原子力安全規制等懇談会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成14年12月24日(火曜日)14時~16時

2.場所

経済産業省825号会議室(別館8階)

3.議題

  1. 原子炉等規制法の改正等について
  2. ITER安全規制検討会の検討状況について
  3. 研究炉等安全規制検討会の検討状況について
  4. 放射線安全規制検討会の検討状況について
  5. 環境放射能調査研究に係る課題事項のフォローアップ状況について

4.出席者

委員

岡座長、宮座長代理、飯田委員、大森委員、長見委員、片山委員、木阪委員、北村委員、佐々木委員、代谷委員、早田委員、服部委員、中込委員

文部科学省

山元科学技術・学術政策局長、広瀬原子力安全監、青山原子力安全課長、吉田原子力規制室長、石田放射線規制室長、名雪防災環境対策室長 他

配布資料

資料1. 第2回原子力安全規制等懇談会議事概要(案)
資料2. 原子炉等規制法の改正等について
資料3-1. ITER安全規制検討会の検討状況について
資料3-2. ITERの安全確保について(中間とりまとめ)(案)
資料3-3. ITERに関する安全設計・安全評価の基本方針(案)
資料3-4. ITERに関する技術基準(案)
資料3-5. ITERに関する詳細設計の確認の範囲・項目及び検査の範囲・項目(案)
資料4. 研究炉等安全規制検討会の検討状況について
資料5. 放射線安全規制検討会の検討状況について
資料6. 環境放射能調査研究に係る課題事項のフォローアップ状況について
参考資料1.日本原子力研究所大洗研究所の材料試験炉(JMTR)の停止について
参考資料2. 原子力・放射線安全確保ホームページの開設について

議事要旨

(1)岡座長より開会の挨拶及び代谷委員を紹介

(2)事務局より資料の確認

(3)事務局より、第2回原子力安全規制等懇談会議事概要(案)の確認をお願いした。

(4)「原子炉等規制法の改正等について」事務局より説明の後、委員より意見、質問があった。主な意見及び質問は以下のとおり。(○印:委員の発言、→:事務局の発言。以下同じ。)

○ 独立行政法人原子力安全基盤機構における安全研究のかかわりは何か。
→ この独立行政法人は、経済産業大臣のもとに置かれる法人なので、原子力のエネルギーの利用に関するものについての関連の安全のものは進められると承っている。文部科学省は、原子力の科学技術に関することで進めている原子力安全研究を従来どおり進める。
○ 現在、新法人の統合問題(原研、サイクル機構)について議論がなされていて、安全研究についての体制についても検討されている。資料に、「試験研究」と書いてあるが、安全研究について、この機構と今まで安全研究を行ってきている原研、サイクル機構、放医研とどのような関係になるのか。
→ 特段、新しい安全の研究を進められるということで設立するものではないと伺っている。エネルギーとしての需要に関する原子力の安全確保のためというのが、そもそものこの経済産業省で所管されている原子力という枠組みなので、その範囲内で必要な研究を進められると承っている。

(5)ITER安全規制検討会の検討状況について」事務局より説明の後、委員より意見、質問があった。主な意見及び質問は以下のとおり。

○ 資料3-3の2ページの④に、「適切な放射線管理を実施するため、従事者の線量測定」とあるが、線量測定だけでなく、健康診断が必要になると思う。
→ 当然、必要なことを行うので、特にいらないということではない。
○ 入れておいたほうがいいと思う。
○ 資料3-2をまとめたが、今後段階的に規制の体系をつくり上げていくことになると思っている。相手が国際機関であり、初めての経験なので、ILEと協議しながら規制を詰めていくこと、実施していくという性格を持つことが一つの特徴と思う。委員の方々から何度か発言があったが、ITERは実験炉なので、動力炉を規制しているように厳しく規制をすることが必要かという懸念については、今後、具体的な細目を詰めていく段階で配慮していくことになると思う。
○ 資料3-3の4ページの「運転上の柔軟性を必要とする試験装置として適切な保守性を加味する」とは、逆に言うと、保守性を適切に考えることによって、運転上の柔軟性も損なわないような試験装置になるよう考えなさいということと思ってよろしいか。
→ そのとおり。
○ 大森委員 資料3-3の1ページに、「公衆の実効線量が年間1mSvを超えない」とあるが、主にトリチウムと考えてよいか。
○ 主としてトリチウムである。
○ 新法案は原子炉規制法、あるいは放射線障害防止法の改正となるのか。
→ ITERは、本格的に核融合を行う初めての装置になるので、必要に応じて新たな法律をつくる必要がある。ただし、このITERの実施機関は国際機関なので、まず国際約束、条約というような形式の協定ができる。その後、ITERのみに特化した国内法を必要に応じて設けるべく検討を進めている。
○ では、現在においては、どちらつかずなのか。
→ 全く新しい装置ということで、ニュートラルに、全く新しい概念を適用するものとしてご検討いただいた。安全の確保の観点から見れば、従来から進められている放射線障害防止法の考え方、それから施設について見れば、原子炉で行われてきた、これまでの規制の経験が生かされるであろうということで、二つの法律の両方の構成要素を援用したような形に見える中間取りまとめにしていただいたかと思う。
○ 原子炉等規制法と放射線障害防止法はどちらも放射性物質を対象としているにもかかわらず規制が全然違う。今回、ITERについて、二つの法律を合わせた規制法とするならば、将来、これらの二つの法律をまとめることはないのか。
→ まず、ITERという個別の核融合炉の規制のためには、国内法的な整備が必要である場合には、新法で対応するということを考えている。既存の原子炉等規制法の改正、RI法の改正はなじまないと考えており、ITERという個別炉の規制のための法的な整備が必要である段階で新法をつくるということを基本に考えたいと思っている。次に、原子炉等規制法と放射線障害防止法についての質問についてだが、これら二つの法律は、かなり目的が違うと考えている。原子炉等規制法は、災害の防止を目的にしており、放射線障害防止法は放射線障害の防止を目的にしているので、この二つを合わせた新しい形の法律ということは考えにくいと思っている。ただ、ウランやトリウム等、放射性同位元素としての規制として考えると、むしろ放射線障害防止法の適用の可能性も考えるという検討は必要だろうと考えており、そのような意味で、この二つの法律の重なり合った部分をよく検討していきたい。
○ 資料3-3の3ページの事故時における被爆評価の①について、最大となる事故を想定して評価を行い、その実効線量が5mSvというのは、これは最大事故になっても5mSvを超えないようなことを想定しているのか。
→ そのとおり。
○ 2点質問したい。他の分野だと、原子力安全委員会が指針的なものをつくり、それに対して規制官庁である文部科学省、あるいは経済産業省が技術基準をつくっていくという大きな流れになっていると思うが、このITERの安全確保について具体的な安全規制を進めなければいけないときに、安全委員会がどういうかかわりをするのか。もう一つは、放射性物質の大部分は、おそらくトリチウムということであろうかと思うが、放射性物質としてのトリチウムが内在する危険が必ずしも十分あらわれてないのではないか。
→ まず安全委員会との関係について、中間とりまとめの冒頭に書いてあるが、原子力安全委員会では、平成13年の「ITERの安全確保について」、今年の6月の「ITERの安全規制のあり方について」という二つの文書をまとめている。その中で、原子力安全委員会の考えを示しており、特に今後の対応については、行政庁においては、安全性の審査の手順、それから必要な構造規制を検討した上でITERに係る法令の整備について適切に対応されることを期待するとあり、原子力安全委員会としては、ITERの安全性の審査の基礎となる安全確保の基本的考え方、その妥当性の判断基準についてITER計画の進捗も踏まえ、必要に応じ検討するとある。我々の検討の状況についても、先週木曜日、原子力安全委員会に報告を申し上げたところであり、今後も適宜報告をしながら、指導を仰いでいくということにしている。それから、トリチウムの関係については、資料3-3の「ITERの安全上の主要な特徴・考慮事項」の中で「核融合反応の中でも重水素とトリチウムの核融合反応の場合、燃料であるトリチウムが拡散しやすい放射性物質であること」、「反応により高エネルギーの中性子が発生すること」とあり、トリチウム、中性子、それから放射化ダストをそれぞれ考えていかなくてはいけないということを述べている。
○ 国内に過去にない量のトリチウムを運ぶことになるが、現行の法体系で対応できるのか。
→ 日本原子力研究所において、トリチウム研究施設でかなりの量を使っている。放射線障害防止法に基づき、輸送容器、それから基準などが決められている。安全に輸送されるということが確認できているので、その量が多くなることで特段別途な配慮が必要になるとは思っていない。
○ 原研で扱うトリチウムの量は、ITERのそれに比べると桁は大分違う。ただ、規制としては現行法でおさめられるだろうと思っている。
→ トリチウムについてだが、やはりトリチウムの特性をよく考えた規制をしていくことが重要だと思っている。ただ、IAEA等で免除レベルの検討がされており、トリチウムについても、現行法令では、3.7メガベクレルだが、新しいIAEAの基準は、科学的に検討した結果、1ギガベクレルということで、約300倍弱緩やかになっている。こういうトリチウムの化学的な特性をよく踏まえたITERの規制をしていくことが必要であろうと考えている。また、輸送については、原研では、既にカナダから3回ほど輸送実績がある。25グラムの輸送容器に約20グラムのトリチウムを入れて輸送がされているが、大体1回当たり、ITERの場合だと、150グラムの輸送を年8回ぐらい考えられており、50グラムの輸送容器3個をコンテナに入れることで対応可能と評価をしており、25グラムの輸送容器を50グラムの輸送容器にかえることで、放射線障害防止法上の安全性を持った輸送が可能と見込んでいる。

(6)研究炉等安全規制検討会の検討状況について」事務局より説明の後、委員より意見、質問があった。主な意見及び質問は以下のとおり。

○ 研究炉にはいろいろな用途があり、医療目的に使うこともあると思う。医療法の規制もかかかると思うが、その辺りについての配慮はあるのか。
→ 研究炉において医療照射をする場合は、現在診療所として登録する形で、厚生労働省と調整している。
○ 別添2のリスク・インフォームド型検査については、リスクというものを考えたとき、試験研究炉が持っているリスクと、発電炉が持っているリスクとはかなり違うと思う。また、設備・機器の維持管理のあり方についての検討について「運転温度・圧力が低く、構造材の劣化が少ない」とあるが、いろいろな状況がありここまで書ききれるのか。
→ リスク・インフォームド型検査については、研究炉への導入は困難であると考えており、試験研究炉が持っている潜在的危険性を考えた上で必要な検査をしていくことがよいと考えている。また、研究炉においても確かにHTTR等のように運転温度・圧力の高いものもあるが、一般的には、運転温度・圧力は低いものである。HTTR等の炉もあるということを十分に踏まえて検討している。
○ リスク・インフォームド型検査において、評価が困難とあるが、それはなぜか。
→ 研究炉については、それぞれ炉型や出力も違い、リスク情報が十分に蓄積されておらず、各機器に対する故障率もわかっていない。
○ 必ずしも故障率=リスク情報ということではない。リスク情報とは何かについては未だに議論の途中である。研究炉等安全規制検討会では、実質が伴う合理的な規制を実施するにはどうしたらよいかという点に論点を絞って検討して行きたい。
○ 維持基準は不要という点において、理由が3点挙げられているが、この論理は少しおかしいのではないか。
○ 研究炉等安全規制検討会で検討された結果が示されたわけではなく、事務局より説明のあったものをもとに現在検討しているところである。
○ 別添2の品質保証の取り入れについての検討において、「炉主任を中心とした監査体制に関すること」とあるが、品質保証の監査体制において、本当に炉主任がそれにふさわしいのかについて疑問がある。
→ ここでは一例として、こういうやり方も考えられるということで提案してものである。まだまだ今後十分検討していく必要がある。

(7)放射線安全規制検討会の検討状況について」事務局より説明の後、委員より意見、質問があった。主な意見及び質問は以下のとおり。

○ 資料6の別紙3において、医療法・放射線障害防止法の二重規制の問題等が取り上げられているが、報告書作成にあたっては厚生労働省と十分連携を図り、利用者にとって適切なものとしてもらいたい。
→ その方向で検討させていただく。
○ 検討事項として「放射化物の扱い」とあるが、どの程度進んでいるのか。
→ 現行法令上は放射化物についての規制がなく、汚染された物として放射性廃棄物としているが、通達等により他の廃棄物と同様に扱うこととしている。今まで想定していなかった高エネルギーの発生装置等もかなり出てきており、放射化が増えている。また、半減期が非常に短い物も多いようなので、法令で明確にし、取り扱い等も考慮していきたい。

(8)環境放射能調査研究に係る課題事項のフォローアップ状況について」事務局より説明の後、委員より意見、質問があった。主な意見及び質問は以下のとおり。

○ 水準調査にある、ストロンチウムとかセシウムは存在比が非常に低いため、調査自体は必要ではあるが、試料数を減らすことが必要。また、再処理関連核種の放出に備え、どのくらいのレベルの核種が放出されるのかを事前に把握する必要があると思う。さらに、ウラン、トリウムについても、人間の生活への影響の観点から調査に加えていただいた。
○ 環境放射能データベースを公開するというのは、ぜひやっていただきたい。防災の基本は、普段がどういう状況かというのを知っておくことであるので、一般の人に対し、目に見えるような分かりやすい形で公開していただきたい。
○ 資料6の3ページ下にある「環境放射能水準調査の試料数」の試料というのはどういう単位になるのか。
→ 水や土といったものを一つの単位としている。
○ かなり一般人に密接に関係したものだと思うので、試料数をもっと増やしてほしい。予算との関係があるとは思うが、もっと要るような気がする。
→ データベースの公開については、わかりやすく公開することが大事。いろいろな問い合わせに対応していきたい。また、試料数については、今後とも努力していきたいが、それぞれの核種におけるバランスも大事なので、その辺をご指摘の点をよく踏まえて、総合的に検討していきたい。

(9)全体を通しての委員より意見、質問があった。主な意見及び質問は以下のとおり。

○ 私は、原子力については必ずしも専門家ではなくこの会議に出席することになったが、本日中心議題であったITERについては、専門外の人にはなかなか意見が出せないと思う。この会議は「原子力安全規制等懇談会」という名称で懇談会の名ではあるが、懇談会の雰囲気はなく、ただ説明を承るだけの場と感じた。
→ 中にいると、安全規制、保障措置、いろいろな言葉、略語が普通になり、どうしても一般の方の感覚からずれてしまっているという点が多々あろうかと思う。これからご指摘を踏まえ、座長ともよく相談をして、資料のタイトル等、もう1度丁寧にご相談申し上げたいと思う。
○ 私も、全く素人なので、甚だ疎外感、無力感がある。事前に資料を送っていただき、少し議論をするなど、余裕を持っていただけると、私たちは、わからないことはわからないとお話もできると思うので、まずそこからでもお願いしたいと思う。

(10)岡座長より閉会の挨拶

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課

担当:角田、山之内
電話番号:03‐6734‐4026
ファクシミリ番号:03‐6734‐4027

(科学技術・学術政策局原子力安全課)