【資料1】サンプルサイズの抑制方法等の検討について(学校教員統計調査の使用可能性等)

サンプルサイズの抑制方法等の検討について(学校教員統計調査の使用可能性等)

1.前回検討会における主な懸念事項

 母集団情報として学校教員統計調査を使用する場合、大学事務局に対して「学校教員統計調査の整理番号の○番の教員に回答させてください」という依頼方法が考えられる。しかし、学校教員統計調査の教員個人調査回答票(参考資料2)は氏名の情報が削除された様式となっているため、大学側が整理番号と氏名の紐づけられた名簿を管理していない場合、個人が特定できない懸念がある。

2.各大学における実態のヒアリング

上記の懸念事項は、学校教員統計調査を使用する場合に前提となる問題であるため、本検討会事務局により、複数の大学に対して、整理番号と氏名を紐づけた独自の名簿を残し、管理しているかどうかを中心にヒアリングを行った。


大学

紐づけ可能か

備考

地方国立大学

A大学


提出後に文部科学省から何らかの照会があった場合に対応するため。

地方国立大学

B大学


個人情報保護の観点から、整理番号と氏名を紐づけた名簿はあえて残していない。このため、学校教員統計調査を母集団場情報として使用する場合、調査担当課から人事労務課に氏名等の情報を照会し、名寄せを行う作業が発生する。

地方国立大学
C大学


氏名入りで調べておいて、提出時に名前を番号に置き換えるといった作業要領であり、紐づけ可能。

地方国立大学
D大学


人事課に変換テーブルがあり、紐づけ可能。

地方国立大学
E大学

×

学校教員統計調査の作業が部局作業であり、本部で把握することができていない。

大規模私立大学

F大学


提出前の作業原本ファイルは保管しているので紐づけは可能だが、時間がかかり煩雑である。

大規模私立大学

G大学

×

作業途中で番号の付け替えなどを行っており、氏名等の復元は困難。匿名化されているデータから安易に個人を特定することにも抵抗がある。

中小私立大学
H大学


A大学同様、文部科学省からの照会等に対応するため根拠資料は教員の整理番号と紐付けしている。

私立単科大学
I大学


教員の人数が少ないため、特に問題なく学校教員統計調査の整理番号とFTE調査の対象者を紐付けることが可能。

 


3.今回の検討事項


 以上を踏まえ、平成30年調査において母集団情報をどのようにするかを以下の3通りに分類し、検討する。
 

母集団情報

抽出方法

有利な点

考慮すべき点

(1)従来どおり、科学技術研究調査を使用する。







各大学等の分野ごとの研究者の人数に応じて、無作為に一定間隔で設定した番号を提示し、各大学等の事務局において、科学技術研究調査の研究者数のベースとなった名簿に連番を付し、提示した番号に該当する者を調査対象として抽出するよう依頼する。

 ・従来調査との整合性は継続される。
・抽出方法及び依頼方法が(2)や(3)と比べて単純であり、大学事務局の理解が得やすく、FTE事務局及び委託業者の負担も少ない。



 ・サンプルサイズは前回調査と同程度の大きさを担保する必要がある。







(2)調査対象のうち「教員」部分を学校教員統計調査に変更する。













 「教員」については各大学の分野、年齢(職位)ごとに学校教員統計調査の整理番号を抽出、指定し、各大学事務局に当該番号の教員に回答させるよう依頼する。
「大学院博士課程の在籍者」「医局員・その他の研究員」については(1)と同様。








 ・年齢構成や職位の情報が得られるため、実態に即したサンプリングが可能であり、かつサンプルサイズを縮減できる(従来オーバーサンプリングであった30代、40代のサンプルサイズを調整できる)。
・整理番号から個人が特定できるため、依頼先の大学事務局がサンプルを選出する作業が不要となり、教員部分については大学事務局の負担を軽減できる。




・整理番号と氏名を紐づけて管理していない大学への対応方法を検討する必要がある。
・従来調査との連続性は失われる(理学や工学等の専門分野の定義等)。
・2年間のタイムラグによって該当の整理番号の教員がいなかった場合の対応を検討する必要がある。
・「大学院博士課程の在籍者」「医局員・その他の研究員」については引き続き科学技術研究調査を使用する必要があるため、「教員」用と区別した2種類の依頼を行う必要があり、大学事務局、FTE事務局双方にとって負担である。
・全大学から分野、年齢別に整理番号を抽出する作業が発生し、FTE事務局及び委託業者の負担が増加する。




(3)学校教員統計調査から年齢構成(職位)の情報のみ引き出し、各大学に対しては従来どおり科学技術研究調査に基づいた名簿を使用させる。







学校教員統計調査から教員の年齢(職位)の抽出率を割り出し、年齢(職位)及び専門分野ごとに無作為に一定間隔で設定した番号を提示し、各大学等の事務局において、科学技術研究調査の研究者数のベースとなった名簿をさらに年齢(職位)別に細分化した名簿を用意してもらい、提示した番号に該当する者を調査対象として抽出するよう依頼する。 



・年齢構成や職位の情報が得られるため、実態に即したサンプリングが可能であり、かつサンプルサイズを縮減できる。
・形式上、「教員」についても母集団情報は従来どおり科学技術研究調査とみなせる。







・年齢(職位)の情報のみ学校教員統計調査を使用し、名簿は従来どおり科学技術研究調査を基としたものを母集団情報として扱う場合、学部単位で、研究者の傾向(年齢構成比等)に経年的な変化があまりないという仮定が妥当かどうかの検証が必要である。
・各大学事務局は従来の方法であれば一つの名簿を準備すれば良かったが、この方法の場合年齢(職位)別に分かれた複数の名簿を準備してもらう必要がある。このため、既存の名簿に年齢(職位)の情報を紐づける作業が発生し、大学事務局の負担は増加する。
・科学技術研究調査と学校教員統計調査両方の調査票情報の提供を受ける必要があり、かつ年齢(職位)についての抽出率を設定する必要があるため、FTE事務局及び委託業者の負担が増大する。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局 企画評価課

(科学技術・学術政策局 企画評価課)