放射線量等分布マップの作成等に係る検討会(第8回) 議事要旨

1.日時

平成23年9月13日(火曜日) 13時30分~17時30分

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. マップ関連研究の進捗状況報告について(森林内における放射性物質の移行調査の結果について)
  2. 放射線量等分布マップサイトの開設について
  3. 測定・分析結果のデータベース化について
  4. 今後のスケジュールについて
  5. 土壌濃度マップの作成について(非公開)
  6. マップ関連研究の進捗状況報告について(非公開)
  7. その他

4.配付資料

  • 資料第8-1号 :マップ関連研究の進捗状況報告について(森林内における放射性物質の移行調査の結果について)
  • 資料第8-1-1号 :文部科学省による放射性物質の分布状況等に関する調査研究(森林内における放射性物質の移行調査)の結果について
  • 資料第8-2号 :放射線量等分布マップサイトの開設について
  • 資料第8-3号 :測定・分析結果のデータベース化 現状報告
  • 資料第8-4号 :放射線量等分布マップの作成等に係る今後の検討事項及びスケジュール
  • 資料第8-5号 :放射性セシウム以外の核種のマップ化について(机上配布)
  • 資料第8-5-1号 :放射性セシウム以外の核種分析結果について(机上配布)
  • 資料第8-6号 :河川・地下水への放射性核種の移行調査の進捗状況報告について(机上配布)
  • 参考資料1 :第7回放射線量等分布マップの作成等にかかる検討会議事要旨
  • 参考資料2 :放射線量等分布マップの作成等に係る検討会委員名簿
  • 参考資料3 :最近の放射線量等分布マップの公表資料について

5.出席者

委員

中村主査、池内委員、遠藤(小山委員代理)、斎藤委員、下委員、杉浦委員、難波(髙橋(隆)委員代理)、髙橋(知)委員、長岡委員、村松委員、吉田委員

文部科学省

渡辺次長・原子力安全監、板倉EOC環境モニタリング班長、石井EOC環境モニタリング班、斉藤EOC環境モニタリング班、佐々木(原子力安全委員会)、大倉(農林水産省)、茶山(原子力被災者生活支援チーム)

オブザーバー

恩田(筑波大学)、津澤(日本地図センター)、武宮(日本原子力研究開発機構)

6.議事

  1. 恩田氏(筑波大学)及び事務局より、資料第8-1号及び資料第8-1-1号について、森林内における放射性物質の移行調査の結果について、説明が行われた。
  2. 津澤氏(日本地図センター)より、資料第8-2号及びプロジェクターを用いた実演により、放射線量等分布マップサイトの開設について、説明が行われた。
  3. 武宮氏(日本原子力研究開発機構)より、資料第8-3号について、測定・分析結果のデータベース化について、説明が行われた。
  4. 事務局より、資料第8-4号について、今後のスケジュールについて、説明が行われた。
  5. 議題5以降について非公開で行う旨、主査から説明があり、傍聴者が退席された。

7.主要な質疑応答

○  資料第8-1号及び資料第8-1-1号について

【長岡委員】  (1)移行調査という主題であるが、現況調査が中心になっている。今後、(放射性セシウム等が)どのように経時的に変化していくのかの考察、調査を重点的にやるべきではないか。
 (2)「インベントリ」という資料中で使用されている用語について、原子力の世界では、核分裂生成物の生成で使用されるため、用語を置き換えた方が良い。
 (3)資料第8-1-1号の2ページ目について、生葉と枯葉等とか、広葉樹林とかスギの若齢林、壮齢林で比較をしているが、この傾向には一般性があるのか。
【事務局】  (移行についての)経時変化について、予算等の関係もあるが、それについては追跡調査していきたいと考えている。
【恩田(説明者)】  Bq/m2相当する日本語がない。沈着量という用語は1つあるが、(放射性物質降下後の)初期は使用できるが、それが移行した場合は、沈着量か、蓄積量か、という議論がある。「インベントリ」はBq/m2を表現するに当たって良いかと思われたが、また別の意味があるということで、これは検討したい。
 (傾向の)「一般性」について、何割付いているかという定量をするような試みが1つ必要ではないかと考えられる。森林内外の放射線の線量の違い、森林に入ると差があるとか、また、森林内外の土壌調査において、どれくらいの蓄積量の違いがあるか、調査をもう少し続けていく必要がある。事例が少ないので、今後、調査が必要である。

【吉田委員】  単位について確認したい。Bq/kgのkgは、そのままの重さか、乾燥重量か。これは資料中のどこにも書いていないので明記すべき。
【恩田(説明者)】  実際は、すべて乾燥重量である。
【吉田委員】  乾燥重量で生葉と枯葉を比べたことになるが、これは、表面に付いている量がほぼ比べられていると考えてよい。これは、資料第8-1号と資料第8-1-1号にも入れた方が良い。
【事務局】  資料第8-1-1号の1ページ目の最後に、「乾燥後、破砕した上で放射性セシウムの濃度を測定した。」と記述している。
【吉田委員】  測定時の操作として乾燥したという事実と、結果を出すときにどちらの重さをベースにしたかというのは、また違う話であることから、記述すべき。
【事務局】  了解。

【吉田委員】  リターという用語について、表面の落葉だけのリターなのか、細かく言えば、F層とかH層の有機物層まで含めたものなのか。
【恩田(説明者)】  ここで採取したものは、いわゆる落葉・落枝、形が残っている形でのF層より上の部分。有機物と混ざっているようなF層については、土壌とみなした。
【吉田委員】  そうすると、F層やH層も0cmから下に含まれていると考えて良いか。
【恩田(説明者)】  そうである。

【長岡委員】  資料第8-1-1号で、(空間線量率の分布が)少し分布が少し変わったところがある。これには、分類の仕方による違いというのは出てくるのではないか。リター層と土の間に、リターに隠れて放射能の蓄積しなかった層が出てきて、分布が凹んでいるように見える。
【恩田(説明者)】  ここでリター層としたのは、この場合は、スギの落葉がそのままの形で残っているような部分のみをリター層とし、F層から下は、もう土壌とみなして削っている。ご指摘のように、ちょっとしたごみがそういった分布と対応する可能性が十分あると思う。

【杉浦委員】  資料第8-1-1号の13ページについて、下のグラフの右側のバーは、茶色ではなく、緑色ではないか。
【恩田(説明者)】  そうである。
【杉浦委員】  グラフ中の濃度の単位がBq/kgじゃないので統一するべき。
 13ページの木の絵について、上側も若齢林など、小さい木があるのであれば、記述すべき。
 3ページの「4.考察」の3つ目の丸のところで、「他方で、事故発生初期に放射性セシウムが放出された際、広葉樹林内の樹木の葉は生育途中であったことから、(中略)リター層に直接付着したため、」とあるが、事実関係はきちんと説明しないといけない。
 4ページの除染の方法に関する記述について、森林の葉の動きとあわせて記述された方が良い。
 同ページの「5.今後の予定」のところの、ヨウ素131の記述について、「濃度が非常に低い」とだけでは足らなくて、測定時点の濃度が低いからというふうに記述しないと誤解を招く。
【事務局】  おっしゃるとおりである。樹冠についている生葉や枯葉のセシウム濃度が高いところは、除染対策を今実施すべきか、後で実施すべきかについて、この検討会の中でそこまで言うのは非常に難しい。現状はどういう状況にあるから、リター等を除くと低くなるといった旨、書かせていただきたい。
【杉浦委員】  了解。
【事務局】  落葉とかリター層の放射性セシウム濃度が非常に高くても、それを取り除いてしまうと、保水力が落ち、土砂崩れが発生するような話もある。そのため、単純にここで除染について触れるのは難しい。
【恩田(説明者)】  葉の生育状態について、芽吹きの時季か。
【難波(髙橋(隆)委員代理)】  種類によるかもしれないので、森林生態の人に確認したほうが良い。

【木村委員】  常緑樹の場合、松などは、特に春の時期には、前年度から残った葉と新しい葉が混在している。松は2年か3年ぐらい青いままの葉もあるため、試料採取時にそれを区別して採られたかというのは気にかかるところ。
【恩田(説明者)】  特に区別はしていない。先端部を採取したことから、新しい葉である可能性が高い。スギは、平均5年ぐらいと言われており、かなり長い間ついているらしい。
【木村委員】  新しい葉であれば、まさしく芽吹きの時期が問題になってくるかと思う。古い葉であれば、バックグラウンドはこれほど高くなく、事故以降に降下したものが付着した影響がわかるが、放射性物質が多く降下した後に芽吹いた新しい葉については、評価を考えないといけないかと思う。

【吉田委員】  広葉樹林の葉も小さいということであるが、数値を見ると、そこそこの放射能量になっている。林内雨に関しても、そこそこの放射能量が降ってきている。普通に考えると、経根吸収があって、それが葉に移行し、雨によって溶脱することになる。例えば、樹皮の表面から少し吸収されて、中で転流しているとか、可能性としてはそういうことも考えなければいけない。こういう部分についても、今後の説明の仕方を念頭に置きながら進めるべき。
【恩田(説明者)】  今後、森林生態の専門の方にも意見をいただき、解釈を進めていきたい。

【吉田委員】  表現の問題で、資料第8-1-1号の4ページ目には、広葉樹林はリター層を除去することが必要であるという言い方にしているが、例えば、除去することが効果的であるなどの表現の方が良い。
 また、私が、北欧の方と話したときに、絶対にリター層とか有機物は除去するなというふうに言っていた。つまり、そうしてしまうと森が駄目になるからという言い方をされる。おそらく日本と北欧での森林の形態とか感受性の強さが全然違うと思うが、考慮しなければいけない部分である。例えば、リター層を除去するというところに、生態系への影響を考慮しながらなどの表現を入れた方が良い。
【事務局】  了解。

【髙橋(知)委員】  表現について、「セシウム量」という言葉がよく出てくるが、この量が絶対値なのか相対値なのか明確でない。
 4ページの「4.考察」の最後について、「スギ壮齢林では、スギ若齢林や広葉樹混合林に比べて、放射性セシウムの総蓄積量が多い」という表現がある。この総蓄積量が多いということについて、たまたまここが多かったということではないのか。表現の注意が必要かと思う。
【事務局】  今回のモデル地域について話をしているため、総蓄積量というのは、今回のモデル地域ではそうだったというふうに書いている。
【髙橋(知)委員】  あまり因果関係がないのであれば、ないような形で書かないと、誤解を生む。
【事務局】  一般化できるかどうか分からないと最初に記述している。これはモデル地域のような森林の形態においては同様の傾向があると考えた場合、こういうことが言えるのかと思う。
【髙橋(知)委員】  無理やり一般化しない方が良い。
【長岡委員】  現在ではここまで言えるということを、明確に区別しておくべき。
【事務局】  それは、「4.考察」の1ポツ目の丸に記述しており、「同様の傾向の有無を確認するためには、今後も継続的な調査が必要であるが、(以下略)」としている。さらに明確に書くべきか。
【吉田委員】  例えば、広葉樹林とかスギ若齢林とかスギ壮齢林という用語を使わずに、地点A、地点Bという言い方にして、どこかに、それはこういう意味であるということを説明すれば、非常に一般化した形の報告になると思う。スギ若齢林とか壮齢林という言い方で全部説明すると、それがもう一般的なこととして、スギ若齢林はこうだ、スギ壮齢林はこうだというふうな解釈にとられる可能性はある。
【恩田(説明者)】  一般的なところを(調査地点に)選んだつもりではある。過度な一般化はいけないと思うが、モデルとして、特殊なものを選んではいないというようなことは言えるか。
【中村主査】  この地点だけでこう言えるというのではなくて、やっぱりある程度のことは言えるのではないかと思う。
【吉田委員】  例えば、一般の人が聞いても、成長した林の方がどうして林床にたくさん最初に降ってきているのかなど、もしかしたら分からないかもしれない。その辺も少しわかるように解説すると親切かもしれない。
【事務局】  より親切な説明は、また別途、報告書の中にまとめていくという形にしていくと思う。プレス分の中で一度書いてみたが、非常に膨大な考察になってしまったので、今回は省いたという経緯がある。

【下委員】  森林外の調査について、どれぐらいの広さのところで、(土地の)凹凸がどれぐらいかをお教え願いたい。
【恩田(説明者)】  大体100mぐらいは周りに何もないところ。しかし、谷底であり、一番近いところは、100mぐらいのところから向こう側に山になっている。ここで使ったデータは、それは一番谷底が広く、上流側に伸びている場所、一番開けた場所のデータをここで出している。
 地表面は、周辺が田んぼになっているようなところ。地表面はそれほど凹凸がないところ。100mのところが山になっているところと、谷底は広がっている部分がある。
【下委員】  了解。それを質問したのは、これはグラフとしては、0mと15mで、これでいいグラフだと思うけれども、理想条件では、大体20mぐらいだと大体5割ぐらいだと言われている。そういうものと比較することになると、地表面の凹凸とか、その地域の状況が必要になる。

【吉田委員】  資料第8-1-1号の10ページの土壌の深さ方向の図の中のリター層というところの値と、それから、各樹木の場所ごとにとったときの落葉は、別なサンプルか。
【恩田(説明者)】  そうである。
 別なところで、このスクレーパープレートで採った場合は、リター層全層を採っている。リター層と、その下の層までの部分、全量を採取して、それを測定している。
 前回、木の断面図を書いた場所において、表面の落葉を採取している。
【吉田委員】  この断面を採ったときのリターは、いわゆる分解過程のものも入っているのか。
【恩田(説明者)】  これも基本的には葉の層だけであるが、それが数層になっているので、それを全部採った。
【吉田委員】  リター層というのは、深さにかかわらず、ある定義に従って採るわけであろうが、それを採るときには、原型を完全に留めた落葉や枝を採っているということか。
【恩田(説明者)】  そうである。
【事務局】  そういう意味で、落葉とリターを書き分けている。

【吉田委員】  資料第8-1-1号の11ページの2ポツの丸の「概ね地表面から表層5cm以内の」という部分について、例えば、「概ねリター層を含めた地表面から表層5cm以内の」としたらいかがか。
 地表といったときに、リターのところが入るのかどうか悩むように思う。
【事務局】  了解。

【難波委員(髙橋(隆)委員代理)】  林内雨の測定で、異物を除くためにろ過をしているが、このろ過の条件、ろ紙の種類は書くべきである。それは、フィルターに乗っかったものの効果での意味というのがあまりないという解釈になっていると思う。
【恩田(説明者)】  林内雨について、不純物だけを取り除くということで、100マイクロメートルのメッシュのふるいでろ過をしているという状況である。その中で、コロイド、様々な有機物等の形で入っていると予想されるので、非常に細かい、水そのものをはかるということではなくて、上から来たものをはかるというイメージ。現在、その化学分析を実施しているところ。

【斎藤委員】  生葉と枯葉の量、壮齢林と若齢林で高さ方向の分布がどういうふうに違うのかという情報があったほうが良いのではないか。壮齢林は高いほうに枯葉が沢山ついていると、以前聞いている。だから、上から来た放射性物質が、そこの枯葉に沢山付き、下まで来ない。そういうイメージではないかと思う。それで、若齢林は枯葉が上の方はほとんどないということで、若齢林と壮齢林、枯葉と生葉の比率、つき方について情報を与えていくというのが、重要ではないかと思う。
【恩田(説明者)】  定量は今の段階では難しいと思う。
 定量は、木を切って倒すということになる。
【斎藤委員】  ちゃんとした定量は必要ないので、おおよその傾向として書いておくこと。
【恩田(説明者)】  了解。

【原子力安全委員会】  この報告書の位置づけについて、今回の移行調査の結果についてまとめたものと考えてよいか。そうすると、4ページ目の「5.今後の予定」の2ポツの丸の2のヨウ素分析というのは、移行調査の分析のことか。
【事務局】  そうではない。
【原子力安全委員会】  そうであるならば、2ポツの丸は要らないのではないか。この報告書に今後の予定のヨウ素のマップどうするかという話は、別の話ではないか。
【事務局】  おっしゃるとおりであるが、タイトルを「文部科学省による放射性物質の分布状況等に関する調査研究」としており、その中の移行調査についての結果について公表しているという形になっている。調査研究全体については、今後もこういうこともある、ヨウ素についてある、という形で書いている。前回のセシウムのマップの公表の際も、移行について記述しており、整理としては同じとなる。
【原子力安全委員会】  この「ヨウ素131については」というふうなことを書くと、この調査でヨウ素も測っており、まだ検討中なので出せないというふうにとれてしまう。
【事務局】  検討させていただく。

【中村主査】  これはモデル調査で地点を選んで実施しているが、これを他には一般化させないというのではないということだけは理解していただきたい。
 本日の検討会でいただいたご意見を反映して、それを文科省から公表したい。その修正の最終的な確認は、任せていただきたい。
【下委員】  今、主査がおっしゃったのは非常に大事なところなので、私もぜひとも、公表されるときに、そこのところはきちんと説明しておいていただきたいと思う。修正版を公表されたときに、きちんと相手にわかるように、やっていただきたい。変なところで誤解されると、非常に困る。
【中村主査】  了解。

○ 資料第8-2号について

(プロジェクターを用いた実演により、説明)

【原子力安全委員会】  凡例が違うというふうに言われたが、空間放射線量率であれば、同じ凡例にした方が見やすいのではないか。例えばセシウム濃度を(マップ上で重ねて)両方比較するのであれば、航空機モニタリングの結果と土壌をサンプリングした結果と同じ凡例で分けたほうがわかりやすいかと思う。
【事務局】  凡例は一緒である。凡例じゃなくて、測定手法が違うからということである。
【津澤(説明者)】  同じ測定項目の凡例(単位)は全部一緒である。複数の異なる測定項目のデータが重ね合わせて表示され、同じ地図の上に見えているということになる。

【髙橋(知)委員】  この資料第8-2号で、このマップ全体の名前が「放射線量等分布マップ」という名前であり、資料中①も、同じ「放射線量等分布マップ」という名前になっているため、名称を変えた方が良い。
【事務局】  了解。

【長岡委員】  この資料第8-2号の資料は、文書が外へ出ていくということか。
【事務局】  外に出す段階では、少し「てにをは」等を変えたり、わかりやすい言葉、ですます調に変えたりする予定。
【長岡委員】  資料第8-2号の2ページの「4.その他注意事項」の2つ目の丸について、「本サイトで提供するマップは、以下の手法で作成しているため、各地点の値は、必ずしも実際の放射性物質の影響を示しているとは限らず」と記述されている。ここは、測定誤差に加えて、測定上の制約から、間接的な測定値を内挿したり外挿したり、あるいは補正したりしているため誤差があるといった表現が良い。
 もう一つは、3ページの3ポツのところで、「飛行高度の概ね2倍の直径の円内に沈着した放射性物質から放出される」という表現は正確ではない。斎藤委員と表現ぶりを検討されたらどうか。
【長岡委員】  これだと、高度300mだと、300mの円の中からのものだけが測定されるよう受け取られかねない。

【吉田委員】  農林水産省の農耕地のデータは、ここには入ってこないという理解でよいか。
【事務局】  農耕地のデータに関しては、個人の畑等が特定されてしまうため、記載しない。

【斎藤委員】  テストのサイトでは、測定ポイントをクリックすると、線量率と緯度・軽度の情報が出てきたと思うが、公開版でもそのような形で公開になるのか。
【津澤(説明者)】  そうである。各測定地点の記号にカーソルを置くと、そこの観測値がポップアップで表示される。表示項目の追加削除は可能。
【斎藤委員】  非常に具体的な地点の線量が分かってしまう。個人情報に近いような、非常に詳細な線量データが出る。議論しておく必要はないか。
【事務局】  緯度・軽度情報については、前々回の検討会でも、線量率について公表している。前回の検討会でも、土壌濃度について公開している。ます。加えて、今回、色々なマップサイト等から、なぜこのマップを選んだかというと、完全に拡大しても、個人の家まで特定がしづらい状況の地図になっている。このマップを拡大しても、個人の家は特定にならないため、そういう意味で、実際利用しやすい。

【中村主査】これは、「何日現在」という情報は出るのか。
【事務局】  でる。

○ 資料第8-3号について

【池内委員】  緯度、経度がが○度○分○秒という60進法ではなく、○.○○という10進法での表現となるのか。
【武宮(説明者)】  どちらでも構わない。

【池内委員】  資料中に「検出限界」という用語があるが、「検出限界値」としていただきたい。
【武宮(説明者)】  はい。

【杉浦委員】  土壌中の濃度の数値が7桁程度あるので、どこかで切るべきである。
【武宮(説明者)】  これは、生データをそのまま入力したものである。有効数字を考慮し、表示したい。

【原子力被災者生活支援チーム】  これは文部科学省でやられた測定結果だけではなく、各省からの測定結果も集められているのか。
【事務局】  現段階では、放射線量等分布マップ関連の調査結果を入力している。予算上は手一杯である。予算があれば、そうする方がわかりやすいと思う。英語版ができたら、世界中の研究者はこれを使用したいと思うので、そうできたら良いと思う。
【斎藤委員】  有用なデータはなるべく入れていく方向で検討していくべきだと思う。有用なデータとしては、1つは、電力中央研究所のチームが出した20km圏内、避難区域に関する詳細なデータ、空間線量のデータがある。また、以前に福島大学で測定された、福島県内全域の空間線量などもある。

【事務局】  具体的に、誰がどのようにそのデータの信頼性を確認していくのかについて、どのようになるか。
【斎藤委員】  例えば、この検討会の場で確認いただくとか、厳選しながら、信頼があり有用だと思われるものは追加していくという形が良いと思う。
【中村主査】  電力中央研究所がやられたデータのようにきちっと確認ができるのであれば、できるだけ入れていくという方向で検討したい。直ちには無理かもしれないが、それはできたらお願いしたい。

【吉田委員】  資料第8-3号の14ページの土壌試料中の核種濃度分析について、検出限界が表示されるのはその値が検出限界以下だったときのみか。
【武宮(説明者)】  いただいたデータのフォーマットがそういうふうになっている。今までも公開のデータは全てそのようになっているので、このデータベースに関しても、そのようなつくりになっている。
【吉田委員】  どれくらいの検出限界のところでそのデータを得たのかということも重要な情報だと思う。数値としてすぐに入るのであれば、入れるべきではないか。
【斎藤委員】  希少核種については、検出限界値が入っているものが多いが、セシウムについては、ほとんど検出限界以上なので、検出下限値のデータがほとんど記載されていない。そうすると、新たに情報を集めるという感じになるため、全部今から集めるというのは、かなり大変な作業になるかとは思う。
【吉田委員】  了解。

【長岡委員】  検出限界の求め方の方式が違うとか、測定時間が違うとか、大変複雑になると思う。その辺の事情はどこかに書いたほうが良い。

【吉田委員】  同じページで、一番上のところに、土壌試料の採取実施記録(PDF)をダウンロードというのがあるが。これをクリックすると、オリジナルの手書きのデータがそこにでるのか。
【武宮(説明者)】  手書きの記録がダウンロードされる。
【吉田委員】  それは大丈夫なのか。
【武宮(説明者)】  一般公開用と制限付きアクセスのサーバで仕様が違っている。この実施記録には個人情報も含まれているため、一般公開には出さない。

【農林水産省】  デフォルトで地目のところが表示されるとはどのように扱われるのか。
【武宮(説明者)】  今後、文部科学省や検討会等に諮り、どのデータ を公開すべきか方針を明確にしていただければ、対応可能だと思う。
 地目に関しては、公開しない方針が望ましいというふうに理解してよろしいか。
【農林水産省】  畑・水田として緯度・軽度がついていたら、それはもう公開しているのと同じになる。地目ということで、それに意味があるのであれば、別にその地目そのものを削るということを言っているわけではない。
【事務局】  それは相談させていただきたい。

【中村主査】  今のご意見をもとに、公開に向けて、斎藤委員からのご意見のように、できるだけ他機関のデータを含めて、データベースとして完成させていくよう検討を進めていただくということでよろしいか。

○ 資料第8-4号について

【事務局】  前回のセシウムのマップを出したときに、先生方から、土壌の濃度という取扱いについてご意見をいただき、最終的には吉田委員に例文を出していただき、表の中で示すということで、土壌の「濃度」というのは変えずに、Bq/㎡というのは土壌の「濃度」という形で取り扱うというふうにさせていただいたところ。
 その後、一般の方からご意見等があり、もう一度最終確認ということで、この場でのご意見を伺った上で、それに対応して、文科省としても今後どうするかということを考えていきたい。
 前回の議論で、本来表面なので「沈着量」、それから「蓄積量」という言葉のほうが妥当ではないか、あるいは「濃度」はわかりづらく、誤解を招くことがあるかもしれないとの意見があった中で、最終的には、今まで土壌の濃度ということで取り扱ってきており、ここで変えるのも、またわかりづらくなる。それから、面的に見たときに、濃度の分布という意味でも使えるのではないかということで、概略の説明を加えた上で、Bq/㎡というのをそういう濃度として取り扱うというご意見でいいのではないかというふうにご意見を伺ったところ。
 しかしながら、本日、(もう一度)先生方にご意見を伺った上で、今後対応させていただきたい。
【事務局】  事前に先生方にもご意見は伺っておるところで、ご意見の数的に言うと、この前の結論のままで、便宜上、きちんと説明を加えれば、土壌の濃度という形でよろしいのではないかというご意見の方が多かった。
【下委員】  公表されている資料では、今言われたことを説明されているのか。
【事務局】  表のところで説明はしている。
【下委員】  私はそれで十分だと判断する。一言つけ加えるならば、定義がきちんとしていないかもしれないけれども、表面濃度という言葉をしばしば使っている。
【中村主査】  そうである。
【下委員】  それが厳密に科学用語でないと、そこまで厳密に言うのかどうかは別であるが、環境をやっている方の中では、そういう表面濃度という言い方は、かなり広く使われていると思う。
【村松委員】  農林水産省で用いている単位はBq/kgであり、混同している人もいる。違う観点で、両方とも濃度だというので少し混乱がある。例えば、今のところに濃度(蓄積量)として、わかりやすい工夫ができないものか。
【遠藤委員(小山委員代理)】  一般の方からよく電話が来るのは、今までBq/kg単位では、数千程度の数値であったのが、Bq/m2では途端に何万の数値になる。1つは、キログラムから平米にすることで、桁が大きくなり非常に心配だという意見と、農地との関係で、5000Bq/kgという言葉があるので心配だという意見がある。その辺は、単に表のところに書くだけではなくて、やっぱりみんながよく見る地図のようなわかりやすいところに表記すべき。

【下委員】  誤解されると困るので、トップページか、あるいはその次のページ等に説明をつけ、明快にしておくことが必要。

【長岡委員】  例えば、今まで濃度分布というふうに言ってきたため、それを違う言葉にするのも、また今後混乱してしまう。脚注だけでかわすのは、うまくいけば良いがなかなかそうはいかない。
【中村主査】  そのまま何もしないのは良くない。そういうことは、冒頭などわかりやすいところに付け加えた方が良い。しかし、もう公表したものは変えられない。

【中村主査】  今からでも修正可能か。
【事務局】  事務局で検討したい。
【中村主査】  これまでのご意見から、用語としては「濃度」を使っているが、その説明を加えることにする。今から「沈着量」という言い方にはしないけれども、説明をきちっと加えるということで検討させていただきたい。

○ その他

【中村主査】  次の議題は、まだ検証が終わっていないデータに関する議論であるため、ここからは非公開にさせていただく。傍聴者の方々におかれましては、ご面倒ですけれども、ご退席をお願いしたいと思います。

以上

お問合せ先

文部科学省 原子力災害対策支援本部

(文部科学省 原子力災害対策支援本部)