原子力損害賠償紛争審査会(第64回) 議事録

1.日時

令和5年2月6日(月曜日)10時3分~11時52分

2.場所

文部科学省内会議室及びオンライン

3.議題

  1. 原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況について
  2. 賠償の請求を促す広報等の取組状況について
  3. 地方公共団体等からの主な要望事項について
  4. 東京電力ホールディングス株式会社による賠償の現状及び今後の対応について
  5. 住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱いについて
  6. その他

4.出席者

委員

内田会長、樫見会長代理、明石委員、江口委員、織委員、
鹿野委員、古笛委員、富田委員、中田委員、山本委員

文部科学省

井出文部科学副大臣、千原研究開発局長、
林原子力損害賠償対策室長、松浦原子力損害賠償対策室室長代理、川口原子力損害賠償対策室次長

オブザーバー

【説明者】弓岡東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長、古谷原子力損害賠償紛争和解仲介室(原子力損害賠償紛争解決センター)室長

5.議事録

【内田会長】  それでは、ちょっと時間が過ぎましたけれども、第64回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。また、オンラインで御参加の委員の皆様もありがとうございます。
 本日は井出文部科学副大臣が御出席いただく予定ですけれども、遅れて到着される見込みと伺っております。
 では次に、事務局から報告事項があるとのことですので、まず報告をお願いし、続いて、資料等の確認をお願いいたします。
 
【川口原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。
 事務局から1点報告をいたします。前回第63回審査会において決定いたしました中間指針第五次追補につきまして、一部に引用番号などの誤りがございました。内容に変更を伴うものではないことから、会長はじめ各委員の御了解をいただいた上で、1月25日、正誤一覧及び訂正後の第五次追補を文部科学省ホームページに掲載いたしましたので、御報告をいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。本日は会場での対面とオンラインを組み合わせましたハイブリッド形式での開催となってございます。会場で参加されている委員につきましてはお手元の端末を、また、オンラインで参加されている委員につきましては事前にお送りしているものを御覧ください。資料は議事次第に記載のとおりでございますが、資料に不備等ございましたら、議事の途中でも結構でございますので、事務局までお声がけください。
 次に、毎回でございますが、御発言に当たってのお願いでございます。会場で参加されている委員につきましては、御発言の際、お手元のマイクのボタンを押していただき、マイクにランプが点灯したことを確認いただいた後、必ずマイクに近づいて御発言いただきますようお願いいたします。マイクから離れて御発言されますと、オンライン参加の委員などへ音声が聞こえない場合がございますので、御留意いただければと思います。音声が拾えていない可能性がある場合は、事務局から適宜お声がけをいたしますので、あらかじめ御承知おきください。発言が終わりましたら、ボタンを再度押していただき、ランプが消灯したことを確認いただければと存じます。
 また、オンラインで参加されている方につきましては、御発言の際、端末の画面上にございます挙手のボタンを押していただけますと、会長などから指名をいたします。御発言いただく際は、ミュートの解除をお願いいたします。発言が終わりましたら、その都度ミュートに戻していただきますようお願いいたします。
 なお、本日は過半数以上の委員の皆様に御出席をいただいており、会議開催の要件を満たしておりますことをあらかじめ御報告させていただきます。
 また、古笛委員におかれましては10時半頃に遅れて御参加の予定であり、また、織委員におかれましては11時半頃に御退席の予定である旨伺っておりますので、あらかじめ御承知おきいただければと存じます。
 事務局からは以上でございます。
 
【内田会長】  ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。なお、議題1から議題3までは続けて御説明をいただきまして、その後、まとめて御意見、御質問等をいただきたいと思います。ではまず、議題1、原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況についてでございます。ADRセンターの古谷室長から説明をお願いいたします。
 
【古谷室長】  ありがとうございます。原子力損害賠償紛争解決センターの室長の古谷でございます。ADRセンターの令和4年における活動状況につきまして御報告をさせていただきます。なお、数字は全て速報値となっておりますので、御了承ください。
 まずは、資料1ページ目、通し番号で申しますと3ページ目を御覧ください。センターの人員体制でございます。令和4年末時点の人員は、仲介委員207名、調査官77名、和解仲介室職員105名でございます。令和3年末と比較をいたしますと、調査官については7名の減、仲介委員については20名減となっております。センターの人員規模につきましては、今後の申立件数の推移等を見守りながら検討してまいりたいと考えております。
 なお、これまでの審査会におきまして、令和3年の和解仲介室職員数を109名と報告しておりましたけれども、誤って1名多く計上しており、正しくは108名でございました。おわびして訂正させていただきます。
 では、1ページ進めていただきまして2ページ目、通し番号で申しますと4ページ目を御覧ください。申立件数と人数の推移でございます。令和4年の申立件数は1,162件でありまして、累計の申立件数は2万8,713件、累計申立人数は11万9,882人となっております。ピークでありました平成26年と比較いたしますと、近年の申立件数は減少傾向にありましたけれども、ここ数年は横ばいになっております。特に令和4年は、地方自治体等と連携しました説明会を活発に実施したということから、後ほど改めて御説明申し上げますけれども、説明会を経由した申立てが非常に多く、申立件数の多くを占めているという状況になっております。
 続きまして、3ページ目、通し番号では5ページ目になります。これは平成23年からの申立件数の推移の内訳を御参考までにお示ししております。説明は省略させていただきます。
 続きまして、4ページ目、通し番号では6ページ目になります。当センターへの初めての申立てを初回申立て、当センターの利用が2回目以降になる方の申立てにつきましては、複数回申立てという形で分類をしております。令和4年の申立てを見ますと、初回申立ての割合、つまり、当センターを初めて利用されるという方の割合が、令和3年よりも5.7%増加しまして、51.5%となりました。約半数の方が初回申立てという状況になっております。賠償される可能性があるにもかかわらずADRへの申立てをされていない方がまだ一定数いらっしゃると思われるところでございまして、他方、ADRセンターのことを十分知らないというお声もお聞きするところでございます。こういったお声はしっかり受け止めて、引き続き広報・周知などにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 では次、5ページ目になります。通し番号では7ページ目になります。和解仲介の状況でございます。令和4年末日までに累計で2万8,713件の申立件数に対しまして、2万7,814件の和解仲介手続が終了しております。うち、約80%に当たる2万2,133件が和解成立で終了しております。なお、令和4年末の時点におきます現在進行中の未済件数は899件となっております。
 続きまして、6ページ目、通し番号では8ページ目となります。和解仲介の状況に関しての各年の詳細でございます。令和4年に手続が終了した件数は1,180件でございます。うち、866件、割合で申しますと約73%が和解で終了しております。一方、和解打切りとなったのは123件、取下げで終了した案件が191件となっております。打切りの理由を見ますと、申立人の請求権を認定できないことを理由として和解打切りとなったものが一番多く、123件中55件を占めておりまして、打切りのうちの約4割以上を占めている計算になります。また、被申立人であります東京電力が和解案の受諾を拒否したために和解が打切りとなったという事例は、令和4年はございません。東京電力におかれては、中間指針第五次追補の趣旨を踏まえまして、引き続き、3つの誓いに従って、センターの実施する和解仲介手続に真摯かつ柔軟に対応していただきたいと思います。
 続きまして、7ページ目、通し番号では9ページ目になります。平成23年からの和解仲介の状況の推移の詳細を御参考までにお示ししております。説明は省略させていただきます。
 続きまして、8ページ目、通し番号では10ページ目になります。広報の関係について御説明申し上げます。昨年に引き続きまして、関係地方公共団体あるいは関係団体と連携・協力をいたしまして、申立ての説明会を実施するなどしております。例えば2月、3月、今年も今週から始まりますが、確定申告、あるいは6月から11月にかけての各地での健康診断に合わせまして、その会場で申立ての説明会を実施し、センターの調査官及び職員がその現場に赴きまして、センターの仕組みあるいは申立方法などについて説明を行っているところでございます。
 令和3年には浪江町で実施しておりましたけれども、令和4年は新たに南相馬市、大熊町、富岡町においても説明会を実施いたしました。これらの場所で説明会を行った際には、その地域の被害者の方の和解事例を取り上げたチラシ等を作って配布するということもさせていただいていて、和解事例あるいはセンターの活動についての周知を図っているところでございます。
 続きまして、広報紙の関係で申し上げますと、センターでは、ふくしまの今がわかる新聞、それから、広報おおくま、広報なみえ、広報とみおかといいました地方公共団体が発行する広報紙にセンターの案内記事を掲載させていただいたりしております。
 それから、昨年の12月から、これは新しい企画ですけれども、富岡町の役場内で、月に1回という割合でセンターの説明窓口を定期的に開設いただくことになりました。昨年12月及び今年1月は、当センターの調査官が先方に出向きまして、役場で対応させていただきました。実際に12月は5件、先月は2件の申立てをいただいているところでございます。今回は富岡町の御理解と御協力を得まして、このように定期的な窓口を設置する運びとなりました。住民の方にとって、できるだけセンターを利用しやすいところとするために、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
 続きまして、9ページ目、通し番号では11ページ目になります。これは説明会の実績についての説明です。資料右側に、どんな形で説明会をしているかという写真を載せているところでございます。令和4年は説明会を合計で延べ135回実施しまして、722件の申立てがありました。このうちの55.4%は初回の申立てという実情でございました。まだ当時、新型コロナウイルスの感染状況が悪い時期もありましたので、そのような時期には、説明会の一部はウェブ会議システムを使いまして新橋の東京事務所とオンラインでつないで、パソコンの画面で被害者の方とお話をし、御説明をするという対応を取っております。
 資料右側が先ほど申しました健康診断会場における説明会の実際の写真でございます。これは夏のとても暑かった日の頃でしたので、テントを張って御説明をしています。一番下が、屋内で時間をかけて御説明をするところです。これはパーティションをしてプライバシーに配慮させていただいて、また、飛沫の感染の関係も対策は講じた上で実施させていただいております。
 続きまして、最後、10ページ、通し番号では12ページ目になります。令和4年は、地域ごとのニーズにできるだけ応えたいということで、その地域の被害者の方の和解事例を中心として、匿名化を施して、イラストなども入れて事例集を作り、各住民の方に配布いたしました。上のほうの画像を見ていただきますと、例えば大熊町で配布した事例集ですと、大熊町の住民の方の和解事例を中心に御説明をさせていただいて、右側の富岡町については富岡町の住民の方の和解事例を中心に御説明を申し上げている事例集を作成しております。この事例集は、各自治体あるいは住民の方の御要望をいろいろ承りながら、その御要望に合わせて作成したものであり、今後もできるだけ分かりやすい広報を心がけてまいりたいと考えているところでございます。
 先ほど御説明しましたように、現在でも、初めてセンターを使うという方がかなりの割合を占めております。現時点でもADRによる賠償を必要とされる方が一定数いらっしゃると認識しております。また一方で、センターを知らない、その手続がよく分からないという声や御指摘もいただいているところでございます。センターといたしましては、今後もより一層広報を強化しまして、紛争解決機関としての役割を果たせるよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。
 以上、駆け足でございますけれども、当センターからの報告は以上でございます。ありがとうございます。
 
【内田会長】  ありがとうございました。大変精力的に説明会を開催していただいたということで、どうもありがとうございました。
 それでは、御意見、御質問はまた後でまとめて行うということで、次に議題2に移ります。議題2の賠償の請求を促す広報等の取組状況につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
 
【川口原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。資料2、全体の通しページで13ページ目になります。こちらを御覧ください。「東電福島原発事故に関する損害賠償の請求を促すための広報・相談等の取組」ということでございます。
 枠囲みのところに全体方針としてございます。早期の賠償請求を促すため、国と関係機関が連携して、地方自治体等に御協力いただきながら広報・相談活動を更に実施し、必要な情報の周知に努めるとしているところでございます。
 この上記の方針を踏まえまして、令和4年8月、こちらにつきましては、前回の報告、第57回の審査会でございますが、それ以降、以下の取組を実施していたということでございます。※書きの1つ目に書いてございますとおり、実施予定のものも含まれているという旨、御承知おきいただければと思います。
 まず、1番の早期の請求を促す広報活動、(1)被災12市町村等向けのものでございます。丸1番の新しく作成するチラシにつきまして、関係機関へ送付するというところでございます。新しく作成するチラシと申し上げますと、昨年度の令和3年11月に新しいチラシを作成してございますけれども、こちらを少し更新するという形で配布をしたいと考えているところでございます。以下、ローマ数字の(1)から(9)までという形で主な送付先と配布先が記載されてございます。例えばローマ数字の(1)自治体ということで、福島県、双葉町、大熊町などといったところを挙げてございます。途中幾つか飛ばしますけれども、ローマ数字の(3)の避難者支援団体等、また、ローマ数字の(5)にございます被災12市町村の道の駅などにも配布しているというところでございます。また、ローマ数字の(6)県内を通る高速道路のサービスエリアとかパーキングエリア、こういったところにも置いておこうというものでございます。
 ページを替わりまして、次のページになります。丸2番でございます。この後の議題でも東京電力のほうから報告があるというところではあると思いますけれども、東京電力の取組といたしまして、被災者に向けた情報発信、未請求者ごとの状況を踏まえた御案内とか、ホームページの賠償のトップページへ消滅時効の考え方を記載するなどの取組をしていただいているというところでございます。
 (2)が福島県内向け地元メディア等を活用した広報でございます。丸1番、福島県と連携した上での復興公営住宅全戸へのチラシ送付。丸2番、これは新しい取組となってございますけれども、福島県内のラジオ局、これはラジオ福島でございますが、こちらでラジオCMの放送をしたところでございます。ここでは福島出身のタレントでございますなすびさんを起用いたしましてCMを打っているというところでございます。これは昨年の11月から12月に複数回流しているというところでございます。丸3番目が、これは昨年度に引き続きでございますが、福島県内の民放4局でのテレビCMの放映を考えているというところでございます。これは予定でございます。丸4番、福島県内の地元新聞への対談記事広告の掲載。これは新しい取組でございますけれども、こちらにつきましてはNDF、原子力損害賠償・廃炉等支援機構、こちらでの無料相談会、またはADRセンターでの説明会など解説をするような広告を打つものでございまして、これにつきましても福島出身のタレントでございますなすびさんを起用いたしまして、広告を打とうと考えているところでございます。
 (3)番の全国向けのところでございます。丸1番、文部科学省広報ウェブサイトの改良ということでございます。前回も御報告をしていたところでございますが、昨年11月に改良が終わりまして、公表したというものでございます。丸2番、文部科学省広報動画の作成とございます。こちらは先ほど御説明いたしましたウェブサイトの中にも掲載しているところでございまして、先ほどと同様に、NDFでの無料相談会であったり、ADRセンターの説明会、こういったものを解説しているというものでございます。こちらにつきましてもなすびさんを起用しているところでございます。
 2番目、被災者の御要望に応じた個別の相談活動、請求手続支援でございます。こちらは昨年度と同様でございますけれども、例えば丸3番の先ほど申し上げましたNDFの無料法律相談の実施とか、丸4番、先ほど古谷室長からも御説明がありましたが、ADR申立てに係る説明会を開催しているというところでございます。
 最後に3番目、今後の予定でございます。これらの1、2で取り上げました取組につきまして継続して実施をしていくとともに、地方自治体等の御意見を踏まえまして、広報・相談活動を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 最後の資料、概要の資料でございますが、先ほど御説明したものと繰り返しになりますので、省略をさせていただきたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
 
【内田会長】  ありがとうございました。それでは引き続いて、議題3の地方自治体等からの主な要望事項について、事務局から説明をお願いします。
 
【川口原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。資料3、全体の通しページで16ページ目に当たります、「地方公共団体等からの主な要望事項について」でございます。この資料につきましては、第63回審査会、昨年の12月20日でございますが、それ以降現時点までに文部科学省に寄せられた要望のうち、主な項目の概要をまとめたものでございます。要望書の本体につきましては、各委員には既に共有しているところでございます。各項目に後ろに括弧書きで書いてございますが、これはどの団体から寄せられたかというものを記載しているというものでございます。
 今回、全体で5つのカテゴリーに分類をいたしまして、御報告を差し上げたいと思います。まず1点目、中間指針の見直しということでございます。丸の1個目でございますが、司法判断の確定を待つのではなく、自ら詳細に調査をする、被害実態の全体像を調査しようということ。また、司法判断の水準が被害実態に見合ったものであるかを検討するということで、司法判断の水準にとらわれず、現実の被害実態に見合った指針の見直しに着手することということでございます。
 2点目の丸でございます。南相馬市の一時避難要請区域、この住民に対しまして、旧緊急時避難準備区域と同じ損害賠償とすることというものでございます。
 丸の4つ目でございますが、特定避難勧奨地点の避難費用及び精神的損害の対象期間につきまして、終期が解除から3か月とされており、他の区域に準じた期間延長をしてほしいというようなものでございます。
 丸の6つ目、一番下の丸になります。ページ替わりますけれども、審査会が自ら現地へ足を運んで土壌の汚染度や放射線量を測定し、現状の把握をすべきであるというような御指摘もございました。
 2ポツ目、被害者への賠償でございます。丸の2番目でございますが、東電に対して、中間指針があくまでも賠償範囲の最小限の基準であるということを踏まえ、自主的避難等による精神的損害に対しての賠償については、福島県民が共通して被害を受けているという実態を十分に勘案し、中間指針に示されなかった地域においても、被害者視点に立った対応を行わせること。
 丸の3つ目でございますが、同じように東京電力に対し、中間指針は賠償範囲の最小限の基準であることを認識させ、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応するよう指導することとございます。
 3番目のカテゴリーでございます。原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介、ADRセンターによる和解の仲介でございます。丸の1つ目でございますが、ADRセンターによる和解仲介事例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じて損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
 4点目、ALPS処理水の処分に係る風評対策でございます。ALPS処理水の処分に関する基本方針の決定による様々な状況変化を捉え、具体的な調査等をこれまで以上にしっかりと行うなど必要な対応を適時適切に行うこと。
 最後、5点目、消滅時効への対応でございます。東京電力に対し未請求者の掘り起こしや周知活動を徹底させることはもとより、将来にわたり、消滅時効を援用せず賠償を行うよう指導をするということとともに、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知など必要な対応を行うことといった要望でございます。
 事務局からの報告は以上でございます。
 
【内田会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題1から議第3までについて、まとめて御意見、御質問等いただきたいと思います。どこからでも結構ですので、御自由に御発言ください。いかがでしょうか。
 織委員、どうぞ。
 
【織委員】  議題1のADRセンターの取組なんですけれども、大変心強く思いました。いろいろな、健康診断だけじゃなくて、確定申告会場等についても出向かれていって、それなりの効果が上がっているということなんですけれども、多分地元の方が一番動くのは、地元の口コミがあって、実際にやられた方が「ADRセンター使ってよかったよね。だから、やってみよう」というのが一番大きいと思うんですけれども、地元の方に、実際やられて、「ADRをやってよかったよね」というのを何か広めてもらう手だてはないんでしょうかね。来ていただいた人がもし満足して帰っていただいたら、ぜひそれもまた広げてくださいというふうに一言お願いする等ということもあるかと思うんですが、その辺、地元のネットワーク、口コミを使っての広がりみたいなものについては御検討したのでしょうか。何か御検討中でしたら、また教えていただきたいなと思いました。
 
【内田会長】  ありがとうございます。では、古谷室長、お願いします。
 
【古谷室長】  御質問ありがとうございます。織委員の御指摘のとおり、口コミで広がるというのがおそらく一番有効で効果的な、ある意味、広報のやり方なのだろうなというのは、我々も重々理解はしているところでございます。そういった意味で、現地にできるだけ足を運んで実際にお話を聞いて、何とか賠償の形にするということで、確定申告の会場、健康診断会場で説明会を実施する、あるいは、今回、新機軸としてご紹介したような富岡町役場に説明の窓口を設けさせていただくという取組を進めてきており、このような取組は今後も広めていきたいと考えているところでございます。
 おっしゃるように、よい評判が広がるというのは私も本当に望むところで、「よい評判を広げてくださいね」と言いたい気持ちはあるのですけれども、オフィシャルな形でするというのはやや難があります。ただ、委員の御指摘は全くおっしゃるとおりかと思うので、何らかの工夫ができないか検討してまいりたいと思います。どうもありがとうございます。
 
【織委員】  ありがとうございます。社会心理学の調査が幾つかあるんですけれども、人間が行動を起こすのは一番、避難でも何でもそうなんですけれども、広報とか行政からの指令とかじゃなくて、周りの人がよかったとかそういう口コミの経験が一番人の行動を変えていくという調査も出ていますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。
 
【内田会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、樫見委員、お願いします。
 
【樫見会長代理】  今回、中間指針の第五次追補の改訂に当たりましては、原子力損害賠償紛争解決センターの活動実績の中から生まれた様々な基準が導入されたわけでありますけれども、今後、センターの業務について、今回の指針の改訂がどのような影響を与えるのかということについて、もし御意見があれば伺いたいです。
 
【内田会長】  ありがとうございます。それでは、古谷室長、お願いします。
 
【古谷室長】  どうもありがとうございます。今回の中間指針の見直しでは、センターからの問題提起も十分にくんでいただき、かなり大幅に取り込んでいただいて、その点は本当にありがたく思っております。
 目安額が定められたところについては、まずは東京電力の直接請求手続でということになると思いますけれども、当然、目安額のところでは十分賄い切れない、個別対応しなければいけない場面というのはセンターの出番ということになると思います。既に今回中間指針を踏まえた、例えば生活基盤変容に基づく賠償もADRでやってほしいという申立てもあったり、現在係属中の案件の中には、居住制限区域や避難指示解除区域にお住まいの方からは、係属している案件と併せて今回一度に解決してほしいという声もかなり出てきたりしておりまして、できるだけ迅速かつ柔軟に対応して、迅速公平に賠償が行き渡るようにしていきたいと思っております。
 第五次追補の関係で申しますと、精神的損害については抜本的なところも見直していただいているところなので、そのインパクトはかなり大きく、今後、量的にも質的にも難しい案件の申立てがあろうかと想像しているところです。問題点の検討は現在進めておりますし、できるだけセンターにアクセスをしていただけるような仕組みも工夫してまいりたいと考えております。ありがとうございます。
 
【樫見会長代理】  ありがとうございます。
 
【内田会長】  ありがとうございました。
 ほかに御発言いかがでしょうか。会場参加の委員の皆さんも。
 明石委員、お願いします。
 
【明石委員】  ADRセンターにお聞きしたいと思いますが、いろいろと広報活動等、本当に御苦労さまでございます。通し番号の4ページの辺りですが、申立件数と人数が必ずしも比例していない年も多いと思うんですが、令和3年から4年度にかけては申立件数が増えているんですが、人数が減っている。何か特別な傾向が見られているのかどうか、もし分析された御結果がありましたらお答えいただければと思います。
 
【内田会長】  では、これも古谷室長、お願いします。
 
【古谷室長】  ありがとうございます。これは例えば平成25、26、27年辺りを見ますと、申立ての件数に対して人数のほうが多くなっています。その主な理由は、1つの申立てで何十人という方が申し立てる、集団の申立案件がかなり多かった時期であり、その影響が非常に大きいと思います。それに対しまして、最近は、集団での申立ては数が減ってきているということと、申立てに至るパターンが、先ほど申し上げたように、こちらの調査官が現地で説明会の会場でいろいろな方からお話を聞いて申立てていただくとなると、その方個人の申立てあるいは御家族の申立てということで、1件の申立てに対する人数は小さくなるパターンが増えております。そういったことで、ここで書いているように、グラフが人数と件数が逆転するような現象が生じているということがあろうかと思います。
 以上でございます。ありがとうございます。
 
【内田会長】  明石委員、どうぞ。
 
【明石委員】  そうしますと、やはり確定申告とか健康診断のときの広報活動というか、そういう広めるような活動というのはかなり効果的なのかなとますます思います。コロナの中、それから、確定申告ももう始まると思うんですけれども、今後忙しいと思いますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 
【内田会長】  ありがとうございます。ほかに御発言ありますでしょうか。特によろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、議題1から3につきましては以上で終了させていただきます。
 次の議題に入ります前に、井出文部科学副大臣がいらっしゃいましたので、御挨拶をいただきたいと思います。井出副大臣、よろしくお願いいたします。
 
【井出文部科学副大臣】  遅参をしまして、大変申し訳ございません。内田会長はじめ、委員の先生方におかれましては、本日もお忙しい中、誠にありがとうございます。
 今日が第64回の審査会になると伺っております。昨年、第五次追補がまとめられまして、これまでの判決を踏まえての改訂となったということはもう改めて申し上げるまでもございませんが、12月20日、おまとめをいただいたその日の夕刻に、永岡文部科学大臣のほうから東京電力、小早川社長に対しまして、その第五次追補に従って被害者の皆様の心情に配慮した対応に努めるよう要請を大臣のほうから行ったところでございます。私も同席をさせていただきました。小早川社長のほうからは、できるだけ早く対応するよう努める、要請を重く受け止めると、今日この後御説明があろうかと思いますが、そうしたお話がございました。
 私自身、昨年この審査会にずっと参加をしてまいりまして、特に、もうお話あったかと思いますが、中間指針が賠償範囲の最小限の基準、目安であるという認識、これにとらわれず、個別で賠償すべきというものがあれば、それはここに書かれていなくても対象になるんだというところを、審査会の先生方に御議論をいただいて盛り込んでいただいたところでございます。
 今日、東京電力からも御出席をオンラインでいただいていると思いますが、今申し上げました観点、それから、さきの議題でございました地方公共団体等からの要望、数多くの要望を私も受けてまいりましたが、本当に、東京電力の皆さんに、地方公共団体等の方々の思いが、直接お伝えしたいぐらいの切実なものが大変多くございます。そうしたことも今日少し心に留め置いていただいて、今日の御議論をいただければと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 
【内田会長】  どうもありがとうございました。
 それでは次に、議題4の東京電力ホールディングス株式会社による賠償の現状及び今後の対応についてでございます。東京電力から御説明をお願いしたいと思います。オンラインでつながっていますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【弓岡室長】  東京電力の弓岡でございます。まず、弊社事故から間もなく12年を迎えようとしておりますが、今もなお、福島県の皆様はじめ、広く社会の皆様に大変な御心配と御迷惑をおかけしておりますことを改めて深くおわび申し上げます。本当に申し訳ございません。
 そして、原子力損害賠償紛争審査会の皆様におかれましては、弊社に対する7つの高等裁判所の判決が確定したことを踏まえ、調査・分析の上、御議論をいただきまして、中間指針第五次追補を決定いただくなど多大なる御尽力をいただくこととなり、本当に申し訳ございません。また、本当にありがとうございます。弊社に至らぬ点が多々あろうかと思われ、本当に申し訳ございませんでした。
 弊社といたしましては、1月31日、追加でお支払いさせていただく金額等の賠償基準の概要を公表させていただきました。公表内容につきましてはこの後改めて御説明させていただきますが、弊社は引き続き、3つの誓いに基づき、個別の御事情を丁寧にお伺いし、迅速かつ適切な賠償に取り組んでまいりたいと考えております。
 それでは、賠償の状況につきまして資料に沿って御説明をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、資料4-1「原子力損害賠償のお支払い状況等について」を御覧ください。
 まず、賠償金のお支払い実績等について御説明申し上げます。中ほどのお支払い総額のところを御覧いただきますと、昨年の12月末時点で総額約10兆5,809億円をお支払いさせていただいております。前回審査会にて御報告させていただいた昨年6月時点の支払い総額と比べ約1,317億円の増加となっております。そのうち、約683億円が除染等にかかった費用でございます。
 下のグラフでございます。賠償のお支払い額の推移でございますが、グラフの一番右側を御覧ください。グレーの部分、個人の方へのお支払いが累計で約3.2兆円、その上の法人・個人事業主の方への支払いが約6.8兆円となっております。ここ数年の傾向といたしましては、個人の賠償の伸びが緩やかになり、法人・個人事業主様などの項目に除染等にかかった費用を計上していることから伸びが大きくなっておりました。一方で、本年開始させていただく第五次追補決定を踏まえた賠償により、今後、個人の皆様へのお支払いが増加すると考えております。
 また、グラフの下に消滅時効に関する弊社の考え方を記載させていただいております。弊社といたしましては、時効の完成をもって一律に賠償請求をお断りすることは考えておらず、時効完成後も御被害をお受けになられた方々が時効によって適切な賠償を受けられなくなるようなことがないよう、御請求者様の個別の御事情を踏まえ、引き続き、3つの誓いに掲げる、最後のお一人まで賠償貫徹に基づき、消滅時効に関して柔軟な対応を行わせていただきたいと考えております。
 2ページ目以降ですが、参考資料といたしまして、個人の方に対する賠償の合意状況、3ページ目が賠償項目別の合意金額の状況、4ページ目に原子力損害賠償請求訴訟等の状況と原子力損害賠償に向けた組織体制を掲載させていただいております。
 なお、当室の要員についてでございますが、第五次追補に伴う賠償につきましてしっかりと対応させていただけるよう、今後、約900名程度の増員を予定しております。なお、ALPS処理水放出に係る体制整備につきましても、今後、念のため準備を進めているところでございます。
 そして、未請求の方々への推移についてでございます。これにつきましては、今回は中間指針第五次追補を踏まえた弊社対応を中心に御説明申し上げさせていただいておりますので、事務局様とも御相談させていただき、未請求の方々に対する対応につきましても、原子力損害賠償の支払い状況等の資料に包含させていただくこととさせていただいております。
 具体的には、請求の御意向なし、また、自治体様に御協力いただいても連絡先が確認できない、また、弊社との連絡を控えられている方々は、第57回審査会からは17名増え、468名となりましたが、総論的にお話しさせていただきますと、未請求の方々への推移ですが、全体では2022年12月末時点で683名となっております。これは第57回審査会にて御報告させていただいた2022年6月末時点での人数700名から17名の減少となっております。
 続きまして、請求の御意向がありの方々についてですが、第57回審査会から30名減少し、183名となりました。引き続き御本人様の状況やお気持ちに十分配慮しながら、請求書作成支援などを行い、1人でも多くの方に御請求いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 先ほど少し触れさせていただきました、請求の御意向なし、または自治体様に御協力いただいても連絡先が確認できない等の方々でございますが、57回審査会から16名増えて468名となっております。積極的にアプローチなどさせていただいておりますが、お気持ちに十分配慮させていただきながら、今後も請求書の作成をお待ちするとともに、お問い合わせいただいた機会などを捉え、丁寧に対応してまいりたいと思っております。
 最後になりますが、請求の御意向確認中の方々、こちらは3名減少し、32名となっております。引き続き、お電話や戸別訪問におけるきめ細やかな対応により、御請求の御意向を確認できるよう取り組んでまいりたいと思います。引き続き、お一人でも多くの方に御請求いただけるよう取り組むとともに、賠償についてお問い合わせいただいた機会を捉え、丁寧な対応に努めてまいりたいと思っております。
 続きまして、資料4-2の、1月31日に当社が公表したプレスリリースについて御説明申し上げたいと思います。これはプレス文と別紙が2枚で、そのうち別紙1につきましては、第五次追補で示された賠償項目と政府等の御指導を踏まえた追加の賠償項目に対する基準の概要を取りまとめたものでございます。別紙2につきましては、お子様、妊婦の方以外の方の場合について、第五次追補等を踏まえた区域ごとの追加の賠償額を一覧にまとめたものと、併せて、賠償対象区域の地図をお分かりいただけるよう載せております。
 プレスリリースにおきましては、過酷避難状況による精神的損害、避難生活等による精神的損害及び生活基盤変容による精神的損害、健康不安に基礎を置く精神的損害、精神的損害の増額事由、自主的避難等に係る損害、それに加え、与党、また、経済産業大臣から頂戴した御指導等を踏まえて、福島県県南地域及び宮城県丸森町における自主的避難等に係る損害について、当社で検討させていただいた、追加でお支払いさせていただく賠償基準等の概要を公表させていただいております。
 具体的には2ページ目から9ページ目にかけまして、各精神的損害の項目に対する対象者の方々、また、賠償期間、損害額、これまで直接請求で賠償金をお支払いさせていただいている場合のお支払い額の考え方などを記載しております。
 2ページ目から5ページ目については、過酷避難状況による精神的損害、避難生活等による精神的損害及び生活基盤変容による精神的損害、また、健康不安に基礎を置く精神的損害につきまして、検討させていただいた損害額や、対象者の皆様について賠償させていただく旨を記載しております。
 6ページ目、精神的損害の増額事由における丸1から丸5の事由につきましては、当社にて検討させていただいた損害額や、対象者の皆様に賠償させていただくという旨を記載させていただいております。
 丸6から丸10の事由につきましては、現在、取扱いを検討させていただいております。これについては、個別性も非常に高く、個別具体的な事情が多岐にわたることから検討させていただいており、様々な御事情がある御被災者様に対して、どのような御事情をお持ちであれば増額事由に該当するのか、賠償の対象とさせていただくのかなどについて、過去の和解仲介事例を十分踏まえて検討させていただいているところでございます。検討させていただいている例としましては、例えば丸6、重度または中等度の御持病がお有りになるという場合であれば、どのような持病を対象とし、弊社が治療を妨げてしまったような場合はどのような形になるのか等、これを具体的に整理させていただいているところでございます。こうした点も含めて、3月中を目途に何らかの形でお示しできるよう鋭意整理を進めているところでございます。
 続きまして、7ページ目の自主的避難等に係る損害についてでございます。8ページの対象者について、上段に記載のある自主的避難等対象区域外に自主的に避難または自主的避難等対象区域に滞在された方について検討させていただき、子供及び妊婦以外の方に20万円お支払いさせていただくという旨記載させていただいております。
 一方で、下段にございます避難等対象区域から避難等対象区域または自主的避難等対象区域に避難または滞在された方につきましては、第五次追補に明記された金額は10万円でしたが、当社賠償基準においては、第五次追補で示された損害額10万円を目安を上回る損害額20万円とさせていただいております。これは中間指針第五次追補におきまして、自主的避難等対象区域に避難して滞在した期間に応じて賠償の対象とするとされております。これを踏まえまして、避難された方により避難期間が様々であることや、また、10年以上前の滞在期間について御請求者様にお申し出いただくことは困難であると考えまして、一律で20万円をお支払いさせていただくこととしたものでございます。
 次に、9ページの福島県県南地域または宮城県丸森町における自主的避難等に係る損害につきましては、与党東日本復興加速化本部様の申入れや、また、国からの御指導等を踏まえ検討させていただき、賠償させていただくこととしております。対象者につきましては、子供及び妊婦以外の方々に対し賠償させていただきます。損害額としましては、これまでの賠償において福島県県南地域、宮城県丸森町の子供及び妊婦の方につきまして、自主的避難等対象区域の子供及び妊婦の方が1人当たり40万円であるところ、中間指針第一次追補における対象地域選定の考え方や、子供及び妊婦の方が放射線への感受性が高い可能性があることが一般的に認識されていること等を総合的に勘案いたしまして、半額であるお一人当たり20万円を自主的避難等に係る損害額とさせていただいた経緯を踏まえ、子供及び妊婦以外の方につきましても同様に半額とし、10万円とさせていただいた次第です。
 続きまして、10ページ目にはその他項目を記載させていただいております。中段には、御請求の受付開始時期や御請求方法について3月中を目途に改めてお知らせさせていただくとともに、請求方法につきましては、従来の書面による御請求書に加え、御請求の際の御負担を少しでも軽減いただけるよう、一部の御請求について、24時間365日御請求いただけるウェブサイトの準備を進めております。
 また、お問合せ先としましては、第五次追補決定に伴うお問合せに対応させていただけるよう、御相談専用ダイヤルを1月31日に開設させていただいております。分かりやすい情報発信を目的に、賠償対象区域や損害額などを御紹介させていただく専用ページも当社ホームページに開設させていただいております。この専用サイトでは区域ごとに分けた地図を掲載しており、該当する地域をクリックしていただきますと各区域の目安額を簡単に確認することができるようにさせていただいております。引き続き、分かりやすい情報発信に努めるとともに、被害を受けられた方々に対し丁寧に努めてまいりたいと思っております。
 今後の対応につきましては、精神的損害の増額事由における丸6から丸10に関する取扱いにつきまして、様々な御事情がある御被災者様に対して、どのような御事情をお持ちであればというような検討、これは過去の和解仲介事例を踏まえ、3月中を目途に何らかの形でお示しできるよう検討を進めてまいるとともに、御請求の受付開始時期や御請求方法などの詳細につきましても社内にて検討を進め、3月中を目途にお示しできるよう進めてまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、指針に記載のない項目についての賠償等につきましてもしっかり検討して、引き続き、3つの誓いに基づいて個別の御事情も丁寧にお伺いしながら、迅速かつ適切な賠償に取り組んでまいりたいと考えております。
 長くなりまして、申し訳ございませんでした。私からの説明は以上でございます。
 
【内田会長】  ありがとうございます。
 ただいま御説明いただきました件につきまして、自由に御意見、御質問をいただきたいと思います。どこからでも結構です。いかがでしょうか。
 樫見委員、どうぞ。
 
【樫見会長代理】  先ほど御説明がありました、今後請求の意向がないという方の人数が結構多かったかと思うのですが、支障がなければ、その主な原因とか、あるいは何か地域的に特徴があるのかとかということで、支障がない範囲でお話しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【内田会長】  それでは、弓岡室長、お願いできますでしょうか。
 
【弓岡室長】  ありがとうございます。また、弊社にて誠意を持って取り組んでおりますが、なかなか至らない点があり申し訳ありません。
 地域について、やはり避難等対象区域について御迷惑をよりおかけしている側面はあろうかと思いますが、特にどこにというようなことはないかと思っております。しかしながら、これも弊社のほうで至らない点ですが、相続の関係からなかなか御請求に進める状況ではなく、今時点では請求の御意向がないとおっしゃられたり、また、事故の記憶を呼び戻すとして、賠償のお話をそもそも御負担に感じられる方がおられるのも事実です。ただ、数的に多いのは、これは弊社の対応がまだ十分でないという側面がございますが、御連絡させていただいても御多忙であるとお答えいただいたり、また、どうしても連絡がつかないなど、お伺いしてもなかなかお会いできないということも実態としては正直ございます。
 これは本当に弊社至らない点あろうかと思いますが、訪問も含めたアプローチを行い、引き続き、数を少なくしていけるよう、また、今後新たな賠償を加えるという形になりますので、これも一緒に対応していけるように努めてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。
 
【樫見会長代理】  ありがとうございます。
 
【内田会長】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。山本委員、お願いします。
 
【山本委員】  1点御質問と1点コメントですけれども、最初にコメントですが、今御説明があった第五次追補との関係で、通しページで言いますと28ページのところで、ADRセンターの総括基準との関係で、この米印の2に当たるところで、丸6から丸10までの事由についての御説明がありました。これについては今回のものには含まれておらず、3月までさらに御検討されるということでありました。
 第五次追補の中でも、これらの増額事由については、東京電力株式会社は直接の賠償においても可及的に類型的対応に努めるべきであるということが言われているものと承知しております。そのような観点から、これまでのADRセンターの様々な和解事例等を勘案いただいて、まさに可及的に類型化に努めていただきたいということはぜひ申し上げたいと思います。
 とりわけ、被害者の方から見て、自分がそれに当たる可能性があるのではないかという方がいれば、漏れなく申請ができるような形でそれを示していただくということは非常に重要なことだろうと。つまり、客観的にはこれに当たる可能性があったとしても、それを見過ごしてしまうような被害者が出ないような形で、できるだけ具体的な類型化というものに努めていただきたい。なかなか難しい作業であるということは理解できるんですけれども、そこは努力していただきたいというふうに考えております。以上がコメントです。
 もう1点は質問なんですけれども、今回の第五次追補の対象者の多くは、これは加算事由ということになっておりますので、既に賠償を受けられている方が大多数であろうというふうに想像します。その場合に、被害者の方々から積極的に申請をいただくということはもちろんあると思うんですけれども、東京電力の側から既に賠償をしている方々に対してアプローチをするといいますか、請求書等を郵送するとか、いろいろなあれがあるのかもしれませんけれども、そういうような形で、そういう方々に対して賠償が行われるように東京電力の側から働きかけるということが現段階で考えられておられるのかどうかということについて、お伺いできればと思います。
 以上です。
 
【内田会長】  それでは、弓岡室長、お願いします。
 
【弓岡室長】  御質問ありがとうございます。弊社になかなか至らない面もいろいろあろうと思いますが、まず、1点目の件につきましては、過去のADR和解事例、弊社もたくさん積み上げてきておりますので、ここについて類型化に努めるとともに、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。
 あと、御質問についてでございます。こちらについては、まず、10年前賠償させていただいているという基礎的な動きもございますので、基本的には、こちらから全数に対して郵送や御案内させていただくことを考えております。したがいまして、もちろん住所が変わられている方など、細部にわたるいろいろな課題があるのは十分認識しており、現在検討を進めております。
 どのようにすれば遺漏のないようにできるかということを考えておりますが、基本的には、対象者として148万人ほどを見積もっております。例えば、ウェブ申込みを御案内する際には、全数に御案内を出すことを前提としておりますが、個別の御事情によりご案内を控えることなども考慮した上で、基本は全数148万人の方に御案内をさせていただく方向で検討を進めております。
 その点、山本委員のほうから御質問をいただいた点については、極力全数こちらから動いていくことを考えております。
 
【内田会長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、続いて、鹿野委員、その後、中田委員に発言をお願いします。まず、鹿野委員、お願いします。
 
【鹿野委員】  ありがとうございます。私からも第五次追補を踏まえた追加の賠償基準について、3点ほど質問させていただきたいと思います。
 まず、第1点は、この点に関する関係者への周知ということでございまして、今の山本委員からの質問とそれに対する御回答とも関わるところだと思います。半分はお答えいただいたのですが、従来から関係者が分かっている部分については郵送等で対応されるということで、安心しました。
 ただ、そのような方ばかりではなく、あるいは、連絡先をかつて把握していらっしゃっても、うまく連絡がつかないという方もいらっしゃると思いますので、そのような方も含めてどのような周知方法をお考えかということが質問です。
 ウェブで地図とかもつけて、分かりやすく案内をし、周知を図るというようなこともお話いただきました。これも伝わる人には有効だと思うのですが、デジタルデバイドの問題もございまして、なかなかウェブでそういう分かりやすいものを発信していただいても届かないというようなところもあるかと思います。そのようなことも考えると、様々な方法で周知を図る必要があろうかと思いますけれども、それについてのお考えをお聞かせいただければと思います。
 それから、2番目は、請求とか相談の受付体制のことでございます。請求については、今までの請求書という形に加えて、ウェブでの請求も可能とするというようなことでの御対応だとお聞きしました。ただ、ちょっと気になったのが、言葉の問題かもしませんけれども、全体の32ページのところに、一部の請求についてウェブサイトを通じて御請求いただけるというふうに書いてあります。これは、ウェブで請求できるものについて限定を加えるというような趣旨なのでしょうか。そこがちょっと分からなかったものですから、その趣旨もお聞かせください。
 いずれにせよその請求においては、自らいろいろなものを見て請求書あるいはウェブでの記載をする、あるいは、何らかのアドバイスを得てするということもあるでしょうけれども、その前にどうしたらいいか分からないから相談をするというような方も多いと思います。それで相談体制というものも重要だと思いますけれども、先ほどちょっと聞きに取りにくかったところがあるので、もしかしたらお話になったかもしれませんが、相談体制についても、かなり人員も増やすという御予定なのでしょうか。その点もう一度確認させてください。
 それから、3番目ですが、この文書は1月31日に公表されたということなので、日程的にまだあまり期間がたっていないのですが、これを公表された後に、相談等について何らかの変化が見られたかどうかということ、現在までの状況について、もし把握していらっしゃったら教えていただければと思います。よろしくお願いします。
 それと、最後に、これは質問ではないのですが、私も、先ほど山本委員がおっしゃったのと同様の要望をお伝えしたいと思います。先ほどの28ページの丸6から丸10については、3月を目途として何らかの類型化を図って基準を示すというお考えだと伺いましたが、ぜひ、それを分かりやすい形で類型化をしていただきますようお願いいたします。
 最後のものは質問ではなくてお願いです。よろしくお願いします。
 
【内田会長】  ありがとうございました。幾つか御質問がございましたけれども、よろしいでしょうか。じゃあ、弓岡室長、よろしくお願いいたします。
 
【弓岡室長】  ありがとうございます。3点御質問、また、4つ目、御意見ありがとうございました。
 まず、関係者への周知というところでございますが、これは基本的に全数考えているということを申し上げました。これはお引っ越しされた方などがおられますので、ここは自治体様へ御相談させていただきながら、何とか漏れのないよう対応し、具体的には、全数郵送を進めていく、またはウェブでの御請求も可能とすることなどを考えております。
 また、先ほど御指摘がございましたが、弊社のホームページから入れるようにして御案内させていただくとともに、専用ダイヤルを設けておりますので、後ほどの回答にもつながりますが、既に12月21日から43日間で約3,750件お問合せいただいておりまして、特に1月31日以降につきましては、数が非常に増えてきております。そのため、コンタクトを取る機会を増やして、住所の確認等もしっかりやってまいりたいと考えております。
 また、1月31日の会見の際には、報道機関の皆様に、御請求いただけるような形の報道をお願いすることを記者会見でお話しさせていただくことなど多チャネルで動いております。ただ、原則としては、住所をなるべく把握させていただくなど、自治体様のお力も借りながらしっかりやってまいるということが大原則かと思っております。
 2点目、受付体制の話でございます。ウェブは一部と書いておりますが、実際にはなかなかウェブに手を出しにくいという方のほうが圧倒的に多い側面もあろうかと思っております。したがいまして、請求書が一つ鍵になるとは思っておりまして、ただ、その中で全数ウェブの御案内もさせていただきますが、結果的には一部になるものもあろうかと考えており、基本的には全数御案内させていただくと御理解いただければと思います。
 体制については、900名増員というお話をさせていただきました。これはコールセンター等の受付体制の強化はもちろんのこと、書類の内容確認等につきましても、人を増やすということはもちろんです。ただ、近年では現地に人を大分増やす形になっており、ご不明なことがある方に対しては出向いて対応するなど、現地の対応要員の強化ももちろん予定しております。
 これは10年間、様々な反省がございます。どうしても、寄り添ってというような言葉を使っても、実際にはなかなか十分でないところもあろうかと思います。したがいまして、訪問する部隊として、現地も強化してしっかり対応してまいるということが2点目御回答になろうかと思います。
 3点目。1月31日公表をさせていただいておりますが、先ほど申し上げましたとおり、多くのお電話、お声をいただいております。具体的には43日間で約3,750件いただいておりますが、変化として、我々もなるほどと考えましたのが、家族構成の変化です。御家族で御請求をいただくというのをベースにしておりました面もあり、お子様が独立されておられるなど、家族構成が変わっているというようなことから、御事情を踏まえて丁寧に対応してほしいというようなお声をいただいております。
 また、実際には、具体的にお支払いが幾らになるのかなど、なかなかこのプレスだけでは十分でない側面があろうかと考えており、ホームページの強化など、より分かりやすくしていくというようなことを試みているというのが今の状態でございます。
 早急なお支払い等についてもお話もいただいておりますので、できるだけ迅速また適切に対応してまいりたいと考えております。これが3点目です。
 御意見として頂戴した丸6から丸10については、先ほど申し上げておりますとおりですが、類型化についてできる範囲でお示しすることをなるべく早く進めてまいりたいと思っております。
 長くなりましたが、私から以上でございます。
 
【内田会長】  ありがとうございました。鹿野委員、よろしいでしょうか。
 
【鹿野委員】  はい。ありがとうございました。
 
【内田会長】  では、中田委員、お願いします。
 
【中田委員】  ありがとうございます。今の山本委員そして鹿野委員とのやり取りで大体分かったんですけれども、細かいことを2つほどお聞きしたいと思います。
 1つは、請求される方々への周知、御連絡に関することです。ADRセンターでの和解をされた方、あるいは、訴訟で支払いを受けられた方について、通しページで31ページ、この資料の10ページの3で、その方々については差額分を追加で支払うんだということが明記されておりますが、このことがぜひ伝わるように、分かりやすく示していただければよろしいかと思います。ここに書いているじゃないかというのはそのとおりなんですけれども、誤解のないように、この方々に対しても、追加の支給がされるんだということをもう少し分かりやすく書いていただくといいかなと思いました。
 それから、もう一つは、先ほどの精神的損害の増額事由について、丸1から丸5については既に出してあり、丸6から丸10については類型化するということなんですが、それらの証拠資料といいますか、資料の負担についても軽減をされるような御努力をお願いできればと思います。
 以上、質問といいますか、お願いでございます。
 
【内田会長】  ありがとうございました。それでは、弓岡室長、お願いします。
 
【弓岡室長】  ありがとうございます。まず、1点目の追加払いの部分については、具体的な詳細については検討を進めているところでございますが、まず、今後分かりやすく周知していくという点について、御意見ありがとうございます。努めてまいりたいと思いますし、基本的には全員の方にまず御案内することを考えておりますので、御請求いただいたときに、既にお支払いしている部分とのやり取りが多少発生するかと考えており、その際も丁寧に対応してまいりたいと思っております。
 今後も公表を予定しておりますので、いずれにしましても、分かりやすさなども留意してまいりたいと思っております。
 2点目の丸6から丸10についての資料の御負担軽減、また、どのような取り扱いとするかなど、この類型化について検討させていただいているところでございます。資料の御負担軽減等につきましても、全体的な取り組みとして必要以上の資料を求めないということを近年大分留意はしてきております。ただ、一定程度、損害の立証という観点でお願いさせていただくケースもございますが、資料の御負担軽減については今後考えてまいりたいと思いますので、御意見として、本当にありがとうございます。引き続き、しっかり検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
 
【内田会長】  中田委員、よろしいでしょうか。
 
【中田委員】  ありがとうございました。資料の件、丸6から丸10が典型的ですが、全体を通じてお願いしたいということでございます。
 
【内田会長】  弓岡室長、どうぞ続けてお願いします。
 
【弓岡室長】  今申し上げましたことと重複いたしますが、どうしても損害を立証という観点でお願いさせていただくケースがございます。ただ、ここの部分については、近年、自治体賠償等についても、極力、御負担を軽減する方法をいろいろ試行錯誤して進めてきておりますので、全体的に留意してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
 
【内田会長】  ありがとうございます。
 中田委員の1点目というのは、ADRとか訴訟で賠償を既に受けた方が、もう自分は終わったと思っている可能性があるので、その方々にも追加の請求の権利があるということが分かるようにきちんとしていただきたいという、そういう趣旨も含まれていたかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、織委員、お願いします。
 
【織委員】  申し訳ありません。30分に退席しなくてはいけないので、最後のコメントになってしまうかと思うんですけれども。この第五次追補改訂を受けて、東電さんが至急追加の支払いについて類型化していただき、迅速に取り組んでいただいたこと、すごく高く評価したいと思います。住民の方も当然関心が高くて電話での問合せがあるというのも、至極もっともなことだと思います。
 一方で、これだけ迅速にすぐに対応できたのに、なぜ今までできなかったんだろうという、こういう思いも、じくじたる思いがすごく私自身としてはちょっとあるんです。東電さんずっと、あくまでも指針は上限ではないということで、個別にいろいろ対応していらっしゃっていたと思うんですけれども、この改訂が出た途端にすぐにこれだけ迅速に対応できるならなぜという気持ちが皆さん、住民の方の中にも少しあられるということも踏まえながら、これから対応していただきたいなというかなという、コメントというか、そんな形だけです。すみません。
 この対応していただいたこと、それから、追加払いの周知等が重要というのはほかの先生方と一緒なんですけれども、一方で、少し引っかかるものがあるというのも事実だということをコメントさせていただきます。
 
【内田会長】  ありがとうございます。弓岡室長のほうから何かありますでしょうか。
 
【弓岡室長】  御意見ありがとうございます。まず、迅速、適切にしっかりやってまいりたいと思っておりますが、これまでも、正直、様々な試行錯誤をしてまいりまして、その反省を何とかプラスへ転じさせたいという思いで対応しております。したがいまして、今回、今までの至らなかった点について、どのような原因があるのかを考えながら対応しているところでございます。
 行き届かない点はあろうかと思いますが、今後もより詰めて動いてまいりたいと思っておりますので、引き続き、御指導よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 
【織委員】  ありがとうございます。
 
【内田会長】  ありがとうございました。ほかに御発言は。古笛委員、お願いいたします。
 
【古笛委員】  私も、各委員の先生からおおむねお話いただいたんですけれども、今回は分かりやすい御説明をしていただいていますし、第五次追補が上限ではないということも東電の姿勢として示していただいたということで、その点はよかったかと思っています。
 しかし、実際に聞こえてくる声というのが、必ずしもこのような東電の姿勢とは相容れないような内容もあります。今回の件だけではなくて、損害賠償の世界では2次被害ということが大きな問題となっています。東電さんだけではなくて、私たちも含めた関係者とか東電の代理人とかそういった姿勢についても、今後は、実際に被害者の方と話し合うような場面において、この基準を当てはめるというだけではなくて、今回、公表された基準の前提となっている、このような東電さんの姿勢とか思いとかが皆さんに伝わるように御配慮とか御対応をお願いしたい。質問というより意見です。重ねての意見ですので、お願いしたいと思います。
 
【内田会長】  ありがとうございました。弓岡室長から何かありますでしょうか。
 
【弓岡室長】  ありがとうございます。御指摘の2次被害という点につきまして、私も直接各所から伺うことがございます。本当にまだまだ至らぬ点あろうかと思われ、申し訳ございません。
 ただ、先ほど申しましたが、特に賠償初期は試行錯誤の時期であり、様々御心配、御迷惑をおかけしてきたような点、改めておわび申し上げたいと思います。また、引き続き、まだまだ至らない点もあろうかと思っております。
 弊社としましては、研修や人材育成、要は、細部にわたるまでやる、心をしっかり込めて対応できるようになるというのは、まだまだ至らない点あろうかと思いますが、そういったことを努めていることについて、この審査会の場でも申し上げさせていただきました。福島県さまをはじめとする、実際の被災地の実情を知らずに紋切り型の対応をせぬよう、東京におります部隊を福島県へ移して、実際の御相談も受けながら対応できるように組織を変えてきたり、また、ADRにおきましても、この2年ほどの当社起因の拒否件数はゼロというような御紹介もいただきましたが、何とか今までのことを踏まえて、まだまだ至らない点はあろうかと思いますが、整理を進めているところでございます。
 今回、また改めて多くの皆様に賠償をさせていただくということで、改めて、気を引き締めて慎重にやらなければならないと思っており、御指摘を踏まえてしっかり対応してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。
 
【内田会長】  ありがとうございました。それでは、江口委員、お願いします。
 
【江口委員】  東電のほうにお願いしたいのは、言わずもがなのことなんでしょうけれども、かなりの数の人を今回相手にしなくてはいけない。つまり、10年間やってきたことを、この半年にされるのか1年されるのか分かりませんけれども、処理しなきゃいけないというような状況にはなっていると思うんです。当然考えておられることと思いますが、次回御報告いただくときには、きちんと数値的な裏づけも持って私たちにも説明していただきたい。
 例えば、郵送の件にしても、これだけの期間にこれだけは郵送できましたと、着いたのはこのくらいでしたとか、このくらいの期間にこういう形で追加の賠償の話はできましたと。それがADRの人もこのぐらいいましたとか、訴訟の人もこのくらいいましたということで、当然考えておられることだと思いますので言わずもがななんですが、このくらいの期間にこの件数ができましたという、ぜひ具体的な数字というのをきちんと教えていただきたいし、その数字を見て、それまでのやり方で大丈夫なのか、それとも、ほかのやり方を考えなくてはいけないのかということを検討することも必要だと思いますので、その点だけどうぞよろしくお願いしたいということです。
 
【内田会長】  ありがとうございます。弓岡室長、お願いします。
 
【弓岡室長】  ありがとうございます。本当にまず、私ども足元をしっかりやらなければならないですが、そのためには、具体的に数値管理、現実的な管理ということもしっかり対応しなければならないと思っております。
 また、この場での御報告につきましては、事務局様とも御相談の上、具体的に請求関係、実際どれぐらい進捗しているかということについてはまた御報告させていただきたいと思っております。
 しっかり努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
 
【内田会長】  どうもありがとうございます。ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。大体よろしいでしょうか。井出副大臣、どうぞ。
 
【井出文部科学副大臣】  すみません。私からも申し上げたいんですが、今、江口先生からお話のありましたフォローアップですね。今日東京電力さんから御説明いただいたものがベースになろうかと思いますが、今日御説明あったものをどういうふうに着手して、どういう状況になっているというものは、4日間で3,750件の問合せが来ているということを踏まえると、割と早い段階から御報告をいただいて改善をしていくというのがいいのかと思いますので、そこはまず我々の事務方に御相談をいただきながら、やっていただきたいと思います。
 それともう1点、ウェブサイトに既に公表されているところで、先生方からお話ありました、一部の御請求についてウェブサイトを通じて御請求いただけるよう準備を進めておりますという文面なんですが、先ほど室長のお答えを聞いておりましたら、全てウェブサイトでも請求がいただけるんだけど、ウェブは使えない人もいるから一部になるだろうという、そういう趣旨ですというお話があって、そうであれば、従来どおりの請求書による請求方法に加えて、負担を軽減できるようウェブサイトを通じてもとか、「一部」と出てしまうと、私のはウェブでできるのかしらというような話になってしまいますので、ここの文章、今からでも工夫がいただけるのであれば、少し再考いただきたいと思います。
 
【内田会長】  ありがとうございました。弓岡室長、いかがでしょうか。
 
【弓岡室長】  どうもありがとうございます。まず、フォローアップにつきましては、しっかりやってまいりたいと思っております。
 先ほど私の説明が至りませんでしたが、お電話いただいた約3,750件、12月21日から2月1日までの43日間ということで、専用ダイヤル開設前からいただいているものも含めての件数であり、これは御参考まででございます。
 あと、先ほどの一部という表記に関する御質問について、ここは表記についても検討させていただきたいと思っております。確かに、ウェブでもできますということですが、「一部」というもの、先ほど包括的に私御説明申し上げました。ただ、具体的に細部まで御説明させていただくと、例えば、御請求者様が御逝去をされておられるような場合で相続がある場合とか、あと、ADR訴訟で状況に応じて話が進んでいる方については、どうしてもウェブ受付というより書面でやり取りをせざるを得ないという方が一部おられるという意味も含めて書かせていただいております。
 ただ、誤解を招く可能性についても理解いたしましたので、この表記については検討させていただければと思っております。
 私からの補足並びに御回答は以上でございます。
 
【内田会長】  どうもありがとうございました。「一部の御請求」という表現は確かに、弓岡室長が今おっしゃいましたように誤解を招く側面があるかと思いますので、御検討いただければと思います。
 ほかに御発言はありますでしょうか。大体よろしいでしょうか。
 それでは、本日は、東京電力による賠償の状況等の御説明に加えて、中間指針第五次追補を踏まえた追加の賠償基準についても御説明をいただきました。既に御承知かとは思いますが、第五次追補では、指針が示す損害額の目安が賠償の上限ではないということ、そして、指針において示されなかった損害とか、あるいは、対象区域として明示されなかった地域が直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて、相当因果関係のある損害と認められるものは全て賠償の対象となるということが明記されています。これらの点は、審査会における議論の中でも再三指摘がされた点でございます。
 また、消滅時効の援用に関する考え方についても本日御説明をいただきましたが、この点の対応についても大変重要であると考えております。
 東京電力におかれましては、本審査会の指針の趣旨を十分に踏まえ、引き続き、3つの誓いを遵守して、被害者の方々の個別の御事情を踏まえつつ、公平かつ適正な賠償を進めていただきますようお願いをいたします。審査会としては、第五次追補に基づく賠償の状況も含めまして、今後もフォローアップをしていきたいと思いますので、引き続き、御説明のほどよろしくお願いいたします。
 以上で議題の4を終了いたしまして、続いて、議題の5に入ります。東京電力におかれましては、どうも御説明ありがとうございました。
 次に、議題の5ですが、「住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱いについて」に入ります。これは当審査会の審議事項でございます。事務局及び東京電力からの説明を聞いた後、審議をさせていただきます。まずは、事務局からの説明をお願いいたします。
 
【川口原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。資料5-1を御覧ください。全体の通しページで申し上げますと36ページとなります。住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱いについてでございます。こちらにつきましては、中間指針の第四次追補において規定がされている部分でございます。
 まず、1番目、1ポツの原子力損害賠償紛争審査会におけるこれまでの検討結果というものを記載してございます。この平均宅地単価、指針宅地単価というふうに略称させていただいてございますが、こちらを見直しをするかしないかという検討の考え方につきましては、第41回の紛争審査会におきまして、次のとおり方針が取りまとめられているというところでございます。
 まず、毎年、地価の動向等を確認した上で、これまでの日本全国等の地価の変動幅を勘案しつつ、必要に応じて新宅地単価を見直すというものでございます。具体的な地価の確認方法につきましては、国土交通省土地鑑定委員会による地価公示、そして都道府県による地価調査、こちらをもとに専門機関が行った調査結果を確認するということとしてございます。この方法につきましては、中間指針第四次追補を策定したやり方と同様であるというものでございます。
 そして、次のポツでございます。見直し検討の際の基準ということでございまして、先ほど申し上げました専門機関による調査結果、こちらを改訂後の調査結果と比較して基準とするということでございます。最後、見直し後の指針宅地単価の適用時期でございますが、見直し決定日から適用するということが基本であるというものでございます。
 続きまして、2ポツ、福島県都市部の平均宅地単価の状況ということでございまして、中間指針第四次追補策定のときと同じ方法で専門機関に調査を委託したところでございます。具体的な調査結果、全体につきましては、参考の2、全体の通しページで申し上げますと43ページ目以降となりますけれども、こちらに御用意をしてございますので、適宜御参照いただければと存じます。
 具体的な結果は、表でまとめたとおりでございます。平成30年が前回の改訂時でございますが、平均宅地単価4万5,373円/平米であるところ、令和4年の結果は4万7,187円/平米、変動にいたしましてプラス1,814円/平米、率にいたしましてプラス4.0%とされたところでございます。
 3番の検討事項というところでございます。今般のこの調査結果に基づきまして、中間指針第四次追補に示されてございます指針宅地単価を見直す必要があるのか、もし見直すという場合であれば、その指針宅地単価は幾らとすべきであるか、この点につきまして御審議をいただければというふうに存じます。
 次のページに、参考1ということでございまして、これまでの調査結果と指針宅地単価の状況についてまとめたものでございます。直近の改訂時は平成30年のところでございまして、先ほど申し上げたとおり、4万5,373円/平米であったというところでございます。このときの変動率はプラス5.5%でございました。
 その後、令和元年がプラス1.3%、令和2年がプラス2.3%、令和3年がプラス2.9%で、いずれも指針宅地単価を変更には至らずというものでございました。今般は、令和4年、4万7,187円/平米、プラス4.0%で、どうするかというところを御審議いただければと思います。
 事務局からは以上でございます。
 
【内田会長】  ありがとうございました。
 では、引き続き、東京電力から御説明をお願いします。
 
【弓岡室長】  度々失礼いたします。
 続きまして、持家に係る住居確保損害の賠償の概要につきまして、資料5-2「住居確保損害に係る算定方法について」に沿って御説明させていただきます。
 まず、住居確保損害に係る賠償につきましては、従来の財物に対する賠償だけでは御避難先から御帰還される際に必要な建て替えや修繕の資金が不足する、あるいは、移住しようとしても新たに宅地や住宅を購入する資金が賄えないといった状況に対する改善の御要望にお応えするため、中間指針第四次追補を踏まえ、2014年7月に御案内を開始し、お支払いをさせていただいてきた経緯がございます。
 なお、賠償の対象につきましては、弊社事故発生時点において、避難指示区域内の持家に居住をされていた方とさせていただいております。
 資料を御覧いただきますと、まず、資料上段に記載のとおり、対象となる費用は、住宅の再取得、修繕費用、そして宅地・借地権の再取得費用及び諸税や登記費用等の諸費用となっております。
 資料の中段にございますイメージ図のとおり、住居確保損害に係る賠償は、既に宅地・建物・借地権の賠償としてお支払いしている賠償金額を超過して住居確保に要した費用につきまして、賠償上限金額の範囲内でお支払いさせていただいているものでございます。
 資料下段に、その賠償金額、上限金額の算定方法をお示ししておりますが、宅地・建物・借地権の賠償金額と算定式により計算した対象資産ごとの賠償可能金額の合計額を賠償上限金額として設定させていただいております。
 資料の裏面に参ります。2019年1月の第49回審査会におきまして、移住先標準宅地単価が平米4万3,000円から4万5,000円に見直された際の弊社の対応の概要を記載しております。この際は単価改訂日、つまり、第49回審査会開催日の2019年1月25日でございますが、この単価改訂日以降に初めて住居確保損害の賠償を御請求いただく方、または、既に御請求はいただいているものの、改訂日時点で確定された賠償金額が見直し前の賠償上限金額に達していない方に対しまして、新しい見直し単価を適用させていただいた経緯がございます。
 私からの説明は以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 
【内田会長】  どうもありがとうございました。
 ただいまの事務局説明のとおり、資料5-1に検討事項が示されているところでございます。今回の調査結果を踏まえまして、中間指針第四次追補において示されている住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価について、これまでも、おおむね変動率が5%という線で、それを超えたら見直す、それまでは見直さなくてよいのではないかという議論をしてきたところでございますけれども、見直す必要があるかどうかというのは、これは委員の皆様の御意見をお伺いして決めるべきことですので、御審議をいただきたいと思います。今回についてどう扱うか、皆様の御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。江口委員、どうぞ。
 
【江口委員】  私もこれまでの調査結果と指針宅地単価の状況というのを見ますと、今まで出た数字の中では2.9%までは上げない、5.5%は上げているということで、その4%というのは、言わばその間にぽこっと入ってきたという、ある意味初めてのケースなのかなというふうに思います。
 ただ、参考の資料、参考3として第41回の審査会資料がありますけれども、地価の変動に応じて見直していくことは基本だけれども、目安を短期間で見直すことはむしろ被害者に混乱を生じさせる懸念があるということも書いてあります。そうすると、その割合とそれから年数、それと平成30年から令和4年というこの時期という変動の時期を考えますと、ここで4%ということであえて上げるという必要性はやはりないのではないかというふうに私としては考えます。
 
【内田会長】  ありがとうございます。ほかに御意見ありますでしょうか。古笛委員、お願いします。
 
【古笛委員】  私も4という数字がなかなか微妙なところだなというところで、どうしようかとすごく悩んだんですけれども、一応5%というところを目安にしてきたので、今回、5%を目安にしつつ4%で改訂すると、じゃあ3%はどうなのかと、2.9%とかいろいろな数字の問題となるので、今回は一応4%なのでこのままということで、前向きに今後考えていこうということでやむを得ないのかなということで、江口委員と同じ見解です。
 
【内田会長】  ありがとうございます。
 5%基準でいいのではないかという御意見をお二人からいただきましたが、ほかにいかがでしょうか。特に御意見はありませんでしょうか。
 それでは、特にこれ以上の御意見がないようでしたら、これまでと同じような考え方で、今回は、平成30年から令和4年までを通じての変動率が4.0%ということですので、これまでの議論でのおおむねの目安である5%に達していないということで、見直しをしないというのが大方の御意見であると理解してよろしいでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
 ありがとうございます。それでは、そのように取り扱わせていただきます。今後も引き続き、毎年、地価の動向等を確認した上で、必要に応じて審査会において検討をしていきたいと思います。どうもありがとうございました。
 以上で議題の5が終わりまして、続いて、議題の6ですが、議題の6、その他については、本日は特に議題が設定されていないと聞いております。したがって、本日の議事は以上となります。
 最後に、本日の審査会を通じて、委員の皆様から何か御発言がありましたら伺いたいと思います。何かありますでしょうか。特によろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、本日の議事はこれで終了いたします。
 最後に、事務局から連絡事項をお願いします。
 
【川口原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。
 次回、第65回審査会の開催につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。本日の議事録につきましては、事務局でたたき台を作成し、委員の皆様に御確認をいただいた上で、次回開催までにホームページへ掲載をさせていただきます。
 以上でございます。
 
【内田会長】  ありがとうございました。
 それでは、本日も長時間にわたりまして、熱心な御審議をいただき、ありがとうございました。これにて閉会をいたします。ありがとうございます。
 
―― 了 ――
 

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