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原子力二法人統合準備会議

2003年5月23日 議事録
第13回   原子力二法人統合準備会議

第13回   原子力二法人統合準備会議



日   時   2003年5月23日(火)   15:00〜

場   所   経済産業省別館10階   1028号会議室



原子力二法人統合準備会議(第13回)議事録


1. 日時   平成15年3月25日(火)   15:00〜17:00

2. 場所   経済産業省 別館10階   1028会議室

3. 出席者
(座長) 渡海   文部科学副大臣
(有識者) 秋元勇巳   三菱マテリアル株式会社会長
秋山守   財団法人エネルギー総合工学研究所理事長
兒島伊佐美   電気事業連合会副会長
小林庄一郎   関西電力株式会社顧問
住田健二   大阪大学名誉教授
住田裕子   弁護士
伊達宗行   大阪大学名誉教授
田中豊蔵   ジャーナリスト
畚野信義   株式会社国際電気通信基礎技術研究所社長
西澤潤一   岩手県立大学学長
(法人) 齋藤伸三   日本原子力研究所理事長
都甲泰正   核燃料サイクル開発機構理事長
(文部科学 省)  間宮文部科学審議官、石川研究振興局長、白川研究開発局長、坂田大臣官房審議官、丸山大臣官房審議官

4. 議事
1. 開会
2. 新法人の経営基盤等に関する検討について
3. 閉会

5. 配付資料
資料1. 核融合研究開発の評価・見直しについて
資料2. 新法人の個別法の作成にあたり検討すべき主な事項について
資料3. 新法人の目指すもの
資料4. 原子力施設の廃止措置と放射性廃棄物の処理処分を踏まえた新法人の経営基盤に関する検討について
資料5. 老朽化・重複施設の廃止について
資料6. 第12回原子力二法人統合準備会議議事録

参考資料1   「日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の廃止・統合と独立行政法人化に向けての横断的事項に関する方針」(原子力委員会)
参考資料2   「日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の廃止・統合する独立行政法人への原子力委員会の関与について」(原子力委員会)
参考資料3 「人類社会に調和した原子力額の再構築」(日本学術会議)
参考資料4 「大学の原子力工学研究教育設備等検討特別専門委員会報告書(概要)」
(日本原子力学会)


丸山審議官   それでは定刻になりましたので、これから会議を始めたいと思いますが、まず開会に当たりまして、渡海副大臣からご挨拶をさせていただきます。

渡海副大臣   大変お忙しい中、委員の皆様方にはご出席をいただきまして、ありがとうございます。当会議も今回で13回目となったわけでございまして、委員の皆様にはご議論を本当に感謝しているところでございます。
   今回は、前回に引き続きまして、基本報告を踏まえた検討事項ということでご議論をお願いすることになりますが、本日は秋山委員に調査及び整理の取りまとめをしていただいております「融合研究開発の評価・見直し」「新法人の目指すもの」並びに「原子力施設の廃止措置と放射性廃棄物の処理処分を踏まえた新法人の経営基盤に関する検討」等をまずご報告をいただき、このご報告を踏まえて皆様方のご議論をいただき、新法人の経営基盤について統合準備会議の考え方とういものをまとめていきたい、というふうに考えているところでございます。
   それでは、本日も闊達な論を委員の皆様からいただきますようにお願いを申し上げまして、冒頭のご挨拶にさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

丸山審議官   どうもありがとうございました。
   それでは引き続きまして本日の議事に入らせていただきます。
   事務局のほうから配布資料の確認をまずさせていただきます。

   (資料確認)

丸山審議官   「資料第6号」の第12回の会議の議事録につきましては、文部科学省のホームページに掲載をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
   秋山先生からご報告をいただく前に、先日、原子力委員会で取りまとめられました原子力二法人の統合に向けた横断的な事項に関する方針等についてご意見をいただきますために、大変お忙しい中、原子力委員会の藤家委員長にお越しいただいております。
   それから今日は資料はございませんけれども、原子力安全委員会のほうでも現在、規制行政庁の意見を聴取しながら、安全規制側の見解として当会議にご意見を出されるべくご検討中だ、というふうに伺っておりますので、おそらく次回あたりにご紹介がいただけるものというふうに考えております。
   それでは、藤家委員長、よろしくお願いいたします。

藤家原子力委員長   原子力委員長の藤家でございます。本日はお招きいただきまして、ありがとうございました。
   今日は、先日、原子力委員会からお出ししました「横断的事項に関する方針」に関しまして、ご説明、かつ、ご要望を申し上げたくまいりました。
   原子力委員会は今般の原研とサイクル機構の統合を大変重要視しておりまして、かなり早い段階からこれに関しましては重大な関心を寄せ、それなりにいろいろな形でその意思の表明をやってきたところでございます。
   一昨年、平成13年の12月19日に閣議決定がなされましたとき、その日に原子力委員会は臨時会を開催いたしまして、これに対する取組みを検討し、その後、いろいろな形で具体的な見解なり方針を示してまいりました。
   大きく申しますと、昨年4月2日に「日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の廃止・統合と独立行政法人化に向けての基本的な考え方」をお出ししました後、少しブレークダウンしました形で同じく12月17日に「日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の廃止・統合と独立行政法人化に向けての各事業の重点化及び運営等に関する方針」をお示ししたわけであります。私どもは、この我々のお示ししましたことを本会議においてご審議いただいておられるということに対して、大変感謝の意を表しているところでございます。
   私自身も第5回、昨年5月20日にこの席にまいりまして、いろいろ基本的な考え方をお示ししましたことを今、思い出しておりますが、何にも増して、そのとき私が訴えたかったことが2つございます。原子力に関する研究開発及び利用の状況が決して順風満帆でないという状況下において、2つのことをどうしても実行していただきたい、ということを申しました。その1つは、難しさに挑戦する気概のある組織にしてほしい、ということであります。さらに加えて、アウトプット、成果の出やすい組織にしていただきたい、ということでございました。これは私が、日本が科学技術創造立国を目指すという中において、原子力科学技術の占める割合が今後ともますます重要になっていく、という認識があって、こういうことをお話したわけでございます。
   原子力委員会では、「基本的な考え方」をお示しした後、引き続きましていろいろ検討を続けてまいりました。具体的には、この考え方に続きまして、12月17日に先ほど申しましたようなことを出したわけでありますが、さらに検討を加えまして、今週の火曜日に「日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の廃止・統合と独立行政法人化に向けての横断的事項に関する方針」というものを改めて具体化したわけでございます。
   本日はこれを中心にご説明したいと思います。先ほど中西課長さんのほうからお話になった2つの資料をごらんになりながら、私の話をお聞きいただくと、大変ありがたいと思っております。
   ご承知のように、基本的な認識として、先ほど申しましたように、日本がこれから世界に生きていく上での原子力科学技術の重要性を認識いたしましたときに、この両法人の廃止・統合におきましては、従来の設置法にとらわれることなく、改めて原子力長期計画に沿った自らの行うべき事業、保有すべき機能に立ち返り、事業の重点化を行いつつ、事業内容に応じて適切な組織構成、組織運営の仕組みを持つ原子力研究機関となることが求められる、ということでございます。私どもは今般の改革が行政改革の省庁再編に続く第二弾と思っておりますので、この重要性を十分認識していることから、こういうことを考えているところでございます。
   さらに、この新しい法人は原子力の研究開発の八割の分野を占める大変重要で、かつ大きな領域を占めているものでございますから、原子力委員会はこの法人の役割を分野的には、核燃料サイクルを含む核分裂炉の研究開発及び利用、それから核融合の研究開発、さらには粒子加速器及びレーザー、加えて放射線利用、この4つの分野を重要にとらえております。その分野も、「基礎・基盤的な研究開発」から「プロジェクト型研究開発」までの幅広い研究開発を実施することになるかと思います。したがいまして、その際、研究開発の性質に応じて適切な組織構成や運営が行われることが不可欠である、という認識に立っております。しかも、統合によるシナジー効果をぜひとも求めたいところだと考えているところでございます。そのためには、私どもは「先進性、一体性及び総合性」、こういう3つの言葉をつないだ研究開発機関として運営が行われることを切に求めているところでございます。
   以上が基本的なところでございますが、これに加えて、横断的な事項方針について続いてご説明いたします。
   ただいま申し述べました基本的な認識の下に、原子力二法人の廃止・統合では新しい正規の原子力政策をいかに具体化していくか、それをいかに効率的に実りあるものにしていくかを考える必要がある。言い換えると、原子力基本法に求められる原子力政策を具体的に表現いたしております原子力の長期計画をいかに実効あらしめるか。そのため、どのような組織をどのように運営すればよいかを考える必要があります。組織運営等の横断的な事項についてもその方針を取りまとめております。「参考資料第1号」に(1)から(8)まで書いてございますので、ごらんいただければありがたいと思います。
   「組織運営」に関しましては、横断的運営が可能になる責任体制の構築、安全確保対策をどう図るか、こういったことが組織運営上不可欠なことであります。
   と同時に、「研究評価の充実」。ご承知のように、「原子力長期計画の初期の段階のタイムスケジュール優先型から理念的な意味で全体像と長期展望」ということで示してございますが、それは取りも直さず評価を重要視するということでございます。したがいまして、新法人におかれましても、「基礎・基盤的研究開発」のプロジェクト化に際しての厳正評価が必要であると考えております。しかも同時に、研究者のオリジナルなアイデアや成果を大切にすることが成果の質の向上のために必要であります。先ほど申し上げた組織に対する私の願望を実際に具体化するにはこういったことが必要だろうと考えております。
   (3)は「透明性の一層の向上」でございまして、活動状況の積極的公表に努めていただくことが不可欠であろうかと思っております。
   引き続きまして、言わずもがなのことでございますが、「安全確保への貢献」でございます。これまでの両法人の果たしてこられた役割に鑑みますと、引き続いて客観性・透明性を堅持しつつ新法人の役割を担っていくことが、安全確保を大前提とした我が国における原子力研究開発の一層の発展のために必要不可欠でございます。この件につきましては、原子力委員会のみならず、原子力安全委員会も多大なる関心をもっておられるところかと考えております。
   次に大事なことを申します。「産官学の連携強化」ということでございます。私はここで従来の言葉に代えまして、少し足しておくべきことがあろうかと思います。ともすれば、これまでは役割分担論が中心でございましたが、私は役割分担に加えて、相互乗り入れの重要性を指摘しておきたいと考えているところでございます。
   その線に沿って考えますと、1つは大学との交流の一層の活発化でございます。大学のほうも法人化が進んでいるところでございますが、従来の実績もさることながら、新しい状況の中でどう進めていくか、ということは大変重要でございます。しかも、従来の原子力関連の学科あるいは研究所を持つ大学に加えまして、立地点に大変近い大学で、この21世紀に新しい原子力の研究教育の方向を目指しているところは活気的なところであろうかと思います。一層の連携、交流の活発化が必要かと思います。
   もう1つは、私は今度の新法人は右にアカデミア、左に民間という見方をしておりますが、両方の関係は大変大事でございます。民間につきましては、今まで技術移転という言葉でこれを代表してきたわけでありますが、この考え方も新しい状況の中で整理し、産業界の要請を考慮しながら、自らの役割を明確化し、関係者と一体となった取組みを行うことが重要と考えております。進捗を踏まえて、産業化が検討されるものについてはニーズ把握、マーケティング等を念頭に置いた組織運営が大事だろうと思っております。
   しかも、この連携強化に当たりましては、新法人の位置づけを私どもは3つ考えております。1つは、新法人が主導的立場に立って全体をリードする。この分野は大変多いと思います。と同時に、ほかの関連した機関との間に役割分担を果たすべきところも出てくると思います。加えて、実用化が近いときには、むしろ場の提供というようなことも含めて、支援的立場をとることも大事だろうと思います。こういうような性格の中でどうやって資金を獲得するかは、それなりのバラエティを当然考えるべきでありまして、ここで研究開発資金の多様化に努めてほしい、ということであります。
   次が「大学との人材育成面での連携強化」であります。これは事実上既に少し進められているところでありますが、さらに一層これの連携を強化していただきたい、ということであります。
   「国際協力・核不拡散への貢献」というのは、その次に日本の原子力の非常に大きな役割でございます。ともすれば、核不拡散平和利用が言われるわけでございます。この点の重要性はこれまでと決して劣るものではなく、重要性が増していくと思いますが、同時に、国際協力という言葉の意味が、仲良くするだけではなくて、競合も含むということを十分認識した対応が今後、必要になってくるかと思います。
   次は、今日も一つの重要な課題と伺っておりますが、「廃棄物処理・処分方策の確立」でございます。廃棄物の処理・処分や廃止措置を行うことが新法人全体の経営に及ぼす影響を検討し、必要な資金等について見通しを得る必要がある。その際、必要な資金を計画的に確保するとの観点から、将来の向けた積立ての要否等に関する検討を行うべきだろうと考えます。
   しかし、まだ今の段階で廃棄物の処理・処分方策が必ずしも先にわたって完全に明確になったわけでない、ということを考えておりますし、同時に、これを単に負の遺産としてだけとらえるべきものではなく、将来の研究開発によってはこれをプラスに転ずることということは、既に現在の長期計画の中にもうたわれているところでございますので、そのへんを含めたことが大事かと思います。
   さて、次に原子力委員会の関与についてお話し申し上げたいと思います。
   ご承知のように、原子力委員会は原子力基本法の下に設置された組織でございます。私どもはこの精神にのっとって、しかも、原子力設置法の中で動いているところでございまして、日本の原子力政策に責任をもつ機関として考えているところでございます。
   原子力委員会と新法人の関係につきましては、昨年12月17日の「個別的分野の方針」において、「新法人の研究開発の方向について今後も継続して必要な関与を行っていくべき」との考え方を示しましたら、その後さらに検討を深めまして、「原子力基本法等に基づき、新法人の業務に関して引き続き所要の調整を行い、必要があると認めるときは内閣総理大臣を通じて主務大臣に勧告できる」ということでございますが、さらにこの新法人の発足に際しまして必要な関与といたしまして、次の3項目が個別法の中で明確にされることが必要であると考えております。
   1つは、主務大臣による新法人の中期目標の策定に当たっては、原子力委員会の定める原子力長期計画に基づくことでございます。
   2つ目は、主務大臣による新法人の中期目標の策定、中期計画の認可等に当たっては、原子力委員会が企画、審議し、決定する国の原子力政策に基づいているかとの観点から、あらかじめ原子力委員会の意見を聞くことでございます。
   3つ目は、主務大臣による新法人の理事長及び監事の任命・解任への原子力委員会の関与でございます。
   以上申し上げましたとおりでございますが、昨年お出ししました「基本的考え方」と「個別的分野の方針」に加え、本日ご説明いたしました「横断的事項の方針」と「原子力委員会の関与」につきましても、統合に向けた具体的検討において適切に盛り込んでいただきたいと考えている次第でございます。
   なお、原子力委員会はこの検討の進捗状況を踏まえながら、原子力委員会として必要なことについての意見を出してまいりたいと思っております。
   どうもありがとうございました。

丸山審議官   藤家委員長、大変広範な点につきまして、いろいろご意見をおっしゃっていただきまして、ありがとうございました。
   今日、後ほど廃棄物の話とか、その他ご議論をいただく時間はあると思いますけれども、今の藤家委員長の原子力委員会のご意見に対しまして、何かご質問、ご感想等ありましたら、お願いをいたします。

住田健二委員   たぶん原子力安全委員会のほうも似たようなお考えをお出しになられると思うんですけれども、私はたまたま似たような仕事の立場におりましたことから申し上げますと、原子力委員会は我が国の原子力推進において主導的な役割を果たしておられたわけでございます。原子力委員会の設立当時はかなりいろいろな議論をした上でスタートしたのでありますが、その後、仕事が非常に増えていって多岐にわたりまして、必ずしも細かいところにはタッチする必要はないわけでありますが、どちらかといいますと、原子力委員会の作業が形式的な長期計画とか、あるいは中期計画を作成するということにとどまってしまって、その実施とかいうことになりますと、必ずしも十分その意向を反映してなかったように感じることもあったわけでございます。
   そういう点で、このたび新法人の発足に当たって改めてこういうことを確認して、法令なり何なり明文化するようなかっこうで取り入れていくということができれば、その立場がはっきりすると考えますので、大変けっこうなご提案ではないか、というふうに考えております。

住田裕子委員   私も法律上の明文根拠を出すということに対して賛成でございます。
   ただ、これに対しての相当性とか、可否とかにつきまして、実は基本的な知識がかなり不足しておりますので、これまではどういうものがあったか、実質どうであったかということと、今後こうあるべき、そして、それの必要性について一覧表みたいなものをつくっていただくと非常にわかりやすいのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

丸山審議官   今の点については、新法人が独立行政法人としてどういう要件を備えなければいけないか、というあたりを後でご説明申し上げますので、それを踏まえて、またご議論いただきたいと思います。

小林庄一郎委員   私も住田先生と同意見でございまして、ようやく原子力委員会にこの場に出てきていただいて、具体的な要望をはっきりとおっしゃっていただいて、存在観が我々にも認識されたわけであります。前回、伊達先生も「かつての権威を失った、科技庁の全面バックアップが無くなった。」と憂えておられましたけれども、今日の藤家先生のご発言を聞いて大変心強く思いました。原子力委員会の要望は反映すべきであります。御発言、大変ありがとうございました。

秋元勇巳委員   私も前回申し上げたところですし、今日も後でご説明いただくと思いますけれども、新法人の個別法の枠組みについての検討とか、いろいろなことが進んではいるんですが、この委員会での議論が、新法人が何のためにあるのか、という基本から外れて、どんな組織にするか、そういう枝葉末節の議論になってしまっている、という感じがするんです。
   原子力推進、平和利用ということを定めた原子力基本法は日本の国策ですから、その国策に沿う形での施設や機関をつくっていく、そのために原子力委員会もできたということで、この基本的な枠組みが先行すると思っていたんですけれども、それが今まであまりはっきり形が見えてこなかった、ということがあります。今日の藤家先生のお話を伺いまして、これでようやく当初の日本の原子力の志に方向が向いたのかな、と。まだ向いただけで、そこに行くまでには長い距離があるのだろう、というふうに思いますけれども、ぜひともそういう本来の初心に戻った原子力法人のあり方という議論を今日も進めていただければありがたい、というふうに思います。

西澤潤一委員   私は素人でございますので、よくわからないんですが、原子炉運転に関しては原子力委員会が最高責任者になっておられると思うんです。正常な運転ができるために必要なことは全部原子力委員会が指示をして、場合によれば、いやがる研究者にもやらせなければいけない、というようなことも起こり得るわけでございます。そういうふうな指揮系統というものが私にはちょっとつかみかねるのですが、今申し上げたことでよろしゅうございましょうか。

藤家原子力委員長   原子力委員会は政策が順調に進むということに対する責任ももっておりまして、そのために関係行政庁との間に調整を行う、という調整義務を我々は負っているわけでございますから、西澤先生のおっしゃったことは私どもの大変大事な仕事だと思っております。
   同時に、ぜひこの際お聞きいただきたいのは、原子力委員会は国民の厳しい目と期待を背後に背負って、行政庁、事業者、それから地方自治体と関係を保っていく、ということが私どもの考えている原則でございます。そういう意味で、あるところに特定の対応をするという個別・具体的な対応が必ずしもできる状況ではない、ということもご理解いただければありがたいと思います。

中西原子力課長   今、原子力委員会から取りまとめていただいたレポートを報告していただいたんですが、実は原子力委員会だけではなくて、安全委員会でも今、同じような作業をしておりまして、規制行政庁の意見を取りまとめて、安全委員会の意見も加えて、見解としてこの会議に資料を提出いただく、また場合によっては説明していただく、ということになっております。それは次回でございます。ちょっと付言させていただきます。

丸山審議官   これに関連して、経済産業省のほうからも「若干意見を表明したい」という申し出がありますので、経済産業省のほうからご説明をいただきたいと思います。

原山経済産業省原子力政策課長   前回会議までにおいて、この統合法人の所管等につきまして何人かの委員の方々からご意見を賜りました。私どもの会議の仕方、あるいは原子力委員会については今、藤家委員長からお話がございましたけれども、私どもの省といたしましては、そもそもエネルギーとしての利用に関する原子力の技術開発について責任を負っているということから、こういった分野につきましては当然、適切に政策関与を行っていくことが必要だと認識しております。そういった基本的認識の下で、そういうことを議論するためには、以下のような点につきまして議論を先行していくことが必要ではないかと思います。
   まず第1に、まずこの統合法人の主要業務の目的というものを明らかにすることだと思います。あるいは今、秋元委員からもお話がございましたけれども、統合法人全体の目的、何のためにというところあたりをきちっとしていく、ということが大事かなと思っております。
   この主要業務の目的につきましては、これを評価していくとか、管理・監督していく上での基本的な前提条件がございます。例えば、今、正に進んでおります核燃料サイクルを実現する上で直接関わるような技術につきましては、私どもの所掌に直接関わってまいりますし、あるいは将来の基礎・基盤的な研究であるものにつきましては、私どもの所掌からは外れていくのかな、というふうにも思います。一つの研究開発について複数の目的をもつものも多々あるわけでございますので、そのあたりも何が主たる目的なのかといったようなことを含めて、きちっと議論することが所管、所掌というものを議論していく上で必要ではないか、というふうに思っております。
   第2番目に、そういったことが議論して明らかになったとしても、この二法人の特徴は施設を保有しているということであります。こういった原子力施設の設置・運転ということは、極めて地元との信頼関係、経緯等が大事でございますので、それらも併せて重視していく必要があろうかと思います。原子力委員会の関与につきましては、今、藤家委員長からお話がありましたが、また今後、原子力委員会の関与のあり方いかんによっては、原子力委員会で設けられる透明性のある議論の場、特に例えば私どもを含む関係省庁が参画していくという形もあるのではないかな、というふうに思っております。
   独法制度の趣旨を含め、法律的・制度的ないろいろな制約もあろうかと思いますし、また、一つのことに複数の省庁が重複して関与するということが、結果として新独法の負担を重くするということで活力をそぐような面もなきにしもあらず、ということもあろうかと思いますので、こういった点を総合的に勘案して、関係政府機関の関与を議論していくことが必要ではないか、というふうに思っております。
   いずれにしましても、繰り返しになりますが、個々の主要業務の目的をきちっとしていくということが今後の議論において大変大事だ、というふうに思っております。
   以上でございます。ありがとうございました。

丸山審議官   今の主要業務の目的をはっきりすることは、昨年以来ずっと検討してきたことでございますが、そういうご意見があったということでございます。
   それでは、秋山先生にこれまでの整理作業をしていただいておりますが、今回は放射性廃棄物の問題を含めまして、経営基盤の確立という点につきまして、ご検討いただいた内容についてご報告をいただきたいと存じます。
   秋山先生のほうから総括的なご説明をいただきまして、個々の事項については事務局のほうからご説明をさせていただきたい、というふうに存じます。
   それでは先生、よろしくお願いします。

秋山守委員   前回の統合準備会議から本日までの作業の状況あるいは作業結果につきまして、以下ご説明を申し上げます。
   前回の統合準備会議では、昨年の8月に出されました基本報告におきまして課題とされておりました3点の課題のうち、「新法人の主要業務及び経営業務運営のあり方についての検討結果」をご報告させていただきました。今回は、「原子力施設の廃止措置と放射性廃棄物の処理処分を踏まえた新法人の経営基盤に関する検討について」という検討事項を中心といたしまして、さらに「核融合研究開発の評価・見直しについて」「新法人の個別法の作成にあたり検討すべき主な事項について」並びに「新法人の目指すもの」につきまして、前回と同様、多くの専門家の方々のご協力をいただきながら報告を取りまとめたところでございます。
   それぞれ個々の報告の内容の詳細につきましては事務局からご説明をお願い申し上げますけれども、それに先立ちまして私からごく簡単に取りまとめに当たりましてのポイントをご説明させていただきたいと存じます。
   まず「核融合研究開発の評価・見直しについて」の件でございますが、昨年の12月に個別事業の評価見直しを行いました際に、ITER計画の進捗状況を踏まえまして、別途、検討を行うこととして積み残していたものでございます。ITER計画につきましては、ご案内のように、現在、国際的な交渉になお時間がかかっている状況でございまして、当初考えておりましたようなITERの国内立地、海外立地の結果を踏まえた検討を行う、という段階にきておりませんので、この状況の下で核融合研究開発に関しまして新法人が担うべき役割について整理をさせていただいたところでございます。
   次に「新法人の個別法の作成にあたり検討すべき主な事項について」の件でございますが、新法人は独立行政法人として設立されますので、独立行政法人に共通する運営の基本となる事項につきまして、独立行政法人通則法で一元的に規定されているところでございます。通則法によりますと、規定されていない事項につきまして、個々の独立行政法人ごとの個別法におきまして規定する必要が出てまいりますので、そのような新法人の個別法の作成に当たり検討すべき事項について今回、整理いたしたところでございます。
   次に「新法人の目指すもの」でございますが、前回までに新法人の研究開発の主要ミッションにつきましてご議論いただきました。その具体的な成果につきまして中・長期的な視点から今回整理を行いまして、新法人が融合、そして相乗効果を発揮しながら社会に対してどのような貢献を行っていくのか、という点について取りまとめを行いました。
   さらに「原子力施設の廃止措置と放射性廃棄物の処理処分を踏まえた新法人の経営基盤の検討について」でございますが、新法人が、現二法人が保有しております原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分を着実に実施しながら、基礎・基盤研究からプロジェクト研究開発までの研究開発のミッションを円滑に推進することが可能であるかどうかにつきまして、財政的な経営基盤の観点から検討を行ったところでございます。
   概略は以上でございますが、それぞれ個々の詳しい内容につきましてのご報告は、事務局の方から資料に沿ってご説明をお願いしたいと存じます。
   それでは中西課長様、よろしくお願いいたします。

中西原子力課長   それでは、個別の資料につきまして「資料第2号」「資料第3号」「資料第4号」に沿ってご説明させていただきたいと思います。
   時間の関係もありますので、通してご説明をさせていただいた上でご議論をいただきたい、というふうに思っているところでございます。
   まず「資料第2号」は「新法人の個別法にあたり検討すべき主な事項について」というタイトルになっておりますが、新法人は独立行政法人として設立されることが決まっておりまして、様々なガイドライン、共通ルールというものがございます。そこで規定するべき内容などがだいぶ固まっている、ということでございますが、新法人の名称とか、先ほども話題に出た目的とか、所在地とか、それから役員の数、非常に重要な業務の範囲、こういったところについては個別法で規定される、ということになっているわけでございます。
   では、具体的にどういうようなことが個別法の主な規定事項かということについてざっと見させていただきたいと思いますが、名称は「独立行政法人○○○○」ということで、ここは内容をよく表すものを書くことになろうかと思います。
   目的につきましては、業務の範囲に関する規定をよく表現するような、達成すべき政策目的をストレートに書く、ということになると思います。具体的な例としては、「独立行政法人○○○○は、○○を行うことにより、A、B、C、……を図ることを目的とする」というような書きぶりが一般的かと思います。
   所在地については都道府県レベルで規定するということですが、このことについては行政的に決まっていく、というふうに思います。この統合準備会議でご議論いただくということではなかろうな、というふうに思っております。
   それから財産関係でございますが、現在の原子力二法人の資産・負債を時価でもって評価して、その差額(純資産額)を新法人の資本金とする、ということが原則でございます。そしてまた、真に必要な場合には、累積欠損金については減資を行う、というような取扱いなっています。実際に宇宙の三法人の統合のとき、宇宙開発事業団分について、また、科学技術振興事業団が独法になったときなどは、民間出資も合わせまして、減資をさせていただいた、ということでございます。
   次のページは役員関係でございますが、独法の自主性の尊重ということもございまして、役員への関与というのは非常に限定的になっておりまして、主務大臣はその長、幹事の任命を行う、ということになっているわけでございます。そのほかの役員につきましては、理事長、独法の長が任命する、ということになっております。任命権は原則、主務大臣に一元化されているということです。それから、役員の数は必要最小限度ということです。
   独法化されるとき、特に産業界との連携促進の観点で、守秘義務が導入されることが一般的でございます。
   それから、みなし公務員規定は導入されることになろうか、というふうに思っております。
   業務の範囲でございますが、「自己増殖的な膨脹を防止するための限界を画する機能を有する」というふうに書いてございますが、昔のように「目的を達成するために必要な業務」といったようなものは独法制度ではなくて、必要なことを的確に書き込む、ということになるわけでございます。
   そして、3月25日に整理していただいた主要ミッション、それからそのときに出されました意見に基づきまして、国の原子力政策や原子力広報の基礎となるような情報の提供というものもミッションとして掲げさせていただこうと思っておりますけれども、そういったものを的確に表現して個々の業務の範囲のところに書き込む、ということでございます。具体的な書きぶりはまたその立法の段階で制度官庁とよく相談しながら、ということでございます。
   ただし、国際協力に関しましては、国際業務というものがどの業務にも付帯して必ず存在するものでございまして、それを一括して取り出して国際協力業務として立てるというのはいかがなものか、そういうような例はない、ということでございます。
   それと、新法人が出資をして放射性廃棄物の処理処分などの事業を別会社にやらせる、そういうような業務の必要性についてはさらにまた検討しなければならない、というふうに考えております。
   それから、先ほど原子力委員長のほうからご紹介がありました原子力委員会、安全委員会が中期目標などにどういうふうに関与してくるか、ということに関しましては、通則法によれば、中期計画は主務大臣が認可する、ということになっているわけでございます。これらについて、原子力委員会の定める長計、安全委員会の安全研究年次計画を適切に反映させるという観点から、どういう書きぶりが適当なのかということを検討すべきだ、というふうに考えております。
   原子力委員会のほうから、このほかにも任命に関する適切な関与のあり方とか、そういうことをご指摘いただいておりますので、法制局とか、そういう制度官庁とご相談をして、独法制度とこういう関与の機能とのバランスがどのあたりが適切なのか、ということをよく検討してまいりたい、というふうに思っております。
   それから、業務運営に関する配慮事項として、安全確保とか、平和利用担保などに関して特別な規定を置くことが必要かどうか、ということについても検討が必要でございます。
   財務関係に関しましては、新法人は特別会計と一般会計からそれぞれ交付金をいただく法人になるはずでございますので、法的な区分経理は必要かというふうに思います。
   少し飛ばしまして、主務大臣の関与事項として、法人の自主性・自立性を極力重んじるという観点から、一般的指揮監督権限というのは特殊法人にはあったんですけれども、独法では排除する、ということになっております。しかし、緊急突発事態あるいは国際約束の履行に関する規定については必要な場合もあろうか、というふうに思っておりますので、これも要検討事項ということでございます。
   それから主務大臣等でございますが、独法が実施する業務はその業務の性格に応じて複数の省庁の大臣が主務大臣になる、ということがあり得るわけでございます。実際問題、現在、両法人は経産大臣や国土交通大臣とともに文部科学大臣が監督している業務がございます。もう少し正確にいえば、JNCのほうは経産大臣、原研のほうは国土交通大臣とともに監督している業務がある、ということでございます。このように、一つの業務が複数の省庁の大臣の管理の下に置かれる、ということがあるわけでございます。新法人になったとき、業務というものはほぼ変わらない形で新法人に引き継がれると思いますので、今までの経緯とか、枠組みというものはそのまま新法人に引き継がれる、というふうに思うわけでございます。実際にどういうふうに規定するかに関しましては、その立法の段階で制度官庁、関係省庁がよく調整して検討していきたい、というふうに思っております。
   それから管理業務については、「一元的な処理が望ましいという観点から、主務大臣を一に限ることが原則」と書いてありますが、これにつきましても、管理業務であっても、財務・会計に関する事務のうち業務に関連する重要な事項については、当該個別業務を共管する主務大臣と共管する、ということも認められているところでございます。
   主務省という概念が独立行政法人にはございまして、評価を行う独立行政法人評価委員会との関係で主務大臣が置かれております。主務大臣は評価の評価の一元化という観点から原則一に限る、ということになっているわけでございますが、あえて共管事業との関連で別の省庁の評価委員会の関与が必要な場合には調整規定があり得る、そういうルールでございます。
   あと財務大臣協議、罰則、附則は省略させていただきたい、というふうに思います。
   次は「資料第1号   核融合研究開発の評価・見直しについて」ということでございます。秋山先生のご紹介にもありましたように、今まで個別分野の事業の見直し・評価ということをやってまいったわけでございますが、核融合につきましては、ITERの誘致ができるか、できないかということが6月くらいには決まるという予定で交渉が進んでおりましたので、それを待って全部決まったところでよく検討をしよう、ということにしておりましたけれども、そのスケジュールが延びて、だいぶ遅れそうでございますので、それならば誘致、非誘致に関わらず、新法人の核融合研究開発にとって非常に大切な部分につきまして評価をしていただこうということで、秋山委員会でご議論いただいたところでございます。
   12月5日の資料の構成などを思い出していただきながら見ていただきたいと思うんですが、左側に法人がどういうふうにこれまで核融合研究で実績を挙げてきたか、次のページに今後の事業方針をどう考えているかということが記述されておりまして、真ん中の欄に「今後の方向性」として私どもが評価したもの、そして秋山先生に見ていただいたものが書いてある、そういう構造でございます。
   後ろに付いておりますペーパーは、原研が独自に評価した核融合研究の評価表を補足する説明ペーパーでございますが、このへんは省略をさせていただきたいと思います。原研のペーパーは一番左側にまとめてございます。
   (これまでの事業概要)でございますが、原研では原子力委員会が定め計画に基づいて炉心プラズマとか、工学技術の研究開発を進めてまいりました。
   その結果として、JT-60を活用しながら、世界最高のエネルギー増倍率を達成する、という成果を挙げておりますし、その成果を用いてITERの設計のコンパクト化を達成する、という貢献をしているわけでございます。それと同時に、低放射化フェライト鋼の導入などをしてまいりましたし、トカマク炉心プラズマの研究で世界をリードしているところでございます。
   それからITERの工学設計活動に関しましては、チームに人を派遣して工学設計を完成させる、という貢献をしております。
   それから、先ほどちょっと出ましたけれども、核融合材料の開発では低放射化フェライト鋼の開発を成し遂げた、ということでございます。
   (今後の事業方針)ですが、新法人はトカマク型核融合システム開発の研究開発拠点の役割を担う、そして以下の事業を総合的に展開する、ということでございます。
   まず最初は、ITER計画に関して、我が国の極内機関として機器や設備の製作を分担実施し、優れた人材をITER機構に派遣し、その建設や運転に貢献する。また、ITERの成果を国内に還元する。こんなようなことを考えているわけでございます。
   2番目は、炉心プラズマの技術に関しましては、非常に高密度のプラズマの開発を実施し、できるだけ速やかにJT-60の開始を行って、更なる高密度プラズマの実現をしたい、ということでございます。
   3番目は、ブランケット技術や核融合炉材料の技術開発もやはり重点課題として取り組む、そういう計画をもっているということでございます。
   これを踏まえ検討いたしまして、私どもは真ん中のような「今後の方向性(案)」をもっております。
   まず最初に、核融合エネルギーは将来のエネルギー源の有力な候補である、という位置づけを与えた上で、国際協力に関しては、ITER計画の推進の支援を行うというのが新法人の主要なミッションであろう、というふうに考えるわけでございます。具体的には、装置や機器の製作、ITER機構の運営の支援、成果の活用に関して我が国の中心的な役割を担う、こういうことでございます。
   それから国内的には、JT-60を活用してデータをさらに取り、先進的な高密度プラズマの研究を進めていく、ということでございます。ITERの建設地がどこになるかということや運転スケジュールにもよるわけでございますけれども、適切な時期にJT-60の改修を行っていくということがよかろう、ということでございます。
   また、炉材料につきましては、プラズマの研究と並行して研究開発を進めていくということです。特に国際協力プロジェクトとして構想されておりますIFMIF計画への参加に関しましては、国(原子力委員会等)レベルでの議論を踏まえて、今後判断することが適当である、というふうに考えております。
   先日、科学技術・学術審議会の核融合ワーキンググループがレポートを出しまして、国内の大学も含む核融合研究を4つの大きな分野に集約化しよう、重点化しよう、ということで結論を出しております。1つはトカマクであり、1つはヘリカルであり、1つはレーザーであり、あとは工学的な技術、特に材料技術であるわけでございますが、JT-60、また那珂研は我が国のトカマク型の核融合の中核機関である、国内の研究者の共同研究や人材の育成の場として活用していくことがよろしかろう、というふうに思っているわけでございます。こういう核融合分野における評価・見直しを行った、ということでございます。
   それから「資料第3号   新法人の目指すもの」でございます。
   先回、3月25日は主要ミッションを整理させていただきました。その主要ミッションが溶け込んだ形で、新法人が世の中に対してどんなふうな貢献を中・長期的にしていく存在であるのか、ということを社会との関連で表現したものがこのペーパーでございます。
   大きく3つのカテゴリーに分かれておりますが、まず「軽水炉サイクル技術の基盤の構築」というものが中・長期的な目的として掲げられるだろう、というふうに考えております。我々はアウトカムと呼んでおりますが、その中には、軽水炉の安全性・信頼性の向上というような開発課題、それから軽水炉核燃料サイクル事業を円滑に進めるための技術基盤の確立、安全規制のための技術データの蓄積という課題がある。
   それから別のアウトカムとして「次世代の原子力システムに関する技術体系の構築」というものを掲げてございます。ここではFBRとか、熱エネルギーを活用した水素製造とか、そういったものを課題として掲げているわけでございます。
   3番目は「高レベル廃棄物処分の実現に向けた技術基盤の構築」ということで、地層処分のための技術基盤を確立して、それを移転していくこと、それから国の安全規制に対する評価手法を提供するとか、そういったことを課題として掲げております。
   それから長期的な課題でございますが、「核融合システムの実現に向けた技術基盤の構築」ということで、核融合システムの技術基盤の構築のためのいろいろな取組み、先ほどご紹介したようなものを順序よく体系的に進めていく、ということが課題となっているわけでございます。
   それから放射線利用関連では、「放射線を利用した新技術開発と技術移転」というものをアウトカムとして提供したい、というふうに思っております。中身は、荷電粒子線や中性子線、光量子線などの放射線発生技術を高度化させ、その利用技術を高度化させ、医療、工業、農業、環境などの分野での応用を図っていく、ということではないかと思っております。
   一番右側の3番目は、核不拡散技術開発、原子力人材の育成、原子力防災など、国の業務を支援しながら達成していく目標というものもあろうかと思っておりまして、4つ掲げております。1つは「核不拡散に係る技術開発」ということで、今も保障措置技術の最先端の分析技術などを持っているわけでございますが、これを合同化していくこととか、不拡散体制の構築のための監視ネットワーク技術の確立とか、ロシアの解体プルの着実な処分に向けた技術的協力、こういったものが過大であろう、というふうに思います。
   それから「原子力人材の育成」というものも非常に大きな課題であって、特に民間の技術者や規制行政官等の再教育、それから学位の提供とか、そういったことが世の中で非常に求められている状況の中で、新法人もしっかりとこの要請等を踏まえて対応していきたい、というふうに考えているところでございます。それから、アジアだけではないんですが、途上国地域における人材に対して教育を施すとか、技術支援をするということも重要であろうと思います。
   それから「原子力防災対策への協力」ということで、これは国や地方公共団体がやるわけでございますが、緊急時には直ちに事故や故障の原因の糾明に支援をする、人的・システム的・施設的な貢献をする、そして防災研修などを実施して、地方公共団体の方々のポテンシャルアップを図る、こういったことが課題であろうと思います。
   それから、前回ご指摘いただきました、原子力政策や原子力広報活動の基礎となる情報を収集して、分析して提供する、ということも新法人に期待されているところでございまして、これもアウトカムとして掲げております。
   そういったことを通じて、いろいろな技術を育成し、それをさらに社会に移転していく、また国の政策への技術的な支援をしていく、こういったことが究極的な活動として新法人に期待されているのではないかということで、これを用意させていただきました。
   それから「資料第4号」は、新法人が基礎・基盤からプロジェクトに至るまでの研究開発を着実に実施しつつ、原子力施設の廃止措置とか、放射性廃棄物の処理処分などをちゃんと進めていくことができるかどうか、ということについて判断する必要があったわけでございまして、その観点から一体どのくらいの経費が廃止措置と処理処分にかかるのか、ということを二法人でケーススタディを行っていただきました。
   それが「別紙」として3枚目からついてございます。コストの算出というのは、非常に難しい、また長期間にわたるものでございますが、今、得られるいろいろなデータを最大限活用しまして、先送りにせずにちゃんと最終的には処分し切る、というような考え方で計算をしてみました。いろいろな不確定要素があるわけでございますが、若干ご紹介申し上げたいと思います。
   廃止措置の対象でございますが、原研は放射性廃棄物が発生する現存する施設、いわゆるホット施設が75、サイクル機構が111ございます。これについて解体、廃止措置の処理処分の評価を行ったわけでございます。
   2ページを見ていただきますと、廃棄物発生量の試算がございます。これから処理しなければいけないわけでございますけれども、既にあるものが廃棄体の形にして12.6万本、これから発生するものが33.3万本、こういうボリュームございます。全部合わせると56万〜57万本ということでございますが、これを処分するということになるわけでございます。
   3ページに、どういう単価を設定したか、ということが書いてございますが、トレンチ処分やピット処分に関してはRANDECの検討単価とか、余裕深度処分に関しては総合エネ調原子力部会の検討単価とか、地層処分については同じ単価を活用する、そういうことをしております。輸送に関しても、過去の実績とか、総合エネ調の評価結果を活用しております。
   4ページのスケジュールに関しては、施設はちゃんと運転をして、そのミッションを終わったところから廃止措置を順繰りに行っていく、という考え方でやっております。それから、コストをなるべく低減させるために、有効利用の可能な施設については管理区域解除までで止める、というようなことなども工夫しているところでございます。
   5ページの廃棄物の処理に関しましては、処理施設をあちこちにつくるのではなくて、なるべく一個所とか集約化して行う、ということを前提にしているわけでございます。
   処分の実施時期ですけれども、トレンチ処分やピット処分については平成25年から、   余裕深度処分については平成40年から、地層処分については平成75年から、というような前提をおいております。
   その結果、総コスト2兆円、その内訳として、廃止措置6,000億円、処理費用5,500億円、処分費6,000億円、輸送費2,400億円が想定される、ということでございます。
   年度ごとのかかる費用につきましては、あまり突出しないような若干の調整はしておりますけれども、最初の10年くらいは100億〜150億円、その後30年くらいは300億円くらいで推移する、という結果になっております。ここではその後10年しか書いてありませんが、ずうっと同じようなプラトーが続いていきます。
   最初40年間が経って、その後また150億円くらいまで減少していって、平成90年代半ばにはすべての処分を終わり、業務を終了することができる、ということでございます。   全体で約80年間かけて2兆円のコストで廃止措置と処理処分をやっていく、ということでございます。
   7ページにはいろいろ留意すべき事項が書いてございます。一番大切なのは、廃棄物の処理処分を確実にちゃんとやっていく、ということでございます。それから、それに一体化した研究開発も行っていかなければいけない。長期に資金確保の必要がある。それから関係者のいろいろな協力が必要ということはもちろんでございますが、(3)に掲げたようないろいろな留意事項を配慮しなければならない、ということであります。コストに大きく関わってくることですけれども、法的基盤等が整備されなければいけないということで、運用を停止した後の施設の合理的な維持管理の規定というものがつくられることが非常に期待されております。それから、原子炉から出てきた廃棄物以外の埋設関連の法令の整備ということが望まれるわけでございます。さらに、どこまでが放射性廃棄物か、というところを切るクリアンランスレベルの制度化、そういったことも早く確立されなければいけないと思っております。最後に処分場の早期確保ということがございます。
   そういった試算に基づきまして、新法人の経営との関係を見ていくことにしたいと思いますが、1ページに返っていただいて、繰り返しになりますが、「2.」のところで総費用は2兆円、実施期間は80年、最初の10年は100億〜150億円で推移して、その後の30年間は300億円程度、平成60年〜90年代の半ばくらいまでの35年に関しては150億円程度にとどまって、そして終息していく、ということでございます。
   非常に不確定要素があるため、今後、定期的にちゃんと見直していかなければいけない類いの試算である、ということも付言してございます。
   2ページに「まとめ」といたしまして、この廃止措置や処理処分に関する経費は100億〜300億円程度で推移することになる、ということでございまして、今の両法人の全事業、2,300億円の5%〜15%程度ということになるわけでございます。
   特に新法人設立後10年以降、処理処分経費が300億円になるわけでございますけれども、各事業のスクラップ・アンド・ビルドとか、サイクル関係の大型プロジェクト、「もんじゅ」とか、「常陽」のプログラムの終息などによって、事業推進に必要な費用が減少傾向にございますので、15%くらいということであれば、十分に措置可能な範囲内であろうと考えている、ということでございます。
   このケーススタディの結果、私どもは特別な制度的な措置を講じなくても、廃止措置と処理処分と基礎からプロジェクトに至る総合的な研究開発をバランス良く進めていくことができる、というふうに考えているところでございます。
   以上、非常に雑駁でしたけれども、検討してまいりました資料についてご説明を申し上げました。

丸山審議官   資料の種類が大変いろいろありまして、ご議論いただきにくいかと存じますけれども、核融合の話、個別法の話、新法人の目指すもの、それから放射性廃棄物、4つ一括してご議論いただきたいと思います。
   個別法の問題というのはここでご議論していただくというよりは、どちらかというと、法律をつくるテクニカルな話がかなり多うございますので、これはまた関係方面と立法段階で相談しなければいけませんし、所感みたいな話はここの場で議論することはあまり適切でないかと思いますので、もう少し大所高所の観点からご議論をいただければ、というふうに思います。それではよろしくお願いします。

兒島伊佐美委員   今ご説明のあったお話は、私ども事業者にとっては大変重要な要素でありまして、かねがね何回も申し上げてきておりますことであると同時に、たぶん今日もまたほかの皆様からもお話があることだと思います。
   今お話のあった中で私どもが一番気になるのは、廃止措置並びに廃棄物の処理処断についてでありますが、今のお話では「予算枠の中で対応が可能である」、こういうふうにおっしゃいました。しかし、80年という非常に長期にわたる事業を、今のような一つの制度の中ではっきりさせずにいって、着実にできるのだろうかということは、非常に懸念されるところであります。
   研究所等の廃棄物についてはまだ立地も決まっておりませんし、あるいは不確定な要素もあるわけでありまして、新法人がスタートするに際しまして、国の責任において確実に実施されることをぜひとも新法人の個別設置法にきちっと明記していただきたい。私どもとしては、できればぜひ外立ちの別法人をつくって、そこで続けていくということが一番適切だと思うのでありますが、今度つくる新法人の中でやるとしても、その中の個別設置法に廃止措置あるいは廃棄物の処理処分について明確に記述して、予算の確保を明確にしていく、ということだと思います。これが非常に気になるところでありまして、これはぜひお願い申し上げたい、
   一方、それと直接的に絡まないのかもしれませんけれども、冒頭の説明の中に出資金の話がございました。これは欠損金の話で、「すべて減資され、新法人に引き継がないことが最も望ましい」というふうになっているのでありますが、減資の調整に際しましては私どもは、廃止措置、廃棄物処理処分の問題を簿外債務として先送りすることなく、国が責任をもって対応するということを明確にする、ということを前提においていただきたい、こんなふうに思うところであります。
   これが廃棄物と廃止措置あるいは出資金、欠損金の扱いでございます。
   それから最初にお話がありました核融合のお話でありますが、これについては「将来エネルギーの有力な候補」とおっしゃられました。一つの候補かもしれませんが、有力な候補になるかどうか、まだ原理の確認実験を行っている段階でありまして、科学技術の基礎・基盤という中の一つの項目だろうと思います。エネルギー源となり得るかどうかは、今後の開発の進捗に依存するところであります。そういうふうに考えていったときには、財源についてもこのような性格を踏まえて考えていくべきであります。今のお話ですと、何となく全体の予算の中に取り込まれてくるような感じがしてしょうがないのでありまして、この核融合については特に明確にそのくくりをつけていくことが大事だろうと思います。
   それから、先ほど既にお話が出ている組織のことがありますが、たくさんの関係機関が絡むことでありますし、基礎・基盤からプロジェクトまで広い範囲でございます。また、今日、原子力委員長のお話もございましたが、これらのそれぞれの関わりをぜひとも新法人の個別法に明確に記載してほしい、ということであります。そして、それぞれの機能が有機的に絡み合って、原子力の開発がきちんと円滑に進むようにぜひともご配慮いただきたい。我々事業者の立場においては、少し部門が違っているところですと、そのへんのところが調整に時間がかかって大変困るところもございます。ぜひとも関係機関の整合ある機能を確保していただくように、個別法の中にきちんとそれを明らかにしていただきたい、ということをお願い申し上げたいと思います。

住田裕子委員   今のお話に関連しまして、もちろん事業者の方にとってはこの予算の関係が非常に重大な関心事であろうと思いますが、独法化はやはり国民にとっても重大な関心事でございまして、ここのところは法律に書くか、書かないかというよりも、引き継ぎの中できちっと透明性をもって明らかにしないと、今後、国の予算を使うとか、いろいろな手法を使うにしても、なかなか賛成が得られないのではないか、そういう懸念をもっております。
   そうしますと、こういうふうな将来的に発生する費用というのは「簿外債務として先送りするものではない」という言葉は非常に大事なことだと思います。枠とか、そういう意味では今いろいろな会計手法があると思いますけれども、正味現在価値をどこかできちっと見せていただかないことには、安心して新しい新法人に引き継げないのではないか、そういう懸念をもっております。そういう意味では、私は法律家ですので、全く専門外ですが、ぜひ会計的な視点から試算をしていただく、ということをお願いしたいと思います。

小林庄一郎委員   今、会計的な問題についてお話がございましたが、核燃料サイクル開発機構が平成13年度の決算についてホームページで、いわゆる民間の会社の決算に準じた形のバランスシートと収支の決算を出しておられるんです。これは将来の独法化に備えて非常に有意義なことだと思いますが、それによると、今、核燃料サイクル開発機構の資本は3兆円、いわゆる欠損金が2兆5,000億円ですから、債務超過にはなっていないんです。ところが、13年度の決算は1,400億円の赤字なんです。そうすると、3年余りで純資産が無くなってしまい、債務超過になる。民間でいえば、このような状態は決して健全な財政状態ではないので、今、兒島さんもおっしゃったように、これは開示義務がありますから、新しい法人の発足に当たってはそのへんをきちっと整理して、一般国民の方から疑いの目をもって見られないような制度をつくっていただきたいと思います。

秋元勇巳委員   特に廃棄物関連の話ですけれども、私もほかの研究とどんぶり勘定にしていくのは非常にリスクが多いだろうと思います。
   先ほど例えば今の原子力予算からいえば5〜10数%というお話があったんですけれども、これは今後80年間、原子力予算が今と同じ予算でキープできるという前提があって、しかも、またそういう大きな別のプロジェクトが出てこない、という前提があって初めて成り立つような話で、そういう前提が果たして成り立つかというと、もう既に今、ITERを予算的にどうするか、という話が大きな問題としてあるわけです。去年、科学技術会議では「ITERは原子力予算の中で見ろ」と言われているわけですが、これでもし日本の誘致が決まって、これを入れていくということになりますと、予算的にかなり身動きがとれなくなってしまう、ということがあります。
   それから最近、経済財政諮問会議で一部の民間議員が「原子力、宇宙の予算を思い切って削減せよ。電源特会も一般予算化しよう」というような大変な暴論をはいたわけですけれども、もしそんなことがまじめに取り上げられるとすると、これも原子力予算に非常に大きな影響が出てくる、ということがあります。まず「原子力予算が本当にこれだけ確保できる」という担保ができて、その中での廃棄物ならいいんですけれども、それがない中で「将来この程度で済むだろう」というのは非常に危険だろう、という感じがいたします。
   それから、先ほど2兆円というお話があって、「廃棄措置が終わりのほうになると、収束して余裕が出てくる」ということだったんですが、「じゃ、これから新しい施設はつくらないのか」という話です。おそらくこの後でご議論があるのだろうと思います。「資料第5号」でもって廃止する設備というのがいろいろ出ていましたので、それはこの中に入れて計算しておられるのだろうと思いますけれども、例えばこれからジェネレーション4で海外と共同して新しい炉をやっていこうとか、再処理技術をやっていこうといいますと、今の施設だけではなくて、また新しい放射性物質を取り扱うような施設は必要になってくるのだろうと思いますし、材料照射をやっていくというのは安全研究の上では絶対必要な部門だと思いますので、もしそういう炉が老朽化していけば、それを新しく改造してやっていく、というようなことも必要になってくるかもしれない。そういうことを考えますと、その部分も、いずれはまた廃止措置ということになってきますので、将来、今の廃止措置の金額が収束していくという考え方もちょっと危険だ、という感じがするわけです。
   そういう意味で、先ほどから幾つかのご議論が出ておりますように、やはり廃棄物については少なくとも決算会計は明確に分け、個別法できちっと「国の責任でやっていく」ということを業務の範囲としてはっきり明記しておかれる。「これはちゃんとやれるんだ」と安心して前向きに原子力研究開発に取り組めるようにしていく、ということがぜひとも必要なのではないか、そういう感じがしております。
   それから主務大臣云々の話については、「今のところであまり言及しないように」というお話もありましたが、一つの省庁の枠組みでは処理し切れない非常に大きな横断的なものを処理していくわけですから、関係してくる各省庁なり各機関なりが研究開発についてそれなりの発言権、場合によっては決定権を持つということも必要なことだ、というふうに思います。例えば、「人事は主務大臣一人だ」というようなお話があったわけですけれども、人事を決めるに当たっては関係者の事前承認をとるとか、推薦をもらって主務大臣がやっていくとか、いろいろなやり方があると思います。そういう意味で、横断的な業務をやっていくことに支障のないようにコンセンサスが得られる、そういう形の枠組みが必要である、というふうに思っております。
   設置法から見て、「非常に読みにくいから、ここはそうしなければいけない」というのはちょっと議論が逆転しているのであって、目的を遂行するために今の設置法に問題があるのであれば、思い切って問題提起をして、やれるような形に進めていただくということがぜひとも必要ではないか、そういう感じがしています。

西澤潤一委員   今、秋元先生からお話がありましたように、多省庁に関わる問題でございますから、その間が議論がスムーズに通るために一番大事なランゲージは基礎データだと思うんです。しっかりした基礎データが要る、ということだろうと思うんです。
   私は素人だったせいか、こういうお仕事をさせていただくようになってから、専門の原子核物理学者の方々に「おまえはだまされてるんだぞ。FBRなんか使ったって放射能は増えるばっかりで、始末におえないことになるんだ。残留放射能が減るということはちゃんと言った人は誰もいない」と言われたので、事あるたびに「どれくらい残留放射能が減るのか」ということを伺うんですが、何にもいただけなかったですね。この間、福井で原産大会があったとき、アメリカから来た委員の方が「これだけ減る」というデータを提示されたのが、私が初めて拝見したデータで、ああいうものがしっかり出てくれば、我々も非常に安心してそういう方向にいけるわけです。
   最終的には地層処分も要るんでしょうが、いずれにしても、かなりの部分はサイクルでやれるということだろうと思うので、そういうことをしっかり示していただくことが大事ではないか。もちろん、自分で取るばかりでなくて、人様のデータでも信用できるものははっきり提示していただいて、「こういうデータがあって、我々はこういうデータに基づいてやっている」ということを言っていただくことが必要ではないか。一般の方々に対してはそういう説得が非常に重要ではないか、というふうに考えております。

伊達宗行委員   幾つかあるんですが、廃棄物の議論が先行してようなので、それについてちょっとコメントを言わせていただきたいと思います。
   ほかの議論をしているときはいわば中期目標というのがキャッチフレーズになっていて、例えば基礎科学というのは長期目標に視点を置いて展開されるべきものですけれども、中期目標ということで、そちらはむしろカットされたような議論だったと思うんですが、廃棄物に関しては長期を超えた議論ですね。ここが整合性がどうなっているのか、私にはよくわからない。打ち砕いていえば、年間新法人が負担し得る財源を先に設定して、それに合わせて全体をつくったのか。50年先もはっきりしないというのに、80年まで想定するというのもよくわからない。ですから、プラグマティックに例えば「年間処理費がどれくらいの範囲でやれるのがギリギリだから、当分それでやる」、そのへんのプラクティスをはっきり明示していただいたほうがタックスペイヤーとしては理解できるのではないか、というふうな気がいたします。
   それから、先ほど秋元さんもおっしゃいましたんですけれども、核融合でITERがきたとき、こないときでどう仕分けてあるんでしょうか。これは単純質問ですが、中西課長に伺いたいと思います。先ほどここで示された各項目の中でどこまでがITERがきたらやる、こなかったら抜くということが仕分けしてあるんでしょうか。

中西原子力課長   ITERについては秋山先生、兒島先生からもご言及がございましたので、ちょっと補足させていただきますが、昨年の5月に閣議了解というのがございまして、第2期の科学技術基本計画の中で、予算が充実されていく状況の中で、原子力予算の効率化・合理化も進めながら原子力予算の中でITER予算を確保していく、ということが決められているわけでございます。
   これの意味するところは、全体的な予算の拡充というものもちゃんと含みながら、自己努力もして、ITERの建設ができるような費用を確保する、ということでございまして、自己努力で少し削れるところもありますけれども、全体としては原子力予算を伸ばしながらITERをやり遂げる、ということでございます。

伊達宗行委員   そうすると、ITERがくれば、当然サムルールが成り立つだろうから、こちらは減りますね。

中西原子力課長   ええ、少し減ります。ただ、どこを減らすかといいますと、廃棄物の処理処分を計画的に進めるというところではなくて、もう少しいろいろと事業の中で努力して減らせるところを見つけていく、という作業をしていくことになります。
   我々は今まで「もんじゅ」というような大きなプロジェクトを千数百億円の特会の中でやってきた、というような実績もあります。6,000億円くらいのプログラムを毎年やり繰りしながら、ほかのプロジェクトと調和させながらどれもちゃんと進めてきた、というようなこともございまして、必ずITERも少し原子力パイを増やしながらやっていける、という見通しを得ております。
   増やしていくということについては、これからちゃんと財政当局などの理解を得ていかなければいけない。その努力をしなければいけない、というふうに思っています。

田中豊蔵委員   担当課長がそういうふうにご説明される気持ちは十分わかった上で、私は客観的なものの言い方をさせていただくんですが、ものすごく甘い。今の原子力を取り巻く状況、それから予算当局がこの二法人の統合についてどういうふうに来年度予算以降やるかということは、もう少し厳しいんです。
   さっき兒島さんや秋元さんや伊達さんがおっしゃったことは私も同感ですが、一言でいうと、何もこの席で「それをギリギリ詰めろ」ということではないにせよ、プライオリティ、限られた予算の中で何に第一に予算を投入して、世論の支持の中でどういうふうに将来増やしていくか、という問題についての意志統一が必要ではないですか。今の厳しい財政状況の中で、国策として絶対進めなければならないもの、待ったなしの廃棄物の問題、そういうものを仕分けしながら、説得力をもって内閣、財政当局、そして世論に対して訴えていくような緻密なことをやっていかないと……。きついことを言うようですが、何となく「これもこれも重要だから、その予算の中でうまくやっていきたい」というようなことは大甘です。

渡海副大臣   今、田中委員にある意味で整理をしていただいたと思います。僕は応援演説だと思っております。
   各委員がおっしゃったことは、それぞれ一つ一つ取り上げれば、ある意味もっともでもありますし、また、ある意味必要なことでもある。ただ、全体の資源配分という問題になってきますと、ある前提をおいて将来を予測せざるを得ない。私は財政の専門家ではありませんが、予算の割り振りをやってきて一番感じることでございます。そうでないと、お出しできないわけです。ですから、「こういう前提の下で今こういうことが考えられております」というご提案をさせていただく。何も中西さんの弁解をしているつもりはありませんが、そういうことで今、ミッションを明確にずっと整理をしていただいております。
   例えば、原子力の中で核融合というミッションがある。しかし、これもいろいろな選択があるわけです。伊達委員がおっしゃいましたように、くるのとこないとでは……。今、交渉中でございますから、数字までは申し上げられませんが、政府としてこれをどういう国家的プロジェクトと考えるか、ということが最後の作業として残っているわけです。それを現時点で想定しながら、しかも、核融合をやることになるとするならば、JT-60があるわけですから、そのことについて従来の原研が担っていただいていた作業というのはやはり残るだろう。もしきたとしても、原研の協力がなければできない、ということもはっきりしているわけでありますから、そういった不確定要素を抱えながら、この統合を今どういう方向で考えるか。はっきりできることとできないことがどうしても出てきてしまうということは、最低限ご理解をいただきたいと思います。
   もう1点、経済財政諮問会議の議論は聞いております。昔、私も全く同じことを言ったことがある人間でございますから、よくわかっているわけでございますが、例えば宇宙とか、原子力はかなり下げ止まりまできたんです。そういう状況でまだ「なおかつやれるか」というのは、しっかりと見ておいていただかないと……。実務をやってこられた皆さんがギリギリのところを一番ご存じだろうと思いますし、所管官庁になりました文部科学省、また、今日は経済産業省からも先ほど意見があったわけでありますけれども、原子力全体の問題として考えたときに、これからどうやっていくか。電源特会まで経済財政諮問会議が手を突っ込もうとしているわけですから、そういったことも含めて、きっちりとものを見ていかないと……。やはり不確定要素が多すぎるんですね。
   私は中西さんから説明を聞きました。それで、皆さんと同じような疑問をずいぶんぶつけまして、今の前提としてはこの話しか仕方がないだろう、と。しかし、この中で例えば廃棄物の話につきましては、今いろいろご議論があったわけでございますから、そのミッションとして書く、それから法律にどう書くかということについては、これから検討させていただく。原子力委員会からも廃棄物の方針というのはある程度はっきり出ているわけでございます。しかし、金額としてどう担保するか。予算上、法律で縛ってしまうということになりますと、これはまたなかなか難しいし、それから先ほどの欠損金の問題、住田委員からもご指摘をいただきましたが、このへんはほかの独立行政法人も同じような問題を抱えておりまして、今までも大学も含めて、いろいろな処理の仕方をやっておりますから、スタートするに当たって、当然そのへんの整理はきっちりとさせていただきたい。これは私の責任でお答えができる、というふうに思います。

丸山審議官   現実の中で組織のプライオリティというようなものも考えるということになりますと、当然、今持っている施設で選択と集中、そういう考え方でやっていかないと廃棄物の処理処分もできないということで、「研究施設の整理・合理化について」という資料を中西課長のほうから説明してもらいます。

中西原子力課長   「資料第5号」についてご説明させていただこうと思います。
   先ほど廃棄物の処理処分に関して、「国がちゃんと責任をもってやる、ということを法律の中に書き込むべきではないか」というようなお話がございましたので、一言だけ言葉を足させていただきますけれども、原子力委員会の考え方によれば、廃棄物の処理処分は設置者が行う、ということでございます。国としましては、それがちゃんと計画的に行えるようにということで、中期目標の中で設定したり、中期計画に書き込んでいただくというようなことが責任ではないか、というふうに思っております。それから、必要な財政的措置をしっかり講じるということも責任の一端ではないか、そういうふうに思っております。そういう国の責任、役割というものは、別に個別法に書かなくても、今までもやってまいりましたし、将来もちゃんとできると考えておりますけれども、その必要性につきましてはもう少し個別法の具体的な検討のときに議論していきたい、というふうに考えております。
   それでは「研究施設の整理・合理化について」のペーパーでございますが、この前、3月25日に「新法人において最も優れた施設のみを存続させる」、そういう方針を出していただいておりますので、その考え方に基づいて、二法人が現有する施設について、果たして重複してないかとか、老朽化したものはないだろうか、という観点で見てまいりました。そういう検討の結果、以下のような施設については廃止して、それぞれ掲げてあります別のものに一本化するとか、機能を移すというようなことが適切ではないかということで、まとめた資料でございます。これは、文部科学省が両法人からヒアリングを行いまして、その責任でまとめさせていただいたものでございます。
   まず最初は、核融合研究でございます。東海の小さな研究施設でございますけれども、これは運転をやめて廃止して、JT-60に一本化するということでございます。
   それから原研の東海に再処理関連の施設が5つほどございますが、NUCEFに付属したNUCEF-BECKYという施設に機能を集約化していく、さらに、そのNUCEF-BECKYにおきましても一部の機能を廃止して、JNCが持っているCPFというような再処理関連研究施設のほうに移管する、というようなことを考えております。
   照射後試験施設は、東海地区の固有名詞でホットラボラトリーというのがありますが、ほかにRFEFとか、WASTEFとかいう施設がありますので、そちらのほうに機能を集約化する、大洗地区のJMTRのホットラボにつきましてもほかの照射後試験施設に機能を集約化する、ということを考えております。
   それから電子線加速器は高崎研に2つございますが、2号電子線加速器のほうを廃止いたします。
   γ線照射施設についても、東海のものを廃止し、高崎に集約化する、ということを考えております。
   研究炉につきましても、JRR-3が大変優れた装置でございますので、中性子照射研究は中止して、医療照射とか、教育実習というようなところはJRR-3では代替できませんので、そこだけ運転をする、ということでございます。
   高速増殖炉関連では、ナトリウムループ施設など様々な試験施設があるんですけれども、これは使命が終了いたしましたので、廃止いたします。
   動燃改革のときの整理の関連でございますが、「ふげん」は10年くらい置いた後、廃止措置へ移行する、それからDCAという重水臨界実験装置の廃止、それから「ふげん」に燃料を供給しているプルトニウム燃料第二開発室も廃止いたします。
   それからウラン濃縮関連では、原型プラント、濃縮工学施設、そういったものを廃止いたします。
   JMTRも、周辺機器などが老朽化しているということもあり、廃止いたします。しかしながら、廃止の時期に関しましては、国の安全年次計画とか、国内外の研究炉の動向とか、需要とか、そういったものを十分に検討した上で、適切な時期を廃止時期にしたい、というふうに考えております。
   それから地層処分関連研究施設は、東濃のほうでございますが、新地層処分施設を建設してまいりますので、この関連の研究はやめて、東濃では岩盤挙動の観測だけ残すということで事業を終了しよう、というふうに考えているところでございます。

丸山審議官   ありがとうございました。
   この資料につきまして、何かご質問、ご意見等ございましたらお願いします。

伊達宗行委員   老朽化した装置で、ちょっと使いにくいところもあるということで、JMTRを廃止するということは賛成でございます。ただ、半年前に起きた東電をはじめとする軽水炉のシュラウド問題は、突き詰めれば、あれに使っていた316Lというステンレスは、応力のテストはしたんですけれども、放射場における応力テストというのはできなかったんです。したがって、してないんです。考えようによれば、言語道断な話です。最初は316Lというのがいいだろうと思ってやって、実はまずいということがわかった。こういう研究はこれからも出てくる。先ほど秋元さんがその必要をチラッとおっしゃいました。ですから、私はこのJMTRの廃止はけっこうですけれども、電力界の長い目で見た安全、既に50基以上の装置をお持ちで、総合試験炉が一つもないという現状からいって、やはり何らかの形で材料照射のできる炉が将来実現されるべきである。今、何を切る、あれを切るということで点数を稼ぐことが必要なことはよくわかります。ただ、そういう基本的なこの分野の重要性というものは見据えて計画をおつくりいただきたい。

住田健二委員   伊達先生が私の言いたいことをだいぶおっしゃってくださったと思うんですけれども、安全性の関係から申し上げますと、JMTRだけではなくて、ホットラボも含めて、全体のベースになる非常に重要な基礎施設を、十分な検討をしないで早計に廃止といわれては困ります。もしオフレコ的に言わせていただけるならば、「ITERを導入するためにJMTRを止めるのか」ということになりかねない。これは問題だな、という気がするんです。
   意味が違うと思うんです。JMTRというのは、水道の水源みたいなものだと考えていただきたいと思うんです。そういうものを止めるということは……。差し当たっては何かの代用でやっていけるかもしれませんけれども、この炉は、本来の日本の材料研究の一番のベースになっていたはずなんです。
   JTMRの代わりのもっと新しい新JMTRをつくるから、それと適当な時期に交替させるというのなら、大変けっこうだと思うんです。それから「常陽」は照射装置に使えますから、ある程度代えられる部分はあるが、全体の何分の1という所です。JMTRは本来はループが付いていたんです。私が安全委員のときにずいぶん反対したんですけれども、原研はこれはお守りが大変だからというので、ループは外してしまわれた。日本国内で「ループテストをやれないようなことでは話にならない」ということをずいぶん言ったんですけれども、駄目だった。確かにお守りをされるほうも大変だというのはよくわかりますが。
   今後、改善の余地もいろいろあると思いますけれども、そういう基本的な安全に関する基礎的な研究・試験施設の維持から手を抜いてしまっていいんでしょうか。このことをぜひ考えていただきたい。
   これは何も二法人のところだけではなくて、私ども大学関係のほうでいいますと、京都大学の原子炉実験所はもう既に手を挙げかけているわけです。京都大学の負担という点では確かに大変だと思いますけれども、全国共同利用の研究炉として原研が全部代わっていただけるのかというと、そうもいかない。この間も白川さんが炉の記念式典のため京大に来られて、「京大炉の照射分析によって、自分の基礎研究の一番肝心なところは決まった」というお話があったんです。たまたまノーベル賞をもらった方がそういうことをおっしゃっているわけですけれども、それだけではないと思うんです。非常に広い範囲の研究者がそれに乗っかっている部分があります。一見時流に乗らないかに見える、本当は一番大切なところを支えているのも原子力研究の中の一部分であります。いわゆるエネルギー開発も勿論大切です。そのためにやるべきことはたくさんあるんですけれども、そのへんをうかうか手抜きして、基本的なところまで全部切り落としてしまって、気が付いてみたらベースはスカスカになっていた、ということにはならないようにぜひしていただきたいと思うんです。
   個々のものについていちいち申し上げたら切りがありませんし、時間がありませんから、書面で意見を出させていただきますけれども、キーポイントははっきりさしてほしい。少なくとも安全委員会は絶対に何か言ってくれるはずだと思いますけれども、個人としても「止めた後どうするんですか」と聞きたい。その答えを用意しないで、ただ止めようという話では困ると思うんです。

丸山審議官   今、先生が正におっしゃったとおり、おそらく安全委員会からもいろいろな点でご意見があろうかと思います。他方、統合・整理・合理化という厳しい中でその両立を目指すということで、これはあくまでも現段階での検討結果ということで、最終的にはいろいろ関係のコミュニティあるいは安全委員会等々、関係方面のご意見も聞きながら決まっていくのではないか、というふうに考えております。

秋元勇巳委員   私も材料屋の端くれなものですから、原子力先進国で材料照射炉が一つもない、というような状況というのはちょっと考えられないと思っています。今でもちょっと難しいものになると日本ではやれなくて、スペインに頼んだりして、かなり海外のふんどしを借りて、ようやく材料試験をやっているわけですけれども、材料の安全性は原子力の安全の一番基本にあるわけです。ですから、そこがやれないような研究施設というのは困る、というのがあります。確かにJMTRは老朽化しているんですけれども、これを少し若返られる方法もいろいろあるだろうと思いますし、やはりもう少しやっていただきたい。
   それから「プルトニウム燃料第二開発室も『ふげん』が終わったから閉める」とおっしゃるんですけれども、日本の中でMOXの燃料確保をどうするか、という問題がほとんどとまったままなんです。これからの状況によっては、この施設が非常に貴重なものとして生きるかもしれないんです。
   そういうことを考えると、これから燃料サイクルやいろいろな研究開発をやっていく上で、今の原研、動燃という小さなところだけで考えると、今の研究グループは「これはなくてもいい」、そう思うかもしれないけれども、全体の総合計画から見たら、「これは残しておくべきだ」とか、「これはこういう問題が決まるまでは塩漬けにしておく」とか、かなりきめ細かいことが必要だろう、というふうに思っています。これを二法人統合委員会で決めてしまうのはちょっと問題だろうと思います。どんな施設もいずれ必ず止まるわけですから、原子力開発全体の中で、どの施設をいつ止めて、後はどうするのか、ということについては、できれば別の場で総合的に議論をしていただくほうがいいのではないか。
   それから「新法人の目指すもの」を見て、ちょっと気になっていたんですが、例えば核燃料サイクルの安全規制というのは出ていますし、地層処分に対する国の安全規制というのは出ているんですけれども、最終的に全体の日本の原子力の安全評価研究というのがちょっと読めないんですね。原子力防災対策への協力ということがあって、緊急時の事故故障原因ということは出ているんですけれども、緊急時の故障原因を究明するためには、平常時に安全研究が継続して行われている。そういう基盤があって初めてできるわけです。ですから、そういう基礎的安全研究がこの中にはちょっと抜けているのかな、という感じがしまして、そのあたりはまたひとつご配慮いただきたいと思います。

畚野信義委員   私は原子力はあまり知らないものですから、今回の委員の話があったときもそういうことを申し上げたんですが、「新しい組織はR&Dの機関だから、そういう面から意見を言ってくれ」という話だったんです。しかし、この間から勉強してくると、原子力というのは本当に気が遠くなるようないろいろ問題があるなと思うんですね。今日の議論などを聞いていると正にそうですし、特にここはいろいろ専門家が多いし、それぞれ利害関係を抱えておられる方が多いようで、具体的な話になり過ぎるような気がするんです。
   さっき副大臣が言われたように、先が見えないようなときは、全体的に見て、もうちょっとクールにいろいろなケーススタディをしておかないといかんのではないか、という気がするんです。その上でさっきの原子力課長のような説明があるならいいんですけれども、そこのところが見えないような気がするんです。こういう状況のとき、どうなったら、どういうふうにする、というようなケーススタディをきちっとしておかないと、新しい状況が展開したときに動きがとれないだろう。新しい組織もそうですし、大きなことを言えば、日本の原子力のR&Dの方針のリスクマネジメントだと思うんですけれども、それが見えない。やっておられるのかもしれませんけれども、そこのところが非常に疑問に感じるところです。

西澤潤一委員   「もんじゅ」の座長をやらされた側から申しますと、私は「日本のエネルギー政策を決めるために「もんじゅ」を動かしてみてデータを取るということは非常に重要である。焦眉の急である」というふうに伺って、それなりに納得したものですから、それなりに努力をしてきたつもりでございます。しかし、それから7〜8年経つのにまだ動いてないということで、甚だがっかりしているところでございます。
   私も怒っていたんですが、「ITERができれば、『もんじゅ』を止めてもいいんだ」というような方々が相当いらっしゃる。これは相当ひどい話ではないか。ITERがいつの頃か考えてみたら、相当先の話で、明日、明後日の話ではないわけですから、「うまく利用されたな」という人もたくさんいるわけでございます。しかし、伺ってみれば、「100%という話ではないんだ。70もあり、30もある」というお話ですから、それなりに一応がまんはいたしますけれども、外から見た方はそれは食言だと見るんですね。それが、国民全般が原子力行政に対する非常に不信感をもつ、ということにつながっていくのだということで、私自身も大変困りますし、また、原子力という非常に大事な国民の生命線がこれによって疎外されるというふうなことが起こるのではないか、ということを非常に心配しております。

兒島伊佐美委員   出てくる前に「これはぜひ言ってくれ」と原子力部門の人間から頼まれましたので……。「JMTRの廃止を決定するのであるならば、廃止された後の機能を国のどの機関が受け持つのか、そのことをきちっと考えてから廃止を考えてほしい、ということをぜひ言ってくれ」、こういう話でございます。お伝え申し上げたい。
   それからもう1つ、今、中西課長が廃棄物の問題で少しお話なさいました。あのご回答でいくと、僕らの話しているのは取り上げていただけないのかなと大変心配しております。今日ここに出ている皆さんのお話を文科省としてもぜひ取り上げて、ご検討をいただきたい、ということをお願いを申し上げます。

丸山審議官   JMTRの件はいろいろご議論がありましたが、何度も申し上げていますように、老朽化しているというのは事実でございますので、伊達先生がおっしゃったように、今後これをやめる場合でもどうしたらいいのか、その機能をどうするかということは、関係方面のご意見をいろいろ聞きながら調整をしていく問題だ、というふうに思っております。
   議事の不手際で時間を超過してしまいましたけれども、今日もいろいろご意見をいただきまして、ありがとうございました。
   次回は6月19日(木)の3〜5時と同じ時間で開催したいと考えております。場所は決定次第またご連絡をさせていただきます。
   7月の終わりに向けて、いよいよ法人の法律をつくるような作業に秋以降入らないといけないと思っておりますので、まとめに向けて引き続き先生方のご議論をよろしくお願いしたいと思います。
   最後に渡海副大臣のほうから閉会のご挨拶を申し上げます。

渡海副大臣   二法人の理事長以外からは全員ご発言をいただきまして、大変活発な議論をしていただきました。
   私は実はITERのプロジェクトチームの本部長と「もんじゅ」の対策プロジェクトチームの座長もやらせていただいております。というより、やらされております。皆さんにご指摘をいただいていたように、いろいろな議論があることは私なりによく承知しているつもりでございます。大事なことは、その中で方向性をしっかり定めて、日本の科学技術全体の資源配分をどうしていくか。その中で二法人、よらんば、この新しい統合された法人というものにどういう役割を果たしていただいて、どういうミッションをやっていただくか。役所的にいえば、それを法律にどうしていくか、という作業もあるわけでございますが、そのことをしっかりしなければいけないのだろう、というふうに思っております。
   今日の先生方のご議論も「なぜおっしゃるか」ということは理解しているつもりでございますので、そういうことを検討させていただき、また、今日お答えにならなかったところは次回までにちゃんとお答えできるように作業もいたしまして、次回には少し骨子に近いものを出させていただきたい、というふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
   住田先生、遠慮なくペーパーにして出していただきましたら、間違いなく検討させますので、よろしくお願いを申し上げます。
   また、秋山先生、大変お忙しいのに作業を本当にありがとうございました。
   それでは本当にどうもありがとうございました。




(研究開発局原子力課)

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