NanoTerasu(次世代放射光施設)の利活用の在り方に関する有識者会議 (第3回)議事録

1.日時

令和4年10月21日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15階科学技術・学術政策局会議室1
オンライン

3.議題

  1. 第2回有識者会議の結果について
  2. NanoTerasuの利用制度の在り方について

4.出席者

委員

千葉一裕 座長、平井良典 座長代理、荒井雄一郎 委員、石川哲也 委員、宇治原徹 委員、岸本喜久雄 委員、小松秀樹 委員、辻本将晴 委員、横山広美 委員

文部科学省

大臣官房審議官 阿蘇隆之、科学技術・学術政策局 研究環境課長 古田裕志、課長補佐 林周平

オブザーバー

量子科学技術研究開発機構 茅野政道 理事、光科学イノベーションセンター 高田昌樹 理事長

5.議事録

【林補佐】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから、NanoTerasuの利活用の在り方に関する有識会議を開催いたします。
 事務局を担当しております文科省研究環境課の林と申します。本日はよろしくお願いいたします。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、オンライン会議システムも併用しつつ開催といたします。なお、本会議は、傍聴者のためにYouTubeでライブ配信を行っておりまして、昨日までに170名の多数の御登録をいただいております。
 本日の議題は、1、第2回有識者会議の結果についてと、2、NanoTerasuの利用制度の在り方についてとなります。
 本日は、現地参加8名、オンライン参加1名の、合わせて9名、全委員の皆様に御出席いただいております。また、今回は、議題2の関係で、量子科学技術研究開発機構の茅野理事、及び光科学イノベーションセンターの高田理事長にも御出席いただいております。また、文科省からは、私、林と、大臣官房審議官の阿蘇、研究環境課長の古田も参加させていただいております。
 それでは、オンライン参加の方の留意事項について説明させていただきます。通信を安定させるため、御発言されるとき以外は、可能な限りマイクをミュートの状態にしてください。また、御発言される際はミュートを解除してください。議事録作成のために速記者を入れておりますので、お名前を言っていただいた後に御発言をお願いいたします。また、会議中、不具合などのトラブルが発生した場合は、事前にお知らせしている事務局の電話番号にお電話いただくか、チャット機能でお知らせいただけましたら幸いでございます。
 オンライン参加の留意事項については以上となります。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。配付資料は、資料の1から6までと、参考資料の1となっております。オンライン参加の方はZoom上に画面共有しておりますので、御覧ください。画面が見えにくい方は、適宜、事前にお送りしている資料を御覧ください。
 御不明点ございますでしょうか。もし会議中に御不明点があれば、事務局までお知らせいただくか、オンライン参加の委員の方は事務局までお電話、またはチャット機能でお知らせください。
 それでは、議事に入りたいと思います。ここからは研究環境課長の古田より進行いたします。
 
【古田課長】  古田でございます。まずは資料1に基づきまして、有識者会議の進め方について説明させていただきたいと思います。
 前回は9月22日に、サイトビジットを兼ねて、現地で開催させていただきました。辻本委員からエコシステム、東北大学の青木理事からサイエンスパーク構想について御説明いただいて、非常に皆さん、本当に感銘を受けたというか、非常に刺激を受けた発表だったというふうに思ってございます。
 今回第3回ということで、NanoTerasuの利用制度の在り方について議論をしていきたいと思っておりまして、当初は、実は第4回で終了して、年内に取りまとめをというふうに思っていたんですが、やはりこのエコシステムについてさらに深掘りをしたいと、せっかく非常にすばらしい考え方を示していただいたので、それに対してシステムがどのように応えていくのか、そこをさらに議論していきたいということと、あと、やはり国内外の連携施策の在り方についてもきちんと時間を取って議論したいということで、第5回、さらに年明けに第6回、第7回という形で、少し延長させて会議を開催させていただきたいというふうに思ってございます。本当に、年明け、皆様大変忙しい時期だと思いますが、御日程をいただきましたので、オンラインでも結構ですので、引き続き御参加をお願いしたいというふうに思ってございます。
 続きまして、議題1の第2回有識者会議の結果につきまして、資料2に基づいて説明させていただきます。
 前回の概要になります。エコシステムに関しては、NTはNanoTerasuの略ですけど、NanoTerasuに照らし合わせたとき、エコシステムの範囲、境界をどこに設定するのか。オーケストレーター、カスタマーを誰と定義するのか。何を目指すのか、ビジョニングを考えると同時に、価値のループを形成していく仕組みも考えておく必要がある。知財など権利関係ではNanoTerasuが今後オーナーになる可能性があり、今後の制度設計の中で考えておく必要があるのではないかというコメントをいただきました。
 サイエンスパークについては、企業もサービスを受けるだけでなく、事業化のために一緒に参画していくような企業文化に変えていくことが必要。起業家精神を持つ人間やベンチャーキャピタルが十分ではない。人材育成も含めてうまく取り込む仕組みが重要ではないか。参画する企業の研究者だけでなく、事業化サイドの人間も入ってくると活性化するのではないか。最終的には国民の幸せにつながるような仕組みを設計してほしい。
 あとアウトリーチに関しては、まさに現場を見ていただいた後でしたので、非常に皆さんいろんなアイデアが湧いたと思うんですけど、NanoTerasuの円形の特徴を生かしたアウトリーチが必要ではないか――円形というか、円形と、少し棒が出ているライナックのところですかね。NanoTerasuの成果が最終的に何に使われるのかを見せるアウトリーチが重要ではないかというようなコメントをいただきまして、次のページに座長の総括といたしまして、視察については、自分自身の印象では、委員の皆様に相当なインパクトがあったと、現場を見せていただくことで議論も活発になるのでよかった。エコシステムについては、ユーザー目線、価値、誰がお金を払ってくれるのかの具体的な話、時間軸の話もあって、問題意識が明確になった。一般的に研究者はそういう視点が抜けてしまっている。そこを明確にした上で、NanoTerasuを使っていくための戦略を考えていくことが非常に重要、ぜひこの考えを取り入れて進めていただきたい。
 サイエンスパークについては、これまで産学連携というのは共同研究という形だったが、実はなかなか社会実装に結びつかなかった。20年くらいはそういう現状。企業の意識も変えていかなければならない。日本が本当の形での科学立国になっていけるかどうかの正念場である。短中期的にお金を回すことも重要であるが、海外から見たときに、日本がどれぐらいすばらしい国に見えるのか。また、石川委員からのコメントのように、国民の幸せを考えるというような長期的なビジョンも大切。新たな価値、未来志向の大きなビジョンができつつあるというふうに思うというような総括をいただいたところでございます。
 ここまでの説明に対して何か御質問などございましたら、今お受けしたいと思います。特になければ、先に進めさせていただきたいと思います。
 それでは、議題2のNanoTerasuの利用制度の在り方に移ります。第1回の議論の中でも、やはりSPring-8の例をよく参考にして、QSTやPhoSICのNanoTerasuの利用制度について考えていくべきだという御議論、コメントをいただいております。そういうことから、理研の石川センター長、本会議の委員でもありますが、石川先生のほうから、まずはSPring-8の利用制度について御説明をお願いしたいと思います。その後、QSTの茅野理事からNanoTerasuの共用ビームラインの利用制度について、PhoSICの高田理事長からNanoTerasuのコアリションビームラインの利用制度について、それぞれ御説明をお願いしたいというふうに思っております。その後まとめていろいろな御議論をしていただきたいと思っております。
 よろしければ、石川委員から、SPring-8における利用の流れと各フェーズにおける課題分析について御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
 
【石川委員】  理化学研究所SPring-8の石川でございます。資料3に基づいて説明させていただきます。
 利用の流れをざっと書いたものが2ページ目にございます。まず事前相談から始まって、課題申請、審査委員会、選定委員会、採否通知、実験準備、実験実施、あとデータ分析・結果の解釈、実験報告書の提出、論文出版、利用料金の支払いというようなことがあって、それが利用者、登録機関の間でどういう流れになっているかというところが、その右側に書いてございます。タイミングは、年2回の公募と6回の公募があるわけですが、前のタイミングでどうやるかというところが月を単位に、赤いところが平均値を書いてあるわけでございます。
 こういうプロセスがあるということで、以降、一つ一つに対して簡単に御説明します。
 3ページ目はフェーズゼロとして、事前相談以前の話で、SPring-8を知っていないとSPring-8を使わないということがあって、そういう意味では、様々な広報活動を通して一般の認知度を高めているというところがございます。ポテンシャルユーザーとか既にユーザーになった方については、シンポジウムですとか研究会、あとウェブ、スクール等でお知らせしているところでございます。
 4ページは、フェーズ1の事前相談でございますが、課題申請を行う前に、皆さんのお抱えになっている課題が解決できるかという相談を施設に対して行うということが行われています。現地講習会とかオンラインの講習会などもあるわけでございますが、課題といたしましては、民間企業等の新規ユーザーを取り込むため、今まで放射光利用経験の少ないユーザーに対して放射光利用の機会を提供できるよう適切な支援を行うということが評価で言われているわけでございます。この辺のところはいろいろあるわけでございますけれども、今、周りの状況がどんどん変わってきまして、本当に放射光を使ってやりたい方というのと、データが欲しい方と、かなりポラリゼーションが起こっているという現状があると思っています。
 5ページは情報の提供でございますが、いろいろなパンフレット等を作って、特にSDGsブックレットというのを2年に一度作っているわけですが、これは、プレスリリースした課題がSDGsのどのゴールに当てはまるのかみたいなものをまとめた本でございます。そのほかにもウェブサイト、各種会合等で広報を行っているということでございます。
 6ページでございます。フェーズ2の課題申請でございますが、原則として成果公開利用は利用料免除、あと成果占有利用は有償ということで行っておりますが、ただし、成果公開であっても優先利用等の有償オプションが設けられている。細かいところの全体図が下に書いてあるとおりでございますが、こういう仕組みになっています。
 7ページの課題申請の問題というのは、ユーザーのニーズというのがどんどん多様化しております。その多様化に合わせて課題申請のやり方を増やしていったんですが、増やしていくと結構ごちゃごちゃになる。2018年度の中間評価のときに、もっと整理しなさいということを言われまして、代表的なニーズを整理すると、秘匿性とか即時性、計画性、多様性あたりになるのではないかということでございます。特に中間評価で、課題選定をしなくても、ユーザーが利用料金を付加的に負担することで使えるような制度をつくったらどうかということが言われて、そういう制度が出来上がっています。
 指摘の2番目として、既存ユーザーにつきまして、新たな成果創出が期待できる複数のビームライン活用支援、今までは1本のビームラインを使うという課題応募だったわけですが、複数を使うことを可能にしたらどうかと。これも始めております。
 指摘3としましては、課題募集の時期や頻度、産業利用の時間制限緩和などの運用方針を継続的に見直していきなさいと。この指摘を受けまして、それまで年2回だったものに対して、一部のものについては年に6回の課題申請を行うというように変えております。
 8ページが利用メニューでございますが、初心者から専門家までいろいろなメニューがございますという2021年度以前の状態が書いてございます。それをかなり整理して、2023年度以降には整理した形で、次のページに書いてあるような形に直そうということを今、進めているところでございます。応募する皆様から見ると、どこに応募したらいいのかがかなり、いろいろな選択肢があり過ぎるという御批判がございまして、その辺を整理するというのが9ページの2023年度以降というところになっています。
 10ページ目が、フェーズ3、4、5の課題審査委員会、課題選定委員会、採否通知でございますが、この委員会というのは、外部の有識者・専門家と登録機関のスタッフから構成されています。課題審査委員会で実験実施の可否を決めます。審査基準でございますが、成果非占有・成果占有課題共通では、実験の実施可能性と安全性及び倫理性なのですが、成果非占有課題では、科学技術的価値、あと成果創出への期待度というのを審査項目に入れているわけでございます。
 11ページでございますが、課題選定プロセスも、当初の紙ベースのものから、最近ではオンライン化されて、非常に迅速に行われているということがございますし、普及啓発イベントもオンライン化することによって、かなり広い範囲にわたって使われているということもございます。
 12ページがフェーズ6、7、8で、実験準備、実験実施、データ分析・結果の解釈というところでございますが、実験課題の採択通知を受けまして、利用者は実験の準備を行って、登録機関の利用支援を受けながら実験を実施するというのが基本的な形でございます。あくまでも実験をする主体は利用者でございますが、ただし最近、測定代行(有償)というのが始まりまして、利用者からサンプルが送られてきて、登録機関スタッフが有償で実験実施を代行すると、データを返してあげるというようなことが始まっています。この場合、データ分析・結果の解釈は利用者が行って、成果公開の場合は実験終了後60日以内に報告書を提出するということがございますが、今、課題として、DXが随分進んでおりまして、このDXを活用したサービスを導入することによって、ユーザーの利便性は向上するだろうと。ただ、こういうものを運営していくときに、受益者負担的なことも考えなければいけないのではないかということが課題になっています。非常に軽いニーズのうち、自分で実験するのはハードルが高いので委託したいという要望は、先ほどの測定代行によってカバーされています。ただ、データ分析もやってもらいたいという要望がございまして、これにはまだ対応していません。施設側でデータ分析サービスを担当することについても検討が必要だと考えています。
 そこに対して、13ページでございますが、登録機関の立場から、登録機関としては、施設利用時の技術指導及びデータの解釈等の支援を行っております。利用実験技術の高度化・効率化に資する測定手法の研究開発を登録機関としても行いますと、これは共用法の12条に基づく利用を行っていますということでございます。そこで、人材確保とか育成が非常に大切であるとか、ユーザーから見て登録機関がきちんとやっているか、満足度のアンケートを行っているというものがございまして、その12条枠とアンケート結果について、次にまとめてございます。
 14ページでございますが、共用法の12条に、登録施設利用促進機関は、施設利用研究の促進のための方策に関する調査研究その他の目的で、特定先端大型研究施設のうち研究者の共用に供する部分を利用しようとするときは、文部科学大臣の承認を受けなければならないというのが12条でございますが、これで使うビームタイム枠を12条枠と言っておりまして、この枠内で実施する研究・開発課題を12条課題といって、これを使って登録機関が腕を上げて、利用者の方々によりよいサービスを提供するということをやろうというものです。
 15ページでございますが、基本的な方針というところに今申し上げたようなことが書いてあって、下のほうでございますが、青い字のところを読みますと、登録機関においては、施設利用研究の促進のための方策に関する調査研究等の実施に努めることにより、放射光利用研究に関する一層の知見の蓄積を図るということが基本的な方針の中に書かれているわけでございます。
 16ページがユーザー満足度アンケートでございますが、登録機関がやったアンケートによりますと、登録機関に対する満足度は強いという結果が出てきます。その次に参考のページがございますが、ここは飛ばします。18ページに、フェーズ10a、10b、論文出版(成果公開)、利用料支払い(成果占有)というところがあるわけでございますが、成果公開利用の場合には、実施後3年間以内に論文を出版する必要があるということで、これは期間の延長もあるわけですが、原則はこうなっています。成果占有利用の場合は、定めにのっとり料金を支払うということになっています。現状では、論文を発表する場合は成果公開(利用料免除)で、発表しない場合は成果占有(有償)という2択になっています。社会的にはとてもインパクトがあるんだけれども、学術論文にならないアウトカムというのがあって、ここは成果占有利用しか現在は選択肢がございません。成果占有利用にしてしまうと、今度はアウトカムを発信するインセンティブが失われて、社会へのアピールの機会がなくなるという問題があります。さらに、企業では、そもそも学術論文よりも、そのようなアウトカムが評価される場合も多いと聞いております。そういうことで、このアウトカム発信のインセンティブを促す制度の検討が必要ということで、今、そういう制度ができないかということを検討しているところでございます。
 19ページに参ります。その他全般でございますが、専用施設の在り方。専用施設というのは、SPring-8で、共用ビームラインでも理研のビームラインでもなくて、サードパーティーが造るビームラインが専用施設でございますが、これは専用施設者が高い自由度を持って利用できるけれども、多様性・先端性の維持には非常にコストがかかります。中間評価のところで、共用・専用・理研ビームラインの枠組みを超えて、横断的にビームラインを利用する共用枠の導入を検討するようにということが指摘されてございます。これを受けまして、ビームライン資産を持っているストック制だけではなくて、利用料を支払って使うフロー型のオプションも選択可能にということで、理研のビームラインに理研外部利用制度というのをつくったところでございます。やはりこの専用施設ビームラインというのはかなりお金がかかるわけでございまして、世の中の進歩に合わせていくとなると、かなりの資本投入をしなければいけない。それはなかなか難しい問題でございますので、そこのところを解決する方法を考えていかなければいけないということです。
 一方で、SPring-8の老朽化対策というのがかなり進んでおりまして、共用の25年を経て老朽化が、施設、人材、ノウハウいろいろなところで進んでいるわけです。あと、今一番問題になっているのは、電気代が非常に高騰しておりまして、省エネにかなり限界があるというところがございます。一方で、諸外国では施設のアップグレードや新設が進んでおりまして、早期にSPring-8の大規模更新が必要ではないかと考えているわけです。
 以上でございますが、かなりいろいろなことをやって、状況に合わせて変えてきたというところがございます。参考資料がその後3ページついて、最後に、利用制度設定に関するコメントというのをつけております。
 これは、いろいろ考えたのですが、利用制度というのは、絶対的に正しいシステムというのが存在するわけではなくて、その時々の様々な要因を考慮しながら相対的な最適化を図る必要があるんだろうと思っています。この様々な要因としては、施設の位置づけでございますとか成熟度、ユーザーコミュニティーの要望、社会からの要請、予算、国際的な関係などでございます。非常に多様なステークホルダーがいらっしゃるわけですが、それらの要望が必ずしも一致するとは限らないと。したがいまして、施設側が、多様なステークホルダーと議論を行い、インセンティブを考慮に入れた上で、方向性を打ち出す必要があるんだろうと考えています。
 きちんと施設を回していくための制度と将来ビジョンをセットで考える必要がございます。この様々な要因の中身というのは絶えず変わっていくので、数年程度の間隔で制度を見直すことが非常に重要だと思っています。25年間を通してみますと、当初は、この大型施設、最先端施設というのは、何かを解決するためにやるものだという考え方が25年前にはあったわけですが、今はもう、そうではなくて、現実にあるものをいろいろ解決していく。それから、サイエンス自体が、昔はきれいなサンプルを作って、そのきれいなサンプルで何が起こっていくかを見ていたわけですが、この放射光、光のほうの発展によって、現実の汚いサンプルで何が起こるかということが分かるようになってきた。それはある意味サイエンスのやり方を変えるようなことでもあって、そういうものに対応した利用制度をつくっていく、対応していくことが非常に大切ではないかと思っております。
 以上でございます。
 
【古田課長】  どうもありがとうございました。時間がありますので、ここで少し時間を取りたいと思います。
 最後の23ページ、非常にここにまとめられているんじゃないかというふうに思っていまして、NanoTerasuにおいて今後考えていくに当たっても、2つ目のポツで、多様なステークホルダーからの要望が必ずしも一致するわけではないと。ただ、そういったステークホルダーと議論を行いながら、やはり施設側が方向性を打ち出していく必要があるだろうということ。あと最後の、数年間程度の間隔で、やはり柔軟に制度を変えていくということも必要だというような話がありました。
 最後に口頭で言われたとおりだと思っておりまして、私も役所に入って26年目なので、SPring-8と同じぐらいなんですけど、やはりもう本当に行政も研究環境も日本の世の中も変わっていますので、先ほどは石川センター長から見た、まさにSPring-8をベースにした、そういった違いではあるんですけど、私はもっと、あらゆることが変わっているんだと思っています。なので、NanoTerasuを今後始めるに当たっては、SPring-8の25年前のものを前例にするのではなくて、やはり今の世の中、今の科学技術、今のユーザーのニーズ、そういったものをきちんとゼロから考えて制度設計をしていくべきだというふうに思っています。
 すみません、私ばかり話をしてしまいました。今の石川先生の説明の中で、何かクラリファイしたい話、何らか自分のコメントがあればぜひお願いしたいんですけど、横山先生から、まずお願いします。
 
【横山委員】  恐れ入ります。本当にすばらしいお話、ありがとうございます。勉強になりました。2点、簡単な確認ができればと思います。
 12ページで、施設側でデータ分析のサービスを担当する可能性を御検討されているということで、非常に先進的だなというふうに拝見したんですが、これは施設側と共同研究のような形で、施設側の人材が共同研究として共著になるような、そういうイメージなのか、あるいはもうサービスとして、料金をいただく対価としてのデータ分析をお考えなのか、いろんなパターンがおありになるんでしょうか。
 
【石川委員】  共著になるようなものというのはもう既に始まっているわけで、ここは、例えば会社さんから、やってくださいと、お金は払いますというようなものに対応することを今考えております。
 
【横山委員】  承知しました。ありがとうございます。
 もう1点、18ページ目ですが、論文の成果発表3年以内ということなんですが、これは、例えば大学院生などは、博士課程の方などが3年以内に出すということを想定されて、今までうまくいっているということでしょうか。一部の大型施設ではなかなかこれが守られなくて、論文化率が低いというようなことが問題になっていると聞きますが、いかがでしょうか。
 
【石川委員】  これは大学院生に限らず、全部原則3年でございます。いろいろな制度があって、例えば、答えが出なくて、論文にはならないけれども、実験レポートとかそういうものが出せるというようなものもございますので、その辺りまで結構広げた形で取るということになっております。
 
【横山委員】  なるほど、承知しました。ありがとうございます。
 
【古田課長】  ありがとうございます。ほかに何かございませんか。
 小松委員、お願いします。
 
【小松委員】  私も事前にこの資料を頂いて、この25年の間にSPring-8もすごいいろんなことを要求に応じて変えられてきたんだなというのは、すごく感動しました。ただ、私がちょっと気になったのは、いろんな施策、いろんなことを変えられて、制度を変えて見直してというのをやられているんですが、その課題に対してやったことが本当に効いたのか、それともいまいちだったなというようなのが、変えられてから時系列に見たときに、本当にそれが効果として現れているのかどうなのか。それとも、やられたことが全部ヒットしたわけじゃないのかも分からないですけど。
 
【石川委員】  時系列で見ると、途中でやめているものがあるわけです。だからやめているものとしては、やはり、やってみたけれども、もっといいやり方があるよねと。いろいろな形で組合せが変わって続いているわけで、効果のなかったというか、これは変えたほうがいいというようなものはどんどん変わっているというふうにお考えください。
 
【小松委員】  なるほど。だから質的に形がどんどん変わっているということですね。
 
【石川委員】  はい。
 
【小松委員】  分かりました。1つは、そういうのがあれば、いいものはNanoTerasuのほうにどんどん仕組みとして入れていけばいいだろうと思いますし、それともう一つちょっと気になったのは、年に6回とか、こっちで、SPring-8のほうで測定するとか、いろいろ相談に乗るとかいうと、やっぱりどうしてもリソースがすごくかかってくるんじゃないかなと。もしそういうのが増えていくということであれば、やっぱりそれを見越してリソースの手当てをどうしていくんだろうかという。
 会社側からいくと、やっぱり中長期計画的な、そういうものが結果的に予算にも反映されるだろうし、それがすごく見えるような形になれば。その予算が通るかどうかは、会社でも通らないこと多いんですけど、それを一つ一つ見える化するというのがあれだと思います。
 
【石川委員】  だから年6回というのは、まさにいろいろ会社さんから言われて、ターンアラウンドが早くないとやってられないよとかというお話があって、その年6回ということをやっているわけでございますが、年6回の募集をやるところは、どちらかというとDXが進んだところとか、かなりオートマチックに、サンプルを持ってきていただくとデータが出るようになったところとか、要するに産業利用のところでかなりルーチンのシステムが立ち上がったところは、もっと細かくやっていっていいのではないかということでやっております。
 
【小松委員】  はい。
 
【古田課長】  よろしいですか。ほか、どなたか。
 どうぞ、千葉座長。
 
【千葉座長】  千葉ですけど、いろいろ料金体系も考えられていますけども、25年間のトータルの財務状況というのがどういうものなのか、分かりますでしょうか。
 
【石川委員】  ざくっとした話をします。ざくっとした話だと、年間の運営費が、今は80億くらいですが、ざくっと100億だと思ってください。そうすると、最初の数年間、2005年くらいまでは、大体利用料収入として1%くらいです。ですから、100億の投資に対して1億くらいの収入があると。それで、いろいろな政策がございまして、産業利用の強化とか、コーディネーターを入れるとか、そういうことがあって、大体5%くらいまでに増えたというのが2005年くらいからでございます。今はそれがだんだん増えておりまして、六、七%のところまで来ております。だから大した収入ではないのですが、そうはいっても年間6億くらいの収入になっているというのが、この利用料収入でございます。
 
【千葉座長】  なるほど。そうしますと、いわゆる民間企業的な発想における財務状況というものとは、もうかけ離れていますよね。
 
【石川委員】  かけ離れている。だからこれだけで回るかといったら、それは回らないでしょうと。
 
【千葉座長】  回らないですよね。では、ここにそれだけお金をかけるのは何かという、次の議論に持っていくところがすごく重要だと思っていまして、それだけ国のお金を投入したのであれば、例えば、どれだけの産業力に結びついたかとか、学術的な、国際的な競争力として日本がどれだけ伸びたかというのをもっともっと明らかにしていかないと、いわゆる、ちょっとエコシステムの解釈を、拡大した解釈ですけど、それが回らなくなりますよね。そこのところがすごく大事かなという印象を持ちました。
 
【石川委員】  そういう意味では、我々の勝手な印象では、うまくいった会社さんに対しては、この利用料というのは、変な言い方ですが、安過ぎるのではないかと、うまくいったところに対しては。ただ、うまくいかないところもあるわけで、その辺りどうするかというところが問題かなと思います。
 
【千葉座長】  ええ。NanoTerasuのこれからにも関わる話で、非常に本質的なところかなと思いましたので。ありがとうございます。
 
【古田課長】  ちょっと今手元に数字がないので、記憶ですけど、我々も科学技術のいろいろな施設とか大学とか見てきていますが、当然100億というのは非常に大きな国費でありまして、それに対してきちんと説明責任や成果を出していかないとというふうには思っています。ただ、やはりSPring-8は学術研究、科学研究がメインだというふうに考えれば、やはり論文に対する貢献というのは非常に高いんじゃないかというふうに、これは我々としては評価をしておりますし、財務当局も含めてそういう評価をいただいておって、実は予算というのも結構、普通は評価で下がっていってしまうところがあるんですけど、SPring-8、SACLAに関しては、基本的には、増えはなかなかしませんが、減るということもないというのが我々政府側の評価だというふうに考えています。
 すみません、ちょっと補足させていただきました。何かほかにございますか。
 どうぞ、お願いします。平井座長代理。
 
【平井座長代理】  ぜひ今の財務がどのようにどんな感じになっているかはまた次回にでも教えていただければと思います。
 民間企業が成果物として捉えるのは当然学術論文もありますが、やはり社会実装に結びつけるためには知的財産が絶対的な要件になります。これは個別の案件、例えば大学との共同研究においても、その仕切りをどうするかは結構大事なところです。なぜかと言うと、大学側とか公的研究機関は、できるだけ早くペーパーをパブリッシュしたいという要請がありますが、企業側は、基本的に止めます。特許が申請されて公開になることが論文を投稿するための一つの条件ですが、実際にある知見を得てから特許を出願して、それが公開になるところまでに、それだけで2年半かかるんですね。そうすると、先ほどの3年以内くらいでは。
 
【石川委員】  その3年以内というのは、ただで使う場合です。有償で使う場合にはもう、どんな特許を出したか、何をやったかも言わなくていいと。
 
【平井座長代理】  でもそれは、例えば大学の先生方と共同でやった場合というのは、どちらを優先したいかという問題は必ず発生していますが、そういった問題は、その都度、内容に応じて考えているということですか。
 
【石川委員】  そこは、ごめんなさいですが、そこは施設側の問題ではなくて、大学と企業様の共同研究の問題であると。
 
【平井座長代理】  施設としては、特に決まりはないけれども、そういう形での成果物を出すことに関しては当然エンカレッジされるということですね。
 
【石川委員】  はい。それはそうでございまして、ただ、有償利用の場合には、本当に何もなくていいと。
 
【平井座長代理】  分かりました。前回までの話で、やはりアウトプットとして社会実装を目指すのであれば、当然ながら民間企業がもう少し入ってくるように考えないといけませんが、これまでの私の経験でも、大学とやろうとするとそういう障壁があり、ようやくこの二、三年で、オープンイノベーション機構といった新しい機構ができたことによって、そのクローズとオープンのところをうまく切り分けることができるようになりました。10年前はできませんでした。SPring-8は長い歴史を持っているので、その辺のところでどういう問題があったのか、なかったのか。今のお話では、それはむしろ企業と大学の間で仕組みがあれば大丈夫だということですので。
 
【石川委員】  はい。あと、企業と我々と直にやっているところは、先ほど申しましたように、有償利用であればもう、何をやっているかということも言わなくていい、安全さえ保証していただければいいという形でやっておりますので。
 
【古田課長】  これは別にSPring-8の話では多分なくて、もっとゼネラルの話をされていると思います。岸本先生、何かコメントいただけないですか。こういう産学連携のところで一番御知見があると思いますけど。
 
【岸本委員】  そうですね、産学連携における研究費の設定をどのようにするのかというのは議論があると思いますけども、今のお話聞いていると、やっぱり施設の方は施設のルールとして使用料を決めることになるので、それに基づいて大学と企業で研究費を設定して利用するということになるのかなと思います。整理としては、今の、施設側で決めた金額の設定が適切かどうかについての議論は要ると思いますけども、ユーザーは使い方のほうで対応を考えていただくことになるのなと思います。どうでしょうかね。
 
【古田課長】  ありがとうございます。ちょっとこの点、ほかどなたかコメントありますか。宇治原委員、何かありますか。
 
【宇治原委員】  ちょっと違う観点で質問していいですか。
 
【古田課長】  はい。結構ですよ。
 
【宇治原委員】  SPring-8で、例えば最初に相談とかがあるという話だったんですけども、ラボレベルの装置というか、例えば文科省だったらナノテクプラットフォームとかリサーチインフラとか、ああいうラボレベルの共用のものもあるんですけど、そういうところとの連携というのは、どう。聞きたかったのは、この10年、20年でラボレベルの装置も相当性能が上がってきて、かつては放射光でなければ分からなかったようなものが、今はラボレベルの装置でも分かるようになったことというのも幾つかあると思うんですけど、そういうところの連携とか、あと、SPring-8じゃなくてこっちでできますよというアドバイスとか、そういうのはやられてきたのかなというのがちょっと聞きたかったんですけど。
 
【石川委員】  そこが非常に重要でございまして、それは放射光のエックス線でなくて、例えば赤外に行ってくださいとか、そういうところがかなりこの相談の重要な点だと思っております。もちろんラボレベル、例えばNIMSさんあたりで、かなりいいものをそろえていらっしゃるところもございまして、ここまでだったらば放射光に来なくても、そういうところに行けばできますよというようなお話はさせていただいているんだと理解しております。
 
【宇治原委員】  分かりました。さっきの収益の話もそうなんですけども、SPring-8というか、放射光単体で考えるよりも、そっちのリサーチインフラとかでもお金をもらいながらやっているので、あくまでSPring-8とか放射光をリサーチインフラの中の一装置として捉えて、その全体の中でもう少し収益とかも計算すると違う見え方がするのかなと思って、ちょっと聞きました。ありがとうございます。
 
【古田課長】  今の議論を私なりにまとめますと、平井座長代理からは、もっと現場レベルの、多分知財の扱いだと思うんですよね、オープンとクローズの扱い。私も、あるプロジェクトでそれに面したことがあって、ここはやっぱり本当に、どうしても産の理屈と学の理屈が対立してしまうところがあって、うまくウィン・ウィンの関係を保つ、これは多分ケース・バイ・ケースのところもあるんですけど、そういった課題があるという御指摘だったというふうに捉えました。
 もう1個、宇治原先生の話は、もう皆さん理解されているとおり、大型の施設と、そういうラボレベルでのいろんな施設との関係。結局ユーザーから見たら、一番いいものを使いたいというだけなので、それがたまたまSPring-8であったり大規模施設であったり研究室の施設であると、そういうようなお話かなというふうに思いました。
 ちょっとここで、多分このメンバーだと高田理事長が一番、この辺り御知見あるのかなということで、PhoSICの代表というよりは、識者ということで、ちょっと高田先生にコメントいただきたいんですが、いかがでしょうか。お願いします。
 
【高田理事長】  先ほどの宇治原先生のお話、確かに実験、ラボ装置、かなり精度の高いものも出てきております。我々がこのコアリションの関係で進めているのは、まずユーザーとお話をするときに、どこまでを欲しいかというお話。ですから相談のところで、ラボまででいいという判断をしたり、だけれども、それ以上にこういう知見が出てくる、だからやっぱり放射光でやったほうがいいと、そういったところを切り分ける、常にそういうことをやっていくということが大事であると。それと、石川先生おっしゃったように、別のプローブを選択するべきであるということ。そうするとやはり、ただ放射光のサイエンティストだけではなくて、大学のサイエンティスト、そういったところとのしっかりとした連携の仕組みというものが今後ますます必要になるのではないかというふうに、聞いていて思いました。それが私が今まさに悩みながら進めているところでございます。
 
【古田課長】  ありがとうございます。あと前回、東北大学の青木理事からあったサイエンスパークというのも、まさに同じような構想なのかなというふうに思っています。ユーザーから見たら、あらゆる施設、手法があって、どれにアプライしていくのかということも含めて技術的な相談をしていただけるというようなことかなと思っています。
 すみません、ここで少し時間をオーバーしてしまいましたけど、特になければQSTの説明に行きまして、また最後に全体の討議をさせていただきたいと思います。よろしければ、QSTの茅野理事から、次の資料4、QSTにおける検討状況の説明をお願いいたします。
 
【茅野理事】  茅野でございます。よろしくお願いします。
 1ページめくっていただきまして、最初が共用ビームタイムのスケジュールと利用の流れということで、この3ページのスケジュールの部分は既に多分御説明していると思うんですが、ざっとおさらいしますと、利用に向けては試験的な共用期間というのを、2024年の3月に完成するわけですけれども、2024年4月から25年2月まで約1年間、ビームラインの調整と試験的な共用、これを並行して実施いたします。本格的な共用は、課題募集を2024年の秋頃から始めまして、2025年3月から本格共用を開始したいと思っております。コアリションビームラインの共用枠、これはPhoSICさんで造られるビームラインの一部を共用枠として使うわけですけれども、これにつきましては2026年度より開始を予定しております。下に2023年、2024年のスケジュールが書いてありますけれども、ここにありますように、来年の12月には加速器のほうでファーストビームを出して、4月から運転を開始すると。それから、本日の議論に関係しますビームラインにつきましては、QSTで造っております共用ビームライン3本、これを、来年度に入りますと、試験的な共用課題の選定方法の検討、ビームラインごとの課題案の抽出、それから技術的検討というのを年度内に行いまして、試験的共用の前期課題の決定、それから後期課題の決定ということを進めてまいります。2024年の後半になりますと、本格運用のための共用課題の募集を始めて選定委員会で決めていくということで、この間、試験的共用をやりながらビームラインの調整も同時に進めていくということです。
 次のページが2025年から2026年ですけれども、基本的には、共用ビームライン3本のほうは共用がスタートするということで、年2回、共用課題の募集をやって、課題を決めていくということです。コアリションビームラインの7本の中に設定する共用枠については、2026年度から共用を開始するということです。
 それで、次のページに共用ビームタイム利用の流れ、これは今設計中というものですけれども、QSTもSPring-8にビームラインを持っておりまして、日頃からSPring-8の運用を知る立場にありますので、大いに参考にさせていただいて考えておるところです。それで、大学、公的研究機関や民間企業などに属する研究者から利用課題を定期的に公募するわけですけれども、一般課題、成果公開型です。先ほど石川センター長からもお話ありましたが、それと成果占有型課題というのをまず設定したいと思っております。課題審査によって採択・不採択、配分ビームタイムを決定いたします。課題選定及び利用支援業務につきましては、共用法にのっとって登録機関がこれを実施するということです。それから、コアリションビームラインから提供される共用枠のビームタイム、これについても一体的に運用していきたいというふうに考えております。
 ということで、下に流れが書いてありますが、課題申請、課題審査、採択ビームタイムの配分、施設利用、報告書提出ということで、先ほどお話ありましたように、この報告書の部分、これは一般課題、成果公開型ですけれども、論文をちゃんと書いていただくことを重視するということで進めてまいります。SPring-8の考え方を踏襲しているというふうにお考えいただいて結構です。
 それから、次のページですけれども、本格共用開始時の課題募集ということで、定期募集を、まず年2回、設定しようと思っております。先ほど申しましたように一般課題と成果占有課題ということで、まずは最も単純な形でスタートして、いろいろと先ほど聞いたようなお話も入れながら、必要な制度・枠組みを検討、追加していきたいというふうに思っておるところです。それで実際には、課題募集ですとか支援、そういったものは登録機関が担当いたしますので、ここと協議しながらやっていきたいと思っております。
 次のページ、これは来所時、退所時の利用者の動きを書いてありますけれども、1番から6番まで番号を振っておりまして、来所前の手続等、これはユーザー登録ですとか課題申請、入館登録等々なんですが、来所前の利用促進業務、利用者選定とか利用者支援、これのほとんどはオンラインや電子メール等で行っていきたいと。それから、いらっしゃったとき、ユーザーズオフィスというのを設定しておりまして、ここでは、基本建屋入館は顔認証で行うということです。なので、IDカードは不要としたいということです。それから、管理区域がまだ少し残りますので、そこに立ち入る可能性のある方は線量計も受け取るということで、実験終了後は、⑤退所時ですけれども、必要に応じて線量計の返却、それから退所手続をユーザーズオフィスで行うということで、このユーザーズオフィスの業務としては、総合案内ですとか入館手続、それから出張証明ですとか宅配の受け取り等々、こういったものが考えられます。ここは主に登録機関さんとPhoSICさんが入るところというふうに思っております。
 それから、次のページが登録機関との役割分担ですけれども、主にQSTは、加速器、蓄積リングの維持管理・高度化ですとか、共用ビームラインの維持管理・高度化、加速器運転、放射光の提供、施設の放射線安全・一般安全・情報セキュリティーの統括、それから広報・アウトリーチを行います。登録機関のほうは、共用ビームタイム利用者の課題及び専用ビームライン設置者の募集・選定、それから共用ビームタイムに係る利用支援、ユーザーズオフィス業務ですけれども、あと広報・アウトリーチ等を行うということです。
 次に、共用ビームタイム利用料金についてです。10ページですけれども、御存じのように、このNanoTerasuは官民地域パートナーシップという枠組みの中で運営してまいりますので、一番下に書いてありますように、適切な官民負担によって国とパートナーにおける事業の継続性を意識した制度設計というのが非常に大事になってまいります。それで次のページに、ビジネスモデルという書き方をしておりますが、お金の出入りを示しております。
 QST、私どものほうが上にあって、施設設置者というふうに書いてありますが、これは共用法上の施設設置者とか、放射線規制上の施設設置者という意味でございます。それで、QSTに対しては文科省さんからの補助金と、それから共用ユーザーからの消耗品実費負担と、あとビーム使用料、こういったものが入ってまいります。それから同時に、文科省さんから登録機関に交付金が行くという形になります。
 それから、PhoSICさんのほうですけれども、PhoSICさんは金融機関や自治体、企業から借入金、寄附金が入って、コアリションメンバーから加入金ですとか利用料が入る、それをもって金融機関等への返済金に充てるということでございます。
 QSTとPhoSICの間では、それぞれが所有物、所有しているものを利用するということで、加速器・施設利用料ですとか基本建屋使用料、ビームライン使用料等々がやり取りされると、こういう形になります。
 次のページに、このモデルが成立するポイントというのを示しております。まずポイントの1は、国とパートナーにとって合理的な価格設定ということで、QSTとPhoSICさんの間でやり取りされる利用料、使用料です。これは、国側からいいますと、合理的な説明がきちんとできるものでなくてはならないし、それからPhoSICさんにとっても経営が立ち行かなくなるということでは困るということで、そこのところをどうやって設定していくかというのがポイントの1つ目。
 2つ目は、ビームタイム、双方が持っているわけですけれども、ここをうまくいかにマネージして、合理的な価格設定とか、それから共用枠をどういうふうにしていくかということの設定、これを考えていく必要があるということ。
 それから、3つ目はユーザー側の視点からなんですけれども、共用のユーザーがいて、それからコアリションのユーザーさんがいるわけですけれども、この両者にとって何か不公平感があるとか不透明な感じがするとか、そういうことがないような料金設定にしなくてはいけないということで、こういったところをこれからきちんと考えていく必要があると思っております。
 それで、13ページですけれども、共用ビームタイムの料金設定の基本的な考え方、これは御説明したとおりですが、一般課題のほうは消耗品実費の負担のみ、それから成果占有型のほうは、消耗品実費負担とビーム使用料ということになります。
 14ページ目に共用ビームタイムの料金設定における課題を示しておりますけれども、1つ目が、共用ビームラインとコアリションビームラインから提供を受ける共用枠、2つ共用枠が出てくるわけですけれども、そこでの料金設定、ここで不整合とか不公平感がないようにして、しかもビジネスモデルが成立するようにするというのが大事なポイントだと思っています。それから、2つ目ですけれども、コアリションビームラインから提供を受ける共用枠のビームタイムというのがありますが、ここに成果占有型を設定するかどうかです。コアリション枠のほうで既に成果――基本、成果占有型だと思うんですけれども――がある中で、共用枠のほうにもそれを設定するのかどうか。設定した場合に料金設定をどうするのかということが、ユーザー側から見ても大事な点だと思っております。それから、将来のビームラインの高度化。今は10本ですけれども、これから倍以上、最終的には増やすことになるんですが、そこまでどうやってやっていくかということのビジネスモデルの構築、この3点が重要というふうに考えております。
 ということで、SPring-8の前例を基本にいたしまして、NanoTerasuのビジネスモデルに合った料金設定を検討していきたいと思っているところでございます。この辺りは当然、PhoSICさんと相談しながらということになりますので、共同で持っております運営会議の中でも議論していきたいというふうに思っております。
 次が情報提供に関してです。現在、ウェブサイトでの情報発信ということで、実は、QSTの次世代放射光センター、PhoSICさん、それから東北大学さんのSRISですけれども、この3つがそれぞれにウェブサイトを持って独自に情報発信をしているんですけれども、もうあと1年半で運用開始になりますので、共通のポータルサイトをつくる必要があるということで、これは喫緊の課題として、先ほど申しましたパートナー全体でやっております運営会議の中でも、ここの共通ポータルサイトをつくっていきましょうということで、これからつくるところでございます。
 それから、NanoTerasuナノテラスのポスターですが、これはそちらの後ろの壁にも1枚貼ってありますが、文科省さんのほうで作成していただいたものを、今順次、掲示、配布を拡大しておるところでございます。
 それから、予定されている主な情報提供ですが、ここに主なものを幾つか挙げましたが、1つ目が市民による次世代放射光施設NanoTerasuの見学会ということで、高校生を含めて150名規模で、10月25日、これは東北大学さんが中心になるのではないかと認識しております。それから2番目が、アジア・オセアニア放射光フォーラム2022仙台ということで、11月、あとはQST国際シンポジウム、東京・イイノホール、それから放射光学会年会、ここで特別企画講演をやらせていただきたいということで、今準備を進めております。これが1月8日です。それから、施設の一般見学会、オープンデー、これらはこれからどういうふうにやっていくかということを検討中でございます。まだ建設中ということで、実際に造ることの邪魔になってもいけないし、こういうこともやらないといけないということで、これから検討してまいります。それから、日刊工業新聞シリーズ、これはQSTのシリーズをやっているんですけれども、その中で8回ぐらい、NanoTerasuの特集を組ませていただきたいというふうに、今、日刊工業と話をしております。あとは記者懇談会等々です。
 ここまでお話ししますと、何となくみんなそれぞれにやっているという感じがするんですけれども、これから各機関の資源を持ち寄りまして、資源というのは広報資源ですけれども、一般向けとか潜在ユーザー向け、海外向け等々のものの広報活動、これの連携についてもきちんとつくっていきたいと思っております。
 以上、まとめですけれども、最後のページです。アカデミアはもちろん、民間にも広く利用していただくために、官民地域パートナーシップの性質を踏まえた制度設計を行う。SPring-8の前例を基本にして、NanoTerasuのビジネスモデルに合った制度設計をする。来所から退所まで利用者が快適にNanoTerasuを利用できる環境の提供。情報提供活動、それから、そういったことの体制構築、そういったことをこれから進めていきたいと思っております。
 以上です。
 
【古田課長】  どうもありがとうございました。課題というか、方向性を示していただいたということで、具体的な利用制度はこれから御検討いただくというようなことだと理解しました。
 ちょっと細かいんですけど、NanoTerasuのポスターは、文科省ではなく、東北大学が作っていただいていますので。
 
【茅野理事】  そうでしたっけ。すみません。
 
【古田課長】  そこはちょっと、すみません、訂正させていただきます。どうもありがとうございます。
 それでは続きまして、高田理事長から資料5の説明をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 
【高田理事長】  それでは、コアリションビームラインの利用制度とアウトリーチということでお話をさせていただきます。
 めくりまして、最初の1のところでございます。研究成果の最大化に向けた利用制度。この研究成果を、測って結果を出すということではなくて、先ほど石川センター長のお話にも出ておりましたけれども、アウトカムという課題解決まで、ここまでを見据えて最大化していく、そのためバックキャスト的に考えて、利用制度をどう考えるかというところでございまして、やらなければいけないところは、イノベーションの加速とユーザーフレンドリー、そしてエコシステムの構築ということになるわけでございます。当たり前のことが書いてあるわけでございますけれども、特にイノベーションの加速のところ、学術パートナーとの戦略的連携というのが非常に重要になってくると、これがNanoTerasuの一つの大きな特徴になろうかというふうに考えます。
 その下に「イノベーション戦略の障害を解消」と書いてございますけれども、これはSPring-8等で学んだことが、そこに書いてあることでございます。特に4番のオープンイノベーションとクローズド製品開発の両立と情報管理、ここをどうしていくかというところは非常に重要な課題になってくるというふうに考えております。
 めくりまして、3ページ目でございます。我々はそのために、コアリションのメンバーになってくれた企業及び学術のメンバーと共に利用制度を設計してまいりました。2017年にそれをスタートさせるということを宣言いたしまして、そこにあります2018年9月、ビームライン利用推進委員会、これを発足させて、答申をいただいております。利用推進の方針を答申していただいたんですけれども、委員長は、そこにあります中瀬古さんで、委員は、コアリションメンバーの企業6社、そして学術のアドバイザーというものを入れております。2021年1月には、議論を重ねてきた結果を、「コアリション利用ガイド(案)」を策定いたしまして、利用制度と利用ガイドという形で皆様に議論を始めていただきました。
 めくりまして4ページ目、ユーザーと共に利用制度を具体化していくということで、これにのっとってマシンタイムをどう運用していくのかということを議論いたしました。マシンタイム運用委員会というのを発足させて、その下にワーキンググループをつくりまして、予約管理システムの検討、そういったものをやりまして、これをPhoSICと情報交換、意見の交換をしながらコアリションカンファレンスで報告をしたところでございます。幹事会のメンバーは、下に書いてあるとおりでございます。既存の放射光施設からは、SPring-8、あいちSRより、PhoSICの私の特別補佐、理事長特別補佐という形でなっていただきまして、オブザーバー参加いただいております。
 めくりまして、5番でございます。これは会員種別の利用資格でございまして、企業、大学、国研等は加入金が5,000万円で10年契約と、そこに書いてあるとおりでございます。そのときにメンバーステータスというものを設定しております。口数の多さに準じましてメンバーステータスを設定しているということでございます。
 めくりまして6ページ目、利用制度は、そのメンバーステータスに従って、いろいろなメリットをつけていくと、予約の優先順位というものをそこに細かくつけております。ぶつかったときにどちらが勝つかというところでございますけれども、同じ会員種別間での優先順位もちゃんとつけないといけないというようなことの議論もしっかりございました。そこを皆さんで決めていったというわけでございます。
 めくりまして、7ページ目でございます。毎月募集をするということでございますので、そこの流れをしっかりと確認して、これもコアリションのメンバーに確認を取って、こういった形で中間報告をしているところでございます。支払いとかオプションサービス、そういったものも含めて細かく決めております。
 8ページ目でございます。実は価格の改定というものを行っております。これはファーストカム・ファーストサーブドの精神にのっとりまして、建設資金として加入金は全て使うということでございますので、建設期間中に加入された会員、これについては当初の設定どおりの3万5,000円ということになっておりますけれども、それ以降になりますと5万円で、さらに運用開始以降は6万から7万円という形で、これは検討中でございますけれども、こういった形で設定をしております。そのときに、増口をした場合に、それはどういうふうな使い方になるのかということがやはりメンバーのほうから出てまいりまして、そこに示したように、ビームタイム利用料金は単価の安いほうから消費をしていくというような形で皆様に納得いただいております。
 9ページ目はSPring-8の共用制度との比較を書いたものでございますが、ここは先ほど石川センター長のほうから説明がございましたので、飛ばします。
 10ページ目でございます。共用制度とコアリションの関係性に係る課題でございます。まず、官民地域パートナーシップを踏まえた共用とコアリションの役割分担というところでございますけれども、既存施設では、国の機関と登録機関が共用の枠内で産業利用推進とか、そういったものを進めていくと、成果占有課題とユーザー応分負担の推進についても対応していると。NanoTerasuでは、そういったものについては、パートナーが民間と地域の力を活用して推進をしていくと。PhoSICは非営利型の法人でございますので、ユーザー利用促進のために大きな利益を上げる料金体系にはなっていないという状況にございます。
 11ページが課題でございます。官民地域パートナーシップを踏まえた共用とコリアションの役割ということで、先ほど茅野理事からもお話がございました。国がパートナーと同一価格か、より低価格で同様のサービスの展開も不可能ではない状況ではございますけれども、そこは国の機関も自己収入の増加を厳しく求められているとは思いますけれども、現行の共用法については専用ビームラインを設置することが可能なわけでございますけれども、後から参入したほうが負担額、成果公開割合の決定等で、より低リスク、低コストで有利な事業展開が可能となってしまう課題があるということでございます。
 めくりまして、12ページでございます。あと、課題としましては、ビームライン担当の常勤要件、人数の要件でございますけれども、現行の共用の枠内では、コアリションのビームラインでも常勤の研究者を確保する必要があり、クロスアポイントが制度的に困難であると。ただ、現在の資格・人数要件では、新しいスタイルの導入は経済的に非常に厳しいのではないか、人材確保の点でも困難であるのではないかというふうに心配しているところでございます。
 そこで、13ページにありますように、共用制度とコアリションの関係性に係る課題として、5つのポイントを挙げてございます。国とパートナーの役割分担、PhoSICの非営利型法人としての持続可能性、国、パートナー双方の厳しい財政事情と効率的運用、現在の人材不足への対応と、将来に向けた人材育成の必要性、NanoTerasu施設全体としての将来のあるべき方向性について、いろいろと御意見、そしてアドバイスをいただけたらというふうに考えております。
 続きまして14ページ、これは情報提供についてのお話でございます。我々毎年2回、コアリションカンファレンスでユーザーへの説明をやっております。1日を2つに分けまして、午前と午後に分けまして、午前は一般参加可能、午後はメンバー限定という形でクローズドにしております。東北大学の国際放射光イノベーション・スマート研究センター、これが2019年に設置されておりますけれども、そこと共同で、コアリションメンバー限定でエンドステーション利用技術説明会を開催しております。コアリションのビームラインの実際について、質問や要望を受けながら説明しているところでございます。既存の放射光ユーザーに対しては、年に1回、コアリションと共用を区別せずに、これはQSTの内海センター長が努力していただいていますけれども、放射光学会でユーザー共同体の会合も開催させていただいております。宮城県、仙台市で、トライアルユースとその成果発表会も行われておりますし、テレビ取材、新聞の取材、ユーチューブによる発信、日本経済新聞への全面広告、こういったものもやっております。あとは各種業界団体、市主催のワークショップ、これも多数開催しておりまして、東北大学は共創研究所制度等を進めておられます。昨年から進めておられまして、そこの相乗効果というものが、このNanoTerasuの活用を促進するというような形を進めております。また、海外との施設間連携、情報交換を見据えた国際放射光施設フォーラムを定期的に開催しております。
 15ページからは、そのそれぞれの例でございます。めくっていただきますと、いろいろと載っているのがお分かりになると思います。ビームラインのカタログ作成とか、トライアルユース事業、そしてパンフレット。
 19ページを御覧ください。これが国際ネットワークの構築ということで、2019年から次世代放射光国際フォーラム、サミットというふうに今は呼んでおりますけれども、毎年開催しております。今はトップ20の放射光施設の所長を大野総長がホストとして迎えて、様々な課題、連携、そういったことについて議論をして、毎回コミュニケを発表しております。来週この第4回が行われることになっております。
 20ページは、全国紙の、日本経済新聞に出した広告でございまして、リチウムイオン電池の吉野先生、磁石の佐川先生、大野総長、中外製薬の小坂会長にも応援メッセージをいただいております。
 21ページは、テレビ、新聞取材のリストでございます。
 22ページは、実は18日にオープンになりました。ユーチューバーとのコラボということで、私がQuizKnockのところのメンバーとやったものでございます。これは18日にオープンになりまして、今、8,700回を超える再生回数になっております。ウェブページはそこに御覧いただいているとおりでございます。
 私からは以上でございます。
 
【古田課長】  どうもありがとうございました。11ページ、12ページの課題については我々も認識しておりまして、ただ、法律の話になってきますので、年明けに改めてここは議論させていただきたいというふうに思っております。
 それ以外のところで何か確認されることがなければ。よろしいですか。
 最後に、今、SPring-8、QST、PhoSICから御説明いただいたことを資料の6にまとめておりますので、これを改めて林補佐から説明いたします。お願いします。
 
【林補佐】  では、資料6、A3の大きな紙になっておりますので、御確認ください。こちらは本日御発表いただきました各施設のほうから提供いただいた情報を基に、それぞれの利用制度、情報提供の現時点での検討状況について、おおよそ利用に当たっての流れを時系列に沿って整理して、比較しやすくしたものとなってございます。
 まず初めに、利用資格の部分につきましては、コアリションビームライン、PhoSICの部分につきましては、加入金を出資した会員が対象となってございまして、また、その会員につきましても出資の口数に応じて種別があるというところでございます。また、事前の相談につきましては、SPring-8につきましては登録機関への事前相談ですとか、ほかにも講習会、ウェブの窓口ですとか、分野専門の相談員がいらっしゃいますので、そこでの産業利用の相談ですとか、発表にもございましたとおり、ライトニーズへの対応といったところの検討がございます。NanoTerasuのQST、共用のビームラインにつきましては、まだ登録機関が決まっていないところもございますけれども、現在検討中というところでございまして、コアリションのビームラインにつきましては、利用の仕組み、手続の相談ですとか、パートナーとのマッチング、実際にビームラインを利用する際の相談といったところを行う予定と伺っております。
 続いて、利用制度につきましては、どちらも大きく成果非占有と成果占有するものに分かれてございますけれども、SPring-8につきましては、成果非占有部分につきまして、通常利用、緊急・特別利用、大学院生利用、また有償のオプションになってくる優先利用といったもの、そして成果占有の部分につきまして通常利用、また、時期指定の利用ですとか測定代行利用といったメニューがございますというところです。QST、NanoTerasuの共用の部分につきましては、まずはシンプルな形でということで、成果非占有の一般課題と成果占有課題というところで分かれてございます。PhoSIC、コアリションの部分につきましては成果占有というような形で、基本利用、基本利用の中でも無償の利用支援及び、アドバンスト利用ですとかメールイン、代行測定といった追加料金で行うメニューについても現在検討中と伺っております。
 その次、利用料金につきましては、SPring-8につきまして、成果非占有であれ成果占有であれ、消耗品の実費負担はございますけれども、特に成果占有の部分につきましては8時間の1シフトで480千円、成果非占有の形になると追加での料金という形になってございます。QST部分については現在検討中でございますけれども、同じように、一般課題であっても消耗品の実費負担ありで、プラスで成果占有の場合はビームの使用料が上乗せされるといった形で検討を行っていると聞いております。コアリションの部分につきましては、冒頭申し上げた利用資格での加入金のものと、あとプラスして利用料金が時間当たりで加わると、またオプションに応じてその部分の課金となっているというところでございます。
 課題の申請につきましては、まずSPring-8は、基本的には年2回のものですけれども、年6回に増加している部分もございますし、また、申請については全てオンラインで実施となっております。QST、NanoTerasuの共用につきましては、現在は年2回を考えているというところでして、一方でコアリションのビームラインですと、現時点の検討状況ですと、毎月利用申請が可能ということに加えまして、全てのコアリションメンバーが1か月前までは予約可能と、さらにプラチナ会員、特約ゴールド会員については優先的に、7日前という近い時期でも予約が可能というようなことになってございます。
 また、課題の審査につきましては、SPring-8では利用開始の5か月前に課題審査が行われまして、利用開始の約1.5か月前に登録機関のほうから採否の通知が平均的には行われるというような形になってございます。
 続いて、実験の実施につきまして、この部分でもSPring-8では登録機関による利用支援が行われまして、そのほかに施設利用時の技術支援指導ですとか、あとはユーザー満足度のアンケートを実施している部分、また、人材確保・育成に向けてスタッフの技術力、研究力を強化しているというところでございます。NanoTerasuの部分につきまして、共用の部分ではまだ登録機関が決まってございませんけれども、登録機関による利用支援が行われまして、コアリションの部分では、PhoSICのスタッフによる利用支援としての測定の指導、学術パートナーとの戦略的連携、また、申し上げたメールインや測定代行といった有償でのオプションのサービスもございますというところでございます。
 その次、データ分析・結果の解釈につきましては、SPring-8、NanoTerasuの共用の部分につきまして、どちらも基本的には利用者が独自に実施するというところでございますけれども、特にSPring-8では相談には適宜の対応がございます。コアリションのほうにつきましては、データ処理、解析については基本指導を実施しつつ、またアドバンストの解析等有料サービスを実施ということで検討を行っているところでございます。
 成果の公開方法につきましても、SPring-8は利用者が実験後2か月以内に報告書の提出、及び36か月以内に論文の出版、NanoTerasuの共用ビームラインにつきましては現在検討中で、PhoSICについては、ここの部分、基本的には成果占有ですので、特に記載ございませんというところです。
 料金の支払いについては、SPring-8は、請求書受領後2か月以内に登録機関に支払い、NanoTerasuについては、共用ビームライン部分では現在検討中、登録機関と協議を行って決めていくと。コアリションの部分については利用後に会員への請求という形になってございまして、こういったものについて今後の改定の予定でございますけれども、SPring-8さんは、現在もそうですけれども、ユーザーのニーズを踏まえて、複雑であった利用制度を長期利用制度の見直し等で今後改善していく予定。NanoTerasuの共用ビームライン部分につきましては、試験的共用の中で出た課題を基に登録機関と共に検討して進めていくと。PhoSIC、コアリションビームラインの部分につきましては、早期建設費確保のインセンティブ確保と運用期の持続可能性確保のため、今後利用料金の改定を予定しているというところです。
 ユーザーに対する情報提供については、各発表の中でございましたけれども、それぞれ事例を載せているというところでございます。
 以上でございます。
 
【古田課長】  ありがとうございます。あと30分ありますので、ぜひいろいろな議論をここから展開していただきたいというふうに思っております。どなたからでも結構です。
 どうぞ、岸本委員、お願いします。
 
【岸本委員】  整理していただきましてありがとうございます。コメントになりますけども、利用料金の設定に関してですけども、今、文科省で共用化事業を進めてられて、3Cということで、それぞれの階層ごとに共用化したときの運用や料金の設定だとかということについて議論していますが、使用料金については、例えば減価償却に対してチャージするとか、サービス料に対してチャージするとかということで、できるだけ自立できるように自分たちで設定をしていこうという動きがあります。そういった状況の中で、今回のものですと、公開するものについては消耗品だけだというのを、一番トップの大型施設のところで決まってしまうと、ほかのところへの影響ということが考えられます。そういったときに、例えばこの施設については、こういう料金設定でいいんだというリーズニングが要るんじゃないかなと。つまり、この料金設定を見ると、減価償却のことだとか設備更新のときにかかるべきものをあらかじめチャージしていくというのが入っていないので、その辺り整理が要るかなというのが1点です。
 もう1点は、今までだと論文に書くか秘匿するかの2つだったんですけども、こういった国の事業の場合だと、今、取られたデータを供出するかどうかという観点があるんじゃないかなと。国でやったものについてはできるだけ、出てきたデータをきちんとあるところに収めて、それは一般に使えるようにしていこうと。だから、論文に出すというのもそうですけども、実験データそのものを秘匿するのか、あるいは供出するのかというような分け方もあるんじゃないかということで、成果の取扱いについて、料金設定の中でもそういう考えを入れていったほうがいいんじゃないかなということで、その2点についてコメントさせていただきました。
 以上です。
 
【古田課長】  ありがとうございました。1点目に関して、本当は私から最初に説明すべきだったのかもしれないんですけど、研究機器に関する共用ガイドラインというのを昨年3月にまとめまして、これは文科省関係の大学、あと国研等に通知をさせていただいたものです。まさに岸本先生おっしゃるとおり、利用料金のところは、そういった減価償却とか技術者の費用とか、さらに言えばリプレースメントの費用とか、そういったところも勘案というか、入れ込むことを考えるべきじゃないかという提言をさせていただいておりまして、それをこのNanoTerasuにおいても考えていただきたいということかなというふうに理解をいたしました。
 2点目は、多分このメンバーだと即答、私もできなくて、ちょっと宿題として持ち帰らせていただきたいというふうに思ってございます。
 今の御指摘、何か。どうぞ、横山委員。お願いします。
 
【横山委員】  今、先生が御指摘されたデータの公開というのは本当に重要だと思っておりまして、天文学や、そうした自然科学では多くのところが、1年の占有権を持った後に公開するというのが、もうルール化している分野も結構ございます。ぜひそういうふうにしていくと、併せて、それらを後で使って統合的な解析をするような研究者も出てくるかもしれませんので、御検討いただくとよろしいのかなというふうに思いました。
 私は、両先生のお話を伺いまして非常に刺激を受けているところなんですが、御質問させていただきたい点が1つございます。今までの共用法のビームを使う皆さんというのは、占有する場合はビーム代だけをお支払いすれば使えるような状況だったわけですけれども、今回改めて、一口5,000万以上というような形で御参入いただくに当たって、障壁というんでしょうか、参加の裾野をどういうふうに広げていくのかというところのバランスが少し気になっております。これは実はアウトリーチの話とも少し関係してくるかなと思うんですが、日経新聞さんなどに積極的に出されているのは非常にすばらしいなというふうに拝見しているんですけれども、例えば日経新聞というのは東京がメインでございます。地元の河北新報とか、東北地域の産業界、あるいは東京を中心とした産業界に呼びかけるというのは大変結構だと思うんですけれども、例えば地方の産業で、放射光を使って何か面白いことをしようとするような、例えば九州であるとか四国のほうであるとか、そういうところに呼びかけていくときに、裾野を広げるという意味で、その5,000万というのが、あるいはこれからそれがさらに上がっていくとなれば、どれくらいその影響を受ける可能性があるのか、その辺のバランス感覚というのをどういうふうにお考えになっているのかをお伺いできればと思った次第です。
 
【古田課長】  ありがとうございます。2点目は高田理事長、御説明いただけますか。
 
【高田理事長】  ありがとうございます。やはり5,000万というのは非常に高額でございまして、主に大企業でございます。東京地区、大阪地区、中部地域、そういうふうになってまいりますけれども、地域のほうは、ものづくりフレンドリーバンクという、組合のようなものをつくりまして、100口に分けまして、グループで一口を達成すると。今、二口目を達成しようとしておりますけれども、そういった形で中小企業の参画をしていただく。それを促すために、地域、仙台市がこのトライアルユース事業をやる、宮城県も同様にトライアルユース事業をやって、東北地域、宮城県に限らず、仙台市も仙台市だけに限らず、新潟県とか、そういったところにまで広げてやっております。東北経済連合会のほうは、そのほかの地域の連合会、経済連合会ともいろいろとお話をしていただいておりまして、私自身も中国経済連合会とか北陸経済連合会とか、そういったところで、やはり同様の話をしております。
 今、兵庫県とかそういったところとも、いろいろアドバイスを受けながら、SPring-8のアドバイスも受けながら進めているというところでございます。そういうグループで入るというものも設定をもちろんしております。
 
【横山委員】  ありがとうございます。
 
【古田課長】  どうぞ、辻本先生、お願いします。
 
【辻本委員】  今のに関連しまして、高田先生おっしゃっていた、アウトカムを見据えてバックキャストというのはというのは非常に大事だなと思っていて、同時に、ちょっと前のコメントであったと思うんですけれども、NanoTerasuもSPring-8も大きな系の中の一つとして役割を果たしていると思うんです。それで加入料とか施設利用料で収入を見るというのは、それだけじゃないんじゃないかなと思っていて、系全体の成長とか、そこが得たアウトカムの一部に貢献があるという、そういう見方での評価というのも必要じゃないかなと思うんですね。
 それに関連したときに、今払ってくださいと言われても、なかなか払えない、先の不確実性が非常に高いので。そういう場合、普通はエクイティーとかストックオプションとか、将来の成長に対しての貢献を後で戻してもらうというような、そういうコミットメントもあると思うんです。東大がベンチャーの育成をするときに、施設を貸しますけれども、エクイティー1%とか2%とか、かなりハードな交渉してもらって、家賃の一部をそれで払ってもらうようなこともありますし、私が運営しようとしている東工大のインキュベーション施設も、そういう制度をつくったんです。そういったような、エクイティーによってコミットして、後からの成長で少し大きな回収をすることもポートフォリオの中に組み込んでいってもいいんじゃないかなというふうに思いますし、地方の中小企業というのもありますけど、ベンチャー企業というのも大学発で出てくると思いますので、そういうところにもコミットするというようなことを系の一部としてやっていくというのが、多様な貢献を可視化するいい方法なんじゃないかなというふうに思いまして、コメントさせていただくというか、アイデアです。御検討いただければ。
 
【高田理事長】  お答えしてよろしいですか。
 
【古田課長】  どうぞ。
 
【高田理事長】  非常に重要なコメントをいただきまして、ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。実は、ごく最近ですけれども、ベンチャーからいろいろなお問合せをいただいたりもしております。そもそも前回の青木プロボストからのお話もありますように、やはりこのNanoTerasuがいろんなスタートアップを生んでいく、協調領域と競争領域の間、ここをやっぱり埋めるものが必要になってくる。そういう意味でも、いろいろなベンチャーが参画していくということを我々としては、今はまだ分析会社だけですけれども、そういったものをぜひ広げていきたいというふうに考えておりますし、本当に問合せが来たりしております。
 もう一つは、要するに後から回収する、ここは恐らく、私が今思い描いているのは、10本のビームラインでは困るわけで、この資源をさらにフルに活用していくためには、出だしはそうであったかもしれませんけれども、その後どうするかの議論に、やはり非常に有効な方法になっていくんじゃないかというふうに考えております。ここはまだ具体的な議論しているわけではございませんが、私の個人的に今考えているところでございます。
 
【古田課長】  ありがとうございます。今のテーマでも、ほかのテーマでも結構ですが、どなたか、ぜひお願いします。
 小松委員、お願いします。
 
【小松委員】  今、高田先生の言われたことも非常にそうだなと思うんですが、茅野先生の資料にあった、要するにコアリションビームラインというのは、加入金等が原資となっていろんな部分が整備されるということになると。確かにこうなると何となく、企業側からすると、企業の経営みたいなものとすごく似てくるというところがあるかと思いますので、より中長期的に、ありたい姿というんですかね、そういうのをやっぱり描いた上で、それが最終的にはミッションとかビジョンとかという、前回辻本先生から御説明いただいたエコシステムという形につながってくるかと思いますので、ここは非常に重要なところかなと。それが結果的に、ありたい姿があったときに、じゃあ参画、会員の企業というのを、やっぱりこれぐらい伸ばしていかないと。
 先ほど高田先生言われましたように、やっぱり10本だけじゃ足りなくて、どんどんどんどん成長していくためには、どう会員を集めて、どう資金を使って運用していくのかという、いわゆる本当にビジネス的な、そういう形が必要かと思いますので、そこは非常に今後議論できればなというふうには思っていますのと、恐らく、今は次世代放射光というような形の名前が、接頭語がついていますけど、いずれは「次世代」は取れて、NanoTerasuということになると、今までは放射光と言えばSPring-8ということになったんですが、今度、じゃあNanoTerasuとSPring-8というのは何が違うんでしょうかという。先ほど石川先生から話がありましたが、設備の老朽化もあって、やっぱり今後更新、設備費用とか何かかかってきたときに、何が違うんでしょうかねというのを分かりやすいステートメントで表していくというのが、それもきっとエコシステムのところにつながってくるかと思いますので、次回それがテーマということになっていますので、その辺はしっかり議論したほうがいいのかなというふうには思いました。
 
【古田課長】  ありがとうございます。ほか、どなたか。
 
【荒井委員】  今の小松委員の話にちょっと近いんですけれども、そのありたい姿みたいなことの設定、本当に重要だと思います。ちょっと私も、以前からの説明の中で、前に今後の利用意向みたいなアンケートがたしかあったかと思うんですけれども、割と学術的なほうがすごく多くて、民間はまだこれからというところがあったと思うんです。あの時点の調査なので、また変わっている部分もあるかと思うんですけれども、私が勝手に思っていたイメージは、かなり社会実装に向けた、民間企業の皆さんがかなりの部分、参画してきて、このNanoTerasuからどんどん新しい技術とか、新しい実際の商品がどんどん生まれてくるというような部分があるんだとすれば、やはり、アウトリーチもそうですし、そのバランスはどういうふうに皆さんの中で考えられているのかなというのが、ちょっと教えていただければなと思ったんですけれども、学術的な部分と、当然協働みたいなものはあると思うんですけど、多分民間は、先ほどの占有みたいな感覚で当然臨まれると思うので、その辺のバランスイメージというか、その辺はどのように考えられていらっしゃるんでしょう。
 
【古田課長】  今数字的に言えるのは、10本のうち3本は完全に共用なんですね。3年目から7本のうち、4割の時間は共用に行くと、だから3本プラス、7掛ける0.4が共用。だから半分強が学術で、残りが企業ということなんですけど、さっきも言ったとおり、これはまだ10本の段階で、これから順次増やしていきますので、それは多分、当然企業のニーズが多ければ企業のほうで増えていくだろうし、学術のほうで増えれば増えていくというようなバランスかなというふうに思っています。
 SPring-8は2割が企業でしたっけ。
 
【石川委員】  今、20%が、いわゆるインダストリーか、プロポーザーになって使っているのが2割。ですけれども、大学の陰に隠れてというか、それは非常にたくさんあると思っています。
 
【古田課長】  今、SPring-8だと一応、今のお話のとおり、プロポーザルベースで8対2なんですね、学術と企業が。だから、これもかなり企業を増やしてきた結果でもあるんですよ。ただ、NanoTerasuでは、今言ったとおり、半分ぐらいが企業を今、初期としては想定しているということで、そこはかなり踏み込んでいる、産業寄りに踏み込んでいるということですよね。
 
【高田理事長】  もう一つ付け加えるとすれば、学術もビジネスエンティティーとしてコアリションに加入金を払って入っている。そこは、やはり戦略的な活用。今までの放射光の、ただ測ってその成果を得るということではなくて、もうその先のところまでやるということを考えて入っておりますので、今まであまり縁がなかった精密工学であるとか、そういう物を作るところの直接のところを一緒に、大学の中のそういう先生たちも総力戦で臨むということで、測るという観点から言うと、そういう分かれ方になるかもしれませんが、総力戦でイノベーションをやるという観点からすると、そこは新しい次元に入っていくんじゃないかなというふうに考えております。
 
【古田課長】  ありがとうございます。どうでしょうか、ほかの方。どなたでも結構ですが。
 どうぞ、石川先生。
 
【石川委員】  石川でございます。SPring-8では今、新しい流れとしては、学術と産業が分かれているのではなくて、一緒に何かをやっていこうということが非常に強くなってきまして、特に、某と言っていいのか知らないけれども、自動車会社さんみたいな、すごく資金、研究資源をたくさんお持ちのようなところは、もう個々にやるのではなくて、かなり学術の施設も巻き込んだ形で何かをやっていこうという形がかなり強くなっている気がします。
 
【古田課長】  分かりました。
 せっかくですので、皆様コメントいただきたいんですが、宇治原委員、どうですか。
 
【宇治原委員】  私はベンチャーもやりながら、研究もやりながらなので、両方の、学術のほうからと、さっきからインダストリーという言い方されるんですけど、今、石川さんがおっしゃったように、最近大学もインダストリーと一体になってやるとなっているので、多分アカデミックのほうも、従来のアカデミックの使い方じゃなくて、もっとインダストリー寄りの使い方というのがどんどん増えていくのかなというのも一つ思ったんですけど、一番最初に古田さんが、やっぱりNanoTerasu、新しいので、新しい使い方というか、新しいやり方がいいんじゃないか、全くというような意見を一番最初に言われていて、僕もそのとおりだなと思って聞いていたんですけど、ちょっと目線を変えるような言い方にする、わざとするんですけど、僕の新しいスタイルのイメージの一つが、全部がそうじゃなくてもいいと思うんですけど、もっと放射光施設を一般的な施設の一つだというふうに捉えたほうがいいんじゃないかなと思っています。
 先ほどSPring-8の石川さんのお話のときにも質問したんですけど、あくまでやっぱりこれは、ラボレベルの装置とかも含めて、その中の、とってもすごい一つの装置という捉え方のほうがいいのか。要は、何が言いたいかというと、ニーズを全くの中心にして、処方箋じゃないですけども、このお薬とこのお薬とみたいな感じで、じゃあこの装置とこの装置とNanoTerasuの測定法で、そうするとこういう結果が得られますよというような考え方がいいのかなとちょっと思っていますというのと、あと、もうちょっとライトにやってほしいなと思っているのは、今の、例えばリサーチインフラとか、ああいうのもそうなってほしいなと思っているんですけど、今我々も名古屋大学のほうでこういうことができないかなと思っているのは、いわゆるファブラボじゃないですけど、秋葉原にあるような、何とかドットメークみたいなものじゃないですけども、そこに3Dプリンターがあって、レーザーカッターがあってという。正直、3Dプリンターとレーザーカッターでディープテックのベンチャーが何かできるかといったら、実は何もできないんですけど、もしその横に大学のラボレベルの装置がぽんぽんぽんといっぱい置いてあるとしたら。
 これは結構、シンガポールのACEだとかのインキュベーション施設へ行くと、それに近い感じが僕はしているんですが、そういう結構ハイレベルな装置も共用で簡単に使えるようになっているような。ウエット系のラボはそういうのが結構多いなと思って、我々みたいに半導体とかやり始めるとちょっと難しいところもあるんですけど、それぐらいの乗りで一般的なラボレベルの装置から、一部NanoTerasuのすごい装置があると、そういうような使い方で使えないのかなというのを、さっきから聞いていて思いました。
 特に一番最後の、この表の一番右側のところですけど、ちょっとさっきも言ったんですけど、やっぱりNanoTerasuだけで会員があって、NanoTerasuだけで料金決めるというのはもったいないなっていう気がしていて、やっぱりその一番右側に出したい人というのはニーズからやってくるはずなので、どうやってニーズを満たすかというので、もっと総合的に。さっきも言いましたけど、逆に言うと、これ、NanoTerasu以外の装置を使うことででも別に収入を得られるような気もするし、なので、これはこれでいいと思うんですけども、もう少し幅を広げて考えたほうが、それでその中でもっとライトに使うというやり方を。その見本が意外にファブラボの3Dプリンターの乗りなのかなという気がちょっとしていました。
 すみません、全然目線を変えたいと思って、大分いいかげんな言い方をしていますけども、そういうことを感じながら聞いていました。
 以上です。
 
【古田課長】  ありがとうございます。私は、ちょっとまだ構想ですけど、やっぱり東北大学のサイエンスパーク構想というのは、NanoTerasuプラス、そういうファブラボなんじゃないかなというふうに理解をしています。それと、その前に言われた、横山委員も言われたとおりなんですけど、やっぱり敷居を下げるという、これを使う方。そこというのは本当に私も賛同、私というか、皆さんにとって望まれる話だと思っていて、そこは特に企業さんとか、今まで使ったことのない人たちに対してのアプローチということで、まさにPhoSIC、高田理事長もいろんなことをやられていますし、我々のアウトリーチについても、やっぱりそういったところの意識をしながらやっていかないといけないと。
 アンケートは2月に取ったんですけど、学会経由でやっているんですけど、恐らく当然使ったことのある人しか回答していないわけなんですよ、SPring-8とか、あいちシンクロトロンとか。だからああいうような結果になるんですけど、実はそこに載ってこない、アンケートに書いていない人たちがNanoTerasuのユーザーだというふうにやっぱり考えないといけないんじゃないかなというふうに思っています。
 すみません、敷居を下げるところは、私も妙案ないんですけど、ありますか。
 どうぞ、高田理事長。
 
【高田理事長】  宇治原先生の御提案というのは非常に重要だと思っています。実は少しそういう構想を考え始めています。それは敷居を下げるというよりは、計測のほうと、ものづくりのほうとで課題をしっかりと共有するための、そういうものが必要じゃないかなと。ですから、NanoTerasuへただ持ち込むだけではなくて、そこでやはりNanoTerasuの、PhoSICのメンバーと、ここがこうなっているんだということを一緒にまず確認をする。課題を共有した上で、その解決のためのNanoTerasuの活用を考えるということでやっていきたいなということを、今、準備しているところでございます。そういう考え方がやはりこれからは必要であるというのはごもっともだというふうに考えておりまして、何とかそこは取り入れたいというふうに今思っているところでございます。ありがとうございます。
 
【古田課長】  ありがとうございます。
 あと5分程度なんですけど、今、岸本委員が退席されました。どうぞ、辻本先生。
 
【辻本委員】  そういったことをやろうとするときに、やっぱり新しいアクターを巻き込まないと駄目だと思うんですね、できる人たち。だからプロデューサーができる人とか、キャピタリストがいいかどうか分からないですけど、そういう専門的な経験。ディープテックのスタートアップつくってきた人って、そんなにたくさんはいないですけど、難易度もすごく高いので、ノウハウもすごくあると思うんですよね。そういう人たちの巻き込みというのも検討されると、成功確率が高まると思います。
 
【高田理事長】  ありがとうございます。多分そこは大学、地域パートナーのメンバーに東北大学がいるというところが、我々にとって非常に大きな資源であるというふうに考えております。ごもっともだと思います。
 
【古田課長】  ありがとうございます。
 特になければ、QSTのお話についても少し議論していきたいというふうに思っていまして、QSTの資料4の3ページ目を少し見ていただきたいんですけど、試験的共用というのを2024年度に行うということで、そのための選定方法の検討というのを2023年度の初頭から行っていただくということになっています。ただ、まさに今日YouTubeで一般の学術ユーザーの方たくさん入っておりますので、あえて質問しているんですけど、一般の方というのはどこからどういうふうに。だから、一般の学術ユーザーから見ると、いつどういう話がQSTないしは登録機関から下りてくるのかというところを知りたいんですね。
 だから、下に、2024年の10月以降に「共用課題募集(登録機関)」というのがありますけど、ここからなのか。恐らくそうではなくて、その前にいろいろな、今日はちょっと御説明いただけなかったんですけど、利用制度について前もって提示をしていただいて、当然こういった有識者会議の場とか、それ以外の場でも、外の方のいろんなレビューを受けた上で確定して、公開していくんだと思うんですけど、この利用制度について、2024年の10月に向けてどのようなスケジュール感でお考えなのか、茅野理事、お願いできますでしょうか。
 
【茅野理事】  この表にありますように、実際に課題を募集して、使っていただけるようになるのは2024年の3月ぐらいからということになるんですけれども、当然それ以前に登録機関も決まりますし、それから、どういうものがあって、どういうふうに使っていただけるようになるかというのは、ホームページですとか、ほかのいろいろな媒体を使って事前にお知らせできるようになると思います。それはできるだけ早い段階からやろうと思っておりますけども、例えば2023年度末ぐらいからは、きちんと事前に情報が出せるようにというふうに考えております。
 
【古田課長】  横山先生、学術ユーザーから見たときにどのようにお考えになりますか。
 
【横山委員】  どうでしょうかね。研究テーマによっても違いますでしょうし、あと共同研究に産業界が入っているかとか、そういうことによっても変わると思うんですけれども、例えば博士の学生がいたとして、半年以上前に使えることが分かっていれば、それなりの準備はできるかもしれないです。ただ、これはやっぱりトライアルで、ファーストトライアルなので、本チャンの研究をここに乗せてくる方はまだ少ないだろうとは想像します。
【古田課長】  なるほどね。そうか、そうですよね。
 
【横山委員】  お試しですよね。
 
【古田課長】  分かりました。
 
【茅野理事】  お試しに関しては、そうですね、このビームライン3本造るときに委員会とワーキンググループをつくって、こういうものがいいだろうというのを検討された委員の方々いらっしゃいますので、その方々が、この試験運用のときにどういう試験をやったらいいかというのをいろいろ御意見いただけると思うので、この試験のところに関してはそういう方々の意見をいただくとか、あと東北大学と今、マッチングファンドで、QSTと、どういう研究が必要かというのもありますので、そういったところから選んでいくことになると思います。
 一般の方に対しては、やはり、この図にあったように2024年の3月からということになりますので、一般で応募されるときに、どれぐらい前にいろんな情報が提供されれば十分かということを御意見いただければということだと思います。
 
【横山委員】  早いにこしたことはないんでしょうけれども、準備状況からして、十分にお時間取っておられるんだろうなというふうに想像しましたので、ぜひうまくいくといいなと。
 ちなみに、その試験運用のときに、かなりビームの安定度であるとかインテンシティーとか、そういうのはかなり担保された状態でトライアルができるというようなことを見込んでいらっしゃるんでしょうか。
 
【茅野理事】  ビームは、一番上にありますように、最初の年は100ミリアンペアで、最終目標400なので、少し少ないんですけれども、できるだけ安定的に、時間も確保して供給したいというふうには思っています。
 
【横山委員】  ありがとうございます。
 
【古田課長】  ありがとうございました。時間ではありますけど、せっかくの機会ですので、どなたか、ほかございませんか。
 
【石川委員】  すみません、今のことについて。400に行くスケジュールがかなりゆったりと取っていらっしゃるのは、放射線の安全というか、管理区域にしないこととも関係しているんでしょうか。ここは、かなり以前の、トップアップが始まる前の加速器の立ち上げ方、スケジュールになっているように感じて、今でしたらば多分1年で400行くのも夢ではないような気がするんですけれども、管理区域の設定がまたいろいろ難しいので、放射線の問題があってゆっくりにされているのかなという感じもするんですが、ただ、それだって、例えば人払いをしてどんどん早く立ち上げるとか、そういうことはできるはずで、その辺どうお考えなのかなというのはちょっと聞かせていただきたいところだなと思っています。
 
【茅野理事】  加速器について、SPring-8さんから人が入っていただいて造っていただいているので、石川センター長も御存じかと思いますけども、今お話あったように、やろうと思えば1年で可能かもしれない。けれども、安定的にきちんとやっていこうと思ったら、安全性とか担保して、保守的に2年かけたほうがいいだろうと、そういうことでこの計画になっていると。
 
【古田課長】  よろしいですか。申し訳ないですが、これで取りあえず打切りにさせていただきたいと思っていますけど、よろしいですか。
 では最後、千葉座長にまとめをいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 
【千葉座長】  皆さん非常に活発な御意見、討論いただきまして、ありがとうございます。本日、まずSPring-8、QSTについての検討状況を御披露いただきました。SPring-8につきましては25年の歳月の中で、いろいろな形で修正されながらどんどん進化してきたというお話をいただきまして、柔軟な体制というのが大事だというお話をいただきました。特に資金の点では、無償で行うところとそうでないところを明確にして、それぞれのエフォートというか、ミッションが異なるということを明確にされたということでございます。それで、財務状況としては、やはり国に頼っている部分が非常に多いということですけど、その分ベーシックのサイエンスとか、企業の競争力等への貢献という、数値にちょっと見えにくい部分でありますけども、そういう貢献を非常に重点化してきたということがございます。
 これらについて特に焦点になったのが、企業とアカデミアの考え方の違い、情報の公開・非公開、この辺りについて、知財の在り方とか、オープン・クローズドとか新しい考えも出てきておりますが、世の中の変化とともにこういう概念も浮き彫りにされてきたので、これをぜひこれからの課題として継承していくというのはすごく大事だという御意見をいただいたところでございます。
 あとQSTにつきましては、これからの計画でございますけれども、利用料金の設定等いろいろ御議論ございまして、また、論文にする、あるいは秘匿する、さらにデータを共用、供出して公開するというような、そういうコントリビューションもあるのではないかということで、この辺も少し多様な展開が見えてきたものでございます。
 それからあとは、料金、かなり高額なものが設定されているわけですけど、例えば5,000万円とか、この部分が新たな参加者をどんどん広げる上での障壁になる可能性もあるので、それはどうするのかということで、これについては地域とか地方自治体とか、グループで参加する方法とか、高田理事長のほうから多様な方法も今検討しているということでございました。
 それで、ここまでの議論で抜けていたのが、要するに加入料とか使用料という財源だけでは、いわゆるエコシステムが回らないでしょうと、これは辻本先生から御指摘いただいたところでございまして、ストックオプションとか、要するに新株予約権とかそういう形で、ベンチャーの成長の未来からバックしてもらうような仕組み、こういう考え方を入れる必要があるだろうということで、これは、ぜひそういうことが重要だということで、皆さんかなり同意されたと思います。
 その場合、重要なのは、ありたい姿というのが明確になっている必要がございまして、単にマネタイズのところだけではなくて、20年たったら実際にどういう世界が開けているのかということを共有して、そこに向かって投資をするとか、ベンチャーをどんどん育成するというような、そういうビジョンがより明確になる必要があるだろうという、非常に建設的な御意見をいただけたというふうに思っております。
 特に重要なのは、そのニーズです。NanoTerasuがありますじゃなくて、どういうニーズがこれからどんどん掘り起こされてくるのかということをもっともっと掘り下げていって、それで提供できるサービスも、NanoTerasuありきではなくて、もっと広げられるだろう、それから多様な収入源も広げられるだろう、そこには課題をしっかり認識して共有して、課題解決に対していろんなソリューションを提供するという価値をどんどん提供していく。これによって、究極的にはもっとビームラインが増加したり、もっと施設がよくなっていくという正の循環に持っていけるのではないかということで、それを牽引する人、そういうのは東北大等からも供出していただく可能性がございますが、これを全部回していくと非常にいい形でNanoTerasuが発展するだろうということで、本日御議論いただけたと思います。
 以上でございます。
 
【古田課長】  大変すばらしいまとめ、本当にありがとうございます。
 それでは、関係機関におかれましては、本日、委員から出されました意見、あと今の千葉座長のコメントを踏まえまして、引き続きNanoTerasuの利活用の在り方について検討を進めていただきたいと思います。
 次回は第4回、11月9日水曜日の15時から、今回と同じ、文部科学省とオンラインのハイブリッド形式で開催する予定です。本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にメールにて御確認いただき、文科省のウェブサイトに掲載させていただきます。本日の配付資料につきましても、後日、文科省ウェブサイトに公開いたします。
 以上でございます。
 そのほか、委員の皆様から御意見等ございますでしょうか。
 特になければ、本日の議題は以上となります。これをもちまして、第3回NanoTerasuの利活用の在り方に関する有識者会議を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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科学技術・学術政策局
研究環境課 林、佐々木
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