放射線量等分布マップの作成等に係る検討会(第7回) 議事要旨

1.日時

平成23年8月29日(月曜日) 14時30分~18時20分

2.場所

文部科学省 3階 1特別会議室

3.議題

  1. 土壌濃度分布マップ作成について(セシウム134、137)
  2. 農地土壌マップの作成について
  3. 土壌濃度分布マップ作成について(ヨウ素131)(非公開)
  4. マップ関連研究の進捗状況報告について(非公開)
  5. その他

4.配付資料

  • 資料第7-1号    :土壌の核種分析結果(セシウム134、137)について
  • 資料第7-1-1号 :文部科学省による放射線量等分布マップ(放射性セシウムの土壌濃度マップ)の作成について
  • 資料第7-2号    :農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について
  • 資料第7-3号    :核種分析結果の一覧について(その他の核種)(机上配布)
  • 資料第7-3-1号 :ヨウ素に関する測定下限値以下のデータの取扱いの検討について(机上配布)
  • 資料第7-4-1号 :放射線量等分布マップにおける土壌狭域内分布の確認(机上配布)
  • 資料第7-4-2号 :放射性物質の土壌中における深度分布の確認調査の進捗状況について(机上配布)
  • 資料第7-4-3号 :土壌に蓄積した放射性物質の包括的移行状況調査(大規模循環モデル調査)の進捗状況について(机上配布)
  • 資料第7-5号    :今後のスケジュール(机上配布)
  • 参考資料    :放射線量等分布マップの作成等に係る検討会委員名簿

5.出席者

委員

中村主査、池内委員、木村委員、小山委員、斎藤委員、柴田委員、下委員、髙橋(隆)委員、髙橋(知)委員、茅野委員、長岡委員、長谷部委員、久松委員、村松委員、吉田委員

文部科学省

渡辺次長・原子力安全監、板倉EOC環境モニタリング班班長、石井EOC環境モニタリング班、斉藤EOC環境モニタリング班、佐々木(原子力安全委員会)、小平(農林水産省)、茶山、葛谷(原子力被災者生活支援チーム)

6.議事

  1. 文部科学省の事務局より、資料第7-1号及び資料第7-1-1号について、説明が行われた。
  2. 農林水産省事務局より、資料第7-2号について、説明が行われた。
  3. 議題3以降について非公開で行う旨、主査から説明があり、傍聴者が退席された。

7.主要な質疑応答

○  資料第7-1号及び資料第7-1-1号について

【長岡委員】 資料第7-1号について、空間線量率(マイクロシーベルト/h)で表示されているものは、ガンマ線のみの線量率ということでよいか。NaI(Tl)シンチレーション検出器で測定した値に相当するものか。
【事務局】 そうである。

【吉田委員】 確認であるが、前回までに資料第7-1号のセシウムの濃度値の有効数字はどこかで丸めることとなっていたがどのようにしているか。マップのほうの地図の「可住地域」、「非可住地域」という用語について、別な言葉に置き換えるべきという議論があったがどのようになっているか。
【事務局】 有効数字について、ご指摘をうけ事務局で検討したところ、四捨五入をしたことによるマップ上の色合いが変わってしまうことを防ぐため、小数点以下を切り捨て、数値を1の位まで示した形とさせていただいた。本日の議論で修正すべきならば、検討をしたい。
 「可住地」・「非可住地」の用語の問題について、前回は「居住」という言葉を使ったらどうかというご指摘があったが、「非居住」という用語は、ロシアのチェルノブイリの話が出てきてしまい、また事故の後に居住できなくなった範囲を「非居住」としている紹介があったため、「可住」という言葉を使っている。「可住」・「非可住」というのは、平成17年の国勢調査で、全く人が住んでいないことを定義しており、調査後に名前を変えるというのは、あまりよくないという結論となった。
【吉田委員】 科学的には、ここまで桁数を出すことに意味がないことは明らかなので、今の説明のような理由があるのであれば、その事を明記した注釈をつけるべき。
【事務局】 了解した。検討会の資料として、そのような注釈をつけることとしたい。文科省のホームページに公開するときには、そのような形で公開したい。

【村松委員】 2kmでメッシュを切ったところで、測定データがないのはどういうことか。
【事務局】 非可住地であることと、(採取試料の緯度経度情報の確認の結果、)試料採取予定のメッシュに対して、当初の位置と違うメッシュに入っているものについては、試料採取がなされたメッシュという形で今回記載している。そういう意味で、少し抜けている部分もあるかと思う。それには(メッシュの境界)ぎりぎりという形で、隣のメッシュに入っているというものも含まれる。

【久松委員】 資料第7-1-1号の17ページ目の「2.検証内容」の3つ目の「○」の意味が取りにくい。「5地点の土壌の核種分析結果の平均値に対する標準偏差の比率(変動係数)を確認したところ、0.3を中心に分布している」というところまではわかる。その後の、「正規分布と仮定すると、最も多い頻度で、各地点の核種分析結果は、5地点の土壌の核種分析結果の平均値±30%の範囲に68.26%が入っていることが確認された。」について意味がとりにくいのでご説明願いたい。
【事務局】 19ページの(参考2)では、平均値に対する標準偏差の割合が、0.3のところが非常に多くなっているので、そこを中心に分布している。標準偏差は平均値の約3割の値が非常に多く存在しているということになるため、1標準偏差を68.26%とすると、このところに多く入っているという記述。
【久松委員】 これは、同一箇所で採った5地点の結果が正規分布すると仮定したということか。
【事務局】 そうである。
【久松委員】 「最も多い頻度で」というのは何か。
【斎藤委員】 この表現はわかりにくいと思うが、標準偏差割る平均値が、大体0.36ぐらいの値である。だから、そのような事実を書けばいいのではないか。±30%以内に68.26%が入るというようなことではなくて、標準偏差がどの程度の範囲であるというような事実を単純に書けばいいのではないか。
【久松委員】 この標準偏差を平均値で割ったものが、0.3を中心に分布していました。その0.3±30%の範囲に68%が入っていましたと。いうふうに書けば少しわかりやすくなる。
【中村主査】 そのように修文をさせていただく。

【中村主査】今日いただいたご意見を反映した上で、その結果を文部科学省から公表するということにさせていただければと思う。修正結果については、私が最終的に確認し、皆さんにお回ししてチェックすることはせずにしたい。
(「異議なし」の声あり)
【中村主査】 そのようにさせていただくこととする。

【久松委員】 タイトルが「放射性セシウムの土壌濃度マップ」になっているが、実際は沈着量であるが。
【中村主査】 そうである。
【久松委員】 これはタームとして、これで良いのか。
【中村主査】 土壌濃度と、ずっと言ってきている。
【久松委員】 単位面積あたりの濃度という言い方は、科学的には正確ではない。検討会として、これは「沈着量」ではあるが、「濃度」として表現するというコンセンサスをとっておくべき。
【事務局】 たしか前回の議論でも、沈着量でなくて、沈着した放射性物質の濃度という量で示すのが良いと結論がでていたと思う。
【中村主査】 今から、(タイトルの表現等を)いじらないほうがいいと思うので、このままでいきたい。

○  資料第7-2号について

【下委員】 「農地」の定義とは、ある一定以上の広さを言っているのか、あるいは営農に限るのか教えていただきたい。
【農林水産省】 農業に利用されている土地ということで、その中には水田と普通畑、樹園地、牧草地が含まれる。
【下委員】 営農なのか、あるいは、個人で営農はもうやっていないけれども、自分のところだけでやっているといった田畑も含んでいるのか。
【農林水産省】 農林水産省に農家の定義があり、自家菜園をしている方々は定義に含まれない。農家という定義に含まれる方々が営農上使っている土地ということ。

【高橋(隆)委員】  印刷の問題かもしれないが、(別添2の)福島県の全体の絵では、福島市や二本松市はグリーンがかっているが、(別添3の)拡大した図ではブルーっぽく見える。この整合性はどうなっているのか。
【長谷部委員】 別添2のグリーンの図は、文部科学省の空間線量率の測定結果を基に、分布図として示しているものである。それ以外の図は、ブルーになっている、例えば、福島、宮城、他、すべてそうであるが、単に農地の分布を示しているものである。そこにドットで、それぞれの測定地点の濃度を5段階で表示しているというもの。別物とご理解いただきたい。
【高橋(隆)委員】 ちょっとこれは色を変えた方がよいかもしれない。
【長谷部委員】 混乱するかもしれない。
【農林水産省】 印刷が悪くて、別添3の福島県の県北といった地図、8つの地域に分けてある方は、ブルーではなく灰色である。
【高橋(隆)委員】 灰色であれば、誤解のない絵になると思う。了解。

【村松委員】 別添2のところは、農地のところを空間線量から色をつけているというところで、これはこれですごくいいと思う。せっかく、1平米あたりのベクレル数が出てきているので、そちらのデータを使った方が、実際の土壌中の濃度と関係してくるんじゃないかと思うがいかがか。
【長谷部委員】 ご発言の趣旨は非常によくわかる。明日のプレスリリース資料は、これでいくと思うが、今後の検討として、沈着量を基にBq/kgに換算できないかどうかは、検討する余地はあると思う。

【村松委員】 農業関係者にとってこれは非常に重要なデータである。今後の作付けや対策に関係してくる。測定点数としては、文部科学省の方に沢山ある。違う観点で濃度を出しているが、換算はある程度できると思う。
 そして、深さを考慮することと、重さにするときは、土の密度とか土の質によっても違うこと。植物への移行係数は、例えば、黒ボク土だと、灰色低地土に比べて高目の移行係数が出たりしているというデータもある。
【中村主査】  今のことに関しては、検討していただくということにしたい。今回は、これで公表するということとなるが。

【長谷部委員】 二次補正で、これから秋にかけて3000点分析することとなっている。それとあわせて、参考に、文部科学省の土壌濃度マップのデータも使わせていただくということになると思う。

【吉田委員】 添付2の地図の全体の中の位置づけがわかりにくくないか。つまり、全部同じ表題「農地土壌の放射性物質濃度分布図」となっており、ここだけ(参考)と括弧付きになっている。この順番で公開されると、一番頻繁に使われるのは、この(参考)と書いてある図になるのではないか。
 これはあくまでも空間線量率から推定したものであり、誤差も大きく、参考程度に使うものであるという説明のような気がしており、もしそうであれば、この濃度分布図となっているところを、例えば、濃度推定図で(参考)とか、実測ではないことがわかるタイトルにする。順番も、最後に挟むなどすれば、制作側の意図は正確に伝わると思う。
【農林水産省】  ありがとうございます。
 本体の分布図は、別添1が発表するべきものであり、それ以降はいわゆる参考になるもの。その中で、別添2は、2/4ページの「7 空間線量率からの農地土壌の放射性物質濃度の推計」で説明しているように、参考情報として示している。別添3は、最初の地図を細かく示しており、これも参考になっている。
【吉田委員】 そうであれば、まずこの別添1という本体があって、その後に、福島県も同様な形で、ただ単純に拡大した地図が1枚あって、必要であれば、この参考という地図が最後についているという順番の方が、意図が伝わりやすいと思う。
【農林水産省】 別添3と別添2を入れ替えるという形でよいか。
【中村主査】 修正していただきたい。

【柴田委員】 農地土壌マップは、来年の作付では非常に重要な位置づけであるが、作付の前にもう一度実施するのか。それとも、このデータを基に半減期補正を行うのか。
【農林水産省】 年度内にもう一度このデータを更新、精密化したい。
【長谷部委員】 基準日の問題は当然あって、今回は6月14日とするが、来年の作付を考えると、それにより近い段階に基準日を変更することになる。

【小山委員】 福島県の場合は、調査の深さがだいたい15cmであるが、他はまちまちになっている。これには特別な理由はあるのか。
【農林水産省】 水田は約15cmということで耕す深さが一定であることから、15cmで採っている。畑の場合は、作物の種類によって、作土深が違ってくる。そこのところを採るときに、調査者がその深さまで採ったということで、そのデータを掲載している。
【小山委員】 例えば、畑では、15cmと30cmの深さで濃度が変わる可能性はあるか。
【農林水産省】 地表に降った放射性物質が攪拌されるということを考えると、深く耕せば濃度は下がる。実際の営農上、そこにものを植えて、根が張って、そこから作物が吸収したということを、今後の食品の安全性のためのデータとして生かしていきたい。そのため、実際に耕される、あるいは、実際に根が張る深さまでの濃度を測ることで利用可能なデータが得られるという考え方。

【小山委員】 マップというよりは、個別のデータを見ていくほうが重要だということにならないか。
【農林水産省】 営農という面に着目して、使われる土壌の深さの濃度を採っているということである。水田については15cm、畑については30cmの深さをとっており、そういう意味では、それが規格化されている面はある。

【中村主査】 農地土壌の放射性物質濃度分布図の公表に関する資料についても、本日のご意見を反映した上で、農林水産省から公表させていただきたい。細かな修正に関しても、私が最終的に確認するということで良いか。
(「異議なし」の声あり)

【中村主査】 この2つの議論をもって、土壌濃度分布マップ及び農地土壌の放射性物質濃度分布図に関して、検討会の委員の皆様にご了解いただけたということで、事務局、農水省においては、本日の意見を踏まえて、最終的な公表資料の準備を進めていただければと思う。

【中村主査】 その次の議題である土壌濃度分布マップ、マップ関連研究の進捗状況報告について非公開とさせていただく。傍聴者の方々におかれましては、ご面倒をおかけしますが、ご退席をお願いしたいと思います。

以上

お問合せ先

文部科学省 原子力災害対策支援本部

(文部科学省 原子力災害対策支援本部)