研究機関における公的研究費の管理・監査に関する検討会(第3回)議事録

1.日時

平成19年10月2日(火曜日)10時〜12時

2.場所

三菱ビル9階 964、965会議室

3.議題

  1. 研究機関の体制整備状況の確認について(報告書様式(案))
  2. その他

4.資料

資料3−1
 「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づく体制整備等の実施状況報告書について(案)
資料3−2
 各研究機関における公的研究費の管理・監査の実態把握のための現地調査の実施について(案)
資料3−3
 検討会の予定について(案)

(参考資料)

参考資料3−1
 「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づく体制整備等の実施状況報告書について(案)についての委員意見
参考資料3−2
 「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」冊子

5.出席者

葦名 弘 KDDI株式会社 リスク管理本部 業務・コンプライアンス監査部長
石井 紫郎 東京大学名誉教授
石渡 朝男 学校法人 二松學舎 監事
大久保 和孝 公認会計士 新日本監査法人役員
郷原 信郎 桐蔭横浜大学教授 コンプライアンス研究センター長
佐藤 慎一 東京大学大学院人文社会系研究科 教授
末松 誠 慶應義塾大学 医学部長
高 巌 麗澤大学大学院国際経済研究科教授 企業倫理研究センター長
知野 恵子 読売新聞東京本社編集局 編集委員
長谷川 正文 茨城大学理事・学長補佐・事務局長
○配分機関
小間 篤 独立行政法人科学技術振興機構 研究主監
渡邊 淳平 独立行政法人日本学術振興会 研究事業部長
○事務局
森口 泰孝 科学技術・学術政策局長
吉川 晃 科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官
戸渡 速志 科学技術・学術政策局政策課長
嶋倉 剛 科学技術・学術政策局調査調整課長
清浦 隆 科学技術・学術政策局調査調整課競争的資金調整準備室長

6.議事内容

【石井主査】

 前回のご議論を承り、より一層慎重に、また念入りに検討すべき問題が、まだあるという感想を持ち、もう一度、予定された回数以上にこの会議を開いたほうがいいのではないかということで、お忙しい中ご参集いただき、また今回までの間にいろいろと有益なご意見をお寄せいただき、厚く御礼を申し上げる。
 それでは、いよいよ体制整備状況の報告書の案を、具体的に取りまとめていく段階に差しかかっているので、本日はよろしくご議論をいただきたい。

 清浦競争的資金調整室長より、資料3−1〜参考資料3−2、第2回の議事録、大久保先生からの資料(資料3−1の中の一部についてのご意見)の確認があった。

【石井主査】

 それでは初めに、事務局から「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づく体制整備等の実施状況報告書(案)をご説明願いたい。

【清浦競争的資金調整室長】

 説明に入る前に一言だけ。10月1日付で組織の競争的資金調整準備室というものの準備が取れ、正式な室になったことをご報告する。
 それでは資料3−1で、まず第1回と第2回での議論を再度おさらいをさせていただきたい。第1回のときにお配りした調査の様式については、いわゆるチェックシート方式のような格好であり、それだと良否を評価してランクづけするようなイメージが強く、それはあまり適切ではない。まず最初の段階においては、機関の現状を把握することが重要であって、そのありのままの状況を報告させることを重視すべきだというご議論があった。おおまかには、その議論を踏まえて、第2回にお出ししたスタイルは、ガイドラインに基づいて、ガイドラインの項目ごとに各機関に記述していただくというスタイルを基本とするという格好の案を、第2回にお示しした。
 こちらについては、第2回でその様式をお配りした。第2回では議論する時間が十分に取れなかったことも踏まえて、第2回の後に書面で各委員にご意見をいただいている。第2回の議論の後に各委員からのご意見については、参考資料3−1に佐野先生、長谷川先生、葦名先生、渡邊部長からのご意見を添付している。
 それから、先ほどご紹介した、3−1の後半部分の整理票の部分について、大久保先生から修正の案をいただいている。中身は、資料3−1に、ところどころ赤、または青で修正をしている。これが第2回のものから修正点について見え消しをしているところである。先生からいただいた意見、それから主査とも事前にご相談していただき、少し試行錯誤の過程で赤、青というふうにあるが、そこはあまり気になさらずに、見え消しのところを見ていただきたい。
 細かい部分あるが、大きな部分で、まずご議論いただきたい。委員の先生方の中で、多少異なる意見をいただいているところがあるので、そこをまず紹介したい。第2回の資料において、ガイドラインの各項目ごとに、いわゆる白地で記述をしていくというスタイルについて、例えば佐野先生からは、読み手のわかりやすさから考えると、イエス、ノー、あるいはまるばつというふうなものも、多少入れたほうがいいのではないかというご意見があった。長谷川先生からは、例えば質問の項目にABCとか、イロハとか、そういうふうなものを付したらどうかという意見があった。渡邊部長のほうからは、研究機関が書きやすいように、少し欄を設けてはどうかという意見もいただいた。それから葦名先生からは、機関側に負担はかかるが、実態把握というのは重要であって、そのためには記述による公式報告というのは非常に重要だ、大事だというご意見もいただいている。
 石井主査とも議論させていただき、今回お出ししているところは、おおまかには各項目ごとに欄を設けずに、白地でご記入いただくという形態をとっている。ただし、その項目については少しアイウエというふうな格好で振っており、機関の方で書くときに、その項目を書いていただくというところに多少配慮している。
 それから、イエス、ノーなどについては、後半部分の整理票という形で大久保先生に修正いただいているが、その整理票のところで少し確認をさせていただくという方法を併用することによって、対処してはどうかと考えているところである。
 それでは資料3−1であるが、中身を見ていただきたい。6ページ目、佐野先生から、やや表現がわかりにくいというところがあり、ガイドラインに沿った表現を入れながら修正をしているところである。7ページ目については、アイウというところ、8ページ目は、窓口の設置のところで、判断事項のところは、役割と読めるのではないかということで、その修正をしており、それから連携するイメージということを出すために、線を引いているところである。
 それから、少し飛び、12ページ目、ここも少し表現ぶりの問題であるが、添付いただく資料について、不正要因、いわゆるリスクに関するリストであるとか、不正防止計画そのものがある場合には添付いただくということを、明確に書くというところである。
 それから16ページ目の一番下の脚注であるが、いわゆる契約による正規の職員でない方も含まれるということを、わかりやすく表現するという修正を加えているところである。
 それから、18ページ目の修正については、行動規範に関するところの書きぶりであるが、ここもわかりやすく、ルールに関しては、制度改善の最新の事柄も含んでいることを念を押している形で、括弧書きを入れているところである。
 修正点については、以上である。

【石井主査】

 それでは、先ほど室長のほうから紹介があったように、委員の方々からお寄せいただいた意見を参考資料3−1という形で、また大久保委員からのご意見は、別様の紙に落としたものという形で、机上に配付されているので、それぞれ先生方、ご自分の意見をせっかく表明したのに、十分反映されていないとか、あるいはこういう趣旨とはちょっと違う形で修正が行われているというような点、あるいはまた、さらに補足したいことがあれば、ぜひご指摘をいただきたい。
 大久保委員どうぞ。

【大久保委員】

 資料3−1の中で、気になった点は、22ページ、23ページである。あえてこれまで指摘はしなかったが、今回のガイドラインは、根底的な問題を見直していこうとする中で、例えばこういうフォーマットを提示してしまうと、旧来のやり方をそのまま助長させるのではないか。
 例えば特別監査と通常監査という言い方も、確かに役所の内部監査規定にはそういうものがあるが、果たしてほんとうに、その方法がいいのかどうかは疑問がある。だから、こういうフォーマットの提示は、議論を危険にすることから、その点の検討があってもいいと思う。ただ、あえてこれは個別の研究費の使用を焦点にしているということで、指摘はしなかった。
 私の資料は、実は時間切れで、資料作成の途中抜けている。十分に作成し切れなかった。もしチェックリストを出すのであれば、おそらく研究機関側は、これさえやればいいのではないかという話になるのであり、慎重な検討が必要だ。実際にガイドラインと比較しながら見ていくと、ガイドラインにはかなりきちっと書いてある。しかしチェックリストの方は、言葉をはしょっている。そうしたはしょられた言葉だけを見ると、結局今までと同じでいいのではないかという印象をもたれかねない部分が多々ある。
 例えば、1ページ目の3について、ルールは明確になっていて、統一的になっているかどうかということだが、ここで言っているルールの明確化というのは、一体何かという議論をしなくてはいけない。「全研究機関統一のルールにしなさい」とは、ガイドラインでは当然いっていない。もう少し柔軟なルールの規定をしなさいということをガイドライン上にはきちんと書いてある。ところが、このチェックリストだけ見ると、何か大学で全部1本化しなさいという印象を受けるので、選択肢、下のところだが、ルールの明確化はどう対応したのかということで、少し表現を柔軟にした。しかし、どれがいいとか、悪いという議論ではないので、その大学においてはどういうルールを設定をしたかということを把握することによって、検査に行くときに、この大学は部局ごとにルールが違うんだということでヒアリングをする、あるいは統一なら統一だということを前提に見ていくというようなことが必要なのではないかと。
 そういうことを考えて、直し始めたら、ほとんどが赤(変更)に変わってしまった。なお、この時点でも、まだ、十分な時間をかけていないため、もう少し吟味した表現は変えないと、このチェックリストは誤解を招く可能性がある。
 ということで、項目の15ぐらいで燃料切れとなり、それ以上の修正はもう少し時間をいただきたい。

【石井主査】

 私も、同じようなことを感じていた。改めてこのガイドラインを読み直すと、ただいま、大久保委員からご指摘があったルールの統一化という、それに関するところは、一体ガイドラインでどう書かれているかというと、機関としてルールの統一を図る、ただし、研究分野の特性の違い等、合理的な理由がある場合には、機関全体として検討の上、複数の類型を設けることも可能とする。またルールの解釈についても、部局間で統一的運用を図る云々というふうに書かれている。この趣旨が正確にこのチェックリストに反映しているかという、基本的なご指摘だろうと思う。
 私は、ガイドラインの第何章の何のどこそこを見ろというのを、少しわずらわしいが、このガイドラインをリファーするように、なお一層ここのところにつけ加えていくと、誤解がより少なくてすむのではと感じているが、いずれにしても、このガイドラインは、この委員会のかなりのメンバーの方々に参加いただいてつくり上げたもので、いずれにしてもこのガイドラインに関しては、提言という言葉を繰り返し使っているわけで、こういうものをつくったから、これを守りなさい、というスタンスは極力出さないというか、そういうものではないということをいろいろなところで書いている。例えば何々の問題についての取り組みについて提言することとしたとか、提言という言葉が何度も出てくる。
 それからさらに、研究者と事務職員との間の合意というか、きちんとした意見調整をしてやってくださいと、さまざまなことが書かれている。それから各機関でこの問題はそれぞれ考えてください、そして各機関の中でも、先ほど申したように分野ごとの違いをきっちり考慮する必要があるということ。そして、ガイドラインの9ページで、自己規律の精神と手続きによって律せられるべき事柄なのだということを書いているわけである。万が一にもガイドラインどおりのものをつくらないと、研究費の申請ができなくなるといった、長いものに巻かれろ的意識で形だけを整えるものであってはならない。このガイドラインを、その自己規律による制度化のための1つの導線、導きの線として受けとめられるべきものであるということ。とりわけ教育研究活動を自主的、自立的に行う大学の特性を踏まえることが必要であり、ガイドラインもそれを反映したものであるということ。しかし、この自己規律というのは、自己を甘やかすことの対極にあるものだということも最後にくぎを刺しているわけであるが、いずれにしても、自分でそれぞれの間尺に合わせてつくってください、しかも、研究現場と機関の管理組織との間にきちんとした合意をつくる形で、それぞれのルールをつくっていただきたいということを繰り返し書いているわけである。それが忘れられてしまうと、結局、先ほど使った言葉でいえば、長いものに巻かれた結果の形だけのルールづくりということで、いつまでたっても問題は解決しないということになりかねないので、そういう意味で、この報告書のフォーマットの案においても、書き方、表現等について、細心の注意が必要ではないかと思っている。
 その辺の重要な問題を大久保委員からご指摘いただいたものだと思う。ほかの委員の方々からもご意見を、参考資料3−1という形で取りまとめているが、何かこれについて、問題があるとか、補足したいことがあれば、ご発言いただきたい。
 長谷川委員、どうぞ。

【長谷川委員】

 私のほうは、国立大学の立場で、実際にこういう形での報告書の提示が求められたときに、担当者が記述できるかどうかという観点から、担当のほうにこれを振り、実際に書くときにどうなのか見ていただいたが、質問と答えが対比できるような形で、記号なり入れてほしいとか、幾つか提案させていただき、おおむねそのとおりに採択していただいているので、これで結構だろうと思うが、その中で、整理票の話も今、よろしいだろうか。

【石井主査】

 どうぞ。

【長谷川委員】

 29ページの項目17の発注権限、検収権限の明確化のところで、例えば「研究者が発注できる場合を明確に規定し、会計職員として位置づけている。」という表現になっている。会計職員としての位置づけがどういう意味をもつものかは、正確に理解しているわけではないが、ここでは研究者に発注できる権限を与えているとか、検収業務を行う権限を与えているかどうかということが問題であって、さらにそれに会計職員として位置づけているか否かという二重の網がかかるとすると、そこは答えがないケースが出てくるのではないかという懸念がある。
 なので、ここは研究者を会計職員として位置づけているかどうかということについては、問わなくてもいいのではないか。研究者に発注や検収の権限を与えている場合には会計職員になるのだということであれば、このとおりでよろしいだろうと思う。もしそうでないとすれば、会計職員として位置づけているという言葉は削除したほうがいいのではないか。
 それと、非常に細かな話だが、31ページの項目24の、研究者及び事務職員の競争的資金等のルール等に関する理解の確認ということで、たしか前のほうでは理解度の確認という形で表現が出ていたと思うので、ここも文言を合わせるという意味で、理解度というふうな形に整理したらどうかと思っている。

【石井主査】

 先ほどの項目17について、重要なご指摘をいただいた。この網掛けで囲ってあるところ。ガイドラインでは必須事項として、当事者以外の者のチェックというものが、発注・検収においてしっかり行われなければならないと書かれている趣旨を受けた形で、発注と検収についてクエスチョネアには書いてある。98の文言だが、研究者が発注できる場合を、これはそれをきちんと明確に規定する必要がある。そのときに、それを会計職員として見なすという取り扱いというのか、フィクションをする必要が一体あるのだろうかと、当事者以外のチェックが行われるということが必要だということで、そこまでガイドラインの提案が要望しているのだろうかというご指摘だが、これは大久保先生、どうだろうか。

【大久保委員】

 17は、ご指摘のとおりだと思う。
 一番重要なところが漏れていた。発注・検収のところは、もう少し表現をやわらかく書かないといけない。具体的な案は、後日お出ししたいと思う。

【石井主査】

 それでは、後日きちんとした文書の形で、大久保委員からご指導があると思うので、その方向で考えてまいりたいと思う。
 次は、知野委員どうぞ。

【知野委員】

 6ページ、ガイドラインの第2節の、ルールの明確化・統一化のことだが、そもそも論として、この取り組み状況についての中で、まずルールを定めているかについて聞くべきで、あと1項目立てたほうがいいのではないかと思う。というのは、それがないと明確化・統一化とか、運用との実態が乖離というのも、少し答えにくいのではないかと思う。
 注1で、ルールがある場合は添付してくださいというふうになっているが、やはりあえて最初にあるのか、ないのかということをはっきり聞いたほうがいいのではないかと思う。
 それと、質問項目の中に必須事項とそうでないものがあるが、ルールに関しては必須事項にはなっていないが、これはどうしてなのか。私は必須事項に入れたほうがいいのではないかと思う。

【石井主査】

 まずルールを定めているかどうかについてのクエスチョネアは、設けなかったことについて何か事務当局のほうにご説明があるか。

【清浦競争的資金調整室長】

 この項目のところにあるかどうかというところを加えるのは構わないと考えている。

【石井主査】

 構わないというか、必要だという。

【清浦競争的資金調整室長】

 アイウエオの一番上の、例えばアのところに書くということも。

【石井主査】

 なぜ必須事項にしなかったのか。それは何かご記憶が。

【大久保委員】

 まず1点目の、ルールがないことを書くかどうかについては、私もそのような項目を書いたほうがいいとは思うが、大学の場合、ほとんどルールがちゃんとある。ただ、ないところのルールが、結構あいまいで、わりと細かいものとなっている。どこまで引き出せるか、表現の検討が必要ではないか。
 また、ルールがあるかと聞くと、みんながあると答えてくると思う。ただ、実態上、詳細までルールが明確になっていない。そこを引き出すのが難しいと思う。
 それからもう1つ、必須事項で入れなかったのは、私の記憶では、この短期間では取り組みが十分にできているか決定ができないだろうということで、今回のこの11月では、必須事項から除いた記憶がある。

【清浦競争的資金調整室長】

 11月の必須事項のほうは、いわゆる最低限の体制をどう整備するかというところで書いていて、もちろん重要な観点というのはご指摘のとおり、その時点では入れなかったということである。

【石井主査】

 とにかく必須事項であろうとなかろうと、ルールをつくっていますかというクエスチョネアを、この前に置くということは、論理的には全く矛盾する話ではないと思うので。ルールを設けている場合には、それを添付してくださいというふうにして、つけ加えたらどうかと思う。
 葦名委員、補足のご説明を。

【葦名委員】

 この報告書については、佐野委員のコメントのとおりだと思う。私も同意見なのだが、ガイドラインができて、それをどのように理解して書いていただけているのかということの確認ができるという大きな意味、それから、ガイドラインを理解した上で、それをどういうふうに運用に移しているのか、あるいは運用できていないものについては、運用を図っていく予定なのかということが、この報告書によって明らかになるという位置づけで考えているので、まずガイドラインの理解度をはかる報告書になるのかと思っている。
 この報告書自体については、今ぱっと見て、すぐ指摘することはできないが。

【石井主査】

 ガイドラインをどのように理解しているかを把握するために、然るべき設問で書いてもらうという、全くそのとおりだと思う。一つ一つの項目に、それを分散して組み込むことにするのか、何か前文の形でその趣旨を入れていくのがいいか、何か具体的にあれば。

【葦名委員】

 初回に示された報告書案に比べると、各ガイドラインの部分をリファーしたところがあるので、以前に比べて大分読みやすくなっていると思う。また、石井先生が言われたように、どこのページのどういうところに書いてあるかということまでつけ加えたほうがいいかというのは、ちょっとわからないが、前に比べると、ガイドラインの該当箇所が、この設問に書かれているので、わかりやすい体裁になっていると思う。

【石井主査】

 この網掛けのところに、大分それぞれの箇所を引用しているので、これをさらに何章何節みたいな、これは一番頭に入っていただろうか。ガイドラインの第1節というのが、5ページ目の一番頭に入っていて、次が第2節ということで、(1)とか1とか、これも原文のままだったか。

【清浦競争的資金調整室長】

 赤く色で抜いているところは、ガイドラインそのものをつけている。

【石井主査】

 もう少し親切な書き方にできる工夫の余地があるかということだろうと思うが、先ほど大久保委員からご指摘があったのは、せっかく引用してある文章とのつながりが、あまりはっきりしないまま文章がはしょられると、誤解されるのではないかというご心配だと思うので、その辺は、かなり技術的な問題も含めて、細かいチェックをこれからしていく必要があるかと思う。
 それでは渡邊部長、どうぞ。

【渡邊部長】

 事前に提出していた意見については、3−1の資料の反映で結構だと思う。チェックリストのところでは、やはり理念についてリファーする部分があったほうが書きやすいかと思う。ただ、リファーするだけでわかるのかという感じも若干するが、少なくともリスト、チェック項目だけではなくて、その背景にある考え方は述べたほうがいいのではないかと思う。

【石井主査】

 それでは具体的にご相談しよう。小間先生のほうから何か。

【小間主監】

 内容は、大体結構だとお答えしていたが、全体の質問の仕方として、印刷されたものが行くのが第一だと思う。同時にファイルをつけて、書く欄の長さはフレキシブルに動くようにしていただかないといけない。そういうふうな理解でよいか。

【石井主査】

 それは、そうする予定である。

【小間主監】

 それなら、結構である。

【石井主査】

 高先生、何か。

【高委員】

 すみません、先回欠席して、議論の流れをあまり把握していないが、これを拝見すると、4つぐらい意見があるのだが、第1回目のときの議論だと、とりあえず現状把握にウエートを置いてやらないかということだったが、おそらくその趣旨でこれをやる予定だと思うが。
 この調査を行う主体は、この検討会なのか文科省なのか、その辺が少し明確でないのだが、文科省が行うということなのか。

【石井主査】

 はい。これはガイドラインの中にフォローアップをするという、文科省に義務づけが書いてあるので、それを根拠にしたものである。

【高委員】

 なるほど。最初の1ページ目を読んでいくと、だれがやろうとしているのかがよく見えなくて、ガイドラインではこうされていますというような書き方がされていて、文科省がこうするという、何か主体としてはっきりと明記してもいいのではないかと思って読んだ。
 それから、最初の1)の3のところのこの内容というのは、表記ガイドラインに記載されていることということだが、確認せずに失礼。ガイドラインの中そのものに、ガイドラインは必要に応じて見直しを行うということを記載されているのですね。
 それが1点目で、2番目は、こういう調査を行うときに、まず最初にそれぞれの大学のプロフィールを聞くべきではないか。プロフィールというのは、例えば研究者の数、もちろん調べればわかるのだろうが、その数がどれぐらいなのかと。それから申請された方の年間、例えば過去2年あるいは3年ぐらいの間に、何人ぐらいの方が申請し、獲得された方が何名ぐらいなのかと。それから学部の記載だが、どういう学部があるのかと。これも調べればわかるのだろうが、書いてもらう。それから、過去5年間でも結構だが、こういう不正があったかどうかということも最初に明記してもらう。それが起こったことに関して、どういう対応をしたかということも書いていただく。それで最終的にプロフィールの最後のところでは、貴校においてこういった不正が起こるリスクというのは、例えば大中小でも結構だが、高いのか、小さいのか、中くらいなのかと。
 なぜ最初にこのプロフィールを聞くかというと、いろいろな規模の大学がある。ここに書かれている内容は、かなり大きな大学を想定して質問しているわけで、これに答えてくださいということでやれば、おそらく小さな大学は、ほとんど下のところに印がつくと思う。例えば、後でフォローアップをやるときに、ぱっと見たらこの大学はひどいなということでも見に行くことになるかもしれないが、プロフィールを見れば、例えば過去、ほんのわずかしか獲得していないのであれば、その大学のリスクに応じては、この程度の取り組みでもいいのではないかという判断ができる。
 なので、とりあえず大学がどれぐらいのリスクを抱えているのかというところを把握するためのプロフィールを、最初の段階で聞くべきではないかと思う。
 それから、10ページの下のところに、不正使用に係る調査に関する規程の整備状況ということで、もちろん規程がきちんと整備されていることが望ましいかと思うが、正直言うと、そういう不正が起こったことのない大学は、規程など多分持っていないと思う。やはりこういうことが起こることで、規程はでき上がっていく。先ほど言ったプロフィールを見て、例えば過去にそういうことが起こっていないところは、例えばこのアイウのところで低いところがきても問題ではないという判断ができると思うので、プロフィールとこの質問の内容の関連というのを、我々のほうで把握しておく必要があると思う。
 それから、同じような話なのだが、30、31のところも相談受付窓口と、それから通報窓口と、それぞれ1つずつあるのかという質問だが、これも研究者の数とか学生数とか、こういうのを見れば、あるいは学部で見ても、なかなか大きなお金を取るような学部でないとするならば、そんな2つを設けてやっているかというのを聞くのも、少し酷な話だということがあるので、質問をこのまま残すとするならば、最初に戻ってプロフィールのところも聞いていただけると、合理的な調査ができるのではないかと思う。

【石井主査】

 公的研究資金、競争的資金等がほとんど入っていないところは、ある意味でこれのらち外ということにもなるので、その辺は確かにご指摘の通りであろう。最初に自画像をかいてもらうということになるわけだろう。
 ただ、ガイドラインの中に不正が起きるリスクというのは、常にどこにでもあるのだということを結構くどく書いているものだから、一応質問事項は一般的な形でここに入れていただいて、プロフィールのところでその辺は調整していくということでよいかと思う。
 郷原委員、何か。

【郷原委員】

 私も前回欠席したので、少し議論の流れが十分にわかっていないのだが、まず、最初に大久保委員のほうから出された整理票について、私も全く同様だ。今の案の書き方では、かなり形式面に評価が偏るおそれがあって、もう少し表現についての検討をすべきではないかと思う。
 今、高委員が言われていた、大学の個性に応じた調査を考えないといけないのではないかというのは、私も同感で、私が所属している大学などの実情を考えても、まず大学のガバナンスにいろいろな実情があって、ガイドラインの方向で実施していくことがある程度可能なところと、そこまでに相当距離があるところがあり、距離があるところは、まずこれを見ただけで、全体的にいい評価になることは難しい、だからそれでは形式的なところで何とか体裁を取り繕うということになりかねないのではないか。なので、そういう実情をある程度おおまかに把握するような質問を、最初にすべきではないかと感じている。

【石井主査】

 それは今、高委員が言われたような、プロフィールをきちんと書いてもらうということか。

【郷原委員】

 プロフィールをまず、しっかり聞く必要があるのではないか。

【石井主査】

 小間主監、どうぞ。

【小間主監】

 大学の規模によって違うことは当然なので、プロフィールを書いてもらうのは私も賛成だが、調査の仕方として、研究員が何名いるか、あるいは今まで幾らもらったかという数字そのものをきちんと聞くという質問をすると、これは大変な作業になってしまう。必要なのは1億円なのか、10億円なのか、100億円なのか、それから研究者の数も10人なのか、100人なのか、1,000人なのかというオーダーがわかればよいのでないか。数字をきちんと書かせるようにすると、大学に来たときには、すべての学部で何人ずつ研究員がいるのかという積算作業をし、また研究費について、過去5年について書けと言ったら、必ずしも全部が把握されていない研究費もたくさんある。うそを書くわけにはいかないので、必死の作業をせざるを得なくなる。本来我々が求めていること以上の努力を課す必要はないので、そこは質問の形態として、規模が大体わかるラウンドナンバーで書かせるようにすべきではないか。たとえば1人から10人とか。

【石井主査】

 選択肢を、ですね。

【小間主監】

 そういう形で聞いていただくほうがよいかと思う。

【石井主査】

 100人以上とか?お金についても同様ですね。

【清浦競争的資金調整室長】

 補足すると、ガイドラインの3ページ目、プロフィールの関係で言うと、競争的資金等で、どういう経費を取得したかという、その機関における件数と配分額については、これは書いていただくという形式は、そもそも盛り込んでいる。

【石井主査】

 先ほどのプロフィールというのは、もう少し幅が広いわけだろう。今までに、これは平成19年度の記述を求めているが、高委員が言われたのは、もう少し幅の広い話だと思うが。

【高委員】

 19年度だけでも把握できるというのであれば、それでも結構です。あまり大学に負担をかけないような形でやっていただければと。
 それで、私がプロフィールのところをお願いしている理由は、またそれもどこかに文章があるといいのだが、やはりそれぞれの大学の規模、学部の性質とか、そういったものに応じた合理的な仕組みをつくればよいということを、再確認していただけるとありがたい。
 後ろを見れば見るほど、やはりアでチェックしていかなくてはという気持ちになっていくと、結局実態がわからないということになるので、その確認をよろしくお願いしたい。
 そういう意味では、最初の1ページのところに、問題が解消されないと判断する場合には、有識者による検討の結果を踏まえ、配分の停止などの是正措置を講じるとされているという、この文章というのは初年度はまだ書かなくてもいいのではないか。これを見た瞬間に、やっぱりAでなければいけないと誤解される方もいるのではないかと思う。

【石井主査】

 実は私は、最終的には各大学に送るときに、これに鏡をつけなければならないので、そこの文章をきっちり、今、言われたような趣旨を踏まえたものにしていく必要があるのではないかと考えている。場合によると、文科省がやることになっているのだから、正式には文科大臣ないし担当具局長の名前で出て行くのだろうが、この委員会の責任者としての私の名前の鏡をつけて、なるべく研究者の意向が反映されたクエスチョネアであり、あるいはアンケートであるというようなことがわかるような、そして内容的にもそこのところからきっちり踏まえて、ガイドラインでも先ほど一番最初に申し上げたように、自己規律ですよ、それから研究者と事務サイド、管理機関がちゃんと相談してやってくださいとか、そういうことを書いているんだということを改めて文書にして、そこのところをきちんと伝わるような工夫をしてみたいと考えている。
 そういうことをやり出すと、事務的には、また迷惑をかけるかもしれないが、なるべく大学、研究機関と文部科学省との間の理解のギャップというものが起きないように。文部科学省としては決して悪気でない、監督者的な発想ではないつもりでやったことが、受け取る側から見れば、必ずしもそうは受け取られないということは、やはりあり得ることなので、そこのところはくれぐれも注意しなくてはと思っている
 石渡委員、どうぞ。

【石渡委員】

 二、三、意見を。まず1点目は、前回の検討会で慶応義塾と広島大学に事例発表していただいた。人とコスト面で潤沢というか、余裕のある大きな大学はあのような形で自主的に対応できるかと思うが、私学の中で中小の大学は、今ガイドラインに対してどう対応していけばいいか、非常に四苦八苦しているのが実情ではないかと思う。
 ただ、自主的にできる大学はいいが、そうでない大学も多いので、この報告書をつくること、そして報告することが内部統制システムをつくる1つのきっかけになるのではないかと、私は考えている。そういう意味では、どういう内容で返ってくるかわからないが、現状を把握する意味で意義があるのではないかと思う。
 それから2点目は、様式の問題で、当初は単純にイエス・オア・ノーのチェックリストだったのだが、それが記述式になっているので、ある程度実態が把握できるのではないかという気がする。ただ、現場の事務部門は非常に今、大変である。

【石井主査】

 この案文をご覧になって、大学の現場ではパニックになっているというご趣旨?

【石渡委員】

 対応、そういうことだ。
 それから、具体的な質問事項の中で、1つ心配がある。前回の検討会で長谷川委員もご指摘していたことで、いわゆる一研究者、一研究部門に研究費が集中することが、即、何か不正だというようなスタンスに少しなっていて、最初の質問事項、最初の案では競争的資金等が集中している部局、研究室がないかと、不正要因の中でもチェック項目になっているのだが、それは今日大久保委員の修正案を拝見して、大久保委員の4ページ目のところに、質問事項の98番であるが、競争的資金等が集中している部局・研究室に対して十分な管理体制がとれているかどうか、こういう質問事項に変わっているので、むしろこちらのほうが適正かと考えている。
 ただ、ガイドラインそのものが、集中することが不正要因というような位置づけになっているので、今度ガイドラインを見直す時には、少し再検討してはどうかという気がする。

【石井主査】

 重要なご指摘に感謝申し上げる。

【大久保委員】

 私もやっていて、気がついた。

【石渡委員】

 ガイドラインの5ページの、ちょうど中間ほどに1の(カ)競争的資金が集中している部局・研究室はないか。その頭のところが、不正を発生させる要因の把握に当たってはということになっているので、少しこの辺の表現を工夫したほうがいいのではないか。

【清浦競争的資金調整室長】

 例えば、過度に集中しているというふうな言葉を足すとか、そんなイメージだろうか。

【大久保委員】

 そうではなくて、そもそもお金が集まっているから悪いことをするということではなくて、お金が集まっているところは、より管理体制をしっかりしていかなければいけない。そこに、もしずさんだとするなら不正リスクが高いから、検査を強化しようということだと思う。

【石渡委員】

 当然、優秀な先生とか、研究活動が非常に立派な先生のところへ研究費が集まるのは、これはむしろ好ましいことで、それが即不正というふうにつなげるのが、いかがなものかということだ。

【石井主査】

 「集中している部局・研究室に対して十分な管理体制がとれているか」という部分の趣旨はよく理解できるのだが、この「対して」を「関して」というふうに直すだけですいぶん印象が違う。さらに「過度に」というのがいいのかどうか……。

【大久保委員】

 一応議論した背景としては、不正要因リスクのある場所ということなのだが、ただ、私もこれをやっていて、誤解を招き、それはいけないと気になった。

【石井主査】

 中村委員がおられると、何か一言伺えたのだが。決して「過度」ではないはずだ。中村研究室は。しかし、非常に大型のお金が行っていることは確か。
 ほかに、ご指摘は。主査代理。

【佐藤主査代理】

 実施状況報告書案を拝見し、感じたのは、1つは、記入される方が大変だろうということと、それからもう1つは、さっき石井先生が言われたことと関連するが、現場では記入する方はこれをどう受け取るだろうかだ。多分文科省は何を考えているのだと、まず考える。それで、まずその真意というのを勝手に考えて、それに外れた場合の制裁は何かということも当然考えるだろう。それで、それを免れるためには、大学本部が急いでルールをつくり、こういうルールが決まったと各部局の教授会に流して、それでおしまい。これが一番起こり得るシナリオだと思う。
 この委員会の意図は、それからおそらく文科省の真意も、少なくとも去年からの流れを追えば、そうではないということを我々はわかっているが、この実施状況報告書を見る各大学にとっては、そう簡単には受け取れない。そうすると原案だけだと、そういう各大学の心配を解除する仕組みというのは、1ページの(2)の1で3行目に、「このガイドラインは大綱的性格のものであって、具体的にどのような制度を構築するかは、個々の研究機関の判断にゆだねられている。各機関において、組織の長の責任とリーダーシップのもと、構成員である研究者と事務職員が自立的に関与して」等々とあるだけで、この部分だけではやはり足りない。先ほど石井先生の言われたように、別な鏡を用意して、同じことを繰り返し、繰り返し強調するということが必要だ。それからもう1つは、少なくとも今年度に限って現状が何であれ、一切制裁はないということ、我々はまず現状を把握したいのであり、何をお書きになっても一切制裁はないということを、やはり鏡に強調しておいたほうがよいのではないか。

【石井主査】

 そうしたいのはやまやまだが、それを真に受けてくれるのかという心配さえある。他面、やはりまずいところはとにかく出したくないという心理が働くのは、どうも避けられないような気がする。
 大綱に関する提言というふうに、さきほどから申しているように、提言という言葉を繰り返し使っているので、多分そういうふうにしたほうが、より一層というか、多少ましになるのではという感じはするが。

【大久保委員】

 その点に関しては、前回、前々回高先生のコメントにもあったが、実際、内部統制という概念そのものもそうなのだが、問題があることが問題ではなくて、問題に対してきちんとした対応計画を立てて、改善途上にあるかどうかということが重要なポイントなのだという点を、強調していただき、むしろ問題を把握していないほうが問題なのだというようなことで書かれるといかがか。
 そうすると、検査のときにも当然、問題があることをもって、だめということではなくて、きちんと計画どおりやっているかどうかということに検査の主眼におけば、自分で決めたことは守る、決めたことすら守れないなら、それ自体がまた問題だということで、問題の焦点が絞れるのではないかと思う。

【石井主査】

 ほかに何か。
 これからのスケジュールは、今日で大体これを固めたいということで。

【清浦競争的資金調整室長】

 スケジュールの面では、この報告書自体の提出を11月15日に、科研費の締め切りのときに合わせて、その期間における状況等も報告してくださいというようなスケジュールの検討を実はしている。
 可能なら、今、いただいたものを整理し、調査票としては、ぜひ早いタイミングで発出したいと思っている。

【石井主査】

 なるべく早くというのはわかるが、科研費の申請書の束と一緒に出しなさいというのは、何か気になるが。

【清浦競争的資金調整室長】

 その趣旨としては、ガイドライン自体の体制整備をどういうふうなタイミングでやっていくかというときに、20年度の各競争的資金等というのが動き出す段階で、どこまでやっておこうかという議論があり、そのときに、とりあえず20年度の配分を受けるところまでに、最低限やっておくべきことを、一たん整理しており、その関係で言うと、その年度にどうするかということを考えるときに、機関の体制状況についても文科省としても把握はしたいということであった。

【石井主査】

 はい。そうなので、タイミングが一緒になってもいい。科研費の申請は、ほとんどのものは日本学術振興会に出されるわけだろう。

【清浦競争的資金調整室長】

 はい。束と一緒にいくというわけではなく、たまたまタイミングが。

【石井主査】

 それと一緒だ、一緒だというようなことは、あまり言わないほうがいい。

【清浦競争的資金調整室長】

 科研費の申請自体も全く別で、この報告書として当室のほうにくるというところである。

【石井主査】

 鏡の中でも、私が忘れなければ書く。そのことを、ほんのりとにおわせることが可能だと思う。
 それでは、今日の議論をお聞きになって、またお帰りになった後で読み直してみて気がついたことが、もしかすると出てくるかもしれないので、タイミング的には1週間ぐらい、来週いっぱいぐらい、それではきつい?

【清浦競争的資金調整室長】

 鏡を含めて、できれば今週中には。

【石井主査】

 今週中に固めて、決裁もらって、各機関にいつごろ発送するのか。

【清浦競争的資金調整室長】

 来週に。

【石井主査】

 科研費の申請はいつだったか。

【清浦競争的資金調整室長】

 11月15日。

【石井主査】

 11月15日。1カ月ぐらいの時間はあるわけか。

【清浦競争的資金調整室長】

 少なくとも1カ月は。もちろんこの方向性を踏まえて、下準備はぜひやってくださいというアナウンスは、いろいろな説明会ではしているので、やはり様式自体は1カ月前ぐらいには送りたいところである。

【石井主査】

 それでは、今週いっぱいに意見があれば、事務局のほうに連絡を。
 それでは、鏡のほうは何とか間に合うようにしたいが、鏡にぜひこういうことを入れてほしいというようなお考えがあれば、これも事務局のほうに御連絡をいただきたい。
 この本体のほうの、報告書案を固めるにあたっても、まだいろいろご意見を賜り、かつ今日ご出席でない方からも、いろいろご意見も出てくる可能性もあるが、その辺の取り込みなどの仕方も含めて、主査代理の佐藤委員と相談し、事務局とも連絡を取り、そういう形で取りまとめるということをご承認いただけるか。ご一任いただければ幸いである。

(「異議なし」という声あり)

【石井主査】

 感謝申し上げる。
 それでは、次の議題であるが、各研究機関における公的研究費の管理・監査の実態把握のための現地調査の実施についてというテーマ、この案について、室長からご説明を。

【清浦競争的資金調整室長】

 それでは、資料3−2に基づきご説明する。ガイドラインの第7節においては、文科省による現地調査を行うことについて書かれている。
 1.目のところ、枠で囲んでいるのは、現地調査をするにあたって、ガイドライン上でリファーされている観点について、少し抜いているところである。最初の点であるが、さまざまな制度で行っている実地検査あるいは額の確定等も組み合わせて、効率的・効果的な検証を行うという点。それから、後半で少し出てくるが、調査する対象を決めるにあたっては、資金配分額の多い機関を中心にサンプリング等により選定するという点である。3点目は、基本的に機関全体の状況把握であるが、現地調査にあたって、幾つかの部局を選んで見るというものがあるというところである。
 それから2.目、現地調査の実施で、(1)は基本方針と書いている1であるが、「現地調査はガイドラインに関する理解を深めていただくとともに、各研究機関における体制整備等の現状、実態の把握を目的に行います。報告書の内容で問題があると考えられる点について調査することを主たる目的として行うものではありません」と書いてある。それから2は、先ほど申したところで、それから3は、現地調査の実施が対象でない機関と比較して著しく有利、または不利となるようなものではないという点である。それから、実施にあたっては、JST、JSPSの協力を仰ぎながら進めるというところである。
 実施方法は、年間で100機関程度の現地調査を考えており、当面報告書をいただいた後に、今年度中にやる機関として30機関程度を行うことを検討しているところである。4は、調査に行って、最高管理責任者等から体制整備に当たっての問題点や課題と、今後の取り組み予定等について伺うというところである。それから、研修センターがどのように機能しているかをお伺いすると。内部監査関係の担当者からも話を聞くということを書いてある。
 それから3番目であるが、調査対象機関の選定のことについて書いてある。選定する方針としては、ガイドラインも踏まえて、資金配分額あるいは件数の多い機関ということ、それから国・公・私立大学、さまざまな研究機関、研究機関の種類のバランスも考慮して考える。それから、過去において研究費不正使用問題を処理した経験のある機関等を考慮して、選定をしてはどうかと考えている。選定の件数のイメージとして、下のほうに科研費などの分配の割合、件数が非常に多く、額の合計が多いところということで並べているが、このようなデータも参考にしながら30機関を割り振るとすれば、このようなことかというふうなシミュレーションをしているところである。今後のスケジュールについては、書いてあるとおりで、報告書をいただいた後に、年を明けて実施する。その30機関以外のところについては、引き続き年度を越えても実施を継続的にやっていくということを検討している。現地調査に関する説明は、以上である。

【石井主査】

 実地調査をやるということで、具体的なやり方についての大筋が書かれているが、各委員のご意見を承りたい。
 つなぎに質問だが、100という数字はどこから出たのか。

【清浦競争的資金調整室長】

 もともとこちらの競争的資金室の体制を組むときに、オン・ゴーイングで動いている件が5万件ぐらいあるので、その中でどのくらいカバーするかというところで、対象としている機関が約2,000件である。

【石井主査】

 機関が2,000あると、そういうこと?

【清浦競争的資金調整室長】

 はい。2,000件に対して、年間でどのくらい回るのが適切かというところで、その5パーセントで100件。その程度は年間はやはりカバーするほうがいいのではないかという議論があった。それでこちらの室の体制等も考慮して、100件程度だろうというところである。
 なお、実質的には準備室が発足して、上半期においてさまざまな形で説明会や意見交換という形で大学を回らせていただいているが、半年で約40機関回っているところである。

【石井主査】

 2,000件というのは、かなりの金額がいっているところで線を引いたということか。

【清浦競争的資金調整室長】

 2,000は小さいところも含めて。行っているのが2,000機関である。

【石井主査】

 対象として取り上げるものとしては、いろいろカテゴリー別に数字が書いてあるが、研究費がたくさんいっていないところも取り上げることがあるということか。

【清浦競争的資金調整室長】

 中小全く回らないということではもちろんないが、選ぶときの重みづけとしては、資金額が多いところから重みをつけながら選んでいくということだと思う。

【佐藤主査代理】

 実施方法のところで、1ページの一番最後のところで、インタビューの対象が最高管理責任者ですね。それから2ページにいって、防止計画推進部署等の担当者、それから内部監査の担当者と3つあるが、現場の研究者とは会わないのか。有能な事務職員が不正使用を完全に抑止しようとして、例えば検収を完璧にやれば、現場の研究者は研究が進まず悲鳴を上げることになる。なので、現場の研究者が管理体制強化で、どういう問題を抱えているのか、それはぜひ現場の研究者に直接聞いていただいたほうがいいのではないかという気がするが。

【大久保委員】

 もう1つ、ヒアリング対象で、最高管理責任者のヒアリングということなのだが、最高管理責任者は実質的にほとんど実態を把握されていないのではないかと思う。であれば、むしろ統括管理責任者に直接行くのだということを明示したほうが、受け側のほうもいいのではないのかと思うが。確かに「等」で読めた。失礼した。

【石井主査】

 どうなのか。東大のような大きな大学の場合、最高責任者が把握していると期待できるのか。

【佐藤主査代理】

 知っているとは絶対思えない。

【石井主査】

 この辺は「等」で読むのか、もうちょっと実質的な責任者ということがわかるようにするのか、一工夫しなくてはいけないと思う。
 それから、研究者はどうするか。事務方のお気に入りの先生だけが出てきても、あまり意味ない。

【佐藤主査代理】

 不意打ちで。

【石井主査】

 この手でいきますか?私もそれは必要だと思う。研究者だけでなく、管理者側の人にもそのつもりで聞けば、研究現場との間のコンフリクトみたいな問題意識は、当然彼ら自身持っているはずだと思うので、そっちのほうからも同じ問題を聞いていく必要があるだろうと思っている。

【大久保委員】

 私も現場に行くべきだと思っている。やはり実態を調査していくときに、前回2大学のお話を聞き、まずどう思ったか。すばらしいと思ったとするならば、実態が全く見えていないと指摘せざるを得ないところがある。
 私もいろいろ見てきて思ったのは、一番簡単なのは、研究棟の駐車場に直接行ってしまう。そこには大抵、業者の車がとまっているので、まずそこから入り込んで行くと、事務方が言っていたことと実態が違うということが、突き詰めていける。短期的には、そこで問題点が顕在化するという意味においては、効果があるが、ただ中長期的には、文科省自身が一体どういう実態になっているかということをきちんと把握することが重要だ。まさに石井主査が言われたように、先生方と話をすると、切実な思いがあり、こちら側の立場をきちんと理解していただければ、本音でいろいろ話が出てきていて、構造的な問題を理解することができ、それがまたガイドラインにはね返ってくるのではないか。
 そういう意味では、あくまでも事務方から話を聞くだけでは、まず見えてこないのではないかという指摘は、全く同感である。

【石井主査】

 そう。ここはぜひきちんと。ガイドラインも見直していくというふうに自ら書いているのだから、それに役立つような情報というのは、できる限り多角的に集めなければならないだろうと思う。

【知野委員】

 調査には、大体どのぐらいの時間を費やすのか。単に1日行って見て、説明を受けて帰ってくるだけなのか、そのあたりをお伺いしたい。
 それと、今回の調査と、この現地調査というのは直接関係があるのだろうか。というのは、やはり漫然と行った場合に起きるのは、必ずいろいろな紙や資料が用意されていて渡されて、それでやっていますよということになって、またむしろ新たな不正などを生まないかと、こちらも少し気になるので、その辺の、今現在詰めているイメージについて教えていただきたい。

【清浦競争的資金調整室長】

 資料の1ページ目の(2)の実施方法の1に、週に4機関かける7週間と書いてある。もちろん機関の規模にもよるかと思うが、1日かけて見るようなイメージだと思う。
 それで、今の報告書との関係で言うと、調査するときには手元に実際に提出していただいた報告書に書かれている事柄を中心に、具体的にどのような取り組みをしていたかというのをじかにお聞きすることになろうかと考えている。

【石井主査】

 というのは、報告書に書かれているとおりであると、うそではないということを確認するのが、まず第1点。
 それから先ほどの、研究現場に行って、研究者側からのヒアリングもするということは、今度は、報告書どおりに行われているかどうかを研究現場サイドできちんと聞くということ、そして仮に行われている場合には、どのような問題が研究者の側に、あるいは研究現場の側に引き起こしているかという、場合によると悲鳴のようなものがあったら、それが聞けるとか、と考えているが。
 知野委員は、一日では短いとお考えか……。

【知野委員】

 時間云々もあるが、やはり行く意味、この中で2ページ目で(1)で123と挙げているが、例えば過去に研究費不正問題を処理した経験のある機関とか、そこがどういうふうにやり方を変えたのか、あるいはそれによってまた研究者がどういう不便を生じたかなど、何か具体的な問題に絞って聞かないと、向こうの言い値で帰ってくることになるのではないかと。たとえ時間を2日、3日費やそうが同じではないかと思う。

【石井主査】

 まさにその辺が大事である。各委員から、こういう問題を、あるいはこういう角度から聞くべきであるというような提言があれば、遠慮なくご開陳いただきたい。
 実を言うと、全部にはとてもつき合い切れないが、私自身、2つか3つぐらいの調査には同行したいと希望を漏らしているところである。当局にとって迷惑なのかどうか。やはり研究者が行くということによって、大学のほうの受け取り方が違ってもくるだろうし、いろいろな形でコンプレインする相手として多少話しやすいということもあるかもしれない。
 逆に、私も研究者だから、実をいうとこれはどこか裏があるのではとか、到底これがこのとおりは行われているとは考えにくいのだけど、というようなことも、もしかするとあるかもしれないし、研究者が行くことには意味があると思う。また、このガイドラインをつくったときの精神というものがどういうものであるかということを、いろいろな形でお伝えすることも可能だろうと思っている。つまり、長いものに巻かれたつもりでやっているのに対して、そうではないのだということを申し上げて、きちんとした、まさに自己規律をやっていただきたいと。その自己規律というのは研究現場の研究者も含めての話である。もし可能ならば、委員の先生方も、1つでも2つでも結構なので、日程が合えば、そしてお気持ちが向けば、行っていただければ幸いだと考えている。決して文部科学省の担当官を信用しないわけではなく、立場が違い、普段やっている仕事の内容が違う人が複数行くことは、それなりに意味があるだろうと思う。研究者であるのか、また監査の専門の方であるのか、いろいろな場合が考えられるが、それぞれ長所が出てくると思うので、場合によっては自ら足を運んでいただくこともお考えいただければありがたいと思う。

【吉川科学技術・学術政策統括官】

 まさに私どものほうからお願いをすべき事柄だったのかもしれない。石井先生からそのようにお話いただいたので、ぜひ同行して現場を見ていただければと思う。
 第1回の実態調査を踏まえて、即ペナルティーということは私も考えにくいとは思うが、現実に不正が起こってきて、特に体制不備ということが大いに問題になった場合、指導をするというようなこともあり得えると思う。その意味でも、現場に出向いて実態を見ていただくことを皆様方にお願いをしたい。

【石井主査】

 よろしくお願いを申し上げる。
 例えば監査の専門家は、ぎりぎり締めることだけ考えているのではという誤解も、もしかすると大学側にあるかもしれない。ところが、実際に、例えば繰り返し大久保先生が言っておられるように、きちんとした仕組み、体制をつくってやるという、防ぐシステムをきちんとやっているかどうかということが大事なのだという話がじかに大学の方々に伝わるということが、私は非常に大事なことだろうと思っている。いろいろなバックグラウンドを持った委員の方々が、少しでも調査にご参加いただけることを希望する。
 ほかに何か。どうぞ、長谷川委員。

【長谷川委員】

 2ページのウ)の部分、内部監査の担当者から、監査の実施状況について伺う際、幾つかの研究課題の経理管理に関する証拠書類を確認させていただくということで、この調査の中で証拠書類を確認するということが特定されているというか、行うというふうな位置づけになっている。ここは、要は体制の整備状況について確認をするということが主眼なのか、監査の実施状況を聞く中で疑問に思った点については、証拠書類も確認することがあるという話であるのか、つまり、証拠書類の確認というのが現地調査の絶対事項であるのか、任意的な事項であるのか、そこを確認したい。

【清浦競争的資金調整室長】

 この調査自体は体制の整備状況の調査が主眼であるので、個々のケースの証拠書類等を確認するということを目的とするものではない。そういう意味では、場合もあり得るというふうな言い方のほうが……。

【石井主査】

 「させていただくことがあり得ます」という書き方に、少なくともしたほうがよい。ほかに何か。
 この実地調査の件については、本日で全部挙げる必要はないようなので、次回も引き続きご議論いただく機会があるので、本日は閉じさせていただく。
 また、この紙の書き方について、次回を待たずに事務局にご指摘いただければ、より一層幸いかと思う。
 それでは、最後に議事録の確認の問題を室長からどうぞ。

【清浦競争的資金調整室長】

 前回、議事録案については机上に配付しているが、もし特段あれば、1週間後の10月9日までに事務局までご連絡を。修正を反映した上で、ホームページに会議資料とともに掲載させていただきたい。

【石井主査】

 それでは、今後の予定について説明を。

【清浦競争的資金調整室長】

 次回の会議は、11月中に開催できればと考えている。

【高委員】

 今日の話とは直接関係ないのだが、こういう形で報告書を徴求したり、監査を実施する、これは当然文科省が所管の資金を利用させていただいているということで、当然必要なのだろうが、他省庁間の調整というのも一方で検討していただきたいと思う。それぞれの省庁から同じような報告を求められて、様式が違っていたり、監査があるというようなこと、今すぐそういうことはないだろうが、将来的にそうなっていくと、受ける大学側の負担というのは相当大きくなってくると思うので。
 というのも、今回いただいた資料は、ほとんど文科省所管の競争的資金のみ。なので、将来考えると、多分それぞれから出てくる可能性があるのではと思うので。

【清浦競争的資金調整室長】

 ご指摘の点に関しては、内閣府が総合調整することとなっており、今回文科省がこのようなガイドラインをつくって、研究機関にこういう報告を求めるという話は、先日も関係府省連絡会というところで、内閣府からもそういう研究機関に二重の手間がかかることはないように、周知をしているということで、また各省のほうで具体的な話があれば、また調整をしていくという方向性になろうかと考えている。

【大久保委員】

 そのときに、一番留意点は、多分仕組みそのものはどの省庁を見ても一緒になるので、今回これだけ文部科学省は大規模的にやるのであれば、そこを準用していただいて、各省がもし検査が入るのであれば、実証手続きのところだけですね。というようなことで役割をされると、機関側のほうの負担が減るのではないのかなということを、少し補足させていただきたい。

【石井主査】

 その辺の指針を各府省の連絡会で、ぜひ周囲に対して、特にCSTPに対して注意を喚起していただきたいと思う。仕組みは共通のはずだということですね。共通の問題だから。
 ほかの省庁では、まだこういうガイドラインみたいなものをつくっているとか、そういう動きは。

【清浦競争的資金調整室長】

 二、三の省庁で実際につくっている。ただ、こういう調査をしているところは、まだないということで。

【石井主査】

 なるほど。
 なお、先ほどの現場の調査の問題として、研究者に聞くことの重要性の1つとして、例えば繰越明許の問題を実際にやってみてどうだったかのようなこと、これはいろいろな形で仄聞はしているが、実際には私は直接当事者ないし、それにかかわった方々からお話を伺ったことはない。この不正行為に関する報告書の第3部では、まさに競争的資金制度の問題、あるいは運用の問題をきちんと研究の実態に即した形のものにしていかなければならないということを、かなり詳しく書いているので、その辺の文部科学省側のこれからのガイドラインの見直し等々の必要性だけではなくて、研究費の制度の問題についても、無論これは文部科学省だけで解決できるものでは必ずしもないわけで、実際には財務省や関係府省の理解を得ていかなければならない。そういう問題意識をきっちり構築していくためにも、私は現場の研究者のお話を伺う。実際にほんとうに繰越明許の申請が件数でいうと前年の十何倍だが、しかもいろいろな形でぜひ遠慮なくやってほしいということを、こちらとしては申し上げてきたいきさつもある。
 しかし、手続きが面倒で、二度とあんなことはやりたくないと言って嘆いておられる先生も、実はあるというふうにも仄聞している。そんなことだと、せっかく一生懸命やり始めたのが、逆に挫折しかねないというようなこともあり得る。ぜひその辺も我々の問題関心として、この報告書についての実地調査という域を超えたというか、あるいは本来その中に実質的に含まれている問題かもしれないので、ぜひ考えていきたいと思っている。
 何か特にご発言があれば。それでは、本日の会議はこれで終了させていただく。

─了─

(科学技術・学術政策局調査調整課)