令和2年度 日本学術振興会の評価等に関する有識者会合(第2回) 議事録

1.日時

令和2年8月5日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 令和元年度業務実績に係る評価について
  2. その他

4.出席者

委員

植田座長、秋元委員、岡村委員、鷹野委員、瀧澤委員

文部科学省

杉野研究振興局長、坂口振興企画課長、松本振興企画課長補佐、二瓶振興企画課学術企画室長補佐、中塚学術研究助成課企画室長補佐、根津人材政策課長補佐、福島科学技術・学術戦略官付国際戦略室長補佐、渡邉大学振興課長補佐 ほか

5.議事録

【松本課長補佐】
  ただいまから令和2年度第2回独立行政法人日本学術振興会の評価等に関する有識者会合を開催いたします。
本日は、お忙しいところ御出席いただき、ありがとうございます。
前回に引き続きまして、ウェブ会議による開催とさせていただいておりますので、先生方におかれましては、発言される際にマイクをオン、ミュートを解除していただいて、御発言いただければと思います。発言終了後にはマイクをオフ、ミュートの状態にしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
会議資料につきましては、事前に先生方に郵送させていただいております。その中の議事次第に記載の配付資料、資料1、資料2-1、資料2-2、資料3に加えまして、机上資料1という分担表と、机上資料2で先生方の各項目ごとにコメントをまとめたものをお送りしていると思いますので、適宜御覧いただければと思います。Webexの画面上にも資料を投影しますので、どちらを御覧いただいても構いません。
また、前回に引き続いて、今回もウェブ会議の形式ですので、司会進行については事務局で行わせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、先生方の出席状況ですけれども、今回、全員の先生方に出席をいただいております。
事務局につきましては、坂口振興企画課長、その他、各事業所管課の担当官がリモートにより参加しております。
また、事務局のほうで異動がありましたので、御紹介をさせていただきます。7月28日付で杉野研究振興局長、8月1日付で塩崎審議官が着任してございます。
お二人とも他の用務が立て込んでおりまして、申し訳ございませんが、今回は欠席とさせていただければと思います。杉野局長におかれては、遅れて参加する可能性がございまして、その際は改めて紹介させていただきたいと思います。
本日は、令和元年度の業務実績に係る評価(案)について議論を行いますけれども、御質問等に対応していただくために、日本学術振興会からも陪席をいただいております。
また、本会合は原則として公開とさせていただいておりますが、本日は1名の方が傍聴されております。
委員の先生方におかれましては、今後の議事進行において、質疑応答などの際には、「手を挙げる」という機能を用いて意思表示をしていただければ、事務局のほうから指名をさせていただきます。御発言が終わりましたら、手を下げるという状態にしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
早速ですが、議事に入りたいと思います。
初めに、議題1、令和元年度業務実績に係る評価についてです。
前回、業務実績等について把握、確認をするために、日本学術振興会からのヒアリングを実施しました。その後、先生方からコメントをいただいて、事務局で整理をいたしました。本日は、それに基づき、評価(案)を作成しておりますので、それを確認していただいて、本有識者会合としての意見をまとめたいと思っております。
本日の進め方でございますけれども、それぞれの事業の内容については、かなりな分量がございますので、評価項目ごとに区切って、最初に、項目の2から5を順番に確認していって、最後に総論として、1の「総合的事項」と6、7、それから、ローマ数字の2、3、4という順番で、それぞれ確認をしていきたいと思っております。それが終わった後に総括として、資料2-1によって総合評定についても確認をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
説明が長くなって恐縮ですけれども、それでは早速、資料1によって、各項目の説明をさせていただければと思います。
お手元に資料1を御用意ください。画面上にも投影されています。
資料1については、項目別の主務大臣による評価(案)を抜粋したものです。資料2-2が資料全体になりますけれども、資料2-2の右側にある「主務大臣による評価」欄の内容を抜粋したものが資料1になっています。資料2-2につきましては、かなり分量がございますので、資料1によって説明をさせていただきます。
資料1の3ページから5ページが、評価項目2「世界レベルの多様な知の創造」の部分になっております。3ページ目は項目の評価なので、まず、補助評定のほうから、簡単に説明をさせていただきます。
4ページを御覧ください。
補助評定の(1)科学研究費助成事業の充実・強化に資する取組の推進は、補助評定をsとしております。評価すべき実績に記載されているような、審査・評価の充実、助成業務の円滑な実施、研究成果の適切な把握といった観点から、記載のような内容を評価すべき実績として取り上げてございます。その上で、その他事項のところに、振興会で行っている制度改善や科研費改革について、今後も丁寧に説明して研究者に浸透させる必要があること、新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応についても今後検証をしていただきたいということを記載しております。
続きまして、(2)研究の国際化と国際的な共同研究等の推進、こちらの補助評定はaとしてございます。スイス科学財団と将来のリードエージェンシー方式導入を見据えた合同審査を実施するなど、国際共同研究事業が進展していることから、その他事項のところに、当該事業が着実に進展していることが確認できたということ、また、それらの成果は目に見える形では表れにくいため、成果を可視化するための工夫を検討してほしいということを記載しております。
続いて、(3)学術の応用に関する研究等の実施、こちらの補助評定はbとしてございます。先生方からのコメントを踏まえまして、その他事項のところに、人文学・社会科学分野の評価をめぐる問題は難易度の高い問題の一つであって、当該評価の在り方について検討を加えた点について、評価できるということ、それから、課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業等は、この分野の国際化、発信力強化のための必須の事業と言え、長期間支援を続ける必要があるということを記載させてございます。
これらを踏まえて、ページを戻っていただいて、3ページ目ですけれども、本項目の総括としては評定をAとして、評価すべき実績、今後の課題・指摘事項、その他事項のところですが、先ほど紹介したようなことをまとめた内容を記載させていただいております。少し紹介しますと、評価すべき実績のところで、科研費事業の充実・強化に資する取組で何点かをここに記載してございます。それから、国際事業等についても、こちらに何点かを記載させていただいております。以上でございます。
ここの部分に関しては、補助評定(1)科研費事業のところで、科研費の繰越しについて、近年比率が増加しているけれども、その比率はどの程度が適切であるのかを運営サイドとして検討することも必要ではないだろうかというコメントをいただいておりましたので、その点について、学術研究助成課から補足説明がございます。学術研究助成課、お願いいたします。

【中塚室長補佐】
学術研究助成課の中塚でございます。
鷹野委員から御指摘いただいておりました、科研費の繰越しに係る適正な数値等を設定したほうがよいのではないかということについてですけれども、まず、近年の増加の件数につきましては、おおむね年間三、四百件程度、割合にして全配分件数の1%分ずつぐらい増えておりました。それが令和元年度については、新型コロナの影響で大幅に増えたという状況でございます。
一方で、研究者の使い勝手をよくすることを第一に考えておりますので、繰越しは全体の何%までといった形で適正値を設定することは、適当ではないのではないかと考えております。
というのも、安易な繰越しをさせないようにしようとすれば、内容のチェックも細かくせざるを得ず、事務方の負担だけではなく、申請をする研究者の負担も増えてしまうため、担当としては、基本的には希望する方の繰越しについては、できるだけ簡易に認めることが望ましいと考えております。
以上でございます。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
鷹野先生、コメントがあればお願いいたします。

【鷹野委員】
御説明ありがとうございました。
今、伺いまして、パーセンテージも今のところ低いようで、実質的には、振興会のほうの御負担というのは特に問題なさそうに理解いたしました。
ですので、今後、動向を見極めた上で、私が危惧したような状況に向かうようでしたら、また御検討いただくということでよろしいのではないかと思っております。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
評価項目2の「世界レベルの多様な知の創造」に関する説明は以上になります。本件に関しまして御意見、御質問ございましたら、「手を挙げる」機能によってお知らせをいただければと思います。
特に、本有識者会合の意見としまして、「主務大臣による評価」欄に反映すべき内容はこちらで適切かどうかの観点から、御意見をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【秋元委員】
秋元です。
外部評価委員による評価でも指摘されていた点だったと思うんですけれども、新型コロナに伴う問題に対して、比較的柔軟に対応できたということが指摘されていました。私自身もその点、評価できるということで指摘しておきました。この問題、まだ現在進行形の話なんですけれども、検証作業というのは、ある程度今のうちから、具体的にこんな形でやってみようかというような計画というか、段取りみたいなものがあったら、教えていただけるとありがたいんですが。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
JSPS、いかがでしょうか。

【石田人事育成事業部長(兼)研究事業部長】
JSPSの研究事業部長をしております、石田でございます。御指摘ありがとうございます。
今、御指摘いただいた点につきましては、まさしく、コロナウイルス感染症の影響というのがまだまだ続いており、かつ、大学等の現場においても、これからどのような影響が出るのか、いまだ見通せない状況にあるかと思います。
私どもといたしましても、年度をまたぐ時期に、繰越しの簡素化であるとか、できるだけ研究者のサイドに寄り添った形で進めてきたわけでございますけれども、今のところ、取り組んだ内容についての検証というところまでは、追いついていないのが現状でございます。
この辺りにつきまして、ある程度見当がつきました段階で、御報告できる内容等が出てくるかもしれません。本日のところは、このような内容で御了承いただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

【秋元委員】
ありがとうございました。了解しました。

【松本課長補佐】
ほかに、どなたか御意見ございませんでしょうか。
なければ、本項目についての確認は一旦ここまでとさせていただきまして、この案で省内の手続のほうに入らせていただきたいと思っております。
植田先生、よろしいでしょうか。

【植田座長】
はい。それでいいと思います。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
それでは続いて、評価項目3「知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成」について説明をさせていただきます。資料1の6ページから7ページでございます。
補助評定の(1)自立して研究に専念できる環境の確保は、補助評定aとしております。先生方からも、国費を原資としない奨学金等を研究専念義務の範囲内で受給可能とするなど、研究者のニーズを踏まえた取組が行われていることについて高く評価するコメントがございました。その他事項のところに、学術研究の特性に応じた研究支援の在り方については、しっかりとした理念の下、長期的視点に立って不断の見直しをする必要があるが、振興会については、その努力を続けていることから高く評価されるということを記載してございます。
7ページ、補助評価項目(2)の国際舞台で活躍する研究者の養成は、補助評定bとしてございます。先生方からは、海外特別研究員事業において、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、海外へ渡航ができなくなった採用者に対して臨機応変な対応を取ったことについて高く評価できるとコメントがございましたので、その他事項にその旨を記載するとともに、今後、当該対応について検証作業もしていただきたいということを記載してございます。
(3)研究者の顕彰・研さん機会の提供、こちらの補助評定もbとしております。先生方からのコメントにつきましても、今後の課題・指摘事項に記載しております、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、オンライン形式などの実施を検討していただきたいという内容でございましたので、その他事項に特段の追記は行ってございません。
(4)研究者のキャリアパスの提示、こちらについての補助評定もbとしております。先生方からは、適切なキャリアパスの提示は、若手研究者への支援となっており、若手研究者層を維持することに有意義であることから、今後も着実な実施及び受入れ機関のより一層の広がりを期待するというコメントがございましたので、その他事項のところに記載をさせていただいております。
以上を踏まえまして、6ページに戻りますけれども、本項目の総括としては、評定をBとしまして、評価すべき実績、今後の課題・指摘事項、その他事項のところにつきまして、それらを取りまとめた内容を記載させていただいております。
評価項目3に関する資料説明は以上になります。
本件に関しまして御意見、御質問があれば、よろしくお願いいたします。
御意見なさそうなので、こちらでよろしいでしょうか。
植田先生、よろしいでしょうか。

【植田座長】
はい。皆さんの意見が入っているのでよろしいかと思います。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。では、この案で進めさせていただきます。
次に、評価項目4「大学等の強みを生かした教育研究機能の強化」についてです。資料の8から9ページになっております。
(1)世界最高水準の研究拠点の形成促進、こちらは補助評定をbとしてございます。こちらにつきましては、先生方から、個人的意見ということでしたが、貴重なコメントをいただいております。ロシアの拠点の話であるとか中国の話につきまして、植田先生から貴重なコメントをいただいておりますので、そちらは担当課に直接伝達をしてございます。
(2)大学教育改革の支援について、先生からは、計画以上の実績を上げているというコメントもあり、補助評定をaとしております。
続いて、(3)大学のグローバル化の支援、こちらは補助評定aとしております。先生方から、特にコメントがございませんでした。
以上の補助項目へのコメントと本項目の総括に対して、先生方から、評価すべき実績等、記載の内容に同意するというコメントをいただいていることも踏まえまして、評定をAとしております。取りまとめた内容をそれぞれ各項目に記載をしてございます。
こちらについて、先生方からの事前コメントで、博士課程教育リーディングプログラムにおきまして、広報用の成果報告書を企業等に配付されているけれども、次のステップについても検討いただきたいという御意見をいただいています。そちらについて、高等教育局大学振興課から補足説明がありますので、大学振興課、お願いいたします。

【後藤係長】
高等局大学振興課でございます。
先生からのコメントといたしまして、JSPSのほうで御対応いただきました、リーディングプログラムの成果報告に関する冊子の配付の次のステップ、企業側とのニーズの把握等々についてのコメントということで、お預かりしております。
この点に関しましては、本省のほうで、企業側からの事業への評価、意見というところにつきまして、令和元年度、昨年度中に、博士課程教育リーディングプログラムの事業定着プロセスに関する調査研究というものを、委託の形で行ってございます。
この委託調査の中で、プログラム修了生を採用した企業へもヒアリング、それから、アンケート調査を行ったところでございます。調査報告書については、ホームページにも掲載をしておりますが、私どものほうで、また、成果の把握、それから、評価分析というものを行っているところでございます。
こうした成果につきまして、今後の事業に活用するとともに、大学プログラム等とも情報共有をさせていただきまして、大学側での取組の活性化というものを促してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。

【松本課長補佐】
ありがとうございました。
こちらについては、鷹野先生、コメントをいただいていたと思うんですけれども、いかがでしょうか。

【鷹野委員】
御説明ありがとうございました。
そして、企業の方から、それから修了生と、いろいろな方からの聞き取り、アンケートなどをされて、さらに分析もされるということで、有意義な取組だと思います。その報告書なども拝見するのを楽しみにしております。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
4の「大学等の強みを生かした教育研究機能の強化」についての説明は以上になります。
こちらについての御意見、御質問がございましたら、「手を挙げる」機能でお知らせください。
特にございませんようでしたら、この案で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
植田先生、よろしいでしょうか。

【植田座長】
はい。よろしくお願いします。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
それでは続きまして、評価項目5「強固な国際研究基盤の構築」についてでございます。資料1の10ページから11ページになります。
(1)事業の国際化と戦略的展開、こちらの補助評定はbとしております。先生方からのコメントを踏まえまして、今後の期待も込めて、その他事項のところで、強固な国際研究基盤の構築に係る各種事業が、令和元年に策定された日本学術振興会第4期中期計画に係る国際戦略における世界の学術研究をリードするという目標にかなうよう、より戦略的な実施を期待したいということを記載してございます。
(2)諸外国の学術振興機関との協働、こちらの補助評定はbとしてございます。
(3)在外研究者コミュニティの形成と協働については、補助評定はaとしてございます。先生方からのコメントを踏まえて、その他事項のところに、振興会の支援で研究をしたコミュニティーが世界で活躍することで、日本の学術文化が世界に広がることを期待すること、同窓会活動につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、参加者のニーズを取り込みながら戦略的に進めることを期待するということを記載してございます。
(4)海外研究連絡センター等の展開、こちらの補助評定はbとしてございます。先生方からは、引き続き地道な活動を続けていただきたいというコメントをいただいております。
以上を踏まえまして、本項目の総括ですけれども、10ページへ戻っていただいて、Bという評定にしてございます。今後の課題・指摘事項にその他事項については先ほど説明した内容を取りまとめたものを記載させていただいております。
評価項目5についての説明は以上になります。
こちらについて御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。
こちらも特になければ、この案で進めさせていただきたいと思います。
植田先生、よろしいでしょうか。瀧澤先生もよろしいでしょうか。

【植田座長】
はい。よろしくお願いします。

【瀧澤委員】
反映していただいてありがとうございます。よろしくお願いします。

【松本課長補佐】
ありがとうございました。
それでは続いて、1「総合的事項」、それから、6の「総合的な学術情報分析基盤の構築」以降、残り全部について説明をさせていただきます。
資料1の1ページ目から2ページ目になります。
(1)研究者等の意見を取り入れた業務運営、こちらの補助評定はbとしてございます。先生方からは、評議員の女性比率についての配慮を感じられるため、現状維持・今後増やすことも意識して進めることが望まれるというコメントをいただきましたが、こちらは多様性の確保とも関連することから、(3)学術研究の多様性の確保、こちらの項目のその他事項へ追記する形で整理をさせていただいております。
(2)第一線級の研究者の配置による審査・評価機能の強化、こちらは補助評定をaとしております。先生方から特段コメントがなかったので、追記をしてございません。
(3)学術研究の多様性の確保等、こちらの補助評定はbとしてございます。先生方からのコメントを踏まえまして、その他事項に、学術研究の多様性の確保と現代的要請に応える業務運営は、最も重要かつ困難な課題であって、我が国の学術研究の状況を分析して、適宜修正を加える柔軟性が求められることから、学術システム研究センター等の役割が今後も重要であること、審査組織等において多様性が十分に図られていると思われること、また、組織全体としてさらなる多様性を確保するためには、例えば、評議員会等の構成員において、女性及び外国人の登用をより積極的に図っていくことが考えられることなどを記載してございます。
以上を踏まえまして、本項目の総括としては、1ページでございますけれども、評定をBとしてございます。今後の課題・指摘事項のところ、その他事項のところに、それらを取りまとめた内容を記載させていただいております。
続けて、6「総合的な学術情報分析基盤の構築」です。資料の11ページから12ページでございます。
(1)から(3)まで、補助評定は全てbとさせていただいております。先生方からコメントがありました、(2)総合的な学術情報分析の推進におきまして、その他事項のところに、学術情報分析センターの活動は重要であり、分析調査員が増員され4名となり、体制が強化された点は評価できるということ、それから、所長、副所長の指導力に期待するということを記載してございます。
これらを踏まえまして、本項目の全体の評定をBとしています。また、今後の課題・指摘事項のところですけれども、学術情報分析センターにおける分析、それから、学術システム研究センターにおける調査結果等が振興会の事業にフィードバックされること、また、調査結果等を適切に情報公開することで、有効に活用されることを期待するということを記載してございます。
それから、6の(2)に関する先生方からの事前コメントで、審査意見書作成候補者選考支援システムについてメリットは大きいと考える一方で、論文査読の際にレビューを避けたい研究者を著者が指名することができるなどのやり方を取り入れているかという御質問をいただいておりまして、その点について、振興会のほうから補足説明がありますので、よろしくお願いいたします。
振興会、よろしくお願いいたします。

【小林総務部長(兼)経営企画部長】
日本学術振興会総務部の小林と申します。
結論から申しますと、御指摘のとおり、審査意見書作成候補者を選考する際は、論文査読の際にレビューを避けたい研究者、例えば研究上のライバルなどを著者が指名することができるのと同様なやり方を取り入れているところでございます。
少し細かくなりますが、具体的に御説明しますと、科研費の研究種目のうち特別推進研究と基盤研究(S)につきましては、審査意見書作成者からの専門的な意見を記した審査意見書を活用した審査を行っているところでございます。これらの研究種目の研究計画調書の中には、審査意見書作成者として避けてほしい者を記入する欄を設けておりまして、競争的対立的関係にあるなどの理由により、審査意見書作成者として適当でないと思われる研究者がいる場合には、これに該当する者の氏名、所属研究機関、部局、職、現在の専門に関する情報を、応募者が記入できるようになっております。
御指摘の審査意見書作成候補者選考支援システムでは、審査意見書作成候補者の選考の際に参考となる研究者リストを作成し、学術システム研究センター研究員に提供する時点では、研究計画調書に記載された審査意見書作成者として避けてほしい者を除外するところまでは行っておりませんが、一方で、学術システム研究センター研究員が審査意見書作成候補者を選考する際に活用している、審査意見書作成候補者管理システムというものがございます。この中に注意喚起のメッセージを発する仕組みを設けて、御指摘のとおり、応募者が避けてほしい者として申告した研究者を、審査意見書作成候補者に選考できないようにしているところでございます。
以上でございます。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
鷹野先生、よろしいでしょうか。

【鷹野委員】
細かい質問だったんですけれども、丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございます。安心いたしました。

【松本課長補佐】
それでは、次に進みます。
評価項目7「横断的事項」、こちらは資料1の12ページから13ページになります。
(1)から(5)までの補助評定は全てb、全体の評定もBとしております。先生方からは、本項目における各事業は適切に運営されていることを認めるというコメントが主でございました。
こちらについても事前のコメントで、7、それから7の(4)で、JSPS全体の事業の進行状況について社会に説明する機会として、理事長等による定例の記者懇談会などを開催してはどうかという御意見をいただいておりました。この点について、振興会から補足説明がありますので、よろしくお願いいたします。

【小林総務部長(兼)経営企画部長】
振興会総務部の小林でございます。
これまで振興会の各種事業の公募案内や審査の状況、あるいは事業の成果につきまして、JSPSのウェブページにおきまして、最新の情報を適宜掲載してきております。また、登録制メールマガジンにおいても各種事業の最新の公募、イベント情報や活動報告などを月に1度、配信しているところでございます。
こういった取組は、事業に関係する学術関係者に対して情報を届けるために、重点を置いて行ってきたところでございますけれども、御指摘いただきました定例の記者懇談会は、JSPSの行っている事業を広く社会へ発信し、その意義を理解していただくことにおいて有効であろうと考えております。
一方で、一般社会の方々に興味を持って聴いていただいて、正確な理解を得ていただくためには、発信する内容に相当な工夫が必要と考えておりますので、どのような形でその機会を設けるのが最適であるのか、その方法も含めて、会内で十分協議し、検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
瀧澤先生、コメントをいただいておりましたが、いかがでしょうか。

【瀧澤委員】
御説明ありがとうございます。
他の、ファンディングエージェンシーと横並びにしなければいけないということはないと思うんですけれども、そういうチャネルを定期的に設けていただくことによって、学術そのものの在り方ですとか、率直な意見交換ができるということは、ジャーナリスト側にとっても非常に有益な機会ですし、折に触れて、そういった学術的な内容をニュースとして扱っていただくようなきっかけにもなると思いますので、ぜひ前向きに検討していただければと思います。よろしくお願いします。

【松本課長補佐】
先生、ありがとうございました。
それでは続いて、先に進めたいと思います。残っております、ローマ数字の2、3、4についてです。資料の14ページ、15ページです。

【岡村委員】
すみません、ちょっと言い忘れていたんですけど、よろしいでしょうか。
今の7の(5)で、コメントをつけておいたんですけど、振興会における外部評価委員会で、これについては、大所高所から非常に有意義な意見を言われているというのは、もちろんそのとおりなんですけど、膨大な自己評価書を、その場だけでぱっと見て評価するというのはなかなか難しい部分があるし、我々が今やっている評価の有識者会合といいますか、これでもそんな中まで入れるものじゃない。出てきた文章を見て、それがいいかどうか、適正かどうかを判断しているということだと思うんですね。
今回、ちょっと私のほうで1か所、突っ込んだところがありまして、やればいろいろな検討課題も見えてくるという部分もありましたので、外部評価委員会にかける前に、作業部会として、自己評価書をある程度詳細にチェックして、気になるところとか検討すべき課題というものをあらかじめ洗い出して、それを外部評価委員の方たちにお知らせして、それで判断をいただくというような仕組みが必要じゃないかと思うんですが、その辺はどうですか。

【松本課長補佐】
岡村先生、ありがとうございます。
岡村先生のコメントを、JSPSにも伝達していたと思いますけれども、JSPSのほう、いかがでしょうか。

【小林総務部長(兼)経営企画部長】
御指摘は、外部評価を行う際に、主要な論点となり得るようなものをピックアップして、事前にその状況を分析して、委員の先生方にお示しするということだと思いますけれども、効果的な評価をするためにはそういったことも必要かと思いますので、どういった具体的なやり方をしていくかということについて、今後検討していきたいと思います。
以上でございます。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
岡村先生、いかがでしょうか。

【岡村委員】
具体的にはそういうことなんですけど、要は、この評価書を、批評的な立場で、実際に細かいところまで全部チェックする機会が多分ないんじゃないかと思うんですよ。もちろん振興会の方はしっかり作られているけど、御本人なので、それを外部評価委員とか我々みたいな評価会議というんですか、それから、文科省の方たちが見て評価するわけですけれども、その細かいところに、本当に何も問題が入り込んでいないのかというところを、どこかの機会で一回、誰かが見る必要があるんじゃないかという意見です。
具体的には、今おっしゃったような形でやっていただければいいと思いますけど。

【松本課長補佐】
先生、ありがとうございました。
では、残るローマ数字の2から4についてご説明いたします資料は14ページ、15ページです。
ローマ数字2「業務運営の効率化に関する事項」におきまして、岡村先生から、一般管理費の効率化における一般管理費の削減内容・評価について、その範囲と分析方法を含め検討を期待するというコメントをいただいておりますので、その他事項にその旨を記載させていただいております。
また、昨年度、岡村先生からも御指摘をいただいて、こちらの項目については、振興会においては、例年より細かく、補助項目においても評価を実施していただいたところですが、大臣評価自体は、文部科学大臣決定の評価に関する基準というのがありまして、中期目標を定めた項目を評価単位とするということになっておりますこと、本項目において事業担当課も複数にまたがっていないということから、補助評定のところは評価をつけずに、ローマ数字の2、3、4という項目ごとに評価を記載させていただき、昨年度と同様の取扱いにさせていただきたいと思います。評定はいずれもBとさせていただいております。
特に、先ほど申し上げたローマ数字2の一般管理費のところについては、岡村先生から御指摘をいただいて、かなり詳細にやり取りをさせていただきましたので、岡村先生から補足がございましたら、ぜひお願いしたいと思います。

【岡村委員】
一般管理費の件につきましては、振興会さんとか文科省の方にかなり具体的に対応していただきまして、今年どうのこうのじゃないですけど、公開される資料ということであれば、誰かが見たら、あれっという感じになる人もいると思いますので、やはり来年以降、御検討いただければと思います。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
項目が多岐にわたりますけれども、評価項目の1、6、7、ローマ数字の2、3、4、それぞれの項目について、そのほか御意見等あればお願いいたします。
御意見なさそうですので、植田先生、こちらで進めさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

【植田座長】
はい。よろしくお願いします。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
各項目の確認は、一応ここで終了させていただきたいと思います。
これまでの項目別の評定を踏まえまして、総合評定について確認したいと思いますので、資料2-1「令和元年度における業務の実績に関する評価(案)」を御覧いただければと思います。資料の3ページを御覧ください。
総合評定につきましては、全体の評定を昨年度と同様、Aとしてございます。
評定に至った理由の部分については、「法人全体に対する評価に示すとおり、全体として中期計画に定められた以上の業務の進捗が認められるため」という定型文を入れてございます。
2の法人全体に対する評価のところについて、幾つか記載をさせていただいております。内容を説明させていただきたいと思います。
まず、法人全体の評価として六つ、マルで記載をさせていただいております。
一つ目、日本学術振興会は、長い歴史の中で、多くの研究機関や研究者とのネットワークを活用しつつ、効果的かつ効率的な業務運営を行っている。研究者の知的探求心や自由な発想を源泉とする「学術研究」の振興を目的として、学術研究における多様な特性・ニーズに応じた支援を行う我が国唯一のファンディングエージェンシーとしての役割を十分果たしているということを書いています。
科研費におきましては、応募研究課題数が年々増加していますけれども、そういう中にあって、計画どおりのスケジュールで交付内定通知を出していること、極めて迅速かつ円滑・適切に審査業務が実施されると認められる。それから、若手研究の応募者の重複応募制限を緩和するなど若手研究者の挑戦を促す改善策、それから、研究者の海外渡航時における科研費の中断・再開を認めるための制度改善の導入、これらの研究者の立場に立った改善策を積極的に講じられていることも高く評価できるということ。
特別研究員事業においては、限られたスケジュールの中で業務を着実に実施しつつ、審査方針の不断の見直し、国費を原資としない奨学金等を研究専念義務の範囲内で受給可能にするなど、研究者のニーズを踏まえ、優秀な若手研究者の確保に資するさらなる制度改善を実施している点が評価できるということ。
国際共同研究事業につきましては、スイス科学財団と将来のリードエージェンシー方式導入を見据えた合同審査を実施したことについては、高く評価できる。それから、新規同窓会の設立要望を踏まえ積極的に支援を行って、北欧、アジア、各一つずつ同窓会を新設したこと、諸外国の学術振興機関との会合等に積極的に参加し、着実にパートナーシップを強化している点も評価できることを記載しています。
大学教育改革の支援については、国の定めた制度・方針を踏まえて、迅速に事務体制を整えながら、事業ごとに専門家による委員会を設置し、各事業における審査・評価業務を全て滞りなく実施したことは評価できるということ、それから、博士課程教育リーディングプログラムにおいて、補助期間の終了に当たり、修了者の各界での活躍状況等をまとめた広報用成果報告書を経団連の会員企業に配付するなど、博士号取得者の活用を促すための取組を積極的に講じたこと、それから、卓越大学院プログラムにおいて、審査・評価の着実な実施にとどまらず、委員等へのアンケート調査により課題を抽出するなど、今後の高等教育政策も見据えた事業の改善に積極的に貢献したことも高く評価できる。
以上のことも踏まえまして、特に重大な業務運営上の課題は検出されておらず、全体として順調な業務運営が行われていることが認められるという記載にしてございます。
全体の評定を行う上で特に考慮すべき事項として、新型コロナウイルス感染症の影響に対して、各事業において研究者のニーズを踏まえながら柔軟な対応を行った点は高く評価できるということを記載してございます。例示として、海外特別研究員事業、それから、科研費のことを挙げさせていただいております。
3ポツ、項目別評価における主要な課題、改善事項というところについては二つ。
平成30年度科研費から適用した新たな審査システムについて、既に検証作業に着手し、さらなる改善に努めるなど、科研費改革の着実な実施に向けた取組が認められる。引き続き、科研費制度全体の改善に向け、学術システム研究センター等も活用し検討を進めることを期待するということ。
引き続き、学術システム研究センターや外部有識者による会議、ホームページの問合せフォームに寄せられる提案等を活用して、より一層研究者の知見を取り入れるとともに、学術情報分析センターによるエビデンスに基づく分析も活用し、各事業についての検証を行い改善に努めることを期待するという点を記載してございます。
その他改善事項につきまして、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、各事業においては引き続き状況に応じて柔軟な対応を検討し、研究者が研究に専念できるよう、環境整備や支援に努めていただきたいということを記載してございます。
総合評定につきましては、全体の評定をAとしてございます。項目別の評定自体はBが多いのですが、中期目標上、重要度、難易度が高いとしております「世界レベルの多様な知の創造」の評価が極めて高いということですとか、国際関係事業の新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応などが、評価はBでありますが、高く評価するという先生方の意見もございまして、総合的に全体の評定は、昨年度と同様、Aとさせていただきたいと思ってございます。
説明は以上でございます。
こちらについて御意見、御質問等があればお願いいたします。
御意見等ないようですが、植田先生、よろしいでしょうか。

【植田座長】
はい。結構かと思います。

【松本課長補佐】
ありがとうございます。
それでは、こちらについても、この案で進めさせていただければと思います。
本日の主な議事は以上になります。
最後に、その他として資料3、今後のスケジュールについて説明をさせていただきます。
第2回有識者会合が本日終わりまして、今後のスケジュールですが、評価(案)につきまして9月に文科大臣へ説明の上、決裁を経て、9月中に振興会へ通知、公表することを予定してございます。
先生方の任期はもう少しございますが、会議体としての開催はこれで最後ということになります。
また、杉野局長が間に合いましたので、局長に一言挨拶いただきたいと思います。杉野局長、よろしくお願いいたします。

【杉野研究振興局長】
先月28日に研究振興局長を拝命しました、杉野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
また、本日は御多忙のところ、振興会の評価につきまして御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
先生方からいただきました御助言を踏まえまして、文部科学大臣としての評価コメントを確定いたしまして、振興会の業務の質のさらなる向上につなげていきたいと思っております。
先生方の御協力に重ねて感謝申し上げまして、簡単でございますけれども、私からの挨拶とさせていただきます。今日は本当にありがとうございました。

【松本課長補佐】
最後に、植田先生、一言お願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【植田座長】
本日も、こんなに暑い中、どうもありがとうございました。
この有識者会合というのは多分、2つの視点があります。ある意味で、大臣評価をしていただくための準備をしているわけですが、国民から見てどうなのかということが一つあるのと、もう一つは、科研費ですから、研究者コミュニティーの意見をどんなふうに反映しているかということが非常に重要なんだと思うんですね。
日本のJSPSがやってくださっている科研費審査というのは、日本の研究者から見ても、世界から見ても、割と公平性についてはあまり文句を言われたことがないんですね。ピアレビュー審査をするというのは、競争者の意見を聴いたりしながらやるわけで、どうしても利害が反する人たちが客観的に評価するということで、非常に難しいことをやっていくわけです。
その間を学術振興会が、適当に選んで、変な評価が出ないように、ある種、コントロールではないけれども、見張ってくださっていて、それに対する信頼性が結構高いというのが重要なんだと思っています。
今回は、3月までの評価で新型コロナの影響は始まったばかりでしたが、臨機応変の対応をしていただきました。これからますます大変になると思います。
しかし、こんなに複雑なシステムを運営しながら、それをぼろが出ないようにちゃんとやってくださっているのは、立派なものだと思っておりまして、その評価を一応ここで出したということで、今後ともよろしくお願いします。
どうもありがとうございました。

【松本課長補佐】
先生、ありがとうございました。
本日の会合は以上になります。今後、省内手続の際に、表現等の微修正が入る可能性はありますけれども、適宜、植田先生と御相談させていただきたいと思います。
先生方、本日はどうもありがとうございました。これにて終了いたします。

―― 了 ――
 

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