地震及び火山噴火予知研究計画に関する外部評価委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成19年6月14日(木曜日) 15時~17時

2.場所

三田共用会議所3階 第3特別会議室

3.議題

  1. 外部評価について
  2. その他

4.配付資料

  • 資料1 地震及び火山噴火予知研究計画に関する外部評価委員会(第2回)議事概要(案)
  • 資料2‐1 外部評価委員会における主な意見(第1回及び第2回)(地震予知のための新たな観測研究計画(第2次))
  • 資料2‐2 外部評価委員会における主な意見(第1回及び第2回)(第7次火山噴火予知計画)
  • 資料3 外部評価報告書(案)
  • 資料4 外部評価報告書(案)に対する意見一覧(PDF:171KB)

5.議事概要

(1)外部評価について

 冒頭、事務局より前回会議以降の作業経過として、第2回会議までの意見を踏まえた外部評価報告書(たたき台)を各委員に照会し、提出された修正意見(資料4)に基づき検討したものを外部評価報告書(案)(資料3)として用意した旨の説明があった。

a)報告書の全体構成について

 報告書の全体構成について、事務局より資料3に基づき説明があり、審議の結果、了承された。

b)地震予知のための新たな観測研究計画(第2次)

 事務局より、資料3及び資料4に基づき説明があり、その後意見交換を行った。
 主な意見は以下のとおり。

【委員】
 7ページ「定量的予知の可能性」との記述があるが、「定量的予知」についてはっきり書いた方がよいと考えるので、「可能性」を削除してはどうか。

【委員】
 海底地震計の表現が修正されているが、被評価者の意見を踏まえて変更したのか。

【委員】
 「若手研究者が膨大な観測データの解析業務に多くの時間を割いている」という問題を解決するため、若手研究者を増やすべきということは適切な解決方法ではないのではないか。解析業務を行う体制を整備すべきという記述にした方がよいと考える。

【委員】
 若手研究者の養成は根本的な問題であり、どこかに言及すべきである。

【委員】
 若手研究者が解析業務に膨大な時間を割いているため、研究補助者をきちんと配置しなければならない、ということが一つ。一方人材の育成が弱かったことを踏まえ、大学院教育の充実と若手研究者のポストを確保しなければならない。二つの話を一つのパラグラフで書いているためわかりにくい。 別のパラグラフで言及してはどうか。

【委員】
 技術職員をいかに確保するかが問題。何らかの具体的な対策を講じなければならない。また、若者が目指す魅力ある分野にしていかなければならない。この二つは全く別のものである。

c)第7次火山噴火予知計画

 事務局より、資料3及び資料4に基づき説明があり、その後意見交換を行った。
 主な意見は以下のとおり。

【委員】
 「個々の火山」という表現が気になる。火山について共通の現象を探るという発想の研究が大事だということが言いたいが、「個々の」という表現が目立ってしまっている。

【委員】
 火山の場合は、火山という場の理解、マグマはどのようにできるのかという基礎的な理解の研究である。地震においても基礎的な部分が理解されておらず、地震と火山は一連の現象であるという視点は必要ではないか。地震には水が深く関わっているということが言われているが、高温高圧下では、水とマグマの区別はなくなる。同じ応力場で同じ水循環の地殻現象であり、根本的な理解を目指すことは、予知という具体的な目標に向かっても重要なことであると考える。このことが別に記述されているのが気になる。限られた人的物的資源を有効に使うという観点からも重要である。ぜひこの視点を盛り込んでもらいたい。

【委員】
 総評に盛り込むのがよいのではないか。

【事務局】
 地震予知研究や火山噴火予知研究という狭い分野を超えて、固体地球物理学あるいは地球内部物理学の目指すべき大きな課題である。これまでの火山噴火予知研究は、もっと視野が狭く、研究者がそれぞれ得意とする研究が個別に行われていた。個別の火山でも総合化の視点が足りなかった。火山の部分で具体的に総合化という視点を外部評価で指摘いただければ、意義のあることであり、今後の大きなポイントになる。

【委員】
 個々の火山の成果は高いが、全体的な視点がない。

【委員】
 地震と火山噴火の連携について考えていた。大学においては、両分野を研究している研究者が増えている。地震予知計画と火山噴火予知計画が、将来的に一つにまとまるという方向性を示せないか。

【委員】
 地震と火山の計画を一緒にすべきとは明言できないが、今後はそのようなことも考えていかなければならないだろう。

【委員】
 報告書に、そういう視点を盛り込むべきだと考える。

【委員】
 今後の課題として評価委員の共通理解を得ている内陸地震については、マグマの動きが深く関わっており、そのような点からも火山分野との連携を強調すべきと考える。

【委員】
 資料4、コメント21について社会との関わりの部分等で趣旨を盛り込むようにしたい。

【委員】
 資料4、コメント22について、防災関係者との密接な連携は、火山や噴火の「可能性」についてではなく、その「被害の程度」について必須であるという趣旨であり、表現を修正していただきたい。

d)総評

 事務局より、資料3に基づき説明があり、その後意見交換を行った。
 主な意見は以下のとおり。

【委員】
 全体に関して、研究者の層の薄さが問題となっているが、予算の獲得、人員の確保等、個々の研究機関で取り組むのではなく、基本的には国が責任を負うべきだと考える。地方分権が推進されているが、基礎的な研究を含め防災については国が責任もって取り組んでほしい。その点について触れて欲しい。

【委員】
 総合科学技術会議の大きなターゲットの一つに「安全・安心な社会」があり、国が推進すべき分野である。そのような分野であるにも関わらず、地方分権の推進により、地方自治体によって考え方に温度差が生じる場合もある。国がやるべき事は国がやるということは重要である。

【委員】
 これまでの研究と社会の関わりは弱く、国民への周知・広報が足りず、十分理解を得られていないのではないか。研究者と防災関係者が密接に連携すると記述されているが、具体性に欠けるという不安要素がある。

【委員】
 地震については基盤観測網が整備され、成果があがっているのに対し、火山の監視・観測体制の維持は危機的状況にあり、より強い表現にすべきである。

【委員】
 スマトラ沖地震発生時、環太平洋地域では知識や設備を持っていたにも関わらず、活用できなかった。国際性について盛り込むべきではないか。

【委員】
 構成について、「今後の計画の在り方に関する意見・提言」の地震と火山の柱立ての項目に統一性がない。火山における「今後の観測・監視体制の在り方」は、問題意識を強調するためにこのままでよいと思う。

【委員】
 地震予知計画は、1980年代においては、関東地方や東海地方等、地域ごとに研究を進めてきていたが、現在はモデル検証型に変わっている。国際性について言及されていないのは、日本における地震の観測が骨格となっているからである。地震の発生メカニズムを研究するとなれば、国際性についても自然と触れることとなる。火山については個々の火山を研究対象としている傾向が強い。次期計画に向け、モデル検証型へシフトすることを探る必要があるのではないか。

【委員】
 地震と火山の共通性、社会との関わり、防災についての国の責任について、盛り込む方向で検討する。

 審議の結果、外部評価報告書は、委員からの意見を踏まえて修文を検討することとし、その取扱いは主査一任とすることについて、了承された。

以上

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研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)