試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ地質・地震動サブワーキンググループ(第4回) 議事録

1.日時

平成23年1月18日(火曜日)13時30分から16時00分

2.場所

文部科学省15階 科学技術・学術政策局会議室1
(住所:東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 新耐震指針に照らした試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価について(審議)
  2. その他

4.出席者

委員

杉山主査、伊藤委員、岡村委員、藤原委員、二ノ方委員、翠川委員

文部科学省

吉田原子力規制室長、鎌倉保安管理企画官、江頭安全審査調整官、林安全審査官 他

5.議事録

【吉田原子力規制室長】  それでは、定刻となりましたので、第4回地質・地震動サブワーキンググループを開催したいと思います。委員の先生におかれましては、ご参集いただきましてありがとうございます。

 それでは、本日の進行は、本サブワーキンググループの主査でおられます杉山先生にお願いしたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

【杉山主査】  それでは、新年早々ですが、第4回地質・地震動サブワーキンググループを開催させていただきたいと思います。この会議は公開となっておりますので、発言は手を挙げて、こちらが指名させていただいてから、よろしくお願いいたします。

 それから、今日は傍聴の方もたくさんお見えになっておりますが、ぜひこの審議にご協力いただきたいと思います。

 それでは、今日の配付資料の確認を、よろしくお願いいたします。

【林安全審査官】  それでは、議事次第に基づき、配付資料を確認させていただきます。

 議事次第の一番下に配付資料が記載されておりますが、配付資料として、地質・地震動4-1、「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第3回)~地質・地震動サブワーキンググループ(第3回)における主なコメントの整理(案)」です。地質・地震動4-2から日本原子力研究開発機構の資料となり、地質・地震動4-2として、「大洗研究センター/試験研究炉、基準地震動Ssの策定について」、地質・地震動4-3として、「原子力科学研究所/試験研究炉、基準地震動Ssの策定について」。地質・地震動4-4として、「原子力科学研究所/試験研究炉、原子炉建家の入力地震動について」の3つの資料となります。

 最後に参考資料として、参考-1、「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ 地質・地震動サブワーキンググループ(第3回)速記録」を付けてございます。不足がございましたら、事務局までお申しつけ願います。

 また、委員の机の上には、新耐震指針をつづっております常備資料、青いファイルになりますが、用意してございます。それと、先般、昨年8月に日本原子力開発機構から提出された中間報告(その1)に、昨年12月に追加提出された中間報告(その2)をとじ込んだファイルと、前回までの地質・地震動サブワーキンググループ等の説明資料を、緑のファイルにつづらせていただきました。

 なお、資料、速記録等については、今後、文部科学省のホームページにて公開させていただくこととなっていることをご報告させていただきます。また、参考資料となっております前回の速記録については、既に、文部科学省のホームページにて公開させていただいておりますことをあわせてご報告をさせていただきます。なお、傍聴者の方々にはホームページをご参照くださるよう、お願いいたします。以上です。

【杉山主査】  どうもありがとうございました。

 資料の過不足等は、特にないでしょうか、よろしいでしょうか。

 ないようでしたら、次の議題に移りたいと思います。最初は、地質・地震動4-1ですね。全体の妥当性確認ワーキンググループから第3回地質・地震動サブワーキンググループまでの主なコメントの整理(案)ですね。説明をよろしくお願いいたします。

【林安全審査官】  それでは、資料の地質・地震動4-1に基づき、主に、前回の地質・地震動サブワーキンググループにおけるコメントについて説明させていただきます。

 1ページ目の「地質・地質構造」の「陸域」になります。

 最初に、「確認の主なコメント」の欄の「棚倉破砕帯西縁断層の評価」で、「の評価」のところに下線がついております、この部分については、前回、「評価」とか、「活動性」等の語句はありませんでしたが、「の評価」を追加させていただきました。

 続きまして、その右側の「コメント」欄の「地質・地震動(第3回) 」のところからお願いしたいと思います。

 「露頭で確認された断層には、最近活動した形跡が認められたか。」とのコメントに対し、「釜の平から田ヶ町で認められる断層については、断層面は平面的であり、確認された断層の中では新規に活動したものと考えられるが、活動年代を示す調査結果は得られていない。」との回答でした。

 また、「耐震設計上、考慮した区間は、Lcリニアメントが判読されており、地表地質調査から左ズレの変位センスが卓越する断層が確認されている。現在の東西圧縮の広域応力場から考えても、活動は否定しきれないと思われるため、耐震設計上考慮すべき断層と評価したのは妥当と考える。また、断層の長さについても、調査結果から13kmとしたことは妥当と考える。」と、コメントをいただいております。

 続きまして、「棚倉破砕帯東縁付近の推定活断層の評価」です。ここも前回までの資料では、「派生断層の活動性」との語句でしたが、日本原子力研究開発機構の報告書において、「推定活断層」とされておりますので、今回、修正させていただき、「推定活断層の評価」とさせていただいております。また、「活動性」という語句についても、コメントが広範囲にわたるため、大きく捉えるよう、「評価」と変えさせていただいております。

 この項目についても、「地質・地震動(第3回)」の部分を読みます。

 「判読されたLcリニアメントについては、どのような成因により形成されたものか。」とのコメントに対し、「判読されたLcリニアメントは、西側が低い急斜面や三角状の急崖からなり、地表地質調査により確認された阿武隈花崗岩類とカタクラサイトの境界とほぼ一致していることから、岩質の違いによる浸食に対する抵抗性の差を反映した組織地形と判断している。」との回答でした。

 続きまして、「関口-黒磯リニアメントの評価」です。

 「活断層詳細デジタルマップには推定活断層の認定根拠の記載はあるか。推定活断層の記載ぶりが、谷も尾根も関係無く真っ直ぐ引かれると違和感がある。もう少し幅広に見て断層の無いことを確認する必要がある。」とのコメントに対し、「活断層詳細デジタルマップには認定根拠の記載はない。デジタルマップの縮尺が1/25,000 であるため、ある程度の誤差を見込んで、各地点で幅広に調査している。大北川地点でも幅広に調査した結果から、リニアメント付近には断層が認められないことを確認している。」との回答でした。

 「関口-黒磯リニアメント」の「上和野地点」におけるコメントです。

 「上和野地点の調査範囲については、リニアメント位置により東側に広範囲に調査されているが、KW-3とKW-4のボーリング結果では、基盤面にもレベル差があり、KW-1とKW-2では、基盤岩の種類も異なる。KW-1は花崗岩類で、KW-2は粗粒砂岩でございました。それに対し、何らかの説明が要ると思う。」とのコメントをいただきました。それに対し、日本原子力研究開発機構からは、「KW-1からKW-4のボーリング結果から、基盤岩上部のM1段丘堆積物の層相、年代観は各ボーリング位置で同程度であることを確認し、M1段丘堆積物の基底面は地形面と調和的で緩やかに東側に傾斜する構造となっていることから、断層に起因するような変位・変形は認められない。また、KW-1とKW-2における基盤岩の相違は、周辺の地質分布とも一致しており、判読されたリニアメントは地層境界をとらえているものと判断している。」との説明でした。

 続きまして、2ページ、「関口-黒磯リニアメントの評価」の「上和野地点」の続きです。

 「判読されたリニアメントについては、どのような成因により形成されたものと考えているか。」とのコメントに対し、「判読されたリニアメントは、阿武隈花崗岩類と白水層群との地層境界とほぼ一致しており、岩質の違いによる浸食に対する抵抗性の差を反映した組織地形と判断している。」との回答でした。

 また、「上和野地点の地形面区分図において、段丘面として近傍の人工改変地まで含めて着色しており、資料を修正すること。」とのコメントに対し、「拝承。」との回答でした。

 続きまして、「大北川地点」については、「大北川地点で実施した谷沿いの露頭における観察では、断層は確認出来なかったのか。」とのコメントに対し、「花崗岩の連続露頭を確認し、断層は認められなかった。」との回答でした。

 続きまして、「大北川地点には2本の斜めボーリングを実施しているが、破砕部が確認されたのは片方のみか。また、破砕部はリニアメントと一致するようなものだったのか。」とのコメントに対し、「破砕部は片側のボーリングのみ確認され、リニアメントに一致するような破砕部は認められなかった。」との回答でした。

 続きまして、「関口-米平リニアメントの評価」です。これについては、前回の資料にはありませんでしたが、日本原子力研究開発機構からの報告書に、「関口-米平リニアメント」と「関谷断層」に関する報告がございますので、確認のポイントとして追加させていただき、次回以降、ご確認いただく予定としております。

 続きまして、「鹿島台地・行方台地周辺の活傾動の評価」のところです。

 「M1段丘堆積層という線は、この基底が、M1段丘面に相当するという意味か。」とのコメントに対し、「M1段丘面としましては地表部分と認識している。また、下側の線はM1段丘堆積層の基底を示している。」との回答でした。

 続きまして、「東茨城層群の年代はいつごろのものか。」とのコメントに対し、「年代的には高位の段丘面である。」との回答でした。

 続きまして、「海側の高まりについて、どのような成因により形成されたものと考えているか。」とのコメントに対し、「海側の高まり部分の層相をみると、海浜の砂丘が厚く堆積していることが調査結果から確認されている。ただし、海側のみが厚く堆積されている成因については不明である。」との回答でした。

 2ページの下から「海域の断層」になり、「F1断層」についてですが、3ページの一番上から説明させていただきます。

 「提示された断層評価に係る解釈は、保安院における東海第二発電所の審議において提示された資料内容と同一か。」とのコメントに対し、「同一の内容である。」との回答でした。

 続きまして、「F1断層は正断層であり、現在の広域応力場との関係では活動性はないと評価している。一方、F3、F4断層も正断層形態であるが、耐震設計上考慮すべき断層としている。これら断層評価の考え方に矛盾が生じている。」

 「F1断層の音波探査記録の断面図については、浅部が不鮮明でリンギングを反射面として、断層面の上端をとめている箇所や、断層線自体の位置が誤りと思われる箇所がある。具体的には、測線.7(P.100)については、断層位置が撓曲崖の中間に引いているが、撓曲の端部に修正するべきである。また、海底地形に崖が認められており、断層変位が海底面付近まで及んでいないとは言えない。また、測線No.9(P.101)については、断層直上の海底地形に西側落下の顕著な崖があり、反射法の結果においても、断層が深部、中間及び浅部で海底地形に整合的で、安全側に評価する観点では、活動性を否定できない情報と思われる。これらの測線では断層を完全に否定する情報が得られておらず、F1断層が変位・変形を与えている地層をまとめた音波探査結果(P.103)についても、同様のことが言える。」

 「F1断層は保安院における東海第二発電所の審議において、地震動評価を行い、基準地震動には影響の無いことが評価書に記載されている。F1断層を耐震設計上考慮しない場合においても、何らかの形で、地震動を提示いただきたい。」とのコメントがありまして、日本原子力研究開発機構からは、「調査結果はすべて提示済みであり、評価の考え方について検討を行う。」としております。

 F1断層に関するコメント、回答並びにこれらの検討については、次回以降の回答として予定してございます。

 続きまして、「F3~F4断層」になります。

 「F3断層の測線No.23A(P.84)になりますが、については、記録が不鮮明で、この反射面では地質構造を判断するのは難しい。」とのコメントに対し、日本原子力研究開発機構からは「検討を行う。」としております。

 F1断層に関するコメント回答同様、このコメント内容についても、次回以降の回答とさせていただきたいと思います。

 最後に、本日の議事についてですが、本日の議事は基準地震動の策定としておりますが、内陸地殻内地震における検討用地震の選定の中で、耐震設計上考慮する断層として関谷断層が含まれておりますが、ひとまず、地震動評価からとさせていただきたいと考えております。また、海域のF1断層についても、今回の地震動評価には含まれておりませんのでご了解ください。よろしくお願いいたします。以上です。

【杉山主査】  どうもありがとうございました。

 ここのように、コメントとしては、F1断層等、沢山の内容が記載しております。ご発言の内容と違っているとか、これはおかしいのではないかという点がありましたら、ご指摘いただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 岡村さん、よろしいですか。F1断層について、沢山記載されておりますが、かなり正確に書いていただいているかと思います。

【岡村委員】  はい。

【杉山主査】  1点、私からよろしいでしょうか。

 「回答」の方なので、これでもよろしいかと思いますが、少し語句が気になりましたので、1ページの「棚倉破砕帯東縁の推定活断層の評価」のところで、「回答」の2行目、「西側が低い急傾斜や三角状の急崖からなり、」との部分の、「急傾斜」は「急斜面」と、「三角状の急崖」は「三角末端面」と言いますが。

【JAEA 中山氏】  はい。そうです。

【杉山主査】  そうでしたら、原子力安全委員会でも確認されるのであれば、「急傾斜」や、「三角末端面」とした方が、地形の専門家にはすぐにご理解いただけると思います。

 また、「棚倉破砕帯西縁の評価」の方の回答の最後ところに「活動年代を示す調査結果は得られていない」とありますが、普通は、「活動年代を示す調査データ」とか、「データは得られていない」とした方が良いと思います、2点程、気がつきましたので。

【鎌倉保安管理企画官】  はい。わかりました。

【杉山主査】  よろしいでしょうか。

【鎌倉保安管理企画官】  はい。

【杉山主査】  それでは、この地質・地震動4-1の議題は終わりにさせていただきたいと思います。特になければ、その次の議題に行ってよろしいですね。

 今日は、基準地震動の策定ということで、まず、地質・地震動4-2の方、「大洗研究開発センター/試験研究炉 基準地震動Ssの策定について」、ご説明をお願いいたします。

【JAEA山﨑氏】  原子力機構の山﨑といいます。よろしくお願いします。

 それでは、最初に、大洗研究開発センターの基準地震動Ssの策定についてご説明させていただきます。資料の枚数がかなりありますので若干説明が長くなると思いますが、よろしくお願いします。

 まず、本資料の内容ですが、地震に関する調査、地震発生層の検討、敷地地盤の特性、震動特性等を検討し、検討用地震を選定、そして地震動評価、それから、震源を特定せず策定する地震動を評価し、基準地震動を策定する内容となっております。

 また、資料中の右肩には、原子力科学研究所との同異について記載しておりますが、この後で説明させていただく原子力科学研究所とは、内容的にはほとんど一緒ですが、この辺の同異について、同じところは同じ、違うところは違うと、記載させていただいております。

 最初に、基準地震動Ssの策定フローとして、地質調査から求まる断層の長さや位置等を基に、敷地ごとに震源を特定して策定する地震動を検討いたします。評価については「応答スペクトル手法」、「断層モデルを用いた手法」で地震動評価を行っております。また、それとは別に、「震源を特定せず策定する地震動」を評価し、基準地震動を策定いたします。また、参考として、この青い枠の下に「地震動の超過確率」と記載しておりますが、本資料には、この「地震動の超過確率」の内容は含まれておりません。

 まず、敷地周辺における地震の発生状況です。これは敷地周辺におけるマグニチュード5未満の地震の分布を示したもので、こちら左側が深さ30km以浅のところ、真ん中が30kmから60km、右側が60kmから100kmを示しており、浅い方の地震を見ると、敷地周辺では、深さが浅いところでは、地震はほとんど発生していないことがわかります。それから、30kmから60kmを見ると、茨城県の南西部はフィリピン海プレートに関する地震、茨城県沖、鹿島灘では太平洋プレートに関する地震が起きております。

 さらに深くなるとサイト直下では、太平洋プレートに関する地震が発生しております。こちらはその断面をとったもので、青い四角で囲った方が東西方向で、赤い四角で囲った方が南北方向です。サイト直下では深さ50km以深のところで地震が発生し、それより深いところでは、太平洋プレートの二重深発地震面が確認できます。

 次に、過去の被害地震ですが、主な被害地震として、1895年の霞ヶ浦付近の地震、1896年の鹿島灘の地震、1930年の那珂川下流域の地震が挙げられます。これら地震の震度としては、水戸の震度となりますが、震度5と推定されております。それから、敷地周辺の主な活断層として、地質の方でご説明したように、関谷断層、関東平野北西縁断層帯、棚倉破砕帯西縁断層の一部、F3~F4断層があります。また、棚倉破砕帯西縁断層の一部については、地質調査の結果では13kmでしたが、地震動評価上はマグニチュード6.8を確保するために長さを16kmとして扱っており、両端を1.5kmずつ増やしてございます。マグニチュードと震央距離の関係では、F3~F4断層以外の地震については震度4から5に、F3~F4断層の地震については震度6になります。

 それから、活断層の微小地震の分布を見ると、関谷断層については、ほぼ断層に沿って地震の発生が確認されております。関東平野北西縁断層帯についても、一部のところで地震の発生が確認されておりますが、棚倉破砕帯西縁断層の一部やF3~F4断層では、地震の発生は確認されておりません。

 次に、地球物理学的な知見ということで、こちらは地震調査委員会によるプレート境界面の推定等深線図ですが、サイトの位置では大体50kmから60kmにプレート境界面があります。それから、こちら側はGPS連続観測データから推定した定常時の歪みの変化で、サイト辺りでは、歪みはさほど大きくなっていなく、歪みが大きくなる地域ではないということがわかります。

 こちらは重力異常分布を示すものですが、サイトの位置は、重力が急変しているところではございません。こちら側がキュリー点分布ですが、サイトの位置では約14kmの深さにあります。

 10ページに移り、コンラッド面が約16km、モホ面は約31km、ここは少し線が込み入って分かり難いのですが、拡大して見ますと、約31kmとなってございます。

 11ページは、他機関の検討ということで、地震調査委員会では、活断層や地震の評価がなされており、関谷断層については長さが38km、マグニチュードは7.5程度、関東平野北西縁断層帯については長さが82km、マグニチュードは8程度とされております。三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価では、茨城県沖の領域でマグニチュード6.7から7.2とされ、地震動予測地図においても、茨城県沖ではマグニチュード6.7から7.2程度とされております。

 次に、中央防災会議でも検討されており、こちらは首都圏直下地震に対する防災対策に係る検討のために地震動を検討しているのですが、茨城県南部の断層を想定し、地震動評価がなされています。ここではマグニチュード7.3を想定しています。

 ここまでが地震に関する調査で、13ページからは地震発生層の検討です。

 地震発生層ですが、昨年8月に中間報告書を提出させていただいた以降、検討を進め、地震発生層を少し見直しております。報告書提出当時ですが、我々の方で、深部地盤構造を把握するために地震波速度トモグラフィ解析を実施し、Vp=6km/s層、地震発生層を評価しました。

 その結果、大洗研の周辺では深さ4kmから16km、原科研がある東海地区では4.8kmから17.5kmと評価し、これに基づき地震動を評価しておりましたが、その後、原子力安全・保安院の合同ワーキングにおける日本原子力発電様の東海第二発電所の審議において、地震発生層を6kmから18kmとし、地震動を評価する際には5kmから18kmとした審議が了解されたこともあり、我々の方も、原子力安全・保安院様の合同ワーキングの審議も踏まえ、再度、検討を実施しております。

 14ページは、原子力安全基盤機構様によるD10%、D90%という地震発生層上下限パラメータの評価ですが、我々の敷地が位置する「福島茨城」という領域では、D10%が6.1km、D90%は18.1kmと評価されています。

 それから、文献調査ですが、「入倉・三宅」、「吉井・伊藤」、「廣瀬・伊藤」、「伊藤・廣瀬」などの文献を調査し、内陸地殻内の微小地震が発生する層は、地盤のP波速度が5.8km/sから6.4km/s程度とされております。

 それから、他機関の検討ですが、海洋研究開発機構様では、福島県の浜通りから福島県沖、茨城県沖にかけての深部地盤構造探査を行っており、地盤の速度構造モデルを評価しております。そこでは、福島県のこの海岸線の位置ではVp=5.5km/sの層が深さで約6km、Vp=6km/sの層が深さで約9km、Vp=6.5km/sの層が深さで約15kmと評価されております。

 それから、「大都市大震災軽減化特別プロジェクト(2003)」では、房総半島の南端から茨城県の鹿島市に至る測線でバイブロサイス等を実施し、地盤の構造、速度構造モデルを評価しております。そこでは、この茨城県の鹿島市、大洗研から少し南になりますが、ここではVp=6km/s層が深度5kmと評価されております。

 それから、「大都市大震災軽減化特別プロジェクト(2007)」では、房総半島を中心にした領域で、やはり3次元の速度構造モデルを推定しており、ここでは茨城県の鹿島市付近を見ると、Vp=5.5km/sが深さ10km、Vp=6km/sが深さ16km、Vp=6.5km/sが深さ20kmと評価されております。

 次に、こちらは我々が実施した地震波速度トモグラフィ解析の結果です、こちらが測線を、こちらがその断面ですが、Vp=6km/sの層について、我々の評価では、原科研の位置では4.8 kmから17.5km、大洗研の方に行くに従い、少し高まり4kmから16kmと評価されました。

 Vp=6km/sの層については、このように評価しておりますが、ここでは地震が発生していないため、地震との対応はつけられておりません。

 それから地殻熱構造で、キュリー点深度は、先ほどご説明したように、大久保のキュリー点深度は14kmで、Tanaka et al.(2005)によるZb深度は、この青緑色の領域で20kmから22kmで、D90%深度では、17kmから23kmと見て取れます。

 21ページはコンラッド面です。コンラッド面16km、モホ面が31km。コンラッド面より上部の層で地震が発生していると言われております。

 以上をまとめますと、22ページの表になり、地震発生層の上端深さは、おおむね5kmと評価されます。厚さについては、最大で13km程度と評価されます。大洗地区については、地震波速度トモグラフィ解析により、若干、その層が上がり、上端が4km、下端が16kmとなってございます。

 この扱いについてですが、地震発生層としては5km、18kmと、4km、16kmが評価されました。5km、18kmが広域の検討、文献、他機関の検討から評価されるもの、それから、4km、16kmが我々のトモグラフィ解析から評価されたもので、どちらも無視できないため、我々としては、敷地におけるF3~F4断層の地震動評価に当たっては多角的な検討ということで、深さ5kmから18kmの場合と、4kmから16kmの場合の両方について、地震動評価をすることとしました。

 続いて、24ページが敷地地盤の特性です、大洗研では、このHTTRという原子炉のわきで地震観測を行っております。それから、大洗研の解放基盤はT.P.-135m、ここは新第三系中新統の多賀層で、S波速度が1.01㎞/sとなっております。

 続いて、観測された主な地震としてご紹介するのは、この2002年2月12日の地震、2004年10月23日の地震、2005年10月19日の地震でございます。茨城県沖と新潟県、中越地方での地震でございます。こちらは地震ごとに見たもので、深さG.L.-250mで、解放基盤より深いところの観測記録です。よくまとまっていることがわかると思います。特に、敷地における東西方向、南北方向の異方性は見られません。

 27ページは、深度方向に見たものです、水色の一点鎖線が最深部の観測記録で、黒の実線が地表の観測記録です。地表に行くに従い、増幅していますが、特に、増幅に関して異常な傾向は見られません。この観測記録を用いて、応答スペクトル手法で用いるNoda et al.のスペクトルの補正係数を求めています。

 こちらが浅部地盤構造モデルです。

 こちらがNoda et al.のスペクトルとの残差を評価したもので、この茨城県沖でも、この狭い領域、鹿島灘の領域と、そのほかの領域を分けて考える必要があり、この鹿島灘の領域では、短周期では3.5倍程度と、その他の領域よりも特異的に大きくなっています。この領域を除くと、大体1倍でNoda et al.のスペクトルと大きな差はないのですが、この領域だけは特異で、特別に扱うこととしております。

 それから、沈み込んだ太平洋プレート内の地震ですが、こちらもNoda et al.のスペクトルとの残差をとってみると、短周期側では2.5倍になっており、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界の地震も、茨城県の南西の方角ですが、2.5倍。沈み込んだフィリピン海プレート内の地震は、やはり茨城県南西部の方角で、2倍程度となっており、この赤い線をNoda et a..のスペクトルに対する補正係数としております。

 それから、内陸地殻内の地震ですが、内陸地殻内の地震は観測されていなく、また、内陸地殻内の補正は低減する傾向であるため、この補正は用いておりません。

 次に、検討用地震の選定で、こちらが内陸地殻内地震の応答スペクトル評価結果です。F3~F4断層が一番大きくなっております。

 プレート間地震では、鹿島灘の地震、短周期側を3.5倍としているため、このような形になって少し、いびつに見えるかもしれませんが、鹿島灘の地震がサイトには一番影響がありました。

 それから、海洋プレート内地震では、この1から4番までがフィリピン海プレートの地震で、太平洋プレートの地震がなかったため、太平洋プレート内の地震として、地震調査委員会で検討されている震源断層を予め特定しにくい地震を加えております。検討結果は、茨城県南部の地震が一番大きくなっております。

 これらを検討用地震としました。

 この3つの地震の地震動の中では、F3~4断層の応答スペクトルが最も大きく、検討用地震として選定された3つの地震については、日本原子力発電様や、日本原子力研究開発機構のほかの核燃料サイクル工学研究所、原子力科学研究所と同様です。

 次に、37ページの地震動評価手法ですが、地震動評価手法については、応答スペクトルとしてNoda et al.のスペクトルの手法を用いております。断層モデルを用いた手法の方は、適切な要素地震がある場合は、経験的グリーン関数法を、観測記録が無い場合は、統計的グリーン関数法を用います。そのほかに長周期側は波数積分法で評価し、両者を適切な周期帯で合成するハイブリッド合成も行います。

 こちらは、その流れを示したものです。

 まず、鹿島灘の地震です。

 鹿島灘の地震は地震規模としてマグニチュード7.3、これは宇津によるものです。断層位置については、震央の位置を断層面の中心とし、深さや走向傾斜については、この地震調査委員会の等深度線に基づき設定しております。パラメータについては海溝型地震の強震動予測レシピに基づいております。

 40ページは、断層モデルのパラメータ設定ですが、地震モーメントMOは佐藤(1989)から、気象庁マグニチュードMjからM0を求め、短周期レベルについては、観測記録による震源スペクトルインバージョンの結果をスケーリング則に沿って設定し、あとは強震動予測レシピに従って設定しております。

 41ページが、気象庁マグニチュードMjと地震モーメントM0の関係です、気象庁マグニチュード7.3から地震モーメントM0を設定します。右側に示す短周期レベルAですが、スペクトルインバージョンの結果をスケーリング則に沿って設定します。それから、不確かさとして短周期レベルを上げた場合と、マグニチュードを7.3から7.5に変えた場合も検討しております。短周期レベルについては、これはプレート境界の地震なので、内陸地殻内地震のように1.5倍という訳にはいかないため、インバージョンの結果から求めています。

 42ページが、断層モデルのパラメータの一覧です。

 43ページは、サイトと断層の位置関係です。破壊開始点はサイトに向かうよう北東端と南東端に2カ所に設定しております。

 それから、不確かさとしては、アスペリティをサイトに近づけた場合、断層面位置をこのプレートに沿ってサイト直近に移動した場合、地震規模をマグニチュード7.3から7.5に変えた場合、短周期レベルを変えた場合、を設定しております。

 また、不確かさとの観点とは少し違うかもしれませんが、要素地震を変えた検討も実施しております。要素地震ですが、2005年10月19日、マグニチュード6.3という、鹿島灘の領域で起きた地震、これを要素地震として使っておりますが、そのほかに2004年4月4日、同じような位置で、マグニチュード5.8の地震について、こちらでも一応、評価しております。要素地震のばらつきを考慮したという位置付けになると思います。

 47ページが、応答スペクトルに基づく評価で、全ケース、重ね書きしたものです。緑の線、断層面位置を近づけた場合が一番大きくなっております。

 48ページは、断層モデルを用いた手法による評価結果、全ケース、重ね書きしたもので、こちらは水色の線、短周期レベルを上げた場合が大きくなっております。

 また、ハイブリッド合成については、一番大きな評価結果となった短周期レベルのものをハイブリッド合成しました。太い線がハイブリッド合成の結果で、細い線が経験的グリーン関数法の結果です。ハイブリッド合成した方が長周期、2秒から5秒までは、逆に小さくなる傾向でした。鉛直についても同様です。

 次に、茨城県南部の地震です。茨城県南部の地震については、基本的には中央防災会議に基づいて設定しております。断層面の位置については、このサイトに一番近い、中央防災会議が設定した領域で北端に断層を置いております。断層傾斜角は鉛直です。

 なお、中央防災会議でのプレート内の地震については、茨城県南部の地震は評価していなく、同じプレート内の地震として、東京湾北部直下のプレート内地震を評価しているため、こちらを参考に、茨城県南部の地震のパラメータを設定しました。

 こちらが、パラメータ設定の基本フローでございます。

 また、こちらが、パラメータ一覧です。

 これが、断層とサイトとの位置関係になります。

 55ページ、不確かさについては、今回はアスペリティの位置を変えた場合のみです。もともとの基本ケースにおいて、サイトに一番近い位置に断層を設定し、地震規模もこの領域で最大規模のものを採用し、そのほかのパラメータは中央防災会議で検討されているということで、アスペリティの位置を変えたもののみを不確かさとして考慮しています。

 56ページが、応答スペクトルに基づく手法で、アスペリティを近づけた方が大きくなります。

 57ページが、断層モデルの結果の重ね書きしたものです。こちらもアスペリティを近づけた方が、若干、大きくなります。

 58ページが、ハイブリッド合成した結果で、この場合も太線がハイブリッド合成ですが、ハイブリッドした方が、長周期側では小さくなる結果でした。

 次に、F3~F4断層です。パラメータは強震動予測レシピに従って設定しております。

 それで、断層の上下端深さについては4km、16kmと、5km、18kmの両ケースについて評価しています。5km、18kmにした場合、上端深さが1km下がっても、断層面積については、若干、大きくなります。

 61ページは、断層とサイトの位置関係です。見た目ではよくわからないのですが、このような位置関係です。

 62ページは、不確かさの考慮です。不確かさとして、アスペリティの位置、断層傾斜角、短周期レベルを考慮しております。断層傾斜角は調査の結果は60度ですが、45度とした場合を検討しております。短周期レベル1.5倍は、中越沖地震の知見の反映でございます。

 64ページが、応答スペクトル手法による評価結果を重ね書きしたものです。少し分かり難いですが、断層傾斜角を変えた場合の緑の線が、少し大きくなっています。

 65ページが断層モデルを用いた手法の評価結果でございます。

 66ページがハイブリッド合成で、最初に、アスペリティ位置を変えた場合で、こちらは先ほどとは違い、ハイブリッド合成した方、太い線が、長周期側で大きくなっております。

 次に、断層傾斜角を変えた場合のハイブリッド合成です。

 それから、短周期レベルを変えた場合のハイブリッド合成が68ページになります。

 以上、ここまでが震源を特定して策定する地震動で、69ページからが震源を特定せず策定する地震動評価になります。

 まず、地震調査委員会では震源を予め特定しにくい地震というものを評価しており、大洗研のサイトが位置しますこの領域、ここでは最大マグニチュードは6.8とされております。それと、敷地から100km程度以内の領域では、震源が特定できない地震として1725年の日光の地震、1888年の栃木県の地震、1949年の今市の地震がありますが、地震の規模としては、マグニチュード6から6.4程度です。

 震源深さの地域性としては、地震発生層のところでご説明したとおり、深さ4kmから16km及び5kmから18kmに設定します。4kmから16kmと設定した場合は、地震規模はマグニチュード6.6になります。また、深さ5 kmから18kmとした場合は、地震規模は6.7となります。

 ということで、震源を特定せず策定する地震動としては、加藤ほかのスペクトル、加藤ほかはマグニチュード6.8相当でスペクトルを評価しているため、こちらを大洗サイトの震源を特定せず策定する地震動と設定しました。

 72ページは、応答スペクトルに基づく手法による地震動の評価結果と、基準地震動Ss-Dの比較です、基準地震動Ss-Dはこの赤い線ですが、応答スペクトルの評価結果を包絡するように設定しております。最大加速度は水平成分で600gal、鉛直成分で400galとしました。

 73ページは、断層モデルを用いた手法による評価結果と、基準地震動Ss-Dの比較です。断層モデルの場合は基準地震動Ss-Dを超過するものが幾つか見られます。

 74ページには、超過するものと基準地震動Ss-Dの比較を、原子炉建家の代表的な固有周期と合わせ示しております。原子炉建家の固有周期付近で超えているものや、原子力施設は短周期構造物であるため、短周期領域で基準地震動Ss-Dを超えているものを、断層モデルによる基準地震動Ssとし、この赤、青、緑の3波が、基準地震動Ss-Dを超えているため、この3波を断層モデルによる基準地震動Ss-1、2、3としました。

 76ページは、模擬地震波の応答スペクトル比で0.85以上を、SI比も1以上を確保していることを確認しております。

 77ページは、基準地震動Ss-Dの時刻歴波形です。振幅包絡線の経時変化はNoda et al.に基づき設定しており、マグニチュード7.3、鹿島灘の地震をイメージして決めております。水平成分の最大加速度600galは21秒で発生し、鉛直成分の最大加速度400galは16.5秒で発生しております。

 78ページが、断層モデルを用いた手法から求まる基準地震動Ss-1です。最大加速度はEW成分で509gal、6.16秒で発生しています。

 79ページは、基準地震動Ss-2で、最大加速度はEW成分で697gal、4.35秒で発生しています。

 80ページが、基準地震動Ss-3で、最大加速度はEW成分で487gal、 5.69秒で発生しています。

 以上が、大洗研における基準地震動Ssの策定についてです。

【杉山主査】  どうもありがとうございました。内容が盛りだくさんで大変だと思いますが、最初に、地震と地震発生層のあたりから区切って質疑したいと思います、いかがでしょうか。

 地震発生層については、確か、原子力安全・保安院の東海第二発電所の最後の合同ワーキングの時も、いろいろな意見が出たと思いますが、今回は、日本原子力研究開発機構で実施した、19ページ等に記載されている地震波速度トモグラフィ解析の結果等を参考に、4km、16kmと再評価し、それから既往評価の5km、18km、その両方で検討したということですが、その辺について、ご意見等がありましたら。ほかのことでも結構ですが、まず、前の方でありましたら、よろしくお願いいたします。

 いかがでしょうか。翠川委員、藤原委員、何か、よろしいですか。もしご意見があれば。

【藤原委員】  発生層に関しては、これでもう結構かと思います。

【杉山主査】  よろしいですか。それでは、その後の、敷地の地盤の特性のあたりはいかがでしょうか。それ以降のところで、もし何かありましたら。

【JAEA 山﨑氏】  すみません、誤記がありました。

 25ページですが、地震観測の諸元、四角の枠の中に、「東海震度」と記載しておりますが、これは「水戸震度」の間違いです。訂正させてください。

【杉山主査】  はい。ここが水戸ですね。

【吉田原子力規制室長】  全部「水戸震度」ですね。

【JAEA 山﨑氏】  はい。すみません、26、27ページも同様です。「東海震度」ではなくて「水戸震度」です。申し訳ありません。

【翠川委員】  よろしいですか。

 30ページに、地震観測記録を用いた検討として、補正係数が設定されておりますが、これはプレート間地震で、鹿島灘の地震について、この地図にプロットされている丸印の色が分かりません。鹿島灘の地震は、この赤色のどこの範囲を示しているのですか。何か、非常に近いところにオレンジ色のものもあるようで、分かり難い図となっています。

【JAEA 山﨑氏】  すみません。赤色の箇所になります。

【翠川委員】  鹿島灘のプレート間地震の定義を教えて下さい。緯度・経度で何度から何度と決められたのですか。

【JAEA 山﨑氏】  そのような決め方はせず、この辺の領域の地震として決めています。

【翠川委員】  鹿島灘の地震としては幾つあるのですか、マグニチュードはどの位のものですか。プレート間の地震でも、これだけが大きくなる訳について、なぜ、そのようになのかが不思議です。

【JAEA 山﨑氏】  この領域で、なぜ短周期が大きくなるのかは・・・・・・。

【翠川委員】  いや、まず、マグニチュードがどの位の大きさで、これは何個の地震の平均としているかとか、そのような基本的な情報を教えていただく必要があると思います。

【JAEA 桐田氏】  まず、地震の数に関してですが、グラフが右に並んでおりますが、グラフの上に「N=」と書いてあります、これが地震の数となっており、ほかの地震のグラフについても同じように記載しております。

【翠川委員】  鹿島灘の地震については9個。そうすると、この横の地図で、どれのことですか。逆に言うと、オレンジ色のN=3という地震の震源はどれですか。

【JAEA 桐田氏】  N=3となっているものは、この辺りの地震を示しております。

 この辺りで観測された地震動については、Noda et al.のスペクトルとの比をとった時に、東海地区でも同様な現象が確認されておりますが、その震源によって、短周期側が上がる傾向が確認できたため、今回は太平洋プレートに関する地震を2つのパターンに分け検討しております。なお、この原因については、明確なところは、現状ではわからないのが正直なところです。

【翠川委員】  こちらの鹿島灘の地震の震源の方が深いということですか。

【JAEA 桐田氏】  そうです。プレートの沈み込みが太平洋側から陸に向かって沈み込む関係で、多少、赤色の鹿島灘のプレート間地震の方が深くなっています。

【翠川委員】  深いから、応力降下量が高くなるとか、そのようなことはあるのですか。

 いや、どのように解釈するのでしょうか。

【藤原委員】  これはわからないな。

【杉山主査】  今の点、よろしいですか。

【翠川委員】  はい。

【杉山主査】  それでは、藤原委員。

【藤原委員】  今の点にも少し絡むのですが、この30ページで、鹿島灘のプレート間地震の短周期のところでは、少しかさ上げした方が良いという評価をここでされておりまが、41ページと42ページの断層モデルの基本パラメータの設定では、この鹿島灘付近で発生した地震の短周期レベルの検討ということで、この地域性を生かした検討の結果を見てみますと、42ページで、アスペリティの応力降下量が6.27という値になっており、これは普通の日本全国を平均した値と比べ、半分位の値になっております。これがすごく気になっていて、地域性を入れることによって、短周期レベルを5割位に低減していることになっています。

 したがって、これら地域性の検討から言えることは、この鹿島灘で発生する地震は、わりと大人しい地震で、あまり高周波の地震動を出さないことを言っているにもかかわらず、30ページの検討結果では、経験式を若干かさ上げしなければいけないとしております。ここに、この資料の中に矛盾があるのではないかと思います。

 ほかのところでも同じ資料が提示され、そこで指摘させていただき、その結果、この詳細な断層モデルを使ってパラメータ設定をする部分については、不確かさを考慮し、この6.27という値を、もう少し大きな値を見るという形で議論が進んでいったところもありますが、ここに関しては、少し整理が必要かと思います。

 最終的には、これよりも高い地震動レベルの地震が考慮され、基準地震動の策定には、直接、影響は無いとは思いますが、一番、発生頻度も高く、注目されるであろう、この地震について、論理構成が、若干弱いことが気になっております。

【杉山主査】  いかがですか。ここはかなり重要な指摘だとは思うのですが、特に、30ページでは3.5倍とされており、断層モデルの基本パラメータ設定とは、あまり矛盾がないようにするべきかと思います。

【藤原委員】  そうですね。なぜ、応答スペクトルによる地震動評価では、かさ上げの傾向にあるのに対し、断層モデルでの短周期レベルを取り出した場合には、このように小さくなっているのか。

【杉山主査】  何か、今すぐお答えできることがあれば。

【翠川委員】  2005年茨城県沖地震のサイトでの観測記録はやはり大きいのですか。 Noda et al.のスペクトルとの残差を評価した9個の地震については平均としておりますが。

【JAEA 山﨑氏】  2005年茨城県沖地震は41ページに地震モーメントと短周期レベルの関係という図が右側にありますが、平均的なところです。

【翠川委員】  そうではなく、観測記録です。サイトでの観測記録の地震動の強さです。要するに、26ページの2005年茨城県沖地震の応答スペクトルは、耐専スペクトルに比べ大きいということですか。

【JAEA 山﨑氏】  はい。この鹿島灘の領域の地震については、耐専スペクトルよりも、短周期側で大きくなっております。

【翠川委員】 9個の平均はそのような検討結果ですが、2005年茨城県沖地震自体もそうですかという質問です。

【JAEA山﨑氏】  今は、2005年茨城県沖地震の応答スペクトルと耐専スペクトルとの比較は持っておりませんが、この地震についても、確か、短周期側で大きくなっていたと思います。それで、応力降下量については強震動予測レシピに基づいて計算しており。

【藤原委員】  ただ、1点、違うところは、41ページの、平均的な、あまり地域性について検討がなされていない場合の、この地震モーメントと短周期レベルの関係式は、いろいろな地震を回帰した式があります。そこから得られる値と、ここでは特別に、鹿島灘の地震に特化して回帰指標をつくられている。そうすると、こちらの値が、大分、小さくなっています。ですから、地域性を入れて安全側というより、地域性を入れることによって、ここは半分位で良いということを主張しているので、もちろん、それが確実であれば、説得力もあるし、合理的だとは思いますが、その辺が、若干、不安なところです。

 M7クラスの大きな地震を予測するに当たって、わりと地震の多い地域とは言え、M5、M6位の地震の、ごく一部のデータから回帰し、そこから得られた値が小さいため、本当に大きな地震の時に、そのような応力降下量が小さいアスペリティだけで、データがとれていない大きなM7の地震に対して、それで大丈夫かということが、少し心配です。

 したがって、そこまで強く、この地域性で、レベルを下げることを主張されるよりは、もう少し緩く、全国平均レベル位で設定してみて見ることも良いのではないのかということです。

 多分、こちらには不確かさを考慮したところで、短周期レベルを考えている検討結果が、それに当たると思いますが、そこの短周期レベルの値が、ここに明記されていないので、教えていただければと思います。

 そこで十分、6.27よりかなり大きな値を設定していると思いますが。

【JAEA桐田氏】  鹿島灘の地震の不確かさで考慮した短周期レベルの値については、報告書の表には記載しております。

【杉山主査】  どちらの資料ですか。

【JAEA桐田氏】  資料編です。別冊2/2の資料ですが、それの中程に、第4章というインデックスがあり、ここからが地震動の評価です。大洗研の51ページに、不確かさの考慮として、短周期レベルに着目した断層パラメータの一覧表があり、そこのアスペリティの応力降下量については、17.16という数値を与えております。

【藤原委員】  この値で評価されているため、多分、良いと思いますが、6.27に対し、17.16という値は、普通、短周期レベルを1.5倍するという観点からは、2.5倍以上とられていて、かなり安全側の評価で、結果として、そこそこ問題の無い値になっていると、理解しておりますが、問題は、その論理の進め方です。

 非常に不自然な論理の詰め方になっているため、もう少しすっきりと。初めに、非常に小さな値を設定し、何らかの指摘があって安全側に、多分、この地域の中で、一番レベルの高い方の値を設定し、評価され、落ち着いていると思うのですが。検討途中における様々な段階では、それで良いと思いますが、最終的に、既に、説明資料として、外に出して、多分、ここのサイトでは、この施設だけではなく、ほかの施設についても、同じように、並行して進んだ結果、そのようになっているのだと思いますが、もう少し、すっきりと、初めに5割下げて、あと2.5倍もするというような不自然な説明よりは、もう少し素直に、この地域の地域性を見ると、応力降下量は、若干、低い値かもわからないが、平均的な値もみつつ、少しかさ上げした値で評価しましたと説明されると、資料としては納得できるのですが、初めに、非常に小さな値で、逆に、断層モデルのパラメータでは、このように余裕を見ているのかと思われるような値をとって、全体の整合性をつけている、この説明の流れが、見る人が見ると、少し違和感があるのではないかと思っています。

【翠川委員】  例えば、45ページの、「短周期レベル」の「不確かさの設定について」の欄には、「1の短周期レベルは、鹿島灘付近の地震の平均的なスケーリング則に則り設定した」とありますが、平均的というよりは、2005年の茨城県沖地震で決めたのですよね。単に、並行移動させた。

【JAEA山﨑氏】  はい。

【翠川委員】  だから、そうだと「平均的」というのは、少し言い過ぎですよね。また、「5では最大規模のスケーリング則に基づき設定した。」としていますが、この「最大規模のスケーリング則」とは、具体的に、どのような意味ですか。

【杉山主査】  そうですね。私も45ページの内容と、41ページの図との関係が、よくわかりませんでした。

【藤原委員】  恐らく、41ページには、この回帰をする前の、元々のデータがプロットされていないため、わからなくなっているのだと思います。ここに何点かの実記録があり、その記録から引いた線が、この黒い実線になっており、さらに、ばらつきがあり、その上限をとったものが、先ほどの、十何点幾らという値だと思います。

【翠川委員】  この絵の見方が、わからないです。

【藤原委員】  これだと、情報が少しすっきりしすぎていて。

【杉山主査】  また、41ページの赤丸も、+σの破線上ではなく、破線の下となっていることが、どのようなことなのかよくわからないです。

【翠川委員】  この赤丸は、黒丸を、並行移動したようにも見えますが。何の意味なのかがわからない。

 要するに、藤原委員がおっしゃっているのは説明性の問題だと思います。ストーリーが少し分かり難く、もう少し分かり易く説明いただきたい。多分、最終的な結果として、大きな短周期レベルを採用している値は、多分、そんなに変な値ではないので、最終的に、基準地震動Ssに影響する可能性は低いでしょうが、その辺のストーリーが不自然ではないかということだと思います、というか、十分に説明していただいていないというか。

【JAEA山﨑氏】  はい。わかりました。次回、詳細を確認して、もう少し検討し、説明性の良いもので、ご説明させていただきたいと思います。

【杉山主査】  それでは、今の点、翠川委員、藤原委員のご指摘を踏まえて、次回、もう少し分かり易くしていただき、説明をお願いします。それから、ほかの人が見た時にも、納得ができる資料に修正していただき、多分、最終的には問題無いと思いますが、途中のこの辺りの資料を、きちんと作っていただければと思います。

【藤原委員】  ほかの発生確率が非常に低い、まれだと思いますが、一応、念のために考えている点が、結構たくさんあるので、最終的に、地震動のレベル的にはそれでカバーされていると思いますが、今、ご指摘させていただいたのは、多分、我々が、実際に経験すると思われる一番可能性のある地震は、この鹿島灘の地震で、これは実際、M7位起きるかもわからない。その時に観測記録が、今回、ここで想定した地震動よりも大きくなる可能性があるのではないのかと、見た感じで、直感的にそう思い、もう少し余裕を持って、この応力降下量等を、普通に設定しておけば、実際に地震が起きた時に、その対応も困らないのではないのかなと思いました。

【JAEA山﨑氏】  わかりました。

【杉山主査】  それでは、その点、よろしくお願いします。

【JAEA山﨑氏】  はい。検討いたします。

【杉山主査】  それでは、ほかの点で、ご質問、コメント等ありましたら、よろしくお願いいたします。

【翠川委員】  これは先ほど、いわゆる、この基準地震動Ssに対応する超過確率は、今回含めないということですが、それはどうしてですか。

【杉山主査】  今日の資料には無いということですか。京都大学の確認時には、参照として、超過確率を確認しておりましたが。

【鎌倉保安管理企画官】  京都大学からは、一応、参照するということで、データだけはお示しいただきました。

【翠川委員】  そのように指針にも記載されており、手引きにも記載されていると思いますが、ですから、参照ということで、一応、お示しいただくことになろうかと。

【JAEA山﨑氏】  わかりました。次回、あわせてご説明いたします。

【杉山主査】  京都大学の原子炉の確認時にも。

【鎌倉保安管理企画官】  一応、参照として、データだけをお示しいただいております。耐震指針は発電炉を対象としており、試験研究炉に対しては参考という位置付けです、したがって、超過確率についても、参照として、一応、データだけをお示しいただいた状況でした。日本原子力研究開発機構も、最終的には、お示しいただく予定でした。

【JAEA山﨑氏】  次回、お示しいたします。

【杉山主査】  それでは、よろしくお願いします。

 この他の地震については、どうですか。結果的には、F3~F4断層が、一番効いていると思いますが、この辺はよろしいでしょうか。

【翠川委員】  先ほどのF1断層については、また、今後、提示される予定ですか。

【杉山主査】  今日の資料ではF1断層については、まだ提示されておりません。

【翠川委員】  ええ。今後。

【鎌倉保安管理企画官】  F1断層については、前回、コメントをいただき、日本原子力研究開発機構で検討いただいている状況です。また、原子力安全委員会の方でも日本原子力発電の東海第二発電所の審議がなされており、そちらでの審議も途中段階ということもあり、その状況も踏まえた検討として、次回に評価の考え方を示していただき、このワーキンググループで、どのようにするかをご審議いただく予定としております。

【杉山主査】  よろしいでしょうか。

伊藤委員、よろしいでしょうか。

【伊藤委員】  はい。

【杉山主査】  それでは、一応、これで大洗研究開発センターについては終わりにさせていただき、次に、原子力科学研究所の方の試験研究炉のご説明をお願いします。

 説明が重複する部分については、できるだけ簡単にしていただき、特に、違いがあるような部分をご説明いただきたいと思います。

【JAEA山﨑氏】  それでは、続きまして、原子力科学研究所の基準地震動Ssの策定についてご説明させていただきます。

 基本的には、先ほどの大洗研の方でご説明させていただいたものと、ほとんど同じで、検討用地震についても、鹿島灘、F3~F4断層、茨城県南部の地震で、ほとんど同じでございます。

 ずっと割愛させていただき、地震発生層も同様でございます。24ページまで割愛させていただき、敷地地盤の特性のところを中心にご説明いたします。

 最初に地震観測ですが、本サイトではJRR-3という原子炉のわきで地震観測をしております。解放基盤はT.P.-340m、S波速度は0.71㎞/sの新第三系鮮新統の久米層です。2010年、昨年の2月から観測を開始したばかりですが、設置してすぐ3月に福島県沖で、また6月にも福島県沖で地震が起きております。観測記録としては4波あり、これらを比較し、特異な傾向はありませんでした。

 27ページは、観測記録を深さ方向に並べたもので、やはり、地表に向かって増幅はしていきますが、特異な増幅は見られません。

 昨年2月からの観測では、十分な記録が得られていなく、Noda et al.のスペクトルに対する補正係数の設定や、要素地震に用いる適切な観測記録が無いため、原科研に隣接する、我々のもう一つの拠点施設の、核燃料サイクル工学研究所、サイクル研があり、原科研の南約1.6kmのところなりますが、こちらでは、もう少し地震観測記録があるため、サイクル研の観測記録を用いて、原科研における地震動を評価しております。また、補正しただけでは十分でないため、今後の検討として、地震観測記録の蓄積を待って、先ほどご説明した大洗研のように、本サイトの記録を使った地震動評価を、今後実施していきたいと考えております。

 その補正係数ですが、昨年の地震で、サイクル研と原科研で同一の地震における観測記録を比較し、その比から補正係数を設定し地震動評価を行っております。

 こちらは浅部地盤構造モデルでございます。

 31ページには、敷地の深部地盤構造モデルであり、この断面図は、横に書いてありますが、南北方向を示します。東海第二から原科研、サイクル研という南北の測線で反射法探査を行い、下が探査結果ですが、地震基盤を評価しております。サイクル研、原科研の下では、地震基盤面はほぼフラットですが、東海第二側では、北に行くに従い、浅くなっていくような地下構造がわかっております。これは速度断面ではありませんが、左側の図で、模式的にはこのようになり、地震基盤面はG.L.-1km程度にあります。なお、東海第二側ではG.L.-670mとなります。また、解放基盤面については、サイクル研はG.L.-300m位で、北に行くに従い深くなり、原科研ではG.L.-360m、東海第二ではG.L.-376mとなります。

 原科研の地下構造は、サイクル研とほとんど同様で、解放基盤のせん断波速度については、サイクル研で700m/sに対し、原科研では710m/sと、ほとんど同じで、Q値も同一です。

 32ページは、地震基盤から解放基盤までの理論伝達関数をとったものです。青がサイクル研、赤が原科研で、ほとんど同じような傾向になっております。このような地盤の特性があるため、原科研とサイクル研では、はぎ取り波は、ほぼ同等と推定できます。震源が同一の地震であれば震源特性は同じですし、伝播経路特性もサイトが近いので同じ。サイトの地盤増幅特性もほぼ同じということで、同一地震では、ほぼ同等と考えられます。

 33ページは、補正係数スペクトルの求め方で、概念図と補正係数スペクトルはこのような式で求めます。この補正係数スペクトルを、サイクル研で観測され、原科研では観測されていない地震に乗じることで、原科研の地震を評価することができます。

 34ページが、その補正係数スペクトル、原科研とサイクル研との応答スペクトル比をとったものです。地震としては4個あり、少し見難いですが、変動幅は、大体0.6から2倍程度の間で、良くまとまっていると思います。なお、赤い太線が平均です。

 それで、このスペクトル比の長周期側で、1を下回らないように設定し、この実線のような補正係数スペクトルを設定しました。

 これを考慮し、36ページには、Noda et al.のスペクトルに対する補正係数を示しております。サイクル研はサイクル研独自の観測記録から、Noda et al.のスペクトルとの残差が求まります。それに、先ほどの、補正係数スペクトルを乗じ、原科研の補正係数としております。

 結果として、鹿島灘の地震では、Noda et a..のスペクトルに対する補正係数、4倍から2倍は、サイクル研で設定したものと変わらないですが、このような評価で、原科研のNoda et al.のスペクトルに対する補正係数を設定しています。結果は、サイクル研と同じものになりますが、この補正係数を考慮し、応答スペクトル手法による評価で、検討用地震を選定したところ、やはり、大洗研と同様、鹿島灘、茨城県南部、F3~F4断層の地震が選定され、原科研の場合は、短周期側で、鹿島灘の地震が大きくなります。

 このあとは、大洗研の説明資料と同じで、鹿島灘の断層モデルについては、先ほどのコメントに対し、次回、反映し説明させていただきます。

 断層モデルの設定の考え方は、大洗研と同じで、サイトの位置が違うだけです。

 震源を特定せず策定する地震動についても同様で、地震調査委員会とか、震源深さの地域性として、地震発生層5 km~18 kmと、4.8 km~17.5kmの両方の、地震の規模を確認しております。震源を特定せず策定する地震動としては、結果的に、加藤スペクトルとしております。

 76ページは、応答スペクトル手法による地震動評価と基準地震動Ss-Dを比較したもので、応答スペクトルによる地震動評価を包絡するように、基準地震動Ss-Dは設定しております。水平成分は大洗研と同じ600gal、鉛直成分も同じ400galです。

 77ページは、断層モデルを用いた手法による地震動評価と基準地震動Ss-Dを比較したもので、先ほどの大洗研の断層モデルを用いた手法による地震動評価では、基準地震動Ss-Dを超えるものがありましたが、原科研では、すべて基準地震動Ss-Dに包絡されております。

 78ページは、応答スペクトル比、SI比で、ともに基準を満足していることを確認しております。

 79ページは、時刻歴波形で、包絡線は大洗研と同じNoda et al.で、鹿島灘の地震をイメージして作成しております。なお、水平成分の最大加速度600galは7.31秒で、鉛直成分の最大加速度400galは5.75秒で発生しております。

 以上、少し駆け足でしたが、原子力科学研究所の基準地震動Ssの策定についてでした。

【杉山主査】  どうもありがとうございました。

 要するに、原科研での観測記録が無く、サイクル研との補正係数を求めて、評価したということですが。

【JAEA山﨑氏】  今後の課題として、原科研での地震動評価を行っていきたいと考えております。

【杉山主査】  それでは、原科研の方の、基準地震動Ssの策定について、ご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 前回、補正係数の件で、翠川委員から、ご意見を承ったように記憶しておりますが、いかがでしょうか。

【翠川委員】  観測記録が無いため、今日、同じ敷地のものをお使いになるというご説明をいただきましたので、大体、どのようなことをやられているかわかりました。

 素朴な疑問ですが、また、先ほどの補正係数に戻りますが、例えば、36ページに補正係数がありますが、大洗研の結果と比較し、大洗研より大きいですが。

【JAEA山﨑氏】  はい、大きくなっています。

【翠川委員】  そうすると、設計用地震動も少し大きくなるのではないかという印象を受けますが、結果的には、基準地震動Ssは同じものが設定され、逆に、断層モデルを用いた地震動評価では、上回るものがなくなってしまっているのですが。

【JAEA山﨑氏】  大洗研の場合は、サイトのすぐ直近にF3~4断層があります。

【翠川委員】  そうですか。F3~4断層があるからか。

【杉山主査】  F1断層については、位置関係から原科研の方に多少、影響があるようです。

【JAEA山﨑氏】  F1断層について言えば、原科研が近くなりますが、F3~F 4断層については、大洗研がすぐ前面となる位置関係になります。

【翠川委員】  ああ、そういうことですか。わかりました。

 あと、この経験的グリーン関数法の要素地震は、このサイクル研の観測記録を、そのまま使用しているのですか。

【JAEA山﨑氏】  はい。サイクル研の観測記録です。

【翠川委員】  ああ、そうですか。

【JAEA山﨑氏】  波形合成した結果に、補正係数スペクトルを乗じたものが、54ページの、断層モデルの地震動評価の重ね書きです。

【翠川委員】  35ページの比を乗じているのですね。

【JAEA山﨑氏】  はい。

【翠川委員】  そういうことですか。

【杉山主査】  その点、よろしいですか。

 ほかに、もしありましたら、いかがでしょうか。

【藤原委員】  先ほどのコメントに追加して、まとめ方の1つの意見です。

 この地域の地域性をご検討いただいており、例えば、36ページでは、経験式と観測記録のずれを評価した場合、経験式からのアプローチでは、若干、大きめに設定した方が良いという見解が得られています。

 一方で、この地域の地域性を生かし、回帰式により設定した場合、そのばらつきも大きくあり、その平均値では小さいが、最終的に、その中で一番大きな値とし、短周期レベルの値を設定したものを扱っている。それが結構、重要な役割を果たしているということのようですが。

 そうでしたら、最初に小さな値を設定するのではなく、そのようなことを総合的に踏まえ、最初から、基本ケースとして、一番大きい値を設定し、地域性を考慮に入れ、一番大きい値を設定しているため、それ以上の上乗せは、必要無いという説明とすれば、右往左往した説明にならず、すっきりと説明できるような気がします。

 原科研の資料から、特に、こちらのサイトでは、最終的にも、短周期レベルの設定については、鹿島灘の地震が、結構、全体の地震動のレベル設定にも効いてきており、そこを適切に、まず説明をされるような形にできれば良いと思います。

 この時点で、改めて、中途半端な計算を追加するよりも、説明を上手くやられた方が良いと思います。

【杉山主査】  それでは、断層の深さと同様に、まず基本ケースのところで、最大の・・・。

【藤原委員】  特に、海溝型の地震で、この地域での知見もある程度あるし、そのようなことを反映し、適切に設定しているということで説明することも有りだと思いますが、地域でのばらつきの中で最大値を採用し基本ケースとしているから、応力降下量については、あえて、不確かさでは考慮しないという説明も、そんな違和感はありません。これが、経験式のところでは大きいと評価しながら、ほかでは小さく設定し、不確かさの部分で、また、かさ上げをしているところが、何か、一貫性の無い説明となっているところが、一番引っかかったので、そこをすっきりさせていただいた方が良いかと思います。

【杉山主査】  その辺の右往左往するのは、最初の段階でやっておいて、基本ケースのところでは、それを踏まえ、大きな数字を入れるということですね。

【藤原委員】  それを基本ケースにして、さらに大きな値が必要だという議論があれば、それは仕方ないにしても。

 とりあえず、大きい値を設定しているのであれば、この地域をカバーするかなとは思えるので、これで良いのかなと思えますが。

【杉山主査】  その点はいかがですか。伊藤委員はどうお考えですか。

【伊藤委員】  あまりよく分からないため、藤原委員のおっしゃるとおりだと思います。

【翠川委員】  基本ケースが、平均レベルよりも小さいことは、違和感があります。

【藤原委員】  それが、すごく引っかかります。

【杉山主査】  ミニマムではなく、やはり平均的な値ですよね。

【藤原委員】  ほかの説明のところでも、例えば、この補正のところでも、これは平均より小さいため平均で補正しないとの説明を一方でしている訳ですね。平均より小さい時には、平均値を使うという論理を一方で使いながら。ここの応力降下量のところだけ、半分に落とし、後で2.5倍にするという、その進め方について、何か、隠しているものがあるのではないかと思われかねない。そういうことを感じたため、すっきりまとめた方が、分かり易いのではないかと思いました。

 恐らく、一般論として、この地域、鹿島灘の地震の応力降下量はさほど高くなく、ものすごく高周波を励起する地震、そのプレート境界に起こらないのではないのかと、解析されている人の感覚としてはある地域かもわからないですが。だから、それが余りにも強く反映され過ぎているかもしれないし、もし、そうであれば、低いけれども平均値をとってしているという位が。最後は、これは余裕を見て、大きな値をとっているので、結果として、そうなっているのであれば、そこで、あまり変なことはしない方が良いと思います。

【杉山主査】  それでは、今の追加のご意見も踏まえ、資料の修正をよろしくお願いいたします。

【JAEA山﨑氏】  はい。説明の仕方、資料のまとめ方。

【杉山主査】  あとはいかがでしょうか。

【伊藤委員】  1つだけ。あまり大した話ではないのですが、30ページと29ページのところで少し確認だけですが、30ページの浅部地盤構造モデルについては、これを地震観測記録の解析に用いている訳ですが、これはサイクル研の地盤構造モデルか、原科研の地盤構造モデルか。

 原科研であれば、PS検層結果と理解しますが、要するに、サイクル研の検討に、原科研の地盤構造モデルを使うことについて、どのような扱いになっているか。要するに、浅層地盤構造モデルについては、同じものと、どこにも明記されておりません、

 深部地盤構造は、同じモデルを使ったと明記されておりますが、浅部地盤構造の方は、明記されておりません。

 原科研は観測記録が無く、サイクル研の観測記録を活用している訳ですが、その内容と、上手く整合性をとる必要はないのかということです。

【JAEA山﨑氏】  まず、30ページの地盤モデルは原科研のPS検層の結果です。

【伊藤委員】  モデルですね。

【JAEA山﨑氏】  はい。

【伊藤委員】  それで。

【JAEA山﨑氏】  JRR-3のわきの、地震計を埋める時にボーリングを行いました。

【伊藤委員】  サイクル研も同じような地盤モデルか知りたいだけです。

【JAEA山﨑氏】  この地域は、厚い堆積層が堆積しております。久米層が、東海第二発電所側もそうですが、広く堆積している地域です。

【伊藤委員】  ということは、要するに、しつこいようですが、この密度とかS波速度は、ほとんど同じ位であるいうことですか。

【JAEA山﨑氏】  はい。

【伊藤委員】  わかりました。そうでしたら結構です。

 次の31ページ、深部地盤構造モデルには、同じだと書いてあるのですが、浅部地盤構造モデルには無かったためです。念のために、記載いただくと分かり易いと思います。

【杉山主査】  その点も、もしご配慮できる点があれば、よろしくお願いします。

【JAEA山﨑氏】  はい。わかりました。

【吉田原子力規制室長】  よろしいですか。

【杉山主査】  はい。

【吉田原子力規制室長】  私からも伺いたいのですが、敷地における地震観測では、3個の地震が記載されておりますが、ご説明だと4個の地震と言っておられました。また、説明資料のこちらでは、4個が記載されておりますが、こちらでは3個だけです。

 要するに、25、26ページの敷地における地震観測では、2010年9月の観測記録が入っていません。説明だと4個。それとも同じなのか、よく分からないのですが、こちらでは3個あります。

【JAEA山﨑氏】  補正係数の計算で用いた地震は、2010年9月を含め4個です。

【吉田原子力規制室長】  2010年9月の地震の観測記録も入っている訳ですね。

【JAEA山﨑氏】  そうです。25、26、27ページにお示ししたのは、2010年3月と6月の3個の地震をお示ししております。

【杉山主査】  9月の地震観測記録は。

【JAEA山﨑氏】  9月の地震観測記録は、サイクル研との補正評価には入れておりますが、25ページでの地震の傾向をお示しするところでは、3個の地震に絞りました。

【吉田原子力規制室長】  絞った訳ですね。

【JAEA山﨑氏】  すみません。

【吉田原子力規制室長】  何か説明と違うように思えましたので。

【杉山主査】  特に、隠している情報がある訳ではないですね。

【JAEA山﨑氏】  ありません。

【吉田原子力規制室長】  今日の説明資料については4個の地震で、資料編では3個の地震となっています。

【杉山主査】  地震動の特徴が違うとか、そういうことはありますか。

【JAEA 山﨑氏】  紙面の都合もありまして。

【吉田原子力規制室長】  大洗研の資料で修正した箇所についでですが、原科研の資料にも「東海震度」と記載されておりますが、この箇所も「水戸震度」ですか。

【JAEA 山﨑氏】  いいえ、原科研の場合は「東海震度」です。

【吉田原子力規制室長】  ここは東海村での震度を採用しているのですね。

【JAEA 山﨑氏】  そうです、東海村の震度です

【吉田原子力規制室長】  大洗研は、水戸の震度を採用しているのですね。

【JAEA 山﨑氏】  はい。水戸の震度を基礎にしています。

【吉田原子力規制室長】  大洗研は水戸、でも、大洗町の観測は。

【JAEA 山﨑氏】  大洗町でも地震観測は始まったようですが。

【吉田原子力規制室長】  そうですか。いや、事実関係さえ確認できれば結構です。

【杉山主査】  それでは、よろしいでしょうか。あと、ほかにいかがでしょうか。ニノ方委員、岡村委員、よろしいでしょうか。

【ニノ方委員】  妥当性確認ワーキングで説明いただく際に、分かり易くしていただければ良いというか、論理を明快にしていただきたい。したがって、藤原委員のコメントは、大変有効だと思います。

【杉山主査】  ありがとうございます。

【ニノ方委員】  あと、「常陽」関係は、これは全く同じですか。

【鎌倉保安管理企画官】  大洗地区の中に「常陽」、HTTR、JMTRがあり、大洗地区の基準地震動までは、一括でご確認いただき、入力地震動については、施設毎にご確認いただく予定としております。

【ニノ方委員】  そういうことになるのですか。

【鎌倉保安管理企画官】  はい。

【杉山主査】  それでは、よろしいでしょうか。

 少し時間が中途半端になるため、資料の地質・地震動4-4の説明については・・・。

【鎌倉保安管理企画官】  そうですね。基準地震動をご確認いただかないと、入力地震動の方に移れないと思いますし、本日の鹿島灘のプレート間地震の説明の整合性、あるいは、海域のF1断層についての評価の考え方などについて、次回までにご検討いただき、その上で、入力地震動のご確認をいただきたいと思います。時間的には少し早いですが、そのようにさせていただきたいと思います。

【杉山主査】  それでは、よろしいですか。

 それでは、これで少し早目ですけれども、第4回地質・地震動サブワーキンググルーブを終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

(了)

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