原子力防災検討会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成17年9月6日(火曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省10F2会議室

3.議題

  1. 原子力防災体制の概要について
  2. その他

4.配付資料

  • 資料1: 「原子力防災検討会」の開催について
  • 資料2: 原子力防災検討会の運営について
  • 資料3: 原子力防災検討会の概要について
  • 資料4: 原子力防災検討会の今後の進め方

5.出席者

委員

中込座長、明石委員、飯田委員、池内委員、長見委員、小松原委員、桜井委員、首藤委員、数土委員、野村委員、吉岡委員

文部科学省

文部科学省 丸山科学技術・学術政策局長、下村次長・原子力安全監、植木原子力安全課長、松川防災環境対策室長、堀田防災管理対策官他 

6.議事進行

○ 座長として中込委員を選出

○ 松川室長より資料1~4について説明

7.主な質疑応答

<資料1関係>

【吉岡委員】 原災法だけでなく、災害対策基本法や防災基本計画の見直しの議論をしても良いのか。

【堀田対策官】 それらを考慮して議論するのは構わないが、検討会での見直しの対象は原災法のみである。

【数土委員】 今回は原災法施行5年後ということでの見直しだが、さらに5年後にも見直すのか。

【松川室長】 今回の見直し後は、社会の変化に応じて適時適切な見直しを行っていくこととする。

<資料3関係>

【池内委員】 原災法の中に、現在は位置付けられていない原子力艦のことを位置付けるのか検討が必要。

【松川室長】 今回の見直しの対象は原災法だが、今後の検討課題であると思う。

【吉岡委員】 現在の防災指針は、原子力災害時に専門家として誰が出動するのかが明確に書かれていないため、自治体からわかりにくい。防災指針の前に、「当面とるべき措置」があったことを認識しておくべき。また、国民保護計画との関係を意識すべき。

【中込座長】 EOCの活動の実績はどうか。

【松川室長】 一番大きなところでは、政府総合防災訓練の場合は、EOCが文科省対策支援本部の拠点となる。文科省訓練でも使用する。

【中込座長】 EOC等に設置しているFAX等の機器の稼働率が低くはないのか。普段は使わないため、本当の緊急時に壊れていて動かないということは無いのか。

【松川室長】 図上訓練等に使用したり、また設備の点検等により月に一回はシステムの一部を立ち上げなどをしているため、そういうことは無い。

【中込座長】 原災法も実際の状況と合うように見直しの検討を行うことが必要。

【小松原委員】 資料3の16Pに事後対策の記載があるが、例えば加工施設で火災や爆発等が起こってウラン等の粉末が飛散した場合、どのように除染を行うかという枠組みはどのようになっているのか。

【松川室長】 まずは事業者がしっかりと対応すべきだが、実際どうするのかは明確になっていない部分もある。

【小松原委員】 事業者がどのレベルまで除染を行うかという問題は非常に難しいので、国の委員会で中心的なものを定めるべき。

【野村委員】 あるレベルを超えると事業者だけでは対応できないので、そこは国の危機管理としてしっかりと検討すべき。

【中込座長】 国民が被害者であることを忘れず、一刻も早い対応が必要なので、もし事業者が無理ならば、国が責任を持って対応するなどのルールを決めることが必要。

【小松原委員】 国が管理している自治体等とを結ぶ防災情報ネットワークは容量が非常に少ないが、更新をする予定はあるのか。

【堀田対策官】 ネットワークを整備して約5年になるので、経済省や文科省、自治体等を結ぶ共通のネットワークの更新を今後行う予定である。

【小松原委員】 その際は、自治体の意見をよく取り入れてほしい。

【首藤委員】 阪神大震災以降は、復旧だけでなく復興という面が重要視されている。そのような地域復興、生活再建のことを原災法に取り入れたりはしないのか。自然災害のほうでは被災者生活再建支援法などの仕組みがあるが。

【松川室長】 そこまでは想定できていない。自然災害のための災対法の流れも見つつ、検討する必要がある。ただ、支援というほどの広い意味では無いが、原賠法に基づき、保険が下りて事業者が対応するという制度がある。

【首藤委員】 自然災害の生活支援の枠組みと比べて、原子力災害の支援に不十分な点が無いか検討するべきである。

【飯田委員】 核テロの場合は、どのような対応になるのか。また、例えば地震などでSPEEDIがダウンした際に原子力災害も同時に起こった場合は、どうやって避難地域等を予測するのか。

【松川室長】 核テロは、原災法の対象には入っていない。また、地震と原子力災害が同時に起こった場合については、今後そのような状況を想定した訓練のシナリオを作って対応していくことも考えられる。

【中込座長】 災害であれ核テロであれ、何が原因であろうと起こってしまったら大変である。法律で対象にならないから何もしないというのは困る。

【松川室長】 核テロが起こった場合は、有事法の中で定められた対応を行っていくことになると思うが、文科省としては、どのような核種かわかればSPEEDIを動かすことができる。原災法の枠組みの中で体制整備をしっかりと行っていれば、有事の際も有効に活用できると考えている。

<全体を通してのフリーディスカッション>

【野村委員】 これまでの5年間の経験を踏まえ、制度面での緊急時における有効性を高めていくべき。そのためには訓練による確認と改善が大切。総合訓練だけではなく、自治体や事業者等が行っている訓練も含め、体系を補強していくべき。

【吉岡委員】 モニタリングは自治体が中心になってしまっているが、実はこれは法律の裏づけがないのでやりにくい。人員削減の流れの中で、アウトソーシングが進んでおり、対応能力が無くなってしまう傾向にある。自治体の役割が法律上は不明確なので、もっと明確にするほうが適切な体制を整備できる。

【中込座長】 災害時の住民への情報は、迅速に行うべきである。

【首藤委員】 社会弱者へも迅速な情報提供を行えるようにすべきである。

【長見委員】 JCOの際は、情報が無いのでどうしたら良いかわからないという問い合わせが多かった。精神的なケアを行う体制整備が必要であり、行き届く広報を行う必要がある。

【中込座長】 一般災害を想定した災害対策基本法の見直しはあるのか。

【松川室長】 世の中の状況に応じて適宜見直しを行うこととなっている。

【中込座長】 原子力災害対策の見直しが、他の災害対策を引っ張るような姿勢を持っていきたい。

【首藤委員】 風水害の場合は、迅速な避難が困難な人向けの避難準備情報を出す体制があるが、原子力の場合でもこれと同様な体制を整備できるかどうかを検討すべきである。

【吉岡委員】 平常指針、緊急時指針、防災指針に矛盾や欠落がある場合があるので、それを無くしていくことが重要。

【松川室長】 指針類についても、JCO事故を教訓にした見直しから5年たった状況は同じであるので、法律と同じように、安全委員会において同じように見直しを行っていくものと思われる。

【中込座長】 三次被ばく医療機関として、放医研はわが国における被ばく医療体制の頂点にあるが、具体的にはどういう立場なのか。

【明石委員】 教育訓練の体制が最も充実していることや、最も専門的な医療機関であるという位置付けで放医研が頂点にある。例えば、体内汚染がある場合等は放医研でしか対応できないと思われる。

【中込座長】 緊急被ばく医療は、一般の人から見ると非常に重要な問題である。省庁としての所掌にとらわれず、国としてシステムが一本化されているのは非常に良いことなので、どこまで有効に活用できるかが重要。

【小松原委員】 2次被ばく医療機関を通さずに、直接3次被ばく医療機関に患者を送ることはあるのか。

【明石委員】 充分にありうる事である。各緊急被ばく医療機関の役割を明確にすることが必要。

【小松原委員】 国民保護の指針を国が出し、都道府県が計画を出しているが、その中で核テロの位置づけがある。核テロの場合は、それによる放射性物質の異常な漏洩があった場合は、原子力災害の場合に準じる対応を行うと書いてあるが、今回の見直しは、このような外部からの要因による原子力災害対策のための見直しではなく、今までどおりの原災法の枠内での見直しということで良いか。

【松川室長】 良い。原災法の枠内での体制を整備すれば、有事の際の国民保護にも活用できると考えている。

 以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室

担当:筒井
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(科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室)