「研究活動の不正行為への対応のガイドライン」の見直し・運用改善等に関する協力者会議(第2回) 議事要旨

1.日時

平成25年12月6日(金曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省東館15階 15F1会議室

3.議題

  1. 有識者からのヒアリング
  2. 日本学術会議「科学研究における健全性の向上に関する検討委員会」における検討状況
  3. その他

4.出席者

委員

(委員)金澤主査、市川委員、大島委員、小林委員、中村委員、三木委員、南委員
(協力者)小原科学技術振興機構参事役、佐久間日本学術振興会研究事業部長
(有識者)松澤科学技術振興機構参事役、新谷筑波大学准教授

文部科学省

冨岡大臣政務官、松尾人材政策課長 他

5.議事要旨

事務局より、資料1の研究活動における不正行為に関する大学・研究機関等の取組状況について説明があった後、有識者より資料2から5に沿って説明が行われた。その後、意見交換が行われた。

【主な意見】
(利益相反について)
・米国では、独立の審査委員会で利益相反がないか監視しているところがあるということだが、その場合、審査委員会は具体的にどこに設置されているのか。
・COIの解決例(NSF)にある「独立の審査委員会による研究の監視」というのは、飽くまで利益相反が生じたときの対策としてNSFが挙げている事例の一つであって、具体的に独立審査委員会を大学等の中に設置するとか外部機関とするなどといった指示はしていない。ただ、通常は大学の中に設置している場合が多いと考えられる。また、その際の独立性の担保の方法は、各大学等の判断に任せられている。

(3つの不正行為(捏造(ねつぞう)、改ざん、盗用)の定義について)
・我が国の不正行為の実態を調べる際に、文科省の現行のガイドラインに書かれている捏造(ねつぞう)・改ざん・盗用の定義を使用したが、実際には、盗用とまではいえないような事案も多い。
・不正行為を取り締まる場合、明確に定義を述べる必要があるが、その線引きは非常に難しい。

(外部機関による調査)
・研究不正に対する取組としては、(1)倫理教育の充実 (2)ガイドラインの整備 (3)各大学・研究機関における体制の整備 (4)外部機関による公正担保の仕組みの構築が考えられる。(4)に関連することであるが、外部機関に調査権限がある国において、調査の結果、不正行為があった場合、どのような処分・措置につながるのか。
・米国でも処分の一義的な責任は研究機関にある。また、ORI(研究公正局)では、90日以内の調査期限があるが、実際はORIの調査と被申立人の見解が一致しないまま期限がきてしまうこともある。この場合、被申立人との合意で執行停止等の処置が行われることがある。
・ORIで出た判断は、研究機関でどう処分するかを拘束するものではない。執行停止にするかどうかは連邦レベルの話であるが、懲戒免職にするかどうかは、ORIの調査結果を踏まえて各機関が判断している。

(研究不正等の時系列分析について)
・資料2の「研究不正等の時系列分析」を見ると、第1期科学技術基本計画以後、不正行為の件数が増えているように見える。この理由の検証は極めて重要である。若手研究者が任期制になったこと、研究費が大型になったこと等が関係しているのかもしれない。


次に、小林委員より、日本学術会議「科学研究における健全性の向上に関する検討委員会」における検討状況について、資料6に基づいて説明が行われた。その後、意見交換が行われた。

【主な意見】
(競争的資金申請時に、研究代表者、研究分担者が研修プログラムを受けることを要件とすることについて)
・米国で義務付けされているのは、研究に関わる学部生、大学院生、ポスドクだけであり、PIやシニアの研究者等が義務付けされていないのはなぜか。
・米国では、国からの公的資金を受ける対象が、大学院生・学部学生等であるため、こうした若手研究者に履修が義務付けられている。ただし、シニアの研究者の場合も、彼ら自身が大学院生だったときの研究倫理と今の研究倫理が異なっていることから、研修プログラムを受けるべきである。
・JSTでは、平成25年度から、新規採択された研究課題の研究員を対象に、CITIプログラムの履修を義務付けている。事業によってはPIも履修の対象にしている。ただし、本来は、応募される段階では既に研究倫理の履修を済ませていることが望ましいと考えている。

(CITIプログラムについて)
・CITIのプログラムは、学習効果をより高めるため、グループディスカッション等ウェブ以外の形態の教育を組み合わせることが多いようであるが、どうなのか。
・CITIのプログラムの中に、各研究機関独自のものを加えることができる形式になっているため、グループディスカッション等を取り入れている場合もある。各研究機関においては、まずは教材を実際に使ってみてから、使いやすいように変更していただいている。また、CITIのプログラム自体も改訂を繰り返している。

(データの保存及び公開について)
・様々な研究費を使い、実際に研究に携わっている人が多い場合、データがどこにあるのか特定するのは非常に難しい。データの保存とは具体的にどういうことを想定しているのか。
・分野と状況によるが、少なくとも何か問題が起きたとき、第三者が検証できる体制になっている必要がある。これは不正行為の事前防止策にもなる。


(了)

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