スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業の今後の方向性等に関する有識者会議(第19回) 議事要旨

1.日時

令和2年8月21日(金曜日)14時00分~16時40分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

1. SSHにおける評価について
2. SSH成果の普及・啓発の在り方について(国・管理機関・指定校の役割の考え方)
3. 論点整理骨子(案)について
4.その他
1 第10回中央教育審議会新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ(令和2年8月19日開催)における報告について
2 令和2年度SSH生徒研究発表会最終審査等の実施について

4.出席者

委員

菊池委員、重松委員、末冨委員(途中参加)、千葉委員、西岡委員

文部科学省

奥野人材政策課長、名子教育課程課課長補佐、小田人材政策課課長補佐、萩尾教育課程課係長、伊藤人材政策課係長、榊原教育課程課係員

科学技術振興機構

大槻部長、石黒調査役、大山課長

5.議事要旨

○運営規則に従い、会議を非公開とすることとなった。
○事務局より、資料について説明が行われた。
それに関連して以下のとおり意見交換が行われた。

【主な議論】

(SSHにおける評価について)
・SSH生徒研究発表会について、今回のコロナの影響を受けオンライン開催となり、生徒のポスター発表動画等がネット上で閲覧できるようになったが、今回は関係者限りだったので、成果の国民への発信という観点からも、今後はもう少しオープンにできると良いと思う。
→現在、参加した学校と生徒に実施後のアンケートをとっている。また、審査委員の先生方からも御意見を伺いながら、次年度の在り方などを考えていきたいと思う。生徒のご家族や友人に発表の様子を見て頂くと、SSHでどのような生徒が育つのか一目見てわかるのでインパクトが大きいし、発表動画は各学校でのプレゼンの授業等でも活かせると思う。

・これから新しくSSHに指定される学校は、課題研究の取組の確立が中心になると思うが、既に2期、3期と期数を重ねてきた学校については、課題研究を確立した後、それを受けて教科教育自体が更にどう深まっていくのかという視点も必要だと思う。
→中間評価でも、課題研究を中心として、各教科の授業改善や、各教科間連携がどこまでできているか詳しく聞いている。各期でどのようなことが求められるのかわかるよう、資料の記載を工夫できればと思う。

・学校全体のスクール・ミッションも含めた、理数系を中心としたカリキュラム・マネジメントがしっかりできている学校が増えてきているので、そのことを表現として入れ込むことができないかと思う。

・SSHで開発した教育方法をSSH以外の学校が使うことが、すでに成果として出ているので、その状況を可視化することが必要。つまり、実際にSSHで開発した手法やコンテンツがどの程度、周辺の学校で使われているのか、その活用回数が分かりやすい指標となる。活用回数データを簡単に収集できることも必要になる。クックパッドのように、先生方が自分のつくったコンテンツを掲載し、そのコンテンツを他校で活用した人はさらにそのことを投稿するような仕組みを作り、それが自身の評価や学校の評価でもあるという形にすれば、おのずとデータが集まってきて、成果のインパクトを自ら証明することにもなり、非常に使いやすいと思う。

・現状の報告書にも記載されているものだと、例えば公開の研究会や研修会、発表会等の実施回数や参加者数から、その学校の評判や注目度がわかると思う。

・SSHの卒業生が大学においてもよい成果、影響を与えているというデータがあると、SSHの事業全体として、大学や社会に対してアピールできると思う。

・課題研究などで非常にユニークな活躍をしている先生もたくさんおられるので、そのような先生を評価するシステムも考えるとよいのではないか。

(SSH成果の普及・啓発の在り方について(国・管理機関・指定校の役割の考え方))
・5期目校や認定制度を含めて、SSHの今後の規模感のようなものを議論して、ある程度明確に示していかなければ、教育委員会等設置者も今後の方針を立てることが難しいのではないか。

・現状では重点枠の学校がかなり主体性を発揮して広域での連携に取り組んでいるので、重点枠の意義は大きいだろうし、関西の8校連携の事例のように、大学が何らか連携するということも大きな意義をもつと思う。

・小中学生は、その地域の高校生や高校の先生方を見て、どの高校に行きたいのか憧れをもって入学すると思うので、地域を越えて小中学校と連携することは、あまり現実的ではないのではないか。

・これからSSH指定を目指す学校や、あるいはSSH指定校でも例えば全校展開のノウハウを求めている学校が、県内にモデルがなければ県外にモデルを探しに行けるような仕組みを整えていただけるとよいのではないか。

・公立の学校の場合には、都道府県によって教育委員会の考え方や利害も違い、連携しにくい部分もあるようなので、名城大学のように都道府県を越えた連携のモデル事例を提示するとか、近畿圏、東海、北陸、信越、東北等という、地域で研究会やお互いの交流会を開催するようなことを、ある程度国が先導して行う必要があるのではないか。

・それぞれの学校、地域、都道府県、あるいは地区において情報発信をやって終わりではなくて、他校や他地域が活用しやすい形で工夫して情報を出していただく必要があると思うので、どういう情報なら活用しやすいのか、あるいは実際に活用が進んでいる例として、モデルを提示することを検討する必要があるのではないか。

(論点整理骨子(案)について)
・例えば4期目の学校は、5期目の申請を出さずに認定校としてやっていくのがよいのか、あるいは5期目にチャレンジする方がよいのか、学校がどのように考えたらよいか難しいと思う。認定制度は5期以降の学校との関わりを含めて議論する必要がある。

・SSH事業全体の枠組みの議論の中で、認定校について議論する必要がある。

・重点枠への期待として、引き続き、学校側のイニシアティブで地区レベルでの連携・普及活動を行って頂くことは、意義としても大きいと思うので、論点整理の中に入れていただけるとよいと思う。

・認定枠の学校が、認定期間終了後にも再度事業枠に申請できるという仕組みにしようとしているのは良いと思うが、経過措置とどう違うのかわかりにくい。

・認定校に関して、学校の現状を見ると、例えば2期指定を受けている学校が、一度事業枠での申請をやめて認定校にシフトし、数年後にまた事業枠に応募してくるということはあまりないような気がする。例えば5期など長期の指定を受けた学校が、それ以上の指定は認められないということであれば、その先は認定校という形でリーダー校として頑張れるような仕組みを作るイメージを自分はもっていたのだが、違うのか。
→3期、4期についても求められるハードルは高いので、その場合2期までで指定が切れてしまった学校をどうするかという問題意識もある。2期まででSSHとしての取組を確立した後の展開として、さらにチャレンジしたいのか、あるいは確立した特色をベースにして引き続き取り組んでいきたいのか、学校によって様々な方針がある中で、可能性を広げるという意味で、3期から認定枠を認める制度を考えている。

・4期終了以降の認定校制度と2期終了後の学校を対象とした認定校制度は在り方が違うと思う。4期目まで取り組んだ学校は自立的に取り組んでいける実績があるが、2期終了後の学校は別の枠組みで考える必要があると思う。後者の育成型の認定校制度については別の名称を与えて、認定校制度を複数化していくかどうかも検討事項だと思う。また、評価ガイドラインとの連動の在り方も議論する必要がある。

・認定校制度の具体的な制度設計や規模感がどうなるか次第で、今後のSSHの取組をどう展開していくのか真剣に考えている学校が多いと思う。どのように学校に対して情報を発信していくのがよいかという点もよく考える必要がある。

・SSH事業が、いわゆる理数探究や理数探究基礎だけではなく、探究という概念の他校への普及や、STEAM教育、ルーブリックなど、教育全体に広く影響を与えているという点もアピールが必要ではないか。

・認定校の指定を受けることが、学校にとってのメリットになるかどうかが、認定校がプラスイメージで受け止められるかどうかの分かれ目になると思う。5期、6期と指定が認められる場合の条件と、認定校としてのステイタス・メリットをどのように整理するか考える必要がある。

・評価ガイドラインとも関連するが、学校は革新的なカリキュラムをつくった後、維持するだけでも大変である。これまでの取組を維持するという方向で認定校を考える場合、実は維持することを目標にしてしまうと維持できなくなる。常に更新していく、あるいは少し上を目指していかないと維持できず崩れていくので、その点を踏まえた整理も必要だと思う。

・OECDのTALISによると、日本では諸外国と比べて、答えのない問いに対して生徒に考えさせることがあまり行われていない。しかし、SSHで行っている課題研究は答えがない、教師自身も答えを知らないものであり、まさに国際的に足りないところを補充している活動であるので、SSHのアピールポイントだと思う。

・ポートフォリオを利用した入試という方向性自体は、探究力を測る上では、大きく転換するものではないだろうと思うので、10年後の高大接続改革との整合性のような観点も盛り込めるとよいと思う。

・特に今後SSH校以外でも理数探究など探究活動が広がっていくことを考えると、テーマ設定をどのようにするのか、生徒だけではなく指導者も含めて、みんなが納得して面白いと思う探究的な価値のあるテーマを見出して取り組めるような文化が必要だと思う。

・SSHの教員は、常に新しい学問・科学に対してチャレンジできるような力の養成を高校の教員として常に行っている。自分がわからない部分は大学や研究所とネットワークを組んで、生徒によい刺激を与え、あるいはサポートしていく、その力の養成をSSH指定校ではきちんと研修で行っている。他の学校でもそのような研修が必要という意味において、教員研修の在り方もPRできるのではないか。

・課題研究を大学でもぜひやっていただきたいと思う。幾つかの大学では既に実施されていると聞いているが、高校からのつながりという点で非常に大事だと思うし、それに取り組むことで成果が出てくれば、これもSSHの成果の1つになると思う。

・探究活動のテーマ設定については、SSH校では色々と取り組まれているので、十分な情報を発信できるところが多いと思う。

(その他)
・SGHの認定校にSSH校はなれるのか。
→それぞれの事業がどのような効果を狙うのかという点や、今までSSHとSGHは両方申請可能としてきた経緯との整合性も踏まえながら検討する。

・SGHとSSHの認定制度は、前者のようにカリキュラムを認定するのか、後者のように学校を認定するのかという違いが出てくると思うので、今後どういうふうに整理するか、評価軸の中身とも絡んでくると思うので、御検討いただければと思う。

・SSH生徒研究発表会について、先生方に探究活動がどのようなものかイメージしていただくためには生徒の発表会を見ていただくのが一番早い。リアルタイム配信は無理にしても、アーカイブ的な形で整えて公開していただけると、意義は大きいと思う。
→6校の最終発表の様子を後日、公開する方向で検討している。

・SSH生徒研究発表会について、今までは満員の会場で人をかき分けながら話を聞くということで審査しにくいところがあったが、今回はウェブを利用した形だったので、ゆっくり質問でき、ゆっくり生徒からの返事ももらえたのでよかった。

○最後に、事務局より今後の開催スケジュールについて説明があり、閉会した。

以上
 

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科学技術・学術政策局人材政策課

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