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原子力二法人統合準備会議

2002/08/05 議事録
第9回  原子力二法人統合準備会議

第9回  原子力二法人統合準備会議



日  時  2002年8月5日(月)  15:00〜

場  所  キャピトル東急ホテル「竹」




原子力二法人統合準備会議(第9回)議事録

1. 日時 平成14年8月5日(月)  15:00〜16:30

2. 場所 キャピトル東急ホテル「竹の間」

3. 出席者
(座長) 青山  文部科学副大臣
(副座長) 加納  文部科学大臣政務官
(有識者) 秋元勇巳  三菱マテリアル株式会社社長
秋山守  財団法人エネルギー総合工学研究所理事長
木村孟  大学評価・学位授与機構長
熊谷信昭  大阪大学名誉教授
小林庄一郎  関西電力株式会社相談役
住田健二  大阪大学名誉教授
住田裕子  弁護士
田中豊蔵  ジャーナリスト
西澤潤一  岩手県立大学学長
(文部科学省) 青江文部科学審議官、石川研究振興局長、白川研究開発局長、林大臣官房審議官、坂田大臣官房審議官

4. 議事
 
1. 開会
2. 基本報告のとりまとめ
3. 基本報告とりまとめ以降の検討方法等について
4. 閉会

5. 配付資料
 
資料1−1. 原子力二法人の統合に関する基本報告案
資料1−2. 原子力二法人の統合に関する基本報告案(見え消し版)
資料2. 原子力二法人統合準備会議からのメッセージ案
資料3. 基本報告とりまとめ以降の検討方法について
資料4. 第7回原子力二法人統合準備会議議事録
資料5. 第8回原子力二法人統合準備会議議事録
参考資料1. 第8回原子力二法人統合準備会議有識者委員の意見の概要
参考資料2. 原子力二法人の統合に関する基本報告案の要旨

  坂田審議官  それでは委員の皆様方おそろいでございますので、これから第9回の原子力二法人統合準備会議を始めさせていただきます。   いつものとおり、開会に当たりまして、まず青山副大臣よりご挨拶を申し上げます。

  青山副大臣  皆様にはご多忙のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
  前回、皆様からいただきましたご意見を踏まえまして、修正いたしました「基本報告(案)」を今回示させていただいております。ご議論をいただき、ご了承を得られれば、「基本報告」を確定させていただきたいと思います。この「基本報告」は、我が国の原子力研究開発の中核的拠点となるべき新法人の設立の意義、基本理念、役割、組織運営体制のあり方等について、基本的な考え方を示すものであります。国民や社会の期待に応える形で新法人のあり方の基本的な方向性が示せることと願っております。
  なお、統合準備会議の検討はこの「基本報告」の取りまとめをもって終了するわけではありません。今後は、個別事業の評価・見直し等の具体的な内容についてご議論をいただきたいと思います。本日もこれまでと同様、活発なご議論を賜りますようお願いを申し上げまして、開会の挨拶といたします。   ありがとうございます。

  坂田審議官  それでは議事に入ります前に、事務局のメンバーが少し交代をいたしましたので、ご紹介をさせていただきたいと思います。
  最初に、青江審議官の後任で間宮馨新文部科学審議官が就任いたしました。

  間宮文部科学審議官  間宮でございます。よろしくお願いいたします。

  坂田審議官  続きまして、遠藤局長の後任で石川明新研究振興局長が就任いたしました。

  石川研究振興局長  石川でございます。ただいま猛勉強中でございます。よろしくご指導お願いいたします。

  坂田審議官  それから今村局長の後任で白川哲久新研究開発局長が就任いたしました。

  白川研究開発局長  白川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

  坂田審議官  以上でございます。
  それでは議事に入らせていただきたいと思いますが、最初に本日の配布資料を確認させていただきたいと思います。

  (配布資料確認)

  よろしいでしょうか。よろしければ進めさせていただきたいと思います。
  それではこれから議事に入りますが、今、副大臣よりご説明ございましたとおり、本日のメインは、「基本報告(案)」をご審議いただきまして、できれば「基本報告」として確定したい、ということでございます。もう1点、「資料第2号」は前回、田中委員よりご提案のございました件についての事務局なりの考え方でございますが、この2つがメインでございます。それから3点目としては、「資料第3号」にございますけれども、秋以降の検討の報告についてもご紹介申し上げて、ご意見を賜りたい、という具合に思っております。
  それでは最初に、「基本報告」についてご議論いただきますために、事務局のほうから資料に基づいてご説明をさせていただきます。
  では、中西課長、お願いします。

  中西原子力課長  それでは、まず「資料第1−1号」、「資料第1−2号」につきましてご説明させていただきますが、その前に「参考資料1号」で前回出されました先生方のご意見についてちょっと振り返ってみたいと思います。
  「『もんじゅ』事故などを契機とした動燃改革により」というところは、「その反省の上に立った」のような一言を入れてはどうか。(住田裕子委員)
  統合の意義について記述している部分の頭に「研究開発事業の整理合理化」という文章が出てくると、全体として後ろ向きの印象になるので、これは後ろに回したらどうか。(秋元勇巳委員)
  放射線利用についてもう少し書いてほしい。
  原研が共同利用研究所として大型の研究施設などを提供して科学技術の基礎研究に対して寄与している、ということについて言及してもらえないか。(住田健二委員)
  秋元委員と同趣旨で、新法人の設立の意義の最初の2行あたりは冒頭にこないほうがいいのではないか。(熊谷信昭委員)
  問題の経緯から報告書が始まるのでなくて、「はじめに」ということで統合への強い意思というようなものをうたってはいかがか。(田中豊蔵委員)
  12の研究所、事業所がどのような観点で再編していくのか、というあたりを書き込む必要はないのか。(秋山守委員)
  各組織などの有機的な連携というようなキーワードを適切に記述すべきではないか。「(5)安全確保の徹底と立地地域との共生」に関して、対外的に見たとき、責任体制が明確になる必要があり、そういう趣旨の文章を追加できないか。(住田裕子委員)
  国と新しい法人との責任の関係について、国がもう少し表に出るような書きぶりができないだろうか。(小林庄一郎委員)
  秋山委員と同じ趣旨のことであるが、12の研究所、事業所が統合された後もこのまま存続し続けるかのような記述であるので、その点少し修正が必要ではないか。(木村孟委員)
  放射線利用研究について「新法人の業務としてふさわしい範囲で」と記述してあるが、もう少し前向きに取り上げる姿勢がほしい。(住田健二委員)
  大学で抱えている困難ないろいろな課題、研究炉の燃料の最終的な管理などについて、新法人と大学とで取り組んで困難を緩和していく、というような記述ができないか。
  核不拡散についての国際的な技術協力センターというようなものをイメージアップできないか。(秋山守委員)
  料理の中身を議論しないと、どんなお皿を用意したらいいかもわからない部分もあるので、統合で新法人の業務がどうなるか、ということを少し記述すべきではないか。
  国際協力についてアメリカやフランスなどの先進国との協力も言及されるべきではないか。(秋元勇巳委員)
  ITERを支える基礎的な研究活動を新法人の中でちゃんとやる、ということについて記述が必要ではないか。(秋山守委員)
  同じようなことでございますが、新法人の夢の部分として核融合というものの記述が必須条件ではないか。(田中豊蔵委員)
  ITERはエネルギー予算とはなじまないので、エネルギー予算とは別枠でITER予算は確保すべきではないか。
  デコミや処分費用について、ぜひ国が積極的に関与して、新しいスキームをつくって、新法人が憂いなく研究開発を進められるようにすべきではないか。(小林庄一郎委員)
  廃止措置のための費用あるいは処理処分のための費用を、新法人として確保するのは非常に難しいのではないか。今から仕組みを考えておかないと、独立行政法人としては成り立っていかないのではないか。(木村孟委員)
  原子力関係の予算はここ毎年減り続けているが、そういった中から放射性廃棄物関連、バックエンド関連の費用、ITER関連の研究費用を出すと、新しい研究をやる余地がなくなってしまうのではないか。予算は確実に確保する、というような枠組みが必要ではないか。廃棄物関連についても具体的な枠組みを国が積極的に主導して、発足の前に決めてもらいたい。
  独立行政法人になると、新たな会計制度が導入されるので、そうした会計制度の下で適切で公正な会計処理が行われる、と一言入れてもらいたい。
  そういうご指摘がございました。
  そのほかに先生方からペーパーでご意見をいただいておりまして、そういったものをできるだけ反映させるような形で、「資料第1−2号」に第8回資料に対する修正箇所表示の報告書の見え消し版がございます。これを用いて修正箇所についてのご説明を申し上げたいと思います。
  まずタイトルでございますが、今まで「基本報告」となっておりましたが、もう少し正確に「原子力二法人の統合に関する基本報告」とさせていただきたい、というふうに思っております。
  目次も見出しの変更、ページの変更に伴って修正させていただいておりますが、省略いたしたいと思います。
  1ページでございますが、下線を引いたところが変更点でございます。「原子力の開発機関」という言葉につきましては、法律の引用であることを明確にするためにカギカッコをつけてございます。
  それから2ページに入りまして、統一的に「原子力研究開発利用」という言葉は「原子力の研究、開発及び利用」というふうに書き下すようにしてございます。
  下のほうの原子力エネルギーの必要性についての説明のところでございますが、「エネルギー・セキュリティの確保」「地球環境の保全」だけではなくて、「資源の有効利用」という観点からも非常に重要であるということで、付け加えさせていただいております。  3ページに入りまして、「安定的なエネルギーの供給体制の確立に資することが極めて重要である」となっておりますが、「エネルギー・セキュリティの確保」が前のほうに書いてありまして、同じような言葉で受けても仕方がございませんので、もう少し大きな視点で受けるように記述を換えております。それが「我が国の経済・社会上の重要課題の解決に資する……」という言葉でございます。
  それから「放射線利用について基本認識のところでしっかり書き込んでほしい」というような話もございましたので、「また」以下を付け加えさせていただいております。「また、エネルギー利用以外の分野でも、放射線利用などの原子力の研究開発は、基礎から応用にわたる幅広い科学技術の発展や国民生活の質の向上、新しい産業分野の創出に貢献するものである」ということでございます。
  それから下のほうで日本原子力研究所の業績を述べているところでございますが、「日本原子力研究所は、原子力の総合的な研究開発機関として、各種の研究炉・試験の建設、運転及びその施設の共用を通じて、我が国初の原子炉の臨界達成、原子力発電の成功など、我が国原子力エネルギー利用や原子力研究の基盤の確立に大きく貢献し」というふうに追加させていただいております。
  それから動燃につきましては、「核燃料サイクル機構の前身である」ということを明確にしてございます。
  4ページに入りまして、「もんじゅ」の事故に関連しまして、「その反省の上に立った動燃改革」と、動燃改革が「もんじゅ」の反省として行われた、ということを明確にしてございます。
  それから下のほうでございますが、これも「原子力の研究、開発及び利用」のことでございますので、省略させていただきます。
  5ページですが、「特殊法人の形態により実施されてきた」ということは、経緯というよりもむしろ現状でございますので、「実施されてきた」とフルストップでございます。
  また、「長期にわたり公的資金や人材の投入を必要とするもであり、更に官民の力を結集して推進する」と並列にして、特殊法人の形態でやってきたことの説明にしてございます。
  それから、様々な事故などがございまして、「この結果、国民の原子力に対するかつての期待感は低下し、むしろ、原子力に対する不安感、不信感が国民意識の中に醸成され、その支持の基盤が損なわれている」というのはちょっと書き過ぎではないかということで、「揺らいでいるのが現状である」というふうにさせていただいております。このへんは、過去の原子力に対する期待が変わってきたということをまず記述し、それを踏まえて、この先どうするか、ということの導入部分でございます。
  (新法人設立の意義)の部分では、先ほどにように、「エネルギー・セキュリティの確保」と「地球環境保全」に加えまして、「資源の有効利用」の観点を付け加えているということと、原子力開発利用を進めていく大前提といたしまして、原子力の平和利用ということだけを掲げていたんですが、やはり「安全確保」というものも非常に重要なことでございますので、並列に掲げさせていただくということにしております。6ページの上のほうの修文で2箇所出てまいります。
  そして、原子力開発利用を推進していく上の目指すべきところを、「エネルギーの安定供給、科学技術の水準の向上や新産業創生に向けて」というふうに明確に記述させていただいたというのがもう1つの修正点でございます。
  それから新法人設立の意義について記述しているところでございますが、「既存の研究開発事業の整理合理化や研究資源の有効活用が一層推し進められるとともに」というふうに冒頭にもってくると、非常に後ろ向きのイメージになってしまうということで、それは後ろのほうに追加的に記述することにしておりますことと、「期待される」というのが2箇所続けて出てまいりますので、「発揮されるとともに」という言葉でくくることにいたしました。それが6〜7ページにかけての修文でございます。
  8ページの「2.新法人設立の基本理念」の1は「原子力の基礎・基盤研究において世界をリードすること」と書いてあるんですが、「これはリーダーになることなのか、それともトップになることなのか、先頭集団に位置づけるということになるのか明確でない」というご指摘もございまして、「世界の最先端の水準を目指す」という記述に換えさせていただいております。
  それから「『国』とか、『我が国』という言葉を正確に使うように」というお話もございまして、「国として必要であるが大学や産業界において保持が困難な……」というのは、文脈から「国」ではまずいので、「我が国において」に修文させていただいております。大学や産業界において保持が困難であるようなものについて新法人が整備するというのは、公的な機関が何かものごとを整備するときのいつものロジックでございます。
  それから「大学や産業界に対して共用を促進する」ということを明確に記述させていただいております。
  そのほか、「これら(123)の取組みによって、国内にあっては産業界や大学、行政に対して新法人は知恵袋として貢献していく、ということを記述すべきである」というご意見がございまして、「積極的な知見の発信、技術的支援、提言等を通じて」というふうに入れさせていただいております。こういう方法を通じて国内の各界の活動を支え、「国際的には、原子力の平和利用に徹し、核兵器廃絶という国民の悲願を視野に入れて、核不拡散のための諸活動に対し、技術面、人材面において積極的に参加し、貢献することを目指すものとする」という書きぶりを維持しております。
  それから9ページの真ん中でございますが、「我が国の原子力安全規制……」ではなく、「国の原子力安全規制……」でございますので、修文をしました。
  10ページに入りまして、「原子力二法人の統合は」というふうに始まっていたんですが、そうしますと統合後も12の研究所・事業所が維持されるような書き方になってしまいますので、形容詞的にしまして、「……を有する原子力二法人の統合は」というふうにさせていただきました。また、再編があり得るということが後ろのほうに出てまいりますが、後でご紹介いたします。カッコの中を少し書き換えましたのは、事務的に正確に記述するためでございます。
  それから「各事業間の有機的連携の確保」又は「確立」というのはご指摘がございまして、2〜3箇所に記述させていただいております。
  11ページの立地地域との共生のところでございますが、「新法人の活動について、安全確保を含む事業の実施における責任体制を対外的に明確にした上で」ということを明記しております。
  「3.新法人に求められる役割」の(1)では、基礎・基盤研究を総合的に推進する」に加えまして、「さらに」と少し強調したということと、これまでも原子力の可能性を様々に開拓していたわけですが、「更なる開拓を目指して」というふうに書き換えてございます。
  13ページの大学との連携・協力の充実強化のところは、「大学側に対し、その保有する施設・設備の活用の機会を提供することなどにより」というふうになっていたんですが、幾つかコメントがございまして、「大学との双方向の交流を通じて大学における原子力研究に協力していく、というニュアンスがもう少し出ないか」というようなお話でございました。
  施設・設備の活用についての具体的な記述は、下の3で「必要不可欠な施設及び設備であって、大学や民間企業などの新法人以外の機関には保有、維持が困難なものを整備し」となっておりますので、新しいものも含んでいる記述になっておりますので、そこを引用する形にいたしまして、「下記3に記述する施設・設備の活用を通じて」というふうに記述し、「大学との研究交流を活性化することなどにより」と手段としまして双方向の交流を書き、目的として「大学における原子力研究の実施に協力する……」という書きぶりにしてございます。
  産業界の協力のところでは、「核燃料サイクル分野における連携・協力が実用化に近いところだけに限定してしまわれているのではないか」というようなご心配もあったように思います。実用化に近いところだけではなく、もちろん実用化になったところに対しても技術や人材の移転などを幅広く行うというようなことが大切でございますので、この限定するような文言を切っております。
  14ページは、原子力平和利用について新法人がどういうふうな役割を果たしていかなければいけないか、ということでございますが、「解体核兵器から発生する余剰プルトニウムの平和利用方策を実現するため必要な体制、環境を整えつつ」ということで組織的に取り組むということを記述し、「国際協力の場で積極的な役割を果たしていく」ということにしまして、単に参加するということでなく、もう少しポジティブな役割を演じていく、ということを明確にしております。そして、アジアとか、先進国とか書き分けないで、「諸外国との研究開発協力を積極的に推進する」という書き方にしてございます。
  15ページの「独立行政法人制度の趣旨を踏まえた組織・運営体制の確立」の1でございますが、「新法人の業務運営は、主務大臣が、原子力長計等の計画に基づいて策定する中期目標」という具合に、「整合性を担保しつつ」というよりもう少ししっかり長計などに基づいて中期目標はつくられる、ということを記述することにしました。
  それから、これは事務的な修文ですが、その下に「その他の業務運営に対する」という言葉がありましたが、その他の業務なのか、その他の関与なのかはっきりしない、ということがございまして、「その他の国の関与」と後ろのほうに倒しております。
  それから独立行政法人会計基準というのがございますので、それにのっとって適切な会計処理と監査が行われることが必要である、というふうに追加してございます。
  16ページの頭のところでございますが、複数の事業を有機的連携を確保しつつ統一的、一体的に遂行することが必要である、ということを強調してございます。
  17ページの「(3)業務運営の在り方」の1の流動的な人事システムのところですが、「柔軟な」という言葉をタイトルと文章の中とペアで追加しております。
  18ページは原子力安全研究のやり方についてでございます。今まで「中立性」、「独立性」を配慮した業務運営が必要である、というふうになっていたんですが、それに「透明性」という、対外的に活動内容がよくわかるような体制で進めなければいけない、という意味のキーワードを追加してございます。
  それから人文社会科学の専門家の方々についてでございますが、原則「協力を得る」という書き方に直させていただいております。
  19ページは、これは"てにをは"の部類だと思いますが、「広範な分野の専門家等との連携及びこうした専門家等の参画」と修文をしております。
  それから「4  原子力施設及び設備の共用の促進」のところは、「新法人の保有する」という言葉を落としております。現有に限らない、そういう意味でございます。
  それから、もう既に出てまいりましたが、「6  立地地域との共生」のところでは「責任体制を対外的に明確化し」ということが一つ、もう一つは、「また、立地地域との関係においては、国の適切な関与も必要である」ということで、今までも直接の関与をいろいろしてまいりましたが、今後も維持する、そういう意味で記述してございます。
  20ページは「1  累積欠損金の適切な処理」でございますが、まず「国は、そのために必要な措置を講じるものとする」として、上に書いてあります、新法人として健全な運営を確保し得る財務体質と財政基盤を確立することのための措置は国は講じる、ということを明確に記述したということと、「累積欠損金は全て減資され新法人に引き継がれないことが最も望ましい」というふうに明確に記述しました。
  それからバックエンド関係でございますが、国の役割について明記しました。「また、国は、原子力二法人におけるこれらの作業結果を踏まえつつ、新法人に対する財源措置の在り方等必要な事項について併せて検討を進めておく必要がある」ということでございまして、二法人ではコストやスケジュールなどの計画をつくる、それから連携・協力してこれに対応するための枠組みを具体化する、ということでございます。財源措置をどうするかということについては国の役割である、ということを明確にしたわけでございます。
  21ページにもう一つ国の役割がございまして、本件に関連いたしまして、RI・研究所等廃棄物(低レベル放射性廃棄物)の処分事業のあり方について今、検討を進めているところでございまして、その部分も国でちゃん取り組む、ということを記述させていただいております。「なお」書きから上の財政措置とペアで取り込む、ということを明記したわけでございます。
  それから、これは宿題事項の2番目でございますけれども、「各研究所・事業所毎のミッションを明確化し、その再編や……」と、再編成があり得る、というような記述をしてございます。
  22ページは、組織運営はやはり各事業の有機的連携ということが非常に重要でございますので、そのへんを明確にしたということでございます。
  そのほか、後ろのほうに【参考4−1】というのが付いていまして、そこに「日本原子力研究所のあゆみ」というのがありますが、幾つか過去の業績について追加をしてございます。それから削除したものもございます。
  それから、時間の関係で間に合わなかったんですが、【参考4−3】の「核燃料サイクル開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)のあゆみ」につきまして、2箇所ほど削除したいと思っているところがございます。それは、54年12月の「ウラン濃縮パイロットプラントで国産初の濃縮ウラン回収に成功」というところでございます。後のほうで「ウラン濃縮原型プラント全面操業開始」とか、いろいろ濃縮関係が出てまいりますので、これはいいでしょう、ということでございます。それから平成4年4月の「ガラス固化技術開発施設(TVF)が完成」とありますが、後のほうで「国産ガラス固化体第1号完成」というのが平成7年2月に出てまいりますので、このへんはよろしいのではないかということで、2箇所ほど削除しております。
  変更点は以上のとおりでございます。
  それから、田中先生が言われておりました「はじめに」という部分でございますが、「資料第2号」で統合の意義をうたい上げる記述を(原子力二法人統合準備会議からのメッセージ)という形で取りまとめてみました。読み上げる形でご紹介したいと思います。

我が国の原子力の研究開発の新たな発展に向けて
(原子力二法人統合準備会議からのメッセージ)

  原子力二法人統合準備会議は、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構(以下「原子力二法人」といます。)の統合について議論を重ねてきました。そして、本日、ここに「原子力二法人の統合に関する基本報告」を決定するに当たり、この会議に委員として参加した私たちの基本的な考え方を併せて明らかにしたいと思います。

  この検討に当たって、私たちは、まず、原子力の研究、開発及び利用が、国家戦略において、どのように位置付けられているのかを考えました。
  現在でも資源の大半を海外に依存する我が国にとって、資源の有効利用とエネルギーの安定的確保は、国の重要な戦略課題です。さらに、地球環境を保全する観点から温暖化ガスの排出量の抑制が国家的責務となっている現在、エネルギー源を化石燃料から原子力エネルギーを始めとする非化石エネルギー源に転換することは国の急務となっています。また、放射線の利用も、医療、工業を始め、国民生活に密接に結びついていることを忘れてはなりません。
  しかし、一方で、度重なる原子力事故等の結果、国民の原子力に対する信頼感、期待感は揺らいでいます。
  このような原子力を取り巻く状況を踏まえ、私たちは、原子力の研究、開発及び利用の推進が我が国にとって極めて重要な国家的課題であるとの基本認識に立って、今回の原子力二法人の統合を国民の原子力に対する信頼を回復し、原子力の研究、開発及び利用を国民の理解と支持を得て推進する契機にしなければならないとの決意で議論に臨んできました。

  その結果、何よりも、原子力基本法の精神に立脚し原子力の平和利用に徹すること、安全確保に万全を期すことが、国民と国際社会の支持と理解を得て原子力の研究、開発及び利用を推進するための必要不可欠の基礎であることを認識しなければならないと考えます。  その上で、新法人は、原子力の研究開発を通じて、エネルギー・セキュリティの安定的確保や科学技術の水準の向上といった国家的戦略課題の達成に不可欠な存在とならねばなりません。また、国際的にも、核不拡散の強化など原子力の平和利用に徹した国際貢献を進めることが重要です。
  したがって、原子力二法人の統合は、行政改革の一環として実施されるものではありますが、その次元にとどまらず、国民と世界の人々の利益を実現する上で欠くことのできない中核的研究開発機関を戦略的に創設するものでなければなりません。

  そのため、国及び原子力二法人を始めとする関係者は、我が国の将来にとって原子力が重要な位置を占めることをしっかりと認識しつつ、それぞれが果たすべき役割とその責任の重さを自覚し、原子力の研究、開発及び利用の着実な推進について、国民的な合意を確かなものとするべく、あらゆる努力を惜しまぬことが必要です。
  そして、このことが、我が国の原子力の研究開発の新たな発展につながることを強く期待します。

  以上でございます。

  坂田審議官  このメッセージはまだ案ですので、必ずしも推考が十分でないところもあると思いますが、前回の田中委員のご提案を踏まえて、事務局のほうで取りあえずドラフトしたものでございますので、後ほどご議論をいただきたいと思います。
  それでは、これからしばらくの間、議論していただきたいと思いますが、最初に説明のありました「基本報告」は20ページ余りありますので、7ページの「2.新法人設立の基本理念」の前くらいまででもし何か追加的なご意見がございましたら、お願い申し上げたいと思います。
  なお、先生方から前回の会議以降に書面等でいただいた意見は多々ございましたけれども、必ずしもすべて入っているとは限りませんので、その点をお含みおき願いたいと思います。

  中西原子力課長  特に個別の事業についての内容をここに盛り込むことについては、今後の検討に委ねております関係上、あまり好ましくないと感じておりまして、そういった記述はまだこの「基本報告」には含めない、という方針で修文をしてございますので、ここには入っておりません。

  秋元勇巳委員  前回からだいぶ勝手なことを申し上げましたけれども、それを非常によく取り上げていただきまして、大変感謝申し上げます。全体の内容は大変バランスのとれた良いものになっていると思います。
  ただ、最後にお話になりましたように、今後何をやるかということについてはこれからだということで、それはそれで一つの見識かと思うんですけれども、実は最初のところで「もんじゅ」の話が2回ばかり出てくるわけです。4ページで「もんじゅ」事故などを契機にその反省の上に立って動燃改革をやった、5ページで高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故があったという形になっていて、これは正にそのとおりで、この問題を契機にして安全の研究推進に向けて一大決心をして始めた、ということは読めるんですけれども、その後、この「もんじゅ」というのが何も出てこないものですから、「もんじゅ」は反省してやめてしまったのか、という感じの誤解を受ける可能性があるのではないか、という気が私はしています。その後の研究を例えば「『もんじゅ』を中心にしてやる」とか、「高温ガス炉をやる」というような記述があればいいわけですけれども、それがないままそこで消えてしまうのは問題だと思うんです。
  漏洩事故については重大な反省をしたわけですけれども、その後、例の西澤委員会で、「もんじゅ」についてどうすべきか、というようなことについて2年ばかりかけてやりました。その結果、「この研究開発は十分な安全対策を施して再開すべきだ」という結論を出して、その後、原子力委員会の長計で「もんじゅ」を再開して、高速増殖炉をベースにした燃料サイクルの研究開発を進めていく、というような基本方針が出ているということがあるわけです。
  そういうことがここではちょっと読めないということになってしまうので、ちょっと気になるものですから、これは今の私の試案ですけれども、ここのアイテムについてはこれからということで、それは載せないということであるならば、4ページに今の原研とサイクル機構の状況をいろいろ詳しく書いておられます中で、「『もんじゅ』の委員会あるいは長計で示された方針に従って、『もんじゅ』の安全な再開、運転に向けて鋭意努力をしている」というようなことを書き加えていただければ、「もんじゅ」については前向きにこれからもやっていく、という姿勢が読み取れるのではないか、という気がいたしますので、例えばそういうような形での言及をご考慮いただければありがたい、というふうに思います。

  坂田審議官  秋元委員のおっしゃった点については、取り入れて工夫したいと思います。
  ちなみに、現状のドラフトのままですと、「『もんじゅ』はこれからどうするのかわからない」というご指摘がございましたが、さっき中西課長が申しましたとおりの考え方でいったん整理したものですから、そういう印象があるかもわかりませんが、「もんじゅ」を再開することは役所としてはしっかりした方針でございまして、来年度もそれに必要な予算をつけていくということは変わりませんので、念のため申し上げておきたいと思います。
  さらに7ページの「2.新法人設立の基本理念」から11〜14ページの「3.新法人に求められる役割」まで広げて、ご意見がございましたら、お願い申し上げます。

  加納大臣政務官  今の秋元委員のご発言でございますが、例えば4ページに入れるのはちょっと変だと思いますので、4ページは反省で終わって、どうするかという12ページあたりにちょうどうまいところがあります。「……目指した研究開発を、産業界との密接な連携・協力の下、高速増殖炉等の将来の実用化を目指しつつ推進する」とありますから、このあたりに例えば「『もんじゅ』の運転再開を始める」とか、何かちょっと入れますと、秋元委員のご発言が生きてくるかと思います。全面組換えだと今日の会議が終わらなくなってしまう可能性がありますけれども、言葉をちょっと入れるということであれば、12ページにそういうようなものを……。入れ方は事務局とちょっと相談しますけれども、そういうようなことでよろしゅうございましょうか。

  秋元勇巳委員  むしろそのほうが今後の方針が非常にはっきり読めると思います。今の加納政務官のお考えのほうが私の試案よりはよりベターだというふうに思いますので、ぜひそういうことでお願いをします。

  西澤潤一委員  前にも申し上げたのでありますが、取り入れていただけなかったようでございます。外国で何をやっているか、ということを頭の中に置く必要は取りあえずはないので、自分たちの研究をどう進めていくか、という足元から研究所が問題を解決していく、場合によれば事故の防止くらいそれでできるような状態になっている、ということがまず第一条件ではないでしょうか。
  大変苦しい状態で国家財政も相当食べているわけですから、そういう意味で現実のものをまず真っ先に社会に対して責任を取って果たしていく。場合によれば、その結果としては参謀本部的な役割を果たして、これから国がどういう方向でエネルギー政策をやっていくか、ということに対する解がそこの結果からちゃんと出てくるような、つまり、国の一番身近なところから片付けていく、ということをぜひ念頭に置いていただきたいと思います。

  中西原子力課長  西澤先生がおっしゃられたことは、8ページの下から6〜7行目くらいのところに書かせていただいたつもりでございます。「参謀本部」、「知恵袋」というのは報告書にストレートに書きにくかったので、「国内にあっては、積極的な知見の発信、技術的支援、提言等を通じて、産業、大学、地域、行政における原子力に係る活動を支え」というような言葉を付け加えさせていただいて、そのニュアンスを出すように努力したんですが、いかがでございましょうか。

  西澤潤一委員  そういうようなことが書いてあるとはいえ、外国のデータを使うことはもちろんけっこうですけれども、最終的にはその足りないところは自分のデータで補って、自主性のあるジャッジをしていただくことがやはり基本的に大事ではないか、というふうに思っております。
  具体的にいいますと、これはいろいろ差し障りがあるかもしれませんが、「『もんじゅ』みたいなものがいつまで経ってもゴロゴロしているようでは困るので、早くその役割を果たして、つぶすなら早くつぶしてしまえ」というふうなことはあまり適当ではない表現だと思います。

  加納大臣政務官  今の西澤先生のご発言は大事なご発言だと思います。前から伺っていて、今日事務局で修文したのではちょっとまだ迫力不足というお気持ちがあると思うんです。先生のお気持ちを尊重しながらここの文章をもう一回読んでみると、例えば「積極的な」の前に一言「自主的」と入ると、先生のお気持ちがワッと前に出てくるかな、と。「自主的」という三文字を入れさせていただくというのはどうかと思います。先ほどの「もんじゅ」を入れるところと今の「自主的」の2箇所は座長と相談でございますが、「自主的・積極的な知見の発信」ということで、外国をキョロキョロしない、しっかりと足元を見て責任をもってやる、という先生のお気持ちが表れるかと思います。

  住田健二委員  細かいことをいろいろ申し上げたので、ある程度は入れていただいて、あるところから先は頑としてはねつけられた。ということです。ここでもう一回蒸し返しても仕方がない。という感じがあって、個別のところでまた申し上げたいと思います。   ただ、一つだけちょっと気になることは核融合の問題についてで、ITERのことは言及してあるんですけれども、もし参加することになれば、これはこれで一つの決定ですけれども、万一しなかった場合もあり得るわけです。そういう意味では、原研の持っている核融合に対する寄与というのは、ITERがどうなろうと、やはり我が国の核融合の中央的な研究所の役割を持つはずですけれども、そのへんがちょっと……。私は先ほどから読み返してみたんですが、はっきりしない感じがしました。今、秋元先生がおっしゃったように、「もんじゅ」は事故に関係して二回だけ出てくるんですけれども、前向きな話では一回も出てこない。核融合も似たようなことでございまして、ITERという言葉は出てくるんですけれども、核融合エネルギーの開発についての寄与というかっこうではあまりはっきり書いてないような気がいたします。そのへんが気になるといえば気になるんです。

  中西原子力課長  ITERは手を挙げて誘致を申し出たわけですけれども、本当に誘致できるか、できないかによって国内体制も相当変わってまいりますし、それによって新法人の役割も違うということで、現時点で白紙でございますので、それがはっきりする頃、来年の早い段階で誘致できるか、できないか、はっきりすると思います。その状況を踏まえて、ちゃんと書いて、最終報告には間に合わせたい、というふうに思っておりますので、そういうふうにご理解いただきたいと思います。

  住田健二委員  そのことをはっきりと議事録に残していただければけっこうです。

  坂田審議官  大体説明があったとおりですけれども、私どももちょっと悩みが深いところで、ITERがどうなるかによって国内における核融合の研究の進め方がかなりの程度影響を受けます。今はそのへんがはっきりいたしませんので、本会議においてもまだ個別に核融合の問題を十分ご議論していただいてないこともございまして、現状のような案になっております。

  秋元勇巳委員  ITERの件につきましては私も、現在ではこの程度の書きぶりが一番ふさわしいのかな、そういう感じがいたします。今、住田先生から「他の核融合研究に影響を及ぼすかもしれない」というお話がありましたけれども、下手をすると、他の核分裂研究、例えば今行われている核燃料サイクルであるとか、あるいは現在の原子力エネルギー関連研究のところにまで影響が及ぼされる可能性がなきにしもあらずであります。   というのは、総合科学技術会議で「ITERについては原子力の予算の中で処理せい」というような枠がはまっている、というふうに承っていまして、いわゆる閣議決定ではないわけですから、どういう意味をもっているのかよくわからない、というところもありますし、財務省の単なる希望であるのか、それともそれ以上にもっと大きな意味があるのか、ということにもよると思うんですが、どういう形にせよ、もちろん必要でないものはこれから十分整理をしていかなければいけない部分もあるわけですけれども、基幹となる研究開発に影響を及ぼすような形でITERを導入するというようなことについてはやはり慎重であるべきだろう、というふうに思っています。そのあたりはここにはなかなか書きづらいところかもしれませんけれども、原子力エネルギー研究の大宗を踏まえた上で、それから先のいろいろな研究開発について必要なものを推進していく、という基本姿勢をぜひとももう一回再確認させていただければありがたい、というふうに思っております。

  中西原子力課長  ITERについてでございますが、閣議決定は「総合科学技術会議『国際熱核融合実験炉(ITER)計画について』を基に、国内誘致を視野に入れ、協議のために青森県上北郡六ヶ所村を国内誘致の候補地として提示して、政府間協議に臨むことを了解する」という了解文書になっておりまして、総合科学技術会議の結論が全体として引用される形になっておりまして、総合会議の結論はそれなりの重みをもったわけでございます。   その結論の中で、誠に微妙な書きぶりですけれども、「ITER計画については、政府全体でその推進に取り組むとともに、所要費用については第2期科学技術基本計画を踏まえつつ、他の科学技術政策上の重要政策に影響を及ぼすことがないよう、既存の政策の重点化・効率化を図り、原子力分野の予算の範囲内で確保すること」となっております。「他の科学技術政策上の重要政策に影響を及ぼすことがないよう」というのが一つあって、そのほかに「既存の政策の重点化や効率化も図る」ということもあり、それからまた「原子力分野の予算の範囲内で確保する」ということも書いてあり、その上に24兆に伸ばすと言われている第2期科学技術基本計画が取っ掛かりになるということで、「第2期科学技術基本計画を踏まえつつ」というような言葉もあって、いろいろな思惑の入り乱れた中で整理した文章がこれでございます。   重要な政策に影響を及ぼすことがないということは、基本的な思想の一つになっておりますけれども、重点化や効率化も必要だ、というふうになっておりますので、書くのでしたら、まとめてこれ全体を書かなければいけないのかな、というふうに思いますが、ITERはエネルギー政策の予算を使って推進する、という前提にはなっておりませんで、はっきり言えば、特別会計ではなくて、一般会計でやるということが前提になっている、ということは確認させていただきたいと思います。

  坂田審議官  今の閣議決定はいろいろな注釈がついていますけれども、核融合も含めて、原子力の研究開発の予算にこれからどれだけ資金の充当がやっていけるかということが、今、秋元委員がおっしゃった非常に大事なその他の原子力の研究開発に影響を及ぼさないようにできるか、できないか、そういうことに関わってくると思います。私どもとしては、ITERをやる場合にはそれがちゃんとできて、かつまた、その他の重要な原子力の研究開発に大きな影響が出ないような予算が必要だということを訴えていきたい、という具合に思っております。   それでは、22ページの最後までを含めまして、ご意見、コメントがございましたら、よろしくお願いいたします。   前回までに、経営基盤の確立のところで欠損金の話とか、廃棄物の処理処分についてかなりいろいろご議論をいただきまして、その後コメントもちょうだいいたしましたが、それらを踏まえて、こういうような案に修正をさせていただきましたけれども、いかがでしょうか。   秋山守委員  報告書そのものは私はこの原案で大変けっこうだと思います。大変よくまとめていただいたと思います。   その次に「基本報告とりまとめ以降の検討方法等について」という議題が挙がっておりますが、その検討の進め方がこの「基本報告」と次の議題との間のつながりとして、私の頭の中で多少気になっている点でございます。この「基本報告」の最後の「5.原子力二法人統合準備会議の今後の検討事項」というくくりで、(1)〜(3)まで整理しております。これもこのとおりでよろしいのでございますが、今後、検討事項を進めるに当たっての心構えといいますか、考え方につきまして、これは資料とか、議事録ということでなくてよろしいんですが、私の期待を込めて、今日この場で意見を若干申し上げたいと思うのでございますが、よろしゅうございましょうか。   本報告は新法人を直接の対象としたまとめ方になっておりまして、併せて国をはじめ産業界、また学会等関連のそれぞれのセクターでこの「基本報告」に盛られた内容、精神が着実に実現されるように協力・連携していくということで私も理解しております。その意味で、この新法人を巡る国の基本政策、それから大学あるいは基礎的な科学研究所の面での学術的な政策、産業政策、そういうものと連関協力を今後どう進めていくかというあたりについて、しかるべく理解をしていくことが必要であると思っております。   今申しました国の基本政策、それから学術政策、産業政策の中にあって、本基本計画に係る主要な部分は研究開発又はその実用化に係る政策でございますが、私の期待を一言で申し上げますと、この基本計画の実現に際しまして、原子力基本政策はもとより、国のセクターで申しますと、経済産業省、文部科学省その他環境省等、それぞれのお役所でのご計画あるいは審議の今後の進め方等との連関で、ここに漏られた精神、内容が適切に反映されていくように、その間の連携・協力をぜひ意識的に積極的に進めていただきたいと思っているところでございます。独立行政法人の独立ということは、もちろん行政法人としてのある意味での独立性を認識して、自らの役割を的確に実現するということでございますが、最近の世の中のキーワードは連携と協力でございますので、それぞれのお役所の政策あるいはご計画との連携・協力又は共生ということをぜひ今後の検討方法の進め方の段階で適切にご考慮いただき、反映していただければと思っております。   若干言葉が抽象的に過ぎたかもしれませんが、ぜひそのあたりをよろしくお願いしたい、ということでございます。報告書そのものは大変よくまとめていただいたと思って、感謝しております。

  坂田審議官  大変大事なご指摘だ、という具合に受け止めさせていただきたいと思います。

  秋元勇巳委員  今、秋山先生がお話になられたことと似たようなことになるのかもしれませんけれども、原子力施設の廃止措置あるいは放射性廃棄物の処理処分というようなところについて、法人が発足前にできるだけきちっとした枠組み決めておいて、この問題が法人の効率的な運営の足を引っ張らないようにひとつぜひお願いしたい、というとを申し上げます。ここで財源措置のあり方等必要な事項について検討を進めておくというようなことで、現時点ではこれ以上書くのはなかなか難しいかもしれませんが、そういう形で踏み込んでいただいたことは大変ありがたいと思います。   例えば、高レベル廃棄物の最終処分ということにつきましては、基本的には最後は電力さんが法人をつくっておやりになるというようなかっこうになっていて、その前段として経産省がいろいろな形でその計画に絡んでおられる、というようなことでもございますし、あるいは民間にも今そういう意味でのまだ未解決の廃棄物問題がたくさんございます。こういう問題を進めていくということになりますと、国全体としての廃棄物政策をきちっとやっていかないと……。例えば、アメリカの場合でも最終的には連邦政府が出てきまして、例のユッカマウンテンの問題をやると決めたわけでありますけれども、あの場合にはオール省庁で問題に取り組まれた、というふうに聞いておりますし、このあたりを今後、第2段階の検討のところでぜひとも国を挙げての廃棄物政策の立案、そこまでの関与を進めていただければ大変ありがたい、というふうに思っています。   経産省の人もオブザーバーとしては今ここにずっと出てきておられたわけですけれども、今回までまだ一度もご発言がございません。この枠組みまでのところはこれでよろしいかと思いますけれども、この次に例えばこういうものをつくっていくということになりますと、やはりもう少し有機的にかんでいただいたほうがいいのかな、というような感じもします。あるいは環境省のお役人の方々も、環境政策ということでこの問題についてはそれなりにきちっと納得をしていただかなければいけないということもあろうか、という気もいたしますし、そういうところを今後の第2フェーズの運営の仕方としてひとつ何かお考えをいただければ大変ありがたい、というふうに思っております。

  坂田審議官  第2フェーズの検討の仕方の取りあえずの案みたいなものがありますので、後ほどご紹介して、またそこでご議論をいただきたいと思います。   「基本報告」の本文について何点かご意見をいただきまして、修正すべき点はまた修正したいと思いますけれども、大体よろしいでしょうか。   よろしければ、「資料第2号」でメッセージの案をご用意したわけですけれども、本件についてご意見がございましたら、よろしくお願いしたいと思います。ご提案いただいた田中委員、どうでしょうか。   田中豊蔵委員  私は、この二法人の統合、新法人の発足というのは、例えば今、連日のように新聞を賑わせている道路公団の問題などと比べて、その国家的意義とか、国民にとっての将来にわたる重要な政策課題という意味では、比べものにならないくらい大変なテーマだと思うんです。そこで、当会議が半年くらいかけて会議を続けてきて、こういう「基本報告」をつくったわけですが、直接的に国民の長期的かつ今日的な重要性の強いテーマについて、せっかく大先生がここにたくさんおられるわけですから、そういう方の肉声、国民に呼びかける血の通った発言があると、この「基本報告」を支える一つの精神的基盤がより強くなるのではないかということで、先般申し上げたわけです。   事務局が非常にお骨折り願って、これができたと思うんですが、お役所のつくった文章にしては相当苦労された跡があると思うんです。"ですます"調で、これはお役所というよりも正にここにいる我々の文章になっている、という感じがいたしまして、私は賛成でございます。

  住田健二委員  役所でこういう会合をやりますと、もっと硬い導入がついていて、何かわかりにくい、取っ付きにくいことが非常に多いんです。ですから、こういうメッセージをつけて出すというのはある意味では型破りだと思います。この二法人の統合に寄せる皆さんの期待というのは、正に田中先生がご指摘されたようなことがなければ、単なる行革の一つの結果ではあるでしょうけれども、それ以上の意義を認めてもらえないと思うんです。ですから、我々としても何らかの形でアピールをしたい。そういう意味では、大変ご苦労なさったと思うんですが、このメッセージは言うべきことをみな拾ってくださっていると思います。少し異例かもしれませんけれども、こういうものを付けて出すのは、全員が何かを訴えたいという気持ちがある。これをぜひ認識してほしいと思うんです。   田中豊蔵委員  これは雑談として聞いていただきたいんですけれども、先日テレビを何気なく見ておりましたら、来年度予算編成の具体的な話が始まりまして、政府与党の幹部が1兆円前後の減税を含めて、その原資を歳出削減を含めたいろいろなことでやっていく、という話の中で、例えば「文部科学省予算はけっこう切り詰めるものがあるのではないか」と、「文部科学」という言葉を言われました。   私はこれまでも財政審議会の委員として基本的には歳出削減論者ですが、このメッセージにもあるように、これからの国家戦略にかかわるものは大切に考えたい。   私は私なりにこれまでの意見の延長線上で「必要なものはきちっとやる」という発言をしていくつもりですが、各省のいろいろな要求の中で、そのバランスの中で予算は決まってきますから、まず第一義的にこの問題に責任をもつ文部科学省の予算編成担当者がこの会議の半年にわたる熱心な討議を踏まえて、大いに国家戦略としての意味を訴え、必要以上に予算が削減されるようなことのないようにがんばらないといけないのではないか。非常に蛇足的な意見ですが、そういうように思います。

  青山副大臣  今のお話は誠に適切なお話だと思っておりまして、私たちも相当深刻に受け止めて、これからしっかり取り組まなければならない。つまり、削減すべきことは削減しなければならない。しかし、国家として長期的にもなさなければならないこともあるわけで、あまり目の先だけにとらわれた予算編成にならないようにしっかり取り組んでいこう、既にそんな決意でおります。

  西澤潤一委員  ここにいらっしゃる先生方は大体そうだと思うんですが、大変厳しい予算の中で研究生活を続けてきた方がいっぱいいらっしゃると思うんです。そういう立場から見ると、まだまだたくさん予算を使っていらっしゃる。大事なことは、これを生かして、次に国家計画的なものがちゃんとできていくことが望ましいわけです。先ほどもそういう議論がちょっとあったんですが、四部門指定というのがございまして、外国が騒いでいる4つの分野以外には金を出さない、ということが国の戦略として決まっているということは、特別な国家計画をもたないということだと思うんです。つまり、自主性がないんです。そういうところが至るところに出てきておりますので、私がさっきそういうことを申し上げたのは、それを裏返しに言っているということでございます。

  坂田審議官  それでは一応「基本報告」と「メッセージ」については原則的にご了承いただいたように受け止めさせていただきたいと思います。

  青山副大臣  皆様、ありがとうございました。本日承りました修正等のご意見につきましては、座長として私が預からせていただきたいと考えております。私の責任において修正させていただくことで、本「基本報告(案)」についてご了承をいただいた、ということにさせていただきたいと思います。   なお、追加の修正部分を踏まえました最終案につきましては、事務局を通じまして各委員の皆様にご連絡いたしたいと思います。

  坂田審議官  それでは今後の秋以降の第2段階での検討につきまして、事務局のほうから「資料第3号」に基づいて、こういう考え方でやりたい、ということをちょっとご説明をさせていただきたいと思います。

  中西原子力課長  それでは「資料第3号」をごらんいただきたいと思いますが、タイトルは「基本報告とりまとめ以降の検討方法について(案)」ということになっております。   まず最初はこの準備会議でございますが、引き続き存続いたしまして、個別・具体的な問題についてご議論をいただき、最終報告まで取りまとめていただく、ということになると思いますが、その個別・具体的な検討を行うに当たっては、当事者であるところの代表が参画すること、それから電気事業者、若干名の有識者に加わっていただいて、さらに検討を精緻なものにしていく必要があろうかと考えておりまして、構成員を拡大したい、というふうに思っております。それが第1点目でございます。   第2点目は、今後は宿題事項であります今後の検討事項を中心として検討していくわけでございますが、詳細な事業にわたっての検討が必要になると思われますので、この準備会議の構成委員に論点の整理、資料の作成などをお任せしたい、というふうに思っています。そうした上で、この準備会議は作成された資料等を基にして検討を行っていくほうが効率的ではないか、というふうに考えて、「2.」のような提案をさせていただくわけでございます。もちろん、その委員には原子力二法人の関係者や外部の有識者などが協力をする、ということは申すまでもないわけでございます。   「3.今後のスケジュール」ですけれども、今回取りまとめさせていただきました「基本報告」は、8月から9月にかけてホームページなどで公開して、広く国民の皆さんからの意見を集約したいと思っております。それは最終報告の検討に反映させていきたい、というふうに思っております。それから9月下旬に再開第1回、通算で第10回の準備会議を開催させていただき、今後の検討の考え方などについての確認をさせていただこう、というふうに思っております。あとは「2.」にあります作業の進捗を踏まえて、適宜開催し、来年春を目途に最終報告を取りまとめたい、ということを考えております。   「このような進め方でいかがでしょうか」という提案でございます。   小林庄一郎委員  第1項の統合準備会議の構成員の拡大につきまして、お願いがございます。今、私は二法人のうちの一法人、核燃料サイクル開発機構の運営審議会の議長をしております。この核燃料サイクル開発機構は、経産省と文科省の共管でございます。お手元の出席者名簿をごらんいただきますと、我々委員の左側がご当局、文科省の事務局でございますが、右側が経産省、原研、サイクル機構となっております。このたび当事者である二法人の理事長をお加えになったようでございますが、経産省も私ども核燃料サイクルの運営についてはご指導をいただいておりますし、また、いろいろなトラブル対応等についても関連の深い省庁でございます。もちろん国土交通省、外務省等も必要に応じてでございますが、できれば経産省にも構成員に加わっていただきたいと思うわけでございます。座長のお許しを得られれば、今日、経産省の方のご意向を承りたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

  加納大臣政務官  これは経産省の意見で決めるのではなくて、ご出席のこの構成員で決める問題だろうと思っております。先ほど来、秋山先生、秋元先生、今、小林委員からお話がございまして、「経産省を入れたらいいのではないか」ということでございますが、第2ラウンドはかなり具体的になってまいります。今日までの第1ラウンドは非常に基本的、哲学的なスタンスを明確にするということで、おかげさまでスタンスが非常に明確になったと思いますが、秋からの第2ラウンドはかなり具体的なものになってまいります。そういう意味では、私は今、小林委員がおっしゃったように、経済産業省を中に加えていくというのは賛成でございますし、必要に応じまして、必要な場面において関係の行政機関、それから関係の企業の方々にも参加していただいて、具体的な戦略を練っていきたい、こういうふうに考えております。   小林庄一郎委員  できれば常時入っていただきたいんですが、無理ですか。

  坂田審議官  小林委員のご指摘は大変よくわかりました。結論としてはちょっと検討をさせていただきたいと思うんですが、もともとこの統合準備会議は、言うまでもございませんが、文部科学大臣のある種のアドバイザリーグループとしてできております。それで、あまり形式的なことを申し上げるのは大変恐縮でございますけれども、どういった方々に構成員になっていただくかというのは文部科学大臣が決めております。そういった会議の性格もございますので、そのへんも併せて検討させていただければ大変ありがたいと存じます。

  中西原子力課長  私どもはこういうところに座らせていただいておりますけれども、決して構成員としてではなくて、事務局説明者として座らせていただいているわけでございます。構成員はあくまで先生方10名、それから座長、副座長ということでございますので、その点をちょっとご紹介したいと思います。

  坂田審議官  先ほどの秋山先生のご指摘、秋元委員のご指摘は、私どもも十分そうだと思います。それから事業を進めていく上で、関係省庁、取り分けサイクル機構の場合は経済産業省と協力し合っていかなければいけないことは当然でございますので、秋以降の検討では、主として個々の事業について現状をレビューしていただいて、これからどうするかということをご議論いただくわけでございますので、そういう過程においては当然のこととしていろいろな形で意見交換等もしていかなければいけないだろう、こういう具合に認識しております。

  加納大臣政務官  今日の夕方、時間が取れそうなので、座長の青山副大臣と副座長をやっております私とで大臣に今日の結果を報告する予定になっております。そのときに今のお話もいたしまして、これはまだ副大臣と相談しておりませんけれども、私の気持ちとしては、経済産業省には欠くことのできない行政の担い手としてぜひ参画をしてほしいと思っておりますので、こういう意見をつけて大臣に報告したいと思っています。   公務員の方は学識がないとは言いたくないんですけれども、学識経験者の先生として加わっていただくのはいかがかと思いますけれども、例えば事務局を一緒に手伝っていただく、あるいはワーキングチームの中に加わっていただく。セクトのような考え方は断固廃止したいと思っておりますし、官庁が縦割りで原子力が真っ二つなんていうのは死んでもいやな話でございます。何とかして日本のために各官庁が各官庁の垣根を取って参画をしてほしいと思っています。理屈を言ったらいろいろあると思いますけれども、そこはうまく考えまして、経済産業省の知恵と力を原子力の研究開発の新しい前進のために生かしていきたいということで、ぜひ経済産業省に協力をしてもらってやっていきたいと思います。ただし、それは即学識経験者のメンバー加えるということとはイコールではない、ということも一つ申し上げて、後の扱いは、申し訳ないんですが、座長に一任していただけたらと思っております。   小林庄一郎委員  お気持ちはよくわかりました。その趣旨を生かしていただきたいと思います。

  坂田審議官  ちょっと補足いたしますと、「2.」で適当な委員の方に中心になって作業をしていただく、という発想でありますが、いつかのこの本会議で住田健二先生のほうから「例えば部会みたいなものを設けてやってはどうか」というご指摘もございまして、そのへんも勘案いたしましたが、少ない検討期間なものですから、比較的機動力をもってやっていくためには、この統合準備会議の下である程度専門的に作業をしていただいて、その結果をこの会議でどんどん議論していただく、という形がよろしいかな、という具合に思ったものですから、こういったフレームワークを提案させていただいた、ということでございます。   大体こんなやり方でよろしゅうございましょうか。   それではこういうやり方をさせていただきたいと存じます。

  青山副大臣  それではお諮りをさせていただきたいと思います。今後の検討事項の整理あるいはまた資料の作成につきましては、秋山委員にお願いをいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。この作業には原子力二法人統合の関係者及び外部の有識者のご協力もいただくことを考えておりますが、どなたにご協力をいただくかにつきましては、私と秋山委員とで相談をさせていただいて決めさせていただきたいと考えております。ご了承いただきたいと思います。 (一同了承)

  坂田審議官  それから、さっき小林委員がご提議されました追加のほうでありますけれども、ここは副大臣、政務官等ともご相談をいたしまして、大臣のご裁可が必要なものですから、それが得られましたら、新たにお願い申し上げまして、できれば再開後の第1回は新しいメンバーの方にもご参加いただいてこの会議が開けるようにしたい、という具合に思っております。   本日取りあえず用意しました議事は以上でございますけれども、この機会に何かございましたら……。

  住田健二委員  大変細かいことでございますけれども、私の所属が日本原子力学会会長というふうになっておりますけれども、これは前職でございまして、元と書いていただかないといけないので、それが一つ訂正でございます。   それからもう一つは、今度新しくできる後半戦の一般的な希望になると思うんですけれども、前半では事務局がずいぶん準備をやっていただいて、朝早いというのはちょっと閉口しましたけれども、非常に効果的にやれました。ただ一つ気がかりなことは、報告を聞いて、それに対して私どもが質問する、意見を述べる、あるいは事務局が何かを言われるということで、委員同士の間での意見の交換というのはあまり時間が取れてなかったような気がいたします。公開だから意見が言いにくい、そんなお顔ぶれではないと思いますので、皆さんおっしゃりたいことがいっぱいあったのではないか。それがそっち向きか、後ろにおられる向きか、どちらかであって、我々の中で意見を戦わすということが比較的少なかったと思うんです。その点では、もしできましたらこの次の後半のときには、もちろん下の作業部会のようなところでの報告を伺って、それについて我々が聞いたり、何か意見を言うということはぜひやらせていただきたいと思うんですが、委員の中でもうちょっとブレインストーミングというようなことが……。事務局経由でなくて、お互いにストレートに話合える場が欲しかったな、という気がいたします。これはぜひお願いしておきたいと思います。   率直に申し上げまして、特に原子力なら原子力というナロー・ソサエティの中では、その中のメンバーというのは、この場でなくても意見の交換ができるチャンスが比較的あるので、どこかで会ったときに西澤先生をつかまえて、「この間の先生の発言はどうのこうの」と意見をきいていただける。、そういうことは許されるし、西澤先生も私に対して何かおっしゃるという可能性はあるんですけれども、専門の違う方というのはなかなかチャンスがございません。ぜひそういう時間なり何なり適当な仕組みを考えていただきたい。これはお願いでございます。よろしくお願いいたします。

  坂田審議官  十分な時間がなくて、大変失礼いたしました。できるだけ先生の意に沿うように第2ラウンドの運営は注意したいと思います。   先生方、ほかに何かございませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。   それではどうもありがとうございました。一応本日予定した議事が終わったということでございますので、いつものとおり加納政務官、副大臣に一言ずつお願い申し上げたいと思います。

  加納大臣政務官  加納でございます。   2月15日、バレンタインの翌日でございますけれども、第1回の会合を開いてからちょうど6か月弱でございます。この間、あるときは夕方、あるときは朝8時からと大変ご迷惑をかけましたけれども、9回にわたる会議にご出席をいただきまして、誠にありがとうございました。おかげさまで「基本報告」をまとめていただくことができました。
  この間、内外で大きな原子力を巡る動きがあったと思います。例えば、アメリカではESP(Early Sight Permission=早期サイト評価プログラム)が出来上がり、これが実施に入った、という大きな動きがありまして、この結果、3地点、4地点と原子力発電の新しい立地が数十年ぶりでアメリカでいよいよ現実のものとなりつつあるところでございます。
  また、新しい炉の開発という研究開発予算もつき始めるところにきております。
  それからプルトニウムにつきましても、ただ核兵器の核弾頭縮小といったネガティブな段階から、これを何とかエネルギーとして平和利用しようということで、MOX利用することが決まった、ということも大きな方針の転換かと思っております。
  さらに、"トイレなきマンション"と言われておりました放射性廃棄物サイクルの非常に大事なところでございますが、最終処分場をヤッカマウンテンに決めたい、ということを大統領が今年に入って宣言をし、それに対してネバダ州の知事が反対をし、このネバダ州の知事の反対は連邦全体の利益に合わないということで、大統領の方針を支持することが上院、下院とも多数で決定をしたということで、ヤッカマウンテンが最終処分場に決定いたしました。もちろん、まだ訴訟とか、若干は残っておりますが、大筋で決まったことは世界の原子力の歴史にとっても画期的な半年間であったかと思っております。
  一方、EUにおきましても、「欧州は原子力離れ」という新聞記事も一時ございましたけれども、最近では「おかしい。やはり欧州でも原子力復活の兆しがある」という新聞記事も有力紙に載っているようになってまいりまして、原子力再活性化への動きがイギリス、それからいったんやめたと言われているようなイタリアでも大きく起こり始めている、ということも大きな動きでありますし、加えて、フィンランドにおいてはオルキルオトに放射性廃棄物の最終処分場が決まったことに加え、新しく原子力発電所を増設するということも正式に決まった、というのも大きな大きな話題であったかと思っております。
  翻って日本でもこの半年間、大きな動きがございました。例えば、京都議定書を国会で批准をいたしました。この結果、日本はエネルギー起源の温室効果ガスを中心として大幅に減らしていく。その中で、原子力の役割がますます重要だ、ということが鮮明になったというのが大きな変化でありますし、また、今日いろいろご議論がございましたけれども、日本はITERの候補地として六ヶ所村を提案しました。そして現在、国際的な協議に入ったというのも、この半年間の大きな出来事であったと思います。また、「もんじゅ」も安全審査に入り運転再開への歩みを始めた、ということでございまして、これまた大きな出来事だったと思います。
  最後になりますが、日本ではこの6月7日に衆参両院の議決を経まして、エネルギー政策基本法が議院立法で可決され、日本で初めてのエネルギー政策の根本を決める法律が決まり、これに基づいて、この秋から基本計画の作業が始まってまいります。これと私どもの第1ラウンド、第2ラウンドが正にリンクしておりますけれども、エネルギー基本計画の作成は、単に経済産業省の中の企画ではございませんで、閣議決定する。それも必要な関係省庁は全部参画をして、その意見を聞いて案をつくって、閣議で決定し、国会に報告する。その中に原子力の研究開発プログラムもエネルギーに限っては当然入ってまいりますし、それからまた原子力教育も入ってまいります。文部科学省も非常に関係があるわけでございます。こういったことが初めて国会で決まったというのも、この半年間での大きな出来事だったかと思っております。
  この半年間の皆様方のご議論が影響したのだろうと思いますけれども、世界が変わった、日本が変わったということで、原子力を巡る大きな変化があった半年だったかと思います。
  今日のご討議の中で5点ほどありました。時間がなくなりましたので、簡単に申し上げます。
  第1に、今日の「基本報告」の表現ぶりについて、秋元委員から「『もんじゅ』についてもう少し元気の出るように」、「前向きに」、西澤先生から「自主性をもっと大切に」、この2点についてはそれぞれ12ページ、8ページの文章をしっかり修正するということで、修正方法は今、座長にご一任いただいたところであります。
  第2点は、核融合について、「ITERのみならず、核融合全体についての研究も視野におけ」という住田(健)先生のご意見、それから秋元先生の「ITERで原子力の研究開発予算がやせ細ることのないようにしっかりやれ」というようなご意見がありました。このご意見につきましては、今日の議事録にしっかりととどめます。
  関連して3番目に予算のお話では、田中先生、西澤先生から「これは予算をしっかり取り込まないとだめだぞ」という厳しいお話がございました。今日以降、私ども大臣を中心にこれから予算の協議を重ねてまいりますが、今のお話をしっかり受け止めて、政治家の出番もあると思いますので、がんばってまいりたいと思っております。
  4点目に、官庁との関係のお話が秋山先生、秋元先生からございました。経済産業省、環境省という名前が具体的に挙がっておりますが、産業界や関係省庁、皆様が協力してくれなければ、日本の原子力の研究開発利用は具体性がありませんので、ぜひとも皆様方に参加をしていただく。ただし、どういう形で参加していただくか、という位置づけについては座長にお任せをいただき、大臣と相談したいと思っているところでございます。構成員として入るか、事務局として入るか、ワーキングに入るか、オブザーバーとして出るか、「常時必要な官庁もある」というご指摘も伺いましたので、そんなことで官庁の問題は処理していきたいと思っております。
  最後に、「意見交換の場をもっと」という住田(健)先生のご意見は第2ラインドの話になりますが、ぜひそういう方向に第2ラウンドは進めたいと思って、座長と後で相談をしたいと思っております。
  ありがとうございました。

  青山副大臣  皆様方には大変長きにわたってご参加いただきまして、貴重なご意見、ご示唆に富んだお話、ご意見をいただいて本当に感謝しております。
  皆様のご協力によって「基本報告」が取りまとめられました。我が国のこれからの原子力研究開発を中核的拠点として担うべき新法人の基本的な姿に関する考え方を明確化することができました。新法人設立の基本理念として、1我が国の原子力研究開発の中核的機関たる総合的研究機関としての地位の確立、2原子力安全研究の着実な推進、3行政改革の観点による整理合理化と活性化の推進 等  が打ち出されました。また、新法人の担うべき主要な役割や業務・運営に当たっての基本事項についても提示いただきました。新法人の設立を準備する私どもにとって一番大切な新法人の基本デザインを描いていただいたものと認識しております。
  この「基本報告」につきましては、私から加納大臣政務官とともに速やかに大臣に報告したいと思います。文部科学省といたしましては、この「基本報告」を基に国民や社会の期待に応える立派な新法人が誕生するよう、今後、二法人と協力をして統合に向けた準備作業を推進してまいりたいと考えております。
  本統合準備会議では、今後はさらに個別事業の評価・見直し、ミッションの明確化に基づく組織体制の構築、迅速な意思決定や効率的・効果的な経営を実現するための経営体制の構築等の事項について、さらにご検討いただくこととなります。9月下旬以降再開いたしたいと考えております。皆様におかれましては引き続きご協力をいただきますように心からお願いを申し上げまして、閉会のご挨拶といたします。
  ありがとうございました。

  坂田審議官  再開の日の日程については、また事務局を通じて調整をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  本日はどうもありがとうございました。

  青山副大臣  ありがとうございました。


(研究開発局原子力課)

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