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原子力二法人統合準備会議

2002/10/07 議事録
第10回  原子力二法人統合準備会議

第10回  原子力二法人統合準備会議



日  時  2002年10月7日(月)  13:30〜

場  所  キャピトル東急ホテル「竹の間」


原子力二法人統合準備会議(第10回)議事録


1. 日時  平成14年10月7日(月)  13:30〜15:00

2. 場所  キャピトル東急ホテル「竹の間」

3. 出席者
(座長)渡海  文部科学副大臣
(副座長)大野  文部科学大臣政務官
(有識者)青木利晴  株式会社NTTデータ社長
秋山守  財団法人エネルギー総合工学研究所理事長
木村孟  大学評価・学位授与機構長
熊谷信昭  大阪大学名誉教授
小林庄一郎  関西電力株式会社顧問
住田健二  大阪大学名誉教授
伊達宗行  大阪大学名誉教授
田中豊蔵  ジャーナリスト
畚野信義  株式会社国際電気通信基礎技術研究所社長
(法人)齋藤伸三  日本原子力研究所理事長
都甲泰正  核燃料サイクル開発機構理事長
(文部科学省)  間宮文部科学審議官、石川研究振興局長、白川研究開発局長、林大臣官房審議官、坂田大臣官房審議官

4. 議事
1. 開会
2. 今後の検討方法等について
3. 閉会

5. 配付資料

資料1.原子力二法人統合準備会議について(改訂版)
資料2.「原子力二法人の統合に関する基本報告」に対する意見募集の結果について
資料3.二法人の事業の評価・見直しについて(案)
資料4.原子力二法人統合準備会議における検討事項に係る調査・整理作業について
資料5.原子力二法人統合準備会議審議日程(案)
資料6.第9回原子力二法人統合準備会議議事録

  坂田審議官  それでは開会に当たりまして、皆様御存じのとおり、今般の小泉内閣の改造を機会に私ども文部科学省の副大臣、それから大臣政務官が交代されましたので、最初に渡海副大臣及び大野大臣政務官よりご挨拶をさせていただきたいと思います。

  渡海副大臣  それでは一言ご挨拶をさせていただきます。
  去る2日に文部科学省副大臣を拝命いたしました渡海紀三朗でございます。大臣からは「主に文部科学行政の中で科学技術、学術、スポーツを担当するように」という指示をいただいておりまして、その関係で新しく当会議の座長も務めさせていただくことになりました。以後、皆さんにはこれから何かとお世話になると思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  会合に先立ちまして、事務局よりブリーフィング等をいただきまして、できる限り資料等は読ませていただいて参加をしているつもりでございますが、何分まだ日が浅うございます。そういった意味で、追い追い皆さん方のペースに追いつきたい、というふうに思っております。
  皆さん方は、2月15日の第1回会合をスタートとして、これまで9回の会合を重ねておられますが、既に「基本報告」をまとめておられます。その「基本報告」をざっと読ませていただいたわけでありますが、私どもは当然、この会合の趣旨が昨年の行革の議論の延長線上にある、というふうに理解をいたしておりました。そういった意味から、実は統廃合による、ある意味の効率化というか、組織の体制強化というか、そういうことを考えていたわけでございますが、このご議論の中で、新法人が日本の原子力研究の中核施設として世界最高水準の研究開発機関を目指す、という点を感じました。考えてみると、実際そうでありますが、改めて皆さんのご議論に感激をし、感動を覚えたところでございます。
  この「基本報告」ができた段階が第一段階といたしますと、これから第2段階ということで、より具体的な検討に入っていただくわけでありますけれども、これまで同様、先生方の知見で熱心なご議論をいただきまして、平成15年春を目途に最終報告書を取りまとめる、という予定でございますので、ご協力をいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  後でご挨拶をされます副座長の大野文部科学大臣政務官にお手伝いをいただきながら、また皆さんのご協力を賜りながら会議を進めてまいりたい、というふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げまして、ご挨拶に代えさせていただきます。
  ありがとうございました。

  坂田審議官  どうもありがとうございます。
  それでは大野大臣政務官、お願いいたします。

  大野大臣政務官  一言ご挨拶を申し上げます。
  去る4日、文部科学大臣政務官を拝命いたしました大野松茂でございます。さっそく本会議の副座長を務めさせていただくことになりました。非力ではございますが、何分ともよろしくお願い申し上げます。
  原子力につきましては、関係の皆様方の格別のご尽力をいただいて、今日を迎えております。さらにその研究開発を進めること、着実にそれらを展開していくことは何よりも大事でございます。その意味で、このたびの原子力研究開発の中核的拠点たるべき新法人の設立は極めて重要なものである、このように認識をいたしているところでございます。
  本会議では秋以降、8月にまとめられた「基本報告」を踏まえて、より具体的な項目の議論に入ったものと認識をいたしているところでございます。私どもも一生懸命勉強させていただきたい、こう思っておりますが、青山副大臣及び加納大臣政務官の仕事を引き継いで私どもの参加になりますが、皆様方のご協力を賜りますようにお願い申し上げますと同時に、会議の運営に当たりましては座長の渡海副大臣をサポートさせていただく立場でもございます。何分ともよろしくご協力を賜りますようにお願いを申し上げて、ご挨拶にさせていただきます。どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。

  坂田審議官  どうもありがとうございました。
  それではこれから議事に入りますけれども、その前に、前回9回のときにもご説明申し上げましたが、この第2ラウンドの検討では、新しい法人の具体的な事業についての検討に入るということもございまして、新たに5名の委員の方々に参加をしていただくということになりましたので、最初にご紹介させていただきたいと思います。
  「資料第1号」の最後に新しい名簿がございますので、そこを開いて眺めていただきたいと思います。
  まず私のほうから新委員のお名前だけをご紹介いたしまして、その後、お一人ずつごく簡単に自己紹介をしていただければと思います。

  まず青木利晴 株式会社NTTデータ代表取締役社長でございます。
  それから伊達宗行 大阪大学名誉教授でございます。
  それから畚野信義 株式会社国際電気通信基礎技術研究所代表取締役社長でございます。  それから最後に御二人、原子力二法人から齋藤伸三 日本原子力研究所理事長、都甲泰正核燃料サイクル開発機構理事長でございます。
  それでは誠に恐縮ですが、一言ずつ自己紹介を青木社長からお願いいたします。

  青木利晴委員  青木でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  私がなぜここにいるか、ということでございますが、最初に就職しましたのがNTTの電気通信研究所の基礎研究部でございまして、それ以来20数年、NTTの研究所で過ごしてまいりまして、研究所長、研究開発本部長を経まして、NTTの副社長・技術担当から3年前にNTTデータの社長になっております。この間、NTTの前身でございます電々公社から85年の民営化、そして99年にさらに分割、持ち株会社制度というところで研究部門をつぶさに見てまいりましたので、そういう意味から今回のご趣旨を坂田審議官様にいろいろお伺いしまして、民間の立場から何らかの形でご貢献申し上げられれば、というふうに思いました。
  どうぞよろしくお願い申し上げます。

  坂田審議官  どうもありがとうございました。
  それでは続きまして、伊達先生、お願い申し上げます。

  伊達宗行委員  伊達でございます。
  私の立場は大阪大学名誉教授となっておりますが、専門は物性物理学と申しまして、マテリアル・サイエンスの基礎ということでございます。それは定年までやっておりまして、その後、日本原子力研究所から「基礎研究を新しく立ち上げたい」というお話がございまして、乞われて6年間こちらのほうの先端基礎研究センター長を務めたということで、いささか原子力を勉強させられた、という次第であります。
  なお、日本学術会議に長いこと出ておりまして、ここでも住田先生などと当時、続発しました各種の原子力事故を学問的あるいは世界的にどう見るか、という議論をだいぶさせられました。そのへんの反省も踏まえて、これから皆様のご意見を拝聴したいと思っております。

  坂田審議官  どうもありがとうございました。
  それでは畚野社長、お願い申し上げます。

  畚野信義委員  畚野でございます。
  私は原子力はほとんど知りません。一般国民程度ですけれども、研究機関のあり方のようなものについて意見を聞きたいということでした。私自身、長らく国立の研究機関におりまして、アメリカの大学等、科学技術にも関わっておりましたし、現在、民間の研究所におります。そういう立場から何かお役に立てることがあればと思っております。よろしくお願いします。

  坂田審議官  どうもありがとうございました。
  それでは齋藤理事長、一言お願いします。

  齋藤伸三委員  8月26日付で理事長を拝命いたしました日本原子力研究所の齋藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  私どもはいろいろとご審議を賜る身でございますけれども、今回の統合を考えますと、長期的な視点に立って国民の役に立つ原子力の研究・開発・利用、こういったものを先進的に先導し、またしっかりと原子力の安全も支えるといったことを行い、かつ国際的なトップクラスの総合的な原子力機関というようなことになるようご検討、ご指導いただきたい、というふうに思っている次第でございます。
  それからもう一点、我々は卒業していく身でございますので、これからの若い研究者、技術者が本当に夢をもって、チャレンジ精神をもって原子力のために生きがいを見いだしていけるような総合的研究機関となるようご指導賜りたい、というふうに思っている次第でございます。
  どうぞよろしくお願いいたします。

  坂田審議官  ありがとうございました。
  都甲理事長、お願いいたします。

  都甲泰正委員  サイクル機構理事長の都甲でございます。
  先ほど座長の渡海副大臣からお話がありましたように、世界トップクラスの研究開発組織をつくる、というご期待に沿えることができるよう、日本原子力研究所と一緒にしっかりやってまいりますので、よろしくお願いいたします。

  坂田審議官  どうもありがとうございました。
  それでは議事に入りたいと思いますが、本日の資料は1から6までございますので、どうぞご確認を賜りたいと思います。
  よろしゅうございますでしょうか。
  問題がなければ、議事を進めさせていただきたいと思います。
  最初の議事といたしまして、8月におまとめいただきました「基本報告」について約1か月間、いわゆるパブリックコメントを求める手続きをとっておりましたが、その意見募集の結果について事務局より説明をさせていただきたいと思います。
  では、お願いします。

  事務局  それではお手元の「資料第2号」をごらんいただきたいと思います。
  1か月弱の意見募集期間中に提出のありました意見は、個人で5名、そして団体の代表ということで1名でございました。1人で複数のご意見を賜った方々もございますので、意見数は12ということでございます。それを「基本報告」の章立てに沿って、再掲も含めて、まとめますと、2〜3ページということになるのではないか、ということでございます。
  簡単にご紹介させていただきたいと思いますが、その2〜3ページ以降にネットで提出していただきました意見そのものを添付させていただいております。出身母体と氏名は伏せてございます。
  まず「第1章  基本認識」の部分についてでございますが、最初のご意見は「『基本報告』が国民の意識、新法人設立の意義、基本理念を取り上げていることを評価する。旧動燃の失敗や原子力の厳しい現状を踏まえ、安全行政を含めた原子力政策そのものの見直しを行うことが先である」ということで、今までのプロジェクト型の原子力研究開発に対するご批判がございました。
  それから「日本の総合エネルギー政策の観点から原子力の位置づけを考える必要がある。また二法人の研究開発の実績と評価も一面的である。原子力の安全神話を根本的に改めることが重要である」というようなご意見もございました。総合エネルギー政策というのは、新エネも含めて、原子力の重要性、位置づけをもう一度考え直そうということと、行政も安全神話を振りまいてきたというようなこともありますし、少し尊大な研究者、技術者もいたということでございます。これからは謙虚な姿勢で研究開発を地道にやらなければいけない、ということが語られております。
  それから「原子力の必要性はそれ自体で自明ではない。安全でなければ必要とされない」「国民の信頼を得ていないことを、これまでの原子力の進め方の誤りとして厳しく評価すべき」というご意見がございます。
  それから「第2章  新法人の設立の基本理念」の関連では、再掲は飛ばしまして、「雇用の確保、保障を二の次に職員にしわ寄せするスリム化、効率化は問題である。安全をより高めることこそが国民の信頼を得る道である。安易な整理合理化に反対である。統合した二法人が原子力安全研究の中核的機関として独立・中立的機能を保障できる組織体制となるよう希望する」というようなご意見がございました。
  3番目は、やはり「雇用を守るように」という注釈付きではありますけれども、「事業の重点化等により整理合理化し、優れた組織を構築することについては賛成である」というようなご意見でございました。
  4番目は、「ホット施設では、すでに人員が減少しており、従業員への負担も大きくなっている現状を認識し、過度な合理化によって安全性の確保が脅かされることのないように十分注意してやってほしい」ということでございます。
  それから「旧動燃を『核燃料サイクル開発機構』として『開発に特化した法人』にしたにもかかわらず、また基礎研究と統合することの理由を明確に示すべきである」というご意見がございました。
  「第3章  新法人に求められる役割」でございますが、「原子力の厳しい現状と将来をしっかりと見据えて公的機関の果たすべき役割を議論してほしい。国が責任を持ち、公的機関が最優先とすべきことは、広い意味での『安全』である」ということで、そのためには人材の確保とそれに支えられる基礎基盤研究というものが重要である、ということでございまして、「統合が先行して議論が進むということについては問題でないか」というご意見がございました。
  それから「長期的な視点での原子力開発の展開を考えると、FBRサイクル技術開発が重要であると考える。新法人においても、ぜひ安全確保とともにFBRサイクル技術の開発を最重要事業として検討していただきたい」というご意見がございました。
  「第4章」関連は、再掲なので省略します。
  「第5章」では「統合後の労働組合のあり方について明確にしていただきたい」、「その他」では「対等に統合すべきではない」というようなご意見もございました。
  詳しくはその後にございますそれぞれの生のご意見をご参照いただければ、というふうに思っております。
  以上でございます。
  総じまして、「基本報告」に書いてございます基本認識、新法人設立の意義、基本理念、こういったところには評価をいただいているようでございますが、それを前提といたしまして、さらに政策の厳しい見直しとか、安全の確立が国民の信頼を得る最も大切な地道な方法であるということ、それともう一つは雇用の確保でございます。
  以上でございます。

  坂田審議官  ありがとうございました。
  今、説明があったとおりですが、来ました意見の数はそう多くなかったかと思います。ご関心をもって見ていただいた人たちはいたと思いますけれども、数としてはあまり多くなかったと思います。また、私どもから見て、ものすごく意識していなかったなというのは、雇用の問題であります。それから、ちょっと予期せぬことは労働組合の問題であります。そのへんはこういう場で検討するのはあまり適当だとは思いませんけれども、ちょっとそういうような感じをもちました。
  いただいたこのコメントについては、今度の第2ラウンドの報告書をまとめるときにもし必要があれば、少し考慮していただければよろしいのではないかと事務局ではとりあえず思っておりますけれども、今の説明の範囲で何かご意見なりご質問がございましたら、どうぞおっしゃっていただければと思います。

  住田健二委員  意見をくださった方の所属はこういうところですから出さないとおっしゃったんですが、機関だけ見ますと、特殊法人ばかりで、一般の方はお1人だけですね。特殊法人というのは、原研とサイクル機構だというふうに解釈してよろしいんでしょうか。それ以外の政府機関、特殊法人もあるんですけれども、差し支えなければ、その点をちょっと教えていただきたいと思います。

  事務局  一人ご不明の方がおりますけれども、原研とサイクル機構の方が多うございます。

  畚野信義委員  私も同じことだったんです。ほかの省庁を私も幾つか知っていますけれども、これくらい偏って本当の利害関係者に近いところの人しか出てこないというのは珍しいですよね。ある意味で、無理にほかの意見を聞くというのはなかなか難しく、この場合、あまり意味がないのかもしれません。
  ただ、別の見方をすれば、きつい言い方ですけれども、これが今の原研、サイクル機構の広く一般国民の受け止め方というか、一般によく知られてないというか、意見を特に言おう、というほどのインセンティブがわかないような現状ではないか、というような感じがします。ですから、新しい組織が国民にもっとポピュラリティが得られるようなものにしていく必要があるような気がします。

  坂田審議官  それではパブリックコメントに関することはこれくらいにしまして、今日の本題のほうに入らせていただきたいと思います。
  「資料第3号」と原子力研究所とサイクル機構のパンフレットに関係いたしますけれども、これからこの第2ラウンドでのご検討では、二法人の個別の事業を見直していただくということで、3つほど検討課題があったかと思います。「基本報告」の最後の第5節に3点ほど検討課題が書いてあったかと思います。第1点が個別事業の見直し、第2点がそれを踏まえて、両法人の研究所・事業所のある意味での見直し、それから第3点目としてはそういうような仕事をやるための新しい法人の組織あるいは意思決定の仕組み、業務運営のあり方と大きくは3つございますけれども、第1番目の個別事業をこれから見直していただくという意味で、その見直しのやり方といいますか、評価の仕方といいますか、そういうことをはっきりさせなければいけないと思いまして、取りあえず「資料第3号」に事務局の考え方をまとめましたので、それをご紹介させていただきまして、ご意見をいただきたい、という具合に思っている次第です。
  それから「資料第3号」の評価・見直しの考え方につきましては、前回第9回の会合でこの第2ラウンドの検討におきましては、秋山委員に中心になっていただきまして、別途の外部の有識者でありますとか、あるいは二法人の関係者から協力をいただいて、それぞれ個別事業についてどんな検討をしなければいけないか、そういう調査整理に関わる作業を行っていただくことになっておりますけれども、この「資料第3号」はその際の作業のある意味では基準になるようなものである、という具合に考えておりますので、今日はぜひご忌憚のないご意見を賜りたいと思います。
  それでは「資料第3号」を事務局のほうから説明させていただきたいと思います。

  事務局  それでは「資料第3号」について説明をさせていただきます。
  まず3ページを見ていただきたいと思います。これが「基本報告」に書いてあります今後の検討事項でございます。
  1点目は、個別事業ごとの実績や評価を踏まえての見直しでございます。2点目は、その個別事業の見直しを踏まえた各研究所や事業所ごとのミッションの明確化と人員の再配置、それから最適な資源配分の実現ということでございます。3番目は、新法人の組織運営、マネージメントの問題でございまして、迅速な意思決定のメカニズムとか、各事業の連携をうまく図るためのメカニズムをどうやって導入するか、ということについてでございます。
  これらのことにつきまして、今後詰めていく上での一つの考え方、視点というものを「資料第3号」にまとめました。
  まず「1.評価・見直しに当たって考慮すべき計画等」は、まず「計画関係」ということで、いろいろな計画、報告に沿って今後検討がなされなければいけない、ということでございます。昨年12月の閣議決定の特殊法人等整理合理化計画、それからこの会議でまとめていただきました「基本報告」、そして原子力長計、それからこの会議のためにいただきました原子力委員会、原子力安全委員会のご意見、計画でございます。
  それから「評価関係」ということで、評価のやり方が大綱的指針という形で国の研究開発全体に対してまとまってございます。それから文部科学省におきましても、それを踏まえまして、研究及び開発に関する評価に関する評価指針というのをまとめてございます。それらを踏まえて、評価というものがされていかなければならない、ということでございまして、新しくお配りいたしました席上配布資料の「資料第16号」「資料第17号」がそれに当たっておりますので、ご参照いただきたいと思います。
  それから3番目は「独立行政法人制度関係」ということで、二法人は統合されまして独法になるわけでございますが、独法には独法の制度がございまして、それもちゃんと踏まえて検討されるべきだ、ということでございます。それは、主務大臣による中期目標が策定され、それに従って中期計画というものを独法自身がつくり、主務大臣が認可をして事業が行われる、そういうメカニズムで事業が推進される、ということが1点。それから中期目標、中期計画を踏まえた第三者評価機関である独立行政法人評価委員会によって事業の内容が評価され、その結果が資源配分に反映されることになっている、ということを踏まえる必要がある、ということでございます。
  「2.各事業の評価・見直しの視点」は、これらを考慮しつつ、各事業の評価・見直しは次のような視点で進めていったらいいのではないか、という案でございます。
  事業は多岐にわたってございますので、4ページの(別紙2)を見ていただきたいと思います。○印で掲げたものが一つ一つの事業でございますが、それらを大きく「基礎基盤研究開発等」「プロジェクト型研究開発」「安全性研究」と3つに分けました。そして、どういう事業がそこにカテゴライズされるか、ということも表してございます。
  例えば、「基礎基盤研究開発等」におきましては、主に日本原子力研究所が行っているエネルギーシステム研究から放射線利用研究までいろいろある、ということでございます。
  それから「プロジェクト型研究開発」といたしましては、日本原子力研究所の例では核融合研究、原子力船研究開発というものがございます。核燃料サイクル開発機構に関連しましては、FBRサイクル技術開発、軽水炉再処理技術開発、高レベル放射性廃棄物処分研究開発のサイクル関係の3事業がございますが、FBRサイクル技術開発は非常に大きゅうございますので、さらに高速実験炉「常陽」、高速増殖原型炉「もんじゅ」、それから実用的なFBRについての調査研究であります実用化戦略調査研究、そしてプルトニウム燃料加工技術開発の4つに分けてございます。それから先の動燃改革で整理事業として位置づけられました新型転換炉「ふげん」、ウラン濃縮技術開発、海外ウラン探鉱というものも一事業ずつとして掲げ、評価をしていこう、ということでございます。

  それともう一つ大きなカテゴリーといたしまして、「安全性研究」を掲げてございます。
  なお、加速器とか、研究炉などについては、例えば物質科学研究とか、先端基礎研究とか、中性子科学研究とか、放射線利用研究とか、いろいろなところにまたがっているものでございますので、こういったものも横ぐしでまた評価をしてまいる、という予定でございます。
  1ページに返っていただきまして、基礎基盤研究開発の評価・見直しの視点としては、原子力研究としての科学的・技術的意義があるか。独創性・革新性・先導性などの観点から意義があるか、ということをみたらどうか。それから現在又は将来において経済的・社会的意義をもつ可能性があるか、ということも必要な視点ではないか。完全に学術的な研究を新法人で行うことは考え難いので、将来も含めまして、実用化への可能性があるか、ということをちゃんとチェックする必要があるのでないか、ということでございます。
  それからプロジェクト型研究開発に対しては、評価の視点が少し多うございますけれども、目的・目標に経済的・社会的意義があるのか、開発目標は妥当か、原子力研究開発としての技術的意義があるか、こういったところをチェックしていきたい、というふうに考えております。また、ロードマップというんでしょうか、研究開発の計画・体制・手法というのは目標に対して適切であろうか、それからこれは長くかかるものですから、最終段階にたどり着かなくても、その途中、途中で開発目標に向けた一定の成果が上がっているかどうか、というチェックも必要でないか、というふうに考えておりますし、大型のプロジェクトの費用管理というものが批判されておりますので、費用対効果は十分見込まれているか、ということも評価のポイントとしたく思います。また、代替案との比較検討がなされた上での選択であったかどうか、ということも見てみたい、ということでございます。
  それから安全性研究につきましては、尺度がちょっと変わっておりまして、安全行政(原子力防災を含む)に寄与するものであったかどうか。例えば、原子力安全委員会の指針とか、基準とか、そういったものに活用されるような研究であったかどうか。それから原子力施設等の安全性向上そのものに貢献しているかどうか。そういうことを見てみたい、というふうに考えているわけでございます。
  これらに共通することといたしまして、基礎基盤的なもの、プロジェクト的なもの、安全性研究的なものであっても、その必要性・有効性・効率性などについて十分説明できないといけませんし、資源配分が適切かどうか、という視点は大切なポイントではないか、というふうに思っております。それから「産業界、大学等との連携」では、必ずしも産業界、大学だけでなく、海外との連携ということもありますので、外部との連携が行われており、効果は上がっているのかどうか、ということも見てみたいと思っております。また、そもそもほかの機関で実施すべきものではないのか、ということはやはり共通的にちゃんとチェックをしておかなければいけないのではないか、というふうに考えているわけでございます。
  ですから、大きく事業を3つに分けた上で、個別の視点と共通的な視点の両方から評価をしていきたい、ということでございます。
  これが個別事業関係でございますが、そのほかにも、今後の検討課題の中に法人全体の経営、マネージメントに関することがございました。それについての評価・見直しの視点を「組織・運営面」のところで掲げてございます。
  まず1点目は、法人全体としての特色や経営理念は明確であるか。また新法人においてこれをいかに確立するか。それから、各事業の有機的連携と一体性はあるか。また新法人においてこれをいかに実現するか。3番目は、効率的・効果的・機動的な事業運営が行われてきたか。また新法人においていかにこれを実現するか。それから、事業内容は適切に評価されているか、またその結果を経営に反映するメカニズムが存在しているかどうか。そして、存在していたとしたら、機能しているかどうか。新法人においてこれをいかに実現するのか。5点目は、事業を運営する上での適切な組織形態になっているかどうか。意思決定メカニズムは適切であったかどうか。また新法人ではどういうふうにこれを形成していったらいいか。それから、保有する原子力施設の安全確保などは適切に実施されてきたかどうか。そういったことを見直しの視点としたい、ということでございます。
  それから宿題事項、今後の検討課題の2番目に各事業所・研究所の再編とか、資源の再配分といったことが掲げられておりましたが、それに対応するものといたしまして、これまでの原子力二法人の各研究所・事業所ごとのミッションは明確であったか。また新法人においてはそれをどういうふうに明確化していったらいいのか。それから、各事業への資源配分のバランスは適切に行われてきたかどうか。そして、その資源配分は柔軟に機動的に変更され得るような体制であったかどうか。そういう体制を新法人においていかに実現するか。そういったことを見てみたい、ということでございます。
  最後に、新法人の経営の問題の一つといたしまして、原子力施設の廃止措置と放射性廃棄物の処理処分というものが非常に重要な課題として挙げられてございましたので、これも評価・見直しの大きなカテゴリーといたしまして挙げた上で、その廃止措置や処理処分についての体制や進め方が適当であったか、これからの廃止措置や処理処分についての事業のスケジュールの見通しや経費見積り、資金の確保方策というものは妥当であるかどうか、ということもお話を伺いながら評価をしていきたい、ということで考え方が出来上がっております。
  5ページ以降は、先ほど4ページでご紹介いたしました主な事業について、紙一枚でごく簡単に説明するものを用意させていただきました。これは便宜のために法人ごとに取りまとめてございまして、その頭のところに全体が俯瞰できるような法人の組織・定員・事業内容を一枚のチャートで示してございます。
  例えば、原研でいえば、6ページでございますが、全体はこのような組織体制でございまして、一番左側が本部組織で、真ん中に各研究所・事業所にどれだけ人材が配置されているか、事務系がどのくらいか、研究系・技術系がどのくらいか、ということが書いてございまして、その事業所でどんな事業をやっているかということを先ほどの事業のカテゴリーに合わせて記述している、というものでございます。
  下のほうに3つのセンターと1つのシステム推進室がございます。これは形式上、本部組織ではありますけれども、実際の研究事業は各研究所・事業所などで行われておりますので、本部・事務部門の中に入れて考えるのはちょっと適切ではないかもしれません。
  それから、イメージをつかんでいただくための各事業ごとの簡単な資料を用意させていただいております。例えば、7ページでいいますと、エネルギーシステム研究という事業は一体どういうものなのか、ということが書いてありまして、これまでの成果として何をしてきたのか、どんな成果を上げてきたのか、ということをまとめてございます。この例でいいますと、水冷却高速炉(低減速スペクトル炉)の概念を構築した、というのがこれまでの成果ということでございます。
  予算につきましては、平成10年から累積で34億円ほど投入して、毎年の投入額はこの程度で、それに関わる人材の数は90名から90名弱でやっております。活用しております主な施設としてはTCA、FCAという臨界実験装置であり、長計の関連部分の記述はどうなっているか……そういうパターンで出来上がっておりますので、ご不明のところがございましたら、参照しながらご議論をいただければ、というふうに考えております。それから、お配りいたしましたパンフレットは、さらにそれをサポートするためのものでございますので、ご参照いただきながらご意見を賜れば、というふうに考えております。
  以上でございます。

  坂田審議官  どうもありがとうございました。
  21ページ以降がサイクル機構の同様の資料になっております。
  今日は時間がございませんので、一つ一つの事業についてご説明することは避けたいと思います。もちろん機会を設けてそういう時間をとりたいと思いますが、冒頭申し上げましたとおり、今日のところは主として、「資料第3号」の1〜2ページのような考え方でこれからこの両法人の事業の評価・見直しを進めていっていいかどうか、についてご議論をいただきたいと思います。
  それでは今からしばらくの時間そういうご議論をしていただきたいと思いますので、ご意見、ご質問等よろしくお願いいたします。

  畚野信義委員  私は今回が初めてなので、事情がよくわからないところもあるんですが、「基本報告」を読ませていただきまして、なかなかよくできているなと思います。あれは全体の基本計画で、今度は具体的なということですけれども、その間にちょっとギャップがあるような感じがするんです。すぐに各事業にいくのではなくて、2ページに「共通的視点」というのがありますけれども、これをもうちょっと具体化するとか、別のほうもよく見ないといかんのではないか、ルールなりガイドライン、方向を決めてからのほうがいいのではないか、というところがあります。
  例えば、「基本報告」に「新しい事業を簡単に立てるな」というのがあるわけです。評価の基準としては2ページの上のようなことがあるかと思うんですけれども、どういうプロセスでやるのがいいのか。それぞれの事業によって特徴なり事情なりがあると思うので、それは反映させる必要はあると思うんですけれども、やはり共通的な手順みたいなものも含めて、考えておく必要があるのではないか、というのが一つあります。
  そのほかにも幾つかありまして、例えば透明性を確保しなくてはいかん、というのがあるんですけれども、「透明性」という意味をここでどういうふうに考えているか、ということがあるわけです。透明性は当然確保するにしても、例えばIPRなどはきちんと確保していかないといかんと思うんです。そのへんのところをどう切り分けて、どういうふうにしていくか。基本計画を具体化するに当たって、具体的な手順とか、内容についてもうちょっとコンセンサスをもったほうがいいような気はします。

  坂田審議官  今、畚野委員のおっしゃったことは非常に大事な点だ、という具合に思います。
  第1ラウンドの「基本報告」から第2ラウンドに移るに当たっての考え方を念のためにちょっと申し上げますと、「基本報告」では統合に当たってのいろいろな基本的な考え方を整理をして、例えば行革の観点からいえば、もちろん重点化・効率化・合理化、予算あるいは人員というものも縮減ということをせざるを得ないかもしれないけれども、そういうプロセスを経て、新法人としては将来の日本の原子力開発の活力を生み出すような事業をやる必要がある、というような考え方を出しました。では、その考え方を具体化するにはどうしたらいいかとなりますと、現に行われている両法人の一つ一つの事業が果たして今のままでいいのか、ということをきちんと見直す必要があるのではないか。関連して、それぞれの各研究所のやり方も今のままでいいのか、もう一回見る必要があるのではないか、というような議論をいたしました。そういう意味での見直しを第2ラウンドできちんとやってはどうか、ということになったわけです。
  そこで、これから個々の事業を見直すに当たりまして、事業としては基礎的な事業、プロジェクト的な事業あるいは安全研究というものがあって、それぞれ評価の視点は当然異なってくるわけですけれども、そういう違いを認識した上でどういう考え方で見直すか、ということを整理する必要があるだろうということで、取りあえず事務局の案として「資料第3号」を出しました。
  今ちょっと触れていただきましたけれども、2ページの「共通的視点」というのは、基礎基盤研究開発、プロジェクト型研究開発、安全性研究と大きく3分類したわけですけれども、この3分類に共通する視点としてはこういうものがあるのではないか、ということでございます。一方、この3分類はそれぞれ全く性格の違う研究事業ですので、違った観点で評価しなければいけないのではないか、その評価の視点は四角で囲んであるこういうことではないか、ということで事務局としては整理したわけです。
  今おっしゃいました共通的な手順ということですけれども、評価・見直しの視点は今言ったように整理をいたしましたけれども、具体的なやり方としては、前回の9回での統合準備会議でのご決定によって、秋山委員を中心にいろいろ協力者を集めて、こういう視点に基づく下作業をやっていただいて、そこで整理したものをこの本会議に上げて、ここで最終的に決めていただく、こういうようなやり方でどうだろうか、そういう手順を一応考えております。そういう全体のストラクチャーを前提に置いていただきまして、その上で今、畚野委員がおっしゃいましたことに関して、追加的に、「それは一応わかったけれども、やはりここはこうすべきだ」ということがありましたら言っていただけると、我々もより理解がしやすいと思います。

  畚野信義委員  そういうやり方でやられるのはけっこうだと思うんです。私の申し上げたのは、例えば新しい事業をやるときにプロセスとしてどういう評価の仕方をやっていくのか。それぞれ性格が違うから、事業ごとに特徴があってもいいんですけれども、事業所ごとに全然別とか、プロジェクトごとに「前はこういうことをやったけれども、今度はやらない」とか、そういうことがないような形で、「新しい組織としてこういうふうなやり方をしているよ」というのを打ち出すようにしなくてはいかんと思うし、特に私が申し上げた透明性の問題はいろいろな認識の仕方がありますから、どうやっていくのか。一方、これは国の金を注ぎ込んでやるわけですから、IPRをきちんと確保しないといかん。それと透明性をどういうふうに切り分けてやっていくか、ということなどもきちんと整理した上で手順、考え方も決めていく必要があると思うんです。

  坂田審議官  透明性とIPRに限定してみますと、原子力の世界は特に公開の問題が取り分け重要ですが、原子力だけに限らず、最近は国費による研究の成果も対外発表をすることは非常に大事ですけれども、その前にIPRとして確保すべきものはちゃんと手続きをとらなければいけない、という方向になっておりますので、IPRの問題については妥協しないでしっかり確保できるようにすることがあくまで前提だ、という具合に考えております。
  今、畚野委員からご指摘があった透明性の確保の問題とか、IPRはしっかりやらなければいけないと思っておりますので、個々の事業の評価・見直しに当たっても、その問題はきちんと処理するという前提でやっていただくことではないかと思っております。

  畚野信義委員  透明性の扱い方、IPRの扱い方、そのへんをやはり明文化したほうがいいような感じがするんです。

  坂田審議官  わかりました。

  伊達宗行委員  私も初めてで、前にご議論になっているかもしれません。もしそうであったらお許しいただきたいと思いますが、今日のこの資料を拝見して感ずることは、このような討議の場はスクラップ&ビルドの議論になるだろうと思うんです。それがいかに効率的に将来のために、という議論になるはずです。ところが、これを拝見していると、スクラップの道筋はある程度見えるんですけれども、ビルドが見えない。特に、どこを目標にして今後新しい法人が歩むべきか。例えば、基礎基盤ではどうか、プロジェクトではどうか、安全性ではどうか、その他でどうか。到達目標があって、それがあるからこそ、「現在の研究は不十分である。もっと努力しないといけない」あるいは「方向を変えるべきだ」という議論ができると思うんです。そういうふうな将来目標、ビルトに関するものはもう既にご議論になって、資料があるんでしょうか。そうであればけっこうだと思うんですが、そうでないと、議論をしていく途中で目標を見失うことになるのではないか、ということを心配するわけです。

  坂田審議官  私が答えるのが適当であるとは思いませんが、取りあえず申し上げたいと思うんですが、先生がおっしゃいましたように、いかなる事業であれ、見直しの過程で何を目標とするか、ということは非常に大事なことであると考えております。それはやはりはっきりさせるべきではないかと思うわけです。取り分け新法人は独立行政法人になりまして、中期目標、それに基づく中期計画、こういうものをちゃんと立てまして、それが新しい法人の事業目標になります。5年くらい経ちますと、果たしてパフォーマンスがどうであったか、中期目標、中期計画に照らしてある意味で国民的に評価されることになります。したがって、事業開始の前に何を目指すのかということをはっきりさせることは大変大事であると思っております。
  したがいまして、将来目標はあるか、ということでありますけれども、現在でもたくさんの事業が行われておりますので、当然ながら現時点で目標をそれぞれお持ちだと思うんです。これは原子力長期計画等に従って行われておりますから、ある一定の目標があるはずであります。ただ、今回の評価・見直しは、現在そういう目標がなければ、目標をつくる必要があるのではないかと思いますけれども、あるとして、それは本当に妥当な目標なのかどうか、ということを評価・見直ししていただいて、もし妥当でないのならば、「こういう新しい目標でやらないとだめではないか」ということをこの会議でご検討いただいて、方向性を示していただくことが適当ではないか、事務局の一員としてはそのように考えております。

  伊達宗行委員  私は、こちら側に目標があるのか、ということをお伺いしたかったんです。つまり、最終的に法人が持つべき機能と内容をある程度つかんだ目標をこちらがあらかじめおもちかどうか、この9回の議論でそういうものをお作りになったかどうか、ということをお伺いしたかったんです。

  坂田審議官  9回の議論は、そういう個別事業の個別目標というものを描くための検討はしておりません。あくまで、新しい法人をどういう考え方でつくるのか、ということで議論いたしましたので、目標の議論はこれからだということになります。

  伊達宗行委員  例えば、2ページに「共通的視点」の「共通的視点からの評価」として「必要性・有効性・効率性」とありますけれども、こちらにある程度目標があれば、その大きな目標に対する期待に応え得る「期待度」という項目があってもいいし、おやりになることが国内・国際的にリーダーシップが取れるか、指導性はどうか、そういうことを評価して初めて本当の評価になるのではないか。そういう項目も当然考えられるのではないか。それはやはりこちら側で、どういう法人としての将来像を強く印象としてもっているか、ということにも関わってくると思うんです。そういう意味で伺ったわけです。

  坂田審議官  先生がおっしゃいました期待度とか、リーダーシップは大事な項目だと思います。

  齋藤伸三委員  私も何点か申し上げさせていただきたいと思います。
  今の伊達先生のお話にも若干引っかかるかと思いますけれども、1つは、事務局のほうで基礎基盤研究開発、プロジェクト型研究開発、安全性研究というふうにお分けになって、4ページで私ども原子力研究所の事業は、安全性研究は別にして、核融合と原子力船以外は基礎基盤研究開発等となっております。しかし、第6回のときに、この中で革新的原子力システム研究は、サイクル機構と今後の将来型炉のあり方を一緒に議論していこう、というような意味合いで申し上げさせていただいているわけであります。そういう意味合いでは、プロジェクト型研究開発という定義は何なのか。要するに、何千億以上のものをプロジェクト型と呼ぶのか。それから高温工学試験研究も、私ども原研としてはある意味ではプロジェクトとして進めてきました。自分たちで基礎基盤的な研究、燃料の開発、黒鉛の開発等をやって、それで原子炉をつくり、それから今度は水素製造をやっていこうということで、私どもの感覚からいうと、そういうものはプロジェクト型研究なんです。そういう意味合いで、ここで言うプロジェクト型と基礎基盤研究開発の定義、分け方をどこで線を切るべきであるか、というようなところが1点ございます。
  それから2点目は、「基礎基盤研究開発」という言葉でまとめられておりますが、第1段階のときに、いろいろな先生方から「放射線利用研究というのはやはり非常に重要である」ということで、項目が付け加えられたわけでございます。基礎基盤研究開発の中身に入ってくるんですが、第1回の長計から「原子力の利用というのは、エネルギーとしての利用と放射線の利用だ」というふうに一貫して言っているわけでありますので、「放射線利用研究」という言葉がある程度前面に出てきたほうがいいのではないか、という感じがいたします。
  3点目でございますが、1ページの「基礎基盤研究開発」のところで「原子力研究としての科学的・技術的意義があるか」「現在又は将来において経済的・社会的意義を持つ可能性があるか」と2つの評価・見直しの視点で書いてございます。各々個別の課題としてそういうものに属するものもありますし、もう一つは、次のプロジェクトを支えるための基礎基盤研究というものもある、というふうに私は思っております。そういう意味合いからしますと、プロジェクト型研究開発を支える基盤としての意義はあるか、そういう視点も入れていただいたほうがいいのではないか、というふうに思っております。
  それから、2ページの「資源配分面」のところに「各研究所・事業所毎のミッションは明確か」ということが書かれております。今、私どもは都甲理事長のほうとお話を進めさせていただいているわけでございますけれども、新法人のミッションというのは、そういう事業所・研究所ごとに壁をつくってやるのではなくて、しっかりとした研究開発のミッションがあって、それで各事業所・研究所で持っている原子炉なり研究の道具を使ってその目標を達成する、ということのほうが大事だと私は思っております。そういう意味合いからいたしますと、「各事業のミッションは明確か」としていただいて、各研究所・事業所というのは物理的に離れたところにあるわけですから、そこで持っている原子炉なり何なりの安全はしっかり確保して運転し、地元に信頼されるような経営をやっていく、そういうことが大事であって、その間に壁をつくってはいけない、最終目標はあくまでもその事業の達成である、というふうに私は考えていますので、そういうご検討をしていただいたほうがよろしいのではないかと私は思っています。

  都甲泰正委員  伊達先生から「この計画を見ていると、スクラップばかりで、ビルドがないではないか」というご意見がありましたが、私は実は前からそれを心配しております。というのは、行革に従って両法人統合ということになりまして、スリム化、スリム化ということばかりになりますと、私どもの職員、特に若い職員の士気に影響してくると思いまして、内部で「サイクル機構の将来の業務のビジョンはいかにあるべきか」ということを半年くらい前から検討させております。
  ただ、そのときに、行革の精神を受けますと、どんなにすばらしいアイデアあるいはビジョンを出しても、人と金が増える状況にはないので、「それに伴って必ずスクラップも一緒に考えろ」、こういうことを申しております。今、検討をしておりますので、たぶん秋山先生の委員会ではある程度ご検討していただけるような資料が出せるのではないかと考えております。

  事務局  今までいろいろとご意見をいただきました。
  伊達先生が言われたリーダーシップの話は非常に重要だと思っておりまして、1ページの「事業別の評価・見直しの視点」の「基礎基盤研究開発」でも、「原子力研究としての科学的・技術的意義があるか」というところで、先導性とか、独創性とか、革新性とか、そういうチャレンジングでリーダーとなり得るような事業である、ということはちゃんと正しく位置づけていきたい、というふうに思っております。それは「プロジェクト型研究開発」でも同じでありまして、言葉は違いますけれども、「原子力研究開発としての技術的意義があるか」というところで、先進性や将来の発展性、それがまた社会システムに及ぼす波及効果について、今、目に見えなくてもそういうことが予定されるかどうか、というのはちゃんと見させていただこうと考えている、ということでございます。
  それから、どういうものをプロジェクトに、どういうものを基礎基盤に分類するかは非常に難しかったわけで、もちろんコメントがあれば替えさせていただくことは全然問題ないんですが、取りあえず事務局で整理しましたのは、実用システムを目指しているかどうかということで、プロジェクト型と基礎基盤に分けてございます。エネルギーシステムとか、動力システムとか、そういったものを具体的に頭に置きながら開発を進めているのか、それとも試験研究段階で多様な可能性を探っている段階なのか、ということで分けてございます。
  そういう意味で、今、いろいろな高温環境というものの可能性を探っている段階ではないかということで、高温工学試験研究も基礎基盤に入れております。金額的には1,000億くらいかけておりますので、金額的には相当なものですけれども、そういう全体の位置づけで基礎基盤に入れている、ということでございます。エネルギーシステム研究(革新的原子力システム研究)につきましては、それよりもまた一段と若い段階の将来の芽を探っているような部分がございますので、これも基礎基盤に入れて分類しております。
  それから「JNCと実用化戦略研究等、一緒に取り組んでやっていく新しい分野だ」というのは、正におっしゃるとおりでございまして、たまたま便宜上、サイクルと原研で分けておりますけれども、ご議論いただくときには一緒に評価や見直しをしていただけたら、というふうに思っております。そうすることによって、海外でのGIFの取組みなども踏まえつつ、将来性についてご議論いただけるのではないか、というふうに考えております。
  それから「プロジェクトを支える基盤というような視点も基礎基盤に付け加えたらどうか」というのは、正におっしゃるとおりだと思います。
  放射線利用研究の扱いについては、長計の分類と大体同じような形で書かせていただいている、ということを付言させていただきたいと思います。
  それから「明確にすべきは、各事業所・研究所ごとのミッションではなく、各事業のミッションではないか」というお話でございました。もちろん各事業ごとにミッション、目標というものは明確にしなければいけないんですが、東海地区とか、大洗地区とか、むつ地区とか、関西の地区とか、それぞれの事業所の性格というものをある程度くっきりさせた上で資源(装置や人材)の適切な配分をしていこう、というのが基本計画の宿題事項の(2)でございましたので、それをしっかりと議論していかないといけない、というふうに思って、このように記述しております。
  以上でございます。

  坂田審議官  齋藤理事長がご指摘の問題はよくわかりました。例えば、基礎基盤とプロジェクトをどう区分けするかということも、こちらから見ればこう、こちらから見ればこう、ということもありますので、そのへんは私どもも柔軟にやりたいと思います。
  どちらに分類されるにせよ、先ほどちょっと議論がありましたけれども、何のためにやるかということが非常に大事で、そのためにどういうやり方をするかということがまた大事なものですから、そこをしっかり押さえた評価・見直しのやり方をこれからやっていくことが一番大事ではないか、という具合に思います。

  田中豊蔵委員  今日のテーマである「今後どういうふうにしていくか」ということとは直接関係ないんですけれども、過去9回の論議を振り返りながら、今現在感じていることをちょっと申し上げたいと思います。
  まず第1は、パブリックコメントというのを今日拝見しまして、率直に言って、私は「おやおや」という感じがしたんです。オン・ザ・レコードで登録されるのだと思いますが、もし一般の意見を「基本報告」について聞くというのならば、もう少しちゃんとしてもらいたい。マーケッティングリサーチ的な手法で、それぞれの分野、団体、反原発団体等、批判的な組織を含め、広範囲な意見を集めて、記録するというのなら意味があると思うんですが、たかだか5つか6つ、しかも出所がはっきりしているというようなものを、公式な「基本報告」に対する意見として記録することの意味が私はよくわからない。
  一般のちょっとした社会的な事件あるいは会社などに対する様々な出来事に対する意見を集めると、収拾できないくらい集まるこの世の中で、これだけ重要なテーマにもかかわらず、1か月間にわたってあまりこなかったということは、言ってみれば、「専門的過ぎる」問題だからでしょうが、いずれにしても、パブリックコメントをとる以上は、もう少し組織的なきちっとした対応を今後はとってほしい、というのが第1点です。
  第2点は、過去の9回の論議の中で皆さんから共通して出されたのは、1950年代にスタートした日本の本格的な原子力への研究開発は、最初のうちは国民的な強い支持の中で成長し、様々な大小の事件を契機に、あるいは広報活動の至らなさみたいなことと相まって、いつの間にか今日のような原子力行政、あるいは具体的に原子力発電所に対する漠然とした不安、そういうものが非常に高まってしまったこと、この2つの法人が統一されるのを契機にそういうものを払拭する、新しい原子力の国民的期待、日本のエネルギーの国家的安全保障、国家的利益、そういうものに対する国民的支持が高まる契機としたい、半世紀にわたる日本の原子力の歴史の中で再出発する契機だ、というようなことをその都度何度もお話してきたと思うんです。
  そういうことを考えてみると、例えばこの1か月の間に電力会社による疑惑隠し的なニュースは一段と国民の原子力そのものへの不信感、あるいはあまり積極的に語りたがらないような雰囲気が高まっている、という現実の姿は非常に残念なことです。ですから、今日の会議は真っ先にそのことについての話があってしかるべきではないですか。「電力会社はけしからん」という意見でも、「今、新聞紙上などで問題になっているのは、安全の基準のなさ、そういうものに対する今までの様々な問題が露呈しているのであって、『本来的には安全なんだ』ということをもう一回基本的に構築すべきだ」という意見でも、いろいろな角度からいろいろな意見があっていいと思うんです。
  確かにここで論議する主テーマではないと思いますが、原子力の問題を論議するこの委員会で、しかも安全性みたいなものが強く語られてきた中で、マスコミの報道のあり方を含め、いろいろな角度からいろいろな意見がこの統合会議の席上で出ないのは不自然だと私は思うんです。今の国民的な漠然とした不安に対する憂慮みたいなものが今日の話し合いの中で表明されるほうが自然なのではないか、当たり前のことではないか。
  2つとも感想ですけれども、こういうことはどうなんでしょうか。これはむしろ皆さんにお聞きしたいくらいです。

  渡海副大臣  パブリックコメントの問題は会議の冒頭に委員の方から出たとおりでございまして、私も実は見たときに全く同じような印象をもたせていただきました。これからそういう機会があったときに、どういう方法でパブリックコメントを求めるか、ということについては十分検討させていただいて、より有効な方法を取らせていただきたい、というふうに思っております。
  あとの田中委員のお話でございますが、おっしゃる趣旨はわかるつもりでございます。ただ、既に8月5日に出された「基本報告」の中で、安全に対する考え方というのは委員の方々にかなりご議論をいただいていたようでございまして、随所に出てきておりますし、また、当準備会として何らかのコメントを発する機会があるのか、ないのか、そのことも含めて、一度我々も考えさせていただいて、うまいチャンスがあれば……。私の立場からも様々な機会があると思いますので、考えさせていただきたい。ただ、一応「基本報告」ということで委員の皆さんのご了解をいただいた上での取りまとめが行われておりますので、私の感想でございますが、今またわざわざというのはなかなか難しいかなと……。

  田中豊蔵委員  この会議で公式に一連の不祥事に対してコメントすべきだと、私はいっているわけではないんです。この会議は優れた専門家集団ですから、それぞれこの会議の使命とか、具体的なやるべきことを話されているわけですが、10回という切れ目ですから、もう少しいろいろなことを話し合いたい。原子力に関するいろいろな問題が毎日のように新聞に大きく出ているときに、それに全く触れない形の論議というのは……。自由に談論風発的に、あるいは多事争論的に語り合う席にしていかないと、いつまで経っても原子力というものに一般の人が関心をもたない。昭和50年代は市井の人たちが原子力に対する憧れをもって、それをバックアップし、知識も何もないけれども、それぞれの立場で期待感をもった時期が10年から20年続いてきたわけです。ところが、それが徐々にいろいろな要素で崩れてきた。それをこの統合をきっかけに再興たいということで、私は申し上げたわけです。

  渡海副大臣  議事録を見させていただきましても、事務局が提示をして、それに対してご質問をいただいたり、ご意見をいただく、というやり方だけではなく、「お互い委員の間でもう少し議論をしたらいいのではないか」というふうなご指摘もございました。今日は初めてでございまして、私も、どちらかというと、そのスケジュールの上に沿って運営をさせていただいておりますが、今後、会の運営につきまして検討させていただきたい、というふうに思っております。

  青木利晴委員  この「基本報告」に対しての評価・見直しという点についてのご報告はよくできていると思います。
  ただ、ニュアンスの点で一言希望を申し上げますと、独立法人化するということは、従来の国立の研究所であった時代にいわゆる国のほうを向いてやっていたのに対して、ステークホールダーが増えることになるわけです。一つは国民であり、もう一つは新しい研究所員の方々です。
  民間ですと、株主、顧客、社員というのが3つの大変重要なステークホールダーでございまして、そういう方々のバランスをきちっととって経営していくことが経営の根幹になるわけです。
  そういう意味でいいますと、国の方針というのは大変重要でございますし、今、田中委員がおっしゃられました、情報公開を含めた、国民に対するいろいろな説明というようなものが、皆さんからの期待あるいはいろいろなサポートを受けなくてはいけないという立場から、経営の一つの柱として必要でございます。
  それから、新しくできる組織の社員、職員に対してどういうふうにインセンティブをもたせていくのか。「経営というのはコストダウンだ。だから首を切るんだ」「それは困る」というような話ではなくて、むしろ逆に優秀な方はその成果に応じて処遇が上がる。逆の意味で当然、仕事のできない人は致し方ない、という点があるわけですが、ネガティブな面ばかり強調して、全体の平均値を下げるようなことなく、とにかくポジティブな、アクティブな人たちをどんどん伸ばすというようなことをしないと、新しい器で活性化した新しい研究というのはできないと思うんです。そういうところを何か盛り込んで、ステークホールダーが皆さんをサポートするような形にぜひもっていきたい、というふうに思います。

  住田建二委員  パブリックコメントのことでちょっと申し上げたいんですけれども、先ほどのご紹介の仕方に対して私は大変不満があります。
  なぜかといいますと、私どもが8月に報告を出した後、私の関知している限り、原子力関係のいろいろな研究者とか、組織体から文部科学省に対して、陳情というようなみみっちい話ではなくて、「二法人の統合についてはこういうふうにあるべきである」という大前提になるようなことも踏まえた意見がずいぶんいろいろ出たはずなんです。「今日それを全部コピーして配ってください」とは申しませんけれども、日本原子力研究所とサイクル機構のおつくりになられた資料が配られるんだったら、それに関連した職場で実際に仕事をやっていらっしゃる方の声も……。原子力というのは何も原研とサイクル機構だけでやっているわけではなく、いろいろなところでやっているわけですから、そういう人たちがいろいろな声を出して……。ある部分に対しては批判的であり、ある部分に対しては「助けよう」という声であったと思うんです。非常に大きな学術会議の四部とか、五部とか、いろいろなところでそういう意見が出て、届いたはずだと私は思っていたんですけれども、それはいかなかったんでしょうか。少なくとも私のEメールにはそういうものをずいぶんいただいております。「文部科学省に出すつもりだから」あるいは「出したから」ということで、私のところにリファーしてこられたわけです。「おまえは委員だから、よく見ておけ」ということで、勉強しましょうと思ったんです。
  私はさっきちょっと意地の悪い聞き方をしたんですけれども、さっきの5、6人の意見は特殊法人の職員だけの意見だけではないかと思いたくなるような……。内容が悪いということではないんですけれども、知らない人が見ると、そういうふうに受け取ってしまわれる。ですから、事務局としてはやはりそういう一般の声というのを……。役所のああいう整った形の上で公募してやりますけれども、それ以外にいただいた意見もちゃんとまとめて、適当な方法で配るなり紹介していただきたい。これはお願いです。

  事務局  学術会議のレポートは、この会議の7回目かに学術会議から報告していただいたものが正式なものになって配られた、ということでございます。「文言は一字一句変わっておりません」とおっしゃっておられましたので、それを取り入れた形で「基本報告」がまとまっている、ということをちょっとお知らせしたいと思いますが、原子力学会からつい最近ご意見をいただきましたので、それにつきましてはまた次回にでもご紹介したいと思います。

  坂田審議官  学会の件は今日出せばよかったかと思います。ちょっと反省しております。

  住田健二委員  逆に申し上げますと、学会というのは大きな組織体ですし、自分たちでも広報の方法を持っていますから、ホームページで広報するとか、いろいろなやり方があって、それなりに当会議に対して自分たちの意見を申し上げるチャンスはあると思うんですけれども、もう少し小さな研究グループとか、小さな学会からもいろいろな意見が出ているはずだと思うのて、もし届いてないようでしたら、ぜひ届くようにしたいと思います。それがお願いしたいことです。

  畚野信義委員  今、青木さんの話を聞いて、評価に基づく年俸制はシステムとして書いたほうがいいと思います。そういういろいろなことを思いながらこの「基本計画」を読みましたけれども、今、忘れていますので、もう一回整理して、この次は12月5日だそうですから、その前にメモにしてお送りしたいと思います。

  坂田審議官  ほかにどうでしょうか。「資料第3号」の関係ではよろしいでしょうか。
  いろいろご意見を賜りました。透明性と知的財産権の取扱いの問題というご指摘もございましたし、期待度、リーダーシップあるいは将来目標というご意見もいただきましたし、齋藤理事長のほうからは基礎基盤とプロジェクトとの区分けでありますとか、研究所間の壁をつくらないように、というご指摘等々ございました。評価・見直しをやっていくに当たっては、今日いただいたご意見を踏まえて、あまり硬直的にならずに進められるよう、事務局のサポートもそういうことに十分留意してやらせていただきたい、という具合に思います。

  渡海副大臣  この件につきましては、特に新しく参加をされましたメンバーから闊達な意見が出されたということが、私にとりましては大変印象的でございます。「基本報告」をまとめられるに当たってはかなりいろいろな議論をされておりますが、私もその中には参加をしておりませんので、読んだときに多少疑問な点もあることは事実でございます。おそらく新しい委員の方々もそんなことを考えておられるのかな、という気がいたします。
  今後、調査・整理作業を進めていただくお願いを秋山委員にしているわけでございますけれども、本日伺いました意見につきましては十分ご考案をいただきまして、作業を進めていただくということにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  (一同了承)
  それではそのようにお取り計らいをさせていただきたいと思います。

  坂田審議官  そういうことでご了承いただきましたので、これから秋山先生に具体的な調査作業の進め方についてご説明をお願い申し上げたいと思います。

  秋山守委員  それではご指名によりまして、お手元の「資料第4号」に沿って概略ご報告申し上げます。
  「原子力二法人統合準備会議における検討事項に係る調査・整理作業について」の件でございます。本件は、ただいまご紹介がございましたように、最後のページの(参考2)に概略ごらんいただけますような経緯で私に「お手伝いをするように」というご下命をいただきまして、原子力二法人統合の関係者及び外部の有識者の協力もいただきながら進める、という点が決まったわけでございます。
  その前のページの(参考1)と題しました前回の「資料第3号」の中ほどにご覧いただけますように、ただいま申し上げましたことが「今後の検討の進め方」の記述の中に明確に示されておりまして、「二法人の関係者、外部の有識者等の協力を得つつ、論点の整理、資料の作成等を行う」ということでございます。
  それに従いまして、まず表紙の「1.趣旨」のところを読ませていただきますと、「平成14年8月5日に取りまとめられた原子力二法人統合準備会議の『原子力二法人統合に関する基本報告』を踏まえ、原子力二法人統合準備会議における原子力二法人の評価・見直しの議論に資するため、『今後の検討事項』について調査・整理作業を行う」ということでございます。
  そして、「2.調査・整理作業の進め方」でございますが、「(1)調査・整理作業に当たっては、外部有識者の支援・協力を得る。支援・協力者については、検討事項ごとに別紙の方々をはじめ、適宜、各分野の有識者の支援・協力を求め、意見を聴取する」「(2)調査・整理作業に当たっては、日本原子力研究所並びに核燃料サイクル開発機構から検討事項についての説明・意見を聴取する」ということでございまして、次のページの「別紙」に主な支援・協力者の方のお名前とご所属、お役職が列記されております。
  簡単にご紹介申し上げますと、株式会社損害保険ジャパンの石井部長、株式会社共同通信社の内城部長、東京大学の岡教授、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンの門永ディレクター、河野弁護士、京都大学の香山教授、東京大学の中澤教授、電気事業連合会の濱田専務理事、それから名古屋大学の山本教授という方にお願いをしてございます。
  これらの方々の人選につきましては、それぞれのご専門、ご経験、ご見識等をバランス良く構成していただくように十分配慮していただいた結果でございます。
  概略は以上でございますが、本件につきましての私なりの理解と心構えの一端を、ごく簡単に蛇足ながら付け加えさせていただきたいと思うんですが、前回までの本準備会議での審議でちょうだいしましたご意見、また10回以降の審議で示されますご意見を極力反映することに私なりに微力を尽くしてまいりたいと思います。特に今回の「資料第3号」、並びに本件に関わり今日、本席で多々頂戴いたしましたご意見を踏まえて進めてまいりたいと思います。
  社会の状況、今後の動向を幅広く国際的な視野にまで広げ、また内外の関連組織の中での新法人の位置づけ、役割、使命等を十分に私なりに勉強して、関係の方々、構成員の方々の活動の実態、今後に対する構成員の方々の考え方などをできるだけ的確に把握することに努めてまいりたいと存じます。
  一点お願いでございますが、今後の作業の進め方の中で、両法人の実務クラスの方々との意見交換、現地を見学させていただくことも含めまして、そのあたりのご配慮を十分いただければと思います。
  以上でございます。

  坂田審議官  ありがとうございました。

  事務局のほうでお手伝いできることは最大限やらせていただきたいと思います。

  住田健二委員  もう時間がありませんから、ストレートに申し上げます。この委員会がスタートしたときにも最初に申し上げて、「大変誤解を招くような失礼なことを言った」と後でずいぶん叱られたんですけれども、何も原子力屋が原子力の中に閉じこもっていて、「自分たちだけが…」ということではないので、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
  パッと見て、原子力関係の実務のわかる人が4人おられます。大変立派な方で、私たちの次のジェネレーションのホープの方が並んでいるんですけれども、これほど大きな二つの研究機関をいろいろ評価されるときに、いかにしてもこの4人でカバーするというのは大変なことでありまして、バランスからいいますと、専門外の方とせめて同数くらいはほしいな、という感じがいたします。専門をここでガヤガヤ言うのはやめておきますけれども、おそらくこの委員の方々ご自身もそうお感じになっていると思うんです。
  今、秋山先生がおっしゃったように、もちろん原研、サイクル機構のしかるべき方に応援していただくことは当然ですけれども、外部の人間ももう少し増やせないものでしょうか。皆さんいろいろご都合がありますし、急ですから、お願いしてもすぐに引き受けてくださるかどうかわかりませんけれども、その努力をもうちょっとやっていただけないでしょうか。12月までということで、2か月しかないんですよ。私の感じから言いますと、はっきり言って、冗談じゃないですよ。ですから、「こんなのはかなわない」と断わられるかもしれませんけれども、わずか2か月の間でたった4人でそれだけの専門領域をカバーするというのは、応援してくださるというのはわかりますけれども、とても無理だ、私はそう思います。ですから、本当にやるんだったら、忙しい方には悪いけれども、くどき落としてでも倍以上の両機関以外の専門家の方の方に応援していただけるように……。もちろん原研、サイクル機構のそれぞれの専門の方にもぜひ手足になって応援していただくなり、いろいろご意見をいただくことは必要だと思います。

  坂田審議官  ここには9人ですけれども、別に9人に限らず、各テーマがございますので、各テーマごとに追加的にその専門家の方に何人か来ていただいて、やっていただきたいと思っております。もちろん具体的なやり方は秋山先生とよく相談をしてやりたいと思います。
  それから次回は12月に予定しておりますけれども、2か月間でやれる範囲がどこまでか。必ずしも全部やれるとは私も思っておりませんので、やれる範囲で全力を尽くして、2か月後の段階でこの統合会議にご報告できることをご報告する。さらに残された作業はまたやるという具合に、そこも少し柔軟性をもたせたい。怠けるという意味では決してございませんけれども、少しく柔軟性をもたせないと思っております。
  よろしゅうございましょうか。
  それでは、今の住田先生のご指摘を十分踏まえまして、秋山先生ご指導の下でいろいろ作業をする中身としてはできる限り濃くなるように、私どもも事務局としてサポートしたいと思います。
  それでは、最後にこれからのスケジュールを「資料第5号」でご説明させていただきたいと思います。
  来年の3月25日までに何とか終えたい、というスケジュールになっております。一応目標としてはこういうことでやらせていただきたいと思います。ただ、今も申し上げましたとおり、この評価・見直し作業は大変な作業でございますので、一生懸命やりますけれども、この年度末までに間に合わなければ、少し年度を越えてやることもあり得る、という前提にしたいと思います。それから、この本会合の間の秋山先生の作業の回数はどうしてもかなりのピッチになりますので、秋山先生に大変ご負担がかかることになりますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思っております。
  取りあえず本日予定した議題としては終わりましたが、何かございますでしょうか。
  もしないようでしたら、最後に副大臣のほうから……。

  渡海副大臣  本日は大変闊達なご議論をいただきまして、ありがとうございました。先ほども申し上げましたが、新しく参加していただいた委員の方々にご発言をしていただいたということは大変よかった、というふうに思っております。私自身も皆さんのこの議論に追いついていくべく努力をさせていただかなければいけない、というふうに思っているところでございます。本日も、個別、具体的には申し上げませんが、大変貴重な意見をたくさん賜りまして、本当にありがとうございました。
  その各委員の方々のご意見も参考にしていただきながら、今後、個別事業の見直し等の具体的な論点の検討に入るということで、秋山委員には調査・整理作業を行っていただくことになり、大変ご負担をかけることになるわけでございますけれども、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  次回の予定につきましては、先ほど坂田審議官からご報告をしたくらいのタイミングで、また皆さんにお諮りをして決定をさせていただきたい、というふうに思っております。秋山委員のほうからいろいろと調査・整理作業を行っていただいたご報告を基に皆さんにご議論をいただく、ということになると思いますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  今後とも引き続きよろしくご協力をいただきますことを最後に心よりお願いを申し上げまして、締めのご挨拶にさせていただきます。ありがとうございました。


  坂田審議官  ありがとうございました。


(研究開発局原子力課)

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