大学等における研究設備・機器の共用化のためのガイドライン等の策定に関する検討会(第3回)議事録

1.日時

令和4年1月24日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 共用化のためのガイドライン等の検討について
  2. その他

4.出席者

委員

江端新吾 座長、植草茂樹 委員、岡征子 委員、上西委員、小泉委員、高橋真木子 委員、龍有二 委員

文部科学省

科学技術・学術政策局 研究環境課長 古田裕志、課長補佐 宮澤武志、研究基盤整備・利用係長 渡辺隆之

5.議事録

【江端座長】  皆様、御参加いただきましてありがとうございます。それでは定刻となりましたので、ただいまより第3回大学等における研究設備・機器の共用化のためのガイドライン等の策定に関する検討会を開催いたします。
 まず本日の出席者と資料の確認を、事務局からお願いいたします。
【宮澤補佐】  事務局から説明させていただきます。
 その前に、事務局の人員に一部変更がありましたので御報告いたします。文部科学省の宮澤と申します。担当の課長補佐、下須賀がおりましたが、前回に引き続きまして、別業務の関係で事務局を今離れておりますので、今月より代理として私、宮澤が務めさせていただきます。科学技術・イノベーション計画ではこのガイドラインを3月末までにつくることになっておりますので、3月末までの策定に向けて皆様の御知見を頂きながらやっていきたいと思います。ぜひともよろしくお願いいたします。
 今回は、新年1回目の開催になりますので、研究環境課長の古田より一言挨拶をさせていただきます。古田課長、お願いいたします。
【古田課長】  研究環境課の古田でございます。
 ちょっと日にちがたってしまいましたが、新年明けましておめでとうございます。今、宮澤から話がありましたとおり、今年度の大きな宿題ということで、この秋から冬にかけて研究環境課としても一番大事な仕事ということで、楠に加え、宮澤を投入させていただいたということでございます。
 特に今日の会議が実質的には、最終的な議論をする場になると思います。このガイドラインは強制力とか罰則はありませんので、やはり各大学がこれを見て自ら実践していただく必要があると思っています。私からのお願いは、できる限り本文とか参考資料とかいろいろな形で、大学の経営陣、研究者、事務の方、いろいろな方がぜひこれに自ら取り組んでみようと、何かメリットがあるんじゃないかと、大学は変わるんじゃないかと、自分たちの職場が変わるんじゃないかと、そんなモチベーションを持たせるような、持っていただけるような、そのようなガイドラインにぜひ、していただきたいと思ってございます。
 以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
【宮澤補佐】  本日の出席者の確認をいたします。本日は全委員に御出席いただいております。皆さんお忙しい中、ありがとうございます。
 続きまして資料の確認をさせていただきます。事前にメールでお送りしていますけれども、念のため、配付資料につきましては議事次第と資料1から7、参考資料をまとめたものを1つお送りしております。そのほかに別紙といたしまして資料4-1、4-2をお届けしております。また別途、小泉委員から資料の提出がありましたので、資料8としてお届けしております。説明の際には画面に投映するようにいたしますが、見えにくい場合は適宜、お届けしている資料を御確認いただければと思います。
 オンライン会議における留意事項についてお知らせいたします。御発言されるとき以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。これは通信を安定させるためですので、よろしくお願いいたします。御発言される際には「手を挙げる」というところをクリックしていただき、座長の指名をお待ちください。指名があり次第、ミュートを解除していただき御発言をお願いいたします。御発言の際にはまずお名前を言っていただきますよう、よろしくお願いいたします。議事録作成のために速記を入れておりますので、名前が分かるようにお願いいたします。会議中トラブル等が発生した場合は、事前にお知らせしています事務局の電話番号にお電話を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは議事に入らせていただいてよろしいでしょうか。
【江端座長】  以上、事務局からの連絡ということで、ここから議事に入っていきたいと思います。
 早速ですが、議題1「共用化のためのガイドライン等の検討について」、まずは資料1から5について事務局より説明をさせていただきます。それでは宮澤さん、お願いいたします。
【宮澤補佐】  ありがとうございます。資料1から5に基づき説明をさせていただきます。画面を共有させていただきます。
 こちらから説明をさせていただきます。1枚めくっていただきまして、こちらが前回までに出ました主な意見をまとめているものです。簡単にポイントを触れさせていただきますと、まず本文の構成については、共用のために何をすべきかはっきりとメリハリを付けてポイントを示そうということでして、3点、経営戦略における機器共用の位置づけ、共用機器と技術職員の一元化、ある程度大きくなったときの統括部局のマネジメント体制、こういう3点が重要であるというコメントを頂きました。
 3つ下に下がりますけれども、これまで大きな方向性が出ていなかった共用について再整理したガイドラインであり、事例のバリエーションがあることを見せるだけでもある程度の価値はあると。その際に具体的に、例えば人事とか財務でありますけれども、本文にはあるべき姿を書いて、事例は第2部の参考資料にするような構成もあるということもコメントとして頂いております。
 右半分に移りますけれども、ガイドラインに盛り込む内容としまして、2つ目、各機関、また研究者、事務方まで共有できる認識を示せるとよいだろうということ。2つ下がりまして、経営層の立場からのコメントですけれども、お金に換算できないところは、理念、ポリシーにつながるところのベーシックな考え方をしっかり示していくことだと思うというコメントを頂いております。
 次のページをお願いします。ガイドラインに盛り込むべき内容の続きですけれども、2つ目、様々なステークホルダーが一緒に連携することがチームワークを醸成し、大学経営における好循環を生み出すことにつながると。
 その後、言葉の定義についてもコメントを頂きました。
 右に行きまして、競争的研究費で整備した設備・機器の運用についてということで、1つ目、「原則共用化」という言葉が、経営陣から研究現場まで含めて、研究機関に十分伝わっていないのではないかという問題意識を御指摘いただいています。
 3つ下がっていただいて、青文字で書きました関係府省連絡会申合せで、共用の際は報告書を出すことになっているが、どの程度運用されているのかは疑問だと。貸付けを行う際、原則無償とある一方、実費相当額を求めても差し支えないとあり、どちらの観点が重いか分からないという御指摘がありますので、こちらについてヒアリング機関に追跡調査をしておりますので、これはまた後ほど紹介させていただきます。
 次のページに行きまして、技術職員についてというところで、技術職員のノウハウを正当に評価することが重要。論文の中でアクノレッジするなど、技術職員の技術、ノウハウの貢献を明確化できるような仕組みを考えられればいいということ。
 右に行きまして、その他。これもまた青字で書いておりますけれども、利用料金を使っての設備の維持や更新を考えた際に、年越しができないなどの財務的な制約があって困るという話もあるが、整理やグッドプラクティスなど、もう少し深く見ていただければよいのではないかという御指摘がありますので、こちらについても追加調査をしておりますので、また後ほど説明させていただきたいと思います。
 次のページは前回お示しした骨子の内容でございまして、こちらについて先ほどの御意見を頂いていたところでございます。
 次のページになります。こちらは資料2になります。今回の議論の進め方でございますけれども、私からこの後、ガイドラインの概要、本文案、参考事例集、ヒアリング結果の追跡調査、あとは内閣府からe-CSTIの調査結果を説明させていただきます。それを踏まえて、本会議におきましては以下の4つのポイント、ガイドライン本文の構成・内容について、参考事例集の構成・内容について、追跡調査、e-CSTIの調査結果を踏まえて、本文の記載やほかに検討・修正すべき点があるかについて、そのほか、ガイドライン以外での議論が必要となる事項はあるかどうかという点について、御意見を頂ければと思います。
 次に、ガイドラインの概要について説明させていただきます。こちらが今回のガイドラインの概要を1枚にまとめたものでございます。一番上に現状(課題)と書いておりますけれども、各機関の戦略的な経営実現に向けて自律的な設備整備の重要性がますます増加していること、世界をリードしていく研究者にとって必要な最先端の研究設備・機器が十分に利用できない状況、計画的な整備・運用を実現するために必要な予算の確保の戦略が必ずしも十分ではない状況があります。このもっと先には、例えば我が国の研究力が海外に比べて相対的に低下しているといった大きな問題がございますが、そういったことも含めて、科学技術イノベーション基本計画においては2021年度までに共用化のガイドラインを策定することが書かれております。
 下に行きまして、本ガイドラインのポイントを3つ、ここには書いております。緑の枠にしているものと水色の枠にしているもの、その下に灰色で示しているものがあります一番下に目次を書いていますけれども、それぞれ目次に書いた項目を色づけしており、一部重複しているものはありますが、この色がそれぞれ対応しているものです。
 ポイントの1つ目、緑で書いているところですけれども、戦略的経営実現のための共用マインドセットの改革でございまして、研究設備・機器のみならず、人材・予算等を含め、リソース全体による研究教育成果の最大化に向けた共用を促進しましょうというところ。あとは、研究設備・機器の経営戦略において位置づけの確立を促進しましょうということをガイドラインで述べております。
 2つ目、水色で書かれているところですけれども、研究基盤を最大限活用・促進する共用システム改革ということで、研究設備・機器とそれを支える人材が一体となった研究基盤の整備を促進しましょうということ。あとは、「チーム共用」という言葉を使っておりますけれども、役員、教員、URAによる「チーム共用」の体制を構築しましょうということを述べております。
 その下にその他として灰色で書いておりますけれども、公的な財源を基に整備した機器については共用化の検討を原則的に求める考え方を明記しましょうということ。あとは、利用料については柔軟かつ多様な利用料金の設定を推奨しますということを書かせていただきます。
 これらを踏まえまして「戦略的設備整備・運用計画」の策定を推進することを書かせていただいております。
 この後、本文に入ります。ちょっと長くなりますが、大体20分ぐらいかけて本文について簡単に説明させていただきます。
 まず「はじめに」というところでは、研究設備・機器は科学技術・イノベーションの活動の原動力であること、それを支える専門人材の持続的な確保・資質向上が不可欠だということを述べさせていただいています。そして研究設備・機器とそれを支える人材を合わせた研究基盤は研究者に活用されてこそ、その価値が高まるものであり、幅広い共用は研究効果の最大化に資するものであるという背景を書いております。そういったことから、「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」でございますとか、2ページ目に行きますけれども科学技術イノベーション基本計画においては、環境の整備が重要ということであり共用のガイドラインの策定を行うことと書いていただいているところです。
 これを受けまして、本ガイドラインでは、各機関における共用の推進の取組を機関全体の経営課題と捉えていただいた上で、特に共用の取組を行う研究現場や事務の担当者がその推進を図る手引となるように、また、その各機関の経営層においても活用していただきたいという願いを込めてつくったものであります。こういうことを「はじめに」で書かせていただいています。
 次、4ページになります。1.本ガイドラインにおける用語の定義、ということで、まず用語の定義をしましょうということです。共用の範囲についてですけれども、今まで狭い範囲の利用のみを前提としていた研究設備や機器について、部局内や各研究機関内全体への広い利用を可能とするとともに、第三者の利用も可能とする仕組みを戦略的に構築し、推進することを「共用」と、このガイドラインでは定義いたします。また、構築された共用の仕組みを「共用システム」と定義いたします。
 2つ下のマルですけれども、いわゆる技術職員が利用者から依頼を受けて受託試験・受託分析を行うことについても、共用の取組の一環だということで定義いたします。
 その下のマルになります、共用に関わる人材についてそれぞれ、教員、技術職員、事務職員、URAについてもこういった定義をさせていただいています。
 その下のマルになります、このガイドラインでは各機関で共用を推進する組織を「統括部局」と呼ぶことにいたしますが、この部局はその組織の具体の形態によらず、関係部局による会議体が担う場合や、いわゆる共通機器センターが担う場合も統括部局に含むことと定義いたします。
 次のページに行きまして、機関に導入されている設備・機器についてはこのように整理いたしております。本ガイドラインが対象とする設備・機器はこの左の3つの部類です。基盤研究設備から専用大型研究設備を対象にしているものです。
 右に示しています国際対応大型研究設備でありますとか、例えばスーパーコンピューターでありますとかSPring-8、こういった特定先端大型研究施設などについては別の仕組みや合意に基づいて行われていますので、こういった大型のものについてはそのルールに従って運用していただくことが前提ではありますけれども、本ガイドラインの趣旨も踏まえて、それぞれが定めるところによって運用されることが望まれるということを書かせていただいています。
 次のページに行きまして、2.研究機器・設備の共用の重要性、ということでまずは(1)現状認識、を書かせていただいております。<大型研究設備等の状況>になりますが、1つ目のマルについては、それぞれの目的に応じて各研究機関内外の共同利用・共同研究にも供されているところではございますが、2つ目のマル、ただ、大型であるがゆえに管理・運用経費が肥大化して、その更新に当たっては各機関による対応が極めて困難な状況が続いていると。各機関は自助努力をしているものの、必ずしも持続的な解決には至っていない現状がございます。
 また、国立大学及び大学共同利用機関、これを「国立大学等」と呼びますけれども、国立大学等に目を向けると、法人化以降、教育活動・研究活動は自律的に取り組むことが重要とされ、設備整備についても、設備マスタープランを通じて各大学等において取り組む体制の整備が必要となっているところでございます。
 その下、<共通基盤施設の大学内の位置付け>ということで、国立大学等における共通基盤施設は、国の大学政策の一環として法人化前から設置されてきております。法人化以降、学内・学外利用を積極的に展開して、地域の公的機関、民間企業等における研究や教育にも寄与する事例が増えてきているところでございます。
 次の7ページになります。それに関して文科省においてもこれまでいろいろな取組を支援してきております。下の図は具体的な文科省における取組の支援の説明になります。
 その下のマルに行きまして、これと並行して、競争的研究費により購入した研究設備や機器については共用を進めること、また、ほかの研究費等によって購入された研究設備・機器を活用すること、また国立大学等においても、2007年から設備マスタープランの策定を通じて計画的・継続的な設備整備を促してきたところでございます。
 下のマルになりますが、これらによって、一部の大学では共同利用を前提にした整備・運用が進展しているところではございますが、次のページに行って、
 一方で、研究環境を取り巻く状況は依然として深刻でございまして、研究者が必ずしも必要な研究設備・機器にアクセスできていないと。また、設備整備関連経費は減少傾向にあって、新規購入や更新、修理が困難である状況や、また老朽化が進行している状況があります。取組が一定程度進展している一方で、いまだに特定の研究室、狭い研究室で専用されている研究設備・機器も多い状況があります。
 また、国立大学等に目を向けると、設備マスタープラン策定を通じて設備マネジメントの最適化について取り組んでいるところでございますが、一方で、設備マスタープランの本来の趣旨に対する認識が不足していて、必ずしも期待された機能が発揮されていないという意見もあります。
 最後のマルになりますが、このような状況から、研究設備・機器については経営資源の一つとして戦略的に活用・運用されるよう、新しい整備計画の策定や、機関全体として戦略的に導入・更新・共用等を図る仕組みを一層強化することが求められているということを、現状で書かせていただいております。
 次のページになります。(2)基本的な考え方ということで3点挙げています。1つ目がマル1各機関における経営戦略と研究基盤の関係性、ということでして、研究設備・機器を重要な経営資源の一つとして捉え、研究設備・機器とそれを支える人材を合わせた「研究基盤」の戦略的な活用を図ることが求められます。2つ目のマルですが、各機関においては、機関のミッションや経営方針を踏まえつつも、ビジョンや理念の実現のために研究基盤が果たす役割や重要性を経営層も含めた形で認識し、経営戦略に明確に位置づけることが極めて重要です。3つ目のマルになりますが、その際、例えば以下の3つに示しているようなこと、既に保有する研究設備・機器の現状分析と活用、新たに導入・更新する研究設備・機器に対する予算配分の考え方、共用を通じて得る外部からのリソースといった観点を踏まえて、機関のミッションや実情に基づいて戦略的な方策を考えることが効果的です、ということを示しております。
 2点目になりますが、マル2「チーム共用」の体制づくり、について書いております。「チーム共用」という言葉を使っておりますけれども、いわゆる役員、教員、技術職員、事務職員、URA等の多様なプロフェッショナルが参画し、言わば「チーム共用」としての運営体制を構築することで、研究設備・機器と人材の一体的な活用を可能とする経営戦略やシステムの構築につながるということを書いております。
 最後のマルですけれども、その中でも特に技術職員が共用の取組に参画することで、研究設備・機器の一元的な管理・運用を可能とするとともに、職員の技能向上及び技術の継承が図られ、研究設備・機器の適切かつ継続的なメンテナンスに向けた相乗効果が期待されることを書いております。
 次のページ、3つ目、マル3「戦略的設備整備・運用計画」の策定の意義、ということで書かせていただいております。各機関においては、既存の研究設備・機器に係る利用状況、老朽化状況等の把握、更新・新規導入に係る財源を分析し、適切な研究基盤戦略に従って戦略や計画を策定することが重要ですということを最初のマルで述べています。
 2つ目のマルですが、例えば国立大学等でいいますと、設備マスタープランの策定によって、各国立大学等の経営戦略に基づく設備マネジメントの最適化が図られつつあるところではございます。しかし、3つ目のマルになりますが、一方で基盤的経費が現状維持または減少傾向にある中、国立大学も含めて基盤的経費のみでの計画的・継続的な設備整備は依然として困難な状況であります。よって外部資金のさらなる活用とともに、多様な財源も含めた戦略的な設備整備・運用計画の策定が重要であるということを述べさせていただいております。
 次のページの1つ目のマルでは、具体的に「戦略的設備整備・運用計画」の策定に関してですが、例えば以下のような3点、既存の研究設備・機器の把握とそれぞれの整備状況、過去の利用実績、今後必要となる研究設備・機器の利用ニーズ、以上を進める上での財源等を把握することが必要だと書かせていただいています。
 そして共用を促進することで、これらの情報把握が可能となり、現在の資源の有効活用のみならず将来の資源の有効活用につなげることができると考えております。
 3つ目のマルになりますが、国立大学等についていいますと、設備マスタープランが財源別の設備整備計画リストを示すものとして従来位置づけられてきましたが、一部国立大学等においては運営費交付金に係る概算要求を整理したものにすぎない内容になっているものもありまして、国立大学等においても本ガイドラインの趣旨を踏まえた戦略的な設備整備・運用計画の検討が必要ですと書かせていただいております。
 次のページが(3)共用システムの意義とメリットということで、こちらも3点挙げさせていただいています。1点目、マル1目標達成に向けた、限りある資源の効果的な活用、でございまして、1つ目のマル、必ずしも潤沢な研究資金を持たない研究者にとっては高額な設備・機器を自らで整備することは非常に困難ですということ。2つ目のマル、そのような状況の中で、あらゆる研究設備・機器にアクセスできる環境づくりは、多様な研究者がおのおの研究パフォーマンスを高めることにつながり、各機関が経営戦略等に基づき進める研究力強化等の目標達成を図る上で欠かせない取組だと。3つ目のマルになりますが、共用を促進することで、「戦略的設備整備・運用計画」等の策定をはじめとする計画的な設備整備・運用の実現につなげ、機器の活用に加えて、予算配分上の重点化・適正化を図ることが可能になるということを書かせていただいています。
 2点目、マル2共同研究・外部連携の発展、ということでして、1つ目のマルですけれども、設備・機器を機関内外に共用することは、幅広く他分野・他セクターの研究者と相互に連携を深めて新たな共同研究の推進につながることを書いています。2つ目のマルは、産学連携や地域連携は外部資金の獲得という観点のみならず、研究者・技術者等における交流・人材育成につながることなど重要な役割を持っていること。共用は産学連携等を推進し、産業界や地域・社会との共創を図る上でのハブ・窓口として機能を果たすこと、を書いています。
 次のページに行きまして3点目、マル3効果的な管理・運用による技術的・金銭的なメリット、です。多くの研究設備・機器が特定の研究室において管理・運用されている状況があります。その中で、これら管理を各研究室の教員が行うケースも多く、研究時間が一定程度割かれてしまう状況があります。そのため、特定の研究室に閉じ籠もることなく組織的に管理することにより、体系的な保守管理が可能となり、教員の研究時間の捻出にもつながることになります。
 具体的にその管理の方法として以下2点が考えられると思っております。1つ目は、機関全体または部局等の一定程度の規模において汎用的な研究設備を物理的に集約する方法。もう一つは、各部局等がそれぞれに整備・運用する研究設備・機器をシステム等でバーチャルに集約する方法。
 次のマルですけれども、その際、技術職員は、技術支援に関わることが機器の一元的な管理・運用を可能とするとともに、技術職員の技能向上及び技術継承が図られるといったメリットも期待できますと書かせていただいております。
 次は16ページに参ります。この後が具体的なシステムの構成になります。3.共用システムの構成・運営で、(1)共用システムの構成・運営については3つのポイントが重要だと書かせていただいております。1つ目は経営戦略へ位置づけること。2つ目は統括部局を確立すること。3つ目は財務や人事を巻き込んだ体制を整備すること、です。
 ポイントの1つ目、マル1経営戦略への位置づけ、と書かせていただいております。1つ目のマルですけれども、各大学等自らのミッションに基づく自律的・戦略的な経営を進める上で、研究設備・機器の共用システムの役割は決して小さくはないということ。これを認識していただいた上で2つ目のマルになりますけれども、経営戦略には以下の3点を位置づけることが重要ですと書かせていただいております。1つ目は研究設備・機器が重要な経営資源であること。2つ目がその活用方法として共用が重要であること。3つ目として共用システムの構築・推進を図ること。ということを書かせていただいております。
 ポイントの2点目、マル2共用に係る統括部局の確立、でございまして、例えばその統括部局においては、それを学長直轄組織等へ位置づけることや、担当理事が部局長を担うなど、機関形成への参画を明確にして位置づけることが重要ですと書かせていただいております。
 次のページに具体的な統括部局のイメージを一例として図もつけております。
 その下の四角で幾つか例もつけさせていただいております。統括部局の具体的な組織の形態については、もちろん各機関における実情に応じて設定することが有効としつつ、以下のような3つの方法が考えられるのではないかということで例示させていただいております。1つ目は、共通基盤センターや技術職員を一元化した技術部等の独立組織が中心となり統括部局を組織する方法。2つ目は、共用化が進む特定の部局等を中心として統括部局を組織し、各部局等が管理・運用する研究設備・機器の全学的な共用を進める方法。3つ目は、各部局等がそれぞれに行う共用の取組について連携・共通化を図る委員会を設置する方法。
 ポイントの3つ目、マル3財務・人事を含めた体制の整備、でございます。ここでは利用料の設定であるとか利用料収入の活用方法については、財務会計システムの工夫も視野に入れた財務担当部署との連携が重要であると書かせていただいております。
 次のページは人材の件ですけれども、「チーム共用」の構築とともに、技術職員等の一元化・流動的な配置も視野に、人事担当部署との連携を図ることも望まれていますと書かせていただいております。四角で囲みましたのは具体的な方法として考えられることで示しておりまして、1つ目は統括部局に財務・人事担当理事が直接参画する方法、2つ目は統括部局と連携体制を構築する方法、について書かせていただいております。
 次のページに行きまして、(2)共用システムの基本設計、ということで、こちらは2点挙げさせていただいています。1つ目は、マル1共用の範囲・共用化のプロセス、でございます。1つ目のマルで、各機関の特性やこれまでの取組を踏まえつつ、実効的な共用の範囲や段階的なプロセスを検討していくことが望まれますと書かせていただいています。2つ目のマルで、共用システムは経営戦略や「戦略的設備整備・運用計画」との関係から、機関全体での仕組みの導入が重要です。一方で、特定の部局内での利用が主となるケースもあるため、各機関の状況を踏まえつつ、実効的な利用の範囲を設定し、システムの設計を進めることが有効ですと書かせていただいています。
 また、四角に囲ませていただいたのは利用の主たる範囲で、各機関の実情を踏まえて、研究設備・機器の実効的な利用の範囲を設定していただくことが有効ですと書きつつ、以下のような3点の方法を例示させていただいております。1つ目が幾つかの部局内での利用。2つ目が複数の部局やキャンパス等で形成する各拠点内での利用。3つ目が共通する設備・機器群での横串を刺した技術分野での利用、です。
 その次のマルになりますけれども、主たる利用・共有の範囲を設定した上で、部局あるいは拠点外への範囲の拡大やシステムの共通化を図っていくことが重要だと述べさせていただいています。具体的な進め方については、四角の中で触れさせていただいています。今までの共用の取組の状況を踏まえながら、例えば1つ目、既に共用化に一定程度取り組んでいる部局を中心に共用の体制やシステムの構築を進め、ほかの部局等へ横展開を図る。2つ目、幾つかの部局で共用が進んでいる場合には、情報共有から連携を始め、相互利用やルール・システムの共通化について検討を進めるというもの。
 次のページに行きまして2点目ですが、マル2共用の対象とする設備・機器の選定、ということで、科学技術・イノベーション基本計画においては「汎用性があり、一定規模以上の研究設備・機器については原則共用とする」と記載されております。そのため、本ガイドラインにおきましては、特に運営費交付金、私学助成金、設備整備補助金など、公的な財源を基にした基盤的経費により整備する研究設備・機器は共用化の検討を行うことが原則だと書かせていただいています。
 次のマルになりますけれども、競争的研究費で整備する研究設備・機器についても、財源が公的な性質を持つ点を踏まえますと、原則として共用化の検討を進めることが重要です。現在、プロジェクト期間中では共用化ができないという認識が強く共用化が進んでいない状況もありますが、プロジェクトが進行中の期間内でも共用化が可能であることを認識して、一層の共用化に取り組むことが重要だと書かせていただいています。
 次のページ、(3)共用システムの具体的な運用方法ということで、こちらについては5つほど、事例を踏まえて書かせていただいています。1つ目がマル1インセンティブの設計、であり、共用を進める上で、実際に研究設備・機器を利用する研究者に対して、専用利用ではなく、共用に供するための理解が重要となると。そのためには部局等の管理者や運用主体へのインセンティブ設計が有効です。
 具体的には、以下のような4点、例えば研究設備・機器に対して学内予算等を活用した更新の措置でありますとか、適切な稼働環境を整備した学内スペースへの設置でありますとか、利用料収入の集約・再配分による維持管理費の体系的な措置でありますとか、研究設備・機器の利用による論文創出への貢献の見える化といったことを挙げています。
 2点目、マル2内部規程類の整備、について、経営戦略や「戦略的設備整備・運用計画」との関係を踏まえると、内部規程類を統括部局において整備して、一定のルールを定めて運用することが重要と考えております。その際に、各部局等におけるこれまでの取組を尊重した共用化を図る場合には、各部局等に一定の裁量を残した形で規程を策定することも考えられます。
 規程類の策定について、以下のような規程を整備することが考えられるということで、4つほど挙げております。機関全体の共用システムの運用に関する規程、共用設備・機器の取扱いに関する規程、受託分析・受託試験に関する規程、利用料金の設定に関する規程。
 3つ目、マル3研究設備・機器の見える化、ということで、使用できる研究設備・機器については機関内外に対して分かりやすく可視化することが重要です。次のページに行きまして、その際、利用料金や申込方法、また得られるデータの種類、これらを合わせて提供することで利用率の向上につながります。
 次、4つ目、マル4予約管理システムの構築、ということで、機関内外からの利用申請については情報システムを活用することが望まれます。例えば民間のサービスを利用することや、自然科学研究機構が提供する「大学連携研究設備ネットワーク」の活用等も考えられます。
 5つ目、マル5不要となった設備の利活用、でございますが、不要または遊休設備についても共用化を図ることや、譲渡や売却または修理、高機能化による再利用も図ることが考えられます。
 次のページになります。今度は大きな項目、4.共用システムの実装に関連する事項(財務・人材)、ということで書かせていただいています。1つ目は(1)財務の視点、でございまして、2つ目のマルになりますけれども、設備・機器の維持管理費や運用に伴う消耗品費等は、利用料金を適切に設定して、利用料収入での運用の自立化を図ることが考えられます。一方で、多くの大学等において財務担当部署の関与が少ない状況が見られます。
 3番目のマルになりまして、利用料金の設定に当たっては、必ずしも利益を上げることが目的ではありませんが、各機関における研究設備・機器の運営をより持続的に維持・発展させていくに当たっては必要なものとして、適切に設定することが重要ですと書かせていただいています。
 次のマルですけれども、その際、「利用の価値」を各機関が適切に勘案して料金設定に反映することが求められると。このような観点から、財務担当部署と連携して、積極的な利用料金制度の運用が望まれますということ書かせていただいています。
 最後のマルになりますけれども、具体的な料金の設定の方法として、次のページに図で例示している通り、必要な諸経費を可視化し、利用者に提供される価値を勘案すること、維持費や消耗品費、光熱費だけではなくて、教員や技術職員等の技術的な知見やノウハウを加味した料金の設定を行っていくこと、修繕や更新を踏まえた減価償却費を料金設定に含めること、また、保険料やシステム利用料を加味したり、国外研究者等の利用者を想定した特別料金を設定したり、成果公開を前提とした利用の場合であっても必要に応じて利用料金を設定すること、なども考えられます。
 次のページに行きます。最初のマルについて、地域との関係性や利用ニーズ、利用者の属性なども踏まえて、また機関の状況にも応じて、若手育成やアカデミックディスカウント等の観点から割引などを柔軟に設定することで利用率向上にもつながると考えられます。
 最後のマルになりますけれども、適切な利用料金を設定することは、必要以上に長期間使用することを防ぎ、結果として当該機器の利用者数や稼働率の向上につながります。また、利用者側の、研究設備・機器を有効に使う意識の醸成の観点からも重要ということを書かせていただいています。
 次のページに行きます。(2)人材の観点、でございまして、これは繰り返しになりますが「チーム共用」についてです。役員、教員、技術職員、事務職員等、多様なプロフェッショナルが参画する「チーム共用」の体制を整備することが重要だということ。
 それに加えまして、技術職員については高度で専門的な知識・技術を有しており、研究者とともに課題解決を行うパートナーとして重要な人材という認識でいます。しかしながら、現状では特定の研究室や特定の設備の管理のみに関わり、活躍の機会が限られているケースもあります。そのため、技術職員が研究設備・機器の整備への幅広い貢献を図るとともに、例えば研究基盤に関する経営戦略の策定にも参加するなど、活躍の場を広げていくことが望まれます。
 最後のマルになりますけれども、技術職員の技術・技能の向上、継承も重要であり、部局や組織を超えた研修の場の活用が有効ですと書かせていただいています。下の四角でありますけれども、技術職員との関わり方について、また幾つか例示していります。マネジメントに関わる職種や認定制度を設け、研究基盤の戦略策定へ関与。組織横断的な研修会等による技能の共有、異分野融合の促進。技術職員の分野や技術支援のカタログ化。共用設備・機器の利用料金への技術職員の相談料を設定、といったことです。
 現状、本文に書かせていただいている内容は以上でございます。その他の取組として、今は参考資料という形で添付しているものがございます。その後、「おわりに」で、またこのガイドラインを俯瞰するような形で書かせていただいているところがございます。
 本文の概要については以上になります。
 続きまして資料5になります。先ほど、前回、委員の皆様から意見を頂いた中に青字で示していた部分について追加でヒアリングをしましたので、その回答を示させていただいています。
 1つ目は、共用設備・機器の利用料収入の状況や積立てについてということで、上の四角に囲んでおります4つの点をお聞きしております。その中で回答としてあったのは、1つ目のマル、多くの機関では、利用料収入では通常維持管理費の一部をカバーする程度であること。2つ目のマル、設備・機器によって収支のバランスは異なるものの、設備群全体として維持管理費をカバーできているケースもございました。3つ目のマル、学外利用に減価償却費を考慮しているが、利用料が高額になることを懸念し、設定しない例も多くありました。4つ目のマル、積立ては多くの機関で実施されてはおりませんでした。次のマル、利用料収入の残額を翌年度の学内予算配分に反映し、オーバーホールなどに充てている例もございました。
 こういった点を先ほどのガイドラインの本文においても、利用料金の設定の考え方や例として記載させていただいています。
 2つ目です。競争的研究費で整備した設備・機器の共用化の手続についてどうなっているのかという御質問がありましたので、この四角囲みの4つのことを関係機関に聞いております。
 その中で回答としてあったのは、1つ目のマルは、多くの機関では研究プロジェクト期間中における共用化を行っておらず、事例がないということ。また、幾つかの機関では、報告書の作成は教員が行い、事務を通じて提出する整理にしていること。4つ目のマルで、実費相当額をどこまでと捉えるのか判断が難しいといった声もありました。5つ目のマルで、直接経費で整備した設備・機器は部局の意向を優先する機関もございました。
 これについては、先ほどのガイドラインの、競争的研究費によって整備した研究設備・機器も原則共用化することを明記としたところでございます。
 追加調査については以上でございます。
 私からの説明は一旦終わります。
【江端座長】  宮澤補佐、ありがとうございました。
 前回、11月8日に第2回の本検討会を開催しておりますが、それ以降もヒアリングを行い、その調査をまとめていただきました。さらに有識者の先生方や事務局内での議論等を踏まえて今回本文を作成するところまで来ました。非常にしっかりとまとめていただいたかなと思っております。
 本文の中にe-CSTIの調査結果も盛り込むことも視野に入れ、本文の6ページ目、現状認識のパートにも記載がありました。今回内閣府の白井参事官に御出席いただきまして、e-CSTIの現在の調査結果、そして今後の展開についてお話を伺います。資料6について内閣府、白井参事官より御説明をお願いいたします。
【白井参事官】  御紹介いただきました内閣府のエビデンス担当の白井でございます。
では、資料6の説明をさせていただきます。ページを1枚めくっていただければと思います。内閣府のエビデンスグループにおきまして、先ほど御紹介がありましたe-CSTIにおいて、我が国の大学・研発法人における研究状況等のエビデンスを収集・整理しております。これによって政策立案に生かすとか、あるいは大学・機関における法人運営に役立てていただくと。その結果により科学技術・イノベーション力の向上を図っていくと、こういう目的で取組を進めてございます。
 次のページをお願いいたします。このe-CSTIは5本の柱から成っていて、1から5とありますけれども、例えば科学技術関係予算の見える化ですとか、国立大学等の研究力の見える化、あるいは大学等の外部資金・寄附金獲得の状況といったものについて調査・分析をしているものでございます。今回、調査の一環といたしまして、本日のテーマでございます設備の共用の状況についても今年度から調査をさせていただいたので、その結果について御報告をいたします。
 次のページをお願いいたします。この設備の共用につきましては、第6期の科学技術基本計画にも位置づけがされておりまして、この設備の共用に関するエビデンスを取得することを目的として、国公立大学や私立大学、研発法人等に研究設備・機器の共用の状況についての設問をし、その結果を集計させていただいています。
 次のページをお願いします。ここに示すとおり、対象の設備・機器については、いわゆる勘定科目で定義されているところの有形固定資産のうち、機械装置または工具器具備品で研究目的に使用されるものという定義の下に回答を集計してございます。この共用対象資産については取得価額ごと、それから共用の対象が機関外も可なのかどうか、機関内専用なのかどうか、それともそもそも共用の対象外のものかどうか、こういった点を回答いただき集計させていただいております。また、この共用の実績、件数とか利用料収入についても把握をしております。
 次のページをお願いします。これが国立大学で、今回、調査対象70機関のうち65の大学から回答を頂いておりまして、この共用対象資産の件数について集計しています。下に示す通り、全体を集計した結果といたしましては、全体の資産の大体17%程度が共用対象となっております。これは国立大学の類型ごとに様々データがございますけれども、やはり設備の件数も多い第3類型については、共用の件数も概ね多いといった結果になっております。
 次のページをお願いします。これは設備の共用化の状況を国立大学の類型ごとに見たものでございます。このデータの一行一行が個別大学のデータになっておりますけれども、一番下の行に、その類型における全体の平均ということでデータがございます。これを見ていただくと、大体5,000万円以上かつ1億円未満の設備について共用率が高いと。その場合、共用率は全体の資産の件数に対する共用対象資産の件数の割合ということで定義させていただいておりますけれども、大体1億円未満のものについては取得価額が大きくなるにつれて共用率も上がっているといったデータでございます。一方で取得価額が1億円以上のものについては共用化率が低下している機関もございます。
 このデータは色が濃いものほど共用率が進んでいるといった色分けになっていて、全体を平均しますと、第3類型については14.4%、第2類型については20.6%、第1類型については22.7%の共用率といったデータになってございます。
 次のページをお願いします。これは共用設備の利用料収入あるいは件数について個別の機関ごとのデータを示しておりますけれども、大学によっては1億円以上の非常に大きな利用料収入を上げている機関もございますけれども、9割ほどは大体5,000万円以下の利用料収入にとどまっているということでございます。設備の共用による利用件数が同じでも、利用料収入には差があるといった状況もございます。
 次のページをお願いいたします。これは共用利用料収入の機関外・機関内の構成比を見たものでございます。全体的に見ますと、機関外からの利用料収入額が全体の32%程度といったものでございますけれども、個々の機関ごとに見てみますと、機関外からの利用料収入の構成比が5割を超える機関も多数あると。それだけ機関外から利用料収入を得ている機関もあるといったデータが上げられてございます。
 次のページをお願いします。これは一つの事例として長崎大学の取組の御紹介になります。この大学におきましては設備の共用について、共同研究とか共同プロジェクトの呼び水として活用するということで、こうした取り組みにより、設備の利用料収入も確保しつつ、かつコスト低減にも資するという趣旨で、共用化を進めている事例でございます。ヒアリングしたときは、このような保有設備を共用するに当たって、今後大学同士でどう連携していくかとか、あるいは設備の更新・維持のための財源をどう確保していくかといった課題があると聞いております。
 次のページをお願いいたします。最後、調査結果の概要です。今回の調査対象の70機関のうち65大学についてのデータを得ております。5,000万円以上1億円未満の設備共用が進んでいるが、1億円を超えると共用化率が低下する機関もございました。利用料収入については9割方が5,000万円以下でございました。機関外からの利用料収入、全体で3割が機関外というデータでございますけれども、個別に見ますと5割を超えた機関外からの収入を得ている大学もございました。
 今回の収集における留意事項としては、あくまで65大学の結果ということ、大学によっては部局内でどう設備を管理しているかが把握できていないといった状況もあるといった点がございます。また、大学の共用による件数とか利用料収入の実績は大学によって様々な形態がございまして、本調査ではあくまで大学の判断によって回答を頂いているところがございます。
 今後、我々e-CSTIの取組といたしましては、こういった設備の共用化と研究力がどういった関係にあるのかといったところについても、データを集めながら分析を進めてまいりたいと考えてございます。
 私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
【江端座長】  白井参事官、ありがとうございました。
 研究基盤関連のエビデンスは、これまで一部、補助金関係の事業に関するデータは例えば研究環境課さんで取られていた事例はありますが、かなり局所的なデータにとどまっておりました。今回の資料6の結果は、初めて網羅的に研究基盤関連のエビデンスデータを取っていただき、まとめていただいた結果となります。科学技術・イノベーション基本計画の指標として「共用化率」についても言及されていますが、実際内閣府で取得されたデータを使ってどのように新たな政策を企画・立案していくのか、どのように新たな視点で各大学のマネジメントを行っていくのか等、検討するための、まずは一つの材料として非常に有用な分析だったのではないかと思っています。
 最後に今後の調査課題ということで、設備の共用化と論文のアウトプットとの関係性分析等と書かれております。これは共用化をただ進めればいいということではなく、何のために共用していくのかを検討する上で非常に重要な分析です。今回のガイドラインの本文中でも様々な記載がありますが、先ほどの宮澤補佐の御説明にもあったような「研究力の強化」、あるいは今回ガイドラインの概要にまとめさせていただいた資料にも記載があるように「研究・教育効果の最大化に向けた」というような文言も入っており、これらにどう結びついていくのかというエビデンスは今後このe-CSTIの分析をうまく活用させていただいて、各大学・各機関あるいは国の政策に反映されていくものと思います。
 宮澤補佐、白井参事官、ありがとうございました。
 それではここまでの説明を踏まえた議論に入らせていただきたいと思います。御質問、御意見、その他、委員の皆様からお話を頂ければと思います。どなたからでも結構です。挙手ボタンを使っていただいて御意見等を頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。小泉先生、よろしくお願いいたします。
【小泉委員】  ありがとうございます。丁寧な説明を頂き、ありがとうございます。
 意見等と、それから今回資料8として提出したものも含めてお話ししてもよろしいですか、江端先生。
【江端座長】  はい、よろしくお願いいたします。
【小泉委員】  まずは幾つかポイントがあって意見等を並べていきたいんですが。
 まず今、最後に江端座長も言われたように、このガイドラインの目的がもう少しはっきりしたほうがいいかと思うところです。今回の案の一番初め、資料4-1の一番初めの文章が「大学や研究機関等における研究設備・機器は」で、述語を見ると「科学技術が広く社会に貢献する上で必要なものです」となっていて、むしろこれよりは、1ページ目の3パラグラフ目、「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」のところのほうが多分目的としては大きいのかなと。いきなり「社会に貢献する上で」というよりは、むしろ大学の研究力強化とか若手研究者をどう支援していくのか、そこで設備共用がとても重要になりますよというメッセージが、まず一番初めに一丁目一番地としてあるべきなのかなと思ったところです。そこは3パラ目を一番初めに持ってきたほうが分かりやすいかなと思っていたところです。
 全部で5点ぐらいあるので、1個ずついきます。
 4ページ目で、今回の共用の範囲についてというところを示していただいています。今回の共用の範囲は学内の部局とか学内での共用、それから機関の裁量での第三者への共用というところ、それからその下に共同利用機関法人とか共用法の部分とかを区分けして書いていただいているところですが、このところについてもう少し分かりやすいポンチ絵があったほうがいいのかなと思ったところで、資料8を提出させていただきました。
 資料8を御覧いただければと思うんですけれども、私なりの理解では、この4ページ目の範囲についてのところでいうと、国としての基盤整備というところでは共同利用・共同研究機関、大学共同利用機関法人も含めてあるもの、あとは共用法の部分、大型プロジェクトの部分もあるかなと。今回の対象としているのはこの黄色の四角でくくった、各大学の経営戦略によってつくられていく部分だよという、この黄色の部分かなと認識していまして。こういったポンチ絵、この絵は突っ込みどころ満載かもしれないですが、この絵がいいかどうかは別にして、こういう絵が4ページ目の上のところで描いていただけると、全体の俯瞰をした上で、ここの部分がこのガイドラインの対象だというのが分かるので、こういったポンチ絵を入れていただければいいかなと思ったところです。
 それからガイドライン本文の10ページ目で、「チーム共用」という在り方、とてもいいと思っています。役員もそうですが、教員、技術職員、事務局員、そしてURA、これがチームをつくっていくんだという考え方はとてもいいと思っているんですけれども。もし可能であれば、それぞれがどんな役割を果たすべきか、どういう役割を果たす事例があるのか、「チーム共用」の中で何が期待されているのか、そういった事例を含めて例示を書いていくと分かりやすいかなと。例えばURAという言葉がちょこちょこは出てくるんですが、じゃあURAに何が期待されているのかと。技術職員はこの後も書かれているところもありますけれども、URAに何を期待されているのかと、事務職員は何をすればいいのかと。そういった「チーム共用」の中でのそれぞれの役割、どういう期待があるのかも書いていただけると、例示でいいので、分かりやすいかなと思ったところです。
 それから20ページ目。ここ20ページに至ってやっと「原則共用」という言葉が一番初めに、3行目ですか、出てきます。実はこれまで19ページ目までは「原則共用」という言葉は出てこないんですね、今のガイドラインだと。なので、かなり早い時点で原則共用という、例えば基本的な考え方が10ページぐらいにあったと思いますが、そこで原則共用という考え方を持っているんだということは書いてしまったほうが、20ページまで読んでやっと出てくるよりは、基本的な考え方のところで「原則共用である」と書いていただくのがいいような気がしました。
 それから23ページ目、24ページ目ですけれども、この辺は書いてあることはすごくよく分かるんですが、特に24ページ目の一番上の四角囲いについては、かなり違和感があります。利用料金設定ありきで共用を議論するのは、私は研究力強化という点からすると間違っていると思っています。自分自身を考えると、10年以上前にアメリカから帰ってきたばかりでお金もないときに、うちの機関の中で最新鋭の顕微鏡をただで使わせてもらっていて、若手研究者として本当にお金がないときにすごく救ってもらって、そこでかなりたくさんの論文を出すことができました。若手研究者育成とかを考えると、「自分の機械を使いたければお金を出しなさい」というのを前提としてしまうのはちょっと違うのかなと。若手研究者育成や研究力強化という点では、少し違うかなと思っています。
 ですので、一番上の文章、「基本的な考え方として、共用に供する設備の運営に係る経費は全て利用料収入で賄うことを基本とする」という、この一文は違うのかなと思っているところです。いやここはそういう趣旨じゃないよということを多分江端先生はじめ言われるのかなと思うのですが、この一文がミスリーディングして、金のない若手研究者からも金取れというようになってしまうと、逆に金持ちだけが研究すればいい、金がある人だけが研究すればいいということになってしまうのはよくないなと。
 なので、むしろここでおっしゃりたいことは経営戦略の中でしっかりと位置づけて考えろよと。経営戦略の中においては利用料収入とかそういったことも手段としてはあるよというような書きぶりのほうがいいのかなと。まずは経営戦略を考えなさいよと、若手研究者を育成したいなら、育成することも考えて考えろよと。経営戦略の手段として利用料収入もありますよという書きぶりのほうが。で、利用料収入を設定する場合にはこの2つ目の黒以下がいいのかなと思っています。なので、一番上の文章だけ、ちょっとこれだけが切り取られて出ていってしまうと、金のない研究者はもう研究するなというメッセージになるのはよくないのかなと思っているところです。
 最後、追加ヒアリングの資料5で、利用料収入を積み立てて云々というのがあったと思うんですが。これ、実際には新潟大の例とかを見ると、利用料収入そのものの積立てを繰り越したわけではないわけですね。これ、もう会議の場で出ているのですが、下手に出すと、会計検査院とかから、別財布をつくって積み立てるという、何か逃げのルートというかをつくって、お金を翌年度に回す別のルートをつくっているように見られると、それだとさすがに会計検査院は怒るんじゃないかなと思うので。あくまで新潟大の例とかを見ると、利用料収入は積み立てて、その積み立てたものはその年度内に多分使っていらっしゃると思うので、ここは正確に書かないとミスリーディングになってしまうのかなと思ったところです。
 以上が指摘ポイントです。よろしくお願いします。
【江端座長】  小泉先生、的確な御指摘ありがとうございます。
 利用料金の考え方につきましては本当におっしゃるとおりで、対象者を誰にするのかということに対応して適切に処理すべきというところが重要と思っています。私がいま御意見を頂いてぱっと見たときに、確かに1ポツ目、最初の丸の部分はわざわざここに書く必要がないのかなと思いました。この四角の中は利用料金設定の考え方の例なので、利用料をどういう形で取るのかというような、例えば一番下にある式のようなものがあればいいだけの四角なのかなという気がしています。そういった意味で大変重要なご指摘本当にありがとうございます。
【小泉委員】  まさに江端先生がおっしゃるとおりです。賛成です。ありがとうございます。
【江端座長】  ありがとうございます。最後におっしゃった点につきましては事務局も含めてしっかりと考えていくべき、と思います。その他の点につきましても、事務局の方でご検討いただきたいと思っていますが、基本的には賛成です。ありがとうございます。
 それではそのほか御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。古田課長からもお話がありましたとおり、具体的に議論をするのは本日が最後になりそうだということですので。挙手をお願いします。では高橋先生、よろしくお願いします。
【高橋委員】  ありがとうございます。
 幾つか階層が違うコメントをさせていただくのですが、まず全体観についてです。ガイドラインに何をどう書くべきか、ということについて、今日の冒頭、課長から、当事者のみならず大学執行部、研究者等のステークホルダーにも届くように、そして実質的にリアルに使えるガイドラインとなるようにという大きな方向性を頂いて、そういう観点から今の御説明を一連で聞かせていただきました。
 特に白井参事官のデータ提供は非常に実態把握としてありがたいと思っています。なので、ポイントはぜひ本文のなるべく前段のほうに実態把握という観点で入れるべきと思いました。私たちがこの後ガイドラインの内容を考えるにあたり、残念ながら、だけれどもこれが今の現実だというところを、いい話ではなくて、現状の課題を把握する意味で、私たちとしては共有すべき前提認識があるかなと思った点ですが、2つ、中心にあります。
 一点が、75分の65組織の回答率において、共用の対象が17%だけであること。それから、幾つかの大学では部局レベルでは不明という実態があったこと。それから、収入を生んでいる機関の9割が5,000万円以下。この3つについていい話はいい話で全然いいのですけれども、今回のガイドラインが実態として実務者の方たちの心に響くように、あまり現実と乖離したものを書いてもしょうがないだろうというところがあると思うので、この3つのある種シビアな現実は理解するべき、と思った次第です。
 このことを考えると、全体として今回御説明いただいた本文に関して、記載内容は大きく2つのコンポーネントに分かれるのだろうと思っています。小泉先生の御発言にも関連するのですが、1つ目はいわゆる上位概念である理念とか方向性の話。2つ目がケーススタディーのほうにも関連しますが、いわゆる利用料に関してどう考えるかとか、具体のオペレーションはどうあるべきかという、いわゆる実質的な内容と、最終的には個別のグッドプラクティスだと思います。その理念の部分と実質的な内容のバランスをどう書いていくのかが、このガイドラインがいわゆるユーザー側に響くときのポイントなんじゃないかと思っています。
 それを踏まえて若干の違和感と変更すべき点があるかなと思うので、ここから具体的に申し上げます。
 一つには、先ほどの2つのコンポーネントと申し上げましたが、現在の案は少し頭でっかちというか、大概念に寄り過ぎているのではないかというのが私の率直な読後の感想です。特に我々の今までの議論の中で、この話をするにはヒト・モノ・カネの3つの観点は外せないよねという話は共有できていると思いますが、今回、やはり白井参事官のいろいろなデータを見ても、物の話にやはり注力するべきなんだと思っています。
 先ほどの資料8、小泉先生のものと、本文でいうと7ページ目でしたか、そこのいろいろな共用施設といっても階層があって、高くて、大きくて、日本に幾つかというものと、個々の部局にいっぱいあるものという、その色々な全体の日本の中でどこが範囲ですかというのを、まずこのガイドラインの対象範囲としてしっかり共有すると。その上で、その後、大概念と具体の話を書き分けていく流れのほうが、読む人にとっては自分のリアルの話なのか、今後あるべき方向性を考えるときのある種のガイドなのかというその距離感がリアルに分かるのではないかと思いました。
 というのが全体に関する書きぶりです。何でこんなことを申し上げるかというと、その頭でっかちで通じないと困るなという問題意識に尽きます。そういう意味ではこのガイドラインの一つの売りでもあると思うのですが、例えば今回、目次の中で前半部分にあるべき方向性ということで「統括部局」という言葉が使われています。こういうZOOMなのでなかなかニュアンスが伝わりにくいのでちょっと言葉が粗いですけれどもすっきり言ってしまうと、やはり「統括部局」という言葉が大学業界の実務の人にミスリードされるのではないかという懸念があります。
 というのは、御存じのように大学業界において部局は学部とニアリーイコールで、人がしっかりアサインされていて、定員があってという、かなりしっかりした組織単位です。これをいきなりそういうものをつくるべきかと、そんなにしっかり議論もしていない私たちが言い切ってしまっていいのですかという懸念です。
 一方で、このガイドラインにおいて「統括部局」は何ということはちゃんと書いてあるので、それであれば、記載内容をそのまま読めば例えば「共用推進組織」とか、しっかり名は体を表す言葉を使って、ミスリードしないように言っていくべきではないかと思います。
 というのは、やはり何回も申し上げていることですが、これ、最後は個々の大学の経営戦略に基づき、経営の話だけではなくて、人と人件費と場所との資源配分の戦略に関する話なので、一般論としてあるべきことと個々の組織が考えることはやはり区分して、あまり領空侵犯にはならないほうがいいというのが思うところだからです。
 そういう意味でもう一つ、「チーム共用」が10ページ目に書いてあるのですけれども、この「チーム共用」が意味するところと「統括部局」が意味するところの区分がいま一つ私には理解できなかったです。ガイドラインみたいなこういう硬い文章において、もし2つの言葉を使うのであれば、1つに、その区分が明確になるべきだし、私はちょっとこの「チーム共用」も先ほどの「統括部局」と同等に、「新しい組織をつくったほうがいいですよ。だから皆さん作ってください」みたいな粗い議論にならないように、定義をするのであればしたほうがいいかなと思います。個人的には「チーム共用」というよりも、先ほどの共用推進組織なものをしっかり個々の組織の中でつくることによって、いわゆる情報の一元化と施設の有効使用をやるべき、それに尽きるのかなと思うので、言葉がインフレを起こさないようにというのが「チーム共用」と「統括部局」についてです。
 最後に、URAについてです。頭のほうでこのガイドラインの言葉の定義があるのですけれども、まずはこのガイドラインが対象とする範囲を書いた上で、幾つかのキーワードに関しての定義をするべきなのかなと思います。
 URAに関しては、これは文部科学省の補助事業で人材に関する大きな事業が走っていますので、その定義をそのまま直輸入して使うほうがいいのかなと思います。その中では、研究活動の活性化のみならず、その上位概念としての研究力の強化がうたわれていますので、これでは少しその部分的な記載にとどまっているので、直接その定義をそのままコピペしたほうがよいかなと思ってコメント差し上げます。
 以上、大きな話から小さな話まで申し上げましたけれども、私の理解がもし前提として違っているようであれば御説明いただければと思いますし、このガイドラインが届くようにという観点から若干厳しめのことを申し上げましたがお許しください。
 以上です。
【江端座長】  高橋先生、ありがとうございました。厳しめというお言葉ですが、だいぶ柔らかく伝えていただいて、非常に私としてはありがたく思っております。
 1点だけ私の考えとして、「チーム共用」と「統括部局」に関する整理についてコメントさせていただきます。
 まず、「統括部局」に関しましては、少なくとも「大学等における研究設備機器・機器の共用化のためのガイドライン」においては共用化を推進するための「統括部局」ということで、その組織をしっかりとまとめたものを指しています。先ほど高橋先生から情報の一元化や、そこにまとめるような機能が必要というお話があったかと思いますが、そういった意味でも「統括部局」が各大学に一つあることがコアファシリティという考え方に即した形になるのではないかということでその言葉が使われています。こちらは文部科学省研究環境課が所掌している先端研究基盤共用促進事業の中で定義されて、だいぶ各大学の中でも浸透してきている言葉だと思っています。
 一方で「チーム共用」という言葉は今回のガイドラインで初めて出てきています。「チーム共用」というのは、役員や技術職員や事務職員とかURAとか教員、そういったものを含めた、研究を進めるためのチーム体制をつくっていくというような文言に準じているものだと理解しています。
 この「チーム共用」という言葉が適切かどうかは現時点では私自身も分かりません。そういった意味で、本検討会で検討した結果、「チーム共用」という言葉をキャッチーな言葉として出していくことにするのか、あるいはもう少し違う言葉でこれは表現したほうがいいのではないかというところがもしあれば、ぜひ委員の先生方からも御意見を頂ければと考えております。
 そのほか御指摘の点に関しましては、白井参事官から御説明いただいた資料は今回初めて公開の場でお話しされたことです。そういった意味で、今回の御報告を受けてこのガイドラインの中に盛り込み、現状認識として、御指摘のとおり、今、課題がこれだけあるということをしっかりと明記させていただければと思っております。
 私からのコメントは以上になります。
 高橋先生、また何かあれば御指摘をよろしくお願いします。
【高橋委員】  江端座長の御説明、ありがとうございました。ガイドラインをどう位置づけるかということと、この後どうガイドラインを使うかということと関連して、また今の点は議論できればと思います。御説明は分かるのですけれども、個別の大学のいろいろなサイズの取組と現実からあまり離れて頭でっかちになったら、その段階でせっかくのこのガイドラインが現実とは乖離し過ぎだねとなってしまって、それは我々の意図するところではないなと思っています。
 以上です。
【江端座長】  ありがとうございます。それでは次、植草先生からよろしくお願いいたします。
【植草委員】  植草です。よろしくお願いします。
 この事例集の6ページ映すことはできますでしょうか。私から大きく3点お話ができればと思います。
 一つは、前回もお話がありましたけれども、基本的な考え方の中でやはりここの設備整備計画、今回でいうと「戦略的設備整備・運用計画」という言葉が出てきていますけれども、ここがすごく大事だろうなと思います。先ほど小泉先生、高橋先生からもお話がありましたけれども、この金沢大学の例ですけれども、やはり大学としてどういう戦略を持っているかということがまず前提で、それは研究力の強化であったり、産学連携の発展であったり、国際共著論文の論文数の向上であったり、いろいろな観点が大学としてあります。それを支えるのが研究基盤の戦略であることをやはりきちんと明確にすることが大事なのかなと思います。
 今回のガイドラインはこの青い部分のことを言っていることは間違いないですけれども、このオレンジがあっての青い部分だなと思います。先ほど利用料収入を稼ぐということで、確かに青い部分で考えれば稼がなければいけないのかもしれませんけれども、やはり大学としては若手研究者の育成など、そういった研究の目標がある中で、それが研究基盤としてどういうふうに整理されているのかということは、きちんとエビデンスで、今日は白井参事官からもエビデンスの御提供がありましたけれども、このエビデンスをどうやって大学として目標として持っていくのか。その中で研究基盤はどういうふうに支えていくのかを考えなければいけないと思います。
 共用ということでは先ほどからも話がありますけれども、やはり何でもかんでも共用すればいいという話ではないと思います。そこに戦略性があるのだと思います。生きた設備をどうやって大学として維持・運営・管理していくのかを考えるということでいうと、これも何の設備に重点的にやるのか、選択と集中ということをやらないと財源的にはもたない部分もあると思いますので、何でもかんでも共用ではなくて、ちゃんとした戦略を持って研究基盤を大学として整備する、その結果が共用である、この順番を間違えると、共用化率とかを向上すればいいという話になってくると、本末転倒なのかと。利用料収入を上げればいいじゃないか、それもちょっと本末転倒なのかと思いますので、そこをしっかり、このガイドラインでいうと10ページできちんと整理していくことが必要なのかなと思います。
 2点目は、これも事例の15ページで名古屋工業大学の例が出ているかと思います。この産学連携の視点をもうちょっと強調したらどうかと思っています。名古屋工業大学はやはり産学連携の中核にこの設備の共用を位置づけて、産学連携を発展させ、私もヒアリングに同席させていただきましたけれども、まさにこの設備が産学連携の一つの売りになっていることを明確に大学として取り組んでいると思っています。
 そういう意味では、ここはしっかり稼いでもいいと思いますので、先ほどの若手のところはなかなか稼げないとしても、産学連携の中核と位置づけられた瞬間に、やはり大学として明確に稼ぐという目標を持って名古屋工業大学は取り組んでいるので、そういったところの位置づけを考えていくといいと思います。
 お話を聞いたところ、やはり利用料収入を一個一個の機械で設定するのではなくて、組織対組織の産学連携みたいな話がありますけれども、この設備においても大学の設備を自由に使っていろいろな産学連携に取り組んでいる事例なのかなと思っておりますので、一個一個の利用料収入の世界ではなくて、ある企業と名古屋工業大学がトータルでお金を決めて設備を自由に使っていくと。そして新たなイノベーションを生んでいくみたいなこともやられているということなので、こういったところは一個一個の利用料収入になりがちですけれども、そういった新たなモデルを考えていくことも産学連携の視点では重要なのかなと思っております。
 3点目ですけれども、競争的資金の話は前回も私もプレゼンさせていただきましたが、やはり考えなければいけないテーマなのかなと思っております。先ほど小泉先生からも「原則共用」ということがちょっと後ろになっているのは、私もその通りだと思っておりまして、やはり「原則共用」ということをきちんと考えた上で、ただ、私の問題意識は何でもかんでも共用すればいいという話ではないのかなと思います。
 そういう意味では「原則共用」だけれども、それが「統括部局」という部署がきちんとこの機械を共用すべきか共用すべきでないのかということもきちんと判断した上で、やはり「統括部局」と言うのであれば、ちゃんとしたガバナンスを購入時に持ってくることが必要なのかなと思います。どうしても今までは研究期間が終わったから共用しょうみたいな話が多かったのかなと思いますけれども、やはり「原則共用」ということを言うのであれば、購入時にこの機械をどうやって使っていくのか、大学にとってどういう価値があるのかということをきちんと判断していくことも重要な機能なのかなと思いますので、やはり競争的資金の制度についても少し柔軟かつ、学内の仕組みもきちんと「原則共用」に向けて体制をつくっていくべきではないかなと思っております。
 私からは大きく3点、以上でございます。ありがとうございました。
【江端座長】  植草先生、ありがとうございました。
 こちらはガイドラインにどう表現するかをぜひ検討させていただきたいと思います。特に産学連携の話は、今、ガイドラインの中でもその他のパートに入っておりまして、今回共用システムの好事例として名古屋工業大学さんの事例は出させていただいておりますが、内閣府の産学連携調査でこのエビデンスを取っているところもありまして、そちらの考え方もぜひ紹介できるような形があればいいかもしれないと、お話を伺っていて思いました。ありがとうございました。
【植草委員】  1点だけちょっと補足させてください。先ほど白井参事官から今後の調査課題というところで、先ほど江端座長からもお話がありましたけれども、やはり共用と論文アウトプットとか、共用と産学連携とか、共用と地域連携とか、そういったところの関係性をきちんとやはりエビデンスとしてこれから持っておくことは大事なのかなと思います。白井参事官からも今後の課題ということがありましたけれども、プラスやはり産学連携の視点は何か分析できると面白いかと思いました。
 以上です。
【江端座長】  ありがとうございます。それでは続きまして龍先生、お願いいたします。
【龍委員】  龍です。ありがとうございます。
 最初に、1月17日に文科省の学術分科会研究環境基盤部会がございました。そこでこの共用ガイドラインの話が事務局から出まして、委員の先生方のお話の中で、やはりこの共用に関しては人材、技術職員の確保がボトルネックになっているのではないかと。ここを丁寧に説明する必要があると。そういう御意見を頂きました。
 現在、このガイドラインの案では25ページになりますでしょうか、できるだけ多くの参考事例ということで、いろいろな大学がありますから参考事例の形で提示することで、それはいいと思うのですけれども、その書き方ですね。ただこういうやり方で解決しているというだけではなくて、その大学がこれまで抱えていた課題みたいなものをちょっと入れていただくと、それに対してこういう方法で今やっていますよと。その部分も必要なのではないかと。やはり読み手がいるわけですから、課題が出てきてそれを解決したというほうが、共感を得るのではないかと思いました。それが一点です。
 もう一つ、私、公立大学に勤めております。国立大学と異なる点といいますか、公立・私立はやはりこの設備の共用に対してはいろいろなスタンスがあるかと思います。今回のガイドライン案を見ましたところ、設備マスタープランという言葉が何か所か出てきておりますけれども、こういったものが恐らくまだない大学はかなりあると思います。全ての国立大学で恐らく設備マスタープランはもう策定されていると思うのですけれども、この説明をもう少しきちんとやっていただきたいと思います。
 最初に出てくるのが、7ページの脚注に出てまいりますが。この脚注だけ見ますと、「大学としての考え方(設備の導入・更新・維持と財源の考え方、共同利用や再利用の推進に係る考え方等)を整理するとともに、それらに基づく中長期的な設備整備計画を示す」という、これは非常にすばらしい理念、コンセプトのマスタープランだと。
 ただ、その後に12ページ辺りを見ますと、このマスタープランもいろいろな課題を抱えていると、十分ではないということで、1ページ戻って11ページの下辺りに図がありますけれども、このガイドラインが提示するこういう「戦略的な設備整備・運用計画」を考えてくださいと。これが最終的な大学が考える戦略的な設備マスタープランなんじゃないかと思うんですけれども。この辺がちょっと読んでいて、初めてこういうマスタープランというものを私は勉強したものですから、この辺を丁寧に書くことによって、公立大学・私立大学も共用の考え方が進むのではないかと思いました。
 以上です。
【江端座長】  龍先生、ありがとうございます。
 龍先生の御説明によりますと公立大学には、こういった設備整備・運用計画のようなものをつくられている大学はほとんどないという理解でよろしいでしょうか。
【龍委員】  国から補助金をもらった大学、例えば名古屋市立大学ですとかそういう幾つかの大学、プロジェクトを持っている大学はそういったマスタープラン的なものはあるかと思います。ただ、一般的な公立大学・私立大学が大学全体でキャンパスも幾つかに分かれていたりもしますし、なかなかこういったものはできていないのではないかと思います。これを導入するだけでもかなり違うと思いました。
【江端座長】  龍先生、ありがとうございます。1回目にも少し議論したところですが、今回のガイドラインは、国立大学だけではなく、公立大学も私立大学もカバーするものというような位置づけとなっておりますので、公立大学における設備整備・運用計画の課題や、私立大学ではいったいどうなのかというところも課題としてここに書かれていると、ここで提案されている戦略的設備整備・運用計画の必要性が明記できるのかなという気がしましたが、そのようなイメージでよろしいですか。
【龍委員】  そうですね。
【江端座長】  ありがとうございました。承知しました。
 続きまして、岡先生、上西先生、いかがでしょうか。何かコメント等あればと思います。上西先生、ではよろしくお願いいたします。
【上西委員】  山口大学の上西です。
 私たちの意見というか、今まで議論していたものがこのガイドラインには非常によくまとめて入れていただいたと思って感心していたところです。
 ただ、今日の白井参事官のe-CSTIのデータ、エビデンスで示していただいて、かなり現状は厳しいことも分かりました。このことはしっかりと現状認識をするために必要だと思います。
 一つ気になったのは、植草委員からもお話がありました、設備共用化率のところです。80%を超えている大学から2%ぐらいの大学まで、幅広く分布していますけれども、共用化率は高ければいいというものではないものだと私も思います。大学の研究戦略に合わせてということもありますし、そもそも共用化すべきものをどう考えるかによって決まってくるものだと思いますので、高ければいいというようなメッセージにならないほうがいいかなとは思いました。もし何か、どの辺りが望ましいということが議論できればいいのかなとは思いました。
 それからエビデンスベースで現状を認識して見える化することと、それからアウトカム、アウトプットと共用化との関係性とかを今後検討されるということですけれども、いろいろな現状の見える化、それからアウトプットとの関係性とかを調べていくということは、すなわちいろいろな研究に関係するデータをつなげないといけないので、まさに研究DXそのものだということです。ガイドラインの中でも戦略的に構築された共用の仕組みを共用システムと定義しますと書いていただいていますけれども、その共用システムを構築することは、研究DXそのものだなということを最近感じているところです。そういう文言が一つも入っていなかったので、研究DXという話も入れてもいいのかなと思いました。
 それから利用料金の議論があったと思います。小泉先生が言われるようなことはごもっともだと思いますけれども、財務の視点で考えると、共用のために必要な経費は全員のユーザーが知っておくことが非常に重要だと思いますので、その算出根拠をきっちりと明示して、利用者全員で共有していくのは非常に大きなプロセスだし重要な考え方だと思います。それから若手研究者とか、いろいろな条件に合わせてディスカウントするというのはまさに大学の経営戦略の一環でもあります。そこをごっちゃにしないで、きっちりとまず必要な経費を明示して、その後、いろいろなセーフティーネットを考えたらいいんだろうなと思います。料金設定を各大学がどういうふうに決めるかという考え方をユーザーに示すことは非常に重要だと思います。
 最後に、共用化を進めていくときの最大のポイントは、結局突き詰めていくと、利用者、ユーザーの満足度をいかに高めていくかというところに尽きると思います。このガイドラインを見れば大体そういう目線が理解できてくると思いますけれども、結局ユーザーの満足度をいかに上げていけるか、そのためにどういうシステムにしていったらいいかということだと思いますので、その辺りを書いていただけるといいかなと思ったところです。
 「チーム共用」についても議論があったかと思いますが、私もこれを見たときには非常にいい名前だなと思ったのですが、小泉先生が言われたように、役割とかその分担というところは少し分かりにくいところもあったので、そこを追記すれば、「チーム共用」は、私は非常にいい名前だと思いました。
 以上です。
【江端座長】  上西先生、ありがとうございました。
 研究DXにつきましては上西先生からも以前から御指摘があったところかと思います。こちらもその他のパート、5番目に入っている話ではありますがが、こちらの取扱いについてはこれまでも十分にこの検討会で議論ができていなかったところかなと思っております。26ページに米印で本文はひとまずなしで、参考事例を整理してから再度整理と書いてありました。これは事務局の方に確認ですが、参考事例を整理してから再度整理ということは、これから整理して、もしかしたら本文をつけるかもしれないといったことを想定されているということでよろしいですか。
【渡辺係長】  研究環境課の渡辺でございます。
 今、江端座長のおっしゃったように、取りあえず今回、参考事例集の案も資料4-2という形で示させていただいておりますけれども、この形だけで特に5ポツの「その他の取組」を示すのがいいのかというところも御意見があるかと思うので、それを踏まえて本文を改めて追記する、あるいはそれを検討することはあると思っています。
【江端座長】  ということは、例えば今回の場合、検討会の中で産学連携の話やDXの話がワードとして上がってきましたが、その点について特出しして、ここで少し言及するということもあり得るということでよろしいですか。
【渡辺係長】  あり得ると思っています。産学連携に関していうと、前半の例えば共用の意義とメリットというところで、13ページに「共同研究・外部連携の発展」というところがありまして、そこで触れている部分も多少あるのでそことの整理はあるかなとは思います。いずれにしてもその5ポツで特に目出しするような事項、今おっしゃっていただいたDXとかを少し書き込むのはあると思っています。
【江端座長】  承知しました。ありがとうございました。
 ということで、委員の先生方からもこういったものはもう少し文章として必要だということがあれば、ぜひ御意見を頂ければと思います。もう少しディスカッションの時間があります。岡先生、いかがでしょうか。
【岡委員】  それでは、北海道大学の岡です。
 皆さんに様々なコメントを頂いておりますので、私からは技術職員について少しだけお話をさせてください。前回、共用に関する人材の定義をというところで述べさせていただいたとおり、今回、しっかりと定義を入れていただきましてありがとうございます。研究力向上という意味合いでこのガイドラインを利用するに当たって、技術職員が「私たち、何ができるのだろう。何に貢献できるのだろう」という視点でも見る、使う、利用するものだと思いますので、ぜひともモチベーションが上がるような内容・記載にしていきたい、いかなければならないとは思っていました。
 そういう観点で1点だけ気になった点がありました。25ページの13行目だったかと思います。技術職員をパートナーとして位置づけていただいているところは非常によく分かるのですが、「させる」という言葉が少し引っかかりました。「参画させる」ではなく、「参画する」と記述するのが適切かと思っております。
 非常に細かいところかとは思うのですけれども、技術職員が現状、大学の中で自分たちの位置づけや組織化もままならない。どこへ向かって大学が行っているのかというところが現場まで下りてきていない現状があるのはアンケート調査からも見受けられるところもありますので、その辺りが今回の戦略的な大学の戦略にのっとった共用化を契機に浸透していっていただけると、モチベーション高く、やる気のある技術職員が積極的に、主体的に関与するはずですので、ぜひともそういう視点での記述に心がけていただけるようにお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
【江端座長】  重要な御指摘ありがとうございます。これまで議論されてきたとおり、技術職員の方々の協力あっての「チーム共用」という言葉であったり、共用体制をしっかり構築していくためのシステム改革の話につながってくるところだと思いますので、そういった記述はまた改めて事務局の皆さんにも全体的に見直していただいて、チェックをかけたいと思っております。岡先生、ありがとうございました。
 残り5分程度となりましたが、全ての委員の先生方から御指摘いただいたところを踏まえて、さらなる改定を行っていくことになるかと思います。
 最後に、さらに付け足しで何か御意見、コメント等がありましたら、この機会にぜひお願いいたします。
【高橋委員】  高橋です。よろしいでしょうか。
【江端座長】  高橋先生、お願いします。
【高橋委員】  次回でもいいんですけれども、このガイドラインがどんな形で来年度以降使われるかによって、やはり書きぶりが違ってくると思います。次回のアジェンダがあればそれで結構ですし、次回に向けて方向性があるならば、それを、共有させていただければと思いますが、いかがでしょうか。
【江端座長】  高橋先生、ありがとうございます。事務局から御説明をよろしいですか。
【宮澤補佐】  事務局でございます。
 本日3回目を行いまして、次回は2月24日、第4回を考えています。その時にはこのガイドラインの本文案を決定していただきたいと思っております。それに加えまして次回第4回ですけれども、ガイドライン本文案の審議・検討会としての取りまとめを行うと同時に、文部科学省で競争的資金についてモデル公募要領をつくっておりますが、その中に今回作成していますガイドラインの内容を盛り込みたいと思っておりますので、そのモデル公募要領の案についても審議していただきたいと思っております。
 以上です。
【江端座長】  ありがとうございます。ということですが、高橋先生、いかがでしょうか。
【高橋委員】  了解いたしました。多くのほかの委員の方たちのコメントは基本的には方向性はこのままでということだと思うのですが、あいにく私のところは少しバランスだとか辛口のことを申し上げました。どういう形で4回目の最終案が出るのかについて、いつものとおりまた事前に御教示いただいた上で、4回目の議論ができればと思います。
 以上です。
【江端座長】  ありがとうございます。
【植草委員】  私からも1点、ちょっと質問をよろしいでしょうか。
【江端座長】  どうぞ。
【植草委員】  本文の2ページ目に、2022年度から大学は共用方針の策定・公表を行うというところが政府方針で一応出ています。それがイコール、今回で言う「戦略的設備整備・運用計画」が示されたと思うんですけれども。この共用方針は、もう全大学がこれを公表しなければいけないという、かなり義務的なものなのか、いやいや自主的な公表なのかと、そこがよく分からなくて。そこによって多分この「戦略的設備整備・運用計画」をどの程度のものにするのかが、先ほど龍先生からも公立大学の話がありましたけれども、公立・私立も含めて少し悩みどころかなと思いますので、その辺をちょっと教えていただければと思います。
【渡辺係長】  研究環境課の渡辺でございます。御質問ありがとうございます。
 基本計画にあります、大学等がその作成・公表を行うというのは基本計画上の記載しか現状ないところでして、それに対して罰則とかそういったものが特にあるわけではございません。基本計画上も2022年度からとあるので、いつまでに策定しないといけないということはなくて、あくまで共用を進める上での理念として規定されるものになっているかと思っています。
 ただ、我々は当然その共用を進めていきたいという観点で関連の政策を進めているところで、その中で本ガイドラインを策定していますので、各大学においてどれぐらい活用されているか、あるいはその活用の状況であったりとかは、今後の政策も含めてアウトリーチやフォローアップも含めて活動していきたいとは思っているところです。
【植草委員】  ありがとうございます。政策的に誘導していくというところかなと理解しましたので、それを基にこの戦略的な計画を、今はこういったものをつくったほうがいいよという感じに見えるのですけれども、基本的にはやはりつくらざるを得なくなってくるということも踏まえて、もう一回読み込みたいと思います。ありがとうございます。
【江端座長】  ありがとうございます。今、最後の植草先生の御指摘は大変重要で、高橋先生からもお話があったとおり、本ガイドラインがどのように使われるかについての一つの出口のイメージにつながる話なのかと思います。
 そういった意味では私から事務局に皆様に一点確認です。これまでの様々な御講演、この後、研究基盤EXPOもありますが、そういったイベント等で文科省の皆さんから御講演いただいて、恐らくこの流れについては御説明されるかと思っています。2021年の本ガイドラインの策定、2022年の共用方針の公表等の話は、どのような形で正式にアナウンスされる御予定でしょうか。今までも御報告はあったかと思いますが、それを改めて各研究機関に対してどのように御説明される、あるいは「戦略的設備整備・運用計画」とガイドラインとの関係性を含めてお話しされる機会はどういったところで予定されているでしょうか。
【渡辺係長】  研究環境課の渡辺です。
 このガイドラインの中身については、まず策定を今年度中に行う予定で、その策定後に今年度中に各大学等に通知をさせていただきたいと考えています。その際にガイドラインをこのような形で策定したというところと、これを踏まえて共用方針、「戦略的設備整備・運用計画」、こういったところをしっかり考えて活用していただきたいというところを通知する形かなとは思っております。そういう意味では、年度内の通知というところが正式な中身のセットとなるものと思っています。
【江端座長】  各大学へ文書で通知するということですね。
【渡辺係長】  その形を考えています。
【江端座長】  承知しました。ありがとうございます。
 ほか何か委員の先生方から簡単に御質問とかあればお願いいたします。
よろしいですか。それではこちらで議題は以上となります。事務局から連絡事項等あればお願いいたします。
【宮澤補佐】  文部科学省の宮澤ですが、今後の予定です。先ほど簡単に触れましたけれども、資料7になりますが、今後の予定としては第4回を2月24日に行います。ガイドライン本文の決定とモデル公募要領案の議論をしていただきます。その間に、右半分ですけれども、ほかの審議会等へも報告をしつつ、何か意見があればそれも検討することを考えています。また併せて内閣府の総合科学技術・イノベーション会議、CSTIの事務局にも報告をさせていただいて、最終的に取りまとめさせていただければと思います。次回は2月24日になります。よろしくお願いいたします。
【江端座長】  宮澤補佐、ありがとうございます。
 最後の会になりますがこちらも大変重要だと思っております。本日1月24日からの第4回開催の2月24日まで、この1か月の間で審議会への報告・フィードバックがあり、CSTIへの報告・フィードバックがあるということは、その間に様々な議論があったり、大きな変更点等を指摘されるようなこともあるかもしれないという気がしていますが、この1か月の間で処理としては問題ないでしょうか。
【宮澤補佐】  文部科学省の宮澤です。
 具体的に言うと、科学技術・学術審議会研究開発基盤部会は2月9日に予定されております。そこで基本的には報告することを考えておりますが、何か特段の意見があれば、ちょっとどのような意見が出るか分かりませんが、それも考慮に入れてガイドラインを検討していくことになると思います。あと、次回会議が2月24日ということで1か月ですけれども、そこは何とか事務局、こちら側で案文を検討するとともに、必要に応じて各委員の先生方、申し訳ございませんが、相談させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【江端座長】  ありがとうございます。
 研究開発基盤部会のフィードバックも併せて頂いた上で、中身を御検討いただければと思っております。よろしくお願いします。
 それでは以上をもちまして第3回の大学等における研究設備・機器の共用化のためのガイドライン等の策定に関する検討会を閉会いたします。本日は御多用の中、御出席いただきまして、委員の先生方、ありがとうございました。そして内閣府の白井参事官ほか関係者の皆様、御出席いただきましてありがとうございます。今後の分析に期待しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。それではこちらで閉会いたします。本日もありがとうございました。
【宮澤補佐】  事務的な連絡です。
 本日の議事要旨は本検討会の公開の取扱いに基づきまして公表することにしております。本日の議事要旨は後日メールでお送りしまして、確認をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【江端座長】  ありがとうございました。
                                                                                                                       ―― 了 ――
 

お問合せ先

科学技術・学術政策局 研究環境課

(科学技術・学術政策局 研究環境課)