原子力損害賠償紛争審査会(第51回) 議事録

1.日時

令和2年1月29日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

全国都市会館 3階 第2会議室

3.議題

  1. 住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱について
  2. 「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針について
  3. 避難指示解除の状況について
  4. 地方公共団体等からの主な要望事項について
  5. 東京電力ホールディングス株式会社による賠償の現状について
  6. 原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況について
  7. 地裁判決の状況について
  8. 損害賠償請求権に係る広報活動について
  9. 原子力損害の賠償に関する法律の改正に伴う政省令の改正・ガイドラインの制定について

4.出席者

委員

鎌田会長、大塚会長代理、明石委員、内田委員、織委員、樫見委員、須藤委員、富田委員、中島委員、中田委員

文部科学省

上野文部科学副大臣、生川研究開発局長、千原原子力損害賠償対策室長、林原子力損害賠償対策室室長代理、井出原子力損害賠償対策室次長、西原子力損害賠償対策室専門官

オブザーバー

【説明者】
菊地復興庁参事官、生方復興庁参事官補佐、辻本内閣府原子力被災者生活支援チーム総括参事官、内田東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長、江崎東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室基準総括グループマネージャー、佐々木原子力損害賠償紛争和解仲介室(原子力損害賠償紛争解決センター)室長

5.議事録

【鎌田会長】  それでは、若干早いかもしれませんけれども、第51回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。
 本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、上野通子文部科学副大臣に御出席いただいておりますので、上野副大臣から御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。




【上野文部科学副大臣】  座ったままで失礼させていただきます。
 開会に当たり、一言、御挨拶申し上げます。
 原子力損害賠償紛争審査会の委員の先生方におかれましては、指針に基づく賠償が着実に進むよう、賠償状況や被害地の実態のフォローアップに御尽力いただいていることに心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
 本日は、損害賠償請求権に係る広報活動や、被災地の現状や、賠償の状況等についての報告、意見交換等がなされると伺っております。東京電力の福島原発事故から、既にもう約9年が経過しました。政府といたしましては、原子力災害からの福島の復興・再生を加速させ、政府一丸となって、一日も早い復興を目指して取り組んでいくこととしております。私としましても、引き続き被害者の方々に寄り添いながら、原子力災害からの復興に向けて取り組んでいく所存でございます。紛争審査会におかれましても、公平、かつ適正な賠償が一層進みますよう、有意義な御議論をよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございます。




【鎌田会長】  ありがとうございました。
 上野副大臣におかれましては、公務のため、ここで御退席と伺っております。どうもありがとうございました。
 では、初めに、事務局から議題や資料等の確認をお願いいたします。




【井出原子力損害賠償対策室次長】  それでは、事務局から説明いたします。
 初めに、私、1月14日付で、研究開発局原子力損害賠償対策室の次長に着任いたしました井出でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回、新たに、富田善範委員に御出席いただいております。富田委員は、昨年4月より御着任されておりましたけれども、昨年9月の審査会を御欠席されておりますので、この場で改めて御紹介させていただきたいと思います。




【富田委員】  富田でございます。紛争解決センターで総括委員長も務めております。どうぞよろしくお願いいたします。




【井出原子力損害賠償対策室次長】  それでは、続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 今回、審査会では、タブレット端末を活用して実施させていただきます。メイン席の皆様には、お手元のタブレットに資料1-1から参考資料の参考4までが入っております。今回の審議事項に係る資料1-1、資料1-2、参考2につきましては、円滑な審議の実施のため紙でも配付しておりますので、併せて御確認ください。資料の不足、落丁、タブレットの使い方等の不明点ございましたら、近くの事務局員までお問い合わせください。よろしいでしょうか。
 それでは、議事次第を御覧いただきたいと思います。本日の議題のうち、1つ目、住宅確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱については審議案件でございます。審査会として御審議をお願いしたいと思っております。2つ目以降の議題は報告事案となっております。
 本日は、原子力損害賠償紛争審査会の組織等に関する政令第3条第2項に基づきまして、過半数の委員の皆様に御出席を頂いており、会議開催の要件を満たしておりますということを、あらかじめ御報告させていただきます。なお、まだ織委員がいらっしゃっておりませんが、いらっしゃった後、また早めに退席されると伺っております。
 以上でございます。




【鎌田会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題1、住宅確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱について、まず事務局より御説明を頂いて、その後で、住宅確保損害に係る損害賠償の実施方法について、東京電力から御説明を頂くことといたします。よろしくお願いします。




【井出原子力損害賠償対策室次長】  それでは、まず事務局の方から、議題1に関しまして、資料1-1に基づき御説明をしたいと思います。
 まず、資料1-1の1ページ目でございますけれども、1.第41回原子力損害賠償紛争審査会における検討結果を御覧いただきたいと思います。第41回審査会、こちら平成27年9月に開催されておりますけれども、中間指針第四次追補に示された福島県都市部の平均宅地単価につきましては、毎年、地価の動向等を確認した上で、これまでの日本全国等の地価の変動幅を勘案しつつ、必要に応じて指針宅地単価を見直すこととされております。
 また、具体的な方針として、以下の3点が示されております。
 1つ目でございますけれども、地価の確認方法でございまして、国土交通省の土地鑑定委員会による地価公示、及び都道府県による地価調査を基に、専門機関が行った調査結果を確認することとなっております。なお、この調査については、中間指針第四次追補の策定時に実施した調査に準拠して実施することとしており、移住、あるいは長期避難先のケースで多い福島県内の都市部ということで、福島市、郡山市、いわき市、会津若松市、二本松市、南相馬市の6市の土地単価、宅地単価の平均を算出することとしております。
 2つ目は、見直し検討の際の基準でございまして、指針宅地単価の基となった専門機関による調査結果を基準値とすることとされております。
 また、3つ目でございますけれども、見直し後の指針宅地単価の適用時期でございます。こちらは、見直し決定日から適用するのが基本でございますけれども、ただし指針宅地単価を減額する場合には、被害者が手続途中で賠償上限金額が減額されることなどがないよう、東京電力は改定後の指針宅地単価の適用時期に配慮することが望まれる、ということになっております。
 このような考え方を踏まえまして、1ページ目の2.でございますけれども、福島県都市部の平均宅地単価の状況でございます。令和元年の福島県都市部の平均宅地単価は、前回改定いたしました平成30年度を基準値として、今年の調査結果と比較すると、平成30年度に1平方メートル当たり4万5,373円だったところ、今年は4万5,957円となっております。変動金額としては584円の増、変動率としては1.3%の増ということになっております。
 なお、2ページ目を御覧いただきますと、より詳細な調査結果、平成25年からこれまでの平均宅地単価の調査結果と変動率、指針宅地単価の推移、あと日本全国における平均宅地単価の変動率などを参考で付しております。
 1ページ目に戻っていただきまして、1ページ目の最後のところ、3.でございますけれども、検討事項でございます。調査結果に基づきまして、中間指針第四次追補に示されている指針宅地単価を見直す必要があるか、また、見直す場合の指針宅地単価は幾らとすべきかという点について、本日、御審議を賜れればと考えております。
 参考が少しついておりますけれども、3ページ目の参考2、こちらには住宅確保損害に関する中間指針第四次追補の記述がございます。その次のページ、参考3でございますけれども、第41回審査会に資料として提出された、平均宅地単価見直しの検討の考え方というものがございます。こちらを御参考いただければと思います。
 説明は以上でございます。




【鎌田会長】  事務局から、平均宅地単価の取扱いの原則と、今回の検討事項について御説明を頂きました。
 続きまして、東京電力から、住宅確保損害に係る賠償の実施方法について御説明を頂きます。




【内田室長】  東京電力ホールディングスの福島原子力補償相談室長をしております内田と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、持ち家に係る住居確保損害の賠償の概要につきまして、資料1-2、住居確保損害に係る算定方法についてという資料に沿いまして、御説明させていただきます。
 まず、住居確保損害に係る賠償につきましては、従来の財物に対する賠償だけでは、避難先から御帰還される際に必要な建替えや修繕の資金が不足する、あるいは、移住しようとしても、新たに宅地や住宅を購入する資金が賄えないといった状況に対する改善の御要望にお応えするため、中間指針第四次追補を踏まえ、2014年7月に御案内を開始し、お支払いをさせていただいております。なお、賠償の対象につきましては、弊社事故発生時点において、避難指示区域内の持ち家に居住をされていた方とさせていただいております。
 資料を御覧いただきますと、まず、資料上段に記載のとおり、対象となる費用は、住宅の再取得・修繕費用、宅地・借地権の再取得費用、及び諸費用、これは諸税とか、登記費用等でございますけれども、こういう形になります。
資料の真ん中辺、中段でございますけれども、イメージ図のとおり、住居確保損害に関わる賠償は、既に宅地・建物・借地権の賠償としてお支払いしている賠償金額を超過して住居確保に要した費用につきまして、賠償上限金額の範囲内でお支払いするものとなります。
 資料下段に、その賠償上限金額の算定方法をお示ししておりますが、宅地・建物・借地権の賠償金額と、算定式により計算した対象資産ごとの賠償可能金額の合計額を賠償上限金額と設定しております。
 資料の裏面に参ります。昨年1月の第49回審査会におきまして、移住先標準宅地単価が平米4万3,000円から4万5,000円に見直された際の弊社の対応の概要を記載しております。このときは、単価改定日、これは審査会開催日の昨年の1月25日でございますが、この単価改定日以降に初めて住居確保損害の賠償を御請求いただく方、又は既に御請求は頂いているものの、改定日時点で確定賠償の金額が見直し前の賠償上限金額に達していない方に対しまして、新しい見直し単価を適用させていただいております。
 簡単ではございますが、御説明は以上でございます。




【鎌田会長】  ありがとうございました。
 ただいま御説明いただきましたとおり、資料1-1の1ページ目、最下段に検討事項が示されているところでございます。今回の調査結果を踏まえ、中間指針第四次追補に示されております住宅確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価について、まずは具体的な金額の変更の議論ではなくて、最初にこれらの数字を見て、宅地単価を上げるかどうかということを一般的に御議論いただきたいと思います。次に、上げることが適当であると判断された場合に、それでは幾らにすればよいかと、この2段階で議論をしたいと思っております。
 まず、見直す必要があるかどうかという点につきまして、委員の皆様の御意見をお伺いいたします。御自由に御発言ください。いかがでしょうか。
 それでは、会長代理。




【大塚会長代理】  2つほど、注目すべき観点があると思っていますけれども、参考1を見ますと、今回、1.3%上昇しているということでございますが、今までの例を見ると、例えば平成29年度は2.8%上昇していても反映していないというのは、一つ考えなくてはいけない点かと思っています。もう一つは、一般的に短期間での見直しについては被害者の方に混乱を生じさせるという、参考3の2.の最初の丸にあるようなことがございますので、ちょっとこの辺も考慮した方がいいかと考えております。そういう観点から、今回は上げないというのが一つの考え方ではないかと思っております。




【鎌田会長】  ありがとうございました。
 ほかの御意見は、いかがでしょうか。ただいま大塚会長代理からは、今回は上げない、見直さないという御提案でございましたけれども、ほかの御意見ございましたら、お出しいただければと思います。よろしいですか。
 それでは、今回は見直す必要がないという結論とさせていただきます。引き続き、毎年、地価の動向等を確認した上で、必要に応じて審査会において検討をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 このほか、本件に関連して何か御意見があれば、お出しいただければと思います。それでは、大塚会長代理。




【大塚会長代理】  続けてで申し訳ありません。最近、この変動に関して、上昇の伸びがちょっと鈍っているような感じがいたしますので、ひょっとすると、全国的には減少していることを考えると、今後、土地の単価が下がるということもあり得ないわけではないと思います。そういう場合にどうするかということを、ちょっと考えておく必要があると思います。一般論として考えると、場面場面に応じて土地単価の価格設定は必要でございますが、下落率を見ながら価格の設定を下げていくということも、考える余地があるのでないかと思っております。
 これは、参考3が関係いたしますけれども、第41回審査会の資料4を御覧いただきますと、減額のことを想定した文言が一番下から3行目ぐらいのところに出ていますので、減額もあり得るということが当初から見込まれていたと考えると、減額もあり得るのかなと思っているところでございます。さらに、そもそもこの住居確保損害の考え方は、新しく住まわれる所の土地の価格と、今まで住んでおられた所との差を問題にしているところでございますので、もし新しく住まわれる所の土地の価格が下がれば、それは考慮せざるを得ないということがあると思いますので、減額もあり得るということではないかと思っております。
 ただ、手続の途中で下落することがないようにというのは、今の資料1-1にもございますけれども、この御配慮は是非、東京電力の方にはしていただく必要がございますので、ここは十分注意した上で、場合によっては減額もあり得るということではないかと思っております。
 以上です。




【鎌田会長】  はい、ありがとうございました。
 ほかに、この問題に関連しての御発言ございますでしょうか。
 減額につきましては、今、御指摘ありましたように、第41回審査会資料、本日お配りした資料1-1の参考3の一番最後のところにも、減額があるということを前提にした留意事項が記載されているところでもありますし、理論上も、実際の差額をある程度平均化した価格による算定になりますけれども、考慮して差額を補塡していくという考え方でございますので、著しく減額していけば、それを考慮せざるを得ないということでよろしいように思いますけれども、この点についてはそのような理解でよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。議題2、「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針について、議題3、避難指示解除後の現状についてでございますが、冒頭で御紹介がありましたように、本日、報告事項がたくさんございますので、まとめて御報告いただいて、その後に幾つか質疑応答の時間を設けると、このような進め方にさせていただきたいと思います。そこで、まず最初に、今、申し上げました議題2と議題3を併せて御報告いただいて、質疑応答に移るという進め方にさせていただきます。
 まず、「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針について、復興庁より御説明を頂きます。よろしくお願いいたします。




【菊地参事官】  御紹介いただきました復興庁でございます。担当参事官の菊地でございます。座って説明させていただきます。よろしくお願いします。
 資料は、お手元に、資料2-1、基本方針の概要と、資料2-2、基本方針の閣議決定の本文、2種類を配らせていただいておりますが、本日は時間の都合もございますので、便宜上、資料2-1、「復興・創生期間」後の復興の基本方針の概要版に基づきまして、御説明を申し上げます。
 昨年の12月20日に閣議決定をいたしました。復興・創生期間と申しますのは、2020年度、令和2年度末までとなっております。これが復興庁の復興の10年を満了する年でございます。今、復興・創生期間と申しておりますが、それが満了する、その後の復興の基本方針を閣議決定したものでございます。
 2-1の1枚目を御覧いただきますと、一番上のヘッドラインであります、この基本方針閣議決定の趣旨は、これまで実施してまいりました復興施策の総括を行いますとともに、復興・創生期間後、すなわち令和3年度以降における各分野の取組や、復興を支える仕組み、組織等の方針を政府として定めたものでございます。
 以下、順次、御説明を申し上げます。
 まず、このページで、ローマ数字の1番として、復興施策のこれまでの総括を行っております。大まかに申し上げますと、前例のない手厚い支援、例えば復興庁の設置自体がそうでございますし、特別な地方公共団体等に対する財政援助の仕組み、特区法、福島特別措置法などの特別な法律上の仕組みといったものを設けて、復興は大きく前進をしてきた。こういう認識に立った上で、地震・津波被災地域と原子力災害被災地域を分けて書いておりますけれども、地震・津波被災地域については総仕上げの段階を迎えており、原子力災害被災地域については復興・再生に向けた本格的な動きに入ったところである、という総括をさせていただいております。
 各分野の取組について、以下、本文の方には、成果と課題、教訓を詳細に書き込んでおりますが、ここでは概要を書いております。大まかなところだけ申し上げますと、例えば被災者支援ということで、ソフト事業、健康・生活支援といった分野では、地震・津波被災地域では仮設生活の解消を目指す。あるいは、2.住まいとまちの復興では、公営住宅、高台移転などの完成見込み、道路、鉄道、港湾などの整備の完了、こういったものが見えてきております。4.原子力災害からの復興・再生につきましては、事故収束、その他様々な課題が残されておりまして、これまで取組をしておりますが、引き続き課題があるといったことをまとめさせていただいております。
 次に進んでいただきまして、2ページ目でございます。2ページからが、復興・創生期間後の基本的な方針でございます。ここも、地震・津波被災地域と原子力災害被災地域と状況が異なりますので、分けて記載をさせていただいております。
 地震・津波被災地域につきましては、復興・創生期間後5年、令和3年度以降において、復興事業がその役割を全うすることを目指す、という表現をさせていただいております。ハード事業につきましては、今の期間内での完了を目指しますが、未完了となる一部の事業については、今の復興期間内に計上した予算の範囲内で支援を継続する、といったことを記載しております。なお、心のケア、被災されたお子様への支援などについては、創生期間後も一定の支援を継続するといったようなことを記載して、取りまとめております。
 次に、右側、原子力災害被災地域に関してですが、こちらは中長期的な対応が必要でございまして、引き続き国が前面に立って取り組む。当面10年間、引き続きの10年間、本格的な復興・再生に向けた取組を行う。なお、これまでの復興期間も、最初の5年、その次の復興・創生期間の5年ということで、5年ごとに区切りを入れておりましたけれども、ここでも考え方として、5年目に事業の在り方の見直しをすると書かせていただいております。以下、事故収束、環境再生、期間・移住等の促進・生活再建等、地域が抱える課題、それに対する取組の方針を記載しているところでございます。
以上が、各分野の施策です。
 次に、3ページにお進みいただきますと、復興を支える仕組みとして、財源等、法制度、自治体支援、それから一番最後、組織の在り方についてまとめております。
 財源等につきましては、求償対象経費を除いて、災害復旧、復興事業として行うものについて、どれだけの財政需要があるか、それをどういうような財源で賄うかという仕組みとして、これまでの復興期間において設けていた財源フレームでございますけれども、それに基づいて、これまでの10年間でおおむね31兆円台前半の事業規模であったところ、今後5年間で1兆円台半ばが見込まれるという大まかな見込みを示した上で、上から4行目ですけれども、令和2年夏頃を目途に新たに復興財源フレームを示す、という方針を出させていただいております。
 それから、法制度については、所要の見直しを掛けるという方針を変えております。特に福島につきましては、移住の促進や交流関係人口の拡大、農地の利用集積や六次産業化施設の整備促進による営農再開の加速化など、新たな施策に取り組むべきである、というまとめ方をしております。
 最後に、3.組織でございますけれども、結論としましては、司令塔として各省庁の縦割りを排して、復興を成し遂げるため、被災地の強い要望も踏まえまして現行体制を維持、すなわち復興庁、復興大臣を置いて総合調整機能を担うという今の体制を維持いたしまして、復興庁の設置期間を10年間延長する、5年後をめどに組織の在り方を検討する、というような位置付けにさせていただいております。
 なお、一番下の行、欄外、次期通常国会に所要の法案の提出を図るとございますが、すみません、これは去年の閣議決定時点の資料ですので、現在、国会が始まっておりますので、今通常国会に法案の提出を目指して、現在、調整を進めているところでございます。
 4ページ、5ページは、復興の現状についての御参考までの資料でございますので、後ほどお目通しいただければと存じます。
 なお、資料2-2、本文の方ですけれども、非常に大部になりますが、一部だけ、原子力賠償について触れた部分がございますので、御紹介させていただきますと、27ページ。




【鎌田会長】  この資料全体の通しで、27ページでよろしいですか。




【西原子力損害賠償対策室専門官】  通しで40ページです。




【鎌田会長】  通しで40ページ。はい。




【菊地参事官】  通しで40ページの上から3つ目のポツ、これは文科省さんなど関係省庁と相談させていただきながら作っている案文でございます。原子力損害賠償について、紛争審査会の指針等に沿い被害の実態に合った必要十分な賠償の円滑な実施に向け、必要な対応を継続するというような記載を盛り込ませていただいておりますので、御報告いたします。
 私からは以上です。




【鎌田会長】  ありがとうございました。
 次に、避難指示解除の状況につきまして、内閣府原子力被災者生活支援チームより御説明を頂きます。よろしくお願いします。




【辻本参事官】  支援チーム参事官の辻本でございます。
 それでは、資料3に基づきまして説明させていただきます。題名は「第50回原子力災害対策本部」になっておりますが、これは前回も説明させていただきましたが、富岡、大熊、双葉の先行解除について原子力災害対策本部決定がされたという御紹介であります。
 めくっていただきまして、資料1と右肩に付いておりますが、双葉町・大熊町・富岡町における避難指示区域の解除についてというものでございます。1月17日に、この内容で決定をいたしました。
 内容につきましては、更にめくっていただきまして地図が出てまいります。避難指示区域の概念図を御覧いただければと思います。この中で、ブルーで四角囲みをしておりますが、まず見ていただきたいのは下の方、JR常磐線の線路、双葉駅、大野駅、夜ノ森駅の駅舎、及び駅周辺の道路等を解除予定と。これは、3月14日になりますけれども、JR常磐線が遂に全面開通をいたします。これに即する形で、駅周辺を先行解除するというものであります。また、右の上の方にあります双葉町の避難指示解除準備区域、唯一残っておりました避難指示解除準備区域でありますけれども、これもこのタイミングに合わせて解除するものでございます。
 解除日につきましては、おのおのの町の事情により、3月4日、3月5日、3月10日と書かれておりますけれども、いずれも先ほど申し上げました3月14日のJR常磐線の開通に向けて解除を行うというものでございます。
 説明は以上であります。




【鎌田会長】  はい、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの2つの議題に係る説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら、お願いいたします。短い御報告ではございましたけれども、中身は大変幅広く御報告いただいたところでございますので、御覧になるのに少し時間が掛かるかもしれませんが、御質問がございましたらお出しください。よろしいですか。
 それでは、恐縮ですけれども、次に進ませていただきます。議題4から議題7まででございます。議題4、地方公共団体等からの主な要望事項について、これにつきましては事務局より御説明をお願いいたします。




【井出原子力損害賠償対策室次長】  それでは、議題4、地方公共団体等からの主な要望事項について、資料4に基づきまして御説明をさせていただきます。全体では54ページになります。
 この資料は、昨年9月に第50回紛争審査会が開催されて以降、現時点までに、紛争審査会や、事務局である文部科学省に寄せられた要望のうち、主な項目をまとめたものでございます。今回は、特に昨年11月に頂きました、福島県原子力損害対策協議会からの御要望が中心になっております。
 まず、1つ目の避難者への賠償の項目でございます。原子力損害賠償紛争審査会において、現地調査や関係市町村等から広く意見聴取を行うことなどにより、被災地の現状をしっかりと把握した上で、被害者の一刻も早い救済のため中間指針等の見直しを行うこと、という御要望がございました。また、原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解事例につきまして、多くの被災者に共通する損害については、類型化による「指針」への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に「指針」として示すこと、という御要望もございました。
 2つ目でございますけれども、営業損害及び風評被害に係る賠償ということで、避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、営農・林業再開に支障が出ないよう、農林業者や関係団体の意向を十分に踏まえた上で、賠償基準を早急に確定させるとともに、農林業者等への丁寧な周知、説明を行い、被害の実態に合った賠償を確実に行わせること。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること、という御要望がございました。
 また、商工業者等に係る営業損害の一部賠償後の取扱いにつきましては、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的、形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、損害の実態に見合った十分な賠償を確実かつ迅速に行わせること、という御要望もございました。
 3つ目でございますけれども、地方公共団体に係る賠償については、地方公共団体が住民の安全、安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や、地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること、という御要望がございました。
 続いて、4つ目でございますけれども、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介については、センターが提示する和解案について、原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること、という御要望がございました。
 最後、5つ目でございますけれども、損害賠償請求権の消滅時効については、全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し、未請求者の掘り起こしや周知活動を徹底させることはもとより、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、将来にわたり消滅時効を援用しないことを「新々・総合特別事業計画」に追記するなどの方法により具体的かつ明確に示すよう指導するとともに、国においても、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知や、更なる法制度の見直しも含め必要な対応を行うこと、という御要望がございました。
 説明は以上でございます。




【鎌田会長】  はい、ありがとうございました。
 それでは、引き続きになりますけれども、賠償の現状につきまして、東京電力ホールディングス株式会社より御説明を頂きます。




【内田室長】  改めまして、東京電力ホールディングスの内田でございます。よろしくお願いいたします。
 弊社の原子力発電所の事故から8年10か月、間もなく9年になろうとしております。今なお、多くの皆様に御迷惑と御心配をお掛けしておりますことを、この場をおかりして改めておわび申し上げます。弊社といたしましては、福島復興の責任を最後まで果たすべく最大限努力してまいりますので、委員の皆様におかれましては、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、資料の説明の方に入らせていただきます。失礼いたします。
 資料は、資料5、通しページでいきますと56ページでございます。原子力損害賠償のお支払い状況等について、御説明させていただきます。
 56ページの中ほどのお払い総額というところを御覧いただきたいと思いますが、これは昨年12月末時点の数値でございますけれども、総額で9兆3,151億円というお支払いの実績になります。なお、資料には間に合っていないのでございますけれども、直近で申し上げますと、先週末の1月24日時点で9兆3,210億円となっておりまして、年末から比べますと59億円増加してございます。
 その下に、グラフをお示ししております。こちら、一番右の2019年12月の欄を見ていただきますと、グレーの下の方で3.16となっておりますのが個人の方に対する賠償の総額でございます。その上、ちょっとポツポツとなっていますけれども、白い5.65兆円となっているところが法人・個人事業主様に対するお支払いの総額になります。個人の賠償の伸びが比較的緩やかなのに比べまして、法人・個人事業主などの伸びが大きくなってございます。これは、除染等の費用が大きく増加して、これを法人・個人事業主などの項目に計上しているためでございます。ちなみに、昨年末時点で、法人・個人事業主5.65兆円のうち、約3兆円が純粋な法人・個人事業主、残りの約2.5兆円が除染等という内訳になってございます。
 次にページを進めていただきますと、参考資料としまして、個人の方に対する賠償の合意状況、その次のページは賠償項目別の合意金額の状況、更に進んでいただきますと原子力損害賠償請求訴訟等の状況、更に組織体制といったところを、参考までに掲載させていただいております。後ほど御覧いただければと存じます。
 その次のページを御覧いただきたいと思います。原子力損害賠償債権の消滅時効に関する当社の考え方についてということで、プレス文が載せてございます。こちらは、昨年9月19日の前回審査会での御議論も踏まえまして、昨年10月30日に、当社の消滅時効に関する考え方につきましてプレス発表させていただいたものでございます。
 具体的には、中ほどの消滅時効に関する当社の考え方というところに記載してございますが、こちらにありますように、時効の完成をもって一律に賠償請求をお断りすることは考えておらず、時効完成後も、新々・総合特別事業計画の「3つの誓い」に掲げる「最後の一人まで賠償貫徹」という考え方の下、消滅時効に関しては柔軟な対応を行う旨を、改めて昨年、公表させていただいたと、こういう内容でございます。全文につきましては、後ほど御確認いただければと存じます。
 簡単ではございますが、私からの御説明は以上でございます。




【鎌田会長】  はい、ありがとうございました。
 それでは、次に、ADRセンターの活動状況につきまして、ADRセンターから御説明を頂きます。




【佐々木室長】  原子力損害賠償紛争解決センターの室長、佐々木でございます。座って御報告させていただきます。
 それでは、平成31年1月初めから令和元年12月末までの数字、活動状況について、御報告させていただきます。数字は速報値でございますので、まだ確定値でないことを御了解いただきたいと思います。
 それでは、資料6を御覧ください。まず、1ページ、センターの人員体制の整備というところでございますが、昨年末の人員は、仲介委員が278名、調査官が132名、和解仲介室職員が123名であります。調査官につきましては、申立件数が減少傾向にあることも踏まえまして、自然減に任せております。平成30年の末から29名の減となっております。さらに、今後の申立件数の推移など、業務量を見ながら、規模をどうしていくのかということについても検討していきたいと考えてございます。
 そして、次に2ページ目を御覧いただきまして、申立件数の推移①というところでございますが、昨年末までの申立件数の総数は2万5,545件、申立人数の延べ総数は11万1,415人ということになります。ピークでありました平成26年と比較しますと、近年は低水準で推移しているということになります。
 具体的な数字の推移につきましては、次の3ページを御覧ください。昨年1年間の申立件数は1,209件でありまして、平成30年からは88件、7.9%の増加となっております。また、昨年1年間の申立人数は3,668人でありまして、平成30年からは1,510人、70%の増加となっております。近年、申立人数はずっと減少しておりましたけれども、ここで増加に転じましたのは、平成29年、平成30年には0件でありました申立人数が100人以上の集団申立てが、令和元年に1件あったことが要因の一つとなっております。
 続きまして、4ページを御覧いただきたいと思います。令和元年に申し立てられました案件のうち、当センターに対して初めて申立てをされた事案の割合は36.2%、そして、同じ申立人による、前回申立てが存在している申立て、これを複数回申立てと言っておりますが、その割合は63.8%となっております。年々、複数回申立ての割合が増加しておりますが、初回申立てがまだ36.2%という割合を占めております。まだ少し、初回申立ての方の五月雨的な申立ては続くのかと存じます。
 続きまして、5ページを御覧いただきたいと思います。終局の状況でございますが、昨年末までで2万4,605件の和解仲介手続が終了しております。これは、これまで申し立てられました事件の96.3%に相当しております。うち、80.3%に当たります1万9,748件が和解成立ということで終局しております。昨年末時点におきまして、現在進行中の件数、いわゆる未済件数は940件ということになります。これは、これまで申し立てられた事件数の3.7%に相当しております。
 続きまして、6ページ目を御覧いただきまして、終局事由の方に入りますが、各年度別の推移を御覧いただきますと、昨年中に手続が終了した件数は1,388件、平成30年の1,818件から430件、23.7%減少しております。この減少は、新受件数自体が年々少なくなっており、ボリュームが減ってきておりますことに伴って係属件数が減少して、その分、一定割合で終了する件数も減ってきたと、そういうことが原因かと思われます。
 それから、既済件数のうち和解成立で終了した案件は969件でありまして、既済件数全体に占める割合は69.8%となっております。一昨年が67.8%でありましたので、ほんの少し、若干でありますが、増加しているということになります。ここ2年間は、3件に2件以上の割合で和解が成立しているという勘定になります。
 一方、取下げで終了した案件は220件で、割合は15.9%、一昨年が18.3%でありましたので、やや減少しているということになります。
 打切りにつきましては、件数自体は減っておりますが、割合は年々増加しております。これにつきましては、次のページで併せて御説明申し上げます。
 未済件数は、平成27年以降、着実に減少しておりまして、昨年末で940件でありますが、この1年間で179件の減少ということになります。
 それでは、7ページを御覧いただきたいと思います。令和元年は、和解打切りによって終了した件数が199件でありまして、平成30年と比べると53件減少しております。
 和解打切りを理由別に見てみますと、申立人の請求権を認定できないことを理由として和解打切りとなったものが199件中128件と、約6割を占めるようになっております。既済件数全体のうち、この理由により和解打切りとなったものの割合は、平成26年以降、増加傾向にございます。
 これは、個々の事案により事情が多様であるため、一概に述べることは難しいのですが、大ざっぱに申し上げますと、本件事故から時の経過等によって、申し立てられる損害項目と本件事故との因果関係を認定することが難しい案件が増加してきていると、そういうことが一つの大きな原因になっているのでないかと考えられます。実際、個別具体的な事情を検討しなければ、請求権が認められるかどうかとか、また、賠償額を幾らと認定するかの判断がなかなかできない事案が大部分となりつつあります。このため、申立人ごとの個別事情をより丁寧に踏まえて審理していくということをして、事案に即した適切な和解案の提示が可能になるような、そういう手続を今後もやっていきたいと考えております。
 そういうような個別の事情にかなり踏み込まなければならないということになっておりますので、審理期間も若干延びておりまして、仲介委員の指名から和解案提示までの平均審理期間につきまして、速報値では11.0か月ということになっております。一昨年の平成30年は10.9か月ですので、0.1か月とはいえ、若干延びてきているということになります。
 このように、本件事故から時の経過等に伴って、被害者や賠償をめぐる状況には新たに様々な変化が生じているところでありますが、センターとしては、引き続き一貫した姿勢として、当事者双方の意見を丁寧に伺った上で、和解成立に向けて真摯に取り組んでいきたいと考えてございます。
 なお、被申立人である東京電力が和解案を拒否したために和解打切りとなった件数は、昨年1年間で17件、平成25年からの累計でいきますと138件ということになります。ただ、このうち、東京電力社員、又はその家族からの申立ては、昨年1年間で4件、累計で85件ということになっております。東京電力が和解を拒否して打切りになった件数の約6割が、社員、あるいは、その関係者ということになっております。
 それから、被申立人が和解案を拒否した件数のうち、和解仲介手続と関連訴訟が共に係属して、双方の請求ないし訴訟物が重複しているということで拒否、打切りとなったものが1件ございます。
 その他の欄でございますけれども、和解仲介手続と関連訴訟が共に係属して、双方の請求、訴訟物が重複しているために、関連訴訟の判決が確定するまでの間、東京電力が和解案の諾否の意見を保留するという対応があったことによって、和解仲介手続の維持が困難になって打ち切ったというものが2件ございます。
 それでは、次に、8ページ目に飛んでいただければと思いますけれども、8ページから9ページ目にかけては、前回の紛争審査会以降、現在までに、被申立人である東京電力が和解案の受諾を拒否したことなどから、一部も含めて和解打切りとなって、和解案提示理由書を公表している集団申立て等の事案2件を記載してございます。
 8ページの最初の事案Aは、南相馬市小高区内の不動産の所有権等を有する方々が申し立てた事案で、不動産の財物賠償に当たります。これは、不動産が現実に6年以上使用できない事情があったときには、財産価値の全部を喪失したと評価することができるかということで、仲介委員がそのように認定、評価して和解案を出したのですが、うまくいかなかったということで、こういう公表に至ったということになります。
 次の案件、9ページの事案Bは、相馬市玉野地区の住民の方々が集団で申し立てた事案であります。これは、仲介委員が、中間指針追補による賠償額とは別に、本件事故時、玉野地区に生活の本拠があって、かつ19歳以上だった方々について、平成23年3月11日から同年12月31日までの期間、玉野地区に滞在した期間について月額2万円、自主的避難により玉野地区に滞在していなかった期間について月額1万円として、さらに、妊婦であった方々については、それぞれ半額の月額1万円、月額5,000円の賠償を認めるという和解案を提示したのですが、被申立人である東京電力がこの和解案を受託拒否したことなどから打切りとなったものであります。
 令和元年の間に和解成立に至らなかった事例として、先ほどの事案A、事案Bの2件と、前々回の審査会で報告いたしました2件を含めました4件について、文部科学省のホームページにおいて公表しているところであります。
 このような4件しか公表はしていなくても、先ほどの17件もありますので、東京電力におかれましては、更に更に柔軟に和解案を尊重して、柔軟な対応をお願いできればと思います。また、このことにつきましては、毎年、東京電力にお送りしている当センターの活動状況報告書においても要請をしているところでありますし、研究開発局長からも要請しているところでありますので、この機会に改めてお願いしたいと思います。
 それから、次に10ページ目ですけれども、センターの福島事務所、各支所の所在地に関しましては、前回の審査会から特段の変更はございません。
 最後の11ページ、広報活動でございますが、従来から、関係団体や関係地方公共団体と連携、協力しつつ、これらが主催する説明会などで説明を行ってきたところでございますが、現在でも初回申立ての方が多くいらっしゃるということで、いまだ損害賠償請求をしていない方も多くいらっしゃると思われることから、より一層、広報を強化していきたいと考えてございます。
 令和元年は、福島県内外、様々な所で、関係団体主催により開催された説明会に調査官等を派遣して、センターの業務概要や申立方法などについて説明を行ったほか、地域の個人や事業者向けチラシを作成、配布したことに加え、「ふくしまの今が分かる新聞」というのを福島県が出されていますし、あるいは「広報おおくま」「広報かわまた」など福島県内の自治体が発行する広報紙もありますが、これらにも、センターの案内記事を掲載させていただくなどしてございます。
 駆け足になってしまいましたが、当センターの活動状況についての御報告は以上のとおりでございます。




【鎌田会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、引き続き、地裁判決の状況につきまして、これは事務局から御説明をお願いいたします。




【井出原子力損害賠償対策室次長】  それでは、事務局の方から御説明いたします。
 資料7でございますけれど、福島第一原子力発電所事故に伴う国家賠償請求訴訟、これは山形地裁でございますけれど、こちらの判決の概要ということでございます。
 まず、国家賠償請求訴訟の概要につきまして、簡単に御説明させていただきますと、現在、福島原発事故から、避難者などが原告となりまして、全国21か所の高等裁判所、地方裁判所において、国及び東電を被告とする約30件の集団訴訟が係属中となっております。
 前回の審査会以降、昨年12月17日、山形地裁におきまして判決が言い渡されましたので、その概要について、御報告をいたします。
 なお、これまでに御報告した各地裁の判決につきましては、いずれも控訴されておりまして、判決は確定していない状況でございます。
 それでは、資料7の中身について、御説明をさせていただきます。
 まず、こちらが山形地裁訴訟の概要と判決の概要でございますけれど、山形地裁における訴訟の概要ですが、原告が730名であり、平成25年9月11日に提訴されております。
 本件は、福島第一原子力発電所を運営していた被告東電に対して、主位的に民法上の不法行為の損害賠償請求権に基づき、予備的に原賠法3条1項に基づき、また、被告国に対して、国賠法1条1項に基づき、本件事故によって被った損害、慰謝料ですけれど、こちらは各原告について2,000万円になるとしておりまして、そのうち1,000万円と弁護士費用100万円の合計である1,100万円の支払いなどを求める事案となっております。
 それでは、山形地裁判決の主な内容を説明いたします。
 まず、被告東電の責任につきましては、東電が原告らに対し、原賠法3条1項に基づき損害賠償責任を負うこと自体は争いがないとされております。他方、原賠法は民法の不法行為に関する規定の特則でありまして、原子力損害の賠償に関しては、民法709条等の適用が排除されるということで、本件は原子力損害の賠償に関する事案であることから、民法の不法行為に関する規定の適用はなく、原告らの被告東京電力に対する民法709条に基づく主位的請求には理由がないとされております。
 一方で、被告国の責任でございますけれど、その規制権限の不行使が違法であったとは言えず、被告国の本件事故発生後の対応によって、原告らの被告国に対する損害賠償請求権が発生したと言うことはできないとして、国賠法1条1項に基づく請求は、いずれも理由がないとされております。
 また、損害の各論の精神的損害につきまして、政府の指示等により、その住居から避難を余儀なくされ、その後、帰還を制限された者、又は政府の指示等はなかったとしても、その当時の事情を考慮して、通常人であれば、その場に留まることを選択することはなかったと言えるような場合については、居住・移転の自由の侵害があったと言えると。そして、誰であっても、自己の選択した生活の本拠及びその周辺の地域コミュニティにおける日常生活の中で人格を発展、形成しつつ、平穏な生活を送る利益を有しているところ、この平穏な生活を送る利益は法的に保護に値するものと言え、その侵害に伴う精神的苦痛も賠償の対象とされるべきであるとされています。
 いずれの侵害につきましても、その有無及びその程度は、本件事故が発生した時点における住所地又は滞在地によって異なり得ることから、原告ごとに区別して判断するとしております。
 具体的には、2ページ目にございますように、発生時の住所地が、イは、福島県双葉郡富岡町及び大熊町にある原告、ウで、伊達郡川俣町にある原告、エとして、南相馬市にある原告、オとして、伊達市にある原告、カとして、福島市、いわき市、郡山市、須賀川市、相馬市、二本松市、本宮市、桑折町にある原告ら、キとして、会津若松市にある原告らに分けて検討することとしており、各地域における慰謝料の算定過程については、この資料の中を御覧いただきたいと思います。
 損害額につきまして、資料のカの原告の一部について、被告東電が既に弁済した額を超えることから、これらの原告の請求については、当該超過額及び弁護士費用の支払いを求める限度で理由があるとされております。それ以外につきましては、いずれの原告についても、個別事情を考慮しても、被告東電が既に弁済した額を超えないことから、原告らの被告東電に対する損害賠償請求権は弁済により消滅している、又は本件事故によって何らかの権利利益を侵害されたと言うことはできないということで、その請求には理由がないとされております。
 結論といたしまして、原告らの東電に対する原賠法3条1項に基づく請求は、資料カの原告ら5人につきまして、各8万8,000円の支払いを求める限度で理由があると。請求額総額が81億円に対しまして、合計、この5人の44万円が認められています。
 説明は以上でございます。




【鎌田会長】  ありがとうございました。
 なお、これまでも地裁判決が出されるたびに、その判決を踏まえて指針を見直さないのかという御質問を頂いてまいったところでございますが、今回の地裁判決も、先ほど御紹介ありましたように、いまだ確定をしていないということ、また、これまでの地裁判決の内容にもばらつきが見られることから、現時点で、直ちにこの地裁判決を受けて指針に反映させるということはできないと考えておりますが、いずれにしましても、これまでの判決、それからこれからの訴訟、こういったものを注意深く見守り、かつ分析をしまして、必要な対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。
 次に、議題の8番、損害賠償請求権に係る広報活動につきまして。




【井出原子力損害賠償対策室次長】  先生、ここで少し議論をお願いいたします。




【鎌田会長】  済みません。失礼しました。資料7までにつきましては、ここで議論ということですね。失礼いたしました。
 それでは、自由に御質問、御意見をお出しください。




【樫見委員】  よろしいですか。




【鎌田会長】  どうぞ。




【樫見委員】  2点、ADRセンターの方へ御質問があるのですが。初回申立てが、また少し増えてきたようなんですが、最近の特徴で、例えば、地域ですとか、それから申立ての理由とか、何か特徴はあるんでしょうか。




【佐々木室長】  事件が増えて……。




【鎌田会長】  初回申立て。




【樫見委員】  初回申立て。




【佐々木室長】  初回申立てのところですけれども、事件の種類は全く項目ばらばらで、地域もばらばらでございまして、どこかのところで滞留しているという原因はないように思われます。従いまして、有効な対策みたいなものというのはなくて、ただ、これまでのようにということになるかと思います。




【樫見委員】  あと、避難者向けの説明会をやっていらっしゃるようなんですが、実際、参加されている人数なんかは、どんな状況なんでしょうか。




【佐々木室長】  1回で10人から20人ぐらいということになるかと思います。自治体が主催しているものも、NPOが主催しているものも、大体そういう感じでございます。
 ただ、参加されると申立てをしていくということになりますので、やればやっただけ来られると、そういうことにはなっております。




【樫見委員】  ということは、その方たちは多くが初回という。




【佐々木室長】  例えば、浪江町さんがやっていただいているものなどは、集団の申立てがありますので、全て複数回申立てに分類されます。ところが、NPOの主催で、例えば、県外避難者の方が帰省する折に、そういう説明会をやるというところは、ほとんどが初回申立てということになります。そうしますと、県外の避難の方などは、説明会をやればやるだけ初回申立てが出てくるのではないかと思われます。ただ、把握していらっしゃるのがNPOしかないので、1団体の把握量が極めて小規模です。各自治体も広報紙とかは出していただいていて、そこにADRセンターの名称とかは入ってはいるのですけれども、目になじんでしまっているので、余り手に取って読んでいただけないという状況になっているかということも、伺っております。




【樫見委員】  ありがとうございます。




【鎌田会長】  ほかにはいかがでしょうか。
 織委員、どうぞ。




【織委員】  やはりADRセンター、お伺いしてよろしいでしょうか。




【鎌田会長】  どうぞ、お掛けください。




【織委員】  済みません。
 鋭意努力なさっていること、敬意を表したいと思います。ありがとうございます。
 それで、最初の頃に比べて、かなり時間が掛かっていて、事象も多岐にわたっていて、11か月ぐらい掛かっているというようなお話を伺いました。
 東電の和解拒否の案件なんですけれども、60%ぐらいは内部、会社ということですが、そうはいっても、何件かは会社関係ではないけれども拒絶されている案件があるということですね。そうすると、今すごく時間が掛かっていて、個別具体的にADRセンターの方で、11か月ぐらいなり掛けて、ある程度、調整をしていたものが拒絶されている。そこの主な理由というのは何なんでしょうか。




【佐々木室長】  やはり事案が複雑になっていて、価値判断とか解釈に少し色合いが違ってきているものがあると。例えば、因果関係の有無に関しても、いろんな事情を総合して判断しなければいけないときに、見る人によって若干判断がずれてくるわけですよね。そういうところで隔たりが埋まらないとか、そういうものが個別の事案で拒否になっているというふうに考えていいかと思います。
 そこで、前回も申し上げましたが、損害賠償というものは、100%これしかないという答えには行き着きにくく、双方がある程度の合理性を持った主張ができるということが往々にしてあるので、そういう場合には、裁判とは違うADRの手続において、ADRの和解案を尊重していただくということが、この制度自体をうまく回し、そしてADRが被害者を迅速に救済することができるツールとなることができるということを考えております。そして、前回の審査会においても東京電力に和解案の尊重をお願いしたということにつながっております。




【織委員】  価値判断が違うというのは、当然分かるというか、ある程度違ってくるのはしようがないんだけど、ある程度長い年月を掛けている間に、そのすり合わせというのは、途中途中というのは難しいものなんでしょうか。




【佐々木室長】  自分で担当していないので何とも言えないのですけれども、実際に仲介の手続を主宰しているところでは、かなりお願いしたり、いろいろ議論をしたりしてすり合わせているように思っております。




【織委員】  ありがとうございます。




【鎌田会長】  この際、ほかにADRセンターに御質問がありましたら。どうぞ、中田委員。




【中田委員】  初回申立ての話なんですけれども、長い間たって初めて申立てをされるというのはなぜなのか、あるいは、これまでなぜなさらなかったのかについて、例えば、アンケートなりで調査されるということは、これまでなかったでしょうか。あるいは今後、御予定はないでしょうか。
 と申しますのは、これからどうやって申立てを増やしていくかについて、そこに鍵があるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。




【佐々木室長】  アンケートという調査ではないのですけれども、実際に仲介委員を補助しております調査官、あるいは内部の仲介委員の話をいろいろと聞いていると、類型的に3つか4つあるのだろうと思われます。
 1つ目が、これも前回審査会において申し上げておりますけれども、東電の直接請求で、最終的に、もうこれ以上無理ですよ、難しいですよと言われた方が、改めてこちらに来る類型。それからもう一つが、生活や事業がようやく落ちついたと、客観的にではなくて、その心の整理の問題が終わって、ようやく賠償に目が向けられるようになったという類型。もう一つは、先ほどのNPOのように、センターの名前は知っていたけれども、具体的に何をやっているかイメージが付かなかったところ、それを知ったので申し立てるという類型です。それから、本当に少ない、そんなに数はないのですけれども、身内の方が東京電力ないしは関連会社から退職されて、心置きなく請求できるという方が、ほんの若干いらっしゃると。大体この4つのパターンですので、なかなか、こちらでどうコントロールするというのは難しいかと思われます。




【鎌田会長】  ほかにADRセンターに対する御質問はよろしいですか。それでは、ありがとうございました。
 それ以外の東京電力に対する御質問も含めて、お願いいたします。はい、どうぞ。




【中田委員】  東京電力に御質問なんですけれども、ADRで和解が打ち切りになった後、訴訟を申し立てるケースというのは、どのぐらいの割合であるんでしょうか。




【内田室長】  東京電力でございます。
 ADRの後に訴訟を申し立てるケースというのは、具体的な数値は、今、把握していないんですけれども、一定数はあります。ただ、それは数としてはそんなに多くはないというふうに認識しております。




【鎌田会長】  よろしいですか。どうぞ。




【中田委員】  そうしますと、打ち切りになると、諦めてしまわれる方が多いということでしょうか。もし、そうだとすると、やはりADRをより尊重していただく必要があるんじゃないかと思うんですが。




【内田室長】  まず、その点につきまして、特に集団のADRについては、いろいろ、和解案の尊重ということも踏まえて検討した結果が、どうしてもお断りしているというケースがあるんですが、そういうケースにおいても、今、個々の申立人様の個々の御事情に応じての和解というのは積極的に進めていきたいということで、ダイレクトメールをお送りして、個別の申立てをしていただいて、それに基づいて和解をしているという実績は、かなり出てきております。




【鎌田会長】  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。




【樫見委員】  質問というのはあれなんですけれども、事故から9年たちまして、先ほど初回申立てがようやくできるような方も出てきていると。つまり、事故から9年もたつと、例えば、交通事故ですとか、普通の不法行為であれば、かなり被害者側、加害者側、時間の経過でだんだん慰謝されるということはあるかと思うのですが、今回の事件では、なかなかその点が、加害者側の方は、どうしても事故直後は、なるべく早く被害者を救わなければいけないというお気持ちになられたかと思うのですが、やはり9年もたってきても、被害者の方は、なかなか慰謝されない。かつ、時間がたち、だんだんだんだん指針に基づく大まかな賠償は行われて、あとはそんなにないのではないのかと思っても、まだまだどんどん被害者からの新たな損害という形で出てくるときに、東京電力の方におかれましては、個々の被害者に寄り添うという当初の気持ちといいますか、要望事項、公共団体からの方の要望にもございますけれども、被害者の方は、事故を受けたことだけではなくて、恐らく和解ですとか、東京電力さんとの交渉とか、そういうところで、第2次被害といいますか、心情的にかなりつらい思いをなさるということも十分考慮していただいて、和解に応じるかどうかは、これは個別の損害の賠償が、因果関係なり認められるかどうかの判断に係るかと思いますけれども、やはり交渉の過程における2次被害といいますか、そういったものはきちんと留意をしていただいて、誠実に対応していただきたいなと思います。要望でございます。




【鎌田会長】  ほかにはいかがでしょうか。はい、どうぞ。




【大塚会長代理】  東京電力さんに確認とお願いということで、質問ということでは必ずしもないんですけれども。
 先ほど地方公共団体の方から要望事項として出ていますが、商工業に関して、一括賠償後の個別対応が厳しいという地元の御意見もあるようですので、被害者に寄り添った対応をしていただきたいと思いますし、農林業については、今回、個別対応に入るわけですけれども、商工業以上に、多分、個別性がより強いという、高いということが考えられますので、これについても被害者に寄り添った対応をしていただきたいというのが1つ、第1のお願いでございます。
 それから、ADRに関しては、今、既にお話がありましたけれども、できるだけ和解案を尊重していただきたいということがございますし、時効に関しては、先ほど御説明いただきましたが、柔軟な対応ということですけれども、基本的には援用しないということだと思いますけれども、特に2014年4月までは、請求をされたときの支払いの体制が整っておられなかったので、時効はそもそも走らないというふうにお考えだと思いますけれども、その点は更に確認をさせていただきたいところでございます。
 以上でございます。




【織委員】  よろしいでしょうか。




【鎌田会長】  関連で。




【織委員】  追加、関連でよろしいでしょうか。多分、一遍に答えられた方がいいと思うので、済みません。
 私も要望なんですけれども、地方公共団体の主な要望のところで、必ず東京電力さんに対して、個別具体的な事情をもっと考慮して、被害者に寄り添ったということが、今までもずっと出てきているんですね。ここの審議会でも毎回お願いをしているところです。東電さんは、そのたびに、誠意をもって対応してくださるというお答えを、ここでは頂いているんですけれども、それにもかかわらず毎回出てくるということは、やはり何かもっとドラスティックというわけではないですけど、今までとは違う対応をしなければ、今までの不信感を払拭できないものが、もうこの9年の間に積もり積もっていると思うんですね。ですので、やはり東電さんの方も、何をもってして、この個別具体的な対応がなされていないというふうに住民の方が思っていらっしゃるのか、あるいは何をもって寄り添っていないというふうに思われているのかというところを是非調査していただいて、そういったものに対して、具体的にこういう対応をしましたというようなことを持ってきていただかない限り、この問答はずっと続いていくような気がするんです。
 ですから、もう今度10年に掛かるところで、今までと同じように寄り添ってください、お願いします、分かりましたというだけではなく、一歩前進した具体的な方策の答えを持ってきていただきたいなというふうに思います。




【内田室長】  幾つか御要望、御指摘を頂きまして、まず、全般的に寄り添う対応というところ、最初、樫見委員からもございました。確かに我々の説明不足やら、あるいは言動によって、被災者様が傷つかれるということもございますので、その点は重々心して徹底をしていきたいというふうに思っております。
 それから、大塚会長代理からございました商工の個別対応、一括賠償後の個別対応、それから農林業についても、今後、個別対応が始まるというところ。商工につきましては、今まで少し説明が不足しているようなところもございまして、説明ぶりの充実ですとか、あるいはそういったところをきちんとやっていくとともに、本当に最大限、個別事情を考慮して、お支払いできるものについてはお支払いしていくと、こういったことを更に進めていきたいというふうに考えております。
 農林業につきましては、一括賠償で3年分お支払いしたものが、一応、今年からそれが4年目に入ってまいりますので、今、農林業の関係者の団体、あるいは関係者様と、実際に現状の実態をいろいろお聞かせいただいて、どういう場合に再開ができないケースなのかとか、そういったところを詰めさせていただいているところでございます。そちらにつきましても、しっかりと個別事情をお伺いした上で、判断基準を作っていきたいというふうに考えております。
 それから、ADRの尊重につきましては、本当に毎回、御指摘を受けているところでございますけれども、本当に極力、個別のケースについては和解できるように、今、最大限、柔軟な対応ということで心掛けているところでございます。
 そうした中でも、ごく一部につきまして、ちょっと和解に至らないというケースがあるということも事実でございますので、その辺につきましても、極力、ADRセンターさんの進行にも御協力いただいて、歩み寄りのできるような対応をとっていきたいというふうに思っているところでございます。
 それから、地方公共団体様からの要望が毎回出ているということで、その辺に対する御指摘でございますが、これ、弊社にも、いろいろ御要望にお見えになられて、その件はよく内容を確認をさせていただいているところでございます。それで、私ども、やはりいろいろ証憑がなかなかそろわないで、地方公共団体様も担当者の数が少なくて、なかなか証憑をそろえられないとかというケースが多うございますけれども、そういった際、なるべくこちらで証憑作成の御支援をさせていただくとか、そういった形で、なるべくお支払いできるものはお支払いにつなげていくということを心掛けております。
 あと、どうしても地方公共団体様の御要望の中では、一部、損害賠償の観点から、お支払いが難しいというものも、継続して御要望されているというところはございます。これはお互いの認識というか、意識の、認識のやっぱりギャップが埋まらないところがどうしてもございます。そういった点については、本当にもう少しコミュニケーションをちゃんと密にして、お支払いできないところについての御説明を尽くしていく必要があるかなというふうにも考えておりますし、また、お支払いできない項目についても、こういう条件であればという、そういうところについても、より深掘りして、コミュニケーションをとっていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
 以上でございます。




【鎌田会長】  ほかにいかがでしょうか。時効についての会長代理からの質問、意見。




【大塚会長代理】  2014年4月までは支払いの体制が整っていなかったので、そこまで時効を援用しないことは多分確実だと思うんですけど、そこを確認させて頂きたかったんです。




【内田室長】  すいません。原則として援用しないということを申し上げているつもりなんですが、起算点ということで申しますと、順次、指針等の策定に伴いまして、その後順次、各請求項目に対しての御請求の受付を御案内して受付を開始しておりますので、基本的には、そこが起算点だというふうには考えております。そういう意味でいくと、2014年ということでも必ずしもなくて、最初の中間指針ができて以降、順次、御請求の受付を開始しているという状況から、そういうような考え方をしておりますが、もう大原則として、時効を理由に御請求をお断りすることはないということを考えておりますので、その点はよろしくお願いしたいと思います。




【大塚会長代理】  ありがとうございます。




【鎌田会長】  それでは、中島委員、お願いします。




【中島委員】  復興庁の方に質問なんですけれども。




【鎌田会長】  はい、どうぞ。




【中島委員】  避難指示で避難している人は、住民票を元の住所に置いたまま避難先に行っておられる方が多く、その場合、住民税は免除されています。しかし、避難指示区域が解除されて、常磐線も通るようになると、戻ってくる人がいるんですけれども、その場合、戻ってきてすぐに住民税が復活するのか、特に年金生活者の住民税は、何らかの考慮がなされているのかどうか、あたりをお伺いしたいと思います。




【生方参事官補佐】  失礼いたします。復興庁参事官補佐の生方と申します。
 お尋ねいただいて件なんですけれども、本日、担当の方が不在でございまして、持ち帰らせていただいて、改めて御回答させていただければと思います。




【鎌田会長】  ほかにはよろしいですか。はい、どうぞ。




【明石委員】  今の復興・創生期間についてなんですけれども、この地震・津波被災地域と原子力被災地域を2つに分けて、片方は5年をめどに、もう一つ10年というふうに書いてあるんですけれども、津波・地震の被災地域でも、一番下に原子力災害に起因する事業といって、やはり風評対策とか、多分、漁業等も含めた共通な項目があるような気がするんですが、ここはやはり地域と分けているのは、原子力というか、多分、北の方か南の方と、真ん中というか、原子力発電所がある地域と分けているという理解でいいのか、それとも事業が2つに分けてしまっているのか、その辺をお聞かせ願えたらと思うんですが。




【生方参事官補佐】  失礼させていただきます。
 私も本件の直接の担当ではないんですけれども、やはり原子力災害被災地域以外、地震・津波被災地域と言われている部分でも、原子力災害に起因するような被害があるということでございますので、そうしたことについても、しっかりと事業としてはケアをしていくということかと考えてございます。




【明石委員】  ということは、左側の地震・津波被災地域というところに書いてある部分でも、原子力に関係する部分については原子力災害被災地域と同じようにやっていくということ、大体そういう考えでよろしいんでしょうか。




【生方参事官補佐】  基本的な考え方としては、そういった形になるかと思います。
 その辺も持ち帰らせていただいて、もし補足がございましたら、改めてお知らせをさせていただきたいと思います。




【鎌田会長】  5年か10年かというので随分違うんで、そこのところ、また機会を見て、補足の説明を頂ければと思います。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、恐縮ですけれども、次の議題8、損害賠償請求権に係る広報活動について、事務局より御説明を頂きます。




【井出原子力損害賠償対策室次長】  それでは、事務局の方から御説明いたします。資料は8番目になります。全体のページでは79ページ目になります。
 こちらは、東電福島原発事故に関する消滅時効への対応ということでございまして、広報・相談活動を強化していくということについて、御説明をいたします。
 まず、この目的でございますけれど、被害者の方々に対して、時効について分かりやすく御説明しながら、賠償請求を促していくこと、また、無料の弁護士相談ですとかADRセンターへの申立てを促すことによって、未請求者の減少を目指していくということを目指しております。
 広報・相談についての基本的な考え方でございますけれど、東電任せにせず、国や関係機関も適切な役割分担の下、一体となって、効果的に広報・相談を行います。また、広報・相談に当たっては、福島県や被災市町村と連携します。そして、内容につきまして、文科省から基本となる案を示しまして、一定の統一感をもって実施するということにしております。
 今の役割分担、政府関係機関の役割分担でございますけれど、国、文科省はリーフレットを作成いたしまして、こちらを配布、説明いたします。これは後ほど御説明いたします。
 また、今、調整中でございますけれど、政府広報も活用しようというふうに考えております。
 原子力損害賠償紛争解決センター、ADRセンターでございますけれど、別のリーフレットを、今作成しておりまして、こちらの配布、説明をしたいというふうに考えております。 また、各団体主催の説明会等への調査官の派遣をするということでございます。
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構、NDFでございますけれど、こちらと、あと法テラスですが、無料法律相談会の開催などを考えております。
 法テラスにつきましては、訴訟時の裁判提出資料の作成費用の立替えなどもいたします。
 東京電力につきましては、未請求者の戸別訪問をするということでございます。
 次のページに行っていただきまして、活動状況でございますけれど、政府関係機関による関係連絡会議を今まで開催しておりまして、政府関係機関の役割分担を確認するとともに、文科省の方から、次のページにございます広報の方針ということで、リーフレットの作成をいたしております。
 このリーフレットの内容でございますけれど、ポイントといたしましては、先ほど申しましたように、損害賠償請求権に関する時効について、論点である起算点等を可能な限り簡潔に分かりやすく記載し、被害者に対し正しい情報を伝えながら、被害者の賠償請求を促すということにしております。また、NDF、法テラスによる無料弁護士相談やADRセンターへの申立てを被害者へ促すことによりまして、未請求者の減少を目指すということにしております。
 今後でございますけれど、今日審査会の委員の方々から頂く御意見を踏まえまして、早急に資料を確定して、説明を開始したいというふうに考えております。
 また、各機関につきましても、役割分担に応じた対応を依頼していくということにしております。
 広報・相談に当たりましては、福島県と地元の被災市町村と連携していくということでございます。
 それでは、その次にございます別紙でございますけれど、こちらが文科省作成のリーフレットとなっております。こちら、簡単に御説明させていただきます。
 まず、被害者の皆様に呼び掛けて、原子力損害の賠償請求はお済みですかということを伺う形になっております。次に、21年3月で事故から10年となります、時間が経てば経つほど損害を証明する証拠書類が集めづらくなります、また、原子力損害の賠償請求の時効は、「損害及び加害者を知った時から10年」と記載しております。こちらの詳細につきましては、裏面で説明をする形になっております。
 これを機会に、賠償請求に関する内容・請求漏れの御確認をお勧めいたしますということで、そこに東京電力と廃炉機構の連絡先を載せて、こちらに連絡していただくような形になっております。
 それでは、次のページを御覧いただきたいと思います。
 こちらは時効について説明をした部分でございまして、まず1ポツ目は起算点でございますけれど、時効期間が経過するのは、10年の2021年3月とは限りません、時効特例法によりまして、損害、加害者を知った時から10年でございますので、一律に全ての賠償請求権が時効を迎えるわけではありませんと記載しております。
 また、2つ目といたしまして、こちら完成猶予につきまして書いてございますけれど、請求手続中に時効で請求できなくなるということはありません。訴訟手続中、あるいはADRセンターにおける手続中につきましては、手続が時効によって打ち切られることがないということが法律で規定されておりますし、東京電力への直接請求手続中については、時効を理由に賠償請求を断らないということを東京電力の方で明言しているということでございます。
 3つ目の時効の援用でございますけれど、こちらは東京電力が時効であることを主張しない限り時効は成立しないということでございまして、こちらは東京電力がプレスリリースで述べております、被害を受けられた方々が時効によって適切な賠償を受けられなくなるということは絶対にあってはならない、また時効によって不利益を受けられないよう、真摯に対応しますということを載せております。
 こういった3つのポイントによりまして、事故後10年が経過したからといって、賠償請求ができなくなるとは限りません。ただ一方で、時間が経てば経つほど、損害を証明する証拠書類が集めづらくなりますとか、非常にそのあたりやりにくくなりますので、この機会に、是非、請求漏れがないか、御確認をお勧めしますという書きぶりになっておりまして、この下に賠償支援機構と法テラスの方で、弁護士による相談を行っておりますので、こちらを御案内する形になっております。
 続きまして、その次のページ、別紙でございますけれど、こちらがADRセンターの広報資料ということでございまして、是非、申立ても御検討くださいという形になっております。東京電力から示された金額では納得できないですとか、賠償されないとお困りの方に、ADRセンターが無料で仲介いたしますということで、仲介委員が中立・公正な立場から和解仲介を担当いたしますし、手続は簡便で費用は無料です。中間指針に明記されなかったものも、きちんと個別の事情に応じて和解案を提示しますということで、その下に、実績として、8割以上和解が成立していますということと、またADRに申し立てると完成猶予がございまして、和解が成立しなくて打切りになった場合でも、1か月以内に裁判所に訴えを提起すれば時効にかかりませんということが書いてございます。
 下にADRセンターの電話番号が書いてございます。
 御説明は以上でございます。




【鎌田会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見ございましたら、お出しください。説明がありましたように、この場での御意見等を反映して、よりよいものにしたいという御意向ですので、是非積極的に質問だけじゃなくて、意見をお出しいただければと思います。




【明石委員】  このパンフレットというか、皆さんにお知らせする媒体なんですけれども、きょう、委員のいらっしゃる先生の中でも、私だけ法曹と関係、法律に関係ない人間なんですけど、そうすると、やはりこういうのを読んでいると、非常に敷居が高く見えるんですね。弁護士さんがちゃんと当たってくれますといっても、我々、普通のそういう人間じゃない人間にとっては、弁護士にお目に掛かるって、多分、一生にない人がほとんどなので、書いてある内容は分かるんですけれども、初回申立ての人がまだあるというくらいだと、やはり敷居が低い、もうちょっとそういう書き方というんですか、それからデザインとかも含めて、そういうふうにしてあげないと、やはりなかなか。私が当事者だったら、やはりちょっと構えちゃうところもゼロではないので、そういう、視線を入れていただけるといいのかなというふうに感じました。
 特に後半の方を読んでいくと、やはり基準、難しいですね。ガイドラインの概要の、この文言をとってみても、やはり我々になじめない。これ、どういう意味なんだろうというところが結構あるような気がするので、そういうところが分かるような、ちょっと工夫をしていただけるといいのかなと思います。お願いです。




【鎌田会長】  織委員、どうぞ。




【織委員】  併せて、ついででよろしいですか。
 私も先生と同じ意見です。やっぱりもうちょっとイラストを入れたりとか、分かりやすくしてもらう。
 更に分からないのが、これは時効にかかる前に、みんなで掘り起こしをしてもらって、出してくださいねというお願いですよね。だけど、裏面を見ると、1、2、3と、バンと、限りません、請求できなくなるということはありません、時効は成立しませんというふうになっているんで、それで、その下で、一方で、時間がたてばたつほどというふうになって、それは逆じゃないですか。普通に考えて、時間がたてばたつほどなくなっちゃうけど、でも、なくなるわけじゃないですよ。おまけみたいな感じで、安心してくださいねという形で、これを見ると、私だったら裏を見て、じゃあ、成立しないんだというふうに思ってしまうような気がするんですよね、逆に。これはむしろ、このままでは証拠がなくなってしまって、時間がたっていくほど請求しにくくなっちゃうから、もう一回見直してくださいということを強くアピールするんだったら、やっぱりそこを、裏面でも全面で、ここはあくまでも1、2、3は例外ですという位置付けをしないと、かえって誤解を。これを見て安心してしまう人も、場合によってはいるかもしれないなというふうに思いました。




【鎌田会長】  そこはちょっと難しいところなのと、1つは、時効に対する心配が非常に強く、時効特例法をもう一度作れというふうな御要望もあるんで、時効については心配しなくてもいいようにしていますということを一方で言わなきゃいけない。それから、先ほど明石委員からもありました、その前の御説明なんですけど、初回申立てがまだあるということからいくと、損害賠償をちゃんとできるんですよということが最初に来るのかもしれないですね。こういうものも損害賠償として請求できる。こんな仕組みでいける。これを放っておくと、権利はあっても具体的に行使しにくくなりますが、その中の1つに時効もある。多分、そういうことなのかもしれないんで、いろいろと工夫されたものに、また注文をつけるのも御迷惑かもしれませんけれども、そういう意味では、ちょっと時効のことに気が回り過ぎて、非常にプロ好みの話だけが前面に出過ぎているかなという感じはしなくもないんで、工夫をお願いしたいと思います。
 富田委員、どうぞ。




【富田委員】  この会でも、既に室長の方からお話があったかと思うんですが、今、初回申立てがこれだけあるのに、掘り起こしというか、申立てが必ずしも増加しない原因として、一般的に、もう東電が拒否して、和解なんかできないんだという認識が現地で広がっているという話があります。特に商工会議所なんか行って説明しても、まだ和解ができるんですかという話になるようですので、ここをもう少しきちんと説明する必要があると思います。
 つまり和解の成立率自体は、今でも、7割近く、10年間では8割成立するということです。集団では成立しなかったものも、個別に申し立てられたものでは結構成立しています。そういう点をどう認識してもらうか。従来の認識をどう変えていくかを考える必要があるように思います。従来のパンフレット方式では、なかなか読んでもらえない、認識を変えられないというところが感じられます。
 もう一つは、現地へ行ってみると、市町村によって大分重点を置く方向性が違うというのがあります。一方では、双葉町のように、まだ誰も帰れないようなところがあって、損害が顕在化して、それがずっと続いているというところもあれば、全体として復興に向かっていて、明るい未来の方を見たいという市町村もあるという落差もあるように感じました。だから、もう少し、例えば、商工業者の関係については、商工会議所などと一緒に、あるいは農業組合や漁業組合みたいなところで、もうちょっと本気で広報しないといけない部分もあるのかなというふうには思っています。センターの方も、そこはいろいろ考えてはいるんですが、もう少し何か工夫しないと、今までのやり方ではなかなか申立てが増加しないというところがありますので、もう一歩踏み込んだ広報というものを、もうちょっと考えていく必要があるんじゃないかなと考えております。
 特に和解センター、ADRでも、和解はだめなんじゃないかと思っているというところは、何とか認識を変えてもらう必要があります。新聞で集団で拒否された事案だけが非常にクローズアップされて報道されるというのが、すごく影響していると思うんですけれども、そこはもう少し、是非工夫していかなきゃならないなというふうに思っているところです。




【井出原子力損害賠償対策室次長】  御意見ありがとうございました。強調する部分を少し考えさせていただいて、また、少し皆さんに受け入れられやすいように、イラスト等、いろんな工夫を少しさせていただきたいと思います。
 また、富田先生からもお話ございましたけど、広報のやり方もいろいろ工夫があるのではないかという話でございましたけれど、我々も、これができましたら、市町村と少し話し合いながら、どんな形で、それぞれで広報ができるのかといったことも、少し、方向性を合わせながらやっていきたいとも考えておりますので、また、そんな方向でやっていきたいと思います。




【鎌田会長】  ほかにはよろしいですか。
 ありがとうございました。それでは、またお気付きの点がございましたら、事務局にお申し出いただいて、できるだけいいものにしていければというふうに考えております。
 次に、議題の9番、原子力損害の賠償に関する法律の改正に伴う政省令の改正・ガイドラインの制定について、事務局から御説明いただきます。




【林原子力損害賠償対策室室長代理】  それでは、この政省令の改正を担当していました、私の方から御説明をいたします。
 この政省令につきましては、一昨年、原賠法の改正法の施行をするために整備をしたということでございまして、原賠法の改正につきましては、4つポイントがございました。1つ目は、損害賠償実施方針の作成・公表、2つ目が、仮払制度の創設、3つ目が和解・仲介手続の利用における時効中断の特例と、あとは適用期限の延長と、4つあったわけでございますけれども、今回、その先の2つの事項について施行するために政省令を整備したということになってございます。
 資料9で簡単に御説明いたします。
 最初の1ポツでございますけれども、1ポツにつきましては、損害賠償実施方針の作成・公表の義務付け、これは法律改正によって義務付けたわけなので、細かい点を省令及び、それを補足するためのガイドラインというものを作ってやってございます。
 省令につきましては、まず記載しなければいけない事項ということで、例を何個か書いてございますけれども、基本的な事業者の氏名、名称等々から始まって、損害賠償措置額と。あとは、その後に続きますけれども、実際に万が一事故が起きたときの賠償に係る事務の実施方法、あるいはそれを適切に実施するための方策、あるいは紛争審査会で和解の仲介が行われた場合の紛争の解決を図るための方策であるとか、指針が示された場合の方策、そういったものを書いてくださいというようなことを省令で定めています。
 また、作成・変更及び公表に関し必要な手続としましては、実施方針につきましてはインターネット、その他の適切な方法により公表すること、また所在地の地方自治体に対して説明するように努めること、こういったものを省令で定めております。
 省令だけですと、こういった、ある種、ちょっと簡素な書き方になるものですから、少し具体的なところをガイドラインという形で我々作成して、公表しております。
 この下に書いてあるのが、これは簡単な概要でございますけれども、賠償に当たって、被害の申出の受付から賠償金の支払いに至るまで、基本的な事務の実施方法、こういうものを明らかにすると。特に被害者救済の観点から、賠償に係る事務の実施に当たっての基本的な考え方、例えば、被害者の救済と安心の確保を最優先に対応するであるとか、合理的かつ柔軟な対応を心掛ける等をはじめ、賠償の迅速かつ適切な実施を図るための対応の方針について記載するというような点。
 あとは、紛争解決を図るための方策という観点で、和解案が提示された場合、それを尊重する等の対応方針であるとか、損害賠償紛争審査会、指針、策定された場合に、迅速な賠償をするための方針等を記載することが考えられるというようなことをガイドラインに定めているところでございます。
 2ポツ目が、これは主に政令事項になりますけれども、仮払制度の創設に関する諸条件の整備でございます。
 まず、政府の貸付けの条件というものにつきましては、最大額が損害賠償措置額の金額、これは一般的な軽水炉の発電所であると1,200億円になるわけですけれども、賠償措置額の上限まで可能と。あと償還期間を3年ということで、原則一括償還といったようなことを定めているとともに、支払基準ということで書いております。これは福島での仮払の実績等も踏まえて、個人に対しては、1人当たり50万円ということ、あと中小事業者等につきましては、遺失利益に相当する金額の2分の1又は250万円のいずれか低い金額というようなことで、支払うことができる最大額も定めておるところでございます。
 その他、技術的になりますけれども、仮払につきましては、文部科学大臣の権限に係る部分を原子力損害賠償・廃炉等支援機構に委任できる部分がございます。そうした部分についての所要の規定、こういったものを技術的に整理しているということでございます。
 以上でございます。




【鎌田会長】  それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見を頂戴いたします。




【大塚会長代理】  和解案の尊重に関しては、今、御説明いただいたガイドラインのところに出ているわけでございますが、これに基づきまして、各原子力事業者が対応方針の中で入れ込んでいただくということが大事になってまいりますので、各電力会社さんには、そのようなことを、是非お願いしたいということを申し上げておきたいと思います。
 以上です。




【鎌田会長】  ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 事務局から、はい、どうぞ。




【井出原子力損害賠償対策室次長】  最後にちょっと復興庁の方から、今の議論、もし他に特別なければ、先ほどの件について、少しだけ御説明したいとのことです。




【鎌田会長】  分かりました。よろしくお願いします。




【生方参事官補佐】  復興庁でございます。たびたび失礼いたします。
 先ほどの明石委員からの御質問に関連いたしまして、地震・津波被災地域での原子力災害に起因する事業でございますけれども、お配りの資料2-2、基本方針の23ページ、通し番号ですと36ページになります。
 こちらの方の中ほど、⑦番に、原子力災害に起因する事業ということで、記載の方、させていただいてございます。
 こちらの方で、風評被害対策等について支援を継続すると、個別の事業については、原子力災害被災地域の関連部分で記載という形で整理をしてございまして、地震・津波被災地域の原子力災害起因事業は原子力災害被災地域の事業と同一のものとして対応させていただくということでございますので、そのように御理解いただければと思います。




【鎌田会長】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 ほかに補足的な御意見、御質問等ございましたら、お出しください。よろしいですか。
 よろしいようでしたら、本日の議事を、これで終了とさせていただきます。長時間、熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。
 今後とも、審査会といたしましては、必要に応じて会を開催するとともに、適宜、賠償の状況を確認していきたいというふうに考えているところでございますので、よろしく御協力のほど、お願いいたします。
 最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。




【井出原子力損害賠償対策室次長】  それでは、次回の開催につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。
 また、議事録は事務局でたたき台を作成いたしまして、委員の皆様及び、本日、御発言を 頂いた皆様に確認の上、御了承いただいたものを、次回開催までにホームページへ掲載させていただきます。
 以上でございます。




【鎌田会長】  ありがとうございました。
 それでは、これにて閉会とさせていただきます。長時間、熱心に御議論いただきまして、まことにありがとうございました。




―― 了 ――
 

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