原子力防災検討会(第4回) 議事要旨

1.日時

平成18年2月8日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省地下1階 非常災害対策センター

3.議題

  1. 報告書案について
  2. 平成17年度文部科学省原子力防災訓練の結果について
  3. その他

4.配付資料

  • 資料4‐1: 第3回原子力防災検討会議事概要(案)
  • 資料4‐2: 「原子力災害対策特別措置法の施行状況について(案)」概要
  • 資料4‐3: 原子力災害対策特別措置法の施行状況について(案)
  • 資料4‐4: 平成17年度文部科学省原子力防災訓練の結果について
  • (追加資料)   
  •  原子力防災検討会報告書(案)暫定版へのコメント(野村委員)
  •  原災法施行状況について‐報告書案(2月3日版)に関する意見(吉岡委員)

5.出席者

委員

中込座長、明石委員、飯田委員、池内委員、長見委員、小松原委員、衣笠委員、吉岡委員

文部科学省

文部科学省 下村次長・原子力安全監、植木原子力安全課長、松川防災環境対策室長、堀田防災管理対策官他

6.議事進行

○ 松川防災環境対策室長より資料に沿って説明、質疑応答

7.主な質疑応答

 <資料4‐2、4‐3関係>

 (2.と3.について)

【小松原委員】  8Pの「3.原災法の施行状況 (2)原子力防災に係る施設・資機材の整備状況について 2.地方公共団体の取組」は、「1.国の取組」に比べ、内容が少ない。茨城県の場合には、独自に茨城ブロードバンドネットワークを全県的に整備している。それを活用して、立地市町村と電子掲示板であるとか、県民への情報提供のシステムを作っているので、そのような物も紹介していただきたい。
 9Pの「(3)原子力防災訓練について 2.地方公共団体の取組」も内容が少ない。文科省は研修等を実施しているということであるが、地方公共団体も行っているので、それも入れていただきたい。

【松川室長】  内容についてのコメントがあれば、今週中ぐらいに事務局に文書で頂きたい。

【池内委員】  7Pの(2)では、文言だけの問題であるが「文部科学省(当時、科技庁)」、「文部科学省(当時、科学技術庁)」が混在しているので、「文部科学省(当時、科学技術庁)」に統一されてはどうか。

(4.について)

【池内委員】  「考える」と「考えられる」が入り乱れているので、「考えられる」に統一を。
 12Pの4.の最後は、「必要であると考えるが、法令による規定までは、必要がないものと考える。」は、「必要であると考える。しかし、法令による規定までは、必要がないものと考える。」などと変えてはどうか。
 13Pの8.は、2箇所、読点がカンマになっているので、修正を。
 15Pの(4)1.は、防護措置の検討で一番時間がかかるのはSPEEDIの予測なので、その予測時間の短縮を盛り込んで欲しい。
 16Pの「(イ)緊急時モニタリング測定技術」における「以下の技術調査等を進める。」は、「以下の測定技術調査を進める。」と変えた方が良い。また、最後の項目では、「確立」が二つあるので、2つ目は「改訂」等に変えた方が良い。

【吉岡委員】  11P。全体を通じて「マニュアル」に言及しているが、これは関係省庁マニュアルや文科省マニュアルが主なものになっている。加えて、各種指針にも言及した方が良い。指針は文科省所管では無いかもしれないが、提案はできる。また、マニュアルについては、地方は公式には知り得ないものなので、「マニュアル類の周知・理解の徹底を図っていく」ならば、公開の明確化の措置が欲しい。単に研修等の資料になるだけでは足りない。
 12Pの「4.原子力防災要員について」。原子力事業者は、確かに防災要員を置いている。自治体の側から見れば、要員の確保自体は事業者はやっているのだが、原子力災害対策協議会機能班または政府原子力災害現地対策本部の支援まで含めて、発災事業者が要員を出せる余裕があるかどうかが心配である。この文言がどうこうというわけでは無いが、論点が異なるのではないか。
 13Pの「7.緊急被ばく医療について」は、内容はそのとおりである。文科省マニュアルの中に、各機能班の主な役割を示したポンチ絵があるが、そこに必ず現れるのが安定ヨウ素剤の検討である。しかし、これは放射性ヨウ素の拡散、線量予測も含めて検討するはずなのに、実は放射線班や医療班にはそのことが明記されていない。放射線班と医療班間での安定ヨウ素剤投与に係る協議をマニュアルに定めるべき。
 次に、「8.関係機関の職員等の安全の確保について」は、論点が違うのではないか。国民保護法という文言を出したため、論点がぼやけている。実際は何を言いたかったのかというと、モニタリング要員、警察等の現場の様々な人たちの横断的な被ばく線量測定及び管理をどこがやるのかということが明確になっていない、ということである。従って、国民保護法とは別の話であり、マニュアルや運営要領でやっていくべきことではないか。
 また、9.。六ケ所での保障措置のためのプルトニウムの分析が本当に原災法の対象になるのかと当初は疑問を持った。これに関連して、今の指針等は、色々なものを入れているので、ポイントがぼやけてわかりにくくなっていると思う。
 14Pの設備・資機材の更新について。既に実用化されている物の標準的な仕様が定められると、それが互換性を持って、応援の実施などの際、役に立つものになると思われる。例えば、常設の固定モニタには放射線の線量率を測るものと、空気中の放射能を測るものがあるが、後者の仕様が統一されていない。文科省で作成している測定法シリーズの中で、空気中放射能測定マニュアルを策定すべきではないか。また、固定モニタの補完に使う仮設モニタ(可般型測定器)は都道府県では数台規模しか持てないが、仕様が統一されると互換性の観点から(他の都道府県のものを借りたりして)使いやすくなる。
 15Pの4つ目のパラグラフ中、事後対策の記述があるが、法第26条には汚染の除去等、他と比べて内容が具体的なので、平常時モニタリングの実施など、他も並びをとったらどうか。

【明石委員】  今の吉岡委員の被ばく医療に関するご意見についてコメントする。確かに安定ヨウ素剤投与については色々と問題があるが、それはマニュアルとか、オフサイトセンター等の各機能班の役割の中で明確化することが解決の方法であると考える。屋内退避や避難、食物摂取制限についても同じようなことが言える。
 13Pの「7.緊急被ばく医療について」のところに厚生労働省との連携の話があるが、これはオフサイトセンター等の要員として人を送るだけではなく、厚労省系列、文科省系列のそれぞれの病院が、その枠を超えて連携・協力していくべきという等の趣旨である。

【中込座長】  厚労省と連携をするに当たっては、省令を改正したりする必要は無いのか。

【松川室長】  厚労省の救急医療と、文科省の緊急被ばく医療は縦割りであるため、実際に被ばく患者が多数出た際には、うまく機能しないであろうことは誰しもが感じている。そのため、厚労省と文科省等の関係者を集めて図上訓練を行うなどの取組は始めている。ここはまだマニュアルに書く以前の話であるが、努力は始めている。
 11Pの4:(1)1.の最終パラグラフに緊急被ばく医療のマニュアルという話があるが、これは機能班の役割の明確化も含めて、医療班のマニュアルにしっかり定めて書いていくという意思表示の表れなので、ご留意いただきたい。

【明石委員】  全体的な所で、研修や啓発等の言葉が出てきているが、このまとめとして、この領域に関わる人材養成などの項目を設け、その中で研修、啓発等のことを記載した方が良いのではないか。人材養成は重要である。

【中込座長】  17P(6)の表題を変更するのみでも、人材育成を含む印象となるのではないか。また、緊急時は効率的な措置が必要なので、壁の無い体制を作って欲しい。

【吉岡委員】  緊急被ばく医療について。美浜の事故の際、周辺の一部の病院では、事業者と協定を結んで、救急医療と緊急被ばく医療を特に考慮せず迅速に受け入れることにしていたが、汚染・非汚染の証明が必要だったため、かえって受け入れに時間を要したことがあった。このため、手遅れにならないような(救急医療と緊急被ばく医療の関係の)良いひな形を作っていただきたい。

【下村次長】  現在、原子力安全委員会で指針類の改定を行っているが、この防災に関しても、文科省としてこのような検討の場で出た意見を着実に関係省庁に伝え、議論を行っていくことが必要である。緊急被ばく医療に関する厚労省との連携等、実体での連携について議論をする時期に来ていると思うため、その点は報告書の内容を厚くしたい。

【中込座長】  この5年間で色々な問題が出たということは貴重なことである。また、この報告書はパブリックコメントにかけるので、省庁の壁を無くすということは基本的なことであるが、一般の人にそのような取組が見えるようにしてほしい。

【小松原委員】  11Pの1.では、いきなり「機能班」という言葉が出てきている。パブリックコメントにかけるであれば、これはわかりにくいと思う。2番目のパラグラフの「しかし」以降では、全体的に法令やマニュアルの中で体制が整備されており、問題が無いという内容になっている。報告書の文面としてはこれで良いのかも知れないが、機能班の役割分担等は、良いものがあればどんどん見直していくべきであると思うので、そのような認識を強く持ってほしい。また、「認識不足」という言葉があるが、これはいかがなものか。オフサイトセンターを運営するに当たって、茨城県では、経産省と文科省の統一マニュアルを作ろうということで、昨年度は何回も勉強会を開き、作ったマニュアルを関係市町村、事業者の方にも周知徹底を図った。よって、決して認識不足ではない。文言の再考をお願いしたい。さらに、1.最後のパラグラフでマニュアル等の改善の話があるが、これは国、地方公共団体、事業者が密接な連携の元に進めていくことが必要不可欠であるため、そのように文面を直していただきたい。
 13Pの8.の安全確保については、前回、私が提案したことである。基本的に、国民保護法における有事特有の特殊な事情というものの中には、放射性物質の漏洩による危険性ということも言っていると思う。原災法としても職員の安全を確保していくということは必要であると思うが、明記するのが困難であるということであれば、報告書にはこの項目は載せなければ良いのではないか。
 14Pに機器の更新の話があるが、計画的な更新を是非お願いしたい。ただし、現在オフサイトセンターには、既に経産省の標準例文集、原子力緊急時支援・研修センターが開発した情報共有システムが存在している。既存のシステムの改良を行う以上に、新しいシステムを付加するのはいかがなものか、と思う。
 14Pの(3)「原子力防災訓練等について」に「改善を図ってきている」とあるが、具体的にどのような点を改善してきたのかを広く国民に知らしめるような内容の記述があれば、なお良いと思う。
 15Pの(4)「原子力防災に関する技術調査等について」にSPEEDIシステムがあるが、これは重要なのでメインで改善していこうとするスタンスは当然必要であると思う。しかし、これがダウンした際の措置をどうしたら良いか、訓練等でどのように対応していくのかを、どこかに書ければ良いと思う。また、ERSSのようなシステムを研究炉で導入する計画があれば、ここに盛り込めれば、と思う。
 色々とあるので、後で文章で意見を提出する。

【松川室長】  SPEEDIについては、万が一、現地のオフサイトセンターが立ち上がった際、東京のSPEEDIがつぶれた場合は、過去に使用した基本形を活用できる。そのため、つぶれたからと言って全てお手上げであるということにはならないよう、運用をしている。

【中込座長】  防災のシステムの話として、輻輳した場合の対応や、バックアップシステムがあるのかどうかを書いておく必要がある。この5年間で、そのようなことが明らかになったのか、それとも、あることが知られていなかったのかをきっちりとまとめておく必要がある。

【吉岡委員】  自治体によっては、過去の経験を踏まえ、(予測の)簡易なシステムを備えている所もある。ただ、全部がそうではないので、万能ではない。指針には簡易法や修正など、予測の精神が盛り込まれているが、そういったダウン時の対応訓練まではやっていないところがほとんどである。

【長見委員】  5Pの「2.地方公共団体」に、住民への情報伝達、住民の避難誘導等の話があるが、住民の立場で考えると、どのような方法でその情報を受け取ることができるのか、避難の指示はどうやって受け取る事ができるのか、が今一つわかりにくい。防災無線で流されるとか、町内会を通じて連絡がある等のことを知らせておいてほしい。報告書では、このような受け手の立場に配慮したコメントを書いておくと良い。

【松川室長】  ご指摘の内容については、訓練等にも取り入れている。例えば、防災無線や自治体の宣伝カー等で、情報伝達の漏れが無いようにしている。ただ一つ、いつも指摘されるのは、体の不自由な方が集まっている施設の避難はどうするのかということである。その場合は、自治体や自衛隊等に大型車両を出していただくようお願いして、集団で避難していただくような手配を考えている。報告書の中にも、そのような一例を加え、住民の方から見ても、どのように情報提供が為されるのかがわかるような内容にしたい。

【飯田委員】  緊急時モニタリングはこの5年間でどのように機能しており、今後、どのようになっていくかわかるようにすべきではないか。
 次に、17P「4.バックグラウンドレベルの把握について」について、現在実施している平時のモニタリングの他、(六ケ所に)新しくできる再処理施設周辺の放射性核種のバックグラウンドレベルの把握をやっていかなければならない。よって、この2つは分離したような書き方のほうが良いのではないか。
 質問だが、「(5)原子力防災に関する国際交流について」は、進めていくと書いてあるが、将来的には中国や韓国等とのモニタリングデータ等の情報の共有ということは考えているのか。

【松川室長】  今すぐモニタリングデータを共有しようというような直接的なところまでは、まだ話が進んでいない。むしろ、オフサイトセンターの整備、防災訓練というところでは、日本は半歩ほど進んでいる。韓国や中国はサイトも増えてきて、防災に関する意識も高まってきているので、相互視察等を行うことにより、役に立つことをお互いに取り入れている。なお、将来的にお互いのモニタリングデータの情報共有がどうなるのかと言うと、現在わが国の発電所周辺のモニタリングデータは、インターネット等により、すぐに見ることができる。これに中国や韓国の人もアクセスすれば良い。ただ、事故時に本当に何が起きているのかという情報の把握のために使うホットラインのようなものは、今後の検討課題である。

【中込座長】  平時のモニタリングデータが充実しており、かつそれを広報しておいてこそ、緊急時モニタリングデータと比較した時の結果が一般の人にもわかりやすいと思う。そのため、17Pのバックグラウンドレベルの話は報告書にもしっかりと書いておきたい。頂いたご意見も踏まえて、内容を充実させたい。
 また、元々の目的は原災法の見直しであるため、全体の論調として、法律の改正は必要なく、省令、マニュアル等を改正するということを最後のまとめの部分で書くと良い。

【衣笠委員】  19Pの5.の真ん中あたりに「緊急被ばく医療及び様々な放射性核種の環境中におけるバックグラウンドレベルの把握等に努める。」とあるが、意味がわかりにくいので、既出の文言を使ってわかりやすくまとめるようにして欲しい。

【小松原委員】  目次は、経産省も同じような感じなのか。

【松川室長】  基本的にほぼ同じである。文章によっては、全く同じパラグラフを使っている部分もある。

【吉岡委員】  地方でも行財政改革が進んでいるため、法的な根拠が無いようなものは、廃止される危険性がある。よって、地方自治体のモニタリングの法的根拠の付与または位置づけの明確化をお願いしたい。 また、マニュアルと同時に指針の存在もあるので、報告書の内容としてご留意願いたい。
 報告書案全体を通じて、連携の大事さを言っているが、これはまだ現場から見てみると希望的観測または目標であり、実際はなかなか進んでいないのが実情である。

【中込座長】  追加のご意見があれば、今週中に文書で意見を事務局まで頂きたい。それも踏まえ、パブコメ前の完成版を委員の皆様にお送りしたい。

 <資料4‐4関係>

【中込座長】  訓練というものは、反省があるから訓練をやるのであるため、反省点が多い少ないということは気にしなくて良いと思う。

【長見委員】  夜間や休日に災害が起こったという想定の訓練は行うのか。

【松川室長】  これまでは、住民の皆様に夜間にご協力いただくのは難しいため、どうしても昼間ばかりであった。訓練形式はシナリオ提示型もブラインド型も、一通りやってきた。今後は、夜間の間に住民避難を優先させるのか、明るくなってから避難をさせたほうが安全かというような要素を絞って訓練を行うことも考えていかなければならないと思う。

【中込座長】  オフサイトセンターの立ち上げの場合、茨城県では経産省と文科省の対象施設があるが、例えば文科省対象施設での立ち上げの場合、経産省の協力は無いのか。

【松川室長】  文科省の施設の場合でも、経産省の施設の場合でも、それぞれの役割に応じて機能班に入る等により、協力して対応を行っている。

【中込座長】  縦割りはいけないので、お互いに協力しているということがわかるようにして欲しい。  

 <その他>

 【中込座長】  次回は、パブコメ後の3月中に行う。  

 以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室

担当:筒井
電話番号:03‐6734‐4038
ファクシミリ番号:03‐6734‐4042

(科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室)