資料3-4 罰則規定の見直しについて(案)

1.これまでの経緯

  「原子力損害の賠償に関する法律」(以下「原賠法」という。)第24条及び第25条においては原子力事業者又はその職員に対する罰則規定が置かれ、また、第26条には法人に対する両罰規定が置かれている。これまで、その量刑については、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(以下「原子炉等規制法」という。)とのバランスを考慮して改定されてきた。

原賠法第24条

  原子力事業者又はその職員が、損害賠償措置を講じることなく原子炉の運転等を行った場合における罰則

原賠法第25条

  原子力事業者又はその職員が、行政庁からの報告徴収に違反した場合や立入検査を妨害した場合における罰則

原賠法第26条

  原賠法第24条・第25条に係る従業者(法人の代表者又は法人若しくは人の代理人・使用人その他の従業者)の違反行為があった場合に、自然人である行為者を罰するほかに、原子炉等規制法上の許可を受けて原子炉の運転等を行う事業主としての原子力事業者(法人又は人)も罰することとする両罰規定。
(現行法では、原賠法第24条・第25条の罰金額と同等としている。)

原賠法 対応する原子炉等規制法の罰則規定(平成14年改正)
罰則の対象 現行の罰則(平成元年改正)
<第24条関連>
  • 原子力損害賠償措置を講じないで原子炉の運転等を行った者
1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金 1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金(さらに、原子力事業者に対しては法人重課1億円(注))
<第25条関連>
  • 行政庁の報告徴収に対して報告を行わない者又は虚偽報告を行った者
  • 行政庁の立ち入り検査を忌避した者など
20万円以下の罰金 100万円以下の罰金(さらに、原子力事業者に対しては法人重課1億円(注))

  (注)原子力発電所の自主点検記録等の不正に係わる事案を受けた、原子炉等規制法の改正(平成14年)により、組織的な不正を抑制するため、法人重課制度が導入。ただし、試験研究等設置者・核燃料物質使用者については、業としての施設運転による経済的利益を得ることを想定しないため、法人重課の非対象とされた。

2.対応方針(罰則規定は法務省と要調整)

  罰則規定の見直しにおいては、これまでとおり、違反行為を行った者に対する罰則の水準について、最近の原子炉等規制法の改正を踏まえ、バランスをとってその水準を引き上げることが適当と考える
  なお、両罰規定の罰則においては、原子力損害賠償制度においては、組織的な違反行為の可能性が非常に低いことなどを考慮し、法人重課制度は導入しないことが適当と考える。

原子力損害の賠償に関する法律(抄)

(損害賠償措置を講ずべき義務)

  • 第六条 原子力事業者は、原子力損害を賠償するための措置(以下「損害賠償措置」という。)を講じていなければ、原子炉の運転等をしてはならない。

(報告徴収及び立入検査)

  • 第二十一条 文部科学大臣は、第六条の規定の実施を確保するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し必要な報告を求め、又はその職員に、原子力事業者の事務所若しくは工場若しくは事業所若しくは原子力船に立ち入り、その者の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
    • 2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
    • 3  第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
  • 第二十四条  第六条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
  • 第二十五条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
    • 一 第二十一条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
    • 二 第二十一条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
  • 第二十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人その他の従業者が、その法人又は人の事業に関して前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

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研究開発局原子力計画課