原子炉主任技術者試験は筆記試験と口答試験で構成され、まず筆記試験で専門的な知識の有無を判定した後、その合格者に対して口答試験により実務的な知識を判定することとしている。この口答試験の受験資格は筆記試験に合格することに加えて、原子炉の運転に関する業務に6ヶ月以上従事すること又は国が指定する講習機関等における原子炉の運転に関する課程を修了することによって得ることができる。そして、原子炉主任技術者免状は、口答試験に合格した者に対して交付されることとなっている。(参考1)
筆記試験では、(1)原子炉理論、(2)原子炉の設計、(3)原子炉の運転制御、(4)原子炉燃料及び原子炉材料、(5)放射線測定及び放射線障害の防止、(6)原子炉に関する法令の6種類の試験科目により、受験者が原子炉主任技術者として必要な専門的知識を有しているか否かを判定している。(参考2)
口答試験では、原子炉主任技術者の責務、運転管理、放射線管理、異常時の対策・対応等その他の実務能力を判定できる事項についての設問により、受験者が原子炉主任技術者として必要な実務的知識を有しているか否かを判定している。
他の国家試験において一定の学歴を有する者等に対し一部の科目の試験免除が行われていることを考慮すると、原子力専門職大学院が原子炉主任技術者に求められる専門的な知識を十分に教授し得るものであることが担保されていれば、基本的に試験免除は可能と考えられる。(参考3)
まず、筆記試験に関しては、現在、免除制度が存在していないため、免除の必要性及び妥当性について新たな検討が必要となる。
口答試験は、個別に原子炉主任技術者としての実務上の資質を判定するものであり、原子炉主任技術者の職務の重要性に鑑みると、免除するのは適当でない。
また、口答試験受験資格に係る実務経験の要件については、既に講習機関等を指定する制度があることから、従来どおり、文部科学省及び経済産業省が原子力専門職大学院のカリキュラム等を評価し、当該原子力専門職大学院を指定するかどうかを判断すれば足りる。
よって、本検討会では、修了者に対する原子炉主任技術者試験の免除を検討するために、筆記試験の免除の妥当性等について、技術面、制度面から考察することとする。
なお、専門職大学院ではない原子力工学専攻を置く大学院については、一般に研究者等を含めた様々な人材の育成を目的としており、教育課程や単位認定もそれを前提に策定され、教育が実施されているが、一般の大学院でも原子力専門職大学院と同様に実務的原子力エンジニアの育成に焦点を当てた大学院教育を実施し、かつ、その旨を明確に表明している場合に限っては、原子力専門職大学院に準じるものとして取り扱うことが可能と考えられる。ただし、現段階において、一般の大学院から試験免除の検討の要請といった動きは特にないことを踏まえ、今回の検討については、専門職大学院を前提として検討することとした。
科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室
-- 登録:平成21年以前 --