試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ地質・地震動サブワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成22年10月4日(月曜日)13時30分から16時00分

2.場所

中央合同庁舎4号館 共用123号室
(住所:東京都千代田区霞が関3-1-1)

3.議題

  1. 新耐震指針に照らした試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価について(審議)
  2. その他

4.出席者

委員

杉山主査、伊藤委員、岡村委員、藤原委員、二ノ方委員

文部科学省

吉田原子力規制室長、鎌倉保安管理企画官、江頭安全審査調整官、林安全審査官 他

5.議事録

【吉田原子力規制室長】 それでは、定刻となりましたので、第3回地震動サブワーキンググループを開催いたします。委員の先生方におかれましては、ご参集いただきましてありがとうございます。

 本日の進行は、本サブワーキンググループの主査であります杉山先生にお願いしたいと思いますので、それでは、先生、よろしくお願いいたします。

【杉山主査】 それでは、第3回目の地質・地震動のサブワーキンググループの会合を始めたいと思います。このサブワーキンググループは公開となっていますので、一応、ご発言する前には手を挙げていただいて、私のほうからご指名させていただきますので、それから発言をよろしくお願いいたします。

 それから、きょう傍聴に来られていらっしゃる方は、我々の円滑な議事の進行にご協力をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは最初に、配付資料について確認を事務局からお願いいたします。

【林安全審査官】 それでは、議事次第に基づきまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第の下の部分になります、配付資料。資料名としまして地質・地震動3-1「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第3回)における主なコメントの整理(案)」でございます。

 地質・地震動3-2「既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価(中間報告)地質・地質構造」独立行政法人日本原子力研究開発機構の資料になります。

 参考資料としまして、参考-1「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ 地質・地震動サブワーキンググループ(第2回)の速記録」としまして、昨年のものでございますが、添付させていただきました。

 不足がございましたら事務局までお申しつけ願います。また、各委員の机の上には、新耐震指針をつづっております常備資料、この青いファイルになりますが、後ろのほうに「妥当性確認の考え方」ということで、平成21年7月15日、第1回の妥当性確認ワーキンググループで確認しました内容、及び前回の第3回妥当性確認ワーキンググループにおいて「バックチェック報告の妥当性確認の主なポイント等について」ということで資料をつづってございます。

 そのファイルと、日本原子力開発機構の別冊の資料編を含めた中間報告書、並びに前回の妥当性確認ワーキンググループの説明資料、緑色のパワーポイントの資料になりますが、それを準備させていただきました。

 なお、資料、速記録等につきましては、今後、文部科学省のホームページにて公開させていただくこととなっていることを報告させていただきます。また、参考資料となっております前回の速記録につきましては、既に文部科学省のホームページにて公開させていただいておりますことをあわせてご報告させていただきます。

 なお、傍聴者の方々にはホームページを参照くださるようにお願いいたします。

 以上です。

【杉山主査】 どうもありがとうございました。

 資料の不足等あるいはご質問等があれば。よろしいでしょうか。

 それでは、きょうの議題に移りたいと思います。最初の議題は、この地質・地震動3-1ですね。全体の会議ですね。耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第3回)における主なコメントの整理(案)について。

 では事務局からご説明をよろしくお願いします。

【林安全審査官】 早速説明させていただきます。前回の妥当性確認ワーキンググループにおきまして、中間報告の概略について説明していただきました。その内容に対して、コメントがありましたので、その内容について報告させていただきたいと思います。

 資料の地質・地震動3-1になります。最上段、地質・地質構造としましては、「資料3-4、中間報告の内容編8ページにおいて、新耐震指針により追加評価した断層と、従来から評価していた断層の表記方法(凡例を含め)がわかりにくい、工夫をすること。」というご指摘をいただきました。

 それに対しまして、機構からは、「拝承。」という形で回答をいただいております。

 地質・地質構造の具体的な内容としましては、「2 海域」、1ページの中段以降になりますが、「敷地前面海域に認められる断層の評価」という内容において、「保安院における東海第二発電所の審査において、北側のサイト(原科研)のF1断層については、活動性を否定できないものがあるため、F1断層における地震動を考慮(基準地震動)との比較した上で耐震安全性を確認している。南側のサイト(大洗研)のF3からF4断層については、敷地真下にあり、不確かさを考慮した断層モデルによる地震動評価では、基準地震動Ss-Dを超過する周期帯があることが確認されている。

 原子力安全委員会での2次審査において、F1断層について評価すべきという意見が出る可能性もある。これらのことを踏まえると、F1断層について、安全側の評価となるよう、慎重な審査が必要と考えている。」というコメントがございました。

 それに対しまして、機構からは「拝承。」という形になってございます。

 2ページに移ります。基準地震動Ssに関して。

 「原科研と大洗研の検討用地震選定に関する図(資料3-4 中間報告の内容編P.10、P.14)において、同一の地震について応答スペクトル及び震源等を示す色が異なるが、整合を図られたほうがよい。」というご指摘を受けました。

 それに対しまして、機構からは「拝承。今後のサブワーキンググループ等の資料で対応する。」という回答でございます。

 続きまして、プレート間地震についてです。「検討用地震動の選定(資料3-4 中間報告の内容編P.10)において、鹿島灘の地震のスペクトルの形状がほかのものと異なっているが、何を考慮してこのようになったのか。」

 これに対しましては、機構側から、「鹿島灘の地震に対するサイト補正係数(耐専スペクトルとの差)が、短周期側で4倍、長周期側で2倍と評価し、その特性を考慮したためである。」という回答になっております。

 さらに、「この地点での地震観測記録がないため、サイト補正係数は隣接するサイクル研の地震観測記録に基づいているとのことだが、離隔距離2kmで同じなのか、地質・地震動サブワーキンググループにおいて詳細な説明を受けたい。」

 それに対しまして、機構からは「拝承。」という回答になってございます。

 それと、海洋プレート内地震に関しましては、「検討用地震動の選定(資料3-4 中間報告の内容編P.10)において、海洋プレート内地震はフィリピン海プレート(茨城県南部・中央防災会議)の地震になっているが、敷地の直下あたりは太平洋プレートにあたるが、そのあたりの地震は選定されなかったのか。」

 これに対しまして、「太平洋プレート内地震として、地震調査委員会の震源を特定しにくい地震のマグニチュード7.1を敷地直下に想定したが、茨城県南部の地震のほうがスペクトルで上回るため、それらを検討用地震として選定した。」という回答でした。

 さらに、「マグニチュード7.1で評価したのか。」という確認がございまして、機構から「マグニチュード7.1、太平洋プレート内で深さ60kmぐらいになっている。」という回答になってございます。

 これらの内容につきましても、「地質・地震動サブワーキンググループにおいて詳細な説明を受けたい。」という形で委員のほうから発言がございまして、機構からは「拝承。」という回答になってございます。

 3ページに移ります。施設の耐震安全性評価にかかわる内容で、全般的な内容としましては、「新潟県中越沖地震の際、原子力施設でない建物で被害が発生し、この教訓として、事業者は施設全体をコントロールするような建物について免震施設を建設させている。機構では、JAEAでは、施設全体に係る耐震対策(耐震診断を含め)についてはどのような状況にあるのか。」

 これに対しまして、機構からは、「大規模地震検討委員会を立ち上げ検討を進めており、ライフライン関係施設については優先度をつけて検討を進めている。」という回答を得られております。

 続きまして、評価対象設備・機器としまして、主に波及的な影響ということについてお話がありました。波及的な影響とはどのような考え方に基づき設定されているのかということでございます。

 HTTRにつきましては、「原子炉建屋に設置している天井クレーンについて、落下により炉心に影響を及ぼす可能性があるため、波及的影響について評価する対象としている。」という回答でございました。

 常陽につきましては、「主送風機を波及的な影響の評価対象とした理由は。」という質問に対して、「耐震Cクラスの主送風機は、耐震Aクラスの1次・2次冷却系機器の中にあり、破損すると自然喚起による冷却を阻害する可能性があるため、波及的影響として評価対象としている。」という回答でございました。

 JRR-3につきましては、「建屋の波及的影響はどのような意味か。」という質問に対して、「原子炉建屋は原子炉格納容器としての機能ではなく、耐震Bクラスの建物であるが、波及的影響を考慮し評価対象としている。」という回答でございます。

 NUCEF、STACY・TRACYの建屋のことをNUCEFと言っておりますが、NUCEFに関しましては、「建屋の健全性を確認されるときは設備の評価を省略するとのことであるが、その理由を報告書に明記する必要がある。」という注意を受けております。

 機構からは、「報告書に記載する。」という回答でございました。

 以上が、第3回の妥当性確認ワーキンググループにおいてコメントを受けた内容でございます。

 以上です。

【杉山主査】 どうもありがとうございました。

 各先生の発言について、きょういらっしゃらない先生のご発言ももちろんありますが、それぞれの先生から、自分の話と違うとかいう点があれば、ここでご指摘いただければと思いますが、いかがでしょうか。伊藤先生、藤原先生、二ノ方先生、岡村先生、それぞれご発言いただいたと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 あと、ちょっと私が気になったのは、これでよろしいかと思うのですが、コメントと回答の対応が、大体これでわかるかとは思うのですが、3ページの「3.施設の耐震安全性評価」のところ、これはコメントが2つに分かれていますが、回答のほうが上のほうにあるけれど、これは両方にかかっているということでよろしいですね。

【林安全審査官】 そうです。

【杉山主査】 わかりました。全体としては、どちらかというと、コメントの下3行に当たるものがそこにあるということですね。

【林安全審査官】 はい。

【杉山主査】 わかりました。

 それでは、ほかになければこの議題はこれで終わりにしたいと思います。

 それでは、きょうのメーンテーマであります次の議題に移りたいと思います。

 議題としては、資料はパワーポイントの地質・地震動3-2ですが、これにつきましては、前回の妥当性確認ワーキンググループで、施設の概要と、きょうお話しいただく中間報告の概要をご説明いただきました。

 きょうは、ここにパワーポイントをご用意いただいておりますように、中間報告の地質・地質構造について詳しいご説明をいただきたいと思います。

 それではよろしくお願いいたします。

【JAEA 中山氏】 それでは、パワーポイントの画面のほうの資料でご説明をさせていただきます。

 地質・地震動3-2の資料でございまして、既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価(中間報告)ということでございまして、8月末に中間報告をさせていただきました地質・地質構造についてのご説明でございます。私、原子力機構の中山と申します。よろしくお願いいたします。

 それでは、まず、本日のご説明内容でございますが、大きく3つございまして、1つ目は地質調査の概要でございます。2つ目といたしましては、敷地周辺陸域の地質・地質構造ということでございまして、この中では、審議のポイントにも挙がっております(1)棚倉破砕帯西縁断層の一部、それから(2)棚倉破砕帯東縁付近の推定活断層、(3)の関口-黒磯リニアメント、(4)の鹿島台地・行方台地周辺の活傾動、(5)といたしまして関東平野北西縁断層帯の南東延長。というところを陸域でご説明させていただきます。

 また、3番目といたしましては、敷地周辺海域の地質・地質構造というメニューでございます。

 なお、お配りしている資料の中では、特に本日、各断層の活動性評価のポイントになります部分を中心にご説明をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【杉山主査】 私のほうからお願いですが、一応、事務局のほうでは60分を予定されているのですが、60分も皆さんずっと聞いているのはとても無理だと思うんです。ですから、ちょっと前に戻していただけますか。

 だから、私としては一応、棚倉破砕帯が終わった時点で1回切っていただいて。

【JAEA 中山氏】 西縁でよろしいでしょうか。

【杉山主査】 どちらがいいですかね。私は西縁、東縁でもいいですけれど。

【JAEA 中山氏】 では、東縁までを。

【杉山主査】 ええ。そこで1回切って、そこで質疑をさせていただいて、それから残りの陸域が終わったところで、そこは割と簡単だとは思いますが、そこでもちょっと切らせていただいて、最後に海域ということで。

 特に陸域のほうは、ほんとうに重要な点だけを簡潔にご説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【JAEA 中山氏】 わかりました。それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。

 まず、本題に入ります前に、地質調査の概要ということで、簡単に敷地の関係をご説明させていただきたいと思います。

 まず、敷地でございますが、バックチェックの対象施設といたしましては、茨城県東海村のほうに原子力科学研究所がございます。こちらの施設につきましては、バックチェック対象といたしましてJRR-3、それからJRR-4、それからNUCEFという施設の中でSTACY・TRACYという2つの施設がございます。

 それから、原子力科学研究所の南方約20km程度離れたところに、茨城県大洗町になりますが、大洗研究開発センターという施設がございまして、ここには常陽、それからHTTR、JMTRというバックチェック対象の施設がございます。

 本日、ご説明します地質・地質構造調査の内容につきましては、一部調査範囲が重複する箇所については原子力科学研究所に隣接しております日本原電さんの東海第二発電所がございまして、こちらのほうと協調して調査、評価を実施してございます。したがいまして、本日ご説明する内容も、基本的には共通のものになっております。

 続きまして、文献による敷地周辺の断層分布ということで、文献の情報をお示ししております。5ページでございます。ここでは、「新編 日本の活断層」、それから「活断層詳細デジタルマップ」、それから「地震調査研究推進本部」の情報を記載してございます。

 囲みました小さい円が半径30kmの円でございまして、大きいほうが半径100kmの円でございます。敷地の北方には、30km圏にかかるかかからないかのところに、審議のポイントにもなっております棚倉破砕帯西縁断層の一部、それからその東側に棚倉破砕帯東縁付近の推定活断層。それから、さらに海側に行きますと、関口-米平リニアメント、関口-黒磯リニアメントといったものが指摘されております。

 また、敷地の南方になりますが、鹿島台地、行方台地周辺の活傾動というものが地形面の傾き下がる向きということで、「日本の活断層」のほうで指摘をされております。

 30km圏という意味では、あまり活断層という指摘はないわけですが、100km圏のところには、地震調査委員会が関東平野北西縁断層帯というのを、複数の断層帯を一括して「主部」というふうに表現をしてございまして、こちらの情報も記載しているということでございます。

 地質調査の概要でございます。こちらは、原子力科学研究所と大洗研究開発センターから30km圏を網羅する形で、敷地からの距離に応じて、緑色で囲った陸の調査、それから青色で囲んだ範囲の海の調査といったものを行っているということでございます。

 それから、2つ目といたしまして、敷地周辺陸域の地質・地質構造の中で、敷地周辺陸域の概要についてご説明したいと思います。

 8ページをごらんください。こちらでは、敷地周辺陸域の地形図を示しております。

 原子力科学研究所は、一級河川の久慈川と那珂川に挟まれておりまして、那珂台地と呼ばれている台地の東縁部にございます。また、大洗研究開発センターは那珂川の南方にございまして、東茨城台地ですとか鹿島台地の端にあるという地形の関係でございます。

 敷地周辺には、大局的に台地が広く広がっているという地形を持ってございます。

 それから、敷地の北方には、八溝山地から東側に向かっていろいろ名前がついております山地が広く分布しているというのが、久慈川以北の地形の状況になってございます。

 9ページに、周辺陸域の地質の情報をお示ししております。

 先ほども申しましたように、敷地の北方には山地が広く広がっておりまして、赤色で着色してありますような阿武隈の花崗岩類、白亜系を考えておりますが、こういった花崗岩類や、緑色の変成岩類がございまして、その西側には、審議でも後ほどご説明いたします棚倉破砕帯がございます。

 この棚倉破砕帯の周辺には、カタクラサイトをはじめとしまして、紫色や、ちょっと色がわかりづらいのですがグレー系の色、それから草色で着色しましたような新第三系の中新統の地層が分布しているというエリアがございます。また、さらにその西側には、八溝山地を形成する八溝層群といった古い地層が分布するエリアがあります。

 それから、敷地の周辺につきましては、クリーム色で着色してある部分が、これは第四系の更新統の段丘堆積物になっておりまして、こういった第四系の地層が広がる範囲になるという情報でございます。

 続きまして10ページに、敷地周辺陸域で事業者が判読いたしました変動地形、地形判読の結果をお示ししております。

 こちらに主要な判読されたリニアメントをピックアップしてございますが、特に、先ほどご説明した文献で指摘されるものと同様の位置にリニアメントが判読されているということでございまして、特に北側では(1)の棚倉破砕帯西縁断層(の一部)、それから(2)の東縁断層、それから(3)で関口-黒磯リニアメント、(4)の関口-米平リニアメントといったものが判読されます。

 なお、敷地近傍、それから敷地の中では、地形判読によってリニアメントは確認されていないという状況でございます。

 以上が大きなところの概要でございまして、次からは具体的な各断層の評価ということでご説明をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、棚倉破砕帯西縁断層(の一部)でございます。この名称は、「新編 日本の活断層」で呼ばれている名称をそのまま踏襲する形で「の一部」と呼んでおりますが、12ページに文献調査の結果を比較して記載してございます。

 一番左側が「新編 日本の活断層1991」、真ん中が「活断層詳細デジタルマップ」、一番右に事業者の判読結果という順番でございます。

 まず、一番左の「新編 日本の活断層」では11番と書かれている部分が、指摘される棚倉破砕帯西縁断層(の一部)でございまして、長さ7km、確実度3、西側隆起というものが指摘されております。

 その下に点線で4条のラインが書かれていると思うのですが、これにつきましては旧編の1980年版の「日活」では確実度が3と書かれていたのですが、新編になりまして、この部分については組織地形または浸食崖である可能性が高いということで、「削除」と文章中では書かれております。ただ、新編の図面上は、この4条がまだ点線で書かれて残っているという状況でございます。

 次に真ん中のデジタルマップでございますが、こちらは先ほど「削除」とされていた4条付近に、短い2条を推定活断層として読んでいるというものでございます。

 それから、一番右側の事業者の判読結果でございますが、こちらはほぼ「日本の活断層」とデジタルマップを包絡するような範囲で、急崖や三角状の急斜面等をリニアメントとして判読しているという内容でございます。LD、LCというものを判読してございます。

 13ページ以降は、事業者が判読したリニアメントの拡大図を14ページに記載をしてございます。西側が高かったり東側が高かったりといったリニアメントを判読しているというものでございます。

 15ページに、リニアメント周辺の地質の情報を記載してございまして、西縁断層周辺の大きな構造といたしましては、リニアメントを挟んで左側、西側になりますが、こちらでは水色で着色をした、中新統の地層になりますが、男体山火山角礫岩や、黄色で着色した西染層というもの。それから反対側の東側にはオレンジ色で着色した東金砂山層といったものが分布しています。それから南側には、緑色で着色しておりますが大門層という地層がございまして、これらはいずれも中新統の地層でございます。

 一部ピンク色で塗ったところには、カタクラサイトがあると確認されているという情報でございます。

 16ページ、17ページが、北側、南側の地質図の拡大図でございます。

 それでは、以上の情報をもちまして、まず北側からポイントのところをご説明させていただきたいと思います。西縁断層の今回判読したリニアメントの北側に、釜の平という地点がございますが、こちらの情報でございます。

 18ページでございますが、この地点では、東側に東金砂山層、西側に水色の男体山火山角礫岩という中新統の地層が分布するエリアでございます。ここで事業者が判読しているリニアメントは、緑色で着色しているラインでございますが、山地と低地の境界付近を判読しているものでございます。

 この釜の平地点というところで調査を行いましたところ、両者の地層を境にする断層が確認されました。その断層のスケッチ、それから写真を19ページにお示ししております。

ここでは、ちょっと露頭の関係上、西と東の向きが逆転しておりますが、大きくは水色の部分の男体山火山角礫岩と、東金砂山層との境界に断層がある状況です。

 その中でも、特にB断層と記載させていただきました断層の部分というのが、非常にこの部分が、シャープで平面的である断層面が確認されておりまして、幅が約0.5cmの軟質な粘土を挟むという断層でございます。

 ここでは破砕部のブロックサンプリングを行って、変形組織の検討も行っているのですが、そちらの検討結果からは、この破砕部は左ズレが卓越するような変位センスであるという情報が確認されました。

 20ページでございますが、先ほどお話しした釜の平という地点がございまして、そこから南側に向かって田ヶ町という場所がございますが、この区間でも露頭の調査を実施しておりまして、その結果から、この区間でも複数の地点で断層が確認されてございます。

 その確認された断層の破砕部は、いずれも釜の平の破砕部で確認されました、平面的で軟質な粘土を含んでいて、変形組織も左ズレが卓越するようなものであったという情報がございます。これを複数地点で確認してございます。

 ただ、いずれの地点も、後期更新世の地層が乗っていないという状況がございまして、この区間の破砕部では直接的な活動性の評価ができなかった範囲でございます。

 そのため、西縁断層の上部に段丘堆積物が上載している百目木という地点がそのさらに南側にございまして、ここでもトレンチ調査を実施いたしまして、上載層での評価ができないかということを調査したわけでございます。

 21ページに、その百目木地点の拡大図をお示ししております。

 中央部上段の図が百目木地点の拡大図でございますが、西縁断層そのものは、黒い線で書いてありますように北側、釜の平から田ヶ町という地点を経て、地質の関係から考えまして、この百目木の地点まで続いてくると考えてございます。その百目木地点のところに、ちょうど緑色で着色しました段丘面がある。段丘堆積物があるという場所でございます。

 下の図で、その段丘面の拡大図を示してございますが、ここでは赤い丸で示してありますボーリング調査や、あと細い赤枠で囲ってある範囲につきましてはトレンチ調査を実施しまして、実際にその地層と断層との関係を確認しているという情報がございます。

 22ページが、そのトレンチ調査で確認されました北面のスケッチを上段に示しております。下段が北面の写真でございます。

 こちらの情報から言えることは、スケッチのほうでご説明をさせていただきますが、まず東側には、黄色で着色しました東金砂山層の礫岩が分布しています。その西側では、水色で着色していますが、これは西染層という地層で、いずれもこれは第三系の中新統の地層が分布している岩がございます。その上に、グレーや茶色で着色しました段丘堆積物が上載しているというようなトレンチの関係にございます。

 黄色と水色の、岩盤同士の関係でございますが、両者は断層関係で接しておりまして、この図でもごらんいただけますように、45度程度、西側に向かって傾斜をしているという断層でございます。

 この断層の断層面を観察いたしますと、その断層については平面的ではない、つまりシャープではないということや、もう1つは、地質観察の結果からは、断層の上部に堆積しておりますグレーの地層、段丘堆積物の部分でございますが、この部分には変位・変形を与えていないという状況が確認されました。

 この堆積物の堆積年代、形成年代につきましては火山灰分析も実施しておりまして、ちょうど茶色で着色しておりますローム層の下部から、9.5万年前に堆積したと考えられる鬼界葛原テフラ、K-Tzが確認されております。この情報や、あとはグレーの礫が非常に腐っているという状況を踏まえまして、高位段丘堆積物であると判断しております。

 したがいまして、先ほど申しました断層は、高位段丘堆積物堆積以降の活動性はないのではないかという判断をしている地点でございます。

 23ページが、先ほどのスケッチでご説明した断層の接している部分の拡大写真でございます。平面的ではないという情報を確認しております。

 24ページが、先ほど申しましたボーリング調査等で確認された情報も踏まえて作成しました地質の断面図でございます。こちらの情報からも、西染層中、それから東金砂山層中の断層を覆う段丘堆積物というのが、ほぼ水平に堆積しているということが確認できております。

 以上の情報を踏まえまして、25ページにここまでの情報を整理してございます。

 釜の平から田ヶ町の区間で認められた断層につきましては百目木まで連続するという情報を確認した上で、百目木の地点では、先ほど確認した高位段丘堆積物に変位・変形を与えていないということが確認されました。

 また、百目木地点では、先ほどの釜の平や田ヶ町で確認されたような、平面的で軟質な粘土を含んでいて左ズレ卓越な変位センスを持っているようなものが確認されなかったということがございまして、最終的には、この釜の平等で見つかった断層の活動性の否定には使えなかったということでございます。

 そういった意味から申しまして、釜の平から田ヶ町の区間の断層につきましては、念のため、耐震設計上考慮するものとして取り扱うという判断にしてございますが、その南側のとめとしては百目木地点を使うという情報でございます。

 一方、北側のとめをどこにするかという議論になるわけでございますが、それにつきましては26ページをごらんください。

 これは、釜の平から北方に約3km程度行きました取上北という地点の情報でございますが、こちらでも、リニアメントは判読されていないのですが、西縁断層そのものは北側に延びているということを確認してございまして、ここでも、破砕部の確認を行っております。

 その情報が27ページでございます。こちらで確認される断層の露頭、破砕部につきましては、中新統の地層を境とする断層であるということと、やはりこの断層の情報としまして、断層面が平面的ではなくて固結しているという情報がございまして、釜の平で認められたようなシャープな新しそうな断層ではないという顔つきを持ってございます。

 また、組織観察からも、右ズレが卓越する変位センスを持っているということでございまして、先ほどの釜の平地点とは違うということを持ちまして、この取上北という地点を北端として評価することにいたしました。

 以上、棚倉破砕帯西縁断層といたしましては、取上北から百目木の間の13kmについて、後期更新世以降の活動を直接的に判断する根拠が得られなかったということで、耐震設計上考慮するものとして取り扱うことといたしました。

 以上が西縁断層の評価でございます。

 29ページからが、棚倉破砕帯東縁付近の推定活断層についてです。

 こちらも、先ほどと同じように30ページで文献の判読結果を示してございます。

 「日本の活断層」で11番と書かれているものは、先ほどご説明しました西縁断層でございまして、この北側に読まれている3条のラインが東縁断層に該当するものでございます。

 それからデジタルマップでは、「日本の活断層」で読んでいる一番下側、南側の1本をさらに南側に延長した20km程度を、推定活断層として判読されているというものでございます。

 それから、一番右側の事業者判読結果でございますが、こちらについては、「日本の活断層」のちょうど真ん中あたりから、デジタルマップを判読しました一番南端の付近までを判読しておりまして、主に三角状の急崖や急斜面等を、西側落下であったり東側落下であったりというようなもので判読しているものでございます。

 31ページ以降が、事業者判読結果の拡大図でございます。

 34ページに、地質の図面を全体図としてお示ししておりますが、これは図面の左側が北側になっておりまして、大局的な地質区分といたしましては、東側、図面の上側にオレンジ色で着色した阿武隈の花崗岩類や、グレーの変成岩類がリニアメントを挟んで分布する。西側には、紫色で着色しましたカタクラサイト系の地層が分布する状況となっております。

 35ページ、36ページが、地質の拡大図でございます。

 37ページからが、具体的な各地点の調査情報でございます。

 こちらは、北から南にかけて複数地点の調査を実施してございますが、まず一番北側の中石井という地点の情報でございます。カタクラサイト、それから中新統の地層の境界付近にリニアメントを判読しておりまして、この部分のルートマップの情報がございます。

 それが38ページでございます。判読したリニアメント周辺の情報といたしましては、連続露頭が確認されておりますが、ちょうど赤の矢印で書いてある部分が判読したリニアメントの位置付近でございまして、この付近にちょうどカタクラサイトと赤坂層を境とするような断層が確認されているという情報でございます。

 39ページに、その露頭の拡大写真、それからスケッチを記載してございます。

 ここでの情報といたしましては、いずれも破砕部は固結し、断層面がシャープではないものでございまして、新規の活動を示唆するような顔つきは持っていないという断層でございました。

 次に、もう少し南側に行きまして、戸中という地点の情報でございます。40ページでございますが、こちらではカタクラサイトの中でも、カタクラサイトが塊状から片状に変わってくるような境界がございまして、おおむねその境界付近にリニアメントを事業者として読んでいるというものでございます。

 ちょうど図面の真ん中あたりに、「トレンチ位置」と書いてある地点でトレンチ調査を実施してございまして、地質の状況を確認してございます。

 42ページがトレンチのスケッチでございます。これは南面のトレンチのスケッチになってございます。

 ここでは、ピンク色で書かれている部分がカタクラサイトでございまして、その上を茶色から黄色で着色している斜面堆積物といったものが3mから5mで覆っているというような状況です。

 この中では、ピンク色のカタクラサイト中には特に新期の断層は確認されない状況でございました。また、斜面堆積物の形成年代につきましても、火山灰分析の結果から、オレンジ色の地層の一番下、下部で、9から13万年前と判断されます沼沢芝原のテフラが確認されているという状況でございます。

 続きまして、さらに南側、折屋地点の情報でございます。44ページでございます。

 ここでも連続露頭の調査を行っておりまして、45ページにその連続露頭の情報をお示ししております。

 ルートマップでございますが、リニアメント付近で確認されておりますカタクラサイトの地層でございますが、この中には複数の断層が確認されているのですが、この部分についてはいずれも固結し、断層面が平面的ではないという状況でございまして、非常に古いものではないかと判断している部分でございます。

 46ページは、さらにその特徴的な部分の拡大スケッチでございます。

 47ページに行きまして、さらに南側の小妻という地点でございますが、こちらもやはり事業者の判読しているリニアメントや、デジタルマップで推定活断層が引かれている位置も網羅的に調査をいたしまして、その結果を48ページからルートマップで示しております。

 こちらは事業者が判読したリニアメントの延長部に当たる部分でございますが、ちょうどこの東金砂山層という黄色の着色の地層の中でリニアメントを読んでおりますが、このリニアメント周辺には新期の断層といったものは確認されませんでした。

 また、デジタルマップが判読している推定活断層の直下付近では、尾根部のところでトレンチを実施してございまして、その情報からも、やはり東金砂山層中には断層は確認されないという状況でございました。

 以上、北から南に向かって各地点の調査をしてきた結果から、北方から南方にかけての断層の状況等を確認しまして、結論といたしましては、棚倉破砕帯東縁断層については、耐震設計上、考慮するものではないという判断をしているわけでございます。

 ここまでが棚倉破砕帯の説明でございます。

【杉山主査】 どうもありがとうございました。

 全体の地形・地質、それから棚倉破砕帯の西縁・東縁のご説明をいただいて、特に西縁についてはある区間を、これは完全に否定できないということではあろうかとは思いますが、耐震設計上考慮する活断層として扱うというご説明をいただきました。

 今までの資料、ご説明等で、ご質問、あるいは、ここはちょっとおかしいのではないかとかいうご意見がもしあればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 地形・地質というと、きょうの委員としては岡村先生が専門だと思いますが、いかがでしょうか。

【岡村委員】 西縁のほうは、積極的に活断層という証拠はないけれど、安全のためといいますか、念のために活断層と。地震を発生させる可能性はあるというふうに判断されているので、私はいいと思うのですが。

 ちょっとだけ、半分興味本位で聞かせていただくと、西側の断層が露頭とか掘って見えているところというのは、やはり破砕帯としても多少新しい活動がありそうな見かけをしているようなものなのでしょうか。

【JAEA 中山氏】 場所はどちらの。

【岡村委員】 場所というか、西縁の断層で幾つか初期調査をされていますよね。ここで観察された破砕帯の中で、最近活動していそうな様子に見えるようなものがあるのかどうか。

【JAEA 中山氏】 28ページでございますが、ちょうどこちらの釜の平から田ヶ町の区間にかけては、先ほどもご説明しましたように複数の露頭で、高角度傾斜で平面的、シャープで軟質粘土を挟んでいるというような断層破砕部が幾つかございまして、この部分については比較的新しそうだという顔つきを持っております。

 ただ、そうしますと、いつ動いたのかという判断は、露頭の破砕部からは年代としては言えなかったわけですが、西縁断層の中ではより新しそうなものであったという状況でございます。

 それ以外の地点につきましては、古そうなものであったというような状況でございます。

【岡村委員】 あともう1点、12ページですが、活断層詳細デジタルマップで、左側の北のほうにも線が引かれている。これも何らかの断層として判断されているのですか。

【JAEA 中山氏】 これは、2番目でご説明しました東縁断層の南側でございます。

【岡村委員】 わかりました。

【杉山主査】 よろしいでしょうか。

 ほかに先生方からご質問、ご意見等いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 私も、西縁についてはやはり28ページでご説明いただいたように、リニアメントが割と1つ、LCのところで、しかも左ズレということは、もしかすると今と同じ東西圧縮応力で、やはり活断層として活動した可能性は、今の情報だと否定できないと思います。やはりここにお示しいただいたように、耐震設計上考慮する断層として取り扱わざるを得ないと思います。

 長さについては、とりあえず活断層調査の段階では13kmという形でするのは妥当ではないかと私も思います。

 それから、東縁のほうは、これで私は問題ないかとは思いますが、1点確認させていただくとすれば、中央部は確実度が、リニアメントの判読がLCとちょっと高いところがあって、そこは断層がないということでよろしいのですが、そうすると、このLCリニアメントはどういう成因でできているとお考えなのか。そこだけ1点、ご質問させていただきたいと思います。

【JAEA 中山氏】 ちょうど32ページの右半分が、今、杉山先生のほうでご指摘いただいた、緑色のLCで呼んでいるリニアメントの範囲でございまして、この部分につきましては、三角状の急崖や急斜面といったものを、西側が低いリニアメントとして判読しているというものでございます。

 確かに地質情報といたしましては、確認をしたところ断層のようなものは、目立ったものは確認されなかったのですが、なぜLCが読めるかという理由は別にしましても、我々の解釈としましては、35ページでお示ししております図面の右側、ピンクといいますかオレンジ色で示してあります阿武隈の花崗岩類、固いもの、それから西側に分布しておりますカタクラサイトとの境界に判読されているということから、この硬軟の差によってできた浸食地形といいますか組織地形ではないかと、事業者としては判断をしているところでございます。

【杉山主査】 わかりました。要するに、少し傾斜変換点的にはなっているところですね。

【JAEA 中山氏】 そうですね、はい。

【杉山主査】 そのもともとの原因としては、やはり岩質の差による浸食抵抗性が違うというふうに考えてよろしいでしょうか。

【JAEA 中山氏】 はい。

【杉山主査】 はい。では、ほかにご意見いかがでしょうか。

 それでは次の、陸域の断層の残りのご説明をよろしくお願いいたします。

【JAEA 中山氏】 それでは、51ページからになります。3つ目の関口-黒磯リニアメントにつきましてご説明をさせていただきます。

 52ページに文献調査の結果を示してございますが、「新編 日本の活断層」では9番がこの断層に該当いたします。確実度は3、西側隆起のものです。デジタルマップでは、「日活」よりも若干北側から判読をしておりまして、長さ16kmの推定活断層であるということです。事業者の判読結果といたしましては、これはデジタルマップをほぼ同様にトレースするような形で、15kmのリニアメントを判読してございます。

 判読した結果は、いずれも東側が低いというものでございます。

 55ページに、黒磯リニアメント周辺の地質構造を示してございまして、こちらでも大局的な地質構造の区分といたしましては、リニアメントの東側、右側には、緑色で着色しました古第三系の白水層群に相当いたします石城層というものが分布してございます。

 それから左側、西側には、ピンク色で着色しました阿武隈の花崗岩類が分布するというエリアでございます。

 56ページがその拡大図でございます。

 続きまして、各地点の調査結果でございますが、57ページに、北側の大北川という地点の情報をお示ししてあります。

 ここでは水色のけばつきで事業者の判読したリニアメントを書いておりまして、オレンジ色の線につきましてはデジタルマップで指摘される推定活断層の位置でございます。

 この地点の情報といたしましては大きく2つございまして、リニアメントの南方にある大北川というところでの連続露頭の情報。それから、その北側で判読されましたリニアメントの直下で実施しておりますボーリングの調査がございます。

 その拡大図を右側に載せてございますが、リニアメントを挟むような形で2本の斜めボーリングを実施いたしまして、リニアメント直下の地質の性状を確認しているという情報でございます。

 まず1番目の連続露頭の情報でございますが、57ページの右側の図でもごらんいただけますように、花崗岩類が大北川に沿っては連続して分布してございまして、リニアメント延長部では破砕部といったものは確認されないという情報が、現地調査の結果からわかっております。

 また、58ページで、先ほどのリニアメント直下のボーリングの情報を記載してございまして、左側の図が断面図になってございますが、ちょうどこの位置で事業者としてリニアメントを読んでいる。傾斜が変わる部分で判読している部分がございます。

 ここを挟んで2本の斜めボーリングを実施いたしましたところ、ちょうどリニアメントの直下付近で破砕部が確認されております。

 この破砕部の拡大写真を右側におつけしていますが、花崗岩の中にこういった破砕部が確認されるという状況でございまして、この破砕部の情報といたしましては、全体が固結していて、これを切断するような新しい断層といったものは認められないことから、この部分については古いものであるだろうと判断している部分でございます。

 59ページに、もう少し南側に行きまして、上和野という地点でございます。こちらでは、リニアメント延長部を横断する形で段丘面が分布しているエリアがございます。

 ただ、真ん中の上段の図でごらんいただけますように、現在は高速道路で分断されている状況がございましたので、60ページにもお示ししているのですが、1947年に米軍が撮影した空中写真を用いて、先ほどの段丘面を復元しているという情報がこちらの情報でございます。

 なお、復元した、このクリーム色のM1の段丘面と判断しているわけですが、この段丘面の形成年代についても、確認するためにボーリングを実施いたしております。このKWと書いてある位置で実施してございます。

 この結果を踏まえまして、61ページでボーリング柱状図と地形断面図を切ってございまして、その情報を載せてございます。

 ボーリング調査の結果といたしましては、ちょうど基盤の岩の上部に堆積してくるこの黒丸の礫層や、風成火山灰の中で確認いたしました火山灰分析の結果からK-Tzが確認されているといった情報も踏まえまして、各ボーリング孔でM1面として認定ができて、それが広がっているというような判断をしてございます。

 なおかつ、空中写真から作成しております地形面の断面図の情報からは、ボーリングの、ちょうどこちらがデジタルマップ等でリニアメントが判読されている位置なのですが、この周辺では、KW-3やKW-4といったボーリング孔の情報も踏まえまして、M1面というのは東側に大局的には緩やかに傾斜をしていて、地形との情報とも調和的であるという判断をしてございます。

 こういった情報を踏まえまして、62ページでございますが、リニアメントを横断しているM1面は連続的に分布しており、地形に変形は認められない。それから、リニアメントの直下においても、先ほどの大北川地点では一部で破砕部が確認されましたが、性状は古くて連続性も乏しいという情報がございまして、関口-黒磯リニアメントは地層境界におおむね一致しているということもございますので、この両者の抵抗性の差を反映したものであると判断しているものでございます。

 続きまして、63ページの鹿島台地・行方台地周辺の活傾動というものでございます。

 64ページでございますが、「日本の活断層」におきましては、赤い矢印が図面上に書かれてございまして、凡例では「地形面の傾き下がる方向」というふうに書かれております。真ん中のデジタルマップでは、「日本の活断層」で引かれたような矢印といいますか、推定活断層は指摘されておりません。それから事業者の判読結果からも同様に、変動地形のようなものは判読されていないという情報でございます。

 なお、一番左側の「日本の活断層」の中では、文献上で「段丘面を変形させるような活断層は確認できない」という注意書きも書かれております。

 次に65ページでございますが、地形図に着色いたしまして、少し高度差の分布がわかりやすくなるように図化をしております。

 この情報から確認できる情報といたしましては、「日本の活断層」が指摘している赤い矢印のエリアにつきましては、地形面上の高度差というのは高かったり低かったりということで確認はされるのですが、地形といたしましては非常に境界が入り組んでいて、事業者としてもデジタルマップのほうでもリニアメントは判読していないという状況でございます。

 ただし、こういったような指摘がございますので、この地形面上で確認されている高度差というのは一体何なのかというところで、このエリアに広く分布しますM1段丘面の堆積物の構造を把握するために、地表調査を実施いたしました。

 66ページがその調査地点でございます。事業者が実際に露頭を確認している部分が白丸の地点でございまして、黒丸で書かれているものは文献の調査データがあるエリア、ボーリングデータ等がある部分でございます。このデータをもとにしまして、断面図AとBという2カ所で地質断面を切ってございます。

 そのデータが67ページにございます。上段がA-Aダッシュ断面、下段がB-Bダッシュ断面という情報でございますが、こちらでは「新編 日本の活断層」で指摘されるような地形の傾きを白抜きの矢印で図面の上に併記しておりますが、やはりこれと一致するような地形の傾きというのは、地質断面図からも確認できるという状況です。

 一方で、段丘堆積物の情報といたしましては、標高15m付近のところに線が1本引かれているかと思いますが、この線が各調査地点でM1段丘面の下限標高と判断される部分をつないだラインでございます。

 一方、20m付近に引かれているもう1本の横線につきましては、これは波打ち際に生息していたと考えられます生物痕ということで、白斑状の生痕が確認される上限の高度をつないだラインでございます。

 これらを見ますと、A-Aダッシュ断面、B-Bダッシュ断面ともに、M1段丘堆積物の下限標高と、それから白斑状生痕の上限標高について、地形面で確認されているような傾きといいますか傾斜と調和するようなことはなくて、ほぼ水平に堆積しているという情報が確認されます。

 したがいまして、この地形面での高度差については、テクトニックな要因によるものではないと判断しているものでございます。

 以上が鹿島・行方活傾動の評価でございます。

 陸域の最後でございますが、関東平野北西縁断層帯の南東延長部の評価を、68ページ以降で説明させていただきます。

 まず69ページが、地震調査委員会が2000年に発表しております関東平野北西縁断層帯の評価図でございます。

 ここで、関東平野北西縁断層帯の主部と書かれている範囲が、群馬県高崎市の榛名町というあたりから、ずっと南にまいりまして埼玉県伊奈町の本町というあたりまでを主部というふうに評価されておりまして、文献の記載といたしましては、断層帯の主部につきましては物理探査の結果等から、この区間では撓曲が認められるというものです。

 それから、伊奈町よりも南東、この下側になりますが、ここから先では撓曲といったものは認められないということで、この主部の範囲を活断層として取り扱っている、評価しているというものでございます。

 70ページは、ただいま申しましたような物理探査のデータから、撓曲があったり、なかったりというようなところを評価しているデータでございます。

 71ページに、先ほどお示しした埼玉県伊奈町という地点の南東部につきまして、事業者でもリニアメントの判読を実施しておりまして、その情報をお載せしております。

 ちょうどこの図面上、赤丸で示されている部分が、地震調査委員会が先ほど示しました南東端に当たる位置、埼玉県伊奈町の本町というあたりの南東端になります。事業者の判読をこのエリアにおいて行った結果、水色で書いてあるラインについて、リニアメントを判読してございます。これは段丘の縁に見られる崖や斜面といったものを主に判読しているものですが、こういったものが地震調査委員会よりも南東側にも読めるという情報でございます。

 このリニアメントと地質の関係がどうなっているのかというところを調べた上で、このリニアメントがどういうものなのかを確認している情報がございます。ちょうど1-1ダッシュ、2-2ダッシュと書いてあるところで断面を切っております。

 その情報が72ページに記載してございます。

 先ほどの断面線周辺で行われております既往のボーリングが埼玉県や文献等でたくさんございまして、そういったデータから地質柱状図を作成しているという情報でございます。

 ボーリングデータからは、ここに示しておりますように紫色の地層が一番下にございまして、これが中部更新統の地層になります。その上部には、黄色で着色してございますが、木下層の上部と書いてあります上部の更新統の地層がございます。

 この事業者のリニアメントというのが、ちょうど赤色で書いてある縦線の位置に判読されているわけでございますが、この木下層というのが後期更新世の地層であるということから考えまして、リニアメントを挟んでも、この木下層というのは水平に堆積しているということを確認しております。

 このため、先ほど事業者のほうで確認しましたリニアメントは、この河川、綾瀬川や元荒川といった河川がございますが、こういった河川の浸食による崖であると判断しているものでございます。

 以上の調査結果から、先ほど申しました地震調査委員会の「主部」と言っていた範囲をほぼ踏襲するような形で、群馬県高崎市の上里見付近から埼玉県伊奈町本町付近に至る約82kmという部分を、今回のバックチェックでは耐震設計上考慮する断層として評価をするという評価をしてございます。

 以上が陸域の調査結果でございます。

【杉山主査】 どうもご説明ありがとうございました。

 では、関東平野北西縁断層帯までの断層のご説明をいただきましたが、今の残りの陸域の断層について、ご質問、ご意見等をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

【岡村委員】 まず、最初の阿武隈山地東縁なのですが、これは詳細活断層デジタルマップで引かれているのが、これはどういう理由で引かれているとか、何か書いてあるのでしたっけ。私もよくわからないのですが。

 これだけ、この線をそのまま落とされると、これはほぼ南北方向ですかね。だとすると、普通は逆断層ですよね。今の応力場でもし動くとすると。そうすると、谷も尾根もみんな真っすぐにこう引かれると、何かちょっと違和感があるといいますか、谷のところは少し西に下がって、尾根のところでは少し東に出るような形になると思うのですが。

 まあ、そこまでは詳しくはわからないということだと思うのですが、ただ真っすぐに引いて、ここにありませんと言うのだと、ちょっと、それで大丈夫かなという気がしないでもないので、もう少し幅広く見て、ないと言うような言い方が必要かなと。まあ、推定活断層位置という矢印が書いてはあるのですが。

【杉山主査】 例えば何ページですか。

【岡村委員】 例えば61ページとかですね。これは、ボーリングはずっと東のほうまであるのですが。これは一番、KW-3とKW-4の間というのは、多少面もちょっと差があるように見えなくもないというか。何かその辺、説明ぶりをもう少し、あったほうがいいのかなという気はするんです。

【JAEA 中山氏】 デジタルマップ上には、どのような理由で引いたのかというのは書いていないのですが、もともとのデジタルマップの図面自体が、2万5000の図面に落とされているラインであるということもございます。ここでは地形面を解析した結果から、かなり細かく地形図を書いてございますので、若干の位置の誤差というのは考えられるということで、そういった意味も踏まえまして、少し幅広に調査範囲を設定しているという情報がございます。事業者が判読した水色のラインと、それからデジタルマップの引いている範囲も網羅的に抑えられるようにという趣旨で、500m程度の範囲を図化しているということでございます。

 やはりここだけの情報では、当然確実性は低いものになってしまいますので、それ以外の地点でも、例えば大北川というところでも少し幅広に調査をした結果から、そのリニアメント周辺にはまだそのような部分というのは確認されないということを確認している状況でございます。

【岡村委員】 この大北川のところは、谷沿いにずっと露頭があるという意味なのですか。57ページの拡大図というのは。

【JAEA 中山氏】 はい、そういうことでございます。

【岡村委員】 連続的に観察できて、そこに断層は見当たらないということですか。

【JAEA 中山氏】 はい。ちょうど赤色で着色してあるところが、連続露頭で確認されている花崗岩の部分になってございます。

【岡村委員】 あと、敷地南側の傾動しているところですが。例えば67ページの、断面図が書かれていますが、確認だけですが、M1段丘堆積層という線が引いてありますが、この基底がM1段丘面に相当するという意味なのですか。それとも、この堆積層の上が面になるということですか。

【JAEA 中山氏】 面として判定しているのは上でございます。地形面でございます。で、下側の線の位置がM1の一番下であると。

【岡村委員】 その下の東茨城層群というのは、これは、年代はいつのものなのですか。

【JAEA 中山氏】 年代的には高位の段丘面でございます。

【杉山主査】 よろしいですか。

【岡村委員】 はい。

【杉山主査】 あと、ほかの先生。

【伊藤委員】 ちょっと素人なのですが、さっき岡村先生が言った61ページで、この図を見ると、何かちょっと岡村先生と同じような疑問を感じるのですが。

 特に、事業者さんのほうで見られたリニアメント、これについての説明が一切ないわけで、で、西側のほうに寄っているわけですよね。事業者さんが読んだラインが。

 それで、結果的にKW-1とKW-2で地層境界がここにあるような感じなのですが、基底の岩種が違いますよね。

【杉山主査】 何ページですか。

【伊藤委員】 61ページです。この図でいくと、左側のKW-1のピンクの岩と、KW-2の緑の岩。場所的にどれだけ水平距離があるかわかりませんが、いずれにせよ、私がちょっと思ったのは、結果はこれでいいのですが、結論のまとめはこれでいいのかもしれませんが、事業者が判読しておりながら、何らそれに対する規定的なものがないというのがちょっと気になったので。この事業者さんが読んだのは、これは何だったのかというあたりはご説明がないのかなということがちょっと気になりました。

 あと、単純な質問で申しわけないのですが、67ページ、また同じところで、素人的な質問で申しわけないのですが、結果的に傾動があるというのは、もともと堆積していたものが川によって洗掘されて、お互いにこういう地形になってきたということなのでしょうか。

 何で海側のほうがこんなに高いまま残っていたのか、よく理解できなかったのですが、そこら辺の解釈がもしわかるのであれば教えていただきたい。大局的には全然問題にならない話だと思うのですが、説明の仕方でちょっと気になったので、教えていただければと思います。

【杉山主査】 では、その2つの点ですね。

【JAEA 中山氏】 61ページのほうですが、これは、伊藤先生が今おっしゃられたように、柱状図でごらんいただきますと、KW-1のところにピンク色の地層があって、そこから南側は緑色の地層になっているというような情報でございます。これは地層として、ピンク色が花崗岩、緑色がシルト岩や粗粒砂岩といった地層の違いがあるということをお示ししております。基盤岩としてですね。

 で、その関係というのは、55ページの全体の地質図のほうでも特徴をごらんいただけるかと思うのですが、リニアメントの左側には花崗岩のピンク色があって、東側には緑色の白水層群という地層が分布しているというエリアが、リニアメントの全体にわたって続いております。

 先ほどの61ページの上和野という地点につきましても、やはりその境界付近をとらえているのではないかという判断が、まず一つはできるということがございます。

 なおかつ、当然その年代というのが違うわけですが、その上にたまっている、そこから上がM1段丘堆積物の堆積物になるわけですが、その層相や年代観といったものは、各ボーリング孔で同程度という情報が確認されておりますので、全体の流れとしては、基底面が緩やかに東側に向かって傾斜している構造にあるということが、KW-1から4にかけての情報から言えるというふうに判断しております。

 地形面で見ても、やはり東側に緩く傾斜していくような地形がございますので、そういったものと総合的に判断しまして、このリニアメントを判読した部分については、活断層に起因するような変位・変形は与えられていないであろうという判断を、事業者としてはしている部分でございます。

 それから、67ページの、お話のありました、ちょうどこの海側の高まりというのがございまして、先ほど伊藤先生は、その河川による浸食とかそういったものなのかというご質問だったかと思うのですが、そういったような浸食も当然あるのですが、この部分の高まりの中の層相を見ますと、海浜の砂丘が堆積しているということで、その砂丘によってどうも高まっているような情報が、調査データとしては事実関係としてございます。

 ただ、それがどういう理由でこう高まらせたのかというところまでは、最終的な結論というのはこの情報からは導き出せておりません。

 ただ、先ほどの基底面の情報等を踏まえまして、活断層による変位・変形は与えられていないだろうという判断をしているものでございます。

【杉山主査】 よろしいでしょうか。

【伊藤委員】 ええ。大体思ったような回答をいただいたので、それで結構でございますが、結果的に、しつこいですが61ページのこれは、結局花崗岩と堆積岩の境界あたりのところを読んでいますよというのが事業者さんの読み方であると。大局的にはそれでよろしいということですね。

【JAEA 中山氏】 はい。

【伊藤委員】 はい、わかりました。どうも。

【杉山主査】 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 なければ、ちょっと私から2点ぐらい申し上げさせていただきますと、まず今、そこにその図が出ているので、この段丘の分布の、例えば60ページですが、これは等高線の間隔が非常に細かいのでこういう表現でいいかもしれないけれど、これはもし、このベージュ色で、地形面を表示するのだとすれば、これはやはりまずいですよね。そこのところで人工改変か何か池みたいなものがありますよね。図のそこで。

 だから、地形面を示すのだったら、きちんとその面が残っているところだけを示すべきであって。堆積物が分布している範囲を示しているのか。だけどこれは地形面の分布図と書いてあるので、やはりこの図は非常にまずいと思います。地形の専門の人が見たら、これは、サブグループでは言われなかったかもしれないけれど、二次審査とか、地形が専門の人から見たら非常にまずい図だという指摘は受けると思います。だから、そこはきちんと直していただいたほうがいいかとは思います。

 だから、61ページのその断面を見ても、谷のへこんでいるところは地形面ではないはずですよね。その谷の線を引いたって。だから、その辺はきちんと直していただいたほうがよろしいかとは思いました。

 それから、もう1つは質問ですが、58ページの片方のボーリングでは破砕部が見えたけれど、もう1つの斜めボーリングのほうは、破砕部は見えなかったということでしょうか。

【JAEA 中山氏】 はい、ございませんでした。

【杉山主査】 そうすると、リニアメントにつながるような立った破砕ではなくて、もっと交差しないような方向にあるということですか。

【JAEA 中山氏】 はい、そういうことでございます。

【杉山主査】 どうもありがとうございました。

 あと、もしなければ、海域のほうのご説明をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それではお願いします。

【JAEA 中山氏】 それでは、73ページからでございますが、海域の地質・地質構造についてご説明をさせていただきます。

 まず74ページでございますが、ちょっと先ほどと繰り返しになってしまうのですが、文献調査の図面を載せてございます。

 ここで確認できます情報というのは、敷地周辺の30km円、小さいほうの円でございますが、こちらの中では、文献等で指摘される海域の断層は分布していないという情報でございます。

 75ページが、事業者が実施いたしました海上音波探査の探査測線、それから他機関でも調査を実施されておりますので、その調査測線も重ね書きした図でございます。こういったデータを用いまして、海域の断層の解析評価を行っているという情報でございます。

 76ページに、海域の海底地形についてご説明している図を添付してございます。

 全体的に、敷地から20kmほど沖合までにかけては水深が緩やかに深くなっていきまして、150mぐらいまでのところがあるということで、この辺が大陸棚になっている部分でございます。そこから先は急斜面ということで、大陸斜面になって深くなっていくというような、大きな海底地形を持つ構造でございます。

 77ページに、海域の地層区分についての考え方をまとめてございます。

 まず、地層区分の手順でございますが、大きく3つございまして、1つ目といたしましては、海上音波探査で取得されました記録パターン、反射面等のパターンを見まして、その特徴を踏まえて地層を区分するというような区分を行います。ここで区分された地層というのが、大きくA、B、C、D、Eという5層でございます。なお、さらに反射面のパターン等を踏まえまして、B層、C層、D層についてはもう少し細分化を行っております。

 それから、2番といたしまして、ただいま区分しました地層の境界の妥当性を確認するということで、各測線の記録を対比いたしまして、交点チェック等も行った上で、その地層境界の位置が各側線で整合していることを確認するという作業を行います。

 その結果をさらに補強するために、地層の年代観を与えるという意味で、周辺の海上ボーリングのデータ等と組み合わせまして、区分した地層と年代調査結果との対比を行って、年代観を与えるというような流れで、右側の地質層序表を作成しているということでございます。

 大きくは、上から、浅いほうから順に、事業者のA層が完新世に、B層が更新世に、それからC層が鮮新世、D層が中新世から古第三紀、E層が古第三紀よりも古い地層というような区分をしているということでございます。

 78ページに、地層の年代対比の方法につきまして、若干具体例をお示ししておりますが、敷地から沖合に行ったところに、ちょうどこちらになりますが、鹿島沖のSK-1という、石油資源開発さんが実施されました海上ボーリングのボーリング孔がございます。こちらのボーリングのコア試料を使って行われた年代測定の結果が文献で公表されておりまして、特に高柳(1984)というところでは、酸素同位体比による年代対比といたしまして、ちょうどそのボーリング孔の深度160m付近のところで0.128Maということで、12.8万年相当の年代を対比させているという情報がございます。

 この情報と、実際に我々が海上ボーリングの上を走りましたNo.33Wという測線がございまして、こちらの測線の記録を右端に書いてございます。これは深度変換をしておりまして対比をさせているわけですが、ちょうど先ほどの160mという地点が、事業者の解釈した地層区分の中ではB1という地層の中の下部に相当するという解釈でございます。

 したがいまして、後期更新世以降の活動性という意味では、このB1層という地層が、断層の活動性評価に使用できる地層であるということを確認できます。

 続きまして、今度は海底の地層の分布について、その分布状況をご説明したいと思います。

 79ページでは、A層の沖積層に相当する地層の分布状況を示しております。

 水色でハッチングをしました範囲がその沖積層のA層の分布域でございまして、陸域と対比しますと、一級河川の久慈川や那珂川といった現在の河川と一致するような形で、沖合に向かって分布が広がっているということが確認できます。

 80ページでございますが、こちらはA層を除いて、それ以外の地層がどの程度分布しているかという図でございます。A層以外の地層が最上位にある部分について色を塗っているものでございます。

 この図をごらんいただきますと、沖合には、少し濃い水色で着色しましたB1層が分布しておりまして、この部分については、先ほども申しましたように後期更新世の地層でございます。沿岸部に向かうにつれてC層やD層といった層が海底面付近に露出してきまして、沿岸部付近ではどうしても古い地層が露出しているという状況がございます。

 それから、大局的な地質構造の分布について特徴をご説明するという意味で、各層の上面のコンター図を図示してございます。

 左側から音響基盤のE層、それから中新統、鮮新統ということで、それぞれの層の上面の等高線になるというものでございまして、まず、その音響基盤というところでは、沖側30kmよりも沖外のところで盆地上の構造が広がっているわけですが、そういった構造というのは中新統以降になると弱まってくるということで、こういった盆状の構造を形成する運動というのは、中新統以降は比較的穏やかになったのではないかということが想像されます。

 また、沿岸部につきましても、若干この「張り出し部」と書いてある部分に地層の張り出しが認められるわけですが、この張り出し部というものは、中新統、鮮新統に向かうにつれて徐々に張り出しが弱まってくるということで、不明瞭になってくる状況が確認いただけるかと思います。

 こういった情報をもとにしまして、具体的な各断層の評価についてご説明をさせていただきます。

 まず、事業者が調査した結果から確認された海域の断層の分布図を、82ページにお示ししております。

 これらの海域断層の評価につきましては、先ほどご説明しました海上音波探査の記録測線があったかと思いますが、その音波探査記録の全測線のデータを用いて詳細に評価を行っているものでございます。

 この図では、断層と地層との関係をあらわしておりまして、ちょうど沿岸部のところに青色で囲ってある部分の中で、緑色の着色がしてある範囲があるかと思うのですが、この範囲がA層を除きます海底面付近の地層まで変位・変形が及んでいる部分をあらわしております。それ以外の黒色の線につきましては伏在ということで、途中の地層でとまっているものでございます。

 ここでは、特に敷地への影響という観点から、緑色の線で書かれている沿岸部の断層につきましてご説明をさせていただきたいと思います。特にF11、それからF1、F2、F3、F4というものでございます。

 今回のバックチェック報告では、ここで表示した海域断層のうちF3、F4断層について、耐震設計上考慮しているというものでございまして、それをご報告している状況でございます。

 それでは、具体的に各測線の状況についてご説明いたします。

 まず83ページでございますが、こちらは耐震設計上考慮していると申しましたF3、F4断層の解釈でございます。こちらの断層は、大洗研究開発センターの敷地近傍に分布する断層になります。

 まずF3断層からでございますが、ちょうどこちらにある青色の範囲にある緑色の線の断層がF3断層でございます。

 断層に直交する25W、25Gという2つの測線を示しておりまして、Wと書いてあるものはウォーターガン、Gと書いてあるものはブーマーの記録、高分解能の記録でございます。

 こちらをごらんいただきますと、F3断層というものは、ちょうど図面の中でB2層と書いてある地層の上部まで変位・変形を断層が与えていると解釈しておりまして、このエリアではB1層、先ほど申しました後期更新世の地層というのは上載していないということで、そのB1層のすぐ下と考えられるB2層の位置まで断層の変位・変形を読んでいるという情報でございます。

 84ページが、F3断層の北側の延長部の記録でございます。23Aという測線を示しておりますが、ここではF3断層に相当する断層は認められません。

 85ページは、F3断層の南側の延長部、29W測線でございます。ここでも断層は確認されません。

 86ページは、F3断層の沖合に分布しておりますF4という断層の評価でございます。こちらでは30G、それから30Wという測線の解釈断面図をお示ししておりますが、この図面中で、F4断層の一部と考えておりますF4b-1と書かれている断層が、上部にございますB2層と書かれている部分の地層の上部まで変位・変形を与えていると判断してございまして、先ほどのF3断層と似たような状況を持っているというものでございます。

 それから、F4断層の北方延長部に対応する記録が87ページでございます。ここでは、F4断層に相当する断層は認められないという解釈でございます。

 88ページ、F4断層の南側の記録でございまして、31W、それから13Gという記録でございます。こちらでは、F4断層の一部と考えておりますF4b-2という断層が北から延長しておりまして、ここでは、B2層の中には変位・変形は与えていないという解釈でございます。

 さらに南側のF4断層延長部、南側の延長部でございますが、112Wという記録では、F4断層は確認されません。

 以上がF3、F4断層の測線解釈でございます。

 ここでの断層評価といたしましては、F3断層、F4断層ともに、断層の直上には後期更新世のB1層というものは上載していない。それから、海底面付近に分布する、そのすぐ下のB2層の上部まで変位・変形を及ぼしている区間があるということでございます。

 したがいまして、この範囲につきましては耐震設計上考慮するということで配慮をいたしまして、一連の断層として長さ約16kmを評価するということで、耐震設計上考慮する断層ということと扱いました。

 以上がF3、F4断層でございます。

 続きまして、北側のF2断層の解釈でございます。

 90ページでございますが、こちらのF2断層は、東海の原子力科学研究所の敷地近傍で確認される、長さ3kmの断層でございます。

 ここでは、まず代表的な測線といたしまして4Gn、それから15Wという記録をお示ししておりますが、こちらは海底面付近に分布するB3層まで断層の変位が及んでいるということと、その下のC1層、それからD1層の上部にも変位・変形が認められるというものでございます。

 91ページに、先ほどの測線に少し斜行するような形ではございますが、HAというエアガンの記録がございます。ここでエアガン調査を実施いたしまして、さらにF2断層の深部の構造について確認するという調査を行いました。

 その結論といたしましては、F2断層の深部につきましては、D1層の下部よりも深いところについては、断層構造のようなものは認められなかったという状況でございます。

 なお、念のため、92ページでございますが、その近くに旧石油公団のSN94というベイケーブルの調査測線がございまして、そちらの記録も確認したところ、やはりF2断層は確認されなかったという状況でございます。

 以上の解釈を踏まえまして、F2断層の評価といたしましては、深部のD1層以深には地層の変位・変形が与えられていないということで、構造性の断層ではないと判断をいたしました。

 以上がF2断層でございます。

 それから、北側になりますが、一部緑色で書いてあるF11という断層がございまして、この付近の記録を107.5WAという記録でお示ししております。これにつきましては、海底面付近に分布しておりますD1層の上部まで変位・変形が及んでいるということでございました。

 こちらにつきましては、念のため、陸域への延長ということも考慮しまして、文献調査、変動地形調査を実施しております。

 まず94ページに文献調査のデータをお示ししておりますが、陸域延長部には、左側の「新編 日本の活断層」や右側の「活断層詳細デジタルマップ」で指摘される、陸域の断層というものは指摘されてございません。

 95ページに、事業者が実施いたしました変動地形調査の結果をお示ししておりますが、やはり陸域に延長する箇所につきましては、活断層を示唆するような変動地形は判読されないという状況でございます。

 以上の結果から、F11、F13断層につきましては、海底面付近のD層には変位・変形を与えていますが、少なくともC2層以上の地層に変位・変形が認められる箇所がないということと、陸域の情報を踏まえまして、後期更新世以降の活動性はないと判断している断層でございます。

 以上が北側の断層の情報でございます。

 最後になりますが、F1断層の情報でございます。

 これについては、前回も杉山先生からご指摘があったところなのですが、まず、その事業者の判断としてどのような評価をしているかということをご説明させていただきたいと思います。

 まず96ページに、F1断層に対する測線配置を示しております。ちょうど水色で書かれている線の脇に赤字でナンバーが振ってありますが、この測線の間隔、約2kmピッチで測線を断層に直交するような形で配置しております。

 97ページから、各測線の記録の特徴についてご説明をさせていただきます。

 まず97ページでは、F1断層の大きな構造を確認していただくという意味で、エアガンの3カ所の測線をお示ししております。

 こちらでSNと書いてあるものは旧石油公団のデータでございますが、事業者のNo.9という測線のデータも踏まえまして、同様に、E層の音響基盤からD層を経てC層の上まで変位・変形を与えている断層であるということが確認できます。なお、浅部については、エアガンのため不鮮明な情報となっており、確認はできません。

 98ページからが、北側から順に、各測線の解釈記録断面でございます。

 まずNo.2、No.3でございますが、こちらは左側にウォーターガン、右側にブーマーの記録をお載せしております。

 まずNo.2、No.3測線ですが、こちらではD層やC層が海底面付近まで分布しておりまして、いずれも海底面付近の地層まで変位・変形を与えているというものです。

 99ページが、No.4、No.5測線でございます。こちらでは、C層の上部にはF1断層は変位・変形を与えていないという事業者解釈を行っております。

 100ページが、No.6、No.7測線でございます。ここでは、C1層の上部には変位・変形は与えていないという解釈断面になってございます。

 101ページが、No.8、No.9測線の解釈断面でございまして、こちらにつきましては、8測線ではC1層、9測線ではB3層の上部に変位・変形を与えていないという判断でございます。

 102ページが、最後の11測線でございますが、こちらはいずれもB3層の上部にまで変位・変形を与えていないという解釈をしてございます。

 以上の結果を、103ページに評価表としてまとめてございます。

 横軸が各測線のナンバー、縦軸が地層区分になってございます。黒い棒線を見ていただきますと、北側、No.2やNo.3につきましては、古い地層の上部まで変位・変形が及んでいるという箇所がございますが、それから南側につきましては、事業者の判読といたしましては、B3層よりも新しい地層には変位・変形は与えていないという解釈を行っております。

 なお、104ページ以降につきましては、地形の観点から断層と海底地形の状態を比較した図をお示ししております。

 ここで得られる海底地形と断層との特徴につきましては、104ページから、北から順に各測線をお示ししておりますが、106ページまで、各測線の断層と海底地形の情報をお示ししています。

 こちらで、106ページのパワーポイントに記載してございますが、ここで確認される特徴としましては、本海域につきましては、海底地形が、非常に凹凸の多いエリアであるということが1つ。もう1つは、断層直上の海底地形は、必ずしも東側が相対的に高い地形ではないということで、F1断層が持っている東側上がりの断層形態とは必ずしも一致しないというようなことが、この情報から確認できるということでございます。

 107ページでは、地質構造の観点から検討した図をお示ししております。F1断層がこの海域に分布します地質構造を規制して分布しているような傾向はないという情報でございます。

 108ページに、比較的新しい地層ということで、C層の鮮新統の地層の上面コンターの図をお示ししておりますが、赤い色で書かれているF1断層が分布するエリアにおきましては、C層の上面が東側として系統的に高くなるような傾向は認められないという情報がございます。

 これらの情報から、F1断層が後期更新世以降繰り返し大きな地質構造を形成しているような形跡は確認されないという情報でございます。

 最後に、F1断層と応力場の関係を情報の1つとして検討してございますが、左側の図でお示ししておりますように、GPS等の記録で見ますと、F1断層付近の応力場というのは、圧縮場であるということ。

 ここから考えられるF1断層の活動としましては、逆断層の活動が示唆されるわけですが、先ほどご紹介したような各測線の記録からは、そういった傾向といいますか、逆断層の活動性を示すような傾向は見られなかったというものでございます。

 以上の情報を踏まえまして、大きくは、音波探査の記録、海底地形の情報、それから周辺の地質構造や応力場の関係を踏まえまして、F1断層というのは耐震設計上考慮すべき断層ではないというふうに、事業者として判断したという評価内容でございます。

 以上が海域の調査結果でございました。

【杉山主査】 どうもありがとうございました。

 では、まだ時間も20分ぐらいはありますので、先生方からご意見、ご質問を賜りたいと思います。いかがでしょうか。

【岡村委員】 いろいろあるのですが、まず、最初に、これはきょう出された解釈というか、最終的な結論は違うように思うのですが、それぞれの反射断面の解釈とかは、保安院で審査された東海の発電所と同じですか。それも独自に解釈されているのですか。

【JAEA 中山氏】 解釈の内容につきましては同じでございます。

【岡村委員】 同じですか。

 まず84ページ、F3の北の端というのは、エアガンの記録なのですが、ほとんど何も見えないような。地質構造として、ちょっとここから断層がないというのは難しいような断面かなと、私には見えるのですが。というのがまず1点です。

 あとは、ただF3は一応活断層として考慮されるということですよね。でも、これは正断層ですよね。

【JAEA 中山氏】 記録上は正断層の。見かけとしては正断層の。

【岡村委員】 それも、保安院の審査でも言ったのですが、F1が最後にこれは正断層だから考慮しないというところと、明らかに矛盾してしまう。F3を考慮しますと言ったとたんに、F1が正断層だから、現在の応力場では地震を発生させないという理屈が成り立たなくなるのです。それが一番大きな点。

 あとは、F1の音波探査の中で、示された図がちょっと小さくてよくわからないのですが、やはり結構どんな断面でも、必ず音波探査だとリンギングパルスといいますか、海底と平行な反射面がある程度、海底直下にある程度の幅が出てくるのですが。

 ここに出されている反射断面で、断層が海底まで行っていないというふうに解釈されてとめられているものも、かなりの部分はそのリンギングの平行な反射面、ほんとうの反射面が見えていないようなところでとめられているものがかなりある、あと、明らかに位置が違うのではないかというようなものは。

 例えば、100ページのNo.7Wというものは、断層の線がもう少し左側だと思います。

【杉山主査】 106ページにそこの拡大があるけれど、それも非常にずれていてまずいですよね。

【岡村委員】 そうですね。いろいろ、線の引き方、位置もずれていると思われるものもあるし、上をどこまで延ばすかというところで、明瞭にほんとうに変形していない、地層が認められるという場合にはまとめていいと思うのですが、そういうものがないときに。ほんとうはとまっているかもしれないですよ。でも、やはりそれを明らかに否定する材料として、かなり乏しいものが多いのかなというのが私の感想です。

【杉山主査】 それでよろしいですか。

 ほかの先生方、いかがでしょうか。

 なければ、私のほうからもちょっと補足的というか、岡村先生のご指摘と基本的に同じですが、これは確かに、保安院の一次審査のときの資料そのものというお話ですのでしようがないと思いますが、やはり断層の位置が、撓曲構造の、これは岡村さんからも、保安院のときにも指摘されたと思いますが、さっきのところもそうですが、やはり断層を引くべき線としてあらわすのだったら、引くべき位置はちょっとまずいと思います。100ページのそこもそうだし、その左側の図もそうですよね。

 それは撓曲崖の中間に引いていますが、普通はやはりもっと左側に引くのが当然で、そうすると、やはり海底のA層の直下まで断層が延びていることを完全には否定できない断面だと思います。

 それから、9測線が、私はずっと前から申し上げていると思いますが、これは当然、海底には、でこぼこがありますが、累積的に変位しているものの真上に、101ページの右下の図だと非常に顕著な崖があるわけですよね。

 だから、そういう断面を見た場合に、やはり反射法のこういう断面が出て、深い、中間、浅いほうも非常に整合的な、断層をやはり考えるべきだという、安全側の評価をするという観点から見れば、やはりこれは断層を否定できない情報だと、私は個人的には思います。

 ですから、きょうお示しいただいた事業者さんのお考えはわかりますが、評価する側としては、F1断層は、110ページにまとめられたような、耐震設計上考慮すべき断層ではないと言い切るだけの情報はなくて、やはり安全側の立場に立てば、F1断層についても、これがあるしかるべき大きさの震源断層としてモデルをつくっていただいて、それによって研究施設、研究的な原子炉に対しても、どういう安全上の影響があるかというのは、私はきちんと評価をしていただければというふうに、個人的には、この断面を見る限りは思いました。特に、今言った9測線とかその近傍の測線は、個人の研究者としては今申し上げたような意見を持っております。

 ほかの先生方はいかがでしょうか。それは岡村先生も同じようなご意見でしょうか。

【岡村委員】 そうですね。例えば103ページに、断層の活動時期、層順に示してありますが、黒いバーの上が少しあいていて、各層の上部は切っていないという意味で書かれているのですが、やはりその上の部分が、黒とは断言できないのですが、グレーなのかなと思います。そういうところがかなりある。

 そうした場合に、やはり完全に否定するという材料にはならないのではないかと思います。ほんとうにそれが白だという証拠が並んでいれば、それでいいのですが。やはりいろいろ、今、私も言ったし杉山さんもおっしゃったところを見ると、間に白があるというふうには見えないのではないかと思います。

【杉山主査】 事業者さん、今何かお答えいただけることがあればお願いいたします。

【JAEA 中山氏】 はい。事業者としての解釈記録ということでは、今ご説明させていただいたとおりの内容でございまして、杉山先生、岡村先生がおっしゃられるところも踏まえて、検討させていただきたいと思います。

【杉山主査】 はい。よろしいでしょうか。

 一応、今、陸域から海域まで通して、途中で切りながら、ご質問もさせていただいたわけですが、この資料の中に、今もう大体やってしまったと言えばあれですが、常備資料の最後に、「バックチェック報告の妥当性確認の主なポイント等について」という紙がありまして、ここにもう大体、きょうそういう観点で今、皆さんからご意見をいただいたとは思いますが、地質・地震動サブワーキンググループでやるべきことというのがここにまとめられていまして、きょうはこの「1.地質・地質構造」と。その中では、ちょっと振り返ってみますと棚倉破砕帯の西縁・東縁の断層。それから、関口-黒磯のリニアメント。それから鹿島台地・行方台地の、ここでは活傾動と書いてありますが、「日本の活断層」に書いてあるような傾動がどうであったか。それから、綾瀬川断層等の南東延長部の活動性。それから、今、議論がありました海域の断層という形で、それぞれについてご意見をいただいたわけです。

 全体を振りかえって、言い忘れたことや追加のご質問等があれば、まだ10分程度ありますので承りたいと思いますが。

【伊藤委員】 それでは、ちょっと個人的な感想なのですが。感想と言ってはまずいのでしょうけれども。先ほど、杉山先生と岡村先生からのご意見を踏まえて、事業者さんのほうで検討するということなのですが、保安院のほうで一応それなりの評価をして、ただ納得できないところがあったということだけは、私も承知のことです。

 ただ、杉山先生や岡村先生がお話しされているような疑問に対して、新たなデータというのは出てくるかどうかということ。それがまず、データ的にそういうことができるかどうかというのがちょっと心配だなと。

 ただ、先生方がおっしゃる意見が、これはやはりグレーだったら断層であると判断するということであれば、それはそれで多分納得いただけると思います。そこら辺が、「総合的」と言ってはまずいのでしょうが、基本的に断層を評価するということであるのであれば、それなりに、断層や探査の結果からはこういうふうに判断すると言えると思うのですが、私が危惧するのは、これから先ほんとうにそういう新たな調査データが出てこないで、今の議論が収束するかというあたりが、ちょっと疑問に思いますが、事業者さん、いかがですか。

【杉山主査】 では、お答えが今すぐにできるならお願いしたいと思いますが。できる範囲で。

【JAEA 中山氏】 基本的に、お示しできる調査情報といいますかデータとしましては、今、本日お示しした資料が基本的にはすべてのものでございます。

 あとは、評価の考え方をどういうふうにするかというところだと考えております。

【伊藤委員】 ですよね。だから、それについて事業者さんなりの考えをお伺いして、最終的にこの場で判断をするという形になるということ。そういう流れでよろしいですね。

 先生方が、新たに調査しなさいということを申し上げているのかどうかがちょっと気になったので、こういう質問をさせていただいたのですが。

【杉山主査】 岡村先生は何か。お答えがあれば。

【岡村委員】 いや、それは、できるのであればされてもいいと思いますが、私は要するに、この記録を見た限り、判断としてはこうだろうという、私の思うところを申し上げたわけで。それに対して間違っているとか否定するというのは、その解釈を否定する材料を出してくるか、新しいデータを出してくるかということだと思うのですが。そこはまあ、ご検討いただければと思います。

【杉山主査】 では、私もちょっと意見を申し上げさせていただければ。保安院のときの、保安院さんのまとめの中では、こういう意見もあったと。それで、F1断層を要するに動かしたときの地震動がどうかということで、大丈夫だということを確認した、という文言が最終バージョンには入っていますので、私としては、最初からストレートにF1断層を活断層として認定して、それから震源断層モデルをつくって、地震動をつくって、というやり方も1つだと思います。それで問題がなければ、まあそれのほうが本来は正しい姿とは思いますが、最低限、どこかの段階で地震動を入力地震動としてきちんと計算をしていただいて、それでそのサイトがどうなるかという結果を見せていただければ、それでよろしいかとは思います。

 藤原先生、その辺何かご意見がありましたら。

【藤原委員】 はい。後の地震動の評価も考えたときの印象で、特に杉山さんと岡村さんが言っていることはそのとおりだと思うのですが、実際に、現象としてそういった地震が起こる可能性とか、そういう発生可能性のレベルがどのぐらいなのか。

 この地域は、また一方で海溝型の地震を考えなければいけない地域で、やはり海溝型の地震については、過去ある程度の繰り返しとか経験があって、その経験の範囲内でわかっているレベルというのはある程度評価できると思うのですが、経験があると言ってもたかが知れた経験で、この活断層で、今このF1とかF3の活断層が活動する頻度とかと比べると、かなり短期間の評価を海溝型の地震で行っている可能性がある。

 そうしたときに、かなり低頻度の活断層の活動まで考えるのであれば、それに見合うだけの海溝型の地震のばらつきとか、そういったものはどのぐらい、全体としてのバランス感覚のある評価をすればいいのかというところが難しいかなと。

 特に、前回もちょっと質問したのですが、プレート境界の地震についてはある程度実態がわかっていて、繰り返し周期とかもある程度いろいろなモデルがあるかと思いますが、例えば太平洋プレートの中で起こるちょっと深目の地震とか、まだ実態のわからないプレート内の地震とかもまだたくさん残っていて、そういったものをどの辺まで取り込んで評価するのか。

 そのあたりのバランス感覚が難しいかなと。わからなさ加減を、どこまで入れるのかということですね。そこにちょっと波及するのではないかという感じで、ちょっと心配しながら聞いていたのですが。

【杉山主査】 どうもありがとうございました。

 事業者さん、その点について、きょうはそのご専門の分野の方はいらっしゃっていないでしょう。

【JAEA 中山氏】 はい。その専門の人間が来ておりませんのであれですが、活動性という意味から申しますと、各断層ともに非常に中新統のD層よりも深いところというのはかなり大きな変形構造があるのですが、C層、鮮新統よりも上部にかけては、非常に断層の活動性というものが小さくなってくるような記録が見えておりまして、活動性という意味では、鮮新統以降は非常に少ないといいますか、小さなものになってきているということだけは確認されます。

 ただ、頻度という話で申しますと、やはり情報は。ですから難しいところです。

【藤原委員】 そうですよね。ですから、非常に長い期間での評価に基づいて、活断層の地震を設定して評価する。一方で、海溝型の地震だと、たかが100年とか数百年のオーダーで、じゃあ海溝型の地震を何千年かのオーダーで見たときに全部評価できているのかという、バランス感覚の問題。

 そこをどのぐらいにとるのかというのは、もう判断の問題なので、それが妥当かどうかは、最後は判断の問題で、それはまた別のいろいろな判断が必要になろうかと思うのですが、そこはうまく説明できるように整理していくことが必要なのではないかと。

【杉山主査】 では、これは次回以降の課題でもあろうかと思いますので、その辺、事業者さんもちょっとお持ち帰りいただいて、ぜひ検討をお願いしたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 では、きょうの2つの議題をこれで終わらせていただきたいと思います。

 それでは、事務局のほうにお返ししたいと思います。

【鎌倉保安管理企画官】 本日はどうも、ご議論いただきましてありがとうございました。次回の開催日等につきましては、また事務局のほうからご連絡さし上げまして、開催させていただきたいと思います。

 以上でございます。

【杉山主査】 それでは、きょうはいろいろと活発なご議論をありがとうございました。

 これで第3回の地質・地震動サブワーキンググループを閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

 

(了)

 

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