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原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会(第1回)議事録

平成20年6月6日

【山野原子力計画課長】

 それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 進行につきましては、後ほど皆さんの互選によって座長を選んでいただくということになりますが、それまでの間は事務局であります私が──原子力計画課長、山野といいます。よろしくお願いします──司会を務めさせていただきたいと思います。
 皆さんご存じのように、本検討会は来年度の原賠法の改正を見据えて、今後、そのあり方について、別に法律改正事項だけじゃなくて、もっと幅広くきちんと議論をしたいということで、研究開発局長のもとに設置された検討会でございます。ご多忙の折、委員をお引き受けいただきまして、ありがとうございます。
 メンバーといたしましては13名の方にお願いしてございますが、本日は9名の方のご出席でございます。また、顧問として従来から本件問題に深く長くかかわってこられました下山先生がご出席でございます。
 それでは、最初でございますので、開催に当たりまして、研究開発局長の藤田より一言ごあいさつをしたいと思います。

【藤田研究開発局長】

 おはようございます。文部科学省研究開発局長の藤田でございます。
 本日は、お忙しい中、原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会に、まず委員にご就任いただくことについてご承諾をいただいたことにつきまして感謝申し上げますとともに、また、お忙しい中、本日の第1回会合にご出席をいただきまして、ありがとうございます。
 原子力損害の賠償に関する法律につきましては、もう先生方ご存じかとも思いますけれども、法律の条文の中に時限的規定が入っておりまして、来年の12月31日が現在の法律の時限となっているところでございます。そういうこともありまして、おおむね10年ごとに改正が行われてきているところでございますが、今回、来年の国会に原賠法の改正案を出させていただく状況でございますので、この際、これを契機にいたしまして、原子力損害賠償制度のあり方全般についてご検討いただきたいという趣旨で、この検討会を発足させていただいた次第でございます。
 特に前回の法律改正、平成11年でございますけれども、その後にJCOの臨界事故が起こりまして、原賠法が初めて適用されるという状況もあったわけでございます。その際の経験につきましても、制度に適切に反映させていくということが重要だと考えております。したがいまして、法律改正事項を整理するとともに、運用に当たっての考え方についても取りまとめていただければと考えております。
 また、最近、原子力損害賠償制度にかかわります国際的な枠組みにつきましても動きがあるということでございます。原子力産業のグローバル化、周辺諸国の動向等も見据えながら、より長いスパンを見通して今後の検討の方向性についてもご議論をいただければと考えております。
 原子力損害賠償制度につきましては、趣旨は、万が一の原子力事故発生の際に被害者の迅速かつ万全な保護を図るということとともに、原子力事業の健全な発展に資するということを目的としているものでございます。原子力ルネッサンスと呼ばれる昨今でございます。地球環境問題、エネルギー資源の問題等への対応という観点から原子力が見直されている中でございますけれども、そういう状況の中で、原子力損害賠償制度を適切に運用を図っていくということが重要でございますので、今回の検討に当たりまして、先生方の有益なご示唆、ご意見等を賜れればと考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。

【山野原子力計画課長】

 それでは、今日は第1回目ということでございますから、今日ご出席の皆様をご紹介させていただきたいと思います。メンバー表につきましては資料の1−1の2ページ目についてございます。それと座席表もありますが、それにのっとりましてやります。
 では、まず天野委員。

【天野委員】

 科学技術振興機構の天野と申します。JCOの事故の当時、原子力局の損害賠償担当課長をしておりました。よろしくお願いします。

【山野原子力計画課長】

 続きまして、伊藤委員。

【伊藤委員】

 フリーキャスターをしております伊藤聡子と申します。私は原子力発電の現場とか世界の状況などは取材はさせていただいています。今回こういう法律の改正に当たりまして、私はマスコミに近いところにいますので、法律とともに、いかに国民の原子力に対する認識を上げていくかということもあわせて考えていかなきゃいけないと思っておりますので、そういうところも私なりに意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 では、岡本委員。

【岡本委員】

 東京大学の岡本と申します。専門は原子力熱流動とか原子炉安全工学といったことでございますが、私は実は東海村に住んでおりまして、JCOのときとか色々、実際その場にいたわけですけれども、原子力工学の面から、それから地元にいたということなども踏まえて、この会に色々意見を言わさせていただければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 続きまして、道垣内委員。

【道垣内委員】

 道垣内と申します。よろしくお願いいたします。早稲田大学の教授をしておりまして、専門は国際私法です。国境を越えて色々な法律問題が起きるものを対象にしておりますが、原子力の事故の本当に大きなものが起きますとその損害が国境を越えるわけで、ヨーロッパでは最初から国境を越える問題として考えられておりまして、そのような観点から少しでも貢献できればと思っています。よろしくお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 続きまして、野村豊弘委員。

【野村(豊)委員】

 学習院大学法学部で民法を担当しておりまして、損害賠償の基本的な考え方が民法の中に入っているということですので、どうぞよろしくお願いします。

【山野原子力計画課長】

 続きまして、野村正之委員、お願いします。

【野村(正)委員】

 野村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私は、昨年まで原研と機構で約10年間、安全管理を担当してまいりました。その間、JCOの事故も起きまして、原子力事業者として村等と色々ご協力をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 続きまして、藤田委員。

【藤田委員】

 東京大学の藤田でございます。専門が分かりにくいんですけれども、大規模損害の補償とか保険とかにも関わることもやっておりますので、その関係で参加させていただいております。どうかよろしくお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 村上委員。

【村上委員】

 東海村長の村上でございます。JCO臨界事故のときに村長2年目というようなことで当時翻弄されたわけですが、その経験を語るということでお話を受けましたので、参加することにいたしました。よろしくお願いしたいと思います。

【山野原子力計画課長】

 四元委員、お願いします。

【四元委員】

 弁護士の四元でございます。原子力とのつき合いは比較的長くて、弁護士になってからJCOの事故もあったんですけれども、そのときは安全委員会のほうでJCOの現場のほうにも参りまして、胸の非常に痛い、詰まるような思いをしたのを覚えております。よろしくお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 あわせまして、本件問題に非常に深い知見を有しておられるということで、下山先生と、本日はご欠席ですが、谷川久先生のお二人に顧問格ということで、大所高所からご意見を伺うということでお願いしてございます。本日は下山先生が来ておられます。

【下山顧問】

 下山でございます。ただいまご紹介いただきましたように、古きゃいいというものじゃないですけれども、この法律の制定の前から実は半世紀にわたってこれに関与していまして、事業者としてというよりも、むしろ現場については科学技術庁、条約については外務省と専らそういう仕事をやってまいりました。よろしくお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 また、本日は委員はご欠席でございますが、それぞれ日本電機工業会、原子力保険プール、また電事連の方からお三方がおいででございます。宮地様。

【宮地専門部長】

 日本電機工業会、宮地と申します。メーカーの代表として出席させていただきます。よろしくお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 次は、中井様。

【中井主管】

 日本原子力保険プールの中井と申します。この会議の席上の中でも、民間の保険の立場から制度を支えていくためにプール全体で取り組んでいきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 では、高橋様。

【高橋原子力部長】

 電気事業連合会の原子力部長の高橋でございます。事業者に非常にかかわりが深いというか、我々が実際に日々、事業を遂行する上で非常に必要なものでございますので、事業者の意見をしっかりまとめて、ここに反映をさせていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 どうもありがとうございました。
 また、慶應大学商学部の准教授でございます吉川先生も委員になってございますが、本日は都合がつかないということでご欠席でございます。
 それでは、議事に入りますが、議事次第の中で配付資料として1−1から1−8、また参考資料1ということで、9種類の資料があります。個々には確認はいたしませんが、もしも足らなかったらその場その場で言っていただければと思います。
 それでは、早速でございますが、議事に入らせていただきたいと思います。
 最初に、資料としましては1−1から1−3までを使いまして、冒頭のイントロダクションといいますか、検討会の趣旨とか議事運営の仕方につきまして、まず事務局から説明させていただきます。
 まず、資料の1−1でございますが、ここらについてはあまり説明する内容もございませんが、開催の趣旨ということにつきましては、原賠法を改正する時期に来ておるということが基本であって、ある意味今までと違うのは、この10年間の間にJCO事故があって、初めてこの法律が適用され、そのときの経験なんかも上手に教訓を吸い上げていきたいということでございます。そういうことで、こういう検討会を開催するということでございます。
 4.で議論の進め方とありますが、このとおりリジッドにやる必要もないんですが、色々な項目がございますので、後ほど説明しますけれども、法律改正に及ぶようなもの、また、JCOのときの教訓とかを踏まえて今後マニュアルみたいなものをつくったらどうかということも考えてございまして、そういうことにつきましては、若干時間的には後ろでいいかなと思われますので、そこらは臨機応変に対応していきたいと思ってございます。これが資料の1−1でございます。
 1−2でございますが、原子力に関する賠償制度ということで、原子力委員会という機関が内閣府にあるんですが、そちらのほうでもきちんとウォッチしていくということで、6月3日に1−2のペーパーを原子力委員会が決定してございます。内容は簡単なものですが、趣旨は、従来まではこういう原賠法の改正とかに当たりましては、例えば10年前なんかも原子力委員会のもとに専門部会を設置して議論してきたということでございますが、今回につきましては、その後の行革とか色々あったことなんかも踏まえるのと、ここにありますように、原賠法そのものが文科省の専管の所管であるというようなことから、文科省で検討してほしいということで、検討に当たりましては、ここにありますように、原賠法が初めて適用されたJCOの臨界事故の経験を反映するなど、国内外の動向を踏まえてきちんと検討を進めるべきであるということです。
 それと合わせまして、近年の世界的な原子力利用の拡大に伴い、我が国の原子力産業の国際展開が活発化していることを踏まえて、今回の改正に合わせて、後ほど説明しますが、原賠に関するような国際条約への対応の考え方も整理すべきであるということでございます。こういうこともちゃんと検討してほしいと原子力委員会の方から言われておるわけでございます。
 それで、ここでの検討結果につきましては、原子力委員会の方にも我々も報告しようと思っていますが、原子力委員会として適宜聴取するとともに、必要に応じて考え方を示していくということなので、上手に原子力委員会ともブリッジを張りながら、検討会を進めていきたいと思っています。それが1−2でございます。
 1−3でございますが、検討会の議事運営のやり方ということで、別に通常の検討会と変わったところはございませんので、簡単なものでございます。まず、第2条で、座長は委員の互選によるということで、この後すぐ互選をしたいと思いますが、検討会は座長が招集するというようなこと。また、3条では検討会の公開ということでございますが、本日もまさに公開されてございますが、検討会そのものも公開するとともに、使われた資料なんかも全部オープンでやりますということでございます。ただし書きで、個別利害に直結するようなものについてはそういうことはしないということなんですが、基本的には全部フルオープンでやりますということでございます。また、4条で、議事録も作成して、議事録そのものもインターネットなんかを通じて公開しますということでございます。そういうことなんで、毎回検討会が終わりましたら議事録をまとめまして、各委員の先生方にはお送りしますので、チェックしていただいた上で、それを公表するというようなことを考えてございます。
 最初でございますので、この1−3につきましては、決定しないといけないということで、事務局からの私の説明につきまして、何か質問であるとかコメントとかございましたら、お伺いしたいと思います。
 それでは、コメントもないようですので、1−3につきましてはこれでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【山野原子力計画課長】

 では、この1−3にのっとって運営をしていきたいと思います。
 となると、最初の案件といたしましては、今決めました運営規則に基づきまして座長の互選ということでございます。自薦・他薦も含めて、どなたか推薦ございますでしょうか。
 道垣内委員。

【道垣内委員】

 他薦でございますが、原子力損害賠償法も賠償法制の一部ですし、大学の内外で様々なお立場からこういう合議体の審議の円滑な運営にご経験が豊富な野村豊弘先生がよろしいんじゃないかと思いますが。

【山野原子力計画課長】

 ただ今、野村豊弘先生のご推薦がございましたが、野村先生御自身、また、他の委員の皆様、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【山野原子力計画課長】

 では、野村先生、よろしいですか。
 よろしくお願いします。

【野村座長】

 それでは、互選ということでお引き受けしたいと思います。私自身、先ほど申し上げましたように、本来民法が専門ということで、損害賠償の基礎的なことについてはある程度勉強していますけれども、原子力損害そのものについては、数年前から色々な研究会の場で下山先生や谷川先生からご指導いただいて勉強をしてはおりますが、皆さんの方がずっと知識が豊富だと思いますので、これから色々ご協力いただいて結論をまとめていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは早速、本日の予定の議題に入りたいと思いますが、議題2で、まず事務局から、原賠法に基づく我が国の原子力損害賠償制度の概要、国際的な動向やJCO臨界事故の際の対応について、ご説明をお願いしたいと思います。

【山野原子力計画課長】

 事務局から資料の1−4から1−7まで使いまして説明したいと思います。まず最初ということなんで、今後の議論のバックグラウンドとして、簡単に原賠制度とか、JCOのときの対応をまとめたものでございます。とりあえず現状につきまして、資料に基づきまして簡単に流したいと思います。
 まず、資料の1−4で、我が国の原子力損害賠償制度の概要ということでございますが、まず、関係法令といたしましては、ここにありますように、原賠法というのと補償契約法という2つの法律から成り立ってございます。それで、基本的な内容といたしましては、目的として、まず第一には当然被害者の保護ということなんですが、あらかじめ何か有事の際に備えて仕組みを用意しておくということで、事業者の健全な発展を図るという2つの目的でございます。
 それで、原子力損害に係る賠償責任ということでは、法律の3条にありますように、原子力事業者が賠償責任を負うということで、その際には故意・過失を問わずということで、無過失責任ということになってございます。合わせて、4条で、原子力事業者以外の者は賠償責任を負わないということ。また、限度額は特に規定がないということなので、無限責任ということでございます。そういうことで、まず何かあった際には原子力事業者が無過失責任で、かつ責任を集中するというような仕組みでございます。そのために、あらかじめ一定の賠償措置を義務づけるということでございます。
 それは下の図を見てもらった方が分かり易いと思いますが、何かあったというときに備えてなんですが、まず1つは、一般的な事故の場合、あと、自然災害、地震とか噴火とかの場合ということで分かれてございまして、一般的な事故の場合には、民間保険として責任保険を原子力事業者が結ぶことを義務づけており、地震とかの備えとしては、民間じゃなくて政府と政府補償契約を結ぶというような措置になってございます。戦争のような社会的動乱というような場合についてはちょっと違って、そういうときは原子力事業者ではなく政府がやるんだということになっておるわけでございます。
 そういう2つの保険で何かあったときに備えて、例えば発電所の場合には600億円の保険を結ぶことを原子力事業者は義務づけられておるということでございます。実際の場合は600億円で全部補償が済むかということにはならなくて、それ以上損害があった場合にも原子力事業者が負担を負うというのが仕組みでございます。法律上は、必要と認めるときは国が援助するというような規定もございます。それは図の上にありますが、16条にございまして、政府が援助するというような仕組みになっておるわけでございます。
 1ページめくっていただきますと、原賠法の適用範囲ということなんですが、原賠法における賠償責任ということは原子力事業者が運転等に際して原子力損害を与えた場合ということでございまして、原子力損害とはここにありますように、核分裂の過程とか放射線の作用により生じた損害と法律上定義されてございまして、作用と損害との関係に、いわゆる民法とかで言われております相当因果関係が立証できるかどうかが必要ということでございます。その場合には、対象に当たるということでございまして、たまたま原子力施設があるから、何もないのに風評被害が起きましたというようなことは当然対象じゃなくて、そういう放射線の作用等の関係において相当因果関係があるということが必要要件にあるということでございます。
 下の方の(3)ですが、手続としてはどのようなことになっているかということなんですが、平時、通常状態では、今言いましたように、それぞれ原子力事業者は民間保険としましては原子力保険プールというものがありますので、そこと契約。あと、補償契約については、政府との間でそれぞれ法律に基づく一定額の保険について結んでいるということでございます。
 実際、事故があったというような場合には、基本的には原子力事業者と被害者がそれぞれの当事者で交渉していくということなんですが、その際に法律上、和解の仲介をやる機関として国に原子力損害賠償紛争審査会を置くということになっているわけでございます。それとか、実際上、当事者でまとまらない場合には裁判になるというようなことでございます。
 また、保険の支払いにつきましては、原子力事業者とプールなり国との関係で、当然保険を結んでいるわけでございますから、必要な保険金や補償金を支払うということでございます。また、必要な場合には、国の方から原子力事業者に対して支援をするというようなことになるわけでございます。
 また、次のページですが、実際上、民間保険がどうなっているかといいますと、結構大きな額の保険になりますので、引き受け能力を大きくしていくということで、国内的にどこか一社の損保会社というんじゃなくて、そこらが協力した日本原子力保険プールというものが作られてございまして、そこを通して原子力事業者が契約するということでございます。それで、そのような仕組みが例えば欧州なり主要国でもありまして、それらのプール間で再保険をしていくということで、大きな額についての保険が成り立つような仕組みになっているということでございます。こういう仕組みですから、相場観として、どこかの国だけものすごく高いとかならずに、主要国間で大体同じぐらいの額に結果的になっていくという構造になっているということでございます。
 以上が簡単ですが1−4でございます。
 続きまして、1−5でございます。分かりやすく言いますと、今、賠償措置額は法律上は600億円ということになっているわけでございますが、ほかに120億円、20億円ということで、事業行為の形態に応じて3種類で運用しているわけでございます。わかりやすく言いますと、通常の1万キロワット以上の発電所とか再処理工場につきましては600億円ということでございます。あと、それよりも小さな研究炉みたいな原子炉でありますとか、右の方にいくと、一定量以上の濃縮ウランを使うとか、プルトニウムを使うような燃料加工工場とか濃縮工場とか使用とか、まだ実態上ないですが使用済み燃料の貯蔵とか、高レベルのガラス固化体の埋設──というのも実態上まだないですが、管理はあります。──そういうものの輸送については120億円です。また、それよりも小さな原子炉でありますとか、少量のウランとかプルトニウムの使用とか、低レベルの放射性廃棄物の埋設であるとか保管なんかにつきましては20億円というようなことで保険を掛けるというふうになってございます。それで、実際上、それぞれここに件数を書いていますけれども、これぐらいの事業者の件数で、それぞれ保険プールとの関係、政府との関係で保険が掛けられているというようなことでございます。
 ちなみに、1つのサイトに再処理工場もあれば濃縮もあれば何とかもあるというところは、一番高い賠償措置額で掛けるということになっておるわけでございます。こういうことが原子力事業者は義務づけられていて、保険を掛けているというようなことになってございます。
 次、1−6でございます。国際的にはどうなのかといいますと、今ここにありますように、3つの国際条約が存在しているということでございます。例えば日本のように島国と違って、欧州なんかは国境を接しているということがありますので、1つの国だけというのではなくて、原子力を始めた当初から越境で損害ということを念頭に置きながら、こういう条約がつくられてきたというような経緯もございます。ここにありますように、パリ条約、ウィーン条約、あと、まだ発効していませんけれども、原子力損害の補完的補償に関する条約、CSCと通常言われていますが、そういう3つの条約が今動いているということでございます。
 それぞれの条約に特徴もあるんですが、基本的には原則のところは同じでして、賠償責任を無過失責任とするとか、原子力事業者への責任集中、条約によって多少幅があるんですが、保険額の限度額の最低水準を定めているというようなこと、あと、裁判管轄権の設定なんかでございます。
 それぞれの特徴的なことを言いますと、まずパリ条約。これはOECDの場で議論されて採択されたものでございます。加入国は、ここにありますようにフランスとかドイツ、イタリアという欧州の昔の西側諸国が中心の条約でございます。結構古くからできてございまして、ここにありますように60年に採択されて、68年に発効したということでございます。また、最新では、2004年に改正条約が署名されているということなんですが、まだこれについては未発効でございます。
 特記事項としましては、さっき言いましたように、欧州の西側先進国の中で地域的な利害関係をどうしようということが原動力になったということでございます。
 また、最近の動きとしては、西側も東側も関係なく、今はEUということで東も含めて一緒になっているわけでございますので、今EU内では、ここにありますように13カ国がパリ条約に、9カ国がウィーン条約に入っていて、5カ国は何も入っていないという状況で、全体でどうしようというような動きが若干検討されてございます。
 ちなみに、最新の2004年の改正条約では、責任額が一番大きくなってございまして、7億EUROということになってございます。
 また、この改正条約では、原子力損害という定義の中で、環境汚染によって生じたものではない経済損失の規定はないので、見方によっては、要は環境汚染がないような経済損失ですから、感情的な風評被害は明確には含まれないんじゃないかというような議論も惹起してございます。
 次がウィーン条約。これはウィーンにありますIAEAを中心に議論されて、これも63年に採択されたということで、77年に発効してございます。ここの中心的な加盟国は、いわゆる中東欧と中南米の国が中心に34カ国が締約国になってございます。
 ここにつきましては、パリ条約よりも賠償限度額は低くて、現在では3億SDR、日本円にすると大体500億円ぐらいでございます。7億EUROは1,000億を超えていますから、加盟国のレベルもあるんですが、それに比べたら少し低いレベルで設定されてございます。
 次のCSC。これが一番新しいところでございまして、これは97年にIAEAで採択をされて、現在のところ、ここにありますように4カ国が締約国なんですが、まだ未発効です。今後日本に一番影響を与えるであろうと言われてございますのは、まさにアメリカがこの5月に批准をしたということでございます。それで、ここに発効要件がありますけれども、熱出力で合計4億キロワットということで、4カ国とかでは足りないということで、これを発効させようとすれば、日本も加盟すればこれを満たすという事情もあって、アメリカは日本に対して最近、入りませんかとかなりプレッシャーをかけてきておるという状況がございます。
 特記事項としましては、パリ条約とかというのはヨーロッパのリージョナルな仕組みなものですから、そういうことを前提に置いて、アメリカも日本も自国でそれぞれやってきた国内法を大前提に、何かあったときにお助け制度を作ろうというような発想でCSCというものが考えられて、例えば締約国のどこかで事故があった場合には、他の国も一定額の拠出金を出して助けましょうというような仕組みを念頭に置いて作られてございます。
 それで、規定の内容につきましては、どちらかといえばなるべく広くという発想もあるもんですから、少し限度額とかが低い方のウィーン条約の規定とかなり似通った規定で作られてございます。ただ、これにつきましては、今さっき言いましたように、まだ未発効ということでございます。
 次のページに模式的に書いていますが、色がついているパリ条約、ウィーン条約、それとCSCとあって、例えばパリとウィーンでも調整規定みたいなことを考えようということで、下の方にありますけれども、共同議定書を作っていくとか、パリ条約グループの中でも、あそこは西側先進国の近いところばかりですから、ブラッセル補足条約なんかをつくって、ここもヨーロッパなりのお助け制度を作っていこうという感じで、かなり重層的になってきてございます。
 それに対して、日本は今までこういう国際条約には加盟していないということでございまして、今後どうするかというのをこの検討会の場で合わせて、すぐに何とかというそんな簡単なものじゃないんですが、基本的な考え方を整理していければと考えてございます。これが1−6でございます。
 また全然違う話で1−7と参考の別紙もございますが、これがJCOのときの実際に動いた対応でございます。最初にわかりやすいように、時系列の方は1−7の次に別紙の2枚紙がありますので、まずどういうことが起きたかということをとりあえず時系列に並べたものでございまして、当時色々あった、まさに村上村長とか天野委員とかが色々と関わったこと──本当はここに表れない重要なことがあったんじゃなかろうかと思いますが──とりあえず時系列的にこんなことがあったんだという意味で簡単にまとめたものがこの別紙でございます。
 まず、9月30日の10時35分に臨界事故が発生したということでございます。それで、その当日に当然色々とあったわけでございますが、具体的なアクションとしては、まず、3時に村上村長の強い意向で350メートル圏内の避難要請をやり、あと、夜になって10キロ圏内の屋内退避、それは県レベルでございますが、そのような措置をとられた。それと並行して、一番重要な臨界をとめるということが、本日ご参加の野村先生ももしかしたらか関わっていたかも知れないですが、必死で現地の原研とかが中心となりながら色々やって、次の日の朝の6時14分に臨界は停止したということでございます。
 それに合わせて、これは当然、事故対応とかの方がものすごく大変だったと思うんですが、原賠だけの流れを言うと、例えば10月2日ぐらいで現地の農産物の出荷拒否なんかが出てきて、安全宣言が県の方で村上村長の依頼を受けて出されることになった。それで、4日にJCOの中で現地に相談窓口を設置して、とりあえず被害状況を受け付けるのみの窓口だったようでございますが、そういうことが行われたということでございます。
 それで、10月8日ぐらいから東海村では、農業委員会とかを中心に村内の農産物の被害等の状況調査を開始していき、それで、18日ぐらいになりますと、農産物損害賠償対策協議会の場からJCOに対して被害請求が行われたというようなことです。22日には、国のレベルでは、後ほどどんなことをやったかというのをご説明しますが、原子力調査研究会と紛争審査会が設置されるということでございます。
 それで、10月、11月と色々あったんですが、一番大きな動きとして、12月に入って、年内に何かしないともたないのではないか、年を越せないんじゃないかというようなこともあって、色々な動きが出てきてございます。例えば12月8日には、村主導で商工会が中心となって協議会みたいなものを作ったとか、県レベルでも対策室、連絡会議を作るとかということになってきたわけでございます。
 それで、12月11日の日にJCOが「補償等の考え方と基準」というものを示したんですが、ここに若干書いていますけれども、どうしてもJCOは加害者という立場になるものですから、彼らが示したものについては、色々な場で反感を受けて、結果的にものにならなかったということでございます。
 その流れで、水面下で色々あったんだと思いますが、12月13日にJCOの親会社の住友金属鉱山が補償はきちんとやりますと表明するようなことになってきたということで、12月15日にJCOの中で「交渉センター」と「相談センター」を作るとか、国の方では15日に原子力損害調査研究会が中間的な取りまとめをして、営業損害に対する基本的な考え方を示したところでございます。
 これらを受けるような形で、村、県レベルでそれぞれ、JCOの社長とか住金鉱山の社長との間で、請求額の半分を年内の12月中に仮払いするとか、村を越えるようなものについては県で受け付けるといった合意が行われたということでございまして、12月中に被害者とJCOという形ではなくて、村なり県なりがきちんとサポートというか、むしろ主体的にやるような形で物事が進んで、12月中に仮払いが行われたということでございます。
 12月30日の欄にありますけれども、その時点で件数としましては2,722件で、仮払いとしては53.6億円ぐらいの仮払いが行われたということでございます。
 1月に入って、当然補償額を確定していかなければいけないということで、そのための考え方がJCOと県レベル、JCOと村というところで、それぞれ確認書が締結されて、確定のための窓口が設置されてきて、2月の後半から3月にかけて、実際上の補償の確定作業というのが行われてございます。
 それで、3月31日の欄にございますが、ここにありますように、補償対象件数としてはその時点で6,520件で、この時点で未合意件数もあるんですが、合意件数としては92億円の補償が行われてございます。
 それで終わったわけではございませんで、その後、12年度におきましては、当時保険として掛けていたのはJCOみたいにある程度少量のウランとかしか使わないところは、補償額としましては10億円の保険を掛けていたので、10億円の保険金の支払いが保険プールからなされたというようなことでございます。
 また、右の方にありますけれども、紛争審査会には12年、13年にかけて2つの案件が持ち込まれ、それぞれについて和解の仲介作業としてかなりの件数の小委員会を開催したんですが、結果的には和解に至らず両方とも裁判まで行ったということでございます。
 また、左の方にありますけれども、結果的に言いますと、平成15年度までの間に10件の訴訟が提訴されたということでございます。現段階においては3件が係争中で、まだすべて終わっているわけじゃないということでございます。
 近々の3月31日現在の結果から言いますと、ここにありますように、補償対象件数は約7,000件で、金額としましては151.8億円というような形の補償が行われたという状況でございます。
 ここまで簡単に流しましたが、初めての経験だったので、おそらく村上村長なり下山さんなり天野さんなりみんなそうなんですが、ここに書いていないけれども、もっと重要なことが色々あるんだろうと思いますので、そういうことを今後この場でも教えていただいて、教訓は反映していくべきじゃないかと思います。
 1−7に戻りまして若干おさらいをいたしますと、1の事故の概要みたいなところは飛ばさせていただきますが、2で賠償対応の概要ですが、繰り返しになりますが、今言いましたJCOのケースというのが、この法律が36年にできて以降初めてのケースであったということでございます。
 それで、今さっき言いましたように賠償は全部で8,000件、150億円ぐらいで、請求の中では営業損害が一番多かった。要は売れなくなるとか、売り上げが落ちたとかでございますが、そういうものが7割から8割ぐらいあったということでございます。もちろん当初から決まっていたわけでもないんですが、年内に請求額の約2分の1を仮払いするというようなことをやって、それ以降、データがあるものはちゃんとデータで出してもらうとかをしながら確定作業を行って、和解の示談をしていったというようなことでございます。
 それで、その他に書いていますけれども、建前上は当事者であるJCOと被害者ということですが、実際上の場ではなかなか簡単にいかないので、例えば村については、村の役場の職員が横に陪席するというだけじゃなくて、むしろ主体的に交渉をまとめるような努力をしていただいたり、もっと広域なレベルでは県がお手伝いいただいて、実際に物事が動いたということでございます。
 また、そういう支払いに当たっては、当時、下山さんが座長を務めていただいた原子力損害調査研究会で損害認定の考え方を提示していただいて、そこである程度相場観の醸成につながったんじゃないかと言われてございます。
 次のページでございますが、これも繰り返しなので簡単に言いますが、JCOの対応ということでは、ここにありますように、やっぱり加害者ということでそんなに簡単じゃなくて、村とか県の支援がなかったらなかなかうまくいかなかったというようなことだろうと思います。
 あと、当時の関係者に色々聞くと、結果的に言うと、年内にとりあえず請求額の2分の1を仮払いするということで、交渉が迅速化して補償問題に見通しをつけることができたということで、当時のやり方をかなり評価する人が多いということでございます。
 東海村の対応につきましては、まさに被災者に最も近い立場ということなので、被害の取りまとめであるとか、色々な交渉の仲介役として非常に重要な役割を果たされたというようなことでございます。実際上、東海村内の賠償金の支払いにつきましては、東海村の職員がやっていただいたというようなことでございます。
 県のほうは、東海村以外の賠償関係の交渉なんかについて、かなり主体的な役割を担っていただいたということです。
 また、原子力保険プールは、原子力にかかわらず、賠償とかのプロフェッショナルでございますので、裏方として色々な事故の類型の内容を分析するとか、実際上、その保険についてJCOの内容を精査して、当時でいう10億円の全額を12年の5月までには全部支払ったというようなことでございます。
 次にいきますと、原子力損害調査研究会というものが、ある意味アドホックに、科技庁の委託を受けて当時の原産会議に作られて、下山さんをヘッドにして弁護士を中心に11人のメンバーで構成されて、具体的には営業損害の考え方、具体的に言いますと、どれぐらいのエリアを対象にすべきだとか、9月30日に事故が起きてからどれぐらいまでの時期のものを対象にすべきだとかの基本的な考え方を、それぞれここにありますように、身体の損傷つきまして考え方を整理したということでございます。
 この内容につきましては、実際上は杓子定規に運用するんじゃなくて、ある1つの基本的な考え方で、個別個別にはどうしても相当因果関係の立証が必要であるという考え方でまとめたわけでございます。当時のことを色々な人から聞きますと、第三者がニュートラルな立場でそういう相場観を示したということは、物事の動きに非常に役に立ったという評価が多いところでございます。
 次の(6)の紛争審査会。これは法律に基づいて設置する審査会でございまして、これも当然そのとき初めて立ち上がったわけでございます。これにつきましては、本日はご欠席でございますが、谷川さんが会長として学識経験者や弁護士等で構成され、マンデートとしましては裁判所じゃないですから、和解の仲介を行うということでございます。
 ここはどう評価するかというのは難しいので、結果的に言うと、2件が持ち込まれて、色々あったけれども、この紛争審査会の場では和解できずに裁判まで行ったということでございます。
 一応、事務局からの説明は以上でございます。原賠法の基本的な仕組みからJCOの時の話まであって、初めて聞いた人にはおそらく何のことかよく分からないところもあったと思うんですが、そういうJCOの時の話を聞くと、少しは臨場感というわけじゃないですけれども、こういうことが必要なんだなとご理解いただけたものと思います。冒頭の説明は以上でございます。

【野村座長】

 それでは、ただ今の事務局からの説明に関しまして、何かご質問等ございますでしょうか。制度の現状から事故処理の経緯まで色々と多岐にわたっていますけれども、何かご質問ございましたら。課長以外にも直接答えていただける方がたくさんおられますので。

【下山顧問】

 資料1−6ですけれども、2枚目のところにはもちろん表示がされているんですが、今後のCSCの議論をしていく上で、パリ条約のブラッセルの補足基金条約を1ページのところにもどこか、3つの系統ということになりますと、パリ条約とブラッセルが一緒のところへ書いておかれた方が、後々CSCの2階建ての議論をするときに便利なんじゃないかと思うんで、2枚目にありますけれども、一応この表示をされておいたらどうかなと。

【山野原子力計画課長】

 わかりました。

【野村座長】

 道垣内委員、どうぞ。

【道垣内委員】

 現状の認識なんですけれども、賠償措置額が随分低い20億の業者か相当あるわけですが、それらの業者の中に別の資産を違うロケーションに持っている業者と、一事業所しか持っていなくてそこで事故を起こすと資産がゼロになる、あるいはマイナスの資産になるような事業者とがあると思うんですね。このJCOというのは他の事業所があったのかどうかというのは知りませんけれども、たまたま親会社がいて、特にそこからお金が出てきたのでよかったわけですけれども、1つのサイトだけで事業をしていて20億しか持っていないような業者がどれくらいあるのかという統計といいますか、これが適用されている事業者のリストというんですか、それぞれの資産額みたいなのは調べようと思えば調べられるものなんでしょうか。

【相原係長】

 お手元の紙ファイルに、補足資料集の5ページ目になりますが、補償契約等を締結している事業所と金額というのが一覧になっておりまして、20億円の事業所というのはどれだけどこにありますというのは分かる状況にはなっておりますが、他方で、どれだけの資産を有しておるかというのは今手元では分からない状況になります。

【山野原子力計画課長】

 大体この資料を見ると、実際上、どれぐらいの資産があるかというのは、別に何かの資料を見れば、おそらくある程度は想像はつくと思うんです。だから、まさに5ページなんかがある意味一覧表ですね。

【道垣内委員】

 分かりました。といいますのは、IAEAの会議なんかに行きますと、アメリカの事業者は原子力発電所を1個だけ持っている業者がたくさんあって、そうすると、事故を起こすとゼロになるので、だからみんなの補償システムが意味があると。ただ、日本の場合には、電力会社については他にも資産がたくさんあるので、かつ無限責任ですと言って説得力があると思うんですが、小さい事業者については無限責任だと言ったところで絵に描いたもちなのでというか、資産額までしかしょせんないので、無限責任なんだから大丈夫ですという話には多分ならない。調べるのは大変かと思いますけれども、安心感というんですか、それを示すには、逆に足りないというならそのことを考えなきゃいけないわけですけれども。

【山野原子力計画課長】

 分かりました。1つはそれに対して直接的な回答になるかどうかというのはあるんですが、事業者に対して無限責任というものの法律上は一定の要件で国も支援しますとなっているんで、おそらく法の体系としては、分かりやすく言うと事業者がバンザイするような場合は、当然国がという仕組みに法律上はなっている。たまたまJCOのときは、極端なことを言うと150億払ったんだけれども、保険からは10億で、あとはJCOというよりも日本的な仕組みで親会社が出てきて片付けてくれたというような構造になっているということですね。ただ、それと難しいのは、JCOが払った150億全部が、この原賠法でいう原賠の世界なのか、若干迷惑料というか、慰謝料みたいなものも含めて払ったりもしているんで、そこらはグレーゾーンもあるんですが、そういうことかと思います。

【野村座長】

 他にご発言、いかがでしょうか。

【岡本委員】

 今のに関連して、そうすると、独立行政法人の位置づけが非常にあやふやになると思いますので、そのあたりが、後で議論すればいいと思うんですけれども、どこまでが独立行政法人が事業者として責任を持たなきゃいけないかというのが、いまいちはっきり定義されていないような気がするなというところですが、そこら辺は最終的に国が後ろにあるということでカバーされているという認識でよろしいんですか。

【山野原子力計画課長】

 基本的には、独立行政法人であろうが、純粋民間企業であろうが、何か起こしたときに被害者の救済という意味では差があるのはおかしいわけですから、一定額を掛けて、そのときのそれで済まないところというのは、保険で出て足らんところは、まず当事者が頑張れるだけ頑張って、頑張れないときには国が何とか……。いずれにしても、被災者の救済というのが目的ですから、そういう構造じゃなかろうかと思います。

【野村座長】

 今のご質問は……。

【岡本委員】

 いや、安心感をという話で。

【野村座長】

 保険を超える部分が政府の援助じゃなくて、国が直接の損害賠償責任を負うんじゃないかという、そういう趣旨ですか。

【岡本委員】

 いや、そこも国ではなくて、独立行政法人が負うんだと思うんですけれども。

【野村座長】

 それはそうでしょうけれども。

【岡本委員】

 そこら辺がちょっと二重構造になっているようなイメージがあったものですから、一般の会社と安心感という意味で違うのかなという気がしたもんですから、すみません。

【野村座長】

 他にいかがでしょうか。

【伊藤委員】

 何かあったときに払えなくなってしまったというときの国の援助というのは、どこまでというふうに決まっているんですか、それとも無限なんですか。

【山野原子力計画課長】

 そこは何も決まっていませんので、無限と言えば無限ですね。当然、原子力災害以外でも、例えば地震が起きてすごい状況になったと言えば、国がやることといったら補正予算を急遽組むとか、融資制度を使うとか、色々やると思うんですが、それのアナロジーじゃないかと思うんです。ただ、原子力の場合は、ある程度事業者ということで、あらかじめ保険も掛けさせるということがあって、事業者ができるだけは頑張りなさいというのがあるんですが、事業者がバンザイの状況になって、被災者がたくさんいるのに国は何もしませんというのは基本的にないんで、そこは上限がない世界だと思います。
 ただ、色々聞くと、JCOのときはそういう親会社が出てきたというのもあるし、さすがにバケツを使って何とかとか、明らかな過失の存在が明確な状況があって、国で支援という議論にはならなかったんですよね。

【天野委員】

 そうですね。ただ、色々な議論は当然ありましたよ。

【山野原子力計画課長】

 議論はあったんだと思うんですけれども、結果的にしていないというか、親会社が全部できたということですよね。ある意味で日本的な解決法だと思いますけどね。アメリカだと、親会社はむしろ補てんするんじゃなくて、むしろ資産を引き揚げるかも知れないですから、そこはかなり日本的な解決だったかも知れないですけれども、結果的に言うとそういうことで補償というのはきちんとできた。

【村上委員】

 もともと、賠償が保険プールによる支払いを超える場合は、政府が補償することになっていませんでしたか。原子力事業者は自分の資産の中で負担して、無限責任ということにはなってなかったんですかね。

【山野原子力計画課長】

 はい。ここについては当時から法律上ははいっていました。

【村上委員】

 JCOには支払い能力がなく、保険の10億円しかないんだと。それを超える場合は政府が補償するのだけれど、そのためには議決が必要だと聞いておったんですがね。だから、政府がどこまでやってくれるかも分からないというか不確定なところがありましたので、住友金属鉱山を抱き込んじゃおうというような考え方だったんですよね。

【野村座長】

 保険を超える賠償能力が現実になかったということじゃないですか、そのときに、JCOの本体そのものに。

【四元委員】

 12月13日でこの住友金属鉱山が自分で面倒を見ますといったときに、大体総額はこのくらいだというのは見えていたんですか。まあまあマックスで。

【天野委員】

 150億という最終的な数字は見えていませんでしたけれども。

【四元委員】

 オーダー100、200という、そのくらいかなというのは。

【天野委員】

 それは見えていました。

【四元委員】

 で、親が面倒を見られると。

【天野委員】

 はい。

【四元委員】

 疑問としては、今回政府は財政出動しなくて済んだんですけれども、もしするというのが前提であれば、おそらく最初から国が関与していかないと、迷惑料の支払いのようなものができにくくなって、一から全部和解交渉の関与をどうやってするんだろうというのは非常に疑問というか、今後どうするんだろうと思っております。今回は親会社が幸いなことにいたという結果オーライだったんですけれども。

【村上委員】

 政府については、住友金属鉱山が支払いに応じていくということを12月15日あたりに言って年内に仮払いするということになってきたときに、国会議決をやっているんですよね。

【天野委員】

 政府がというか、国会は議決になりました。

【村上委員】

 国会でね。政府は万全を期せということで、議決をやっているんですよね。それはそういう含みでやってもらったと。当時の内閣官房長官にやってもらったということで、だから、政府はそのときはもう出る覚悟は決めていたんじゃないですかね。

【道垣内委員】

 その決議は、原子力損害賠償法の16条2項の決議なんですか。

【天野委員】

 いや、そうではないです。

【道垣内委員】

 そうじゃないですよね。

【天野委員】

 ただし、ちゃんとやれという。

【四元委員】

 今回、16条の2項をやろうというのは、一度も最初から最後までそれはなかったわけですよね。

【天野委員】

 いや、議論は当然していました。

【四元委員】

 議論はしたけれども、正式にそれは何もなかったんですね。

【天野委員】

 何ができるかということは考えていました。

【山野原子力計画課長】

 おそらく当時だって、住友金属鉱山が出てきてもやっぱり足らないとか、色々と考えたでしょう。補正予算を急遽組むとかはあったんだと思います、そこそこは。

【四元委員】

 せざるを得なかったですよね。

【天野委員】

 当時考えていたのは、住友金属鉱山が何もしなくて、直ちに政府という案はだれも通らないだろうと思っていたと。

【下山顧問】

 でも、住友金属鉱山は、自分の責任じゃないし、法律上の義務ではないから、電力会社の場合はサイトに幾つもあって、その後も事業しなきゃならないかもしれないけれども、JCOの場合は1つしかないんだから、これはぶっつぶしてもあまり関係ないみたいなことを言っていた。ですが、それはおかしいじゃないかということで、原子力は東海全体の問題に波及することであって、どうJCOが始末するかによっては、今後の日本の原子力の開発に大きな影響を持つから考えるべきだということで、結局、親会社もそれで支援をすることになったと思うんですね。
 それから、先ほどの村上村長の話で、法律上は10億という損害賠償措置を超えて、かつ、この法律の目的を達成するために、つまり、被害者の保護と事業の育成という目的を達成するために政府が必要と認めるとき、つまり、認めるのは政府にあるんですね。ですから、非公式的には議論はあったけれども、政府はそういうプレゼンテーションを公式にはしていなかったですね。その前に親会社がやるんだったら、それで事態は収束するんじゃないかと。

【村上委員】

 そうですか。わかりました。

【山野原子力計画課長】

 だから、確かにJCOのときも発動もしていないんですが、今回、マニュアルみたいなのをまとめる際に、おそらくケース・バイ・ケースで、何かのときは絶対政府が何とかやってどうしますなんておそらく決めようがないんで、こういうことが考えられるというのがあれば、多少なりとも決め打ちじゃないけれども、まとめられるものはとりあえずまとめておきたいなと思います。
 ただ、ケース・バイ・ケースのところがあるんで、このときは絶対何かをやってどうのこうのまではなかなか難しいんだと思うんですが、例えばやり方としては補正予算を組むとか、どこかの融資制度を使うとか、そんなのがあれば書いておくとか。それとどういう場合とかというのもおそらく決めようがないんだと思うんですよ。明らかに例えば自然災害からきたようなものと、明らかに事業者のちょんぼか何かで始まったものでは、かなり違うと思うんですけどね。これはまとめられる範囲でまとめておければと思います。

【道垣内委員】

 最初に質問したときは、会社に資産が少しでもあれば、政府が出ていかないという前提で私は思っていて、本当に倒産しかないという段階で、その会社を国が資本ゼロにして買収するわけですが、本人の責任をまず果たさせた上でじゃないと、株主がまだ株主としての利益が残っているような状態で、国民一般が支援するということは法律は予定していないように思うんですけれども。それは書いてないので分かりませんが。

【天野委員】

 ただ、それはどうでしょうか。例えば借金の補償をすることも含めて、支援の仕方には色々あるんで、確かに国のお金を投ずるということだけが支援だと考えればそうですけれども、ここで言っている趣旨は必ずしもそれだけを指していないんじゃないかという気がしますけれども。

【山野原子力計画課長】

 そうですね。当然、確かにおっしゃったように、真水でやるだけじゃなくて、その会社がどこかから借金をする際の債務保証をするとか、幅があるんだと思うんですよね。どこか政府系の金融機関を使って融資をするとか、色々あるんだと思うんです。
 それと、おそらく難しい議論で、こういう事業者が倒産するかしないかというのも、原賠でもそうだし、安全規制とかの観点でも難しくなる。倒産して原子力事業者じゃなくなりましたと言って、原賠法の世界から無罪ということではないんですけれども、原賠法でいう原子力事業者じゃなくなりましたというのは、そうならないようなことというのは考えておかないといけないと思うんですね。

【天野委員】

 1ついいでしょうか。この検討会は損害賠償制度の在り方に関する検討会ですけれども、実際の事故が起きたときというのは、損害賠償の制度の運用の問題だけじゃなくて、周辺のことがかなりあるんだと思うんですよね。例えば損害の広がりを防止するとか。今回の検討会はそこまで対象に入るんですかね。

【山野原子力計画課長】

 一応どこまでかというのも検討すればいいのですが、例えばマニュアルとかをつくるときに賠償で一番大きいのは、言葉はいいか悪いか風評被害みたいな話なんですね。そうすれば、安全宣言みたいなのをどうやるかとか、そこらが一番初期のアクションとしては重要だと思うんです。そこらは検討の対象に入れたいなと。

【天野委員】

 分かりました。

【野村座長】

 そろそろ論点整理の方の話に、今の天野委員のお話も移ってきたようですけれども、それでは、色々まだご発言あろうかと思いますけれども、議題3に移っていただいて、原子力損害賠償制度に関する論点整理についてということで。まず、山野課長からご説明いただいて。

【山野原子力計画課長】

 資料の1−8でございますが、とりあえず今思いつくものを論点として事務局でまとめたものでございます。色々なカテゴリーがあるので、最終的なアウトプットのイメージとしては、ここにありますように、原賠法の法令改正により対応すべきものと、運用に当たってのマニュアルみたいなものとしてまとめていくもの、また、国際条約への対応の中で検討していくものと、そのような3つの出口を想定しながら最初から考えていくのが適当じゃないかと思ってございます。
 それで、色々な論点があるんですが、最初の方は法律的な話という非常に単純なんで、まず原賠法の適用期間という意味では、今の現行規定、右の方に条文もありますけれども、21年の12月31日で期限が切れる規定があるということですから、何かしないといけないと。これまではおおむね10年ごとに改正して、10年ずつ延長してきたという状況でございます。それで、単純に延長するというだけでなくて10年ごとというのは、結果から見ると、10年ごとに原賠法の体系をこういう感じでレビューするというようなことで、ある程度意味があったんじゃないかなと感じてございます。
 次の法律上検討しないといけない事項としては、賠償措置額をどうするかということでございまして、ここにありますように、昭和36年の制定時、一番大きな発電所という意味ですが、600億円は50億円から出発していて、そこからここの下の四角にありますように、50、60、100、300、600というような形で、これまで4度の引き上げが実施されてきてございます。その際の考え方としましては、国際水準を勘案しつつ、実際上、保険プールなんかでちゃんと引き受けられるかということも確認しながら、賠償措置額を設定してきているということでございます。
 国際水準という意味では、一番最初の資料にちょっとありましたように、実際上、保険プールなんかも再保険で国際マーケットの中でやっているもんですから、日本と欧州と大体結果的に同じぐらいになってきているというのが実情でございます。今600億円を今後どうしていくかということで、参考までに言いますと、3つの条約で、今の改正のパリ条約では、これはまだ改正そのものの方は発効はしていないんですが7億ユーロになっていて、改正ウィーン条約、CSC条約では3億SDR――SDRという単位なんですが、レートの見方にもちろんよりますが、ここにありますように、日本円になるとこれぐらいの額が賠償措置額になっているということでございます。
 それに関連して、次のポイントとしましては、少額措置額ということで、特例額を日本の場合は2段階設けているということでございます。今さっき言いましたように、600億円だけじゃなくて、120億円、20億円の2区分があるということでございます。これにつきましても、今までは一番上の引き上げ率とのバランスをとりながら、この下の方も同じように上げてきたということでございます。だから、今後の検討は、今後ともこういう2区分をちゃんと維持すべきかどうかとか、上げるとしたら上との関係でどう考えていくかということでございます。ここらの額については政令できちんと定めるというような整理になっておるわけでございます。
 合わせて、下の方の箱に補足とありますけれども、細かい話で、従来から問題提起をされている論点として、単純に言うと、大きい原子炉は600億円となっているんですが、実際、解体していくものは本当に600億円のままでいいのかというようなことがあって、例えばここにありますように、原子力船「むつ」の炉心なんていうのは、燃料も取り外して展示館に入っているんですが、それもいまだに600億円かかっているというような事例があるわけで、そういうものについては解体に合わせて使用済み燃料が抜き出されたかどうかとか、サイトからなくなったかどうかとか、それに合わせて低減化を考えたらいいじゃないかという、かなりごもっともだと思うんですが、こういうことも検討したらどうかというようなことでございます。
 次のページに参りますと、補償料率ということで、保険プールと結んでいる責任保険との関係はまさに民間ですから、それぞれそれに適正な保険料率が設定されておるということなんですが、政府と結ぶ方の補償契約につきましては、法律上は損害の発生の見込みと国の事務取扱費等を勘案して定める料率ということで、補償料率としましては政令で今1万分の5とされておるということでございます。単純に言うと600億円の人は、それを掛けると年間3,000万円の補償料を支払っておるというのが実情でございます。これにつきまして、実は制度が昭和30年代にできた以降、一度も万分の5というのは変更していないというようなことがございます。だけれども、限度額はどんどん上がっているということなんで、ここについてもそういう発生の見込みとか色々なことを勘案して、妥当であれば補償料率の変更なんかについても、保険の制度のある意味の常識とかに照らして考えたらどうかというような問題提起をする人もおるということでございます。
 次は、罰則でございます。原賠法の賠償措置なしに運転したとか、そういう人には当然罰則がかかるわけですが、ここの規定については従来から安全規制の体系である原子炉等規制法とのバランスを考慮して罰金とかの規定が改正されているということで、最近、原子炉等規制法で、事業者のデータ改ざんとか色々問題があったもんですから、ここらの罰則がかなり大きくされてございますが、そことの並びを見ながら検討していく必要があろうということでございます。
 以上が明確に法律に絡むような話でございまして、あとの話は専ら基本的には指針のような話とか、法令的にやるというんだったら法令でという話でございます。
 まず1つは、原賠法の適用の考え方ということでございまして、国際条約なんかでは、内容的にはそれぞれふわっとしているんですが、損害を列挙して定義しているのに対して、日本の原賠法では原子力損害というのは2条で定義されていて、放射線の作用により生じた損害と書いていますけれども、こういう定義をされているということで、実際上は相当因果関係の有無によって損害かどうかを判断するというようなことになってございます。
 ということなんですが、こういう解釈の幅もあるんで、杓子定規に定義とはこういうもんだということまではできなくても、ある程度原賠法を適用されるときの閾値というか、適用に当たっての考え方をある程度整理しておいたらどうかというような問題提起でございます。
 次が、特にJCOの事故を踏まえて教訓を吸い出していって、今後に残していくものについては水平展開したらどうかというようなことでございまして、まず第1が、原子力事業者や地方自治体、国なんかの基本的役割とか連携方策について整理したらどうかということでございます。繰り返しになりますが、JCOの際にはJCOだけでは無理で、県とか村とか保険プールなんかの役割がかなり大きかったというようなこと、また、国では紛争審査会とか調査研究会なんかを設置して色々やったということがあるんで、こうした話のうちある程度一般化できるものは一般化した形で、今後につなげていったらどうかというようなことでございます。JCOのときの話は今さっき言いましたから、繰り返しません。
 次のページに参りますと、次は紛争審査会、これはさっき言いましたように国に置かれる、これもまさに法律上明記されていて、そういう場合には和解の仲介を行う組織として紛争審査会を置くということになっておるわけでございます。ただ、当時としては2件持ち込まれて、下の小委員会なんかは28回ぐらいやったんだけれども、結果的には裁判まで行った。こういうところに来るというのはかなり極端な例が来るというのももちろんあるんですが、結果的には和解せずに裁判まで行ったというようなことがあって、ここの紛争審査会の在り方とか運用の仕方について検討したらどうかということでございます。
 次の(3)が損害認定の考え方ということで、JCOの際には、繰り返しになりますが、原子力損害調査研究会というものが設置されて、そこで被害認定に当たっての距離的概念とか時間的概念とか、あと、精神的障害みたいなものは含めるのか、含まれないのかというようなこととかをかなりまとめてございます。そういうことで今後に活かせるものは活かしていくとか、こういう機能というのが今後絶対必要であろうというのであれば、それはどういうところがやったらいいかというようなことを議論していきたいということでございます。
 また、その他としては、ここは色々あろうかと思いますが、損害発生状況の迅速な把握方法とか、関係者の連携・協力方法とか、あとはものすごく事務的な話ですと、何千件もあるんですけれども、当時は当然ながら被害の提出様式みたいなのも何もない状況でやっておるわけですからは、整理できるものは整理して、ひな形みたいなものはある程度作っておいたらどうかということでございます。
 次の問題は国際条約への対応ということなんですが、3つあるんですが、じゃ、日本としてどうするんだということをある程度検討しておきたいということでございます。意見としましては、パリ条約というのはヨーロッパの条約だからということで、なかなか日本がというわけでもないという意味で、あるとしたらCSCについては、今後、日本だけじゃなくて韓国、中国、今後の東南アジアも含め、どこもこういう国際条約に入っていないわけなんですが、今後そこらの展開も踏まえながら考えられるとしたら、CSC条約は考え得るんじゃないかというような議論もあるということでございます。
 また、一方、CSC条約に入ろうとすると、お助け制度というのはビルドインされていますから、日本じゃないどこかで事故があったときに、日本からも拠出金を提供するとか、そういう仕組みがある。じゃあ、その拠出金はだれが用意するんだというようなこととかそんな簡単じゃないですし、あと、原子力損害の定義の問題とか、これに入るといったら、はい、分かりましたというわけじゃなくて、入ろうとしても色々クリアしないといけない課題があるんで、そういう課題なんかもきちんと整理していったらどうかということと、単純にアメリカが言うから入りましょうというんじゃなくて、入るための条件として、日本だけ入っても仕方なくて、韓国や中国はどうするかとか、そういうことを考えながらやらないといかんであろうということも踏まえて、入るに当たってもバウンダリコンディションを議論してまとめておったらいいんじゃないかなと思ってございます。
 色々なアイテム、重いもの、軽いもの、色々あるんですが、今事務局として整理した今後の論点整理としては以上でございます。

【野村座長】

 それでは、本日、第1回目の検討会ということでございますので、ただいまの事務局の説明に基づきまして、今後の検討のポイントなどについてフリーにディスカッションを残りの時間でしていただければと思いますので、どなたからでもご自由にご発言を。どうぞ。

【岡本委員】

 どこでもよろしいということですので、廃止措置の話が1ページ目の下のほうの補足の中に書いてあるんですけれども、これはちょうど2年前に法律が改正されて、廃止措置が届け出から事前の認可に変わって、規制の体系も変わってまいりました。そういう観点というのは法律のほうも全く同じ議論をしていて、原子炉等規制法の方も同じ議論をしていて、インベントリの少ないものは規制を合理化していった方がいいだろうということでやられていますので、これについては同様の考え方で、議論をすることが必要かと書いてございますけれども、議論の俎上にのっけていただいた方がよろしいんじゃないかと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

【村上委員】

 私の方も、このJCOの体験を踏まえてということで出ておりますが、被害者の立場からすれば国に期待するところは多いので、国の役割というのは1項目立ててお考えいただけないかなということですね。論点の1つに頭出しをしていただけないかなという気がいたします。今までの原賠法でも、保険の金額を超えた場合、あるいはその企業の責任の問題を超えた場合と、その場合の国というのが出てきますけれども、そのあたり、もう少し安心できるようにお願いしたいなと思います。
 もともと損害賠償問題が起きたときに、県と村がどう関わるべきかというようなことがあったわけですが、県の方は最初は民民の問題には不介入というようなことを言っていたわけですが、そんなことはないだろうということで、村の方は積極的に当初から介入していったということがありますが、こういうときの県なり地方自治体なりがどう対応するかということは、問題を長引かせないでスムーズに解決していく上では必要かなと。
 昔の水俣のチッソの問題はありますが、あのままだらだらということには原子力の場合にはならないというふうに期待しておりますが、そこの問題も、JCOの体験に基づいてということだけでももう少し頭出しいただけないかなという感じがしますね。

【野村座長】

 他にいかがでしょうか。

【村上委員】

 あと、原賠法の適用の考え方で、いわゆる相当因果関係の有無のとらえ方、これはものすごく難しいんで、できるだけそういう問題については明記された方がいいと、山野課長のさっきの話を聞いていてそう思いました。相当因果関係というと、風評被害の場合はどう因果関係をとるかということがありますからね。
 柏崎と茨城県で違っているのは、柏崎は地震の原因で起きているんで、風評被害については損害賠償の問題は起きていませんが、JCOのときには自ら起こした事故ということで、それが風評被害になったということで損害賠償の請求に行ったわけですが、柏崎の場合は損害賠償は出ていませんですよね。出ていますか。

【山野原子力計画課長】

 柏崎の場合は、原賠法との関係では、あれは解釈として、確かにプールからちょっと水が漏れましたとかありますけれども、それが直ちに人体に影響があるとか、解釈として放射線の作用により生じた損害という原賠法の世界には当たらないということで、原賠法の対象にはならないというような整理でとらえているということでございます。

【野村座長】

 どうぞ。

【藤田委員】

 今の点とちょっと違うんですけれども、最初のところで123と書かれて、今後の国際条約への対応というのと、1で原賠法の法令改正により対応すべきものと分けておられるんですが、国際条約、CSCに仮に入ると、法令そのものに手をつけなきゃいけないところが必ずあるはずなので、そうなると、今回の法令改正ではCSCとの関係で要求されることはとりあえずは取り扱わないという前提なんでしょうか。

【山野原子力計画課長】

 そこは、まさに期限が切れるという話というのは、次の通常国会に絶対やらんといかんと。だから、CSCは取り扱わないというんじゃなくて、おそらくそんな簡単じゃなかろうから、検討期間が必要となるのではと考えているんですが、当然、CSCの議論の中で今後のことを考えて、今回取り込んでおいたらよかろうものについては、当然入り得るということなんですが、結論が出ていくタイミングがちょっと違うかなと考えています。当然、CSCに入ろうとしたら、かなり法律事項が存在する可能性がある。まず何が存在するのかというのを整理して、それを今後どうやってこなしていくのかというのがまず必要かなと思っています。

【藤田委員】

 さっきの原賠の相当因果関係は、もしCSCに入れば、多分あれに合わせた定義にしなきゃいけないし、少なくとも解釈はそれと一致するようにしなきゃいけないようになるんですよね。最終的にそれを終着点に見ているんであれば、相当因果関係の整理の仕方の中でも、それは念頭に置きながらということに当然なっていくというか、その整理の仕方を全く違う整理をしちゃうと後で困りますから、その辺が何か関係が分からないまま、今相当因果関係を議論されたんで。
 実はCSCでは、相当因果関係は触れられていなくて、費目の方で押さえているんですが、実はこの費目として押えられているものを日本の裁判所は相当因果関係で絞っているんで、実は機能的には同じなので問題は含まれているのかなと。概念的にちょっと注意が必要だなと。

【野村座長】

 多分3条の定義規定を見直さざるを得なくなるということだと思うんですよね。

【藤田委員】

 そうですね。

【野村座長】

 だから、この表のところの国際条約への対応のところのその他のところだけまるが入っているんですけれども、これをほんとうに議論し出したら、法令のところにもまるを入れておかなくちゃいけないんじゃないかという、多分そういうあれだと思うんですけれども。

【藤田委員】

 1つはそれですね。仮に今の報告ではこういうことでいいんだとしても、そのときに全く将来のことを考えずにいかないでしょうねということですね。
 ついでに申し上げますと、もしCSCなんかの定義に合わせると、回復措置とかに国の関与が前提となっていますので、そこの仕組みもつくらないと定義はワークしなくなる、原子力損害にならなくなったりするということもありますので、単純に因果関係以外のことも手をつけなきゃいけなくなる。

【野村座長】

 ほかに何か。

【岡本委員】

 ちょっと教えてもらいたいんですが、今のCSCの話なんですが、このCSCに入る、入らないという話は、ここの委員会以外にどこか別のところで検討されてはいるんですか。

【山野原子力計画課長】

 オフィシャルベースでは検討されてないですね。

【岡本委員】

 となると、ここで何らかのアウトプットを出さないと、10年間またとまっちゃうということですか。

【山野原子力計画課長】

 いや、それは全然関係ないです。期限が切れるとかというのは、極端なことを言えば10年ごとに来るんですけれども、CSCに入るかどうかというのは、入らんといけなくなったら、入るに当たって国内法を直さないといけないということになれば、いつでもやらなければならないということになります。

【岡本委員】

 ということになると、ここはCSCを従にとるんじゃなくて、主の目的の1つに置いて考えるのか、それとも今先生が言われたように従の目的として考えるのかということのどちらかということなんですが。

【山野原子力計画課長】

 そこはマトリックスを書いたときに、ある程度時間軸も入れて考えた場合に、期限が切れますという話はすぐ決断するという話と、CSCについてはある程度時間軸としては、色々な人が色々なことを言うんだけれども、きちんと日本としてどうするんだという議論もあまりされていないところがあるんで、そのきっかけとしてきちんと議論をして、今後どうしていくんだと。それ当たってはアクションプラン的に言うと、こういう項目を詰めないといけませんとか、入ろうとしたら、まさにこういう事項を今の国内法との関係で齟齬がありますなとかをまず詰めないことには、単純に入る入らないの議論も始まらないんで、そういうことをきちんと詰めてみると、将来の検討課題みたいなやつも出てくるでしょうし、基本的な考え方ですよね。そもそも議論して入る必要がないといえば、別に何もしなくていいんですが、そういうことも含めて一度ちゃんと議論したらいいんじゃないかと。

【岡本委員】

 という位置付けですね。分かりました。位置付けが明確になりました。

【高橋原子力部長】

 この検討会のアウトプットとしては、何か報告書をまとめられるつもりがあるんでしょうか。法律改正という近場の話と、少し中長期的な話を一緒に整理をして、検討した背景についてはしっかり報告書に残して形で残すとか、そういう形でやっていかないと、多分時間軸等の兼ね合いで言うと、色々悩みが出てくるかなと。

【山野原子力計画課長】

 そうですね。そこはおそらく取りまとめの仕方も臨機応変にやればいいんですが、非常に単純に言うと、法律を改正しないといけないような話は早目にまとめて、あとはCSCについてはその中では今後こういうことを検討しましょうとか、マニュアルについてはこういう項目でつくっていきましょうということで、出口も2段なのか3段なのか、時期を踏まえて2段ロケットか3段ロケットみたいな感じでやっていくということだと思います。

【下山顧問】

 CSCとの関係では、、この原賠法を改正するときに、例えば少額賠償措置の問題なんかはどう考えるか、原子力損害はさっき出ましたけれども、それは非常に難しいんですけれども、その辺は損害賠償措置の問題を考えていくと、国の援助とか補償との問題とも関係がないわけじゃないし、色々な議論が出てくると思うんですね。。

【山野原子力計画課長】

 そうですね。それぞれの課題によっては簡単な課題と、実は一言で書いてあるけれども、ものすごい重い課題があるわけで、今、下山先生が言ったような少額なものとか、例えばCSCに入ろうとすれば、ミニマムリクワイアメントは3億SDRということで500億円ぐらいだと。じゃ、20億円とか120億円の人を全部500億円にするのかといえば、おそらくそんな簡単に、はい、分かりましたにならないんだと思うんですよね。だから、かなり簡単じゃないんだと思うんですけれども、そういう課題をあぶり出して、それを今後どういう方向で検討するかというのを整理していかないと、いつまでたっても議論がトートロジーというか、半分エモーショナルな議論だけで進んでいくようになるんで、そういう整理をとりあえずまずしたいなということでございます。

【下山顧問】

 そういう意味で、先ほどあなたが言われたのは非常に大事で、今当面しなきゃいけないのは、中長期的にどうしても後の問題として考えておかなきゃならない問題と、そういう2つがあると思うんですね。それは大事なことだと思います。

【野村座長】

 ほかにご発言、いかがでしょうか。

【野村委員】

 今のご議論は、資料1−1の4の議論の進め方、これを再確認するということですね。

【藤田委員】

 これは、ただ短期的なものを主として念頭に置いているように読めますね。

【道垣内委員】

 今の条約の関係で一言、よろしゅうございますでしょうか。
 原子力損害賠償法のあり方を考える中で条約を考えるのは難しいと思うんですね。というのは、日本国の制度としてはほぼ問題ないので、ただ若干難しいところはありますけれども、そんなにはおかしくはなくて、しかも事業者はたくさんいるので、もしファンドが必要だというのであれば、国内でつくることだってできるくらいの業者がたくさんいる国なんですが、これからベトナムが例えば原子力発電所をつくりますなんていうことになると、その国の保険の負担能力はあまり多くはないでしょうし、さらにそれでは全然足りないとすると、ないわけですよね。仲間がいないので、そうすると、このCSCなんてのがみんなからもらえるので意味があると。そういうことをベトナムが入った方がいいと日本が考えるかどうか。ベトナムを説得するためには日本も入った方がいいと。アメリカは自分の国では全然問題は思っていないので、アメリカが輸出するために入っているわけですから、原子力損害賠償法の枠組みではないですね、そもそも。ですから、メーカーの方もいらっしゃっていますが、メーカーの問題なので、ここでの議論としては難しい。インセンティブがないというのは文科省のお立場だと当然そうだと思うので、日本の電力会社もベトナムがどうするかというのは全然関心もない。何か技術供与があるかもしれませんが、そんなことよりはメーカーが何か物を売るという方が大きな話なので、場の設定としてそれをまぜて話を進めるというのは難しいかなと思っています。

【山野原子力計画課長】

 そうですね。場の設定というか、そういう意味で電工会にも代表者に入っていただいて、電工会ですべての輸出メーカーが入っているかというのではないんですけれども入っているのと、それだけでは条約に国として入ろうとすると、当然第三国との関係でどうかというインセンティブというのはもちろん考えないといけない非常に大きな要素なんですけれども、それと、かつ条約に入ることによって、国として国内としてオブリゲーションを負うことがあって、そことの関係の整理というのもまずないとできなくて、そこが結構簡単じゃないなというところがあるんです。ただ、確かにアメリカのように、彼らが言うことを聞くと、メーカー主導で色々インセンティブを持ってやっておるようなんですが、そういう感じを日本ではメーカーサイドが持っておるかどうかも含めて、宮地さんが首振っているから、ないのかも知れません。そういうことも重要な要素として、すぐイエス・ノーと決められなくても、検討するに当たっての何かの条件として考えていかんといけないのじゃないかなと思っています。

【下山顧問】

 ただ、今、アメリカの場合は、上にカナダがあって下にメキシコだけですから、国際的な問題としては相互にバイラテラルでカナダとの間をやっているんですが、ただ、メーカーでもなく事業者でもなくて、例えば中国の事故があったときに日本がかぶるとか、韓国にどうとか、そういう場合に国際的な越境損害についてどうやるのか、それについて先ほどの裁判管轄権とか、適用法規とかいうような問題、そういうのはメーカーがどうだからとか事業者がじゃなくて、国としてどう今後の原子力開発等の推進で考えるのかという視点がもう一つあるんじゃないか。したがって、メーカーが嫌だ、事業者が嫌だといっても、お国が必要だというのだってあるんじゃないかという感じがしているんで、あまりメリット・デメリットという議論よりは、お国としてどうしようかなという視点があってしかるべきなんじゃないかと思うんですね。

【宮地専門部長】

 今先生がおっしゃられたのは、日本が加盟するその条件として、例えば中国、韓国等、近隣諸国が一緒に入れば、越境損害がカバーできるということですね。

【下山顧問】

 日本だけ入ってもあまり意味がないんで。ただ、他の人も入りなさいというために、自分が入らないで他の人、入りなさいと言われたら、どの程度重要に考えるかということが1つのポイントだろうと思いますけどね。

【山野原子力計画課長】

 そうですね。別に日米だけの関係で考える必要はなくて、むしろおそらく重要なのは、おっしゃるように、韓国や中国らがどうするかを考えないと、別に日本だけ入っても、ある意味で見れば意味がないんで、入るに当たっては近隣諸国との関係をどう構築していくかとか、それも非常に重要な条件になってくるんだと思います。

【伊藤委員】

 基本的な条約の認識についてなんですけれども、例えば近隣で事故が起きた場合、こちらに被害が及ぼされる影響というのもあるわけですよね。そうすると、批准している国がそこを助けなくてはいけないというものもあると先ほど伺ったので、被害を受けながら、なおかつ拠出金も出すみたいなことが起きるということですか。

【下山顧問】

 理屈の上ではそうでしょうね。

【伊藤委員】

 多分、そうすると日本が出すことの方がほとんど多くなるということになりますよね。どうなんでしょう、認識としては。

【下山顧問】

 それはどう考えるかで、起こっちゃったことを考えるのか、リスクという点で用意をするということだったら、当然、熱出力で拠出金が決まりますから、多くのものを持っているところが当然リスクは多くあるということなんでしょう。
 その他に今おっしゃられたような問題はあるんですよ。アメリカでは例えば国が自分で出すんじゃなくて、メーカーにみんな後で奉加帳を配って集めるんですね。国は持たないんですよ。ですから、先ほどの輸出のためだということがメーンになると合理性を持つわけです。じゃ、日本が何をインセンティブにしてやるかということがあるわけですよね。色々なケースがあるわけですね。輸出したメーカーの機械の瑕疵で起こる場合もあるし、当然、日本の電機事業炉が何かを起こしたときもあるし、全く関係がなくて、どこか第三国でブラジルの辺でやったのをお金を出さなきゃならない、それがこの条約の前提になっていますから、どこがやったとかじゃなくて、先ほど山野さんがおっしゃるように相互扶助システムみたいになっていて、どこにあれするかというと、世界の原子力発電を今後推進するのか、それをサポートするかということに、この条約自身も関係しているわけでして、損害賠償という後ろ向きのことだけじゃなくて、今後原子力立国とか国際的な、今、メーカーさんも盛んに色々考えを出しているけれども、そういうものをどうやってサポートするか。そのインフラの1つとして、条約もどうするかという考え方のほうが私は大事で、あまり法的な問題であっちが責任がある、こっちがある、こっちが損する、あっちが得するというのは、ちょっと視点が適切でないんじゃないかなと。

【高橋原子力部長】

 目的論と論点の整理ぐらいはここでやっておく必要があるような気がしていて、僕らなんかの感じでは、輸出のときにニュークリアライアビリティーをどういうふうに考えるかということだから、最終的にはメーカーさん、しっかり考えてよというところに行きそうな感じがするんですけれども、多分入り口論としては、相互補助の関係から広い視点で考えていかなきゃいけないんで、そこの整理はやっておいた方がいいような感じがいたしますけれども、いかがでしょう。

【下山顧問】

 だから、こういうものというのは、アメリカでもそうだけれども、だれかプロモーターがいないとね。そういう意味では、先ほどのあれじゃないけれども、輸出される方がこうだもんね。

【宮地専門部長】

 アメリカでは、負担金の具体的な拠出方法が決まっていないと聞いております。例えば、負担がアメリカから第三国への輸出額で決められるとすると、濃縮ウランを販売しているUSECの負担割合が高くなるという話もあります。いずれにしても、負担の仕組みも分かっていないので、詳細検討できる段階になっておりません。

【下山顧問】

 3年以内に作ることになっていますから、やがて出てくると思います。

【宮地専門部長】

 おっしゃるとおりです。

【下山顧問】

 現状で考えればダブったり、色々なことがあるんですけれども、それはやがて所作事として片づいていくことだろう。しかし、目的とか本筋の話はせざるを得ないという感じですね。

【高橋原子力部長】

 だけど、日本に5つのメーカーのうち3つあるわけだから、逆に言えば、あんまりアメリカを見てというよりは、自分たちが国際的なアライアンスの中でしっかり考えて、こういうところにどういうふうにフィードバックをかけていくのかというようなことを考えるような時期のような感じがいたしますけどね。あんまり言うと、事業者はどうだと言われて終わっちゃうんで。

【道垣内委員】

 先月、IAEAに行ったんですけれども、まさにアメリカはせっかく原子力ルネッサンスという時代になって、関係者にとってはよいめぐりになっているので、そこをちゃんと支えるシステムとしてCSCはあるんだということを随分言って、メーカーのこととかいうことではなく、宣伝の言い方なので、そこの安全の安心感を広めていく土俵としてCSCが最もよいと。ですから、さっきEUの中でみんながパリ条約の新しい方に入るという話についてもアメリカは反対していて、それこそCSCにみんな入るべきだということを言っているので、彼らはその方向で頑張っている。アメリカに言わせると、なぜ日本がアメリカと違う考え方をするのか分からないと。ほとんどの条件は同じじゃないかということを言っているので、そうお考えになるかどうか、同じ会社じゃないかというのもあるかも知れません。そういう状況ではないかと思います。

【野村座長】

 ほかにいかがでしょうか。
 特にご発言なければ、ほぼ定刻が参りましたので、本日の会議は以上にしたいと思いますけれども、事務局から。

【山野原子力計画課長】

 次回は、既にご案内していると思いますが、6月17日の15時から17時ということで、お願いしています。また、第3回、第4回の日程の設定については、1枚紙の資料が配られていますので、そこに都合の悪いところを書いていただいて、置いていただくなり事務局に渡していただければ、また一番いいウインドーで設定したいと思います。
 それと、次の第2回目は、まず1つとしてJCOのときの教訓というのをどう出していくかということがあるんで、僣越ながら、当時のまさに当事者でひどい目に遭われた村上村長と天野委員、あと、原子力保険プールから教訓にできるような事項を中心に、当時のことをご報告いただくようなことも考えています。
 合わせて、事務局から当時の紛争審査会とか調査会の話については、下山先生とか谷川先生とかにも聞きながら、事務局で資料を作るか、1つ出発点として当時の教訓というのをまず一遍集めることを次回はやりたいと思います。

【野村座長】

 どうもありがとうございました。
 それでは、以上で第1回の原子力損害賠償制度に関する検討会を閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

─了─

(研究開発局原子力計画課)