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原子力二法人統合準備会議

2003年9月3日 議事録
第15回   原子力二法人統合準備会議議事録

第15回   原子力二法人統合準備会議



日  時  2003年9月3日(水)   10:00〜

場  所  霞が関東京会館「シルバースタールーム」


原子力二法人統合準備会議(第15回)議事録


1. 日時   2003年9月3日(水)10:00〜

2. 場所   霞が関東京會舘シルバースタールーム

3. 出席者
(座長) 渡海文部科学大臣
(副座長) 大野文部科学大臣政務官
(有識者) 青木利晴   (株)NTTデータ取締役相談役
秋元勇巳   三菱マテリアル(株)取締役相談役
秋山守   (財)エネルギー総合工学研究所理事長
熊谷信昭   大阪大学名誉教授
兒島伊佐美   電気事業連合会副会長(東京電力取締役)
小林庄一郎   関西電力(株)顧問
住田健二   大阪大学名誉教授(元日本原子力学会会長)
伊達宗之   大阪大学名誉教授   
田中豊蔵   ジャーナリスト
畚野信義   (株)国際電気通信基礎技術研究所代表取締役社長
(法人) 齋藤伸三   日本原子力研究所理事長
都甲泰正   核燃料サイクル開発機構
(文部科学 省)  結城文部科学審議官、石川研究振興局長、坂田研究開発局長、瀬山大臣官房審議官、丸山大臣官房審議官、木谷審議官

4. 議事
(1) 開会
(2) 「新法人設立に向けての先行的取組」について
(3) 「原子力二法人の統合に関する報告書(案)」について
(4) 「新法人への期待」ついて
(5) 閉会

5. 配付資料
資料1. 新法人設立に向けての先行的取組について
資料2. 原子力二法人の統合に関する報告書(案)
資料3. 新法人への期待
資料4. 第14回原子力二法人統合準備会議議事録


   渡辺原子力課長   それでは定刻となりましたので、始めさせていただきます。
   私、事務局をやっております文部科学省研究開発局原子力課長の渡辺でございます。

   丸山官房審議官   それではいつものとおり開会に当たりまして、座長の渡海副大臣から一言ご挨拶を申し上げます。
   よろしくお願いします。

   渡海副大臣   一言ご挨拶を申し上げますが、大変お忙しい中ご出席をいただきまして、ありがとうございました。
   いよいよ大詰めに入ったわけでございますけれども、本日は秋山委員のほうでお取りまとめをいただいております件につきまして、皆さんにご報告をさせていただきまして、闊達なご議論をいただきたい、というふうに思っております。
   これは私の独断でございますが、当初は案文を読み上げるというふうなことも考えていたわけでございますけれども、あらかじめ皆さんのお手元にお届けをしている、そのように事務局のほうから聞いておりますので、その作業はできるだけ簡略化させていただきまして、ご議論を十分していただこう、そんな今日の会議にさせていただいております。いつものように闊達なご意見をいただきまして、最終的なまとめということに結び付けたい、というふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
   ちょっと前後いたしましたが、秋山委員には7月以来、本当にご苦労いただきまして、ありがとうございます。また、今回の取りまとめに当たりましては、別にお3方の委員にもお手伝いをいただいております。この件も感謝を申し上げる次第でございます。
   それでは開会をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

   丸山官房審議官   副大臣、どうもありがとうございました。
   それでは議題に入らせていただく前に、7月の下旬から8月の1日にかけまして事務局に若干の人事異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
   文部科学審議官が間宮から結城、研究開発局長が白川から坂田、大臣官房審議官の坂田に替わりまして瀬山、それから研究開発局担当審議官の素川が木谷に異動をしてございます。
   時間がありませんので、簡単に一言ずつご挨拶をさせていただきたいと存じます。

   結城文部科学審議官   間宮前文部科学審議官の後任の、官房長から就任いたしました結城でございます。
   原子力行政は昔ずいぶん長くやっておりましたので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

   坂田研究開発局長   研究開発局長に就任いたしました坂田です。
   私は昨年の1月からずっとこの会議に出させていただいております。座る場所がちょっとずつ変わっているだけでございますので、引き続きよろしくお願いいたします。

   瀬山大臣官房審議官   坂田局長の後任で官房審議官を拝命しました瀬山でございます。
   原子力は両局の経験者でございます。よろしくお願い申し上げます。

   木谷審議官   研究開発局の審議官を拝命いたしました木谷でございます。
   こちらに来る前は高等教育局担当の審議官をしておりました。どうぞよろしくお願いいたします。

   丸山官房審議官   どうもありがとうございました。
   それでは本日の議事に入らせていただきます。
   まず事務局から本日の配布資料を確認してください。

   渡辺原子力課長   それでは本日の配布資料を確認させていただきます。
   (資料確認)

   丸山官房審議官   それでは報告書の議論に入ります前に、この会議でも宿題になっておりました新法人に設立に向けての先行的取組について両法人からご報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

   斎藤伸三委員   それでは「資料第1号」に基づきましてご説明させていただきます。
   本日の報告書に「7.新法人の統合による融合相乗効果と効率化、合理化」という章がございまして、その中の(4)で新法人設立に向けての先行的取組という記述がございます。この取組につきましてはこれまでご説明してまいってきております。また、例えば融合研究とか、コンピューターシステムの効率的・統一的なシステム利用とか、あるいはバックエンド部門の連携による廃止措置・放射性廃棄物処理処分計画等の一体的検討、あるいは100名を超す人事交流などについてこれまでご説明させていただいてきております。本日は、直近の大きな課題として3つの問題についてご説明させていただきたい、というふうに思っております。
   なお、最初に付け加えさせていただきますが、これらの問題につきましても、私ども両法人の理事長が共同議長となりまして、三役から成る新法人設立準備に関する最高意思決定機関「統合推進会議」というものを設置いたしまして、すべてその下において一体的に責任をもって進めてまいる所存でございます。
   それでは3項目についてご説明させていただきます。
   まず最初に「1.次世代原子力システム実用化に向けた研究開発の一元的な取組」でございます。高速増殖炉をはじめといたします革新炉及び関連いたします核燃料サイクル技術に関する次世代原子力システム技術の実用化に向けた研究開発を新法人設立時から一体的に推進するために、次世代原子力システムに係る研究開発戦略を検討いたします次世代原子力システム推進部会という合同組織を、ここには平成15年度と書いてございますが、私どもの今の心づもりでは10月にも設置してまいりたい、というふうに考えております。
   この組織におきましては、国のご指導をいただき、また産業界からの意見もいただきまして、我が国における次世代の原子力システムを実現するための基本戦略及び研究開発の中長期的な計画を検討してまいりたい、というふうに今、計画してございます。また、この問題に国にとっても大きな課題であると認識しておりますので、当然次期原子力長計会計においても議論されることであろうということで、これに向けた検討作業も進めてまいりたい、というふうに思っております。
   なお、この推進組織におきましては、プロジェクト研究と基礎・基盤研究の連携強化の在り方あるいは核燃料サイクル技術に関する産業界の技術移転の在り方、こういったことも含めて戦略的に討論を進めてまいりたい、というふうに思っております。
   次は「2.放射性廃棄物処理処分研究開発等の一元的な取組」でございます。この廃棄物処理処分研究開発につきましては、両法人がこの研究のために、人的資源も含めて、今まで持っております研究資源を有効活用いたしまして、効率的に進めていこう、ということを考えております。
   研究の内容といたしましては、地質環境に関する研究、処分技術に関する研究、総合的な安全評価に関する研究等がございます。そして、これらは高レベル廃棄物から低レベル廃棄物まで共通のものもあり、あるいは個別的な課題もあろうかと思いますが、新法人の役割といたしましては、安全規制に対する支援、処分事業に対する支援、そして当然私ども二法人の有する廃棄物の処理処分に関するものというような位置付けで、これらの研究開発を一体的に進めていく合同組織をやはり10月をめどに設置したい、というふうに考えております。
   この検討に際しましては、必要に応じまして当然、保安院等規制当局あるいは事業者などのお考えも伺い、調整させていただく、というつもりでございます。
   そして、「3.原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物処理処分に向けての一元的な取組」でございます。これは既に既設でございまして、私ども自らの原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処分について、いかに効率的に進めていくか、あるいは両者で有しております廃棄物の処分すべき総量、費用の見積もりということを今まで進めてまいってきてわけでございます。今後とも廃棄物量の精査あるいは廃棄体処理施設の具体化検討、それから前者とも関係いたしますが、これに関する研究開発の進め方、処分事業の推進に向けた検討、こういったことを行いますとともに、原子力施設の廃止措置を効率的に合理的に行っていく技術開発についても検討を行い、新法人の中期計画策定に反映してまいる予定でございます。
   この廃止措置につきましては、既に私ども原研では動力試験炉(JPDR)での経験がございまして、これを生かしまして解体計画検討の計算プログラム、CSMARDというものを開発しております。これは民間のほうにも技術移転しておりますし、「ふげん」の廃止措置にも活用されておりまして、これを用いまして廃止措置の評価、すなわち、作業手順とか、人工数とか、その作業者の被ばく線量あるいは廃棄物の発生量、こういったものの見積もり等を行っております。
   また、私どものJR-2という重水冷却減速の研究炉も廃止に向かっておりますが、こういった経験も相互に「ふげん」の廃止措置と情報交換し、相互乗り入れで合理的に効果的に進めていこう、というふうに考えております。
   そのほか、再処理施設につきましても、昭和43年、我が国で初めてプルトニウムを抽出いたしましたパイロットプラントの再処理特別研究棟がございます。これは平成8年から既に廃止措置に入っておりまして、平成16年に終わる予定でございます。こういった経験も今後の東海工場の再処理の廃止措置には十分生かすようにしていきたい、というふうに考えている次第でございます。
   以上、簡単でございますが、「資料第1号」についての説明とされていただきます。ありがとうございました。

   丸山官房審議官   斎藤理事長、どうもありがとうございました。
   それではただいまのご説明に対しまして、委員の先生から何かご意見、ご質問等ございますでしょうか。
   それでは、先ほどご説明にもありましたとおり、報告書の議論の中にもこの先行的取組は出てまいりますので、またそちらのほうとの関連でご意見等ありましたら、いただきたいと存じます。
   今、大野大臣政務官がお見えになりましたので、一言ご挨拶をさせていただきたいと存じます。

   大野大臣政務官   皆さん、おはようございます。
   せっかく定刻にお集まりをいただいておりますのに、遅参をいたしまして、誠に申し訳なく思っております。
   今回は、秋山先生からこれまでの作業のご報告、起草の取りまとめなどをいただいたことに対しまして、心から感謝を申し上げますと同時に、ご報告をいただきますことにもお礼を申し上げる次第でございます。
   実は私、先般、那珂、東海、大洗、この地域の原子力研究所並びにサイクル機構の施設を見せていただきました。それぞれ新しい時代に対応すべく職員の皆さん方が熱心にお取り組みいただいておりまして、こうした日本人の統合準備会議における皆さん方の熱心なご審議に対しまして、私ども現場の皆さん方を通じてさらにこの進め方の大事さを痛感いたしたところでもございます。
   今日もまた委員の皆さん方から忌憚のないご意見をいただきながら、報告書の取りまとめ案ができますならば大変ありがたいと思っているところでございます。いつもながらでございますが、皆さん方の活発なご意見を期待したいと思います。
   遅参いたしましたことを重ねてお詫び申し上げ、ご挨拶といたします。
   ありがとうございます。

   丸山官房審議官   どうもありがとうございました。
   それでは今日の中心の議題でございます原子力二法人の統合に関する報告書についてご審議をいただきたいと存じますが、先ほど渡海副大臣のご挨拶にもありましたとおり、秋山先生を中心に7月、8月と暑い中、大変精力的に作業をいただきました。秋山先生からこの報告書についてご報告をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

   秋山守委員   ご紹介ありがとうございました。
   本日これからご審議をちょうだいいたします「原子力二法人の統合に関する報告書(案)」でございますが、秋元先生、兒島先生、住田裕子先生、そして私の4名を中心といたしまして、委員の先生方の大変なご指導、ご協力をちょうだいしながら、これまで本会議でいただきましたご意見を基本といたしまして、さらに作業会の方々、また支援、協力をくださいました外部有識者の方々のご意見等も踏まえた上で、本日ご確認いただくような報告書(案)を取りまとめさせていただいた次第でございます。
   それでは、恐縮でございますが、内容等につきましては事務局からご説明をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いいたします。

   渡辺原子力課長   それでは内容につきましてご説明をいたしたいと思います。「資料第2号」に基づきまして、ご説明を申し上げます。ポイントだけかいつまんでご説明申し上げます。
   最初は目次でございますが、目次をめくっていただいて、1ページは〈検討の経緯〉ということで、事務的に過去の経緯が書いてございまして、去年の8月に「基本報告」が取りまとめられた後、秋山守委員を中心とする有識者や関係者の協力によってこの「原子力二法人の統合に関する報告書」を取りまとめるに至った、という経緯が書いてございます。
   2ページは「1.基本認識」でございます。原子力の研究、開発、利用の必要性あるいは過去の二法人の実績などについて書かせていただいているところでございます。
   4ページにまいりますと、「(3)原子力とりまく環境の変化」ということで、皆さん御存じのとおり、「最近、原子力を巡ります非常に厳しい情勢がある」ということを書かせていただくとともに、「人材等の基盤に対する支障を来す恐れがある」というようなことが書かれております。
   5ページは「(4)新法人の設立の意義」ということで、「原子力二法人の統合を原子力の研究、開発及び利用を推進する上で必要不可欠な原子力に対する国民の信頼を回復する転換点とする」ということで、それを「重要な機会と積極的に捉えるべきであると考える」というふうに書かれているところでございます。
   6ページにまいりまして、「2.新法人設立の基本理念」ということで幾つか書かれてございます。
   まず「(1)原子力研究開発の国際的な中核的拠点(Center of Excellent)の実現」ということでございます。「研究開発の実施機関として中核的拠点の役割を担うことが求められる」ということでございますが、それらに加えまして、「新法人は、国内にあっては、産業、大学、地域、行政における原子力に関する活動を支え、かつ、その発展に貢献することが望まれる」「また、国際的にも、国際核不拡散のための諸活動に対し、技術面、人材面において積極的に参加し、貢献することが望まれる」というようなことが書かれてございます。
   続きまして、「(2)原子力安全研究の着実な推進などによる国の政策への貢献」ということで、「原子力委員会の策定する『原子力安全研究年次計画』等に基づく研究成果を活用することにより、国の原子力安全規制や原子力防災対策などを支援することが強く求められる」ということが書かれてございます。
   これも重要な問題として、「(3)自らの安全確保の徹底と立地地域との共生」ということで、「立地地域と共に発展することに最善を尽くす必要がある」というふうに書かれてございます。
   その次が「(4)行政改革の観点による事業の整理合理化と効率化、活性化の推進」でございます。この原子力二法人の統合は、いわゆる「特殊法人等整理合理化計画」に基づき実施されるものでございます。「事業の見直しや固定経費の抑制・削減など管理部門等の重複部門の簡素化・スリム化を徹底して行い、研究施設や設備の相互利用や整理合理化・廃止などを行う」ということが書かれてございます。ただ、これにつきましては、「このような整理合理化等は、それが組織の能力や構成員の意欲の減退につながるようなことがあってはならない」ということも書かれているところでございます。
   8ページは「(5)効率的・効果的な経営・業務運営体制の構築」ということで、現在の二法人は、単純に足しますと、約4,500人の人員と2,300億円の事業規模がございますので、そのようなことが書かれてございまして、「原子力二法人の統合は、国内最大の公的な研究開発機関が設立されることを意味するが、そのことにより業務運営の柔軟性や迅速性が損なわれることがあってはならない」「相乗効果を発揮しつつ総合的・一体的に推進することが必要となる」というようなことが書かれてございます。
   次に「3.新法人の使命」ということで幾つか書いてございます。
   まず「(1)原子力システムの高度化を図ることによりエネルギーの安定確保と地球環境問題の解決に資すること」ということで、「核燃料サイクルの確立を目標に、国民や社会の動向、産業界のニーズ等を踏まえ、適切に軽水炉サイクルの安全性・信頼性の向上を目指した研究開発等を実施することにより、核燃料サイクル事業の発展に寄与する」あるいは「原子力によるエネルギー利用の多様化を目指した研究開発により、新たな原子力利用分野の開拓に貢献する」、さらに核融合エネルギー利用システムについても言及されております。
   (2)として、さらに「原子力利用の新たな領域の開拓により科学技術の発展等に貢献すること」ということが書かれてございます。
   (3)は原子力利用の基盤を強化ということで、安全確保あるいは人材の育成、国際的な核不拡散の実現ということが使命として書かれているところでございます。
   (4)として、自らの原子力施設の廃止措置及び自らの放射性廃棄物の処理・処分ということも使命の一つということで書かれてございます。
   次は「4.新法人の業務とその推進の方向」ということで、具体的な業務を書いている部分でございますが、8つ業務として書いてございます。
   「1原子力の基礎・基盤研究等を行うこと」「2核燃料サイクルの確立を目指した研究開発を行うこと」「3自らの原子力施設の廃止措置と自らの放射性廃棄物の処理処分を行うこと」「4原子力安全規制、原子力防災対策、国際的な核不拡散等への協力を行うこと」「5大学との連携協力等を通じた原子力分野の人材育成を行うこと」「6原子力に関する情報の収集、分析及び提供を行うこと」「7研究施設及び設備の共用に供すること」「8研究開発成果の普及とその活用の促進を図ること」ということで、8つ並べて書かれてございます。
   11ページの「(2)新法人の業務の推進の方向」は、今掲げました8つにつきまして若干ブレークダウンして中身が書いてございます。
   まず最初の「1原子力の基礎・基盤研究等」というところでございますが、「原子力の基礎・基盤研究の分野は、新法人の中核となる研究分野の一つとして位置づけられる」というようなことが書かれてございます。
   12ページに具体的にさらにブレークダウンして書いてございますが、まず(a)としまして「原子力エネ位置付け究開発に係る基礎・基盤研究」ということが書かれてございます。
   (b)として「安全研究」ということで、「原子力安全委員会が定める原子力安全研究年次計画に従い、新法人の研究資源を最大限活用し、新法人が一体となって実施することが重要である」ということが書かれてございます。
   (c)として「放射線利用研究」ということで、中性子、荷電粒子・RI及び光量子・放射光の放射線利用研究については、新法人においても着実に実施すべきである」というようなことが書かれております。
   (d)として「核融合研究開発」につきましても、「今後のITER計画の動向を踏まえ、積極的に協力することとともに、国内におけるトカマク方式の炉心プラズマ研究や炉工学開発分野において、中核機関としての役割を果たすことが求められる」というようなことが書かれてございます。
   「2核燃料サイクルの確立を目指した研究開発」でございますが、ここでも「核燃料サイクルの確立に向けた研究開発は、新法人の中核業務の一つに位置付ける」ということが書かれてございます。
   核燃料サイクル関係のことが書いてございまして、14ページにはさらにブレイクダウンして書いてございます。まず「(a)高位置付け(FBR)サイクル研究開発」ということで、「FBRサイクル研究開発については、実用化を目指し、着実な努力を続けるが、当分の間、既存の施設を有効に活用して研究開発を実施することが必要である」というようなことが書いてございます。あと、その他の次世代の原子力システムが書いてございます。「もんじゅ」については、「早急に運転再開を目指し、再開後、10年程度以内を目途に、『発電プラントとしての信頼性実証』と『運転経験を通じたナトリウム技術の確立』といった初期の目的達成に最大限の努力を傾注する」、また、その後につきましては、「内外に開かれた研究開発拠点として実用化戦略調査結果の成果も取り入れつつ、実用化を目指した先端的な研究成果を実証する場として活用する方向で、評価を実施し、徹底することが適当である」というふうに書かれてございます。
   (b)として「軽水炉再処理技術開発」ということで、「東海再処理施設において、その技術知見の蓄積を図ることが必要である」ということが書かれてございます。「なお、MOX燃料等の再処理技術の実証試験については、プルサーマル計画の進捗状況等を踏まえ、実施施設や規模など、その実施の在り方を国レベルで評価した上で、実施することが必要である」というようなことも書かれてございます。TRUについてもちょっと言及がございます。
   続きまして、「(c)高レベル放射性廃棄物処理処分研究開発」でございますが、「新法人は、我が国における地層処分技術に関する研究開発の中核的役割を担う」ということでございます。「研究開発の実施に当たっては、処分事業や安全規制に反映するために、NUMO等の関係機関との役割分担に基づき、これらの関係機関と連携して研究開発を実施することが重要である」というようなことも書かれてございます。
   15ページの「3自らの原子力施設の廃止措置と自らの放射性廃棄物の処理処分」ということでございますが、「所要の費用の低減に努めるとともに、合理的な廃止措置及び廃棄物の処理処分を可能とするための技術開発を実施することが必要である」というようなことが書いてございます。
   4は「原子力安全規制、原子力防災対策、国際的な核不拡散への協力」ということで、「新法人は、国が行う安全基準、安全審査指針類の策定等に関し、関係する行政庁や原子力安全委員会の要請に応じて、安全研究の成果を活用して必要な協力を行うことが強く求められる」というようなことが書いてございます。具体的には、「事故・故障の原因究明に関しても、人的・技術的支援を行うことが必要である」、あるいは「災害の発生時には、国、自治体の要請に応じ、人的・技術的支援を積極的に行うとともに、平常時にあっても訓練、研修に協力することが必要である」と書いてございます。さらに「核不拡散の観点でも積極的に協力することが求められる」と書いてございます。
   5は「大学との連携協力等を通じた原子力分野の人材育成」ということで、前のほうに書いてございます「人材育成の基盤に対する懸念が生じている」ということを踏まえまして、「新法人は、産業界、国、地方公共団体等のニーズを踏まえた大学院修士への専門的実務教育の実施が求められる」と書かれてございます。「さらに、アジア地域を中心とした海外の原子力分野の人材育成にも貢献し、国際的な原子力平和利用の推進と安全の確保に寄与することが重要である」ということも書かれてございます。
   6は「原子力に関する重要の収集、分析及び提供」でございます。これはいろいろな情報を収集し、分析するということですが、「活動と一環として、国のシンクタンクとしての機能を発揮することも期待される」というようなことも書かれてございます。
   「7研究施設及び設備の共用」でございますが、「新法人が保有する施設は、広く外部の利用に供することが必要である。その際には利用者の意見を適切に反映することが可能な共用体制を確立することが適当である」ということが書かれてございます。
   17ページの8は「研究成果の普及とその活用の促進」ということで、「成果の普及とその活用を促進することが望まれる」というふうなことが書かれてございます。
   以上が業務でございまして、「5.新法人に求められる組織・運営の在り方」ということで幾つか書かれてございます。
   まず「(1)独立行政法人制度の趣旨を踏まえた組織・運営体制の確立」は、独立行政法人制度についての説明でございます。
   1は「法人の自主性、自律性の最大限の尊重と中期目標、中期計画に基づいた業務運営」ということで、(a)として「法人の業務運営は、主務大臣が策定する中期目標と、これを受けて新法人が主務大臣の認可を受けて作成する中期計画に基づいて行われるものであって、法人の業務運営に対するその他の国の関与は限定されている」という独立法人制度の原則が書かれてございます。
   (b)といたしまして、「法人の活動状況が絶えず国民の目に見える透明な組織・運営の確立が求められている」ということが書かれてございます。
   (c)としては「第三者評価機関による評価が義務付けられている」、それから会計基準のことも書いてございます。
   18ページの2は「原子力委員会及び原子力安全委員会の中期目標作成等への関与」ということでございます。現在、日本原子力研究所と核燃料サイクル機構は、原子力基本法に基づいて、原子力の開発機関というふうに位置付けられているわけでございますが、それと関連して、「新法人においては原子力基本法において『原子力の開発機関』として位置付けられると考えられることから、内閣府に設置されている原子力委員会及び原子力安全委員会が企画、審議、決定する基本的な政策に沿って、事務及び事業が実施されることが必要である」ということが書かれてございます。「したがって、原子力委員会の長期計画あるいは原子力安全委員会の定める原子力安全研究年次計画等の基本的な政策との整合性確保することが必要である」ということでございます。これら点については、原子力両委員会から検討の過程で意見が表明されてございます。(参考資料4)(参考資料5)にそのものを参考に付けさせていただいておりまして、ここの文章では「両委員会からも意見が表明されているところであり、これを踏まえて、国においては、主務大臣の中期目標の作成等について、両委員会による主務大臣の監督権の行使に対する適切な関与の方法を独立行政法人制度と矛盾のない形で検討すべきである」というふうに書かれてございます。
   次に「3主務大臣について」でございます。これは独立行政法人制度上当然のことでございますが、「個別法において独立行政法制度にのっとった形式で業務の共管関係を規定すべきものとされている」ということが書いてございます。
   「(2)経営の基本的考え方」ということで幾つか書いてございます。
   まず「1法人全体の統一性を確保するための『強い経営』の必要性」でございますが、大きな法人になるということもありまして、法人全体の統一性を確保するための強い経営の必要性ということでございます。旧動燃の改革において「経営の不在」が指摘された、というようなことがございます。そのような経験も踏まえまして、「法人経営の統一性を確保するという困難な課題に対応できる『強い経営』及びそれを支える適切な組織体制の構築が必要不可欠である」というようなことが書かれてございます。
   2は「定期的かつ重層的な評価の必要性」ということで、「新法人は、その活動について第三者による評価を定期的に実施し、その結果を広く公表することが必要である」というようなことが書かれてございます。「法人全体の全般的評価だけでなく各事業所単位の詳細な費用対効果の評価も実施するなど重層的な評価が不可欠」というようなことも書かれてございます。
   3は「開かれた経営のメカニズムの導入」ということで、「新法人の長は、大学、産業界等の第三者からの意見を適切に経営に反映する必要がある」「社会の動向、大学、産業界等の関係者のニーズを踏まえつつ、限られた資源を『選択』と『集中』により有効に活用することが必要である」というようなことが書かれてございます。また「新法人の実施するより具体的な研究開発戦略を、関係者の参画を得つつ、企画し立案する機能を整備することが求められる」ということが書かれてございます。
   20ページの「(3)業務運営の在り方」「1研究開発の進め方」でございますが、最初はいわゆる人事システムの話で、「有用な人材を登用できるような競争的な研究環境や人事システムを構築することが必要である」あるいは「内外の関係機関との積極的な人事交流を促進するなど」ということが書かれてございます。また、プロジェクト研究開発については、「社会的必要性等を踏まえ、民間事業者との連携協力のもとに実施することが必要であり、プロジェクトの節目節目には、経済社会の動向やニーズ等を反映させた厳正な評価を定期的に実施し、その結果を踏まえ、次の段階に研究開発を進めるか否かを判断することが必要である」というようなことが書かれてございます。
   3は「産業界及び大学等との連携強化のためのシステムとルールの構築」ということで、産業界等との連携については今までいろいろ出てきておりましたが、「そのためのシステムとルールを構築する必要がある」ということが書かれてございます。
   22ページの4でございますが、「人文科学の専門家の知見も活用すべきである」ということが書かれてございます。
   5は「原子力施設の安全確保の徹底と核物質防護体制の確立」ということが書かれてございます。
   23ページにまいりまして、6は「新法人に対する安心感・信頼感の醸成と立地地域との共生」ということで、新法人の活動については「責任を持って分かりやすく徹底して説明することにより、安心感・信頼感の醸成に努める必要がある」、それから「立地地域においては、共同研究や技術移転を通じて、地域における科学技術や経済の発展に寄与することは極めて重要である。このような新法人と立地地域との関係において、国の適切な関与も必要である」というようなことが書かれてございます。
   続きまして「6.新法人の財務基盤の確立」でございます。「新法人が着実に業務を実施していくためには、全事業費の中で研究開発費と研究インフラの維持費のバランスを重視することが重要である。特に、施設維持費をはじめとする固定経費については極力抑制・削減して、効果的かつ効率的に事業を実施することが必要である」というようなことが書かれてございます。

   24ページはもうちょっとブレイクダウンして書いてございますが、まず「(1)総合的な研究開発機能と適時適切な廃棄物対策の両立」ということでございます。これは結論的なことでございますが、「今後、新法人が、これらの原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分を長期的な観点から計画的かつ確実に実施するとともに、国民から期待される総合的な研究開発機関として研究開発を着実に実施できるよう、国及び新法人は必要な措置を講じていくべきである」というようなことが書いてございます。
   その後、「なお」として、検討の過程で示されましたケーススタディが書いてございます。「例えば、総費用は2兆円、実施に要する期間は約80年間、年間にすると約100〜300億円で、準備費の5〜15%になる。文部科学省及び原子力二法人は、不確定要素があるものの、このような試算であるので、特別な措置は講じなくても、研究開発機関として研究開発を着実に実施していくことが可能と考えられる」ということが書いてございます。これも検討の過程で統合準備会議のほうで示された資料をそのまま(参考6)として付けてございます。
   「これに対して、本会議においてはいろいろなご意見があった」ということが書かれてございます。「約2兆円の総費用を80年間にわたって確実に手当てすることが可能かとのご意見もあった。したがって、このケーススタディについては国及び新法人において定期的に見直す必要がある」というふうに書かれてございます。また、これに関連して、「放射性廃棄物処理処分のための安全基準の整備等の法令等の整備が適切になされることを期待する」ということが書かれてございます。
   それから本件廃棄物につきましては、「文部科学省において、RI・研究所等廃棄物の処理処分の検討がなされているので、その検討との整合も図りながら検討を深めることが必要である」というようなことが書かれてございます。
   「(2)累積欠損金の適切な処理」として、「国は、原子力二法人の累積欠損金が新法人に引き継がれることのないよう、先行の独立行政法人の研究開発法人と同様に、法的措置により政府及び民間出資の減資を行うことが適切である」というふうに書かれてございます。
   続いて25ページの「7.新法人の統合による融合相乗効果と効率化、合理化」ということで、先ほどご説明があった先行的取組にも関係するところでございますが、(1)は「研究開発分野の融合相乗効果」ということで書いてございます。端的にいいますと、26ページに3つほど書いてございますが、例えばプロジェクト研究開発と基礎・基盤研究開発がありますので、「プロジェクト研究から基礎・基盤研究へのフィードバックというようなことがあり得る」というようなことが書かれております。
   (2)として「統合による事業の効果的・効率的な実施」ということで、1国際的核不拡散への貢献、2原子力防災支援事業」、それから3自らの原子力施設の廃止措置及び自らの放射性廃棄物の処理処分、これらについて「統合することによって一元的に実施することが可能である」というふうに書かれてございます。
   27ページにまいりまして、「(3)事業の整理・合理化と業務の効果的・効率的な実施に必要な組織・インフラの整備」ということで、「効率化によって得られた研究開発資源も活用することにより、我が国唯一の総合的な原子力研究開発機関として必要な研究基盤の構築を図っていくべきである」ということが書いてありまして、「具体的には」ということで、「東海、大洗地区については、それぞれ事業の一体的な運営について検討することが適当である」ということが書いてありますし、「また、Spring−8については運転業務の移管を前提に検討することが適当である」というようなことが書かれてございます。さらに、これも検討の過程で行われましたが、「原子力二法人の検討に基づいて行った文部科学省の検討結果として、原子力二法人の統合により機能が重複する施設、あるいは老朽化が進んでいる施設や事業の終了により役割を終えた施設について、順次廃止していくとの方針が示された」ということでございますが、これも以前の準備会合で使った資料をそのまま(参考7)ということで一番後ろのほうに付けてございます。
   27ページに戻っていただいて、「今後の我が国全体としての研究インフラについては、原子力委員会や科学技術・学術審議会等の場において長期的視点に立って検討されることが望まれるところであり、それらの検討を踏まえて、新法人が自ら、事業の効率化と我が国として必要な研究基盤の確保に努めていく必要がある」というふうに書かれてございます。
   それから28ページの「(4)統合に向けての先行的な取組の実施」が先ほどの先行的な取組の話でございまして、先ほどご説明がありました3つの点が123ということで書かれているところでございます。
   最後に「8.新法人設立に向けて今後調整及び検討を行うべき事項」ということで。3つ掲げてございます。
   閣議決定であります「特殊法人等整理合理化計画」では、平成16年度までに法人設立のための法案を提出するということになっておりますので、それまでに検討すべき事項ということで、(1)として「累積欠損金の適切な処理に当たっての出資者等との調整」ということでございます。これは「減資を行うことが適切である」ということでございますが、「今後、新法人が独立行政法人としての健全な経営を確保し得るために、出資者との調整を行うことが必要である」ということが書いてございます。
   29ページの(2)は安全規制上の問題でございますが、原子力二法人は原子炉等規制法など法律に基づく許可を得ておりますので、「安全規制上の地位に関して、関係法令において必要な措置が講じられる必要があり、今後、関係行政機関と必要な調整が行われるとともに、新法人の設立に際しては必要な許認可手続き等が適切に行われることが必要である」ということが書いてございます。
   (3)として「新たな原子力政策の中期目標等への反映」ということで、「原子力委員会及び原子力安全委員会において示される政策が適切に反映されることが望ましい」ということが書いてございます。「このため、両委員会において、新法人の中期目標の策定等にあたり反映すべき原子力政策等が的確に示されることを期待するとともに、必要な協力等を行っていくことが必要である」ということが書かれてございます。
   以上、ちょっと長くなりましたが、簡単にポイントだけご説明させていただきました。

   丸山官房審議官   どうもありがとうございました。
   議論を始める前に、秋山先生のほうから何か少し補足、コメント等ございますでしょうか。

   秋山守委員   特にはございません。ただいまご報告申し上げました内容のとおりでございます。
   これまでいただきました諸先生方、また関連の各セクターの有識者の方々等のご意見の基本となるべきところは、極力盛り込むように最大限努力したつもりではございます。ただ、明示的に具体的なキーワードが確実にここに記載されているかということにつきましては、全体の報告書としての仕上がりの観点から十分吟味させていただきまして、「何々等」とか、あるいは代表的なキーワードでそれをカバーしていただくということも含めまして、気持ちはすべて盛り込ませていただいたつもりでございます。
   ということでございまして、この報告書の背景あるいは基盤といたしましては、大変貴重なご意見、また貴重なご期待等が存在しているということを私自身も強く認識し、新法人にそこを具体的に対していただきまして、ぜひ前向きに進んでいただきたい、そういう気持ちでございます。
   簡単でございますが、以上でございます。

   丸山官房審議官   どうもありがとうございました。
   それでは、ただいま説明がありました「報告書(案)」につきまして、先生方からご議論をいただきたいと存じます。

   畚野信義委員   これは表現の問題ですけれども、19ページに「定期的かつ重層的な評価の必要性」と書いてありますね。元の国研の独立行政法人なども、独法の中の評価、担当の省庁の評価、さらに総務省の評価といろいろありまして、非常に重複している部分があって、「無駄なリソースを費やしている」というような非難もありますので、ここは中身を見ますと、これで適切かと思うんですけれども、「重層的」というのが重複というような感じになるので、この表現を変えたほうがいいのではないか、あるいは文章の中でそういう重複を避けて、「効率的にやる」というようなことを書き込んだほうがいいのではないかな、という気はいたします。
   最初この(案)をいただいたときに、全体的には行革の精神とか、独法の趣旨というのに照らしてちょっと違和感があって、かなりストレートな意見をさせていただいたのですが、十分取り入れていただいて、非常に適切な表現になって、良くなっていると思います。ただ、特に具体的なプロジェクトに対してはこういう表現をする必要は当然あるんですが、これは新法人の基本が自主決定、自己責任でなければならないという精神で書かれているということを十分認識していただいて、そういう覚悟で組織を実際に運営していただきたいと思うんです。そうしないと、具体的には何も書いてないから、またいちいち国にお伺いを立てないとできないというようなことでは元の木阿弥です。また、自己責任で運営するということによって、いろいろな説明についても国民に対して説得力が出てくると思うんです。

   住田健二委員   全体的には直接事務局に申し上げたり、秋山先生に申し上げたり、いろいろ注文をつけさせていただきましたが、ずいぶん細かくご配慮いただいて、ありがとうございました。大変よく整った案になったと思うんです。逆にそれだけ整っておりますと、こちらの言いたかったことが通じてなかったところは意識的にネグられたのか、どちらか、ちょっと気になることがあるものですから、2、3細かいことを申し上げたいと思うんですが、その前に一つ大きなことを申し上げたいと思います。
   この新法人の発足というのは、日本の原子力にとっては非常に重要な大きなイベントだと思います。ですから、そこに我々は飛躍を期待したいのであって、「これまでの足し算ではいけない」というのは皆が再三言ったことであります。しかしながら、「技術の伝承」という言葉を私たちはよく使うんですが、これまでやってこられたことは……。特に私は安全委員をしばらくやらせていただいて痛切に感じましたことは、原子力創設期には一人一人の人がみな現場を知っていた。理事長以下全員が原子力をやっているつもりだったのが、いつの間にかそういう気風がなくなったということもありますけれども、細かい技術的なことがだんだんわからなくなってきている。たまたま現在の両機関の両理事長はいずれも、私ども一緒にお仕事をした経験がございますけれども、よく現場まで御存じの方ですから、現在そういうことはないんですけれども、先のことを考えますと、やはり不安になるところがある。
   これまでありました幾つかの私の経験した大きな事故の例を申し上げますと、ほとんどが初期には対策も分かっていた。安全審査をしている段階では設計も審査側も当然処理されていると思ったことが実は現場に通じてなかった、ということがよくございます。研究開発の面でいきますと、新しいことをやろうというので、皆が非常に意気込むのはいいんですけれども、これまでの技術の伝承というのが忘れられてしまうのではないか。これは老婆心までで申し上げることですけれども、やはり懸念することであります。
   それから海外の原子力関係の諸機関の統合というのは私もよく見てきているわけですけれども、新機関ができますと、ほとんど新しい機関のほうには技術の流れが届かなくて、例えば「そんなことはもう10年前にあなたの研究所でやったんじゃないですか」と言っても、そのときの資料などはどこかにいってしまってなくなっている、というようなことをよく経験するわけです。
   ですから、大変しつこいようですけれども、両機関におかれましては、この統合の機会に大きな飛躍をしていただくと同時に、これまでの技術の非常に大切なところは……。いつも申し上げることですけれども、これは日本の宝だけではなくて、世界の宝ですから、それを大切なきちっと整理して保管して持っておくということをぜひ心掛けていただきたい。できましたら、この委員会の勧告というかっこうで「そういうことも仕事だよ」ということを書いていただけると大変ありがたいと思うんです。これは非常に概念的なことですけれども、保守的な後ろ向きの話として聞いていただくのではなくて、前に進むために必要なこととしてぜひお聞き届けいただけたらありがたいと思うんです。
   それから各論に入りまして、一つは、何回か申し上げておりまして、この前も事務局に申し上げましたら、「ここでそういうふうに読める」とおっしゃったんですが、私は「そうかな」という気がするんです。人材的な面で、国内の人材育成も大切ですけれども、日本のCOEだけではなくて、世界のCOEというからには、そこにおられる技術者あるいは研究者という方々、あるいはマネージャーも国際的な人材の登用を考えていただきたい、ということを何回もしつこく申し上げているんですけれども、今日のご説明でもそれがあまり表に出てこない。無理をすれば、「国際協力を通じて何とか」という中で読めるんですけれども……。
   それで、ちょっと質問ですけれども、我が国のいろいろな規制とかございます。機微事項などありますから、全部が全部、国籍が日本人でない人に対しても開放できるとは限らない、というのはよく知っておりますけれども、新しくできる機関についてはそういう制約が……。核不拡散などの問題というのはある程度規制が出てくると思うんですけれども、一般的な意味で国際的な人材を登用するのに何か支障があるんでしょうか。役所側の見解をちょっと伺っておきたいと思うんです。
   そうでないのだとすれば、この発足の機会にぜひ海外の人を少し長期的に契約してでも積極的に取り入れるということを考えてもいいのではないか、というふうに思うものですから、繰り返しになりますけれども、それを申し上げたい。
   もう一つ、これも細かいことで、事務局にも申し上げたので、「またしつこいことを言って」と思われると思うんですけれども、(参考7)は文部科学省で5月頃に出された資料だったと思うんです。その中のJMTRのところは「『老朽化により廃止』という非常に単純な言葉では困るので、もうちょっと何か色をつけろ」と言ったんですが、今日は文章になっております。これは読み方が非常に難しいと思うんです。「老朽化する、あるいはそれが進行するということも考えて、将来どうするかということを考える」、私はそういうふうに読みたいと思うんですが、一方では例えば「ふげん」廃止とか、DCE廃止と既に行われたことが書いてあったりするわけです。
   私は規制をやっていた関係で、そういうことに非常にナーバスなんですけれども、一般の方がこれを読まれたときに、ある発電所に対して「老朽化により廃止」、そういう言葉をポンと言われたときに、現在そのそばに住んでいる人はどういうふうに受け止めるか、ということを考えますと、先ほど渡辺さんがおっしゃったように、少し言葉を足していただいた形で外部へ出していただけないだろうか。これは文部科学省がいったんつくられた資料ですから、「文章を変えることはできない」というふうにこの前おっしゃったんですけれども、一般にこれをこのまま出されたら、やはりちょっと違和感があるんです。一般論としては老朽化したものを改廃するというのは当然のことですから、そんなことをいえば、すべての装置はみな年取ってきたらだめです。人間必ず死ぬということは同じような話ですから、一般論ではなくて、特定の施設に対してこういう言葉を使うというのはちょっとやはり…。一般の方には何か注をつけないとわかりにくいだろうと思うんです。先ほどのご説明のときも少し言葉を足してくださったので、ありがたいと思いますけれども、何かそこに……。
   これまでの日本の国内での関連で見ますと、必ず一般的意見公募という手続きが入ってくるだろうと思いますので、そのときにこの資料をこのまま出すというのはやはり……。報告の日付は入っていませんけれども、「いったん文部科学省が書いた資料だから、もう変えられない」と言われたら、困るんです。そのへんはうまいご配慮がいただけないでしょうか。これは小さなことのようですけれども、後に何かがあってからでは困りますので、ご注意いただけたらありがたいと思います。

   丸山官房審議官   今の住田先生の最後の施設の話ですけれども、この間も統合準備会議で「JTMRを単純に廃止するというのは問題である」というご意見をいただいて、原研のほうで産業界とか、大学の方とか、外部の方も入っていただいて、「JTMRをどう考えるか」という検討委員会を立ち上げた、というふうに聞いておりますので、文部科学省が一方的にやめると宣言をするよりは、そういう実質的検討が進んでいるので、問題はない、というふうに私どもは理解をしておりました。

   住田健二委員   私もそこの委員会の委員に入れられていますから、もちろん関係者のご配慮とか、ご努力は……。そんなに簡単に変えられるものではありませんから、いろいろとご検討いただくということですけれども、一般の方がこの資料をパッと見られたときにどういうふうに思うか、ということを申し上げたんです。要するに、事情を知った人間が見たときには「はぁはぁ」ということですけれども、一般の市民の方にこれをさらすということをやると、必ずそういう誤解を受けたり、あるいは取り越し苦労的な心配をされたりするものですから、やはり大型施設、特に原子炉のようなものの場合には……。
   安全委員会の資料をごらんいただいたかと思うんですけれども、私は何年かやっておりまして、事務局はそのへんは細心の注意を払って、「老朽化」というような言葉は……。一般的なときにはいいんですけれども、今働いている特定のものに対して「これは老朽化しているから」というようなことは言わないんですね。これもやはり行政の一つのスタンスだと思います。そのへんをご配慮いただけないでしょうか。おっしゃっていることは非常によくわかりますけれども、それが重ねてのお願いです。

   渡海副大臣   検討いたします。

   住田健二委員   是非、注をつけるとか、何かうまい形で出していただきたい。それがお願いでございます。細かいことを申し上げて恐縮ですけれども、後になってからでは……。今まで再三そういう失敗を繰り返していて、気になるものですから、お願いします。

   渡辺原子力課長   住田先生の前半の部分について、事実関係をご説明申し上げます。外国人の登用でございますが、これは国家公務員でございませんので、基本的に経営陣の判断により採用することは可能で、制度的には可能でございます。

   秋山守委員   今の外国人の採用も含めた国際化の観点につきましては、「この1行で読める」という考え方が基本でございますけれども、私個人の認識では、今の時代にことさら国際化ということを具体的に強調しなくても、世の中の自然の趨勢で遅かれ早かれどんどん進んでいくだろう、という気持ちが背後にあって、そこをあまり明示的に強調しなかった、ということでございます。

   丸山官房審議官   あと技術の伝承の重要性についてのご指摘がありました。そのへんはたぶん十分書き切れてないのかもしれませんけれども、16ページで「原子力に関するデータを総合的に蓄積」ということで……。前、西澤先生からもご発言があって、「国のシンクタンクとしての機能」ということで、「そういう技術的なものをきちんと蓄積して、外部からの疑問には的確にいつでも答えられるような体制を整える」という趣旨で書いておりますけれども、なお秋山先生ともまたちょっとご相談させていただいて、そのへん変えられるのかどうか……。一応ご意見として承りました。

   兒島伊佐美委員   この審議に入って何回かの審議に参加させていただきまして、我々産業界としてご要望申し上げてまいったわけでありますが、今回の取りまとめにおきましては幾つかの点できちっと反映をしていただいたことを大変感謝申し上げ、また事務当局のご苦労に心から感謝を申し上げたい、こんなふうに思う次第であります。
   今回のこの答申は、新法人とそれと関係する諸機構との関係を見ながら非常に期待するものであります。原子力委員会並びに原子力安全委員会との関連をきちっとしていただけたこと、また、主務官庁である文部科学省並びに経済産業省もつなげて、その機能をきちっと位置付けていただいたこと、もう一つ、我々の事業を受けている産業界とのリンケージ、接点を明確に何箇所かに書いていただいたこと、我々産業界が直面している幾つかの課題について、きちっとお聞きいただく機能並びに窓口、組織を設ける、こういうふうに明文化されたことは大変画期的なことであり、かつまた大変期待するところであります。
   そんな中で我々はプロジェクト、特にサイクルのところは、両法人が営々として開発した技術をちょうだいしながら実用化に向けて間もなく運開という段取りにきているわけでありますが、今後、運転していく中で幾つかの課題が発生するだろう、というふうに思いまして、「プロジェクトを移管したら、もう民の役割分担』、こういうふうにならずにぜひともその後のフォローをお願いしたい。また、そのときに発生してくる課題についてもお願いしますので、お聞き届けいただきたい」というお話を申し上げたのでありますが、それについてもこの中に反映させていただいたのは大変ありがたいことであります。
   一方、新技術、これからの開発につきまして我々も事業者として協力をしていくことになりますが、本件については、後ほどご説明申し上げる機会をいただけますので、そこで内容は申し上げますが、これからの開発は限られた資源とお金や人材等の中で効率的にやっていかなければいけないという面では、我々も十分に新法人と協力しながら、また、我々の今もっている課題を反映しながら効率的な研究開発をしていかなければいけない、というふうに強く思っているところでありまして、これを反映していきたい、こんなふうに思っております。
   それから廃棄物については何回も申し上げてまいりました。それがきちっと反映いただきましたことについては心から感謝を申し上げます。今後の展開についてはご当局はご苦労が多いかもしれませんが、ぜひお願い申し上げたい、こんなふうに思います。
   最後に、今、住田先生からお話がありましたJMTRほかの設備についてでありますが、出かける前に「またぜひお願い」というふうに言われてまいったのは、(参考7)と本文との関係であります。(参考7)はこのままでいくと一人歩きする危険性があって、「廃止する」という方向になってしまうわけでありますが、それを本文のほうでは「これから検討していく」ということで、もう既に住田先生を中心として検討に入っておられる、というふうにお聞きしております。この点については今、大臣から「考えようじゃないか」、こういうお話を頂戴いたしましたので、安心をいたし、お願いをするところでありますが、どこか工夫をしていただいて……。確かに(参考7)は経過の中で示された案でございますが、それはそれとして一人歩きのように本文の中できちっと位置付けて……。添付した参考というのはその方向を是認しながら検討していくというのが普通で、現在、例えば原子力委員会、原子力安全委員会の意見書もそれを肯定しながら位置付けてきているわけです。そういうような見方からすれば、この(参考7)というのはややその方向性を是認するように誤解されます。実は、たくさんの先生方からご意見をちょうだいした経緯もありますので、ここのところはもう一度「そうではない」というような感じできちっと書いていただく。特にJMTRについては大変要望のあった点だと思いますので、今、もう結論は出ているのでありますが、重ねてお願いを申し上げたい、ということであります。
   ありがとうございました。

   秋元勇巳委員   今、住田先生、兒島先生がお話になった点については、老婆心かもしれませんけれども、私もちょっと心配なところがあります。(参考7)の表現というのは非常にきついんです。「すべて廃止する」という方針があって、「それを前提にこれからやるんだ」というふうにこれを読んだ人はとるだろう、という感じがございます。そういう資料が一人歩きするというのは一番困るわけです。今、丸山さんが説明してくださって、文科省のお気持ちは非常にわかるんですけれども、本文のところを見ますと、必ずしもそれが十分表現されているとは思えない、というところがあります。
   これを素直に読みますと、「文科省から廃止の方針が示された。だから、これは一応廃止する。しかし、将来にわたっていろいろと検討していったら、必要な研究基盤の確保ということが出てくるだろうから、そのときはそのときで考える」というふうに読めるんですけれども、新しく発足した委員会その他では、「今、老朽化と言われているものの中にも、少し改良、あるいは更新をしていくということで、また新しい研究目的のために使えるのではないか」ということを考えておられるわけです。固有施設はこれから新しくつくるとなったら、すごい金もかかるし、時間もかかる。しかし、改造してやっていければ、いろいろなメリットが出てくる、ということがあるわけです。現実にこれからいろいろな相乗的な効果を考えた、新しいプロジェクト、それから民間からもいろいろお願いをしたいプロジェクトが、これから立ち上がっていく、そういう段階にあるわけです。
   (資料7)の廃止の方針は、今まで両法人がやってきたプロジェクトに照らして、「このプロジェクトはもう終わったから、このプロジェクトに関連したものはやめましょう」「この設備は少し老朽化をして利用度が悪くなっているので、やめましょう」、そういう現状だけをベースにして考えたご判断だろうと思うんですけれども、「それでは問題だから、もう一回新しい視点で考え直しましょう」というようなことをこの間の委員会でも認めていただいた、と思っておりますし、各先生のご要望もあったと思うんです。
   そういう意味で、ここには単に廃止という記述しかありませんが、例えば更新というようなオプションもあるわけですし、現在のプロジェクトにとっては用済みであっても、これから新しくCOEとして進めるプロジェクトで使いたい。うまく使いこなせば新しくつくるよりはずっと安くいく、というものもあるでしょう。そういうものも含めて、基本的に今までの継続から踏み出さないならば、こういうことになるけれども、「新法人のCOEという新しい責務に照らしてもう一度見直してみる」のが委員会の今までの議論を踏まえた表現ぶりでもあると感じております。
   (参考7)の文言が出ますと、一人歩きするわけです。例えば、(参考6)もフィージビリティスタディの数字が出ていますが、数字が出ますと、80年、2兆円というような話がワッと新聞に出て、そこがベースになっての話になる。ただ、この問題については、本文の最後のところで「総合的な研究開発機関として研究開発を着実に行っていくことが可能と考える」というふうに、研究開発と両立させることを文科省からコミットをいただいた、と解釈できるので、そういう意味では本文をよく読めば、何とか誤解はまぬがれるのですが、こういう数字の出し方というのは本当はあまり望ましくない。ですから、できれば(参考6)(参考7)、最低(参考7)については、今回の委員会の報告書としてはお出しにならない形で……。今、検討会も進んでいるわけですから、そこで出していただくという選択が可能ではないだろうか。もしどうしても出すということであれば、本文にそのあたりの誤解を解くような表現をぜひ付け加えていただきたい、そういう感じがしております。

   伊達宗行委員   JTMRに関しましては、今、秋元委員が適切な表現をされたと思いますので、私も全く賛成でありまして、これ以上申し上げません。
   発言は畚野委員のご指摘にちょっと関係するんですが、評価についてこの報告書は2箇所に表現があります。14ページは「5年毎に国レベルにおいて厳正な評価を実施し」というのがこの1ページで3箇所出てくるんですね。こういうタイプの評価があるようである。それに対して、19ページのほうは「定期的かつ重層的な評価の必要性」ということになっているので、これは素人目にはちょっとわかりにくいのではないかと思うんです。これはどちらかに統一できないものなんでしょうか。国の評価と第三者による評価というのが並列するのが今度の行政法人の評価のスタイルなのか、ということが基本的な質問です。
   それから、先ほど畚野委員が言われた「重層的」というのは確かに誤解を招くんですが、考えてみますと、どこに原因があったかといえば、原研とサイクルの若手の方からのご要望があったと認識しています。つまり、簡単にいえば、「2つの非常に違ったミッションをもった研究所では、これまでの評価基準がずいぶん違っている。それをどちらか一本でやられては困る」、そういう若手のご発言だったと思うんです。それで、この「重層的」という言葉が採用されたのではないかと思うんですけれども、こういうふうに書かれてしまいますと、畚野委員の心配しておられるとおりの誤解が発生すると思うんです。ですから、評価の基準というものに「器量のある多角的な基準が採用される」ということが書かれるべきであって、「重層的」というのはちょっと悪い方向にいく恐れもある、というふうに思います。ですから、畚野委員のおっしゃったご指摘は大変正確なんですが、若手から出てきた違う価値観による評価というのが器量良く取り込まれる、そういうシステムをぜひ保持してほしい、というのが要望であります。

   田中豊蔵委員   1年半の私を含めて各委員のいろいろな意見をまんべんなく取り入れられて、ゆっくり読めばすばらしい報告書だと思います。ただし、ちょっと欲張りなことを申し上げるんですが、誰に読ませるのか、誰を目的にしてメッセージを発するのか、ということも大切だと思うんです。
   この報告書の中身については専門領域が極めて多い。とかくピアグループというのかな、言葉は悪いですが、同業者仲間、専門家集団だけが納得するようなものになりがちですね。何といってもその実行部隊である専門家集団が納得して、「よし、これからやっていこう」という情熱をもつような報告書でなければいけない。ですから、これはいいんですが、同時に、日本が抱えている原子力の問題は、日本の国益、国民益あるいは国際貢献に対する日本のスタンス、言ってみれば、日本の国家像に直接関わるようなものですから、専門領域の問題は理解できない国民に「そうか、これを大事に考えていこう」という気分をもたせるような部分がきちっとメリハリをつけて書かれる、ということもかなり重要な要素だと思うんです。
   この報告書の重要なポイントを整理すると、最初にも書かれているように、今、小泉内閣の下で進められている並みの特殊法人改革、独立法人化とは一味違う。昭和30年以降、いろいろな経緯をたどってきた日本の原子力問題の新しい転換点、国民の幅広い支援を築く転換点としての意味がある。つまり、特殊法人の改革という政治イシューをむしろバネに、新しい日本の国益の中の原子力を立ち上げる、ということについて、もう少しメリハリをつける。
   それと同時に国際貢献。何で日本が原子力をCenter of Excellenceとするのか。将来、21世紀の日本像の中で、勝れてアジア諸国、もっといえば、国際関係の中で平和に徹した、しかも国民の全世界、地球的な規模の繁栄を期していくための原子力の位置付け、つまり、日本の国際貢献の中の一つの大きな重要な課題という位置付けがあるわけです。
   もう一つ、殊に日本の場合は、原発と原爆が混同して何となくこの20年間くらいきてしまっている部分があるわけです。最初のスタートは明らかに、被爆国であるから故にむしろこの平和利用のトップランナーになる、というような気持ちがみんなあったんですけれども、ある時点から原発反対と原爆反対が混同する形で政治的に扱われた部分もあるわけです。そういうものをふっ切るために、安全と平和指向。つまり、これは日本の国益に関わることですが、特に最近の、これからの数年間というのは、政治変動の中で日本の核保有みたいな問題も正に今、直近の問題としていろいろニュース面に出てきている、ということも踏まえた上の国民へのアピールというのも表現の仕方でできると思うんです。
   それから重要なのは、これは大きな予算を使うわけですから、18ページに謳っているその活動状況をきちっと第三者的なもので監視し、チェックし、そういう機構をこれまでにない状態でつくっていく。
   つまり、以上のことは今まで原子力に携わってきた専門家たちが反省した上で書かなくてはいかんのです。今の日本の原子力問題に対する国民のいろいろな信頼感の低下は、この20年間くらい原子力に関わってきた人たちの努力が足らなかったからだと思います。マスコミも含めて。そういうことを踏まえて、国民に真摯に呼びかける。このテーマを踏まえて、日本の国益をどういうふうに発展させていったらいいのか、国民に向けてメッセージを送るという部分が、行数はともかく、かなりの重みをもってあっていいのではないか、というような感じがするわけです。
   では具体的にどうするのかというと、一つの方法として、今、私がくどくど申し上げた国民向けのメッセージをこれとは別に1枚の紙で付ける必要もあるのではないかなと思いました。
   以上ですが、このことと関連して、ちょっと細かなことを申し上げると、16ページの「6原子力に関する情報の収集、分析及び提供」というのは、最初の国民の信頼を回復する転換点を受けた項目だと思うんですが、「活動等にも貢献する」という表現は「等に大きく貢献する」でなければならない。「にも貢献する」というような腰だめであってはならないと私は思います。

   渡海副大臣   ご賛同がいただけるようでしたら、前文みたいなものを少し考えたらどうか。それは、先生方がこれまでおっしゃってこられたことを少し……。皆さんおっしゃっていることはそこは同じだと思いますので、秋山先生、そんな形で少し考えたらどうでしょうか。正直言って、今、田中さんがおっしゃったことは中に全部入っていると思うんです。

   秋山守委員   別紙ということではなくて、本体の前文ということで……。

   渡海副大臣   どちらでも……。

   秋山守委員   別紙でもっとうんとわかりやすく……。

   田中豊蔵委員   それをやりますと、それだけ読んで、中身を読んでくれない、という問題もあるんですね。

   渡海副大臣   簡単な前書きみたいな形で書いたほうが……。

   秋山守委員   そのあたりはまた……。

   渡海副大臣   それではまたご相談をさせていただきたいと思います。

   秋山守委員   それから第2点の「6に係る内容をさらに明確に一番後ろに移して」というのは、8とかということではなくて、ということでございましょうか。

   田中豊蔵委員   「以上のような」ということで……。

   秋山守委員   全体を含めて、ということでございますね。それではまた事務局ともご相談をいたしまして、先生のご意向にできるだけ対するように努力させていただきます。

   渡海副大臣   ただ、私は田中委員に前に申し上げたと思うんですが、反論するわけではないんですが、この原子力に対する政策責任、また国民に対する説明責任は国、政府にある、というふうに思っております。組織も当然自らやっておられる事業に対して説明責任は果たしていただかなければいけないとは思っておりますが、そこのところは国のほうがしっかりやっていかないともたないと思います。実は、この前もタウンミーティングに福井へ出席させていただきましたが、どうしても最後はそこへくる、というふうにも思いますし、そういう意味では原子力という問題は大きな国としてのいろいろな責任を背負っている、という認識で今後ともやらせていただきたい。と申し上げても、私一人がやるわけではありませんが……。

   丸山官房審議官   どうもありがとうございました。
   今、田中先生からいただいたご意見、確かにこの報告書はこれから二法人を統合するための実務的な内容を含んでいると同時に、原子力という問題のもつ重みを考えると、やはり国民全体にどういうメッセージを発するかというのは非常に重要な点だと思いますので、今、副大臣の発言にもありましたように、秋山先生とよく相談して、前文なのか、別紙なのか、そのへんも含めて、短時間ですけれども、今いただいたご意見をまとめるような作業を事務的にやらせていただきたいと思います。
   それから、秋元委員からお話があった廃棄物の処理処分のケーススタディとか、施設の整理合理化については、この会議自体公開でやっていますので、80年、2兆円という数字はもう新聞にも報道されてしまって、今さら隠すわけにもいかないので、どうするかというのはあるんですけれども、意を十分尽くしてない点については本文のほうをさらに検討して、先ほど副大臣からのご指示もありましたので、誤解のないようには工夫をさせていただきたい、というふうに思います。ただ、検討したという事実は事実でございますので、そのへんも含めて、最終的には誤解のないようにきちんと出していきたい、というふうに考えておりますが、そういうことでよろしゅうございますでしょうか。

   渡海副大臣   これは、ここで見ていただいてももう既に表にも出ていますし、文部科学省の検討結果だということです。二法人と一緒になってこれをベースに検討した結果ということですから、本文のほうでそういうご懸念があるようでしたら、書きぶりを少し検討させていただくということでやらせていただきたい。
   実は、私はわりと平気で何でも言うタイプですが、「これだけか」という話もかなりあるんです。要するに、これは特殊法人の整理合理化計画の中の一環がスタートなんです。しかしながら、先生方の「世界のCOEというものをつくろうじゃないか」という熱い思いで非常に良いレポートをまとめていただいたわけです。しかし一方では、限られた資源をどうやってこれから有効に使っていくか、という国家としての大きな課題も実はあるわけです。
   これはいろいろな意見があります。廃止が出されたとたんに私のところにもいろいろな意見が寄せられているし、直接働きかけてこられる方もいらっしゃるわけです。ですから、「じゃ、検討結果を基に検討しようじゃないか」ということで、先生方の意見もございましたから、今、検討をスタートしていただいているわけでございます。これは検討結果でございまして、「決めた」というふうになってないわけですから、こういうふうに付けさせていただくものは付けさせていただきたい。

   秋元勇巳委員   それが本文ではちょっとそう読めないところがあるものですから、そのあたりの修文を特にお願いしたいということと、本来でしたら、これは委員会の報告書ですから、「文科省からこういう提案があった」「委員のほうからはこんな意見があった」、と両方、参考資料で出ていれば、見るほうもわかるわけですね。委員会の議事録などもありますので、もし(資料7)をお付けになるんだったら、委員の主な意見の議事録あたりを付けていただければ、周りの人たちもあまり誤解はしないかもしれない、というような気がいたします。

   丸山官房審議官   そういう誤解を招かないように、(参考7)には(文部科学省)と書き、(参考6)には(文部科学省と原子力二法人によるケーススタディ)と書いてはあるんですけれども、今、秋元先生が言われたようなご懸念を本文のほうで払拭できるような何か良い方法がありましたら、またちょっと検討させていただければと思います。

   渡海副大臣   ここは皆さん非常に強く主張されている部分ですから、今日の意見も参考にさせていただいて、もう一度……。
   あと一つ、この会議の手続き上の意味づけですが、文部大臣がお願いをしてこういう会合を開いていただいている、ということでございます。そういう意味で、「何か別の国民にわかりやすいメッセージを付けたらいいんじゃないか」という田中委員の話も非常にわかりやすかったわけです。公開してやっていますから堂々としているんですけれども、ある意味、政府がお願いをして皆さんの意見を聞かせていただいている、という形だと思うんです。そのことも含めて、全体を整理させていただいていますので、ご理解をいただきたい。

   伊達宗行委員   国民にわかりやすいメッセージということで、これは書いていただけるかどうかは私、自信がございませんが、やはりこういうことはあると思うんです。
   融合相乗効果という欄でございますけれども、この二法人を融合させることによって得られるメリットは、例えば「もんじゅ」の事故のような幼稚な事故は今後起こさない、というふうなことは非常に重要なことだと思うんです。それは、やはり部分部分で小さな価値観でやっていた世界の破綻であったわけです。それが広い厳しい目で見られるということは、「今後こういう事故を減らす一つの重要な力になると期待される」くらいのことは書いてもいいのではないかと思います。これは世間から見て非常にわかりやすい。あの温度計の破損というのがいかに重大な政治的、現在も続いている経済的損をもたらしたか。こういうことは起こさない。
   逆にいうと、これまでああいう事故が起きても片方の法人だけが被害を被ったんですけれども、今度ああいう事故を起こしたら、統合した全体が被害を被るわけですから、過去と同じ比率で事故が起こっても、そのダメージは倍増するわけです。そんなバカなことはしておれんだろうと思うんです。そういうことを上手にお書きいただけないか。しかし、これは難しい面がありますから、必ずしも強くは主張いたしません。

   丸山官房審議官   今言われたことは報告書のほうでは、この新法人はとにかく「安全確保大前提だ」というメッセージにある意味では含まれているのではないか、というふうに思いますけれども……。

   伊達宗行委員   たぶんそういうことになるだろうと思っております。今日の議事録に残したかったので、発言申し上げました。

   丸山官房審議官   それでは時間もだいぶ押しておりますが、ほかに追加のご意見ございますでしょうか。

   小林庄一郎委員   意見というほどでございませんで、大変俗なことをちょっと……。
   今、両法人の理事長さんがお越しなので、お願いしたいんですが、34ページの(参考1)をお開きいただきますと、そもそもこの準備会は平成13年12月19日の閣議決定で置くことになっておりまして、そこでそれぞれの研究所を見直す理由のところに「【子会社等】関連法人に過大な利益が生じていると考えられることから、競争的な契約を拡大し、委託費を抑制する」とあるんです。私も当時はまだサイクル機構に関係をもっておりましたが、そんな過大な利益を生ずる関連会社があったような記憶はないんですが、こういうふうに書いてありますから、要するに、「統合前の事前取組でもう既にやっているよ」と……。そんなものは17年まで待つことはないんです。道路公団の例もありますし、国民にさらされた場合にちゃんと回答のできるようにご準備をいただきたい、ということをお願いしたいと思います。

   丸山官房審議官   理事長のほうからこの件について何かご発言ございますか。

   都甲泰正委員   私どもは既にそのような取組を行っておりまして、一昨年起こりました人員管理、予算管理問題を受けまして、この問題も検討を続けているところでございます。

   齋藤伸三委員   今ご指摘いただきましたように、過大な影響を生じているところはどこもないのでございますが、似通った子会社があるという問題がございますので、そのへんは合理的にこれから検討を進めていかなければならないだろう、というふうには心得ております。

   丸山官房審議官   それでは、今の小林委員のご指摘は、何らかの形で先行的取組の中に盛り込めるのであれば、簡単に盛り込む方向で検討するということで、よろしゅうございましょうか。
   それでは、兒島委員のほうから資料が用意されておりまして、(資料3)新法人への期待ということでご発言があるようでございますので、よろしくお願いします。

   兒島伊佐美委員   今、私ども軽水炉は52基動いているわけでありますし、また、発電所のほうは北海道の泊から九州の川内の環境アセスメントまで幾つかのプラントが建設途上にあるということでありまして、一見、原子力がシュリンクしているような感じがありますが、私ども鋭意がんばっておりまして、「どっこいがんばってるぜ」、こういうのが実際の現状かな、こんなふうに思います。一方、サイクルのほうも、間もなく運開のウランテストに入りたい、というところでございます。そんな中で、もちろん東電の不祥事もありますし、サイクルのほうの水の漏れもありますが、これは何としても改良し、今ご指摘を賜ったような新たな取組でがんばりたい、というところであります。
   この新法人は大変画期的なものでありますが、先ほどから何回も申し上げているように、我々産業としてはお願いすべきことをきちっと具体的に申し上げていく一つの大事な作業があるだろう。そうすることによって、限られた人や金、そういうものを効率的に長期的な視点の中でプロジェクトを組んでいくことが可能になるわけでありまして、我々現場を預かる者としては、きちんとその都度、その都度反映をして、今どういうことをお願いしたいのかということから、今、現状がどんな状態で、かつ、これからどんなことをお願いしたいか、ということをまとめたのが(資料3)であります。
   時間もないでしょうから、ごらんいただくことになりますが、1ページの「次の観点から取り組まれることに期待する」ということで、「民間において既に事業化しているもの、及び事業化の途上にあるもの」ということになりますが、これは発電並びに再処理、ウラン濃縮等について既に技術開発をされたもののノウハウをいただきながら、今、具体化をしているわけであります。軽水炉のほうはほとんど定着はしつつありますが、そういうものについてぜひ新法人においても、我々のニーズを反映していただきながら、引き続きサポートいただく。そういう技術開発基盤を維持し、また、技術移転をお願い申し上げたい、というのが1つ目であります。
   次はこれからの新しいことの取組でありますが、原子力の潜在的な可能性を探索していくということで、高速増殖炉や水素の問題、そういうものに新法人はぜひ主体的にお取り組みいただきたい、という期待を述べたのであります。
   最後に「なお」がございますが、民間と新法人との協力の方法としては、民間から新法人へ委託するもの、新法人が主体的に実施するもの、また、私どもと共同して実施していくものというふうになります。この部分はこういうふうに3つに分けられますが、非常に大事な部分は、私ども今、自由化という大きなフィールドの変化の上に乗っておりまして、ややもすると新しい挑戦に慎重になることもあります。それから、よって置かれた基盤が変わってきていますので、従来は例えば実用化の段階に移ってから総括原価の中でどこかで吸収ということになっていますが、これからはそれが非常にしにくくなるということもご了解賜って、我々は前広に課題を出し、また、協力していくプロセスにおいては、どういうふうに協力していくかということを一緒に十分考えながらいく、ということであります。この3つの方法の行間の中というのは、お互いに十分に話し合いをしながら、これからの原子力開発について一緒に役割分担を果たしていくべきである、こんなふうに考えているところであります。
   「2.」以降は、その具体的な内容回答になります。
   「(1)商業ベースの事業が進んでいる分野」では、軽水炉では燃料の問題がございます。「添付資料−1」というのがございますが、軽水炉発電では例えば高燃焼度燃料の問題、材料の問題、シミュレーション基盤といったようなことが言えます。それから原子燃料サイクルの問題につきましては、まだまだ十分に定着したという段階に至ってないものですから、先ほど申し上げたとおり、幾つかの面でJNCの皆さんから技術者の派遣や技術の移転等、今、大変ちょうだいをいたしております。
   今、幾つかの協定を結ばせていただきながら具体的にご協力いただいている件数、人数等々を「添付資料−2」に記載しておりまして、「なお、これからもぜひ引き続きお願いしたい」、こういうふうになるわけであります。「2.新法人に期待する技術開発、技術支援等について」は、再処理関係では技術開発の内容や運転要員、技術要員の派遣等ございますが、一番下に「MOX加工関係」というのがございます。MOXの開発と技術移転をお願い申し上げたい、また、ウラン濃縮や安全研究や廃棄物の問題についても引き続きお願いを申し上げたい、という点を申し述べてございます。
   元に戻って、(2)は「国の主体的な実施が求められる分野」ということで、これは将来のことになりますが、今のサイクルにおいてもさらに幾つかの新しい技術開発をしていく必要があるだろう。それから高速増殖炉や廃棄物問題等々、あるいは次世代の問題についてもこれからやっていかなければいけない問題があるのではなかろうか。このへんについて民と官との役割分断を明確にしながら、また協力しながらやっていく、という点であります。
   これらについては、最後に「3.民間のニーズを反映する仕組み」と書きました。本文の中にも「これからそういう機関と窓口と組織を設けて、きちっとやっていく」ということが謳われておりまして、この点は大変感謝申し上げます。我々もお願いすべきこと、協力すべきことを反映させていただきながら、新法人のすばらしい成長といいましょうか、COEになっていく新法人への協力を一緒にやっていきたい、こんなふうに考えている次第であります。
   雑ぱくでありますが、今日はこれをご参考までにということで添付させていただきました。これから具体的な場面でまた申し上げながらやっていきたい、ということでございます。
   ありがとうございました。

   丸山官房審議官   どうもありがとうございました。
   今の兒島委員からのご説明に対して、ご質問、ご意見等ございますでしょうか。

   伊達宗行委員   一言だけ質問があります。
   核融合は原子力予算の中で、というふうな流れで、これはやはりかなり重大な問題になっていると思いますが、電事連としては核融合は一言もメンションされないんですが、どう考えたらよろしいですか。

   兒島伊佐美委員   核融合は将来のエネルギーの開発として大事な要素ではありますが、まだ極めて基礎的な開発でありまして、私どもの事業の中に結び付けてというのはもうちょっと先かな、というふうに考えている次第であります。
   なお、今の予算の問題につきましては、最初の原点が一般会計研究開発というふうなことでありまして、原子力予算の中とありますが、非常に心配をしているところでもあります。

   伊達宗行委員   そうすると、3枚目の「5次世代炉」よりもさらに遠いものとして位置付けておられますか。

   兒島伊佐美委員   いや、それより手前の感じであります。

   丸山官房審議官   今の兒島委員からのペーパーというのは、今後、新法人が中期目標あるいは中期計画をつくっていく際に、産業界と新法人のほうで議論をしながら反映をさせていくべき内容を多々含んでいると思いますので、そういう今後の検討の材料ということでよろしゅうございますでしょうか。

   兒島伊佐美委員   はい、けっこうでございます。

   丸山官房審議官   ありがとうございました。
   それでは、今日また大変活発に貴重なご意見をいただきましたが、最後に座長の渡海副大臣のほうから一言ご発言をいただきたいと思います。

   渡海副大臣   本日は本当にありがとうございました。また、昨年の2月がスタートだったと思いますが、今回まで計15回、私は昨年の10月3日に就任をしておりますから、中間報告以降だけ参加させていただいたわけでありますが、本当に様々なご議論をいただき、また精力的にご審議をいただきまして、ありがとうございました。また、中間報告以来、秋山先生には本当に様々の論点整理なり、お取りまとめにご苦労をいただきまして、重ねて感謝を申し上げる次第でございます。
   あと、今日また先生方から少しご意見が出されまして、やり取りがあったところでございまして、そういうところを反映をさせていただいて、最終的な取りまとめを座長である私にご一任をいただきたい、というふうに思っております。
   ただ、これはホームページで意見を聞くというような手続きもございますので、9月20日前後に最終的に仕上がりをまたご報告するような会を計画させていただきたい、というふうに思っております。個人的なことで恐縮でございますが、たぶん我々は20日以降、内閣改造があるようでございますから、私のうちに何とかこれをまとめたい、というふうな思いもございまして、よろしくお願いをしたいと思います。
   実は、今日は途中でいろいろ申し上げたいこともあったわけでございますけれども、世界的なCOEとして新たな融合相乗効果というものを皆さんが目指してご議論をいただいた、ということに大変感謝をいたしております。
   ただ一方、整理合理化というと、非常にきつい言葉で、何か小さくなるような感じがするわけでございますが、統合をして無駄な部分があれば、その部分は思い切って整理統合をして、より効率的に効果的に運用していただくことによって、厳しい中であっても日本の原子力、しかも、それを世界のCOEとして守っていく、そういう組織づくりを、二法人の理事長さんが出席されておりますが、していただきますようにお願いを申し上げます。
   この前、タウンミーティングに行ったときにも少し拍子抜けの感じでした。実は応援演説のほうが多いんですね。もう少しいやらしい質問が出てもいいかなと思ったんですが、立地地域の皆さんから「『もんじゅ』はいつまで止めているんだ。早く工事にかかれ」とか、そういう意見もたくさん出てきたわけでございます。
   やはりやるからには、しっかりとした新しい体制の中で安心感を……。安全であるから安心ということではないんですね。安心をしていただくためにどういうことをやっていくか。我々国のほうとしても今後とも努力をいたしますし、私は首になるかもれしませんが、文部科学省はずっとあるわけですから、しっかりとやっていただきたい、というふうに思っているところでございます。
   以上、よろしければ、そういうことで取りまとめを私にご一任をいただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

   丸山官房審議官   ありがとうございました。
   今の副大臣のご発言のとおり、これまでいろいろお手数をわずらわせました秋山先生と副大臣がご相談して、座長に一任ということでよろしゅうございますでしょうか。
   (一同賛同)
   それでは今日いただいたご意見を早急に手直しして、「報告書(案)」を修正いたしまして、なるべく早く国民の皆様からも意見をいただきたい、というふうに考えておりますので、10日間程度の意見公募期間を設けて、その上で、先ほど副大臣からお話がありましたように、9月20日前後ということですが、20日は土曜日なので、たぶん19日になると思いますが、もう一度統合準備会議を開催させていただいて、最終的な報告書を仕上げたい、というふうに考えております。場所、時間等は調整中でございますが、決まり次第ご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
   それでは大変長い間どうもありがとうございました。以上で今日の会議を終わらせていただきます。

   渡海副大臣   ありがとうございました。


(研究開発局原子力課)

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