたいと思います。どなたからでも結構ですので、お願いいたします。
 どうぞ、足立先生。
 
【足立委員】  どうも、足立でございます。よろしくお願いいたします。
 ただいまの東電からの御報告、さらにはADRセンターからの御報告をお伺いしていて、大変努力されているなというのが正直な感想です。やっぱり高齢者等、手続をするのに高いハードルを感じている方等の関係では、対面での、口頭でのやり取り、あるいはパソコン上ではなくて電話によるやり取りといったところ、さらには書類作成のお手伝いといったところが重要になってくるかと思うんですけれども、東電の御報告でもそういう訪問による手伝い、あるいは巡回といいますか、近いところでの手続のお手伝いをされているということですし、ADRセンターはもちろん対面でのやり取りというところで、個別具体的な事情を酌んでいるというところで、かなりの高いレベルまでいろいろと御努力されているなというのは率直に感じました。ただ、今回の現地視察で出た御意見というのを先ほど委員の皆さんからお聞きしましたけれども、やはりまだ手続に対して不満というか、を持たれている被災者の方も少なくないというところで、そこが伝わっていないところが残念だというお話あったと思いますけど、私、全く同感で、これだけいろいろなことをしているんですけれども、やっぱり伝わってない部分があるところですよね。それが何で伝わらないのかというところを、少しゆっくりじっくり、あまりゆっくりしてもいられないんでしょうけれども、よく考えた上で何らかの対策が取れるのかどうかということを今後、検討していく必要があるのかなといったようなことを感じました。
 感想ですけども、以上です。
 
【大村会長】  ありがとうございます。
 どうぞ、織さん。
 
【織委員】  足立先生と似たコメントなので、併せてコメントさせていただきたいと思います。
 私、今年度は残念ながら視察に伺うことができなかったんですが、今まで3回、現地視察に伺わせていただきました。そこで住民の方がおっしゃっていることは基本的には変わっていらっしゃらないんですね。やはり申立てが大変だ、なかなかできない、あるいは周りの人で知っている人がいないというようなことで、届いていないというところがずっと変わってきてないっていう、ここが大きなポイントだと思うんですね。
 かといって全然やってなかったわけではなくて、ADRセンターですとか東電さんとかずっとやっていた。なので多分、届いているところもあるけど、届いてないところもあるということだと。だから、そこをきちっと、どういうところ、ここは届いているんだけど、こっち側は届いてない、なぜ届いてないんだろうか、あるいは知っているけれども申立てが面倒くさいからやらないというのがすごく大きな理由なのか、その辺のやっぱり分析をしていかないと、ずっとこれから先も同じことを繰り返してしまって不満に応えていない現状になってしまう。ただこの意見を聞いているだけということになってしまうと思うんです。
 ADRセンターがやっていらっしゃる、このチェックリストってすごくいいと思います。あと社協との組合せというのは、まさに社協というのは地域と連携していて身近なネットワークなので、そこを利用しているところはすごくいいと思います。
 東電さんに関しては、私が何回か前に伺ったときには、地元の被災者の方から聞いたのは、自分たちが被害を受けたら何で私たちが証拠書類をそろえなくちゃいけないんだと、本来であれば、加害を行った東電で全部そろえるべきなんじゃないかと。そういう思いはきっと忸怩たるものとして根底にあると思うんですね。ですので、もし東電さんもできればこのチェックリストみたいなので、そもそも希望しているのか、してないのか、しているとしたら、どういう範囲、どこだったのかということだけ分かれば、後で書類としては、こんなものが必要ですよ、証拠はこんなものが必要ですよって、本当にもっと簡単にできるような、ADRのやつは本当にいいと思うので、ぜひこのやり方みたいなものが両方共同でやれればいいんじゃないかなと思います、ということがコメントなんですけど。
 1点、ADRさんへの質問なんですけれども、このチェックリストをやって実際どれぐらい効果があったのか、あるいは社協を使っていくことによって、皆さんに届いて、より声が聞けているみたいな、そういった具体的なお話というのがあったら、共有していただければと思います。
 以上です。
 
【大村会長】  もしADRで何かありましたら、お答えいただけたらと思いますが。
 
【田中室長】  御質問ありがとうございます。ADRセンターの田中でございます。
 社協との連携というのは、社協がこの支援センターというのをつくり始めたのは比較的新しいところで、そういうニュースを聞いて、各自治体の社協に行くよりは連携支援センターに行ったほうがいろいろ話しやすかろうというので、働きかけを始めたというのが、一昨年に郡山に最初に行って、その後、相双であるとか、いわきであるとか、その辺りの働きかけをしたというところなんですけれども。
 効果てきめんという感じではないのですが、ただ、先ほど先生からお話ありましたように、実際に支援員の方が被害者の方のところに訪問されるところがあって、そこでいろいろ機会があったら説明を、情報提供をしていただく、あるいは先ほど申し上げたような、社協のイベントで説明会させていただくというところで、周知には一定の効果があるのかなと思っているところでございます。
 それからチェックリストについても、これはもう比較的前から、私がたしか着任したときも、そういう形になっていたのをある程度、見直していったというところで、自分で全部一から書くよりはかなり簡単に、どの項目というところをチェックしていただくことだけでも形になるというのは非常に申立てをしやすいというか、分かりやすいのかなと思っているところでございます。
 以上です。
 
【大村会長】  ありがとうございました。
 オンラインでも手を挙げておられる方がいらっしゃいますが、田代さん、笠井さんという順番でお願いできますか。
 田代委員、どうぞ。
 
【田代委員】  ありがとうございます。これ、どちらにお聞きしたらいいか分からないんですけど、高齢の方などで請求書、出てないというお話で、これ、あと何人ぐらい残っているのか、あと何人ぐらいしなきゃいけないのかという大体の目安なんか、あるんでしょうか。どのくらいちゃんと届いてないようなんだという、どちらでもいいんですけど。
 
【大村会長】  どちらからお答えいただくのがいいかしら。
 山崎さん、はい。
 
【山崎室長】  次の議題、資料2-2の資料で申しますと、全体約148万人の方が賠償の対象者であると考えております中で、御請求の受け付けをいただいている、御連絡をいただいている方が約142万人ということで、こちら、約6万人の方からまだ御請求の受け付けをいただけていない、逆に申し上げれば御請求をまだお送りできていない状況がございます。
 もう一つ言えば、さらに142万人、御請求書を発送しておりますけれども、そのうち約137万人の方から実際の御請求を受け付けておりますので、いまだ、この差である約5万人の方は御請求の返送をまだ待っているという状況であります。
 一旦の事実関係として以上となります。
 
【田代委員】  ありがとうございます。まだ数万人の方が個々にこういうレスポンスが得られていないということなんですけど、今、個別にいろいろ請求書、電話をされたりとか、そういうこともされているのかもしれませんけど、結局こういうのって待っていてもなかなか、広告をいくら出したりしてもなかなか難しいところがあるのかなと思うので、自治体の方、自治体か何か、本当にそういうところと一緒に、プライバシーの問題もあるかもしれませんけど個別に当たっていく方法をしないと、なかなかいくら広報の仕方を工夫したり、電話でっていっても限界があるのではないかなという気がするんですけど、そこはどういう形で。
 
【弓岡副代表】  御指摘のとおり、大量に請求書をお送りして、お支払いいただく方々は、数が進んでおりますがそれぞれ御事情のある方が残っております。ダイレクトメールの送付や臨時御相談窓口の開設などをやっておりますが、正直かなり地道な取組になっています。
 そこで、御自宅への御訪問や県内の高齢者福祉施設175施設に御案内をさせていただいて御担当者様から御親族にお話が行って、御請求につながったりというようなこともございました。
 また、取り組み始めておりますのが、地域の中で御縁のある方に御紹介いただくようなことも、こちらから出ていってやり始めておりまます。御事情があってなかなか動けない方、また御請求が難しい方等、御高齢の方がどうしても多くいらっしゃいますので、こちらからのアプローチを今、お話ししたようなステップでやっております。ただ、まだまだでありますので、これらを継続してしっかりやってまいりたいと思っております。
 
【田代委員】  ありがとうございます。いや、もうそういうアクティブな方法でやらないと、もうお年寄りも1年、2年であっという間に状況が悪化することもよくありますので、できるだけ早く進めなきゃいけないと思いますし、そういうときには私はやっぱり今、おっしゃったような取組をもっと加速するべきなのかなと感じました。
 以上です。
 
【大村会長】  ありがとうございました。
 笠井さん、では、お願いいたします。
 
【笠井委員】  ありがとうございます。私、東電の方と、それからADRセンターの方に一つずつ質問があったんですけれども、東電の方への質問は先ほどの田代先生の御質問ともほぼ重なっていまして、まだ残っていらっしゃるのは何が足りないと認識しておられるかということをお聞きしたかったというところでございまして、今後はそれでどうされるのかということも聞きたかったので、今、お話で大体分かりましたので、個別のアプローチを今後とも続けていただくということで了解いたしましたので、そこはもう結構でございます。
 ADRセンターの方には、先ほど私、初めの発言で申し上げましたけれども、今回の資料の通しページの5ページに住民の方のお話の中で、震災直後にADRで申し込んだけども話が一、二年たっても全然進まず、ADRをやめて東電に直接請求したところ、それなりにスムーズに支払われたという御発言があって、これは震災直後のことと、限った話と理解していいのか、あるいは、もしそうだとすると何が理由だったのかということ、そして現在の状況だと、現在というか、第五次追補の後と言ったほうがいいかもしれませんけれども、こういったことはないのかということを伺いたいと思います。
 以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございます。
 それではお願いします。
 
【田中室長】  御質問ありがとうございます。ADRセンターの田中でございます。
 ただいま御指摘のあったケースというのは、具体的な個別事情がどうだったのかというところが把握しかねる部分もございまして、確たるところというのはちょっと現時点ではお答えしづらいところもあるのですけれども、震災直後ということになりますとADRセンターも立ち上がったばかりの頃で、いろいろと仲介委員の先生も担当調査官も室全体、ADRセンター全体としても手続を試行錯誤しながらやっていた部分もございまして、必ずしもセンターの体制というのが十分に整っていなかった点はあったのであろうと思います。
 あとは、申立件数も震災直後はちょっと現在とは全然比べものにならないほど、ものすごく多く来ていたところもありまして、そのような状況がいろいろと組み合わさって、ケース、事案の中にはなかなかスムーズに進まなかったものもあったのかなと推測をするところでございます。
 ただ、その後、センターの手続のやり方というのも定着をしてまいって、事件自体も回っているということで、複雑困難なケースであったり証拠が膨大であったり、一定のそういうケースですと時間がかかってしまうケースというのはどうしてもあるのでございますけれども、基本的には近年は合理的な期間内に審理を進められているのかなと思います。
 後ほど審理期間についても御報告申し上げますけれども、8か月、9か月というところで、全般的に審理ができているというところかなと思いますので、現時点ではADRがうまくいかなくて東電さんに切り替えたらというようなケースというのは、恐らくないのではないかと思っているところでございます。
 以上でございます。
 
【笠井委員】  ありがとうございます。すみません、ちょっとだけ追加で、個別のケースの事案によって時間がかかってしまうようなケースに関しては、当事者の方に時間がかかっている状況とか、そういったことについては、きめ細かくお知らせいただいたりしているでしょうか。
 
【田中室長】  ありがとうございます。特に時間がかかるケースですと、例えば自治体案件、自治体が当事者になっている案件ですと、どうしても損害の請求費目あるいは資料が膨大になっているということで、東京電力さんの側も当然、それを検討するのに時間がかかるようなところもありまして、そういうケースは全般的に時間がかかるような共通認識になるかなと思いますし、個人等々で非常に資料が膨大であったり、あるいは途中で相続が発生をしてしまって、その辺の調整が必要だといったケースもございます。
 そういうケースの場合には、いろいろと申立人にお願いをして準備をしていただくということですので、なかなか御本人がやられることですとスムーズにいかない面もありますけれども、そこは頻繁に調査官から連絡をとって、進捗状況なんかを確認をして進行管理をしているところですので、今、先生おっしゃられましたとおり、ある程度、時間がかかっている理由などは認識の共有をするようにしていると御理解をいただければと思います。
 以上でございます。
 
【笠井委員】  ありがとうございました。
 
【大村会長】  ありがとうございました。
 横山委員、どうぞ。
 
【横山委員】  ありがとうございます。1点のコメントと1点の質問をさせていただきます。
 まず、コメントといたしましては先ほどの田代委員の御発言と関連しますけれども、本当に高齢者にリーチするために周囲の人も巻き込んでといいますか、社協の方とか関係する方々というお話ございましたけれども、現場で町民のお話を伺ったときも町民の方が、御本人じゃなくて我々が代わりに書いて出すことができたらいいのにというようなお話もございました。
 そういうわけにはいかないと思いますけれども、周囲の方々を巻き込んで、そういう方を通じて高齢者の方にアクセスをして、そして安心した環境でもって、電話しても多分お耳が聞こえないとか、話が分かりにくいとか、いろんなことあると思いますので、周囲の方々とともに助けをいただきながら進めていただくのは大変いい試みかと思いました。
 質問につきましては、本日の資料で大熊町との意見交換の中でございます。全体の3ページにある中で、一時立入りしたときの証拠書類について体系化されておらず、請求する際に準備ができないという話を聞いているという御意見がございました。先ほどの御報告の中では提出書類の代行ということをお話ししましたけれども、そもそも何を出したらいいのかということについて、十分伝わっていないのではないかということをそのときに思ったのですけれども、その辺り、証拠書類は何が必要で、どの程度、厳密に、あるいは、何ていいますか、事情に応じて対応されているのかということを、どちらにお伺いしていいのか分かりませんけれども教えていただければと存じます。
 
【山崎室長】  東京電力でございます。
 ただいま横山委員からお話いただきました一時立入りの書類の関係ですけれども、大変御迷惑をおかけしております。以前からこのようなお話をいただいて、弊社の中で検討を進めてきておりました。
 その結果、今年の1月5日分から御請求者様の御負担軽減を図るための証憑の明確化を図っております。交通費や宿泊費等の御負担が証明できるような書類の確認に加えて、一時立入りの事実が確認できる証明書類というところがやや明確にされていなかった点がございましたので、それを明確化し、運用を見直して早速取り組んでいるところです。ホームページにも載せておりますので、この新しい見直した形で引き続き取り組んでいきたいと考えております。
 以上でございます。
 
【横山委員】  ありがとうございます。
 
【大村会長】  ほか、よろしいでしょうか。ありがとうございました。様々な御意見あるいは御質問いただきまして、御報告とその答え併せて現在の状況につきまして私どもの認識もかなり深まったのではないかと感じております。
 引き続きまして、東京電力及びADRセンターにおきましては個々の被害者に寄り添った形で丁寧な対応をしていただくよう、改めてお願いを申し上げます。
 それでは、議題1はここまでということにさせていただきまして、次の議題に入りたいと思います。
 議題2の東京電力ホールディングス株式会社による賠償の現状及び今後の対応について、という部分でございます。原子力損害賠償の支払い状況、第五次追補を踏まえた追加賠償に係る支払い状況、ALPS処理水放出に関する賠償の取組、こうしたことについて東京電力から御説明をいただければと思います。お願いをいたします。
 
【山崎室長】  東京電力でございます。それでは早速、御説明をさせていただきます。お手元の資料の2-1の原子力損害賠償のお支払い状況等を御覧いただければと思います。
 賠償の御請求・お支払い等実績は個人、個人の自主的避難等に係る損害、法人・個人事業主などに分けて記載しております。個人及び個人の自主的避難等に係る損害の項目には、以前からお支払いしている個人の方への精神的損害や自主的避難等に係る賠償以外にも、中間指針第五次追補を踏まえた追加賠償も含めた件数及び金額を記載しております。
 表の一番下のお支払い総額のところを御覧ください。昨年12月末時点で約11兆6,497億円をお支払いいたしました。前回69回審査会において御報告申し上げた昨年4月末時点のお支払い総額と比べ、約878億円増加しております。
 下のグラフが賠償の支払い等の推移でございますが、グラフの一番右側ですが、下から2番目のグレーの部分が個人の方へのお支払いで約3.56兆円、その上の法人・個人事業主の方へのお支払いが約7.49兆円、そして一番上の個人の自主的避難等に係る損害へのお支払いが約0.45兆円となっております。
 また、グラフの一番下となりますが、消滅時効に関する当社の考え方を記載しております。当社といたしましては時効の完成をもって一律に賠償請求をお断りすることは考えておらず、御請求者様の個別の御事情を踏まえ、消滅時効に関して柔軟な対応を行わせていただくことを表明しており、実質的には時効を援用し、御請求をお断りすることは考えていないということでございます。
 次のページを御覧ください。賠償項目別の合意金額の状況は、これまでに合意いただいた総額を賠償項目別に分けて記載しております。
 また、次のページを御覧ください。先ほどの表に記載のとおり、個人賠償には精神的損害、就労不能損害、検査費用等が含まれておりますが、それらを一つの御請求でまとめてお支払いできる様式を御用意し、2012年から受付を開始しております。この様式で御請求いただいた方の世帯ごとの平均の合意額を記載しております。
 次のページを御覧ください。原子力損害賠償請求訴訟等の状況は、調停、仮処分を含めまして728件の訴状などが送達されており、既に660件は終了し、68件が係属中でございます。引き続き紛争の早期解決を目指し、真摯に対応してまいりたいと考えております。
 なお、福島原子力補償相談室は1月1日時点で約2,400人の体制となっております。前回の審査会にて御報告した昨年5月1日時点の約2,500人から約100人減少しておりますが、追加賠償やALPS処理水放出に関する賠償のお問い合わせ、御請求の状況などを踏まえて御相談体制を適宜見直しております。引き続き必要な体制を確保しながら、適切に賠償を行えるよう対応してまいります。
 未請求の方々の状況につきましては、昨年12月末時点で581名の方が未請求でいらっしゃいます。未請求の方々に対し、電話や訪問で御請求くださるよう御案内を継続しており、前回審査会において御報告申し上げた昨年4月末時点と比べると、新たに20名の方に御請求をいただきました。引き続き対象の方から御請求いただけるよう取り組んでまいります。
 それでは続いて、中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償の対応状況について御説明いたします。お手元の資料2-2を御覧いただければと思います。
 追加賠償につきましては、2023年4月より御請求の受付を開始しており、これまでに臨時御相談窓口の開設や個別説明会の開催に取り組んでまいりました。また、御請求者様の中には、最後に当社に御請求の連絡をいただいてからお時間が経過し、住所変更やお子様が成人されるなど、世帯構成に変化が生じている方も多くいらっしゃり、対象となる方の御住所の把握が難しいという状況でございますが、これまで新聞やテレビ等への広告出稿などにより御請求を呼びかけてまいりました。こうした取組の結果、1月30日現在、追加賠償の対象の約148万人のうち約142万人の方に御請求書の発送をさせていただくなどしており、前回の審査会から約1万人増加しております。
 追加賠償の御請求・お支払い実績については、対象の9割に相当する約137万人の方から御請求いただき、このうち約136万人の方にお支払いしております。こちらは、前回から御請求受付、お支払い完了、共にそれぞれ約1万人増加しております。
 御請求いただいていない方への対応を資料下段丸3に記載しておりますが、自治体様の御協力をいただきながら、引き続き広報誌への掲載や折り込みチラシなどを通じ、御請求の御案内に取り組んでまいりました。
 臨時御相談窓口は、御請求者様の声や自治体様の御要望をお伺いしながら、これまで36か所で開設しており、前回の審査会以降も新たに9か所で開設させていただきました。現在、御高齢の方にもお越しいただきやすい場所での臨時御相談窓口の開設に取り組んでいるところでございます。実際来訪された方の大半は御高齢の方で、内容が分からずそのままにしていたが、自宅近くで窓口が開催されることを知って相談に来た、今回相談ができてよかったなどのお声を頂戴しております。次回は、3月に福島市の飯坂町、いわき市の四倉町で臨時御相談窓口を新たに開設する予定でございます。引き続き御高齢の方々にも利用していただきやすい窓口の開設に向けて取り組んでまいります。
 また、これまでも電話や訪問により御請求書作成のお手伝いをさせていただいており、その御請求受付開始から約3年間で約2,400件、そのうち御高齢の方へ約1,400件、訪問による御請求書作成のお手伝いをさせていただいております。こちらは前回から約200件増加しております。引き続き御高齢の方も含め、電話や訪問などを通じ、お一人お一人に対して丁寧な対応に努めてまいります。
 なお、先ほどありましたように、まだ当社が住所を把握できておらず、御請求書をお届けできていない方が約6万人おります。先ほどの御高齢者を除いた形の大きな固まりとしましては、現時点の概算ではありますけれども、転居している方、あるいはお亡くなりになられた方が大きく半々と想定しておるところでございます。引き続き自治体様の広報誌への御案内の掲載や、臨時御相談窓口の開設などに取り組んでまいります。また、お亡くなりになられた方々に関する賠償の御案内としては、先ほども御説明しました過去に相続人の代表者として御請求いただいた方へダイレクトメールによる御案内に取り組んでまいります。
 また、重ねまして、繰り返しになりますけれども、先ほどの御高齢者の方への対応にしましても、当社のほうからプッシュで対応ができるのではないかということを引き続き考え、取り組んでいきたいと考えております。
 また一方で、当社から御請求を発送した方のうち、御請求書を御返送していただいてない方が約5万人おります。その理由を確認させていただいておりますけれども、御回答いただいた方のうち、御請求の意思をお持ちの方が約6割弱いらっしゃいまして、御請求の意思をお持ちでない方が約1割いらっしゃる状況でございます。御請求の意思をお持ちの方の中には、今は忙しいので自分のタイミングで請求をするという形で、直ちには御請求を希望されていない方が大半であることを確認しております。当社としては、御請求者様お一人お一人の御事情を踏まえながら、定期的な電話やダイレクトメールによる御案内、請求書作成のお手伝いに努め、御請求いただけるよう継続して取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、ALPS処理水の放出に関する賠償の取組状況について御説明いたします。お手元の資料2-3を御覧いただければと思います。
 ALPS処理水放出が決定された2023年8月22日以降、2026年1月28日時点で約1,000件、約870億円の賠償金をお支払いしております。御請求の大半は、外国政府からの輸入停止措置等に関する被害であり、輸出先別では中国、香港、対象品目ではホタテ、ナマコに関する被害のお申出を多くいただいており、輸入停止措置等により国内の事業者様などに発生した被害に対して適切に賠償させていただきます。賠償に関するお問合せは、引き続き御相談専用ダイヤルでお伺いするとともに、当社ホームページ等で分かりやすい情報発信に努めてまいります。
 私からの説明は以上となります。
 
【大村会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの東京電力からの御説明につきまして、御意見、御質問等がございましたらお願いをいたします。
 よろしいでしょうか。特にございませんか。ありがとうございます。先ほど既にお尋ねいただいているというようなこともあろうかと思いますけれども、ここについては、特に御質問、御意見等はないということで進めさせていただきたいと思います。
 今、東京電力による賠償の現状及び今後の対応について御説明いただいたところでございます。第五次追補等を踏まえた追加賠償の支払い状況について、追加賠償対象者約148万人のうちの約9割の方におかれましては、直接請求の手続が終了している。それに対して、引き続き御高齢の方を含め賠償未請求の方々がいらっしゃる。これらの方々への対応、お話がありましたけれども、今後も東京電力にはしっかり取り組んでいただくということが重要であると考えております。
 中間指針は、類型化が可能で、一律に賠償すべき損害の範囲や項目の目安を示したものでありまして、第五次追補では、指針が示す損害額の目安が賠償の上限ではなく、指針において示されなかったものや、対象区域として明示されなかった地域が直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて、相当因果関係のある損害と認められるものは、全て賠償の対象になるということも明記されているところでございます。これらの点は、審査会におけるこれまでの議論の中でも何度も指摘がされた点でありますけれども、特に重要な点でありますので、改めて本日も申し上げておきたいと思います。
 それから、消滅時効を援用しないという考え方につきましても改めて東京電力より御説明をいただきましたけれども、この点についての対応というのも重要であると考えております。東京電力におかれましては、先日認定されました第五次総合特別事業計画において、引き続き示されている「3つの誓い」の遵守をよろしくお願い申し上げます。
 以上で、議題2について終了ということにさせていただきまして、次の議題に入りたいと思います。損害賠償請求訴訟の状況についてということで、事務局から御説明をお願いいたします。
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。通しの31ページ、資料3を御覧ください。今回御説明する訴訟は、令和7年7月30日に東京地裁で言渡しのあった判決1件でございます。
 それでは、東京地裁判決について御説明いたします。判決文につきましては、機微な情報を含みますので、委員の方々のみ御覧いただけるよう、机上配付資料として委員の先生方の卓上のiPadに格納してございます。なお、説明の中で申し上げるページ数につきましては、この格納されているiPadの判決のページ番号と対応してございます。
 この判決では、国の責任の有無や、その理由などの責任論についても述べられておりますが、本日は損害論の部分につきまして、その中でも特に類型化の議論に資する精神的損害を中心に御説明をさせていただきます。
 本件では、東電福島原発事故当時、双葉町長の職にございました原告1名が、国及び東京電力ホールディングス株式会社に対しまして、本件事故の発生により避難を余儀なくされ、これによって損害が生じたと主張して、双葉町長としての職務遂行に伴う精神的苦痛に対する慰謝料も含めまして、精神的損害及び財産的損害への賠償を請求してございます。
 判決の116ページから117ページでございますけれども、ここの部分につきまして、原告は避難指示により突然居住地からの避難を余儀なくされ、精神的苦痛を被ったと認められるとしておりまして、かかる避難生活に伴う精神的苦痛に対する慰謝料について、一定の避難生活期間に限って生じるものであるため、平成23年3月から平成30年3月末までの85か月間は月額10万円、避難所生活の期間18か月間は1か月当たり2万円の増額を認めるのが相当としてございます。
 また、判決の123ページから124ページの部分でございますけれども、本件事故で双葉町が帰還困難区域に指定されたことにより、双葉町での生活環境が失われた結果、原告には相応の精神的苦痛が生じたものと認められること。また、原告の自宅所在地は現在まで避難指示区域から外されておらず、原告の帰還は実現していないことも踏まえますと、原告が被った精神的苦痛は大きいものと解されることから、原告の個別事情も考慮の上、原告が生活基盤に関する利益を侵害されたことに対する慰謝料は800万円と認めるのが相当としてございます。
 このように、本判決では、精神的損害に対する慰謝料1,686万円が認容されています。なお、双葉町長としての職務遂行に伴う精神的苦痛に対する慰謝料の増額については、認められてございません。
 以上が御説明となりますが、本訴訟については、判決言渡し後、原告から上訴がなされて東京高裁に係属しているところであり、今後も引き続き動向を注視してまいりたいと思います。
 このほか、令和8年1月22日に最高裁判所に係属中の8件の訴訟につきまして、上告及び上告受理申立てが退けられ、高裁判決が確定いたしました。今回確定した高裁8判決につきましては資料に記載のとおりであり、高裁判決が言い渡された際に、審査会において口頭で御説明させていただいてございます。事務局において、その内容をさらに分析した上で、次回の審査会において御説明させていただき、指針の見直しに向けた検討を行う必要があるかどうかについて御審議いただきたいと考えてございます。
また、令和8年2月4日に福岡高裁において言い渡された判決につきましても、事務局において判決内容等を分析した上で、次回の審査会にて御説明させていただきたいと考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございます。今、最後にお話がありましたけれども、最高裁決定により確定をいたしました8件の高裁判決、それから、2月の福岡高裁判決につきましては、判決内容をしっかりと分析をした上で、次回の審査会で御説明いただきたいと考えております。
 それでは、事務局からまず最初に説明がありました東京地裁判決、これにつきまして、御意見、御質問がありましたらいただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
 これまでもそうでしたけれども、本判決もまだ確定はしておりませんので、引き続き今後の状況を注視してまいりたいと考えております。判決が確定いたしましたら、今後の審査会で改めてこれを取り上げて議論するということにしたいと考えております。この件はよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議題3を終えたということにいたしまして、議題4に進ませていただきます。
 議題4の住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱いについてという点でございます。これは当審査会の審議事項でございます。事務局及び東京電力からの御説明を聞いた後で審議をさせていただきたいと考えております。まず、事務局からの御説明をお願いいたします。
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  事務局から説明させていただきます。通しの32ページ、資料4-1を御覧ください。これに基づきまして、住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱いについて御説明させていただきます。
 まず、1.原子力損害賠償紛争審査会におけるこれまでの検討結果でございますけれども、住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の見直しの検討の考え方につきましては、第41回の原子力損害賠償紛争審査会、これは平成27年に開催しておるものでございますが、そこで以下のとおり方針が取りまとめられてございます。毎年、地価の動向等を確認した上で、これまでの日本全国等の地価の変動幅を勘案しつつ、必要に応じて指針宅地単価を見直すこととするとなってございます。
 地価の確認方法といたしましては、国土交通省土地鑑定委員会による地価公示及び都道府県による地価調査を基に、専門機関が行った調査結果を確認するということとなってございます。
 また、見直検討の際の基準でございますけれども、指針宅地単価の基となった専門機関による調査結果を基準値とするとなってございます。
 そして、見直し後の指針宅地単価の適用時期でございますけれども、見直し決定日から適用するのが基本としてございます。ただし、指針宅地単価を減額する場合には、被害者が手続途中で賠償上限金額が減額されること等がないよう、東京電力は改定後の指針宅地単価の適用時期に配慮することが望まれるとなってございます。
 続きまして、2.福島県都市部の平均宅地単価の状況でございます。中間指針の第四次追補策定時と同様の方法によりまして、専門機関に調査を委託しましたところ、令和7年の福島県都市部の平均宅地単価は、以下のとおり、50,649円/㎡となってございます。
 続きまして、3.検討事項とございますけれども、この今回の調査結果に基づきまして、福島県都市部の平均宅地単価を改定した令和5年と令和7年で比較いたしますと、金額では2,456円/㎡、変動率では5.1%上昇しているというところ、中間指針第四次追補に示されている指針宅地単価を見直す必要があるかどうか。また、見直す場合の指針宅地単価はいくらとすべきか、ということにつきまして御議論いただければと思ってございます。
 なお、次のページに、参考1のところでございますけども、これまでの過去の調査結果と指針宅地単価の状況を示してございます。また、参考2でございますけれども、中間指針第四次追補の住居確保損害に係る部分の抜粋。そして、参考3の部分でございますけども、冒頭申し上げた第41回原子力損害賠償紛争審査会資料の抜粋をつけてございますので、御参照いただければと思ってございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございました。引き続き東京電力からの御説明をお願いいたします。
 
【山崎室長】  東京電力でございます。住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱いについて御説明をさせていただきます。
 少し前段にお話しをさせていただきますが、住居確保損害に係る賠償につきましては、2013年12月にお取りまとめいただいた中間指針第四次追補において、住居確保に係る損害についてお示しいただいたことを踏まえ、2014年7月から御請求の御案内を開始し、お支払いさせていただいております。当時は、2013年8月に避難指示区域の見直しが完了し、避難指示の解除に向けた検討が始まる中で、住民の皆様が帰還や移住を含めた具体的な生活再建を検討される状況にございました。そうした中、従来の宅地・建物・借地権の財物に対する賠償だけでは、移住しようとしても新たに宅地や住宅を購入する資金が賄えない、あるいは避難先から御帰還される際に必要な建て替えや修繕の資金が不足するといった問題が生じていたことを受け、移住または長期避難のために生じた損害として、中間指針第四次追補においてお示しいただいております。なお、賠償の対象につきましては、当社事故発生時点において、避難指示区域内の持家に居住をされていた方としております。
 それでは、資料4-2を御覧いただければと思います。まず、資料上段に記載のとおり、賠償の対象となる費用は、住宅の再取得または修繕費用、そして宅地・借地権の再取得費用及び諸税や登記費用等の諸費用となります。
 次に、資料の中段にございますイメージ図のとおり、住居確保損害に係る賠償は、既に宅地・建物・借地権に係る賠償としてお支払いしております賠償金額を超過して、住居確保に要した費用について賠償上限金額の範囲内でお支払いするものとなります。
 資料下段に参りますが、その賠償上限金額の算定方法をお示ししております。宅地・建物・借地権の賠償金額と算定式により計算した対象資産ごとの賠償可能金額の合計額を賠償上限金額として設定しております。
 続いて、資料の裏面に参ります。2024年2月の第66回審査会におきまして、移住先標準宅地単価が45,000円/㎡から48,000円/㎡に見直された際の当社の対応の概要を記載しております。この際には、単価改定日、つまり第66回審査会開催日の2024年2月5日でございますけれども、この単価改定日以降に初めて住居確保損害の賠償を御請求される方、または既に御請求はされているものの、改定日時点で確定した賠償金額が見直し前の賠償上限金額に達しておらず、追加の賠償を御請求される方に対しまして、新しい見直し単価を適用させていただいております。
 福島県都市部の平均宅地単価の見直しに関する本日の御議論を踏まえて、当社としても必要な対応を速やかに行う所存でございます。
 簡単ではございますが、私からの説明は以上でございます。
 
【大村会長】  御説明をどうもありがとうございました。事務局の御説明にありましたとおり、資料4-1に検討事項が示されているところでございます。中間指針第四次追補において示されている住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価について、これまでもおおむね変動率5%という線を想定し、それを超えていたら見直すと、そこまでにそれに至っていなければ見直さなくてよいのではないかという議論をしてきたところでございますけれども、まず、今回の調査結果を踏まえて、上げる必要があるのかどうか、この点について御議論をいただき、上げるのが適当だということになった場合には、金額をいくらにするのかという議論をしていただくと、この2段階で議論を進めさせていただきたいと考えております。
 それでは、まず見直す必要があるかどうか、委員の皆様の御意見を伺いたいと思います。今回については、いかがでございましょうか。どうぞ、鹿野さん。
 
【鹿野委員】  今、会長から御説明がありましたとおり、従来5%を目安として、それを超える場合には見直すということで取り扱ってきたと思いますし、これは恐らく安定性や公平性などのバランスを図ってそのように運用してきたものと思います。今回それを変更するという特段の事情も見当たりませんので、5%を超える変動率である今回については、見直しをするということが適切だと思います。
 
【大村会長】  ありがとうございます。従前の例を参考にして、今回は見直しをすべきであるという御意見をいただいておりますけれども、他の委員の方々、いかがでございましょうか。うなずいている方々が多いようにお見受けいたしましたけれども、今回、宅地単価を見直すということでよろしいでしょうか。
 
【大村会長】  ありがとうございます。それでは、この点については、見直すということで御異論はないと取りまとめさせていただきたいと思います。
 では、これを踏まえまして、事務局より資料を配付していただき、御説明をお願いしたいと思います。
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  ただいま配付した資料につきまして御説明いたします。
 中間指針第四次追補に示されている住居確保損害に係る福島県都市部の宅地単価の改定(案)でございます。中間指針第四次追補第2の2備考(4)で示されている福島県都市部の平均宅地単価については、専門機関への委託調査結果等を踏まえ、「48,000円/㎡」を「○○円/㎡」に改定するというものでございます。
 説明は以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございました。説明がございましたけれども、この資料の金額の部分、「○○」となっているところをいくらにすべきかという点につきまして、委員の皆様の御意見をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。では、江口さんお願いいたします。
 
【江口会長代理】  江口でございます。私としては、今回出ております平均宅地単価が50,649円ですので、100の位のところを四捨五入して51,000円とすべきではないかと考えております。
 令和5年の改定のときの議論についても参加しておりました者として一言述べさせていただきますと、令和5年のときにも48,193円という金額の100の位のところを四捨五入して48,000円とすべきではないかという意見が第一に出ました。これは、平成28年や平成30年での改定を見ても、ある意味100の位のところの四捨五入というのが合理的ではないかということなのです。
 それで、もう一つだけ念のため申し上げたいのですが、令和5年のときは、その平均宅地単価のところと、もう一つ変動金額のところも少し議論の対象になっておりまして、平成28年と平成30年は、変動金額を見ますと100の位で四捨五入するとちょうど2,000円ずつになるのです。それを過去のものに足しても、言わば43,000円、45,000円になると。令和5年のときには2,820円ですから、これの100のところを四捨五入すると3,000円になると。そうすると過去の45,000円に足してもこの3,000円足すと同じく48,000円で一致するというふうな、そういう2方向から見てもやっぱり48,000円だよねという議論が出ました。
 それが頭にあったので、私は今回、2,456円というところを見ると、これ、実は、四捨五入しちゃうと2,000円ということになって、あれ、今までと違うなと思ったのですが、ただ、今の議論でもありましたように、見直すかどうかというのと、見直した場合に幾らとすべきかと、わざわざ私たちは2段階で議論をしているわけで、見直すべきかどうかというときには変動率というところを大いに参考にすべきだし、それに従うと、今回もそうだったわけですけれども、では、見直した場合にいくらとすべきかということになると、これはやっぱり結果としての金額なんですよね。そうすると、前回のときも一番最初に出たのは平均宅地単価、これに沿った考えだよねというのが出ておりましたので、今回もそちらの50,649円というのを見ると、ここは51,000円とすべきではないかと考えます。
 
【大村会長】  ありがとうございます。江口さんからは51,000円という数字を御提案いただきまして、併せてこれまでの検討の経緯についても振り返っていただいたということでございました。今のこれまでの検討の経緯についての御説明ないし御意見も含めまして、この51,000円という案につきまして、皆さんいかがでしょうか。
 
【大村会長】  よろしいでしょうか。それでは、中間指針第四次追補に示されている、住居確保損害に係る福島県都市部の宅地単価については、51,000円/㎡ということに改定いたします。東京電力におかれましては、今後、今回の改定金額を目安に賠償をお願いいたします。
 それでは、事務局からこの後の手続についての御説明をお願いいたします。
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。決定いたしました中間指針第四次追補に示されている住宅確保損害に係る福島県都市部の宅地単価の改定及び単価改定を踏まえた中間指針第四次追補の改定については、文科省のウェブページで公表いたします。
 また、東京電力におかれましては、対象となる方々が、本日を基準日としまして、それ以降に御請求される際に、本日の見直し後の宅地単価が適用されて運用をされるということで、東京電力様、よろしいでしょうか。
 
【山崎室長】  御審議ありがとうございます。そのとおりに運用させていただきます。
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  ありがとうございます。
 
【大村会長】  ありがとうございます。それでは、運用のほうもどうぞよろしくお願いを申し上げます。
 議題4はここまでということにいたしまして、次の議題に入ります。なお、議題5から議題7までにつきましては、御説明のほうは続けてさせていただきまして、その後にまとめて御意見、御質問等をいただきたいと考えております。
 まず、議題5、原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況についてということになります。ADRセンターの田中室長から御説明をお願いいたします。
 
【田中室長】  ありがとうございます。原子力損害賠償紛争解決センター室長の田中でございます。ADRセンターの令和7年における活動状況について御報告をさせていただきます。なお、数字は全て速報値となっております。
 まず資料5の1ページ目、通し番号では40ページ目になります。そちらを御覧ください。センターの人員体制でございます。令和7年12月末時点の人員は、仲介委員が184名、調査官が67名、和解仲介室の職員が96名でございます。今後のセンターの人員規模につきましては、中間指針第五次追補策定等を踏まえて、今後の申立件数の推移などを見ながら引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。
 続きまして、2ページ目、通し番号では41ページ目でございます。申立件数・人数の推移でございます。令和7年の申立件数は763件でありまして、同年末までの累計申立件数は31,874件、累計の申立人数は126,971人となっております。平成26年以降、申立件数は減少傾向となりまして、その後、平成30年からの数年はほぼ横ばいとなっておりましたが、令和5年から第五次追補の策定を踏まえた追加賠償が実施されたことを受け、同年の申立件数は前年から300件程度増加をいたしました。その後の申立件数は、令和6年、令和7年と、いずれも前年に比べて減少をしております。これにつきましては、令和6年以降、直接請求や、センターの和解仲介により成立をした和解契約に基づく追加賠償の支払いが進展をしたため、第五次追補に関連する申立てが減少したこと等が影響をしているものと考えております。
 続きまして、通し番号42ページ目でございます。平成23年からの申立件数の推移の内訳等をここでは御参考までにお示しをしております。御説明は省略をさせていただきます。
 資料5の4ページ目、通し番号では43ページ目でございます。ここでは、当センターへの初めての申立てを初回申立て、2回目以降の申立てを複数回申立てと分類をしておりますけれども、令和7年における申立てのうち、初回申立ての割合は49.9%と引き続き高くなっております。このような状況を見ますと、賠償される可能性があるものの、ADRセンターへの申立てをされていない方がまだ一定数いらっしゃると思われます。当センターといたしましては、引き続き地方公共団体等と連携をした説明会の開催や、広報誌への記事の掲載をはじめといたしました広報・周知活動にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 引き続きまして、5ページ目、通し番号では44ページ目でございます。和解仲介の状況でございますけれども、令和7年の末までに、累計で31,874件の申立ての件数に対しまして、31,261件の和解仲介の手続が終了しております。そのうち約8割に当たります24,793件が和解成立で終了をしております。なお、令和7年末時点における現在進行中の未済件数は613件となっておりまして、年末時点での未済件数としては、センター開始直後の平成23年に次いで2番目に少ない件数となっております。これにつきましては、先ほど述べましたとおり、令和7年の申立件数が前年から減少したのに対して、令和6年以前に申立てがあった案件の審理が順調に進行しているということが理由であると考えられるところでございます。
 引き続きまして、資料5の6ページ目、通し番号では45ページ目でございます。和解仲介の状況に関しての各年の詳細でございます。令和7年において手続が終了した件数は928件となっておりまして、そのうち740件、割合で申し上げますと79.7%が和解の成立で終了をしております。一方、和解の打切りとなったのは73件、取下げで終了したものは115件でございます。打切りの理由別では、申立人の請求権を認定できないことを理由として和解の打切りになったものが最も多く、次いで申立人と連絡が取れないという理由になっております。また、被申立人であります東京電力が和解案を拒否したために和解打切りとなったものは、令和6年に引き続き令和7年もございませんで、令和3年以降は0件となっております。
 東京電力におかれましては、中間指針第五次追補の趣旨を踏まえ、引き続き和解仲介案の尊重も含む「3つの誓い」に従い、センターの実施をする和解仲介手続に真摯かつ柔軟に御対応いただきたいと考えております。
 なお、本日の資料では、数値としてはお示しをしておりませんけれども、平均審理期間につきまして補足をさせていただきますと、令和7年の速報値といたしましては、令和7年に和解成立により終了した全案件の平均審理期間は9.1か月となっております。その中から、自治体案件でありますとか、集団申立案件といった、類型的に時間がかかる案件を除く平均審理期間は8.8か月となっております。この辺り、平均審理期間のデータにつきましては、例年3月末頃に公表しております活動状況報告書の中で各年のものをお示しする予定でございますので、そちらを御参照いただければと存じます。
 それでは、引き続きまして、資料の7ページ目、通し番号46ページ目でございます。こちらは、平成23年からの和解仲介の状況の推移の詳細を御参考までにお示しをさせていただいております。具体的な説明は省略をさせていただきます。
 引き続きまして、資料5の8ページ目、通し番号では47ページ目でございます。令和7年における中間指針の第五次追補に関連をした内容を含む申立てについて整理をしたものでございます。第五次追補に関連をした申立ての件数は、令和7年に申し立てられたものは453件、令和4年12月の第五次追補の策定以降の合計は1,804件でございます。なお、期間別申立件数欄の中の第五次追補を含むものに関する部分でございますけれども、これは申立て時の内容を基に整理をした概数でございますので、最終的な和解提示時点における実態とは乖離をしております。また、和解が成立したもののうち第五次追補を含む事案は、令和7年では511件、第五次追補策定以降の合計は1,667件でございます。その一方で、最終的に和解打切り、取下げに至った件数は、この表に記載をさせていただいているとおりでございますけれども、そのうち早期一部支払い、東京電力からの答弁書で争いがない部分については、前倒しで一部和解を成立させて、その部分については早期で支払いをいただくという取扱いでございますけれども、そういう早期一部支払いによる一部和解の成立後に、終局手続で取下げや打切りとなったものが、それぞれうち一部和解成立後の欄に記載したとおり、第五次追補の策定以降、打切りについては32件、取下げについては合計52件ございます。これらにつきましては、他の打切りや取下げの事案とはその性質が異なりまして、実態といたしましては、和解によって紛争が解決されたものに分類できるのではないかと考えているところでございます。
 引き続きまして、資料5の9ページ目、通し番号では48ページ目でございます。令和4年12月から令和6年における中間指針第五次追補に係る申立ての取扱い状況の詳細を御参考までにお示しをしているものでございます。8ページ目の令和7年についての表との対比という趣旨で記載をさせていただいているものでございますが、具体的な説明は省略をさせていただきます。
 引き続きまして、資料5、10ページ目、通し番号では49ページ目でございます。センターの広報活動についてでございますが、2月からの確定申告、それから7月からの健康診断に合わせてADRセンターの調査官等を現地に派遣し、申立方法などについての説明を行う説明会を浪江町、南相馬市、大熊町、富岡町、双葉町と連携し、実施をしております。令和6年度の確定申告に合わせた説明会の実施回数は39回、申立ての受理件数は合計189件となっております。それから、令和7年度の健康診断に合わせた説明会の実施回数は41回、説明会での申立ての受理件数は合計186件となっております。なお、令和7年の申立件数763件のうち407件、割合で言いますと53.3%が説明会の経由のものでありまして、このことからも説明会の開催は、広報活動として大変効果的であったと考えております。また、先ほども御説明申し上げましたとおり、説明会などの際には、地域の特性に応じた和解事例を掲載したチラシを配布するなどして、センターの活動について周知を図っております。そのほか、令和6年と同様にNPO法人と連携をした広報活動や、富岡町の役場等での月1回の説明会にも取り組むとともに、社協連携避難者支援センターと連携をした説明会を新たに実施するなど、新規の取組も進めております。また、福島県内の地方公共団体等が発行する広報誌への案内記事の掲載や、令和7年版の原子力損害賠償の和解事例集の公表など、説明会の開催のほかにも広報活動を行っているところでございます。
 引き続きまして、資料5、11ページ目、通し番号では50ページ目でございます。引き続き広報活動についての御説明でございます。ここでは、平日夜間・土曜窓口の実施について御説明を申し上げます。令和6年8月から令和7年1月までの間、試行的に福島事務所の夜間臨時開所を実施いたしましたけれども、令和7年の4月からはこれを発展させまして、偶数月の第1土曜日の昼間の開所及び奇数月の第1水曜日の夜間の開所を組み合わせる形で、平日夜間・土曜窓口を実施いたしております。平日の昼間には時間を取れなかった方にも利用しやすい時間帯で実施をすることに加えまして、お住まいの地域に限らず幅広く御利用いただけるよう、電話やオンライン参加も可能とすることで、幅広い層の方に御利用いただける方式といたしました。また、センターのホームページでの御案内や広報チラシの配布、ラジオCM等、窓口についての広報・周知活動も継続的に実施をいたしました。平日夜間・土曜窓口では、説明会と同様にADRセンターの調査官等を福島事務所に派遣し、申込者に対して個別に対応をいたしました。実績といたしましては、1月に実施をした夜間臨時開所を含め、令和7年中に平日夜間及び土曜日の窓口を合計10回設けまして、16件の相談及び10件の申立てがございました。この後、御説明を申し上げますアンケートの回答も踏まえて、来年度以降の実施につなげていきたいと考えているところでございます。
 引き続いて12ページ目、通し番号では51ページ目でございます。ここでは、令和7年にセンターで実施をいたしました利用者アンケート及びその結果の概要について御報告をさせていただきます。第68回の審査会で委員の先生からいただいた御意見を受けまして、申立て及び説明会等の利用をさらに促進をする上で留意すべき点を把握し、今後の広報戦略の検討に際して活用することを目的に、令和7年度において利用者にアンケートを行いました。説明会の利用者等を対象としたもの及び和解の成立により手続を終えた申立人を対象としたものの2種類のアンケートを実施し、合計508件の御回答を頂きました。
 結果の概要を簡単に御説明させていただきますと、まず、センターを知ったきっかけとしては、説明会や自治体の広報誌、チラシのほか、家族・知人及び他機関からの紹介が多いということが分かりました。平日夜間・土曜窓口を含めた説明会を知ったきっかけについても、たまたま説明会会場を通りかかったというもの以外では、チラシや広報誌という回答が多く、これらの媒体による広報の認知度が高いということが分かったところでございます。
 次に、これまでセンターを利用してこなかった理由といたしましては、ADRセンターを知らなかったことのほかに、賠償を受けられる見込みや手続に関する不安等があるということが分かりました。その一方で、申立てを行ったきっかけについては、賠償が得られる見込みがあると思ったことや、手続について分かったことなどが大きな理由として挙げられているところでございます。
 これらの結果は、センターの存在や和解仲介の手続等について十分に認知をされていないために、センターを利用できていない被害者の方が一定数存在することを示唆しているものと考えられます。また、説明会を利用しなかった理由としては、説明会が行われていることを知らなかったという理由を挙げられる方が最も多かったため、多くの方に利用していただくためには、これまで以上に説明会の開催についての周知活動に注力をしていく必要性があるかと考えております。
 そして、今後効果的と思われる広報手法については、市政だより等の広報誌を挙げる回答が最も多く、次いで、回覧、口コミ、チラシという御回答になりました。また、説明会、テレビCMといった回答も、一定数ございました。
 以上の結果を踏まえますと、引き続きチラシ・広報誌・説明会等の場を活用して和解事例や手続に関する理解の醸成を図るとともに、口コミを増やすためのさらなる周知に努めつつ、ほかの機関との連携を進めていくということが重要であろうと考えているところでございます。
 アンケートの種類ごとの回答結果など、詳細な内容につきましては、先ほども触れました令和8年の3月末に公表予定としております令和7年のADRセンターの活動状況報告書に記載をさせていただく予定でございます。
 最後、資料5の13ページ目、通し番号では52ページ目でございます。令和7年に開催をした説明会の開催実績を御参考までにお示しをしております。具体的な御説明は省略をさせていただきます。
 原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況の御報告は以上でございます。
 
【大村会長】  どうもありがとうございました。それでは次に、議題6の賠償の請求を促す広報等の取組について、事務局から御説明をお願いいたします。
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。通しの53ページ、資料6を御覧ください。文部科学省では、東電福島原発事故に関する早期の賠償を実現するため、関係機関と連携をいたしまして、地方公共団体に御協力をいただきながら広報に取り組んできております。こうした国による広報につきましては、改めまして、経緯につきまして御説明をさせていただきたいと思ってございます。
 東電原発事故の損害賠償御請求権が時効特例法によって延長されていましたところ、令和3年3月に発災日から10年を迎えるに当たって、再度の延長は行わず、賠償請求を促す広報の強化等によって早期の賠償実現につなげていくことといたしました。また、自治体等からもこうした広報の強化につきましては、引き続き御要望をいただいております。
 また、2つ目でございますけども、令和7年の8月に行われました閣僚会議におきまして、文部科学大臣よりADRセンターの周知活動に積極的に取り組む旨、発言をしてございます。このような経緯等も踏まえまして、広報を強化して実施していくことは重要であると考えてございます。令和7年度は、これまでに実施してきた取組に加えまして、若年層及び中年層に訴求する広報や、県外避難者を対象とする広報など、新たな取組も実施いたしました。
 まず、資料の1のところでございますけれども、福島県出身のタレントの武田玲奈さんに御出演いただきまして、原子力損害賠償請求についてお問合せをいただける窓口を御紹介するCM動画を新規で制作をいたしました。CM動画という形でADRセンターについて広報することは、初めての取組となってございます。本日は、皆様にも実際の動画を御覧いただきたいと思います。会場の皆様は前方のスクリーンを御覧ください。オンラインの皆様は画面に投影いたしますので、そちらを御確認ください。
(動画再生)
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  ありがとうございました。なお、本動画につきましては、審査会資料と同じページに参考資料として掲載してございます。もしオンラインの方で通信の不具合等で御覧いただけない方がいらっしゃいましたら、同じページに参考資料として掲載をしておりますので、そこで改めて御確認いただけますと幸いです。
 ただいま御覧いただいた動画の使用先といたしましては、まず、テレビCMとして福島県内で放映してございます。本年2月2日から放映を開始しておりまして、3月15日までに約210本を放映する予定です。
 続いて、資料の2ページ目、通し番号の54ページを御覧ください。JR常磐線及びJR埼京線の車両内の動画広告、トレインチャンネルでもこちらのCMを2週間放映いたしました。また、YouTubeの広告動画としても放映してございまして、福島県、茨城県、埼玉県の3県で、計115万回程度表示される見込みです。
 続いて、CM動画以外の取組といたしまして、次のページ、通しの54ページに記載しておりますとおり、ウェブサイトにバナー広告を出稿してございます。福島県、茨城県、埼玉県の3県で計285万回程度広告が表示される見込みとなっております。
 最後に、昨年度制作いたしましたチラシを部分的に改訂いたしまして、本年3月に福島県内を中心に配布する予定としてございます。詳細な配布先は資料を御確認ください。
 以上、令和7年度の取組の御報告となります。これらの取組を踏まえまして、今後ともADRセンター等の周知と共に損害賠償請求を促すことを含めまして、引き続き広報活動を進めていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございます。引き続きまして、議題7の地方自治体等からの主な要望事項について、これも事務局から御説明お願いいたします。
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  事務局から御説明させていただきます。通し番号57ページの資料7を御覧ください。前々回の第68回審査会以降から現時点までに文部科学省に寄せられた要望のうち、主な項目の概要をまとめたものでございます。各項目の後ろの括弧書きは、どの団体から寄せられた御要望かを表してございます。
 今回は、全体で5つのカテゴリーに分類させていただきました。57ページのまず1.被害者への賠償に係る対応、59ページの2.地方公共団体に係る賠償につきましての御要望、そして60ページ目の3.原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介に関する御要望、そして4.ALPS処理水の処分に係る風評対策に係る御要望、そして61ページ目、5.法制度に係る対応についての御要望、このような形で分類をさせていただいております。一つ一つの御説明は省略させていただきたいと思います。
 なお、要望書の本体につきましては、要望書を頂いた際に、各委員には既に共有をさせていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございます。議題5から7まで、それぞれについて御説明をいただきました。これらにつきまして、まとめて御意見、御質問等がございましたらお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。どうぞ、足立さん。
 
【足立委員】  1点ですが、申立てをしてこなかった理由として、自分が賠償を受けられるか分からなかったといった御意見があったかと思いますけれども、その関係で言えば、ADRセンターから御報告がありました、地域における和解成立事例の紹介というのは、とてもそれに役に立つのではないかなと思っております。もう既にされているのかもしれませんけれども、実際に成立した事例を参考にしつつでいいんでしょうけれども、モデル事例として、こういう場合に追加賠償なら追加賠償を受けられますよという具体例を示すといったようなことも効果的なのではないかなといったような感想を持ちました。
 以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございます。今、御感想ということでしたけれども、何かもしADRセンターのほうで今のことにつきましてありましたらお願いをいたします。
 
【田中室長】  ありがとうございます。先生おっしゃるように、具体的な事例というか、そういうものがあったほうがイメージしやすいというところがございますので、先ほど御説明したとおり、自治体ごとで和解事例集を作成すると。それについては、全体の原子力損害賠償事例集は、どちらかというと玄人向けでございまして、分かりづらいというところがございますので、内容を例えば要素を要約して箇条書にしたり、あとは著作権フリーのイラストを使ったりということで、ポイントを分かりやすく書かせていただくようにしたりしております。
 それから、事例集でたくさん中身を読むというのが、なかなか面倒くさいというか、時間を取るというようなこともございますので、広告の中には、増額事由でよくあるものというのを短く書いて、例えば、幼児や高齢者の介護をしながら避難をしたであるとか、お米や野菜を作ることができなくなって生活費が増えたとか、高額な家財を置いたまま避難をしたとか、そういう言わばワンワードでいくつか挙げて、例えばこんな事情はございませんかというような形で広告を打ったりというところで、できるだけ御自分でも何か関連するものがあるのではないかと思っていただけるように、いろいろと工夫をしているところでございます。
 以上です。
 
【大村会長】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 今、ADRセンターからお答えをいただきましたけれども、事例集本体はなかなか一般の方々には難しいところがありますけれども、様々な形で分かりやすいものを作られているというお話を伺うことができたかと思います。
 ADRセンターの利用促進や、あるいは中間指針第五次追補を受けた賠償を進めていくためには、各種の広報活動というのは非常に重要なものであると認識をしております。本日、事務局とADRセンターからこの広報活動について、新たな取組などについて御報告をいただきました。議題1でも議論になりましたけれども、今後とも広報活動に積極的に取り組んでいただき、被害者の方々が早期に申立てができるようにしていただきたいと考えているところでございます。
 また、ADRセンターにおかれましては、和解仲介申立の状況や傾向を引き続きよく把握・分析をしていただければと思います。
 それから、地方自治体等からの要望事項も引き続き出されてまいりますので、本審査会といたしましても、引き続き東電の賠償状況等を注視していく必要があろうかと考えております。
 以上で、議題5から7についても終わったということにさせていただきまして、最後が議題8のその他についてということになりますけれども、今回はその他ということでは、特に議題は設定されていないと伺っております。そこで、本日の議事はここまでということになりますけれども、最後に、本日の審査会を通して、委員の皆様から何か追加の御発言がありましたら伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、これで本日の議事を終了したいと思います。
 最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。
 
【西山原子力損害賠償対策室次長】  事務局から御連絡させていただきます。
 次回、第71回審査会の開催につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。また、本日の議事録につきましては、事務局で案を作成の上、委員をはじめとした皆様に確認の上、次回審査会までにホームページへ掲載をさせていただきます。
 事務局からは以上でございます。
 
【大村会長】  ありがとうございます。それでは、本日はこれにて閉会いたします。
 御多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

―― 了 ――

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