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最終的な目標は達成できたか
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本プロジェクトの目標が、機器開発の側面より、成層圏プラットフォームに関する魅力ある利用アプリケーションの実現性見極めにあったのであるから、飛行船が未完である以上、達成できなかったといわざるを得ない。通信放送ミッション機器の開発目標は概ね達成できたが、最終の搭載用実証機開発で試されるべき項目も多く(消費電力、電源重さ、耐環境)、継続して最後の山を越えることが重要である。 |
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当初からの目的である、高速無線アクセス、移動体通信、ディジタル放送のシステムに必要な技術開発目標は、それぞれ十分に達成している。
しかし、成層圏プラットフォームとしての長期運用・維持メンテナンスまで含めた実用化に必要な総合判断に必要なデータは十分に得られていない。これは、当該プロジェクトの性格から、通信・放送ミッションの研究開発のみでは達成し得ないことであるため、プロジェクト全体として評価されるべき観点である。 |
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十分な技術的知見及びデータが得られたか
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数回の実験では、データ蓄積は不十分。 |
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総合的な成層圏プラットフォームとしての、長期運用データは十分とは言えないが、個々のシステムの機能と性能の評価は十分行われ、技術的知見と必要なデータ取得は十分行われたと評価できる。 |
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研究開発の費用対効果は妥当であったか
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本プロジェクトの目標が、機器開発の側面より、成層圏プラットフォームに関する魅力ある利用アプリケーションの実現性見極めにあった。妥当な予算配分を執行し所望の成果を挙げた。しかし、最終の搭載用実証機開発で試されるべき項目も多く(消費電力、電源重さ、耐環境)、継続して最後の山を越えることが重要である。今後、実証機を含め運用試験にこそ費用が発生すべきである。 |
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新しいコンセプトに基づく、チャレンジ要素の極めて大きい研究開発であるが、他の研究開発成果や過去に蓄積された技術データが十二分に活用されて、研究開発が実施されているため、投入された費用は必要最小限であったと評価できる。そのため、費用対効果は高く評価できる。 |
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論文・特許等の新しい知の創出に貢献したか
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多くはないが、プロジェクト担当者の実務は高く評価したい。論文特許のみならず、国際的な共同研究のリーダシップ貢献、ITUなどの活動をどのように評価するか、この種のチャレンジングな大プロジェクトの経験が少ない日本での評価システムも見直すべき。 |
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オリジナル論文15件、国際会議発表45件、標準化奇書20件、特許14件、その他多数の口頭発表などが行われており、大きな知的成果を挙げている。 |
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当初予期しなかった副次的効果はあったか
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予想を確認する位置つけのテーマが多かった。ソーラープレーン実験などでの思いもよらぬ遠方局の干渉の観測は、干渉低減のアンテナ技術の重要性が再確認されたばかりでなく、成層圏飛行船の特長である広い視界を改めて確認する機会となっている。 |
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日本での成層圏プラットフォームプロジェクトに刺激されて、他の先進国においても同様の狙いのプロジェクトが立ち上がり、あるいは企画されている事は、プロジェクトとしての副次的効果である。
また、通信・放送ミッションについては、日本からの勧告文書によって成層圏または高高度での通信形態が電波周波数分配の対象として設定されたことは高く評価できる。 |
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成果の他分野への波及効果はあったか
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魅力あるアプリケーションの実現可能性を探っているわけであり、波及効果の見積もりはプロジェクト開始時の予想と変わらぬであろうが、今後の推進をはかるためにも、地上ディジタル放送の経済効果だけでも、再計算する価値が出てきている。
海外でも、デジタルデバイド解消へ向けて、成層圏への関心が高まってきている。日本でも過疎過密に伴いデジタルデバイドは急速に進んでおり、衛星も含めて成層圏プラットフォームの推進力となり得ると思われ、今後の施策への示唆に富んでいる。 |
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航空機など、高高度のワイヤレス通信サービスは今後の重要な課題の一つであり、この研究開発で得られた成果は、それらの分野に種々の波及効果がある。
また、プラットフォーム全体を効果的に用い大口径アンテナによる新たな可能性の示唆などの今後の可能性への波及効果も大きい。 |
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その他
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魅力あるアプリケーションの実現可能性を探っているわけであり、波及効果の見積もりはプロジェクト開始時の予想と変わらぬであろうが、今後の推進をはかるためにも、地上ディジタル放送の経済効果だけでも、再計算する価値が出てきている。
海外でも、デジタルデバイド解消へ向けて、成層圏への関心が高まってきている。日本でも過疎過密に伴いデジタルデバイドは急速に進んでおり、衛星も含めて成層圏プラットフォームの推進力となり得ると思われ、今後の施策への示唆に富んでいる。 |
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