令和5年1月25日(水曜日)10時00分~12時00分
文部科学省15階科学技術・学術政策局会議室1
オンライン
千葉一裕 座長、平井良典 座長代理、荒井雄一郎 委員、石川哲也 委員、宇治原徹 委員、岸本喜久雄 委員、小松秀樹 委員、辻本将晴 委員、横山広美 委員
科学技術・学術政策局長 柿田恭良、大臣官房審議官 阿蘇隆之、科学技術・学術政策局 研究環境課長 古田裕志、課長補佐 内野隆、課長補佐 林周平
量子科学技術研究開発機構 茅野政道 理事、光科学イノベーションセンター 高田昌樹 理事長
【林補佐】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、NanoTerasuの利活用の在り方に関する有識者会議第6回を開催いたします。
事務局を担当しております文科省研究環境課の林と申します。本日はよろしくお願いいたします。
本日も、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、オンライン会議システムも併用しつつ開催といたします。なお、本会議は、傍聴者のためにYouTubeでライブ配信を行っておりまして、昨日までに149名の多数の御登録をいただいております。
本日の議題は、(1)特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部改正等の検討状況について、(2)NanoTerasuの利用制度の在り方について(その2)、(3)NanoTerasuの利活用の在り方に関する有識者会議の議論のまとめについて(その1)となります。
本日は、現地参加7名、オンライン参加2名の合わせて9名、委員全員に御参加いただいております。また、今回は議題(2)の関係で、NanoTerasu運営会議から茅野議長及び高田副議長にも御出席いただいております。また、文科省からは、私、林と、研究環境課長の古田、課長補佐の内野も参加させていただいております。また、所用の関係で、科学技術・学術政策局長の柿田は10時40分頃からオンライン参加、また、大臣官房審議官の阿蘇は10時半頃までのオンライン参加を予定しております。
それでは、会議の留意事項について説明させていただきます。
議事録作成のために速記者を入れております。また、YouTubeでライブ配信をしておりますので、御発言される前には必ず御自身のお名前を言っていただき、その後に発言をお願いいたします。オンライン参加の方への留意事項としましては、通信を安定させるため、御発言されるとき以外は、可能な限りマイクをミュートにしてください。また、御発言される際はミュートを解除してください。会議中、不具合などトラブルが発生した場合は、事前にお知らせしている事務局の電話番号にお電話いただくか、チャット機能でお知らせいただけましたら幸いでございます。
会議の留意事項については以上となります。
次に、配付資料の確認をさせていただきます。配付資料は、資料1から4までと、参考資料1、2となってございます。オンライン参加の方は、Zoom上に画面共有しておりますので御覧ください。また、画面が見えにくい方は、適宜事前にお送りしている資料を御覧ください。
御不明点ございましたら、事務局までお知らせいただくか、オンライン参加の委員の方は事務局まで、お電話またはチャット機能でお知らせください。
それでは、以降は研究環境課長の古田が進行させていただきます。よろしくお願いいたします。
【古田課長】 研究環境課の古田です。ちょっと遅くなりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今回と次回の2回で終了させていただきたいと思っております。ですので、今日はまとめに入るような議論もさせていただきたいと思っております。また、本当に、10年に一度の低温という中、朝早くからお集まりいただきまして誠にありがとうございます。ぜひ実りのある会議にさせていただきたいと思っております。
それでは、議題の1に入りたいと思います。ここでは共用促進法の改正の検討状況について、補佐の内野から説明させていただきます。お願いします。
【内野補佐】 研究環境課課長補佐をやっております内野と申します。初めまして。よろしくお願いいたします。今回から参加させていただいております。
資料1に基づいて御説明させていただきたいと思いますけれども、まず、もともと平成30年に科学技術・学術審議会の下にある量子ビーム利用推進小委員会、ここでNanoTerasuの開発・整備が必要であると提言された。そこで、その施設というものは共用促進法に位置づけることを前提として整備を進めるべきであるというような提言がされています。ですので、この共用促進法の改正というもの、NanoTerasuをどう位置づけるかというところについても政府として検討を進めてきたところであります。その検討状況について今日御説明をして、ぜひ御意見を賜りたいと思っております。
1ページ開いていただきまして、2ページ目でございますけれども、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律というものがございます。こちら1ポツ目に書いてあるように、平成6年、1994年に成立したものになっていまして、大型の先端的な研究施設について、国内外の多くの研究者のために幅広く開放し、共用を促進することで科学技術の進展を図るものであると。ここで、国内外、かつアカデミア、それから産業界も分け隔てなく共用を促進していくというような内容になっています。
具体的な措置の内容については以下の明朝体のところで書いてあるような形になっていますけれども、まず最初、1ポツ目ですが、独法等に重複設置することが多額の経費を要するため適当でない大型のものであって、先端的な科学技術分野において比類のない性能を有し、広範な分野、様々な分野で多様な研究に活用することで価値が最大化される、こういった要件を特定先端大型研究施設というふうに定義して、その設置者――独法になることが多いですけれども――に、その施設の共用に関する業務を追加するというような内容になっています。
それから、法律に基づいた施設の運用については文部科学大臣が基本方針を策定して、中立的な第三者機関、登録施設利用促進機関による利用促進業務を行うというふうになっています。利用促進業務というのは、例えば実際に施設を使うときの支援であるとか、あとは研究課題の募集・選定、そういったものが含まれているということであります。こういったような一連のスキームを実施するために必要な経費の交付も行うというような形になっています。
次のページを開けていただきますと、今までの歴史みたいなものを書いています。平成6年、成立したときは、特定放射光施設の共用の促進に関する法律という名前でした。もともと対象としていたのがSPring-8を対象にしていたところであります。平成18年に改正がなされまして、法律のタイトル自体も、現時点の特定先端大型研究施設の何がしという法律に変わっていまして、ここでスパコンが対象に加わっています。直近の改正は平成21年でございますけれども、こちらでは特定中性子線施設としてJ-PARCが追加されたというような状況になっています。
1ページおめくりいただきますと、今回の法律改正の内容の概要になりますけれども、シンプルに、共用促進法の中にNanoTerasuを入れていく、追加をしていくという内容になります。ですので、この絵の左側の緑の箱にあるように、施設設置者、今まで理研と原子力研究開発機構だけでしたけれども、ここに量子科学技術研究開発機構を追加していく。それから、右側の登録施設利用機関も、青のボックスにあるように、NanoTerasuが登録機関の支援を受けられるようにするという形になっています。上のボックスの文字のところにあるように、令和5年の通常国会、まさに今週月曜日から開会となりました今国会に法律案を提出する方向で調整を進めているということでございます。
次のページに行きますけれども、5ページ目が改正事項の方向性となっています。特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の改正の内容になっていますけれども、まず、特定放射光施設の設置者は、今のところ理研しかないんですけれども、そこに量子科学技術研究開発機構を追加するということです。それから量研の業務として、NanoTerasu、放射光共用施設というふうに定義をしていますが、そういったものの維持管理・共用、それから、放射光専用施設の設置者への放射光提供その他の便宜供与をするというような内容になっています。それから、幾つか飛ばしますけれども、下の2ポツ目のところ、量子科学技術研究開発機構法も一緒に改正するんですが、こういった量研に追加される業務も、しっかりそれぞれの個別法に追加をしていくと。こういった複数の法律をセットで改正するというようなことを検討しています。
少し戻りますけれども、専用施設に対する改正内容については、一部、専用ビームラインの共用をするというような措置が含まれています。具体的には次のページに行っていただきますと、平成30年の量子ビーム利用推進小委員会、こちらで専用ビームラインの共用が必要であるというような提言がなされています。上の絵にありますように、放射光施設の中のビームラインは、共用のものと専用のものがあるんですけれども、専用ビームラインで空いた時間については、有効活用するということで、専用枠だけでなく共用枠を設けて、ビームタイムで管理ができるようにしてはどうかというような提言がなされていますので、これを実現できるような内容も盛り込んでいくということを考えています。
法律の改正の内容というのは今のようなものになっていまして、法律上は最低限の規定しか設けられていないので、それ以外の細かい話というものは省令とか、あるいは文科大臣のつくる基本方針、こちらのほうで定めていくということになります。
次のページを開いていただきますと、省令の改正の方向性、今我々で検討しているものについて書いています。この省令というのは、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律施行規則という名前ですけれども、施設の定義であるとか、あとは登録機関の登録要件などを定めているものになります。
改正の方向性ですけれども、丸1のところで、特定放射光施設の定義の改正を今考えています。現行は、特定放射光施設の要件として、放射光を放射する電子、陽電子のエネルギーを8ギガエレクトロンボルト以上にする能力というふうになっているんですが、ここを、第4世代以降の施設を含む放射光施設の性能をより適切に評価するという観点から、エミッタンス、輝度のほうで評価をする方向性で今検討しているというのが1つ目。
それから2つ目、第3回の会議においてPhoSICさんから提言がございましたけれども、登録施設利用機関の利用支援業務を行っている実験実施相談者、利用支援業務担当者ですけれども、こちらの方が施設に常勤が求められているのが現行です。ですけれども、2ポツ目のところですが、まず施設間の連携が重要であるということと、それから昨今、テレワークとか働き方改革によって、柔軟な働き方を進めていまして、政府全体でもそういったことを実現するような方向性で法案なんかの整備を進めているということでございますので、そういったものができるような形の改正を検討したいというふうに考えています。
次のページへ行っていただきますと、基本方針として文科大臣が定める方針の方向性を書いています。
1の基本方針の概要ですが、施設ごとにつくるものになります。施設ごとに、共用をどういうふうにするか、それから運用をどういうふうにするか、気をつけるべき点は何か、こういったようなことの要点を定めているものになります。現行、特定放射光施設の基本方針というと、SPring-8、SACLAを対象にしたものになっておりますけれども、それとは別にNanoTerasuの基本方針を新たにつくる必要がございます。
2の主な内容というところですけれども、まずは、この有識者会議で指摘された内容、あるいは議論の内容を十分に踏まえるということが1つ。それから、以下のような内容を盛り込むというふうに考えていまして、まず、NanoTerasuは官民地域パートナーシップで整備が進んできたというところ、ここはほかの施設とはなかなか違うところがございます。ですので、その運用をしっかり担保するということで、意思決定については量研と地域パートナーの合意を基本とするということでございます。それからビームラインの改廃なども、基本的には合意でつくっていくということ、量研及び登録機関はこういった方向性を盛り込んだ実施計画を策定する、これは法律事項になっております。
4つ目の四角ですけれども、量研の行う共用については、利用者本位の考え方を基本とした施設の整備・運営を行うとか、あとは人材育成であるとか成果の積極的公開、普及啓発、それから国内外との連携、そういったことを位置づけていくということを考えていると。最後、現在整備を進めているコアリションのビームラインに関する法律上の手続については最低限のものにするということを考えております。
最後、9ページ目が法施行と業務実施のスケジュールということで、通常国会で成立いただいた場合のイメージ、あくまでイメージです。基本的には国会で全てお決めいただくことでございますので、あくまで政府側のイメージとして書いています。初夏頃に法案が成立した後、夏から秋にかけて、基本方針とか、今の省令みたいなものをつくっていくことになります。冬頃には登録機関の申請の受付を開始して、来年の4月1日に全てをアクティベートするというようなことを考えております。
私からの説明は以上ですけれども、本日御説明したような法律、省令、それから基本方針、こういったものに対する我々の今の検討状況について、ぜひ御意見を賜りたいというふうに思っております。
私からの説明は以上でございます。
【古田課長】 御説明ありがとうございました。多分なじみのない文章かと思いますが、こんなような仕組みがあって、こういったような仕組みでやっていきたいということであります。どういった面からでも結構ですので、利用者の目線でも結構ですし、これまでの皆様のいろいろな御経験の中で思うようなことがあれば、ぜひ御質問、御意見をいただきたいと思っております。
横山先生、お願いします。
【横山委員】 御説明ありがとうございます。J-PARCの共用法に少し関わっておりまして、今回も共用法、御準備いただけるということ、本当によかったなというふうに拝見しております。
質問としては、J-PARCやスパコン等と異なり、NanoTerasuは産業界の皆様と事前に随分と、予算的な面でも準備をしてきたということ、そういう新しい体制に対する共用法というのは、サポート面でこれまでの共用法とどの程度違うのか。例えば今まで10割負担だったものをどういうふうに、共用法で何割負担していくのかという、そういった数字の感触をお伺いできたらと思ったんですが、いかがでしょうか。
【内野補佐】 ありがとうございます。内野でございます。法律上は、そこまで細かい規定というのは設けられていませんで、まず法律で施設を特定し、独法に対して業務を与え、登録機関の業務ができるようなことをすると、これが全部法律事項になっていまして、お金を何割負担するとか云々というのは、法令に出てこない内容になってきます。ですので基本的には、こういった審議会、あるいは地域パートナーさんたちが運営会議で議論されている内容、そういったところで決定いただくことになるので、まずは大枠として共用法の中で共用できるようにしていくということが最初のステップとして必要ということで、今回法案の内容を御提案したということですので、基本的には地域パートナーの皆さんで議論いただいて、政府も含めて議論に入っていき、それで決まっていくということになろうかと思っています。
【横山委員】 ありがとうございます。そうしますと、これまでは、共用法があると優先的に予算が継続するということで、運転に対する信頼という意味でも非常に手厚かったわけですけれども、今回はさらに、自立的に運営されていく中で、政府のバックアップがこのように、共用法として守られているというんでしょうか、そのような受け取り方になっていくんでしょうかね。
【内野補佐】 おっしゃるとおりだと思います。共用法の信頼性というのは、J-PARCとかSPring-8とかスパコンと変わらず、バックアップがつくということになろうかと思います。
【横山委員】 ありがとうございます。以上です。
【古田課長】 ありがとうございます。
千葉座長、お願いします。
【千葉座長】 2ページ目の一番下に、利用促進業務に必要な費用を交付とあります。これは利用促進業務に限っているということでしょうか。それで、基盤的なところについて、この法律に基づいて支えるという文言はどこから読み取れるのか、教えていただきたいんですけど。
【内野補佐】 まず、独法に対して新たに業務を与えていますので、そこに対する措置というものを別途、予算要求の中で行います。やはり予算要求の根拠となるのが、独法に対して法律で業務を与えているということになりますので、この第5条のところ、量研に対して施設を共用するという業務を与える、そのこと自体がリソースを伴う内容になると考えています。
この21条の利用促進交付金というのは、文科大臣から直接、利用登録機関に出すことができるものになっていまして、絵としては4ページ目、文科大臣から登録機関に下から伸びている、文科省の青い丸があると思うんですけど、そこからまず独法に業務を下ろしますし、利用促進業務は文科大臣から登録機関に下ろすわけなんですけれども、それに必要な経費というのは21条の交付金を渡すことになるので、登録機関が実施をするための交付金についてが21条に書いてあるということになります。なので、御質問に対する直接の回答としては、21条の交付金は、この右側の青い登録機関が業務を実施するために必要な経費を交付するということになります。
【千葉座長】 そうすると、この法律で担保されているのは、経済的なところはそこだけですか。要するに、支援。支援は、どこまではこの法律が担保しているのか。
【内野補佐】 直接的にそういった交付金を交付できると書かれているのは、ここの部分だけです。21条のところだけです。
【千葉座長】 そうすると、左側のところは。
【内野補佐】 左側のところは業務を独法に与えているということをもって、具体の規定があるわけじゃないですけれども、それをもって予算要求を行っていくということになります。
【千葉座長】 それはもう要求次第ということですね。そういう位置づけで大丈夫なのか、特に御担当されている機関がそれで大丈夫かどうか、ちょっと心配なんですけど。これは要するに、全く分かりませんということですよね、そうすると。経済的なところは。
【内野補佐】 まず独法に業務を与えている時点で、その業務を実施するためのリソースというのは結果的に必要になるので、要求をするにしても、この法律で業務を与えていることを根拠に、何もない状態ではないということです。
【古田課長】 ちょっと私から補足しますと、今、SPring-8とかJ-PARCとか「富岳」とかやっていますけど、それは一般的な、理研とか原研への補交付金とは別の補助金というのを、この共用事業のために交付しています。なので、法律的な位置づけはないんですけど、当然NanoTerasuについても、一般的な交付金とは別の補助金を立てて交付する。これはもうほぼ既定路線というふうになっています。これは、実際には来年度要求をこの夏にして、財務省との協議をやっていくということになるんですけど、そこは正直、今までの例に倣い、確実に別途補助金をQSTにも出すということになります。
【千葉座長】 そこはすごく重要で、この委員会での議論は、そこのスケール感とか、あと自立化の割合とか、そこの議論がほとんどだったと思うんですけど、ですから、この法律的な根拠のところがすごく重要で、そこですね。法律としてはそういう大枠のくくりだと、そういう理解でまずはよろしいですか。
【内野補佐】 はい。
【小松委員】 使用者側からすると、4ページ目の最後の登録施設利用促進機関というのが結構重要かなと思うんですが、ここが今、NanoTerasuは未定ということになっているんですが、具体的にはもう候補が決まっているという理解でよろしいですか。
【内野補佐】 いえ、今後登録なので、全く白紙でございまして、法律が施行された時点で、一番最後のページにあるように登録機関の登録も4月1日付になるという見込みですので、その時点で決まる。ただ、冬頃に受付は開始することになるので、そこで手を挙げていただくことは可能になるのかなと思っています。
【小松委員】 それともう1点、教えていただきたいんですけど、このようにNanoTerasuの基本方針の方向性とか、いろんな項目があると思うんですが、それが本当にこの方向性とか基本方針にのっとってやられているかどうかというような、第三者的な監査機関というか、チェックする機関というのは、例えばSPring-8であるとか「富岳」であるとか、そういうところは、そういうチェック・アンド・バランスみたいな感じでやられているという形態になっているんですか。
【内野補佐】 幾つかパスがあると思っていて、まず1つは、文科省の量子ビーム利用推進小委とか基盤部会とかで施設の運用の評価をやっていますので、そこで有識者の先生方も入った形で評価をしているというのが1つです。あとは法律上も、実施方針を定めて毎年出していただくとか、そういったような規定が登録機関さんにはいろいろ、実施計画、それから業務規程、実施計画は毎年ですけども、毎年出してもらって認可をするという手続がありますので、その中で役所としてもチェックをし、第三者機関の評価というのを行っていくことになろうかと思います。
【小松委員】 ありがとうございました。
【古田課長】 それ以外にはどうでしょうか。何かありますか。
石川先生、お願いします。
【石川委員】 石川でございます。1つは、とてもつまらないことが1点、とってもつまらないことは、特定放射光施設の定義のところで40年くらい前の陽電子というのがまだ入っているんですが、多分これからの放射光を陽電子でやるということはまずないだろうと。非常に大昔、陽電子がいいよといって、SPring-8も陽電子の施設を造ろうとしてやめちゃったというところがあるわけですが、もうこれから先の放射光施設で陽電子はないだろうけれども、入れておいてもそんなに害はないかなという感じはいたします。それが1点。
2つ目は、登録機関を4月に決めて、そこから準備を始めると、いろいろ課題募集とか何か、時間かかりますよね。そうするとかなり、本当に始まるのが遅くなるような形をもう取るということでしょうか。
【内野補佐】 検討を進めるための参考資料集が別途、今日の会議資料として配られていて、その中でNanoTerasuの運用のスケジュールが書いてあるかと思っていまして、ページで言うと19ページです。こちらで共用ビームラインの課題募集というのは10月から始まることになっています。ですので、この施設側さんで考えられているようなスケジュールに影響を及ぼすようなものではないというふうに思っています。
【石川委員】 この手の施設は多分、造り始めたときには最先端なんだけれども、造っているうちに、もう最先端から遅れていって、動かし始めるときには最先端ではないと。ですから早いうちにどんどん使ってしまうことが非常に重要であって、それが遅れるような要素というのはなるべく避けていかなければならないと思うのですが、その辺りは文科省といたしましても、施設側としても十分に考えていただきたいなと思っております。
【古田課長】 ちょっとよろしいですか。資料1の9ページに今後のスケジュールがありまして、我々も今のお話、全くそのとおりだと前から意識していまして、できるだけ早くオペレーションが始まるような形にしています。ただ当然、法案の成立の後に政省令、あと基本方針、それでパブコメとかいうのも入って、その後で登録機関の申請という、これも一番早いタイミングでやっています。2024年、令和6年4月1日に登録機関の登録をして、一斉にオペレーションをスタートしたいというふうに思っています。試験的共用のところは、我々というよりはQSTのほうで音頭を取ってやっているところなんですけど、やはりいきなり本当の課題を公募してというよりは、少し何か月間か期間を置いて試験的な共用をやったほうが、実際にトラブルが起きて、そのトラブル対応に時間を費やすとか、そういったことよりは生産的ではないかというふうに考えているところです。
以上です。
よろしいですか。ほかはどうですか。この議題にあまり時間もかけられませんので、次の、だんだんメインの話に移させていただきたいと思います。
それでは、議題の2に移りたいと思います。10月21日の第3回有識者会議におきまして、NanoTerasuの利用制度について議論いたしましたが、今回、特に共用ビームラインのほうで情報がアップデートされましたので、NanoTerasu運営会議議長のQSTの茅野理事から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【茅野理事】 資料の2ですけれども、NanoTerasuの利用制度についてということで、1ページ目ですが、今日御説明する内容は、ここに書いてある4項目、NanoTerasuの利用制度設計のポイント、共用制度の検討状況、NanoTerasuのエコシステムと利用支援、それから将来計画の方向性でございます。
2ページ目ですけれども、これは全体について書いてあるんですが、利用制度設計のポイントとして、総論としては、共用のほうは、個人探求型で多様な利用者への機会を提供してイノベーションシーズを涵養する、コアリションのほうは組織ニーズプル型でイノベーションを加速するということですが、これは説明のしやすさで、こういう大ざっぱな分け方になっていますが、実際には交ざっているんだろうというふうに思っています。
利用機会ですが、共用のほうは、多様な利用者への公平な機会を提供すべく、定期的な利用課題募集及び課題審査を実施するということで、今、年2回程度を考えています。それからコアリションのほうは、対比の意味で書いていますが、イノベーションを加速すべく、課題審査なしで原則1か月前までの利用予約が可能ということで、臨機応変に対応できるような形です。
利用料金ですけれども、共用制度の成果公開型利用、これについては消耗品実費負担のみ。それから成果占有型ですけれども、利用頻度の高い成果占有利用者が共用制度からコアリション制度へ流れるようなインセンティブが働く利用料金の設定というのを考えていまして、ここは一つの工夫でございます。これは共用とコアリションが共存するための工夫です。それから、スタートアップ、中小企業などの利用については各種支援を検討・実施するということで、次から2枚、共用の利用と料金の補足説明をさせていただきます。
3ページ目ですけれども、これは共用制度の利用の流れの想定で、SPring-8でされているようなやり方を踏襲しているということです。上の左から見ていきますと、課題申請が6か月前、それから課題審査を4~5か月前、採択とビーム配分が3.5か月前で、施設利用に入っていただいて、報告書を2か月以内に提出していただいて、成果公表は36か月以内という、これが想定される基本的な流れでございます。
それで、2024年度から運用開始するわけですけれども、2024年度は試行ということで、秋1回の募集のみを行います。この共用課題の募集は、その翌年、2025年の春からの利用に対して行うものです。2025年からは、通常のというか、本格的な共用を開始するということで、年2回、最初の4月から5月にかけてやるものが、その年の秋の利用の募集、それから2025年の秋にやるものは、その翌年の春から夏にかけての利用の募集ということになります。
その下に文章で幾つか説明ありますが、1つ目は今申し上げたとおりです。一般課題と成果占有課題という基本的な形でまずは始めたいと、こういった課題選定とか利用支援業務は登録機関が実施するということでございます。それから、2026年度開始予定、2年遅れになりますが、コアリションビームラインから提供される共用枠のビームタイムについても、この考え方で一体的に運用していく。それから、具体的なところは登録機関と協議しながらということになるということでございます。あとは適宜、利用状況や利用者の意見を踏まえて修正・変更していくというのが概要です。
次の4ページは共用制度の利用料金についてです。これも想定しているというものなんですけれども、成果公開型の一般課題、これについては、消耗品使用料として1時間1,400円プラス、ヘリウム使用料です。ということで、ビームライン・施設利用料等については、成果公開型は免除ということです。それから成果占有型につきましては、消耗品使用料に加えまして、ビームラインの施設利用料を1時間当たり12万円程度取るということを考えております。
それで、この料金ですけれども、下のほうに少し補足の追加説明を入れておりますが、利用頻度の高い成果占有型の利用者が共用制度からコアリション制度へ流れるようなインセンティブが働く利用料金の設定というのが1つでございます。これはコアリションビームラインの、例えば共用枠を使っている方が非常にたくさん使う場合、結局共用枠で使っているよりもコアリションメンバーになったほうが安くなりますよねというような、そういった利用設定です。それから、3番目にあるように、施設運用に係る経費に加えて、以下の費用も含めて利用料金を設定するということで、大規模な修繕や更新に向けた減価償却費相当額ですとか、コアリション制度利用者と共用制度利用者の公平な負担の観点から、地域パートナーが施設整備に充当する加入金相当額、こういったものも乗せていくということです。その結果、12万円ということになるわけですけれども、この12万円という額はコアリション制度のほうの利用料、この真ん中に参考としてありますけれども、加入口数で使える時間を超過してさらに使いたい人が1時間当たり11万円払うんですけれども、これを上回るということで、先ほど申しましたように、そういうことならコアリション制度に入ろうと思えるような、そういう額になっているということです。
それから、成果公開型については、参考の一番下にあるように、SPring-8の成果公開が1,340円・パー・時ということで、これに大体沿ったような形になっています。ただ、ブルーの枠の下のところに、今後、施設建屋の修繕や更新に係る費用について、地域パートナーから負担を求められる場合には別途検討する可能性はあるということを注意書きとして書かせていただいております。
次の5ページです。NanoTerasuのエコシステムと利用支援ということで、これは既に説明させていただいた部分もあるんですけれども、NanoTerasuを運営していくQST、PhoSIC、東北大学、それから全体で調整する体制、この4つがあると思うんですが、それぞれについてどういう利用支援をやって、エコシステムがうまく回っていくようにするかということを示したものです。
まずQSTですけれども、先ほど少し議論ありましたように、QSTの共用部分については公益性が高く、施設の運営とか維持管理の大半は国費というのを基本としております。そういった中でも、青枠にあるように、国の戦略に基づく研究開発プロジェクトの形成とか主導をすることによって、いろいろな共同研究チームを形成する。例えば量子戦略ですとか、東北大学とのマッチングファンド等々書いてありますが、こういった共同研究から生まれた知財や受託試験、技術指導などにより収益を得るということも考えていきたい。
それから、PhoSICさんのほうですが、これはコアリション・コンセプトに基づく産学連携・産業利用スキームの展開ということで、ここはきちんと収益を上げていく部分なんですが、ここに書いてあるような、出資した産学のメンバーが開発課題ごとにユニットを形成していって、例えば加入金・利用料や測定支援サービス、メールイン測定代行サービスなど、きめ細かいオプションサービスによって収益を得ていく。
それから、その下の東北大学さんですが、技術・人材・資金を統合するリサーチコンプレックスの形成ということで、東北大学さんが有する高度専門人材や高度研究設備等々による支援、それから研究開発プロジェクトの形成などによって、サービス利用料や研究開発プロジェクトから生まれた知財、こういったところの収入も得ていくと。
それから最後、左下の全体としてやっていくものとして、エコシステムの拡大と研究DX環境の整備ということで、広報ですとか研究DX環境の整備によって参加者を増やす、それからDX環境整備についてのサービス利用料等によって収益を得ると。こういった形で収益も得ていくということをここに示しております。
それで、上のQSTとPhoSICさんのいろいろなプロジェクトとかスキーム、こういったものが相互にうまく重なり合って収益を上げていくという考え方もありまして、次のページ、NanoTerasuのエコシステムと利用支援の2つ目ですが、イノベーション・エコシステム形成における共用制度の役割とQSTによる貢献ということで、一番下から見ていただきますと、まだ放射光ユーザーではないような方々、研究者とかスタートアップとか中小企業の方々、こういった方々を、例えばQSTの量子科学技術研究開発プラットフォーム、量子関係のいろいろな研究をやるためのプラットフォームですけれども、ここでNanoTerasuを加えましていろいろな研究をやって、共用制度を利用するわけですけれども、その中でNanoTerasuを利用してみる。そこで非常に大口のユーザーになっていく人はコアリションに加入して、NanoTerasuのコアユーザーとして成長していって社会課題の解決に資するというような、こういった連携。これはビームラインによって、最後まで共用のビームラインじゃないと駄目という人もいるとは思うんですけれども、こういった連携があり得えますし、それからPhoSICさんと東北大学さんの間でも当然、連携しながら全体の収益性を高めるということがあるんだろうと思っております。
7ページ、最後ですけれども、将来計画の方向性についてです。NanoTerasu、最初は10本の整備やっておりますけれども、最大で28本のビームラインを設置可能でございます。運用開始時は、まず基盤を提供する10本のビームラインをバランスよく整備するんですけれども、今後のビームライン増設については、この10本の基盤がさらに生きるように、NanoTerasuの強みであります高輝度な軟X線からからテンダーX線領域の活用、それから国の戦略を踏まえた専門分野を念頭に置いたエンドステーションの整備等々、こういったものを基軸にして、学術界及び産業界の研究者とともに構想を練って、国の審議会においても検討していただきながら整備をしていきたいと思っております。
それから、計測ですとか計算融合によるイノベーションサイクルの加速に向けた研究開発DX環境の整備、これにも注力していくということで、今御説明した内容を下に絵で描いてありますけれども、こういった形で今後もビームラインの増強を行って、国や産業界のいろいろなニーズに応えていきたいというふうに考えております。
以上で説明を終わります。
【古田課長】 ありがとうございました。本当に新しい話が幾つか出てきたと思います。4ページ目に、成果占有の場合ですけど、1時間当たり12万円という数字が出ておりますし、6ページ目の利用支援というので、量子科学技術研究開発プラットフォームというのも明示的に出てきているというところ。あと7ページでは、さらに増設をどうしていくのかという方向性も新しく説明をいただいたと考えております。
それでは、自由討議ということで、15分程度、時間を取りたいと思います。どの点からでも結構ですので、ぜひお願いいたします。
【辻本委員】 よろしいですか。
【古田課長】 辻本先生、お願いします。
【辻本委員】 大きく2点ありまして、NanoTerasuのエコシステム全体での話で戦略企画広報の展開というのが書かれておりますけれども、ここの解像度がちょっと低いというか、大ざっぱな感じで、これは誰が何をどういうふうに行っていくのかというところがかなり大事かなと思います。特にコアリションのほうも含めてだと思うんですけれども、ここがまさしく戦略が必要になってきて、PhoSICがやるところと、でも東北大学等も巻き込んでやるところとか、大企業を巻きこんでやるとか、そういうところが非常に重要なわけですけど、この部分の機能について具体的にどう進めていくのかというところがさらに必要かと思いました。
もう一段下の段階のエコシステムですけど、コアリション・コンセプトでユニットを形成というところなんですけど、このユニットというのが何なのかというところで、このユニットには恐らくリーダーのような人を配置するんだと思いますし、開発課題ごとだと思うんですけれども、ユニットでどこまで考えて進めるのか。もう一段下ではあるんですけど、ユニットレベルでも戦略企画広報的な機能が必要なのではないかと、官民協働パートナーシップの場合は、産業化につなげていくような企画も含めてここで考えつつ、全てをもちろんNanoTerasuがやるわけではなくて、そこは相手である東北大学なりスタートアップなり、大企業、中小企業なりと組んで、全体として回っていくようなエコシステムを設計して実現していかないと、実験はしたけれどそこまでみたいな話になってしまいかねないと思うので、そこもやっぱり同じように、誰が何をどこまでどうやってやるのかということを考えることが必要なのかなと思いました。
特に東北大学は、私が知る限り、非常に長年にわたり官民ファンドもVCも持っていますし、スタートアップ創出も熱心にやっていますし、専門家もいると思います。専門家というのは産業化をしていくとか、私もそういうプラットフォームの運営をしていますけれども、同じようなプラットフォームが東北大学にもありまして、みちのくプラットフォームというのが。そういう出資、それからVCによる出資をして産業化していくというところの経験があるので、そこの人たちも巻き込んでいくということが必要になるかと思います。具体的に既にやられているところもあると思うんですけれども、そういう観点の具体的なところをどういう体制で進めていくのかという検討が、この次に必要かなと思います。
【古田課長】 ありがとうございます。前者の戦略企画広報は茅野理事から、後者のユニットと東北大学の取組は高田理事長から御説明いただけますか。
【茅野理事】 戦略広報の部分については、前回も御説明しましたように、相手を分けて説明していくというのが一番大事だと思っていまして、後でオープンデーの話もさせていただきますけれども、一般の方にも来ていただきますし、それからPhoSICさんの場合ですと、特に産業界の方を狙って、説明もうまく変えながら説明していっていただいていますし、我々も、例えば放射光学会の中では特別セッションを設けさせていただいて広報するという形で、相手を考えながら広報するというところをきちんとやっていきたいなと。
【辻本委員】 すみません、広報というのをどこまでどう捉えるかにもよると思うんですけど、プロモーションというのもあるんですけど、マーケティングというのもあると思うんですね。伝える、周知するというのもあるんですけども、では実際に、顧客のニーズというか、産業ニーズは何なのかとか、新しい産業というのはどういうものなのかとか、そういう像を伝えていくとか、そういうのでマーケティングに近づいていくと思うんです。戦略とついている以上はそういうところまで取り組んでいったほうがいいのではないかなと思いましたので。
【茅野理事】 はい。事前にというか、以前に、どういうビームラインがどれぐらい利用があるかというのは、かなり大きなアンケート調査をやりまして、そういう形ではやっているんですが、さらにPhoSICさんのほうでは産業界にもそういうことをされていると思いますので、その辺もちょっと補足していただいて、2番目のお答えしていただければいいかなと思うんですが。
【高田理事長】 それでは、私のほうから。開発課題ごとにユニット形成、これは非常に現場に近くなってしまいますけれども、もう企業の中でいろいろなテーマを出して、FSを始めております。それに対してどういう学術をアサインしていくかというところも含めて、東北大学がいろいろなセンターを次々とつくっております。農学研究科のセンターであるとか、放射光のイノベーション・スマート研究センターももちろんそこに加わっておりますし、1月1日にはグリーンクロステック研究センターが立ち上がって、特にそこは放射光から出たデータを固体までどう持っていくかというところのサポートをするというような役割分担が今、できつつあります。
また、先ほどのマーケティングですけれども、そこも東北大学の中にある機構が、そういうマーケティングを含めて、NanoTerasuだけではないんですけれども、そういったものがあるということで、企業、産業界に対して、こういうふうな利用がありますと、そこで新しい課題はどこにあるのかということをマーケティングしているという形で、NanoTerasuが今、もう光が出る前に、そういうコアリションの加盟をどんどん促進していく中で、東北大学の体制も整いつつあると。そのほかに国立大学とか私立大学も参画を始めておりますので、そういったところとの連携もこれから進んでいくというふうに考えております。
大事なことは、そこをどういうふうな体制で最終的にやっていくかというところが、これからの課題であると考えております。現状ではそういう形になっておりますので、御指摘の点は非常に重要であるというふうに考えております。
【辻本委員】 分かりました。
【古田課長】 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。
岸本先生、お願いします。
【岸本委員】 2点ありますが、1つは共用制度の利用料金の想定のところですけども、共用の中で先ほど紹介があったのは、国内外の多くの研究者ということで、利用者としては国内だけではなくて海外も想定するのかなと思ったときに、この利用料金の制度というのは同一にしていくのか、海外からの利用についてはどう考えるかという整理も要るのではないかなと。というのは、やはり国費を使っていることからすると、国内の人には、その国費のことを考えて非常に安くするということもありますけども、海外について、それについてどう考えるかというのは整理が要るのかなと。それはここだけの整理ではないかもしれないので、もう少し広く国際連携をどう考えていくかというのは考えていく必要があるのかなというのが1点です。
もう1点は、将来計画の方向性のところですけども、NanoTerasuとして成長していくというのも非常に大事なことなんですけども、放射光やビームを使った装置って日本に多様にあると思う中で、やはり全体のマップみたいなのをちゃんとつくって、ほかもちゃんと共存共栄していくというか、お互いに使い合うとかいうことをどこでやるのかというのがありますけども、例えば量子ビーム利用促進小委員会等で検討しながら、その中でNanoTerasuを育てていくとかという、もう少し広い観点から将来計画を立てていくのも今後必要ではないかなと思いました。
以上、2点です。
【古田課長】 分かりました。ありがとうございます。2点目は私らの宿題だと思いますので、ちょっと考えさせていただきたいと思っております。
1点目はいかがですか、茅野理事。どのようにお考えですか。後ろの方でも結構ですけど。
【服部副センター長】 副センター長をしています服部と申します。恐らく、これはまさに御指摘いただいたとおり、国で御議論いただかなければいけない部分もあろうかと思っております。そういった議論の情勢を見ながら、施設側としても各機関と連携しながら検討を進めていきたいと、関連の審議会等でお諮りしながら検討していきたいと思っております。
【古田課長】 ちょっと私のほうで補足しますと、SPring-8が、成果占有の場合、6万から9万だと、基本6万なんですけど、これというのは、海外の同じような施設の金額とほぼ合わせているところがあるんですね。だから当然、日本人が海外の施設を使うということもあるので、そこは折半だというような考え方でやっているのであって、NanoTerasu、今回12万円というふうに上げているところは、多分いろんな見方があって、それはだから海外とのバーターの金額にまずならないし、SPring-8ユーザーから見ると高いと見えるし、違う見方もあるのかもしれないんですけど、ここはぜひこのメンバーでも御議論というか、どういうふうに見えるのかというのをコメントいただきたいと思うんですけど、小松委員、振ってしまっていいですか。どう見えますか、この料金体系について。
【小松委員】 いや、難しいですね。
【古田課長】 そうそう、難しいです。
【小松委員】 確かに国費というあれでいくとそうだと思うんですけど、こういう共用のやつというのはやっぱり、これはひょっとしたら個人的な意見かも分からないですけど、変に高くして門戸を狭くするよりは、もっとフラットな感じで、そこで海外の人たちも含めて一緒に議論できるような、よりオープンな場にしていくというほうが優先順位的には高いんじゃないかなというふうに個人的には思います。
【古田課長】 これはSPring-8の場合なので、NanoTerasuはどうなるか分かりませんが、成果公開と成果占有、ほとんどが実は成果公開のほうで登録をされるんですね。その場合はほぼ消耗品費のみになるので、この12万円というのが逆にマイナーな、数少ないケースではあるんですけど、なので、今言われたように、そういうサイエンスとして、オープンサイエンスとして広く交流していくというのは成果公開のほうで十分実はやられるんじゃないかなというふうにも思うんですよね。
ぜひ横山先生や宇治原先生からも。宇治原先生、どうですか。
【宇治原委員】 今おっしゃったとおりで、成果占有というのは、それほどの価値があることしか皆さん使われないんじゃないかなと思って聞いていたので、我々も最近、企業の方とかの産学連携講座みたいなのを学内につくるというので、そこに来ている方の話を聞いていると、さっき小松委員がおっしゃったように、あまりがちがちにすると逆に嫌がられるというか、そんなことを期待してここに来ていないという言われ方をされて、だからさっき言われた優先順位が高いというのはまさにそのとおりだなと思ったんですけど、今お話聞いて、そうしたら一般課題のほうで多分やられると思うので、大学の立場からいったら、そういうので一般課題を使っていただけるなら、それでいいのかなというふうに思って聞いていました。
【古田課長】 ありがとうございます。ほかどうですか。
どうぞ、千葉先生。
【千葉座長】 この料金のところですね、今議論になったところについては、私の印象では、大体このぐらいかなという形で決められたような印象なんですけども、4ページの下のほうに、例えば減価償却とか、そういうようなことも書かれているんですけど、これも私のこれまでの印象では、減価償却を積み上げたら、この値段で済むはずがないんじゃないかなと、これ全然桁が違うぐらいの世界じゃないかなというふうに思います。ですから利用者を一定数確保して、一部は負担していただくという意味の数字かなと思うんですけど、その辺は確認させていただきたいと思いました。
それで一番重要なのは、じゃあ本当に必要なものは1桁違って、何なんだということ、これは辻本先生が今までエコシステムのお話をしてくださいまして、当然マネタイズのところ、資金的な還流という話がありましたけど、イメージとしては、9割ぐらいは別の形のメリットが国にもたらされるという観点をもっとしっかりとアピールしないと、要するに数字が成り立たないんじゃないかなと、この部分は共有すべきなのではないかなと思います。そうしないと、この1,400円とか12万円とか、1桁上じゃないかとか、すぐそういう議論になって、そうすると誰も使わなくて結局は成果が何も出ないというふうになるので、国の施設としての考え方というのは、やっぱりいま一度共有しておく必要があるかなと思いました。
以上です。
【古田課長】 ありがとうございます。減価償却の考え方は追って御説明いただきたいと思うんですけど、これはQSTさんの資料なので、私の見方を考えると、1つはガイドラインというのを、まさに私の課で去年つくりまして、これは研究設備、機器なので、大型施設とはちょっと違うんですけど、その中に、明らかに減価償却費を入れてくれと。それ以外の技術システム、技術者の費用とかシステムとか、そういったものを入れてくれということをお願いしていたので、それを反映していただいたということかなと思っています。
あと、成果占有の12万というのは、それが高い低い、もっと高いだろうとかという意見もあると思うんですけど、やはりそれ相応のサービスを提供していくんだと思います。これはQSTないしは、このNanoTerasu全体としてです。例えばアクセスが非常にいいというのは、それだけでも大きなサービスだと思いますし、東北大学なんかがいろいろな、先ほどから話があるようなサービスというのを横に用意をして、連携をしていくということで付加的なサービスを提供できるというふうに考えるんじゃないかなと思っています。
すみません、あまり私ばかり話すのはよくないと思いますので、ちょっとここでQSTのほうで、この考え方を紹介していただけますか。
【服部副センター長】 先ほど減価償却費の御指摘いただきました。比較的、加速器は減価償却期間が長い施設になっていまして、恐らく17年ぐらいの償却期間になろうかと思いますけど、一応そこを考えた形で料金設定のほうを今、12万円といった形で、一応そこの部分については入っておりますが、加速器の部分は若干、いろいろ国費が入っていたりしていますので、そういったところで少し通常よりもディスカウントが入っているんじゃないのかなという感じの料金設定になっております。
【古田課長】 ごめんなさい、何の17年間と言いましたか。
【服部副センター長】 減価償却費ですね。加速器とかビームラインとかの減価償却費になります。
【古田課長】 加速器とビームライン。
【服部副センター長】 その償却期間ですね、17年ぐらいになる。
【古田課長】 共用ビームラインですよね。
【千葉座長】 その辺り、建物もそうなんですけども、人件費等いろいろありましたけど、そういうのを全部、トータルを見てこれを設計されているかどうか、そこはいかがですか。
【服部副センター長】 トータル、年間の運用費と減価償却費で、ここに書いてある様々な費用を考えて、こういった料金設定になっているということになります。
【千葉座長】 じゃあ考慮されているということですか。
【服部副センター長】 はい。
【千葉座長】 それはすごく重要なところなんですけど、もしそれで減価償却まで賄えて、本当に自立化できるのであれば。
【服部副センター長】 ただ、この料金というのは、成果公開の部分については免除になります。成果占有部分について、まさに課長から御説明がありましたけれども、ほとんどコアリションの方々で成果占有の利用者が多分いらっしゃって、ほとんどコアリション利用になろうかと、お金を払って使われる方というのはコアリション利用になろうかと思っています。共用のほうは、やはりアカデミックのユーザーが多いということもありまして、多分ほとんど免除の形で使われるというふうな形で、なので国費が支えるという形になろうかなと。
【千葉座長】 そういう形で仕分したにしても、ある部分は自立化を見込んだ設計ということであれば、非常に重要な、一歩踏み出していることになるんですけど。
【服部副センター長】 コアリションはまさに、もう自立化しなければいけないシステムになっていますけれども、共用のほうは、やはりアカデミックのユーザー様がいらっしゃるということでございますので、国費に支えていただくといった形の設計になっているということでございます。
【千葉座長】 せっかく企業の方もたくさんいらっしゃるので、その考え方が成立しているかどうかという評価をいただくべきだと思うんですけども、それが見えないです、これでは。ですから、それで私も大分緩い表現にしたんですけど、経済的に賄えない部分は国が価値を生み出すんだというような、そういうくくりがあれば、ああ、そういうことかとなるんですけど、ここは成立させますというふうになると、じゃあそれは一体幾らなのかという話になるんですよ。
【古田課長】 ちょっと内野さんのほうで仕切っていいですか、お願いできますか。ちょっとQSTばかり話しているから。
【内野補佐】 共用全体、今話があったみたいに、値段設定は、仮に利用者が100%成果占有で使ってくれた場合、もしかしたら自立できるかもしれないというところですけども、結局、国の科学技術基本法、今、科学技術・イノベーション基本法になっていますが、基礎研究の支援というのはやはり国がやらないといけない事務になっていますから、なので、そこの部分は国費に充当されるというところは、ほかの、今までの共用法施設の中でもそうなっているので、今回のNanoTerasuもそういう使用が見込まれるんだろうというふうに考えてつくられたのかなというふうには思っています。なので、仮に100%、アカデミックのほうも12万円を取るということにすれば、もしかしたら国費が要らなくなってしまうのかもしれないですが、それをやると、アカデミアの現場でこれを払える人たちというのは限られていると思いますので、そこは国の事務、国の業務としてアカデミアを支えていくということが、恐らくこの施設、共用のほうには求められていることなのかなというふうに思います。
【千葉座長】 お金だけの議論になるとすごく狭い話で、本当に黒字になるかとか、そういう話になってしまって、料金が多分高くなるんですよ、それでユーザーは使いにくくなる。そういう方向がいいということ私は言っているのではなくて、だから別の価値の部分をもっと明確に出したらいかがですかと。そうしないと、すごく矮小化した議論になってしまって、せっかくこれだけのことをやる意味が薄れるんじゃないかということなので、要するに、産業が振興して、日本が外貨をもっと稼げるようになって税金を皆さん納めてくれれば、またこういうのが造れるようになるとか、そういうスキームをもっと明確にしていくというのはすごく大事かなということです。
【古田課長】 5ページのこれをもっと。これはただ書いてある、羅列してあるだけなんですけど、これがきちんと実体性のある、リンクしたものになる。
【内野補佐】 やっぱりサイエンスパークという、東北大とNanoTerasuのあるところは、エコシステムが生まれている部分だと思うんですよね。NanoTerasuってベンチャー企業じゃないので、黒字化を目指したものじゃなくて、ある意味、研究基盤なわけですので、その周りにこういったいろんなエコシステムができつつある中で、ここで多分いろんなサービス、価値が生まれていって、それが還流されていくようなサイクル、そういうのを目指すのが適切なのではないかなというふうに思っていまして、多分QSTのほうでも、こういう共同チーム、研究チームを形成するとか、東北大学さんでもVC出資とかハンズオン支援とか、いろいろな取組をやられているということなんだと思います。
【古田課長】 ちょっと違う方に、ぜひ。
どうぞ、荒井委員、お願いします。
【荒井委員】 全体の話はもう本当に、まさに今聞いている話だなと思ったんですけれども、ちょっと私が気になったのが、なるべく門戸を広げようという中で、スタートアップというところも当然あったと思うんですけれども、今後を考えると当然、スタートアップみたいなところにどれだけ門戸を広げられるかというのはすごく大事なことになってくると思うんですけど、ちょっと1回仮置き、仮にスタートアップというものが資金が脆弱だという定義を置くとしたときに、こういう方々に、この12万円という金額が障壁になるのか、ならないのか。なる場合には、やっぱりそれをどう救ってあげるかというところはすごく重要なのではないかなと思うので、何かその辺の、制度なのか、バックアップできるような施策というのはぜひお考えいただければよろしいのかなというふうに思いました。
【古田課長】 分かりました。ありがとうございます。多分今は答えられないと思いますので、ほかどうでしょうか。
石川センター長、いかがですか。
【宇治原委員】 宇治原ですけど。
【古田課長】 はい、宇治原委員。ごめんなさい。
【宇治原委員】 1点だけいいですか、宇治原ですけども、今の議論、後で言おうかなと思ったんですけど、やっぱり全体のイノベーションを価値化するというところは、どうしてもスタートアップとか、キャピタルゲインどうするのかみたいな話になってくる。それを全部込み込みでやると、それこそ採算が取れるみたいな話も始まってくるかもしれないですけど、これはやっぱりその部分を全部、今出されているスライドで言うと、紫の東北大学のところに、ある意味全部お任せしちゃっているようなところがあって、今回この会議、委員会も何回かやっているんですけど、1回、青木先生から全体の話はあったんですが、やっぱりここがもっともっと具体化しないと、多分ずっと今みたいな話が続いていくのかなという感じがちょっとしていまして、もう1回この会議あるような気がするんですけど、やっぱり東北大学が今どういうことを。これは言葉づらで大学出資、ファンド出資と書いてあるだけで、これを実現していくのは物すごい難しいことだなと。
あともう一つ、別の観点もあって、人材育成というのが物すごく重要で、今、ほかの共用施設とかでも結局、高度人材はいるんですけど、大学の高度専門人材って意外に少ないというか、これを支えられるほどの、要は、別にNanoTerasuだけじゃないので、素材とか生物系とか、そういうものの試料を作る人みたいな人まで含まれるので、この人材育成のところと、ベンチャー、スタートアップエコシステムのところというのが、今、どうしてもこの紫のところに押し込められているのがすごく気にはなっています。ほかもやらなきゃいけないんじゃないかと思うし、もし紫に押し込めるんだとしたら、ここをもうちょっと具体的にどうしていくのかというのが、ここで報告があるのがいいのかなと思って聞いていました。
以上です。
【古田課長】 分かりました。次回、東北大学に改めて説明いただくかどうかも含めて、ちょっと検討させていただきたいと思います。確かに東北大学だけではなくて、やっぱり4者で、皆さんがそれぞれできることをやっていかないといけないというふうに思っています。
どうしましょうか。最後の議題があるんですけど、特になければ、この議題については終了させていただきたいと思いますけど。
【辻本委員】 すみません、一言だけいいですか。
【古田課長】 どうぞ。
【辻本委員】 議長、千葉先生とほぼ同じなんですけど、PhoSICが自立するんだみたいな話というのは、本当に必要かというのはちょっと考えたほうがいいかなと思っていて、そこだけ見て、そこが自立というのが大事なのではなくて、全体として見て、産業なり、1社でもスタートアップで非常に大きくなるようなものが出てくるなり、それはやってみないと分からないところではあるんですけど、それをできる限りやれる体制をつくって、全体として新しい産業ができてくるというところを、官、民のほうも期待していると思うので、そういう細かい話よりは、大きい話が実現できそうですと、そういうことに取り組んでいるというところで納得されるのかなというふうに思いますので、そういう伝え方、見せ方というのをよりしたほうがいいんじゃないかなと個人的に思います。
【古田課長】 そうですね。私のもともとのイメージもそのとおりで、NanoTerasu全体のプレーアップなんですよね。PhoSICというのは、財政的には独立というか、自立しているのかもしれないんですけど、やはり全体として成功していくというのを考えていかないといけないですよね。
【辻本委員】 その意味では、東大のエコシステムを紹介したと思うんですけれども、東北大もそういうことを考えていますが、ただ、大学は利益追求団体ではないので、そういう意味では大学もそうじゃないんですよね。収益を獲得するような組織ではなくて、東大は、その周辺に収益化の株式会社を持っていたり、それ以外とのつながりの中で、大学にも収益が来るし、民間でも収益が上がっていくような体制と、またつながっているわけです。
【古田課長】 そうですね。
【辻本委員】 だから、この絵もアクターとしては不十分で、そういうエンジンとして稼ぐ人たちと投資するというところと、全体をもって回していくという観点が必要だと思いますので、おっしゃるとおり、東北大学に全部押しつけるというのも、それはそれでおかしな話だと、それ以外のプレーヤーに押しつけるというのも変ですけど、機能が違うので、違う機能を誰が担うのかと、全体を誰が統括するのかという体制が必要じゃないかと思います。
【古田課長】 そうですね、分かります。
何かありますか、高田さん、いいですか。
【高田理事長】 これは結局、官民地域パートナーシップが何かということですけれども、公共投資と民間投資を合わせて、国がイノベーションに対してどう取り組んでいくかということを、多分議長はしっかりと見せてほしいということなんだと思います。国が取り組むべきところというのは、やはりちゃんとボトムアップのところで、シーズプッシュのところを国の責任としてやっていくと、だからこの共用というのもつくっていく。民間が期待するのは、そういうものがちゃんと上がってくる、そのエコシステムができている、それが多分ここでの議論であって、そこの国のミッションをもう少し明確にしてほしいということを言っておられるのかなというふうには感じておりますけれども、的外れでしたら、すみません。ただ、そういうふうなこともやっぱり社会に示していく必要があると。
だとしたら、国がやる部分というのは、国は誰もやらなかったことをやるのが国の役割ですから、この新しい官民地域パートナーシップで、そこのイノベーションをどう牽引していくかというところを明確にしていく。そうすると、そこはお金がどうこうというところだけの話ではないんだと、それの結果として、産業が使うところ、産業のところをもっと支援していく、学術のほうでも支援していく、それを自立して進めていくというところがPhoSICなり地域パートナーの役割、そして地域もどう発展するかもやっていくと、そういうふうなことをつらつら考えておりました。重要な御指摘ありがとうございました。
【古田課長】 まさに次が報告書の骨子になりまして、その辺りを議論させていただきますので、次の議題に移らせていただきたいと思います。
それでは、議題の3に移りたいと思います。林のほうから説明をします。お願いします。
【林補佐】 文部科学省の林でございます。資料の3を御覧ください。こちらにつきましては、こちらの会議での議論を踏まえまして、有識者会議の報告書に盛り込むべき事項というものを骨子という形で取りまとめたものとなってございますので、ぜひこちらの内容について、追加すべき等々の御意見をいただければと考えてございます。
まず、全体の構成といたしましては、1番「はじめに」、2番、NanoTerasuについて、3番、NanoTerasuの利活用の在り方について、そして4番「おわりに」という構成となってございまして、特に3のNanoTerasuの利活用の在り方につきましては、3-1、世界最高性能の光を産学官に広く提供ということで、NanoTerasuがどういった取組が求められるか。3-2は、ユーザーのニーズに応え、自立するエコシステムということで、NanoTerasu本体だけではなくて、その周辺も考えてどういった取組が必要となってくるか。また、3-3につきましては、さらにそれが時間軸といいますか、持続的な発展と成長のためにどういった取組が考えられるかということで整理をしてございまして、また、この3のところにつきましては、3ページ目に参考としてつけてございますけれども、第1回の会議でお示しいたしました9つの検討事項というものを、改めて再整理するような形で統合してございます。
では、「はじめに」から御説明をさせていただきます。まず、こちらの報告書ですけれども、NanoTerasuの運用開始に向けて、令和4年8月より、こちらの有識者会議、最終的には7回の開催を予定して、検討を進めさせていただいているという背景とともに、こちらの報告書につきましては、その議論を踏まえて、NanoTerasuとして目指すべき姿と、量子科学技術研究開発機構や地域パートナーをはじめとする関係者にどういった取組が求められるかということを取りまとめたものとしてお示しできればと考えてございます。
2番、NanoTerasuについて、こちらは、NanoTerasuが官民地域パートナーシップによって整備を進めていること、2024年度の運用開始を目指していること。また、こちらの施設は先端性と安定性を兼ね備えた高輝度の放射光源を整備し、その光によって世界レベルの最先端の学術研究及び多彩な産業利用成果を創出するということをお示しする予定でございます。
3番ですけれども、3-1、世界最高性能の光を産学官に広く提供というところでして、まず丸1、研究成果の最大化に向けた利用制度の在り方、NanoTerasuがどういった利用制度を持つことが必要かという部分について御議論いただいたところをまとめておりまして、第1に、共用ビームラインとコアリションビームライン双方ございますけれども、その双方が好循環を生み出せるような制度設計が適切に行われることが重要と。また、利用料金につきまして、本日も御議論ございましたけれども、文部科学省で定めておりますガイドライン等に基づきながら、合理的に料金を設定すべき。また、その下、本日も御指摘ございましたけれども、学生や若手研究者、アントレプレナー、ベンチャーへの利用機会の適切な提供や、利用メニューの充実についても今後必要となってくること。また、SPring-8の発表の際にも、随時利用制度を変更していったというお話ございましたけれども、今後もユーザーニーズ等を踏まえて、初めに決めたものでそのままいくのではなくて、きちんと柔軟に検討すべきということを示してございます。
丸2番、適切な管理運営の在り方と役割分担につきまして、こちらも第1回から御指摘いただいているところではございますけれども、複数の主体が運用に関わっていることから、QST及びパートナー間において適切な役割分担と責任の所在を明確にした上で、安全管理、情報セキュリティー、戦略的な企画広報などについて、経営上の観点も含めて一元的な対応を行えるような連携体制をきちんと検討していくことが必要。また、特に官民地域パートナーシップを踏まえて、QST及びパートナーがそれぞれの責任において経営を担保できるような体制構築に留意が必要ということを記載してございます。
また、人材の育成と確保も非常に重要でして、特にユーザー支援人材の確保・育成、流動性確保、こちらの部分につきましては、登録施設利用促進機関における研究実施相談者のクロスアポイントなどが考えられまして、そういった部分については所要の制度改正が必要と。また、女性や若手の研究者が積極的に参画できる環境整備が必要というところを記載させていただいてございます。
続いて、3-2のユーザーのニーズに応える自立するエコシステムというところで、エコシステムの在り方としては、国の事業である施設の共用に加えて、将来的に持続可能な正の循環を目指すためには、産業界との連携をきちんと考慮したエコシステムレベルでの設計が必要不可欠である。その実装のためには、プレーヤーとして実装するオーケストレーターですとか、あるいは研究、ビジネス両方の専門家の参画が重要といったところも記載させていただいております。また、学術や社会課題に実際に取り組んでいるユーザー、プレーヤーの課題をきちんと共有し、そこが資金循環につながるようなサービスや価値の提供が重要であると、その際はQSTと地域パートナーのそれぞれの役割や強みを生かした価値を提供すべきということを記載させていただいております。
また、データ利活用についても非常に重要だと考えておりまして、まず大前提として、NanoTerasuからは非常に大容量のデータが創出されますので、そういった部分の処理のための計算や情報インフラの整備が重要であると。また、東北大学の保有しているインフラとの連携スキームをきちんと具体化していくことが今後必要となってくると考えております。また、オープン、クローズの議論もございましたけれども、アカデミアと産業界で当然、特性、データの部分について異なってまいりますので、これまでの先行事例なども踏まえながら、よりNanoTerasuにおいてデータ利活用の在り方をさらに具体的に検討することが必要だと考えてございます。
持続的な発展と成長の部分につきましても、エコシステム自体を発展・成長させるためには、経済、雇用の拡大が必要で、この部分、具体的にはコアリション企業の加入の拡大ですとか、これまでユーザーでなかった無関心層・初心者等の常連化、インキュベーション機関・投資機関との連携といったところを記載してございます。また、このエコシステムにつきましても、辻本先生からも御指摘ございましたけれども、きちんと運用状況を不断に評価して、その結果をフィードバックしていくサイクルが必要というところを留意していくことが必要だと考えてございます。
戦略的な企画広報につきましては、NanoTerasuの特性を生かした戦略的な企画・広報の展開、そのためには体制の構築等、きちんとした専門人材の確保が必要です。また、G7の科技大臣会合などの機会もございますので、そういったものも意識しながら、国民や地元のための取組、海外コミュニティーを意識した広報なども必要だと考えてございます。
また、他機関との戦略的な連携につきまして、国内だけでなく、海外の研究機関との連携協力も必要と考えております。特に特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の対象となっておりますようなSPring-8、SACLA、J-PARC、「富岳」などとの連携による価値提供につきましては、今後さらに具体化すべきということを考えてございます。また、利用者ニーズを踏まえたデータ連携及び高性能計算環境の活用の具体化も必要と考えております。
国プロにつきましても御議論ございましたが、大型の国プロなどにおけるNanoTerasuの積極的な位置づけが有効だと考えておりまして、その際は国プロにおいて、共用制度の利用ですとか、あるいは国プロにおいて独自のビームラインの建設なども考えられると考えてございます。
そして、施設の高度化につきましては、本日も発表ございましたけれども、今後、国の戦略を踏まえた専門分野の振興を念頭に置きつつ、量子ビーム利用推進小委員会などにおいて、ビームラインの増設について検討を進めるべきと。その際には増設案について、QST側、パートナーがばらばらにというわけではなくて、相手方の増設計画にもきちんと留意することが必要ということを記載させていただいております。
最後、その他留意すべき事項といたしましては、NanoTerasuは国内外に公平に開かれた施設であることを基本としつつも、昨今の国際情勢や我が国の競争力の維持、経済安全保障などを踏まえ、適切に対応することが必要だと考えてございます。
そして、最後に「おわりに」というところでして、NanoTerasuの価値が最大限発揮されるように、政府においてはこちらを共用促進法の対象施設とし、産学官に広く開放すべき。また、共用促進法の施行規則や基本方針の策定に当たっては、こちらの報告書の提言を十分に踏まえるべき。適切な利用制度、運営体制、役割分担を確保するとともに、持続的に発展・成長するため今後も継続的な検討が期待されるということを内容として盛り込むべきと考えて、まとめさせていただいているところでございます。
以上でございます。
【古田課長】 ありがとうございます。ちょっと私のほうから補足をさせていただきますが、これまで5回にわたって、本当に、かなり自由に討議をいただいたところであります。もともとは3ページ目の1から9の検討事項だったんですが、改めて整理をし直しまして、今のようなくくり方にしているところであります。本当に非常に多岐にわたった議論でしたので、実はまとめるのも非常に苦労しまして、まだまだ濃淡があったり、抜けがあったり、恐らくあると思います。ですので、本当に忌憚のない御意見をいただきたいというふうに思っているところです。
もし、おおむね骨子ができましたら、次回は、報告書ということで、このポツの単位、例えば3-1の1でありましたら、1つ目のポツ、共用ビームラインとコアリションビームライン双方が好循環を生み出せるような制度設計が適切、これについて、ポンチ絵で1枚、さらに詳しい内容や、これまで発表されてきた資料とかデータとか、そういった絵をつけるというような形で報告書をまとめさせていただきたいと思っております。
あと最後、さっきの議題の一番最後に高田理事長が、官民地域パートナーシップとは何なのかという話を、私は何回か聞いたことありますけど、本当におっしゃるとおりだなと思いますので、改めて2ポツの「NanoTerasuについて」のところで、高田理事長が先ほど言われたようなことを少し盛り込みたいと思っております。
では、30分程度、時間がありますので、よろしくお願いします。
横山先生、よろしいですか。
【横山委員】 ありがとうございます。とてもよくまとめていただいている案だなというふうに拝見しているんですが、1つ気づいたのが、ESGについて触れておいたほうがいいのではないかなと思いました。大型施設の昨今の大きな問題としては、やはり電流をこれだけ使う、エネルギーをこれだけ消費する施設をこれからの時代に造るというときに、その電力に対する配慮、環境に対する自らの発言というのは、非常に投資家にとっても重要視されるのではないかなと思いますので、ESGについて何かしらのキーワードが入って、自ら気をつけているというような姿勢を示しておくことがとても重要ではないかなというふうに思った次第です。
ほか幾つかあるんですけれども、ちょっと気になっているのは、例えばアウトリーチという言葉、あと、先ほど辻本先生からもありました戦略企画広報といったときに、そこの細分化がどうなっているのかというのが、大学や従来の国研のキーワードを使い過ぎているかなという印象がありまして、もうちょっとバランスが取れた、マーケティングでもよろしいですし、あるいはブランドという言葉も、荒井先生もいらっしゃいますので、ぜひお使いになって、どういうふうに外に見せていってコミュニケーションを取っていくのかというのを、もう少し細分化したキーワードも入れていただくとよろしいのではないかなと思った次第です。
取りあえず以上です。よろしくお願いします。
【古田課長】 どうもありがとうございます。非常に適切なコメントだと思います。ありがとうございます。
それ以外についてはいかがでしょうか。
【岸本委員】 よろしいですか。
【古田課長】 はい、お願いします。岸本先生。
【岸本委員】 施設の高度化のところの書きぶりですけども、これはNanoTerasuだけをよくするための有識者委員会でないとすると、量子ビーム利用促進小委員会において増設について検討を進めるべきといったときに、多分やはり他の施設の状況も見つつとか、量子ビーム全体を捉えつつ、ここでは何をしていくのかという書きぶりにしておいたほうがバランスが取れないかなと思いますけども。
【古田課長】 そうですね、分かりました。ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
あとはどうでしょうか。荒井委員、いかがでしょうか。先ほどブランディング、マーケティングというキーワードが出ましたけど。
【荒井委員】 そうですね。結構、大型の施設だと、先ほどのエコシステムだったり含めて考えると、広報といいますかPR的な部分というのは、ターゲットによって相当な設計が必要になってくるなという気がするので、書き始めると切りがない部分があるんですけれども、ワーディングとかそういうのは私のほうでアドバイスできることもあるかと思いますので、それはまた別途調整させていただければなと思っています。
【古田課長】 ありがとうございます。そうですね、相当な設計が必要なんですね。
【荒井委員】 そうですね。あと、どのくらいの予算をそこに振り分けられるのかとか、それによっても大分変わってくると思うんですけれども。
【古田課長】 分かりました。ありがとうございます。
どうですか、平井座長代理、何かお気づきの点というか、欠けているワーディングでも結構ですけど。
【平井座長代理】 先ほどの議論とも関連しますが、民間企業に置き換えると、これは要するに大型投資であると言えます。大型投資について検討する際には、そこから得られる価値というのが必ず定義されていますので、今回ももう少しどういう価値創造を目指しているかという観点を加えていただくと、我々民間にいる人間にとってもすっと理解できるし、それからコアリションメンバーに民間企業の参画を促すという意味においてもPRにつながるのではないかと感じます。
【古田課長】 おっしゃるとおりですね。確かにこの中には入れ込めていないと思いますので。
【平井座長代理】 まさにエコシステムというからには、それが好循環で回っていくためには、最終的にどういう価値を社会に提供しようとしているかという観点があったほうがいいと感じました。
【古田課長】 そうですね、分かりました。ちょっと検討させていただきます。ありがとうございます。
宇治原委員、いかがですか。
【宇治原委員】 宇治原です。もう私も同じように、もう少しエコシステムのところを分厚く書いたほうがいいのかなというふうに思いました。やっぱり毎回の議論の中で、今の平井委員の話もそうですけど、価値のところ。価値の創造って、これは多分、イノベーションに対するエコシステム、もうそこが大中心なので、その割にはもうちょっと、量の問題じゃないですけど、あったほうがいいのかなとはすぐ思いました。
全然別の観点で、今さら言うなと怒られそうなんですけど、今日順番に聞いていて、1つだけ、ふと、あれっと思ったのがあって、外国、海外のことが、あんまり今回、今日まで議論してこなかったなというのが、自分の反省もあるんですけど、ちょっと感じました。これ、今もしかしたら、まだ考えられていないのか、考えているのか分からないんですけど、企業といったときに、海外も入っているのかとか、例えば人材育成というときに、海外の学生とか海外の若手人材みたいなのも入っているのかとか、そこが今までの議論で足りてなかったなというのが、すみません、今さらながらに気づきました。
何でこんなことを言ったかというと、最近、実感としてなんですけど、あんまり中国と言うと怒られちゃうかもしれないですけど、例えばインドとかだと、やっぱりインドにもシンクロトロンとかの施設はあるといえども、あそこはやっぱり人口に対してというか、若い人の人口に対してそういうインフラというのは全然整ってなくて、IITとか優秀な学生が日本に来たいというときの動機に、やっぱり今回のようなシンクロトロンという世界最先端の装置というのは彼らにとっては物すごく魅力に感じていて、そういう意味では、これから海外から優秀な人材を引き入れて、それで育成していくという観点でも、海外というのをもう少し考えてもいいのかなと、すみません、今さらながら思いました。
以上です。
【古田課長】 ありがとうございます。海外か、確かにそうですね。ちょっとまた、すみません、相談します、海外については。ありがとうございます。
ほかいかがですか。石川センター長、いかがですか。
【石川委員】 まず、最終的なというお話に対しては、かなり最初の頃に私は、皆さんの幸せじゃないかということを申し上げたわけでございます。最終的なというか、やはりこういうものをやって、アカデミーの方も産業界の方も何らかのことができて、みんながハッピーになっていくというのが大切なような気がするんですね。そこは押さえておいたほうがいいかなということがあります。
あと海外の問題あったんですけれども、もちろん海外の人材育成、いろんな形でやるわけでございますが、特に今、SPring-8のほうでございますが、タイに対してODAで、タイの放射光施設を新設というか、リニューアルするのを助けるということをやっていて、そのときに我々だけでなくて、例えば台湾の放射光の人たちと一緒になって助ける。そのときの向こうの若い人たちが日本に来て、いろいろ勉強して帰るときに、SPring-8だけでなくてNanoTerasuにもお願いしてやっていくというような、かなり大きな意味での人材の交流というのが今始まっているところでございます。
もう一つ、海外企業に対して、これはSPring-8、SACLAはできたときに議論があったんですが、実はSACLAでは海外企業の成果占有利用というのをお断りしております。それは、SACLAというのは、当時は世界に2つしかなかったもので、あまりそういう使われ方をしても困るなということでお断りしたわけでございますが、放射光の場合には、ある意味どの国でもあるというものでございます。むしろ海外企業が使っていただくことによって、向こうが何をやっているか分かる、あとどういう技術があるか分かるということもあるので、その辺りどういう考え方をするのかというのはまた別途議論があるところだと思いますが、逆に日本にちゃんとしたものがなくて海外に行くようになると、日本の技術とか、いろいろなものがみんな結構だだ漏れになるというところがあって、そういう意味からも、この手のものをしっかりと持っておくことというのは、一種の安全保障ではないかと思っております。
以上です。
【古田課長】 ありがとうございます。経済安全保障ですかね。ほかいかがですか、どうでしょうか。
どうぞ、辻本先生。
【辻本委員】 すみません、繰り返しかもしれないですけど、エコシステムのところで設計が必要ということで、設計のプロセスを御提示したと思いますけど、1行目に書いてあるのが「価値は何か」ということなので、そこをやっぱり明確にしていただきたいのと、それは本当に価値かというのも書いてあったと思うんですけど、何となくすばらしい言葉で書いてある価値というのはすごく大事なんですけど、よりそれを解像度上げていくと、誰にとってのどういう価値で、それは本当に価値かということと、それはどういうことかというと、それに対して広い意味での支払いが行われるかというのはすごい大事だと思うんですね。
それは誰が払うかというのはいろいろだと思いますし、どういう形で払われるかというのもいろいろだと思いますので、単に顧客に売るというだけではないと思うんです。先ほどの安全保障という話は、お金が支払われる云々ではなくて、それ自体が価値を持っていることで、非常に重要なことだと。これは社会的投資だと思いますので、その社会的投資に対して、どのような価値がどのように流れるのか。そういう意味で言うと、資金の循環は目立つものではあるんですが、それ以外も含めて、全体として投資の価値が十分に発揮されているかという大きな観点から見る必要があると思うんですね。短期で、料金回収で細かい料金メニューをつくって、この範囲ではオーケーですという話は、あってもいいのかもしれないですけれども、そういうことが焦点ではないと思いますし、努力は大事なんですけど、より大きなところで価値をつくり出しているということが見えるし、それを訴えているしというところが一番大事なところかなと思いますし、今も既にできているところあると思うんですけども、そこをさらに強調していくというのが、このNanoTerasuにとってとても大事なことなのかなと思います。
【古田課長】 なるほど。大変よく分かりました。
林さんどうですか、担当として。全体にわたって、今までのところ。
【林補佐】 ありがとうございます。どういった価値が提供されるべきというところで、前々回及び前回、運営会議のほうから、世界最高性能の光で、放射光で豊かな実りをといったような価値についてお示しいただいているところではあるので、きちんと検討した上で、報告書本体にはどういった形でそちらを入れていくかというところは、ぜひ御検討させていただければと思います。
【古田課長】 ほかはどうですか。海外のところとか、どうします?
【林補佐】 海外につきまして、参考資料の80ページのほうで、連携ということで幾つか具体にどういったところを検討しているというところは、以前1回お示しいただいているところではあるんですけれども、もしもこちら、その後、検討とかの進展がありましたら。
【古田課長】 というか、多分、今の宇治原先生の御指摘は、そういった海外の企業とか海外の人材をNanoTerasuに積極的に取り入れるのかどうか。ニュートラルなのか、取り入れるのか、そういう議論だと思うので、機関間の話じゃないとは思いますけど。
【林補佐】 そういった意味で申し上げますと、まず海外のユーザーにつきましては、例えば参考資料78ページにつきましても、海外についてきちんとアピールする、及びそういったところのユーザーも取り込むみたいな話もございましたので、ただ、最初のほうの議論で岸本先生から、どこまでといったお話もあった中で、それをどの程度というのはまだ必ずしもお示しできないところではあると思うのですが、一般的には開かれた施設であるべきという考え方から検討を積み上げていくのかなと思っております。
企業につきましては、コアリションにつきましては、海外企業も含めるといったお話は。
【高田理事長】 明確には、海外を排除するとか、そういうことはしておりません。今、グローバルな企業が増えておりますので、なかなかそこの線は引きにくいと。ただ、やはり国がお金を投じて造った施設を使って、海外の情報、先ほど石川センター長おっしゃったように、海外の情報を取り込んでいく、やはりそういう戦略は必要であるというふうに考えております。SPring-8でも、例えば長期利用課題は、いろいろな海外の優秀な研究者にアプローチをして、ただ一般にどうですかといって広く集めるのではなくて、やはり戦略的に海外の優秀なところを取り込んでいくというところを考えていかないと、タックスペイヤーに説明できないんじゃないかと、そういう戦略を見せていくことが大事かと思います。
【古田課長】 横山先生、お願いします。すみません。
【横山委員】 今の御議論、大変賛成で、やはりアカデミアを中心とするこういう施設は、海外に対してオープンな姿勢を保っていくというのは非常に重要だと思います。共共施設などでは、受入れ担当教員というんでしょうか、そういう人たちと共同研究の体制で申し込んでいただくというようなことがよく行われていると思います。そういう意味では国際共著を増やすという観点でも、むしろ積極的に国内の研究者と組んでいただいて、使っていただくと。海外のみの研究者の方々にももちろん使っていただきたいんですが、より運営側のやりやすさとして、国内の研究者と共同に提案をしていただくというような形をまずは推奨していただくのも一つのやり方かなというふうに思っているところです。
あとは電気代とか、あるいは最近の円の変動で、ビーム代から考えても日本は割と使いやすく、安いかもしれないと、そういう観点での要望というのがもしかしたら出てくるかもしれませんので、柔軟に対応して、積極的に海外コミュニティーを取り入れていくとよろしいのではないかなと感じている次第です。
以上です。
【古田課長】 ありがとうございます。今の海外ので、QST、どなたか何かありますか。
【茅野理事】 海外との付き合い方については、先ほど石川センター長からお話があった考え方が一番正しかろうと思いますし、今も御意見いただいたオープンにやっていくというその中で、国内研究者との共同提案が望ましいというのも、アイデアとしてなかなかいいかなというふうに思いました。いろいろと適切な御意見いただいたと思いますので、検討の中に入れていきたいと思っています。
【古田課長】 ありがとうございます。できたら1つポチをつくりまして、今の海外の取り込みについて追加させていただきたいと思います。
【辻本委員】 一言、いいですか。
【古田課長】 どうぞ。
【辻本委員】 御紹介したIMECというコンソーシアムは、産業レベルの話ですけど、海外企業で取り込むところと取り込まないところを明確に選んでいます。全面お断りじゃなくて、日本の会社でも、材料系とは組むんだけど、装置系とは組まないとか、そういったようなセレクションをしているので、そこまでNanoTerasuが考えるかどうかはあれですけど、特定の産業ごとに、グローバルなチームを組む必要があるのであれば、そういうところを取り込むとか、そういうところとは組むとか、そういう判断が必要になってくるんじゃないかなと思いますというのが1つと、ESG関係で、テーマの中で社会全体に貢献するようなものがあるのであれば、投資という意味では、インパクト投資とか、普通の基準と、ESGよりさらに違っているようなスキームも出てきているので、そういうところは大学は非常に親和性が高いと思うので、例えば東北大やほかの大学と組んでインパクト投資とつないで回していくみたいな話もあり得るんじゃないかなと思いました。
以上です。
【古田課長】 ありがとうございます。ほかどうですか。
小松委員、よろしいですか。
【小松委員】 はい。これは企業に勤める者の意見なんですが、区分けされた、議論した1から9のテーマに関してあまり違和感はないんですけど、まとめられた一つ一つを見ると、これ、一体誰がやるんだろうか、これ全部ほんまにちゃんとやっていこうと思うと、すごい大変な労力で、それともう一つは、一体それは誰がやるんだろうかという。ですから官民地域パートナーシップというのは、何となく聞こえがよくて、すごくフラットな感じがあるんですが、以前にも議論あったと思うんですが、1回そういうのを、ガバナンスをどう回して、オーケストレーターという言葉もありましたけど、個々のそれに対して、全体として一体誰がこれの責任者なんだという、よりそれぞれの顔が見えるような形がないと、やっぱりちょっとまだ居心地が悪い気がするんですね。
【古田課長】 大変よく分かります。ごめんなさい、私が最初のときに説明したほうがよかったかもしれませんけど、この報告書に書いてあることを、例えば今とか、2024年度運用開始までにとかというのは、私は全く想定してなくて、やはりこれは、当然運用開始後も含めて、みんなで――みんなって、文科省もだし、当然QSTもパートナーの方たちもみんなで、もしかするともっと、放射光コミュニティーかもしれませんけど、一つ一つ実現していこうというような、大きな目標、高い目標とまではいっていませんけど、実現もできるだろうと。ただ、それに対して今すぐコミットしろとか、今すぐ計画を出せとか、そういうものじゃなくて、やっぱりこういった方向性を一つ一つ、できるところからみんなでやっていこうと、そのような指針だというふうに私は捉えています。
今言われたように、企業のように、いつまでにこれ、誰が何やるというような報告書のつくり方もあるんですけど、ちょっとこのNanoTerasu、まさにまだ利活用の報告書で、まだ運用も開始していないところですので、運用を開始する前に、やはりこういう頭の柔らかい方々の中から、こういったいろいろなアイデアをいただいたものをまとめていったと、それを本当に今後我々がみんなで実現していこうよというような考えでおります。
【小松委員】 なるほど。そういう面では、3-3の丸1の下にある「エコシステムの運用状況を不断に評価し、その結果をフィードバックしていくサイクルが必要」、ここが記載されているので、今、古田課長が言われた内容も、こういうサイクルをどんどん回していくというのは記載されているので、そこはいいかなと思いました。
【古田課長】 そうですね、当然フォローアップで、この有識者会議自体は多分今年度で終わってしまうんですけど、違うやり方でフォローアップさせていただきたいと思っています。ありがとうございます。
何かありますか、大丈夫ですか。どうぞ。
【千葉座長】 私も小松委員と同じ意見でしたので、繰り返しませんけど、ただ、この報告書に、そういう責任と権限を持った人、あるいは組織でもいいんですけども、それがこの全体の流れを調整、運営していくというところ、経営の考え、それが必要ということをもっと明確に書いていただくのは。これは常に出ていましたから、意見として。
【古田課長】 分かりました。
【千葉座長】 ですから、そこは。そのメッセージを残していただいたほうがいいんじゃないかと。
【古田課長】 分かりました。ちょっと書き方は、林さん、うまく。
【千葉座長】 そうしないと、よく起こることが、例えば東北大に、ここをやってくださいといったときに、それはそっちだとか、よく起こるじゃないですか。東北大だけじゃないと思いますけど、民間企業でもいいんですけど、起こるんですよ、それはそっちの責任だと、それで空中分解する。最終的に権限と責任を持った人というのがないと、対文科相でも、対財務省でも折衝できないんじゃないかなと思うんですけど、ぜひよろしくお願いします。
【古田課長】 はい。私もそれがずっと悩みですので。
【千葉座長】 そうだと思います。
【古田課長】 ありがとうございます。
どうでしょう、あと5分ありますが、高田理事長、茅野理事でも結構ですし、文科省側でも結構ですが、何かありますか。大丈夫ですか。
【高田理事長】 大変勉強になりました。
【荒井委員】 よろしいですか。
【古田課長】 どうぞ、荒井委員。
【荒井委員】 今のいろいろな議論をお聞きしながら、例えば2番のところで、放射光による世界レベルの最先端科学技術成果を創出すると。これって何をするかということを明言してはいると思うんですけど、先ほど平井委員がおっしゃった価値創造とか、あと石川委員がおっしゃったみんなの幸せみたいな、なぜ、何のためにこの施設が存在しているのか、存在意義みたいなものをもう少し真ん中に据えることで、今、古田さんがおっしゃった今後の指針というものに、命が吹き込まれるというか。なので、ここに書かれているのはwhat、何をするかなんですが、やっぱりwhyをもう少し考えると、よりいいんじゃないかなというふうに思いました。
【古田課長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりです。検討させていただきます。
【荒井委員】 いや、難しいんです。非常に難しい課題なんですけど、そこが定まると、ばらばらなことが起きたり、対立するようなことが起きても、やっぱりこのためにやっているんだということが明確になるということはすごく大事なことだと思うので。
【古田課長】 分かりました。御指摘ありがとうございます。我々役人だと、ついついこういうような文章になってしまうので、大事な視点だと思います。ありがとうございます。
【平井座長代理】 もう一言、よろしいですか。
【古田課長】 どうぞ。お願いします。
【平井座長代理】 試験運用がスタートする前に必ず決めておかないといけないということだけは抽出して、この次のステップでやってほしいのですが、以前御指摘したように、データの利活用の観点で、日本ではせっかくのデータがちゃんと集められていないので、その価値が後になって分かるケースが多くあります。価値が失われてしまっているデータが山ほどあるというのは、いろんな学会等でも日本の損失であるということを話していますので、ぜひそうならないように、スタート前からご配慮いただければと思います。
【古田課長】 分かりました。分かりましたって、私がそんな確約できないんですけど、報告書の中でも工夫させていただきたいと思います。
よろしければ、最後、千葉座長にまとめていただきたいと思いますけど、よろしいでしょうか。
それでは、議題を終わりまして、最後の千葉座長からの総括的なコメントをお願いしたいと思います。
【千葉座長】 ありがとうございました。非常に有意義な、最終段階、密度の濃い御意見いただけたと思います。
あと3分ほどなので手短にまとめますけれども、最初の共用促進法の話で、これは国の法律ということで御紹介いただきました。それから、次がNanoTerasuの利活用制度ということで、かなり、利用料金も含めて具体的な想定等々、それから基本的な考え方などを御紹介いただきまして、大分理解が進んできたのではないかなと思います。これについて、戦略的広報に加えてマーケティングとか、新しい産業についての想定とか、もっと広く物事を捉えていきましょうという話です。それから、東北大の果たす役割が非常に大きいという印象になっているので、この辺り役割分担とか連携の在り方、これは具体的にもっと考えておかないと、あとは東北大お願いしますという形になるのは、現実的には好ましくないのではないかということでございます。
それからあと重要な点が、海外の利用者の設定等です。この辺りはもっと、しっかり連携していくとか、料金はどうするかということを明確にしていくと。一番大事なのは、NanoTerasuを取り巻くサイエンスパークとしての価値創造の部分、この部分をもっと前面に出して、単にお金が、利用料金で回っているとか、そういう話だけではないということをもっとしっかりと示していくべきだということで意見が出されました。
最後の資料3、報告書です。これは今までの私たちの議論の総括的なものの、今日は案が示されたということで、不足していると思われるものを幾つか御指摘いただきました。ESG、環境配慮とか、またマーケティング、ブランドなど、もう少し、公的な機関ではあまり使わないような用語ももっと入れていくと、生き生きとしてくるのではないかと。
それから、特にここでの中心の議論になったエコシステムについて、これは前段でも申し上げましたけど、エコシステムと海外との連携。これは、広く言えば世界全体の幸せ、みんなの幸せということでくくったときに、それをさらに具体化して、そこにマネタイズがどう起こっていくのか、あるいはお金が動かないところでの社会的な価値、安全保障とか社会保障費の削減とか、そういう価値、こういうものをしっかりと視野に入れているということが分かるようにすることが大事だということです。
それで、これを最終的に誰が責任を持ってやるのかという、要するに中心のプレーヤー、責任と権限を持つような人をさらに明確化して、あとはデータマネジメントです。研究開発で日本が失ってきたものが多いので、この部分もしっかり盛り込んで、なぜこれが必要なのかということをしっかりと示していくということ、そういう形で磨きをかけましょうということでまとめさせていただければと思います。
以上です。
【古田課長】 どうもありがとうございました。非常に全体を包括した取りまとめをいただいたと思います。ありがとうございます。
最後、議題の4のその他ということで、茅野理事から、オープンデーについて御案内いただきます。よろしくお願いします。
【茅野理事】 オープンデーですけれども、広く一般市民を対象としたNanoTerasuの事業内容及び施設整備の現状に関する広報や理解の促進を目的として開催いたします。対象は、仙台市その他近隣市町村等を含む一般市民、関連職員の家族等を想定しておりまして、3月18日10時から16時半まで、3回に分けて、1回1時間半です。トータル100名程度で、事前申込み、抽せん制で行いたいと思っております。応募はQSTのホームページから所定フォームにて申込みをお願いいたしまして、周知はプレスリリース。チラシと書いてありますが、これはちょっと今、やめておりまして、プレスリリースで周知させていただこうと思っています。
見学ルートはここに書いてあるとおりですけれども、土曜日ですので、ぜひ皆様、お知り合いの方にも声をかけて応募いただければと思います。
以上です。
【古田課長】 ありがとうございます。たしか第2回か第3回で、私もユーチューブを見ている方向けに、こういったオープンデーをやりたいですという話をしましたが、3月18日、あえて土曜日ということで設定をしていただきましたので、ぜひ皆様お越しいただきたいと思っております。
これ、2月募集開始予定ですけど、2月何日頃とかということは言えないですか。ホームページってやっぱり、いきなり載っているだけなので。
【服部副センター長】 大体中旬頃を予定しています。
【古田課長】 分かりました。できるだけいろいろな、メーリングリストじゃないですけど、我々のほうも、ただQSTのホームページに載せるだけじゃなくて、積極的にメールとかSNSを使って募集したいというふうに思っています。
それでは、これで一応、予定の議題は終了いたしました。
第7回、最終回の予定ですが、2月14日火曜日の16時から、今回と同じ文科省とオンラインのハイブリッド形式で開催したいと思います。本日の会議の議事録については、作成次第、委員の皆様にメールにて御確認いただき、文科省のウェブサイトに掲載させていただきます。本日の配付資料につきましても、後日、文科省のウェブサイトに公開いたします。
以上でございます。
特になければ、本日の議題は以上となります。よろしいですかね。
では、これをもちまして、第6回NanoTerasuの利活用の在り方に関する有識者会議を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
―― 了 ――
<担当>
科学技術・学術政策局
研究環境課 内野、佐々木
電話:03-6734-4098(直通)
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