原子力防災検討会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成18年3月28日(火曜日)15時~16時

2.場所

文部科学省地下1階 非常災害対策センター

3.議題

  1. 報告書案に関する意見募集等の結果について
  2. 報告書の決定について
  3. その他

4.配付資料

  • 資料5‐1: 第4回原子力防災検討会議事概要(案)
  • 資料5‐2: 報告書案に関する意見募集等の結果について
  • 資料5‐3: 「原子力災害対策特別措置法の施行状況について」概要(案)
  • 資料5‐4: 原子力災害対策特別措置法の施行状況について(案)

5.出席者

委員

中込座長、明石委員、井川委員、池内委員、桜井委員、数土委員、野村委員、吉岡委員

文部科学省

部科学省 小田科学技術・学術政策局長、植木原子力安全課長、松川防災環境対策室長、堀田防災管理対策官他 

6.議事進行

○ 松川防災環境対策室長より資料に沿って説明、質疑応答

7.主な質疑応答

 <議題(1) 報告書案に関する意見募集等の結果について>

【池内委員】  経済産業省のパブコメは、意見が寄せられたのか。

【松川室長】  JNESから2件出ていた。一般からの意見は無かった。

【中込座長】  意見が出なかったことについては、国としてどう考えているか。

【松川室長】  我々は国民の安全確保のために防災の仕事をしているので、一般からの意見はもっと頂きたかった。一般からは今回は出てこなかったが、各委員の先生方から、この報告書に限らず、ご意見があれば頂きたい。

<議題(2) 報告書の決定について>

【吉岡委員】  何回か検討会を開催して議論を行ってきた結果、このような報告書になったのであるが、委員の立場からはパブコメはできないと思った。
 経産省の報告書も手に入れて読んでみたが、書きぶりのトーンが違うのは別の役所だから仕方が無いとして、例えば、経産省が取り上げていることで良いことは、文科省も取り入れる、というようなことは無いのか。すなわち、経産省ではERSSに関してJNESのことをよく書いているが、文科省では原安センターや分析センターのことをあまり書いていないのではないか。

【野村委員】  テニヲハであるが、11Pの下から6行目は「意見があったため」と直すべき。

【吉岡委員】  5Pの2行目は、「退避の勧告や指示」に直すべき。また、同じページの「2.地方公共団体」の部分は、一番目と三番目の項目を換えるべき。

【池内委員】  21Pの委員名簿は、一部、五十音順になっていないところがあるので、直すべき。

【吉岡委員】  経産省は、報告書の書き方が主体的であり、地方との連携も大きく打ち出している。しかし、文科省は書き方が遠慮がちのように見える。以前、マニュアルだけでなく、指針についても報告書で触れて欲しいと述べたが、文科省に直接関係があるモニタリング指針については、全体に係る防災指針と併記してはどうか。

【中込座長】  文科省と経産省では、所管事業者が違うため、国民が受ける印象も違うと思うので、多少のトーンの違いがあっても良いのではないかと思う。

【松川室長】  年度末から、原子力安全委員会において防災指針の見直しが始まる。それに先立ち、事務局レベルで要望を既に安全委員会に伝えているが、その中には、以前吉岡委員からご指摘があったことも含めている。今後の議論を見守っていきたい。

【中込座長】  内容的には変わらないと思うが、今、ご指摘いただいた点を修正した上で、あさって30日(木曜日)の原子力安全委員会本会議に報告させていただく。これで、報告書を決定ということにさせていただく。

 <報告書に限らず、委員から一言ずつ>

【数土委員】  是非、この報告書の終わりのところに書いてあることを着実にやっていただきたい。
 また、この報告書に書いてあるようなことが着実に実施されているかどうかをきちんとチェックするシステムがあっても良いと思うので、是非検討していただきたい。

【野村委員】  JCO事故の教訓を踏まえ、法令、マニュアル等のソフト面、OFC、防災資器材などハード面の整備など新しい制度の枠組みを作ることに力を注ぎ、この5年はそれらが機能するかをチェックしてきたと思う。今後はこの枠組みにおいて実務面で実際に機能することを確実にすることが課題になってくる。実践的な訓練等と改善により実効性を高めていくことが重要である。
 原子力安全委員会において防災指針の見直しの動きがあり、IAEAの安全要件や指針といった国際的な動きを我が国としてどう受けとめるかが課題となると思われるが、実務面で対応できないと意味が無い。この動きの中で、ある(避難)範囲を決める時に、実際にモニタリングをした上で決めるといった実測を重視した対応も求められている。体制の整った自治体もあるが、多くの場合現状では対応には限界がある。国としてどのように支援するか含め、実務面での体制を強化充実することが重要である。

【吉岡委員】  地方自治体の役割で一番重要なのは、モニタリングだと思っている。しかし、原災法の中に位置付けが無いことについては、これまで再三申し上げてきたことである。報告書の5Pにモニタリングの記述が出てきたが、扱いが小さいように思える。そのうち、地方でアウトソーシングが進むと、機能を維持できるかどうかが問題になってくるので、もう少し大きい扱いで書いても良いのではないか。

【桜井委員】  先ほど、原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会において神田部会長から、アジアとの協力は何をやろうとしているのかというご指摘があったと説明があったが、単なるODAのような意味合いではなく、原子力防災という、みんなが納得するような目的で、しっかりとやってほしい。

【堀田対策官】  これまでの各機関との協力を、一層強化させていこうという意味である。例えば、アジア内での広域な放射性物質の拡散実験を想定した影響シミュレーションなどである。
 研究開発以外では、韓国で今後、総合防災訓練を初めて行うという取組があるので、そのために先日の日本の総合防災訓練に視察団が来たことがあった。韓国側も、日本を招きたいと言っている。そのような訓練での交流も同時に進めていきたいと思っている。  

【中込座長】  今後、海外とも様々な交流があると思うが、人や物だけでなく、考え方の交流を行うことも重要である。広く展開してほしい。

【松川室長】  防災訓練だけでなく、通常時のバックグラウンドのモニタリングについては、分析センターを中心として、あるいは我々文科省も、中国や韓国と交流を始めている。いずれは他の東南アジア等の原子力の計画が進んでくれば、交流を持つことが必要になってくると考えている。

【明石委員】  この業界は、医療も含めて、人がかなり少なくなってきているので、人の育成は重要である。物ばかりあっても、人がいないと役に立てられない。どうすれば人材育成を効果的に行うことができるのかということにつなげて欲しい。

【池内委員】  先ほど、松川室長から防災指針の見直しが始まるというお話があったが、自分は原子力安全委員会事務局や、科技庁時代の防環室という2つの省庁にまたがって勤務した経験があるので、それを生かし、より良い防災指針を作っていきたい。広く御意見を頂きたい。

【井川委員】  報告書については、正直、物足りないと思うところもある。審議の途中でも申し上げたが、防災は、これからは民間が商売にしていく分野である。それは、国が提供する防災情報等の取組が、国民のニーズに完全に応えられていないから、民間が商売にしてしまうのである。国民のニーズに合った防災の取組を行う工夫が遅れているため、人材もうまく育たないのではないか。防災は国民のニーズがあるものなので、国民にうまく伝えれば、民間でもでき、発展性もあるものである。将来の見直しの際には、民間が行う防災の取組も含めて、専門家や役所の人は状況をよく見つつ、その延長線上で見直しを行って欲しい。そうすれば、人材が育つチャンスも出てくるし、予算をつけて実施する取組も増えてくると思う。

【中込座長】  井川委員にお聞きする。原子力防災と一般防災に対する考え方に大きな違いは無いと思っているのだが、国民から見て、それはどうか。

【井川委員】  私もリスクや対策等の観点から見て、原子力だけが特殊だということは無いと思っているのだが、原賠法があることにも現れているように、いざ事故等が起こると、その被害や不安感が非常に大きく受け止められるという側面がある。それは、国民とリスクコミュニケーションとの仲立ちをしてこなかったマスコミの責任でもあるとも言える。しかし、原子力は発電から医療まで幅広く使われ、国民生活の中でも大きな柱となっており、災害が起きた時に国民を守るという観点は一般災害と全く同じであるので、なるべく幅広い人に情報交換をしていただいて、既存のインフラを活用する等、なるべく効率的に良い災害対策を行っていただきたい。そうすることによって、一般の方がリスクに関する、より適切な理解を持っていただければ良いと思う。
 原子力と一般の災害とのリスクの差異に関する正しい理解を国民に持っていただくために、我々メディアも努力をすることが必要であるが、専門家の方にも努力をしていただきたい。

【中込座長】  防災は、何事も無いと段々と忘れていくものだが、そうならないように見直しを行うことが必要なのであり、その時に、誰のための防災なのかをよく考えて議論を行うべきである。
 また、現場の声は非常に重要であるので、実際に現場で動く人たちの声を十分に反映して見直しを行うべきである。

 <その他>

 【中込座長】  次回以降の原子力防災検討会は、文部科学省が行っている原子力防災に関する各種事業への委員の皆様からの御意見をうかがう場とする。なお、検討会の場に限らず、今後、原子力防災に関する事業への御意見があれば、文部科学省の防災環境対策室までお知らせいただきたい。

 以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室

担当:筒井
電話番号:03‐6734‐4038
ファクシミリ番号:03‐6734‐4042

(科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室)