令和元年度 日本学術振興会の評価等に関する有識者会合(第2回) 議事録

1.日時

令和元年7月26日(金曜日)15時00分~16時30分

2.場所

文部科学省4階 会計課会議室

3.議題

  1. 平成30年度業務実績に係る評価について
  2. その他

4.出席者

委員

植田座長、秋元委員、岡村委員、鷹野委員、瀧澤委員

文部科学省

村田研究振興局長、増子大臣官房審議官、原振興企画課長、松本振興企画課長補佐、藤川振興企画課学術企画室長補佐、中塚学術研究助成課企画室長補佐、浅井人材政策課長補佐、福島科学技術・学術戦略官付国際戦略室長補佐 ほか

5.議事録

【植田座長】
それでは、ただいまから令和元年度第2回独立行政法人日本学術振興会の評価等に関する有識者会合を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席頂きまして、まことにありがとうございます。前回の会議で承認頂いたとおり、今回の会議を公開で開催したいと思いますので、御了承下さいますよう、お願いいたします。
まずは、本日の出席者及び配付資料について、事務局より確認をお願いします。

【松本課長補佐】
委員の先生方の出席状況ですが、本日は全員御出席頂いてございます。また、事務局につきましては、前回、所用により欠席させていただきました村田研究振興局長が本日、出席しておりますので御紹介をさせていただきます。

【村田研究振興局長】
7月9日付で研究振興局長に就任いたしました村田でございます。委員の先生方には、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。

【松本課長補佐】
また、本日は平成30年度の業務実績に係る評価案について議論を頂きますが、先生方からの御質問等に対応するため、日本学術振興会からも牛尾理事をはじめ、高木部長、石田研究事業部長に陪席を頂いております。そのほか、一般傍聴者の登録が本日は2名ございます。
続きまして、配付資料についてでございます。お手元の議事次第にある配付資料一覧のとおりとなってございます。そのほか机上配付資料としてA4縦の1枚物の評価項目ごとの分担の一覧と、A4横の3枚物の先生方からメールで頂いたコメントの一覧の2つの資料をお配りしてございます。また、今回も評価作業の便宜上、紙媒体で資料をお配りしてございます。
以上でございます。

【植田座長】
それでは、議事に入ります。初めに議題1、平成30年度業務実績に係る評価です。前回は業務実績等について把握・確認するため、日本学術振興会からのヒアリングを実施いたしました。その後、事務局より送付されました評価書(案)に対し、各委員からコメントを頂き、事務局において取りまとめ、整理していただきました。本日は、それに基づいて改めて評価書(案)を確認し、本有識者会合としての意見を整理してまいります。
審議の進め方ですが、各事業の内容については相当の分量がありますので、評価項目で区切って、先に項目の2から5を順に確認し、最後に総論として1、総合的事項及び6以降の全部を確認するようにしたいと思います。その後、総括として資料2-1により総合評定についても確認したいと思います。
それでは、最初に「2、世界レベルの多様な知の創造」について、事務局より説明をお願いいたします。

【松本課長補佐】
それでは、お手元に資料1の主務大臣による評価(案)一覧と資料2-2の項目別評定調書(案)を御用意いただければと思います。資料1は資料2-2の様式の一番右側にある主務大臣による評価欄の内容を抜粋したものです。資料2-2については、必要に応じて御参照頂きまして、私からの説明は資料1によって進めさせていただきたいと思います。
各項目の内訳である補助項目、かっこ書きで記載している項目ですけれども、こちらに各委員からのコメントを踏まえて、その他事項に追記を行っておりますので、その点を中心に説明をさせていただき、その後に項目全体の評定案、A、B、C、Dについて説明し、最後に大臣評価コメント案を確認するといった手順で進めさせていただきたいと思います。
それでは、まず、項目2、世界レベルの多様な知の創造について説明いたします。(1)科学研究費助成充実事業の充実・強化に資する取組の推進ですが、補助評定はsとしております。評価すべき実績に記載されていました科研費改革について、先生方から意見も高く評価するものが多く、その上でコメントが幾つかございましたので、資料1の3ページ目の(1)のその他事項に今回の改革による効果等は短期間では評価し得ないものであるため、今後しかるべき時期に評価・検証を行うことを期待するということを記載させていただいております。
それから、4ページ目の(2)研究の国際化と国際的な共同研究等の推進、こちらは補助評定をaとしております。試行的に導入されたリードエージェンシー方式による審査を着実に行い、国際共同研究事業が進展しているということから、その他事項に当該事業が着実に進展していることが確認できたこと、また、それらの成果は目に見える形では表れにくいため、成果を可視化するための工夫を検討してほしいことを記載しております。
それから、(3)学術の応用に関する研究等の実施、こちらは補助評定をbとしております。先生方からのコメントを踏まえまして、その他事項に人文学・社会科学データインフラストラクチャー構築推進事業について、日本の学術研究において重要な意味を持つと考えられるので、利用促進を図るための方策など具体的な取組が行われることを期待するとともに、特に当該事業の認知度を高めるための工夫を検討してほしいということを記載させていただいております。
以上が補助項目でございます。資料の2ページ目に戻っていただきまして、これらを踏まえ本項目の総括としては、評定をAとしております。それぞれ評価すべき実績、今後の課題・指摘事項、その他事項については記載のとおりでございます。
この項目については、以上です。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について御意見、御質問等をお願いいたします。特に本有識者会合の意見として、主務大臣による評価欄に反映すべき内容はこれで適切かどうかの観点から御意見を頂きたいと思います。どうぞ、御自由に発言してください。どうぞ。

【鷹野委員】
各項目、括弧で書かれている(1)(2)(3)という部分と、それから、全体の2番という、各項目プラス全体という構成になっていると思うのですけれども、(1)(2)(3)の大事なところを2の全体のところで、場合によっては再掲するというものと、そこには挙げられていないけれども、全体として重要であるということを書くという立場とがあると思います。(1)の中のその他事項で挙げられております科研費の審査に関して、審査区分や審査方式の見直しを行ったというところは大変大きなところでして、(1)に書くことは私も適切だと思うのですけれども、それを今後やはり何年かしたら見直していくということも大変重要なことだと思いますので、全体のところにも、そのことが書けるといいのかなと個人的には思いました。

【植田座長】
それと、今のことですけれども、研究項目とか、そういうものの見直しと言ってしまうと、単なるカテゴリーの調整みたいに聞こえるのですが、この見直しはそれだけではなくて、もっと大きな、ある意味では専門領域に限らず、もう少し幅広い視野を持った評価をしようという中で、研究評価の文化を変えようということが、実は入っていました。それをどこかに少し盛り込んでいただいた方がいいのではないかという気はいたします。日本学術振興会がいろいろなところでシンポジウムをやられるときにも、そういうことがずっと強調されてきましたし、100周年のときにも、いわゆるピアレビューということの重要性について非常に強調されておられましたね。
このピアレビューというのは、特に日本の場合は審査というと、どうも先生が生徒の答案を採点するような格好で審査をしがちなのですが、この科研費の審査とか研究の審査というのは全く同じ土俵の上で、同じ研究者として平等な立場でやっていく。だから、シンポジウムでも、時には自分は申請する側にもなるし、時には審査する側にもなるし、それはどちらも同じ立場でやっているということを強調されていました。そういうこともピアレビューの文化を日本に本当に根付かせるという意味で非常に重要なチャンスになるのだと思うので、もう少し見直しの中身を書いていただくことで、カテゴリーを調整しましたというふうに理解されないようにしたいなとは思います。

【中塚企画室長補佐】
資料2-2の17ページの「マル1 審査・評価の充実」のところで、下の方に「審査に当たって、29年度科研費の審査から引き続き、審査の手引並びに説明会において、審査に当たっての姿勢を説明するなどピアレビューによる科研費の審査がより健全に機能するよう努めており」と書いているのですが、それよりもっと踏み込んで書いた方が良いということでしょうか。

【植田座長】
姿勢の中身を書いていただいた方がいいのではないか。

【中塚企画室長補佐】
はい。それはここの部分をそのように直す形がよろしいですか。

【植田座長】
もしそれをうまく書ければ入れていただきたいと思います。

【中塚企画室長補佐】
検討してみます。御相談させていただければと思います。

【植田座長】
こういう審査は非常に難しいと思います。例えば同一研究課題の審査で、他の審査員と評価が異なっている場合どうだとかいうようなことが書いてあっても、では、そういうのは排除して、丸めてみんなが同じような評価をするようになったらいいのかというと、これはそうではないのですよね。むしろ、審査員は率直に自分の意見をバーンと出し、違った意見が当然存在している。その中で、意見を交換しながら、その両方の意見を反映させていくか、若しくはそれをどういうふうに使うべきか、というのは、システムによっていろいろあり得ると思うのですけれども、必ずしもそれを丸めればいいということを言っているわけではありません。そういう意味を含めて、一番難しい審査をやっていただいている。それをこれだけの膨大な量を支障なくやってもらっているということで高く評価をしているのですが、なかなかそういう評価の仕方がしにくい。そこに高い点を与えるということは難しいということがあるような気がします。
ここは唯一のAの評価なので、重点的に議論した方が良かったかなと思いますが、非常にちゃんとやっていただいているので、高い評価をしてもらっているので、これでよろしいでしょうか。では、おおむね御意見等が出そろったかと思いますので、本項目の確認は、ここで終了させていただきます。では、今の議論を反映していただいて、まとめていただきたいと思います。
それでは、次に「3、知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成」について、事務局より説明をお願いいたします。

【松本課長補佐】
それでは、資料1の4ページ目の下の方から6ページ目にかけてでございます。5ページ目の(1)自立して研究に専念できる環境の確保については補助評定をaとさせていただいております。先生方からのコメントでも特別研究員事業の意義や研究者のニーズを踏まえた取組が行われている点を評価するコメントを頂いておりましたので、その他事項に同事業の役割は大きいため、着実に運営されていることは評価ができること。また、引き続き量的・質的発展を期待すること。それから、採用見込証明書発行時期を早期化したほか、自治体の保育所申請担当者等に向けて制度の説明文書を作成するなど、行政サービスの利用しやすさにも配慮した取組について評価できるということを記載させていただいております。
その次に(2)国際舞台で活躍する研究者の養成、こちらは補助評定をbとさせていだいております。先生方からは、制度改善に関するコメントがございましたので、その他事項に海外特別研究員事業において申請時に常勤・非常勤の別を問わないこととしたり、若手研究者海外挑戦プログラムの募集を年1回から2回に増やすなど門戸を広げる工夫をしていたりする点というのも評価できるということを記載させていただいております。
それから、(3)研究者の顕彰・研さん機会の提供、こちらは補助評定をbとさせていただいております。日本学術振興会賞、育志賞が着実に運営され、若手の顕彰につながっていることから、その他事項に優れた若手研究者の研究能力を認め、更なる発展に寄与していることが認められるということを記載しております。
それから、6ページ目、(4)研究者のキャリアパスの提示、こちらは補助評定をbとしております。先生方からのコメントですが、今後の課題、指摘事項に記載しております、事業の実施状況を踏まえ、文部科学省と協議の上、審査基準や審査方法の改善等、事業の改善に向けた継続的な検討が必要であるという内容とほぼ同じ内容であったため、その他事項への追記はしておりません。
これらを踏まえて4ページの、本項目の総括としては、評定をBとしております。それぞれ評価すべき実績、今後の課題・指摘事項、その他事項については記載のとおりでございます。
以上でございます。なお、(3)に関して先生方から事前コメントとしていただきました、日本学術振興会賞等を受賞した方々が、その後どのような成果を上げているのか、ホームページ等で紹介する場があってもよいのではないかという御質問を頂いた点につきまして、日本学術振興会から補足で説明を頂けるということですので、振興会の方、よろしくお願いいたします。

【石田人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
御説明いたします。御質問、ありがとうございます。日本学術振興会賞並びに同育志賞の受賞者は、総じて御活躍の方が多いわけでございます。どのような研究成果を上げているのか、ホームページ上で紹介するような場があるのかという御指摘でございますけれども、各年度、振興会賞につきましては過去15回の受賞者がおられ、また育志賞については9回の受賞者がおられますけれども、そのそれぞれの回の受賞者を一覧にいたしまして日本学術振興会のホームページで紹介をさせていただいているところでございます。
その際、紹介に当たりまして、受賞の対象となった研究業績というのは当然掲載しているわけですけれども、最新の研究の状況というのを併せて紹介できる方途として、ホームページを受賞者の皆様お持ちでございますので、URLを併記する形にさせていただいて、常に最新の情報を御確認頂けるようにしているところです。
以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について御意見、御質問等をお願いいたします。特に補助評価のaのところがこれでいいかということですが、この特別研究員事業の役割は日本にとっても非常に重要なので、それが非常に順調に運営されているということでaを付けてあるわけです。どうぞ。

【瀧澤委員】
私自身が不案内でして適切な質問ではないかもしれないのですが、コメントの方に3の(1)で私から、特別研究員の副業が禁止されていることとか、支給額が海外のラボに雇用される若手研究者に大きく見劣りするということが、私もたびたび取材をしている先でぼやきを聞くことが多くて、こういったところが何か改善の余地があるのかどうなのかというのを質問させていただいたのですけれども、それに対しては多分、私が推察するに、どこにあったか忘れてしまいましたけれども、人材育成に関する委員会というのがあるのでしょうか。そちらでよくもんでいただいて、これから制度改善に取り組んでいただく、そういう理解でよろしいでしょうか。

【松本課長補佐】
そういう意図で指摘事項のところにこのような書き方をさせていただいています。

【石田人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
学術振興会から少し補足の説明をさせていただければありがたく存じます。御指摘の点、特別研究員で採用されている方々が経済的になかなか厳しい状況にあるという声が出ているということは承知しております。特別研究員として奨励金を受給されている方がそうお考えということで、限られた予算の範囲内でできるだけ支援額を充実していくということも考えなければいけないのですが、一方で、予算にも限りがあり、その中で多様な人材を支援していくということも併せて考えなければいけませんので、そういう声は承知しつつ、今後もでき得る限りの措置は考えてまいりたいと思います。
なお、報酬を得てはいけないという事柄につきましては、近年、現場の声も伺いながら、できるだけ改善するべく少しずつ改善に努めているところであります。またフェローシップのような、同じような資金援助というのは、私どもから国費を投じている関係上、お控え頂かなければならない面もございます。しかしながら、例えば共同研究に参画されるなどで特別研究員としての役割に貢献できるような場合には一部例外的に認められているところもございますので、そこは少しずつ緩和を図っているところでございますが、今後も引き続き検討してまいりたいと考えております。

【瀧澤委員】
分かりました。是非よろしくお願いいたします。

【植田座長】
それでは、よろしいでしょうか。それでは、本項目の確認はここで終了させていただきます。それでは、今のことを少しもんでいただいて、将来、反映させていただきたいと思います。
それでは、続いて「4、大学等の強みを生かした教育研究機能の強化」について、事務局より説明をお願いいたします。

【松本課長補佐】
資料1の6ページから7ページ目にかけてでございます。4、大学等の強みを生かした教育研究機能の強化について、(1)世界最高水準の研究拠点の形成促進、これにつきましては補助評定をbとしております。先生方からのコメントも踏まえ、その他事項に研究拠点形成に係る評価に当たっては、適切な評価指標の設定に留意することが重要であるということを記載させていただいております。
それから、7ページ目、(2)大学教育改革の支援、こちらは補助評定をaとしております。先生方からは、特に博士課程教育リーディングプログラムにおけるフォローアップに関するコメントがございましたので、その他事項にフォローアップのための現地視察について課題がある事業だけではなく、好事例となる事業についても現地視察を行い、そこで得られた事例を各大学に普及させた取組が評価できるということを記載させていただいております。
それから、(3)大学のグローバル化の支援、こちらについても補助評定はaとしております。先生方からは、特にスーパーグローバル大学創成支援事業における構想見直しに関するコメントを頂いておりますので、その他事項に事業趣旨に沿って各大学の実情に応じた柔軟な対応が求められると思われるところ、事業開始後に生じた学内外の状況や計画の進捗を踏まえた発展的な構想の見直しが行われたと認められるということを記載しております。
以上を踏まえまして、資料の6ページの本項目の総括としては、評定をAとしております。それぞれ評価すべき実績、今後の課題・指摘事項、その他事項については記載のとおりでございます。
こちらの項目は以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明について、御質問、御意見、お願いいたします。これで評価としていいかどうかですね。これもどこかに書いてあると思いますが、なかなか難しい問題で、学術振興会としてはきちんとやっていただいているのは問題なく、高く評価できるのですが、元々これはある意味、最初にテストをやってみていて、本質的に大学をどう改革するかということだから、ここだけで終わりません。この結果が大学の改革に反映していくところを見ないといけないわけですが、それはもう学術振興会の枠を超えているわけです。ここでできたものがちゃんとうまく整理されて後に残っていく、若しくはそれがほかに普及していくということは、文部科学省さんで頑張っていただくしかないのかなと思います。
だから、学術振興会事業としては、ここは非常にきちんとやっていただいているという評価だと私は思っているのですが、いかがでしょうか。それでは、この本項目の確認はここで終了させていただきます。このままでよろしいかと思います。
それでは、続いて「5、強固な国際研究基盤の構築」について、事務局より説明をお願いいたします。

【松本課長補佐】
それでは、5番です。資料の7ページ目の下から8ページ目にかけてでございます。(1)事業の国際化と戦略的展開、こちらについては補助評定をaとしてございます。評価すべき実績として、新たに国際統括本部が設置され、国際事業全般を補完する仕組みが構築されたこと、これによって戦略的な国際共同研究の在り方や外国人招聘事業の更なる発展を見据えて総合的な視点から国際戦略の案が固まってきたということを記載しております。それから、先生方のコメントを踏まえまして、その他事項に、学術情報分析センターや海外研究連絡センターにおける学術情報の収集・分析を踏まえて、国際学術情報の一体的な分析を行い、JSPSの国際的な取組の効率化と強化につながることを期待する旨を記載させていただいております。
次に(2)諸外国の学術振興機関との協働、こちらについては補助評定をbとしております。先生方からも特段のコメントがございませんでしたので、新たな追記事項はございません。
それから、次に(3)在外研究者コミュニティの形成と協働、こちらについては補助評定をbとしております。先生方からのコメントを踏まえまして、その他事項に海外の同窓会ネットワークや在外研究者コミュニティの形成は長期的視野で継続的に実施する必要があり、引き続きそれらが適切に維持されることを期待する旨を記載しております。
それから、(4)海外研究連絡センター等の展開、こちらは補助評定をbとしております。こちらも同様に今後への期待を込めて、その他事項に諸外国でのシンポジウムを通して、日本の学術情報を発信することは重要であり、新たな国際共同研究につなげられるよう期待するということを記載させていただいております。
以上を踏まえまして、本項目の総括としては評定をBということにさせていただいております。今後の課題・指摘事項は記載のとおりでございます。
以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について御意見、御質問をお願いいたします。ここに書いた評価を主務大臣による評価欄に反映させるということでよろしいでしょうか。どうぞ。

【秋元委員】
例えば2の(2)の項目など関連すると思うのですけれども、研究の国際化と国際的な共同研究等の推進というのが2の(2)にありますよね。それと、こちらの国際研究基盤の構築の方なのですけれども、関連するようなところは、位置付けとしてはないのでしょうか。
例えば先ほどの2の(2)のところはA評価になっているわけですけれども、こちらの方はB評価という評価になっているわけです。例えばこのAとBの違いみたいなものというのは、項目が違うから違うということで了解はしているのですけれども、ただ、関わりがありそうな内容な気がしたものですから質問してみました。感想めいたものですので特に御説明はなくても結構ですけれども。

【福島国際戦略室長補佐】
よろしいですか。2の(2)の方は、共同研究の実際の支援について、リードエージェンシーという新しい方式を取り入れてやっております。これは国際共同研究をやる場合、通常日本のファンディング機関と外国のファンディング機関のそれぞれで公募と審査を行うのですけれども、リードエージェンシーというのは、どちらか一方でまとめて公募審査を行います。それぞれの機関で審査する場合、審査のタイミングがずれたりすると、研究の開始が遅くなりますが、その点が昨年度からかなり改善をされたためA評価としております。大きな項目の5の方は、国際会議への参加や、海外事務所の運営の面を、適切にやられているということでB評価とさせていただいています。

【秋元委員】
だから、内容的に少し違うということですね。

【福島国際戦略室長補佐】
はい。そうです。

【秋元委員】
失礼しました。ありがとうございます。

【植田座長】
この同窓会ネットワークとか、在外研究者のコミュニティの形成というのは単発の利用ではありません。非常にライフタイムが長いというか、10年、20年かけて育成していくものなので、すぐに結果が出るわけでもないと思います。将来、JSPSからこういうサポートを受けていたということが、その人たちにとってプライドになり、ある意味でアウォードになりというためのベースになるので、これは是非着実に続けていただきたいと思います。
ほかにございますでしょうか。では、おおむね御意見を頂いたと思いますので、本項目の確認は、ここで終了させていただきます。それでは、ただいま少し議論があったようなことを含めて、少しきれいにまとめていただきたいと思います。
それでは、最後に「1、総合的事項」及び「6、総合的な学術情報分析基盤の構築」以降の残り全部について、事務局より説明をお願いいたします。

【松本課長補佐】
資料1の1ページ目をごらん下さい。「1の総合的事項」について説明いたします。(1)研究者等の意見を取り入れた業務運営、こちらにつきましては補助評定をbとしております。先生方からも特段のコメントはございませんでしたので、新たな追記事項はございません。
それから、(2)第一線級の研究者の配置による審査・評価機能の強化、こちらについては補助評定をaとしております。先生方からは、学術システム研究センターの新規研究員の任用における女性研究者の観点、また、同センターを中心とした科研費事業における審査システム改革2018の検証作業及び今後の更なる浸透を期待するコメントがございましたので、その他事項に、その旨追記しております。
それから、(3)学術研究の多様性の確保等、こちらは補助評定をbとしております。先生方からのコメントを踏まえまして、その他事項に学術研究の多様性の確保は一過性の方策で実現できるものではないため、引き続き、様々な課題に対して深層から解析することにより、変化に対応しつつ、普遍性を確保していくことを期待する旨を記載させていただいております。
以上を踏まえまして、本項目の総括として評定をBとしております。今後の課題・指摘事項は記載のとおりでございます。
それから、少しページが飛びまして9ページ目をごらん下さい。6の総合的な学術情報分析基盤の構築についてでございます。こちらにつきまして(1)(2)(3)の補助評定は全てbとしております。先生方からコメントがありました(3)学術動向に関する調査研究の推進につきましては、今後の期待を込めまして、その他事項に、揺籃期にある学術分野等の最新動向に関する調査等においては、適切な情報公開と他分野を含む研究者からのフィードバックが重要であると考えること、その調査等の結果を活用し、振興会事業の改善・発展につなげることを期待する旨を記載させていただきました。
以上を踏まえまして、本項目の総括としては評定をBとしております。その上で今後の課題・指摘事項としても、学術情報分析センターにおける分析が振興会内でどのように活用されているか、各事業にどのようにフィードバックされているかを具体的に示しつつ、引き続き、振興会が保有するデータ等を有効に活用されることを期待するということを記載しております。
それから、項目の7、横断的事項でございます。9ページから10ページ目をごらん下さい。補助項目の(1)から(5)まで、補助評定は全てbとしております。項目全体の総括としての評定もBとしております。先生方から本項目における各事業が適切に運営されているということを認めるコメントが主なコメントでございました。
それから、先生からの事前のコメントで、(2)情報発信の充実において、卓越研究成果公開事業の「発見と発明のデジタル博物館」のホームページ整備状況についての御質問、それから、(4)研究公正の推進において、研究不正が発生した場合の対応につきましての御質問がございましたので、こちら2点についてJSPSの方から補足説明をさせていただきます。よろしくお願いします。

【石田人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
ありがとうございます。まずは7の(2)に関しますところから御説明申し上げます。御指摘の内容として、卓越研究成果公開事業のデジタル博物館、これについて仕組みが整備されている割には分野によって極端にコンテンツが乏しいのではないか、まだ整備途中ということかという御指摘を頂いたところでございます。
この事業は、参画頂く学協会等がこれまでに授与した学会賞等の受賞者、受賞者の方の研究成果をデータベース化して広く公開している事業でございます。私どもといたしましては、協力頂く学協会等の方々から提供頂いた研究成果等の情報を公開可能な状態にし、準備が整ったものから順次公開させていただいているという状況でございまして、まだまだ公開に至っていないというところも幾つかございます。そういう意味では、整備途中ということも言えようかと思います。
また、分野によって極端に乏しいというご指摘については、御協力頂ける学協会等の提供状況に依存しているところがございますので、その点は御理解賜りたいと思います。今後も研究成果の公開の充実に向けて、引き続き参画機関の協力を得ながらデータベースの充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。

【高木総務部長(兼)経営企画部長】
引き続きまして、(4)研究公正の推進についての御質問でございます。研究不正事案が発生した際の流れや、文科省との関係でございます。振興会の事業に関わります研究不正事案が発生した場合ですが、他の資金配分機関や、国立大学の運営費交付金と同様に、文部科学省が定めております「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」と「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」、この二つのガイドラインに基づきまして、振興会として別途の内部規定を設けており、そういった文科省のガイドライン及び内部規定に沿った対応をしているところでございます。
具体的には、研究不正が発生した場合の調査に関しましては、調査対象となります研究者が所属する研究機関がまず一義的に調査等を行うことになります。それに際しましては、文科省と情報共有を図りながら必要に応じて、指示若しくは要請等を行い、出てきた調査結果において研究不正が認定された場合に関しましては、我々どもとして、その研究資金の交付決定の取り消しや返還若しくは一定期間、研究資金を交付しない措置等を講じることとなります。
その内容につきましては、文部科学省所管課と情報共有しますし、また、文科省の所管課を通じまして、他府省との情報共有も図っているところでございます。また、その調査報告書には必ず、その研究不正事案の事実認定のみならず、その不正事案の発生要因及びそれを踏まえた再発防止策の報告を求めているところでございます。文科省のガイドラインに基づきまして適宜情報共有等図りながら進めているところでございます。
以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明について質問、御意見、お願いいたします。

【瀧澤委員】
二つとも私からの質問でしたので、後半の件については、私も注意して見ていきたいと思いますが、大体、概略は理解いたしましたので、どうもありがとうございました。
前半の発見と発明のデジタル博物館ですか、学協会さんの協力がないとなかなか成り立たないという事情を、今日初めて伺いまして分かりましたが、ホームページですので、誰でも見られる場所ですから、そういう事情を分からずに皆さん見に来て楽しんでいかれると思います。中には非常に情報が充実していて、これだけ読むだけでも楽しめるなというページもたくさんあるのですけれども、そうではないページも散見できましたものですから、少し気になってしまいまして、どうしたらいいのかよく分からないですけれども、何かとにかく今のままですと、少しもったいないかなと思いました。

【植田座長】
どうぞ。

【石田人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
学術振興会としても今御指摘頂いたようなところについて、楽しみにしてアクセスいただいたのに、ここの分野はあまりないなということでがっかりさせてしまうようなことがあれば残念だという思いも残ります。先ほど述べましたように、引き続き学協会等の御協力によるところであり難しい点もありますけれども、この事業の運営に関する委員会にも意見を伺うなど、データベース整備の充実方策とともに検討してまいりたいと思います。
以上でございます。

【松本課長補佐】
説明のローマ数字2以降について説明します。

【植田座長】
では、どうぞ。

【松本課長補佐】
11ページ目をごらんください。ローマ数字2、3、4についてでございます。業務運営の効率化に関する事項、こちらについては、調達等の合理化について効率化を図った実績を評価するコメントがございました。それから、ローマ数字4、その他業務運営に関する重要事項においては情報セキュリティに関する取組について評価するコメントがございましたので、それぞれその他事項に追記をさせていただいております。全体のそれぞれの項目の評価はいずれもBということにさせていただいております。
以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、今の御説明を含めて御意見、御質問、お願いいたします。

【岡村委員】
11ページ目以降のローマ数字2、3、4なのですけれども、この間、御質問したときに補助項目がないのは担当課が一つだから分ける必要がないという御説明があったと思うのですが、これを見ますとやっぱりかなり閑散としているというか、何でBなのだという根拠がなかなかこれだけで見えてこない。やはり評価というのは、基本的には文科省さんの担当課がするのかもしれませんが、まずは振興会さんの方、評価される方がそれぞれの項目についてどういう自己評価をしたというのが大事なことだと思うので、やはりこれについても補助科目についての評価というのがあった方がより明瞭になるのではないかと感じます。今更どうしようもないのですけれども、できれば次回以降考えていただけるとありがたいなと思います。

【植田座長】
よろしいですか。

【松本課長補佐】
はい。御指摘を踏まえて次回以降、そこは修正できれば修正したいと思います。

【植田座長】
ほかに御質問ございますか。では、もしないようでしたら、本項目の確認はここで終了させていただきます。それでは、ただいま確認した本有識者会合の意見を反映して、来年になるかも分かりませんが、よろしくお願いいたします。
これで項目別は終わったわけですね。

【松本課長補佐】
はい。

【植田座長】
分かりました。では、各項目の確認はここで終了させていただきまして、ここまでの項目別評定を踏まえて、総合評定について確認したいと思います。事務局より説明をお願いいたします。

【松本課長補佐】
それでは、資料2-1をごらん下さい。A4横の3枚物の資料になります。平成30年度における業務の実績に関する評価(案)という表紙が付いているものでございます。1枚おめくり頂きまして、全体の評定についてでございますが、全体の評定につきましてはAということにさせていただきたいと思っております。評定に至った理由、こちらは定型文でございます。法人全体に対する評価に示すとおり、全体として中期計画に定められた以上の業務の進捗が認められるためということになってございます。それから、2.法人全体に対する評価、こちらにつきましては先ほどの項目別評価を踏まえまして、主な事業ごとに記載をさせていただいております。
それから、3.でございます。項目別評価における主要な課題、改善事項でございます。こちらも先ほどの項目別評価を踏まえまして、主な課題、改善事項を二つほど記載させていただいてございます。
説明は以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について質問、御意見をお願いいたします。どうぞ。

【岡村委員】
この法人全体評価でAという、これについては、全く異存はないのですけれども、これだけ、ここに書いてあるように大変ないろいろな業務、特に10万件の審査などものすごい量で、これを適切かつ迅速にやっているというだけでもすごいことで、それ以外にいろいろな新しい施策をやって効果を上げている。まさにA評価だと思うのですけれども、その次のページの1-1-3の各項目別の評価結果を見ると、ここからなぜAになるか見えてこない。
ここの説明として重要度「高」というのを丸にして、難易度「高」を下線を引く。これも初めて見る。ここで初めて出したのかもしれませんけれども、こういうことで項目にウエートをかけて、それでやっているということはある程度分かるのですけれども、それではなぜこの項目が、重要度が高いのか、あるいは難易度が高いのかという説明がないですし、あるいは重要度「高」についてはAが一つとBが一つ、難易度「高」についてもAが一つとBが一つと平均すると、どっちとも取れるということで、あとの項目はほぼbという状況で、それではこの項目別評価は何のためにしたのかというところが少し、私は今回初めてなので、その辺のつながりがよく見えてこないのです。
例えばこの重要度「高」の項目はこれであるとか、あるいは難易度「高」の項目はこれであると、あらかじめ示して、その上で評価するならそこにAが付くと、これは大したものだという話になると思う。それから、ほかの項目はほとんどbなのになぜAになるかというところで、例えばこの今回の世界レベルの多様な知の創造みたいなもの、これは非常に重要なのだ。全体の中でウエートが何割も占めるのだということであれば、なぜその割合になるのかということをある程度説明してもらうというようなことをして、この項目別評価から全体評価のAにつながるところをもう少し明瞭に見せていただく必要があるのではないかと初めて見た者からしたら思いました。

【松本課長補佐】
先生がおっしゃるとおり、そこのウエート付けというか、重要度を「高」とするとか、難易度を「高」とするというところについての事前の説明が至らなかった点については本当に申し訳ないと思っております。今後、事前にこういった項目の重要度が高いでありますとか、難易度が高いということについては説明させていただきたいと思います。

【原振興企画課長】
お手元の資料2-2に項目別評定調書というのがございまして、先ほどのローマ数字2、3、4のお話とも共通しますけれども、こちらに実は詳細な評価がございまして、何で難易度が高いのかとか、重要度が高いのかということについても記述させていただいております。また、ローマ数字2、3、4の細かい自己評価につきましてもこちらに書かせていただいております。ただ、おっしゃるように総括表で見たときに何でこの項目の難易度が高いのか、低いのかというのがはっきり分からないので、難易度が低い項目の評定に引っ張られて、全体評価への脈絡がはっきり分からないということはおっしゃるとおりです。共通のフォーマットであるためどこまで工夫できるか分からないところはありますけれども、きちんと評価をした上で、こういう脈絡でこうなっていますというのが分かるようにしたいと思います。

【岡村委員】
それで、感想として持ったのですけれども、例えば難易度が高いやつのbと難易度が低いやつのbって全然レベルが違うと思うのですよ。だから、必ずしも同じ水準で評定を付ける必要もないのかと。難易度が高いものについては、そのb水準を下げておいて、今回ぐらいやったら、もう最初からaやsが付くとか、そういうような評価基準の考えや、あるいは先ほど来、何回か出ている評価項目とか評価方法、これはやっぱり、この振興会がやられている事業の重要性とか、価値の重要性というところから、もっとウエート付けを変えていくとか、そういうような見直しもやっぱりあった方がいいのかなという感想を持ちました。

【植田座長】
ほかに御質問、御意見ありますか。総合評価は必ずしも項目別の足し算だけではなく、全体として本当にどう評価するかということで委員の皆さんから、これでいいかどうかを言っていただければありがたいのですが。どうぞ。

【鷹野委員】
先ほど岡村委員から御指摘があった点については、納得するのですけれども、総合評価は点数のアベレージでないというようなつもりで私は見ておりましたので、いい点が、aというものが複数あったり、sがあったり、それが振興会で力を入れている事業ということで理解しておりまして、Aという評価についてはそのように理解しております。ですので、全体としてAということで異議はございません。

【瀧澤委員】
よろしいですか。ほかの機関の、例えばAMEDさんですとか、JSTさんの評価も実は同じような立場で関わらせていただいているのですが、あちらでは事業の内容が細分化されていまして、それぞれの難易度も大体平準化されていて、これの足し合わせで全体の評価も決まっているというので、恐らくその意味で岡村先生がおっしゃるような分かりやすさというのは非常に見えているかなと思うのですが、事こちらの事業に関しましては、この1-2の部分ですか、特に世界レベルの多様な知の創造のあたりで、実際の各研究の審査に関わる事業の比重が、伝統が長いということもあって、そこが特に大きいのかなと私自身は感じていますので、その意味では単純な項目ごとの足し合わせではなくても仕方がないのかなとは感じます。

【岡村委員】
私の言っている趣旨は、これが開示というか、公開された場合に、その辺の事情が見えない人は、これとこれがどう結び付くのと。やっぱり公開する資料としては、その辺、見た人が分かるようにある程度流れを示しておいてあげた方がいいのではないか、そういう趣旨です。

【秋元委員】
先ほどの質問の世界レベルでということなのですけれども、そうすると、項目が、これが必ずしも絶対的なものではないわけですよね。何年か前の評価書を参考にしようと思って見させていただいたのですが、項目自体が少し変わってきているという部分もあるわけですよね。そういう意味で、多分、大きな項目で、もしかしたらもっと本当は細かなといいますか、もっと別の内容も全部含めて、例えば2の項目が、一応、1、2、3、4と並びになっていますけれども、本当はもっといろいろな項目に分けて議論できるようなことをまとめてやっているというような部分もあるかと思うのですね。
それが重要度とか、そういう話なのだろうと思うのですけれども、重要度という説明の仕方がいいのかどうかということもあろうかと思います。もっと幅広いものをカバーしているというような説明をしていただき、そういうことを全体として評価する。例えば単純に項目数だけで評価したのではないのだというようなことも含めて、もしかしたらあるのだろうというようなことで理解すると、もう少し分かりやすいのかなというような印象はありました。私自身も、その意味でこの評価自体はよろしいのではないかなという気はしていますけれども、説明の仕方みたいな部分もあるかなと思います。

【植田座長】
どうしてもこの独立行政法人の評価は内閣府も含めた標準があるから、定量評価で120を超えないとAにならないという話になっています。それが日本学術振興会のようなファンディングエージェンシーでは、決められた予算を与えられてそれを分配しているところですから、予算を120%分配することはできません。ですから、本来的にA評価が出せないというシステムです。ただ、この科研費システムというのは世界で最も高い信頼性を持った審査システムとして評価されていますし、国内におけるほかの審査も、全部のモデルケースになっている標準を作っている。
そういう点で日本の社会に非常に貢献しているシステムだと思うので、本来は高い評価をすべきだと思いますが、それにしては評点は低い。最初に文科省からもおっしゃったように、これはどうしてもこのJSPSのようにボトムアップ型で実際に生まれてくる研究をピックアップしましょうというようなタイプ、プロモーションでなくて、そういうものの場合は、それを適切に評価するという、そういう視点が日本の評価システムにはないわけですね。だから、その問題、学術の特性に考慮して安定でバランスのとれた評価をするということ自身が、この我々の評価委員会の基準になかなかなじまないで今になっているから、全体に下に下がったようなB評価が多いということになっていると思います。
ただ、現実に行われている活動がどれだけ重要で、それがどれだけ適切に行われているかということについては、委員の先生方も含めて特に問題が、ここを何とかしないと大変なことになるというものは何もないわけですから、こういう評価をしていいのではないかなとは私も思っている。ただ、実際にはこれは文科大臣が評価をされて、それを今度内閣府へ上げてというふうにしていったときに、そちらの基準に合わないと戻ってきてしまいますので、それと整合させるということも含めて結構苦労された重み関数ではないかと思います。それをもう少し見えるような形で、ちゃんと評価してもらえるようになれば一番いいなとは思いますが、まあ、そこはなかなか大変そうかなと思いながら、御苦労さんと言いたいところです。
だけど、委員の皆さんの先生方の御意見は、別にこの評価についてネガティブなものは何もなくて、A評価でいいというふうに総合的には見ておられるように思いますので、それでよければここで一応、結論を出したいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、御意見がそろって、大体の評価も決まったように思いますので、ただいま確認した本有識者会合の意見を反映してくださるようにお願いいたします。問題も含めて解決を将来に残しましょう。
それでは、本日の主な議事は以上ですが、最後にその他として事務局からお願いいたします。

【松本課長補佐】
その前に、先ほど少し項目別評価のところで話題になりました項目2のところの記載についてですけれども、担当課の方と調整させていただいて、案をまた担当委員の2名の先生にお送りして御確認いただいた上で、最後は座長に御一任ということでよろしいでしょうか。

【植田座長】
それでよろしいですか。はい。何か送ってこられるみたいなので、それで一応、確認していただいて、オーケーならば私に一任していただいたということで、最後、決裁をしたいと思いますが、よろしいですか。はい。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
それでは、資料3をごらん下さい。今後のスケジュールについてでございます。文部科学大臣による評価(案)ですけれども、8月に文科大臣へ説明の上、決裁を経て8月中に日本学術振興会へ通知、公表という予定になってございます。この有識者会合の会議体としての開催はこれで終わりということになりますので、最後に村田局長から御挨拶をさせていただきたいと思います。

【村田研究振興局長】
それでは、一言御挨拶を申し上げます。本日、大変御多忙の中、長時間にわたり日本学術振興会の評価に関する御審議を頂きまして、まことにありがとうございました。
本日の議論を通じて改めて先生方から御指摘がございました、日本学術振興会は研究者の自由な発想に基づく「学術研究」の支援を行う我が国唯一のファンディングエージェンシーであり、研究費の助成、研究者養成、国際交流の促進、大学改革の支援など多岐にわたってその役割は非常に重要なものと私どもとしても認識をしているところでございます。本日、有識者委員の先生方から御助言頂いた内容も踏まえまして、文部科学大臣としての評価コメントを確定し、今後の学術振興会の業務の質の更なる向上につなげていきたいと考えております。
併せて、審査の在り方、評価の在り方についてもいろいろ御指摘頂きました。これは委員長御指摘のとおり、独法制度全体の評価の在り方とも絡んでなかなか単純にすっきりした形にはいかないわけでございますけれども、御指摘頂いたことも私どもしっかり受けとめながら、評価の更なる工夫ということも考えなければいけないと思ってございます。改めて有識者会合の委員の先生方の御協力に感謝を申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。まことにありがとうございました。

【植田座長】
それでは、皆様、御多忙の中、評価作業に御協力頂いてありがとうございました。本日の有識者会合はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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