海洋環境放射能調査検討会(第2回) 議事録

1.日時

平成24年8月3日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省16階特別会議室(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 平成23年度海洋環境放射能総合評価委託事業の成果に関する評価について
  2. その他

4.出席者

委員

花輪主査、青野委員、荒巻委員、石川委員、長見委員、乙坂委員、小山委員、中田委員、深澤委員、山下委員、吉田委員

文部科学省

渡辺科学技術・学術政策局次長、田村防災環境対策室長、木村科学技術・学術戦略官、高岡防災環境対策室長補佐

5.議事録

【田村室長】それでは、委員の先生方、皆様お集まりいただきましたので、かつ定刻になりましたので、海洋環境放射能調査検討会、こちらは第2回になりますが、開催させていただきたいと思います。私、冒頭の進行を担当させていただきます科学技術・学術政策局、防災環境対策室長をしております田村と申します。よろしくお願いいたします。

それでは、ちょっと着席させていただきまして進めさせていただきたいと思います。

本日は、大変お暑い中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。文部科学省の中もクールビズということで、ノーネクタイ、それからノー上着ということで失礼させていただきたいと思います。皆様も、お暑いようでございますので、適宜、上着をとっていただいてお進めいただければと思います。

本日は、東京大学大学院の古谷先生、それから金沢大学の山本先生、こちらの2名の方々はあらかじめご欠席のご連絡を頂戴いたしておりまして、本日は、主査を含めまして11名の皆様方にご出席いただいているというところでございます。

また、本日の議事につきましては、第1回の検討会のときにもお示しさせていただいておるところでございますが、公開で行いますので、あらかじめご了承いただければと思います。

それでは、議事に先立ちまして、文部科学省科学技術・学術政策局次長の渡辺より一言ご挨拶申し上げたいと思います。

【渡辺次長】科学技術・学術政策局次長の渡辺でございます。本日は、ご多忙の中、本検討会にご出席いただき、まことにありがとうございます。

本年2月に開催しましたこの検討会におきましては、文部科学省が委託事業として実施しました海洋環境放射能総合評価事業の平成22年度の成果について、先生方の専門家のお立場から有益なご意見を頂戴し、まことにありがとうございました。

おかげさまで、皆様のご意見も参考とさせていただきながら、本年3月には関係機関の連名による平成24年度の海域のモニタリング計画が取りまとまり、現在、関係機関が連携して海域モニタリングを鋭意進めているところでございます。

本日は、海洋環境放射能総合評価事業の平成23年度の成果につきまして取りまとめを行いましたので、皆様方によるご審議をお願いしたいと考えております。

それから、皆様方、御承知のとおり、国会の方で審議されまして、本年6月に原子力規制委員会設置法が公布され、今後、新たな原子力規制組織のもとで政府の体制が大きく見直されようとしているところでございます。

文部科学省の関係では、まず原子力規制委員会設置時、これはまだ決まっていないわけですが、9月末より前ということでございますけれども、原子力規制委員会設置時に試験研究炉などの安全規制業務や、海洋も含めたモニタリングのいわゆる司令塔機能の部分が原子力規制委員会に移されます。さらに、これは二段階になっておりまして、第二段階目として、来年の4月1日からモニタリングの実施に関する業務も移管されることになっております。これに伴いまして、今回、ご議論いただく海洋の委託事業につきましても、来年4月からは原子力規制委員会に移管されるということになろうかと思っております。

それでは、本日は、ご議論を何卒よろしくお願いいたします。

【田村室長】ありがとうございました。

それでは、早速でございますが、以後の議事につきましては花輪主査よりお願いしたいと思います。花輪先生、よろしくお願いいたします。

【花輪主査】花輪でございます。議事を進行させていただきます。よろしくお願いします。

それでは、本日の配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

【田村室長】それでは、お手元の配付資料を確認させていただきたいと思います。

まず議事次第でございます。それから、資料1の委員名簿でございます。それから、平成23年度評価事業の調査結果の案として、資料2をお配りさせていただいております。それから、1.文部科学省と大きな字で書いている参考資料でございますが、こちらを1部、お手元にお配りさせていただいてございます。

配付資料は以上でございます。何か過不足がございましたら、事務局にお申し出いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【花輪主査】いかがでしょうか。資料はありますでしょうか。

それでは、議題の(1)に入ります。「平成23年度海洋環境放射能総合評価委託事業の成果に関する評価について」であります。

昨年の3月、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けまして緊急に行いました福島、宮城、茨城の3海域でのモニタリング結果につきましては、今年2月に行われましたこの第1回検討委員会で速報という形でご報告いただき、ご審議いただきました。

この度、文部科学省の平成23年度海洋環境放射能総合評価事業において実施された、昨年度の海水、土壌、海産生物の調査結果が取りまとめられたということですので、その内容について、ここで評価していただきたいと思います。

資料は手元の資料2でございますけれども、これについて事務局の方から説明をお願いいたします。

【高岡補佐】文部科学省防災環境対策室の高岡と申します。

資料2につきましてご説明させていただきたいと思います。すみませんが、着席での説明とさせていただきます。

それでは、資料2ということで、平成23年度、案がついておりますが、海洋環境放射能総合評価事業の資料ということでございまして、まずその表紙をめくっていただいたはしがきというところが少しあります。中段あたりに、目的、経緯について触れております。文部科学省は、原子力施設周辺の漁場を中心とした放射能の調査を実施しております。漁場の安全確認、風評被害の防止の目的で事業を実施しているところでございます。

当該事業は、昭和58年度から原子力発電所等の周辺海域、以下、述べさせていただくときは「発電所海域」というような形で述べさせていただければと思っておりますが、そこを調査対象として、昭和58年度より実施しております。現在では、15海域の調査を行っているところです。

その後、平成2年度から核燃料サイクル施設沖合海域ということで、こちらも以後は「核燃海域」と称させていただきますが、実施をしているところでございます。

この発電所海域と核燃海域につきましては、毎年継続して調査を実施をしているところです。

下の方、少し触れていますけれども、なお書き以下のところですけれども、平成23年度は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故というのがありましたので、それに伴う発電所周辺の海域モニタリングというのも併せて実施しております。

従いまして、この報告書の取りまとめの仕方としましては、通常、例年やっておる発電所海域と核燃海域の調査、それと福島第一原子力発電所の周辺の海域のモニタリングという形で構成させていただいているところでございます。

めくっていただきまして、目次というところがあります。

先ほど申し述べさせていただきましたように、平成23年度は、こちらでは第1章としまして、従来から行ってきました海洋放射能調査の項目をまとめています。

第2章として、67ページ以降になりますけれども、今年度、特別に実施を追加してやっております福島第一原子力発電所周辺の海域モニタリングという結果を、こちらでまとめているところでございます。

順番に1章、2章の順に追って説明をしていきたいと思います。

それでは、次のページの1ページというところでございます。こちらは、平成23年度の海洋放射能の調査の項目でございます。

1.におきましては、調査の海域ということで地図に示させていただいております。青い丸のところは、昭和58年度より実施しています発電所海域の15海域で、北海道海域から鹿児島海域までという形で、各発電所の沖合を調査対象としております。

それから、青森周辺にあります薄い緑色っぽい色の角張ったところが核燃海域ということで、青森県の沖から岩手県の沖までの範囲を核燃海域という形で調査を実施しております。

次に2.ということで、調査試料についてでございます。採取、分析いたします試料は、大きく3つの種類があります。1つは海産生物、もう一つが海底土、最後が海水という3つに分類にして評価をしているところでございます。

試料の採取につきまして、海産生物は、その魚種の選定や調査海域の選定に当たりましては、学識経験者等からまず助言を得て、地方自治体さん、水産関係団体さん等の意見を聴取して、原子力施設周辺放射線監視事業等との重複を避けるような形で実施をしております。

海産生物、どのようなものを獲っているかというと、2ページ目の方になります。調査海域の主要な漁場におきまして漁獲高が多い魚、それから、その漁場で生活期間が長い魚を選んで、漁業協同組合さんの協力を得まして、発電所海域では1魚種につき生鮮重量20キロを1試料として、核燃海域では30キロを1試料として収集しています。

海産生物、発電所海域ではそれぞれ1海域につきまして3魚種収集しております。例えば、こちらにありますように、北海道ではホッケ、ソウハチ、ミズダコというように、1海域につき、3魚種を収集しています。核燃海域の方は、その次の3ページにありますように、15種を年2回収集しております。平成23年度につきましては、第1回目を4月から10月ぐらいに収集し、それから第2回目を10月から平成24年の1月までの間で収集しているというような形でございます。その魚につきましては、前処理を行った後、放射性核種分析を実施しているというところでございます。

海底土の試料は、3ページの(2)のところでございますけれども、こちらに記載させていただいております。各発電所海域につきまして、4採取点という形でとっております。

場所としましては、ページをめくっていただいて4ページから10ページまで、各海域につきまして、どこで採っていますというものが地図に示されているところでございます。

11ページにいきますと、核燃海域の測定点が記されているところがございまして、こちらは22点の測定点になっております。

こちらの採取の測点につきましては、当該海域の主要漁場で、海底が砂泥質の場所という点に留意して定めております。

海底土の試料につきましては、発電所海域、核燃海域におきまして、先ほど言いました各測点で、23年度は4月下旬から6月上旬にかけての年1回、海底土の表面から深さ3センチまでの層を2キロずつ採取しております。

海水につきましては、先ほどの測点におきまして、海面から1メートルの表層と、海底から10から40メートルまでの下層、この2層について採取をしております。

発電所海域につきましては、平成23年4月上旬から6月中旬にかけて、年1回、100リットルずつ採取しております。核燃海域につきましては、平成23年5月中旬から下旬及び10月上旬から中旬という形で、年2回、300リットルずつ採取しております。こういう試料を採取し、分析しているところでございます。

次に、放射性核種の分析ということで、12ページからご説明したいと思いますけれども、具体的に分析をした核種といたしましては、13ページの表1-3(1)のところに記載しておりますとおりですけれども、これらの分析対象の放射性核種に関しましては、原子力施設の排水や降下物等に含まれる放射性物質中に占める比率が高く、半減期が長い核種であり、それから、海産物や海底土に蓄積される性質が強い核種を選んでおります。あとは、自然の放射性核種という観点から選定したところでございます。

次に、14ページに移ります。分析に関しましては、こちらで示したような方法でやっていますというところをまとめて記載しております。文部科学省の放射能測定法シリーズに基づいて実施をしております。

海産生物につきましては、凍結して送付されてきた試料を半解凍して、水分をふき取った後、肉の部分と内臓等に分割して、肉の部分を分析の対象としております。

乾燥させた後、灰化して、ふるいにかけて小さい骨等を取り除いて分析を実施しているというところでございます。

小さなカタクチイワシ等につきましては、魚体が極めて小さく、全体を食べますので、魚全体を分析の対象としております。

次の段落で、海底土の話が書いてありますけれども、これも、解凍後、よく混合、ろ過して、分析試料としております。

最後は、海水でございますけれども、採取した海水20リットル当たり、40ミリリットル、6モルの塩酸を添加したものを分析試料としています。

核燃海域につきましては、トリチウム用の海水試料もありますので、測定法シリーズに基づいて、塩酸を添加せずにそのまま分析試料にしているというところでございます。

分析の方法というのは、簡単に述べますと以上でございます。

今までは前処理で、その次は分析、実際の測定の方ですけれども、発電所海域では、海産生物及び海底土の分析試料は、ガンマ線放出核種を対象としていますので、ガンマ線スペクトロメトリーによって測定をしております。

核燃海域における海産生物や海底土の分析は、ストロンチウム-90などがありますので、ベータ線分析を行っております。プルトニウムを対象としたアルファ線のスペクトロメトリー、それからガンマ線のスペクトロメトリーという形で測定しております。

発電所海域における海水は、化学分離した後、ストロンチウム-90及びセシウムにつきましてベータ線の測定を実施しております。

一部試料につきましては、セシウム-134、137がわかるようにガンマ線のスペクトロメトリーによって測定をしているところでございます。

核燃海域におきます海水につきましては、電解濃縮した後、トリチウムを液体シンチレーションで計測し、それから、化学分離した後、ストロンチウムをベータ線の計測、プルトニウムをアルファ線の計測、ガンマ線放出核種を、ガンマ線のスペクトロメトリーで計測しているところでございます。

次に、放射線の検出下限の話でございますけれども、16ページ、17ページに表にしてまとめさせていただいております。それぞれの核種、試料についての検出目標レベルを、こちらに記載しているところでございます。

それでは、結果の説明に入らせていただきたいと思います。19ページ以降に、結果を取りまとめたところがございますので、そちらをご覧ください。

まずは、4.1海産生物試料の分析結果というところでございます。(1)では、発電所海域についてまとめさせていただいているところでございます。

海産生物の分析結果ですけれども、90試料の魚類、イカ・タコ類及びエビ類と分類して、こちらでは記載しております。

発電所海域で検出されました人工放射性核種は、銀-110とセシウム-134、137がありました。これらは、海域によっては、今まで測ってきた過去の最大値を上回っているというところがありました。銀につきましては、海域として青森、宮城、福島の第一、第二、それから茨城の海域で、魚類とイカ・タコ類から検出されております。セシウム-134については、魚類で55試料、イカ・タコ試料で6試料、エビで2試料というのが検出されております。セシウム-134は、全ての海域で検出されておりますが、これらの試料は取り分けておいた少量の生試料を再測定したところ、下限値以下というところもありましたが、西日本の降下物中にはセシウム-134もあったというようなことも勘案しますと、セシウム-134が1回出た数値は、それは正の値としてこちらで報告するような形にしております。

データの詳細というようなところは、後ろの方に表の形でまとめさせていただいていて、例えば89ページの方をご覧いただきたいと思います。

89ページは、海産生物の試料の濃度で、こちら、福島の第二海域というところでございます。こちらのスズキの試料ですけれども、2012年の1月に漁獲をした試料で、セシウム-134が110ベクレル/キログラム、それからセシウム-137で140ベクレル/キログラムというような結果を得ておりまして、これは現在の食品の基準値を超過しているような形でございます。その隣のマコガレイにつきましても、セシウム合計で240ベクレル/キログラムということで、指標値を超過する高い値となっております。このような形で、それぞれの海域で測定をしております。

事故前の過去のデータの最高値を上回った海域としましては、青森、宮城、福島第一、第二、茨城、静岡というところがありました。

ページを少し戻っていただきますと、85ページから順番に北海道から並べております。北海道の次のページをめくっていただきますと、86ページに青森があります。この青森の3つ目のところで7月に採取されていますマトウダイが、セシウム合計で21ベクレル/キログラム。その隣のページの宮城県の一番左端ですけれども、10月採取のマダラで41ベクレル/キログラム。それから次のページをめくっていただきますと福島第一海域ということで、こちらもスズキが211ベクレル/キログラム。福島第二の方をちょっと飛ばしまして90ページにいきますと、茨城海域ということで、4つ目のヒラメというのが31ベクレル/キログラム。その隣の静岡で、過去値を超過したのは、クロウシノシタが一番右端のところでございますけれども、合計で1.97ベクレル/キログラムというような形でございました。

先ほど述べました福島の海域以外では、基準値の超過はありません。それより西の方の海域につきましては、セシウムの合計でも1ベクレルを超えるものはございませんでした。

その次、核燃試料の方の資料でございます。ページを戻っていただきまして19ページに文章で書いてあるところがございます。

19ページ、20ページにまとめさせていただいておるところでございますけれども、検出されました人工放射性核種は銀とセシウム、ストロンチウム、プルトニウムでした。

ストロンチウム-90につきましては、過去5年間の測定値の範囲内でした。プルトニウムも、今回、0.00058ベクレル/キログラムという結果がありまして、過去5年間と比べますと、過去5年間でイカ・タコ類では0.00051ベクレル/キログラムを超過していますけれども、過去の最大値等を見ますと0.0014ベクレル/キログラムというのもございまして、それを勘案して考えますと、過去5年間とも同程度、過去の最大値は超えていないと評価しております。

それから、セシウムです。こちらも、後ろの方に表の形式でまとめさせていただいておりまして、105ページになります。105ページで、核燃海域の魚について記載しております。右から2つ目のマダラは、6月に獲られた魚ですが、セシウム-137で11ベクレル/キログラム、セシウム-134で10ベクレル/キログラムと過去値を超えているものがございます。ただし、これも食品の基準値について超えるようなものではありません。

その他の魚については、この前後の方にずっと100ページから107ページの方に書かせていただいております。ちょっと詳細な一つずつの説明は割愛させていただきたいと思います。

海産生物につきましては、銀やセシウム-134がこのように見られております。こういうことから、発電所事故に起因するということも考えられます。

併せまして、この当時、獲られた魚のデータの濃度でございますけれども、水産庁の方が同一の海域で別途実施しておりますような魚についてのデータと、ほぼ同程度以下というような形でございました。

海産生物は以上でございまして、次に海底土に移らせていただきます。

海底土でございますけれども、また20ページに戻らせてください。20ページの4.2海底土試料の分析結果というところでございます。発電所海域から述べさせていただきます。

発電所海域、合計で60点あります。平成23年4月から6月に検出されました人工放射性核種としては、セシウム-134と137でした。事故前の最高のデータを上回っていた海域としましては、宮城と福島第一、第二、茨城と新潟でございました。それぞれの詳細なデータということで、これはまた後ろの表に飛んで恐縮でございますけれども、112ページの資料2-1の(4)というところでございますが、福島第一海域の測点2というところで、セシウム-134で200ベクレル/キログラム、セシウム-137で220ベクレル/キログラムというのが最大の値でございました。その前後に、福島と宮城と茨城のデータをそれぞれ記載させていただいております。

前のページに戻り、111ページで、測点4というところで、セシウムの合計値が146ベクレル/キログラム。それから113ページの方にいきますと、福島第二海域で125ベクレル/キログラム。それからめくっていただいて茨城の海域の測点1で53ベクレル/キログラムというような形でございます。宮城、福島のこのデータは、後で述べますように、23年度に実施を特別にしております福島第一原子力発電所周辺の海域モニタリングの結果とほぼ同程度でありまして、従前の公表させていただいているデータからトレンドの逸脱はございませんでした。1つ、特異点と言いますか、注目すべき点としましては、116ページに新潟の海域のデータがございます。新潟で5月に採取した結果でございますが、測点1、2がセシウム合計で30ベクレル/キログラムを超えるような値になっております。このあたり、大気からの沈着の要因もあろうかとも思われますし、あとは河川経由で日本海側へ回って、そちらの方へ達したというような要因も可能性としては考えられると思っております。

その他の海域につきましては、過去の最大値を超えるところはございません。109ページから123ページまでの間に、それぞれのデータを表として記載させていただいております。

発電所海域の海底土については以上でございまして、また元に戻っていただきまして、21ページでございます。

今度は(2)のところで、核燃海域の海底土22測点の結果でございます。こちらでは、ストロンチウム-90、セシウム-137、プルトニウムが検出されておりますけれども、ストロンチウムは過去5年間の最大値以下でした。表の中でございますけれども、過去0.78ベクレル/キログラムに対しまして、平成23年度は0.51ベクレル/キログラム。それからセシウム-137につきましては、過去5.2ベクレル/キログラムに対しまして、平成23年度は4.6ベクレル/キログラム。プルトニウムにつきましては、過去5.1ベクレル/キログラムに対して平成23年度は4.1ベクレル/キログラムということで、その測定範囲内にあったというところでございます。

詳細なデータは後ろの方にございますが、説明は割愛させていただきます。124から129ページに、データをまとめさせていただいております。

最後に海水の試料でございます。こちらは、表層水と下層水を採取して分析した結果でございます。4.3以降のところにまとめさせていただいております。

発電所海域15海域でそれぞれ4測点ありますので、60測点につきまして測定をしました。検出されました人工放射性核種といたしましては、ストロンチウム-90とセシウム-134とセシウム-137でございました。測定につきましては、測定点1だけガンマ線による計測を行っております。セシウム-134が検出されたのは、青森、宮城、福島第一、福島第二、茨城、静岡の6海域でございます。

その他、それぞれの海域における測定点での測定は、ベータ線による計測で定量しておりますので、セシウム134と137の分離は不可能ですが、ここでは、セシウム134も存在したということも踏まえまして、134+137というような形でまとめさせていただいております。

この調査で、過去5年間だけと比べますと、過去5年間を上回る海域は相当あるんですけれども、事故前の最高データを上回った海域としては、青森、宮城、福島第一、第二、それから茨城、静岡でございます。こちらも、詳細なデータが、また後ろにいかせていただいて、134ページの資料3-1(4)福島第一海域でございます。こちらの測点4のところで、6月に採取した表層のデータがセシウムのベータ線解析なのでセシウム134と137が両方含まれていると思われますが、1,400ミリベクレル/リットルというのが、この調査で一番高い値でございました。

次に高かったところの値でございますけれども、少し戻っていただいて132ページの青森の海域でございまして、青森の測点3の表層のところで5月に採取した試料が、セシウムで4.7ミリベクレル/リットル。それから、次ページの宮城の測点1のところで、5月のセシウム、こちらはガンマ線での分析ですので、セシウム134と137を合計いたしますと55ミリベクレル/リットル。それから、次のページの福島第一を飛ばして第二の方で、測点1の6月に採取した試料が、セシウム134と137の合計で1,030ミリベクレル/リットル。次のページをめくっていただき、茨城の方にいきまして、測点1で高い値としてあるのが360ミリベクレル/リットルという値がございます。その隣、静岡海域での測点1の5月採取分で、セシウム134と137を合計しますと9.1ミリベクレル/リットルという値がございました。

宮城、茨城、福島の値につきましては、平成23年度に、こちらも特別に追加して実施しておりまして、既に公表している発電所周辺海域モニタリングについての結果と同程度で、従前のデータのトレンドの逸脱というのはございません。

それからストロンチウムの方でございますけれども、ストロンチウムは、過去5年間で比べますと、福島、茨城は超えておりますが、過去最大値と比べますと、福島海域のみが大きな値になっております。これは、134ページに戻っていただきまして、福島第一海域の測点4のセシウム濃度が一番高かった1,400ミリベクレル/リットル出ているところで、ストロンチウムの値が24ミリベクレル/リットルでございました。この値が、この調査での一番高いストロンチウムの値でございますけれども、値としては十分小さい値であろうというふうに考えております。

それから、また22ページに戻ってください。22ページに戻っていただきますと、今度は海水の核燃海域の結果がございます。こちらは22測点で年2回採取いたしております。検出されました人工放射性核種としては、トリチウム、ストロンチウム-90、セシウム-134、137、プルトニウムでございます。トリチウムとプルトニウムにつきましては、過去5年間の測定値と同程度でございます。

参考として、アクティブ試験開始前の13年度から17年度のトリチウムの濃度も並記しておりますが、平成23年度につきましても、特に大きな値ではないという結果でございます。

詳細につきましては、また後ろの146ページ以降になります。この中での注目点は、167ページでございます。核燃海域測点1から22までの表がまとめてありますけれども、高い値を示した測点が1点ありまして、測点22というところでございます。これは、核燃海域といいましても、一番南側にある岩手県沖のポイントでございまして、そこでは、セシウム134と137が合計で730ミリベクレル/リットル。それから、ストロンチウムでは13ミリベクレル/リットルというような値でございました。13ミリベクレル/リットルにつきましては、特にそう大きな値ではないのかなというふうに考えております。こういう形で得られたデータはまとめさせていただいているところでございます。

ページを元に戻していただきまして、25ページ以降には、それぞれの放射性核種の濃度レベルの経年変化を記載させていただいております。これは、図を見ながらというふうに考えておりますので、順次、ページをめくっていただければと思いますけれども、29ページ以降に主要な各漁場についてのトレンドを示させていただいております。

29ページ、上から北海道、青森となりますけれども、北海道は若干上がっている値がありますが、過去の最大値は超えていないという値でございます。青森につきましては、平成23年度の一番高いところ、右端の欄に高いところがあります。

次のページへいきますと、宮城も高い、福島も過去の変化に比べて顕著に違う値となっております。

その次の31ページにつきましても、茨城で非常に高い値が出ているところでございます。静岡につきましては、1点だけ1.2弱のところがあるという結果でございます。

それより西のところ、32ページ以降を見ていただきますと、過去のトレンドの範囲内という値でございます。

ページをしばらくめくっていただき、36ページ以降が、今度は海底土の経年変化の図でございます。

36ページ以降を見ますと、37ページで宮城の値が過去の値を超過してございます。次の福島第一、第二海域、それから茨城の海域があります。静岡はなく、その次の39ページ、新潟の海域で飛び出している点があるというような結果です。それから西を見ていただきますと、特にトレンドを大きく逸脱するような値はないという結果でございます。

43ページ以降は、海水の経年変化を示しており、45ページから順番に各海域のデータになっております。北海道の値は若干上がっておりますが、過去値は超えていない値でございました。それから青森では、表層水が過去値を超えた値がございます。宮城では、表層も下層も過去値を超えているところでございます。福島では、セシウムが超えておりますが、ストロンチウムも、黒い丸ですけれども、過去値を超えているような値でございます。こちらは、下層水では、セシウムのみが過去値を超えております。茨城海域、静岡海域についても過去値を超えているところがございます。それよりも西の海域については、過去のトレンドの範囲内で推移しているという結果でございます。

59ページ以降が、核燃海域の経年の変化図になっております。

海産生物につきましては、ストロンチウムは平常の範囲内で、セシウムについては、平成23年度に過去値を超過しているようなところでございます。次のページをめくっていただくと、プルトニウムもトレンドの範囲内という結果でございます。

61ページからは海底土になりますが、こちらは、ストロンチウム、セシウム、次のページのプルトニウムとも特に大きな変動はないという結果でございます。

海水につきましては、63ページ以降でございますけれども、トリチウムは変動ございません。次のページのストロンチウムにつきましては、上の図ですけれども、1点だけ飛び出しているところがあります。それから、次のページの65ページでは、海水のセシウムで1点だけ、370ミリベクレル/リットルの値が出ており、少々グラフの範囲が記載しづらく、このような書き方をさせていただいているところでございます。プルトニウムにつきましては、平常の範囲内でございまして、66ページまでそのような書き方をしおります。

まとめに入る前に、67ページ以降の、平成23年度に追加実施をしております福島第一原子力発電所周辺の海域モニタリングにつきまして、ご説明させていただきたいと思います。

これにつきましては、今年2月に開催しました第1回の検討会におきまして、平成23年度の海洋環境放射能総合評価事業の速報版という形でお示しさせていただいており、平成23年3月から平成24年1月までのデータにつきましては、その場でご説明させていただいているところです。

今回、平成23年度、それ以降のデータを追加して平成23年度の結果として取りまとめを行ったところでございます。ここで対象の海域とさせてもらっているのは、事故の影響がある宮城、福島、茨城沖のところで、主に海水、海底土の調査を実施しているところでございます。

67ページからは、モニタリングの概要について記載させていただいております。調査の経過といたしましては、平成23年3月23日から緊急的に海域モニタリングを実施しましたということで、次のページ、68ページにありますように、発電所から30キロ以遠の16点の測定を行っております。引き続き5月からは、その隣のページにあります測点につきまして、環境モニタリング強化計画を受けて、福島県のみならず宮城県、茨城県まで範囲を広げて実施をしております。

さらに、その次のページになりますと、8月以降になりますが、検出下限値を下げて測定することもあわせまして、色々な関係機関と連携しながら測定を実施しているところでございます。

対象試料は、主として海水、海底土ですが、それ以外にも塵埃(ダスト)を測定しております。

測定頻度や採取期間、場所等につきましては、71ページ以降の表にまとめさせていただいております。

73ページ以降には、試料の前処理と分析法につきまして、まとめさせていただいているところでございます。

67ページに一度戻っていただきまして、こちらではどのような試料を採取しているかというところを記載しております。

海水につきましては、海面から1~5メートル下の表層。それから、時期にもよりますが、当初は水深のおよそ半分の層で、7月以降は水深100メートル及び200メートルの中層。それ以外に海底から10~20メートル上の下層というところを採取しております。試料点数としては全部で1,453検体の分析を行っています。

海底土につきましては、海底の表面から3センチまでの層を2~2.5キロずつ採取して分析をしておりまして、試料数としては、こちらは197検体です。塵埃(ダスト)につきましても実施しておりまして、試料数としては196検体でございました。なお、ダストにつきましては、5月に全て検出下限値以下となりましたので、7月末で採取は終了しております。

また、事故当初につきましては、洋上の空間線量率もあわせて測定しております。

次に73ページですが、こちらでは試料の前処理及び分析法につきまして、記載させていただいております。塵埃については、フィルターでとった試料を600秒から1,000秒、ゲルマニウム半導体検出器でガンマ線の分析を行い測定しました。海水につきましては、迅速性を重視した時期では前処理を行わず分析しましたが、それ以降は化学分離・精製を行って分析するという方法をとっているところでございます。

海底土につきましても、乾燥させてふるいにかけ、容器に詰めてガンマ線分析をしております。それからストロンチウムの分析につきましては、イオン交換法等により分析しているところでございます。

74ページでは、各試料の検出下限値の目標値を示しております。先ほどから少し触れさせていただいておりますように、例えばセシウムですと、当初は10ベクレル/リットルの下限値で実施しておりましたけれども、8月以降は1ミリベクレル/リットルの下限値で実施をしているところでございます。

75ページ以降に、測定結果をまとめさせていただいております。最初は空間線量率でございますけれども、当然、3月は高い値を示しており、3月28日で0.15マイクロシーベルト/時という値がありましたが、以後は、順次減少しているという結果でございます。

(2)は塵埃でございますけれども、次のページのグラフを見ていただきますと、当初は高い値を示しています。ヨウ素やセシウムにつきましても、3月後半にピークがありますが、ほとんどの測定点につきましては、4月上旬に検出下限値以下に戻っているという結果でございます。

次の77ページ以降が、主として測定している海水でございます。事故当初からのグラフを下の図ローマ数字2(7)で示しておりますが、事故当初、ヨウ素-131を含めて10ベクレル/リットルをはるかに超えるような濃度が計測されておりますが、4月15日の測定が一番高く、161ベクレル/リットルという値がございました。その後は急激に減少して、5月3日からは検出下限値以下になっているという結果でございます。

セシウムにつきましては、次の78ページにグラフがございます。上のグラフがセシウム-134、下のグラフがセシウム-137でございまして、色別に表層、中層、下層というような形でプロットしております。表層のセシウム-134、137ともに、事故後、3月下旬から濃度が上昇し、4月15日のところが最大値でした。それぞれ数字で言いますとセシウム-134が172ベクレル/リットル、セシウム-137が186ベクレル/リットルという値になっております。

中下層の濃度も、その後の経時的な動きも、表層の値にほぼ連動して動いているところでございます。

全体として見た場合、4月中旬から134、137とも全体的に減少しているという結果でございました。

なお、2月の検討会の際に出させていただいた資料では、途中の時期の値がNDとなっておりましたが、その試料については再測定を行い、今回結果がわかるような形でプロットしております。そのため、減少傾向が見える結果となっております。

現在、取りまとまっている最新のデータは、平成24年の2月のデータでございまして、平成24年2月のデータを見ていただきましても、セシウム-137に関しましては、元のバックグラウンド値、およそ0.002ベクレル/リットル程度ですが、その値にはまだ戻っていないところが多々あるという結果です。徐々に減少のスピードも落ちているというのか、緩やかなカーブになっております。これが、セシウムの値です。

それから、ストロンチウムの結果を次ページの表ローマ数字2(5)にまとめさせていただきました。ストロンチウムの分析については、全測点ではなく、時間もかかりますので一部の試料のみ分析を行っております。

全体的な傾向としましては、8月から11月までのデータを見ますと、前年度の例えば福島第一海域における濃度範囲が0.98~1.3ミリベクレル/リットルでございましたけれども、それより2~4倍は上回っておりました。12月に入ってから得られたデータにつきましては、およそ2倍以下というような値ですけれども、まだ事故前の値までは戻っていないというような結果でございます。セシウムのところの経年変化の度合い、ストロンチウムの減少幅を見ましても、モニタリングは必要というレベルは、まだ継続していると考えております。

次に、海底土でございます。海底土ですけれども、80ページにヨウ素-131の経年変化のグラフを記載しております。ヨウ素-131では、最大値が5月9日の6.1ベクレル/キログラムまで上昇しております。海水同様、値は時間とともに減少しており、6月8日を最後に検出されなくなっております。

その隣、81ページにセシウム-134と137の濃度変化のグラフを記載しておりますけれども、こちらは、海水や塵埃のように、減少のパターンを必ずしも示しておりません。場所によりましては、一度減少して再上昇するパターンや、急な上昇などのパターンがあります。その辺りは、やはり海底土の濃度のばらつきや組成のばらつきもあるでしょうし、沿岸流の動きや河川の影響など、様々な要因が複雑に絡み合っているために、一義的に減少を続けているというようなパターンを示さないのではないかと見ておりまして、まだ監視を継続する必要があると考えております。

82ページは、ストロンチウムの濃度をまとめた資料でございます。こちらは、0.1~0.4ベクレル/キログラムという範囲でございます。今までの調査、例年やっております漁場の調査では、ストロンチウムは測定しておりません。ただし、核燃海域では実施しておりまして、そこでは0.51ベクレル/キログラムの最大値がありましたが、およそその範囲にあるということが言えると思います。

1点だけ、平成23年9月にとられた1.9ベクレル/キログラムのデータでございますが、その場所につきましては、ストロンチウム-89は検出されておりません。

下の表には、プルトニウム、アメリシウム等についての記載がございますが、こちらは、プルトニウム、アメリシウムともに検出されておりますが、青森、岩手、核燃海域の測定結果と同程度であるということと、それからプルトニウム-238の239+240に対しての比が、フォールアウトの過去値に近いということを勘案すれば、事故由来とは断定できないと思われます。

以上で第ローマ数字2章の福島第一原子力発電所周辺の海域モニタリングの説明を終わらせていただきますが、24ページにまとめを記載させていただいておりますので、24ページに戻っていただければと思います。

先ほど述べたようなことをまとめて書いております。本事業は昭和58年から実施しており、福島事故に由来したと考えられるような結果が得られました。海産生物につきましては銀-110やセシウムが検出され、セシウムでは事故前の最大値を超える海域が見られました。それは、青森、宮城、福島、茨城、静岡と核燃海域でございます。ただし、福島を除きますと、食品の基準を超過するものはなく、過去最大値を超えた海域を除く他の海域では、平常時の値であったと見ております。

それから海底土のセシウムにつきましては、宮城、福島、茨城、新潟で事故前の最大値を超過しているところでございます。核燃海域を含むその他の海域につきましては、平常時の値でございます。

海水のセシウムにつきましても、青森、宮城、福島、茨城、静岡、核燃海域で事故前の最大値を超過しており、その他の海域につきましては、平常時の値でございます。以上をまとめにさせていただいております。

少し長くなりましたけれども、説明を終わらせていただきます。

【花輪主査】どうもありがとうございました。

平成23年度の調査結果に対するご説明がありました。だいぶ多岐にわたっておりますが、全般的にご質問、ご意見がありましたら、まずお受けしたいと思います。いかがでしょうか。特に幾つかのところでは、解釈も含めて記述されているところがあります。そういうところも含めて、ご意見がございましたらご発言をお願いしたいと思います。

どうぞ、乙坂委員。

【乙坂委員】先ほどの78ページのところにありました海水中の放射性核種の放射性セシウムの濃度についてです。減少率が最近減ってきているというご説明があったかと思いますが、減少量は減っていますけれども、減少率そのものは決して減ってはいないと思いますので、その点については、説明を注意された方がよろしいかと思います。

【花輪主査】いかがでしょうか。

【高岡補佐】わかりました。ありがとうございます。減少量は少ない形で推移しているというように解釈します。

【花輪主査】よろしくお願いいたします。その他、ございませんか。小山委員。

【小山委員】何点か。まず80ページのところです。測点J1地点の海底におけるストロンチウムの由来が、中ほどの記載で、同レベルを上回っており事故由来の可能性は否定できないとあり、その後、短半減期核種のストロンチウム-89が検出されなかったことからその可能性は低いとされておりますけれども、9月ですので、かなりストロンチウム-89は減少しておりまして、この89が検出されなかったことをもって、事故由来の可能性が低いというふうに言えるのかどうか、若干疑問が残ります。

そして、81ページの図を見てみますと、9月12日近辺の、J1のところは一番高い値を示している500ベクレル/キログラムという値のところです。場合によっては、それ相応に含まれていても不思議ではないのかなというところでございます。

【花輪主査】そこはいかがでしょう。

【高岡補佐】わかりました。事故由来の可能性は否定できないというところまでは言えると思いますので、半減期の関係でストロンチウム-89がないので更にその可能性は低いという記述については、若干見直そうと思います。確かに、一番セシウムが高いところなので、ストロンチウムの存在比から見てもあってもおかしくないのかなと解釈もできるかと思いますが、これが絶対事故由来であるというところまでは言い難く、事故の可能性は否定できないというような記述にさせていただこうと思っております。

【花輪主査】いかがでしょうか。そういうご修正でいかがですか。

【小山委員】お願いいたします。

【花輪主査】どうもありがとうございます。その他、ございませんでしょうか。青野委員、どうぞ。

【青野委員】28ページ以降に、原子力発電所等周辺海域における放射性核種濃度の経年変化というグラフが続いておりますが、一部のグラフには、採取年度の横に注意として「ND:検出下限値以下を示す」と記載されております。グラフの中に、そのNDに関してはプロットされていないと思いますので、この注釈は取られた方が良いのではないかと思いますが、これは何か意図しているのでしょうか。

【花輪主査】いかがでしょうか。例えば図ローマ数字1-6(1)のグラフの右下に、NDという注釈がありますね。これは必要ありますかというご指摘ですが。

【高岡補佐】グラフの縦軸のところで、どう言ったらいいでしょうか、NDという形で書かせていただいておりますが、NDの値がここにありましたという意味で書かせていただいております。

【花輪主査】原点が0ではないということです。

【青野委員】わかりました。

【花輪主査】そうですね。原点は0ではなくNDです。そういうことでは、意味があると思います。そうしますと、その注釈がないのが逆にありますよね。図ローマ数字1-6(3)は逆に注釈がないのではないですか。

【高岡補佐】失礼いたしました。全て記載するように統一いたします。

【花輪主査】統一をお願いいたします。

その他、ございませんでしょうか。吉田委員、どうぞ。

【吉田委員】24ページ、25ページのまとめの部分の表現ぶりについて、ご検討をお願いしたい。海産生物試料、海底土試料、海水試料ともに、福島を中心に北隣り、南隣りの宮城、茨城のデータはかなり高い数値になっております。それに対して、海産生物試料における青森、静岡というのが出てまいります。海底土試料で、前のページで詳しく原因についての推定も含めて説明がありますが、新潟が出てまいりました。海水試料でも、青森と静岡が出てまいりました。

これは、このまとめの表現でもそうですし、それからその次のページの経年変化でも同じように出てまいりました。 

この部分の表現ぶりは、平常時の値という評価と、特異なデータが出ている、経年変化でも一変しているという2種類の大枠の評価に分けられていると思います。

そうしますと、これを読んだ方が、データを直接見れば、事実はご説明のとおりですが、グループとして見た時に、福島を中心とする3県プラス青森、静岡、新潟は非常に危ないのではないかという印象を持たれる可能性があるということを心配しています。

しかし、実際のデータを見てみますと、経年変化でも、例えば31ページに静岡海域の海産生物が出ておりますけれども、確かに一番上にクロウシノシタという高いものが出ています。これを見ると、異常な高さのように見えるのですが、実は1.1ベクレル/キログラムぐらいですね。100ベクレルと比べると値が問題にならない数値です。他にも、チェルノブイリ以降、漸減しておりますけれども、既に出た値であるというふうなことでありますとか、新潟の海底土にしましても、確かに4地点のうち2地点では出ておりますが、これも福島、茨城等の値に比べれば、これをどう評価するかは、違ってくるというふうに思います。

そこで、事実は事実なのですけれども、そういうことも考慮に入れた上で、それから過去のチェルノブイリ以降、経験したような水準であるということもあると思いますので、表現ぶりについて、ご検討いただければありがたいと思います。

こういうことを申し上げるのは、私が漁業団体の者ですからですけれども、今、漁業者は、安全委員会基準の100ベクレル以上のものを市場に出回らせないということで必死の努力をしております。それでも、なおかつ0でなければだめだとか、そういうこともあって、いわゆる風評被害ですね、明らかに低い数値ですけれども、0ではないということ等で苦しんでいます。福島近辺のところは事実ですからやむを得ないにしましても、そういうところは休業したりしておりますので、それ以外のところで、また新たな不安をかき立てるということになると非常に困ります。今の基準の100ベクレルは、安全と安心のために政府が出されたわけですけれども、必ずしも意図どおりになっていない。むしろ、不安を助長している側面もあるということからすれば、こういう発表等については十分に考えた上で、今この時期に必要以上の不安をかき立てないような工夫をしていただければと思います。よろしくお願いします。

【花輪主査】どうもありがとうございました。

吉田委員のご指摘は大変よく理解できます。この24ページのまとめですけれども、そこに書き出しているのは、2つの値に分けているといいますか、もう少し詳しく言いますと、例えば下から2段目、「海底土試料においては」と書きますね。一番最後は「検出されなかった」と。つまり、検出されたか、されないかどちらかという観点で海域を書いていますよね。

その次が、「過去最高値を記録した」。過去最高値を記録したかしないかという観点で海域を挙げています。そうしますと、どちらかなので、ここは海域を書かれるのですが、やはり絶対値を考えますと、新潟で最高値を記録したとしても0.幾つベクレルの話です。ほかはもっと高い。そういうところをまとめで簡潔にお書きになりたいのは、おそらくそうだと思うのですが、やはり色々なことを考えると、長くなっても良いので少し丁寧に書いていただいた方がいいような気がいたします。これは、いかがでしょうか。

【高岡補佐】ご意見、どうもありがとうございます。

簡潔にまとめるということで、白か黒かという感じで書いたとの印象にとられかねない表現になったのかなと思いますが、そのあたり、もう少し段階を持った形の表現ぶりを検討させていただければと思います。今すぐここでこう書きますというのは、すみませんが、ちょっと答えられませんけれども、こういう形で書きたいというような案を出させていただければと思います。

【花輪主査】どうもありがとうございます。

そのほか、ございませんでしょうか。青野委員。

【青野委員】同じページの24ページのまとめのところの2つ目のパラグラフ、「海産生物試料においては」というところの4行目に、「基準値(放射性セシウム;一般食品100Bq/kg)を超えるものがあった」という記載がありますが、実際、このサンプルがとられたのは平成23年度ですので、この基準値はまだ施行されていないと思います。そうすると、何か誤解を招くような気がしますし、実際、この時期というのは禁漁というか自粛されていた時期だと思いますので、この文章を書く際、基準値というのが何の基準値かわからなくなると思いますので、その点をご再考いただければと思います。

【花輪主査】例えば「基準値」と「100Bq/kg」を入れかえて、「に関し、100Bq/kg(この値は放射性セシウムの平成24年4月以降の基準値)」というふうに書けばいいわけですね。

【青野委員】そうですね。

【花輪主査】例えば。

【青野委員】例えばですけれども。

【花輪主査】この辺りも、検討していただけませんでしょうか。

【高岡補佐】わかりました。その辺りは認識していましたが、今更過去の基準値を超えてなかったとも書けないと思いまして、このような書き方をさせていただいております。その点につきましても、平成23年度の基準値はこれで今はこれだというような形で補足をさせていただきたいと思います。

【花輪主査】どうもありがとうございます。

その他、ございませんでしょうか。山下委員、どうぞ。

【山下委員】基本的な数字の意味を教えていただきたいのですけれども。例えば、この資料編の85ページに放射性核種濃度とあって、全部プラスマイナス以下計数誤差というものがついています。我々の分野ではあまり「計数誤差」という言葉は使わないのですが、試料の個体数はかなりたくさんあるけれども、一個体ずつ測ったデータの誤差というわけではなさそうです。想像するに、例えば一番最初のホッケですと35個体ありますが、これを全部混ぜて一塊にした上で、同じ標本から何回かとって、その標準誤差か何かを計数誤差という表現をされているのでしょうか。これでは数字の意味がわかりません。

【花輪主査】回答をお願いいたします。

【海生研(御園生)】代わりにお答えします。ホッケについて申し上げますと、これは個体数が35ございます。これを全部3枚におろして、肉の部分だけを灰にして、一緒にしてよく混ぜたものについて測定しております。それについての測定値の計数誤差という形で出てきた値をここに記載しております。

 ですので、何サンプルかをとって、それを測ったものの平均値と標準偏差という値ではございません。

【山下委員】それがわかるように、備考か何かに書いておく必要があるのではないかと思います。

【花輪主査】計数誤差の説明を付加してください。

【高岡補佐】了解しました。放射線の世界ではこういう書き方をしておりますので、わかるような形で書かせていただければと思います。

【花輪主査】その他、ございませんでしょうか。戻りますけど、この24ページがまとめということで一番大事なところになろうかと思いますので、ご意見ございましたらお願いいたします。小山委員、どうぞ。

【小山委員】24ページ、25ページの中で、「平常時の値」と「平常時に近い値」ということで使い分けているようですけれども、平常時の値ということは、例えばこういう範囲のものが平常時の値というふうな形で、これまで定義か何かをされてきているということでしょうか。どういう形で使い分けられているのでしょうか。

【花輪主査】いかがですか。

【高岡補佐】すみません、厳格な定義をもって書いているわけではありませんので、使い分けにつきましては、注意して記載したいと思います。

【花輪主査】例えば「過去10年の平均値」でもいいわけですよね。「事故以前の10年間の平均値」とか書いてあればいいわけですね。

【小山委員】そうですね。モニタリングの場合に、例えば過去10年間の平均値の範囲とか、それを平常値にするとか定義した上で、例えばこれを比較して、いろいろ毎年のデータを議論しているといったことはありますので。

【高岡補佐】わかりました。そこは定義を書いた上で言葉を使わせていただきたいと思います。

【吉田委員】それにつきましては、私も同感です。この中で過去最高値という場合に、青森のデータのように年度途中からとっているのもありますね。そのような場合に過去最高というと、平成15年以降の最高なのか、昭和61年以降の最高なのかというふうなこともありますので。

それから、「平常時」といいましても、それが核実験もない頃の状態を言うのか、チェルノブイリ以前を言うのか、それとも最近5年なのか10年なのか、その辺りの考え方によっても色々とありますので、表現を整理した方が良いと思います。大変だと思いますが、よろしくお願いします。

【花輪主査】よろしくお願いいたします。

【高岡補佐】了解しました。ありがとうございました。

【花輪主査】その他、ございませんか。

全くつまらないことですけど、言葉遣いで、「および」が平仮名で書いてあったり漢字で書いてあったりしています。そういうところにも気を使っていただきたいと思います。

また、22ページの上から3行目、「福島第一、福島第一」となっています。これは、「福島第二」の間違いですよね。そういうことも気をつけて、ちょっと校正していただきたいと思います。

それでは、修正のお願いも幾つか出ました。基本的にそういう修正はしていただきたいとは思いますが、記載内容は概ねこのような形でよろしいかだけ、ここでご承認いただきたいのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。

(「はい」の声あり)

【花輪主査】修正内容の結果、どういうふうに反映されたかにつきましては、主査の私に一任してくださるとよろしいかと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

【花輪主査】どうもありがとうございます。

【深澤委員】いいですか。

【花輪主査】はい、どうぞ。

【深澤委員】大したことではないのですが、最初の1ページ目から表が始まる15ページまでの間、そこに色々なものの定義がされています。そこの定義で、例えば先ほどの山下委員の意見もそうですけれど、検出下限値の3倍になったのがどうこうとか、そういうものがありますよね、計数誤差など。この辺りでそれぞれの部分に、例えば年度ごとか、そういうものも並べておいてくれると分かりやすいかなという気がしました。後ろを見ると一目瞭然ではありますが、ここに何かまとまっていると、後で見るときには見やすいですね。よろしくお願いします。

【花輪主査】用語解説とか用語法とか、そういうのがまとまってあると良いと。そういうことも含めて、検討させていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。

【深澤委員】はい。

【花輪主査】では、修正意見といいますか、こうした方がもっとわかりやすくなるというような提案が多くありました。それを加味して修正させていただきます。

修正後の確認は、主査に一任されたということにいたします。どうもありがとうございました。最後は、私の責任で、ご指摘の点を踏まえて確認したいと思います。

それでは、議題の(2)「その他」ですけれども、平成24年度、この4月1日以降、海域モニタリングが新しく始まったわけですけれども、その実施状況につきまして、一通りご報告をいただけることになっております。第1回検討会で、平成24年度以降の海域モニタリングの進め方はどうあるべきか等々で、検討会でも議論いただきましたし、その後、色々なご意見を送っていただきました。それを反映して、4月1日から海域モニタリングが実施されております。4月以降、数カ月たちました。現時点でのモニタリングの実施状況をご報告していただこうというのがここの部分でございます。

今から文部科学省、水産庁、環境省、東京電力、以上4つの組織からご報告いただきます。すべてご報告いただいた後に、ご質問、ご意見等を伺わせていただきます。どうか、よろしくお願いします。

それでは、まず文部科学省からお願いいたします。

【木村戦略官】文部科学省のモニタリング班の木村と申します。参考資料と書いてある紙で、1.文部科学省と書いてございますが、この参考資料の冒頭数ページ部分が文部科学省部分でございまして、大変申しわけございません、ページ番号を振ってございませんが、最初のページからご説明させていただきます。

本年3月に関係省庁で取りまとめをいたしました海域モニタリングの進め方に基づきまして、文部科学省では、東京電力福島第一原子力発電所から20キロ以遠及び東京湾の一部の海域で海水、海底土につきまして調査・分析を担当してございます。

本資料は、今年度行っております、その結果につきまして代表的なものをご紹介するものでございます。

最初のページは、本年の5月15日から28日にかけて試料を採取いたしました太平洋沖の海水についてのデータを取りまとめたものでございます。各地点におきまして、表層及び海底付近及び水深が深い部分に当たりましては、その半分くらいの水深もしくは表層から100メートル付近の3層に分けまして海水を採取したデータでございます。

値はここに記載のとおりで、この時期にしましてはかなり小さな値になってきていると考えてございます。

ちなみに、福島沖で福島第一原子力発電所から概ね25キロ程度沖合、東日本大震災発生前の2010年6月にデータがございまして、この時は1.1~1.8ミリベクレル/リットルということでございますので、その値に近づきつつある値が出ていると考えてございます。

本年度は、このように海水の調査をいたしますが、年度内にあと3回、同様の調査をする予定でございまして、2回目の調査というのは、現在、もう既にサンプリング中でございます。

また、これは沖合ですね、この地図の右側の東側の方、143度から144度、ちょうど右側にデータがいろいろ2列に並んでございますが、その辺りの海域も調査する予定でございまして、最初の調査というのは、現在、分析中でございます。年度内にあと1回、実施予定でございます。それにつきましては、10地点、水深方向で5層にわたって調査をするという計画でございます。

続きまして次ページ、同海域におけます海底土でございます。値につきましては記載のとおりになってございます。その中で、福島第一のやや南、これで言いますとM-I0、I1、左側の下から3番目、4番目、この辺りが、この中では比較的高い値になってございますが、海底土の性状がこの部分だけシルト(粘土質)であるということで、ほかの部分は砂部分が多いのに比べて、ここだけが泥であるということでございまして、必ずしもこの場所的な何か特異な点であるというところまでは確実に言えない、性状がほかの部分と若干違うというところがありますことを付け加えさせていただきます。

ちなみに、同様に2010年6月に福島沖約25キロの沖合でデータがございまして、その時は、セシウム-137が1.4ベクレル/キログラムというデータがとれてございます。

同海域の調査は、この後、年度内にあと3回実施予定でございまして、そのうち第2回目の調査というのは、現在、サンプリング中でございます。

次ページに表がございまして、先ほどの値、性状等を書いた表をつけてございますのでご参照ください。

それから1ページめくっていただきまして、やや東側、遠いところですね。これは、水産庁さんの中央水産研究所のご協力をいただきまして採水して出たデータでございます。これは、5月24日から6月3日にかけて採水したものでございます。値としましては、記載のとおりの値でございます。

ちなみに、昨年、2011年の4月から5月にかけまして、同付近のデータを気象研究所の方で調査発表されてございまして、その時、ほとんど同じ値の濃度というのがセシウム-137で15~22ミリベクレル/リットルということでございまして、それに比べますと小さな値が今回は出ているということでございます。

同海域の調査は、この秋に再び水産庁さんのご協力をいただきまして採水予定でございます。

続きまして、次のページ、東京湾でございます。海水です。この東京湾につきましては、黄色いプロットが環境省、緑が千葉県、赤が当省ということで実施してございます。この赤の2点につきまして、当省が分析をしてございます。値としましては、15ミリあるいは14ミリベクレル/リットルというような値になってございます。その他の地点、環境省さん、千葉県さんは下限値1ベクレル/リットルで実施されておりますので、検出下限値以下ということになってございます。

同海域の調査は、年度内にあと3回ですね。当初、この赤い点を2点やってございますが、あと3回実施予定でございます。このページにつきましては、右肩に記載がございますように8月3日、すなわち本日プレス発表をちょうどしたところでございますので、あわせてお知らせいたします。

次のページでございますが、東京湾の泥でございます。同じく黄色が環境省、緑が千葉県、赤が当省でございます。泥につきましては、当省が東京湾の奥の方の大半をはかってございます。値としましては、そこに記載している値のとおりでございます。

性状でございますが、全体的にヘドロと呼ばれるもので、粒度的にはシルト、一部砂が混ざっているというようなものでございます。

それから、同海域の調査でございますが、年度内にはこのうちの全ての点を実施する予定はございませんが、湾央の2点程度につきまして、あと2回程度、実施をしたいと思っているところでございます。その数値データの方は、表は次のページの方に記載してございますのでご参照ください。

当省からの説明につきましては、以上でございます。

【花輪主査】どうもありがとうございます。続きまして、水産庁の方からお願いいたします。

【水産庁(森田)】水産庁研究指導課の森田です。これもページ数を振ってありませんが、水産庁の資料についてご報告させていただきます。

これは、昨年度の2次補正予算で行われた調査でありまして、昨年の秋口から3月までの調査報告です。全体の調査報告書は100ページを超えるものでして、それは水産庁のホームページと水産総合研究センターのホームページに掲載されておりますので、詳細はそちらをご覧ください。

今回、ここにお持ちしましたのは、そのダイジェスト版ということで、簡潔にまとめたものです。

1ポツ、2ポツ目までは、それぞれ東京電力等々の調査などをまとめた概略ですが、3ポツ目から説明しますと、御存じのように既に海水等の濃度が拡散などによって非常に減少したおかげで、浮魚類や貝類、海藻類等中の放射性セシウムの濃度は、現在非常に減少しており、既に数ベクレルというところまで下がっているという結果が得られております。

ただし、4ポツ目にありますように、放射性セシウムが海底の方に沈降したということで、その影響を受けて、現在も底魚類で高い濃度のものが検出されており、ここにはヒラメのセシウムの濃度が示してあります。

簡単に説明しますが、5ポツ目に、海底に沈降した放射性セシウムがどのような経路を経て、また底魚類の汚染を引き起こしているのかというところは、なかなかはっきりとしたことがわかっておりませんので、このあたりを調査・研究をしていたわけですが、1つの経路として、海底の直上にある懸濁物ですね、海水中に含まれているような懸濁物と、そこに生息しているババガレイの濃度等に非常に良い相関が見られるということで、そういったものが底魚類の汚染を未だに引き起こしているのではないかということが徐々にわかってきました。この調査は本年度も行われていますので、より詳細な結果が水研センターから発表されることを我々としては期待しております。

次の表は、他の自治体と協力して調査を行っているわけですが、その各県別の総調査数、それと去年までの規制値でありますが、暫定規制値を超えたもの、そして、さらに今年からの基準値である100ベクレルを超えた超過件数が示してあります。

総調査件数からこの2つを引いてもらうと、100ベクレル以下の検体数があるということで、見ていただくとおわかりのように、福島県を中心に、その両隣の県で、当然、福島県が一番多くなってしまうのですが、基準値を超えるものが見られているということです。

次のページからは、県別ではなく種類別の濃度を示しております。この一覧を見ると、全ての種類において100ベクレルを超えるようなものが存在しているかのように思われますが、これは事故直後からのデータを全てまとめておりますので、事故直後には高い濃度が検出されたもの、例えばイカ・タコ類は事故直後では高いものが検出されていましたが、現在ではこれらは非常に低い濃度となって、福島県の一部では漁業の試験操業も再開されているという状況です。

これらの細かなデータは、水産庁のホームページに掲載させていただいておりますので、詳細についてはそちらをご覧いただきたいと思います。以上です。

【花輪主査】どうもありがとうございました。続きまして、環境省からお願いいたします。

【環境省(古田)】環境省でございます。一応、資料をつけてございますけれども、こちらの結果は、先ほど文部科学省さんから説明をいただきました東京湾の沿岸の地点の結果の生データでございますので、割愛させていただきます。調査の状況としましては、先ほどの河川の河口地点を、東京湾、それから茨城、福島、宮城の沿岸の部分を調査しておりまして、まずは最初に結果が出た東京湾を今回公表させていただき、先ほど文科省さんのまとめにありました数字となってございます。

既に採取した地点も、茨城、福島、その辺りで採取した地点もございますので、順次、分析に回しておりまして、結果が出しだい、公表していきたいと思っております。

調査頻度ですけれども、東京湾の方でも、他の河川の河口でもそうですけど、雨と言いますか、流量の関係がございますので、9月、10月ぐらいまでは、全ての地点ではないですが、毎月調査し、年内ですとあと5~6回ぐらいは調査をする計画を予定しております。

進捗状況等、環境省の説明としては以上でございます。

【花輪主査】どうもありがとうございました。

最後になりますけれども、東京電力からお願いいたします。

【東電(酒井)】東京電力の酒井と申します。最後のページになりますけれども、東京電力から、平成24年度海域モニタリングについて、主な状況につきましてご報告させていただきたいと思います。

資料をご覧いただきたいと思いますが、まず1番としまして海水でございます。私ども、福島県沖で30地点、茨城県沖で6地点、宮城県沖で7地点のポイントにおきまして海水をサンプリングし、分析しております。特に福島第一原子力発電所20キロ圏内の海域の海水セシウム-137濃度につきまして、ここに書かれておりますとおりご説明させていただきますが、まず福島第一原子力発電所の南放水口及び北放水口につきましては、この数値が書いてございますけれども、時々超えることがありますが、おおよそ1ベクレル/リットル程度までという数字になっております。

それと、沿岸から5キロ圏内について申しますと、これも0.1ベクレル/リットル程度までということになっておりますが、この値につきましても、超えることも時々あるという数字でございます。

さらに、沿岸から5キロから20キロメートル圏内ということで申しますと、これもおおよそ0.05ベクレル/リットル程度までということになっております。この値も、時々超えることがございますが、おおよそこのぐらいの値ということになっております。

2番目でございますが、海底土につきましては、福島県沖43地点で主に河口域付近に着目して、海底土の放射性セシウム濃度の測定を行っております。特に、大熊町の熊川沖合の水深7メートルから100メートルの地点、これは7カ所でございますけれども、放射性セシウムの沖合移行を調査中でございます。現在まで4回ですか、サンプリングしておりますけれども、最大で2,000ベクレルというようなものがございました。さらに、まだ4回でございますので傾向は把握できておりませんけれども、濃度自体は低下傾向があるかなと思っております。

それと3番目でございますが、魚介類につきましては、福島第一原子力発電所20キロ圏内におきまして、11地点で魚介類の放射性セシウム濃度の測定を実施してございます。今年の3月から6月までの測定の結果でございますけれども、測定サンプル総数が312サンプルございまして、うち100ベクレル/キログラム超えにつきましては114サンプルございました。約4割弱ということになるかと思います。測定魚種につきましては53魚種ございまして、これも100ベクレル/キログラム超えは20魚種ということで、これも約4割弱ということになります。

特徴といたしましては、イカ・タコ類は最大でも数ベクレル/キログラムということで低い傾向を示してございますが、一方、シロメバル、スズキ、ババガレイなどでは放射性セシウム濃度が比較的高い傾向にございます。さらに沖合10キロから20キロでとれた魚につきましては、放射性セシウム濃度、これは比較的低い傾向がございまして、つまり100ベクレル/キログラム以下のものが多いという傾向でございました。

簡単ではございますが、状況につきましてご説明させていただきました。

【花輪主査】どうもありがとうございました。

4つの機関から報告していただきました。今、4つの機関から報告されたことにつきまして、ご質問、ご意見がありましたらお受けしたいと思います。

いかがでしょうか。はい、荒巻委員。

【荒巻委員】この文科省さんの報告を見ていてちょっと気になったのですが、我々も東京湾全域の放射能調査並びに湾口の太平洋の表層水のセシウムの分析を実施しているのですが、まだ東京湾のデータはちょっと出ていないのですけれども、我々の太平洋のデータですと、大体、今の時期といいますか、今年の1月ぐらいからの濃度は、表層でおおよそ1~5ミリベクレル/リットルぐらいで、報告にあるのも大体それぐらいの、千葉の房総沖のところで8とか5とか書いてありますので、それぐらいかなと思ったのですが、先ほど速報と言っておっしゃられた東京湾のデータは15ミリベクレルと1けた高い数字になっているのですけれども、これは何か想定されている理由みたいなものはあるのでしょうか。

【花輪主査】いかがでしょうか。

【木村戦略官】正直なところ、これ以前に2点、実施をしてございまして、この2点を入れまして、今年度になりまして4つ、海水のデータがあるところでございます。その値は、ここにプロットがないのですが、このK-T1、K-T2とございますが、そのK-T2よりもやや東側、残念ながら、ちょっとそのプロットで継続的に調査ができていないのですが、4月18日に採水したデータというのがセシウム-137で9.8ミリベクレルでございました。

そして今回、やや測点はずれておりますが、15、14というところでございまして、オーダー的にはどうしても100分の1のあたりが出てくるという状況なのではないかと思っております。

【荒巻委員】河川から入ってくる放射能などの要因で高くなっているとか、例えば環境省のデータになっている、その黄色の点が高いとか、そういうものがもう見えているのかなとか、そういうことは情報としてあるのかなと思って聞いてみただけなのですが。

【花輪主査】解釈されていますかということですね。

【荒巻委員】そういうことですね、はい。

【木村戦略官】まだそこまで解釈しておりませんが、同資料の後半部分に環境省さんが7月の末に発表されました膨大な表が添付してございまして、東京湾に流れ込む江戸川水系などが影響を与えると思われるのですが。環境省さんのプレス発表ページから最初の表の江戸川水系の数字では、やはり1ベクレルが検出下限値ですので数値は出ていません。

ただし、次のページ以降、底質あるいは周辺環境、いわゆる川の川岸でしょうか、そのあたりのデータが書いてあるのですが、ご覧のとおり非常に大きな値が出てございまして、これが何らかの形で東京湾に流れ込んで、多少、数字が出ているのかなというような、その程度でございますが、推察をしているところでございます。

【花輪主査】基本的には、河川水由来かもしれないと。よろしいでしょうか。それでは、乙坂委員、どうぞ。

【乙坂委員】東京電力さんにお伺いしたいのですが、先ほど海底土の結果の時に、まだ暫定的な結果とのことでしたけど、2,000ベクレル/キログラムというご報告をいただいたのですが、これは、乾土ベースとか、湿土ベースとか、そういう基準はありますでしょうか。

【東電(酒井)】失礼いたしました。湿土ベースでございます。

【乙坂委員】泥の深度としては、10センチとかそれぐらいでしょうか。

【東電(酒井)】表層のおよそ10センチ程度ということでございます。

【乙坂委員】わかりました。今、4機関の方から海底土の結果のご報告をいただいたのですが、文科省さんは、昨年度までと同じ方法で、多分、測っていらっしゃると思うのですが、3センチで乾土ベースですね。水産庁さんが、ここに出ている表では1センチ層の乾土ベースで、環境省さんの沿岸が2センチから20センチの乾土ベースで、東京電力さんが湿土ベースで10センチぐらいということです。ちょっと基準がばらばらなので、それぞれのご報告としてはとても良いと思うのですが、1つ並べる時に評価することがちょっと難しいかなという印象がありました。

ですので、何か基準を設けて、ある基準に基づいてご報告をいただくか、それとも底質などによっても、どうしてもとれないものなどがありますので、プランA、B、Cみたいな形で、どういう基準に基づいてとったデータかというのがまとまっていると、大変よろしいかなと思います。

【花輪主査】ありがとうございます。

これは、第1回の時にも同じような議論がありまして、特に海底土に関しては決まったルールみたいなものがないので、可能であれば、できるだけ統一したルールでやりましょうという議論がありました。それから、継続性も大事だと思います。その辺を加味して統一した方法ということになるのだろうと思うのですが。

【乙坂委員】はい、そう思います。

【水産庁(森田)】水産庁からコメントですが、水産研究所の海底土に関しては、層別分析のために非常に細かくなっておりまして、他のさらに下の層に関しては、まとまった報告書で報告させていただいております。ですので、それを足していただけると、10センチまでの深さの濃度というのは出てきますので、そこは合わせられると思います。

【乙坂委員】わかりました。

【東電(酒井)】すみません、東京電力も少し。今、湿土と申しましたが、乾土の方でも測定する予定でございます。

【花輪主査】はい、中田委員。

【中田委員】今、森田さんから言っていただきましたけれども、1センチごとに区切って水産総合研究センターでは測定しております。大体6センチぐらいから上に、高い濃度のものが存在していて、それ以下は非常に低いということもわかっております。

それとは別に希望ですけど、できればそういう形で統一できるように、換算できるような値というのをこれから出していくような努力が必要なのではないかなと思っております。

それともう1点、私ども、海産生物を対象にして研究しておりますけれども、特に文科省で出しておられる泥であるとか水であるとか、そのようなデータも非常に参考にさせていただいております。

今、公表されている値を我々も使わせていただいているのですが、PDFで出ておりまして、できればエクセルか何かですぐに換算できるようにできないかなという希望がございます。ご配慮ください。

【花輪主査】いかがでしょうか。皆さんから見えるところでエクセルはちょっと危険ですよね。ですのでPDFも良いと思いますが、データを使いたいユーザーに対して提供する形態としてエクセルか何かで。

【木村戦略官】はい。データを使いたいユーザーにはそのようなことも考えていきたいと思いますので。

【中田委員】そうですか。ありがとうございます。

【花輪主査】よろしくお願いします。その他、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。

【深澤委員】いいですか。

【花輪主査】はい、深澤委員。

【深澤委員】文部科学省の、この最初の測定ですけど、海水の場合、これは今までと同様に、それぞれ1サンプルの計測ですか。

【木村戦略官】はい、そうでございます。

【深澤委員】これからどんどん薄くなってくるのはわかるのですけれど、我々は、濃度はもちろん、134と137の比が非常に気になります。今回見ると、実は、その比がかなり高いところがまだあるのが見えて、これが本当かどうかというのは非常に気になります。もしもこれが本当だとすれば、まだ漏出していますねという結論が出てきてしまうのかもしれないので、むしろ、大変でしょうけれど、サンプル数をある程度、1カ所でも増やさないと。今までの単なる量ではなくて、どのくらいの比という問題が少し効いてくるので、気をつけた方が良い気がします。

それからもう一つ、東京電力さんに質問ですけれど、このデータは公開される予定がありますか。

【東電(酒井)】先ほど申しました数字につきましては、詳細データを東京電力のホームページで全て公開してございます。大変申しわけありません、今日はデータがございませんが、ホームページをご覧いただければ載っております。

【深澤委員】そういうことですね。そこに測定法も、先ほどからご説明になっていることも書かれてあると。

【東電(酒井)】測定方法までは書いていないかもしれませんが、数字、測定データにつきましては全てホームページに載っております。

【深澤委員】はい、わかりました。

【花輪主査】去年の3月に出た放射性物質であれば、セシウム-134と137の比はほぼ1であると。それが一緒に動いているはずで、比が大きく違っていたら、また違う時期に出たかもしれないということを示唆してしまうということですね。

【深澤委員】そうですね。ちょっと気になりました。

【木村戦略官】はい、検討させていただきます。

【花輪主査】石川委員、どうぞ。

【石川委員】文科省さんの報告でも、先ほどの報告書にもありましたが、やはり海底の数字でかなり高い値が見えてきています。海水の深さ方向は3点とか2点しかとっていませんが、海底に非常に溜まっているものが、また巻き上がったりするものをはかるために、海底の深い層の測点を増やすという計画は可能でしょうか。

【木村戦略官】前回の委員会の際に、表層だけでなくというご意見をいただきまして、最初のページで、先ほどもご説明させていただきましたが、表層のみならず海底付近及び水深が十分あるところについては、その真ん中程度、50メートルですとか100メートルで3層をとるということにしております。

もう少し遠い、今回はデータをお出しできておりませんが、143度とか144度、こういったところは更に増やして5層ということを、前回の検討会でご意見いただき、そういうふうにしたところでございまして、本年度は、とりあえずこのような考え方で、先ほど申し上げましたが年度内にあと3回、測定をさせていただくという予定でございます。

【石川委員】幾つかの点を見ていますと、2月のものに比べて5月の測定で、急に海底土の濃度が下がっているところがあるように見受けられます。例えばこちらの81ページですが、400ベクレル/キログラムという値だったところが無くなっているということは、すごく減っているわけです。ということは、これはどこかに動いているわけで、そういうものをきちんと把握していくためには、恐らく海水中を動いたとは思うのですが、やはり下の測点をもう少し増やすということが必要なのではないかとこの結果を見て感じております。要するに、泥が一度巻き上がり、海水で持っていかれたので急に減っているのではとか、急に増えたのではないかというものが、分かりにくいデータになってしまっているので、そういう点、特に深いところや泥の多いところでは、水も適切にとっていただくというのが必要になってくるのではないかと思います。

【花輪主査】これは、平成23年度の報告書の81ページのデータを見ているのですね。

【石川委員】そうですね。そこから今年の新しい5月の測定の結果を見ると急に減っているところが何点かあり、その点で、そのまま減っているということはあり得ないと思うので、動いているのだと思います。その辺りが分かるような観測を、是非やっていただきたいと思います。

【花輪主査】どうもありがとうございます。提案としてということですね。水であれば、サンプルは置いておけると思いますので、とることはとる、そういうやり方もあると思います。解析が後になってしまうかもしれませんが、水だけはとっておくということもできると思うので、何かその辺、可能なことがあるのかどうか、検討をお願いできたらと思います。

【木村戦略官】今、いただきましたご意見を踏まえて検討させていただきます。

【花輪主査】どうもありがとうございます。

その他、ございませんでしょうか。それでは吉田委員、次に青野委員と。吉田委員の方から。

【吉田委員】河川から海への新たな加入があるかないかについて、東京湾のところは、今、詳細にご報告があったところですが、例えば阿武隈川ですとか請戸川ですとか利根川ですとかがどういうふうになっているかというのは、どういう形で評価をしていく計画になっているのでしょうか。

【花輪主査】まず環境省さん、いいですか。

【環境省(古田)】ご質問は、阿武隈川のモニタリングの状況ということでよろしいでしょうか。それとも、結果の内容。

【吉田委員】結果というよりも、今年度の計画の中で独自にそのようなポイントを設定して、河口域の水産物なり海水なり底土なりを誰がどういうふうに調査をして、それを評価するという計画になっているか、あるいは計画が無いのか、あるいは、既存の調査から推測するということになっているのかということを伺いたい。前回に要望しておりますので計画も含めて教えていただければと、そういう意味です。

【環境省(古田)】モニタリングと、あと調査といたしましては、昨年度から阿武隈川の河川については、支流を含めて当省でモニタリングをしていますけれども、今年も、多い地点としては毎月、少ない地点でも2カ月に1回は引き続き調査をしているというところです。それは、河川の上流から中流、下流に向けてですね。総数の地点数はちょっと忘れましたけれども、10から20地点ぐらいだったと思います。

河口付近は、別途水生生物として宮城県漁協さんにもご協力いただいて採取して、河口付近の魚だけではなく、水生昆虫なり貝類も採取して調査をするということとしております。

【花輪主査】コメントはありますか。

【木村戦略官】関係省庁、東京電力で連携して実施をしてございまして、太平洋の沿岸及び流れ込む河川の河口域といいますのは、環境省及び東京電力で対応されるという計画になってございます。ご指摘の阿武隈川河口域につきましては、環境省において測点及び環境省がその河川自体あるいはさらに上流、湖沼等も含めまして分析をされることになっておりますので、まずはそこでとらえられると。さらに河口域から、岸から離れて拡散していく状況は、東京電力ないしは文部科学省の測点で連携してとらえていくという形になると考えております。今後とも連携を密にして対応していくということを考えております。

【吉田委員】それは、ほかの幾つかの主要な河川についても同じようなことですか。阿武隈川だけですか。

【木村戦略官】阿武隈川以外の具体的な河川については、環境省から。

【環境省(古田)】阿武隈川以外の河川でもやってございます。何河川かというのはなかなか難しいのですが、例えば主要な河川で言いますと、江戸川も含めて利根川水系もそうですし、あと福島で言いますと、浜通りのそれぞれの河川もそうですし、新潟県に抜ける阿賀野川もそうですし、宮城県で言うと名取川なり北上川も調査させていただいております。それは、河口の海域の方も含めてです。上流域が特に汚染されているような、そういうところはしっかりと見ていきたいと考えてございます。

【吉田委員】わかりました。ありがとうございました。

【花輪主査】では、最後に青野委員からお願いいたします。

【青野委員】すみません、先ほど深澤委員の方からお話がありましたように、セシウムについては、134と137の比は、事故時、放出された比はほぼ1対1ですから、それに戻すことによって、そのデータが正しいかどうかという検証ができると思います。

その検証をする必要があるのは、要するに、セシウム-134を測る時の測定値にサム効果などがありますので、比がおかしければ、その測定法に問題があるかもしれない。測定法に問題がなければ、ソース、要するに起源に何かある可能性があるということで、そういった意味で濃度だけじゃなくて比についても検証していただきたいということだと思います。

もう一つ、今、吉田委員の方からお話があったところですけれども、参考資料の後ろのところの環境省さんのところに地図が出ているのですが、福島県についても、河川の事業を福島県全エリアで、このような地図でプロットされおり、ホームページ上で、どの水系のどのポイントかということが出ていますので、それは参考にされれば良いと思います。

1つ、これは環境省さんへの質問ですが、今、文科省さんであるとか、海洋環境放射能総合調査では、いわゆるセシウムの検出下限値は相当低いレベルで実施されているのですが、環境省さんのデータは1ベクレル/リットルです。そうすると、今日も先ほどあったように議論になった時に数値が見られないのですけれども、今後、検出下限値を下げようという考えがあるのかどうかというところを、教えていただけますか。

【環境省(古田)】環境省でございます。我々の調査の補足、ありがとうございました。

検出下限値でございますけれども、確かに下まで測れればいいなとは思いますが、我々の目的としては、あくまで環境水としての、いろんな水利用を考えた場合の環境水としての放射性物質モニタリングと考えてございまして、他の有害物質もそうでございますけれども、おおよそある一定の基準値の10分の1を広い範囲で把握するということが主な目的としてございます。その目的やリソースということを考えれば、なかなかこれ以上下げるのは我々としては難しいと考えてございます。別途、例えば調査研究の中でそういうことは必要だとは思いますけれども、我々としては、今のところそこまでは考えてございません。

【花輪主査】希望、要望があるということは認識していただきたいと私からもお願いいたします。

まだまだたくさんあろうかと思いますけれども、予定時刻を過ぎておりますので、今年度のモニタリングの実施状況についての議論はここで止めさせていただきたいと思います。

それでは、議題は以上です。

事務局から連絡事項がありましたら、お願いいたします。

【田村室長】それでは、事務局から最後にご連絡事項を申し上げたいと思います。

まず、本日の議事要旨につきましては、第1回検討会で配付資料としてお示ししたとおり、事務局の文責に基づきまして速やかに作成いたしまして、ホームページで公表したいと考えております。

また議事録につきましても、委員の皆様方に内容をご確認いただき次第、速やかに公表したいと考えております。その点、ご了解いただければと思います。

また本日、ご議論の中で資料2に関しまして多々コメントを頂戴いたしまして、これから事務局と花輪先生との間でご相談させていただきますが、その結果につきましては、委員の皆様方にフィードバックをきちんとさせていただきたいと思いますし、その修正版もホームページにきちんと公表させていただきたいというふうに思っておりますので、その点も含めてご了解いただければと思います。

それから、本日、冒頭でございますが、当局の渡辺次長からのあいさつの中でも触れさせていただいたところでございますが、来年4月1日以降、原子力規制委員会にこの海洋モニタリング業務、これが移管されるということでございますが、その間まで、今年度いっぱいは引き続き文部科学省で海洋放射能調査を実施してまいるということとなっております。

従いまして、この検討会につきましても、年度内において新たに評価いただくような必要が生じた場合においては、その際は、またお時間を調整させていただきまして、お集まり願うという形にさせていただけますとありがたいと思いますので、その点、お含みおきいただければと思います。

事務局からは以上です。

【花輪主査】どうもありがとうございました。

ただいまご紹介がありましたとおり、本検討会は、年度内に何かありましたらまたお集まりいただくということにしたいと思います。

第1回、第2回、これまでの審議における皆様、委員の先生方の多大なご協力に御礼申し上げます。また開催の機会があれば、その際はよろしくお願いいたします。

それでは、以上で第2回海洋環境放射能調査検討会を終了いたします。本日は、皆様、お忙しいところまことにありがとうございました。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室

高岡、渡邉
電話番号:03-6734-4040
ファクシミリ番号:03-6734-4042

(科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室)