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研究炉等安全規制検討会報告書(案)「内部脅威対策について」への意見に対する考え

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研究炉等安全規制検討会報告書(案)「内部脅威対策について」への意見に対する考え




平成17年9月

文部科学省
研究炉等安全規制検討会


はじめに

 文部科学省の研究炉等安全規制検討会は、平成17年7月26日に、「内部脅威対策について(案)」について取りまとめ、同年8月4日(木曜日)〜8月25日(木曜日)までの間、意見募集を行い、9件のご意見をいただきました。
 これら意見募集でいただいたご意見に対する考え方を以下に示します。

研究炉等安全規制検討会報告書(案)「内部脅威対策について」に対する意見等一覧

―意見の要点―

1. 内部脅威者対策について
【確信型の対処】【人的管理】【事業者間の連携】

2. 我が国における内部脅威対策について
1 【実行可能なルール】
2 【アクセス制限】
3 【結果の公表・意見募集】
4 【信頼性の確認方法】
5 【物理的防護】

3. 報告書の内容について
【具体的対応策の記載】



1.内部脅威者対策について


【確信型の対処】
 内部脅威者の態様類型の、確信型については、「思想的、宗教的確信から不法行為を実行することも考えられる。」と述べています。信教の自由は守られなければなりません。しかし、オウム真理教の例があるように、問題となるべき宗教を特定し、これに関与すべきものを同定することが重要と考えるが可能でしょうか、また、同定された場合、その対処方法はいかにあるべきか

【人的管理】
 内部脅威者が不法行為に及ぶ動機は多種多様であり、また、突発的に内部脅威者に成りうることもあるため、治安機関の情報提供は重要である。したがって、人的管理面から、治安当局が原子力事業者に対して情報をタイムリーに提供する旨を報告書の適切な項に記述して頂きたい。

【事業者間の連携】
 委託業者の作業員は、契約に応じて複数の原子力施設を担当することが考えられる。この場合、委託業者の作業員に問題があった場合については、当該情報を、関係原子力事業者間で共有することにより、内部脅威対策の実効性が高まるとも考られる。したがって、このような事態を想定した原子力事業者間の連携について記述してはどうでしょうか。

1.  内部脅威者が、不法行為に及ぶ行動類型や態様類型は多種多様であり、ご意見を頂いた方法は、いずれも、報告書で記述している人的管理に係る提案と思われます。
 
2.  個人の信頼性についてのご心配は理解できるところでありますが、これらは、個人の情報に絡むためプライバシー保護に係る問題が生じることから、どこまで取り入れが可能であるかについては、今後、関係省庁間において、分野横断的な制度の構築要否を含め、その実施については、関係省庁間で慎重に検討を行うことが望まれるとしております。
 

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2.我が国における内部脅威対策について


1【実行可能なルール】
 トゥーマンルールは、内部脅威対策として有効な手段と考えられますが、管理区域においては作業の安全確保の観点から、2人以上で作業をしており、すべての業務についてこれは実施されているわけではありません。内部脅威対策の観点から、本ルールを適用にするに当たっては、核物質防護上、必要な業務に限定しないと人員の観点から、実行不可能となってしまいます。具体化においては、実行可能なルールであるべきと考えます。

1.  核物質防護措置は、省令に基づき、原子炉設置者等に義務付けられ、その必要な具体的措置は、原子炉施設等の特性を踏まえ、設置者等が、その責任において、判断し、適切な対策の実施がなされることとなります。
 また、その内容については、設置等者が、核物質防護規定に定め、国の認可を受けることとなります。
 
2.  ご指摘いただいたトゥーマン・ルールについては、核物質の貯蔵庫など核物質防護上、重要な区域に入出する際に有効な手段として例示しております。
 

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2【アクセス制限】
 出入管理を行う上で、細分化しての段階的な出入管理も重要であるが、全てのエリアへアクセスできる人を作らないことが重要と考えるので、このような記述を追記してはどうでしょうか。

1.  本報告書には、「・・トゥーマン・ルールや、区域を防護上の重要性により細分化しての段階的な出入管理などは、特に有効な追加的な対策・・」という内容で記述しており、重要性により細分化という趣旨は、まさに、物理的な細分化はもちろん、重要性が高まる場所に近づくにつれアクセス可能な人を限定(特定)していくという趣旨であります。
 
2.  なお、ご意見の趣旨を、より分かりやすくするために、その内容を追加し、「・・トゥーマン・ルールや、区域を防護上の重要性により細分化しての段階的な出入管理や、必要によりアクセス可能な者を限定することなどは、特に有効な追加的な対策・・」という記述内容とします。
 

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3【結果の公表・意見募集】
 内部脅威者の対策としての信頼性確認の項については、「引き続き慎重に検討することが必要であり、その実施においては、国民的な合意の必要性、法整備等の課題を踏まえ引き続き慎重な検討が望まれる。」と締めくくられていますが、今後の検討状況、その結果も今回同様、逐次公表し意見募集を行なって頂きたい。

 研究炉等安全規制検討会としては、本報告書において、今後の信頼性確認の実施の検討の際には、国民の幅広い理解を得つつ、慎重な検討を求めています。よって、今後、関係省庁間での検討においては、この報告書の趣旨を踏まえ、必要に応じて、意見募集等が行われるものと考えています。


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4【信頼性の確認方法】
 犯罪歴等を利用した信頼性確認方法とあるが、もっと具体的に、例えば金銭借入履歴を追加してはどうでしょうか。海外の調査の項では「公安情報や犯罪歴、金銭借入履歴の調査」等、より具体的に記載されています。

1.  内部者に対する信頼性の確認については、プライバシー保護に係る問題があるため、関係省庁間において、分野横断的な制度の構築要否を含め、その実施については、関係省庁間において、慎重に検討を行うことが望まれるとしております。
 
2.  ご意見については、今後、関係省庁間における慎重な検討の結果、信頼性の確認が実施されるとなった場合、その手法の一つとして議論されるべき内容と考えます。
 

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5【物理的防護】
 最近の報道を見ますと、意外な人物の犯罪、事件、事故が多く報道されております。職位や学歴、家庭・職場環境を問わず様々の人が発作的と思えるようなことを引き起こしているのが最近の傾向ではないかと思います。また、突然、うつ病を発症し、発作的な自殺や自殺のための無謀行為もあり、うつ病自体も増加していると報道されております。従って、どのように信頼されている方でも、更には自分も含めて誰もが内部脅威者となりうるとした対策が必要と考えます。このため、安全上重要な操作の決定に当たっては複数による同一の判断に基づくものとし、実施に当たっては、複数の共同同時操作が必要なように物理的防護も考えるべきではないかと考えます。例示しますと、フェイルセーフ解除などの安全上重要な操作スイッチを2メートル以上離れた位置に配置し、同時に複数の人間が操作しない限り実施できないようにすることなどが考えられます。このようなことをしてもJOC事故は防げなかったと思いますが、物理的防護をできる限り行った上で人的対策を行うべきと考えます。(報告書では、信頼できる者とそうでない者を分別しようとしているように見えますが、これでは現場での実効性が薄いと感じたための意見です。)

1.  ご意見を頂いた、複数の共同同時操作が必要なような物理的防護措置は、有効な内部脅威対策と考えられます。
 
2.  本報告書では、内部脅威者対策について、1物的防護、2出入管理、3人的管理の3項目があり、これらは、単独でも一定の効果を期待できますが、組み合わせて実施することで、より大きな効果を期待できるものと考えております。
 人的管理は、あくまでも効果が期待できるひとつであるということです。報告書には「予兆を事前に認知し、注意喚起するとともに、事前対策を検討するのに効果がある。」と記述しています。
 
3.  ご意見の後半に、報告書では、信頼できる者とそうでない者を分別しようとしているようにみえるとのことですが、これは、報告書中の「行動観察に基づく配置管理」「可能性のある者を特定し、枢要区域へのアクセスを認めないなどの対策」という部分を捉えられたものと思われます。しかし、これらは、但し書きで「プライバシー保護に係る問題があり、慎重に検討することが必要である。」と述べているように、今後、関係省庁間において、分野横断的な制度の構築要否を含め、その実施については、関係省庁間において、慎重に検討を行うことが望まれるとしております。
 

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3.報告書の内容について


【実行可能なルール】
 本報告書は、一般的な事柄の内容となっていると考えられ、事業者は、本報告書に基づく対応を図ることになる。原子力事業所の現場で、職員、協力会社員等の管理業務に従事する者にとって、実行可能で、かつ、より確実な対応が図れるように具体的な対応策を示した記載として頂きたい。

1.  本報告書は、原子力関連施設における立入制限措置を考える上で重要な内部脅威者対策等について検討した結果の報告書です。具体的な対応方法まで言及することは、一般の防犯対策と同様、必ずしも望ましいとは考えておりません。
 
2.  核物質防護措置は、省令に基づき、原子炉設置者等に義務付けられ、その必要な具体的措置は、原子炉施設等の特性を踏まえ、設置者が、その責任において、判断し、適切な対策の実施がなされることとなります。
 また、その内容については、設置者が、核物質防護規定に定め、国の認可を受けることとなります。
 

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(科学技術・学術政策局基盤政策課原子力規制室)

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