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原子力二法人統合準備会議

2002/12/05 議事録
第11回  原子力二法人統合準備会議

第11回  原子力二法人統合準備会議



日  時  2002年12月5日(月)  15:00〜

場  所  経済産業省別館9階  944会議室



原子力二法人統合準備会議(第11回)議事録


1. 日時  平成14年12月5日(木)  15:00〜17:00

2. 場所  経済産業省  別館9階  944会議室

3. 出席者
(座長)渡海  文部科学副大臣
(副座長)大野  文部科学大臣政務官
(有識者) 青木利晴  株式会社NTTデータ社長
秋山守  財団法人エネルギー総合工学研究所理事長
熊谷信昭  大阪大学名誉教授
小林庄一郎  関西電力株式会社顧問
住田健二  大阪大学名誉教授
住田裕子  弁護士
伊達宗行  大阪大学名誉教授
田中豊蔵  ジャーナリスト
畚野信義  株式会社国際電気通信基礎技術研究所社長
西澤潤一  岩手県立大学学長
薬師寺泰蔵  慶應義塾大学法学部教授
(法人) 齋藤伸三  日本原子力研究所理事長
都甲泰正  核燃料サイクル開発機構理事長
(文部科学 省)  間宮文部科学審議官、石川研究振興局長、白川研究開発局長、林大臣官房審議官、坂田大臣官房審議官

4. 議事
1. 開会
2. 日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の事業の評価・見直しについて
3. 閉会

5. 配付資料
資料1−1.「二法人統合についての提言」(社団法人日本原子力産業会議)
資料1−2.「原子力二法人統合による新法人に対する要望書」(社団法人日本原子力学会)
資料1−3.「大強度陽子加速器施設における原子力関連基礎研究設備の充実について」
(日本原子力学会炉物理部会、放射線工学部会、加速器・ビーム科学部会、核データ部会)
資料1−4.「原子力新法人の研究施設の利用に関する要望」(東京大学原子力研究総合センター  原研施設利用共同研究委員会)
資料1−5.「日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構」の統合問題に関する申し入れ
(日本原子力研究所労働組合)
資料2−1.原子力二法人の事業の評価・見直しに当たっての検討のポイント
資料2−2.日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の事業の評価・見直しについて
資料2−3.日本原子力研究所の事業の評価・見直しについて
資料2−4.核燃料サイクル開発機構の事業の評価・見直しについて
資料3.原子力二法人統合準備会議への意見(秋元委員)
資料4.原子力二法人統合準備会議審議日程
資料5.第10回原子力二法人統合準備会議議事録

参考資料1  二法人の事業の評価・見直しについて
参考資料2  第10回原子力二法人統合準備会議議事録

  
坂田審議官  定刻になりましたので、第11回の統合準備会議を始めさせていただきたいと思います。
  最初に副大臣と政務官からそれぞれ一言ずつご挨拶を賜ります。

渡海副大臣  文部科学副大臣の渡海でございます。
  先ほど今日新たにお会いします先生方にご挨拶を申し上げましたが、小泉内閣の改造に伴いまして、副大臣に就任をいたしまして、文部科学省所管の科学・技術、学術、スポーツを担当させていただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  本日はご多忙の折この準備統合会議にご参集いただきまして、ありがとうございました。本日で11回目となりますが、前回、皆様方の議論をいただき、基本報告の内容を受けて具体的な作業ということで、秋山委員に日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の事業評価の見直しということを行っていただきまして、本日ご報告をいただくことになっているわけでございます。委員からのご報告を受けまして、皆様方に活発な議論をいただきまして、またこの準備会議の考えをまとめていきたい、というふうに考えているところでございます。
  前回、私は初めて出席をさせていただいたわけでございますが、大変幅の広いご議論をいただいたことを感謝をいたしておりますとともに、本日も皆様方に活発に意見を出していただきまして、有意義に会合が終わりますことを心よりお願いを申し上げまして、冒頭のご挨拶に代えさせていただきます。
  本日はどうもありがとうございました。

大野大臣政務官  副座長を務めさせていただきます文部科学大臣政務官の大野松茂でございます。
  今回は、基本報告を踏まえまして、秋山先生から評価・見直しについての調査のご報告をいただけることになっているとお聞きいたしております。大変お忙しい中を精力的におまとめいただきましたことに、厚くお礼申し上げるところでございます。
  今日はさっそく、それらのご報告をいただきます中で、原子力研究開発の中核的拠点たるべき新法人が担っていく役割などにつきまして、具体的な肉付けなどをしていただく、ということでございます。
  それぞれお忙しいお立場の皆様方でございますが、こうしてお集りいただきまして、また大変なご苦労をおかけいたしますことに厚くお礼申し上げところでございます。
  座長の渡海副大臣ともども、今後ともいろいろご指導いただきますようにお願い申し上げて、ご挨拶といたします。
  どうもありがとうございます。

坂田審議官  それでは議事に入らせていただきますけれども、最初に本日の資料の確認をさせていただきたいと思います。
  (資料説明)
  「資料 第5号」の前回の議事録は我が省ホームページに掲載をいたしますので、よろしくご理解をお願い申し上げたいと思います。
  それでは最初に、「資料 第1−1号」から「資料 第1−5号」の各方面からのご意見について事務局から簡単にご紹介をいたします。

説明者  それでは順繰りにご紹介を申し上げたいと思います。
  「資料 第1−1号」は、「二法人統合についての提言」ということで6月に原産会議のほうからいただいているものでございます。
  2ページを見ていただきますと、幾つかポイントがございますが、主にマネジメントについてのご提言でございまして、一番最初は<統合による相乗効果への期待>ということで、「相乗効果をもたらすような組織・人事制度・運営形態の構築を行うこと」ということがポイントでございます。
  それから<経営とその責任のあり方>のところでは「経営者は長期的開発目標の実現に向けて新法人の資源(資金・設備並びに人材)を適切に配分して最大の効果を実現せしめる責任を全うしなくてはならない」というようなご指摘をいただいております。そういうことができるようなスピード感のある小回りのきく事業運営を目指すべきだ、ということでございます。
  3番目は<経営への積極的支援>ということで、「外部有識者が積極的に協力していくためのメカニズム(例えば経営評議会)を設けることを検討すべきである」というようなことでございます。
  それから<活動の成果について>は、積極的に産業化されなければならない、ということでございます。
  そして<新法人の所管について>は、新法人の取り扱う分野は非常に多岐にわたりますので、関係する各省庁の連携協力が非常に重要でございますが、独法化されますので、「自律的な組織・人事管理を容易にするような関係省庁の柔軟な対応が求められる」ということで結ばれております。
  「資料 第1−2号」は日本原子力学会からでございますが、原子力基礎基盤研究というものに焦点を当てております。核データ研究、炉物理研究、材料研究、熱流動・構造研究、加速器・ビーム科学研究等々、広範な分野にわたるわけでございますが、この原子力の基礎基盤のポテンシャルを新法人においてもちゃんと維持することが大切だ、というご指摘でございます。そういうことによって、原子力の安全性に対する信頼を高めるとともに、いろいろなエネルギー利用や放射線利用の高度化が図られる、ということでございます。そして最後に、「新法人は基礎基盤研究や研究開発のCOEとして、国際的な課題にチャレンジする組織となってほしい」というふうに結ばれております。
  「資料 第1−3号」もやはり原子力学会からのもので、大強度陽子加速器に関する要望でございまして、大強度陽子加速器は第1期計画、第2期計画とございまして、非常に盛りだくさんの構想があるわけでございますが、特に「エネルギー関係の原子力にとって最も重要な施設である核変換実験施設をぜひとも整備されるように」、そういう要望でございます。
  「資料 第1−4号」は、東大の原総センターからこの会議に対します要望でございます。原総センターはJRR-3などの原研の中性子源の共同利用の調整を買って出ていただいている機関でございまして、最初のほうで指摘がありますように、年間の利用者は8,000人・日を上回る非常な盛況を呈していて、放射線利用とか、原子核実験に大いに貢献している、ということを言いつつ、2ページ以降、要望の内容があるわけでございます。施設共用を業務の一環として評価して、ぜひ今後とも推進してほしい。それから大学等の連携の強化、特に施設利用につきましては、大学側の一方的な利用であります原研施設共同利用という枠組みがあるんですが、それよりも大学や原研が共に協力し合って行うプロジェクト共同研究タイプのものが非常に有効である、ということを言っております。さらに3)では共用枠の拡大、4)では東海研や高崎研にありますような、いわゆる「大学開放研究室」のようなものを新法人においても共同研究の場として整備・充実してほしい。こういうことでございます。
  それから「資料 第1−5号」は、原研労組の委員長からでございますが、2ページを見ていただきますと、「……以下の点を申し入れます。」ということで、「1.」としまして、この統合の議論というのは、原子力委員会、原子力安全委員会、それから国会、国民などの中で十分な議論を尽くして、国民的合意を得るということが大切である、ということ。それから、公的機関が優先して実施すべき課題は「安全」である、ということでありまして、安全を確保することに関する研究開発を第一にやるように、ということ。それから、エネルギー源としての原子力の利用、取り分け、核燃料サイクルの研究開発については安全性を最優先にして選択をするように、ということでございます。
  以上、非常に雑駁でございますが、ご紹介いたしました。

坂田審議官  ありがとうございました。
  あるいはご質問等もあるかもしれませんが、この後の本題のほうの議論の過程で、もし必要があれば触れていただくなどしていただければと思います。
  それでは本日のメインの議題に入らせていただきますけれども、前回の第10回のとき、冒頭に副大臣からもお話がございましたとおり、秋山先生を中心に外部の協力者のご支援も得まして、両法人の個別の事業の評価・見直しという作業をしていただくということになっておりまして、前回から今回まで6回程度の作業が行われました。その結果につきましてこれから秋山先生よりご報告をいただきたい、という具合に思います。よろしくお願い申し上げます。

秋山守委員  ただいまご紹介いただきましたように、ご下命をいただきました検討作業につきまして、10月の初旬から今日まで多くの方々のご協力の下、鋭意検討作業を進めてまいりました。私から検討の経過、それからこれまで検討してまいりました範囲ないしは進め方、そして事業の評価・見直しの作業で行われた主な議論と方向等につきまして、概要をご報告申し上げたいと存じます。なお、詳しくは中西課長様からご報告をお願いしたいと存じます。
  まず作業の検討の経過でございますが、準備会議でご選任いただきまして、私と支援協力者9名の方々、加えて9名の特別参加有識者の方々によりまして、作業を行ってまいったわけでございます。そのお名前あるいはご専門、お仕事等につきましては、前回お配りいただきました資料のとおりでございますので、具体的なことは省略させていただきたいと存じます。
  そして、この作業にいろいろな形でご尽力を賜りました方々といたしましては、当然のことでございますが、原研さん、サイクル機構さんの理事の方々、また文部科学省におかれましては、坂田審議官をはじめとして、それぞれご担当課長の方々、また企画官の方々、そして経済産業省からも企画官あるいは室長の方にご参画をいただいてまいりました。
  取りまとめの作業に当たりましては、ご準備の段階も含めまして、事務局の方に大変にお世話になりましたことをこの席で一言厚く御礼申し上げます。
  作業の経過でございますが、今し方、坂田審議官殿からご報告がございましたように、本体が6回、準備作業が1回、合計7回でございます。この間、現地調査あるいは現地の方々との意見交換もさせていただきました。
  検討の範囲は、「資料 第2−1号」の「1.検討の範囲・条件」と記載されているところでございますが、要約ご報告を申し上げますと、本準備会議から付託されました3つの項目(「個別事業の見直しによる業務の効率化、重点化、整備合理化」「各研究所・事業所のミッションの明確化及びその再編等による最適な資源配分」「迅速な意思決定のシステム等、効率的・効果的な経営・業務運営」)に関わる項目でございます。
  このうち第1の個別事業の見直しを中心に、ただし核融合に関わる件は除きまして、これまで集中的に審議をしてまいりました。支援協力者の方々の意見表明につきましては、法人統合の理念とか、業務運営等にも広く及びましたけれども、それらの点はなお詳しく今後の検討で審議に付していく予定でございます。また、2番目、3番目の項目、その他重要な問題につきましては、なお今後検討を進めてまいりまして、統合準備会議殿にご報告を申し上げる予定でございます。
  次にこれまでの検討の進め方でございますが、統合準備会議でお示しいただきました「事業の評価・見直しの視点」を基本にいたしまして、それに従って検討を進めました。その際、原子力二法人それぞれによる事業評価と将来の事業方針を基本的に参考といたしました。また、支援・協力者のご意見は口頭のご意見並びにメール等での書面の形もございましたけれども、様々なご意見を踏まえながら検討作業を実施してまいりました。その結果、本日の「資料第2−2号」の内容としてまとめてまいったわけでございます。
  次は「3.事業の評価・見直しにおいて行われた主な議論」と題します内容でございますが、「1方向性が示された主な事項」といたしまして、日本原子力研究所に関わる点につきましては、「基礎基盤研究については、新法人の中核となる研究分野の一つであり、その成果や人材を新法人のプロジェクト型研究開発に積極的に活用する」、「革新的水冷却炉と高温工学試験研究炉については、プロジェクト型研究開発として新たな段階に進む場合には利用主体等の主体的参加が必要。それまでの間は基礎基盤的研究として実施」、「大型放射光施設(SPring-8)の運転業務については、科学技術・学術審議会の評価を踏まえ、他機関への移管を前提に検討を行う」、「安全性研究は、新法人の中核的業務の一つとして原子力基盤研究との緊密な連携の下で研究開発を実施。また、ソフト面の研究による貢献も行うことが適当である」、このような内容でございます。
  次に核燃料サイクル開発機構につきましては、「高速増殖炉サイクル技術開発については、新法人の中核的業務として技術開発を重点的・効率的に実施し、今後の進め方等については、社会的情勢等を的確に踏まえて定期的な評価を実施し、決定。特に、工学規模での各種の試験の実施にあたっては、その必要性、適時性等に関する国レベルでの厳正な評価を経て判断する」、「軽水炉再処理技術開発については、2005年頃までに役務再処理を終了し、2010年頃まで『ふげん』燃料の再処理を継続。その後の東海再処理施設のあり方、活用策については、国レベルの評価を実施し、決定」、「高レベル放射性廃棄物処分研究開発は、今後とも地層処分技術の信頼性の確認や安全評価手法の確立に向けて、地層処分技術に関する研究開発の中核を担い、進め方等については、関係機関との役割分担を具体化し定期的な評価を実施」ということでございます。
  概略は以上でございまして、「2今後検討することとされた主な事項」が2項目記載されております。「新法人の事業を適切に実施するための資源配分」、それから「施設の廃止を含めた放射性廃棄物の処理処分の適切なあり方」ということでございます。
  これまで本席で先生方からご要望、またご助言をいただきました幾つかの重要なポイント、例えばこれらの事業内容につきまして、相互に比較評価する、あるいは全体的な日本の原子力政策あるいは原子力長期計画の中で相対的に優先度を見定めていく、重点化をしていく、ということでございますが、これにつきましては、この作業の過程でそれぞれの方々から適宜ご意見は出ておりますけれども、当然のこととして、なおその重点化のあり方、また考え方等も含めまして、今後体系的に作業を進めてまいる所存でございます。
  それから、重要な点といたしまして、両法人の統合によります相乗効果を具体的に議論して、できるだけ効率的かつ有益な成果につなげていく、ということにつきましても、これまでご意見はいろいろ出ておりますけれども、具体的には事業者の方々、特に若手の方々のご意見あるいは今後のご期待等を具体的に詰めていただき、また協力者の方々との意見交換も踏まえまして、今後の作業の場で相乗効果あるいは新規事業等につきましてはなお詰めていきたいと思っているところでございます。
  本日、先生方から賜りますご意見を今後とも極力反映してまいりたく、よろしくお願いいたします。
  それでは、検討してまいりました内容につきましては中西課長殿からご報告を賜りたいと存じます。

説明者  それではお手元の「資料 第2−2号」をごらんいただきたいと思いますが、最初のページは、日本原子力研究所とサイクル機構のそれぞれの、こういった事業について見直し・評価を進めてきた、ということの総目次とともにリストでございます。
  1ページは各論になるわけでございますが、左側に各法人がこれまでどんな事業をやってきたかという概要の紹介、それから今後の事業方針としてどんなビジョンを描いているか、ということがまとめて書いてあります。1ページに収まらない場合は、次のページに縦につながるというような形になっております。右側は秋山先生のところでご議論いただいた支援者、協力者の方々のリテンフォーマーあるいは口頭でのコメントが記載されておりまして、そういったものを踏まえてご議論をいただいて、「今後の方向性(案)」というものを抽出しているわけでございます。それが真ん中に記載されております。
  ここでのご説明は、時間の関係もございますので、今後の事業方針を左側の欄から抜粋してご紹介し、「今後の方向性(案)」というところについてご紹介をしたい、というふうに思います。そして、必要に応じて、支援・協力者のコメントに触れさせていただく、ということも取り入れたいと思っております。
  なるべく早く説明を終えたいと思っておりますが、少しく時間をいただけたらと思います。
  まず1ページは、原研の「原子力基盤研究」についてでございます。原子力基盤研究というのは、炉物理、熱流動、核データ、材料、燃料、計測・制御、そういったものの総称でございます。
  この部門につきましては、原子力研究開発を続けていく上で非常に核となる部分でございますので、引き続き総合的で先導的な研究開発を実施していく、ということを方針としているわけでございます。特に知識基盤の確立にとどまらず、研究を通して人的基盤、施設基盤の維持・向上に努める、それから大学との適切な連携協力を進めていく、というのが原研のビジョンでございます。
  「今後の方向性」としては、調査・整理作業におきましても、「この分野は原子力の研究開発利用を支える中核となる研究分野である」という位置づけをもっております。大切なことは、その成果がプロジェクト型の研究開発の推進にどのように寄与していくのか、ということが明確になることでございます。そして、既存の成果や人材を積極的に活用する、ということが求められるわけでございます。それから、この基盤研究に投入する資金や人員の適正水準というものを明らかにして、その範囲で実施していくということが重要だ、というふうに指摘しております。また、施設の維持管理経費というものをよく検討した上で、施設の集約や整理をこの統合に合わせて実施し、その上でもし必要ならば、新規施設の設置も検討する、といことを方向性としております。それから運転費の一層の削減ということは常に求められるところでございます。
  2ページの「革新的水冷却炉研究」に関しましては、今までの設計的な研究から次のステップへ移り、熱特性、核特性、燃焼特性などに関するデータを平成20年代の前半までに取得する、そのために技術実証炉の建設を目指す、というビジョンに対しまして、高速増殖炉サイクルの研究開発を今一生懸命やっているわけでございますので、それとの整合性に留意する必要があるということ、そしてサイクル事業と一体的に評価して推進すべきかどうか判断すべきではないか、ということでございます。それから、もし次のステップにいくということであるならば、それは利用主体が明確に特定されて、その方々が革新的水冷却炉を導入する意思を明らかにして、主体的に研究開発に参画するということを着手の条件とすることが適当ではないだろうか、ということでございます。
  支援者、協力者のコメントも大体そのようなトーンでございます。
  4ページの「物質科学研究」は、放射線と物質との相互作用とか、原子力環境における材料や燃料の信頼性、耐久性などの研究、それから同位体分離とか、特定のアクチノイド系の核種の分離や抽出、こういった研究は原子炉基盤部門として再編、統合して実施していく。材料研究などはそういうふうに整理をする。それから核物理や原子・分子レベルの研究は、放射線利用部門と整理、統合して実施していく。それからタンデム・ブースターというような加速器は外部利用を積極的に進める。そういうような構想を描いております。
  「今後の方向性」としては、このような整理でよろしいのではないかということで、「今後ともこの分野の研究開発を適切に実施していくことは適当である」と結んでございます。
  5ページは「環境科学研究」でございますが、この中では環境の微量有害物質の分析やモニタリング技術の向上の技術開発をしております。そのほか、SGやCTBTという国際的な枠組みに協力して、非常に微量の検出の装置を用いまして、一定のステーションの役割を果たす、というようなこともやっているわけでございますが、これらにつきまして引き続き実施していく、原子力基盤研究として整理・統合した上で国際的なニーズに貢献していく、こういったビジョンでございます。
  そして、このような整理のとおり、引き続き基盤研究に分類して環境科学研究を実施していくことが適当である、というふうに方向性を出してございます。
  6ページは「高度計算科学技術」についてでございます。幾つかの研究機関の大型コンピューターを結んで、CPをシェアリングしながら膨大なデータを処理する、そういう構想でありますITBL(IT Based Laboratory)プロジェクトというものをやってまいりましたし、世界最高速の地球シミュレーターを海洋科学技術センターと協力して開発してまいりました。また、独自に計算技術の開発も進めてきたところでございます。
  まずITBLにつきましては、関係機関の共通インフラとしてのネットワークの運用ということが原研の役回りになっているわけでございまして、それを今後もやっていくということですけれども、どんなふうにやっていくかということは国の評価に委ねて、それに従うということでございます。地球シミュレーターの運用は、海洋科学技術センターのほうに一元化して、原研はやらない。それから計算科学は原子力研究に必要な部分について重点的にやっていく、ということでございます。
  これにつきましても、事業展開の基本的な方向性としては、この原研の考え方で妥当ではないか、ということでございます。
  7ページの「先端基礎研究」は、伊達先生にセンター長をしていただいていたわけでございますが、非常に独創的で先導的な研究成果を自由な発想の下に創出していただく、というような意欲的な研究事業でございまして、テーマごとに5年くらいの期間を定めて、自主的な研究を行っていたわけでございます。
  これにつきましては、21世紀の科学技術をリードする先端研究というものを新法人の優れた研究施設を用いて引き続き実施していく、それから外部資金の導入を積極的に行って、競争的な環境の下で機動性、流動性、開放性をもった組織運営によって推進する、大学などとも協力し、人事交流も積極的に行う、というのがビジョンでございます。
  これに対しまして、今後の方向性といたしまして、「萌芽的研究」を実施する意義は評価できる。それから原子力開発研究機関として意義の認められる研究の範囲内において資金や人員の適正水準を明らかにした上で、その範囲内で実施していくことが必要ではないか。それから、新法人の有する研究施設を活用した特色のある研究を重点的にということと、外部資金を積極的に活用するという方針についてはそのとおりである、ということでございます。
  8ページは「中性子科学研究」でございますが、これはJRR-3やJRR-4の中性子源を使った様々な研究でございます。高レベル廃棄物処理に関する分離変換などの基礎研究なども進めているところでございます。さらに現在、大強度陽子加速器をKEKと一緒に東海研究所に建設しているところでございます。
  今後の方針としましては、大強度陽子加速器を計画どおり建設を進める。JRR-3や将来の大強度陽子加速器などを使いながら核破砕の研究など、世界最先端の特色ある研究を進めていく。それから施設を広く供用する体制を構築する。それから核変換実験施設を建設していく、ということなどがビジョンとして語られているわけでございます。
  「今後の方向性」といたしまして、この分野は原研が優位性を保持してきた分野であり、科学的・技術的意義は評価できる。分離変換技術に関しましては、FBRを用いた研究開発と併せて、国レベル(原子力委員会等)で一体的に事業の評価を実施した上で、必要ということになった場合に、核変換実験施設の建設に着手することが必要ではないか。核変換実験施設は大強度陽子加速器の第2期計画でございまして、まだ予算的にはコミットされてない部分でございます。
  9ページは「放射線利用研究」でございます。これはイオンビーム、電子線、ガンマ線などを使って工業、農業、医療などの応用を開拓してきたところでございますけれども、今後は放射線利用の軸足を電子からイオンビームに移していって、さらに応用利用技術の開発を進めるということと、産業界にその技術を積極的に移転して新産業の創出に貢献するということをビジョンとしております。
  なお、第2号電子線加速器は整理しまして第1電子線加速器に集約する、ということにしております。
  これにつきまして「今後の方向性」といたしまして、放射線利用研究の中核機関として研究開発を先導する、それから民間への積極的な技術移転を行ってきたということは評価できるとした上で、今後、施設の集約・整理、既存事業の重点化など一層の効率化を行った上で、成果は民間への技術移転を機軸として新産業の創出などに展開していく、それから現有の人員、予算、施設を最大限に活用していくことが適当である、というふうに打ち出してございます。
  10ページは「光量子科学研究」、いわゆるレーザー研究でございますが、今までX線レーザーとか、重電子レーザーとか、先進的なレーザー光源の高度化の研究開発をやってきたわけでございます。今後もこうしたレーザー光源の高度化とともに応用技術への研究開発を強化する、というのがビジョンでございます。
  「今後の方向性」といたしまして、原子力研究開発機関として原子力研究としてやる意味がある、すなわち、科学的・技術的意義が評価できる範囲内で適切な目標と資源配分の水準を設定した上で実施することが適当ではないか、というふうに提起してございます。
  11ページは「放射光科学研究」、いわゆるSPring-8でございますが、これに関しましては理研とともに完成し、運用してきているわけでございます。
  独自に原子力エネルギーや放射線利用研究の一環としてSPring-8の利用もしているわけでございますが、運転業務もやってきたわけでございます。その運転業務に関しましては、科学技術学術審議会の下のSpring-8ワーキンググループというのがあるんですが、その結論も踏まえて、他機関への移管も含めて検討する、ということにしているわけでございます。さらに、いろいろな研究自身は環境やライフサイエンス、情報技術の課題に貢献するような物性や材料の研究開発をしてまいりたい、というのがビジョンでございます。
  「今後の方向性」といたしましては、原子力研究開発機関として科学的・技術的意義が評価できる範囲内で、適切な資源配分の下で研究を実施していくことが適当ではないか。運転業務につきましては「他機関への移管を前提に検討を行うべきである」というふうに結んでございます。
  12ページは「高温工学試験研究炉」、いわゆる高温ガス炉でございますが、今まで建設、臨界、フルパワー、そして850℃というような温度を達成してきたわけでございます。
  電気利用としての研究開発は、「民間を主体として今後、実用化開発を進めてもらいたい」と言いつつ、核熱利用システムの開発に新法人は重点を置くということを方針としているわけでございます。第1段階では、平成20年頃までに水素製造の化学プロセスの条件を確立する。そして、第2段階として、平成20年頃に水素製造プロセス設備をガス炉に接続して、世界初の原子炉を用いた水素製造の実証試験を実施する、ということでございます。あと、第4世代革新的原子炉の研究開発計画(Gen-4)の国際協力の場として<このガス炉施設を利用する、ということをうたってございます。
  「今後の方向性」といたしましては、原子力基盤研究の一事業として、平成20年度を目途に、ガス炉を運転し続けることは技術蓄積を図る上で重要ではないか。それ以降の運転の可否については、評価を実施した上で判断をするが適切である。それから水素製造への応用に関しましては、実証レベルのことでありますので、利用主体がその導入の意思を明らかにして、研究開発に参画するなどによって、明確な目標が設定されることを条件とするのが適切ではないか、と言っております。
  13ページは「原子力船研究開発」、「むつ」でございます。もう「むつ」はございませんで、使用済燃料と廃棄物があるだけですが、廃棄物は適切に保管しつつ、使用済燃料は再処理をする、ということを方針としております。
  14ページは「安全性研究」で、これは原子力開発利用の基盤とも言うべき分野でございます。今後の事業方針としまして、原子力安全研究年次計画などを踏まえた安全性研究を確実に実施して、原子力安全委員会や安全規制行政を支援していく。それから事故調査などにも迅速に対応、支援する。そして、安全規制活動に対する国民の信頼性確保のために、透明性、中立性、独立性の確保にも配慮する、ということをビジョンとしております。
  「今後の方向性」といたしましては、新法人においてもこの分野は中核となる分野でございます。透明性、中立性、独立性の確保に留意することが非常に大切であり、現有の人員、予算及び施設を最大限に活用して引き続き実施すべきである、と言っております。それから研究課題については、安全規制に具体的に寄与するものに重点化することとともに、リスク・マネジメント、教育・訓練、品質管理などのハードだけではない、ソフトの面の研究にも貢献することが大切である、ということを今後の方向性としております。
  15ページは「社会技術研究」。これは科学技術振興事業団(JST)と原研の共同プログラムでございまして、人文社会と科学技術の境界領域におけるミッション・オリエンテッドなプログラムとベーシックなプログラムを進めておりました。原研の担当は目標を定めたミッション・オリエンテッドなプログラムでございましたけれども、この事業は平成15年度予算で既にJSTのほうに移管されておりますので、原研としては安全性研究の一環としてリスクコミュニケーションシステムなどに関する研究を実施する、ということにしてございます。
  「今後の方向性」としては、もちろんこういうことでよろしいわけですが、「安全性研究を実施していく場合には、JSTとの連携を図ってやりましょう」ということを指摘しております。
  16ページは核燃料サイクル開発機構の各事業についてでございますが、まず最初は高速増殖炉サイクル技術開発全体でございます。この中には「もんじゅ」もあり、「常陽」もあり、燃料製造やFBR燃料再処理も含まれておりますので、個別の議論は18ページ以降に譲ることにいたしまして、省略していきたいと思いますが、一番大切なのは、高速増殖炉サイクルは長期安定的なエネルギーの供給にとって非常に重要な選択肢であると位置づけられている、ということでございます。
  「今後の方向性」としては、FBRサイクル技術は資源の少ない我が国にとって将来のエネルギー問題を解決する技術的選択肢の中でも潜在的可能性の最も大きいものの一つであり、この分野の研究開発は新法人の中核的業務として重点的、効率的に実施することが適当である、ということを打ち出してございます。
  18ページは「FBRサイクル実用化戦略調査研究」でございますが、これは2015年を目途に実用性の高い、すなわち、経済的なコストが将来の軽水炉に比べても十分比肩し得るようなFBRサイクルの技術の見通しを得るための研究開発でございまして、電力さんと一緒にサイクル機構で今、進めているものでございます。他電源、特に原子炉をはじめとする電源に対して競争力のあるFBRサイクルの適切な実用化像を提示する、ということを目的としております。
  今後の事業方針でございますが、フェーズ1は終了しておりまして、2001年からフェーズ2の段階に入っております。5年ごとでございますから、2005年までフェーズ2、6年から10年までフェーズ3、11年から15年までフェーズ4でございます。フェーズ2では、どういうシステムが実用的なシステムとして成り立ち得るのか、有望な複数の概念を提案する、ということを目的としております。そして、フェーズ3以降の研究開発計画をつくる、ということも目的としているわけでございます。大切なことは、2003年にフェーズ2の中間的な取りまとめを行う、ということにしているところでございます。フェーズ3に関しましては設計研究で要素技術開発、フェーズ4では全体システムについての実用化概念を確立する、ということが目的となっているわけでございます。
  「今後の方向性」といたしましては、「FBRサイクル技術の実用化に向けた様々な研究開発は、この「実用化戦略調査研究」に集約化していくことが適切である」というふうに述べております。「常陽」やCPF(実験室規模の高レベル放射性物質研究施設)、そういった既存の施設を有効に活用して、それに必要なデータをインプットして、実用化像の絞り込みに反映させることが重要ということでございます。あと、新法人が中核となって5年ごとに研究計画を策定していくわけでございますが、国レベルでの確認、評価ということも必要ではないか、ということであります。それから実験室レベルではなく、少し規模を拡大して工学的規模で実証することが必要な場合には、その必要性、適時性等に関して、国レベルでの厳正な評価を得て判断することが適当である、というふうに打ち出しております。特に2003年に中間取りまとめがございますので、その取りまとめに当たっては、概念の明確な絞り込み及びそれ以降の研究計画の重点化を図り、さらに国レベルの評価を実施することが適当ということでございます。2015年を目的とするということにつきましては、一つの考え方ではありますけれども、社会情勢などを見ながら柔軟に判断していくべきではないか、ということも付け加えております。
  20ページは「高速増殖炉『常陽』」でございますが、これは燃料、材料の開発に不可欠な中性子照射場でございます。
  「常陽」は、現在、性能向上を狙って、MK-3炉心に改造中でございます。炉心と冷却系の一新がほぼできるわけでございまして、2004年からの運転を期しているところでございます。「実用化戦略調査研究」に基づいて、必要な研究開発を2015年まで実施する、ということを考えております。どういう研究、試験を、というのは省略させていただきます。あと、貴重な中性子照射場でございますので、大学や産業界などに共同研究や受託研究などに積極的に開放していく、ということを考えております。2015年以降につきましては、原研のJMTRなども一緒に考えながら、後継炉も必要に応じて検討を行っていくということで、ビジョンを考えているわけでございます。
  「今後の方向性」としましては、現在、MK-3炉心への改造中でございまして、2004年度から本格運転を開始することが適当である、それから「常陽」は世界的に貴重な中性子照射施設である、それからFBRサイクル実用化調査研究にとっても必要な実験のツールでありますので、これを有効に活用していくことが適当である、そのために研究開発計画というものが策定される必要がある、ということでございまして、外部利用に関するニーズなどを的確に把握して、その利用計画もこの研究計画の中に入れて、一緒に国レベルでの評価を受けることが適当というふうに述べてございます。
  22ページは「もんじゅ」でございます。「もんじゅ」につきましては、FBR炉心やプラント性能の確認とか、発電プラントとしての信頼性の実証とか、運転・保守経験を通じたナトリウム取扱い技術の確立といったことを所期の目的としているわけでございます。
  今後の方針といたしまして、早期の運転再開を目指す、そのために必要な地元の了解と工事の実施というフェーズに入っていきたい、ということでございます。それから運転再開後5年から10年間、信頼性実証のための運転を行って、所期の目的を達成する、プルトニウム利用に対する社会的信頼性の醸成に貢献する、運転開始5年頃より約10年間かけて長いサイクルの運転(1年間の運転)、高燃焼度約15万MWd/tなどを目指して稼働させ、稼働率も向上させる、運転補修費の低減の実証を図っていく、というようなことを狙いとしております。それから運転5年頃より、「実用化戦略調査研究」で提示される研究成果の実証のために活用していく、ということも計画の中に入れているわけでございますし、売電収入が見込めますので、政府支出につきましてはなるべく低減化していく。もちろん、売電収入はどれだけで買っていただけるかという契約交渉にも依存するものでございますが、なるべく低減化する、ということをビジョンとしているわけでございます。
  「今後の方向性」といたしまして、「もんじゅ」は我が国唯一の発電設備を有するFBRプラントである、ということを認識して、所期の目的を達成するために早期の運転再開を目指す、ということを基本方針とするのが適当ではないか、ということでございます。そして、最初の5〜10年を目途に初期の目的を達成することを目指して運転をしていく、その後の「もんじゅ」の取扱いにつきましては、運転再開5年頃よりいろいろな成果とか、社会情勢とか、実用化調査研究の結果なども踏まえながら、国レベルで評価して決定するのが適当であり、維持管理経費の削減とか、稼働率の向上などを一層目指すことが必要ということは言うまでもないことでございますが、売電収入によってなるべく政府支出を行わないことを目標として努力することが適当というふうに結んでございます。
  24ページは「FBR燃料再処理技術開発」でございます。今はFBR燃料再処理技術開発を実験室レベルでやっているわけですが、さらに高度な湿式再処理や乾式再処理などの技術開発に向けた取組みを実施する、ということでございます。
  「実用化戦略調査研究」で想定する2015年を目途として、FBR燃料再処理技術に関する新たな開発計画を2003年頃までに策定して、原子力委員会等によるチェックアンドレビューを受けて実施に移していきたい、ということでございます。その中には、湿式や乾式、いろいろな再処理技術も入っている、ということでございます。それから「もんじゅ」と「常陽」の使用済燃料再処理については、この計画の中で実施していくことを検討する、というビジョンが提出されております。
  「今後の方向性」に関しましては、FBRサイクル技術の実用化のためには、FBR開発のみならず、FBR燃料の再処理技術開発を進めて、初めてその意義をもたせることができるものである、という位置づけを認識しております。そして、今後ともCPF、そういった既存の施設を最大限に活用して、「実用化戦略調査研究」における実用化概念に関する絞り込みに必要なデータを出していくことが適当ではないでか。工学レベルでの試験に移る場合には、国レベルでの厳正な評価を受けて判断することが適当ではないか。それから今の第1期工事、ドンガラまでで計画が中断されていますリサイクル機器試験施設(RETF)、実証レベルでのFBR燃料の再処理実験施設でございますけれども、これにつきましては、2003年の中間取りまとめの結果を受けて、国レベルでの評価を実施して、必要かどうかということを含めて、施設活用についての判断を行うことが適当ではないか、というふうに結んでございます。
  引き続きまして、26ページは「プルトニウム燃料加工技術開発」でございますが、これは今後の事業方針といたしまして、プルトニウム燃料第3開発室で「常陽」や「もんじゅ」の燃料を製造しておりますので、これは引き続きやっていく、それから民間のMOX加工事業への全面的な技術協力、技術支援、技術移転を行う、そして、MOX加工施設のデコミッショニング技術の開発を行うために、今度3月末で停止されます「ふげん」の燃料製造を行っていたプルトニウム燃料第2開発室の廃止措置を進める、ということでございます。それから、燃料製造のコストを安くするための簡素化プロセス技術開発とか、振動充填燃料加工技術につきましては、それぞれ計画的に進めてまいります。2003年とか、2005年というところをターゲットにして技術成果を取りまとめていく、ということでございます。
  これに関しまして「今後の方向性」といたしまして、第3開発室の計画的な操業、第2開発室の期限を明確にした廃止措置計画への移行、具体化ということは適切である。それから経済性に優れる簡素化プロセスの技術開発、低除染燃料、振動充填燃料加工技術開発などは、「実用化戦略調査研究」の中で今後抽出されていく技術でございますけれども、それを工学規模で実証するに当たっては、やはり国レベルで厳正な評価を得て、必要性、適時性に関して判断していくことが適当ではないだろうか。それから、民間のMOX燃料工場の建設の進捗に応じて技術移転、技術支援を適切に行っていく、ということが大切であります。
  28ページは「軽水炉再処理技術開発」でございます。これにつきましては、今、電気事業者からの受託を受けまして、軽水炉の使用済燃料の再処理をしているところでございますが、その役務処理運転を2005年には終了するということと、その後2010年くらいまで継続的に運転して、「ふげん」の使用済燃料の再処理を行っていく、ということでございます。原燃・六ヶ所村再処理工場の安定操業に向けて、技術者の派遣、情報提供など積極的に支援をしていく。さらに引き続きサポートするために技術基盤を維持発展させるということで、その一環として高燃焼度燃料やプルサーマル燃料再処理技術の研究開発を行う、ということを目標としております。それからガラス固化などの放射性廃棄物の処理は継続して行う、「むつ」の使用済燃料の再処理を行う、などなど幾つかを今後の事業方針としているわけでございます。
  「今後の方向性」に関しましては、既契約に基づく役務再処理を2005年まで、「ふげん」の使用済燃料の再処理は2010年頃まで継続する、ということは妥当ではないか、さらにガラス固化処理技術開発なども円滑な技術移転を念頭に置きつつ、引き続き継続して行っていくことが適当である、ということでございます。東海再処理施設における高燃焼度燃料や軽水炉の使用済MOX燃料の実証試験につきましては、プルサーマル計画などの進捗状況や民間におきます再処理事業の進展などを踏まえて、国レベルで評価を実施し、決定していくのが適当ではないか。それから2010年以降の再処理施設のあり方、活用方策については、もう四半世紀動いている施設ですので、その健全性とか、将来展望などを踏まえて、廃止措置への順次以降も含めた国レベルでの評価を実施して、決定することが必要ではないか。現在、建設中であります六ヶ所の再処理工場に関しましては、積極的な技術移転を行っていく。それから「むつ」燃料や研究炉燃料につきましては、今後、大学などの意向も踏まえて、技術的に再処理が可能であり、依頼者の責任と役割などが明確になることを最低限の条件といたしまして、慎重に対応していくことが適当ではないか、というふうに結んでおります。
  MOX燃料の実証試験の実施に関しましては、有識者のコメントにございますように、「原子力長計において高燃焼度再処理やプルサーマル燃料の再処理技術の開発は、サイクル機構において行うものとされており、これらの研究開発を新法人によって引き続き推進することが国の役割」ではないか、というような異なる意見もございますが、いろいろな状況の変化などを踏まえて、国レベルでの評価というものが必要ではないか、というのが「今後の方向性」の案でございます。
  30ページの「高レベル放射性廃棄物処分研究開発」につきましては、高レベル放射性廃棄物の処分は重要な国家的課題であるということと、地層処分計画を着実に進めるための研究開発を行うということを、基本的な方針としているわけでございます。
  新法人はこの部分の研究開発について中核的な役割を担い、処分事業と安全規制の双方の基盤となるデータ、成果というものをタイムリーに取得していく、ということをうたっております。具体的に、瑞浪の深地層研究計画とか、幌延での計画とか、東海事業所で何をやるか、31ページに記述がありますが、省略させていただきます。
  新法人は地層処分技術に関する研究開発の中核的役割を担うべきである、それから安全評価手法とか、信頼性の確認に向けた基盤的な研究開発を実施することが適当である、というふうに方向性を出しております。それから原子力発電環境整備機構(NUMO)等との役割分担というものを明確にしていき、進捗について国レベルで毎年確認するとともに、5年程度の定期で厳格な評価を行っていくことが適当ではないか。それから処分事業が今後どういうふうに進展していくか、安全規制の枠組みがどうやって固まっていくか、というようなことを踏まえつつ、適時、適切に成果を提供していけるように開発計画を進めていくことが重要である。それから、地層処分に関する基礎研究を実施する大学などに地層処分施設などを広く開放するということなども含めて、成果の移転というものを広く図っていくことが重要ではないか、ということでございます。以上を今後の方針としております。
  32ページは「整理事業」でございます。1つ目は「ふげん」でございまして、2003年3月をもって終了して、9月までに成果を取りまとめるということで計画をしております。以上をもちまして新型転換炉開発は終了する。
  使用済燃料は東海再処理施設へなるべく早く搬出する、その後、速やかに廃止措置に着手する、廃止措置はコストミニマムでやる、ということを今後の方向性としております。
  33ページは「ウラン濃縮技術開発」で、これは既に2001年3月に運転は終了し、成果の取りまとめも2001年9月に終了しているところでございます。今は電気事業者との共同研究などをやっているわけでございますが、今後ともそういう共同研究を継続し、2006年までに廃止措置に関わる準備を終了し、速やかに廃止措置に移行するべきである、それはコストミニマムで、ということを方針としているわけでございます。
  34ページはサイクル機構全体に関わる一般的なことでございますが、各事業については、ロードマップを明確にして、どの程度の試験で、いつをターゲットにして、というようなことを定めた上で進めるということが非常に重要ではないか、年限を区切って定期的に評価をするということも非常に重要ということでございます。関連しますが、オープンエンドの研究開発は行わないで、常に終期をもって進める。あと、適切な人員配置とか、新たな目標をもった研究開発へ移行していくことが実証的な研究開発の基本ではないか。それから施設の維持管理費については、明確な削減目標を立てて計画的に削減に努めるということも大切である、ということを指摘させていただいております。
  「資料 第2−2号」に関する説明は以上のとおりでございます。

坂田審議官  どうもありがとうございました。
  それでは残された時間で、「資料 第2−2号」にあります「今後の方向性(案)」という部分について、ご意見を賜りたいと思います。
  時間も限られておりますので、前半に原研部分をやり、後半にサイクル機構部分をやりと、最後にまとめて両法人に共通するようなことについて議論をしていただきたいと思います。
  原研部分は1〜15ページまであるわけですが、11ページまでが「基礎・基盤研究」、それ以降が「プロジェクト型研究開発」等となっておりますので、取りあえず11ページまででご意見あるいはご質問等がございましたら、どうぞよろしくお願い申し上げます。

住田健二委員  全体の問題だと思いますので、審議官がおっしゃったように切ってしまいますと、ちょっとものの言い様がないというか……。最初の十何ページだけ取り上げるとすれば、細かいことは言わないとしても、全体的なスコープを議論するにはどうしょうもないな、という感じがいたしますので、冒頭に一般的なことを少し申し上げさせていただけるんだったら、ありがたいと思うんですが、いかがでしょうか。

坂田審議官  けっこうでございます。どうぞ。

住田健二委員  お許しが出ましたので、ちょっと申し上げたいと思います。
  原研とか、サイクルというふうに細かく切らないで、全体としてどういうふうにおまとめになろうとされているのかというのは、今までのものの見方を整理しているのであって、決して今後どうしようかというお話が中心ではないように取れますから、それはあまり言いたくないんですけれども、「せっかく2つの法人が一緒になるからには何かプラスの面がほしい」ということをかねてから申し上げております。世界有数の2つの研究所で、しかも優秀な人材、資金もある程度ある、施設もあるところで、ただこれまでにあったものを見直して、その中の妥当なものを取り上げていって、その仕事を延長するのではなくて、それを併せて何か新しいものができるチャンスではないか、というふうにかねがねそう思っておりますので、ぜひそういう観点からものを見ていただけないだろうか。批判はもちろんできると思うんですけれども、後ろ向きではなくて、できたら前向きの取り上げ方をしていただけないだろうか、ということが全般的なお願いでございます。
  それからもう一つは、全体的に共通して言えることは、今までの原子力のやり方というのは、できたら自分の国で何もかも全部やりたい、というのがあったんですけれども、そういう時代はもう過ぎておりまして、例えば安全研究の場合などですと、各国がそれぞれ自分の得意な分野をもって、お互いにデータを交流し合って、幾つかの優れた国がそこでリーダーシップを取る、という方式になっておりますから、いわば国際協力の場合の日本の原子力についての窓口、中枢機関というのはやはりここしかないのではないか、という気がいたしますので、その観点もぜひ見ていただきたい。先ほどの評価の中にありました個々の研究の評価はもちろん非常に妥当なご意見でございまして、よくサーベイしていただいたと思うんですけれども、「これは日本のセーリング・ポイントだから」、そういう形でのお話があまりなかったように思いますので、ぜひそういう立場からものを見ていただきたい、ということを申し上げたいと思うんです。
  それからもう一つは、皆が一緒にやっていくためにも、それが実現するのは10年か20年先あるいはもっと先かもしれませんけれども、今から準備しなければいけないと思いますので、この統合についての実際の現場の若い人たちの意見を……。これまでも何回も聞いていただきたいと申し上げておりましたけれども、重ねてそのこともぜひお願いをしておきたいと思うんです。
  それと今度は逆向きに、日本全体の総合的な評価という意味で、原子力委員会の長計との関係で、個々の仕事の本当の評価というのは、単にそれ一つ一つが単独に良い仕事だということ以外に、長計の中でどういう位置づけをしているか、という評価は当然ここにも出ておりましたけれども、ぜひそのへんの有意的な関連をとるように。これまでもとってきたと思うんですけれども、そのへんもぜひ見ていただきたい、というのが私の感じでございます。
  ついでに各論で一つだけ申し上げたいことは、材料試験の、しかも大きなシステム、例えば原研でいいますとJMTR、それから今「常陽」が照射用に使えるというお話がございました。今、私はたまたま関係があって、核融合のほうの材料試験のテストなどのこともいろいろお世話するチャンスがあったんですけれども、そういう観点から見ますと、相当大きなプロジェクトになります。二法人の統合の中で「今、核融合のことはちょっと外して」というお話ですけれども、後になって「核融合でこれが要るから」と持ち込まれたら、全体が大きく揺さぶられるような感じの仕事でございますので、ITERをやるとか、やらないということと無関係に、核融合材料の観点からのチェックというのは一緒に含めて、ぜひ先行的にやっていただきたい、ということをお願いしておきたいと思うんです。
  それから、これは疑問点でありますけれども、今後いろいろな実用化をやっていく上でエンドユーザーの意見をよく聞いてということで、確かに我々原子力関係者というのは独走ぎみのところがあって、批判をいただいく、そういう点があったと思うんですけれども、先ほど伺った「『もんじゅ』の将来の運転を売電によって、ひょっとしたらある程度……」というようなお話は……。そんなことをしたら、せっかく「もんじゅ」をつくっても結局……。何日かはちゃんと動かすでしょうけれども、その後いろいろな試験研究をやりますから、売電するような電気をつくるというのはちょっと意味が違うと思うんです。ただ何年間か走らせればいいということでなくて、まだまだその手前の段階だと思いますので、「もんじゅ」をせっかく立ち上げるのですから、あまり足かせをかけるような制約条件は……。私たち二法人のほうの立場からいえば、そういう形でなくて、もう少し発展的に見ていただけないでしょうか、というのがお願いです。

坂田審議官  二法人を統合するわけであるから、むしろプラス面、前向きなところをもっと検討すべきではないか、研究開発の中に国際協力をもっと生かしていく観点が大事である、若者の考え、特に現場の若い人たちの考え方を聞いて将来のことを考える、それから日本全体の総合評価で長計あたりとの関連づけと4点ほど言っていただきましたので、秋山先生のほうから以上の点について何かありましたら……。

秋山守委員  大変貴重なご示唆、ご指摘をありがとうございました。
  冒頭少しく触れさせていただきましたように、これまでの私どもの作業の主体が、個別事業の確認と今後の展開のあり方について、各論的、個別的なところに相当注目してやりましたので、ご指摘の視点がこれまでまだ詰まってないことは事実でございます。今後、今ご指摘の点をより重視いたしまして、十分対応できるように努めてまいりたいと思います。
  足し算でなく、新しい事業も含め、また両方の組織に関わる人の頭の中、知恵、ビジョン、そういうものが相乗効果となって非常に華々しくエネルギーが生まれてくる、そういうことは私どもも十分念頭に置いているところでございます。
  国際協力につきましても、具体的なことも含めて、少しくこれまでご提案がありましたけれども、なおまだ十分論議が詰まっておりません。国際協力の点では、これは私の若干個人の思いも含めてでございますが、やはりアジア地域の協力に関わる大きなキーステーションあるいは中心的な機能を、この両法人だけではなく、両法人も含めて、オールジャパンでもっともっと前向きに考えていくことを期待しているところでございます。
  それから長計との関係は、私は少しく原子力委員会との意見交換もさせていただきまして、長計は長計として国全体としての権威と責任のあるお立場で全体を見てやっていかれるわけでございますし、もちろんこちらの事業も同等の責任と、またビジョンをもっていくわけでございますが、研究開発に関わる部分は特にそうでございますけれども、若い方々のより柔軟、かつ長期的な夢、展望をできるだけ生かしていくということで、原子力委員会としてのご計画、ご検討の筋よりも多少幅広に、あるいはもっと長期的に前向きに議論していけば、ということでございます。
  今後、また来年の3月までに作業を進めてまいります段階で、随時原子力委員会からのご示唆、ご検討の状況等も私ども勉強いたしまして、また、こちらからも要望を投げかけて、オールジャパンとして適切にまとめていただければ、という思いがございます。
  これはちょっと出過ぎた発言で申し訳ございませんけれども、その議論の中身をこの作業の中で詰めまして、こちらの準備会合でご審議、ご指導いただきまして、それをまた私どものチャンネルも通じて、原子力委員会と交流させていただければ、そういう気持ちでございます。

小林庄一郎委員  今の秋山先生のお話に関連して、原子力委員会と長計とこの二法人の統合との位置関係についてちょっとお伺いしたいのでございますけれども、原子力委員会は5年ごとに長計を国主導でおまとめになって、これを基にいろいろな計画をつくり、また私ども電気事業者もそれに従ってまいりました。既に法案が提出されました「独立行政法人宇宙航空研究開発機構」は、宇宙開発委員会が理事長の任命権まで持って、しかも、そこで長期計画をつくって、その長期計画の中で今度は宇宙開発の中期計画をつくるというふうに、非常に重く格付けをされております。えらく先走った質問で大変恐れ多いんですけれども、将来、独法をつくる個別法のときには、やはり原子力委員会というものをそのように重くお書きいただけるのか、「これは宇宙開発とはちょっとケースが違うので、別の場合だ」というふうなお考えなのか、そのへんをお聞かせいただけたらありがたいと思います。

白川研究開発局長  実は、今日、宇宙関係の3機関を統合いたします法案が参議院の文教科学の委員会で可決されまして、明日の参議院の本会議に緊急上程される、そういうふうに伺っておりますので、間もなく成立することになると思います。
  今ご質問がございました宇宙の機関と宇宙開発委員会との関係でございますけれども、実は省庁再編がありました際に、従前の宇宙開発委員会は所掌の範囲がかなり狭くなりました。従前、総理府に置かれておりますときには、国の宇宙開発に係ることにつきましては、すべての省庁のことにつきまして計画をつくるかっこうになっていたのでございますけれども、省庁再編が行われました際に、現行の宇宙開発委員会は宇宙開発事業団の範囲の中の計画のみをつくる、ということに所掌のスコープが小さくなったのでございます。
  今日新しい法案が委員会のほうで可決されまして、NASDAだけではなくて、ISASとNALが統合されるわけでございますから、そこもカバーするということになったわけでございますが、やはり依然として現在の宇宙開発委員会は文部科学省の設置法の中だけに書かれておりますので、基本的には法律上の権限はその範囲にとどまっている、ということが一つでございます。

  それから新法人の役員との関係で申し上げますと、理事長の任命権は主務大臣にございます。それから監事につきましても主務大臣が任命をいたすわけでございます。それ以外の理事につきましては理事長が任命するわけでございますが、その前提で主務大臣が理事長を任命する際に宇宙開発委員会の同意を得なければいかん。それから監事につきましては、「同意」という強い言葉は使われておりませんが、意見を聞かなければいけない、そういう形になっております。
  今、ご質問の原子力のほうの統合法案のときに原子力委員会との関係をどういうふうにもっていくかというのは、今後のご議論ではなかろうか、というふうに思っております。

小林庄一郎委員  ただ、長期計画については宇宙開発委員会の決議を要するんです。したがって、原子力の大きな計画については原子力委員会の決議を得る、というくらい原子力委員会を重くお扱いになるのか、その位置づけを……。原子力委員会が責任感をもって前に出てもらえばいいんです。

渡海副大臣  ちょっと口を挟みますが、当然、長期計画と独法の中期計画というのは離れたものではないわけです。今回の独立行政法人の基本的な考え方というのは、長期計画を持っているものについては、主務大臣がその独法に対してある方針を示し、それに基づいて独法が中期計画をつくる、こういう成り立ちであるわけです。これは小林委員もよく御存じだと思います。そこで決議のようなものを要するかどうか。それはある意味、宇宙も縛ってないと私は認識しております。この原子力の法人についてはどういうようにするのかというのは、正にこれからの議論で決定をしていただくことであろう、というふうに思うんです。

坂田審議官  白川局長、渡海副大臣の説明はそう違うわけではないんですけれども、小林委員のおっしゃっている趣旨は、簡単にいいますと、基本的には原子力委員会がつくる政策に従って新法人が仕事をする、そういうしっかりした関係が必要ではないか、ということだと思うんです。ただ、今度、独立行政法人になりましたときに、そういった関係を法的にどういう具合に位置づけられるかは、これからかなりしっかり検討しないとわからない要素があるんです。
  例えば、これは全く私見ですけれども、宇宙開発委員会と主務大臣、文部科学大臣との関係は、宇宙開発委員会は文部科学省の諮問機関ですから、ある意味で内輪なんですよね。一つの役所に入っているわけです。ところが、良くも悪くも原子力委員会は一段高い内閣府と別の役所になっております。こういうものをどう考えるのかは、独立行政法人制度の下ではある意味では全く新しい課題になってくるわけです。したがって、これまでの原子力委員会と両法人との関係をしっかり踏まえて検討すべきことは当然ですけれども、新しい制度の下で法的にどういうことができるのかはかなりしっかりした検討が必要になってくる、ということだけちょっとご理解いただければと思います。

小林庄一郎委員  信じてお任せしますけれども、原子力委員会の出番をちゃんとつくっていただきますように……。
  あと一つ、急にマイナーなことになりますけれども、29ページの高燃焼度の燃料やプルサーマルの燃料の再処理技術も前回の長計で「国がやる」ということをお決めいただいたのに、「現にプルサーマルも全然できてないじゃないか」と言われると、ちょっと辛いんですけれども、一つの希望としては私どももっておりますので、このへんのところは事情をご勘案いただいて生かしていただきたい。

坂田審議官  確かに今回、核融合は議論しておりませんけれども、この後やることになっておりますし、現にやっている事業は見直しております。ただ、これで十分だとは決して思っておりませんので、まずやれるところからやってみて、先生のご指摘もございました、新たに新しいものとしてどんなことがあるか、ということをこれから両法人で……。例えば、おっしゃいましたとおり、若い方々のご意見を聞く機会も秋山先生のほうでつくっていただきまして、できれば行きつ戻りつやっていきたい、という具合に思っております。

伊達宗行委員  この資料を拝見して、2つ、3つコメントを申し上げたいと思います。
  前回も申し上げたんですが、新しい研究所がスタートしますと、それは今後数十年間、日本唯一の中核的研究所であり続けないといけない。非常に大きな責任と義務が出てくると思います。住田先生もおっしゃったんですが、今の整理の評価だけではちょっとマイナーになることがあると思うので、ちょっと元に戻ったことを最初に1点だけ申し上げたいと思います。
  1ページの「今後の方向性(案)」の第2段落に「日本原子力研究所……プロジェクト型研究開発の推進にどのように寄与しているか明確化し」とありますけれども、「プロジェクト型研究開発の推進」の後に例えば「さらに国際的にはIAEA、国内的には原子力委員会の政策決定にどのように寄与しているか」、そういう考え、理念を入れる、ということが非常に大事だと思うんです。
  つまり、今ここに書いてあることは、いわば「内部でしっかりやりなさいよ」というふうに見えるんですけれども、将来のことを考えますと、新しい原研の位置づけというのは国際的、国内的にもっと中核でないといけない。先ほどから原子力委員会の話題が出てきましたけれども、原子力委員会の基本方針をつくる資料はどこから出てくるのか。それがこの中核的研究所から出ないと、こんな研究所は必要ないことになります。この間の議論でも「長計があって、その旗の下に」という印象が大変強くて、ちょっと気になったんですけれども、長計自体を築いていく基礎をつくる研究機関がこれだ、そういうふうな考え方はとこどころにあると思うんです。つまり、今日はこの一箇所だけ指摘しますけれども、全体のストラテジーというふうなものをもう少し見つめて、この文章作成にご努力いただきたい、というのが1点でございます。
  第2点は、私は前たまたま先端基礎研究センターに携わりまして、その点から一点だけコメントを……。共同研究、共同利用の重要性という問題がありますが、これをしっかりしろということは、新しく建物をつくる必要もないし、大型の投資を必要としない。しかし、その思想とその運営経費、例えば共同研究旅費とか、共同研究費といったものがあって初めて原研あるいはサイクル機構にある大型施設の有効利用が非常に大きな国家的メリットを引き出しますし、国際的信頼度も甚だ高まる。そういうものを例えばこの先端基礎の項目でも、物質科学のところでも、どこでもいいんですけれども、正面切ってちゃんと取り上げていただきたい。
  第3点は、安全性研究と、これはおやめになるという話ですが、社会技術研究。社会が要求する安全性、さらにその上の安心研究にまでにいきたいという要求を考えると現在の安全性研究あるいは社会技術研究というのはちょっと離れている。
  例えば、JCOという悲惨な事故がございましたけれども、その後始末を見ていますと、私は甚だ不満であります。あれは明らかにコストだけを考えたインチキから起きた事故である。それなら、今後の対応というのはそれをどう防ぐかでなければいけない。ところが、出てきた結果は、規制物質の厳重な管理ということしか出てこない。今度の東電事故も社会的に非常にマイナスな事故であります。しかし、これに対する対策の傾向を見ていますと、いろいろなことを厳しくする、というほうにいくだけではないか。しかし、社会が安心するというのはそんなことで実現するものではないと思うんです。
  例えば、シュラウド問題ももっと実務的なところまで掘り下げて対応ができていたら、こんなことにならなかったのではないか。例えば、アメリカあたりの話を聞きますと、そうですね。シュラウドというのは、ちょっとやそっとひびが入っても問題にならない。例えば、新幹線のレールに錆が浮いていても、新幹線を走らせてかまわないんです。そういう面がある。その代わり「これはだめだ」というものがある。その区別こそ、シュラウド問題ではっきりさせ、政策化すべきなのです。
  どこまでどう評価するかということを、この新しい研究所が担っていくべきです。そういう見えないところの配慮も非常に重要だと思うんです。これまでの安全性研究は自ら定義した範囲でしているので、なかなか安心研究につながらない。社会的な問題というのはそういうことだと思うんです。そのへんを徹底的に扱えるような迫力のある安全性研究を設営できないか。これは新研究所の発足にぜひとも要求したいことだと思うんです。
  それから最後に、これはちょっと補足的ですが、「原子力船研究開発」という項目は「終わったことだから」と軽く流されていますけれども、終わったことで捨ててしまうにはもったいないアイテムだと思うんです。
  「むつ」が最初の航海で中性子漏れを起こして、社会的ひんしゅくを買って、「あれは失敗だ」という位置づけがありますけれども、どうしてどうしてその後の長期航海で船舶における原子炉の情報というのは非常に大きなものが得られた。これは今となっては船舶用原子炉技術の日本の唯一の財産であります。これの確認と更新というものは非常に重要ではないか。それが日本の中核的研究所の将来もつべき役割の一つでしょう。
  例えば、日本は深海開発技術というのは大変進んでおります。昔のフランスの地位を奪うようなところまできていますけれども、例えばそういうものに使えないかとか、将来の可能性はいっぱい一杯出てきます。危険性の予防ということもあると思うんです。例えば、ロシアの原潜が対馬とか、津軽の日本領海で座礁して、原子炉が問題であるというときに、これをチェックできるのは自衛隊では不十分です。やはり船舶用原子炉の知識を保有しているのは原研しかないと思うんです。そういう将来のリスクまで含めて、この中核的な研究所が果たすべき社会的責任というのは非常に大きいと思うんです。
  以上4点ほど若干感想を申し上げて、終わりたいと思います。

西澤潤一委員  今、伊達さんの言われたことに関することを今まで何回かお願いをしているんですが、消えてしまうんですね。あまり評価していただけないんですが、フォードの研究所のトレードマークに“Res.Labo,where today meets tomorrow.(今日が明日に会うところ)”という言葉があるんです。トラブルが起こったときに原研に駆けつけると、すぐにそれに対するソリューションを与えてくださるようになってなければいけない、というふうな気がするんです。どちらかというと、これはほかの分野もみなそうでございますが、外国でやっているのと同じことをやっていると、大変使命感に溢れているようなところがありますけれども、それでは二番煎じであります。例えば、トラブルが起こったときに、新しい現象が見つかって非常に大きな貢献ができるチャンスもある、それから今、伊達さんがおっしゃったように、全く無意味なものもある、そういうことでございますが、意味のあるほうをちゃんと生かしていく、ということになるのだろうと思うんです。
  シュラウドにひびが入っているということがわかったときに、たいていの方は「そんなのはほっておいていいんだ」と思っていらっしゃるんでしょうけれども、今のルールどおりやろうと思えば、とにかく止めなければいけない。相当のペナルティー期間があるのだろうと思うんです。今、現に電力の供給が止まりそうだという話もあるわけでございますが、そうなると大変だということになるから、解決の手段としては「黙ってやっちまえ」ということになっているケースが非常に多いと思うんです。それはやっている人たちが悪意でやっているケースよりも、「何とかしなきゃいかん」という気持ちからやっておられると思うんです。交通法規でもそうですが、「みんなで渡れば怖くない」ということで、法規を変えずに知らん顔して走り抜ければいいんだ、というような考え方が日本にはわりかたあると思いますけれども、やはり堂々と交通法規の改正を要求する、というような態度をとっていかなければいけない。
  そういうことになりますと、これは再三いろいろなところで提案しているのでございますが、原研のほうでそれに対応するグループをつくれば、例えばシュラウドにひびが入ったのなら、「期間を短くするなり何なりして、そのまま運転してもいいんだ」というような結論が出るだろうと思うんです。そういうことを原研の所長の責任においてやるとか、原子力安全委員会の委員長がおやりなるとか、そういう形で「これは大丈夫だ。おれたちが個人的に責任をもつ」ということまで言って、社会に公開して動かす、というふうなことをやらなければ、原研のほうは規格を十分に調べて、細かい一部品ごとに全部データを取って準備しなければいけないということになるわけであります。これはちょっと不可能だ、ということでございます。
  いずれにしても、原研としてはやはりたいていのものについてはしっかりした基準規格を設けておいて、特に今言いましたように、研究所にいる人たちは明日に対する予感をちゃんともって、それに対する対応をやっておく。トラブルが起こって行ってみたら、ちゃんと原研に準備がしてあった、というふうになっていなければいけないのだろうと思うんですが、実際は無理でありますから、今申し上げたようなやり方で臨機の処置を構ずる。また、所員のほうは、いつも自分たちがアメリカと同じような研究をするということだけではなくて、自分たちのところで運転している原子炉が万が一のときにちゃんとした対応がとれる、ということを念頭に置いてやる、ということが職業意識、職業人の社会に対する責任感ではないか、という気がするわけでございます。
  今までのところは小事故でとどまっておりますが(JCOみたいなことは決して小事故とは言えないわけでございますが)、今後、大きなスリー・マイル・アイランドみたいなことがあったようなときに本当にちゃんとした対応がとれる、というふうになっていなければいけない。ということは、今ちゃんとレールを引いておかなければいかんのではないかと思います。
  そういう意味では、基準規格を充実するということもこの研究所の非常に大事な責任範囲だ、ということをはっきり書いていただきたい。それから、それに外れた者が出た場合にどういう処置をするか、ということも書いておいていただく。つまらぬことで責任を取らされて辞めなければいけないような方々は、人材が大変惜しいですよ。そういうつまらぬやり方をしないで、ちゃんとした納得のできるやり方で処置ができるように、今、レールを引いていただきたい、ということをお願いしておきたいと思います。
  今まで何回も申し上げているんですが、あまり強く書いてないものですから、ぜひお願いをしたいと思います。

畚野信義委員  私は原子力はよくわからないので、前から資料は少しいただいていても、今日これだけバーッとやられて、具体的にはよくわからないことが多いんですけれども、ある程度妥当な案が出ていると思うんです。
  ただ、原子力のコミュニティの外側の人間として率直な感想を言いますと、たぶん今日の部分は懸案事項の整理だと思うんです。もうちょっと率直に言いますと、ある意味でコップの中の争いみたいな面があるような気がするんです。さっきから何度も言われていますけれども、このまま先に行くのではまずいのではないか、もうちょっと前向きのビジョンがこの次からは出てこないといけないのではないかと思うんです。もうちょっと広い視野とか、視点に立って、先ほど国際的な視点とおっしゃった方もあるんですけれども、そういうものがないと新しい総合された組織としてあまり夢も希望もないような気がするし、今のところではちゃんと動くような気がしないんです。そこのところをこれから次なり、その次なりで前向きにやっていく必要があるような気がします。
  それから先ほどちょっと引っかかったんですけれども、国際協力という話はたぶん核兵器の問題とか、そういうデリケートな問題もいっぱい出てくるのではないかと思うので、あまりきれいごとばかり言っていられないと思うんです。どういうところはできて、どういうところはできないのか、相手によっても違うだろうし、そんな整理ができるのか。もしそういう話にいくなら、そのへんのところも検討する必要があるのではないかな、という気がします。

住田裕子委員  前回、都合により欠席いたしまして、今日初めて概要のご説明を聞かせていただきながら考えたんですが、率直な印象として、一つずつについて個別に私が判断する能力は持ち合わせておりませんが、かなりメリハリを効かせていらして、かつコスト意識をかなり表に出しておられる。そういう意味でいきますと、今回の行政改革の趣旨にかなり則って、秋山委員の作業のほうである意味では極めて辛い切り捨てのご努力をなさったのかな、というふうに承りました。
  その姿勢は私としては高く評価したいと思うんですけれども、いかんせん、こういうものについて将来の見通しというのは世の中の方向性とともに変わってくるものがありますので、今後、将来的なビジョンについてもご検討なさるということですから、全くつぶしてしまうのではなくして、それぞれをどこかでまとめておいて、またどこかでその芽を大事に育てていくような部分というのも残しておいていただいたほうがよろしいのではないかと思います。やはり日本が今後、科学技術立国として成っていく上で、この原子力関係技術というのは非常に大事なものだと思っておりますので、いきなりコストだけで削減して、関係者の方の意欲がそがれるようなことがないようにだけお願いいたしたいと思います。

都甲泰正委員  サイクル機構のほうから1点だけちょっとお願い申し上げたいんですが、22ページの「もんじゅ」の維持管理費の件でございます。住田先生からもちょっとご意見をいただきましたが、この文章によりますと、前段には「施設維持費の縮減、稼働率の向上等により支出経費の縮減をより一層行うことが必要である」と書いてありますが、終わりのほうに「政府支出を行わないことを目標として努力することが適当である」と結ばれております。私どもの検討では、今後、電力会社に電気を幾らで買っていただけるか、ということにもよるんですが、これは大変高いハードルだと思っておりますので、できましたらこの前段のところを結論にしていただけたら、ということを切にお願い申し上げたいと思います。

小林庄一郎委員  私はもう既にリタイアしておりまして、電気事業者の代表ではないんですけれども、試験用に28万kWの発電所を6,000億円かけてつくっているんです。我々の軽水炉は100万kWを3,000億円なんです。ですから、これはフル稼働してもべらぼうに高いものなんです。しかも、これは試験にお使いになるんですから、ギザギザの電気ですよね。それはかえって電力系統の中では取扱いがやっかいなものなのです。これはちょっと余分なことですけれども…。

伊達宗行委員  私は「常陽」が20年間かくかくたる成果を挙げてこられたことを非常に評価する反面、「もんじゅ」の事故の何とお粗末であったことかということで、いまだにショックが残っております。
  問題は、「もんじゅ」の温度計のシースが折れて、「そこを直したから、再開してください」というものではないと思うんです。「常陽」の豊富な経験が適切に反映されなかった。それから、噂では「デザインが自己満足的な一部の発想で行われたのではないか」ということですけれども、再開の用意が着々と整っているとおっしゃる中で、それがどう改善されたか、という構造的問題がさっぱり見えてない。こんな席でおかしいんですけれども、サイクルさんの将来の動向にも関わるので、ちょっと伺っておきたい。

都甲泰正委員  ごく簡単に申し上げますと、今、先生のご指摘の点も含めまして、改善策を講じ、安全審査を受けまして、その結論をいただいております。その具体的内容につきましては、またご説明に上がらせていただきたいと思います。

伊達宗行委員  高速増殖炉というのは、例えば転換炉「ふげん」が業界のコスト問題であえなく沈没したように、また不吉な影もあり得る。実は、核融合もアメリカの仲間たちは「最後はコストだ。コストで合わないぞ」ということを言ったので、ITERから下りた、というのがかなり本音です。コスト・パフォーマンスというのはかく重大なんですけれども、「もんじゅ」のプロセスの中で将来のコストが素人には見えないんです。これはいかがですか。

都甲泰正委員  今の点に関しましては、先ほどちょっとご説明がございました「実用化戦略調査研究」の一環といたしまして、将来のコスト、経済性も含めました技術の実証を2015年頃までに実現しよう、ということを目標といたしております。

伊達宗行委員  「(2)FBRサイクル実用化戦略調査研究」と「(5)FBR燃料再処理技術開発」は一本でやれないのかと素人は質問をもつんですが、これは何で二本立てになっているんですか。つまり、「実用化戦略調査研究」には当然、再処理も入るものだと素人は思っているんですが……。

都甲泰正委員  当然その中でやっております。「実用化戦略調査研究」の中で全体のサイクルを含めてやっておりますが、「ふげん」の再処理とか、「もんじゅ」の再処理もございますので、再処理技術だけ別に書いております。

齋藤伸三委員  西澤先生のほうから、今回の東電のトラブル等々に関しまして、安全研究の点からいろいろとご要望がありましたが、私どもはそういう意味合いでいつでも駆け込み寺になるようにずっと準備を整えております。ただ、BWRだけではないんですが、ああいった現象について私どもとして実態がどうなっているかということを知りたいときに、やはりどうしても民間の壁というのがあって、立ち入れないというところがあるんです。そういうものも我々と密接に関係して出していただかないと、というところもあります、ということだけ一言申し上げさせていただきます。

西澤潤一委員  私はわかりますけれども、それも文章の中にお書きいただければ……。

薬師寺泰蔵委員  安全研究のところは強調し過ぎて、過ぎることはないと思うんです。リスク・マネジメントという言葉が入っていますけれども、やはりリスク・コミュニケーションという言葉を……。やや慎重を要する言葉ですけれども、最近、我々政策研究の中でよくございまして、原子力のウエイストをどういうふうにするか、ということも含めまして、住民に対する意見等々も関与して、開かれた政策をやっていただきたい、というふうに思います。

田中豊蔵委員  私は前回かなり強い調子で申し上げましたので、今日は皆さんの意見にみな同感でございます。

熊谷信昭委員  大変細かいことですが、22ページの「もんじゅ」の関係で、売電収入によって運転維持管理費を補う、ということを明確にうたってしまうというのは、研究開発炉という立場から考えていかがなものか、という心配をいたしております。

坂田審議官  それではもう時間ですので、今日の議論はこれで打ち切りたいと思います。内容面についていただきましたご意見については、これからよく検討して反映するようにいたしたいと思いますし、ご指摘がありましたとおり、まだ十分議論できていないところもたくさんございましたので、そこのところはこれから秋山先生のほうとよくご相談申し上げまして、秋山先生の作業の中で追加的にしっかり検討していきたいと思います。
  したがいまして、今日のテキストはもちろんこれで決まりということではなくて、引き続き検討していきたいと思いますし、今日時間がなくて、ご意見を賜れなかった場合はまたメモでもEメールでもけっこうでございますので、事務局のほうに出していただければと思います。
  次回は12回目の会合でございますけれども、来年の2月6日(木)、同じ時間帯の午後3時から5時までを予定しております。そのときには各研究所、事業所ごとのミッションというようなことをご紹介しなければいけないわけですけれども、本日の個別の事業の範囲でも改めてお示しするほうが適当かもしれませんので、そのへんはまた秋山先生とご相談申し上げまして、2月6日に出す資料はよく検討したい、という具合に思っております。
  次回は2月6日、その後は3月25日を取りあえず予定しておりまして、可能であれば年度内に終えたいとは思っておりますが、ただ内容が大変豊富なものですから、議論を十分尽くすことが何よりも大事と思っております。そういう点では、お尻を切るということにはあまりこだわるべきではないのではないか、と事務局のほうでは考えておりますけれども、会議の進め方で何かご意見等がございましたら……。

住田健二委員  前回からもずっと申し上げているんですけれども、今日も時間が足りませんで、結局、事務局並びに両法人のご説明と我々の意見だけで、委員の間で意見の交換のチャンスが一向にないんです。もし差し支えないんだったら、こんな大げさなことをやろうとすると大変だと思うんですけれども、事務局にちょっと世話をしていただいて、場所と会議室とお茶くらい用意してくだされば、有志の委員だけでも集ってディスカッションをしたいと思うんです。そちらと我々の間の対話は、私などはしょっちゅう顔を合わせているものですから、ここで言う必要はないんです。この間から文句ばかり言っているんです。それではだめなので、西澤先生のご意見とか、伊達先生のご意見というのは、私は原子力屋の一人ですから、言いたいことはいっぱいあるんですけれども、言うと時間がないですから、言えません。またというと、もう次になってしまうんです。ですから、ちょっとやり合う時間をいただきたい。フォーマルな会合は2月でけっこうでございますけれども、ぜひお考えいただけないでしょうか。それを誰かが世話するといってもちょっとおかしなものですから、ご苦労ですけれども、やはり事務局に何か考えていただけないでしょうか。それをお願いしたいと思います。

坂田審議官  その点はよく考えて、アレンジできるようにしたいと思います。

渡海副大臣  それでは本日は大変貴重なお時間、活発な議論をいただきまして、ありがとうございました。私も皆さんのレベルに少しでも追いつくように一生懸命聞かせていただいたわけでありますが、本当の多くの議論をしていただきまして、ありがとうございました。
  また、おまとめいただきました秋山委員には大変お世話になりまして、改めてお礼を申し上げる次第でございます。
  これは私の誤解かもしれませんが、このたたき台の上に、8月に「基本報告」をまとめていただきました。これをベースにした明確なミッションというのがたぶん出てくるのだろう、今日聞かせていただいて、そんな感じがしております。そういった意味では、次回以降よりそういった議論が進んでいく、また、そのための作業をしていただくということになるわけでございますけれども、どうぞよろしくお願いをしたい、というふうに思っております。
  今、住田さんもおっしゃいましたように、言いっぱなしというのは良くないと思いますし、それを受けて、ちゃんと議論して整理をされたということで、国民の共通の理解というものが非常に大事でございますから、そういうことができるだけ可能になるように、今後とも私としても、また我が省としても努力をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  本日は本当にありがとうございました。

坂田審議官  ありがとうございました。




(研究開発局原子力課)

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