スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業の今後の方向性等に関する有識者会議(第15回) 議事要旨

1.日時

令和2年5月25日(月曜日)13時30分~15時30分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

1.SSHにおける研究倫理の学習について(一般社団法人公正研究推進協会(APRIN)より説明)
2.SSH支援事業に係る財務省予算執行調査の指摘への対応に関するインタビュー調査結果について
3.SSH事業の目指すべき方向性について
4.認定校制度(仮)の考え方について
5.その他

4.出席者

委員

菊池委員、重松委員、末冨委員、隅田委員、千葉委員、西岡委員

一般社団法人公正研究推進協会(APRIN)(議題1のみ御出席)

岩本教材作成分科会委員長、野内客員研究員

文部科学省

奥野人材政策課長、名子教育課程課課長補佐、小田人材政策課課長補佐、萩尾教育課程課係長、伊藤人材政策課係長、榊原教育課程課係員、中島人材政策課行政調査員

科学技術振興機構

大山課長、石黒調査役

5.議事要旨

○運営規則に従い、会議を非公開とすることとなった。
○APRINおよび事務局より、資料について説明が行われた。
それに関連して以下のとおり意見交換が行われた。

【主な議論】

(SSHにおける研究倫理の学習について(一般社団法人公正研究推進協会(APRIN)より説明))

・地域のいろいろな方を集めて倫理委員会を作ってもいいのではないかというご指摘だったが、その場合、委員会をオーソライズする組織は、どのように考えれば良いか。
→オーソライズするのは、博物館や大学になると思うが、はっきりした回答を持っていないのでお知恵を頂けたらと思う。

・研究への興味が失せないように、べからず集にならないように、研究倫理の考え方を生徒に伝えるために、どのような工夫をされているか。
→例えば、データの書き方にはその人の考えが表れるが、データの表現の仕方によって新しい発見につながることがあるというように、工夫を喚起するような記述を取り入れている。こうしなければならないということを羅列するのではなく、立ち止まって考えてもらうテキストにできればと思っている。

・実際の指導の場面で、どういった活用が実態としてあるか。
→高校の先生はほとんどAPRINを知らないので、まずは、APRINの教材を広める必要がある。APRINのテキスト作成に関わっている高校教諭の経験のある委員の方からは、5月くらいに基礎編、それから研究が進んだ8~9月くらいに実践編を生徒達に読んでもらうと、非常に効果があるのではないかとの意見を頂いている。

・大学教員は、日本学術振興会の研究倫理教育などが義務化されているが、それとの関係性はどうなっているか。
→APRINの中等教育向け基礎編のテキストは、APRINの委員が独自に作成したものである。このテキストを改変し、大学一年生が入学時に最初によむべき教材も提供している。大学の研究者や大学院生は、機関の定めに応じてJSPSやAPRINの教材を受講している。どちらを選ぶか、またeAPRINの中でどの単元を受講要件とするかは機関や部局の方針による。

・ISEFと日本のコンテストを比較すると、ISEFはルールや審査基準をオープンにしているが、日本のコンテストはオープンにしていないところが多い。主催者側にも情報をオープンにするよう働きかけがあっていいのではないか。
→JSECの募集要項にはAPRINのリンクを張らせていただいて、応募に当たってはテキストを読むようガイドをしている、また、読売新聞社の日本学生科学賞でもAPRINのリンクが張られている。その他のコンテストについては、もし主催者からお呼びかかれば説明して、APRINのテキストを採用していただけるよう活動している。

(SSH支援事業に係る財務省予算執行調査の指摘への対応に関するインタビュー調査結果について)

・多くのSSH校では、生徒の主体的な取り組みを通した理数系の人材育成に向けて予算の有効な活用に努め、教育課程ではSSH校として優れたCurriculum Management を確立している学校もかなり出てきており、SSHの大きな成果として評価される。しかし、その一方で予算の活用について学校として十分な検討がされていないように感じる面や、教育課程の編成に関して学校全体として学習指導要領等の趣旨を十分に生かし切れていないと感じる面もあり、これらを改善していくことでより多くの学校が成果を上げていくと考える。今後管理機関等を通して趣旨を徹底して指導していく必要を感じる。

・1期目指定校では消耗品や備品を多く購入するが、2期目以降の指定校ではほとんどが交通費や海外研修にSSHの予算が使われている。機器の共用や大学からの貸出もあっていいと思うが、まずSSHの予算で購入できるものは高校で購入し、管理するということを、2期目、3期目指定校でも続けていただいたほうがよいのではないか。

・SSHの予算により購入されている備品の中には、教育委員会での予算措置の関係もあり難しいかもしれないが、理振補助で買ったほうがいいのではないかというものもあると思う。

・インタビュー結果にはこれから生かすことができる内容がたくさん含まれているので、これから役立てていけるものではないかと思う。毎年続けていただくことが非常に大切で必要なことではないかと思う。

(SSH事業の目指すべき方向性について)

・インタビューの中で外部資金を獲得すると学校の負担になるという意見があったが、外部資金を取ったら別途予算を与え、その予算を使って教員の負担を減らすということを強力に推し進めてはどうか。

・これからは、異能・異才を持つ生徒が特許をとれる研究を行っていく可能性が高い。知的財産は日本にとっても大変重要なものなので、SSHに採択されている期間だけでも特許料を出すなど、国として支援できるようにしてはどうか。また、論文についても、最近オープンジャーナル化により、投稿料、掲載料だけで何十万円とかかる場合もあるので、そういった経費の支援もできるようにしていただきたい。
→科研費などで認めているものもあると思うので、調べながらできるものかどうか検討したいと思う。

・外部資金に関して、間接経費の率を上げることで、高校が自由に使える資金が増えるのではないか。

・目指すべき方向の中に国際性が入っていない。ネットワークができると海外とつながるので、国際性の部分は残しておいたほうがいいと思う。
→国際性は重要な視点として入れさせていただく。

・現時点では、職業に関する専門高校についてもSSH校として支援している。例えば工業高校には工業高校の支援のシステム、農業高校には農業高校の支援のシステムというのを考えていくのか、今後ともSSHの中に含めていくのかということを今後の議論としておさえておかなければならないと思う。
→例えば大学の農学部と連携することにより、農学の最先端のサイエンスができるということをうまく見せるというのはあると思う。「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(プロフェッショナル型)」の枠組みもあるので、今後も役割分担を明確にしていきたい。

・SSHを拠点校、ネットワークの中核として位置づけるという視点からすると、地域格差を埋めるというところは意識していただいた方がいいと思う。ある地域レベルでのネットワークづくりを視野に入れた制度設計を、国で考えていただく必要があると思う。

・異能・異才を含めた国際的に活躍しうる理数系トップ人材の育成がSSH校には求められている一方で、地域に根差した理数系人材の育成というのも、今後、重要になるため、その視点も入れていただきたい。

・コロナ禍の中で学びを保障する必要がある中、高校は、GIGAスクールの対象ではないので、オンライン化やICT環境整備が遅れている。SSHではこれを機会に、オンラインで地域の高等教育機関や海外とつながり始めている高校も多い。ウィズコロナの時代の知の国際競争は、オンラインとリアルのベストミックスの競争に入っているので、そういうフェーズを見据えながら、例えばそのようなスキームを開発するような視点があると、学校もSSHに手を挙げやすくなると思う。
→オンラインによる海外交流の例を示したり、オンライン化環境整備のモデルを示したりすることが出来ればと思っている。

(認定校制度(仮)の考え方について)

・海外とのネットワークに関連して、近い将来は、海外にも日本が認定するSSH校みたいなものがあってもいいのではないかと思う。
→現実的にネットワークがあるので、何かしらできるのかどうかは考えてみたい。

・認定校の認定期間については、現在の基礎枠が5年という枠組みなので、それぐらいは指定しても良いのではないか。

○最後に、事務局より今後の開催スケジュールについて説明があり、閉会した。
以上
 

お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

(科学技術・学術政策局人材政策課)