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原子力二法人統合準備会議

2003年6月19日 議事録
第14回  原子力二法人統合準備会議

第14回  原子力二法人統合準備会議



日  時  2003年6月19日(木)  15:00〜

場  所  中央官庁合同会議所   大会議室


原子力二法人統合準備会議(第14回)議事録


1. 日時   平成15年6月19日(木)   15:00〜17:00

2. 場所   中央官庁合同会議所   大会議室

3. 出席者
(座長) 渡海   文部科学副大臣
(副座長) 大野   文部科学大臣政務官
(有識者) 青木利晴   株式会社NTTデータ取締役相談役
秋元勇巳   三菱マテリアル株式会社取締役相談役
秋山守   財団法人エネルギー総合工学研究所理事長
木村孟   大学評価・学位授与機構長
熊谷信昭   大阪大学名誉教授
兒島伊佐美   電気事業連合会副会長
小林庄一郎   関西電力株式会社顧問
住田健二   大阪大学名誉教授
住田裕子   弁護士
伊達宗行   大阪大学名誉教授
田中豊蔵   ジャーナリスト
畚野信義   株式会社国際電気通信基礎技術研究所社長
(法人) 齋藤伸三   日本原子力研究所理事長
都甲泰正   核燃料サイクル開発機構理事長
(文部科学 省)  間宮文部科学審議官、石川研究振興局長、白川研究開発局長、坂田大臣官房審議官、丸山大臣官房審議官

4. 議事
1. 開会
2. 新法人設立に向けての先行的取組について
3. 「原子力二法人の統合に関する報告書(案)について」
4. 「新法人への期待」について
5. 閉会

5. 配付資料
資料1. 新法人設立に向けての先行的取組について
資料2. 原子力二法人の統合に関する報告書(案)
資料3. 新法人への期待
資料4. 第14回原子力二法人統合準備会議議事録


   丸山官房審議官   それでは定刻になりましたので、第14回目の統合準備会議を始めたいと思いますが、開会に当たりまして、まず渡海副大臣と大野大臣政務官よりご挨拶を申し上げます。
   渡海副大臣、お願いいたします。

   渡海副大臣   今回で14回目の二法人統合準備会議でございますが、委員の先生方におかれましては本当にお忙しい中ご出席をいただきまして、ありがとうございます。
   大変熱心なご議論をいただいておりまして、14回を重ねたわけでございますが、今回はまずお取りまとめをお願いしております秋山委員のほうから、「基本報告」以降、取り組んでいただいております一連の先生方にご議論をいただきました検討事項につきまして、調査・整理作業を総括していただきまして、原子力二法人統合に関わる主要論点についてご報告をいただきたい、というふうに思っております。また、このご報告を踏まえて、委員の先生方のご議論をいただきたい、というふうに思っておりますし、この新法人のあり方について統合準備会議の考え方をまとめていく上での参考にさせていただいて、取りまとめ作業にかかっていきたい、というふうに思っておりますので、本日も闊達な議論をいただきますように冒頭お願いを申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。
   どうもありがとうございました。

   丸山官房審議官   続きまして、大野大臣政務官、よろしくお願いいたします。

   大野大臣政務官   先生方、大変お忙しい中ありがとうございます。また、毎回熱心にご協力・ご参加いただいておりますことに厚くお礼申し上げるところでございます。
   秋山委員におかれましては、本当に精力的にお取り組みいただいて、今日もまたそれらの状況につきましてご説明いただくわけでございますが、極めてご多忙の中にも関わりませず、こうしてお取りまとめいただいておりますことに厚くお礼申し上げところでございます。
   今日もまたご報告いただいた資料を基にいたしまして、原子力研究開発の中核的拠点たるべき新法人の姿につきましてご審議いただきたい、こう思っているところでございます。また、本日も活発なご議論を賜りますようにお願い申し上げます。いつも大変ありがとうございます。

   丸山官房審議官   それでは本日の議事にさっそく入らせていただきます。
   まず配布資料の確認をさせていただきます。

   中西課長   (資料確認)

   丸山官房審議官   今日は大変ご多忙の中、松浦原子力安全委員長においでをいただいております。「日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の廃止・統合と独立行政法人化の制度設計にあたり、国の原子力の安全確保に関する基本に係る観点から考慮すべき事項について」ということで、お考えが取りまとめられたようでございますので、それにつきましてご紹介をしていただきたいと存じます。
   それでは松浦委員長、よろしくお願いいたします。

   松浦原子力安全委員長   原子力安全委員会の委員長の松浦でございます。よろしくお願いします。
   本日は、この会議で原子力安全委員会としての考え方を述べる機会をお与えいただきまして、誠にありがとうございます。
   本日は、先ほどご紹介がありました「参考資料第1号   日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の廃止・統合と独立行政法人化の制度設計にあたり、国の原子力の安全確保に関する基本に係る観点から考慮すべき事項について」というものに沿って、原子力安全委員会の考え方を申し述べたいと思います。
   この文書は、実は、本日開催いたしました第40回の原子力安全委員会の会議において、意見として決定したものがございます。
   この文書の第2パラグラフから進めさせていただきたいと思いますが、原子力安全委員会はこの新法人が設立されるということが非常に重要であるということを深く認識いたしまして、去る平成14年5月13日に新法人の役割・機能等に関する基本的な意見を取りまとめました。これは(添付資料)として以前にこの会議でご説明させていただいたものでございまして、これには7項目の要点が示してございます。この要点に関しましては、昨年8月に文部科学省が「原子力二法人統合に関する基本報告」としておまとめになりました中にかなり反映されている、というふうに認識しております。
   今般、昨年の意見に加えまして、新法人の業務方針の骨格を定める制度設計に関する検討が今、進められているということに当たりまして、国の原子力の安全確保の基本に関する観点から考えていただきたい、というものを意見として取りまとめたものでございます。
   まず「1.」は、我が国の原子力の安全確保に関する基本政策というのは、原子力安全委員会が企画し、審議し、決定する、という役割をもっているわけでございますが、新法人におかれてはこの内容を適時、的確に踏まえていただいて、原子力研究開発の中心的役割を担う機関として総合的に研究開発を実施していただきたいと思います。
   その内容をやや具体的に6項目ほど次に述べておりますが、まず第1項目として、国の安全規制からの要求に答える研究、すなわち、現行の規制活動への支援及び規制に係る政策全般に資する研究ということで、もう少し具体的にいいますと、安全規制のための基準・規制を行うための指針を策定するときの参考にするもの、あるいは安全審査において判断するよりどころになるような知見を出していただく、そういう研究でございます。
   2番目が事故・故障の評価に関する研究でありまして、これは、申すまでもなく、そのものでございます。
   それから3番目が施設の不安全要因の検出・分析・評価に関する研究ということでございまして、安全確保というのは、基本的には不安全の要因を見つけて、それがどれだけ不安全の度合いが高いか、ということを確認し、それをコントロールすることでありますので、これが今後ますます重要になるのではないかと思います。
   それから4番目が放射線影響に関する研究、5番目が原子力利用の全段階にわたる放射性廃棄物等の安全な処理処分を含む安全(環境安全)の維持・強化を含めた総合的安全性の向上を目的とした研究ということで、今後、核燃料サイクル等が進んでいきますと、単に運転段階、建設段階だけではなくて、その最終的な廃棄物の処理処分までも含めて、視野を広げた研究が必要だ、というふうに思います。また、今後それが重要になるのではないか、というふうに思うわけであります。
   第6項目として、防災対策のための研究ということでございまして、これは全体を同じようにということではなくて、それぞれ研究課題に関する原子力政策上の重要性に応じて着実に推進していく必要がありますので、そのように考えて運営をしていただきたい、というふうに思うわけでございます。
   安全研究の成果が安全規制活動に適切に活用されるためには、その研究がどのように行われるか、どういうプロセスで評価されているか、そういうことが十分な中立性と透明性をもっている、ということが必要でございますので、中立性・透明性を保ち、信頼性の高いものとして研究成果を出していただきたい、というふうに思うわけでございます。
   「2.」でございますが、新法人は我が国の原子力安全活動を支えていくために、まず人的基盤も含めた知的基盤、それから研究施設・設備等の研究基盤、こういう研究に関する人的・施設的基盤を継続的に維持・強化して、その中核的な役割を担っていただく必要があると思います。
   特に新法人に安全規制を支える安全研究の着実な実施、原子力施設の事故・災害時における原子力災害あるいは緊急時対応への技術的な支援ということに対しましては、今も両法人は指定機関になっておりますけれども、国の中核的な機関として役割を果たしていただきたい。すでに過去の実績としては、JCO事故でいかに重要な役割を果たされたか、ということが思い起こされると思います。また、そういうことを行うためには、十分な実行能力を持っていただきますことと、言わずもがなでございますが、責任をもってその付託に応えていただきたいと思います。
   それから最近、特に国際的にも放射線に関するセキュリティの強化が問題となっております。先のエビアンG8会合においてもそういうことが指摘されておりまして、こういう国際的な課題に対する新たな対応とか、さらに今後を考えますと、高度かつ先進的な原子力安全研究に関する国際的な研究機関としての役割を期待されると思います。これは、我が国が安全を前提として原子力を活用していく世界的な先進的な国の一つとして活動していくためには、ぜひとも必要なポイントではないかと思います。
   こういう点から考えますと、研究施設あるいは設備等の研究基盤の強化におきましては、中性子の照射試験が行うことができるような原子炉施設とか、プルトニウム、高放射化した材料、そういう特別の放射性物質を扱う大型の施設(ホット施設)、そういうような試験施設を我が国で唯一有する法人として、その維持と活用が求められるわけでございます。種々の原子力基盤研究施設の共用施設の整備・運用に対する役割が非常に大きい、ということを踏まえて対応していただきたいと思います。その際、すでに使われております既存の研究施設が老朽化していきますと、当然整理するとか、合理化するということが問題になると思いますが、その場合には、今後必要となります代替機能をいかに確保するかということについては、特段の留意をしていただきたいと思います。単に老朽化したから止めるといって、次に代替機能がないということになりますと、十分な安全確保のための研究開発活動を続けていただくことができなくなる、というふうに恐れるわけであります。
   さらに、人的及び知的基盤の維持・強化につきましては、安全研究を実施する人材への適切な評価、規制活動の適切な実施に必要な人材の育成、人材の質の向上のための教育とか、研修機能を十分に強化していただくように配慮していただきたいと思います。
   それから、これは今後非常に重要になる、というふうに考えるものでありますけれども、新法人におきましてはすでに幾つかの既存の原子力施設をお持ちでございます。その中には先に廃止措置を行わなければならないというものも見えているわけでございますが、そういうものについての放射性廃棄物の処理処分というのが今後非常に重要な業務になってくるのではないか、というふうに思います。これは必然的なものではないかと思います。これらの業務は、いわゆる原子力利用に伴う環境安全と非常に密接に関係しております。また、こういう業務は、世界的に見ましてもなかなかスムーズに進むというものではございません。この観点から、国民の理解を広く得ていくためにも、この実施に当たっては、環境安全を含む安全性の確保あるいは向上にかなり長期的な視点から確実に取り組んでいただかなければならないと思います。
   原子力利用に伴います環境安全の確保というのは、今後の原子力安全政策上の非常に重要なポイントとなるわけでございまして、ますます比重が高まっていく、というふうに考えます。この点、新法人の設立に当たっては十分に配慮していただく必要があるのではないか、というふうに思うわけでございます。
   次に「4.」として、特に設置、運営方針を今後決めていかれるということについて、安全委員会から指摘させていただきたい点を述べております。
   1つは、新法人の業務方針の骨格を定めるなど、新法人設立の制度設計に当たっては、次に述べます幾つかの点についてかなり明確に、例えば法律の中等に述べるようにお考えいただければと考える次第でございます。
   1つは、主務大臣による新法人の中期目標の策定あるいは中期計画の認可等にあたっては、原子力安全委員会が企画・審議・決定する原子力の安全確保に関する基本政策に基づいているかどうか、こういう点からあらかじめ原子力安全委員会の意見を聞いていただきたい。これはすでに同様の趣旨の条項が現在の日本原子力研究所法でありますとか、あるいは核燃料サイクル開発機構法の中にも述べてある、というふうに理解しておりますが、この点よくご留意いただきたいと思うわけでございます。
   2番目は、これも同趣旨でございますが、主務大臣による中期目標は、新法人が行う安全研究に係る業務を、原子力安全委員会の定める安全研究年次計画に基づいて策定していただきたい、というふうに思うわけでございます。安全研究年次計画というのは、今後先を見て、いろいろと変更していくことがあると思いますが、その点十分にご留意いただきたい、というふうに思います。
   また、次の事項について制度設計に当たってご配慮いただきたいというものでございまして、新法人の年度計画の評価においても、原子力安全委員会の意見を十分に参考にしていただきたい、安全研究に関しては、原子力安全委員会の示す重点分野を十分踏まえていただきたい、というふうに考えるわけでございます。時として、安全研究年次計画を決定しますときに、原子力安全委員会が「重点分野が何である」ということを示すことがございます。その点をご留意いただきたい、ということでございます。
   それから主務大臣による中期目標の策定あるいは中期計画の認可に当たっては、原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分に関する環境安全を含む安全の確保が確実に実施されるよう、財源を確保するなど、所要の措置が講ぜられるようにしていただきたい。これは非常に難しいことであるとは存じますけれども、今後の原子力の安全を確保していくために、社会的な理解を得るためには欠くことのできない問題ではないか、というふうに思うわけでございます。
   3番目は、万全な原子力の安全規制体制を確保するためには、原子力安全に関する知見・経験を有する者を十分確保する必要がございます。このような人材の育成・確保を可能とするような運営が図られるように考えていただきたい。特にその一部として、規制行政への知的支援や協力は、現在もいろいろいただいているわけでございますが、今後もさらに継続して必要になると思います。これに関しては、客観性と透明性が不可欠でありますので、新法人の運営に当たってはそのことも十分に考慮していただきたいと思うわけでございます。
   日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構とが統廃合され、新法人になるということは、単に当該二法人の問題にとどまるものではない。これは皆さん十分にご理解のところだと思いますが、正に日本の原子力安全に対する取組み全般に関わるところが少なくない。むしろかなり多くある、というふうに考えます。原子力安全委員会といたしましては、日本の原子力の安全確保に関する基本政策を企画・審議・決定するという立場から、安全研究年次計画の策定・実施のあり方、研究基盤や知的・人的基盤の維持・強化など、総合的な視点からいろいろ考え、検討する必要がございまして、今後もこういう検討を続けながら、必要に応じていろいろと意見を述べる機会を与えていただきたい、というふうに考えるわけでございます。また、こういう検討の場合には、統合法人だけでなく、他の研究機関のことについても原子力安全委員会としては検討をするのは当然でございます。
   今、いろいろと申し上げましたが、原子力安全委員会の立場は必ずしも法律の制定についていろいろと申し上げる立場にあるわけではございません。その点は十分に理解しておりますが、しかしながら、制度設計が進みますと、当然法律という形になって示されるわけでございまして、それにどのように示されるかということが、その後の活動に決定的な重要性をもつものであると理解しておりますので、本日申し上げました原子力安全委員会の意見を十分斟酌いていただけることをお願いいたしたいと思います。
   どうもありがとうございました。

   丸山官房審議官   どうもありがとうございました。
   それでは、松浦安全委員長のご説明に対してご質問、ご意見等よろしくお願いいたします。
   特にございませんでしょうか。
   それでは、住田先生からいただいている意見も、今の松浦委員長のご説明にも関連する事項だと考えられますので、住田先生から「参考資料第2号」に基づきましてご説明いただいて、それも併せてご議論をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

   住田健二委員   若干時間をちょうだいいたしたいと思います。
   前回の13回で事務局のほうから、確定案ではございませんで、たたき台ということで、新法人に吸収されるであろう現在の両法人の主要な研究施設の整理・統合はこういうものが考えられる、という一つのサンプルが提出されました。それに対しまして、私のほうから若干議論を申し上げまして、その他2、3の方からもご意見をいただいておりまして、渡海先生のほうから「まとめて意見書のようなものにして出してくださったら、大変都合がいい」というご指示もございましたので、今日事前にあらかじめ皆で相談いたしました案を用意いたしました。
   お手元にお配りいただいています「参考資料第2号」の2ページ目のところに要点が書いてありますので、ごらんいただきたいと思います。
   私どもが非常に心配いたしておりましたことは、すでに今、松浦委員長がお話しされたことと同じような内容でございますけれども、何分ともこの統合委員会は時間が限られております。予算措置その他を考えますと、私などの経験から申し上げますと、現在すでに各基本的な予算については両機関ともいろいろなことを考えながら所轄の官庁と折衝を始めておられる、あるいは財務当局ともお話合いをされる等々を考えてみますと、それなりに時間が切迫しておりまして、私どもが最初考えておりましたような前年度内に何か案がまとまっていればよろしかったんですが、今になって持ち越しますと、基本方針だけが漠然と提示されて、実態は両法人と文部科学省の間での窓口のところで実際の執行案がどんどん形成されていくことが心配されまして、それにつきまして若干お願いをしたわけです。
   ということはどういうことかといいますと、一言で言いますと、「もう少し皆の意見を聞いてください」と。特に、今、松浦委員長がおっしゃいましたような安全研究のような場合は、焦点がかなりはっきりしておりますけれども、例えば大学の共同利用の施設であるとか、基礎研究あるいはうんと遠い将来のための安全研究のためのものというのは、関係者はかなりたくさんおります。もちろん、それぞれの機関が努力して把握されていると思いますけれども、やはりそれなりの手続きを踏んで、手続きという形式的なことではなくて、実質的に皆さんのご意見を反映していただきたい、というのがお願いであります。
   具体的なことが次のページに書いております。現在の主要施設・組織については、評価の見直しを当然なさると思いますけれども、この統合委員会の中でそれを全部やってしまうということは、とうてい時間的には無理でございます。我々の付帯決議なり何なりの形で、ぜひそのための場を別に用意していただきたい。そこにはもうちょっと違った構成の専門家が集まってくると思いますが、それをぜひお願いいたしたい。
   そのときに考慮していただきたいことは、単にこの二法人の中の問題、その引き継ぎということだけでなくて、将来の日本全体の長期的な展望の下にやっていただきたい。つきましては、当然、原子力委員会の長計あるいは原子力安全委員会の長計があるわけでありますが、その場合の主導権は原子力委員会の主導権が発揮されることが望ましい。これは実務的にはなかなか難しいことかもしれませんが、少なくともこの統合委員会の中だけで小さな議論をして、そこで何となく決まったということでは困るということを、考えていただきたいことであります。
   その場合に、当然の話として、いわゆる俗に言う原子力関係者だけではなくて、現にこの委員会もそういうことで各界からいろいろな方にご意見をちょうだいできる場をつくってくださったわけですが、今度の実務委員会につきましても、やはり学際的な共同利用という広い立場でものを考えられるような側面、あるいは教育とか、国際協力の立場でものを考えていただきたい、というようなことをお願いしたいわけであります。そのためには、具体的に申し上げますと、文科省の傘下には原子力関係のいろいろな委員会がございますし、原子力委員会、原子力安全委員会、総合科学技術会議、日本学術会議、それから原子力関連の諸学協会がございますので、そういうところの方々にも参加していただきたいんですが、そのほかにも他の省庁のその関係者、あるいは産業界の声もぜひ聞いていただきたい。要するに、当面の原子力利用の狭い分野だけの議論だけで物事を決めないで、広く皆の意見を聞きながら、かつ要領良くやっていただかなければいけないと思いますけれども、そういう広い場を引き続きもつ、という姿勢を続けていただきたいと思います。
   特にその場合につきまして、さっき松浦委員長が安全研究のところで「例えば、安全審査の必要なデータを出すということは第一責任義務である」というようなことでご紹介がありましたけれども、それは安全だけのことではございません。いろいろな原子力関係の基準規格になるような物性値を測るとか、そういうことは一見縁遠いように見えますけれども、これは基準としては非常に重要なことであります。それがひいては原子炉の安全な運転にもつながっていくわけでありますけれども、そういうものを確保して効用させていく、そういう認識をもっていただきたい。一見ちょっと安全と結びつかないようなことにも目を配って、大切な施設をきちっと面倒を見ていただけるようにしていただきたい。
   もう1つは、そういう義務を課せられたからにはその義務を必ず果たすように。そうはいって予算はいただいたけれども、実は手がつけられなくて、何かほかのことに利用されてしまった、という例が全く皆無ではないと思います。今まで残念ながら思ったとおりにならなかった、ということも多いのでありますけれども、ぜひそういう実施についても責任をもてるような運営の方法も考えていただきたい。
   それから、統合準備会議としてそういうふうに言い出したからには、この準備委員会のメンバーが複数人参加して、我々の意のあるところを十分反映していただくようにお願いする、そういう書き方はどうでしょうか、ということでございます。
   委員の先生方のお名前が最初に出ておりますが、これはこの委員会のメンバーの中でいわゆる技術屋あるいは科学者と言われる方々全員にご相談をいたしまして、皆さんのご同意をいただいております。
   ただ、秋元先生はちょっと立場がいろいろありますので、我々は技術者の仲間ともちろん考えておりますけれども、産業界代表という意味で……。内容的にはご賛同いただけているわけですが、ちょっとお名前を出すのを遠慮させていただきました。その代わり、他の立場、要するに、学術的な立場あるいは学協会、それから国際協力という立場で、私どもが現在日本の中でいろいろこういうことをご相談しますときに最もそれをご理解、ご支援いただけるような方々にご相談いたしまして、そのご賛同も得ました。
   そういうことで、このメンバーだけがクローズしてディスカッションしたということではございませんけれども、こういう方々のご賛同をいただいた書面でございます。

   丸山官房審議官   どうもありがとうございました。
   それでは、安全委員長と今の住田先生のご意見両方に関連したご議論をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

   秋元勇巳委員   今、住田先生から名前が出たものですから、私の立場をちょっとお話し申し上げたいと思います。
   私も今、松浦委員長が言われましたこと、住田さんが言われましたことと同じ方向の危惧の念をもっております。おそらくこの後でご議論になられる「原子力二法人統合に係る主要論点について」の中でいろいろ申し上げたほうがむしろいいのか、というふうに思ったんですけれども、基本的な立場なものですから、その点だけちょっと申し上げたいと思います。
   今の二法人のこの議論の中で「合理化」「『選択』と『集中』」というような言葉で言われている中身ですけれども、結局、施設の廃止であるとか、マイナスの面、ちょん切る方向だけが明確化されていまして、新しい新法人の目標に向かってやっていくために、どのようなインフラを確保していくのか、そういう面からの議論があまり進んでないのではないか。こういう難解の中で、ただ老朽化したから、重複しているからということで、施設だけを廃止するという具体的な作業だけが進んでしまいますと、現実に本来の目的である「『選択』と『集中』」であるとか、あるいは「事業の効率化」であるとか、そういうことさえ不可能になってしまうという面があるのではないか、というような気がしています。
   例えば、JMTRの問題にしましても、いろいろなホットラボの問題にしましても、この間も具体的に出てきたわけでありますけれども、施設が老朽化していけば、当然、廃止するということはあるわけであります。廃止して、それだけで終わってしまう施設もあるかもしれませんけれども、新しい国策に沿った唯一の日本の原子力の研究所でありますから、それにふさわしいインフラというものが当然なければいけないわけです。そのあたりの議論をした上で、廃止する、あるいはそれを新しいものに切り替えていく、ということであればいいんですけれども、それなしに片方の議論だけが進んでしまうということについては非常に問題である、というふうに私も思っているわけであります。
   具体的にまた後でこの「二法人統合に係る主要論点について」の中でご説明があれば、またそこでも申し上げようか、というふうに思っているわけでありますけれども、基本的にはこういうものはプラスの方向とマイナスの方向が総合的に組み合わされて一つの政策として出てこないと、片方の二法人を統合して、ただスリム化していくという視点だけの議論で終わるということについては、この二法人統合委員会の結論としても決して正しいものではない、というふうに思いますので、このあたりについてはぜひとも最終報告のところできちっとその内容を議論して、その成果を組み込んでいただきたい、そう思っているわけであります。

   伊達宗行委員   初めに、松浦委員長の話されたことについてのコメントとお願いを申し上げたいと思います。
   1ページの「1.」に書いてあることは非常に重要で、ご説明では6項目ほどあるものをコンパクトに整理された、というふうに拝見しましたが、この各々につきまして少し具体的な内容などもお示しいただいて、全体の要望されるものが見えてきますと、一般国民にもわかりやすいし、そういう努力が必要なのではないかと思いますので、これがさらに充実した内容と表現で目にとまることを期待しております。
   それから「1.」のような要望の下に新しい研究所が動き出すであろうと期待されるわけでありますけれども、これまでの議論を聞いておりまして、「かなり痛めつけられて矮小化した、特に気迫の不足な研究所ができるのではないか」ということを非常に感じております。これは「論理的に示せ」と言われても困るんですけれども、学者の端くれとしてのこれまで経験からいって、こういうふうな発足をしたものが新しいパイオニア・スピリットをもって未知の原子力分野を開いていけるか。原点に戻ってこれを少し考えたい、というふうに思います。
   これまでの原子力事故を見ておりましても、多分にそういう面があったと私は思います。例えば、この間もちょっと申しましたように、シュラウドはステンレス316Lという材料の問題ですけれども、学者サイドからは「放射化のテストをしないで使うなんて」という意見は最初からありました。しかしながら、そういうふうな条件が満たされないままに、応力テストだけで使ってきているわけです。ですから、現在起きている状況というのは、「想定外の事故である」という表現は原子力に関して非常によく使われる言葉でありますけれども、ものを知っている人からみたら、想定された事故である。「事故」というより「事象」と言うべきでしょう。
   事故になってないのは大変ご同慶の至りでございますけれども、そういうところまで踏み込んで事前に予想でき、いろいろなトラブルが起きても、自信をもって「それは想定内だ。任せなさい」といった指導力を発揮できる研究所が今度できるべき新しい研究所である、そういう迫力を十分につけた状態のものが船出できるよう、この会もぜひまとめていただきたい、というふうに思いますし、それは原子力安全委員長が期待されている将来の幅広い安全に対する重要な方向性でもある、というふうに思っております。

   畚野信義委員   私はここの議論にずうっと違和感をいろいろ感じてきたんです。原子力の部分で具体的にどういう問題があって、どうだということはあまり知らないものですから、ただ何となく新しい組織をつくるについてこのような話の進め方で良いのかと。今ちょうど私が感じていたことをうまく言われたような気がするんです。新しいものをどういう目的で、どういう考え方でつくるのか、というフィロソフィーがあって、具体的にどうするのか、という話がないんです。今ある設備をどうするか、という話だけで先に出ているような気がするんですけれども、私の今までの違和感を今、非常に的確に言われたような気がするんです。

   丸山官房審議官   住田先生のペーパーに名前を連ねていらっしゃる先生方で、ご意見をおもちの方いらっしゃいますでしょうか。
   今、畚野先生がおっしゃったような話は、おそらく「原子力二法人統合に係る主要論点について」という紙にも関連する話だと思いますので、そちらのほうに進んでいただいて、また最後にまとめてご議論いただく、ということにさせていただきたいと思います。
   松浦委員長、本当にお忙しいいところ本当にありがとうございました。

   松浦原子力安全委員長   どうもありがとうございました。

   丸山官房審議官   それでは、今日の本題であります「原子力二法人統合に係る主要論点について」という議題に移りたいと存じます。
   秋山先生にまた整理作業を行っていただきまして、これまでのもの全体を総括した形で「資料第1号」ということでおまとめいただきました。それでは秋山先生のほうからご説明をお願い申し上げます。

   秋山守委員   ただいまご紹介いただきましたように、今回は昨年の8月の「基本報告」以降、多くの外部有識者の方々のご支援、ご協力をいただきながら作業を進めてまいりまして、その内容を取りまとめさせていただいたわけでございます。
   この一連の検討課題についての調査・整理の作業の経過でございますが、去る12月5日の第11回会合、3月25日の第2回目、5月23日の第13回会合におきまして、それぞれ中間的に内容のご報告はさせていただいたところでございます。その都度、本統合準備会議におきまして、先生方から多数の有益なご意見をちょうだいいたしまして、それをさらに反映しつつ作業を進めてまいったわけでございます。本日は、以上を全体にわたりまして整理・総括いたしました内容につきまして、ご確認いただき、また引き続きご意見をちょうだいいたしたい、ということでございます。
   この調査・整理の作業に当たりましては、大変多くの方々、外部有識者の方にご協力いただきましたことを、この場をお借りいたしまして、厚く御礼を申し上げます。
   なお、整理・総括のベースとなりました作業部会での各意見の詳細につきましては、本日お手元にお配りいただきました別添の資料に詳しく整理、記述していただいております。もちろん、それぞれの考え、あるいはお立場を反映して、ご意見には分布かあるところでございます。それを全体を通しまして、多くの方々のご賛意を得たところを中心に本日、大筋で整理・統括しました内容のご報告を申し上げる、ということでございます。
   それでは詳しく事務局の方から資料に沿いまして、以下ご説明をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

   中西原子力課長   それではお手元の「資料第1号」に沿いまして、事務的にご説明をさせていただきたいと思います。
   大きな流れでございますが、1ページは原子力研究開発の必要性と新法人に求められる役割について記述してございます。
   それから2ページは、最近、原子力を取り巻くいろいろな状況の変化、環境の変化が生まれておりますので、それらを踏まえて、さらに新法人が役割を発揮することを期待されているもの、新しいものもいろいろとございますが、そういったものについて記述したものでございます。
   3ページは、「新法人が目指すもの」というタイトルになっておりますが、10年後、15年後、世の中に対してどういう貢献をしていくのか、ということについてまとめたものでございます。
   こういったことを目指しながら、新法人は4ページにありますような主要業務を実施していく、というわけでございますが、その進め方の大きな方向性は5〜6ページにそれぞれの柱ごとに、ミッションごとにまとめてございます。
   それから7ページは、法人の統合に伴って整理・合理化できる部分も多々あろうということで分析したもの、それからさらに相乗効果を発揮しなければいけないということでございまして、一番下のところに統合効果が一番期待できるものを掲げてございます。
   8ページは、経営基盤を確立するために、ぜひとも議論し、解決しなければいけないことが幾つかございます。それらについてまとめてございます。
   9ページは、制度設計の基本に関するポイントについてまとめてございます。
   10ページは、業務運営に係る様々なご注意、ご提言、アドバイスをいただいてございますので、それを整理して記述してございます。
   11ページは、発足するに当たって、法案をつくるに当たって、今後さらに各方面と調整をしなければいけない主な事項についてまとめてございます。
   こういう順序で1ページからご説明させていただきたいと思います。
   「背景」とか、「原子力研究開発の必要性」のところは、「基本報告」にも語られているところでございまして、省略をしたいと思いますが、「原子力の研究開発は国の存立の基盤を形成するものである」というような考え方に立って、「安全の確保というものを大前提にしながら進めていくことが必要である」ということを記述してございます。「基本報告」にもありますように、こういった考え方に基づいて、新法人に期待される役割というのは、原子力安全の基盤を支える役割であり、核燃料サイクル技術を確立する役割であり、原子力技術の新たな可能性を開拓する役割である、というふうに記述してございます。
   それから2ページは、それに加えまして、最近、原子力を取り巻く環境が様々に変化しております。
   東電問題もございました。原子力に対する国民の信頼を回復することが必須の課題となっております。それからバックエンドに対する真摯な取組みということも大きなテーマになってきております。また、現場の技術者や規制行政官の能力の向上ということも言われております。
   また、「もんじゅ」につきましては、高裁判決で設置許可処分の無効判決が出てしまったわけでございますが、それも国民の原子力に対する考え方と不可分ではございません。したがいまして、高速増殖炉など原子力研究開発に関する国民に対する説明責任ということを果たすということが必要である、というように考えております。
   それから大学の研究炉で廃止や運転停止、それから将来の休止などがいろいろと明らかになってきておりまして、大学における原子力研究基盤が弱体化していることが顕在化しつつございます。
   また、イラクや北朝鮮問題のように、核不拡散や原子力セキュリティについての様々な国際的な議論が展開されていて、この分野を強化しなければいけない、そういうことが新たな事象として起こってきているわけでございます。
   これらに対応して、新法人が特に機能を発揮しなければ行けないことといたしまして、13との関連で、国民に技術的な面で信頼されるデータをちゃんと提供し、原子力への信頼、安全性を形成する役割というものを期待されており、その役割を果たすべく活動していかなければいけないのではないか。それから、施設の廃止措置、放射性廃棄物の処理処分を計画的にちゃんとやるということについて期待されている。それから、原子力人材の育成に貢献するという役割を強化する、ということが期待されている。   それから、原子力研究開発基盤施設というものを世の中に提供して、主に大学の研究者だと思いますが、研究の機会というものを提供していく、という役割が期待されている。それから、核不拡散、平和利用に徹するという国の政策を技術面で支援する、という役割が期待されている。こういった点については、これまで以上にさらに機能を強化して対応する必要があるのではないか、というふうに考えているところでございます。
   3ページは、中期的・長期的に新法人が「世の中に対してこういう貢献をしていくんだ」という目的、目指すものを大きく3本に分けて書いてございます。1本目は、核燃料サイクル確立などの原子力システムの高度化であります。それと同時に、原子力安全への貢献ということも非常に重要でございます。2本目は、原子力利用の可能性を開拓して、その成果を提供していくことでございます。3本目の柱は、核不拡散、原子力人材育成、原子力防災への貢献ということでございます。そこに小柱が幾つか並んでおりまして、それぞれに説明がございます。一つ一つの小柱も決して小さくはなくて、非常に大切なものばかりでございます。
   例えば、核燃料サイクル確立などの原子力システムの高度化のところでは、軽水炉サイクル技術の基盤の構築とか、次世代の原子力システムに関する技術体系の構築、その中にはFBRサイクル実用化技術体系の確立なども含まれているわけでございます。それから高レベル廃棄物処分の実現に向けた技術基盤の構築。この中には、廃棄物処分の負荷軽減のための分離変換技術の確立なども含まれているわけでございます。それから核融合の実現に向けた技術基盤の構築。そして、安全規制基盤の整備と安全評価手法の高度化のための成果の提供、こういったことが一つの大きな法人の目指すべきもの、目的ということでございます。
   それから次は、放射線を利用した新技術開発と、それを産業界に移転していくという仕事があろうか、というふうに思います。荷電粒子線、中性子線、光量子線などの発生技術、利用技術の高度化と提供、そして、医療や工業や農業や環境分野で様々にそれを応用していく、利用していく技術の高度化と提供、こういったことを新法人は目的としている、ということでございます。
   3番目は核不拡散などでございますが、核不拡散に係る技術開発・協力の支援。それから原子力人材の育成。特に民間技術者や規制行政官などの再教育、学生教育への協力ということを掲げているわけでございます。それから原子力防災対策への協力。国の原子力政策や原子力広報活動の基礎となる情報の提供。シンクタンク的機能でございますが、こういったものも新法人の活動の目的ということでございます。
   業務的に整理いたしましたものが4ページにございます。ここは8本の柱で書いてございますが、「原子力の基礎・基盤研究等の総合的推進」「核燃料サイクルの確立を目指した研究開発の実施」。新しく追加させていただきましたのは、「自らの施設の廃止措置と自らの放射性廃棄物の処理処分」をちゃんとミッションとして掲げて取り組む、という点についてでございます。それから、これまでご説明申し上げておりましたけれども、「国の安全規制、原子力防災対策、国際的な核不拡散への協力」、それから「教育研究への協力等を通じた原子力人材の育成」「原子力に関する情報の収集、分析及び提供」「原子力基盤研究施設の共用」「研究成果の普及」、こういった業務をやっていく、ということでございます。
   5ページにそれぞれの主要な方向性が書いてございますが、「原子力の基礎・基盤研究等の総合的推進」では、原子力に直接関係するものに重点化する推進する。特に基盤研究とか、革新的原子炉とか、放射線利用研究などが非常に重要ではないか。それから核融合に関しては、国内におけるトカマク方式の研究や炉工学に関する我が国のセンターとしての役割を果たす。
   「核燃料サイクルの確立を目指した研究開発の実施」では、正に次世代の核燃料サイクル技術の実用化像の提供と実用化に向けた要素技術開発といったことが重要ではないか。もちろん、「もんじゅ」の運転早期再開ということへ向けての努力ということも引き続きやっていく。あと高レベル、軽水炉再処理などがございまして、これらの成果は民間への技術移転ということを前提として、定期的に評価を行いながら進めていく、ということを書いてございます。
   新しく付け加わりました「自らの施設の廃止措置と自らの放射性廃棄物の処理処分」に関しましては、ちゃんとした計画の策定と、それを実施するための具体的な枠組みを構築しながら進めていく、ということを方向性として掲げてございます。
   それから「国の安全規制、原子力防災対策、国際的な核不拡散への協力」のところでは、先ほど安全委員長からもご要望がございましたが、安全委員会などの要請に応じて安全研究を実施する、ということを明記してございます。それから、不拡散の強化等に対して技術的観点から積極的に貢献する、原子力に関する幅広い情報発信、政策提言等の取組みを実施する、災害時などの緊急対応については積極的に協力をする、平常時においても訓練や研修などを実施して防災機能の向上を目指す、ということでございます。
   6ページに「教育研究への協力等を通じた原子力人材の育成」について書いてありますが、特に原子力産業を支える中核的技術者の養成及び規制行政官の能力の向上といったことに協力していきたいと思いまして、今、その制度づくりにつきまして、省内でいろいろと相談をしているところでございます。
   それから「原子力に関する情報の収集、分析及び提供」という業務でございますが、内容的には、社会が必要とするときに必要とする知見をちゃんと提供する、広報活動のより一層の充実を行うとともに、国が行う広報活動に協力していく、シンクタンク機能を発揮して、国や原子力委員会が政策立案をするとき、それをサポートしていく役割を担う、ということを明記してございます。
   「原子力施設の共用」に関しましても、ただ単に外部の利用に積極的に供するということだけではなくて、利用者の意見が反映されるような利用システムを確立する、ということを明記してございます。
   そして「研究成果の普及」のところでは、核燃料サイクル、放射線利用に関する研究成果を民間等へ的確に技術移転をしていく、というふうに述べております。
   7ページの「合理化と融合相乗効果(「選択」と「集中」、統合効果)」では、1点目に「事業所・研究所の整理・統合」ということで、大くくりに統合していくことを考えております。
   2点目は「事業の効率化」で、いろいろ移管できる事業があるのではないかということでこれまで分析してございまして、例えばSpring8の運転業務に関しましては適切なほかの機関へ移管をしていくことを検討していきたい、というふうに思っております。
   それから、いろいろとご議論がございましたが、老朽化したり、重複した施設についてについては運転を停止、あるいは研究機能は両法人で集約化をするということによって資源を合理化することができる分野が幾つかございます。それについていろいろ記載してあるわけでございます。例えば、核融合に関していえば、JT−60に一本化するということで古い施設は廃止する。それから再処理関連施設もいろいろありますけれども、集約化できますし、ホットラボについてもほかに機能を集約化できるものは廃止する。加速器についても、1号、2号とあるものについては1号に集約化する。使命の終了した臨界実験装置などは廃止する。燃料開発室なども一、二、三とあるものの二番目は廃止をしてもいいのではないか。JMTRについても、ほかのいろいろな試験炉もございますし、「常陽」もございますので、これは廃止という方向性を出す。地層処分研究につきましても、岩盤の長期観測は除いて、東濃鉱山における関連研究というのは終了する時期ではなかろうか、というふうに考えているところでございます。
   ただし、その進め方についてですけれども、特に材料試験炉に関しましては、原研において検討委員会というものを設置いたしまして、代替機能の確保も含めて、ユーザーコミュニティの意見を聴取して、適切な方法と時期を検討する、ということにしてございます。
   これは住田先生をはじめ皆様方からのご意見ということでございますが、それに加えまして、今後の我が国全体としての研究インフラのあり方に関しまして、長期的視点に立って原子力委員会や科学技術・学術審議会等の場で議論を行っていただくことを要請したい、というふうに思っているところでございます。
   それから「融合相乗効果の発揮」ということで、融合相乗効果が発揮できる一番の分野は次世代の核燃料サイクル確立のための研究開発の分野でございます。両法人と産業界の能力を結集して一体的に調査・研究を実施して、最適の実用化像というものを提示していくことに取り組んでいきたい、というふうに思っております。
   8ページは「経営基盤の確立」ということで、幾つか基本的な課題がございます。
   1つは「総合的な研究開発機能と適時適切な廃棄物対策の両立」でございます。先回ご説明申し上げましたように、廃棄物の処理処分に関わる費用に関しては、「現在の研究や需要の規模を想定いたしますと、十分に両立させて実施していくことができる」というような分析結果を得ております。中期目標や中期計画の認可のプロセスの中でこれらの教務がちゃんと相まって実施されるように、国で必要な財源措置を講じていく、ということにしてございます。もちろん、廃棄物の処理処分には相当なお金がかかるものですから、様々な努力をして、特に関係法令の整備などが大きいわけですけれども、そういったことをして所要コストを低減していく、という努力も今後継続していきます。

   注のところでケーススタディの結果について言及してございます。
   総費用は2兆円、また実施期間は約80年ということで、非常に長いものでございますので、「もう少しいろいろとケーススタディをするべきではないか」というようなご意見もございましたが、「今のベストエスティメートベースで推定した期間と総費用はこのくらいです」という意味で書かせていただいております。それプラスアルファ、今後の研究事業計画の見直しによって、施設解体時期が変動したり、合理的な廃止措置や処理処分のための法令の整備などが行われれば、費用も相当変動してまいります。そういったことをちゃんと考慮して、この費用と期間というものが合理的になるように定期的なケーススタディの見直しをしていきたい、というふうに思っております。
   それから2番目の重要なポイントといたしまして、固定経費というものが原子力の分野は非常に多うございますので、それを極力抑制して、研究費を確保するということが重要だということでございます。
   それから3番目のポイントは、両法人それぞれ出資金を政府と民間からいただいているわけでございますが、新法人となって健全な運営を確保していくためには、その出資金を適切に処理する必要がございます。具体的には、適正な水準、現在の評価をして、残っている資本の水準にまで減資するということが必要ではないか、というふうに考えておりまして、これを掲げさせております。そのこととの関係で、また11ページでちょっとご説明を申し上げたいと思います。
   9ページは「新法人の制度設計・業務運営に係る主要論点」ということで、新法人の制度設計の基本的な部分でございますが、先回、原子力委員長、あるいは今回、原子力安全委員長から中期目標作成の関与について言及がございました。長計とか、安全研究年次計画との整合性を確保するなどの観点から、両委員会の適切な関与の方法というものをシステムにビルドインしていきたい、というふうに考えているところでございます。「その他」のところでは、主務大臣についてこれまで複数省の大臣が共に監督してきた仕事というのはございますが、新法人設立後も独立行政法人の趣旨に則った形で共管関係を存続させていく、という考え方に立ってございます。
   それから組織形態につきましては、「事業本部制を採用する」というような記述もこれまでございましたが、趣旨は同じでございます。事業本部という言葉は使っておりませんが、「ミッションを効率的かつ一体的に遂行していくことが可能な責任体制というものを構築していく」ということにしてございます。
   2番目は、そのほかにも一元的・統括的な責任体制の確立が必要な分野がございます。それは安全確保の分野であり、核物質分野防護の分野でございます。それから地元との共生の分野であり、廃棄物の処理処分廃止措置の分野でございます。それから国際協力についても組織的にちゃんと取り組んでいく。そういったことを組織形態の2本目の柱としてございます。
   それからもう一つ重要なのは、外部に開かれた経営メカニズムの導入でございます。原子力は関係するところが非常に多うございます。産業界、大学、地元などの方々の意見を取り入れる場を新法人の中にちゃんと設けて、この原子力という幅広い社会的側面を考慮しつつ、人文社会系の専門家、有識者の知見も活用できるようなメカニズムを導入したい、というふうに思っているわけでございます。
   10ページは業務運営に関する様々なご注意を掲げてございますが、これまでも何回かご紹介しておりますので、省略したいと思います。基礎・基盤研究との連携の下に「独立したセンター組織」において、「透明性」「中立性」「独立性」に配慮して安全研究というものを実施していく、そういったことを一括して取りまとめてございます。
   それから11ページは、今後、発足に向けて法律を作成する作業を進めていくわけでございますが、それに当たって調整をしなければいけないことが幾つかございます。
   先ほど出てまいりました累積欠損金の適切な処理、特に減資を行うに当たっては、出資していただいた方々によくご理解いただいて、ご協力していただく必要がございます。また、残存資本に対する持ち分を継続して出資していただく必要がございまして、そこについてもまた誠実にご協力をお願いするということが大切でございます。
   それから2番目は「原子力安全規制上の地位の承継」であります。いろいろな許可、認可、指定などを受けているわけでございますが、それがスムーズに新法人に移行できるように、ということを検討することが必要だ、ということでございます。
   3番目は、中期目標、中期計画を策定していくに当たっては、新たな原子力政策との整合性が求められるわけでございます。原子力委員会において検討が現在も今後も進められるわけですが、そうした新たな原子力政策などが適切な中期目標等に反映される、ということが非常に大切でございます。
   こういったことを今後、関係方面と調整をして実現していきたい、というふうに思っているわけでございます。
   飛ばしたところもあり、非常に雑ぱくでございましたが、説明は以上のとおりでございます。

   丸山官房審議官   先ほど伊達先生、畚野先生から出たご意見にも関係してくるかと思いますけれども、ご議論をいただきたいと思います。どなたからでもよろしくお願いいたします。
   秋山先生、何か補足ございますでしょうか。

   秋山守委員   いえ、特にございません。
   今日、先生方からいろいろご指示、ご意見をちょうだいいたしまして、今後まとめていきたいと思いますけれども、これからどうまとめるかということにつきましてもご示唆をいただくことになると思いますので、私の意見というよりも少し先生方からご教授をいただきたい点につきまして、1、2申し上げたいと存じます。
   今回のこうした作業全体として最終的にまとめていきます際に、私の一番基本的な認識といたしましては、この場ではこれまでの経緯、また、これからのあり方ということを基本的に考えながら、新法人に対して基本的なスペックというんでしょうか、基本的な骨格とミッションを議論する、ということが主たる使命でありまして、できるだけ新法人には主体性、自主性を今後とも発揮していただく、ということが重要でございますので、あまりにもディテールにわたりましてこの場で書き尽くすということはしないほうがよろしいのではないか、というのがまず第1点でございます。
   その観点で私が作業部会で感じましたことは、冒頭申し上げましたところでございますけれども、今日の添付資料でごらんいただけますように、様々なご意見がありまして、いわばご意見の分布がございます。大きな山が2つくらいある、ご意見が2つの見方に分かれる、というテーマもございます。そういうものを最終的な報告書としてまとめていきます際に、どこまですっきり一本化した報告書として書き尽くすか、というあたりにつきまして若干問題を感じておりまして、最終的な仕上がりがそうした少し幅のある報告書、あるいは選択肢を含んだような報告書で、今後の具体化あるいは詳細化というところにつきましては、今回の報告書の出た後の両法人を中心とする、あるいは関連の産業界、お役所等のご意見を踏まえて、そのことは今後に託していくのかというあたりが私は今日現在まだ十分認識できてない、ということでございます。そのあたりも含めまして、今日いろいろご意見あるいはご示唆をいただければありがたく存じます。
   以上でございます。

   丸山官房審議官   ありがとうございました。
   今の秋山先生からのコメントも踏まえて、「なるべく選択肢をもって、幅をもたせた考え方を整理しろ」というお考えでございますけれども、ご自由にご議論をいただきたいと存じます。

   伊達宗行委員   7ページの一番下に「融合相乗効果の発揮」というのがございますが、これは少なくともこの場ではまだ議論されたことはないと思います。両研究所間でこの議論をやっておられるんでしょうか。つまり、2つが一緒になればどういう融合効果が出るか。
   ここで書いてありますことは何かよくわからない。核燃サイクル確立だけなら、サイクル機構のこれまででできたのではないかとも思いますし、それに欠点があったから、両研究所が一緒になってやるということでもないんだろうと思うんです。ですから、これだけが融合効果の発揮できるアイテムであるとはとうてい思えないし、両研究所もチラチラ見しますと、相当なポテンシャリティをお持ちなはずで、それがさらに新しい融合効果を発揮できるはずだと思うんです。今度のJJ統合というのは、たとえて言えば、親から無理無理結婚を薦められて、泣く泣く同居するようなものですけれども、その同居の効果と結婚の効果とは全然違うわけでありまして、そのへんが少なくとも当事者の間において責任ある議論が十分ないと、決して物事がうまくいくとは思えないんです。そのへんについて今後ご議論される予定なのか、もし現在あれば、その状況などを伺いたい。

   都甲泰正委員   今、伊達先生からご指摘いただいた件でございますが、これは最初の行革の中にもうたわれておりましたので、私どもサイクル機構と原研で相談いたしまして、先行的取組みといたしまして、現在すでに両法人でかなり近い研究をやっているテーマが幾つかございます。それらを両方の人と施設を持ち寄りまして、融合して研究の取組みをすでに何テーマか始めております。将来はこれをさらにできる限り拡充してまいりたい、このように考えております。

   齋藤伸三委員   もう少し具体的に申し上げますと、実は今、融合研究課題としては、昨年から3つの課題を挙げて取り組んでおります。
   1つは、一番初めに申し上げましたけれども、特に材料の問題は、軽水炉であろうと、高速炉であろうと、照射損傷という意味合いでは似たような専門家がおりますので、これを集めていかに効率的・効果的にやっていこうか、というようなことでやっております。それが核燃料サイクル確立という分野を広くカバーしている一端である、というだけでありますけれども。
   それから、私はまだ両方でレベルの高いところまでいっているとは思っておりませんが、民間のほうで今の再処理技術というのが非常に高いものになっている、もっと先進的な再処理をやるべきであるということで、原研、サイクル機構各々やっておりました。まだ基礎的・基盤的な段階でございます。これを効率的にやるべきであるということで、これも一緒にして今やらせているところであります。
   3番目が例の高レベル廃棄物中のマイナーアクシノイドのトランスミューテーションの話であります。こういったことも両方似たようなことをやっておりましたので、これも先行的取組みとして今やっている、というようなことで進めております。
   それから一番根本的な問題は、先ほど来、軽水炉燃料サイクル、高速炉燃料サイクルという言葉がチラチラと出ておりますが、今後のプルトニウムの有効利用の技術開発をいかに現実的にどういうスケジュールでやっていくか。これは個人的な意見になるかもしれませんが、そういったことについてもしっかり議論をし、ここにいらっしゃる先生方、原子力委員会等々のご指導、産業界のご指導をいただきながら、日本にとって一番有効かつ有益な方法で進めていくべきだろう、そういう議論も始めている、こういうことでございます。

   秋元勇巳委員   最初のいわゆる総論、原子力新法人の志というようなところについては、大変よくまとめていただいて、「こういう研究所になったら本当にすばらしいな」と思うんですけれども、終わりのほうにいって具体的なところになると、ガクンと格調が落ちてしまうものですから、「あれ、こんな研究所だったのかね」というような感じになってしまうんです。
   例えば、今の「合理化と融合相乗効果(「選択)と「集中」、統合効果」)のところもそうなんです。「事業所・研究所の整理・統合」と「事業の効率化」のところはいやに具体的ですけれども、その後の「融合相乗効果の発揮」のところは正に総論だけなんです。今お話があったので、少しわかったんですけれども、せめてその頭出しだけでもしておいていただけるとありがたいんですけれども、この格差があまりにも違い過ぎる。
   先ほど秋山先生がおっしゃいましたように、あまりここで細かい議論をぎちぎちする必要はないのだろう、というような感じは私もするわけです。そうすると、例えば老朽化の施設の列挙をあえて今ここで明示する必要があるのかどうかというのは、もうちょっと慎重であってもいいのではないかな、という感じが私はしているんです。
   というのは、事業の効率化をしていく上でなぜ廃止するのか、という理由に幾つかあって、例えば「両方で同じ施設を持っていて、全く重複しているから意味がないね」、これは誰も納得するわけです。それから「このプロジェクトはもうすでに終了してしまっている。もう使い道がないから、この施設は本当は止めるはずだったけれども、今まで止めなかった。これを機会に止めましょう」、これもある程度わかると思うんですけれども、「インフラとしては今後も必要だけれども、設備がもう老朽化しているから、この際止めてしまおう」、これはちょっと乱暴な話で、もし今後新しい研究をやっていく上でどうしてもそのインフラが必要であるならば、そのインフラについては将来どういう形で手当てをするか、というようなことまで考えた上でないと、廃止という言葉は出せないんだろう、という気がしております。
   例えば、今のJMTRなどは正にそういうようなところになるわけです。確かに今のJMTRは非常に使い勝手が悪いし、故障も多いし、「今のままではしょうがない」ということは一方では事実だと思います。ただ、例えばシュラウドの問題にしましても、日本にもっと使い勝手の良い、非常に高度の照射試験があったならば、これは仮定の話ですけれども、あの問題は起きなかったかもしれない。そういうようなものを今後の新しい研究所としては将来育てて持っておく必要は当然あるだろう、というふうな気がいたしますから、これはやはりぜひ議論の中でやっていっていただきたい。
   その部分を原子力委員会と学術審議会に任せるというのはちょっと無責任な話なので、老朽化の施設について「何かの手当てが必要です」ということを指摘していただくのはいいだろうと思うんですけれども、それについてはやはり長期計画の中で新しく更新をしていくなり、あるいは新しい施設を考えるなり、そういう形できちっとやっていく。その上で、例えば廃止をしていく選択肢もある、そういうような位置づけであるのがいいのではないか。そのあたりは「事業の効率化」のところについてもう少し整理をしていただいて、整理をしていく部分とか、新しく重点化をして、そこへ積極投資をしていく部分とか、うまくバランスが取れたような形でやっていただけると大変ありがたい、というふうに思います。
   特に融合相乗効果でもって幾つか新しい候補者を挙げられましたけれども、それをおやりになるにも当然新しい施設が要るのだろうと思います。ですから、そういうような部分についての記述もこの中で出てくると、「なるほど、これはすばらしい研究所だ」という確信がもてる、というふうに思いますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。

   畚野信義委員   これを見ますと、まず初めに「原子力研究開発の必要性と求められる役割」があって、「原子力をとりまく最近の環境の変化を踏まえ、特に留意すべき点」があるんですが、その次に突然「新法人の目指すもの」というのが出てきて、その中身というのが、これが目指すものなのかどうか。これはただの業務目標ではないか。この間に一つ抜けているのではないかと思うんです。新法人のあり方みたいなもの、我が国におけるというか、国として期待するというか、新組織の位置づけとか、役割みたいなもの、そういう枠組みが見えないんです。
   独立行政法人になるわけですから、さっき秋山先生が言われたように、主体性とか、自主性とかいうのは当然あるわけです。一方、それに伴って、責任の分界点や分担はどこまであるのか。後のほうにコチョコチョ書いてあるんですが、まずそういう大きな枠組みがないと、全体が見えてこない、そういうように感じます。

   丸山官房審議官   役割というのは1ページの下のほうにものすごく簡単に書いてしまっているので、役割らしく見えないんですけれども、大きく言うと、この3つをもう少しブレークダウンして書く、ということになると思うんです。

   畚野信義委員   役割だけではなくて、この新しい組織の大きな枠組みみたいなものが見えないような気がするんです。国がどこまで関わるのか、新しい組織がどこまで責任をもつのか、自主的にやるのか、ということも含めて、そういう枠組みが一番初めに出てくる必要があるような気がするんです。

   渡海副大臣   先生がおっしゃっているのは「基本報告」で……。

   畚野信義委員   あそこにはよく書けているような気がします。

   渡海副大臣   例えば、日本のCOEとしてこういうものを目指す、そういう類いのお話ですね。

   畚野信義委員   そうですね。やはりそれをここではもうちょっと明確に……。あれは非常によく書けていると思うんですが、取り巻く環境から突然、業務目標みたいなものに飛ばないで……。そこがないと、やはり具体的に見えないような気がします。

   丸山官房審議官   「基本報告」に書いてあることとダブるので、あえてそこを省略してしまったきらいがありますので、最後にまとめるときには、もちろんそれをうまく組み合わせて、きちんと筋が通るようにしなければいけないというのはご指摘のとおりだと思います。

   青木利晴委員   大変重要な今後の方向とミッションを今後詰めていかなければならないと思うんですが、先ほど秋山先生がおっしゃったように、あまり細かく詰めていくというのもいかがなものでしょうか。たぶん決め決めにはいかないし、自由裁量の部分をどれだけ残すか、ということもかなり今後必要だと思います。そういう中で、ある程度大きなミッションを与えて、もう一つ、ミッションに沿って適正に研究所がやっているかどうか、ということをきちっとチェックしていくメカニズムを入れる。最近、民間ではコーポレート・ガバナンスとか、いろいろございますし、定款の見直しなども株主総会にかけてやっていくように、状況が変われば、それなりミッションの見直しもいろいろあり得ると思います。ぎちぎちに決めていって、どうとかいうよりは、そういうものを第三者できちっと見ていくようなものも合わせてつくっておけば、もっと柔軟にやれるのではないでしょうか。とにかく国民の期待に応えているかどうか、という視点で見るサイドのものがもう一つあれば、ある程度ミッションを大きくとらえてやっていってもいいのではないか、というふうに思うのであります。

   渡海副大臣   現状、通則法でみんなそうなんですが、独立行政法人は全部、評価委員会を基本的に設けるんです。今、まだ法律が通っていませんが、もう少しで通る大学の独立行政法人などは、大学評価委員会からいろいろな作業を学位授与機構がおつくりになるところへお願いをしたり、という手続きが必ず減ることになります。青木先生がおっしゃっているのは、それ以外に、原子力だから、特にこういう大きな法人だから、特別に第三者的なことをやることが国民に対して非常にわかりやすい、という意味でおっしゃっているのか、そのへんは……。

   青木利晴委員   私も大学の独法化の第三者評価機関とか別のところでまたお手伝いをしていて、存じ上げているつもりでございますし、「開かれた経営」ということで、一種のアドバイザリーコミッティみたいなものをつけてやろうということは大変けっこうだと思うんですけれども、やはり大学の個々の独立法人化と違って、これは日本の原子力の今後の様々な問題、あるいはエネルギーの問題の根幹を成すような大きなものでございますし、ステークホールダーがあまりにも多すぎて、運営される研究所長なり皆さん方が執行するに当たってご相談されるところが必要ではないでしょうか。どういうメンバーにするか、私はアイデアはないんですけれども、普通の大学の第三者評価とはちょっと違うのではないか。ミッションそのものにもある程度責任をもっていろいろ言えるような方々、例えば今日、原子力安全委員会とか、いろいろな方々がいらっしゃいますが、そういう方が入るかどうかは別としまして、皆さんが納得いくような、国民の期待に応えているかどうかをチェックするようなメカニズムがもしあれば、牽制機能がきちっとあってやっているということで、かなり信頼がおけるのではないか、あるいはまたフレキシブルに変化に対応できるのではないか、ということを申し上げたいと思っております。

   中西原子力課長   独法制度は主務省において評価委員会がございまして、独法はいろいろな種類がありますので、この新しい法人の業務を評価する分科会のようなものをつくりまして、そこにご専門の方に来ていただいて、つぶさに期待した成果を挙げているかどうかの評価をしていただくことになる、というふうに考えております。
   その評価の尺度、下敷きとしましては、5年ごとにつくられるところの中期目標や計画に従って法人がパフォーマンスを達成したかどうかを見ていく、ということになると思います。そうしますと、非常に外形的な抽象的な評価だけではなくて、事業に一対一対応したようなつぶさな評価が実施される、ということになります。

   木村孟委員   独立行政法人になった後の評価作業は今のお話のとおりだと思うのですが、青木さんのご意見も非常に大切だと思います。私、経産省で評価委員長をやっておりますけれども、今、青木さんが言われたように、実際に事業を行うためのミッション、目的がどうあるべきかということについてアドバイスをもらうような機関が別にないと、評価だけではなかなかうまくいかないことを実感しています。産総研などはそういうものを持っていまして、相当綿密に相談をしながらやっております。そういうような二層構造にしておかないといけないと思います。

   渡海副大臣   先生方のご意見を聞いて、私の今の思いつきですが、今、木村先生がおっしゃっている産総研が持っているというのは、たぶん産総研自身が自分たちでそういうものを必要として、ということですから、これはまず新しい独法がお考えいだたく問題が一つあるかなと……。

   木村孟委員   青木さんがおっしゃったように、ステークホルダーが少ない場合には、そのようなシステムは要らないと思うのですが、ステークホルダーが非常にたくさん居て、やる業務が多岐にわたる場合には、そういうメカニズムを持たないとたぶんうまくいかないのではないかと思います。

   渡海副大臣   今、中西課長が言いましたのは、独法制度というものがあくまで基本的には交付金によって賄われる。やはり税を使うという意味で、しっかり目的を達成しているか、ということを独法といえどもちゃんと証明をしてもらわなければいけないということで、ある意味厳しい運営が行われる。先ほど伊達先生がおっしゃったように、元気がなくなったら困るんですが、これは時代の流れで、やはり税を使う以上はしっかりとやっていただきたい、ということを政府としても確認をする必要がある、ということであろうと思います。
   それから、国民に対する説明責任を果たす、というのが今の行政の大きな流れで、昔の“寄らしむべし知らしむべからず”というやり方から変わってきているわけでありますから、いろいろなところで情報公開をしていく、ということが大事であろう。
   もう1点、これは私のちょっと勇み足かもしれませんが、実は今、党でもいろいろとやっている中で、資源配分とか、いろいろな方針ということに関しては、原子力委員会ももちろんありますが、総合科学技術会議がたぶんいろいろな戦略を持つのではないか。これはまだはっきりしていませんが、そういうことも出てくると思います。
   いずれにしても、科学技術の研究開発の問題に関して、総合科学技術会議と所管官庁と独立行政法人をどうやってつなぐのか。これは今ある種の議論になっております。経済財政諮問会議というところがまた別なことを言っていたりして、多少複雑になっておりますが、独法の一番の趣旨は、しっかりと目標をもっていただいて、自立・自主性をもっていただいて、効率的な戦略をもったことをやっていただく、ということでありますが、交付金という制度から考えても、やはり国家戦略というものをしっかりもっていただく。これはおそらく原子力委員会が役割を果たしていただくのだろう。そういうものが関連から明後日を向いていることはやっていただくわけにいかないわけでございますから、それを中期目標としてしっかりと出して、中期計画を確認するという作業の中でしっかりと位置づけさせていただく。もうすでに始まっていると思いますが、例えば16年度は、まだ統合はしていませんけれども、いろいろな独立行政法人からの交付金の算定というのはやっていかなければいけないわけです。そういうこと細かいミッションというのは、やはり所管官庁が確認をしながら全体的な方向をちゃんと見ていく。
   ただし、そうは言っても、せっかく独立行政法人にするんですから、法人の新しい組織が今までのようなガチガチの組織ではなくて、自立、実勢がしっかりと発揮されて、活力が出てくるような組織にしていただきたい。
   大変矛盾しているようですが、この全く矛盾したものをどうやってバランスさせていくかというのはこれからの努力である、というふうに私は思います。そのために先生方がご議論いただいた法人のミッションというものを整理をしていただいたわけでございますから、はっきりと明示をしておいていただければ、それは両法人がやっていただく中でずいぶん指針になるのではないか。そんなふうに整理できるのではないかと思います。

   兒島伊佐美委員   今、お話がございました総合科学技術会議との関係であります。先般、原子力、宇宙、海洋の予算が減らされるような話があって、関係者の皆さんは大変心配して、がんばって何とか踏みとどまるところまできたような感じがするんですが、そういうふうに考えていきますと、今回のこの制度を進めていく中で、今お話の原子力委員会、原子力安全委員会、それから先ほどの松浦委員長、その前の藤家委員長のお話の「関与する」という部分が非常に大事になって、一気通関の原子力委員会、中期目標、主務官庁、独立法人、これが全部連携が取れた形をとっていくことが非常に大事だろうと思うんです。そういう意味で、今回のプレゼンテーションの中に「検討」と書いてあるわけでありますが、これからの中期目標との設定に当たっては、原子力委員会、原子力安全委員会等との関与、関連をきちっと結びつけて進めていくことが非常に大事になって、それが総合科学技術会議等との関連を明確にし、この事業が進めていける大事な要素でありますので、ぜひ検討を具体化して答申にまとめて、個別法なら個別法にきちんと明確にする、ということが非常に大事なような感じがいたしております。
   それからもう1つ、毎度、廃棄物の話を申し上げて申し訳ないのでありますが、“トイレなき”などと言われているものですから、現場を預かっている者としてはここのところが気になって気になって、毎度申し上げて申し訳ございません。
   今回「自らの施設の廃止措置と自らの放射性廃棄物の処理処分」ということで、主要業務に書き入れていただいたことを大変ありがたく存じます。事務局の方のご尽力があってのことと思いますので、ぜひこの方向でお願いしたいと思います。※印の中に「上記の主要業務及びそれに附帯する業務に含まれるとの考え方もありうる」ということで、きっとまだ抵抗派があると思いますが、ここはぜひがんばっていただいて、お願いしたい。これだけのボリュームのものになりますと、やはり一つの大きなプロジェクトとして明確にしないと進まないわけでありまして、その部分がきちんとなっていると、今お話で出ている新しい挑戦へ安心して取り組めるということになるわけでありまして、ここはぜひきちっとがんばっていただいて、お願いをいたしたい。
   これから進めていきますと、実際の具体的業務の業務主体は誰がするのか、どうなっていくのか、あるいはまた制度化されてない部分が残っていますので、そういう部分もこの中で少し頭出しを触れていくと、将来これからやっていく部分で少し楽になるのではないか。やりやすくなるのではないか。ただ大テーマだけではなくて、そこに付帯するいろいろな制度、基準等、未制度の部分がありますので、それもきちっとやるんだ、具体的業務主体も国が旗を振りながら関係者が力を合わせてやっていくんだ、というようなことを少し頭出ししておくことは、今後の進め方が非常に取り組みやすくなるという感じがいたしますので、そこまで踏み込んでいただければ大変ありがたいことだ、こんなふうに感じるところであります。

   住田裕子委員   私も同じようなことを申し上げることになるかと思いますが、新法人になるときに、いやいやというのではなく、やはり中にいらっしゃる方が意欲をもって新しい組織の中で主体的に推進できる、そういうものになった、というふうに思っていただきたいときに、9ページを読みますと、そういう言葉が若干欠けているのではないか、業務主体の主体性という部分の観点が若干薄いのではないか、という気がいたします。「法人の自律性・自主性を重んじるという制度趣旨」というのが制度設計の「その他」の中に入っていますが、このへんをもう少し強く強調して、組織形態についても、最初に「効率的に遂行」とございまして、「機動的な遂行が可能な責任体制を構築」とあるんですが、「推進」とか、「執行体制」ではないか。「責任」というのはあくまでもその後で負うものではないかということで、執行という趣旨、それから業務の主体として前に進む、そういう言葉が欲しいなと思います。どこも責任、責任という形で受け身的な印象を受けております。「開かれた経営のメカニズムの導入」についても、自律的に自主的に主体的に取り組むもので、それに対して外部の知見を取り入れる。その主体の部分をぜひいろいろな言葉で散りばめて、お願いしたいと思います。

   都甲泰正委員   先ほど兒島委員からもご指摘いただきましたが、4ページの「新法人の主要業務」の中に「自らの施設の廃止措置と自らの放射性廃棄物の資料処分」を含めていただきましたことを大変感謝申し上げております。
   これをぜひ個別法に明記できますようにご努力をお願いしたいと思います。と申しますのは、私どもの事業で検討してみますと、人形峠では主要業務がもうすでになくなっておりまして、将来、廃棄物の処理処分及び廃止措置が主要業務そのものになる可能性がありますので、ぜひともお願い申し上げたいと思います。

   秋元勇巳委員   その関連で5ページに「自らの施設の廃止措置と自らの放射性廃棄物の処理処分」という枠があるんですけれども、その1つが「処理処分に関する計画の策定」、その次が「具体的枠組みについての検討」ということで、実施が入ってないんです。ほかの枠組みのところを見ると、みな実施とか何とかいうことになっています。「自らの施設の廃棄物措置……」という形で主要業務に入れていただきましたものですから、当然実施までやるということをおそらく考えておられると思いますけれども、今幾つか出てきましたように、廃止措置や廃棄物対策の業務についてはやはり個別法でしっかり主要業務というかっこうで書き込んでいただければ大変ありがたいな、という感じがいたします。
   それからもう1つは、原子力委員会、原子力安全委員会も原子力施設は、日本の原子力の国策を遂行していく上で唯一の原子力研究のCenter of Excellenceなので、日本の国策をしょっていくんだ、というはっきりしたものが必要だろうと思うんです。その意味では、原子力委員会、原子力安全委員会の関与の権限、中身をもう少し明確にして、これをぜひとも個別法に書き込んでいただく、ということが必要かな、と。
   そうしますと、先ほどご指摘のように、例えば原子力委員会の長計が5年ごとで、その間何も変わらないという形だと、中期計画にどう反映していいかわからないとか、いろいろな問題が出てくると思うんですけれども、原子力委員会といろいろとすり合わせていただいて、ある程度定期的に原子力委員会の側でももっとフレキシブルにいろいろな事態に対応して、中期計画に見合うような指導指針を出していく必要があるのだろうと思いますし、また、そういうことはお願いをすべきだ、というふうに思っています。
   そういうことで、原子力に関する情報の収集・分析・提供というような項目を設けていただいて、その中にシンクタンク機能とか、政策立案のための支援ができるようなものを入れていただいていますので、このあたりがうまく新しい二法人の中で機能していけば、先ほどからいろいろ議論が出ている、いろいろな問題にフレシキブルに対応していくためのソフトのポリシーというのも出てくるし、それをオーソライズしていただく原子力委員会というのがあって、またそれをやっていく研究所のインフラがある、というような非常に理想的な体制が整うと思いますので、ぜひそのへんをうまく書き込んでいただければありがたい、というふうに思います。
   もう1つ、今のCenter of Excellenceである、というところの表明がいろいろと散りばめてはあるんですけれども、どこかでもう一回出てきたほうがいいのかな、という感じがしています。例えば、最初の「原子力の開発利用に当たって新法人に求められる役割」で「1原子力安全の基盤を支える役割」「2核燃料サイクル技術を確立する役割」「3原子力技術の新たな可能性を開拓する役割」ということで網羅しているわけですけれども、日本を代表する原子力のCenter of Excellenceとして、例えば国際的な取組みへも積極的に貢献していくとか、そういう表現を……。1ページがいいのか、あるいは2ページの「……新法人が特に留意すべき機能」のところに入れたほうがいいのか、うまくクローズアップしていただけるともう少しわかりやすくなるのかな、という感じがいたします。

   丸山官房審議官   これは骨格ですし、全体像というよりは、秋山先生のチームで作業していただいた「基本報告」に載っていないことをむしろまとめた、という色彩がございますので、今、秋元先生がおっしゃったようなことはこれから最終報告をまとめる段階で足しながら整理をしていけば、今のご意見を反映できるのかな、というふうに考えております。

   畚野信義委員   独立行政法人は、一般的には基準はあるんですが、それぞれみんないろいろ事情が違うだろうと思うんです。皆さん方専門の方はお互い頭の中であるのかもわからないんですけれども、この新しい独立行政法人というのはいろいろなところとの関係があって、責任の分界点みたいなものとか、そこの関わり方というのが見えないような気がするんです。そういうところを、位置づけみたいもの、役割みたいなものを含めて、枠組みがもうちょっとはっきりしないと、と思います。

   丸山官房審議官   説明になるかどうかわかりませんが、基本的な枠組みは独立行政法人としてやっていく、という大きなものがあります。

   畚野義信委員   それはわかるんです。

   丸山官房審議官   ただ、その入口のところで原子力委員会とか、原子力安全委員会という別の政策をつくっている組織の政策をきちんと反映した仕事の実行をしなければいけない、というところが普通の独立行政法人と全く違う、ということだと思います。
   ですから、その業務の執行については、先ほど住田(裕)先生がおっしゃったように、主体性などが維持されなければいけないというのは、ほかの独立行政法人と何ら変わらない。ただ、政策についてはあくまでも国策を担っているというところだけが違う、そういうことでございます。

   渡海副大臣   国会でいろいろと答弁をさせていただいております。今おっしゃったように、通則法的にやる部分と、この法人に特別な部分というのは整理はしなければいけないと思います。それが原子力、しかも安全規制というふうなほかの制限をいっぱい受けるこの法人の特殊性にあるのだろう、というふうに思います。
   ただ、そういう意味では、原研も核燃料サイクル開発機構も今までも特殊法人といいながら、ほかの特殊法人とは多少……。国策上やっているという意味では変わらないですけれども、違った制限をいっぱい受けてこられたはずでございますから、そういったものは当然踏襲されると思います。今日の議論でもいろいろ出てきましたけれども、原子力委員会との関係とか、安全委員会との関係とか、それが中期目標にどういうふうに反映されて、計画でどうやって出てきて、どうやってチェックしていくかというあたりは、ほかの独立行政法人より非常に重いのだろう、というふうに思います。ほかでも法人によってはそういうものももちろんありますけれども、そういうようにたぶんなる、というふうに思います。これは私の私見ですが、坂田さん、間違っていますか。

   坂田審議官   いえ、別に間違いはございません。特殊法人の中でも国策上特殊な位置づけがあったと思いますので、独立行政法人に移行するに当たっても、やはり普通のものとはちょっと違ったやり方をすることが適当だろうと思います。

   渡海副大臣   すごく大きい組織になるということもありますが、それもあって、時間をかけてこうやって遅れている、というふうに私は理解をさせていただいております。

   住田健二委員   私が言いたかったことは大体皆さんおっしゃってくださっていますけれども、一つだけちょっと議論していただきたかったと思いますのは、やはり国際貢献ということです。先ほどからご指摘がありますように、日本を代表するCOEであるということですけれども、私は日本ではなくて、世界全体の原子力産業を日本がリードするというからには世界全体のCOEだ、というふうに考えております。したがって、日本の中での調整ももちろんですけれども、世界全体の調整ももちろん入ってくると思いますので、そういう国際的な視野というのもぜひこの法人ではやっていただきたい。それがご議論の中にはあまりなかったような気がするんです。必ずしも日本で何かもやるというような時代ではなくなってくると思いますから、そのへんも含めて、日本を代表するCOEとしてやっていただきたい。そのことを一つだけお願いしておきたいと思います。

   丸山官房審議官   大変いろいろご意見をいただきまして、ありがとうございました。
   時間が残り少なくなってきましたので、今日いただいたご議論、もちろん今までいただいたご議論も踏まえまして、最終的な報告書のまとめにこれから入りたいと思いますけれども、副大臣のほうから一言……。

   渡海副大臣   本当にありがとうございました。私も回を重ねにつれ先生方とご面識が深くなりまして、言いたいことをかなり言わせていただきました。お許しをいただきたいと思います。
   ただ、今日の議論で率直感じましたことは、ある意味、方向性というのは先生方にずいぶん出していただいたな、というふうに思っております。ここに至るまで毎回毎回、秋山先生に本当にご苦労をいただきまして、改めてお礼を申し上げる次第でございます。その上に立って議論を尽くせば尽くせない、というところであろうと思いますが、時間的な制約もあるわけでございまして、本来でしたら、これは2月にまとめるということでありましたのを延ばして、ここまできて、今、精力的にやっていただいているわけでございますから、今までの議論を踏まえて、秋山先生に「個別事業の評価・見直し」「新法人の主要業務及び経営・業務運営のあり方について」「新法人の経営基盤に関する検討」をまとめていただいて、ご議論をいただいたわけでございますけれども、この今までのご議論を踏まえて、秋山先生を中心に新法人の基本構想を示す報告書の案をご準備いただきたいとお願いをしたい、というふうに思っております。皆さんにご了承いただければ、そのようにさせていただきたいと思います。
   それでは、秋山先生、最後までご苦労かけますが、そういうことにさせていただきたい、というふうに思います。

   秋山守委員   ありがとうございます。はなはだ微力ではございますが、せっかくのご下命でございますので、努力してまいります。よろしくお願いいたします。

   渡海副大臣   それでは、先生方の中から数名加わっていただくということで、あとの人選は秋山先生とご相談をしまして、勝手にご指名をさせていただきたいと思いますので、またよろしくお願いを申し上げます。

   丸山官房審議官   今、副大臣から申し上げましたとおり、今後、秋山先生にはさらにご足労、お手数を煩わせますけれども、報告書の取りまとめをどうぞよろしくお願いいたします。
   それでは、前、7月30日というふうにご連絡していましたけれども、報告書の起草という作業が入りますので、その作業の進捗状況を見まして、次回の会合の日取りを決めさせていただきたいと存じます。日取りはなるべく早くご連絡をさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
   それでは、今後の作業の進め方についてご意見等ございますでしょうか。
   よろしゅうございますか。
   それでは、最後にもう一度渡海副大臣のほうから閉会のご挨拶をいただきたいと思います。

   渡海副大臣   本当にいろいろなご意見をいただきまして、ありがとうございました。私も、ずいぶん勉強させていただいたな、という思いでございます。幾つかこういった会合に出席させていただくわけでございますが、最近になって、この会合は本当に意味のある会合だな、というふうに思わせていただいております。これは失礼でございますが、言いっぱなしで、後は知らない、という会合が多い中で、ずいぶん行き返りがあって、そういう意味では本当に勉強させていただいているな、という思いがいたします。
   いずれにいたしましても、今、数名の先生方からもご指摘をいただいたように、日本のCOEのみならず、世界のCOEとして新たな法人にスタートしていただくための会合でございますから、我々も最後までしっかりとチェックするところはチェックして……。ただ、この前、田中さんも言われたように、国家財政が非常に厳しい中でどうやって資源配分をしていくか、という大事な問題も我々は政治家として抱えているわけでございまして、その中でできるだけ新法人が元気になっていただくように我々も努力をさせていただきたい。
   あと、いろいろ法律のご指摘もいただきました。これは私も素人でございますが、法的な意味ではどういう表現ぶりをするかとか、法律には書けないけれども、こういうことで担保するとか、そういうことは出てくると思いますので、これは政府のほうにお任せをいただきたい、というふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
   本当にどうもありがとうございました。

   丸山官房審議官   決してこれは最終回ではございませんで、基礎が終わりましたら、また統合準備会議をやらせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(研究開発局原子力課)

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