原子力損害賠償紛争審査会(第65回) 議事録

1.日時

令和5年9月27日(水曜日)14時00分~16時07分

2.場所

文部科学省内会議室及びオンライン

3.議題

  1. 原子力損害賠償紛争審査会による現地視察結果について
  2. 東京電力ホールディングス株式会社による賠償の現状及び今後の対応について
  3. 損害賠償請求の集団訴訟の状況について
  4. 原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況について
  5. 賠償の請求を促す広報等の取組状況について
  6. 地方公共団体等からの主な要望事項について
  7. 被災地の動向等について
  8. その他

4.出席者

委員

内田会長、樫見会長代理、明石委員、江口委員、織委員、鹿野委員、古笛委員、富田委員、中田委員、山本委員

文部科学省

今枝文部科学副大臣、千原研究開発局長、新井原子力損害賠償対策室室長代理、本橋原子力損害賠償対策室次長

オブザーバー

【説明者】弓岡東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長、山口経済産業省福島復興推進グループ原子力発電所事故収束対応室長、田中原子力損害賠償紛争和解仲介室(原子力損害賠償紛争解決センター)室長、佐藤原子力損害賠償紛争和解仲介室(原子力損害賠償紛争解決センター)次長、杉田復興庁参事官(原子力災害復興班)、北村内閣府原子力災害対策本部 原子力被災者生活支援チーム参事官補佐

5.議事録

【内田会長】  それでは、時間になりましたので、第65回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。オンラインで御参加の委員もありがとうございます。
 初めに、本日は今枝文部科学副大臣に御出席いただいておりますので、御挨拶をいただきたいと思います。今枝副大臣、よろしくお願いいたします。

【今枝文部科学副大臣】  皆様、こんにちは。9月15日に文部科学副大臣を拝命いたしました今枝宗一郎であります。本来であれば立って御挨拶をしたいところなのですが、画面が切れてしまうようなので、座ったまま大変失礼をいたします。
 本日は大変皆様御多忙の中、第65回の原子力損害賠償紛争審査会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。審査会の開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 東電の福島原発事故から12年の月日が経過をいたしましたけれども、原子力損害賠償につきましては、引き続き、迅速、公平かつ適正な賠償が実施されることが非常に重要であります。また、この8月末にALPS処理水が海洋放出をされたことを踏まえまして、政府一丸となって風評対策に取り組んでおりますけれども、その上で、風評被害については賠償により機動的に対応することとされております。
 本日の審査会では、中間指針、特に昨年先生方に御尽力をいただき策定をさせていただきました第五次追補を踏まえた賠償の実施状況の現地視察の御報告ですとか、東京電力等からALPS処理水の海洋放出に関わる賠償を含めた取組状況の御説明、そして、ADRセンターの活動状況の御報告等があると伺っております。
 内田会長をはじめ委員の先生方におかれましては、今後とも、被害者の皆様の側にしっかりと寄り添った賠償が適切に進むように、忌憚ない御意見をいただけますようによろしくお願いを申し上げて、御挨拶に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【内田会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、次に、事務局から報告事項があるとのことですので、報告をお願いいたします。続いて、資料等の確認をお願いいたします。

【本橋原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。
 事務局から1点、前回審査会以降の事務局の人事異動につきまして御報告いたします。
 開発企画課長、原子力損害賠償対策室室長代理に新井が着任しております。

【新井原子力損害賠償対策室室長代理】  新井でございます。よろしくお願いいたします。

【本橋原子力損害賠償対策室次長】  なお、原子力損害賠償対策室次長といたしまして、私、本橋も新たに着任しておりますことを御報告申し上げます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は議事次第に記載のとおりでございますが、資料に不備等ございましたら、議事の途中でも結構でございますので、事務局までお声がけください。
 また、本日は会場での対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式での開催となっております。御発言の際の注意事項につきましては、机上配付または事前にお送りしている資料を御確認ください。
 なお、本日は、過半数以上の委員の皆様に御出席いただいておりまして、会議開催の要件を満たしておりますことをあらかじめ御報告させていただきます。また、織委員におかれましては、15時頃退席予定である旨お伺いしておりますので、あらかじめ御承知おきいただければと思います。
 事務局からの説明は以上でございます。

【内田会長】  ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。まず、議題1は原子力損害賠償紛争審査会による現地視察結果についてでございます。事務局から説明の後、現地視察に参加された委員の皆様から一言ずつ所感をいただければと思います。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。

【本橋原子力損害賠償対策室次長】  資料1を御覧ください。現地視察の概要でございます。令和5年7月24日から25日にかけまして、原子力損害賠償紛争審査会による現地視察を行いましたので、その結果を御報告させていただきます。
 今回の現地視察は、中間指針等に基づく賠償の実施状況を確認するため、被災地域の現場を視察することを目的として行ったものであり、内田会長、樫見会長代理をはじめ、合計10名の委員等に御参加いただきました。視察先は富岡町、双葉町、大熊町、飯舘村の4町村と東京電力でございます。
 4町村におきましては、帰還困難区域の現状や特定復興再生拠点区域の避難指示解除後の状況等を視察するとともに、町長や村長、議長の方々と意見交換を行いました。その後、東京電力の郡山相談窓口を視察し、東京電力と意見交換を行いました。視察先の詳細につきましては、4ポツの視察行程を御参照ください。
 次に、3ページ目を御覧ください。現地視察における被災自治体等の主な御発言を抜粋しております。これに対し内田会長から、東京電力が被害者の方々に寄り添い、迅速、公平かつ適正な賠償を実施していくよう、審査会としてもフォローアップしていくことを伝えるとともに、中間指針の考え方等について丁寧に説明していただいたところでございます。
 説明は以上でございます。

【内田会長】  ありがとうございます。
 今回の現地視察におきましては、中間指針に基づく賠償、特に昨年12月に策定しました第五次追補に基づく追加賠償への対応状況を確認するとともに、特定復興再生拠点区域の避難指示解除後の最新の状況や、帰還困難区域の現状を中心に確認をいたしました。
 それでは、現地視察に出席された委員の皆様から所感をいただければと思います。御発言は会場参加の委員から先に五十音順でお願いをし、その後、オンライン参加の委員にお願いしたいと思います。最後に御質問等の時間を設けた後、私からも感想を述べさせていただきます。
 それでは、最初に、明石委員、お願いできますでしょうか。

【明石委員】  明石でございます。今回参加させていただきまして、まず一番に感じたのは、かなり進んだ部分があるということと同時に、まだ実は手がつけられていない地域が存在しているというところ。それから、ADRの方々の御努力でかなり数多くなっているものの、まだ伸び代があるのかなということを実感いたしました。
 以上でございます。

【内田会長】  ありがとうございます。
 では、江口委員、お願いします。

【江口委員】  江口でございます。私が今回非常に印象に残りましたのは、初めて大熊町の中間貯蔵施設を見学させていただきました。ここは、原発事故以前は住民の方々が暮らしていらっしゃったところですけれども、現在は林も家もない本当に広大な土壌のみの貯蔵場所です。その中でも、資料1の中の大熊町の発言概要にもあるとおり、いずれは帰還したいという強い希望を持っていらっしゃる方もいらっしゃるというふうにお聞きしました。この施設からは、昨年、住民の方から耳で聞いた避難の痛み、帰還できない痛みということを目で再確認することができた気がいたします。
 以上です。

【内田会長】  どうもありがとうございます。
 では、続いて、鹿野委員、お願いします。

【鹿野委員】  鹿野でございます。私は昨年の視察には参加できませんでしたので、本年の視察は約2年ぶりということになりました。この間、一部の地域においては、先ほど明石委員もおっしゃったように、かなり復興が進んでいるなというふうに感じられたところがございました。
 しかし、その一方で、復興がなかなか進んでいないという地域もなお多く存在するということを感じましたし、また、避難指示等が解除されても、商業施設とか、あるいは、いわゆる産業が戻ってこないと、人々が実際にそこで生活をするということはなかなか難しいというような状況も感じることができました。
 また、第五次追補を受けて、各町村において追加の賠償請求に関する情報の提供、その他の取組が行われているということも確認させていただきましたけれども、特に高齢化が進んでいるような地域においては、賠償等に関連する情報を伝達するのもなかなか難しく、御苦労があるというような実情も伺ったところでございます。
 伝達することと、それから実際に請求の手続をしていただくということの両方において、いわゆるデジタルデバイドの問題もございますので、きめ細かい対応が必要なのだとじた次第です。
 以上です。

【内田会長】  ありがとうございます。
 では次に、古笛委員、お願いいたします。

【古笛委員】  各委員からお話が出ているとおり、やはり1年でかなり復興が進んだなというふうに感じるところと、もう12年前から時間がそのまま止まっているんじゃないかということをすごく感じました。
 今回は第五次追補を踏まえて、各町長さんはじめ皆様方の御意見を聞けたということで、今後、引き続き検討していきたいというふうに思いました。ありがとうございました。

【内田会長】  ありがとうございます。
 では、富田委員、お願いします。

【富田委員】  今、各委員が述べられたとおり、やはり帰還困難区域における町の再生が進んだ面もありますけれども、なお、非常に困難な面があるということを実感した次第です。
 それから、第五次追補に関する内容の説明について、なかなか一般の御理解が十分じゃないといいますか、説明が難しい部分も感じられたので、今後、この点は工夫が必要かなというふうに思っております。
 しかし、以前に比べて、各市町村のほうで、例えばADRに対する協力といいますか、かなり進んでおりまして、後でADRセンターから報告があると思いますが、その結果、申立て件数にも表れているという点はいい傾向ではないかと思った次第です。
 以上です。

【内田会長】  ありがとうございます。
 では、中田委員、お願いします。

【中田委員】  皆さんおっしゃいましたことですけれども、復旧・復興が進んでいる地域と今なお帰還が困難な区域との状況の違いを今回特に強く感じました。
 復興が進んでいる地域でも、回復されていない損害がまだまだあり、ADRの一層の利用などが期待されると感じました。他方、帰還困難区域の状況や、特に中間貯蔵施設の地域の状況を拝見しますと、被害がそこに集約されつつあるのではないかという印象を受けまして、そこに住んでおられた方々の苦しみが現在進行形であるということを改めて実感いたしました。

【内田会長】  ありがとうございます。
 では、オンライン参加の織委員、お願いします。

【織委員】  ありがとうございます。私もほかの先生方と同じように、復興が進んでない地域の現状を改めて見させていただいて、また気が引き締まる思いでした。特に今回は、初めて飯舘村の長泥地域を見せていただいたときに、すごく遠方からでも、そのままでは雑草が伸びてしまうので、草取りを皆さんで行って、花を植え、きれいなところをきれいにちゃんとキープしようという、そういうふるさとへの思いというのに対して皆さんが時間と手間をかけて、何とか状況を、分担しながらもやっていこうという、花を植えること、草取り一つにしても、すごく改めて大変なことをしながらこの状況をキープしていらっしゃるんだなということを見させていただきました。
 また、東電の人たちと一緒に、現場で直接対面でいろいろ質疑応答させていただいたことも、今回の議論とも関わってくるんですけれども、大変有意義だったと思っております。
 以上です。

【内田会長】  ありがとうございます。
 では、樫見委員、お願いします。

【樫見会長代理】  樫見でございます。今回の現地視察の目的は、先ほどもお話がありました第五次追補の賠償状況を確認するということでありました。その一環で、私としては初めて東京電力の郡山の相談窓口を視察させていただいて、東電の関係者の方々との意見交換を行うとともに、郡山に置かれたADRセンターの窓口も視察させていただきました。
 被災者の方が請求のために来られる窓口の様子ですとか、あるいは、請求の方法を実際に被災者の立場に立って現に体験させていただいたことは有意義なことであったというふうに考えております。
 また、被災当時、高齢者の施設のありました高台から、福島の第一原子力発電所や除染された土壌の処理施設の状況、そして、津波の後、更地となってしまった跡地に建てられた東日本大震災・原子力災害伝承館での体験、これは被災当時の被災者の心情に私なりに、僅かでありますけれども触れた思いでございました。
 他方、被災された自治体のほうからの要望には、11年の年月が既に経過しているにもかかわらず、被災者の実態に見合った、そして、被災者の心情に寄り添った対応がまだなされていないというような苦情が多く寄せられております。
 今回の第五次追補に基づく請求や、新たに加わったALPS処理水放出に伴う風評被害に対する請求対応について、やはり速やかな苦情内容の把握と、特に高齢者の方々に対する対応、これに特に留意をしていただいて、被災者の心情により真摯に寄り添った体制を取っていただきたいなというふうに実感をいたしました。
 以上でございます。

【内田会長】  どうもありがとうございます。
 ただいま各委員から所感を述べていただきましたけれども、御参加いただけなかった委員も含めて、さらに御意見、御質問等ございましたらいただければと思います。何かありますでしょうか。特にはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、私からも最後に所感を述べさせていただきたいと思います。
 視察の内容については、もう各委員から言っていただいたとおりですが、特に樫見委員から言及がありました伝承館、今回初めて訪問いたしまして、高村館長の御案内で中を拝見いたしましたけれども、この原子力損害によって一体何が起きたのかということを後世に伝えるという上で、非常に質の高い資料館であるという印象を受けました。大変有意義な訪問であったように思います。
 さて、今回の現地視察は、これまでの現地視察と異なりまして、東電の相談窓口について視察行程に入れて、東電との意見交換も行いました。各自治体との意見交換においても述べられたことですけれども、今回の第五次追補を踏まえた追加賠償に係る対応について、賠償が進んだというお話もありましたが、他方で、各自治体が問合せ対応で御苦労されているというお話もありました。
 こういったことを踏まえますと、第五次追補に係る支払いへの対応というのはまだ道半ばであり、東京電力に引き続きしっかりと対応していただくことが重要であると考えております。
 また、賠償の問題については、個別事情等を踏まえた対応や指針の見直しへの要望もあり、審査会においても東京電力の賠償状況について注視をし、迅速で公平、適正な賠償の実施となるよう、引き続きフォローアップしていくことが重要であると考えております。
 今回の現地視察の結果を踏まえまして、今後の審査会の審議に生かしてまいりたいと思います。
 それでは、現地視察の結果については、以上で終わりまして、次に、議題の2、東京電力ホールディングス株式会社による賠償の現状及び今後の対応についてという議題のうち、まずは、原子力損害賠償の支払い状況等と第五次追補を踏まえた追加賠償に係る支払い状況について、東京電力から御説明をお願いします。

【弓岡室長】  東京電力の弓岡でございます。大変お世話になっております。今御指示いただきました点、御説明申し上げます。
 まず、何よりも、弊社事故から12年6か月が経過いたしておりますが、今もなお、福島県の皆様をはじめ、また、広く社会の皆様に大変な御迷惑と御心配をおかけしておりますことを改めて深くおわび申し上げます。申し訳ございません。
 そして、原子力損害賠償紛争審査会の先生方におかれましては、本審査会において、先頃も郡山の窓口にもお越しいただき、また、種々多大なる御尽力をいただきまして、この場をお借りして心より御礼申し上げます。ありがとうございます。
 弊社は3月27日、中間指針第五次追補や原子力損害賠償紛争審査会の御議論の内容、また、政府からいただいた御指導の内容等を踏まえまして、追加の賠償基準の概要や御請求手続の具体的なお取扱い等について公表させていただき、4月より御請求の受付を開始いたしました。
 追加賠償の対応につきましては、この後の次第で御説明させていただきます。まず、ここでは全体の賠償状況のほうを資料に沿って御説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、資料の2-1、御覧いただけますでしょうか。原子力損害賠償のお支払い状況等についてと銘打ったものでございます。まず、賠償金のお支払い実績等について御説明申し上げます。中ほどのお支払い総額のところを御覧いただきますと、本年8月末時点で、総額約10兆8,214億円お支払いさせていただいております。前回審査会にて御報告させていただいた昨年12月時点のお支払い総額と比べまして、約2,405億円の増加となっております。
 下のグラフでございますが、賠償のお支払い額の推移でございます。グラフの一番右側ですが、グレーの部分、個人の方へのお支払いが累計で約3.3兆円、その上の法人・個人事業主の方へのお支払いが約7兆となっております。ここ数年の傾向として、個人の賠償の伸びが緩やかになり、法人・個人事業主などの皆様の賠償の伸びが大きくなっておりましたが、第五次追補に伴う追加賠償のお支払いが始まったことにより、個人の方への賠償が現在増加傾向にあるというところでございます。
 また、グラフの下に消滅時効に関する弊社の考え方を記載させていただいております。弊社といたしましては、時効の完成をもって一律に賠償請求をお断りすることは考えておりません。御請求者様の個別の御事情を踏まえ、消滅時効に関しましても柔軟な対応を行わせていただくことを表明しておりますが、実質的には、時効を援用し御請求をお断りすることは考えていないということでございます。
 2ページ目以降になりますが、参考資料といたしまして、個人の方に対する賠償の合意状況、3ページ目が賠償項目別の合意金額の状況、あと、4ページ目に、原子力損害賠償請求訴訟等の状況、原子力損害賠償に向けた組織体制を掲載しております。
 なお、当室の要員についてでございますが、第五次追補等に伴う追加賠償やALPS処理水放出による風評賠償等にしっかり対応させていただけるよう、福島原子力補償相談室全体では、前回第64回の審査会にて御報告した2023年1月1日の要員から約1,960名増えておりまして、現在、約3,620人の体制となっております。今後の状況に応じまして、適宜、さらなる体制強化を図るなど、両賠償に対して適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、未請求の方々の状況につきましては、2023年8月末時点で665名となっております。これは前回審査会にて御報告させていただいた2022年12月末時点での人数683名から18名の減少となっております。引き続き、お一人でも多くの方に御請求いただけるよう、継続して取り組んでまいりたいと思っております。
 では、続きまして、第五次追補を踏まえた弊社対応につきまして御説明申し上げます。それでは、資料の2-2-1を御覧いただけますでしょうか。これは前回、郡山のほうで富田委員のほうからもちょっと御説明をというようなお話をいただいておりましたので、御用意したものでございます。
 まず、お支払いまでのフローと各ステップにおける当社の課題と改善状況、また、今後の課題、対策をまとめております。フローでは、請求の御案内から請求書発送、受領、受付、そして内容確認、あと支払いまで一連の業務の流れをお示ししております。フローの下には、御案内・発送、そして請求書受領・受付、請求書内容確認のそれぞれのステップの当初の課題と改善状況、また、今後の課題、対策をまとめております。
 御案内と発送につきましては、ウェブサイトを通じた御請求を先行して進めておりましたが、住所変更や家族構成の変化等による世帯分割の申込みが非常に多く、そのような御世帯からの御請求は紙面でのお手続となるため、ウェブサイトを通じた御請求が十分に伸びず、各種お問合せや紙面請求書の送付希望等に関するお電話、弊社窓口への御来場が非常に多くなりました。
 結果、受付当初はコールセンター、相談窓口で長時間お待たせする状況があり、本当に申し訳ございませんでした。コールセンターの体制強化、相談窓口開設日の拡大、また、個別説明会の実施、それに、臨時窓口の設置等により、現在は受付当初に比べますと状況は改善し、待ち時間はコールセンターで、時間帯にもよりますが、数分から10分程度というような状況まで来ております。相談窓口では、御予約いただければもちろんその時間でお受けしておりますが、予約なしで来られた場合でも、数分から20分程度で御案内ができるというような状況になっております。
 今後の課題としてでございますが、昨日までに約35万2,000通の請求書を順次発送しております。このため、コールセンターへの入電や相談窓口への御来訪者数の増加に備える必要があると考えております。
 対策としましては、請求書作成に関する御質問等へ円滑にお答えするための対応者への事前教育等をしっかりやってまいるようにしております。また、受付開始当初のような御不便をおかけしないように取り組んでいるところでございます。
 請求書受領・受付に関連しましては、大変申し訳ございません、6月に請求書、ダイレクトメールの誤った住所への発送ということをしております。本当に申し訳ございませんでした。再発防止策を徹底するとともに、請求書が確実に御請求者様のお手元へ届くように、発送方法を普通郵便から簡易書留に変更いたしました。
 今後の課題としましては、簡易書留での誤送付によって、御請求受付のスピードが当初想定より少し鈍っているというような状況もございます。また、現在、御住所を十分に把握できていない方もおられまして、請求書をお送りできない方への対応が今後の課題と考えております。
 対策としましては、請求書をお送りできない方に対し、今後御請求いただくための方策として、もちろん、SNS等デジタルでの対応はいたした上でございますが、広告出稿や自治体様の広報紙へのチラシ折り込み等、また、本当に御高齢者の方への対応等についてもしっかり検討して進めてまいりたいと思っております。
 請求書の内容確認についてでございますが、内容確認等に時間を要して、確認未了の請求書、これは少し増えぎみになってきております。したがいまして、どうしても御提出書類の不足等が発生しておりますので、内容確認方法を当社のほうで効率化したり、また、提出書類について分かりやすく御案内するというようなことを改めてやってまいりたいと思っております。
 対策としましては、一部定型作業の自動化。これは効率化を図るために自動化を進めたり、対応要員への研修・教育の充実、あと、各種ツールの改善、それと、対応要員のさらなる増員、各種御案内資料の随時見直し、分かりやすくするような随時見直しを行うというようなことをやってまいりたいと思っております。これによって確認処理件数を増加させまして、確認未了の請求書を減少するよう取組に努めてまいりたいと思っております。
 2スライド目、御覧いただければと思います。3月27日に具体的な御請求手続等を御案内しまして、以降の実績と主な計画見直しについて御説明でございます。
 まず、中段部分には、請求書とダイレクトメールに関する計画変更の内容を記載しております。当初、コールセンターや窓口に請求書発送依頼をいただいた方へ、随時請求書を送付していた。これが1つの請求書送付のカテゴリーでございます。特段御連絡いただけてないような場合でも、弊社のほうから、現在の郵送先住所を確認できた方には5月以降ダイレクトメールをお送りし、請求書住所に間違いがないことを確認した後、順次請求書を発送する予定でございました。
 しかしながら、先ほどお詫び申し上げましたとおり、6月1日、2日に請求書とダイレクトメールの誤送付ということが発覚しましたので、一旦発送を取りやめまして、再発防止をしっかり徹底した上で、現在、確実にお届けするよう簡易書留に変更しまして、7月18日より請求書の発送を再開し、現在までに約35万2,000通お送りをしておりまして、今後も、約9万7,000通、10月中には送付する予定でございます。
 下段の相談窓口の対応ですが、個別相談会の実施や臨時窓口の設置等、ふだん相談窓口が設置されていない自治体での窓口開設や県内の窓口の開設日の拡大を行い、御請求者様の相談受付体制を拡充しております。
 また、最下段に記載しましたとおり、これらの状況変化に応じまして、請求書確認への対応要員を中心に、随時、体制を強化しながら取り組んでおりまして、現在、約3,700名体制までしております。
 なお、資料2-2-2を併せて御覧いただければと思います。ここで受付と支払い実績を示しております。これは資料の提出時期が8月31日時点ですので、古いものになっております。直近の数字で申しますと、9月26日現在、御請求の受付人数、これは対象母体148万人と見積もっておりますが、その中で約76万人の方の受付をさせていただいております。その上で、約30万6,000人の方々にお支払いをさせていただいているというのが現状でございます。
 こういった進捗状況で、7月、簡易書留で送り直して以降、請求書を頂いている方々へ、今、ペースを上げながら、お支払いを加速しているところでございます。
 弊社といたしましては、引き続き、3つの誓いに基づきまして被害を受けられた皆様に適切な賠償をできるよう、真摯に取り組んでまいりたいと思っております。
 私からの説明、まずは以上でございます。

【内田会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、次に、ALPS処理水放出後の取組状況につきまして、経済産業省から政府全体の取組を、また、東京電力から賠償基準の御説明をお願いしたいと思います。まずは、経済産業省から御説明をお願いできますでしょうか。

【山口室長】  経済産業省原子力発電所事故収束対応室長の山口でございます。どうぞよろしくお願いします。私から、ALPS処理水、先月の24日から海洋放出の開始をいたしましたが、その経緯、対策につきまして御説明をさせていただきたいと思っております。
 まず、資料の上の四角囲いのところでございます。ALPS処理水、今現在、デブリに触れた水を保管するために、1,000以上のタンクが敷地にございます。このタンクを処分していくことが今後さらなる本格化する廃炉作業を進めるために必要でありますという認識の下、ALPS処理水の処分を開始していこうということで進めてきております。
 令和3年4月、2年程度後をめどに海洋放出を行うという方針を決定しまして、各種取組を進めてまいりました。令和5年7月に公表されたIAEAの包括報告書では、国際安全基準に合致していること、人及び環境に与える放射線の影響は無視できるほどになることが結論づけられております。また、IAEAは放出中、放出後についての安全性確保にコミットするとしております。
 また、総理と漁業者との面談においても説明させていただきましたが、政府として、ALPS処理水の処分が完了するまで全責任を持って取り組むという方針でございます。
 こうした方針取組を踏まえまして、海洋放出開始を、準備を進めるようにと東京電力に指示をしまして、8月24日から海洋放出を開始しております。
 各種取組のポイントを、簡単ではありますが御説明させていただきます。右の今後の取組のポイント、上の段から御説明させていただきます。IAEAにつきましては、放出前、放出中、放出後、継続的にレビューを実施していきます。こうしたことで、第三者によって安全性を徹底的に確認してまいります。福島第一原発にも常駐していただきまして、確認を継続する体制を構築しております。また、次の段で、原子力規制委員会は海洋放出が適切になされていることを継続して確認をする。安全に係る法令等の遵守に加え、緊張感を持った対応を求める。
 3段目、モニタリングでございます。海洋放出した先の海水水産物につきまして、環境省、東京電力、水産庁がしっかりとモニタリングをする。これまでのところ、ほぼ、ほとんどの迅速測定の結果、検出限界値未満であるという結果が出ております。計画どおりに海洋放出がなされており、安全性が確認されております。こうした結果につきましても、国内外に対して透明性高く情報発信をしてまいります。
 4段目でございます。国内外への情報発信を継続していきます。新たな措置が講じられないよう、また、現行の規制が早期に撤廃されるよう、政府一丸となって取り組んでまいります。
 次の段に参りまして、様々な水産業をはじめとする支援策を拡充、強化してまいりますが、実情に応じた支援ができるように取り組んでまいります。また、三陸常磐ものの魅力発信に取り組みます。企業に参加を呼びかけて消費を支えるということで、三陸常磐ネットワークというものを立ち上げて、継続的な消費拡大を継続してまいります。
 また、小売事業者との懇談を通じて、取引継続に向けた環境整備を実施してまいります。また、中小企業施策や観光支援策を、きめ細かに対応を行うとともに、観光需要の創出にも取り組んでまいります。また、相談対応やアドバイザーの派遣、丁寧な事案の把握、また、その対応を努めるとともに、消費拡大、海外開拓のための支援、政府間の働きに注力をしてまいります。
 また、需要対策基金を活用した支援を行うとともに、地域・業種を限定しない個別の事情に応じた適切な賠償を行うよう東京電力を指導します。
 また、中国が輸入禁止措置を強化しましたが、こうした特定国に依存しない輸出体制を構築するためにも、予備費207億円を活用しまして、総額1,007億円の水産業を守るパッケージをまとめまして、輸出転換対策、加工対策などにも取り組んでまいります。
 また、汚染水発生量も、2028年度には50トンから70トン/日まで低減を目指します。これまで、事故直後は540トン/日というものから大分減らせてきてまいりますが、引き続き、これをさらに低減してまいります。また、トリチウム分離技術に関しましても、しっかりと国内の技術動向を把握して、必要に応じて、現実的な技術が開発された際には、支援等も含めて検討してまいります。
 以上がALPS処理水の処分に関する経緯とそれに対する対応策になります。以上になります。

【内田会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、次に、東京電力から御説明をお願いできますでしょうか。

【弓岡室長】  東京電力のほうから処理水の関連で御説明申し上げます。
 弊社、長期にわたる持続的な取組でありますALPS処理水の海洋放出期間を通じまして、風評を生じさせないとの強い決意を持って、設備運用の安全品質の確保、また、迅速なモニタリングや正確で分かりやすい情報発信、それと、IAEAレビュー等を通じた透明性の確保、そして、風評対策並びに損害発生時の適切な賠償に全力で取り組んでまいります。
 ALPS処理水放出による風評被害を最大限抑制すべく対策を講じてもなお風評被害が発生した場合についてですが、その損害を迅速かつ適切に賠償してまいります。
 お手元、資料2-3-3を御覧いただけますでしょうか。これは昨年12月、ALPS処理水放出に伴い風評被害が発生した場合の賠償基準について、これは基本的な考え方でございますけれども、公表させていただいた際の資料でございます。賠償基準につきましては、賠償金をお支払いする上で定める必要のある風評被害の確認方法や損害額の算定方法等について、基本的な考え方を示したものでございます。これらの項目について、地域や業種の実情に応じた賠償を実施できるよう、関係団体等の皆様に丁寧に御説明するとともに、御意見を個々にいただいてまいりました。
 資料2-3-2、ちょっと戻りますが、御覧いただけますでしょうか。こちら、本年8月22日ですけれども、ALPS処理水の海洋放出開始について公表した資料の賠償部分の抜粋でございます。こちらで、ALPS処理水放出に伴い風評被害が発生した場合は適切な賠償をすること、外国政府からの禁輸措置等により国内の事業者様に輸出に係る被害が発生した場合も、適切に賠償することをお知らせしております。
 風評被害等や禁輸に係る被害以外につきましても、ALPS処理水の放出により損害が発生したとのお申出をいただいた場合は、個別の御事情をしっかりお伺いして、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
 そのためにも、ALPS処理水の海洋放出に伴う影響に特化した情報発信、風評対策、賠償対応に関して一元的に対応する専任体制を構築するなど、全社を挙げて対応してまいります。具体的には、影響が生じた全国の事業者様の御事情を迅速かつ丁寧にお伺いできるよう、地域の実情などを踏まえながら、まず、宮城県石巻市など、こういったところをはじめとして、国内に御相談対応の拠点を新たに設置させていただくとともに、既に予定しております400名規模の体制から、これは第五次追補とは全く別でALPS処理水のみの話でございますが、400名規模の体制からさらに数百名規模で増員し1,000名規模にするなど、体制を強化して丁寧に対応してまいりたいと考えております。
 私からの説明は以上でございます。

【内田会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入りたいと思いますが、その前に1点補足させていただきたいと思います。
 エネ庁からの御説明にもありましたとおり、風評被害への対応については、ALPS処理水の海洋放出後も風評影響を最大限抑制すべく取組を行うということなど、しっかりと政府が対応していると承知をしております。その上で、中間指針の中には、風評被害の賠償の基本的な考え方が既に示されております。ALPS処理水の海洋放出に係る風評被害につきましても、個別具体的な事情に応じて、本件事故との相当因果関係が認められれば賠償の対象となり得ると考えております。
 東京電力におかれましては、政府の基本方針を踏まえて、被害の実態に見合った賠償を適切に行っていただきたいと思います。そして、引き続き、審査会としてもしっかりと注視をしていきたいと思います。
 それでは、ただいま東京電力及び経済産業省から御説明がありましたが、これについての御意見、御質問をお出しいただきたいと思います。どの点からでも結構です。いかがでしょうか。中田委員、どうぞ。

【中田委員】  賠償状況のほうでお聞きしたいんですけれども、資料の2-2-2、全体のページ数で言うと32ページというところですが、そこに2024年3月までのスケジュールが示されております。請求という欄があって、2024年3月までこの青い線が続いているわけなんですが、これは何を意味しているのかお教えいただけますでしょうか。
 何をというのは、この請求というのは請求書内容確認の趣旨なのかどうか。それがそこまでかかるのはなぜか。あるいは、そこでもう終わるという見込みなのか。それから、その後、支払いについては、大多数の支払いが終わるのはいつ頃というふうに考えておられるのか。その辺りをお教えくださいますでしょうか。

【内田会長】  それでは、弓岡室長、お願いできますでしょうか。

【弓岡室長】  御質問ありがとうございます。今御指摘いただいた資料2-2-1の2ページ目ということでよろしいでしょうか。

【中田委員】  失礼しました。2-2-1の2ページ目です。

【弓岡室長】  その上段、請求書の部分に関しまして、青い色の矢印といいますか、線を引っ張っております。この請求書、弊社といたしましては、今年度内にできる限りお支払いを進めたいということを考えて、迅速に今お支払いをさらに加速させようとしているところでございます。ただ、請求書に関しましては、できましたら、今把握しております限りの御住所に対しては10月中にも送りまして、全体で45万通送りたいというふうに思っております。
 ただ、その後も、まだ届いてない方や実際当社が住所を把握できていない方などに関しましての引き続きの対応を継続してやっていかねばならないというような、特に未請求の方に対しても継続的に対応してまいりたいという思いでこの線を引いております。現在、鋭意送っておりますものについては、10月中にはどんどん送りたいと思っておりますが、継続して対応するという意思を示したものと御理解いただければと思います。
 以上でございます。

【内田会長】  どうぞ、中田委員。

【中田委員】  ありがとうございました。そうしますと、2ページ目のこの線というのは、請求書の発送という意味で、それは10月末に大体終わるけれども、しかし、不明瞭な部分については年度内に何とかしたいというふうなお答えだったと思うんですが、そうすると、さらにその後、請求書内容確認というのが続き、さらにその後支払いが続きというと、支払いまで行くのは大分先だということなんでしょうか。それとも、支払いも含めて年度内に大体は終わるという見込みなんでしょうか。

【弓岡室長】  これにつきましては、弊社の意思としましては、さらに実はプラス300人ほど増やして支払いを加速していきたいと思っております。したがいまして、年度内にある程度の方々、要は、いただいている方々については支払いきりたいというような思いで人を増やし、工夫を凝らし、対応してまいりたいというふうに思っております。
 したがいまして、意思としては、年度内に相当数進めたいというふうに思っておりますが、結果的に後ろへ伸びる、また、住所がなかなか分からない方々、皆様に対してどうするかというのは、また継続対応になろうかと思いますが、そういった思いで対応しております。
 以上でございます。

【内田会長】  続けて、中田委員、どうぞ。

【中田委員】  ありがとうございました。相当数という言葉と大多数というのが同じかどうかが分からないんですけれども、私としては、支払いが大多数終わるのはいつかということを知りたいんですが、いかがでしょうか。

【弓岡室長】  ありがとうございます。住所を把握しておる方に対しては、今請求書を頂いている方は、どんどんお支払いをして進めていくということになります。ただ、ある程度、年度内にまとまったものをお支払いはするんですが、まだ住所がなかなか把握できない方というのが万単位で残るのではないか。それを除きましたら、年度内でしっかりお支払いをしてまいりたいというふうに考えております。
 ただ、今申し上げた未請求の部分についても、未請求の方が出る分についても、広告を打たせていただいたり、いろいろな御案内を工夫させていただいて、これもできる限り年度内に進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
 したがいまして、年度内を目指して頑張るというのが弊社の考えということになろうかと思います。

【内田会長】  よろしいでしょうか。

【中田委員】  ありがとうございました。

【内田会長】  ほかにはいかがでしょうか。江口委員、どうぞ。

【江口委員】  私も数字のことでお聞きしたいんですが。これは2月の審査会のときにも、やはり数字をもって私たちに示してほしいということは私からも申し上げたというふうに議事録に載っていると思うんですが。
 まず、148万人という数字を言われていますよね。これ、たしか福島の現地視察に行ったとき、追加請求が見込まれるのが148万人だというふうなことを言われていて、今日も言われているんですが、例えば、一番最初の資料2-2-1ですか。本体のと言ったらおかしいんですけれども、いつも聞いている今までの請求だと、個人については約119万5,000件という数字が出てきますよね。そうすると、言われている148万人というのと119万5,000件というのはどういう関係に立っているんでしょうか。
 それから、これは福島に行ったときにも富田委員などから御指摘があったと思うんですけれども、148万人はいいとして、さっきも、35万2,000通を書留で送付しましたとか、10月中に9万ですか、送られるとか何とか言われているんだけれども、本当のところ、148万の中で、そちらとして、現時点で東電としても住所を把握しているよと、自信を持って住所を把握しているよと言えるのはどのくらいで、その中の人には、今、何割ぐらい送って、その送った中から来たのはどのくらいなんですというのが、いろいろな数字を言われているんだけれども、それをどの数字をどう結びつけて考えたらいいのかなというのが分からなくてですね。
 ですから、先ほどの中田委員の御質問にもありましたように、じゃあ、いつ終わるのというふうなことにも結びついていくと思うんですけれども。そこら辺はどういうふうに把握されているんでしょうか。

【内田会長】  お願いします。

【弓岡室長】  ありがとうございます。これは整理して御説明申し上げさせていただく必要があるかと思います。148万人という数字でございます。これは弊社の見積りとして、今回、第五次追補でお示しいただいて、弊社が判断しました母体の数、これが148万人ということになります。
 実際、今回、今までお支払いをした方、個人の精神的損害ですと、妊婦、子供の方等、今回対象になっておられない方まで考えますと、前回ですと180万程度といいますか、148万よりも増える数が母体になっておりますが、今回は148万、これをベースでまず御理解いただければと思います。
 現時点で、まず、約76万人の方の受付、要は、請求書の受付をさせていただいているという状況でございます。したがいまして、148万のうち76万人の方の受付をさせていただいておりますので、これを即座に、速やかに支払いをしていくということが大前提になろうかと思います。
 その中で、今、数字としては、約30万6,000人に関してお支払いをさせていただいているということになります。これが現状になります。
 住所についてどれぐらい把握できているかという点でございますけれども、今まで請求書をお送りさせていただくやり方として2つございます。1つは、御連絡をいただいて、要は、まず、ベースとしてお話しさせていただくと、12年前の住所のデータというのが当社にございます。それは先ほどお話ししました148万人より多い母体の住所がございます。まず、その住所の方の中で、変更されている御連絡をいただいた方、この方に対しては請求書をお送りしています。また、把握している方、これが45万通、約100万人レベルでございますけれども、この方には請求書を自発的に送れるというふうに考えております。
 したがいまして、今のストレートにお答えさせていただくと、約100万人の方は少なくとも現在の住所を把握できているということになろうかと思います。
 したがいまして、148万人おられて、まず、100万人ほど住所は把握できています。また、そのうち76万人ほど、今、請求書を当社のほうへ送付いただいて、受付をさせていただいて、その中、約30万6,000人ほどお支払いを完了しているという状況というふうに御理解いただければと思います。いかがでございましょうか。

【内田会長】  いかがでしょうか。今の回答。

【江口委員】  そうしますと、引き算すれば、48万人は把握できないと。それについては、むしろいろいろ広報をすることによって、向こうのほうから請求書を送ってくださいねというような形で、いってくださるなり、あるいはウェブで請求してくるなりと、そういうのを待つという形になるということでしょうか。

【弓岡室長】  ありがとうございます。それが今後の課題だと思っております。1つは、ウェブでの請求をお待ちするというのは1つございますけれども、弊社としましては、手をこまねいているわけにいかないと思っておりまして、こちらのほうから新聞広告を打ったり、あと、自治体様のお力を借りしてチラシを入れさせていただいたりというようなことを併せて進めていくことで、何とか請求の方向へお願いをしていくということをやるとともに、また、住所の正確な把握の方法を今後いろいろと模索してまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。

【内田会長】  続けて、どうぞお願いします。

【江口委員】  よく分かりましたので、引き続き、広い広報で一人でも多くの方が請求できるように、よろしくお願いいたします。

【弓岡室長】  ありがとうございます。

【内田会長】  ありがとうございます。
 では、オンラインで御参加の樫見委員、お願いします。

【樫見会長代理】  すいません。織先生、先に。お急ぎのようですので。

【内田会長】  では、先に織委員、お願いします。

【織委員】  ありがとうございます。すいません。今、チャットで入れさせていただいたんですけれども、148万人という膨大な数の支払いをしていくと、当然、かなり時間差が出てくると思うんです。今回ヒアリングをしている中でも、いつ支払われるんだとか、先に支払った人はもう支払っているのに、自分はどうなるかという、こういう不安の声を随分聞くことができました。
 ですので、どうしても後になっていってまだ支払いが終わらないという方に対して、随時、支払い状況ですとか、いつぐらい、残りの人はこれぐらいですとかという、そういう情報提供が東電さんのほうからどういう形でなされるのか、その辺あたりをしっかり答えておいていただきたいなと思っています。
 もしまだそういう体制ができてないなら、ぜひ、支払い状況について不安を払拭し、ある程度時期について予測ができるような情報を提供するシステムというか、体制をつくっていただきたいという、こういう要望、質問というか、質問と要望を兼ねて、お願いいたします。

【弓岡室長】  ありがとうございます。御指摘、全くごもっともでございます。前提としましては、請求書をお送りしている時期も、7月18日頃から10月まで幅広くわたってしまっておりますので、10月の方々に関しまして御不安をお与えしないように、しっかりやって参りたい。
 自治体様にこの情報を入れさせていただいたり、あと、弊社のホームページでも随時御案内をさせていただいたりしておりますが、今後、そういった御不安のないように、もう一歩何か踏み込めるか、ホームページやこういった自治体様のお力をお借りしながらではありますけれども、周知をして、少し御理解いただけるような動きを取ってまいりたいと思っております。ありがとうございます。

【織委員】  よろしくお願いいたします。

【内田会長】  ありがとうございます。
 それでは、樫見委員、お願いします。

【樫見会長代理】  追加賠償の対応状況のところで、各窓口の開設場所というのが記されております。ここでざっと拝見したところ、例えば、被災地の富岡、双葉、大熊、飯舘といったような、既に請求がお済みになっていらっしゃる方は少ないかとは思うのですが、今後、そういったところへ、常設は無理にしましても、各被災した市町等と連携をして窓口を臨時的に開設するといったようなことはお考えでしょうか。

【弓岡室長】  ありがとうございます。これは本当に、実は自治体様からも随時御要望をいただいておりまして、まず、南相馬というところに1つ大きな窓口のようなものはありますが、各自治体様から御要望いただいて、それに応じて、臨時窓口を開いたケースというのも幾つかございます。また、説明会、個別の例えば30人、50人単位で地域でちょっと説明を聞きたいというふうなお申出をいただいた際に、説明会を延べ11回ほどやってきておりますけれども、住民の方に御説明に伺うというようなことも併せて取組をしております。
 主に御要請いただくのは、自治体様のほうから、ぜひこういうふうな対応ができないかということで、窓口を設けたり説明会をさせていただいたりというのは地域事情に応じてやらせていただいておりますが、今後も、御指摘のとおり、十分でない地域というようなことを整理して、徹底した対応をしていけるよう努めてまいりたいと思います。ありがとうございます。

【樫見会長代理】  お願いいたします。

【内田会長】  私からもぜひよろしくお願いいたします。
 ほかに御意見、御質問いかがでしょうか。どうぞ。鹿野委員、お願いします。

【鹿野委員】  それでは、1つ質問させていただきます。先ほどの現地視察に関して申し上げたこととも少し関連するのですが、高齢者に対する対応ということについてです。先ほどのご説明でも一言言及されたと思いますけれども、具体的にどのようなことをお考えかということをお聞かせください。
 サポートしてくれる方がいらっしゃる場合はいいのかもしれませんけれども、一人暮らしの高齢者の場合には、デジタルデバイドどころか、請求書がたとえ届いたとしても困難がある。請求書自体は比較的分かりやすくできているとは思いますが、一人暮らしの高齢者で、果たしてそれを受け取ってちゃんと1人で請求にこぎ着けることができるかというと、かなり困難があるのではないかというふうに感じました。そこで、そのような方々に対する対応ということについての御予定などをお聞かせいただければと思います。

【弓岡室長】  ありがとうございます。この問題、地域の方からもお声をいただいておりまして、いろいろ手を尽くしていかなければならないと思っているテーマでございます。もちろん、御高齢者の方、まず、御案内に関しましては、自治体様のお力を借りて、先ほど、広報紙に紙で入れる、また、新聞に入れるというようなこともさせていただくというようなことを考えておるというお話をさせていただきました。また、地域の自治体様と連携してお力をお借りしながら、いろいろな情報をいただきながら対応してまいる。
 あと、どうしても、なかなか家から出られないというような御事情があったりするような場合は、御要望いただければ、御訪問を適宜させていただくというようなことも考えております。
 また、窓口にお越しいただいた際に、要は、いろいろ御説明は申し上げるんですが、御高齢者の方で、やはり請求は難しいというような方に関しては、iPadを窓口のほうに置いておきまして、お話を伺いながら入力をさせていただいて、請求をその場でさせていただく。要は、御説明の内容は、そのまま当社のほうで代わりに入れさせていただいて、請求につなげていくというようなことも上手に御案内してまいりたいと思っております。
 したがいまして、御請求に関する御案内、また、具体的な請求の際の御高齢者対応ということも、こういったことを今考えておりますが、引き続き、検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。

【鹿野委員】  ありがとうございました。

【内田会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。では古笛委員、お願いします。

【古笛委員】  私のほうからは、ALPS処理水海洋放出後の件について御確認させていただきたいと思います。
 今現在、マスコミでも大きく取り上げられているので、とても風評被害などについては注目されているところだと思いますが、そんなことはないと思うんですけれども、あまりにもそちらのほうが注目されているので、そのほかの被災者さんの対応が遅れるなどということにならないように、しわ寄せがいかないようにとはお願いしたいと思います。
 それと御質問としては、昨年の12月に賠償基準を公表されてから、被災者の方とか関係団体のほうから、何かこの賠償基準についての御意見というようなものは出てきているんでしょうか。その点を教えていただけたらと思います。

【弓岡室長】  ありがとうございます。まず、1点目、御要望の件、ありがとうございます。御指摘の懸念を当社のほうでも起こさないようにということで、体制を、従来からやらせていただいている賠償、それと第五次追補の賠償、それと処理水の賠償というのをそれぞれチームをしっかり分けて対応をしております。したがいまして、それぞれが相互に影響を極力及ぼさないような形で体制整備をしてきたというようなところもございますが、今後もいろいろなことが起きる可能性もあると思っておりますので、相互に影響を及ぼさないように、また、従来の賠償に御迷惑をおかけしないような形でやるように注意してまいりたいと思っております。
 2点目、12月に基準の公表、これはあくまで大枠の考え方のようなものを公表したものでございます。したがいまして、それぞれの団体様、業種ごと、または業種の中でも地域ごとで違うようなところはございます。例えば、賠償の対象とする風評被害であれば、風評被害が起きて価格が下がりました、その基準とする年をどのように、いつに定めるかというようなことについて様々御意見をいただいております。といいますのも、この数年間と比較すると、コロナの影響をどう見るかというような話があるので、コロナの影響は外した形で賠償の検討をいただけるかというような、基準年をどのように定めるかというような御要望をいただいたりしております。また、この12月の資料にも書いてあります風評被害とはまたちょっと少しカテゴリーが違うと思いますが、今、報道されている禁輸に伴う賠償というものは、風評被害のように何か推認をして価格は下がってというような話とは違って、ストレートに損害が発生するようなケースがあって、これについての御要望をいただいたりはしております。
 昨年の12月の資料にも、そういったことについて適切に賠償いたしますということは記載させていただいているんですが、かなり具体的に禁輸に伴う賠償のお話というのを個別具体的にいただくようなこともございます。そういった様々な意見をいただいておりますけれども、適切に、また迅速に進めてまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。

【内田会長】  ありがとうございます。
 ほかに。では、明石委員、お願いします。

【明石委員】  ALPS処理水について、資料の2-3-1、これは経産省の資料なのかなと思います。現在我々、マスコミの報道等見ていますと、風評被害と言っていいのかどうか分からないような意見もいろいろ出ているような、外国から出ているような気がしますけれども、やはり風評被害を最小限にするということの基本になるのは、健康影響、科学的なエビデンスだと思います。外国の基準、国際基準とかということがいっぱい言葉出ているんですけれども、これをよく見ますと、排出、海にリリースするときに、WHOの飲み水の7分の1ぐらいになっていて、それがさらに海水で希釈されて、実際に食べている魚はほとんど検出されないようなレベルで泳いでいるものを食べているんだという、そういう基本的なことというのをやはりどこかにみんなが分かるような言葉、形でやはり載せておくということが、何となく風評被害をミニマムにするのに、私自身の立場からすると、そんな気がしております。
 やはりそういう健康影響、体への影響、環境への影響というところを、もう少し細かにどこかに出しておくというのは必要かなと思いますので、ぜひその辺、御検討お願いできたらと思います。

【山口室長】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、風評影響をやはり抑制するためには、安全であるということが、より多くの人々に情報として届く、認識してもらうということが重要だと思っています。これまでも、これは政府の資料なのでちょっと言葉が多くて、またちょっと硬い言葉が多いんですけれども、ホームページにいろいろ解説動画をつくってグラフで、おっしゃったようなWHOの基準に対して、7分の1をさらに下回るものであったりとか、あと環境影響評価というシミュレーションをやっているんですが、これもいろんな各種の影響をかなり保守的に計算して、我々ふだん自然放射線で2.1ミリシーベルト受けているんですが、それに対して放出の影響というのは0.00002ぐらいであるということとかを分かりやすいような形で解説したりとか、新聞広告を出していただいたりとか、CMを出していただいたりとか、パンフレットを出していただいたりとか、これで全ての人が認知してもらえるということはなかなか難しいんですけれども、最大限分かりやすく、より多くの方々に認識してもらえるように、引き続き、努力していきたいというふうに思っております。ありがとうございます。

【内田会長】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 ほかにいかがでしょうか。中田委員、お願いします。

【中田委員】  80ページの賠償金を支払うまでの流れという点についてお伺いしたいんですけれども、8.1、賠償金をお支払いするまでの流れ。よろしいでしょうか。

【弓岡室長】  申し訳ありません、80ページとおっしゃられますのは、今、配付資料の80ページということでよろしいでしょうか。

【内田会長】  通しページの80ページですね。

【中田委員】  8.1、右下23という数字も書いてあります。

【弓岡室長】  はい。賠償金を支払いするまでの流れという、公表資料のお話でございますか。

【中田委員】  はい。よろしいでしょうか。ここで賠償のタイミングについてお伺いしたいんですけれども、これは具体的な確認がなくても、統計的なデータで算定するというのが想定されているようなんですけれども、これは1回だけなんでしょうか。それとも、例えば1年ごとに請求するとかということもあり得るんでしょうか。それが風評の問題と、それから禁輸の問題と、2種類違うんじゃないかということをさっきおっしゃったんですが、それぞれについて賠償のタイミング、あるいは回数ということをどうお考えか、お教えいただければと思います。

【弓岡室長】  ありがとうございます。まず、風評被害という、公表しているこの資料の関係で申しますと、整理しておかなければならないのは、推認という、例えば、福島県様の漁場での単価と中央卸売市場の単価が、中央卸売市場が上がっているにもかかわらず福島県の単価が下がっているような場合は、これは風評被害ありというふうに認定できるというふうに考えておりますのを推認と呼んでおります。こういったやり方をしつつ、したがいまして、風評被害があるかないかの立証に書類等をお出しいただくことなく、被災者様のお手数を省くために、こういったことを導入していると。ただ実際に損害額、金額幾らかという断面では、実際の損害に関する資料をいただくようなことはございます。
 そういった流れが1つございますけれども、その上で、タイミングと回数なんですが、風評被害に関しましては、毎月風評の推認のデータを私どもで取りまして、今月は風評影響あるか、今月はないかというようなことを毎月考えて対応していくと。お支払いの回数は、風評被害続く限り、回数は続けてまいるというような形になるかと。これは損害ある限り賠償させていただくということを大前提に考えておるところでございます。
 一方、禁輸のほうに関しましては、これは本当に禁輸に伴う損害が発生しているということが確認できるのであれば、これは本当にその部分の価格が下がっている場合、また、実際に全く販売ができなくなったということで駄目になった場合等あろうかと思いますが、これについては確認できればお支払いする。これについても、例えば毎月にするか、あと3か月に1回にするかというのは、また半年に1回にするかというのは御相談で、御被災者様のお立場に立ってお話合いをさせていただければと思っておりますが、これも回数については、禁輸が続く、禁輸に伴う損害が続く間は、回数限定なく対応は考えているというところでございます。
 以上でございます。

【内田会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。山本委員、どうぞ。

【山本委員】  私は、この通しページの先ほどの69ページから70ページの観光業のところでお話を伺いたいんですけれども、この算定方法について、基準売上高、放出前の売上高というのを基準にするということなんですけれども、私も必ずしもよく知ってしているわけではないんですけれども、例えば中国からの団体旅行等について、比較的最近それが行われるようになったけれども、しかしながら今回の処理水の放出の影響を受けてキャンセルが多く出ているというような報道を見た記憶もあるんですけれども、基準年をどのように取るか、あるいは基準売上高をどういうふうに取るかということにもよると思うんですけれども、このところずっとコロナの影響も含めて、外国からの観光客というのが少ない状況にあった。
 そういう意味では、基準の売上高というのが低い状況にあって、今ようやく回復しようとしている段階で、仮にこの処理水の放出の影響を受けて、それが思ったように増加しなかったという場合について考えると、もしそういうことがあるとすれば、この算定方式だとかなり損害額というのは低くなる、あるいはゼロになってしまうということも考えられるんじゃないかと思われるわけですけれども、その辺りの考え方、そういう場合について、どこまでの立証ができるかにもよると思うんですけれども、少しやはり柔軟に考えていく必要がある場合があるんじゃないかというふうにも思うのですけれども、その辺りいかがでしょうか。

【弓岡室長】  ありがとうございます。これは御指摘のとおり、そういった御意見をいただくケースがございます。したがいまして、70ページ目に書かせていただいておりますが、基本が放出前年、ただ昨年のどの時期かというのはありますけれども、コロナの影響がまだ残っているようなところがあろうかと思います。
 したがいまして、弊社のほうで「5中3」というような呼び方をするようなこともございますけれども、例えばコロナの影響の出る前の時期を例えば5年間取って、そのうち一番高いものと一番低いものを外した形で基準年の平均値を出すというようなことも柔軟にやっていかなければ、御指摘のとおり、実際に出ている損害が反映されないというようなケースがあろうかと思っております。
 したがいまして、業界団体様それぞれ、また地区によっていろいろ御要望もありますので、それを承りながら賠償の柔軟な対応を考えさせていただいているところでございます。今のお話については基準の置き方、コロナの影響をどういうふうに外した形でやるかということを、弊社のほうではこういった選択肢をいろいろ御用意しながら御相談をさせていただいているというところでございます。
 以上でございます。

【内田会長】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。
 それでは、本日は中間指針第五次追補を踏まえた追加賠償に係る支払い状況を含む、東京電力による賠償の状況等も御説明をいただきました。また、経済産業省、東京電力から、ALPS処理水放出後の取組状況について御報告をいただきました。
 これまでもお伝えしていることですけれども、中間指針というのはあくまで相当因果関係が認められる蓋然性の高いものを類型化しているというものであって、第五次追補にも書かれておりますように、指針が示す損害額の目安が賠償の上限ではないということ、そして指針において示されなかったものや、対象区域として明示されなかった地域が直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められるものは全て賠償の対象となると、このように明記されているところです。これらの点は、審議会における議論の中でもこれまでも指摘された点であり、改めて申し上げておきたいと思います。
 また、消滅時効を援用しないという点についても御説明をいただきましたが、この点の対応も非常に重要であると考えております。東京電力におかれましては、被害の実態に見合った必要十分な賠償が適切に行われるよう、公平かつ適正な賠償を進めていただくとともに、経済産業省におかれましては、東京電力への御指導をよろしくお願いいたします。
 審査会としては、今後も第五次追補に基づく賠償の状況や、ALPS処理水の海洋放出に関する風評被害の賠償の状況、こういったことを含めてフォローアップをしてまいりたいと思います。
 以上で、第2の議題については終了したいと思います。どうもありがとうございました。

【弓岡室長】  ありがとうございました。

【内田会長】  それでは、続いて、第3の議題に入ります。損害賠償請求の集団訴訟の状況についてでございますが、事務局から御説明をお願いいたします。

【本橋原子力損害賠償対策室次長】  事務局より御説明いたします。資料3-1を御覧ください。
 今回御報告する訴訟の一覧でございます。高裁判決が2件、地裁判決が3件でございます。高裁判決につきましては、資料3-2と3-3に基づいて御説明させていただきます。
 まず、資料3-2でございますが、令和4年11月25日の仙台高裁判決でございます。こちらは南相馬市原町区に居住していた原告による慰謝料等の損害賠償を求めた事案でございます。
 2ポツの控訴審の概要でございますけれども、被侵害利益ないし損害額の算定方法につきましては、こちらの資料に記載のとおり、①から③に分けた類型的な慰謝料を算定してございます。また、損害額につきましては、避難指示解除準備区域や緊急時避難準備区域について、慰謝料額を認定してございます。
 次の2ページ目を御覧ください。認定された慰謝料額と、第五次追補を踏まえた東電の基準、そして中間指針ないし第五次追補、また過去の確定7判決の認定額を比較した表を、こちらに簡易的に分析したものを掲載してございます。お示ししたとおりの状況でございます。
 また、続けて資料3-3を御覧ください。こちらは令和5年3月10日仙台高裁判決でございます。いわき市に居住していた原告による慰謝料等の損害賠償を求めた事案でございます。
 控訴審の概要でございますけれども、被侵害利益ないし損害額の算定方法について、自主的避難等対象区域や、屋内退避区域に居住していた方に対する精神的損害について、損害額は記載のとおり、それぞれの区域において認定されているところでございます。
 次のページの2ページ目でございますけれども、先ほどと同様に、今回の判決の認定慰謝料額と、それぞれの基準、中間指針、また確定7判決の認定額を比較した表を記載させていただいております。お示ししたとおりでございますけれども、今御説明させていただきました確定した高裁判決2件に関しましては、判決における損害額の算定方法については、これまでの中間指針ないし、中間指針第五次追補の策定に係る議論の中で既に考慮されており、新しい観点は特段含まれていないものと認識しております。また、今回の判決で認定された慰謝料額については、第五次追補策定の際の議論で考慮いたしました令和4年3月の7つの確定判決の認定慰謝料額の範囲内、あるいは、第五次追補を踏まえた東京電力の自主賠償基準に収まっているという状況でございます。
 以上が、事務局において簡易的に分析を実施した結果でございます。
 続きまして、地裁判決について御説明申し上げます。こちらにつきましては3件ございますけれども、いずれも上訴がなされた旨の報道が出ております。委員の皆様には机上配付資料のPDFファイルがございますので、そちらを御覧いただければと思います。
 判決文につきましては、機微な情報を含みますので、委員の方々、先生方のみ御覧いただけるようにしてございます。なお説明の中で、判決文の該当ページを申し上げますが、PDFファイルの左側に出ているしおり機能により、当該ページをすぐに御参照いただけます。
 各判決では国の責任の有無、その理由など責任論についても述べられておりますが、本日は損害論の部分、特に精神的損害に関する部分について御説明いたします。
 まず、1点目、福島地裁小高区における判決についてでございます。令和5年3月14日に判決が言い渡され、最終的な原告数は547名でございます。原告らは精神的損害への賠償のみを請求しております。
 51、52ページでは、避難指示の対象となった地区に生活の本拠を置いていた原告らは、本件事故により放出された放射性物質の放射線の作用により、平穏な日常生活の維持・継続が阻害され、人格的利益が侵害されたとされ、また、永続性に対する期待に客観性が認められる、身近で非代替的な環境が放射線の作用により変化したと認められ、そのことにより自由な自己実現が阻害され、あるいは経済的・精神的利益を損なっていると認められるときは、侵害された平穏な日常生活が回復していないと言え、回復しないことによる精神的苦痛は金銭をもって慰謝されるべきであると認められております。
 58ページから61ページでは、慰謝料を算定するに当たって、①、自宅以外での生活を長期間余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく損害されたために生じた精神的苦痛に係る精神的損害、また、②、①の避難生活による精神的損害以外の精神的損害に整理して検討することとされております。
 ①につきましては、東電が自主賠償基準としている月額10万円を85か月賠償するというのは、避難指示により自宅以外での生活を長期間余儀なくされ、従前の日常生活とは全く異なる生活を送らざるを得なかったことに起因する精神的苦痛と、そのような状況から、日常生活に戻るまでに必要であったと合理的に認められる期間内に生じた不便、苦痛にまつわる精神的苦痛に対する慰謝料として相当な額であると認められてございます。
 ②につきましては、本件事故時に小高区に生活の本拠を置いていたと認められる各原告について、避難生活終了後も、身近で非代替的な環境が変化し、そのことにより自由な自己実現が阻害され、人的交流等から得られる経済的利益、または精神的利益を失ったと認められ、その慰謝料は280万円であるとされたところでございます。
 本判決では、東電による精神的損害に対する賠償額を控除した上で、各原告に生じた精神的損害を含め、全体として合計約15億2,900万円が認容されてございます。
 次に、2件目の福島地裁の判決でございます。令和5年3月14日に判決が言い渡され、最終的な原告数は297名でございます。原告らは精神的損害への賠償のみを請求してございます。
 48、49ページ目では、南相馬市長から避難を促された鹿島区の住民である原告らは、本件事故時までに平穏に暮らしていた生活の本拠地からの避難を迫られ、従前の生活を継続できなかった状況に陥ったことから、本件事故により放出された放射性物質の放射線の作用により、平穏な日常生活の維持・継続が阻害されて、人格的利益が侵害されたことが認められ、これにより被った精神的損害は、原賠法により賠償すべき損害であるとされています。
 また、56から58ページでは、慰謝料額の算定において、東電が自主賠償基準としている月額10万円を7か月分賠償するというのは、鹿島区の住民が平穏な日常生活の維持・継続を阻害されたことにより被った精神的苦痛と、そのような状況から日常生活に戻るまでに必要であったと合理的に認められる期間内に通常生じる不便や、苦痛にまつわる精神的苦痛に対する慰謝料として相当な額であると認められるとしております。
 その上で、さらに原告らの立証により認められる各原告の個別事情を踏まえ、避難生活を終えた後も永続性に対する期待に客観性が認められるまで認められる、身近で非代替的な環境が変化したことにより、平穏な日常生活の維持・継続が阻害され、その変化が放射線の作用と認められる場合は、慰謝料10万円を増額するのが相当であるとしてございます。
 本判決では、東電による精神的損害に対する賠償額を控除した上で、各原告に生じた精神的損害を認め、全体として約2,959万円が認容されてございます。
 最後に、岡山地裁の判決でございます。令和5年3月14日に判決が言い渡され、最終的な原告数は105名でございます。原告らは精神的損害への賠償のみを請求してございます。
 79ページから87ページでは、本件事故時に、本件発電所から一定の範囲内の地域において居住、生活していた者は、放射線被曝の恐怖や不安にさらされ、被曝を避けるための対策により不自由な生活を強いられることとなったこと、実際に避難を行った者は、住み慣れた生活の本拠からの移転を余儀なくされ、慣れない土地での不便な生活を強いることとなったことから、本件事故により、平穏生活権を侵害されたものと認められるとされ、原告らが従前居住していた地域ごとに平穏生活権が侵害されたといえるか検討し、緊急時避難準備区域、屋内退避区域、自主的避難等対象区域及び県南地域に居住していた原告らについて、類型的に平穏生活権が侵害されたとされました。
 その上で88、89ページでは、慰謝料額の算定に当たって、原告らの居住していた地域が緊急時避難準備区域、屋内退避区域、自主的避難等対象区域のいずれに所在していたか、あるいはいずれにも所在していなかったか、また、原告らが子供、または妊婦であるか否かが考慮すべき重要な要素であるとし、個々の原告らの従前の生活状況、避難に至る経緯、避難の状況及び避難後の生活状況等の諸般の具体的事情を考慮して、各人ごとの慰謝料額を算定するのが相当とされ、個別に慰謝料額が算定されています。
 本判決では、東電による精神的損害に対する賠償額を控除した上で、各原告に生じた精神的損害を認め、全体として3,095万円が認容されてございます。
 大変長くなって恐縮でございますが、事務局からの説明は以上でございます。

【内田会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明にありました判決について、御意見、御質問等いただきたいと思いますが、特に御意見をいただきたいと思いますのは、判決が確定した2つの高裁判決、これにつきまして、事務局の説明では第五次追補までの中間指針で考慮されていないような新たな観点はないと考えられるということでした。この点について審査会としてどう考えるか、ぜひ御意見をいただきたいと思います。
 中間指針の見直しに向けて、この判決を受けて、検討に着手する必要があるかどうかということの判断をする必要があるわけです。今回確定した2つの高裁判決は、確定といっても最高裁決定が出たわけではなくて、いずれも上告をしなかったか、または上告取下げによって確定したものですけれども、いずれも同じ裁判長の下で下された判決で、同じ裁判長の判決が第五次追補を検討する前提となった7つの高裁判決の中に2件含まれております。そういう点で、既に第五次追補の際に検討の対象となった確定判決で示された考え方と共通の考え方が示されており、金額についても第五次追補で検討した確定判決で認容された金額の範囲内に収まっているということから、新たな観点はないと考えられるという報告が、ただいまありました。
 以上につきまして、御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。では、江口委員、お願いします。

【江口委員】  私も今回の2つの高裁判決につきましては、今、事務局の説明、それから会長からのお言葉にもありましたように、考え方、それから最終的な金額についても既に昨年十分専門委員の方にも検討していただきましたし、この審議会の中でも検討し尽くされているものと思います。ですから、今の時点では新たな再検討は必要ないというふうに考えます。

【内田会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。古笛委員、お願いします。

【古笛委員】  私も今、江口委員から御意見がありましたとおり、今回の高裁の2つの判決は、裁判長が同じというところに特に引っ張られないようにしようとは思ったんですけれども、昨年検討させていただいた確定7判決の中での出てきた議論を踏まえると、その中に収まるということで、現時点においては新たに再検討の必要はないのではないかというふうに考えました。

【内田会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。特に御意見はありませんでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御意見を踏まえますと、今回の2判決については、現時点では直ちに中間指針の見直しの要否に向けた検討に着手しなければならないという論点はないと、そういう理解でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では引き続き、審査会として、今後の裁判例について注視をしてまいりたいと思います。議題(3)については、以上でございます。
 続いて、議題の(4)に入ります。なお、議題(4)から議題(6)までは続けて御説明をいただいてその後まとめて御意見、御質問いただくようにしたいと思います。
 まず、議題(4)は、原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況についてでございます。ADRセンターの田中室長から御説明をお願いいたします。

【田中室長】  ADRセンター室長の田中でございます。本年の8月1日付で室長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【内田会長】  よろしくお願いします。

【田中室長】  私のほうからは、ADRセンターの令和5年における活動状況について御報告をさせていただきます。お手元の資料では、資料の4、通しページでは89ページからになっております。なお、数字は全て速報値でございます。
 まず、表紙めくっていただいて1ページ目、通しページでは90ページ目になりますけれども、そちらを御覧ください。センターの人員体制でございます。令和5年の6月末時点の人員につきましては、仲介委員206名、調査官69名、それから、和解仲介室の職員102名というところでございます。令和4年末と比較すると、調査官につきましては8名の減、仲介委員につきましては1名の減という形になっております。
 センターの人員の規模につきましては、中間指針第五次追補策定等を踏まえ、今後の申立件数の推移などを見ながら検討をしてまいりたいと考えております。
 次に、2ページ目、通し番号では91ページ目となっております。申立件数と人数の推移でございます。令和5年に入りまして、6月末までの申立件数は802件ということになっております。これまでの累計申立件数は2万9,515件、累計の申立人数は12万1,572人となっております。ピークでありました平成26年度と比較をいたしますと、近年の申立件数は減少傾向にありましたが、ここ数年は横ばいになっております。後に広報活動の詳細については触れさせていただきますけれども、特に今年は地方自治体と連携した説明会等を活発に実施しているというところから、説明会を経由した申立てが、申立件数の多くを占めているという実情でございます。
 続きまして、次のページ3ページ目、通し番号で92ページ目でございます。ここでは、平成23年からの申立件数の推移の内訳等を、御参考までにお示しをさせていただいております。個別の御説明は、ここのページは省略をさせていただきます。
 次、4ページ目、通しページでは93ページ目ということでございます。ここでは、当センターへの初めての申立てを初回申立て、2回目以降の申立てを複数回申立てという形で分類しております。令和5年に入ってからの申立てにつきましては、初回申立ての割合は、昨年よりも8.5%増加いたしまして、60.0%となっております。このような状況を見ますと、まだ賠償される可能性があるものの、ADRセンターへの申立てをされていないという方が一定数残っていらっしゃると思われます。また、震災からもう10年以上経過しておりますけれども、現在でもADRセンターのことはよく知らない、十分に知らないということを言われる方もいらっしゃると聞いております。当センターといたしましては、引き続き自治体等と連携をした説明会の開催でありますとか、広報誌への記事の掲載をはじめとした広報、周知活動にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、5ページ目、通しページでは94ページ目になります。和解仲介の状況でございますが、令和5年6月末までに、累計で2万9,515件の申立件数に対して2万8,354件の和解仲介手続が終了しております。終了したもののうち、約8割に当たります2万2,547件が、和解成立という形で終了しております。なお、令和5年6月末時点における、現在進行中の未済事件につきましては、1,161件となっております。
 次のページ6ページ目、通し番号では95ページ目ということになっておりますが、和解仲介の状況に関しての各年の詳細を書かせていただいております。令和5年につきましては、6月の末までに手続が終了した件数は540件となっております。そのうち414件、割合で申し上げますと約77%が、和解成立という形で終了しております。その一方で、和解の打切りとなってしまったのは41件、取下げで終了した案件は85件となっております。
 和解打切りの理由別の中身を見ますと、申立人の方と連絡が取れないことを理由として和解打切りとなったものが一番多く、41件中の18件となっており、打切り件数中の4割以上を占めているところでございます。なお、被申立人であります東京電力が和解を拒否したために和解打切りとなったものは、令和4年に引き続き、令和5年に入ってから6月末までではございませんでした。
 次に、7ページ目、通し番号では96ページ目でございます。ここでは平成23年からの和解仲介の状況の推移の詳細を、御参考までにお示しをさせていただいております。内容の細かい説明は省略をさせていただきます。
 次に、8ページ目でございます。通し番号では97ページ目ということになっております。中間指針の第五次追補の影響についてでございますが、令和5年1月から6月までの申立件数802件のうち、第五次追補に関連した申立件数というのは約300件という形で把握をしております。なお、この数値は申立ての時点の内容を基に整理をした概数ということになっておりまして、審議中に追加がされるということもございますものですから、最終的な和解提示時点における実態とはちょっと乖離があるという数字になっております。
 センターとしての具体的な取組としては、個人による申立事件のうち、希望される方に関しまして、中間指針第五次追補に関する損害賠償を請求した場合を中心に、東京電力が答弁書で賠償の義務、賠償すべきだ認めた部分については、先行してその部分について和解を成立させるという形で早期の支払いを実現するという、早期一部支払いと言われる運用を実施しております。この取組は、中間指針第五次追補の策定を踏まえて、被害者の方に迅速に賠償を受け取っていただくということを実現するために、平成24年12月21日付総括基準「早期一部支払の実施について」に基づいて、こういう手続を積極的に活用しているところでございます。
 それでは、9ページ目、通し番号では98ページ目になります。センターの広報活動について御説明を申し上げます。昨年につきましては、説明会経由の申立てが、全申立件数1,162件のうちの約6割に当たります727件あったということから、令和5年についても、引き続き関係地方公共団体や関係団体と連携・協力をいたしまして、説明会を実施するなどしております。
 例えば、本年2月からの確定申告、それから、6月からの健康診断のシーズンにあわせまして、昨年に引き続き、浪江町、南相馬市、大熊町、富岡町において説明会を実施しております。説明会におきましては、ADRセンターの調査官等を現地に派遣しまして、申立て方法などについての説明を行っております。そこで申立ての受付などもしております。
 それから、確定申告にあわせました説明会での申立ての受理件数については、4市町の合計で307件に上っております。それから、本年の6月20日から8月10日までの間、南相馬市の健康診断にあわせて実施された説明会では、358件の申立てを受理しております。なお、令和5年6月末までの申立件数802件のうち、約6割に当たります460件が、説明会経由でございます。このことからも、説明会の開催は、広報活動として大変効果的であったものと考えております。
 今後の動きといたしましては、今年から双葉町のほうにも説明会の開催に御協力いただけることになっておりまして、10月の健康診断に併せて説明会を実施する予定でございます。それから、飯舘村につきましても、自治体と現状、調整中という状況でございます。
 また、説明会などの際には、地域に合わせた事例を掲載したチラシを配布するなどして、センターの活動について周知を図っております。そのほか、本年においても昨年同様に、NPO法人と連携をした説明会でありますとか、富岡町役場での月1回の説明会にも取り組んでおりまして、今年6月には原子力損害賠償事例集の令和5年6月版を公表するなど、説明会の開催のみならず、広報活動を行っております。引き続き、機会を捉えた広報活動に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 最後、10ページ目、通し番号では99ページ目になりますが、令和4年度に実施をいたしました説明会の開催実績を、御参考までにお示しをさせていただきます。説明は省略をさせていただきます。
 当センターの活動状況の御報告は以上でございます。どうもありがとうございました。

【内田会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続いて、議題(5)の賠償の請求を促す広報等の取組状況について、事務局から説明をお願いします。

【本橋原子力損害賠償対策室次長】  資料5を御覧ください。賠償請求を促すため、国と関係機関が連携して、地方自治体等に御協力をいただきながら、広報・相談活動をさらに実施し、必要な情報の周知に努めており、前回、第64回審査会以降の広報の取組について御報告をさせていただきます。
 まず、新しく作成したチラシでございますが、1ページ目に記載のある関係機関に、本年3月に配布させていただいております。なお、本年度も新しくチラシを作成し、配布する予定でございます。
 続きまして、2ページ目を御覧ください。(2)の福島県内に向けた取組といたしましては、本年2月から3月にテレビCMの放映や、地元新聞への記事広告の掲載、チラシ折り込みを行いました。(3)の全国に向けた取組といたしましては、同じく3月に政府広報にて、バナー広告やラジオCMを実施いたしました。今後とも、追加賠償請求を促すことを含め、継続して実施するとともに、地方自治体等からの御意見等を踏まえ、広報・相談活動を進めていきたいと考えております。
 なお、次のページでございますけれども、最後の概要資料につきましては、先ほど御説明したものと繰り返しになりますので省略をさせていただきます。
 説明は以上でございます。

【内田会長】  ありがとうございます。
 では、続いて、議題(6)の地方自治体等からの主な要望事項につきまして、事務局から説明をお願いします。

【本橋原子力損害賠償対策室次長】  資料6を御覧ください。地方自治体等からの主な要望事項についてでございます。
 前回、第64回審査会以降、現時点までに文部科学省に寄せられた要望のうち、主な項目の概要をまとめたものでございます。各項目の後ろの括弧書きは、どの団体から寄せられた御要望かを表しております。今回、全体で5つのカテゴリーに分類させさせていただいております。1つ目は、被害者への賠償に係る対応、2つ目は、地方公共団体に係る賠償、3つ目は、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介、4つ目は、ALPS処理水の処分に係る風評対策、5つ目は、法制度に係る対応でございます。今回は時間の都合上、一つ一つの御説明は省略させていただきますが、詳細につきましては、資料6を御確認いただければと思います。
 なお、要望書の本体につきましては、各委員に既に共有させていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。

【内田会長】  ありがとうございます。
 それでは、議題(4)から議題(6)までについてまとめて御意見、御質問等をいただきたいと思います。どこからでも結構です。いかがでしょうか。富田委員、お願いします。

【富田委員】  今、ADRセンターから説明がありましたように、広報において、地元における説明会がすごく効果が上がっているとというのが、今回のデータでも出ていると思います。市や町によって違うんですが、特に南相馬市については、令和4年度実績として、99ページのところにございますけれども、非常に多くの回数の確定申告会場及び健康診断会場での説明会というのが開催されており、それに対してADRセンターのほうでも、両方で令和4年度には、57回やっています。その結果、申立件数が400件ぐらい出ています。南相馬市は過去においてはそこまで申立件数がなかったんですけれども、そんな形で出ております。避難指示区域の震災時人口を比較しても、南相馬市が突出して多いわけではなくて、富岡町のほうが人口が多かったりはするんです。
 一番気になっているのは、双葉町の申請が非常に少ないことです。もともと帰還困難区域ですので、いろんな場所に散らばって住んでおられるということがあるので、一般的な広報をしてもなかなか難しいと思います。同じ町内の人が集まるところで話が出るなど、やっぱり南相馬市などはそういう形が出ているんじゃないかと思います。ADRセンターとしてもその辺りを細かく分析し、市町村とうまく連携してやっていくことで、今まで少なかった双葉町とか、富岡町は始めてしばらくなのでまだそう多くありませんが、これを続けていくことで随分掘り起こしていけるのではないかというふうに思っております。
 これはちょっと余計なあれかもしれませんが、東電においても住所が確定せずに、どこへ案内を送るかとか、そういった問題についても、こういった会場に集まるときをうまく利用すると、そういったことが直接請求においても効果が上がるかもしれません。やはりなかなか通常の広報だけでは、皆さん自ら請求をされない方々なので、そういう自分たちの仲間が集まっているところでうまく広報することが、やっぱり請求の掘り起こしには役に立っていくんじゃないかというふうに考えているところです。
 以上です。

【内田会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。特にはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 1点申し上げますと、ただいま富田委員からも御発言ありましたように、ADRセンターの広報というのは非常に重要でございますので、いろんな機会を捉えて、引き続き関係者と連携を図って、周知活動にしっかりと対応していただければと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、議題の(7)、被災地の動向等についてに移ります。避難指示解除の状況や、福島特措法改正について、復興庁から御説明をお願いしたいと思います。なお本日は、内閣府原子力被災者生活支援チームにも御同席をいただいております。では、よろしくお願いいたします。

【杉田参事官】  復興庁でございます。それでは、資料に基づきまして、説明をさせていただきます。通し番号の112ページをお開きください。
 被災地の動向ということでございまして、まず、避難指示解除の状況について御説明させていただきます。左下のところに地図をつけさせていただいておりますけれども、この縦線部分でございますが、ここはいわゆる帰還困難区域ということでございましたが、この中で避難指示解除を進めていきながら、新しいまちづくりを進めていくということで、特定復興再生拠点区域という区域設定がなされておりました。具体的には、地図の中の緑色で塗られている箇所が、いわゆる拠点区域となっていた箇所でございます。拠点区域につきましては、解除に向けまして必要となる除染、それからインフラ整備などを順次行ってきたところでございまして、右の表のところにその状況をつけさせていただいておりますけれども、この中で昨年の6月から8月にかけまして、葛尾村、大熊町、そして双葉町におきまして避難指示解除が終了しているという状況でございます。また、今年に入りましても、3月に浪江町、4月に富岡町、5月に飯舘村で避難指示の解除が進んできているという状況になってございます。
 この拠点区域につきましては、順次このような形で避難指示解除に向けた取組が進んできているところでございますけれども、一方で、まだまだ帰還困難区域が残されている箇所もございまして、こうした帰還困難区域にお住まいであった住民の方々からは、自分たちも早く自宅のほうに戻っていきたい、元いた場所での生活の再建をしたいというような強いお声、要望をいただいているところでございます。
 政府といたしましても、こうした拠点区域の避難指示解除に向けた取組の進捗の状況ですとか、住民の皆様からの強い要望、こういったものも踏まえまして、次なる取組といたしまして、この6月に福島特措法の改正をさせていただき、帰還の御意向のある住民の方々が、速やかに、なるべく早く帰還いただけるようにするための制度といたしまして、特定帰還居住区域制度をつくらせていただいたところでございます。
 具体的に、この特定帰還居住区域に関する制度につきましては、次の113ページのところで概要をおつけしております。この6月に成立いたしました福島特措法の中で、新たに設けられました特定帰還居住区域の制度でございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在の拠点区域の外にお住まいだった住民の方々に帰還をいただくために、そうした住民の皆様の要望も踏まえながら、生活の再建を目指していくための区域を各市町村長が設定できるという制度でございます。
 具体的な区域のイメージといたしましては、その下のところ、点線枠囲みの中に青字のマーカーで書いてあるところでございますけれども、帰還を要望されています住民の方々の宅地のほかにも、生活に必要になってくる道路ですとか集会場、墓地といったようなものもエリアに含んでいただきながら、まさに日常生活に必要な範囲を町のほうで設定をいただくという制度でございます。
 手続といたしましては、次の丸のところに書いてございますように、市町村長がその区域の設定をしながら計画の作成をしていただきまして、内閣総理大臣に申請をいただきます。その上で、我々のほうで認定を行うというような手続になってございます。認定を受けました計画につきましては、最後の3つ目の丸のところでございますけれども、国による特例措置の適用が受けられるということでございまして、具体的には(1)にございます除染等の実施、特に国費による負担において必要になる箇所の除染を行っていくということになります。
 また、(2)にございますように、道路等のインフラ整備につきましても、町のほうでそこのところがなかなか手がつかないというようなところにつきましては、国が代行できるというような特例措置も設けているところでございます。
 こうした特例措置も活用いただきながら、残された帰還困難区域の中で、特定帰還居住区域を設定していただきながら、避難指示解除の取組を着実に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 なお、この計画につきましては、市町村が作成をしていただくということでございますけれども、先行して大熊町と双葉町におかれましては、おととい25日に、この第1弾となる計画の認定申請が上がってきているところでございます。我々といたしましても内容の精査をさせていただきながら、なるべく速やかに手続を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 説明は以上でございます。

【内田会長】  ありがとうございました。
 では、ただいまの御説明に対しまして、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。特にはございませんでしょうか。
 ただいま御説明のあった中で、特に特定帰還居住区域というのは、どのくらいの数というか、広さが設定されるのか。地域にもよるかと思いますけど、特に双葉町のようになかなか帰還できないところでこういう制度が活用されて、少しでも帰還が進むということは非常に望ましいことですので、ぜひ活用されるように推進をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。ほかに特に御発言はございませんでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。

【杉田参事官】  ありがとうございました。

【内田会長】  次に、議題の(8)その他となっておりますけれども、今回は特に議題が設定されていないと聞いておりますので、本日の議事は以上となります。
 最後に、本日の審査会を通して、委員の皆様から何か御発言がありましたらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。特に御発言はありませんでしょうか。
 それでは、これで本日の議事を終了したいと思います。最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。

【本橋原子力損害賠償対策室次長】  次回、第66回審査会の開催につきましては、改めて御連絡させていただきます。
 また、本日の議事録につきましては、事務局でたたき台を作成し、委員の皆様等に確認の上、次回開催までにホームページへ掲載させていただきたいと考えております。
 以上でございます。

【内田会長】  ありがとうございます。
 それでは、本日はこれにて閉会いたします。長時間、熱心な御審議ありがとうございました。

―― 了 ――

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