放射線量等分布マップの作成等に係る検討会(第15回) 議事要旨

1.日時

平成24年1月27日(金曜日) 14時30分~18時30分

2.場所

文部科学省 3階 1特別会議室

3.議題

  1. 放射線量等分布マップの作成等に関する報告書(案)について
  2. 第2次放射線量等分布マップの作成に係る検討について
  3. その他

4.配付資料

  • 資料第15-1号 :東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質の分布状況等に関する調査研究結果(案)について
  • 資料第15-2号 :福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の第2次分布状況等調査の進捗状況について(空間線量率の測定、ヨウ素131の沈着状況について)(机上配布)
  • 資料第15-3号 :今後のスケジュール(机上配布)
  • 参考資料1 :第14回放射線量等分布マップの作成等に係る検討会議事要旨
  • 参考資料2 :放射線量等分布マップの作成等に係る検討会名簿
  • 参考資料3 :最近の放射線量等分布マップの公表資料について

5.出席者

委員

中村主査、池内委員、木村委員、小山委員、斎藤委員、柴田委員、下委員、難波(髙橋(隆)委員代理)、茅野委員、長岡委員、村松委員、吉田委員

文部科学省

渡辺次長・原子力安全監、板倉EOC環境モニタリング班長、菊川EOC環境モニタリング班、斉藤EOC環境モニタリング班、佐々木(原子力安全委員会)、小平(農林水産省)

オブザーバー

恩田裕一(筑波大学)

6.議事

  1. 事務局及び農林水産省より、資料第15-1号について、放射線量等分布マップの作成等に係る報告書について、説明が行われた。
  2. 議題2以降について非公開で行う旨、主査から説明があり、傍聴者が退席された。

7.主要な質疑応答

○  資料第15-1号について

【柴田委員】  土壌採取の方は報告書Iに全般的なことがまとめられていることから、実際の作業の現場に詳しい大阪大学の谷畑先生と大塚先生にも、是非、報告書の内容を確認していただければと思う。
 また、報告書IIの13ページの2段落目の最後のところのコメントとして、ここでは「深さ1cmより下層へ移動した割合が高い」と書いている。実際にそういう可能性もなくはないが、リターが薄いとどうなるかというと、放射能を含んだ雨がリターを通って土まで浸出してしまう。リターが厚いとその影響が少ないため、土壌に浸出する割合が少ないということであって、リターに一度ひっついたものが下へ行ったという移動ではないように思う。はっきりとは分からないため、移動ではない可能性もあることを記述した方が良い。この点は、メールでコメントしたが、反映されていなかったのでコメントした。
【事務局】  反映ミスだと思う。確認したい。
【柴田委員】  これが間違いとは言い切れないと思うが、雨がつるつると土壌まで行ってしまうことは、リター層が薄ければ多くの割合が土壌に浸出するし、リター層が厚ければ多くは浸出しないという可能性もある。そういう可能性を排除できないのではないかということ。
【事務局】  報告書Iについて、これから谷畑先生及び大塚先生にも確認してもらおうと思う。
 また、メンバーに抜けがあってもよくないので、そういう意味でも確認してもらおうと思う。

【下委員】  各章の下に著者名を入れている部分とそれがない部分があるため、統一していただきたい。私の意見としては、文部科学省あるいは農林水産省で公表される報告書であるため、報告書の中の方に入れ込んで、誰がどの章を執筆したという書き方で良いと思う。
 また、報告書IIの134ページの上から3行目に「確認されている。確認されている。」という間違いがある。ここで、「粒子が細かい土壌粒子ほど比表面積が大きいために放射性セシウムが吸着しやすいことによる。」と記述されており、図もこれで問題ないのだが、誤解をされやすいのは、そういう粒子が多いかどうかということである。もともとそういう大きさの粒子がなければ、吸着することはない。そこのところが誤解されないような記述とするべき。例えば197ページの図6-40を見ると、0.39マイクロメートル以下のもののCs-137濃度が大きいと見える。これでも結構であるが、このような粒子が元々あるために、比表面積が大きく、Cs-137が多く吸着されたということ。こういうことを誤解されないようにしないと、ここの説明だけ見て、こういう粒子があれば本当に吸着量が多いと誤解されると困る。
【事務局】  書き方を検討したい。

【吉田委員】  報告書IIの33ページで収着分配計数の測定についての記述があるが、この測定方法は、日本原子力学会の標準測定法を引用しているだけで詳細が分からない。土壌そのものは乾燥土を使っているのか。というのは、ヨウ素の分配係数がセシウムに比べて低い値となっているが、ヨウ素の分配係数は土を乾かすかどうかで、値が桁で違ってくる。もし、乾燥土でこの値であれば、現場の湿った状態だと値がもっと高い可能性が十分にある。このあたりを考察に加えた方が良い。
【事務局】  了解した。報告書には、乾燥と記述してあるので、ご指摘の部分は追加したい。

【中村主査】  私からのコメントであるが、報告書IIについては、様々な方が調査されている。例えば、河川水と井戸水への流出については日本分析センターと恩田先生のグループで調査している。また、土壌深さ分布については4組のグループが調査している。例えば、水田と畑地の移行には農林水産省と恩田先生の調査があるが、こういうものの相互比較的をし、ディスカッションをすればいいと思う。
 バラバラな数値、深さ分布、グラフ等を比較していけば良いように思う。
【事務局】  非常に重要な意見である。

【吉田委員】  例えば、リターから下の森林土壌を他のところの深度分布と比べ、あまり存在量に違いがなかったというデータが1つある。それに対して、土壌以外の葉の部分に多くの部分が存在するというデータがあり、林野庁のデータも土に半分、植物に半分存在するというデータである。そうすると、0 cmより下層の土壌に差がないということは、森林そのものに関しては、他と比べると全体の沈着量は倍以上あるものと言うことになる。
 その辺も、整合性をとり、どういう言い方をするか考えなければいけないと思っている。ただ、現状では1回データを採取しただけなので、詳細な結論は早いかという気もするので、個人的に結論がでてない。

【下委員】  報告書IIの131ページの図について質問したい。8番の図と10番の図を比較すると8番の図では草木・枯れ草にCs-137で45.8%、Cs-134で43.9%となっている。10番の図ではほとんど同じような図であるが、Cs-137で3.4%、Cs-134で3.6%となっている。
【事務局】  間違っている。
 この部分を説明していて気づいたが、10%しか吸着されていないと記述されているわりには、10%以上になっているなと思っていた。
【恩田(説明者)】  写し間違えた可能性があるため、確認させていただきたい。

【長岡委員】  リター層にどのぐらい吸着するかということは、除染にも影響することであるため、そういう分布をしたことが除染作業にどうかかわるかについても触れていただきたい。そういったところまで踏み込んで書けば、この仕事が非常に役に立つと思う。
【事務局】  ご指摘のとおりである。森林については、プレス発表の段階で先生方からコメントをいただき、除染についても触れたが、それ以外の報告については、国として、除染作業に活かせるような言葉に置き換えられていない状況であった。

【中村主査】  この報告書に関しては、修正意見を踏まえ、内容は主査と事務局に一任いただきたい。柴田委員からのご発言にもあった先生方にも確認していただくことにしたい。一任していただけたら、主査と事務局とで修正して最終報告書としたい。
【事務局】  こちらの報告書は、間違えたところを修正して再度先生にデータをお渡ししたい。委員からのコメントを踏まえ、更に肉付けした方がより良いものになる。
【中村主査】  再度、各委員にメール等で全体を確認していただき、コメントを寄せていただき、修正することにしたい。

【下委員】  この報告書の後の扱い方は何か考えているのか。
 これは非常に膨大で良いデータではあるが、例えば英文に直すなり、ダイジェスト版にするなり、将来的に世界に発信するのか。
【斎藤委員】  報告書については、3種類を考えている。1つは文部科学省と農林水産省が作成した報告書、その基になった原子力機構から文部科学省、農林水産省へ提出した報告書、それと別に、学術的にも参照していただける報告書やレポートとしてまとめる必要があると思っている。
 私が考えているのは、例えばJAEAレポートとして幾つかにまとめて出す。恩田先生の部分は、筑波大学等での報告書としてまとめていただく。さらには、その中の抜粋したもの、あるいは解析したものを、先ほど言われたように英語で論文として投稿していく。そういうようなまとめ方をして、有効に使っていく方法を考えたらいいのではと思う。
【事務局】  文部科学省としてはコメントを踏まえて修正した報告書を出すものと思っている。この報告書の概要版を作っており、タイミングとしては概要版をもってプレス発表する。それと、こちらもホームページにアップするという形で考えている。基本的に、概要版をもって世界に対しどのような調査結果があるのか分かるようになると思う。プレス発表した概要版に関しては、英語にも中国語にも翻訳される。
【斎藤委員】  少し追加させていただく。本日、文部科学省にまとめていただいたレポート以外にも、マップ関連研究については更に詳しい報告書を作っていただいている。そういうものは、是非、学術報告書としてまとめていただくことが必要だと思う。
【中村主査】  それは調査された方が自分の責任としてやっていただくということになる。
【斎藤委員】  そのようになるし、自主的なものとなる。

【長岡委員】  他国にもこの報告書に興味を持っている方が多いと思う。国際会議、シンポジウムのような格好で開催することは考えていないのか。ただ、今の時期にシンポジウムを開催できるかについて、住民との関係等があることから、今すぐは難しいとは思う。
【渡辺次長・原子力安全監】  非常に重要な課題である。予算上どこまでできるかという問題もあるが、国際的にも関心があるだろうし、外国の方からのコメントや提案をもらうことは非常に重要である。検討させていただきたい。

【吉田委員】  国際的にも、国内でも、この報告を通しで見たい、理解したいという人は大事だと思う。一方、福島の現場の住民とかがすごく知りたい情報が詰まっている。
 その水を飲んで大丈夫かとか、森から流れてきて、また汚染するのではないかとかいった心配があると思う。そういう方々に、ホームページを見てください、概要版を読んでくださいと言うのは不親切であると思う。いずれパワーポイントのような形でまとめ、現地で除染の活動をしている環境省がそれを使って説明するなど、連携のとれる形にすれば、データが現場で活かされるかと思う。
【中村主査】  自治体の方を集めた説明はしているが、吉田委員のご指摘にあったところまではまだ未実施である。
【吉田委員】  場合によっては自治体が住民説明するために、そのような資料を作ってくれという要望になるかもしれないが、もう少し積極的に出していってもいいかもしれないという気がする。私も現場で説明する機会があるが、こういうものがちゃんと説明できる形であると、実際のデータに基づいた話ができるので望ましいと思う。
【中村主査】  国内外の専門家の会議であれば良いが、実際に除染活動しておられる方では、この内容は難し過ぎる。この前、自治体での説明会においても、大変難しくて聞いている方が分からないのではという気がした。地元に対してはやり方を工夫すべき。
【事務局】  吉田委員のご発言のように部分毎に大変興味深い情報があり、実際に飛散量であったり、針葉樹林と広葉樹林との状況の違いであったりがわかるだけでも結構使える。

【柴田委員】  1つ重要なのは中間貯蔵で、安全性というところでは、セシウムは移行しないということが非常に重要である。長期的にはデータが出ていないが、今までの中では移行していない。ああいったものを地中に埋めて、上へ遮へいを施し、掘りかえをしなければ、非常に安全であるように私は思う。今後数年ぐらいは調査を継続することが望ましい。中間貯蔵がとまると除染がとまってしまう。
【中村主査】  セシウムの移行については、チェルノブイリ原発事故の経験で大体わかる。
【柴田委員】  ただ、土壌の性質が、日本とチェルノブイリと同じかという話もある。

【長岡委員】  土壌深さ分布の議論は除染と深く繋がりがあり、以前の報道では、セシウムを除染するために40cmも土壌を掘ったところがあった。そんな無駄なことをさせないためにも、本当にそのようなデータを活かしたい。

【中村主査】  文部科学省の事務局と検討して相談したい。次回の検討会までに何か出せれば良いかと思う。

【中村主査】  議題2については、非公開で行うため、傍聴者についてはご退席を願いたい。よろしくお願いします。

以上

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文部科学省 原子力災害対策支援本部

(文部科学省 原子力災害対策支援本部)