令和4年度 日本学術振興会の評価等に関する有識者会合(第2回) 議事録

1.日時

令和4年7月28日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 令和3年度業務実績に係る評価について
  2. 第4期中期目標期間終了時に見込まれる業務実績に係る評価について
  3. 独立行政法人日本学術振興会の今後の課題について
  4. その他

4.出席者

委員

植田座長、秋元委員、岡村委員、加藤委員、東嶋委員

文部科学省

坂本研究振興局審議官、永田学術研究推進課長、吉田学術研究推進課企画室室長補佐、二瓶振興企画課学術企画室室長補佐、福島参事官(国際戦略担当)付参事官補佐、佐々木学術研究推進課学術研究推進係長 ほか

5.議事録

【植田座長】
植田です。前回に引き続いて、座長を務めさせていただきます。
3時の定刻になりましたので、ただいまから、令和4年度第2回独立行政法人日本学術振興会の評価等に関する有識者会合を開催いたします。
本日は御多忙の中、また非常に暑い中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
まずは本日の出席者及び留意事項等について、事務局より確認をお願いいたします。

【佐々木係長】
事務局でございます。
まず1点、先に留意事項をお伝えさせていただきます。システムの安定化を図るために、大変申し訳ございませんが、委員の方以外、御発言される方以外は画面を一旦オフにしておいていただけますと幸いでございます。よろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、全員、御出席いただいております。
事務局については、永田学術研究推進課長ほか、各事業所管課の担当官がリモートより参加しております。
なお、本日は、令和3年度業務実績に係る評価案及び第4期中期目標期間終了時に見込まれる業務実績に係る評価案についての議論や次期中期目標の策定に向けた議論を予定しておりますが、委員の皆様からの業務実績に関する御質問等に対応いただけるよう、日本学術振興会からも御参加いただいております。
そのほか、本日は一般傍聴者の登録が7名ございます。
また、本日はウェブ会議による開催でございます。各委員におかれましては、今後の議事において、御発言される際には、挙手ボタンを用いてお知らせください。また、発言される際には、マイクをオン、ミュートを解除していただきまして、お名前の後、御発言ください。発言される際には、聞き取りやすいよう、ゆっくり、はっきりと御発言ください。発言終了後には、再度マイクをオフにしていただくとともに、挙手ボタンを解除してください。
会議資料については、議事次第にある配付資料一覧のとおりでございます。委員の皆様には事前に送付しておりますが、Zoomの画面上にも共有させていただきますので、適宜、御覧ください。
事務局からは以上でございます。

【植田座長】
それでは、議事に入ります。
最初に、議題1、令和3年度業務実績に係る評価についてです。
前回は、業務実績等について把握、確認するために、日本学術振興会からのヒアリングを実施いたしました。
その後、事務局より送付されました評価書案に対して、各委員からコメントをいただき、事務局において取りまとめ、整理をしていただきました。もちろん、参考意見の中で、反映したものもあれば、日本学術振興会に送付して参考にしてもらうものと両方あります。本日は、それに基づいて、改めて評価書案を確認し、本有識者会合としての意見を整理していきたいと思います。
進め方ですが、資料1-2において項目別評定について御確認いただき、その後、総括として、資料1-1により総合評定についても確認したいと思います。
それでは、事務局より説明をお願いします。

【佐々木係長】
まず、項目別評定については、資料1-2及び1-3でございます。資料1-3を使いまして、評定がA以上の項目を中心に説明させていただきたいと思います。
まず、評定をA以上とさせていただきましたのは、ローマ数字1の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項のうち、1 総合的事項、2 世界レベルの多様な知の創造、3 知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成、4 大学等の強みを生かした教育研究機能の強化でございます。
なお、令和3年度における業務実績に関する評価において、法人の自己点検評価以上の評定に引き上げた項目はございません。
まず、通し番号2、ページでいうと175ページ、1の総合的事項についてでございます。
まず、評定に至った理由でございますが、御説明させていただきます。学術システム研究センターにおける科研費の挑戦的研究の審査方式や基盤研究等の研究計画調書の様式の見直し、あるいは審査区分表の改正についての検討結果が各公募に反映された点。また、男女共同参画推進ウェブサイト「CHEERS!」を介した情報発信、男女共同参画推進シンポジウムの開催、男女共同参画推進アドバイザーの設置など、振興会として積極的に男女共同参画を推進した点を評価して、評定をAとさせていただきたいと考えております。
なお、指摘事項、業務運営上の課題及び改善方策としては、男女共同参画の推進については、振興会の各種事業における推進状況をフォローアップしつつ、引き続き積極的に取組を進めることを期待すると記載させていただいております。
なお、ここの項目において、委員からの御意見としていただいておりますのは、まず、通し番号2で、学術システム研究センターの女性研究者の増加は評価できるといただいておりますのと、コロナ禍でオンライン会議を工夫して実績を上げたことは評価しつつも、やはり対面審査の重要性も改めて認識され、ポストコロナに際しては、経験を踏まえた上で、よりよい審査システムにつなげてほしいというコメントをいただいております。
また、次のページの通し番号4のその他事項でございますが、学術システム研究センターの業務内容の広報活動については、説明会を実施するなど着実に行っていることが、さらに周知のための活動を多面的に進めていくことを期待したい。審査の大括り化などの試みは、審査員を含む学術に対する文化形成、学術の多様性確保の観点からも重要である。粘り強いよりよい審査文化の追求に期待するとコメントをいただいております。
また、通し番号5でございますが、(3)学術研究の多様性の確保等のその他事項として、委員からは、男女共同参画だけでなくダイバーシティの促進として、さらに取組を広げていくことを期待しますというコメントをいただいております。
総合的事項の部分としては、以上でございます。
次に、通し番号6、ページでいうと177ページでございますが、2の世界レベルの多様な知の創造についてです。
評定に至った理由について、説明させていただきます。科学研究費助成事業において、新型コロナウイルスの感染症の影響に対応しつつ、前年度の2月に審査結果の通知を実現した点。あるいは平成30年度助成から導入された審査区分表を研究現場のニーズを踏まえて見直しを実施した点。新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえた柔軟な対応を行った点。また、研究の国際化と国際的な共同研究等の推進の項目については、国際共同研究事業で、英国とのプログラムの実施に向けて、日本学術振興会がリードエージェンシーとして公募、審査を行い、審査課題を採択したこと及びDFGとのプログラムにおいて募集要項の合意に至ったことを評価して、評定をAとさせていただきたいと考えております。
ここの項目の指摘事項、業務運営上の課題及び改善方策としては、科研費におけるオンライン形式での審査会を含め、審査・評価業務のさらなるデジタル化の推進について、審査委員から聴取した意見等を踏まえて検証し、効率的・効果的な運用として定常化に向けた検討を期待する。また、科研費の審査・評価業務改善のためにも、応募状況等を分析し状況の把握に努めつつ、さらなる検討を進めることを期待する。二国間交流事業等の国際事業においては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、計画変更など柔軟な対応を実施し、ポストコロナに向けて研究者間の情報交換や共同研究の支援を実施していくことを期待する。3つ目としまして、人文学・社会科学データインフラストラクチャー構築推進事業については、人文学・社会科学分野の研究者等にデータを共有・利活用する文化を醸成するなど重要な取組であり、恒常的なプラットフォームとして維持・充実が図られるべく、関係する他の研究機関等との連携・協働により、組織的な拠点形成に向けた取組を期待すると書かせていただいております。
次に、この中項目の部分での委員からの御意見について、御紹介させていただきたいと思います。同じく通し番号6のその他事項でございますが、新型コロナという想定外の事態に対応して、振興会は自らの危機対応能力、柔軟な発想力を強化し、研究者の要請に応える資金配分機関として一段と成長する機会を得た。ポストコロナに向けてこれらの経験を生かす努力を継続してほしいというコメントをいただいてございます。
次でございますが、ページで申しますと180ページでございます。通し番号10、3の知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成についてでございます。
評定に至った理由を説明させていただきます。新型コロナウイルス感染症の影響が継続していることを踏まえ、各事業において、採用期間の延長など、状況の変化に応じて柔軟に対応した点。特別研究員事業において、報酬受給制限の緩和やPD等の傷害保険への一括加入等の運用を開始するとともに、DC採用期間中の博士号取得者の処遇向上、手続のさらなる電子化、DC採用審査を二段階書面審査方式に変更するなど、制度のさらなる効果的・効率的な運用に向けて、積極的に改革を実行した点。こちらを評価して、評定をAとさせていただきたいと考えております。
指摘事項、業務運営上の課題及び改善方策としては、外国人研究者招聘の各種事業において、採用者や受入機関のニーズを踏まえ着実に実施していくとともに、効果的な情報発信に取り組んでいくことを期待すると書かせていただいております。
中項目の各委員からいただいたコメントを御説明させていただきます。まず、通し番号10でございますが、新型コロナ対応は振興会の組織としての柔軟性、対応力、創造力を発揮・確認するまたとない機会となった。そこで確認された能力をさらに積極的に拡大する努力を期待したいというコメントをいただいております。
また、ページでいうと181ページの通し番号12、(2)国際舞台で活躍する研究者の養成の欄でございますが、有識者の意見等として、コロナ禍によって普段当たり前に続けていた国際的活動がなくなり学術研究に大きな影響を及ぼしたが、その影響について研究者目線で分析を行い、今後の対策に資することを期待する。サンエンス・ダイアログ事業は、外国人特別研究員と高等学校の生徒ら双方に有意義な活動なので、引き続き、積極的に実施することを期待する。またコロナ禍ではオンラインでも行われたので、アフターコロナにおいても場合に応じてオンラインを併用し、双方が触れ合う機会を増やすよう努めてほしいというコメントをいただいております。
次に、ページ数でいうと182ページの通し番号15の4 大学等の強みを生かした教育研究機能の強化でございますが、こちらの評定に至った理由について御説明させていただきます。新型コロナウイルス感染症によって対面方式での委員会開催等に制約がある中で、オンラインを最大限活用して柔軟かつ、質の高い運営を実施した点。複数の大型事業を円滑に推進し、採択後のフォローアップや評価が適切に行われている点も評価して、評定をAとさせていただいております。
この項目の指摘事項、業務運営上の課題及び改善方策ですが、まず1点目が、WPIの国際的なブランド価値向上のため、これまで実施してきたブランディング活動について、より戦略的に行うための取組のさらなる推進に期待すると述べさせていただいております。2つ目でございますが、知識集約型社会を支える人材育成事業において、令和2年度に採択された6件を対象として事業として初となる中間評価を予定しているとともに、卓越大学院プログラムにおいても、昨年度に引き続き中間評価を予定している。これら中間評価の着実な実施とともに、審査・評価業務自体の中間的な総括や改善に努めることを期待すると記載させていただいております。最後3点目でございますが、大学の世界展開力強化事業等において、各大学が新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受けながらも、当初の予定に近い形で、事業を進めている。それらの取組等を把握・共有・発信する等して、より多くの大学の参考となるよう、さらなる工夫をしてほしいと記載させていただいております。
こちらの委員のコメントは特段ございません。
このほかの項目については、Bとさせていただきたいと考えております。
通し番号19以降の委員の意見について、御紹介させていただきたいと思います。
まず、通し番号22、185ページでございますが、こちら項目としては、5の強固な国際研究基盤の構築の(3)在外研究者コミュニティーの形成と協働でございます。こちらについては、同窓会活動は海外のキーパーソンを育成するために重要な活動で、地道に継続する必要があるというコメントをいただいております。
また、通し番号28、7の横断的事項でございます。ページ数でいうと188ページでございますが、知的財産の保護に留意しつつ、一般、学生、研究者等、属性に応じた学術情報の検索と利用が簡便に行えるよう、引き続き工夫することを期待するというコメントをいただいておりますのと、通し番号30、(2)情報発信の充実という項目で、ホームページのリニューアルに当たっては、過去に実施した事業の成果などの貴重な情報が逸失しないように留意することというコメントをいただいているとともに、長期間にわたりホームページがリニューアルされてこなかったが、振興会の社会的役割、位置づけ等を踏まえれば、定期的にリニューアルを行い、利用者の利便性向上等に努める必要があると考える。現在のホームページのリニューアルを早急に実施するとともに、今後は、利用者の意見を踏まえたリニューアルの定期的な実施に期待するというコメントをいただいております。
説明は以上でございます。

【植田座長】
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの意見について、御意見、御質問はありますでしょうか。
特に、本有識者会合の意見として、主務大臣による評価覧に反映すべき内容がこれで適切かどうかの観点から御意見をいただきたいと思います。皆さんからいただいた意見を反映しておりますでしょうか。どうぞ御自由に委員の先生方から意見をいただきたいと思います。
はい、どうぞ。東嶋先生。

【東嶋委員】
東嶋です。
質問ですけれども、その他事項のところに委員がコメントした文章については、評価書にそのまま反映されているのでしょうか。

【佐々木係長】
いただきましたコメントについてでございますが、必ず掲載してほしいと御指摘いただいた点については掲載させていただいたところでございます。あわせて、そのほかのコメントという形でいただいていたものもございましたので、その点については、こちらで課題事項などを挙げている内容等を勘案して、コメントは取捨させていただいたところでございます。

【東嶋委員】
承知しました。今読み上げていただいた区分で評価書には出ているということでよろしかったですね。分かりました、ありがとうございます。

【植田座長】
中には、初めから参考意見と書いてあって、反映しなくてよろしいという形の意見も出ていますので、それに応じて仕分をしていただきました。

【佐々木係長】
いただいている意見の中で、これは強く有識者のコメントとして記載いただきたいという項目で、もし漏れているものがございましたら、ぜひ御発言いただければと思います。

【植田座長】
今のような趣旨なので、これはぜひ評価に入れてほしいという意見で出したのに載っていないというのがあれば、ぜひ、この場で指摘していただきたいと思います。

【加藤委員】
加藤です。
漏れているわけではなくて、総合的事項のAの学術システム研究センターの女性研究員の増加は評価できると記載したのは私ですけれども、私の文章をそのまま記載していただき、ありがとうございます。女性研究員の増加だけが評価できるというか、女性研究員の増加はダイバーシティを上げるために評価できるということなので、男女比が増えたというよりは、ダイバーシティを促進したということで評価できるという意味でしたので、ちょっと補足させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【佐々木係長】
ありがとうございます。
会議後に、文言の修正等、もし先生と御相談できるのであれば、御相談させていただきたいと思います。

【加藤委員】
はい、それで結構です。

【佐々木係長】
よろしくお願いいたします。

【植田座長】
他にはありませんか。ニュアンスがきちんと伝わっていないというのもあるかもしれないのですが、よろしいでしょうか。特になければ、大体、御意見が伺えたということで、項目別の評定調書については、これで終了させていただきたいと思います。あとは先ほど事務局からあったように、文言については少し調整させていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、次の項目別評定を踏まえて、総合評定です。個別のものの確認は終わって、総合評定について確認したいと思いますので、事務局より説明をお願いいたします。

【佐々木係長】
総合評定につきましては、資料1-1を使って説明させていただきたいと思います。
ページは5ページを御覧ください。先ほど御説明させていただきました項目別評定を勘案させていただいた結果として、平成30年度からA、A、A、Aと来ておりましたが、令和3年度も総合評定Aとさせていただきたいと考えております。Aとする理由として、法人全体の評価として挙げさせていただきますのが、4点ございます。
まず1点目でございますが、各事業において、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が継続していることを踏まえ、オンラインによる審査・評価を実施するだけではなく、各事業において質を高める取組に努めていただいた点を高く評価しています。
また、次の項目でございますが、科研費については、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、公募・審査スケジュールの見直しを進めつつ、前年度の2月に審査結果の通知を実現するなど、制度改善に取り組んでいるところを高く評価しております。
3つ目でございますが、特別研究員事業については、報酬受給制限の緩和やPD等の傷害保険への一括加入等の運用を開始するなど、制度のさらなる効果的・効率的な運用に向けて積極的に改革を実施している点を高く評価しております。
4つ目でございますが、国際共同研究事業において、UKRIとのプログラムの実施に向けて、日本学術振興会がリードエージェンシーとして公募、審査を行い、新規課題を採択したことDFGとのプログラムにおいて募集要項の合意に至った点が評価できると考えております。
また、項目別評定で指摘した課題、改善事項についてでございますが、次のページ、6ページ目でございます。ここの点については、コロナ禍でオンライン会議を工夫して実績を上げたことは評価しつつも、やはり対面審査の重要性も改めて認識されたので、ポストコロナに際しては、経験を踏まえた上で、よりよい審査システムとなることを期待すると書かせていただいたのと、2つ目でございますが、コロナ禍によって普段当たり前に続けていた国際的活動がなくなり学術研究に大きな影響を及ぼしたが、その影響について研究者目線で分析を行い、今後の対策に資することを期待する。3つ目でございます。各事業の分析に必要な研究者や成果に関する情報が整備されたことから、今後は、それらを活用し事業の改善等に取り組むことを期待するという3点を書かせていただきたいと考えております。
総合評定としては、以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問等をお願いいたします。むしろ画面で手を挙げてくださっても別に構いませんが、特にありませんでしょうか。
では、少しだけ呼び水としてこの評価について問題を言うわけではないのですが、研究者目線に立っているなと私がすごく感じました。2月に決定を出すということをやられましたよね。決定を早くするというのは結構大変だと思います。だけど実際は、科研費で特に人を雇って研究をやっている場合は、前の年度で決めてくれないといけない。だから彼らを年度が終わってから、採用を継続できないと言われた途端に、彼らを指導している教員は非常に苦労するわけです。自分でどこかにポストがあって、移っていってくれたらいいのですが、実際、それには時間がかかるわけですから、そういう予備的な時間が全くなしで、人を動かすというのはできない。生きている人間を扱っていることもあって、非常に珍しいと予算です。単なる物を買ったりするだけの予算ではないのです。だから、ある意味で国際化してきたなという感じが私はいたします。外国の研究資金の場合は、ポスドクとか人件費というのが実は日本よりはるかに多い。学生にも給料を払っていますから、例えばそれを切った途端、そこの研究室の研究が難しくなるだけではなくて、実は学生も路頭に迷うとか言い出すので、逆にそれは安全弁になっていて、すぐには切れない。だから、1年間は伸ばそうという格好をみんなやるわけですよね。だんだんと国際化してくると、昔、日本の科研費には人件費がなかったのですが、それが入ってきたら、そういうものが反映してきて、それをこういう形で、審査期間を非常に短くして、前年度の2月ですけれども、終わるまでの任期の間に決定されるということなると、次のステップを考える道ができてきた、これは非常に画期的だったなと思っておりました。だから、それだけではないので、ある意味では、研究者の立場に立って物を考えてくださっている振興会の文化というのができてきていると思って、非常にうれしかったです。評価としてどうしろということは全くないのですし、すぐにそれをもっと拡大することができるかどうかは別ですけれども、ちょっと感想を言いました。
皆さん、他に何か意見はありませんでしょうか。
ありがとうございました。確認した有識者会合の意見で、修正が要らないということで、よろしくお願いいたします。
それでは、次に議題2に移りたいと思います。議題2は、第4期中期目標期間終了時に見込まれる業務実績に係る評価についてです。議題1と同じような進行をさせていただきます。それでは、事務局より説明をお願いいたします。

【佐々木係長】
事務局でございます。
関係資料としては、資料2-2及び2-3でございます。ここも、資料2-3を使いまして、また、評定がA以上の項目を中心に説明させていただきたいと考えております。なお、事務局の不手際で、資料上にページ数を振っておりません。大変申し訳ございません。資料単体のページ数、今、1と書いてございますが、そこも加えて、御説明を補足させていただきたいと思います。
まず、評定をA以上とさせていただきましたのは、ローマ数字1 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項のうち、1 総合的事項、2 世界レベルの多様な知の創造、3 知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成、4 大学等の強みを生かした教育研究機能の強化でございます。
まず、通し番号2、資料上、付しておりませんが、ページ数でいうと179ページ、資料についているページですと1ページでございますが、1の総合的事項についてでございます。
まず、評定に至った理由について、御説明させていただきたいと思います。
学術システム研究センターの女性研究員の割合を5年間で大きく向上させたこと。ワーキンググループやタスクフォース等で議論を重ね、具体的な提案・助言を行うことにより、継続的に科研費等の審査の改善につなげたこと。男女共同参画推進アドバイザーを令和3年度に設置し、研究分野や職位、年齢等に配慮した現役の研究者を配置し、ウェブサイトCHEERS!への記事の執筆や、男女共同参画推進シンポジウムへの出席等、振興会が行う男女共同参画の推進に向けた取組に協力するとともに、学術分野における男女共同参画に関する課題等の情報を収集し、振興会に報告するなど、積極的に研究現場における男女共同参画の推進に資する取組を精力的に実施しており、今後の展開に期待できる点を評価いたしまして、法人の自己点検評価はBでございましたが、主務大臣の評価としてはAとさせていただきたいと考えております。
これに関連いたしまして、(3)学術研究の多様性の確保等、通し番号でいうと5番、ここの項目も自己点検評価はbでございますが、先ほどの男女共同参画アドバイザーの取組について高く評価していただいたという点を踏まえまして、aとさせていただきたいと考えております。
1の総合的事項に係る委員からの御意見というところを簡単に御紹介させていただきたいと思います。今のページの上の欄でございますが、通し番号4でございます。ここの有識者の意見でございますが、振興会の目指す大きな方向性として世界レベルの知の創造や事業の国際化と戦略的な展開などを掲げていることから、法人運営に係る会議体などにおいても外国人の登用を行うことを期待するということと、引き続き研究者コミュニティーや社会に対して、学術システム研究センターの業務を分かりやすく情報発信することに努めることというコメントをいただいているところでございます。総合的事項としては、以上でございます。
次に、ページ数でいうと381ページ、資料上だと3ページでございますが、通し番号6の2の世界レベルの多様な知の創造についてでございます。
ここの評定に至った理由を御説明させていただきます。科学研究費助成事業において、中期計画に記載されている事項の着実な実施とともに、審査結果の通知の早期化、審査員1人当たりの最大審査数の低減、申請書類の押印の廃止、様々な通知文書の電子化を行うなど、改善を図った点。また、研究の国際化と国際的な共同研究等の推進に関しましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた各事業において、支援期間の延長など各課題に対して柔軟な対応に努め、事業運営に支障がないよう取り組むとともに、国際共同研究事業について、スイス、ドイツ、イギリスの3か国それぞれのリードエージェンシー方式を導入した点を評価して、評定をAとさせていただきたいと考えております。
2の今後の課題でございますが、大きく分けて3つございます。科研費に対しては、ピアレビューシステムの持続可能な発展に向け、審査プロセスの課題を把握し、審査の質を確保した上での審査委員の負担軽減やオンライン審査の効果的活用、さらには審査委員への若手の登用と審査委員教育の充実などに取り組むことが期待される。また、研究者や研究機関との対話を通じて、研究活動の質の向上や研究の活性化に資する科研費制度のさらなる改善・充実を進めることが期待されるというコメントをいただいております。また、国際共同研究事業等に対しては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業においては、計画の変更など柔軟な対応を実施し、ポストコロナに向けて研究者間の情報交換や共同研究の支援を実施していくことを期待する。戦略的に重要な諸外国との交流を引き続き着実に実施し、特にリードエージェンシー方式の審査を拡大していくことを期待すると書かせていただいております。また、人文学・社会科学データインフラストラクチャー構築推進事業については、人文学・社会科学分野の研究者等にデータを共有・利活用する文化を醸成するなど重要な取組であり、恒常的なプラットフォームとして維持・充実が図られるべく、関係する他の研究機関等との連携・協働により、組織的な拠点形成に向けた取組を期待すると書かせていただいております。
また、委員からの御意見でございますが、その他事項として書かせていただいているのが、次のページ、通し番号7ですが、コロナ禍の中でオンライン審査を導入せざるを得ない状況が生まれ、結果としてそのメリット・デメリットを整理するための経験の蓄積がなされてきたと思われる。今後は、これらの経験や知見を踏まえてオンライン審査の効果的な活用に期待するというコメントをいただいております。
また、次のページの通し番号9でございますが、「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業」の中で、人文学・社会科学分野の特性を踏まえた評価指標を策定した点は評価する。指標については、分かりやすい形で公開することを期待するというコメントをいただいているところでございます。
こちらの項目としては、以上でございます。
次のページでございます。通し番号10、3の知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成についてでございます。
こちらの評定に至った理由を説明させていただきます。新型コロナウイルス感染症の影響がある中で、事業の停滞がないように取り組んだことや、制度利用者の立場に立った柔軟な対応を実施した点、あるいは、特別研究員制度において、特別研究員CPDの創設、報酬受給制限の緩和、DC採用者が「ダブルディグリー・プログラム」によって留学することを可能とする制度の変更、PD等の傷害保険への一括加入等々、制度のさらなる効果的・効率的な運営に向けて、積極的に様々な改革を実行した点を評価して、評定をAとさせていただきたいと考えております。
今後の課題でございますが、引き続き、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえつつ、我が国の研究力強化に向けた政策やニーズを踏まえた制度のさらなる改革と効果的・効率的な運営に向けた措置を講じることを期待すると記載させていただいております。
また、委員からのコメントも御紹介させていただきたいと思います。通し番号10のその他事項でございますが、サイエンス・ダイアログ事業は、外国人特別研究員と高等学校の生徒ら双方に有意義な活動なので、引き続き、積極的に実施することを期待する。また、コロナ禍ではオンラインでも行われたので、アフターコロナにおいても場合に応じてオンラインを併用し、双方が触れ合う機会を増やすよう努めてほしいというコメントをいただいております。
次のページ、通し番号11でございます。その他事項で、研究者に安心を与え、研究継続を柔軟に支えることは、学術研究を支える資金配分機関としての最も重要な機能であり、引き続き研究者からの信頼が続くように努めてほしいというコメントをいただいております。
次の通し番号12でございますが、外国人研究者招へい事業については、当初のノーベル賞級の著名研究者を招へいして教えを請うスタイルから、競争相手でもある海外の有望株を招へいして、長期の研究ネットワーク形成につなげることに変わって久しい。成果は、どれだけ国際的ネットワークが形成できたかということに依存する。そのためには、これから成長するであろう海外研究者の質の評価も必要となる。これまでの活動の分析に取り入れる必要があるというコメントをいただいているところでございます。
こちらの項目については、以上でございます。
次でございますが、ページでいうと387ページ、資料上だと9ページでございます。通し番号15の4 大学等の強みを生かした教育研究機能の強化について御説明させていただきます。
評定に至った理由を御説明いたします。世界最高水準の研究拠点の形成促進については、新型コロナウイルス感染症で委員会開催等に制約があった中、オンラインを最大限活用して柔軟かつ質の高い運営を実施した点を評価しております。また、大学教育改革の支援及び大学のグローバル化の支援につきましては、国の定めた制度・方針を踏まえ、迅速に事務体制を整えながら、事業ごとに専門家による委員会等を設置したことにより、透明性、信頼性、継続性を担保した公正な審査・評価体制が整備でき、各事業における審査・評価業務を全て滞りなく実施し、新型コロナウイルス感染症の影響下による様々な行動制限が求められる中において、大学等の負担軽減や各事業委員会等におけるフォローアップの実効性を担保するための様々な工夫がなされ、各事業の審査・評価業務を全て滞りなく実施できた点を評価して評定をAとさせていただきたいと考えております。
また、今後の課題でございますが、3点ございます。WPIの国際的なブランド価値向上のため、これまで実施してきたブランディング活動について、より戦略的に行うための取組のさらなる推進に期待する。2つ目でございますが、大学教育改革の支援及び大学のグローバル化の支援について、これまで蓄積してきた各事業の審査・評価業務における知見やノウハウ、新型コロナウイルス感染症の影響下におけるオンラインの活用などの様々な工夫については、振興会内において共有するなど、同業務のさらなる向上にも努めることを期待する。最後でございますが、さらにコロナ禍において大学等の活動が今後も制約される可能性があることから、各大学において有益と思われる情報について、積極的な情報収集、分析等を行い、関係情報を適切かつ迅速に公開することに努めてほしいと記載させていただいているところでございます。
こちらの項目については以上でございまして、このほかの項目については、Bとさせていただきたいと考えております。
また、通し番号19以降の委員の先生方からの意見も簡単に御紹介させていただきたいと思います。
まず、通し番号26でございます。全体ですと391ページ、資料上は13ページでございます。振興会が保有する研究者データベースは日本の研究者の大半をカバーする最大のデータベースである。研究業績データベースとリンクされれば、極めて有用な研究データベースになる。自分たちが日本の中核研究者の最大データを保有しているという自覚の下に、より有益な運営を考案する努力をしてほしいというコメントをいただいております。
また、393ページ、資料上は15ページでございますが、通し番号28のその他事項で、知的財産の保護に留意しつつ、一般、学生、研究者等、属性に応じた学術情報の検索と利用が簡便に行えるよう、引き続き工夫することを期待するというコメントをいただいております。
また、同じページでございますが、通し番号30のその他事項では、ホームページのリニューアルに当たっては、過去に実施した事業の成果などの貴重な情報が逸失しないように留意すること。2つ目でございますが、長期間にわたりホームページがリニューアルされてこなかったが、振興会の社会的役割、位置づけ等を踏まえれば、定期的にリニューアルを行い、利用者の利便性向上等に努める必要があると考える。現在のホームページのリニューアルを早急に実施するとともに、今後は、利用者の意見を踏まえたリニューアルの定期的な実施に期待するというコメントをいただいております。
次のページ、通し番号33でございます。外部評価委員会の下に、作業チームを早々に設置したことは外部評価の実質的な有効性につながるもので評価できる。今後の作業チームの充実に期待するというコメントをいただいております。
また、次のページ、通し番号35でございます。引き続き理事長にリーダーシップを発揮いただくとともに、組織として適切なガバナンスを効かせていただきたいというコメントをいただいております。
その下、通し番号36でございます。一般管理費等の効率化について、振興会に確認したところ、令和3年度については、実績ベースでも確実に削減したことが確認できた。また第4期中期目標期間においても、実績ベースで効率化を達成できる見込みとの回答を得たというコメントをいただいております。
次、397ページでございます。資料上は19ページ、通し番号40番でございますが、総利益21億円は、コロナ禍という特殊状況もあり、致し方ない範囲の金額であると考えるというコメントをいただいております。
事務局の説明は、以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問をいただきたいと思います。
特に、本有識者会合の意見として、主務大臣による評価欄に反映すべき内容がこれで適切かどうか、御意見をいただきたいと思います。
はい。では加藤先生、どうぞ。

【加藤委員】
今の御説明のときに、通し番号46番のその他事項の有識者の意見等が紹介されていなかったような気がしますが、外部専門家によるセキュリティーという意見も掲載ということでよろしいですね。

【佐々木係長】
私の読み飛ばしでございます。大変失礼いたしました。この点も評価書に掲載する予定でございますので、申し訳ございません。

【加藤委員】
それならいいと思います。書いたほうがいいと思います。ありがとうございました。

【植田座長】
岡村先生。

【岡村委員】
今回の記載についてという話ではないのですが、第4期中期目標期間が終わって、第5期になるにあたって、今回いろいろ見せていただいたところで、ぜひ次にお願いしたいという趣旨のものですが、まず、1番の総合的事項については、前々から申し上げていますように、ネーミングに課題ありと思っていまして、総合的事項と言ってしまうと、これが全てだろうという誤解を与えます。中身的にも全体を見回してという話ではないので、次の中期目標からは名称を御検討いただきたい。また先ほどの法人の運営に対して外国人の登用を御検討くださいというコメントは私がつけましたが、今、日本学術振興会の方たちは外国の研究員や委員の方たちの意見をどんどん取り入れて、経営層がそれを判断して法人運営に生かしているため、十分登用しているとある意味思われているかもしれません。これはこれで、効率的で、効果的で良い方法ですけど、ここで申し上げているのは、外国の方たち、海外の意見を取り入れて判断するほうです。それを取り入れるという判断に日本人以外の方の感覚が入ったほうが、この組織全体として、あるいは事業として、より国際化が図れるのではないかという趣旨で、役員会だと人数があまりにも少ないため、ここに入れるのは難しいのかなと思うのですが、評議員会、あるいは学術システム研究センターの運営委員会とか、こういうところに積極的にそういう方たちを入れていただいて、判断する立場からもそういう感覚を取り入れたらいかがでしょうかというのがここでの趣旨です。
それから通し番号35、引き続き理事長にリーダーシップを発揮いただくとともにというところですが、文科省の方たちともお話させていただいて、そもそも振興会の自己評価としては、理事長の強力なリーダーシップの下、実行しているとか、リーダーシップを発揮してどんどんやっているといった記載がありました。トップが積極的に立ってやっていただくというのはいいのですが、あまりやり過ぎると独裁につながるケースもいろいろな組織であります。あまりにも理事長個人の強力なリーダーシップを主張し過ぎると、そういう誤解を与えかねない部分もあるので、あえて「ガバナンス」という言葉を、経営層全体が組織として、その組織を引っ張っていく、運営していくという体制を御検討くださいという意味で入れさせていただきました。以上です。

【植田座長】
これは文科省がそれを受け取っていると考えてよろしいのでしょうか。

【永田課長】
岡村先生、どうもありがとうございました。
今御意見いただいた外国人の研究者の判断を入れるとか、そのガバナンスを効かせるというところは、以前より岡村先生からも御指摘いただいていたところかと思いますので、御意見も踏まえながら、本日も学振の関係者は傍聴してございますので、よく相談しながら、今後また進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【植田座長】
ほかに御意見はありませんでしょうか。
では、項目別の評定調書については、ここで終了させていただきます。
それでは次の見込み評価の総合評定について、説明をお願いできますか。

【佐々木係長】
資料2-1を使って説明させていただきたいと思います。
ページで申し上げますと、198ページを御覧いただければと思います。先ほど説明した項目別評定を勘案させていただきまして、また、これまでの年度評価も踏まえまして、総合評定としては、Aとさせていただきたいと考えております。
法人全体の評価としては、主に次の4点を挙げさせていただきたいと考えております。まず1つ目、各事業において、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が継続していることを踏まえ、オンラインによる審査・評価を実施するだけではなく、事業において質を高める取組にも努めているという点を高く評価したいと考えております。また、科学研究費助成事業については、中期計画に記載されている事項の着実な実施に並行して、審査結果通知の早期化、審査委員1人当たりの最大審査数の低減等々、研究者の利便性の向上、研究機関の業務効率化、審査委員の負担軽減に資する改善が行われている点を高く評価したいと考えております。また、特別研究員事業においては、若手研究者の長期間の海外研さんを支援するCPDを創設したほか、DC採用者が「ダブルディグリー・プログラム」によって留学することを可能にする制度の変更など、制度のさらなる効果的・効率的な運営に向けて、積極的に様々な改革を実施してきた点を高く評価したいと考えております。最後に、国際共同研究事業では、スイス、ドイツ、イギリスの3か国それぞれのリードエージェンシー方式を導入するに至り、これまで築き上げてきた関係の強化に資する取組が行われたという点を高く評価したいと考えております。
次のページでございますが、項目別評定で指摘した課題・改善事項についてでございます。事項としては、2点挙げさせていただきたいと考えております。まず1点目が、外国人研究者招へい事業についてです。当初のノーベル賞級の著名研究者を招へいして教えを請うスタイルから、競争相手でもある海外の有望株を招待して、長期の研究者ネットワーク形成につなげることに変わって久しい。成果は、どれだけ国際的ネットワークが形成できたかということに依存する。そのためには、これから成長するであろう海外研究者の質の評価も必要となる。これまでの活動の分析に取り入れる必要があるというコメントをいただいております。2つ目でございますが、振興会が保有する研究者データベースは日本の研究者の大半をカバーする最大のデータベースである。研究業績データベースとリンクされれば、極めて有用な研究データベースになる。自分たちが日本の中核研究者の最大データを保有しているという自覚の下に、より有益な運営を考案する努力をしてほしいという点を挙げさせていただいております。
説明としては、以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。それでは、御質問、御意見、お願いいたします。
外国人研究者招へいについてコメントを出したのは私ですけれども、私たちが若い頃というのは、実はノーベル賞級の方とかノーベル賞をもらった方を呼んで教えを請うという形で、何かこういうのも始まったような気がするのですが、やはりノーベル賞学者が日本にごろごろいるようになってきて、そういう意味では同じクラスの人がいっぱいいるんだというところから、見方が変わってきていると思うんですね。そうすると、将来ノーベル賞を取る人を呼んでこないといけないわけです。そういう人たちと付き合っていると、結果、日本からノーベル賞がばんばん出てくるということが起こってくるわけですから、まだ世界が評価してないところで日本が独自に評価して招へいするという、新しいことをやらないといけなくなってきたような気がしています。実際に若い人たちも、自分の競争相手をきちんとそういう目で見て評価していると思います。やっぱり、日本がそこまで進歩してきたという感じが私はするので、それは簡単なことではないのですが、そういうネットワークの中に入り込んで、自分たちが活動していくことができればいいなと思ってコメントいたしました。
ほかに御意見いかがでしょうか。
単年度の途中経過とそんなに変わらない評価になってしまうところは仕方がないと思いますが、皆さん、有識者会合の意見としては以上ということにしてよろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは有識者の意見は以上としたいと思います。
議題3、独立行政法人日本学術振興会の今後の課題について、かなり一般的な話になりますが、それでは議題に入ります。
日本学術振興会が効率的かつ効果的な業務運営を実施するためには、次期の中期目標、中期計画の策定に向けて、今の事業や組織の見直しを行い、文書化する必要があります。本会合はその見直し内容について助言することが規定されておりますので、議論していただきたいと思います。
まず、日本学術振興会から、法人を取り巻く環境の変化について御説明いただくとともに、事務局から、見直しに向けた論点を説明していただきたいと思います。
それでは、日本学術振興会から説明をお願いいたします。

【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
日本学術振興会副理事の伊藤と申します。
先ほどは、振興会の取組について評価、御意見をいただきまして、ありがとうございました。事項によっては、我々の自己点検評価よりもさらに高い評価もいただき、励みになるところでございます。また、いただいた意見につきましては、真摯に受け止めて、次期以降の取組に対応していけるよう頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
資料3-1でございますけれども、先生方へも、御意見の参考になりますように、振興会で作成した資料でございます。
まず1ページ目、通し番号だと400ページになると思いますけれども、丸1でございます。こちらにつきまして独法の目標策定指針がございまして、中期目標を定めるに当たって、丸1から丸3に掲げている事項について、取り急ぎ検討していくことが非常に重要であるというようなことが書かれてございます。
丸1につきましては、国の政策を実現するための実施機関として、当機関でございますけれども、法人に求められる使命を明確化していくこと。丸2として、その法人の能力や人材などの実績、資源をデータ等から的確に把握して、それらを基に専門性や人材面における法人の「強み」と「弱み」を分析することを通じて、法人の現状、その時点で直面する課題を把握・検討していくこと。また、丸3におきまして、法人を取り巻く環境の変化について、外部のステークホルダーの意見も聞くなどして客観的に分析して、変化への対応を検討していくことが、この指針には記載されております。
こちらは主務大臣がつくる中期目標に係る記載ではございますけれども、我々、独法におきまして、自らの在り方を検討する上でも参考になるものと考えているところでございます。
そこで、振興会として、法人の現状や直面する課題、また、その取り巻く環境の変化について整理させていただきました。
丸2の分析の方法といたしましては、振興会を取り巻く環境として、内部環境、次ページで、法人の持つ「強み」と「弱み」に整理させていただいております。それから、外部環境の変化、これが法人にとって「機会」となる変化、「脅威」となる変化という形で、それぞれ分析しております。その際には、振興会の中におきましていろいろと検討させていただくとともに、外部のいろいろなステークホルダーの方々、大学とか企業における研究者、また、ジャーナリストや外国人の研究者、そういった方々からの意見を聴取したところでございます。
次のページを御覧ください。通し番号で401ページでございます。先ほど、内部環境と外部環境という、縦の欄のところに書かれているものでございますけれども、これに好影響と悪影響という横の欄、これを2掛ける2で掛け合わせて、法人について、例えば内部環境と好影響を組み合わせると、法人としての強みというような形で位置づけさせて整理しております。内部環境と悪影響という場合ですと法人の弱み、それから外部環境として好影響のことを考えると法人にとっての機会、それから、悪影響のほうを組み合わせると、法人にとっての脅威というような形で整理させていただいています。これらにつきましては、強み、弱み、機会、驚異の英語の頭文字を取って、いわゆるSWOT分析でございます。これを整理させていただきましたので、これから中身について御説明させていただければと思います。
まず、振興会にとっての強みでございます。6つほど整理させていただいております。
1つ目は、振興会は研究者の自由な発想に基づく、あらゆる分野、人文学・社会科学から自然科学までの研究を支援する我が国唯一のファンディングエージェンシーであること。そして、多くの研究者や海外センターを通じて、海外の学術振興機関との密接なつながりを持っているということでございます。
2つ目は、大学などの学術研究機関や文部科学省などの関係機関との人材交流を通じまして、外部機関の動向や、また、振興会の事業に関する情報共有などが適切に行われているものと認識しております。
3つ目は、科研費や特別研究員などJSPS事業に関する審査のノウハウが蓄積されている。どちらも長く行われている事業でございます。公平・公正な審査というのも重要視しているところでございまして、研究者コミュニティーの方々から信頼されているものと認識しております。
それから4つ目でございます。特に科研費におきましては、数万件の申請に対する審査や採択課題に対する交付業務を、少数の職員で大きなミスもなく行うことのできる高い事務能力を有していると思っているところでございます。
5つ目は、科研費や特別研究員などの振興会の事業は高いブランド力があり、日本の研究者から、広く認知されているのではないか。
それから、学術の振興に資する多くのデータが蓄積されているとも思っております。
続いて弱みですけれども、これは強みの裏返しの部分もございますが、こちらも6つ、整理させていただいております。
1つ目は、科研費の応募件数の増加に伴いまして、審査委員の負担が今後も増加していく可能性があるということ。
2つ目は、振興会の事業の成果に関するより一層の発信が必要ではないかということでございます。
それから3つ目ですけれども、振興会内部におきまして、各部局がございますけれども、部署を超えた連携とか情報共有をより活発に行うことの必要性を感じているところでございます。
4つ目ですけれども、職員の多くを出向者に頼っていて、職員の数が不安定であるということで、職員数の十分な確保や体制整備が課題であるということでございます。
5つ目は、それも踏まえまして、戦略的な人材育成や研修制度の充実が求められているということ。
それから最後に、振興会の各事業に関して、文科省と連携した予算要求をより一層推進、取り組んでいく必要があると認識しております。
続きまして、外部環境の関係でございます。
まず、機会でございます。こちらは大きく3つに整理させていただいております。
1つ目は、リードエージェンシー方式、先ほども高い評価をいただいたところでございますけれども、今、この方式を導入した国際共同研究事業をドイツやイギリスなどとも実施しておりまして、今後、他国への展開がさらに期待できるのではないだろうかと思っているところでございます。
それから2つ目ですけれども、近年、ますます「総合知」の重要性が認識されているところで、振興会は人文学や社会科学を含めた全ての研究分野を対象とする事業・支援を行っているところでございます。こういった事業を通じて、研究機関や研究者とのネットワーク、研究成果の蓄積をさらに活用できる可能性があるのではないかということです。
3つ目は、先般、科学技術・イノベーション基本法が改正されまして、振興の対象が拡大されたところでございます。特に人文科学についての規定もございました。こういった動きに応じて、振興会の事業の在り方につきまして、関係機関との役割分担を踏まえた事業改善の取組を通じて、国全体としてより一層の学術振興につながる可能性があるものと認識しているところでございます。
それから、脅威でございます。こちらは4つに整理させていただいております。
1つ目は、Top10%の補正論文数の順位の低下、あるいは新型コロナウイルス感染症の影響による海外への渡航制限など、海外での日本の学術研究のプレゼンスの低下が危惧されているところでございます。
2つ目は、ポストコロナ/ウィズコロナに向けた研究全般への支援の在り方の検討が必要になってくるというところでございます。
3つ目は、振興会の存在あるいは事業は、研究者には広く認知されていると認識しているところでございますけれども、国民一般からの認知度は必ずしも高いとは言い難いということでございます。
最後ですけれども、科学技術・イノベーションの推進の世界的な競争が激化している状況の中で、国際交流や協力を通じて世界の知の発展への貢献、日本の国際協力の維持・強化が強く求められているところでございます。
振興会からは以上です。

【植田座長】
どうもありがとうございました。
それでは、本議題について、御意見、御質問等はありますでしょうか。評価を御担当された項目に限定せず、幅広く御意見、御質問等をいただければありがたいと思いますが。

【佐々木係長】
座長、すみません。事務局から、先に資料3-2の説明をさせていただきたいと思います。

【植田座長】
では、どうぞ。

【佐々木係長】
資料3-2を御覧ください。402ページでございます。
本年度が第4期中期目標期間最終年度であることから、次期の中期目標、中期計画を策定する必要がございます。その策定に当たっては、8月末に次期中期目標に向けた見直しの方向性というものを示す必要が出てまいります。
それを踏まえて、本日は有識者会合の委員の皆様から御意見を賜りたく、その議論のきっかけとして、今回、資料3-2、有識者会合でこれまでいただいていた意見あるいは今御説明のありました振興会の分析などを踏まえまして、御用意させていただきましたものでございます。
内容を大きく分けますと、期待される法人像、次期中期目標期間の主な方向性、この2点で整理させていただいております。
まず、期待される法人像でございますが、2つ、説明させていただいております。学術振興を図ることを目的とした唯一の資金配分機関として、国の科学技術・イノベーション政策等における役割を認識しつつ、学術における不易流行を見定め、自らも変革し事業を展開する。その変革に当たっては、学術の中心を担う大学等との密接な連携協力の下、社会構造や研究環境の変化に対応するため、大学等の変革促進をも見据え、戦略的に事業の見直し・改善に取り組むとともに、新しい取組にも果敢に挑戦するということを我々としては期待したいと考えております。
次に、次期中期目標期間の主な方向性でございます。5つ、観点がございます。
まず1つ目が、他の機関にない膨大な研究課題情報等のリソースを有する振興会の「強み」を生かし、学術の動向や研究者を取り巻く環境の変化を捉え、事業の企画等に取り組むだけでなく、我が国の学術の振興に関する提言の策定にも取り組むと書かせていただいておりますが、こちらは先ほどの分析でもありましたが、科研費の研究課題情報など、非常に多くのデータを持っていること、あるいは学術システム研究センターを設置しているというところも関連いたしますが、全分野の研究者とネットワークを持ち、他機関にはない貴重なリソースをJSPSは保有していると考えておりますので、そういったところを活用して、学術動向などを捉えて、事業の企画あるいは提言、こういったところにも取り組んでいただいてはいかがかと考えております。
2つ目でございますが、我が国の研究力強化のため、トップ研究者の登竜門である特別研究員制度の一層の充実を図る等、優れた若手研究者を安定的・効果的に育成する環境を整備すると書かせていただいております。ここは先ほどの評価でも、様々な改善が加えられているというところは御説明させていただきましたが、JSPSの主要な事業の一つである特別研究員制度については、一層の充実を図るなど、優れた若手研究者の育成環境を整備してはどうかというところで記載させていただいているところでございます。
3つ目でございますが、国際関係事業を戦略的に展開するため、事業の見直し・再構築も視野に入れた国際関係事業の今後の在り方を示す総合指針を策定し、これに基づき事業運営に取り組むということを書かせていただいております。ここは先ほど植田座長からの観点もあるかとは思いますが、様々な事業がある国際関係事業について戦略的に取り組むということを考える上で、事業の見直しや再構築、こういったところを視野に入れながら、総合指針を策定し、それを基に事業を運営していただいてはどうかと考えております。
4つ目につきましては、科学研究費助成事業の審査プロセスのDX化等による業務の効率化、戦略的な人材育成・確保等による体制強化によって、機動的かつ戦略的な法人運営が可能となる組織整備に取り組むと書かせていただいておりますが、機動的かつ戦略的な法人運営を行うためには、今申し上げた科研費等の審査プロセスのDX化などによる業務効率化とともに、体制強化というところも同時に取り組む必要がある。この両輪をもって組織整備を取り組んではいかがかと考えております。
最後、こちらも評価でコメントをいただいている観点だと思いますが、情報発信すべきターゲット等の検討を進め、広報に関する方針、中でも重点的・優先的に取り組む課題を明確化した戦略を策定し、これに基づき振興会の広報機能の強化に取り組む。こういった形で取り組んではいかがかと考えております。
以上が資料の説明となりますが、本日は、説明を差し上げた観点に限らず、意見交換していただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。今おっしゃったように自由な議論をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。日本学術振興会のこれからの大きな方向を考えて議論していただければありがたいです。
秋元先生。

【秋元委員】
今の方向性の最後のところで、情報発信の話があったかと思うのですが、もう少し広げて考えれば、社会に対して、いかに振興会で蓄積されたものを、それをもって貢献していく、社会貢献的な意味も当然含まれてくるかと思います。科研費で行われている研究というのは、広い意味で、国民というか、日本で暮らしている人たち、あるいは、そういった人たちにも役に立つというと適切な言い方かどうか分からないのですが、実際、高校生を対象にした様々な事業なんかもやっているわけですよね。そういう意味で、実際に科研費でどんなことが研究されていて、それを社会に対して還元していくという、このことをもっと積極的に進めてもらいたい。これまで、データベースとか蓄積されたものというのは、研究者そのもののデータベースということもあるでしょうけど、科研費で行われてきた事柄について、全部ではないのですが、そこで報告されている事柄とか、いろいろあるわけですよね。そういった蓄積を一応ホームページ上に報告書等々で公開されていると思いますが、もう少し使いやすいというか、社会貢献的な意味でそういうデータをどう公開していったらより大きな意味を持ってくるか、そういった観点からも、今後の取組というのをぜひ期待したいなと思っています。
以上です。

【植田座長】
どうもありがとうございました。
それでは、ほかに御意見、お願いします。
はい、加藤先生。

【加藤委員】
今の主な方向性のところで特別研究員の充実というのが出ているのですが、振興会の特別研究員というのは、若い、研究者を目指す人にとってすごくブランディングのあるもので、まず、これに採用されるとDC1とかDC2、博士課程の学生も非常にエンカレッジされる。今、博士後期課程に進学する学生は減っていて、我が国の研究者としてやっていく方が少し少なくなっているのではないかとすごく危惧しているので、この特別研究員制度の充実を図っていただきたいなと私は思います。
この何年か、特別研究員の申請書をあまり見ていなかったのですが、申請の書式を見たら、以前とかなり大きく変わっていて、振興会でも、若手研究者を育てるためにどういう申請書を提出して審査すればいいかということを、かなりよく考えられて、検討されているんだなということもよく理解できましたので、ぜひ次の中期目標期間には、若手研究者を育てるということにも力点を置いて進んでいっていただきたいなと思っています。
以上です。

【永田課長】
今の点、お答えよろしいでしょうか。

【植田座長】
はい、どうぞ。

【永田課長】
秋元先生の情報発信の件につきましても、先ほど振興会から強み、弱みで、研究者に対しての情報発信は科研費データベース等でやってございますが、先ほど、一般国民に対してどうかという懸念もあったかと思います。そういった観点から、広い意味で、その情報発信をどう考えていくのかというのは、次期計画、目標策定に向けて検討する必要があるのではないかなと私どもも思ってございます。
また、加藤先生からお話がございました特別研究員について、私どもも非常に重要な事項だと考えてございまして、先般、振興会の中でも、特別研究員の在り方について、こうあるべきという議論がなされてございまして、そちらにつきまして、国の科学技術・学術審議会の研究費部会でも、特別研究員の在り方、若手研究者の支援の在り方について、現在、審議いただいているところでございまして、そういった審議の方向性も踏まえながら、振興会にも特別研究員について充実を図るよう、また、連携を取ってまいりたいと考えてございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【植田座長】
岡村先生。

【岡村委員】
先ほどの振興会からのお話の長所、短所の表を出していただけますか。
お話を聞いていて、私だけかもしれないけど、ちょっと違和感があるのは、法人としてはこうありますとか、法人の強みはこうですとか、法人の弱みの内部環境、外部環境はこうです、普通の会社とかですとそれで十分でしょうけど、学術振興会がやられている事業というのは、まさに国としてやるべき事業を全部担ってやっているような、要するに学術振興事業をやっている団体と私はそう見えているんですけど、そうすると、法人としての強み、弱みはもちろん、人が足らないとか、予算がという話はあるのでしょうが、それと同時に、日本の学術振興事業というものの強み、弱みとか、外部環境とか、こういう視点もあっていいのかなと。私、こういう分野は素人ですけれども、そういう感じを受けました。
それから一つ質問ですけど、この表の弱みの一番下、JSPSの各事業に関して文科省と連携した予算要求をより一層推進する必要があると、これ、何でここに入っているのかなと、この意味がよくわからなかったので、お答えいただければと思います。

【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
この部分につきましては、国全体の予算の厳しさというところがある中で、毎年度、特に運営費交付金につきましては、先生にも御説明しましたけど、効率化係数を掛けられて予算が毎年度削減するような状況にある。その中でも新規分の確保をいろいろと財務当局に説明させていただいて、現状維持ぐらいには持っているところではありますけれども、なかなか予算が増えないというところをとらまえまして、そのためには所管官庁でございます文科省とも連携して予算要求に取り組んでいく必要があるということで、弱みというところに位置づけさせていただいたところでございます。

【岡村委員】
予算の制約があるというのはあるのでしょうが、これを弱みというのも、なかなか、わかりづらいと思います。
あと、この間、ミーティングのとき、ちょっとお話ししましたけど、中期目標の中で、一般管理費を毎年削りなさいといった目標が入っていますが、学術振興事業そのものを考えたときに、本当に目標にしていていいのかという、そんなところを削ってどうするんだという意見を私は前々から持っているのですが、そういう意味も込めて、予算制約が弱みというのもなかなか、違和感が残ります。
以上です。

【植田座長】
はい、東嶋先生。

【東嶋委員】
402ページを出していただけますでしょうか。次期中期目標期間の主な方向性の4番目と5番目ですけれども、科学研究費助成事業の審査プロセスのDX化等による業務の効率化、戦略的な云々というところ、全く同意見ですけれども、1つには、全体において、やはりデジタル化を導入していって、効率的にデータを扱うということだと思いますが、審査プロセスのみならず、せっかくデータベースにデータを蓄積していますので、その活用、分析を行う専門家の方々がプロパー人材としてどのぐらいいらっしゃるのかという視点も必要になってくるかと思います。情報の分析とか、統計とか、数理的なデータサイエンティストというんでしょうか、そういう方々をもう少し中に取り込んでDX化を進めていくという観点が必要かと思います。
それから、その次の情報発信のところですけれども、評価のところにも書かせていただきましたが、やはり、一言に国民といってもいろいろな層がいらっしゃいますので、それぞれの層に向けた情報発信ということですが、各研究機関でも、それぞれ独自に広報を行っていらっしゃいます。国民に向けて研究成果などを発信しているんですが、いわゆる学術振興会が行うという点では、それらを一まとめと言いますか、一般国民に向けても検索機能というのを充実していただいて、今、例えば宇宙はどんな研究をしているのかとか、はやぶさはどうなったのかとか、そういう素朴な疑問に対しても、こんな予算を投じて、こんな研究をして、こんな研究者がいるみたいなことが1回で検索できるような機能があれば非常にありがたいし、事業全体の成果の発信になるとともに、国民からの認知度というのも上がるのではないかと考えますので、そういったことも考えていただければと思います。
以上です。

【永田課長】
東嶋先生、御意見どうもありがとうございます。
審査のDX化について、こちらは大きな業務として科研費が大半を占めているというところもありまして、その審査ということをうたっているわけでございますけれども、ほかの業務も含めて、DX化を図っているのかなと思ってございます。先生から御質問があった、そういった分析のプロパーがどのぐらいいるのかというのは、実際は、今、分析センターというものが学振の中にもございますけれども、体制としては、やや弱いところがございます。そういったところも、やはり今まで御議論が出ていましたとおり、たくさんの情報があるといったところがございますので、それをいかに活用していくのかといったところから、しかるべき体制整備というものが必要ではないかというところで、今回の論点にも挙げさせていただいているところでございます。
また、情報発信につきまして、検索機能を設けたらどうかという御指摘につきましても、やはり、研究者に対して検索機能を充実させるといったところから、最近、国際関係では、どういった国が対象で、どういった方がいるのか、そういった項目も新たに加えまして、研究者向けに国際的なところの成果発信というものを充実させているところでございます。
一方、それに加えて、一般の人に、先生がおっしゃっていただいたように、どこにどういう研究者がいて、どういう成果が出ているといったところを、学振としてどの程度までまとめられるのかというのは、今後、学振ともよく相談しながら検討していきたいと思いますけれども、その点は重要だと思ってございますので、今の学振のホームページでも、科研費における成果というようなログを立てて、一般にも分かるような形で情報発信してもらっているところですが、それで十分かどうかというところは、また、いろいろ検討が必要かなと思いますので、引き続き、学振とも連携を取りながら進めてまいりたいと思います。

【植田座長】
よろしいでしょうか。
ほかに御意見はありますでしょうか。
私から。リードエージェンシーのような形で、海外のファンディングエージェンシーと協力、競争しながら国際化を進めておられるのですが、国際化事業というと、とかくグローバルなスタンダードがあって、日本が遅れているから、そのグローバルなものに合わせましょうという感じが、ちょっとしてしまう場合があります。しかし、ヨーロッパはすごくいい例だと思うのですが、スイス、ドイツ、イギリス、フランスのファンディングエージェンシーと付き合うと、実はみんな価値観が違います。彼らはずっと、お互いに戦争をやってきた国です。独自の文化を持って、独自の価値観で学問も発達させてきたわけですね。お互いを尊敬しながらも、実は自分のほうが上だと思いながらやっているところがある。そういう意味では、海外も、各々に違った価値観が存在しているわけです。だから日本のファンディングエージェンシーがあちらと一緒になる必要はなくて、日本に最も適した価値観で判断していくために海外を知るということが重要なような気がします。その点で、海外に倣うのではなくて、海外にも差があるということを勉強していただきたいということが一つ。
それから、長所と短所と並べられましたが、確かに長所と短所は裏腹で、日本の長所は実は短所をつくったりもしておりまして、日本は非常に公平で、科研費の審査に文句を言う人はあまりいません。確かにそれだけ公平なことをやっていることは事実ですけれども、例えばジャーナルで論文をリジェクトすると、何で私の論文を落としたんだと、必ず手紙がいっぱい来ます。海外では、実は落とされたら、こいつが落としたと言って、自分の教室の前にリジェクトペーパーを貼って、こんなやつを審査委員にするなと言っているような人がいっぱいいます。だけど、逆に言うと、審査も含めて実は競争しているわけであって、それがある意味、学問におけるピアレビューですよね。審査委員のほうが正しくて、偉くて、審査を頼んでいる人とか提案している人のほうが低いということはないわけで、どっちが正しいか分からないから、実は科学とか研究をやっているわけですよね。
そういう点でいうと、日本の研究者は、ある意味では結果に素直に従うというのは、本当は研究者魂が低いということになってしまうので、そういう点でいうと、JSPSというか、学術振興会に対するフィードバックは、ネガティブフィードバックが割と少ないということも自分で自覚して、本当はそういうものが研究者の中にあるということも見ないと、本当のアクティブな研究現場の雰囲気を科研費の中に取り込んでいくことを、日本は抑えてしまっているということがあるかもしれません。だから、そういう意味では長所と短所というのは必ず裏腹で存在しているので、あるところまでいいことができたら、さらにもう一つ上に行くには、また新しい文化を入れるということが必要になると思うんで、中期計画、頑張っていただきたいと思います。これは単なる意見です。
ほかに何か御質問とか御意見はありますでしょうか。
もしないようだったら、11月まで時間があって、その間に考えたことがあれば、ぜひJSPSとか文科省に、御意見等を送っていただければありがたいと思います。
それでは、最後に、今後のスケジュール等について、事務局より説明をお願いしたいと思います。

【佐々木係長】
資料4を御覧ください。ページでいうと403ページ、最終ページでございます。今後のスケジュールについて、御説明させていただきたいと思います。
文部科学大臣による評価案については、8月から文科大臣に説明の上、決裁を経て、8月中に日本学術振興会へ通知、公表する予定としております。なお、秋以降に、今、植田座長からもお話しいただきましたが、次期中期目標の策定に向けた御意見をいただく機会を設ける予定でございます。その予定でございますが、本日、法人評価に係る意見聴取はこれで終了とさせていただきたいと思いますので、最後に課長の永田から御挨拶をさせていただければと思います。

【永田課長】
本日は、御多忙のところ、長時間にわたりまして日本学術振興会の評価に関する御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。非常に予備審査の段階から大部の資料にお時間をおかけいただきまして、各委員分担して、しっかりコメントをいただいて、今回の評価案というものができたのではないかなと思ってございます。
本日の御議論を通しまして改めて確認できましたように、日本学術振興会は研究者の自由な発想に基づく学術研究の支援を行うという、我が国唯一のファンディングエージェンシーといったところがございます。昨年、ノーベル賞受賞者の真鍋先生が総理と対談されたときも、やっぱり研究の一番の原動力は好奇心だと、若い人には好奇心を持って、なぜこういうことが起こっているのか、そういった観点から研究をやってほしいというようなことをおっしゃっていました。そういったところから、やはり学振が行っておりますような学術研究を支援するといった観点から、研究費の助成、研究者の養成、国際交流の促進、大学改革の支援など、多岐にわたって学振はその役割を担っておりますので、重要だというところを改めて認識した次第でございます。
委員の先生方に本日いただきました御助言を踏まえまして、文部科学大臣としての評価案を取りまとめて、今後の日本学術振興会の業務の質のさらなる向上につなげていきたいと思ってございます。
また、今年度は次期中期目標の見直しを行う年でもございます。中期目標の策定に向けまして、ただいまの植田先生からありましたとおり、11月頃に改めて御意見を賜る機会を設けさせていただきたいと思ってございますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
最後に、植田座長をはじめとして、本有識者会合へ御協力いただきました各委員の先生方の御協力に感謝いたしまして、簡単ではございますけれども、私の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【植田座長】
どうもありがとうございました。
それでは、本日のヒアリングに協力いただいた日本学術振興会の皆様におかれましては、長時間にわたり、ありがとうございました。
また、今回の有識者会合の委員の皆様、長い時間、どうもありがとうございました。
それでは、本日の有識者会合を終了いたします。本当にありがとうございました。

―― 了 ――

 

お問合せ先

研究振興局 学術研究推進課

佐々木、和田
電話番号:03-5253-4111(代表)(内線:4090)
メールアドレス:gakjokik@mext.go.jp

(研究振興局 学術研究推進課)