科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会(第10回) 議事録

1.日時

平成24年7月12日(木曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省16F特別会議室
住所:東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 「科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」推進事業」の今後の進め方について
  2. その他

4.出席者

委員

有信委員、黒田主査、笠木委員、桑原委員、郷委員、小林委員、森田委員

文部科学省

田中 総括審議官、土屋 科学技術・学術政策局長、佐野 科学技術・学術政策局政策課長、阿蘇 科学技術・学術政策局計画官、山下 科学技術・学術政策局政策科学推進室長

オブザーバー

社会技術研究開発センター長 有本建男

5.議事録

【黒田主査】  ほぼ定刻でございますし、大体委員の先生方、お集まりですので、開始をさせていただきたいと思います。第10回の科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会ということでございます。

 大分前回の第9回と日が空いたのですけれども、本日は、SciSIPにおける推進事業の今後の進め方について御議論をいただくということで、まず、事務局から配付資料の確認をいただきたいと思います。お願いします。

【山下室長】  おはようございます。お手元に配付資料一式あると思います。御確認いただければと思います。

 議事次第、1枚の後、資料番号が1から4まででございますけれども、1は、枝番が三つございまして、1、2、3と3種類の資料がございます。2は、枝番が一つ、資料2-2というものがございます。あと、3と4はそれぞれ単独の資料でございます。それに加えまして、参考資料1で、現時点での本推進委員会の先生方のお名前と肩書ということで、名簿を、最新版を置かせていただいてございまして、参考資料2は、「政策のための科学」、いろいろ外に御説明をしたりする際に、我が省で専ら対外説明の資料として使用しているものでございます。御参考にしていただければと思います。

 それに加えまして、本体資料とも連動してございますが、机上資料ということで、3種類ほど置かせていただいております。一つが、政策オプションのアウトプット(イメージ)というものでございます。もう一つが、RISTEXのほうで募集をされていらっしゃいます「コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造」という新しい領域の募集の御案内でございます。三つ目が、アメリカNSFのSciSIPのプログラムの具体的な採択されている課題の一覧というものが机上資料として置かせていただいているものでございます。

 過不足等がございましたら、議事の途中でも結構でございますので、事務局のほうにおっしゃっていただければと思います。

 以上でございます。

【黒田主査】  よろしゅうございますでしょうか。

 じゃあ、早速ですが、議事に入らせていただきたいと思います。

  本日、最初の議題でございますけれども、本事業を具体的に動かしていく中で、組織上、形が整っていないと思われる部分もございまして、その体系を確立していくということが必要になってきております。その点について、今日御議論いただきたいと考えております。まず、事務局のほうで私とで、議論させていただきまして、一応素案のようなものを、まだ不十分なものですが、まとめさせていただきましたので、事務局のほうからまず説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【山下室長】  それでは、お手元に資料1-1と1-2というこういう縦長と横長の資料がございますので、それをちょっと狭くて大変恐縮でございますけど、両方を見ていただきながら説明を聞いていただければと思います。

 まず、資料1-1でございますけれども、本事業全体をけん引・主導するための仕組みの必要性について(案)と書いてございますが、春先から、春先にも少し御議論いただきましたけれども、少し考え方を整理した紙と、少しそれをイメージ化したものが横長のポンチ絵になってございます。

 まず、検討の背景・問題意識という部分でございますが、三つほどブレークダウンさせていただいてございます。23年度からすべてのプログラムが開始されてございまして、それぞれ着実に進めていただいているところではございますが、連携を図る仕組みがないということで、事業全体に共通する目標設定が必要ではないかなという問題提起でございます。

 2点目は、徐々にということではあるかもしれませんが、各プログラムがいろんな活動を通じまして、いろんな成果が出てくると思います。この事業自体は政策のための科学という事業でございますので、研究の部分ときちんと政策につないでいくというところが非常に重要だと思ってございますが、そういったものを政策形成に生かすための仕組みというものが必要ではないかなというのが二つ目でございます。

 三つ目は、そのような成果をいつどのような形で結びつけていくのかという工程がややもすれば少し不十分と申しますか、きちんとした形でまだ整理がなされていなかったので、工程表をきちんと作成して、そのとおりに進めることが目的ではないかもしれませんが、いつどういうタイミングで何がなされるのかということについては、ある程度共通認識を持つ必要があるのではないかと。この三つを問題意識に掲載させていただいてございます。

 まず、それをそれぞれの論点で少し書き下したものが1ページの下の部分からでございますが、まず、事業全体に共通する目標設定ということで、三つほど目標を整理させていただきました。一つ目の目標が、一番下の4行部分ぐらいから始まるところでございますが、さまざまな問題の顕在化、あるいは顕在化していない問題に対しまして、次のページになりますけれども、科学技術イノベーションによって解決すべき課題を科学的な視野から発見・発掘すると。

 二つ目が、その発見、発掘したさまざまな課題の中から、科学技術イノベーション政策によって課題解決を実現し得る政策課題を同定し、そういう政策課題をきちんととり得る政策とその経済波及効果といった影響も含めました分析をきちんと行い、選択肢として複数のオプションを立案できるようにするというものでございます。

 三つ目が、その立案された政策オプションを、政策の決定、あるいは政策のインプリメントにきちんと生かしていくというために、そういう課題解決につながる取り組みの充実を図ると。これがある種サイクルのような形できちんとできることが、科学の成果をきちんと政策に生かす、エビデンスに基づく成果を政策に生かすということにやはり直結するということで、こういう目標三つを同時に達成するということを一つの大きな目標と掲げてはどうかという整理でございます。

 他方、既に走っているプログラムの部分もございますし、いろんな配慮が必要だとは思ってございまして、三つほど書いてございます。その2ページの中段でございますが、事業全体の目標達成は、各プログラムが最大限貢献し得るようにしていくということもございますし、他方、後ほどポンチ絵のほうでちょっと御紹介しますけれども、推進委員会において、これまでこういう理念とか、目標といった趣旨のものを幾つか整理いただいておりますので、こういったことにも配慮していく必要があるということでございます。

 また、政策課題の解決は、非常に科学的な知見の結集、いろんな学際的な領域のポテンシャルを結集させる必要があると思ってございますが、他方、科学とか、技術だけで解決できない事柄があるということもきちんと認識して検討を進める必要があると。

 三つ目も、これもよく言われておりますけれども、政策オプションを立案したり、政策決定を行ったりというプロセスにおいて、前提条件を決めて政策オプションをある程度考えなきゃいけないというようなところもございますし、国民との合意という視点で、きちんとどこまでがエビデンスに基づいた科学的な部分として考えることができるのかということをきちんととらえるためにも、透明性の確保でございますとか、国民の合意において重要な基盤であるため、科学性の担保というところをきちんと押さえておくと。ここも外せない論点かなと思ってございます。

 この論点の1に関しては、資料1-2をちょっとおめくりいただいて、3ページになるんですけれども、「政策オプションとは」というポンチ絵を少しお開きいただければと思います。

 概念を整理したものでございますので、これだけ見てもなかなかわかりにくいところもございますけれども、政策オプションといいますのは、政策ビジョンとしまして、科学技術イノベーションによる持続性社会の実現という大きな目標というか、定義をしてございますが、いろんな視点で多分政策課題というものを拾い上げることができるだろうと。どういう階層でどういうその粒度の大きさなのかというのは、それはどのようなものもとれるとは思うんですけれども、その政策課題というものをきちんと定めて、あるその政策課題を、おそらくは一つの政策手段で解決するということは難しい。複数の政策手段を組合せて、あるいは強弱もあるかもしれませんし、これも階層が分かれるかもしれませんが、いろいろ組合せて政策課題を解決するために取り組んでいくのだろうと。その政策課題を解決するための政策手段をきちんととるとともに、課題達成の目標となる政策的な目標をきちんと定めるべきだろうと。こういったものが、いろんな組合せといろんなその構成で考えることができるのですが、何かそれを決める際に、ただ単にどういう手を打つということだけではなくて、そういう手を打った際に、経済、あるいは社会にどういう波及効果、影響があるのだろうというのをきちんと分析をして、それを加えて、オプションとして、選択肢として示していくと。こういったことを科学の客観性、中立性に基づいてきちんとつくっていくということではないかなという整理をさせていただいております。

 その次のページをちょっとおめくりいただければ、これもまだわかりにくいのですけれども、少しイメージを我々のほうでつくりまして、決してこれが、これだけを政策課題だととらえるわけではないのですが、事例としてあくまでも書いてみたものでございますが、例えば太陽光を利用した革新的技術による安定したエネルギー需給構造の実現という政策課題を設定したとした場合に、科学とか、技術の面でどういった状況にあるのか。あるいはどういう手だてを講じていく必要があるのかというおそらく課題とか、政策手段とか、目標が幾つも立てられるだろうと。他方、社会とか、制度の面でも、同じように目標、政策手段というのは立てることができるだろう。これはお互いに多分非常にリンクが強い部分がありますし、相関しているところもたくさんあると思うのですが、とりあえず羅列して並べまして、これをどういう組合せで、どう使っていくかということをオプション化して、政策オプションとしてまとめていくと、そういうイメージではないかなということで、仮にではございますが、こういう資料をつくってみました。

 その際に、経済・社会的な波及効果、あるいは影響評価というものをどういうふうにとらえるかというのが右側でございまして、これも現時点でわかりやすいものしかちょっと書いていないので、もっと深く考える必要がある面もたくさんあると思いますが、例えばGDPの押し下げ、押し上げ効果といったものとか、雇用、この辺はよくわかりやすいですけれども、産業構造の変化ですとか、競争力の視点で輸出入がどうなるかとか、生産性がどうなるか。特に地域に密着したようなものであれば、地域にどういうコントリビューションがあるのかといったところをとらえていくようなところはあるのでしょうし、ここは非常に難しいんですけれども、社会的な波及効果というところもやはり重要だなと思っておりまして、さまざまな視点でこの辺は、課題をきちんと、課題と申しますか、見なければいけない視点をきちんと要素として抽出していく作業が非常に重要じゃないかなと。いずれにしても、きちんと政策課題をどういう視点で、要素で見て、経済・社会的にどういうインパクトがあるのかというのを見定めていき、一つのオプションとしてつくり上げると。そういうことではないかなという整理をさせていただいてございます。

 あと、あわせて6ページをごらんいただければと思います。

 6ページは、これは昨年の5月ですとか、本年の2月ですとか、いろんな節目で御議論いただきました「政策のための科学」に、必要な設計理念ですとか、目指すべき姿という、そういう表現で整理をさせていただいて、これまで推進委員会で御議論いただいたものでございますが、全体構造としては、こういったことをきちんと押さえて、とらえて「政策のための科学」を考えていくべきだという整理をしていただいてございまして、これ自身は非常にこれまでも先生方にも御理解というか、御示唆を賜ってまとめてきたものでございますので、今回政策オプションをつくっていくという事業全体にわたる目標に加えて、きちんとここも押さえていくというところが重要ではないかなということで、資料の中にはまとめさせていただいてございます。

 長くなって恐縮ですが、引き続きまして、もう一度資料1-1のA4の縦紙のほうに戻っていただければと思います。

 論点2でございます。事業全体の目標達成をけん引、あるいは主導する新たな仕組みを構築するということという、そういう題名でございますが、目標、政策オプションをつくると、このためにはいろんな科学が集結しなければいけませんし、あるいは行政と限りませんけども、政策形成につなぐというところまで考えていかなければいけませんので、新たな仕組みというものが何らか要るのではないかなというふうに我々のほうで考えてございまして、本日はちょっとそのイメージもつくりましたので、御紹介したいと思います。また、そういう新しい仕組みができるとともに、先ほどの冒頭の問題意識にもありましたが、やはり工程表を作成する必要があるんじゃないかなというふうに整理をさせていただいてございます。

 具体的には、もう一度また、行ったりきたりで恐縮でございますが、資料1-2の7ページをごらんいただければと思います。科学技術イノベーション政策のための科学における新たな仕組み(イメージ)と書いてございます。これはあくまでもイメージでございますので、決してこのプログラムが決まったとか、もう動き出しているとか、そういうことではなくて、こういう仕組みが概念としては必要ではないかなという整理でございます。

 今、実際に動いていますのは、推進委員会、一番上にあるその推進委員会のもとで御指導、御助言を賜りながら四つのプログラム、この表でいいますと、黄色い色のハッチングをしていますが、この四つのプログラムが実際に動き出しているという状況でございますが、これらの既存のプログラムとうまく連携し、あるいはこういうプログラムがどこまでコントリビュートできるかというのは、今後御相談しながら考えていく必要があると思っていますが、真ん中のようなそのプログラム、あるいは組織というか、機能が必要ではないかなという問題意識でございます。

 ここでは、先ほど一つ太陽光のというので、一つ具体的な政策課題を、あくまでも事例の例示としてお示しいたしましたけれども、そういう具体的な政策課題をそれぞれふかん的に見るチームを構成しまして、それを、全体をきちんとオーガナイズできるセンターのような機能を設けて、ある程度場所的にも、実態的にも、物理的にも、1カ所で集中してやれるような環境、他方、いろんな知見が集まってくる必要がありますから、オープンで集まれるようなその機能を合わせ持つ必要はあろうかとは思っていますが、そういった仕組みが必要ではないかなという一つの提案でございます。

 ちょっとわかりにくいと申しますか、これはほんとうに概念だけなので、1ページおめくりいただいて、8ページをごらんいただければと思いますが、この個々の具体的な政策課題に対して、どういったチームをつくる必要があるのか。どういう機能を持たせる必要があるのかというのを、大きく五つぐらい、機能という視点でちょっと分類をしたのがこのポンチ絵でございまして、まずは、先ほど科学のとか、技術の状況、あるいは社会制度といった政策の手段、あるいは要素等考えられるものについてきちんとリストアップして、とらえていく必要があろうと。これは、もちろんどういう政策課題を設定するかによって、いろいろさまざま変わってくるかもしれませんが、こういった機能が少なくとも必要ではないかと。

 他方、右側にありますとおり、実際に政策を実施したり、決定するだけでもインパクトがある面もあると思いますが、経済的、あるいは社会的な効果、これはいい要素だけではなくて、負の要素もきちんと見る必要があると思いますが、そういったことをちゃんと分析をすると。ここはかなり研究の要素が強くなると思いますが、こういう分析をするという、その仕組みがやはりある必要があろうと。

 一番重要なのが、この真ん中にあります政策オプション作成機能と書いていますけれども、そういったいろんな政策手段をとる、あるいはそれによってどういう効果があるかというものをきちんと束ねて、一つのちゃんと入り口から出口までの取り組みがきちんとつながった形で、複数の選択肢として示されるようなオプションを束ねると。いわば、すべてのその機能から得られる知見を一つに集約して、きちんと一つのシナリオと申しますか、政策の選択肢をきちんとつくっていくという機能が必要ではないかなと。これらをある程度全体を、この課題に関して全体をふかんするようなチームとして構成すればつくれるのではないかなと。これは、機能面からボトムアップで書いてみたものですから、本当にこのとおりつくれるかどうかは定かではないんですが、一つの考え方としては、こういうものが考えられるんではないかなというものでございます。

 あわせて、10ページを少しごらんいただければと思います。

 仮にこのような新しい機能をきちんとつくった際に、実は10ページは、これは比較的というか、事実関係を書いているものでございまして、四つのプログラムがそれぞれ昨年度から開始されたということで、それをただ単に線表に落としているものなのですが、新しいプログラムを含めてどういう形でそれぞれが進めていくのか、あるいはどのタイミングまでにどういう連携が具体的に進められ、あるいは成果が出されということをきちんと考えていく必要があるということで、ここはまだちょっとその案を考えるまでには至っていませんけれども、まず、ここをスタートポイントにして、ある程度いつまでに何をというところを考えていく必要があるのかなというものでございます。

 あと、もう一度すいません。これ、最後になりますので、資料1-1の3ページにちょっとお戻りいただければと思います。

 論点3という部分でございます。新たな仕組みの構築に向けた準備という部分でございますけれども、25年度から、実は文部科学省としましては、こういう新たな仕組みというものを考えていくことをしてはどうかと思ってございますが、非常に難しい課題でございますし、いろいろ考えていかないと、いきなり立ち上げることができるものではないと思っております。したがって、本年度、24年度から、いわば実現可能性検討ということで、少し先取ってやれるものはやってはどうかということを書いてございます。その際に、何をまず24年度やるのが重要かということをちょっと少し考えてみたのですけれども、この政策オプションの立案を実施するための機能ですとか、体制面をどうするのかというのを考える必要があるのかなと。まず、ここがきちんとできないと、そもそも入り口から出口まで一つ軸が通った政策オプションをつくるということにはなかなかならないのかなと思ってございます。

 あと、もう一つ、これも御議論の部分だとは思いますが、FSでそういうことをちょっと機能検証するということをトライする際に、何か具体的な政策課題がやはり必要だと思いますので、やるのだったら、ちょっといろんなものが多分とり得ると思うんですけれども、事務局としましては、グリーンとライフのイノベーション、これは焼き直しに事実上なってしまいましたが、昨日、日本再生戦略から出ましたので、ただ、新成長戦略においても第4期科学技術基本計画においても、主要な柱に両方とも位置づけられているグリーンとライフからそれぞれ1課題ずつ選定して、何をその中からまた選び出してやるのかというのは、いろんなちょっと複合的な視点で考えなければいけませんが、それを少し題材に機能面とか、体制面を考えてはどうかと。ただし、25年度以降もそれだけにとどまるものではありませんので、具体的な政策課題、さらにどういったところを手つけていく必要があるのか。どういう形でやっていくのかということは継続して考えていってはどうかというアイデアでございます。

 それで、お手元の、これはできが悪いのですけれども、この読みづらい机上配付資料をごらんいただければと思います。

 あくまで、これもほんとうに事務局で整理をさせていただいただけなので、もうこれで十分であるということではないのですが、大ざっぱに申し上げますと、これ、ここでは太陽光のいろんな要素技術をどういう段階できちんと技術をしたため、大量生産ないしその検証を行い、地域で実証を通じて普及導入のめどを図り、コストの面も見ながら、最終的には市場に導入し、国際競争力の観点でどういうその知財戦略とかを展開していき、日本の産業空洞化、あるいは雇用の安定にどうやって貢献できるのか、あるいは再生エネルギーがどこまで世の中に普及できるのかと、いろんな視点があると思いますが、それだと従来のシナリオそのままに近いので、それに加えまして、例えば消費者がエネルギーを可視化できるような仕組みをこの中にうまくビルトインして、ライフスタイルの変化を促すと、事実上もうちょっと進んでいるところたくさんございますが、省エネということを楽しんでやれるような、その社会のあり方みたいなことにもあわせて考えていくような部分を盛り込んだり、あるいは気象予測との連動させることによって、最適な需給のバランスをとれるような仕組み、多分蓄電池の技術開発も同時に進める必要があると思いますけれども、そういった社会的な要素もきちんと入れ込んで、トータルとして魅力ある、ここは太陽光と設定していますが、これに限りませんけれども、例えばエネルギー需給構造をうまく実現していくということを我々のほうで考えてみたものです。十分精査できていないので、この辺は政策課題をどのように設定するかも含めて議論が必要かなと思っていますが、一つの例示でございます。

 次のページも同じような例示をちょっと考えてみたものでございまして、例えばライフイノベーションの分野で、いろんな革新的な技術があると思いますが、今、ここでは診断と治療に絞って少し書いてございますが、比較的その導入が見込まれるもの、あるいは技術的にはちょっとハードルが高いもの、いろいろあると思います。ただ、他方、医療とか、診断技術は、ドラッグラグ、デバイスラグと言われているような非常に制度面での厳しい部分もあるというのもよくわかってございますし、そういうところもきちんとにらみながら、社会へどう普及して、実際に患者のさまざまな負担の軽減等々につながるのかと。ここまでは多分従来の考え方に近いですが、これだけと、現実的には、どちらかというと、医療費増の話しか出てこないので、同時に考える場合、ITを例えば導入することで生涯カルテですとか、パーソナルヘルスを導入するとか、いろんなお考えがあるようなんですけれども、対症療法の医療から、予知予防というヘルスケアをできるだけ導入し、医療費の削減も技術が支えると。これだけに限らないかもしれませんし、あるいは何にフォーカスするかについて、様々な議論がありうると思いますが、サステナブルな医療費ということと、本当に健康な社会をつくっていくということをどうとらえるのかといった観点でオプションを作成する考え方も一つあるのではないかなと。我々の知見が狭いので、十分魅力のあるものではないのですけれども、そういったものも一つ候補としてあり得るのかなということで、その考え方を書き下し、お配りしたものでございます。

 説明は以上でございます。

【黒田主査】  どうもありがとうございました。

 前回第9回の推進委員会の議論で、このSciSIPの事業を進めるに当たって、政策を具体的に科学的な作法でもって立案していく、立案する軸になる部分を組織的にもつくらなければいけないし、また、その中身についてもう少し議論をしようじゃないかという一つの結論を得たと思っているのですが、その後、事務局といろいろ議論しまして、科学技術イノベーション政策の科学という形を具体的な事業として根づかせて、日本の科学技術政策の推進のために役立たせていくためには、どういう形をつくればいいのかということで、今、御提案いただいたような形のものを考えてみました。政策オプションというのは、一つの考え方でございますけれども、あるビジョンに基づいて政策の目標があり、その目標を達成するための政策手段が幾つか考えられるという状況の中で、ある特定の政策手段を実現しようとしたときに、いかなる社会的、経済的な影響が起き得るのかということまで含めて、その政策の意味合いを明確にするのがオプションと我々呼んでいるものだろうと思います。

 そのオプションは必ずしも一つであるということではなくて、そのオプションが科学的作法によって示させられることによって、その中から選択をするというプロセスが次に生まれてくると考えています。それが実際の政策立案に結びつき、かつその事後的な評価にまで結びついて、PDCAのサイクルが回っていくという形を事業として政策立案プロセスの中で生かしていこうというのが今回の提案だろうと思います。

 だいたい御説明でおわかりのことだと思いますけれども、何か御説明に対して御質問なり、御意見ございましたら、お願いしたいと思います。

【山下室長】  先生、すいません。一つ忘れておりました。

 今日、これに関連しまして、NISTEPからとCRDSから、ちょっと議論の参考になるということで、資料をお配りいただいておりますので、少し説明をさせていただいてもよろしいでしょうか。

【黒田主査】  はい。じゃあ、それを先にやっていただきましょう。

【山下室長】  それでは桑原所長、少しお願いしてもよろしいでしょうか。すいません。

【桑原委員】  じゃあ、資料1-3をごらんいただければと思います。

 今日、議論されていますフィージビリティ・スタディについて、事務局の皆様といろいろ議論させていただきましたけど、その過程でちょっと違うアプローチもあり得るんではないかという感じがしたものですから、議論の一つのベースとしてお話をしたいということです。

 今日、御紹介いただいたグリーンとかライフで何かをやる、これはこれ比較的プロジェクト志向のもので、右のほうに書いてありますように、これまでのプロジェクトの構築、構想段階では、それが経済、社会にどう影響するかのきちんとした評価は、必ずしも十分なされないままにスタートしてしまっていたという反省に基づいて、そこをきちんとした新しい姿を目指そうとしています。これはもう全く大賛成なんですが、もう一つの話として、現在、進んでいる科学技術イノベーション政策、従来の科学技術政策の再構築、これは、科学技術に限らない諸政策を統合的に再構築して、科学技術の成果であるさまざまなアウトプットをいかにイノベーション化し、社会に貢献するか。そこのパスをきちんとつくろうということが大きなテーマとなっております。

 そうしますと、いわゆるシステム改革的なテーマということもあり得るんではないか。一つたたき台として御提案したいのはそういうことです。一例として、その政策課題(例)に挙げさせていただいたように、日本においてより多くの優れたイノベーションが生み出されるための人材システムというようなテーマが一つあり得るのではないか。これは非常に大きなテーマですので、1年ぐらいやって何かすぐできるということは必ずしもありませんから、1年ぐらい、まず、どういう枠組みで物を考えるべきかという議論をきちっとやって、その後、2年ぐらいかけて具体的なデータを積み上げた検討をしていく、そういう意味で、まず、フィージビリティ・スタディとして取り組むことが考えられるのではないかということです。

 何を考えるかということですけれども、1丸にありますように、イノベーションに関するすべての人材、これは必ずしも研究者に限定するわけではありませんで、産業界の方々、あるいは社会でいろんな立場からそのイノベーションを支え、担う人々ですね、こういうちょっと広いスコープを考えようとしています。特に日本の場合、研究は、問題もあると思いますけれども、それなりにきちんと進んでいる。それから、産業も過去の蓄積もあり、いろんな実力は持っている。ただ、何かいろんなものをつなぐところが必ずしもうまくいってない。これはもう別に新しい命題じゃなくて、昔から言われていることですけれども、昔から言われているけれども、なかなか改善されていない。それに対して、具体的にはキャリアパスとか、人材の再配置、こういったことを構想していく必要があるのではないかというのが基本的な問題意識です。

 特に考えたいのは、人材ですから、人口の動態変化、これをベースにしなくてはいけない。日本の場合、非常に大きいのは団塊世代が産業界ではかなりもうリタイヤした。それから、中央官庁もほぼなりつつある。大学は少し定年が長いものですから、もうしばらくするとその波がくる。ちょっとこういう時間差があるんですね。同じ大学でも、国立大学と私立大学はまた少し濃淡がある。こういうような状況が今あって、これから5年間ぐらいさらに大きな変化が続くということが、もうこれは間違いなく見えておりますので、そういうことをきちんと踏まえて、例えば大学で団塊世代がどういうタイミングでどのぐらい退官されていくのか。そうすると、ある種の玉突き現象で、結果的に若い層への需要が当然生まれてくるだろう。それがどの辺のタイミングでどんなふうになるのか。必ずしもそうはならないかもしれませんね。玉突きが起こらないで、例えば産業界からの教授の直接調達と、これもここのところずっと起こっていますから、それがさらに大規模化するのであれば、玉突きは必ずしも起こらないかもしれない。これはいろんなシナリオが考えられますけれども、一体次の5年間、あるいは10年間にどういうことが起こり得るのかと、こういうのをきちんと押さえる。

 それから、もう一ついろんな分野について聞くのは、ある種の世代交代がスムーズにいっている分野もあると思いますけれども、必ずしも後継世代が育ってないということを聞く分野も多くて、それは別に大学に限らず、企業でも似たことがあると思います。そうしますと、そういうナレッジの世代間の移転、これが次の5年、10年で一体どうなるのか。さらに、日本の最大の問題であるビジネスをリードする人材、これが先ほどのような世代交代がこれから進むというコンテクストの中でどうなるのか。あるいはそれを十分大学が供給できるのか。いろんな問題意識が出てくるのだろうと思います。

 そういったかなりきちんとした議論が可能な人口動態変化を中核に、さまざまな政策を統合的に見ていく。特に人材政策は、科学技術政策で片づく話では全くありませんで、その他の課題、さまざまな雇用ルールの変更とか、いろんなものがこれから絡んでまいりますから、そういったものとの絡みで議論をしていくというようなことで、まず、1年間ぐらいそこの枠組みづくり、それから、ある程度のそのベースラインのデータ収集をすることになります。

 特に私が考えたいと思っておりますのは、2年目以降に、そこに書いてありますけれども、こういうようなテーマであれば、既に活動が始まっているその五つの大学拠点、この大学拠点が無理なく参画できるテーマであることです。プロジェクト的なものであると、何を選ぶかによって、そういう専門家がその拠点にいるところはいいですけど、いないところはなかなか参加するといっても難しいということになります。それから、この五つの大学拠点、国立大学の主要なところはカバーされていますから、各大学に御協力いただいて、それぞれの大学でどういうことが起こっているのかという多少内部的な情報も御提供いただければ、かなり濃密な議論も可能ではないかというようなことを考えまして、システム改革のところに重点を置いたテーマも考え得るんではないかと御提案した次第です。

 以上です。

【黒田主査】  どうもありがとうございます。CRDSのほうからも。

【長野(CRDS)】  CRDSの長野でございます。それでは、資料1-4に基づきまして、御紹介申し上げたいと思います。

 私どもは、昨年度に文部科学省から委託されて調査をしておりまして、その中で特に今日の議論に参考になるものとして、欧米での関連のプログラム、特に研究助成にかかわるその研究課題について、どういう構造でやっているか、また、その政策形成に対してどういうふうにつなげようとしているかということについて、今日御紹介してみたいと思います。

 まず、アメリカのNSFのSciSIPのプログラムですけれども、これは「政策の科学」ということで、まとまりをもった研究助成でございますけれども、2007年から研究助成を開始しておりまして、このSciSIPでは、研究助成と、それから、もう一つ、統計の整備強化と再設計という、この二つの柱で構成されるというのが一つの特徴です。この研究助成のほうですけれども、ここに予算規模、採択研究課題数と書いてございますが、現在、2011年度までに総研究課題数というのは123件、毎年20件から30件ぐらいの規模で採択されているというものでございます。

 別添、一番最後のページにその研究領域、研究課題の全体の構造というものを私どもなりにまとめてみたものがございます。こちら、実際アメリカのSciSIPでは、公募のときにはこの領域、この課題に従って募集しますという形になっておりません。一般枠については、どうぞ広く申請してくださいという形で募集されておりまして、ただ、一つ、その一番下にある特別枠というのがありまして、ここだけ特別な課題の設定をして、例えば2009年のRAPID Awards、それから、2011年では、アメリカでの化学産業に特化した評価ということで設定しているというところが特徴かと思います。

 その課題が採択された後に、ここにいろいろ領域が書いてありますけれども、こういったカテゴリに分けられるのではないかということで、まとめて見せているというような状況になっております。

 あと、机上配付で今日はお示ししておりますけれども、個別の課題リストという形で、A3の紙はお手元に置いておりますので、眺めていただければと思います。これについては後ほど私ども臨時で持っております「政策のための科学」のホームページのほうにも掲載させていただこうと思います。

 それから、資料1-4の1ページ目に戻っていただきまして、ヨーロッパのフレームワークプログラムの7のほうでございますけれども、こちらは、まとまった形でのその「政策のための科学」についての研究助成をされているわけではございません。フレームワークプログラムの中には、複数のプログラムに分散して、関連する研究に助成しているということで、この下のほうを見ていただきますと、例えばCorporationの枠の中で、社会経済科学・人文科学といった領域があって、この中に含まれているというもの。それから、その下にはCapacitiesの中で、社会における科学、または集中的な研究政策開発に対するサポートと、こういった領域の中に含まれているといったことになってございます。

 ただ、その中で特にもう少し詳細に見てみますと、この一番上の社会経済科学・人文科学について、次のページ、ごらんになっていただきますと、この中の構造をここにお示ししてございますが、例えばActivity Lineという形で、知識社会における成長、雇用、競争力と、その下の構造としてResearch Areaというのが三つ示されていまして、その下にTopicという形で示しています。これはEUのフレームワークプログラムについては、このTopicまで、募集をする前にきちっといろんな関係者で政策担当者も含めてニーズを反映してTopicまでの構図を示し、そして、募集をして、評価、採択をするといったような状況になっております。

 それから、下のほうの別のActivity Lineですけれども、社会経済的指標と科学的指標、また、予測活動といったところに関係するものが含まれているといったことでございます。

 それから、3ページ目のほう、これはプログラムの特徴を並べておりますけれども、これは時間の関係で御説明申し上げませんが、一番下の政策形成との関係で見ますと、アメリカのSciSIPでは、そのための取り組みとしては、研究がなされている途中で研究発表を行う形をとっており、その際に政策担当者と議論ができるワークショップの開催というものを通じて、研究者と政策担当者の対話の促進を図っているといったようなものがございます。本年の9月にも、関係のワークショップが開かれるというふうに聞いてございます。

 それから、ヨーロッパでは、先ほどちょっと申し上げましたように、当初、研究領域課題の設定をするということで、その中でニーズを反映するという形をとっていて、得られた成果に関しては、関係部局で特に成果の上がったものについて吸い上げて回覧をするといった仕組みを持っているというようなことでございます。

 御参考までということで御紹介申し上げます。以上です。

【黒田主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明には、幾つかの論点があると思いますけれども、資料1-1に、おまとめいただいた話に沿って、少し議論をさせていただきたいと思います。最初のこの事業全体の目標、共通する目標をもう一度確認をするという部分については、既に何度か議論いただいていることでございますので、ここでの新たな提案としては、何らかの形で政策オプションという形で、政策目標と取り上げた政策手段との関係から、その政策の社会、経済的影響を推論することによって、複数の政策オプションを比較検討することによって、その中から政策立案に結びつけていくようなルートをつけたいというのが一つの御提案だろうと思います。それをつくるための具体的な仕組みが論点2及び論点3の中身だと思います。論点3については、特に今年度に関して、その構造全体を把握するという意味でFSをやりながら、政策オプション決定並びに全体を回していくための体制づくりについての試行を今年1年かけてやろうということと、それから、政策オプションそのものの具体的なイメージをはっきりさせるというのがもう一つの今年の課題であるという御提案だろうと思っています。何か全体について御質問、コメント、おありでしたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【有本センター長】  よろしいですか。

【黒田主査】  はい、どうぞ。

【有本センター長】  ポリシーアナリシスとポリシーデザインあるいはレレバンスとのバランスをとることが大事なことだと思うんです。といいますのは、私の経験を紹介します。アメリカNSFの最初のSciSIPプログラムダイレクターをやっていたKaye Husbandsです。彼女は今、大学に戻っていますけども、彼女が心配していたのは、NSFのファンディング自身が、アナリシスにウエートがかかり出したんじゃないかということを心配していた。

 もう一つは、今年2月にバンクーバーで行われたAAAのAnnual Meetingで、日本のSciSIPプログラムを紹介して議論するシンポジウムを開催したのです。そこに多くの海外の人たちが来てくれて、いろんなコメントもありました。一番印象に残ったのは、ご存じのBranscombです。アメリカのサイエンスポリシーをリードして、ケネディスクールにもいました。彼が非常に印象に残るコメントをしました。あのケネディスクールでも最近アナリシスが中心になっている。本来のミッションからずれている。だから、こういうものを動かすときには注意して、意思を働かせて、アナリシスとデザイン、彼はポリシーデザインと言いました、そのバランスをとりながらやる必要があると強固していました。そういう意味で、こういう新しいプログラムが提案されているのは、非常に大事だと私は思っております。

 その上で、お金だけでは人は動かない。研究者はです。数少ない研究者を、優秀な人を、あるいは若い人を巻き込んでいくかというところで、注意して欲しい。最初にここで設定された四つのプログラムが決して間違っていたわけじゃない。1年たったらね、すぐに変わるということだと、当惑する人たち、あるいはコミュニティが出てくるんじゃないかと思う。そこで、大事なのは、説明ぶりです。日本のナショナルイノベーションプロセスの中でいろんなパブリックのサポーティングシステムがあります。JSPSの科研費のレベル、それから、JST、それから、NEDOと大学の基盤的なもの。この新しいプログラムは、どのポジショニングであるんだと。四つのプログラムでは欠けているところを補って新しくスタートさせる。全体をふかん的に見ながらやっていくことが大事なんじゃないかと思います。

【黒田主査】  今、有本さんのおっしゃったことは、非常に私も重要だと思っていまして、ややもすれば、経済学をやってても、ポリシーデザインのところまでいかないで、アナリシスで終わっちゃうケースが非常に多いんですよね。本来は、特に社会科学の場合、経済学もそうですけれども、最終的にはポリシーデザインのところまで提案をして、役に立てるかどうかということは、一つのかなめだと思いますので、そういうものを日本にある意味で根づかせるということがこの事業の最大の目標だというふうに、私自身は思っているんですけれども、いかがでしょうか、ほかに御議論、何でも。どうぞ。

【笠木委員】  今日、御説明いただいたことは、おおよそ理解できたと思っているんですけども、それで、内容的にもこの方向としてもよろしいと思っていますが、一つ、最初のこの資料1-1で、政策形成に生かす新たな仕組みといった、この生かすという意味を、確認させていただきたいんですが、その後にも、例えばエネルギーとか、ライフというところで具体的な話が出てきますけれども、この事業の成果として出てきた政策オプションなり、何なりというのは、それの受け手はだれなのかということなんですね、具体的に。

 そもそもこの事業の中では、新しい科学というものをつくろうと、方法論をつくろうということが大きなベースにあって、その上でその成果を実装しましょうということであったとすると、その実装なり、生かすというところは、私は、少し時間差があってもそれほど悪くはないというか、あまり生煮えの状態ですぐさま実際的なところに踏み込んでいかなくちゃいけないとも思わないんですけどね。ここの生かすの意味をちょっと教えていただきたい。

 要は、そのケーススタディ的なことなのか、ほんとうに何か文科省なり、何なりの政策オプションとして提案して出していくというスタンスなのか。あるいはそれをすぐやろうとするのか、二、三年ぐらいやってからやろうとするのか。そこのあたりをお伺いしたいと思いました。これが第1点です。

 第2点は、今日御提案の新しい形がありましたね。ふかん検討チームなどが出てきた。ここでやろうとしているテーマの抽出に当たって、現在、イノベーション戦略協議会が動き出して、来年度のアクションプランということを、ライフとグリーンで検討中と思うんですよね。戦略協議会での議論は、ここに書かれたような、緻密な基礎研究から応用開発、市場導入まで一気通貫で全部きちっと見通して、しかも、それが科学的な根拠に基づいてやっているかというと、実はそこまでいってないですね。だから、逆に言うと、こういうことがあったらすごくいいなと思うんですけれども、ただし、結果としては、もうそのイノベーション戦略協議会ではある分野とか方向性が出てきているので、そことの関係をとらないと、こちらだけがひとりで動いていってもまずいのかなという気がいたしました。

 最後に、この事業の、四つ事業がありましたけど、公募の部分というのは、いわゆる、先ほどお話もあったように、トップダウンで決められなくて、要はだれでもおいでという形でやりますよね。そうすると、そういう形でやっている公募というのは、ある方向をもってやろうとしたときには、それに沿わないと思うんですよ。だけど、まさしく実装まで、デザインまで視野に入れた科学ということをやろうとすると、何か具体的な領域を決めた公募の仕方も、全部じゃなくても、ある部分ではしていかなくちゃいけないような気がするんですが、そのこともお伺いしたいなと思いました。

 以上です。

【黒田主査】  どうもありがとうございます。

【土屋局長】  私がしゃべっていいですか。

【黒田主査】  どうぞ。

【土屋局長】  笠木先生から言われた件で、まず、最初の生かすというのはどういう意味かということですが、さっき有本さんが言われたり、それから、黒田先生がおっしゃったこととも関係するんですが、このSciSIPは、使う人に役に立つことを最初から念頭に置いているわけですね。ですから、これを使う人は、政治家であり、行政官であり、あるいは企業の技術戦略みたいなことになるんではないかというイメージを持ってやっているわけです。したがって、そこにどういう、まさしくオプションが提示できるかというところだろうと思っています。常にそれを意識していかないと、先ほど有本センター長がおっしゃったように、アナリシス、ポリシーアナリシスに偏って、どうもそっちへ行っちゃって、何やっているかわかんなくなるということになるんじゃないかと思うので、ぜひそこは常にユーザーとの関係を強く意識してやるべきだろうと思っています。

 したがって、そこでどういうことをやればいいかといったときに、二つ目の御質問との関連があるわけですが、今回、グリーンとライフのこの具体的なことをやり始めるわけですが、それとの関係があるんです。それで、その二つをやって、基本的な構造を示していくということで、最後のユーザーとのリンクしていることをきっちりみんなが認識した形で、それぞれのプロセスにどう、例えばデータの分析がどうであるかとか、いろんなシナリオ分析だとか、いろいろ因果関係の整理だとかということができていけば、基本構造が示していけるんじゃないかと。

 ただ、この基本構造を出す上で、グリーンとライフだけじゃ、ちょっとその全体はできないんじゃないかと思っていまして、中で議論しているのは、さっき桑原所長がおっしゃった人材のところをやるべきじゃないかと。我々の中で議論しているのは、政策研究所のほうの議論とは違って、ドクターの数とGDPとの関係が非常にリンクしていると。これは東大の工学部の学術調整室で光石先生なんかが随分分析されていますが、成長のこのラインに乗っている国のパターンと日本は相当違ってきて、ここは相当の危機感を持って、いわゆる新しい価値を生み出す人材をつくらなければどうなるかというところの分析をする必要はあるだろうと思っています。

 もう一つは、エンジニアの資格として、日本でなかなかうまくいっていません、技術士の資格は。アメリカでプロフェッショナルエンジニアとか、ヨーロッパでチャータード・エンジニアだとか、そういう人たちがいるわけですね、能力証明をされた人たち。その人たちがどう経済活動、あるいはイノベーションにどう貢献しているかといったようなことで、日本の人材育成のところで、別の観点から新しい提案というか、ポリシーのオプションが提示できるのではないかと。そのパラメトリックにある程度振って基本構造を出していくことが大事じゃないかと思っています。

 それとの関係で、イノベーション戦略協議会とのことを笠木先生おっしゃいましたが、正直申し上げて、あんまり気にしてないと言ったら問題かもしれませんが、あれはあれで議論は進んでいるんだと思うんですが、ほんとうはこのSciSIPの議論をして、何を日本としては課題として設定すべきかということが決まって、ああいうアクションプランが決まるべきなんだろうと思っていますので、早くそれができるようにしたいと思っています。

 それから、公募の問題なんですが、先ほど申し上げた基本構想が決まってくると、その基本構想のどこに貢献できるテーマかというのをそれぞれ応募してもらうときに書いていただければ、おのずとそんなに発散しないんじゃないかと。ある一定のシナリオというか、一定のところへおさまってくるんじゃないかなと思っております。

 以上でございます。

【黒田主査】  どうもありがとうございました。よろしいでしょうかね。

 私も今、局長の言われたことにかなり賛同する部分が多いのですが、この科学技術政策のための科学というのは、人材育成から人材の生かし方から、それを生かすの社会のシステムの問題そのものの大きな変革を多分伴わないとできないことだろうと思っているんですけど、それをやろうとしたら、1年や2年でそう簡単にできるものではなくて、そういうことを視野に入れて、まさに15年計画でじっくりやっていくということでしかないんじゃないかなと思っています。

 そういう意味では、桑原所長の言われた人材という観点は、非常に重要な課題で、おそらくライフだとか、イノベーションだとか、いろんなものを選んだとしても、そういった具体的な課題の横串を刺すようなことに人材は全部関係してくる問題だろうと思いますので、科学技術政策をいかに充実させていくかということの仕組みの一つとしての人材の育成という形は十分あり得る形だなと思っています。

 それから、そういう意味では、生かすかというのは、1年や2年ですぐ生かせるものではなくて、やっぱりじっくり考えてやらなきゃいけないんですが、目に見えるものにしていくことも非常に片方で大切で、それを両立させるような工程表をいかにつくっていくかということがこれから問われるんじゃないかなと思います。

 それから、公募研究のことは、先ほどCRDSがヨーロッパやアメリカの例を挙げられていますけれども、かなりバラエティあります。向こうのファンディングのテーマも、必ずしも彼らが考えているSciSIPにぴったり当てはまるものばっかり選んでいるわけでもないと思うんですけど、そういうのは少しずつやりながら、まさに体系化されていくということが必要になってくるのかなという気が私自身はしています。

【笠木委員】  土屋局長が先ほど言われたことは、クライアントとして、政治家、行政官、企業人等々があるだろう。それは別にこちらの成果を待って、口をあけて待っているわけではなくて、こちらから打ち込んでいったときに、逆に言えば、受けとめてもらえるようなものをこちらが出していかなくちゃいけないという、そういう関係ですよね、きっと。

【土屋局長】  ええ。もちろんそれもありますし、向こうから言っていただくと。こういう形でアウトプットを、政策オプションだったら、こういうこんな形のものを出してもらえれば、あとは政治でさばけるということを政治のほうから言ってもらえればいいんじゃないかと。ちょっとそこはすり合わせがですね。

【笠木委員】  それは局長がやると。

【土屋局長】  そうかもしれません。ぜひそのSciSIPはそうあるべきじゃないかなと思っておりますが、どうでしょうかね。

【桑原委員】  ちょっとよろしいですか。

【黒田主査】  どうぞ。

【桑原委員】  今、議論されている政策に生かすとは何かということなんですけれども、科学技術政策研究所は、基本計画の更新時になると、文部科学省、CSTPからもいろいろ調査依頼を受けています。で、政策に生かすとは何か、またこれがいかに難しいかということは、私はこの10年ぐらい経験しているんですが、多分、ポイントはプロセス設計だと思います。幾ら研究者側が、政治家や行政官がこういうことを欲しいだろうと勝手に想像して、役に立つはずのものをつくっても、多くの場合だめだろうと思います。逆に、あまりすり寄ると意味がないんですね。すり寄るというのはどういう意味かというと、何が問題かということ、政策としてインプリメントされる以上は、フィージブルじゃなきゃだめなんですよ。実行不可能な提案で、幾らすばらしい夢物語を書かれたってだめなんですよね。

 だけど、そのフィージビリティをあまり重視すると、すべて現状肯定型になってしまって、このような研究の存在意味はないことになります。じゃあ、そこのそのデマケをどうとるかという、そこなんですよね。それは両者が一緒に議論しない限り、無理なんですね。行政も、今、ものすごいスピードでどんどん動いていますから、研究者サイドの行政はきっとこうだろうという常識はやや遅れているんですよね、2年前くらいに公開されたことしか知らないんで。そこに大きいギャップがある。だから、そのいろんなプロセスで、まさに有本さんおっしゃったような、そのデザインをしていく過程ですね。その前のアナリシスは、きちっと徹底的にやっていいかもしれませんが、そこからどういうデザインに落とし込んでいくかというところで、クライアント側にも何らかの形で参画してもらわないと、だめだと思います。逆にその参画がうまくいけば、別に最終レポートが出る前でも、ポイントがクライアントに伝わって、こういうソリューションがありそうだということになれば、それに基づいて動けるものは動き始める。だから、そこをどう設計するかが最大の問題なんだと思うんですね。

 ほっといても、研究サイドはアナリティカルなことは好きだし、やります。といって、そこはあんまりそれをやるなと行政が言うと、科学自身の発展が、おかしくなってしまうので、ただ、とにかく欲しいのは、まさにポリシーデザインへの貢献であると。そこを一生懸命強調すべきです。学はやっぱり論文を、書かなきゃいけないので、その禁止はしない。ただ、ここを我々は最優先していますよということを常に言っていれば、科学のほうもだんだん積み上がって、政策のための科学という体系ができると同時に、毎年毎年のいろんなダイヤログの中で政策への貢献も進んでいくと思います。

 で、特に重要なのは、政策実践が絡むことなんですよね。絡まないと真剣勝負にならないです。絵に描いた餅のペーパーを書いて仕事が終わったと思っては困るんですよ。そうならないためには、まさにほんとうに困っている人から、そんな架空みたいな話は困るというフィードバックがきて、じゃあ、どうしようという話がどんどん進んでいくんですよね。そのプロセス設計がこれの勝負だなという感じが私はしますけど。

【有信委員】  いいですか、ちょっと。

【黒田主査】  どうぞ。

【有信委員】  今の話に関連した部分とちょっともとに戻る部分とあるんですけど、今の議論の中で一つ重要なポイントだと思うのは、いわゆる政策を設計する科学です。学術会議の中で設計科学ということが議論されてきています。いわゆるシンセシックな観点での設計というのは、非常に個人にディペンドした、あるいはそれぞれの研究者にディペンドして非常にバリエーションがある。だけど、それを科学的にやる手だてがないかという問題設定がある。設計科学という話はそれだけじゃないんですけど。現実には、例えば工学分野では、設計論というのは吉川先生もやってきたし、例えばNam Pyo Suhのようにアクシオマティックデザインという、公理系の設計論というような理論も出てきてはいる。もちろん政策のデザインってそんな単純な話ではないんだけども、そういうある意味で、個人の才能だとか、スキルだとか、経験を超えた部分のサイエンティフィックな設計のあり方というのがあるかというのを検討するのも多分一つの役割だと思うんですね。

 それから、もう一つは、ちょっともとに戻って申しわけないんですけど、論点1の中で、例えばその目標1に、科学技術イノベーションによって解決すべき課題を科学的な視野から発見・発掘することと、こう書いちゃうと、まあ、これはこれでもちろん正しいんですけどね。正しいんだけど、顕在化してない課題、あるいは顕在化してない新しいものが今の科学的発見の中にあるのではないか。つまり、社会的な課題を示すような発見が既に自然科学の中で行われている可能性があるのではないかということとか、あるいはそういう方向のサイエンスをプロモートするような政策があるのではないかというような問題設定がかつてはあったような気がするんですよね。

 そういう問題設定の部分がちょっと弱くなってしまうので、そこを落とさないような、つまり、今までの議論はどちらかというと、中流から下流に向かう部分でどういうことをやるべきかという議論だったんだけど、一番上流の部分でそこのところに対する配慮が落ちないようなというか、そこもうっかりすると、従来の科学技術政策と同じになってしまって、重点分野という話になっちゃうんだけど、それではなくて、ある意味でもう少し原点に戻る部分が必要ではないか。自然科学者が自然科学の発見の中からそういうものがあるかないかという議論をし出すと、もう完全に自己どう着になってしまいますので、そこはやっぱり自然科学者だけではない新しい視点が必要。これは口では言えるんだけど、実際にどうやるかというのは非常に難しい話になる。そういうところも、将来に向けてどこかで担保しておきたいなという気がする。

【黒田主査】  ありがとうございました。ほかに御意見、何かございますか。

【小林委員】  ちょっと質問なんですけど、その政策オプションのイメージなんですが、この卓上配付での資料の上1枚目のほうの、ここにあるオプション1、2、3というのが政策オプションなのか、ということです。ここは何か技術の進展の可能性で分類しているだけのように見えますが、これのどれに投資するかという意味でオプションなんですか。それはちょっと。

【黒田主査】  それがオプションの政策手段として、ファンディングというのは一つの手段だろうと思うんですけど、それ以外にいろんな政策をやるインストルメントはあって、それも含めたオプションの試行、それは課題によって多分広がりが相当違うんじゃないかという気がします。

 第4期のときの課題解決型の問題意識というのが非常に鮮明にできたと思うんですけど、それが基本計画を何度も読み返してみても、ほんとうに政策的な、もしくは政策を運営していく戦略的な部分までおりた形の基本計画としての一本の筋が通った形になっているかというと、まだあいまいな部分がいっぱいあるんだろうと思うんです。ただ、そのあいまいな部分をどこまで詰めていって、どういう政策手段をとれば、どういう形になり得るかということをオプショナリに示せるような、そういう何か手法をつくっていくというのが非常に重要な、一つの中立性と科学性を政策の意味づけの中に担保するような要素なのかなという気がしているんですが、その辺はいかがでしょうかね。

【小林委員】  むしろその技術は予測がつかなくて、時間とともに変わっていくわけです。

【黒田主査】  はい、そうですね。

【小林委員】  だから、技術の動向にどう対応するかというのが本来政策なんじゃないかなという気がするんですけど。

【黒田主査】  なるほど。片方で技術をそういうふうに誘導したり、プロモートすることも政策にありますよね。

【小林委員】  もちろんそうです。うん。

【黒田主査】  両面あるんだろうと思うんですけどね。

【有信委員】  ああ、そう。一つだけ。ものすごく単純な話で、どうもここの部分が考えられていないのではないかという心配がある部分があります。例えば今の経済産業省の研究開発にかかわる予算というのが三千数百億ぐらいですよね。文科省の部分も入れると兆という大台になるんですけど。いわゆる出口側に近いということで、経産省のやつが三千数百億で、これが、いわば企業の中央研究所でやっているような、将来の製品にかかわるような研究の規模だとすると、例えば企業で言うと、三千数百億というのは、総合電機メーカー1社の研究開発費のレベルなんですよね。これは、ほとんどはいわば製品に直結する開発をやっています。製品に直結するその開発の結果が、規模的にいうと大体10兆円弱の売り上げに結びつくわけですよね。

 だから、そういう意味での規模感というのがないといけない。例えば三千数百億の、将来の製品なり、将来の事業に向けた研究費があるとすると、これを実際の製品なり、事業に結びつけるためには、これは製造業ベースの話でいうと、その10倍の費用がかかるわけです。だから、すべて製品化しようとすると3兆何千億という開発費がかかる。3兆何千億の開発が行われたとすると、これは実際には20兆円ぐらいの市場規模につながる。そういう規模感が何となく抜けているような気がします。もちろん今はそのシステムだとか、ソフトウエアが主体になってくると、この辺の比率は多少変わってきますけどね。

【黒田主査】  その規模感とおっしゃるものを含めて、どこまで具体的な課題について対応できるかわからないんですけれども、政策オプションというものの中身が経済なり、社会的な影響までその規模感でもって評価できるとすれば、そこでオプションの意味が出てくるんじゃないかと思うんですけどね。

【有信委員】  出てくるわけですね。だから、そのフィージビリティ・スタディをやるときも、その辺の規模感をある程度頭に置きながらというか。

【黒田主査】  そうでしょうね。そういうことだと思います。

【有信委員】  そう、そういうことだと思いますよね。

【土屋局長】  このペーパーに書いてあるGDP押し上げ効果というのを入れていますよね。これは、エイヤでこう入れてはいるんですが、したがって、今、有信委員からおっしゃられたような三千数百億円投資が3兆とかいうようなものが、次々にこれに入りということをできればいいねということで入れてあるんですが、それが入ってくると。そうすると、日本の政策として、今のGDPをどういうふうに伸ばすかということを前提にしたときにはこういう投資パターンというか、こういう研究開発パターンだとか、いろんな構想が、あるオプション1としてはこうだと、あるいは違うものがこうだということになればいいですけどね。なることを目指してはいますけども。

【黒田主査】  逆にGDPは伸びるけれど、何かほかに問題が起きるということもあり得るわけですね。だから、逆のケースもあり得るということですね。

【土屋局長】  そうですね。

【黒田主査】  それがフラットに可能な限り示されればいいんじゃないかという気がしますけど。

【有信委員】  話がそういう意味で、ちょっとよたってしまうかもしれませんけど、逆に言うとね、例えば楽天だとか、通信事業社だとか、こういうところの利益率というのは大体何十%なんですよね。極端なことを言うと、楽天なんか50%ぐらいの利益率。で、製造業の利益率というのは、日本では御承知のように10%。で、産業構造の転換を言うときに、じゃあ、利益率の高いほうに転換するというふうに単純に言う議論が多いんだけど、利益率が高いということと付加価値が高いということは必ずしも同じではない。つまり、楽天が雇用している人数と、例えば東芝なり、日立が雇用している人数は全く規模が違うわけですね。

 つまり、雇用効果という意味での付加価値は全然違うわけで、で、政策的に言うと、やっぱりどういう方向を目指すかって。企業は収益主義ですから、どちらかというと、収益性の高いほうにいくんだけど、やっぱり国策は基本的には付加価値をいかに高くするかということを考えるべきで、そういう視点もほんとうは出口、こっち側のほうでは政策としては考える必要があると思うんですよね。

【笠木委員】  OECDの科学技術政策委員会でいつも議論するときは、要はお金だけじゃないというような、ダイレクトファンディング、それはお金とか、人とか、スペースなんですけど、インダイレクトなファンディングというのが国としてあって、それは研究開発に対する税制であるとか、市場開放であるとか、規制緩和であるとか、あるいは標準化推進とか。実は、今回の科学技術イノベーションといったときの、そのイノベーションと言ったときには、インダイレクトファンディングのほうとダイレクトがきちっと結びついてないといけなくて、実はそこが国として一番やれる、民間とは違うファンディングの意味なんですよね。だから、今、小林先生がおっしゃっているような意味では、ここに書かれている絵は、ややそのお金だけの話になっているので、政策的にはイノベーションというところにほんとうにつながるかというところは見えてないようですよね。まさしくそれがこれからのこの事業の課題だと思うんですけども。

【黒田主査】  確かに、その部分はFSで考えなきゃいけない一番大きな要素だと思っています。

【笠木委員】  ええ。

【黒田主査】  だから、何か目で見えるモデルちょこっと動かして、GDP何%上げるかということだけではなくて、やっぱり生活の質の充実といった定性的なことまで含めて何か言えないといけないでしょうし、タイムホライズンも随分違ってくるわけですから、その辺をどうつくっていくかというのは、これもまさにものすごい大きな研究課題です。

【土屋局長】  この二つある、二つ目のほうを詰めていくと、今、笠木先生おっしゃられたようなことをファクターに何か入れないと、答えが出てこないんだろうという想定はしているんですが、黒田先生おっしゃったその生活の質だとか、幸せだとか、まあ、そうなってくると、何か価値観みたいなことをいろいろ入れていくと、よかったり、悪かったり、こうちょっと難しい問題になるのかもしれません。

【黒田主査】  そういう議論が少なくともできるような素材が示せる、そういうメニューであればいいんですけど。

【土屋局長】  そうですね。

【有本センター長】  よろしいですか。

【黒田主査】  どうぞ。

【有本センター長】  二つです。一つは、さっき桑原さんがおっしゃったのですけども、クライアントというか、ユーザー、あるいは政治家、あるいは役所をどう巻き込むか。、例えば森田先生が、今、大変苦労されている医療の問題。厚生省がこういうものを受けとめてくれるというような関係性、テーマ設定、準備の段階が大事になる。せっかくやっても、一部は文部科学省のR&D政策には反映するにしても、社会実装はなかなか動かない。それでほんとうにポリシーデザインなのか。

 それから、もう一つ。この7ページの、プラティカルな問題。このプログラムをどういう仕組みで動かすのかということ。心配なのは、JSTでもいろいろこういうもの、バーチャルな研究所をつくって社会的意義のあるものにできるかやってきましたが、大変なんですよね。だれを選ぶんだと、それじゃあ。そのセンター長もあるし、それから、ふかん検討チーム、これを公募でやるんですか、あるいはかなりトップ、相当仕組みを考えないと大変かなという。

【田中総括審議官】  よろしいですか。

【黒田主査】  はい。

【田中総括審議官】  あまり発言権はない立場なんですけど、何となく私なんか、ちょっと全然違う方向で発言させていただくかもしれないんですけど、目標設定するときに、例えばこの2ページでもいいんですけども、死亡率を何から何%まで下げるとかね。それがほんとうに目標として掲げることについて、こういう手段でやればそこが達成できるのかどうか。どういうエビデンスに基づいて、その目標というのが正統化されるのか。スローガン的に掲げるということは大事なことはあるんだけども、それを実施面でやっていくときに、どういう事柄を全体としてやりながら進めることがその目標に到達することができるんだろうかということを最初の段階で全部洗わないと、ああ、後でこれが抜けていたとか、そういうことになるんじゃないかと思うんです。

 そういう意味で、「政策のための科学」に、私なんかちょっと求めることは、その目標設定という、そのものがまず正統化されるのかどうか。で、その正統化された目標に対してやり得るべきものというのは、科学の社会、あるいは医療の社会、いろいろあるのかもしれませんけど、こういうことをやったら、そこに行き着くはずだというかね、そこが何か今まで抜けていた気がしていて、技術であれば、性能を上げるということは比較的できるんですけども、より社会成果と結びつくということになると、そこが単純にはいかない。なんだけども、科学技術プログラムとしてやらなきゃいかんということの間をぜひ埋めるというのを、この「政策のための科学」のエビデンスをね、蓄積していくということにやっていただきたいなと思うんですけどね。

 そうしないと、何かこう、目標達成責任みたいなものがね、だれにあるのかよくわからない。やってみて、科学技術のプログラムはうまくいったんだけども、最初に掲げた成果が何か到達できてないとかいうことになってしまうと、まさに我々が目指していたエビデンスに基づく政策というかな、科学技術政策ということがなし得ていかないんじゃないかという気がするんですけどね。

【黒田主査】   我々もいろいろ考えてみたのですが、目標といったときに、最初の論点1で挙げている目標というのは、この科学技術イノベーション政策の科学というものの目標は一体何かということをきちっと据えなきゃいけないということがまず第一で、それじゃあ、何かの政策を実行するときに、その政策が何を解決するということを目標にしているのか、これはいろんな目標の設定の仕方と、それから、目標のレベルと目標の選び方にいろいろ議論があり得ると思うんですね。そういうものも含めて、それを科学的にやるには一体どういう形で政策決定のプロセスを動かしていけばいいかということを考えようというのが、FSの一つの課題になっているんだろうという気がします。

【田中総括審議官】  正直申して、どんなFSやるのかなという感じがするんですけどね。何のFSするんだろうかって。

【黒田主査】  何のFSというとあれですけど、科学技術政策の科学というものそのものを具体的にやっていく中で、何をまさにおっしゃるように詰めなきゃいかんのかということをある程度試行錯誤しながら模索しないと、それが焦点がぶれてしまうと。そのぶれをなくするためのFSというふうに一応考えているんですけどね。

【土屋局長】  いや、黒田先生おっしゃったとおりの問題意識で、ぜひこれを強力に進めていただきたいと思うんですが、さっき有本センター長から問題提起がありました、この組織というか、このマネージというか、そこの問題、さっきの冒頭あったユーザー、ユーザーというか、どう生かすのかということとの関係もあると思うんですが、今はこの実施部隊とこの推進委員会とがこういう関係になっているわけですが、この推進委員会がとにかく強力にワークしていただかないと、まあ、大変なことになるというか、なかなか手探りでいろんなことをやっていく中で的確に目標に向かって進まなくなってしまうんで、ぜひこの推進委員会はより強固にきちっとやっていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

【黒田主査】  今、二つ目の課題にかなりもう議論が入っているんですが、事務局のほうから、それじゃあ、資料2のほうを簡単に御説明いただけますか。

【山下室長】  それでは、先ほどと同じように、ちょっとわかりにくくて恐縮ですが、資料2-1と2-2、これも照らし合わせでなっておりますので、両方をお手元にあわせてお出しいただければと思います。

 資料2-1のほうで、事業の目標、行程管理及び評価に関する基本的な考え方(仮称)と書いておりますが、先ほどの資料1のほうで目標設定ですとか、仕組みをつくっていくということの前提に立って、どのようなその行程管理とか、評価というのを考えていくのかということを整理したものでございます。

 1ページ目から2ページ目の2ぽつの前までかけましては、基本的にはもう先ほどの資料と同じことをちょっと繰り返して書いておりますので、説明のほうは省略させていただきまして、2ぽつの事業全体の目標達成をけん引・主導する新たな仕組みというところをごらんいただければと思います。2ページ目の中段あたりでございます。

 まず、最初の丸で、先ほど1のほうでも御議論いただきました、まだ、引き続きお話もいただけるとは思っていますが、新しいプログラムとか、新しいセンターを設置して、形態とかいろいろ、そこはまだまだ詰めなきゃいけませんけど、考えていくことは妥当かと。そういう視点に立った際に、具体的には、各プログラムについてはもう既にオンゴーイングで動いていますが、何人かの先生からもお話しいただいたとおり、きちんとやはり関連性を考えて、このプログラムに御協力いただくというか、主体的に入っていただくような形もやっぱとるべきではないかということで、個々具体はもうちょっと今後、いろんなチャンネルとか、いろんなことで詰めていかなければいけませんけれども、昨年の5月に、基本構想で各プログラムを進めていくという趣旨というものが示されてございまして、その趣旨を大きく変えるというよりは、その趣旨の中に少し追記をしてはどうかということで、2ページ目から4ページ目の頭にかけて少しそれぞれ書いてございます。

 例えばNISTEPを中心に進めていただいています政策課題対応型調査研究につきましては、ここへ主体的に参加、協力いただくということと、これまでも少しは書いていましたが、よりその第5期の科学技術基本計画の策定の検討に向けて役立つということを追記してはどうかというのを2ページの一番下に書かせていただいてございます。

 また、RISTEXの公募の研究開発プログラム、今、既に25年度、24年度の公募をやっていただいている最中でございまして、近く書類審査とかが行われるというのも承知してございますけれども、こちらのほうについては、引き続き進めていただくとともに、具体的にはちょっと今年度からというよりも、むしろ来年度からという要素が強いかもしれませんが、必要となる場合によっては、研究領域の限定と、先ほどのふかん検討チームのある要素ですとか、ある部分ということになるのか、どういうことになるのか、そこはよく今後相談していく、検討していくということは重要だと思いますが、そういった公募の実施可能性というのも考えてはいいのではないか。これにとじるかどうも含めて、今後、御議論していく必要があろうかということでございます。

 また、基盤的研究・人材育成拠点、本年の1月から具体的に決まり、スタートしてございますが、こちらにつきましても、拠点自体が基盤的な研究をやっていくという要素もございまして、その研究の成果がフィードバックとして人材育成に生かされるというサイクルを拠点のほうで鋭意考えていただいておりますけれども、ぜひこの政策に生かすという政策課題というか、研究という視点で非常に接点が大きいと思っておりますので、拠点が主体的な役割を果たせる可能性というのを、拠点の皆様とも含めて、推進委員会とも御相談しながら考えていく必要があると、そういうことでございます。

 あと、データと情報基盤、これも科学技術政策研究所を中心に、我が省も含めて考えてございますが、こちらについては、4ページの頭になりますけれども、もちろん積極的な参加というのもございますが、例えばNISTEPさん以外にも、CRDSがやっていらっしゃる科学技術ふかん図でございますとか、JSTでやられているJST GLOBAL Foresightですとか、NIIがやっておられる取組など、関連する取り組みがたくさんありますが、これらがお互い連携して少しでもやっていこうと、もう既に徐々にやっているものも幾つかございますけれども、関連する取り組みたくさんございます。したがって、やはりきちんと科学の状況を把握し、技術の動向も把握し、どういう形でその政策オプションに下支えなるのかというのは、できるだけ関連する取り組みとの連動、あるいは連携、協力の可能性というのを考えていくということが重要ではないかということで、このような記述にしてございます。具体はやはり今後よく詰めていかなければいけないと思ってございます。

 また、4ページ、プログラムの工程表、これはできれば、方向性を今日皆さんと合意いただければ、次回8月の予定をしてございますけれども、各プログラムでロードマップをちょっと各作業、よく詰めたいなと思ってございますが、その際に、先ほど田中総括審議官からもございましたけど、いつまでにどういうことを目標として掲げ、その具体的な手順として、どういうことをやっていき、あるいはいろんな課題もありますので、それもあわせて書いていくということが今まで十分できてなかったのではないかなと思いますので、このあたり、少し詰めたいなと思ってございます。

 あと、評価につきましては、これはちょっとポンチ絵のほうをごらんいただければと思いますが、横長の表の5ページになりますけれども、文章で書いてあるものをポンチ絵にかいたものがこの5ページになります。新しいプログラムが何かもういかにも進んでいるかのように書いていますが、これはまだ決まったというか、今後ということではございますが、この新しいプログラムも含めて、まずはいつのタイミングぐらいまでに中間評価ということをきちんとやっていく必要があるのかというのを、少し時系列でわかるように書いてございます。できれば、これにやはりいつまでに何をやっていくのかというターゲットがもう少し示されて、それぞれのプログラムで工程表がきちんと作成され、全体としてはこういう形で進んでいくということが少し見えるように、まだ書けるものしか書いてないので、不十分なことは十分事務局でもそのようにとらえてございますけれども、ここも少し詰めていきたいなということでございます。

 説明は以上でございます。

【黒田主査】  どうもありがとうございました。幾つか今まで考えていただいてきたものに、各プログラムの中で議論を踏まえた追記をしていただいたということだと思いますが、何か御質問と御意見等ございましたら。

【有本センター長】  よろしいですか。

【黒田主査】  どうぞ。

【有本センター長】  こういう文章だけだと、何か非常にスタティック。この文章が大事なのは、今、前線で関係の研究や教育をやっている方々、5大学の人たち、あるいはRISTEXのサポート、それから、NISTEPの下でやっておられる方々にも、メッセージとして出さないといけない。日本全体の公的ファンディングシステムのふかんでよく書かれているように、右側に出口の社会マーケットがあって、左側からJSPSのファンディング、次にJSTがあって、その次にNEDOがある。これらがつながって、社会に価値を生み出す。SciSIPプログラム全体でもそのような絵を描く。その中で自分のやっているところはこうだというようなポジショニングをはっきりすることが大切。

【黒田主査】  ありがとうございました。それはぜひ。ほかに何か御意見ございますか。

【森田委員】  ちょっとよろしいですか。正直申し上げて、このプログラム、走り出して1年以上たっているのかな。それで、今、必要性について議論するというのはちょっと違和感があるんですね。もう一点申し上げますと、既に走り出しているプログラムで、後からルール変更のようなことをすることについては十分気をつける必要があると思います。

 RISTEXのほうの公募プログラムに関していいますと、どういうイメージを我々がこの研究を期待しているのかということを伝えることに、かなり苦労しているところです。今、審査に入っていますけれども、多分、なぜこれを採択して、なぜこれは採択しなかったかというときに、そこのところがはっきり見えてこないと困る。それは、我々はこういう判断だと言ったとしても、後からつくったルールで判断したのでは、やはりぐあいが悪いんですよね。だから、そこのところの整合性をどうするかということがあると思いますし、もう一つは、人材拠点のほうは、それぞれのこういう人材を育成するというプログラムで応募されてきて採択したわけですから、いや、後から、やっぱりこっちをやってくれという話をせざる得なくなってきたときに、そこのところの調整というのは、やはり十分に気をつけて取り組まければいけないところではないかなと思います。

 先ほどの議論に戻って申しわけないんですけれども、伺っていて思いましたのは、何がここでほんとうに必要なのか、何を目指しているかということのイメージが必ずしも具体的でないということです。そのためにも、フィージビリティ・スタディというのは非常に重要だと思いますけれども、逆に言いますと、フィージビリティ・スタディがイメージを固定してしまうということになりかねませんので、どういうフィールドで何をやるかということについては注意深く判断しなければいけないと思います。

 私自身は、公共政策とかずっと文系の政治学の観点から研究してきた者ですけれども、一番の問題というのは、やはり今、現実につくられる政策というのがあまりにも科学的根拠がなさ過ぎるんじゃないかということです。思いつきと勘も重要だとは思いますけれども、勘そのものが経験値として必ずしも確立されているわけじゃなくて、むしろ思いつきに近いような、でっち上げに近いような勘の作用が出てきて、そこはやはり何とかしなくちゃいけないのではないか。

 しかし、この「政策のための科学」もそうなんですけれども、この科学的な方法が確立されると唯一ベストの解が出てくるというのは、少なくとも政治学を専攻している人間からいいますと、まず考えられない話です。むしろ選択肢を提示するとしたら、何が科学的な観点からいって排除されるべき選択肢かがどれぐらい明確に示せるか。これは、プログラムの事前評価に関するわけでして、科学技術イノベーションではありませんけれども、何といいましょうか、子ども手当というのを幾ら出したらどれだけよくなるということがほんとうに言えるのかどうか。それは、現実にこれからまた政治が流動化してきて、いろんな政策の提言が出てくると思いますけれども、今、いろいろ言われているところでも、私自身が聞いても、例えばこれは黒田先生の御専門かもしれませんけれども、今の消費税を地方税にするということはまずあり得ない話だと思うのですが、それが堂々と通ってしまうとか。その辺についてきちんと根拠を示して選択肢を提示していく。それで、最終的には価値判断の場合になりますから、それは政治が一定の手続を経て選択されるのはいいでしょう。

 しかし、そもそもフィージブルでないものについては、どうすべきか。今まではどちらかといいますと、フィージブルなものはこれしかないみたいな形での議論が多過ぎたというのは確かに問題だと思いますけれども、何を根拠して、どこまでこれがきちんと言えるのか。それを客観的にどこまで示せるかというのは、この政策のための科学が、目指すところではないかなと私自身は思っております。

 そこで、フィージビリティ・スタディですが、先ほども言われましたけれども、私も今、医療関係のことをやっていますが、正直申し上げて、これ、非常によく計算をされていると思いますけれども、そういう観点から言うと、あまり現実的ではない数字が出るのではないかという気がしております。例えば今、医療関係の技術革新で非常にクローズアップされており、これから中心になるのが、多分再生医療だと思います。iPS細胞についてどんどん活用、応用の話が出てきております。これはやはり今まで治らなかった病気が治るようになるわけですから、視力を失った方がもう一度回復するとか、肝機能の低下した肝細胞をもう一度活性化するというわけですから、これはすばらしいことなんですけれども、そして、当然ことながら、それに対する医療需要がある以上は、いろんなメーカー、関連する企業は大規模な投資をして、すごいビジネスにしようとするでしょう。これがイノベーションに結びつくというのは、そうだと思いますけれども、我が国に関して言うと、だれがそのコストを払うのかといったときに、かなり厳しい制約条件があると思うのです。現在の医療保険制度でほんとうに、カバーできるのかどうか。そうしますと、全部がしぼんでしまうことになりかねません。そのために企業が投資判断をするかどうかというところで、ドラックラグだとか、それをどういうふうにするかと、これは行政上の制度の問題です。

 他方で、もう一つ言いますと、それが使われる場合に、やはり患者さんと医療機関の側にニーズと期待があるわけです。それを全部合わせて一体どういう形でそのiPS細胞の技術を一番有効で実現可能な形にもっていくのか。それこそ政策の科学がやるべきことではないかと思っていまして、その意味で言えば、GDPが幾ら大きくなるという見かけの期待もあるんですけれども、少なくともだれがどういう形でその費用を負担して、だれが恩恵を受けるのか。場合によりましたら、非常に厳しい、今までの医療保険制度の原則の修正、例えば混合診療を認めるかどうかとか、そういった話にも踏み込んで議論していかざるを得ない。最終的にそれをするかどうかというのは、政治的な判断になるんでしょうけれども、その前にこれをやったらどういう問題があって、これができなくなるとか、そこがどれくらい客観的に示し得るか。これは一つのフィージビリティ・スタディかもしれませんけれども、医療分野もそうですし、エネルギー分野もそうですし、もう一つ言いますと、情報分野とかもあると思いますけれども、幾つかそういう課題設定があると思います。具体的に示して、そして、我々がもっていこうとしているのはここではないかと示す必要があると思います。

 そして、さらに言えば、そういうことをトータルに見ながら、マネージできるような能力を持った人材というのが非常に重要なのではないか。そういうメッセージを出していくということが重要ではないかというのが、今日の議論を聞いていて感じたところです。

【黒田主査】  ありがとうございました。もうおっしゃったこと、ほんとうにそのとおりでよくわかるつもりなんですけど、なかなか難しいですよね、それは。そう簡単ではなくて。

【森田委員】  ええ。一つは、いろんな方とお話ししていますけれども、科学というものについてのイメージと考え方というのが、皆さん少しずつ違っているかなと思います。黒田先生もご存じだと思いますけれども、社会科学の場合には、第二次大戦後、いわゆる論理実証主義のような考え方が出てきて、今までの価値判断を含んだ安易な政策論と切り離して、まさにアナリシスに徹底すべきだという話になりました。他方では、それを前提にして、まさにデザインというのでポリシーサイエンスというのが出てきたわけですけれども、その価値判断を含む形でどういう形でデザインするかということについては、科学者のほうは不確定な要素が多過ぎるのと、それに踏み込むということについてのちゅうちょがある。それから、もう一つは、価値から切り離された形での分析、アナリシスが科学だと。そちらはすばらしいという一つの先入観があったと思うんです。それはずっと繰り返されてきたわけですけれども、現段階になりますと、それをもう一段克服しなければ、今の課題、取り組むことはできないのではないか。

 そのとき、ただ、科学についての呪縛があまり強過ぎると、現実の政策に対するオプションの提案というか、プロポーザルと現実との間にかなりかい離が生じてくる可能性もあると思います。局長のお話と、そこのところのギャップを、どうやって埋めていくのかというのは、先ほど黒田先生もおっしゃいましたけれども、気をつけてディスカッションをしていく必要があると思います。

【黒田主査】  そうですね。悩みはもう全くよくわかるんですね。だから、その悩みを一歩でも何かコンセンサスを得て、科学的に解決できるのが少しずつ着実に動いていけば、それがいいんだろうという気はしますけど。

【有本センター長】  今の、ものすごく大事で、こういうところにそういうことを書くとまずいんかわかりませんけども、やっぱり3.11以降のいろんな問題も、皆それですよね、科学的助言で。自分は何か自分の理屈でこれが客観的だということで、わんわんいろんなことを言うけども、こっちがノーマティブに何かやっぱりとにかく助けるとか、価値観があるわけですからね。これのノーマティブなポリシーフォーメーションとか、あるいは役人も、それから、政治家もそうなんだけども、それから、科学の側が何か客観的だということに、これがブリッジが組まれてないと。これをやろうとしているのが今、これなんでしょうけども。

【黒田主査】  そうですね。

【有本センター長】  その理念的なことをはっきり書くべきじゃないかと思っています。

【桑原委員】  ここで御提起いただいているこのブリッジセンターというのは、まだ私、よくわかんないんですけどね。でも、これは、重要なことだと思います。この絵を見ると、去年スタートした四つのチームはもう端牌で、新しくこれからできるこのセンターが全体の中心になり、他はこれに協力するということでしょうか。

 それから、これはSCIPSというのは、何て読むんですか、サイプス? 何か新しい言葉をつくるんでしたら、ぜひ読みを徹底してほしいですよね。人によっていろんな言い方すると、何だかわかんなくなるんで、それは細かい話ですけど。

【黒田主査】  まずね、誤解のないように、僕の理解ですけど、決して今まで動かしていただいていたプログラムがわきにいったという感じではなくて、それをいかに生かすかという集約機能をどこかでつくらないと、今のままだとばらばらになってしまう。だから、例えばNISTEPでやっていただいているデータベースというのは、これはもう絶対科学においては必要なわけで、それをつくるということの意味をきちっとお互いに共有する、共有の場をどこかで集約していかないとだめだろうと。それを果たすのが、まあ、ブリッジという名前がいいのかどうかは、僕も疑問ですけれど、どこか真ん中に置かなきゃいけない一つの要素だろうと、そんなふうに理解しているんですけど。

【有本センター長】  これは、多分予算要求用なんです。研究者とか、研究コミュニティに対するメッセージとしては、私がさっき申しましたけど、ふかん的なマップをかいて、その中でそれぞれがどういうポジショニングなのか明らかにする。最後のユーザーとして政治家とか、行政が位置する。そういう全体係が欲しい。

【黒田主査】  いろいろ混乱が起きちゃいますね。

【有本センター長】  このプログラムがスタートしてわずか1年で、大きく変更する。もうプログラム自体が持続しないんじゃないかという懸念が研究者の中に広がるのが心配。

【桑原委員】  いや、ブリッジ、何となくブリッジが必要だということはわかるんですけれども、じゃあ、そのブリッジって一体何なのかと。当面このブリッジセンターはFSをやる母体になるわけですよね。私の理解が間違ってます?

【黒田主査】  僕は、FSというのは、この全体をどうマネージするかということを考える一つの材料であって、全体をどうマネージしていくかという体系をつくっていくこと自身をFSでもって考えようというのが一つの課題だろうと思っております。オプション、つくってそれで終わりということではないんだろうと。

【桑原委員】  でも、FSという以上は、年限決めて結果出さないと、仕事にはならないので、勉強するだけだったら。

【黒田主査】  いやいや、単に勉強するだけじゃなくて、その来年度から動かしていくこの事業の構造そのものを結果として提案出さなきゃいけないですね。

【桑原委員】  結果を出すためには、結果を出せる仕組みをつくらなくてはならず、そうすると、それに当然引っ張られるんですよね。だから、そこも非常に重要なポイントみたいな感じしますけど。

【笠木委員】  確認ですけど、ここでやるのは、さっきの何か、これですよね。

【黒田主査】  それはオプションをやってみるという意味ではね。

【笠木委員】  これをここから、これから出てくる。

【黒田主査】  このこれですね。

【笠木委員】  あっ、そうかそうか。ここから出てくるんですね。

【黒田主査】  そうですね。

【笠木委員】  これのときには、この四つがどう関係してくるんですかね。

【黒田主査】  例えばね、僕のイメージの中には、今、NISTEPでつくっていただいているあの膨大な、まさにビックデータなんです。で、ビックデータそのものをこの科学、サイエンスポリシーの中でどうやって生かすかということは非常に重要な課題であって。で、例えばどういうファンディングをして、どういう基礎研究の成果が上がって、その結果がどういうふうにあの技術に結びついて、それがどういうパテントになって、そして、そこから起業化がどうされて、そこからどれだけ雇用が生まれたかということが一貫してとれるようなデータがビックデータであり得るわけですよね。で、それがあると、今の現状、日本の科学の現状はこうだというのがまず観察できるわけです。

 で、それをベースにして、今、解決すべき問題がそれと対応させると、じゃあ、科学技術政策として、次、何のステップでどういうことをやらなきゃいけないかという新しい提案が出てき得る土壌になるので、そういう意味では、データをどういう構造でつくるのかとか、その構造を役立たせるためには、どういうオプションを必要としているのかと。オプションの中身はどういうものであるかとか、まさにデザインというのは何を目指すべきなのかということがはっきり決められないと、データが宙で浮いちゃうんじゃないかという危惧を持っていまして、で、そうしないように、どこか集中していく場所が、業務の場が要るんじゃないかと思っているのです。

【笠木委員】  ここにいる人はどういう人なんですか、これは。

【黒田主査】  その構造と構成を考えることも、FSの課題です。

【桑原委員】  でも、それは非常にスペシファイされた人々もいますよね。

【笠木委員】  ここにいる人と、まあ、予算というのかな。それはこの4カ所から適宜人が出てきて、一緒に作業する場なんですかね。

【黒田主査】  それもあり得ると思いますね。

【笠木委員】  そこをうまくデザインして、それこそデザインしておかないと、これが出てこないですよね、これ。

【黒田主査】  8月までに、今日いただいたお話を受けて、もう少し具体化するということになるんだろうと思うのですが、なかなか実現しようする、そういう人材がほんとうにいるのかいないのかということから、おそらく日本の場合、解決すべき多くの課題があると考えています。

【桑原委員】  その構想の際に、ぜひ御考慮いただきたいのは、やっぱり五つの大学拠点なんですよね。名前も、研究・教育拠点と書いてあって、修士の学生を二、三人ずつ生み出せば、それでもう目的は達成されたということでは決してないはずです。ただ、審査の議論のときには教育の話を中心にやりましたけれども、博士学生が何人か生まれれば、あとはそれで十分だということでは決してないと私は思っています。そうすると、やっぱり5大学拠点、さらには、いろんな意味での拡張の余地はあると思うんですけれども、それが有機的につながって、このブリッジセンターでもいいんですけれども、そこからばらばらになっちゃうと、せっかくそのアカデミアの拠点をつくって、で、科学として成立させるということを大きな命題と置いて、そのあとは、10年間待っていればいいということではないので、FSのような形で、今年はまずこの一歩、来年はここ、そういう実践的なことを、さっき申し上げたように、プロセスとしてインプリメントしながらやっていくべきです。そうすると、やっぱり5大学拠点がいかにここに入り込んで貢献できるのかということが非常に重要だと思うんですね。

 NISTEPはもう国の機関ですから、当然のことで、あんまり悩むことはないんですけれども、そこだと思っています。

【黒田主査】  それはもう私も思いは同じですね。

【山下室長】  拠点については、いろんな形で、ちょっと先ほどの文章であまり無味乾燥でしたけど、積極的に参画いただきたいと思っていまして、いろんな形があると思うのですが、もうこの、例えばある政策課題の取りまとめ的な部分をもう、もし担っていただけるのであれば、そういう役割も十分あり得ると思っていますし、あるいは政策課題ごとに横串の視点も必要な、多分そのとらえ方をしなきゃいけないようなこともあるので、そのちょっと構造が複雑なので、実は、黒田先生ともいろいろ御相談させていただいてはおおりますが、まだこんなイメージじゃないかということ、まだここまでしか出せれてないんですけれども、しっかりコミュニケーションとって、あり得る形を考えていきたいと思っています。

【土屋局長】  ちょっと中で調整ができてないのかもしれませんが、ここに書いてあるふかん検討チームは、その5大学に置くというか、に設置して、5大学の教育研究活動の、何というか、道場というか、みたいなそういう役割が果たせれば、非常にうまく全体が動き始めるんじゃないかと考えているんですが。

【笠木委員】  それが一番実行可能かもしれない。

【土屋局長】  ええ。そうすると、いろんなこととの最終的な成果物がどういうふうにあればいいのかということが、それぞれの大学の活動とうまく関係づけてこれるんじゃないかなと。

【黒田主査】  形の上ではもう理想的にはそうだと思います。

【土屋局長】  できればですけどね。

【黒田主査】  それが具体的にどういう課題で何をやるかということまで議論させていただいて、今度8月に拠点の合宿もありますので、そこで少し議論させていただきたいと思っています。

 いかがでしょうか。まだまだ詰めるべき点、多々あることはあるんですが。

【有本センター長】  ちょっともう一つだけ。黒田先生がいつも言われているんで、こういうときに、仕組みをつくるときに配慮されると思うんですけども、事実の水準がわかった組織とかなんかって、常に、どういうんだろうな、情報流通、あるいは議論してかなりのね、ちゃんとその両方が信頼関係で議論を積み上げていくような構造にしておかないと、何かまた社会科学だけで動き出すということじゃなく、そこ、ものすごく大事なところじゃないかと思いますので。

【黒田主査】  そうですね。もうおっしゃるとおりだと思います。

【郷委員】  ちょっとよろしいですか。今のことと関連して。やはり3.11の後、科学とか、技術に対する信頼というのは、国民から見てやっぱり大きく揺らいでいる。その中で、だから、余計必要だと、私は、思っているんですけれども、科学技術イノベーション政策のための科学というと、もう何か信頼の置けない、ある意味では、非常にネガティブな、何をやっているかよくわからないという印象も一方ではあると思うんですね。このお話、よくわかっている人にはわかりますけど、何となく科学者が集まって何かまたやっているというのではなく、なるべく早く具体的なイメージをはっきりさせて、フィージビリティ・スタディでもいいんですけども、何をやろうとしているかということを発信していくことが必要です。預け金の問題とか、論文で。全く事実でないことを発表したとか非常に今、悪いときです。そういうことも、真剣に取り上げないといけないと思うんですけど、どこでやるか。

 政策に関係して、税金を使ってやっているのだから、日本全体の予算の中で、お金をどれくらい使うのか、そういうこともここでやるのか。少し違う視点を申し上げたいと、思っていました。

【黒田主査】  なるほど。わかりました。ありがとうございました。

 やっぱりもうちょっとわかりやすくやろうとしていることの趣旨がどこかで伝えていかないと、宙に浮いちゃったら意味ないですからね、おっしゃるとおりだと思います。

 ほかに何か御意見ございますか。

 じゃあ、最後になりますが、今まで取り組まれてきたJST/RISTEXの公募プログラムにつきまして、簡単に御説明をいただきたいと思います。

【斎藤(RISTEX)】  社会技術研究開発センター斎藤でございます。

 資料4をごらんいただければと思います。公募型プログラムの進捗について、前回以降の動向を中心に御紹介いたします。

 本年4月下旬から二か月間公募を実施いたしまして、応募件数については、前年に比べて若干減少となっておりますが、一応締切りをいたしました。昨年は本採択6件、FSが2件でしたけれども、今年度も数件から10件程度の採択を想定して、これから書類選考、面接審査を行っていきます。スケジュール的には、大まかに7月中に書類選考、9月の上旬に面接選考を行い、総括との面談等交えまして、適宜提案いただいた研究計画についても修正なり、見直しをいただいた上で、10月以降研究開発の開始という流れを想定しております。

 その他関連する既存の採択プロジェクトを含めた動きですが、プログラム会議を2回ほど実施いたしましたけれども、6月の会議の際には、採択プロジェクトの代表1名を呼びまして、進捗状況をお伺いするとともに、先ほど来議論になっているような政策への反映なり、活用という点でどういう具体的なイメージを持っているか、大丈夫かという点について、情報共有・意見交換を行いました。これからもそういった形で、採択されたプロジェクトについても、できる限り介入的なマネジメントを行い、できるだけこの事業全体の方向性とか、政策オプションの検討といった観点にきちんとつながるような形に、可能な限り誘導していければと思っております。

 あわせて、今年度もおそらく冬になると思いますけれども、全体会議の開催、これは泊まり込みでの合宿を計画しております。

 それから、先ほども政策当事者の行政官なり、企業の関係者を含めた方々とのインタラクションが重要だというお話もございました。これを踏まえまして、秋以降になると思いますけれども、お忙しい方も多いので、できるだけ夕方とか、夜にかけて参加しやすい時間を選びまして、ざっくばらんに議論しながら、そのプロジェクトの運営、さらには、プログラム、あるいは事業全体への貢献といった点からフィードバックをプロジェクト側にかけられるような場、但し、あまりプロジェクト側が警戒するといけませんので、サロンというような名目で開催をさせていただければというふうに、現在企画中でございます。

 ちなみに、RISTEXでは、ほかの既存の研究領域でもこのような取り組みを実施しており、結構現役の行政官なども来てくださいまして、使えるものは成果が出る前からどんどん成果を活用してくれているという事例もありますので、ぜひこういった企画を具体化していきたいと思っております。

 それから、全体のシンポジウムなんですけれども、ちょっと予算の制約もありますので、人材育成拠点の方でシンポジウムが今、海外スピーカーも招いて12月頃実施予定と伺っておりますので、うまくそれと前後する形で経費を節減しながら、この公募プログラムについても、実施者及び海外スピーカーを交えた何らかのワークショップ等のイベントを企画したいと考え、今、調整中でございます。

 後ろは、既にオープンにしているものですけれども、公募に当たっての総括の考え方、それから、4ページ目には、これからの選考に当たっての基準を参考につけさせていただいております。いずれにしても、やはり政策への展開というところを今まで以上に意識をしながら、アドバイザー、総括に審査をいただければと思ってございます。

 あと、1点だけ、机上配付の参考資料として、実は、7月の上旬から公募を開始いたしました新しい別の開発領域がございます。テーマは、「コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造」という領域です。本領域もまた文部科学省から示された方針に即して実施しているものですが、この中で、実は、リスクコミュニケーション、合意形成手法の開発、但しあくまで自然災害を念頭に置いたものではありますけれども、そういったテーマを想定して、これから公募を進めてまいります。この「政策のための科学」のプログラムでも、やはり震災対応ということも重要なミッションとして、当初示されていたと思いますので、リスクコミュニケーション等の関係については、こちらの新規研究開発領域でも別途対応していければというふうに考えてございます。

 以上です。

【黒田主査】  どうもありがとうございました。

 ちょっと時間が超過していますけれども、資料3につきまして、御説明をよろしくお願いします。

【山下室長】  資料3でございます。実は、もう少し古くなってしまいましたが、この推進委員会のもとに基盤的研究・人材育成拠点整備のための分科会というのを設けてございまして、拠点の方々を中心に推進委員会の先生にも御参画いただいて、3回ほど、2月14日、4月10日、5月15日と、3回非公開で議論させていただきましたが、それを、当面拠点は今年度人材育成プログラムの立ち上げのための準備で今、大変お忙しく準備いただいてございますけれども、来年からスタートしますので、どういう段取りでどういうところにフォーカスを置いて進めていくのかということを報告の形でまとめたものでございます。

 ポイントだけ申し上げます。前段のほうは飛ばしまして、5ページでございますが、実際に各拠点、5拠点、6大学でございますが、どういった人材育成プログラムを現時点で考えているのかということを、5ページから13ページにかけてそれぞれまとめてございます。もう実は、学生の募集が少し始まっているところもございますし、今後、カリキュラム、シラバスを詰めてというところで、少し時間軸がいろいろ拠点によって違いますけれども、現時点ではこのような、5月の段階でございましたけれども、人材育成プログラムを考えているということをまとめていただいてございます。

 また、今回はやはり全体構造をきちんと見ていくという視点で、13ページからになりますが、拠点間で連携して検討いただくということが非常に重要だと思ってございまして、年に何回か、そのタイミングがありますが、運営協議会というのを設けて、拠点で集まって御議論いただくとともに、今年度も、もう既に幾つかございまして、例えば14ページにサマーキャンプとございますが、今年はまだ学生が募集というよりも、学生がいませんので、ファカルティ中心ではございますが、早速今年度8月、来月でございますけれども、九州大学のほうでサマーキャンプを開いて、今後の運営、あるいは協力のあり方というのをさらに、もう幾つかテーマがありますので、詰めていくということをやっていただけるということになってございます。

 また、先ほど斎藤室長からの御説明でもございましたが、拠点が中心となって今年の12月に国際シンポジウムを開くということも、もうかなり招へいメンバーを詰めているような形で、検討を進めていただいてございますし、そのほか、例えば15ページでございますが、それぞれの拠点で科目、具体的にどうかというのは、ちょっと時間差ございますが、詰めていらっしゃっていただいていますけど、どうやってそれを共有化していくか。場合によっては、講師の先生が拠点を行ったりきたりするような形をとれないかということも含めて、御検討されるということでございますし、16ページでございますが、コアとなる教育内容についても、非常にここは各大学、御事情があって難しい面もございますが、ぜひ共同でテキストを編さんしたり、そういうものをまとめていくということを、総合拠点のGRIPSさん中心にきちんと手順を踏んでやっていくというところも皆さんで合意いただいていると。そのほか、インターンシップですとか、研究成果の発信も共同でできるだけやっていきましょうということで、それぞれちょっと時間軸は別のものもございますけれども、きちんと手順を踏んでやっていただくということになってございます。

 ちなみに、8月のこのサマーキャンプでいろんな、こういったことをさらに具体化するために合宿形式で御議論いただくのですが、私もオブザーバで参加させていただきますので、本日、推進委員会で御議論いただいたような話も紹介して、きちんと拠点とコミュニケーションとっていきたいと、このように思ってございます。

 以上でございます。

【黒田主査】  どうもありがとうございました。ただいまの資料3及び資料4につきまして、何か御質問、コメントございますか。よろしゅうございますか。

 それでは、時間が参っておりますので、局長、最後に何かございますか。

【土屋局長】  いやいや。今日も非常に有意義な御議論いただきまして、ありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。

【黒田主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、次回が8月17日金曜日でございますけれども、午後3時から5時ということで予定をさせていただいているそうでございますので、それまでに今日いただきました課題を少し詰めさせていただいて、また御議論を再度いただきたいと思います。どうも長時間にわたりまして、ありがとうございました。

【土屋局長】  ありがとうございました。

 

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科学技術・学術政策局 政策科学推進室

(科学技術・学術政策局計画官付)