原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会(第6回) 議事録

1.日時

平成20年10月17日(金) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館13F1会議室(文部科学省13階)

3.議題

  1. 原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会第1次報告書案について
  2. その他

4.議事録

【野村座長】
  それではただいまから第6回の原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会を開催いたします。まずは配付資料の確認をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】
  議事次第を見てもらいますと、きょうは今までの議論の取りまとめとして第1次の報告書の案ということで、資料6-1とそれの参考資料という資料でございます。あと、席上だけですが、前回の議事録を配ってございますので、前回の議事録につきましてはまたお読みいただいてコメント等ありましたら、来週中によろしくお願いします。以上でございます。

【野村座長】 
  それでは、早速、議題に入りますが、今回は報告書案の内容についてご審議いただくことになっております。報告書案では、これまでに実施した5回の検討会での議論をもとに整理しておりますので、内容についてご確認いただくとともに、ご意見がありましたらお願いしたいと思います。それでは、事務局のご説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】 
  まず目次のところを見てもらいますと、1章から3章までの3章立てで、まず第1章が、こういう検討を始めた背景説明でございます。そこは国内的にはJCOの話とか、あと国際的な動向などを踏まえて、こういう検討をするに当たってのバックグラウンドを書いているということです。第2章が、こういう1次レポートのメーンのポイントでございますが、次期通常国会を目指しての法律改正事項、あわせて政令改正事項も含めてなのですが、そういう法令を改正する必要があるような制度ものについて第2章でまとめる。これについては1次レポートがファイナルの案だということでございます。第3章が引き続き検討を行う事項ということで、今後専門のワーキンググループを2つつくりまして、1つは運用ガイドライン、原賠制度の運用指針みたいなものをきちんとつくろうというのが1つ。あと、国際条約への対応などをどう考えていくかということが1つ。この2つについては引き続き検討を行う事項というような3章立てということでまとめているわけでございます。
  とりあえず1章ごとに区切って説明した上でご議論いただければと思います。まず第1章でございますが、2ページ目からでございます。今までの議論の集約ですから、少し省略して説明をしたいと思います。
 まず、賠償制度を巡る情勢ということでございますが、ご案内のとおり前回の改正から9年経過したということで、その中で国内的には平成11年9月30日にJCO事故が発生して、それがこれまで唯一の賠償事例となったということです。こういう今回の検討にあわせて当時の経緯全体を振り返って、その教訓を生かしていくということで、法令改正事項は法令改正事項とするし、細かな事項は全部マニュアルとして取りまとめたいということでございます。
  また、国際情勢としては平成16年に欧州先進国が入ってございますパリ条約というものが改正されたということで、責任限度額なども引き上げが行われたというような状況があるり、法令改正の検討に当たってそういうことを考える必要がある。また、「原子力ルネッサンス」と言われるような動きがあるということで、原子力発電を導入しようとするような新しい国が出てきているとか、あと中国やインドのように増やしていきたいという国が出てきているということとか、あと我が国の産業界と非常に協力関係にあるアメリカがCSCをこの5月に批准したというようなことがある。そういうことも今後考えていく課題だということでございます。
  まず1.でJCO事故に係る当時のことをまとめております。どういうことがあったかということで、3ページ目(2)のところですが、復習のために言いますと、当時はJCOの事故でも実際、賠償請求というのは8,000件以上もあって、取り下げもあったのですが、結果的には7,000件ぐらいを対象に150億ぐらいの賠償金を支払っているということです。それで、当時はこの制度による保険としては10億円ということなので、その足らなかった分については親会社の住友金属鉱山の資金的な支援が行われたというようなことでございます。
  当時、この10億円というのはすぐに、5%以上の濃縮ウランを使う施設については、10億円から120億円にとりあえず引上げる政令改正措置が緊急避難としてとられてございます。当時の状況を言うと、結果的には国とか東海村、県レベルのいろいろなサポートもあって、当事者間ではなかなか難しいところがあったのですが、平成11年の12月末までに2分の1を仮払いするとかということで、ある程度動きが出てきて、それを受けて年度明けから正式な和解交渉をやって、半年ぐらいの間でほとんど6,000件ぐらいの和解が成立したということです。結果的には紛争審査会まで来たのが2件で、裁判まで行ったのが11件だったというようなことです。
  当時の状況を振り返ると、こういう多数の賠償請求が出るのだけれども、それぞれ当事者間の和解というのをいかに上手にやるかというのが重要で、それは当事者間に任せておくだけでは十分ではなかったということです。要は、極端なことを言えば、最後の裁判なり紛争審査会に1,000件も来たら、またそれはそれでなかなか回らなくなるということですから、やっぱりいろいろなところが協力しながら当事者間の和解というものが上手に進むような仕組みを考えていかなければならない。そこがおそらく最大の教訓であろうと思います。
  当時のJCOとか東海村、県レベル、国レベル、保険プールの対応についてはそこに書いているとおりでございまして、どう反映するかというのをある程度サマライズしたのが5ページの四角で囲った少し太いところでございます。まず1つは、事業者の資力が不足したことなども踏まえると、それとか国際的にパリ条約などが増やしてきているということもあるので、今後とも国民の理解を得ながら原子力利用をちゃんと進めるためには、安心代ということですから、損害賠償措置の充実・強化が必要であろうということです。そういうことについては、後ほどでございますが、今の賠償措置額の600億円を1,200億円に上げつことにつながっていくということです。
  また、2つ目のポイントとしましては、当時のことを考えますと、まず何か有事の際のその初期段階において、全体を見てどの程度賠償が必要になるかとか、どのような被害が中心になるか等の全体状況をマクロにとらえながら調査していくというような機能も重要であるということです。この一部については紛争審査会の調査機能を充実させるほか、詳細なところはガイドラインとかいうことでフォローするということです。
 その次のポイントが、当時は現場の大混乱とか、どうしても当事者というのは被害者と加害者という心理状態になりますから、そういう中で当事者間が冷静に交渉を開始するとか、あと多数案件が出てくるわけですから、そういうやつを類似案件ごとにまとめて上手に解決に結びつけていくとか、あと公平性の確保。お隣さんは50万だけれども、私は10万というわけにいかない。そのためにはまず早期の段階で、そういう賠償の範囲であるとか賠償の考え方、これは当時で言うと下山顧問が座長をした研究会的な機能ですが、そういうことが中立的、専門的な立場から提供されることが非常に重要であるということでございます。これにつきましては法律改正によって、そのような機能を紛争審査会の機能としてきちんと制度化し、細かいところはガイドラインで書くということです。
 また次のポイントは、政府と事業者が結ぶ補償契約につきましては、今まで補償金を支払った事例ももちろんないですし、そういう専門家を常時国で抱えるのは現実的ではないものですから、そういうときに備えて保険会社の機能が使えるようにすることも考えたらどうかということでございます。これにつきましても後ほど出てきますが、法律改正によって、そういう場合には保険会社への一部事務委託ができるような制度にしたいと思っています。
 あと、次のポイントは一般論でございますけれども、そういう損害賠償というのは当事者間がやることは原則であるものの、いろいろ国とか地方公共団体が上手に手伝いながら場所を提供するとか、陪席するとか、そういう機能をちゃんと果たしていくということで、JCOの経験を踏まえながら、上手にガイドラインをつくっていきたいと思っています。また、和解の仲介をやる紛争審査会などもどのようにして立ち上げるか、多数来たときにどう対応するかとか、そういうこともあらかじめまとめられるものをガイドラインにまとめたいということでございます。また、もろもろの手続、いろいろな様式などもガイドラインでまとめておいたらいいのではないかというようなことでございます。こういうことを反省にして具体的なものを今後やっていくということでございます。
  2つ目のポイントは、そういう国際動向です。国際条約にはパリ条約、ウィーン条約、CSCの3系統があって、7ページ、8ページにいつも説明している概要が書いております。
 そういう中で、特に8ページの(2)ですが、今回の検討で考慮すべき国際動向ということでは、繰り返しになりますけれども、平成16年にパリ条約が改正されて賠償措置額が7億ユーロに引き上げられたということ。それを受けて今、欧州の先進国各国は、国内取り入れに向けて作業を進めているということです。こういうことも参考にしながら日本国内の賠償措置額を考えるということでございます。
 また、次のポイントは、そういう国際枠組みと我が国の関係に関する今後の考え方ということなのですが、既に申しましたように原子力ルネッサンスというような状況があって、アジア周辺諸国においても新たに原子力を導入・拡大するような状況が見込まれているとか、あと原子力産業はかなり再編連携が加速してきて、それぞれ日本の企業とアメリカの企業とか、欧州のアレバもそうなのですが、そういう連携などが進んできているというようなことです。そのような中で米国が、繰り返しになりますけれども、今年5月にCSCを批准するような状況になっているということです。
 我が国としては、従来から原子力先進国として恥ずかしくない水準の国内的な原子力賠償制度というものをちゃんと有していることとか、欧州とかと違って日本は島国で隣国と相互に陸続きでなく、欧州が考えるほど、そういう越境損害に対応しなければならないというようなことではないということから、現時点では直ちにそういう国際的な枠組みに参加しなければならない状況にはないということではあるものの、しかしながら、やっぱり今後の課題として具体的な検討を行っていくことにも意味があるということで、今後ワーキンググループを設置して、いろいろな課題についての論点整理を行って、おそらく文科省だけではなくて経産省とか、外務省とかも入ったしかるべき検討の場というのがおそらく要るんだと思いますが、そこに今後つないでいくのが基本かなということです。ワーキンググループをつくって論点をきちんと整理することは非常に意味があるのではないかと思います。
 その検討する論点としては、政策的な観点ということと、制度的、特に我が国制度とちゃんと整合がとれるかどうかというような課題があるわけです。例えば政策的な観点という意味だと、そういう越境損害などを考えるということとか、そういう国内産業の国際展開ということで、そういう国際裁判管轄権などが明確化するということは、どれぐらいメリットがあるか、どの程度有用か、有効かというようなこととか、あともしもCSCであれば、そういう国内制度に加えてお助けするような補完的な仕組みがあるわけですが、そういうものを我が国でも取り入れることが有用かどうかとか、あと、特にアジア周辺国でも東南アジアのほうで原子力の導入国が出てくるのですが、そこでも原賠制度をちゃんと整備させていくというためにはこういう国際的な枠組みというのに我々もかかわっていく意味があるのではないかというようなこと、そういう観点からおそらくいろいろ詰めることがあるのではなかろうか、そういう点を整理したいということです。
 また、制度的な観点ということでは、例えばCSCであれば、そういう拠出金を負担するということなのですが、それを国内でだれがどのような制度で出す制度とするかとか、あと、少額賠償措置というのは認められているものの、その3億SDRとの差額部分というのは、いざとなったらちゃんと公的資金で埋めるというような条約との整合性をどうするか。あと、議論するとどうもトートロジーになるのですが、原子力損害の定義というのは、いろいろ国際条約では列挙方式で書いていて、国内法ではかなりふわふわっと書いている。だから、そこらの包含関係はどうあるかとか、そういうこともとりあえずきちんと整理する必要があるとか、例えばどの条約でもそうなのですけれども、事故が起こったら事故が起こった国にのみ裁判管轄権があるということですから、わかりやすく言うと、例えば中国で事故が起こって九州の人が被害を受けたとしても、裁判は中国の裁判所でしかできないということになるので、国内の民事訴訟法との関係等もちゃんと整理しないといけないというようなことです。あと、我が国がもしも何かあって他国から拠出金をもらったときには、それをどうやってその被害者に充てるような仕組みにするかとか、拠出金をもらったときに、その事故を起こした原子力事業者がだれかに対して求償権を持っているときは、その部分を拠出金を出してくれた国に返システムをどうやるか、というような課題もあります。そういうことを今後検討していくということでございます。
  第1章としては、こういうふうに2つの観点、JCOを含めたそういう国内の状況、あと国際的な状況を踏まえて、こういう観点から今後見直しを行っていくという背景説明の章でございます。
 説明は以上でございます。

【野村座長】 
 それでは、第1章についてご説明をいただきましたけれども、その内容についてご意見、ご質問ございますでしょうか。ご発言がありましたら挙手をお願いいたします。

【道垣内委員】 
 事実の記載が多いところなのであまり意見ということはないのですけれども、ただ、9ページの上から2行目以下、4行目ぐらいのところで、現在は国際的枠組みに直ちに参加すべき状況にはないと。それは結論は結構だと思うのですけれども、理由づけが、ここに掲げられていることが理由なのかどうかということですね。理由づけですけれども、近隣諸国が既存の条約体制に入っていないということから、日本だけが入っても相当遠い国との間でその条約関係ができるだけであって、そのことの意味がいま一ついかがなものかということが大きな理由で、日本の水準が既に高いということは、ここで言わなくてもいいかなということと、それからもう一つは、陸続きでないというのは、別に陸がなくても届いてくるので、陸かどうかはあまり関係ない。間に公海があるということが大きいのかなと思います。
 以上表現ぶりはお任せしますけれども。

【山野原子力計画課長】 
 はい。

【野村座長】 
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

【下山顧問】 
 詳しく書く必要はないのですけれども、この国際条約の概要というところにパリ条約、ウィーン条約、CSCがあるのですが、ブラッセル条約が出てこない。これはパリ条約を批准したところはおそらくブラッセルも入るわけですが、リファーしておいたほうがいい。ブリュッセル条約という文字だけでも入れておかないと、せっかくここまでコンプリートにやったのに、何か落ちているような感じがして、実際にパリ条約という選択肢があるならば、当然ブラッセルも考えなければならない。

【山野原子力計画課長】 
 はい。

【野村座長】 
 ほかにご発言ございますか。よろしいでしょうか。それでは、今の下山先生と道垣内先生のご発言は事務局で表現を確認するということで。

【山野原子力計画課長】 
 はい。わかりました。

【野村座長】 
 全体の内容としては、これまでも段階を追ってご確認いただいていますけれども、この内容で原則ご了承いただいたということでよろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

【野村座長】 
 では、第1章は以上にしまして、次に第2章の原子力損害賠償制度の見直しに関する事項について、まず事務局からご説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】 
 10ページから、ここの第2章がこのレポートではメーンのところでございます。ここについては若干細かめに説明したいと思います。これも最近ずっと検討会で検討してきた繰り返しになるのですが、まず第1のポイントで適用期間の延長ということです。報告書は様式としてはわかりやすいように最初のところに括弧書きで濃いめの字で、ある程度結論みたいなことを、サマリーを書いているというような整理がしてございます。ということで、この延長につきましては、現行の21年12月末ということから10年間延長するというのが、結論としてはそう考えてございます。
 理由としましては、ここにありますように今のすべての規定がこの期限が来たら切れるということではなくて、今、原賠法の20条では政府と事業者の間で締結している補償契約と政府が事業者に対して必要な援助を行うという2つの規定について現行では21年12月末に開始した運転等に係るものまでしか適用できないというような規定があるわけでございます。過去の経緯は、これまでも10年ごとに延長してきているということでございます。こういう規定を設けたという趣旨は真ん中ごろから書いていますけれども、原子力損害の賠償責任であるとか、損害賠償措置等に関する基本的な枠組みは恒久的なのですが、そういう補償契約を締結するとか、政府の援助ということについては一定の期間が来たときに定期的に見直すというプロセスが制度的に入っているというようなことでございます。
 では、この10年を振り返ってみるとどうかということなのですが、政府が結ぶという補償契約は地震等とか、そういう大きな自然災害に伴う損害の賠償に関するものが中心で、そういうことについては今の段階におきましてもまだ海外の再保険市場なども整っているということでなくて、現在においても民間の責任保険のてん補範囲には含まれていない状況でございます。また、政府による援助ということもやっぱり今後のこと――まあ、建前上は事業者が無限責任というものの、お金が足りないとかの場合には引き続き政府が援助できるという制度、上乗せできるという制度をちゃんと用意しておくということが今後とも必要であろうということでございます。
 また、こういう一定の期間が来ると切れるということは、その時点でまたいろいろなものを見直すというような契機にもなるというような役割を担っているということでございます。そういうことから、従来どおり、延長をきちんとするということで、その延長の期間としても従来と同様の考え方で10年間とすることが妥当であろうということでございます。
 次の11ページ、ここでは2.として賠償措置額、法律事項もあるし、政令事項もあるわけですが、まとめて賠償措置額ということでございます。まず法定措置額でございますが、今の600億円を改正パリ条約の7億ユーロというものを念頭に欧州、先進国がやっているという原子力先進国としてふさわしいような水準まで引き上げるということと、我が国の保険プールさんにも確認いただきましたが、引き受けられるというようなことから600億を1,200億にするということが結論でございます。
 その見直しの経緯ですが、当初50億円から出発して、50、60、100、300、600とこれまでは来ています。いずれの場合においても国際水準を勘案するということと、実際に民間保険として引き受けられるかどうかということを毎回確認しながら引き上げが行われてきたという経緯があるわけでございます。
 それで、前回改正以降からの情勢でございますが、これも繰り返しになりますけれども、JCOのときを踏まえてもやっぱり安心代でもあるし、きちんとある程度の額があるということは非常に重要であろうということです。また、一般的な原子力のPA的なイメージでもやっぱり国民の安心感をきちんと得るという意味でも、こういう措置の強化というのは重要であろうということでございます。また、今さっき言いましたようにパリ条約が1,150億円ぐらいまで引き上げられているというようなことでございます。
 参考までに少し米国のことも書いていますが、米国はほかの国と少し違った制度で、保険部分は少なくて3億ドルということですから300億ぐらいなのですが、それに加えて、それぞれ電力会社ごとにそれぞれお助けをするというようなスキームでやっているということでございます。これはいろいろ米国の中の歴史があるので、米国のユニークな制度であるということです。
 それで、今さっき言いましたように、原子力先進国としてふさわしいようなものにしていくのだということ。ですから、参考とすべきものとしましては、改正パリ条約の7億ユーロを参考にするということ。そういうことから、原子力保険プールさんにもちゃんと確認をした上で、この会議の場で大丈夫だということの報告も受けたわけですが、それを踏まえて法定の600億円は1,200億円にするということでございます。あと、若干アメリカのところは、なお書きでもメンションしてございますが、アメリカのようなシステムも将来的には参考になってくる可能性があるということも少しだけメンションしてございます。
 (2)は特例額です。法律上の一番上の額は1,200億円にするということですが、少額の特例額として今ある120億円、20億円につきましても、一番上が倍になったわけですから、それと同様に240億円、40億円まで引き上げるということでございます。この見直しの観点は、今までそういう少額は、原子炉とか再処理工場に比べて少量だけ使う使用であるとかについては相対的にはリスクとしては小さいだろうというようなこととか、あと、こと細かに10種類も額を設けると大変でございますから、制度としてのワーカブル性みたいなことも考えて2区分になっているというようなことでございます。
 それで、これらについても最近の情勢とか、引き上げの考え方というのを<2>で書いてございますが、今あるそういう2区分ということもこの10年間においても、そういう相対的リスクの状況の変化はないこと。また、費用負担の公平性の観点から、一番高額の法定措置額の割合と同じ割合でやることが一番リーズナブルではないかというようなことでございます。
  またJCOを考えれば、今もしもJCOと同じような事業者が出たということになれば、5%以上の濃縮ウランをある程度使う場合の措置額は、この引上げ後は240億円ということになるわけですから、当時の150億円というのは内数に入ってくるというようなことも1つあります。
 あと、国際的な状況を見ますと、それぞれ3つの条約で少額賠償措置というのは特例を認めるということが一般的でございまして、改正パリ条約では7,000万ユーロ、あとウィーン条約とCSCは500万SDRということになっています。ということなので、若干改正パリということは我々が考えているよりも少し高い部分もありますが、CSCとウィーン条約は十分満たすということでございます。これらを総合的に勘案すると、今の120億円を240億円に、20億円を40億円に引き上げるのが適当であろうと考えてございます。
 また、なお書きで書いていますが、今後、国際条約とか考えるとすると、そういう特例額と条約上の賠償措置額の差額分については公的資金で確保するというような規定になってございますので、そこのすき間をどうするかというのは国際条約を考える中でまた考えていく必要があるということでございます。
 (3)が補償契約に関する補償料率の引き下げということですが、これにつきましても今までも議論してきましたように最新の知見とか、保険市場の評価を踏まえて見直していくということでございます。今までも議論してきたところでございますが、特に見直しのところに書いてございますが、補償料率は昭和37年に制度ができて以来今まで一度も改正されていないのですが、当然、その間に発電所の運転実績も積み重ねられてございますし、当時、昭和30年代に考えたいろいろなそのとき使ったデータなども変化が起きてきているというのは当たり前であるというようなことでございます。
 ちなみに、民間の責任保険の保険料率を見ますと、制度創設時に比べて、大体、今現在は約38%程度、最大のときと比べると24%程度の標準になってきているというようなこと、当然ながら大体そういう保険というものはてん舗限度額が大きくなれば、保険料率はある程度低くなってくるというようなこと、最近のこの40年間以上にわたる運転実績で、保険市場の中で原子力損害のリスクというのはちゃんと低減してきたというようなことなどから、民間の場合は下がってきているということで、政府と結ぶ補償契約も状況は大体同じでしょうということでございます。
 そのようなことから、結果的に言うと、現在の1万分の5というのは若干高過ぎる状況にあるということです。今回、それぞれの賠償措置額を倍にするわけですから、高過ぎる状況でさらに乖離が進むというようなことになりますので、今回の賠償措置額の引き上げに際して最新の知見とか、そういう保険市場の評価など最新のデータを用いて補償料率の見直しを評価して適切な水準に引き下げを行うことが適当であるということでございます。そういう結論で、これについても具体的に財務省とも相談を既に開始をしているところでございます。
 次の3番目でございますが、そういう事業の廃止段階の賠償措置額の合理化でございます。ここも今までやったことの繰り返しになるのですが、本体の事業が終わって廃棄物だけを管理しているというような状況になっても、今は最初にかけた賠償措置と同じという状況なのですが、相対的リスクが減ってきているものについては合理的な措置額を措置するということでございます。
 原子炉の場合は炉心から使用済み燃料が抜かれたというような状況、サイトの中で使用済み燃料の管理だけが行われているというような状態であれば、使用済み燃料の貯蔵と同額にするということ。また、使用済み燃料をサイトの外に運び出したというような状況になれば、低レベルの廃棄物管理と同額にするということ。あと、一定以上の濃縮ウランを使うとか、プルトニウムを使うというような行為についても、最近はそんなたくさん使っていません、サイトの中にはもうありませんというような状態であれば、事業行為としては低レベルの廃棄物管理と同額にするというようなことでございます。
 それで、そらの理由づけを細かく書いていますが、15ページにありますけれども、今の制度としては原子炉の運転等というのは、ここの図でありますようにメーンの行為と付随行為を合わせて一体のものとしてとらえて、それぞれ賠償措置額が決まっているということです。ですが今、それぞれ炉の解体とかが出てきていますので、ここで言う1のメーンの主たる行為がなくて、2の付随行為だけになってきている事業者がいて、そこについては相対的リスクが減るだろうからそれに合わせて合理的なことを考えたらどうかというようなことでございます。
 合理化の考え方は、16ページにありますが、原子炉の場合には、もう運転をやめたとなれば、次に出てくる廃止措置はまず炉心から燃料を抜き取りますということがあるわけです。そういう段階になれば、原子炉の運転に起因するようなリスクは当然ないということで、相対的リスクとしては、事業行為としての使用済み燃料の貯蔵と同程度であろうということで、そこを参考にして合理化するということです。さらに、サイトの外に全部持ち出しましたというようなことになれば、あとはそこにある廃棄物を管理しているということで、それと同程度にするということでございます。
 あと、次の一定量以上の核燃料物質を使用しているという者につきましても、もう使用をやめて、核燃料物質はもうありませんということになれば、そういうのも低レベルの廃棄物の管理と同程度のレベルにするというようなことでございます。
 わかりやすく言うと、17ページの表を見てわかりますように、いろいろな段階の原子炉があるのですが、もしもこういうことができれば、例えば前にも説明しましたけれども、原子力船「むつ」は20億円に合理化できるということです。あと、具体的には東芝さんとか、ふげんも合理化できます。あとのところは、そもそも炉として20億円ですから、解体が進んでも20億円のままというような場合もあります。
  また、昔はある程度高濃縮ウランを持っていたけれども、今は持っていないんだというところは、核物質管理センターとか、あと東工大は、120億円だった人が20億円に軽減できるということで、現場に即してかなりリーズナブルにしたいということでございます。
 それで、(3)で、そういう人が勝手に下げられるんだというわけにいかない。当然、例えば炉心からちゃんと出ていますなというのを確認しないことには、それがチェックをきちんとするような仕組みがビルトインされていないとだめだということですが、それにつきましては、事業者がそのような合理化後のある程度低いレベルの賠償措置額の適用を受けようという場合には、そういう変更につきまして文部科学大臣の承認を受けなければならないという規定が既にあるわけです。そういう申請が出てくれば、原賠法の今の措置に基づいて報告徴収、立入検査の規定がございますので、それを用いてきちんとそのとおりになっていますなということを確認した上で引き下げができるということ、そういうふうな制度にしたいと思っています。
 以上が賠償措置額の話でございます。

 18ページ、次は、これは新しい規定を考えるということでございますが、紛争の自主的な解決の促進のための賠償の参考となる指針の作成ということで、これはJCOの事故の反省も踏まえて、新たに考えたらいいのではないかということでございます。当時のことを考えてもやっぱり、当事者間でちゃんとやるんだということにするものの、いろいろな限界があるというようなこととか、ものすごく多数の案件が出てくるというような原子力損害特殊性などを踏まえて、きちんと紛争解決の支援メカニズムみたいなものをちゃんと考えておく必要があろうということです。
 結論から言いますと、そのような自主的な解決を促進するために、損害の範囲であるとか、そういう額の算定方法みたいな、紛争解決の参考になるような指針を紛争審査会が定めることができるということをきちんと法律に書いた上で制度化するという提案でございます。あと、細かくどうやるかはガイドラインにおいて対応するということでございます。
 それで、何でこういう仕組みが要るのかというと、JCOのときの賠償の対応のポイントにも書いているわけですが、当時はご案内のとおり、最初、JCOが「JCOの補償の考え方の基準」を被害者側に提示したわけですが、受け入れてもらえずに、紛争の解決がデッドロックに乗り上げるような事態になってきたというようなことです。 そういうこともあって、行政的な支援ということが当時は行われたということで、結果的にはほぼ半年間で6,000件以上のものが和解に至ったということです。当時は、下山顧問にやっていただいた調査研究会が、そういう賠償の基本的な考え方を取りまとめたということで、それが交渉の目安になるとともに、交渉開始のトリガーになったということが非常に重要だったということでございます。 それと、村とか県レベルでいろいろな交渉の場を提供するとか、いろいろなことがやられたことによってスムーズに行ったというようなことでございます。
  それで、こうしたことは別にJCOのときだけの事例かというのではなくて、もしも将来何かがあったときには、おそらく同じようなことが起こるだろうということでございます。そこで、次のところに書いていますけれども、原子力事故が起こったときの特殊性ということを何点かまとめてみますと、まず、当然、現場は大混乱に陥るだろうということ。あと、当然、被害者の心理状態、放射線は見えないのでありますから、心理状態とかがあって、そういう加害者と被害者みたいな関係のある中でどう対応していくかという対応が必要になるということです。また、短期間に非常に膨大な数の請求案件が生じていくだろうということで、それを上手に同時に解決していく必要があるということと、多数の、それもかなり同じような内容の類似性がある案件が非常に出てくるということで、被害者間の公平性の確保ということが非常に重要であるということです。それとか、そういう多数の被害者がおるわけですが、それぞれの人に、おまえたちの責任で因果関係を立証しろと言い続けてもあまり意味がなくて、そういう因果関係の立証負担などを軽減するようなことをある程度考えてあげないといけないということ。それとあと、多数の請求案件が来て、自主的に解決できなくて、全部裁判や紛争審査会に来るというようなことになって機能不全になることのないようちゃんと考えないといけない。
  そういうことからやっぱりきちんとJCOのときのそういう研究会が果たしたような機能みたいなやつをきちんと制度化しておく必要があろうというようなことでございます。模式的に書いたのが20ページの図ですが、繰り返しになりますが、有事が起こったというときに、多数の案件を上手に、メーンは自主的な解決に結びつけていくのがまず一番のお題目だと思いますが、そのために何をやらないといけないかということで考えたのが、1つはニュートラルな立場から、そういう賠償の基本的な考え方みたいな指針を提示するというようなこと。相場観を醸成していくとか、いろいろな交渉のトリガーを提供していく。その上で県とか自治体が協力して、いろいろ場所の提供とか、同席とか、いろいろなことをやることによって、まず自主的な解決を図っていくというのが基本で、どうしてもそれでいかないやつというのは、紛争審査会とか裁判とか、こちらに来るということでございます。
 そういうことから、同じようなことを何遍も書いてあれなのですが、下のほうで、そういう紛争審査会で賠償の参考となる指針を作成ということを制度化したらどうか、制度化したいということでございます。指針の策定の重要性というのは重複しますので省略しますが、次の21ページはそういう参考となる指針のイメージ例として書いています。
 まずは、おそらく一番重要なのは、そのときの状況を見てどういう損害が類型としてあり得るか、身体の障害とか、避難費用とか、あと、実際、一番多いのは営業損失ですが、そういうものをまず類型化する。あと、マクロにどれぐらいのエリアの人をまずメーンに考えるかとか、あと時間軸としては発生した日から例えば1カ月を対象にするとか、その上で、それぞれの類型ごとにある程度基本的な考え方を示すというようなことでございます。
 例えば損害額の算定方法としては、体の検査費用とかにつきましては、実際に検査を受けたら実費はちゃんと払いますということとか。営業損害とかについては、どれぐらいのエリアをメーンターゲットにしますと、その上で被害の算定方法としては、前年同時期に比べて具体的に売り上げが落ちているとか、そういうのをきちんと示せないといけませんよみたいな基本的なことをまず示すということです。
 それで、こういうことも指針を示すということなのですが、この指針は21ページの下のほうにありますけれども、あくまでも当事者間の交渉によって自主的に参照されて、円滑な紛争の解決を図っていくということをまず目的としているということでございます。ということなので、まずは、個々具体的に何千件のやつを1件1件必死でやるというのではなくて、まずは多数の請求案件に対して適用可能な考え方をマクロな観点から整理して、できる限り早く示すことが重要であるというようなこと。また、個々の交渉によって、それぞれの特殊事情とかいろいろありますから、そういうことも考えると、そういう指針に法的な拘束力までを付与するという必要はないのではないかと考えています。また、その指針の前提として、そういう全体の調査をするとか、そういう機能もあわせて制度化するというようなことでございます。
 それで、次の22ページ目に、じゃあ、そういう機能を示すというのはだれがやるのが適当かということなのですが、当然、そういう機能は当事者間がある程度信頼しなければうまくいきませんから、まずニュートラル性と専門性というのが当然一番重要であるということでございます。そういう観点からは、既存の紛争審査会というものが第三者機関として、関係する専門家を集めたという機関が存在するわけですから、そこらとの特性と共通しているということ。あと、紛争審査会と別に新たに何かつくるとかというのもあんまりリーズナブルでないというようなことから、もう既にそういう事故が起きた際には突然パッと集められる、そういういろいろな知見を持った法曹界とか、あと原子力の知見を持った専門家が集まって制度化されております紛争審査会を活用するというのが効率的であろうと考えます。
  ということから、紛争審査会が指針をつくることを制度化するというぐあいにしたいと思います。ただ、紛争審査会の役割として、和解の仲介という機能と、そういう指針をつくるという機能があることとなるわけですが、そこは実際上は内部に2つの部会を分けて設置してやるのがいいのかなと思っていまして、そこはガイドラインできちんと考えておきたいなと思っています。
 次のポイントが5.で、補償契約に係る業務の保険会社への一部委託ということですが、ここも結論から言いますと、万一の際のそういう補償契約業務、これは国、我々がやるのですが、当然ながらそんな知見もありませんので、そういうときには保険業法における保険会社の他業制限の趣旨を踏まえて、特例措置を設けて保険会社に委託することができるという根拠規定を設けたいということでございます。それと、細かいところはガイドラインで決めるということでございます。
 ここの内容も23ページにありますように、実際上、何かあれば、ここの表にありますようにいろいろな事務が必要になって、それが何千件、何万件と出てくる可能性がありますが、国が補償契約で払ったという事例は当然ないですし、今後もないことを期待するわけなのですが、そもそも原子力損害が起きるような蓋然性が極めて低いので、そのために役所の職員を常時キープするというのはナンセンスであろうということですから、そういう有事の際には、保険会社の知見を使えるということが有効であると。これは一般的な感覚として、そのとおりだろうと思います。そういうことをきちんと制度化するということでございます。
 保険会社は他業制限というのが保険業法においてかなり厳しく決められてございます。そういう中で、ここの<4>にありますが、他の法律によって行う業務として今規定されてございますのは、政府の自賠責保障事業の一部の業務については、政府の委託を受けて行えるというような規定になってございます。そういうことを参考にして、補償契約法において、政府の補償契約に関する業務の一部を保険会社に委託することができるというような規定を設けることによって道をつけたいと考えているわけでございます。あわせて委託できる業務の範囲であるとかについてはきちんと政令以下で定めるということにしたいと思っています。
 あと、次が6.罰則水準の引き上げということですが、これにつきましても結論から言えば炉規法の最近の引き上げの状況を踏まえて、そこらを参考にしながら原賠法の罰則についても見直しについて検討するということでございます。原賠法の罰則は、原賠措置をかけずに運転を行った場合とか、あと行政庁の報告にうそをついたとかいう場合に罰則があるわけでございます。見直しの方向としましては、原賠法ができる以前は炉規法の許可要件の1つとして原賠みたいな損害賠償措置が入っていたということですから、当時のそういう歴史的な背景も踏まえて、従来から炉規法の罰則の水準を見ながら原賠法の見直しを行ってきているというような歴史があるわけでございます。
 ちなみに炉規法では、自主点検の記録のうそをついたとかがあったわけで、それを契機にして引き上げが行われているというようなことがございます。そういうことを踏まえて、今回の見直しに当たって原賠法のほうも見直しを検討する必要があるということでございます。
 なお、自主点検記録の不正は組織立って行われたこともあったものですから、当時、炉規法の世界では両罰規定として、個人がやった場合にも法人のほうに法人重課が導入されたというようなことがあるわけですが、原賠法の世界では、そのように事業者が組織を挙げて原賠措置を講じずに運転することはおそらく考えられないし、類型的に少ないと思われるということから、法人重課までは必要ないのではないかと考えられるということでございます。
 最後に、その他ということでございますが、これも前回の改正のときに原子力委員会専門部会でまとめたときに今後の検討課題だということが2つぐらい書かれているわけでございます。それについてこの際少し考え方を整理しておこうということでございます。
 1つは除斥期間ということで、その10年前のレポートでは、当時のパリ条約とウィーン条約で身体障害については除斥期間を30年にするというような規定になっているわけですが、それを踏まえて国内的にも考えたらいいのではないかというようなことでございました。我が国では原賠法に特別な規定がないものですから、民法の一般原則である20年という除斥期間が適用されるということです。ただ、最近の裁判例では、ここにありますように水俣病とか、B型肝炎とかの裁判例では、事故が起きたときが起算点ではなくて、損害の全部または一部が発生したときが除斥期間の起算点となるというような判断がなされていて、そういう後発性の損害の場合に、不法行為に基づく賠償請求に係る除斥期間の起算点は、損害発生時とする判断が定着してきているというような状況があります。そういうことから、そういう後発性の損害に関する被害者の保護ということは、国内的には十分確保されていて、今の民法の規定と特段違うような除斥期間を設ける必要はないのではないかと考えられるということでございます。
 2点目は、RIのほうにも損害賠償措置を考えたらいいのではないかということでございましたが、まずRIは核燃料物質と違って臨界事故は起こらないということで、大規模、集団的な損害は想定されないということです。実態的にもいろいろ、RIを使っていて何か少し被曝しましたというようなことがあるわけですが、いずれも大規模とか集団的というようなことはないというようなこと。また、国際的にもそれぞれ3つの条約でRIについては含んでいないということです。そういうことから考えると、RIの世界で何かあったという場合でも、何も用意されていないというのではなくて、当然、一般の不法行為責任制度であるとか、労災制度で十分被害者の保護は図られているのではないかということで、原子炉とかと同じような制度までは必要ないのではないかと考えるということでございます。
 説明が長くなりましたが、第2章の説明は以上でございます。

【野村座長】 
 それでは、ただいまの説明についてご意見等ございましたらご発言お願いします。

【道垣内委員】 
 情報だけですけれども、12ページのアメリカの賠償措置額について、ご連絡があったかもしれませんが、アメリカの関係者から、10月29日から16%ぐらい上げて125億2,000万ドルに変えるというか、5年ごとの見直しがあるみたいですので、報告書がファイナルする日は最新のものとしては数字を直したほうがいいかなと思います。だから、1基当たり1億1,190万ドルにするということのようです。

【山野原子力計画課長】 
 はい。ありがとうございます。

【野村座長】 
 ほかに。どうぞ。

【岡本委員】 
 1点確認なのですけれども、補償料率の引き下げのところの議論において、現状の法律施行令のほうで、括弧内に「大学又は高等専門学校における原子炉の運転等に係る補償契約」ということで補償料率が2分の1になっているところがあるのですけれども、それは維持されるというふうになりますか。今後、補償料率が幾つになるかは知りませんけれども、その2分の1が。

【山野原子力計画課長】 
 そこを変えるという議論は全然していないですし、状況は全然変わっていないと思います。そこは維持します。

【岡本委員】 
 割合が2分の1になるということですね。

【山野原子力計画課長】 
 ええ。

【岡本委員】 
 ここが2.5のまま残るということではなくてですね。

【山野原子力計画課長】 
 だから、全体が下がれば、それの2分の1のつもりです。

【岡本委員】 
 下がるということで、その確認。場合によったら報告書に明確に書いていただくほうがいいのかなと一瞬思ったものですから。

【山野原子力計画課長】 
 わかりました。

【岡本委員】 
 それから、その次の事業廃止措置のところなのですけれども、これは方向性のところでしっかり書かれているのですけれども、私はやっぱり、このトリガーになったのは3年前のあの炉規法の改正で、あそこで段階的規制を行うということで廃止措置が届け出から認可になったと。その上で段階ごとにしっかり見直していくのだということを書かれていますので、そのあたりの背景が若干あったほうがわかりやすいのかなという気がしているということであります。

【山野原子力計画課長】 
 はい。

【岡本委員】 
 まずはその2点です。

【野村座長】 
 ほかにご発言いかがでしょうか。どうぞ。

【伊藤委員】 
 非常に素人的な意見で申しわけないのですけれども、所々で国民の理解を得ながらとか、国民の不安を解消するためにという部分の今回の措置であるというところが出てきているのですけれども、一番のこの原子力関連のことと国民との気持ちの――業界と国民との間に非常に溝があるというところが一番大きいのではないかと私は実感しているところで、例えば業界が利益を得るために非常に怖いもの、危険なものを近くにつくって、そのために私たちが非常に我慢をしているみたいな論理というのがすごくよく出てくるわけですね。
 近々のところで言えば、高レベル放射性廃棄物の処分場というのをつくらなければいけないのですけれども、今回の改正するに当たって措置額が120億円から240億円に引き上げられることになると、例えばまた反対派が、国が240億円に引き上げるぐらい危険なものだとお墨つきを与えたみたいな議論というのがまたさらに出てくるのではないかと思うんですね。正直言って、今後の日本という国の状況を考えたときにやっぱり原子力発電というのは、環境問題のこととか、あるいは島国に置かれている状況とかを考えたときに欠かせないもので、業界がどうこうということよりも、はっきり言って国として進めていかなくてはいけないものであるという認識は、多分、これは変わらないと思うんですよね。
 この法律の中に、そういう部分を生かせるかどうかというのは非常に難しいかと思うのですけれども、これで業界がさらに多く払うことになったのだということをたとえ示したとしても、業界に対する不信というのが拭えるのかというとなかなか難しい部分があるなと感じていて、国というのも全面的にかかわっているものなのだというところをニュアンスでもいいから何か出せないのかなという気が少ししているのですけれども、これは専門家の皆さんのご意見も伺いたいところなのですけれども。

【山野原子力計画課長】 
 おっしゃったようなところを「はじめに」に書くのか、どこに書くか。今回の改正は明らかに国もきちんと入って、有事の際に上手に解決できるようにしましょうというのが一番の背景にあるわけですよね。それと、賠償措置額を上げるのも、それは危険度が増えたからだとか言われ出すと切りがないのですけれども、やっぱり何かあったときの安心料なわけですよね。だから、それが上がるというのは、当然、国民にとってはいいはずなんですよね。

【伊藤委員】 
 まあ、そうですね。

【山野原子力計画課長】 
 説明の仕方によるんですけどね。だから、そこが変に後ろ指指されて、危険だから上がった、リスクか上がったから600億円から1,200億円になったんだとならないような上手な言い回しは考えないといけないと思います。ご指摘のようなところも踏まえてどこかにそういうレトリックをよく考えてみたいと思います。

【野村座長】 
 どうぞ。

【廣江委員】 
 伊藤委員、どうもありがとうございました。全くそのとおりに感じるところもございます。ただ、何と言いましても、ここに書いていただくということより、何よりも私どもがしっかりと原子力発電所を運営していくことがまずは大事だと思っていますので、それは心して対応したいと思います。
 それから、補償契約の料率の件につきましては、私も今回参加して、ほとんどこのことばかりお願いをしてきたように感じておりまして、それを取り上げていただきまして大変ありがとうございました。その上は、ここに書いていただいていますように民間保険の動向、あるいは事務経費等々のということを挙げていただいていますけれども、適切に反映して料率に反映をいただきますように、よろしくお願い申し上げます。

【野村座長】 
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 7つのポイントで、これについては、これまでもずっとご確認いただいていますので、改めて繰り返す必要もないかと思いますけれども、それでは、第2章についても以上にしておきたいと思いますが、続いて第3章の引き続き検討を行う事項について、事務局からご説明をお願いします。

【山野原子力計画課長】 
 今後引き続き行う事項ということにつきましては、項目だけ書いて、今後やりますというだけの整理をしてございます。やることは2つあって、賠償をちゃんとやろうとすると、法律を変えるというだけではなくて、細かな運用みたいなところもちゃんと決めておくということで、両者が相まってきちんとしたものができるということが一般論としてあるというようなことでございます。あと、また、国際的な動向ということを考えると、今後、我が国がこういう国際条約にどうやって対応していくかということは、ちゃんと検討していくことが有益になる可能性もあるというようなことでございます。そういうことから、それぞれについてワーキンググループを設置して議論を継続していきますということでございます。
 それで、まず、運用ガイドラインのほうでございますが、JCOのときの教訓を生かしながら、そこにすべてのことを集約するというような形で、実際上の有事の際の関係者の行動マニュアルとなるようなガイドラインということをつくって、つくるというだけではなくてちゃんと関係者で共有して、一度つくっておけば今後適宜改訂とか充実ということになりますので、とりあえずきちんと整理しておきたいというようなことでございます。
 つくる内容としましては、28ページにありますが、こういう感じのことをまとめるのかなとということで、ガイドラインの目次みたいなものをとりあえず書いたものです。最初は、例えば原賠法の適用の考え方で、どういう場合に原子力損害に当たるのか、こういう場合は当たらないとかなかなか議論が難しいところがあるのですが、具体的な事例などを考えながら整理してみる。あと、対応としては、平時にどういうことをやっておけばいいのかとか、あと何か起きたときのそういう初動の体制、特に関係者の情報共有のあり方とか、その初動として意外と重要なのは、直接原賠の制度ではないのですけれども、安全宣言をどうやって出すかとか、そういうこともある程度考えておくことも重要だと思いますので、そのようなこと。そのほか、具体的に賠償請求をどうやって申し入れて受けつけるか、単純なところでは書類の様式とかもあらかじめ決めておけばいいのではないかということです。また、今さっき議論がありました、そういう賠償の参考になる指針をつくるということも法律的にも書くというわけですから、それを具体的にどんなものをつくるかということもある程度考えておきたい。その後に実際に事業者と被害者間の調整となるわけですが、一番重要なのは、例えば市町村レベルとか県レベル、国がどうやってこの当事者間のつなぎをして、どういう支援ができるかというようなこと。これらをあらかじめ、一般論として書くのはなかなかややこしいですが、JCOの経験からうまいこと引っ張り出しながらちゃんと書いておきたいなと思っています。
 それでも解決できない場合には紛争審査会に来るので、紛争審査会もどういう運営をするかということとか、あと、それでもだめなら裁判まで行くわけですが、その際の留意点とか、事業者が無限責任を負うところ、何かあったら最後の手段として国の支援のあり方や具体の方策をある程度考えておきたい。あと、具体的には保険金の支払いとか、そういうことです。
 別にこれですべてではないですが、JCOのときのてんまつをとりあえず集大成して、それを一般化できるようなガイドラインの形でちゃんとマニュアル化しておきたいということでございます。これにつきましては、例えば12月ぐらいからワーキンググループをつくってやっていきたいなと思っています。これが1つでございます。
 次の29ページ、国際条約の対応ということですが、これにつきましても今後ワーキンググループをつくってということでございます。今現在においては、直ちに参加しなければものすごいだれかが困っているという状況にはないのですが、しかしながら、将来的には考えておくということは意味がある。それで、考えるに当たっては実際上の選択肢ということでは、ウィーン条約なのか、パリ条約なのか、CSCなのか、今までは3つを並べて比較する程度しかやってきていませんが、そういうことをやっても切りがないので、仮に何れかに入るとしたらその場合の選択肢としては、我が国原賠法と親和性があるとか、あと、締約国間の拠出金による措置の強化が望めることとか、上手にやればアジア周辺諸国などが幅広く参加していく可能性があるというようなことから、議論のターゲットにするのはCSCを念頭に置くのが適当であろうということです。そこだけはちゃんと決めておきたいなと思います。
 今後、ワーキンググループをつくってということだけれども、基本的にはここの検討会の場では、そういうワーキンググループを含めてなのですが、いろいろな観点についてきちんと論点を整理することを基本にして、その上で、整理できた段階で関係省庁も集まって、しかるべき場をつくって、そこでの将来的な検討というのにつなげていく。そのために論点の抽出やオプション整理をきちんとやっておきたいということでございます。そういう課題の検討に当たっては、我が国にとってどのような利益があるかとか、負担はどうかというところもあるわけですが、しっかり検討するとともに、例えば我が国だけではなくて、近隣諸国、韓国、中国みたいなところからもう少し広いエリアのアジアとかということもあるのですが、どうやって協力していくかも考える必要があるということでございます。課題の例は、後ほどまた細かく出てきます。
 それで、国際枠組みに関する検討ということですが、繰り返しになりますけれども、これまでのところ簡単な検討をしたことはあるのですが、我が国はどの条約も締結してきていないし、そうした枠組みへの参加について具体的な検討まで踏み込んだことはないということは事実でございます。
 現時点においては、30ページの上のほうにありますけれども、我が国としては既に高水準の国内制度をちゃんと有していて、国内的に言うときちんと基盤が十分整備されてきているというようなことや、委員からご指摘のあったこの辺りはまた表現を検討しますが、欧州と異なって国境を接していないものですから、あまり越境損害について明快な必要性がなかったというようなこと、あと近隣諸国も全然条約に入っていないというようなことから、今直ちに入らないといけない状況にはないということでございます。
 そうであるものの、この際少し将来の本格的な検討の素材となるような論点を整理しておくことは有益であろうということではございます。じゃあ、どの条約をターゲットにするかということでございますが、繰り返しになりますが、パリ条約、ウィーン条約、CSCとある中で、まず条約の内容、どういうところが締約国になっているか、我が国制度との親和性、あと、我が国の周辺諸国とのリンケージみたいなことを総合的に考える必要があるということでございます。
 それで、簡単に言いますと、パリ条約というのはEU諸国とスイスだけということですから、あまり地理的関係が現在もないし、おそらく将来的にもないでしょうと。ウィーン条約については、端的にマイナーな国しか入っていないというようなことと、改正した後にあまり順調に加盟国が増えていないというような状況があります。ですから、国際的な枠組みとして普遍性が得られない可能性もある。それに対してCSCは、とりあえずいろいろな規定ぶりはこの中では一番緩やかで、いろいろな意味でハードルは低いということで、我が国の原賠法との関係でもとりあえず一番親和性はあるということでございます。それと、CSCはご案内のとおり、締約国間で助け合う拠出金制度が用意されているということですから、この観点でも今後加入が広がっていく可能性はあるということ。それから、アメリカも入ったと。産業界として一番関係が深いアメリカも入った。このようなことから、とりあえず将来仮に締結を検討していく際のターゲットとしては、CSCを念頭に置くのが現実的であろうということでございます。
 31ページにいきまして、そういうことでとりあえず3つの条約を並べて悩むというのではなく、CSCをターゲットに置いた上で、検討が必要な論点ということです。具体的には今後ワーキンググループをつくってやることですが、今思いつくものを列挙したということでございます。 
  まず、政策的課題の例ということでは、1番目にアジア周辺諸国との越境損害の対応の明確化が意味があるのかどうかということです。当然ながら、CSCに我が国だけではなくて、そういう近隣諸国も入るというようなことになれば、そういう越境損害に対して一元的な司法処理などが明確になる可能性があるということです。一方、国際的な裁判管轄権とかが明確になるということに伴って、例えば日本で越境損害の被害があっても日本の裁判所では訴えられなくて、当該国の裁判所しか訴えられないとそこはある意味で負担になるわけですが、きちんと考えていったらいいのではないかということです。
  次が日本の原子力産業の国際展開の支援になるかということで、プラント輸出とか考えれば、相手国が入っていないとまた意味が全然ないのですが、そういうことを考えると、国際的な事業展開上の法的なリスクの低減にCSCみたいなスキームは有効かどうかというような観点。
  次は、CSCには国内の賠償を補完する国際的な拠出金があるわけですから、これも我が国にとって有用かどうかということです。我が国で何かあった場合には、いろいろな国から少しもらいますよということなのですが、ほかの国で何かあった場合には我が国は出しますということで、かつ、日本は発電所をたくさん持っていますから、そういう負担率は結構高い、相対的に大きいですから、これらも踏まえて、こういう制度が我が国にとってメリットがあるのかどうかというような観点です。
 次のポイントが原子力導入国における原賠制度の充実・強化。我が国に直接被害が来ていなくても、今後新たな原子力導入国に対して、そういう原賠スキームの網をかぶせていくという手段としてCSCをちゃんと広めていくというのが有効かどうか。これだけではないかもしれないですが、こういう観点があってどうかということを今後詰めていけばということでございます。
 2番目が法制度課題の例、これは国内法との関係で整理しないといけないものでございます。1番目はそういう拠出金の負担に関する国内制度をどうするかということですが、今の締約国にプラス日本、韓国、中国などが加盟したという場合は、日本の拠出金はここにありますように大体7,000万ドルぐらいということでございます。拠出金を必要とするときにだれがどのようにして負担して、どうやって出すかということを少し考えないといけないというのが1つでございます。
 次は、我が国では賠償措置額の少額特例制度というのを、さっき言いましたように設けているわけですが、CSCもそういう少額制度はいいですよということなのですが、3億SDR、500億円強ですが、そこと少額のすき間については、いざというときには、公的資金でちゃんと埋めることが義務づけられるわけで、どう対応するかということ。
  あと、原子力損害の日本の定義に対して、CSCなどでは、ここにありますように個別列挙的になっていますので、それぞれの包含関係を整理する必要があるということ。
 また、次は国際裁判管轄権とか準拠法とかということなのですが、CSCの場合には事故発生国にだけ裁判管轄があるのだということになるわけですから、そういう明確な規定を置いていない我が国の民事訴訟法との整合性を整理する必要があるとか、CSCでは、準拠法は管轄裁判所の法とすると規定されているわけですが、我が国の法の適用に関する通則法では、不法行為については原則として損害発生地の法により処理するということになっている。わかりやすく言うと、中国で事故が起こって九州の人の被害が出た場合は、この通則法では、被害が起こったのが九州ですから日本の法律だということなのですが、CSCの原則は、裁判も中国でやるし、中国の国内法が適用されるということなので、その辺りが法的には若干ややこしいような整理が必要になるということです。
  また、責任保険とかについても、CSCでは解除する場合には2カ月前に通告せんといかんとか、輸送中は絶対解約できない等が義務づけられているのですが、我が国ではそういうことは全然明定していないので、整理が必要であるとか。
 意外とマイナーだけれどもややこしそうなのが、拠出金を受け取る場合の国内制度です。日本で事故があった場合に拠出金を各国からもらえるわけですが、それをどうやって国内で被害者までおろしていくかということと、あと、もらったときに、原子力事業者がだれかに対して求償権を有しておれば、その部分はお金を拠出してくれた国に返していかないといけないということなのですが、どうやってそれを国のほうに戻して、それを各国に返していくかとかという、ここらも若干整理としては少しややこしそうな感じがしています。
 また、国際輸送、これもまた違う形態でいろいろなケースが想定されるのですが、ここらについてもよく整理せんといかんだろうということでございます。
  それで、今回は別にこれをそれぞれこの報告書で決めるわけでもないのですが、こういうことについてワーキンググループをつくって、とりあえず論点整理をした上で、周辺諸国の状況等も踏まえて文科省だけではなくて原子力委員会とか経産省も入った少し大きな枠組みの場での将来的な検討につないでいきたいということでございます。
 説明は以上でございます。

【野村座長】 
 それでは、ただいまのご説明について、ご発言がございましたらば。ここは今後の検討課題ということで、運用ガイドラインの問題と国際条約への対応ということで、実際に議論してみれば、また少し違う論点が出てくるかもしれないですが、一応、現段階でのまとめということで。どうぞ。

【岡本委員】 
 非常によくまとめられていて、わかりやすくてよろしいと思うのですけれども、2つというか、私の気持ちだけなのですが、こういう検討をするときにはスケジュール感をある程度お持ちだと思うのですけれども、そういうことはやはり報告書ですので、大体いついつぐらいまでにはというスケジュール感があると、それがある程度縛りになって議論が進むと思います。特に運用ガイドラインのほうは、これは次の事故が起きるまでということですから、いつまでということが全くわからないのですけれども、でも、早目に整備しておいたほうがいいのは当然のことなので、そのあたり少し、定性的で構わないと思うので、何かあったほうがいいような気がするなというのが私の両方に関する印象です。
 それから、国際条約のほうは、これは視点が日本国の国民の安全を守るという視点で全部書かれていらっしゃるので、それはもう当然でよろしいのですけれども、どこかにアジア地域全体、アジア地域の住民のことを我々も考えていかなければいけないのだというような、日本国内だけの視点ではなくて、オールワールド、世界的な視点も当然これが必要なのだということを、まあ書かれているんですけれども、全体の一番外枠としてあったらご検討いただければと思っております。

【山野原子力計画課長】 
 はい。まず、最初のスケジュール感ですが、報告書はパブコメをやるときは、おそらく12月初旬とかそれぐらいになる。それぐらいにはワーキンググループを2つつくって、両方がヨーイドンで始まって一緒に終わるかはわかりませんが、やっぱり半年ぐらいの感じかと。我々としては法律改正もやっているものですから……。

【岡本委員】 
 そうですね。そっちのほうがメーンですね。

【山野原子力計画課長】 
 どれぐらい我々も大変になるかももちろんあるのですが、頑張って半年ぐらいとか、それぐらいの腹づもりでいます。

【岡本委員】 
 ええ。それが逆に縛りになると困るので。

【山野原子力計画課長】 
 別に事故が起きるまでちんたらやりますということはないです。

【四元委員】 
 期限はあるんじゃないですか、法律の施行の時期。

【山野原子力計画課長】 
 まあ、マニュアルはそうかもしれません。法律の施行されるまでであれば明らかに来年の12月末ですよね。少なくともマニュアルのほうはそう。CSCは少し違うかもしれない。

【岡本委員】 
 日本国内だけの話ではないですからね。

【山野原子力計画課長】 
 はい。それと、後段のほうは直接聞いていないですけれども、例えば32ページの一番上の「ニ」というのは、ある程度国内というよりも、どちらかというと、そういうアジア諸国などでもこういう制度を広げていきましょうという……。

【岡本委員】 
 ええ、ここに書かれている論点は、大きいものから小さいものまですべて含まれているので、何となく考え方として日本国民の安全を守るというのは当然なのですけれども、全世界への日本のイニシアティブをとるというか、そういう観点があったほうがいいかなと。観点だけの問題です。

【山野原子力計画課長】 
 はい。わかりました。

【野村座長】 
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【道垣内委員】 
 岡本先生から重要なご指摘の後で細かいことを申し上げて申しわけないのですが、29ページの政策的課題と政治的課題が列挙されていますけれども、実は9ページにも挙がっていて、これは少しずれているみたいなので、できたら9ページのほうはなくしてしまって、全部後ろの第3章に譲るというような記載に変えたらどうかなと思います。

【山野原子力計画課長】 
 わかりました。

【道垣内委員】 
 それが1つで、もっと細かい話ですけれども、31ページで政策の課題例とわざわざ、実は9ページのほうにもそう書いてあったのですが、であれば、<1>が始まる前の「深めるべき課題の例」と書かれたほうがいいのではないかなと思います。

【山野原子力計画課長】 
 はい。

【道垣内委員】 
 それから、32ページですが、32ページの<2>の「イ」のところで※がついていて、アルゼンチン、モロッコ、ルーマニアとお書きになっていますが、知っている人は知っているわけで、前のほうを細かく見ればわかるのですが、これらは現締約国であるこれらの国に加えて、例えば日本、韓国、中国が新たに締約国になった場合と書けば、知らない人にもよくわかると思います。

【山野原子力計画課長】 
 はい。

【道垣内委員】 
 それから、2の「国際裁判管轄権」というのは、これは実はいろいろな表現ぶりがあって、「国際的裁判管轄権」と昔の人は言っていたのですが、だんだん忙しくなって、最近は「国際裁判管轄」と言うことが多くて、実はこの文章全体ではここしか「権」はついていなくて、ないほうがいい。
 それから、33ページ、「ヘ」ですけれども、3行目で「求償権を有していれば、その利益」とお書きになっていますけれども、求償権を有しており、かつ、それが実現した場合でなければ返さなくていいはずなので、「その求償権が実現した場合には」とか、利益というのがまた利益ではないので、それを何と表現するか。その得た額をということでしょうか、少し細かな話で申しわけございませんが、以上です。

【野村座長】 
 どうぞ。

【下山顧問】 
 この31ページと32ページについてなのですけれども、多少ニュアンスを考えていただければなと思う点が2点あります。1つは、我が国原子力産業の国際展開の支援なのですけれども、一口に国際的支援といっても、例えばアジアを考えてみると2通りあると思うんですね。例えば北東アジアを考えると、韓国と中国と日本、これは既に原賠法を持っている国。この間で、いわゆる何か起こったときに被害者保護を考えるというときに支援。 もう一つは、今いろいろ言われているときに、まだいつになったら実現するかわかりませんが、ベトナムとか、インドネシアとかカザフ、そういうところに進出しようと思うと、全然、原賠法がないわけですね。原賠法なしで一体輸出ができるかというと、原賠制度の歴史から考えてそれはあり得ないわけですね。日本が導入するときのアメリカは原賠制度を条件にして敦賀からみんなやった。東海のもそうです。それから、米・EURATOM協定で、アメリカがEURATOMとやるときも原賠法の整備は条件だったんですね。ヨーロッパにはヨーロッパの固有の事情はあったにしろ、それは条件だった。そうすると、原賠制度の歴史から言うと、それがないと実は進出できないはずなんです、リスクが大き過ぎて。したがって、まず原賠制度をつくってもらう。少なくとも責任集中と一定程度の賠償措置をやってもらうというのは必須の条件。それをやってもらうに当たって、ギラつかせて、契約のときにこれがない限り出さないよというのか、国際条約へまず入りなさいという勧誘をして、戦略として国際条約に入ることによって国内法をつくらせる。
  したがって、そういうニュアンスが北東アジアの既にある国とない国への輸出とはまるで違って、CSCの役割は、原賠法が既にある国では相互扶助的なものがあるし、これからという国ではむしろ輸出するためのリスクを避けるということでやる場合があるのでして、政策的な役割はその2通りある。どう書かれるかは別として、そういう指摘をしておきます。
 それから、法的課題、これは例ですからいいのですけれども、1つ、先ほどの北東アジアの原賠法の例で問題というか、ここの場では議論が出なかったのですけれども、責任制限の問題があるんですね。韓国も中国も一応、責任制限をつける。そうすると、向こうからかぶったところには責任制限があるけれども、日本は無限責任だから、こっちから行ったときには無限責任になる。どうするか。ウィーン条約などは、それはレシプロカルになっていて、相手国に制限があればこっちは制限。ただ、国内法の措置が要るわけですね。それを今後どうするのかというのも、ここに書かれなくてもいいんですけれども、忘れないようにそれは議論しておかないといけないという感じがします。
 それから、ついでですけれども、今、32ページで少し気になるのは、「国内裁判所の管轄権が否定され」というんですけれども、この条約で重要なことは、事故発生地国に管轄権を1つにするということが重要な点だと思うんですね。今のままの状況でいいとしたら、日本で事故があった場合には向こうの法廷に行かなければならない。こっちでもあっちでもやたら訴訟が増えてしまうわけですね。それをやめるために裁判管轄を整理しているわけですから、この「国内裁判所の管轄権が否定され」というのは少し何か違和感があるような気がするんですね。事実ですけどね。

【野村座長】 
 ほかにいかがでしょうか。特によろしいでしょうか。

 それでは、第3章についてもいろいろご意見をいただきましたけれども、若干表現として改めるべきところもございますが、一応、第3章についてもお認めいただいたということで、そうしますと全体的な内容、方向についてはご了解いただいたということで、1章から3章までいろいろいただいたご意見については座長と事務局との間で相談の上、修正するということで私にお任せいただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【野村座長】 
 それでは、本日の意見を踏まえて修正を行った上でパブリックコメントにかけるということにしたいと思います。パブリックコメントは1カ月間行いますので、終了次第、いただいた意見を整理して、再度最終的な報告書案の検討を行うということにいたします。
 閉会する前に事務局から連絡事項があればお願いいたします。

【山野原子力計画課長】 
 ありがとうございました。きょうのコメントを踏まえて早急に直して、野村座長とも相談の上パブコメをやりたい。1カ月かかるものですから、それで、特にこの第2章については、これをバイブルにして法律改正、国会に臨まなければならないものですから、なるべく早くやりたいと思います。
 次回は、パブコメが終わって、意見が出そろって、それについてどう対応するかということですから、11月の下旬になろうかと思います。そこはまたご連絡をさせていただきます。

【野村座長】 
 それでは、これで第6回原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

 ―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局原子力計画課

-- 登録:平成21年以前 --