防災教育は、学校や地域のみならず、様々な機会・場を通じて、1.それぞれが暮らす地域の、災害・社会の特性や防災科学技術等についての知識を備え、減災のために事前に必要な準備をする能力、2.自然災害から身を守り、被災した場合でもその後の生活を乗り切る能力、3.進んで他の人々や地域の安全を支えることができる能力、4.災害からの復興を成し遂げ、安全・安心な社会を構築する能力、といった「 生きる力」を涵養し、能動的に防災に対応することのできる人材を育成するために行われるものである。
防災教育の目的として(1)で掲げたような人材を育成していくためには、防災教育の受けて側である児童・生徒や地域住民等に対する教育内容・方法の充実や教育に携わる人材等の育成など、様々な支援方策に取り組んでいくことが必要である。その際、以下の3点を防災教育支援の基本的な考え方とする。
防災教育支援は、「(1)防災教育の目的」で掲げた1.~4.の能力を有する人材を育成するため、学校や地域等において行われる防災教育の取組に対して、様々な支援方策を講じていくことを目的とする。特に、自然災害に対する正しい理解を進めるため、大学や研究機関等が有する防災科学技術の研究成果等を、社会的知見との関わりを視座に置きつつ、活用していくための取組等を積極的に推進することを基本とする。
防災教育支援を通じて、生徒や地域住民等の防災への関心を高めるとともに、自治体・企業等の防災意識を涵養することにより、社会全体で防災を学ぶことへの動機付けを図る。また、学校の教職員や地域防災リーダー等のうち、防災教育に関心の低い層に対して、防災教育の重要性について気づいてもらい、防災教育に携わるきっかけづくりをするとともに、実際に取り組んでいる層に対しても、その取組の充実・強化、それに係る負担の軽減のための方策等を講じることにより、継続的な取組を進めるための魅力づくりをする。これらの活動を通じて、国民全体の防災への自発的・能動的な取組を促すこととする。
我が国は、自然災害と共に暮らしてきた経験や教訓をもとに、暮らしを守るために先人が遺した知恵や工夫の集積である「災害文化」とも言うべき知識を築いてきている。このため、防災教育支援を通じて、防災のノウハウや対応策のみならず、「災害文化」に最新の知見を反映し、現代の科学技術と融合させながら、持続的に発展させ、浸透を図る。また、自然現象を災害の面からのみ捉えるのではなく、併せてその恵みについての理解を深めることにより、自然と共生する能力を有する人材の育成を支援する。
研究開発局地震防災研究課