令和3年度 日本学術振興会の評価等に関する有識者会合(第2回) 議事録

1.日時

令和3年7月28日(水曜日)13時00分~15時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 令和2年度業務実績に係る評価について
  2. その他

4.出席者

委員

植田座長、秋元委員、岡村委員、加藤委員、東嶋委員

文部科学省

奥野振興企画課長、吉居振興企画課課長補佐、二瓶振興企画課学術企画室室長補佐、吉田学術研究助成課企画室室長補佐、鈴木人材政策課課長補佐、福島参事官(国際戦略担当)付参事官補佐、廣瀬大学振興課課長補佐 ほか

5.議事録

【吉居課長補佐】
それでは、13時になりましたので、始めさせていただきたいと思います。植田座長、よろしくお願いいたします。

【植田座長】
皆さん、こんにちは。それでは、ただいまから令和3年度第2回独立行政法人日本学術振興会の評価等に関する有識者会議を開催いたします。
本日は御多忙の中、御出席いただき、ありがとうございます。
前回の会議で承認いただいたとおり、今回の会議も公開で開催したいと思いますので、御了承くださるようお願いいたします。
まずは、本日の出席者及び留意事項等について、事務局より確認をお願いいたします。

【吉居課長補佐】
事務局でございます。
委員の先生方におかれましては、本日、全員御出席です。
事務局につきましては、こちら、奥野振興企画課長以下、各事業所管課の担当官がリモートにより参加しております。
なお、本日は、令和2年度業務実績に係る評価(案)について議論を行いますが、委員の皆様からの業務実績に関する御質問等に対応いただけるよう、日本学術振興会からも陪席いただいております。
そのほか、一般傍聴者の登録が本日は3名です。
会議資料につきましては、議事次第にあります配付資料一覧のとおりです。委員の先生方には事前に送付しておりますが、画面上にもこちらで操作して投影いたしますので、適宜御覧いただければと思います。
それから、本日の進行は座長の植田先生にお願いしております。委員の先生方におかれましては、今後の議事進行において質疑応答などございましたら、画面に向かって実際に手を挙げていただき、植田座長から御指名の上、御発言いただくこととさせていただきます。
その他の要領は、前回と同じですが、御発言される際にはマイクをオン、御発言が終わりましたらミュートにしていただきまして、発言ははっきり、ゆっくりとしていただきたいと思います。
事務局からは以上です。

【植田座長】
それでは、議事に入ります。
初めに、議題1、令和2年度業務実績に係る評価についてです。
前回は、業務実績等について把握・確認するため、日本学術振興会からのヒアリングを実施いたしました。その際、私から、新型コロナウイルス感染症を踏まえた各事業の柔軟な対応が自己点検評価・外部評価報告書の各所に記載されているため、それを集約できないかとコメントしました。そこで、振興会からは、自己点検評価報告書とは別に例年作成されている事業報告書の中で、コロナ対応に特化した資料を作成しているとの発言がありました。今回の評価においては、コロナが業務運営に与えた影響やその対応について丁寧に把握する必要があるという趣旨からも、当該資料について振興会から説明をいただいて、それも念頭に置いた上で、大臣評価案の審議に入っていきたいと思います。
それでは、資料の参考資料に基づき、振興会から御説明をお願いいたします。

【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
日本学術振興会経営企画部長の伊藤と申します。今お話のあったとおり、参考資料のほうで毎年度事業報告書を作って公表しておりまして、それに沿って説明させていただければと思います。191ページからになります。
はじめに、前回の会議におきまして返還金についていろいろ御質問もあって回答させていただいたのですけれども、そちらのほうで少々誤りがございましたので、訂正させていただければと思います。会議後に既に報告もさせていただいたのですけれども、前回、返還金の内容の例示として、特別研究員の採用辞退などに伴うものと発言したのですが、そうではなくて、例示といたしましては、学振のほうで委託事業として行っているものにつきまして、次年度といいますか、令和2年度に行った事業の精算に伴う過程におきまして返還金が発生したということでございました。申し訳ございませんでした。
では、191ページから、事業ごとに少々お時間をいただいて御説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
日本学術振興会研究事業部長、人材育成事業部長を兼任しております河野と申します。それでは、参考資料に基づきまして御説明さしあげたいと思います。ページ数としては192ページからお願いいたします。振興会の事業のうちで科学研究費助成事業、約2,500億円程度の予算で運営してございます本事業について、コロナ対応はどのような対応を行ったかについて簡単に御説明させていただきます。
冒頭からですが、科研費のところ、ポツの1つ目でございます。緊急事態宣言発出中にホームページ上で臨時の問合せフォームを開設というところでございます。この各機関の研究者の方々からいろいろと問合せ、また御質問等ございました。そういったときに、電話等ではなくてホームページ上で問合せができるようなフォームを開設し、例えば海外からでも容易に問合せができるようにしたという対応を行ってございます。
2つ目のポツでございます。令和2年4月から、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って寄せられた問合せへの回答を掲載し、随時更新を行って、先生方からの問合せに対応したというところでございます。
3つ目でございます。各大学・研究機関等におきましても、コロナの影響をかなり受けてございまして、そもそも校舎に入れないとか、研究室へ立ち入ることができなかったり、研究ができなかったりという状況もございました。そういった事業継続に困難を来すような実態を勘案しまして、振興会としては、科研費に伴うような各種提出書類といったものの締切の延長、申請手続の簡素化など、特例対応を行ってございます。以下の(1)から(7)まで特例でございます。簡単に御説明させていただきます。
(1)応募書類の提出期限の延長でございます。これは、各研究種目、例えば研究活動スタート支援、国際共同研究加速基金など、年度の冒頭から公募が始まっているようなものにつきましては、大体期間を2~3週間延長しました。その結果、約98%、96%という提出書類が延長期間中に提出されたといったことで、先生方に非常にお応えできていたのではないかと思っています。
(2)でございます。交付内定後の手続に係る提出期限の延長でございます。例年、科研費につきましては、4月1日からの交付内定ということで実施してございますが、それに伴いまして、交付申請書、また交付請求書という書類を提出していただく必要がございます。そういったものの提出期限を約1か月延長しまして、さらに延長後、提出が困難な場合に当たりましても柔軟に対応したということでございます。そういった延長期間に提出されたのが86%、研究成果公開促進費ですと、8割程度が延長期間中に提出されたということでございます。そういったものに対応したということでございます。
(3)でございます。令和2年度への繰越及び補助事業期間延長承認申請の延長ということでございます。これは、研究課題の繰越の申請または期間の延長の申請書、繰越承認申請に伴う経費の返納期限の延長、実績報告書、実施状況報告書等、こういったものを全て期間延長してございます。こういったものも、提出が困難な先生方につきましては、この期間に提出していただくということで対応を行ってございます。
(4)でございます。実績報告書等の提出期限の延期ということです。これにつきましても、例えば研究成果報告書、研究成果公開発表等、それぞれの延長期間に96%、89%という高いニーズがございまして、その延長期間に提出がなされてございます。
(5)でございます。交付申請の留保というところでございます。例えば、研究成果公開促進費というものがございますが、コロナの影響でシンポジウムの準備または開催日の検討が困難な場合には、交付申請を留保できるといった対応をして、例えば9月11日まで延長可能としたという対応を行ってございます。
(6)でございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を事由とする令和3年度への繰越申請書の様式を簡素化等、実施してございます。また、補助事業期間の再延長といったものを行いまして、繰越申請、繰越というのは科研費のいわゆる補助金事業の部分でございますが、繰越申請を受け付けたということで、これは例年より約2倍程度の申請が出てきてございます。それと、科研費を基金で実施しているものもございますが、補助事業期間の延長承認申請ということで、これも例年より1.6倍という対応でございます。
次の193ページをお願いいたします。その他でございますが、各研究を実施する先生方への対応だけではなくて、科研費を審査する審査委員の委嘱を例年してございますが、そういった場合の回答期限、科研費の審査委員を受けられるかどうかはちょっとコロナのために分からないといった御意見もいただきましたが、そういったものは期間延長等をして対応してございます。
科研費については以上でございます。

【小林副理事(兼)国際統括本部長(兼)国際事業部長】
続きまして、国際共同研究関係の事業に関する対応につきまして、日本学術振興会国際事業部長の小林から御説明させていただきます。資料は同じく193ページの2というところからでございます。
国際共同研究関係のうち、海外との二国間交流事業につきまして、セミナー等を実施する際に、令和元年度後半にコロナの影響があって研究が困難であった時期につきましては、委託期間を延長して、令和2年度においても引き続き支援するという柔軟な対応を行っております。
また、海外との行き来が難しくなって、オンラインを介したセミナーなどが中心になってきましたので、オンライン等を介した交流等の実施に必要な設備・備品に係る経費についても支出可能としております。また、委託費の50%以上を旅費に使用するという条件がございましたけれども、この条件を免除いたしました。また、弾力的な経費執行に対応するためということで、これも令和2年度の委託契約を令和3年度に延長して支出可能としております。この延長申請は、かなりの多くの事業について上がっておりまして、これらも認めているところでございます。また、事業終了後の報告書の書類提出期限も、緊急事態宣言下では期限通りの提出が難しかったということで、延長したところでございます。
併せて、3の日独共同大学院プログラムについても、同じく委託契約を令和3年度に延長することを可能としております。
また、4の国際共同研究事業につきましても、委託契約を延長可能としておりまして、また報告書の提出期限についても延長しております。
また、5の研究拠点形成事業、これも2か国以上の海外の国等を対象にした国際共同研究でございますけれども、これも委託期間の延長、あるいは先ほどの50%以上を旅費として用いる制限の免除、また委託期間を令和3年度に延長可能とするなどの柔軟な対応を実施したところでございます。
以上でございます。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
続きまして、特別研究員事業、同じく193ページの下、6番のところでございますが、本事業につきましても(1)で記載がございます書類の提出期限の延長等を行っております。
丸1としまして、例えば特別研究員に採用される場合は、在学証明とか学位取得証明等、御提出いただく必要のある採用手続書類がございますが、そういったものの提出がちょっと困難だといったところで、期限後も随時受け付けるという特例措置を実施してございます。
丸2としまして、申請予定者等からの要望を踏まえ、審査スケジュールや審査結果開示時期への影響も考慮するとともに、一部の審査委員には委嘱期間の延長依頼というものも行いまして、PD・DC・RPDそれぞれの申請書の提出期限の延長というものを実施してございます。
194ページをお願いいたします。(2)制度運用に係る特例取扱いの設定というところでございます。これは、採用中の特別研究員に対する対応でございます。
丸1から丸6までございますが、簡単に申し上げますと、丸1、コロナの影響で研究活動に支障が出た場合の採用期間の中断の特例措置ということでございます。中断は令和2年4月から遡って対応できるということなどの対応をしていまして、本件につきましては148人の申請者に対応を行ってございます。
丸2としまして、DCを対象としました、大学が延長を認める在学期間が、例えば6か月間ございますが、特別研究員の採用期間終了後も採用期間の延長を認める特例措置を実施してございます。この件につきましては、令和3年度の予算において別途予算を確保し、最長6か月間、奨励金等の支給ができるという対応も行ってございます。本件の特例措置の申請者は224人ということです。
丸3、海外渡航の延期を余儀なくされたCPDというクロスボーダーのポスドクの方を対象として、渡航義務期間の短縮に関する特例措置も実施してございます。
丸4としまして、これは令和3年度採用内定者への対応でございますが、令和3年4月1日において申請資格を満たさない場合、令和3年4月1日以降も引き続き採用内定者として取り扱うというような特例措置を設けたということで、既に通知を行って対応しているものでございます。
以上、5番、6番等もございますが、これは記載のとおりでございまして、その他、振興会の特別研究員の特例措置について、ホームページ等でまとめて記載し、利用者には分かりやすく周知を図って発信しているというところでございます。
195ページをお願いいたします。7番、海外特別研究員事業でございます。この事業につきましても、特別研究員等と同じような対応でございますが、実際、現地、海外に行っている方々への対応というところで、例えば1番目のポツでございますが、海外特別研究員に採用されても海外に行けない、また採用されない限りはほかの収入源がないという方からの要請がございまして、そういった方々への救済措置というところで、海外に行く支援でございますけれども、国内での採用を開始するという特例措置を実施しました。こういった方々への対応も、例えば国内で6か月間支援、旅費等を支給するという形、またプラスして延長採用ということで1年間認めるという特例措置を行ってございます。
また、海外にいらっしゃる方が日本に帰れない、または研究が終わらないという場合は、採用期間を延長し、また滞在費・研究活動費を追加支援するという特例措置も実施してございます。そういった方々に対しては、実績としては、令和3年3月末で85名の採用者に適用したというところもございます。
さらに、出産・育児に限定されている採用中断という制度がございますが、それについても、コロナの影響を理由とした中断というところも、特例として認めて適用したというところでございます。
それぞれ、海外特別研究員につきましても、記載のとおりの特例措置を実施し、振興会としては研究者の要望に寄り添っているということでございます。
8番でございます。若手研究者海外挑戦プログラムという博士後期課程の学生の海外渡航支援という制度もございます。これにつきましても、令和2年度は各国の入国制限の強化で渡航できないということもございました。そういった場合についても、渡航延期、一時帰国への柔軟な対応を実施し、特例措置を実施してございます。例えば、令和2年度採用者につきましては、翌年令和3年度に採用を開始するという特例措置を実施し、83名の採用者に適用したというところでございます。
次の外国人研究者招へい事業につきましては、国際事業部長から御説明します。

【小林副理事(兼)国際統括本部長(兼)国際事業部長】
国際事業部でございます。9の外国人研究者招へい事業につきましては、特に、令和2年度の冒頭に緊急事態宣言が出された関係で、募集回の申請受付期限を延長しております。また、その発令によりまして、一定の要件を満たす者に研究において支障が生じた場合に1か月延長を認める特例措置を実施しております。また、入国制限等がありましたので、この関係で来日期限を延長する等の特例措置を実施しております。また、それらの内容について、受入機関に通知するとともに、ホームページで公開しております。また、特に短期のプログラムにつきましては、その年の夏以降の通年あるいは本年度の参加を認めるということで、これも特例措置を講じたところでございます。
以上でございます。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
続きまして、196ページをお願いいたします。10番、日本学術振興会賞でございます。これは、推薦受付を4月1日~6日に行ってございましたが、そういったものの追加書類等を受付期間後も受け付けるなど、柔軟に対応したということでございます。
11番の育志賞でございます。こういったものも受付期間の延期ということで対応してございます。

【小林副理事(兼)国際統括本部長(兼)国際事業部長】
12の日中韓フォーサイト事業につきましても、委託期間の延長、それから旅費として用いることとする制限の緩和、また事前の申請により委託契約を令和3年度に延長する等の弾力的な措置を実施したところでございます。
あとは、13の研究者ネットワークの強化につきましては、例えば海外の外国人特別研究員経験者の同窓会などにおきまして、あるいは海外研究連絡センターで実施するセミナー等をオンラインで実施したり、日本人研究者に講演を依頼したりして学術交流を深めております。また、外国人研究者再招へい事業におきましても、51名の研究者を採用したところでございますけれども、入国制限等で来日が厳しい状況に鑑みまして、こちらも入国期限を延長する特例措置を実施しております。
以上でございます。

【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
経営企画部長の伊藤です。最後に、広報の関係につきましては、コロナに関連する対応としての特別のページも設けてきたところでございます。
以上のような形で、手続やスケジュールなどについて、その特例化、柔軟化を図りつつ、オンラインなどの活用なども行いながら、我が国の学術研究の進行に遅れが出ないようにいろいろ取り組んできたところでございまして、今後もそのようなことで、また役職員一同で取り組んでまいりたいと思います。
それと、すみません、先ほど返還金について、令和2年度事業の精算ということを申し上げましたけれども、元年度以前の事業に伴う精算でございました。度々申し訳ございません。
以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に対して何か御質問があればお願いいたします。
岡村委員、何か繰越のお金の問題については、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

【岡村委員】
ちょっと質問したいんですけれども、特に科研費の関係で各種届出を大分延長されましたけれども、多分令和3年度も同じような扱いにしていると思うんですが、これについて、振興会さん側の負荷というのはどのくらいかかっているんですかね。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
研究事業部からお答えいたします。かなり職員の負荷というのは、目に見えてというか、振興会でもテレワーク等はしてございまして、そういった中でできる限りの対応をしているというところ、また、こういった特例措置を行うに当たって、システムの改修または職員の出勤のシフト変更等、そういった面では多少負荷はかかっているというところでございます。

【岡村委員】
ある程度の負荷で済むなら、このコロナが終わった後も、各大学、4月はかなり忙しい状況ですので、若干この申請期を延ばしてあげると、みんなよくなるのかなという感じを受けました。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
ありがとうございます。振興会としましても、科研費等、例えば押印の廃止、また電子申請での各種手続の可能な対応とか、そういった面での省力化にも多少努力しているところでございます。先生方のニーズや影響等を踏まえまして、令和2年度で実施したコロナ対応についても鋭意精査して、翌年度以降も続けるかどうか検討をしてまいりたいと思います。
以上でございます。

【植田座長】
ほかに御質問はございませんか。手を挙げていただきたいのですが。

【吉居課長補佐】
加藤先生が挙手されております。

【植田座長】
では、加藤先生、お願いします。

【加藤委員】
加藤です。丁寧な御説明、ありがとうございました。本当に研究者に寄り添った御対応はすばらしいと思いますが、1点、195ページの海外特別研究員事業についてちょっと質問させていただきます。最初の部分に、海外に行けないからということで、日本国内で採用を開始する特例措置を実施したという説明をいただいたのですけれども、これは海外で行うはずの研究テーマを国内で行うということなんだと思います。これに対しては、研究者の申請でそのまま行ったのか、どのような審査というか、チェックをしたのかということについてちょっと御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
こちら、振興会からお答えいたします。195ページ、1番目のポツのところで記載してございました、日本国内で採用を開始する特例措置というものでございますが、これは、採用者の方からのニーズ、要望を踏まえまして、国内で最長6か月間研究して、それ以降、例えば延長する、または海外渡航可能であれば渡航するという形での支援をしてございます。それは、採用者からの申請に基づき実施しているというところで、こちらにも記載してございますが、33名の採用者に適用したというところでございます。

【加藤委員】
その国内での研究機関というのは、研究者が自分でセレクトして申請したという理解でよろしいのでしょうか。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
はい、そこはもう申請者にお任せしてございます。

【加藤委員】
海外特別研究員として、その研究課題に非常に近い研究ができるようなところを各研究員の方がお選びいただいたということでよろしいですね。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
はい、そのとおりでございます。

【加藤委員】
ありがとうございました。

【植田座長】
今のことは、実は研究者のキャリアに穴が空かないように配慮したと考えてよろしいでしょうか。海外で採用される前に宙ぶらりんになってしまうと、その間、フリーターになってしまうわけですよね。ですから、一応、海外特別研究員という名前になれば、それはちゃんとした研究者の身分が続いているということになるので。キャリアに穴が空くというのは結構厳しい問題なんですよね。そういう意味もあるのかなと私は思いましたが、違いますか。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
振興会でございます。海外特別研究員に応募して採用が内定された方が研究開始ということであれば、その時点で身分として海外特別研究員と経歴には書けますので、そういった意味では、経歴に穴が空くということは申請者に対してはなかったと思っております。

【植田座長】
そうですよね。これは「他の収入源がなく」と書いていますから、要するにパーマネントポストを持っていないわけですよね。ですから、もし採用されなければキャリアとしては、その間が抜けてしまうわけですよね。分かりました。
ほかに質問はありますでしょうか。どうぞ、岡村委員。

【岡村委員】
岡村です。いろいろな研究とか、採用とか、あるいは支給とかを大分令和3年度に繰り越したりしていますけれども、令和3年度の採用枠とか予算枠自体は変わらず、それにプラスということですか。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
それぞれ事業ごとに予算等は違いますけれども、繰り越せるものは繰り越し、採用をそのまま、例えば延期または渡航を年度内でずらすというものであれば、この年度内での対応を行い、例えば中断といった場合については、その分の研究資金というのは翌年度以降に執行するということもございます。こちらとしては、そういったものをある程度柔軟に対応したというところでございます。

【岡村委員】
そうすると、翌年度以降に申請しようとしていた人たちが不利になるとか、枠が小さくなるとか、そういうことはないということですね。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
令和2年度におきましては、予算等に基づきまして採用予定数を採用、また申請件数が若干減ったというところもございますけれども、ある程度採用数は確保したというところで、例年どおりの執行を目指したというところでございます。

【植田座長】
それでは、よろしいでしょうか。
それでは、これからの審議の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。

【吉居課長補佐】
事務局です。まず資料ですが、資料1-1と1-2が大臣評価書(案)の全体資料になります。資料2が、評価書(案)のうち、主務大臣による評価欄の内容だけを抜粋したものですので、資料2により確認を進めていきたいと思います。
資料2による項目別の評価につきましては、評価項目ごとに区切って、全体の運営に係る総論部分でありますローマ数字1の1・6・7、ローマ数字の2から4の部分と、各事業の内容に関するローマ数字1の2から5に分けて確認をしたいと思います。
以上でございます。

【植田座長】
それでは、各事業の内容について先に確認してから、その後で総論を確認したいと思います。
1の2、「世界レベルの多様な知の創造」から、事務局より説明をお願いいたします。

【吉居課長補佐】
御説明します。資料2の一番左側に通し番号を、今、画面には6と表示されておりますが、この通し番号で説明を進めさせていただきたいと思います。それから、委員の先生方には、各委員から提出された意見をお手元に印刷して御用意くださいというお願いをしておりましたが、その資料の一番左側にも同じ番号で通し番号が振ってございますので、今の画面でいいましたら、6番に対する各委員からの意見はお手元の紙資料の通し番号6に載っていますので、適宜照らし合わせながら御確認いただければと思います。
それでは、6番は柱の事項ですので、その中身の補助評定の7番から確認します。7番は、(1)科学研究費助成事業の充実・強化に資する取組の推進ということで、大臣評価(案)というところですが、これが補助評定となりまして、sとしてございます。右側の主務大臣による評価(案)ですが、一番上、補助評定に至った理由というところで、丸1、審査・評価の充実というところでポツの1つ目ですが、科研費の審査業務については、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、短期間でオンライン審査環境を整備し、ピアレビューを適切に機能させながら遅滞なく審査業務を着実に実施したこと、それから中ほど、丸2、助成業務の円滑な実施というところで、ポツの1つ目、科研費に係る提出書類全てについて押印を廃止するとともに、紙媒体での提出も求めないこととしたことは、委員からも高く評価する意見が寄せられているところです。そのほか、委員からコメントをいただきました内容につきまして、一番下のその他事項というところで有識者の意見等という形で記載しておりますが、2行目、オンライン形式の審査の導入や挑戦的研究における二段階書面審査の活用など、新型コロナウイルス感染症に伴う審査運用の変更による効果や影響を検証し、審査制度の改善に努めることを期待すること。また、このページの一番下ですが、研究成果報告書のダウンロード数が前年度に比べ大幅に増加している状況も踏まえ、さらに効果的な情報発信方法等を分析・検討いただき、研究成果が社会に還元され、より多くの人に活用される仕組みづくりを強化していただきたいということを記載しております。
以上が通し番号の7番でございます。
続いて、8番に参ります。8番は、(2)研究の国際化と国際的な共同研究等の推進でして、補助評定はaとしております。その補助評定に至った理由といたしましては、ポツの1つ目、コロナの影響を受けた各事業において、期間延長など、各課題に対して柔軟な対応に努めたこと、それからオンライン形式の審査・評価等を実施し、学術国際交流や国際研究ネットワークを停滞させず構築・維持・強化させたこと、それから2つ目のポツ、国際共同研究事業について、海外3か国それぞれとリードエージェンシー方式を導入したプログラムの実施について協議し、UKRIとは募集要項の合意に至ったことは、高く評価できるとしました上で、一番下のその他事項ですが、委員からの御意見を踏まえまして、このような意見を載せております。「文化的・歴史的背景の異なる世界各国の学術振興機関との交流・協力は、ボーダーレスにつながっている学術活動の理解と支援に不可欠の活動である。相互交流から得られた知見を深く分析し、我が国の学術振興に役立てることを期待する」と記載しております。
以上が8でございます。
続いて、9番、(3)学術の応用に関する研究等の実施で、補助評定はbとしております。今後の課題・指摘事項ですが、中段、先導的人文学・社会科学研究推進事業について委員からもコメントが寄せられておりまして、一番下のその他事項に、有識者の意見等といたしまして、「人文学・社会科学を軸とした学術知共創は簡単な課題ではなく、本当に重要な問題を見いだすことから始めるべきである。その評価は、英文による論文発表数のような指標で十分に測れるものではないため、日本ならではの学術情報発信につなげる必要がある」と記載しています。
以上の補助評定を踏まえまして、先ほどの6番の柱の評価に少し戻っていただきます。以上の7・8・9の補助評定を踏まえまして、6番、「2.世界レベルの多様な知の創造」の柱としては、大臣評価(案)はAとしております。右側の評定に至った理由欄には、今ほど御説明しました内容が記載されています。それから、下のその他事項ですが、委員から総括としてのコメントもいただいておりますので、有識者の意見等としまして、「科研費に係る提出書類全てについて押印を廃止するとともに、紙媒体での提出も求めないこととしたことは、単に事務作業の効率化のみならず、従来の紙ベースの審査からの文化的脱却も意味し、審査委員らに対する電子的な審査体制の教育をも含んでいる。この取組は、学術論文の審査制度がペーパーレスに移行している中において、我が国の学術審査体制を国際化するためにも大いに寄与する」。それから、下段ですが、「人文学・社会科学分野における世界の共通土台を形成・発展させるには、長期にわたって継続することが重要である。課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業については、事後のフォローも含め、基盤形成のサポートをすることを期待する」としております。
事務局からの説明は以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について御意見、御質問などありましたら、画面に向かって手を挙げていただきたいと思います。
なお、これ以降の項目を含め、特に本会合の意見として、主務大臣による評価欄に反映すべき内容がこれらで適切かどうかの観点から御意見をいただきたいと思います。もちろん、このAとかBとかという評価についても、御意見があれば言っていっていただいて結構です。
それでは、御意見をお願いいたします。
私からは手を挙げているかどうかは見えないので、事務局のほうで指していただけますか、手を挙げられたら。

【吉居課長補佐】
承知いたしました。

【植田座長】
では、特に問題はなさそうなんですが、私が結構コメントを書いたので、ちょっと言わせていただきます。ある意味では、今回のコロナの問題は、ペーパーレス化に関しては、災い転じて福と成すとしないといけないチャンスだと思うんですね。学術分野によってかなり差があるのですけれども、世界のレビューというか、審査体制というのはみんなペーパーレスなんですね、もう既に。ですから、そういうものにどうやって対応していくかというので、科研費の審査とか、こういうものが変わっていくと、一番日本では影響が大きい。これがスタンダードで変わっていきますので、ぜひこれをうまく広げて、根づかせていただきたいと私は思っております。
ほかに御意見はありますでしょうか。

【吉居課長補佐】
先生、特に挙手はないようでございます。

【植田座長】
そうですか。それでは、この内容で進めさせていただいてよろしいでしょうか。
では、それで進めさせていただきたいと思います。
それでは次に、1の3、「知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成」について、事務局から説明をお願いいたします。

【吉居課長補佐】
通し番号の11番から御説明します。
11番は、(1)自立して研究に専念できる環境の確保ということで、特別研究員事業に関するコロナ対応についてまとめております。ポツの1つ目ですが、コロナの影響を踏まえまして、申請期限を可能な限り延長する一方、例年のスケジュールから遅れることなく採用内定者の決定・通知を行った、それから数々の特例措置を設定したことによりまして柔軟な対応を実施したことを挙げ、各委員からも、これらを高く評価するコメントを頂戴しているところです。
続きまして、12番に参ります。(2)国際舞台で活躍する研究者の養成です。補助評定はaとしております。補助評定に至った理由としましては、ポツになりますが、コロナの拡大によりまして、海外特別研究員事業では採用期間延長や申請書の提出期限延長、若手研究者海外挑戦プログラムでは一時帰国の特例措置、申請書の提出期限延長、それから外国人研究者招へい事業では、採用期間の延長、来日期限の延長、申請書の提出期限の延長などを行いまして、高く評価できるとしております。また、今後の課題・指摘事項につきましては、「引き続きコロナの影響の下、柔軟な対応を期待する」という指摘事項を挙げてございます。委員からは、語句の修正の指摘のみでございました。
続いて、13番、(3)研究者の顕彰・研さん機会の提供ですが、補助評定はbでございます。委員より、コロナ禍での事業実施を評価しつつ、その他事項欄になりますが、「オンラインに適したシンポジウムについては、新型コロナウイルス感染症の終息後においても、積極的にオンラインによる取組の継続の可能性について検討していただきたい」という意見を記載しております。
続いて、14番、(4)研究者のキャリアパスの提示ですが、補助評定案はbでございます。こちらは委員より特にコメントはございませんでした。
柱に戻りまして、10番、「3.知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成」としましては、項目としての評定案はAとしております。
説明は以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について御意見、御質問等ありましたら、画面に向かって手を挙げてください。
特にありませんか。
オンラインでいろいろな会合をやるのも、この間いろいろ習熟してよくなってきたと思うんですが、その一方で我々の研究者の立場からすると、Face to faceの会合の重要性というのもすごく分かってきたんですよね。だから、オンラインで講義をしたりするときも、相手が顔が見えている、知っている人だったらちゃんと情報が伝わるのだけれども、初めてで、今まで会ったことのない学生が来て、それに講義をやっていると、手応えがないというか、本当にコミュニケーションできているのかという感じになってしまうので、形だけつくったってこういう情報は伝わらない。そういう意味で、改めてFace to faceの会合の重要性も知ったという感じはします。どっちかだけでいいわけではないので、いいのをちゃんとうまく組み合わせてやっていただきたいと私は思います。
それでは本項目の確認はここで終了させていただきますが、これでよろしいでしょうか。
それでは、この内容で進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
次に、1の4、「大学等の強みを生かした教育研究機能の強化」について、事務局より説明をお願いいたします。

【吉居課長補佐】
16番から御説明します。16番は(1)世界最高水準の研究拠点の形成促進でして、補助評定はaとしております。理由としましては、委員より、WPI事業について、継続認定の際に初めての外部評価を実施したことが評価できるというコメントをいただいておりますので、そのポツですが、コロナにより従来の対面による現地視察等が難しくなっている中、評価・管理業務等に関して平時に劣らずきめ細やかに対応したことは高く評価できるとしております。
続きまして、17番、(2)大学教育改革の支援でございまして、補助評定の案はaとしております。理由としましては、卓越大学院プログラム、大学教育再生加速プログラムなどの事業につきまして、通常の審査・評価業務を行うほか、2つ目のポツの中ほど、「さらに」というところからですが、コロナの影響下において、大学の負担を考慮し、報告書や事後評価調書の締切を延長する措置を取る一方、オンラインを活用しながら各事業における審査・評価業務を全て滞りなく実施できた点はポストコロナも見据えた成果であると高く評価できるとしております。それから、委員からコメントも頂戴しておりますので、一番下のその他事項欄に、「知識集約型社会を支える人材育成事業において、学部教育を対象にした国の助成事業としては初めてとなるPOを配置した効果についても今後の検証に努めていただきたい」と記載しております。
続きまして、18番、(3)大学のグローバル化の支援ですが、補助評定の案はaでございます。大学の世界展開力強化事業、それからスーパーグローバル大学創成支援事業につきまして、新型コロナウイルス感染拡大の影響を最大限に抑える工夫を行って、適切に評価が行われたことは評価できるとしております。
以上が補助評定でございまして、15番、柱に戻りまして、この4番、「大学等の強みを生かした教育研究機能の強化」の柱といたしましては、項目としてAという評価案をつけております。右側の理由は、今申し上げたとおりですが、委員から全体的な御意見としていただいた内容をその他事項に記載しております。その他事項、有識者の意見等ですが、「大学等の強みを活かした教育研究機能の強化を振興会が担当していること自体が、振興会の学術活動に関する評価能力が評価され、大学の教育・研究機能の評価に役立つと認められている証拠であり、実際に大学と協力しながら、新型コロナウイルス感染症の影響がある状況下でも、客観的評価に努めたことは高く評価される」と記載しております。
説明は以上でございます。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について御意見、御質問等ありましたら、手を挙げて質問してください。
別に担当でなくても構わないのですけれども。加藤委員、何かありますか。

【加藤委員】
今の案でよろしいと思いますが、私は、学部教育を対象にした国の助成事業として初めてプログラムオフィサーを配置したというのは、すごく高く評価できるのではないかと思っています。
以上です。

【植田座長】
ほかの委員の方で御意見、御質問のある方はおられませんか。
それでは、これも、項目の確認はここで終了してもよろしいでしょうかね。
それでは、この内容で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
次に、1の5、「強固な国際研究基盤の構築」について、事務局より説明をお願いします。

【吉居課長補佐】
通し番号の20番です。(1)事業の国際化と戦略的展開につきましては、補助評定はbとしています。国際共同研究等に係る活動についての項目でして、具体的には、国際統括本部の開催、各国の学術振興機関との情報交換などですが、委員からの意見がございましたので、その他事項、有識者の意見等に記載しています。「学術研究がボーダーレスに展開されている今日においては、国際社会との交流は、本来、個々の研究者自身の国際的活動でネットワークが形成・拡大されていくべきものである。しかしながら、それが不十分に見える現在の状況においては、このような国際化支援と戦略的展開がいましばらく必要な活動であり続けると思われる」としております。
続きまして、21番、(2)諸外国の学術振興機関との協働は、補助評定案をbとしておりまして、委員からのコメントも特にございませんでした。
続いて、22番、(3)在外研究者コミュニティの形成と協働です。こちら、振興会の事業経験者によるコミュニティの諸活動についての部分ですが、委員からコメントをいただいておりまして、その他事項の部分に、「JSPS同窓会等の研究者コミュニティの形成は、時間を要するものの、将来的に指導者ネットワークにもつながる重要な活動であり、継続的な支援が必要である」としております。
23番、(4)海外研究連絡センター等の展開につきましては、補助評定案はbとしております。こちらにつきましても、委員から特段コメントはございませんでした。
19番、本項目の柱といたしましては、「5.強固な国際研究基盤の構築」として、Bとしています。委員からコメントを頂戴しており、その他事項の部分に、「国境を持たない学術活動そのものの特質の一方で、各国固有の歴史や文化という背景が反映する学術研究の特質からも、世界各国との協力の下、国際的な展開を図ることはますます重要となっている。これらの国際的活動の基礎は、学術研究そのものが、国を超えた国際的な存在となっていることを強く意識していただきたい」と記載しております。
説明は以上でございます。

【植田座長】
どうもありがとうございました。
それでは、今の説明について御意見、御質問などありましたら、手を挙げて発言していただきたいと思います。
いいでしょうか。
私はコメントを書いたので、もう少し付け加えて説明をさせてもらいます。学術振興会がこういう国際化のことをいろいろサポートしてくださるのは非常にありがたいことで、いい活動なので、高く評価したいのですが、ただ、本来的に言えば、これはなくなったほうがいい活動なんですよね。研究者自身が個別にも全体に国際的な活動をやって、何もこういうサポートがなくたって、本来的につながっているというのがあるべきもので、これはある意味では論理矛盾を持った活動だと私は思っています。だから、もちろん、これはスタートアップをやったり、サポートしたりしてくださっているのですけれども、個々の研究者には、自分らでちゃんとやれよというメッセージを出したほうが私はいいような気がしていて、若い人たちにはそのように言っております。別にこれは、この活動についてネガティブな評価をしているわけでは全くなくて、だけれども、研究者の在り方からいえば、そんなものはなくてもできるのが本来だと言いたかっただけです。これは老人の繰り言です。
ほかに御意見はありますでしょうか。特に問題がなければ、進んでいきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、この内容で進めさせていただきます。
ここからは総論の確認に入りますが、1の1、「総合的事項」について、事務局から説明をお願いいたします。

【吉居課長補佐】
御説明いたします。通し番号の3番から参ります。
3、(1)研究者等の意見を取り入れた業務運営、補助評定案はbとしています。委員からいただいたコメントを、その他事項に記載してございます。「振興会の目指す大きな方向性として世界レベルの知の創造や事業の国際化と戦略的展開などをうたっていることから、法人運営に係る会議体などにおいても外国人の視点を入れることも考慮してはどうか」としております。
それから、4番、(2)第一線級の研究者の配置による審査・評価機能の強化、こちらは、補助評定案はbとしています。委員からも、bで妥当というコメントを頂戴しております。
それから、5番、(3)学術研究の多様性の確保等です。補助評定案はb。真ん中の今後の課題・指摘事項の部分で、委員からの御指摘を踏まえまして、「法人運営に係る会議体などにおいても女性の参画を増やし、外国人の参画も考慮しながら、引き続き学術研究の多様性の確保に貢献していくことを期待するとしています。
2番に戻りまして、本事項といたしましては、「1.総合的事項」ですが、大臣評価はBとしています。真ん中の指摘事項、業務運営上の課題及び改善方策ですが、「新型コロナウイルス感染症の影響下においても、学術システム研究センターの研究者も含め、情報セキュリティの確保に留意した上で、リモートによる業務体制を整備し、オンライン会議等も活用しながら効率的かつ着実に業務を実施したと認められる。今後も効果的な業務体制を維持しながら、多様な研究者の知見を取り入れるとともに、エビデンスに基づいて分析・検証し、業務運営状況が改善されていくことを期待する」としております。また、委員から頂戴しましたコメントにつきまして、その他事項に、「振興会の業務運営の基本である学術の特質に配慮した事業の推進にあたり、新型コロナウイルス感染症の影響下においても、研究者に寄り添った運営がなされたことを高く評価する」と記載しております。
説明は以上です。

【植田座長】
ありがとうございました。
ただいまの説明について御意見、御質問をお願いいたします。

【吉居課長補佐】
特に意見はないようでございます。

【植田座長】
そうですか。では、特に御意見は、皆さん、これでいいということだと思いますので、それではこの内容で進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。
それでは、どうもありがとうございました。
それでは次に、1の6、「総合的な学術情報分析基盤の構築」について、事務局から説明をお願いいたします。

【吉居課長補佐】
25番、(1)情報の一元的な集積・管理、補助評定案はbです。情報セキュリティ確保に関する方策や、データの取扱い等に関する事項になりますが、委員からも、b評定が妥当との御意見を頂戴しています。
26番、(2)総合的な学術情報分析の推進ですが、こちらも補助評定案はbです。今後の課題・指摘事項ですが、2段落目、「各種事業に係る情報の把握・分析においては、制度改善や変更点による影響も丁寧にフォローアップするとともに、長期的な視点で振興会の事業が我が国の学術研究・基礎研究の振興にどのように貢献しているのか、積極的に発信していただきたい」としております。また、委員からも発信力の強化について御意見を頂戴していますので、有識者の意見等というところにその旨を記載しております。
続きまして、27番、(3)学術動向に関する調査研究の推進ですが、補助評定案はbとしています。今後の課題・指摘事項としまして、委員からの御指摘も踏まえまして、「新型コロナウイルスの感染拡大前後における学術研究動向の変化等は重要な視点となるため、今後の調査研究の実施に当たって着目することも考えられる」としています。
24番に戻りまして、本事項、6番といたしましては、「総合的な学術情報分析基盤の構築」はBとしています。
説明は以上です。

【植田座長】
どうもありがとうございました。
ただいまの説明について御意見、御質問等ありましたら、画面に向かって手を挙げていただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
これは結構、何年か前からかなり力を入れて、エビデンスに基づいた改革をしようとしてきました。そのためにはまずデータを集めることが大事ですから、内部にこういう部署、研究センターをつくってやってきたわけです。それが効果を上げるにはまだもうちょっと時間がかかるかもしれませんけれども、着実に進んでいると思いますので、これでよろしいかと思います。
それでは、もしこれでよければ、本項目の確認はこれでいいことにさせていただきます。
それでは、この内容で進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
次に、1の7、「横断的事項」について、事務局から説明をお願いします。

【吉居課長補佐】
御説明します。29番、(1)電子申請等の推進、補助評定案はbとしています。今後の課題・指摘事項にあるとおり、「電子申請システムの対象とする事業や手続を着実に拡充するとともに、政府における行政手続の押印等見直しの動きも踏まえ、その他の各種様式についても電子化の取組を推進させたことは評価できる」としまして、このほか、特に委員からのコメントはありませんでした。
続いて、30番、(2)情報発信の充実はbとしております。公募やコロナ対応などに関する情報の提供、パンフレット、メールマガジンなどの取組に関する事項ですが、今後の課題・指摘事項にありますとおり、「各事業における提出書類の柔軟な取扱いや特例措置の対応について、振興会ホームページに速やかに掲載し、情報発信したことは評価できる」、2段目、「『ひらめき☆ときめきサイエンス』は、交付申請留保の仕組みを設けており、プログラムの準備や開催日の検討が困難となった研究者のニーズに応えた」、それから3段落目、「振興会ホームページについては、改定されたウェブアクセシビリティガイドラインを踏まえ、引き続き改善に努めていただきたい」という記載にしています。
31番、(3)学術の社会的連携・協力の推進はbとしております。産学連携に関する取組についての部分ですが、委員から頂戴しましたコメントを踏まえまして、その他事項に、「産学協力委員会、産学協力研究委員会が精力的に活動し、研究開発専門委員会においては先導的な研究課題について調査審議を行うなど、新型コロナウイルス感染症の影響下でも、着実に事業を運営した」と記載しています。
32番、(4)研究公正の推進ですが、こちらもbとしております。今後の課題・指摘事項におきましては、「研究公正の推進は、事業の根幹に係る重要事項である。振興会においては、その取組を着実に実施しており、成果を上げていると思われる。引き続き、研究不正防止に向けた取組を継続する必要がある」としています。
33番、(5)業務の点検・評価の推進ですが、こちらもbとしています。委員から評価の体制につきましてコメントを頂戴いたしましたので、その他事項欄で「外部評価委員会等の構成及び実施体制について、専門的な視点や多様性も考慮しつつ、今後検討いただきたい」と記載しています。
28番にお戻りいただきまして、本項目全体としましては、7番、「横断的事項」はBとしております。このようにまとめています。
説明は以上です。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見をお願いいたします。岡村委員、どうぞ。

【岡村委員】
まず、32番で、科研費の実地検査を38件実施ということなんですが、38件にした根拠とか、あるいはこのサンプルを選んだ具体的な理由とか、その辺はどうなっていますでしょうか。

【吉居課長補佐】
振興会からお願いします。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
振興会からお答えいたします。岡村委員から御指摘のございました実地検査につきまして、回答でございます。
振興会における実地検査につきましては、科研費事業の実地検査の実施要項というのが文科省において定められてございます。その実施要項に基づきまして、対象機関を決めてございます。その実施要項の中では、1つ目としまして、過去に不正等による返還等を行い、文科省または振興会に報告した再発防止策の実施状況を確認する必要があるといった機関。2つ目として、過去の実地検査において法令、科研費に係る規定、ガイドラインに抵触しているような疑いのある事項が認められたようなところで、改善状況を確認する必要がある研究機関。3つ目として、その他でございまして、実地検査が必要だという機関。今の3点に該当する機関を選びまして、昨年度は38件だったということでございます。
この件数が少ないのではないかという御指摘ではございますけれども、この実地検査に当たりましては、こういった実施要項に基づきまして、文部科学省と振興会が実地調査を行うということで、ある程度リスクが高い研究機関を選び、その機関を中心に、対象を絞って重点的に行っているというのが現状の実態でございます。
もう1点補足しますと、例年は60件程度、60機関程度でございますけれども、昨年は、こちらも新型コロナウイルスの影響により、各機関のほうが結構そういった感染症対策で大変だったということと、今回は現地に行けないこともございましたので、各研究機関から資料を一式、コピーで送っていただくという対応も必要となりましたので、ある程度研究機関・大学等の負担は大きくなることも考慮し、実地検査機関が例年より少なくなったという状況でございます。
以上でございます。

【岡村委員】
今のお話ですと、要するに研究公正、科研費の使われ方が適正かどうか、公正かどうかという全体的な観点ではなくて、問題があったところにその後に行ってみるという感覚で、必ずしも全体的な公正のための検査ではないということですね。

【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
はい。この実施検査の要項に基づきまして、そういったリスクの高いところということで、網羅的な調査、悉皆的な調査ということではなく、そういったところを重点的に行い、改善に努めたというところでございます。

【岡村委員】
分かりました。
それからもう一つ、33番なんですが、あとのローマ数字の項目の方でも出てきますけれども、業務の効率化とか、要は、外部評価委員会の方たちが評価したものがこの有識者会合に上がってくるという流れだと思うんですが、その外部評価委員会の方たちの評価の審査の会議においては、この評価書以外のどういうものが提出されて、どういう説明をされているのでしょうか。

【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
経営企画部の伊藤でございます。
こちらにつきましては、基本的には今の有識者会合のほうにお示ししているものが中心でございます。それからあとは、いろいろな意見の中で、監事に自己点検とか外部評価などには参加していただいていまして、監事のほうからも御発言いただいているところでございます。また、財務関係のところにつきましては、法定監査の状況などもお話しさせていただきながら、全体として評価をしていただいて、有識者会合のほうにお示ししているということでございます。

【岡村委員】
そうしますと、外部評価委員会においては、この自己評価書の具体的な記述について、事実がどうであるとか、どうしてこういう表現になっているかとか、そういうところまでのより基礎的な証拠に基づいた検証等は行われていないということですか。

【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
基礎的な資料とかというのは、どういったものを想定されていますでしょうか。

【岡村委員】
ちょっと後で出てくるんですけれども、一般管理費の比較で今回、ちょっと先走りますけれども、いいですか。

【植田座長】
どうぞ。

【岡村委員】
具体的に、前年度の予算と今年度の予算を比べて、目標を削減できましたという回答を追加資料でいただいたのですけれども、通常、こういうものは実績の評価には絶対になり得ない。予算と予算を比べて実績の評価などということは、通常、一般社会ではあり得ないと思うんですね。そういうものが自己評価書としてすんなり通ってくる。外部評価委員会も、それにオーケーを出したわけですよね。これでいいのかと。やはり、この自己評価書の中身をちゃんとチェックする作業チームが要るのではないか。その作業チームの結果を外部評価委員会の方たちに報告して、それに基づいて外部評価委員の方たちに評価していただいたほうがよろしいのではないかという意見を持っています。

【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
委員会の枠組みというのはいろいろあると考えているところでございますけれども、財務のところにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、法定監査の中で、我々におきましてはトーマツにお願いしているのですけれども……。

【岡村委員】
すみません。申し訳ないです。法定監査は関係ないです。会計の適正性ではなくて、管理会計の話をしています。

【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
そちらのところにつきましては、ほかの法人の状況なども踏まえまして、またちょっといろいろと検討させていただければと思います。

【植田座長】
ほかに御質問はありませんか。
それでは、確認はここで終わっていいですか。そうすると、今の問題については、どうしますか。少し振興会と文科省と相談していただけますか。

【吉居課長補佐】
承知いたしました。会議が終わりましてから少し相談させていただきまして、その内容を座長と各委員にもお伝えするようにさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【植田座長】
それでは、どうでしょうか。これで今の議論を踏まえて、主務大臣による評価欄の修正をするかどうかも含めて、私に預からせていただいてよろしいでしょうか。事務局とちょっと調整して、学術振興会等も含めて、どのように対応するかということを議論して、その結果を皆さんにも回して、最終的に決めたいと思いますが。

【吉居課長補佐】
東嶋先生が挙手をされています。

【植田座長】
そうですか。では、東嶋先生、どうぞ。

【東嶋委員】
今の議論を伺っていまして、外部評価委員会のところですけれども、このその他事項というところで、有識者の意見等というので、岡村委員と、それから私の意見をまとめるような形で、「外部評価委員会等の構成及び実施体制について、専門的な視点や多様性も考慮しつつ、今後検討いただきたい」と書いてありますので、今の岡村委員の御指摘もここに含まれるのではないかと考えられますので、私としては、特段これを変えてさらに回答を求めるということは要らないように思いますが、岡村委員、いかがでしょうか。

【植田座長】
どうぞ。

【岡村委員】
文章としては、この書き方になるのかなと。今、あまり具体的な計画もないでしょうし。ただ、ここの補足説明として、こういうことを言っているんですよということを振興会の方に理解していただいて、できればもうちょっと具体的な回答を、ここではなくて、別途文書でもメールでもいいんですけれども、いただけたらと思います。

【植田座長】
分かりました。では、そういうことで、今回の主務大臣による評価のところはこの文章でいって、だけれども、これは学術振興会には、今、岡村委員がおっしゃったことをもう伝えてありますので、それに対する対応を文科省と一緒にちゃんと戻していただくと。これはある意味では、この前も言いましたように、必ずしもここに載せるための文章を皆さんに下さいというわけではなくて、それとは独立に学術振興会にアドバイスをするというようなものは幾らでも出していいということにしてありました。そういうことはサブチャンネルで処理したいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、内容としては、このままでいくことにいたします。この内容で進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
最後に、ローマ数字の2「業務運営の効率化に関する事項」、3「財務内容の改善に関する事項」、4「その他業務運営に関する重要事項」について、事務局より説明をお願いいたします。

【吉居課長補佐】
ローマ数字の2、3、4と続けて御説明をいたします。
35番からですが、35番は黄色に塗ってありますけれども、これが今まで見てきた資料で言えば補助評定に当たる部分です。
35番、「1.組織の編成及び業務運営」につきましては、bとしています。
36番、「2.一般管理費等の効率化」につきましては、今ほども少し話がございましたが、補助評定はbとしています。
前回、岡村委員より御質問がございまして、その御説明におきまして、下の有識者の意見等に書いてありますが、一般管理費の効率化については、効率化対象経費の執行実績を比較しても、一般管理費についてはマイナス3%以上、その他の事業費についてはマイナス1%以上の効率化を達成していることを確認していただいています。また、次期の中期目標に向けまして、効率化対象経費の範囲については、限られた額であるため、毎年度の削減効果も検証しつつ、次期中期目標の確定に向けては改めて検討する必要があるという御指摘をこちらに記載しています。
37番、「3.調達等の合理化」はb、それから「4.業務・システムの合理化・効率化」もbといたしまして、34番、ローマ数字2「業務運営の効率化に関する事項」としましてもBとしています。
それから、39番以降、ローマ数字の3ですが、40番、「1.予算、収支計画及び資金計画」につきましてはbとしています。
したがいまして、39番、ローマ数字の3、「財務内容の改善に関する事項」につきましてもBとしています。
この部分につきましては、返還金につきまして、過年度概算払いの今年度精算による返戻金という説明があったものの、それが臨時利益とならない理由について岡村委員より御指摘がございましたので、この場でJSPSから補足の御説明をいただきたいと思います。

【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
総務部長としての伊藤でございます。返還金につきまして、臨時利益としないことでございますけれども、本振興会におきましては、委託による実施事業というのが毎年度ございます。それに付随して発生いたします過年度実施事業の精算の戻し金といいますか、そういったものも毎年度経常的に発生しているというところでございまして、そういったことも踏まえまして、臨時利益ということではなくて、業務活動に伴う経常的な収益として整理しているところでございます。
以上でございます。

【植田座長】
今の説明でよろしいでしょうか。

【岡村委員】
分かりました。経常性があるということですね。金額的にもそれほどではないということで、こういう処理をしているという理解でよろしいですね。

【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
おっしゃるとおりでございます。

【岡村委員】
分かりました。

【植田座長】
それでは、別の御意見、御質問があればお願いいたします。どうぞ。

【岡村委員】
すみません。先ほどちょっと申し上げた一般管理費の効率化のところですが、最初、前回の有識者会議で質問させていただいた回答がありまして、それには、「効率化を図るために、前年度予算と当該年度予算を比較する方法に変更しております。予算編成の時点で効率化が加味されているため、当該予算の範囲内で初期の業績を達成できたものとみなせるのであれば、特段問題はないと判断します」という回答が来て、さっき申し上げたように、実績の削減の評価をするのに、予算と予算を比べて、それで達成できたという話は、これは全然通用しない話なので、このままですとこの項目はd評価ですよということを文科省さんを通じて申し上げました。
結果的にこういう表現になったのは、その後に来た実績と実績を比べた比較表で、一般管理費が20%削減されて、事業費も特殊運用を除いても2%削減されていて、実績があったので、実質的に判断して、これはb評価でも致し方ないなということで、こういう表現にさせていただきました。したがって、これを来期も続けられると、今回はもう一度申し上げたので、全然考慮の余地がなくなりますので、よろしくお願いいたします。

【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
御指摘、ありがとうございます。総務部長の伊藤でございますけれども、実績同士を比べるということにつきまして、おっしゃることはごもっともだと思います。ただ、同じ内容を行っているものばかりではないというところもございまして、なかなか難しいところではございます。また一方、契約の調達などにおきましても、いろいろと合理化について取り組んでいるというところも御理解いただければと存じております。いずれにいたしましても、ちょっといろいろと検討させていただければと思います。ありがとうございました。

【植田座長】
今、岡村委員がおっしゃったように、来年度はどのようにちゃんと表現するか、ちゃんと考えてやっていただきたいと思います。
ほかに御意見はありますでしょうか。
なければ、では本項目の確認はここで終了いたします。この内容で進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

【吉居課長補佐】
すみません。最後のローマ数字4のまだ説明ができておりませんでしたので、よろしいでしょうか。

【植田座長】
どうぞ。

【吉居課長補佐】
申し訳ございません。
通し番号の45番、「1.内部統制の充実・強化」につきましては、評価としましてはbとしています。政府のコロナウイルスの対処方針に基づきまして、感染に係るリスクの評価と非常時優先業務を勘案して法人の内部統制を行い、業務運営体制を適切に維持したことは評価に値するとしています。
46番、「2.情報セキュリティへの対応」ですが、補助評定案はbとしております。委員からの御指摘を踏まえまして、「情報セキュリティ・ポリシーの見直し、外部専門家によるセキュリティ監査、研修や自己点検等、情報セキュリティ確保のための対策を適切に実施しており、これらについては高く評価できる」と記載しています。
48番、「4.人事に関する計画」につきましては、bとしています。
それから、50番、「積立金の使途」につきましてもbとしておりまして、44番、ローマ数字の4、「その他業務運営に関する重要事項」としましてはBとしています。
以上でございます。

【植田座長】
では、今の追加のものについても、御質問があればお願いいたします。
よろしいですか。では、これも含めて、このままで進めさせていただきたいと思います。
そうすると、各評価項目の確認は、個別のものはここで終了させていただきます。
ここまでの項目別の裁定・評価を含めて、総合評定について確認したいと思いますので、事務局より説明をお願いいたします。

【吉居課長補佐】
御説明します。
以上が項目別の御説明で、委員の先生方におかれましては大変お忙しい中、しかも短期間で作業をいただきまして、誠にありがとうございました。御礼申し上げます。
資料1-1に参りまして、総括部分になりますが、画面に映っています資料の通し番号の2ページ、1-1-2ですが、全体の評定としまして、今年度はAという案にしています。その理由としましては、中期目標上、重要度と難易度が高いローマ数字1の2、「世界レベルの多様な知の創造」の評価が極めて高いこと、それから、重要度が高い、ローマ数字1の3で御覧いただきました、「知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成」の評価が高いこと、またコロナの様々な対応を評価する各委員の御意見が多かったことから、Aとしています。
2番の法人全体に対する評価欄につきましては、内容は今まで御覧いただいたものばかりですので、読み上げませんが、2つ目の○、科研費に関すること、3つ目の○、特別研究員事業に関すること、4つ目、海外特別研究員事業に関すること、5つ目、国際共同研究事業に関すること、6つ目、大学教育改革支援に関することなどを挙げております。特に評価が高かったコメントについてこちらに記載しています。
それから、このページの一番下、全体の評定を行う上で特に考慮すべき事項としましては、「日本学術振興会の業務運営の基本である学術の特質に配慮した事業の推進にあたり、新型コロナウイルス感染症の影響下においても、研究者に寄り添った運営がなされていることに対し、総務省独立行政法人評価制度委員会の方針に基づき、評価を行った」ということを記載しています。
それから次のページに参りまして、「3.項目別評価における主要な課題、改善事項など」としまして、5つの指摘を挙げています。
○の1つ目、コロナにつきまして影響を受ける事業においては、計画変更や特例措置など柔軟な対応を実施することを期待する。
○の2つ目、振興会の業務運営において、新型コロナウイルス感染症の影響下においても、学術システム研究センターの研究者も含め、情報セキュリティの確保に留意した上で、リモートによる業務体制を整備し、オンライン会議等も活用しながら効率的かつ着実に業務を実施したと認められる。今後も効果的な業務体制を維持しながら、多様な研究者の知見を取り入れるとともに、エビデンスに基づいて分析・検証し、業務運営状況が改善されていくことを期待する。
○の3つ目、学術情報分析センターにおける分析や、学術システム研究センターにおける調査研究結果を、振興会事業の改善・発展に向けて活用するとともに、各事業が長期的な視点から我が国の学術研究・基礎研究の振興にどのように貢献しているかを発信されることも期待する。
それから、○の4つ目、科研費事業において今回新たに導入したオンライン形式の審査を含め、審査・評価業務におけるデジタル化の推進について、審査委員からの意見等も踏まえ検証し、効果的・効率的な運用に資するさらなる改善に向けた検討を期待する。
○の5つ目、新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインによる研究者交流が活発になっているが、対面による交流も引き続き重要であり、さらなる国際研究基盤の構築のためポストコロナ社会における最適な学術国際交流の形を模索し実施していくことを期待する。
説明は以上です。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの総合評定に関する説明及びこれまでの項目別の評定の内容でも構いませんので、これまでの内容について御意見、御質問などありましたら、画面に向かって手を挙げていただきたいと思います。
どうぞ、東嶋委員。

【東嶋委員】
ありがとうございます。すみません、次のページをお願いできますか。その他改善事項というのは、項目別評定で指摘した課題、改善事項……。ごめんなさい、私が申し上げたかったのは、先ほどの外部評価委員の構成に関して、ジェンダーとか、専門性を考慮してほしいというところをどこかに入れていただきたいと思ったのですが、これは項目別評定で指摘した課題、改善事項ですので、この一番下に、6つ目に入れていただくか、それか、その他改善事項というところにでも入れていただくことはいかがでしょうか。

【吉居課長補佐】
事務局です。ありがとうございます。御指摘いただいた点は、上の項目別評定で指摘した課題、改善事項に追記するという形でいかがでしょうか。

【東嶋委員】
ありがとうございます。お願いいたします。

【吉居課長補佐】
承知しました。ありがとうございます。

【植田座長】
ほかの委員の方、御意見、御質問はありますか。

【吉居課長補佐】
秋元先生が挙手されております。

【植田座長】
では、秋元先生。

【秋元委員】
すみません。今日はあまり発言しなかったもので、既にここで示されたことで本当に十分だと思うんですけれども、植田委員長が再三おっしゃっているように、今回はコロナ禍での対応というのが一つの柱になったんだと思うんですよね。今年の場合は、昨年度のある種の緊急事態に対して、どう遅滞なくというか、対応して、柔軟に対応できたという、そこが評価のポイントになったし、そうなんだろうなと思うんですけれども、恐らくそこで得られた様々な知見があろうかと思うんですよね。先ほどの話ではないんですけれども、オンラインでうまくできる。他方で対面でないとできないことというのもきっとあると思うので、その辺りはこの評価表の中でも最後のところできちんと、両方のことを考えましょうと出ているのですけれども、ぜひ、一般論ではなくて、例えば科研費の審査とか、審査過程の中で具体的に、どういうプロセスだとオンラインでもいいとか、この部分については対面でないとなかなか難しいのではないか、むしろ対面でこそ意味があるのではないかとか、そういったところもきっとあろうかと思うので、今回のことはそういう意味ではきっかけになると思いますので、そういう点を評価する作業も、大変な中でやっているので、全てについてできないんでしょうけれども、何かポイントになるようなことに絞って、ぜひ具体的な作業を進めていただければいいのかなということを聞いていて思いました。
意見というよりも、感想めいたもので恐縮なんですけれども、以上です。

【植田座長】
ほかに御質問、御意見はございませんか。
今、秋元先生もおっしゃったように、今回、コロナ禍では、想定外のことがいっぱい起こったはずなんですよね。そういうときにどう対応していくかというのは、ある意味ではその組織の本質が見えてくるわけですから、その中で生まれた知識をこれからも生かせるようにしていただければ非常にありがたいなという感じがします。その結果、総合評価でA評定を出しているわけですが、これについては、皆さん、これでよろしいでしょうか。
なかなか学術振興会の場合にAを出すというのは難しいんですよね。120%予算を配っているわけではないので、だけれども、実際にそれだけの効果があったということを評価しないといけないから、そこをいろいろ苦労して書かれているとは思います。これでよろしいでしょうか。
もしほかに御意見がなければ、ここで終了してもよろしいでしょうか。
それでは、この内容で進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
最後に、議題2、その他として、今後のスケジュールについて事務局から説明お願いします。

【吉居課長補佐】
事務局です。御審議、ありがとうございました。
最後の部分で東嶋先生から御指摘がございました体制の追記ですとか、それから実際のその体制をどうするかにつきましては、早急に検討を進めまして、先生方にお伝えさせていただきたいと思います。
それでは、最後、スケジュールの御説明ですが、資料3です。
7月28日、本日第2回の有識者会合を開催いたしまして、この後8月上旬に省内で横並びの確認をします。その後、8月の中旬から下旬に文科大臣への説明、それから決定と公表を行いまして、総務省の独立行政法人評価制度委員会に提出させていただきます。それから、今年の11月から12月でございますが、その委員会の点検結果が公表されるという流れでして、先生方に作業いただくのはひとまずこれで終了というところです。
説明は以上です。

【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、本有識者会議の会合は本日で最後となります。
なかなか日本学術振興会の評価というのは難しくて、普通の何か事業をやって、こういう仕事をちゃんとやったとか、こういう新しいプランを立ててうまくいきましたとかという評価ができないんですよね。日本学術振興会というのは、唯一、ある意味では学術の特性ということを問題にしているわけです。つまり、ボトムアップ型の学術振興、ボトムアップ型の研究をどうやってサポートしていくかというのは、ここだけがやっているわけです。
学術の特性というものには、一口で言っていろいろなものがあるから、それだけ言っても何かはっきり分からないということになるのですが、国際性もあれば、多様性もある。それからジェンダーの問題もあれば、普遍性もある。いろいろなこともあるわけですね。だけれども、そういうものは割と漠然としていますけれども、非常に重要で、ある意味では10年、20年で変わってもらったら困るような価値観がそこにはあるわけですから、そういうものをちゃんと守りながらこの学術振興会の運営がなされているかどうかというのをチェックするのが有識者会議だと思うんです。
そういうことを皆さんと一緒に、この短い時間ですけれども、今回やってみて、それで一応全体としてはA評価を与えることができてよかったなと思っていますし、部分的にはここしかできないS評価の部分もあるわけですから、そういう評価ができたと思っております。
委員の皆様には、事務局とのメールの中での評価作業のやり取りを含め、いろいろ協力していただきました。非常に短い時間で、タイトだったと思いますが、各先生方からいただいた助言ですとか、そういう内容を踏まえて、文部科学大臣としての評価コメントを確定して、それを付け加えて、今後の日本学術振興会の業務の質のさらなる向上につなげていければと思っております。
それでは、本日はどうもありがとうございました。終了いたします。

―― 了 ――

 

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