スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業の今後の方向性等に関する有識者会議(第16回) 議事要旨

1.日時

令和2年6月22日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

1.スーパーサイエンスハイスクール(平成29年度指定)の中間評価(案)について
2.SSHにおける評価について
3.SSH事業の目指すべき方向性について
4.SSH卒業生の追跡調査について
5.その他

4.出席者

委員

荒瀬委員、菊池委員、重松委員、末冨委員、隅田委員、千葉委員、西岡委員

文部科学省

奥野人材政策課長、名子教育課程課課長補佐、小田人材政策課課長補佐、萩尾教育課程課係長、伊藤人材政策課係長、榊原教育課程課係員、中島人材政策課行政調査員

科学技術振興機構

大山課長、石黒調査役

5.議事要旨

○運営規則に従い、会議を非公開とすることとなった。
○事務局より、資料について説明が行われた。
それに関連して以下のとおり意見交換が行われた。

【主な議論】

(スーパーサイエンスハイスクール(平成29年度指定)の中間評価(案)について)

・管理体制に関して、SSHの業務を校務分掌に位置づける場合、これまではSSH部やSSH委員会という特別な形で位置づけている学校が多かったが、最近は例えば教務部の中で課題研究を担当するなど、学校の通常業務としてSSHを位置づける学校が出てきている。とても良い傾向だと思うので中間評価で触れてほしいと思う。

・普及や指導体制の具体的な取組例も合わせて記載いただけると、指定校や管理機関も理解しやすくなると思う。

・評価項目「管理機関の取組と管理体制に関する評価」について、5段階評価のうち、評価2が3.9%あるので、原因などをもう少し詳しく記載してはどうか。

・先生達みんながやる気になって取り組めるようなノウハウを持っている高校もあるので、そういう部分を引き出すような評価もしていただきたいと思う。

・評価項目「研究計画の進捗と管理体制、成果の分析に関する評価」について、「ルーブリック」はパフォーマンス評価で用いる評価基準のことなので、「ルーブリック評価」という用語は避けていただきたい。
  

(SSHにおける評価について)

・評価の観点に入っていない指定校独自の取組について、指定校側が提示して評価の項目に含むことがあっても良いのではないか。

・管理機関の人事を担当する部署や教育委員会全体に対しても、SSHへのサポートを強く評価のポイントとして伝えていただくのが良いと思う。

・SSHと学校評価ガイドラインとの相性は、あまりよくないと思う。特にSSHの評価が通常の学校評価やカリキュラムマネジメント評価と一緒にされることで、かえって事業の特殊性が損なわれていくのではないか。

・生徒の能力や研究活動、教員と生徒のパートナーシップなどの向上をいかにアウトカムベースで評価に組み込めるかという点が重要だと思う。

・働き方改革との両立を考えると、いかに簡便な評価にしていくかが重要である。評価項目をより大項目化しながら、細かく点数を会議で付けていくよりもコメントベースの評価の方がやりやすいと思う。

・指定校の先生方が実際に指定校を改善するときにやっておられる評価活動と、学校評価ガイドラインを踏まえて網羅的に見ようとする評価との間にズレがある印象を持っている。

・指定校では、評価として出さなければいけないものは出しつつ、現状の分析も行っているので、評価項目になくとも必要な分析は計画を立てて行っているというのが現状だと思う。

・各指定校の特色に応じて、各評価項目の重み付けができる自由度を指定校に与えても良いと思う。

・SSH指定校と指定校ではない高校との共通で比較できるような評価項目があると、SSH指定校と指定校ではない高校との比較に役立つと思う。

・現在の評価は、学校の組織マネジメントが評価されているように感じるが、他の高校と比べてどのくらい良い生徒を輩出しているのかという観点での評価を入れることはできないか。SSH生徒研究発表会の様子などを参考にして、申請書の書き方だけでなく、生徒の様子から指導が上手くいっているか評価できると良いと思う。

・理系に進学する生徒が多いというだけでは「SSHだから当然」と言われてしまうため、修士課程や博士課程に進学した生徒のデータを明らかにできれば、SSHの成果を見せることができるのではないか。

(SSH事業の目指すべき方向性について)

・トップ層の形成と地域の理数教育レベルの底上げという二つの役割をどう目指していくのか、具体的にどう詰めていくのかが重要だと思う。

・生徒の成果だけに注目してしまうと、入学時の学力差が大きく影響してしまう。また、大学の研究を下請しているだけで、あまり生徒自身の課題設定になっていない例もあると漏れ聞くので、少し慎重に見る必要があると思う。

・管理機関による成果普及・啓発の取組が十分ではない例が見受けられるというポイントに関して、管理機関と当該SSH校の関係を見るだけではなく、管理機関がどのように地域全体の教育水準を高めようとしているか、そのために管理機関が立てている計画の中にSSHがどう位置付いているかというところを見ると良いと思う。

・SSHの特徴は先端的な科学技術に触れるところにあると思う。特別講義や施設共有など、教育課程の内容を超えた先端的な科学技術とのつながりを目指すべき方向性に入れられたら良いと思う。

・通常の指定校では様々な生徒がいる中でSSHに取り組んでいる一方で、非常に優れた研究をする生徒に対応するためには、特別な才能を持った生徒を集めてSSHに取り組む指定校も必要だと思う。

・指定校から少し離れて実際自分たちのやってきたことを振り返りながら、どういう学校であろうとするのか、カリキュラムの中にSSHの取組を組み入れていくということを考えると、この認定校制度というのをいかにうまく使っていくかというのは非常に大事だと思う。

・管理機関とのパートナーシップのような形で学校裁量をより明確に確立していこうとする流れの中で、SSHが積み重ねてきた歴史が持つ大きな価値は意味を持っていると思う。認定枠のリーディング校としての価値、地域におけるリーディング校としての価値を教育行政体系の中でもメッセージとして発信した方が良いと思う。

・SSHの特徴は長く続いてきたことなので、データベースが本当ならあると思う。学校現場や管理機関が使えたり、評価にも利用したりできる、使いやすい、具体的な各種コンテンツのデータベースがあると良いと思う。

・各校が特色化を図った上で、さらにそれをどう公開し、普及させていくのかを考えたときに、例えばホームページにおける共通の公開項目や公開の枠組みなど表現の在り方を検討することが大事であり、そこに認定校も加わるとより強化されていくのかなと思う。

・中高一貫校における中学の取組や文系の課題研究への費用支援については検討課題だと思う。

(SSH卒業生の追跡評価について)

・博士人材におけるSSHの参加状況を調べて頂きたいと思う。博士人材の中で何%がSSH出身者であるのか、SSHに参加していた人としていなかった人との差がどういうところにあるのかが分かると良いと思う。

・平成30年度のSSH意識調査では、SSH卒業生のうち大学院修士まで進学している生徒が非常に多く、SSHの効果のエビデンスだと思う。各校の同窓会やSNS等を活用したり、教員が異動する際に生徒との関わりを高校に残したりするなどの配慮を求めながら、意識調査を続けていただけると良いと思う。

○最後に、事務局より今後の開催スケジュールについて説明があり、閉会した。
以上
 

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科学技術・学術政策局人材政策課

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