国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ(第11回) 議事録

1.日時

平成23年1月31日(月曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 5階 5F5会議室

3.議題

  1. 独立行政法人日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター材料試験炉(JMTR)の管理区域外にある埋設配管のき裂による放射性物質の漏えいについて
  2. 独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所廃液輸送管撤去作業における管理区域外での放射性物質の漏えいについて
  3. その他

4.配付資料

  • INES11‐1 独立行政法人日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター(北地区)材料試験炉(JMTR)の管理区域外にある埋設配管のき裂による放射性物質の漏えいについて
  • INES11‐2 独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所廃液輸送管撤去作業における管理区域外での放射性物質の漏えいについて
  • 参考‐1 国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ委員名簿
  • 参考‐2 独立行政法人日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター材料試験炉(JMTR)の管理区域外にある埋設配管のき裂による放射性物質の漏えいに係る同機構からの報告(最終報)及び文部科学省の対応について
  • 参考‐3 独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所廃液輸送管撤去作業における管理区域外への放射性物質の漏えいに係る同機構からの報告及び文部科学省の対応について
  • 参考‐4 第10回国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ速記録

5.速記録 (第11回国際原子力象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ)

国際原子力象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ(第11回)

平成24年2月1日(水曜日)

(注:この速記録の発言内容については、発言者のチェックを受けたものではありません)

【吉田原子力規制室長】
 委員の方が全員そろいましたので、開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、ご参集いただきましてありがとうございます。本会合は、お手元の資料参考1にございますけれども、全部で構成員が10名でございますけれども、本日は8名ということでご出席いただいておりますので、定足数は足りております。それから、蜂谷先生と三澤先生は欠席ということで連絡を受けております。それでは、本日の進行は、委員長であります中込先生にお願いしたいと思いますので、それでは先生、よろしくお願いいたします。

【中込委員長】
 それでは、第11回になりますが、INESの評価ワーキンググループを開催させていただきます。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。本会合は公開となっておりますが、私の指名の後に発言を行っていただきたいと思います。傍聴者にも一応ご協力をお願いすることになっていますが、きょうはいらっしゃらないようですので、委員の方のご協力を得まして、無事この委員会を終了させたいと思っております。それでは、まず本日の配付資料につきまして、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【横井専門職】
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。座席表の1枚紙の次が、本日の議事次第の1枚紙でございます。それから、INES11‐1といたしまして、原子力機構JMTRの管理区域外の埋設配管のき裂による放射性物質の漏えいについて、それから、INES11‐2といたしまして、原子力機構原子力科学研究所の廃液輸送管撤去作業における放射性物質の漏えいについて、それから、参考資料の1といたしまして、本ワーキンググループの委員の名簿でございます。それから、参考の2といたしまして、JMTRの事象に関するプレス発表資料でございます。それから、参考資料の3といたしまして、原子力科学研究所の廃液輸送管撤去作業に関するプレス発表資料でございます。それから、参考資料の4といたしまして、前回第10回の速記録ということで配付をさせていただいております。なお、傍聴者用には表紙のみを配付させていただいております。それから、先生方のお手元には、紙ファイルで、2008年版のINESのマニュアルの対訳版をご用意させていただいております。後ほど説明の際に、適宜ご参照いただくこととなるかと思いますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

【中込委員長】
 資料はよろしいでしょうか。もし落丁とかありましたら、事務局のほうにお願いしたいと思います。それでは、早速ですが、本日の議題に移りたいと思います。最初の議題は、ご案内のように、原子力機構の大洗開発センター材料試験炉における放射性物質の放射性物質の漏えいについてということで、INESレベルの評価結果につきまして、事務局から説明をお願いします。なお、今回初めて2008年版マニュアルに基づいての評価ということになりますので、その点をご注意願いたいと思っております。では、事務局、お願いいたします。

【葛谷規制第3係長】
 ただいまから、議題1の説明をさせていただきます。まず、議題1の参考資料としては、先ほど説明がありましたとおり、参考の2ですね。こちらからのプレス発表資料になりますけれども、こちらが参考資料になります。また、今回はINESマニュアル2008年版の最初の評価ということになりますので、適宜INESマニュアルを参照しながら説明したいと思っております。
 続きまして、下のスライドにいきまして、目次をご説明させていただきます。本説明は、2つの構成からなっております。1つ目が事象の概要です。これについては、発生場所、日時、内容、原因、原因の背景についてまとめております。続きまして、INESによる評価。これにつきましては、基準1から3、そして結論という構成になっております。
 続きまして、次のページをめくっていただけますでしょうか。続きまして、事象の概要ということになります。本事象は、独立行政法人日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(北地区)の材料試験炉の使用施設で発生しております。この施設のセンター内の場所ですけれども、下のスライドの左側を見ていただきますと、大洗研究開発センターの敷地図があります。その西側に位置しているところであり、この施設では照射試験、中性子検出器の使用などの目的で許可をとっているところでございます。続きまして、事象の発生日時ですが、こちらは10月5日の10時40分ごろ、き裂の確認をしております。そして、12時35分ごろ汚染の確認という状況でございます。
 続きまして、下のスライドの事象の内容の説明にいきます。まず、事象発生前の状況になります。JMTRの居室実験室建家がございますが、この建家はRI法の規制を設けておりまして、右側の図に居室実験室建家を示しております。ホット実験室、測定室などの管理区域から構成されておりまして、カナル水の水の分析、放射線管理用試料の調製などを実施している建家です。ここで10月1日から11月26日までの予定で、原子力機構の職員の立ち会いのもと、汚水配管設備等更新工事を実施しておりました。この工事は、非管理区域にあるトイレなどの手洗い水を流す配管を更新するというものでございます。具体的には、今回のき裂が発見された埋設配管が、これは右の図の赤字で囲っているところの、居室実験室建家のホット実験室側から、左上のホット機械室貯蔵タンク側に線が引かれていると思います。こちらが今回、き裂が発見された埋設配管でございますが、この下に汚水配管を通す工事を実施しておりました。
 事象が発生いたしましたのが10月5日でございまして、今工事は10月1日からやっておりまして、10月1日から5日までは、埋設配管の上にあるアスファルトのテックなどの工事を実施しておりました。
 続きまして、次のスライドのほうにいきたいと思います。続きまして、事象の発生時の説明になります。10月5日に埋設配管を覆っていたコンクリート製のU字溝を取り外したところ、作業担当者が塩化ビニル配管のフランジ部にき裂を発見しました。10時40分ごろに施設管理者がき裂を確認するとともに、このとき、き裂の廃液の滴下は認められませんでした。フランジ部の写真は左上にありまして、ここで赤の丸で囲っているところがフランジ部になります。そして、実際のき裂の写真は右の写真になりまして、写真の右のほうにき裂が入っております。この埋設配管の詳細な図は、写真の下に示してありまして、この配管は昭和43年に竣工されているもので、その当時はすべて塩化ビニル配管でした。しかし、平成元年に屋外埋設部分については、硬質塩化ビニルライニング鋼管に更新しております。具体的には、塩化ビニル配管を左側の居室実験室建家から1.2メートルの位置で切断し、塩化ビニル製フランジを溶接して取りつけ、そして更新したライニング鋼管を硬性フランジで施工しております。
 続きまして、下のスライドにいきまして、事象のその3について説明いたします。11時30分ごろ、き裂発生箇所について、放射線管理課員がGM管式サーベイメータにより、スミヤ測定、直接サーベイを行った結果、検出下限値未満であり、汚染は認められませんでした。12時32分ごろ、き裂発生箇所の近傍地採取した土壌をGe半導体検出器で測定した結果、微量な137Csと60Coが検出されました。下の表のとおり、137Csの放射能濃度については、6.3×10‐3Bq/g、60Coについては1.1×10‐2Bq/gが測定されております。
 次のページにいきます。事業所内外への影響について説明します。原子力機構では、検出下限値以上の放射能濃度が検出された範囲を特定するため、Ge半導体検出器を用いまして、き裂を中心に水平方向、そして垂直方向につきましては、地表面を約1メートルの採掘面を基準面として、半径10センチメートルずつ測定しております。この結果は、下の図のとおりになります。まず左側の図が、水平方向のサンプリング結果になります。白抜きの数字が検出下限値以上の60Coが検出された範囲です。水平方向についてはこの図のとおり、1番と2と3、4、7が検出下限値以上ということで、き裂を中心に約半径30センチメートルの範囲で汚染が認められました。次に、垂直方向のサンプリング結果です。こちらは右図になります。放射能濃度に比例いたしまして、黒丸の面積が大きくなっております。この結果から、基準面から深さ約90センチメートルの範囲で汚染が認められました。このことから、塩化ビニル製フランジの今回のき裂に伴う漏えいの影響範囲は、限定的ということがわかります。また、モニタリングのデータについても変動はなく、作業員の身体及び工具等にも汚染はございませんでした。
 続きまして、原因について説明いたします。今回、事象の発生の原因調査といたしましては、機械的応力、科学的影響、経年変化の観点から実施しております。具体的には、この参考2のところの8ページをごらんいただければと思います。こちらの表が、機構が行いました原因調査の方法になります。まず、機械的応力については、不適切な施工があるか、不適切な使用があるか、外的な要因があるか。そして、科学的影響については、腐食等について。そして、経年劣化については、使用環境の影響についてそれぞれ原因調査をし、原因を推定しております。それでは、スライドにお戻りください。
 その原因調査の結果、原因としては3つ考えられております。1つ目が、不適切なフランジの使用というものでございます。具体的には、全面平座、すべてが平面の塩化ビニルフランジと、左の左上にある写真の小平面座フランジ、段差があるフランジを用いたことでございます。これにより、材質的に強度が小さい塩化ビニルフランジの接続面に応力が発生しております。2つ目が、ボルトの過剰な締めつけでございます。真ん中の写真で、パッキンの外観の写真がございますが、こちらの写真にあるとおり、パッキンにボルトの干渉痕が認められております。そして、3つ目が、塩化ビニル配管と鋼管との芯ずれでございます。こちらは右側の写真をごらんいただければと思います。線が中心にあるかと思いますが、線が若干ずれていることがわかり、また右の図では、約9ミリ芯がずれていることを確認しております。これにより、硬性フランジと塩化ビニル製フランジがずれた状態での無理な接続が行われたため、フランジ部にさらなる応力が発生したと推定しております。
 以上、これらの複合要因により、左下の図のとおり、塩化ビニル製フランジに発生した応力により、フランジ補強リブ根元が疲労し、疲労の蓄積により発生した微細なクラックを起点として、き裂に発展したと推定しております。
 続きまして、次のページをおめくりいただければと思います。原因のその2でございます。き裂の発生時期について調査しております。原子力機構においては、当該塩化ビニル製フランジの製造メーカーと、当該配管のき裂部の詳細な観察を行いましたが、き裂の発生時期は特定できませんでした。この結果、この配管に対する水張り漏えい検査が最後に実施されたのが平成11年3月11日ということでございますから、それ以降という形で推測しております。
 次に、原因の背景になります。まず、塩化ビニル製フランジのき裂の発生について調査しております。塩化ビニル製フランジにき裂が発生した要因については、今回の施工は小規模な工事、具体的には500万円以下であり、許認可関係ではない工事ということから、工事の要求事項に対する施工計画の妥当性の確認等を組織として十分に実施していなかったことが考えられております。
 続きまして、き裂の発生時期を特定できなかった要因としては、組織としてマニュアル化に対する考慮が不足していたため、水張り検査の重要性等や点検業務の引き継ぎが十分に行われなかったことが考えられます。以上が、事象の概要についての説明になります。
 続きまして、下のスライドに向かいまして、INESによる評価を行いたいと思います。この説明においては、INESのユーザーズマニュアルを適宜確認しながら評価を進めたいと思っております。まず基準1は、人と環境への影響。これは旧マニュアルの所内の影響に当たります。この基準では、作業員、工具及び環境に対する実際の影響を評価することになります。基準2ですけれども、これは施設における放射線バリアと管理の影響になります。これは旧マニュアルでは所外の影響になります。この基準では、拡散する放射能の量、または結果として、線量率によって評価することになります。そして最後の評価が、深層防護への影響になります。これは旧マニュアルでも、深層防護への影響という形で評価しております。この基準では、実際には影響ないが、幾つかの安全対策が機能しなかった場合の事象を想定し、安全防護層の数などによって評価することになります。それでは、次のページをおめくりください。
 こちらの表には、INESマニュアルより引用した表がございます。INESレベルの全体像を示しております。レベル0から7まで評価を行うという考え方は、旧マニュアルと同じでございます。
 続きまして、下のスライドにいきます。こちらにつきましても、INESマニュアルから引用したものでございます。INESレベルごとの代表的な事例を説明しております。JCO事故については、致死的な影響の発生などにより、レベル4ということで評価されております。また次のスライドをおめくりください。
 こちらはINESの評価手順ということで、フローチャートになっております。このフローチャートは、INESのマニュアルの145ページに記載されております。こちらのフローチャートに従って評価を進めていきます。ちょっとおそくなりましたがスライド番号は右下にありまして、この13から18を確認しながら進めます。このため、スライドの移動がちょっと多くなりますが、お手数をおかけいたしますが、ご協力お願いいたします。
 それでは、このフローチャートに基づき、INESによる評価を行います。まず一番上の、「本事象が放射線又は原子力安全に関する事象に該当するか」。こちらにつきましては該当いたしますので、左に進みます。続きまして、「放射能の放出又は個人の被ばくがあるか」。こちらにつきましては、先ほどの事業所内外の影響においてもご説明しましたが、本事象に伴う放射線物質の放出は限定的であり、事業所外の影響はなく、作業員の被ばくもないために該当なしということで、右に進みます。次に、真ん中の菱形になりますが、施設における放射性物質の管理失敗(燃料損傷も含む)があるかどうかを検討します。この評価については条件がございます。INESマニュアルの30ページを開いていただければと思います。
 このP30の1パラグラフの2行目から書いてありますが、「当ガイダンスは、レベル5以上と評価されることもあり得る放射性物質の放出の可能性がある(起こりそうにないが)主要な施設においてのみ適用される」という条件がございます。このINESレベル5というのが数百から数千TBq程度のヨウ素の大気への放出をもたらす事象ということになります。ここで今回、事象が発生したJMTRの使用施設の最大事故影響評価を確認し、INESレベル5以上と評価されるような事象が起こるかどうか確認いたします。それでは、お手数をおかけしますが、スライドの17をおめくりいただければと思います。
 スライドの17の基準の2というところになります。JMTRの使用施設における最大事故評価を記載しております。使用許可で確認しますと、キャプセル照射装置の破損事故を想定しておりまして、合計で9.8TBqのヨウ素が大気に放出されると評価されております。この結果から、今回、JMTR使用施設においては、レベル5以上と評価されることがないということになりますので、今回のこの基準2につきましても適用外という形になります。それでは、またスライド13に戻りいただければと思います。
 先ほどの説明のとおり、真ん中の菱形については適用外ということで、NOということで、深層防護に進みます。深層防護への影響の評価については、施設ごとによって評価フローが異なります。それでは、次のスライドをご確認いただければと思います。こちらは施設ごとの影響評価手順を示しております。今回は、使用施設で発生したということになりますので、真ん中の菱形になります。そこで真ん中の菱形を、YESということで下で、安全防護層アプローチ、最大の潜在的影響、安全対策の有効性、付加的要因、これについて検討したいと思います。それでは、次のスライドをおめくりいただければと思います。
 ここでは、先ほど説明したとおり、安全防護層アプローチ、最大の潜在的影響などについて検討します。まずこの中で、最大の潜在的影響というものを決定する必要がございます。最大の潜在的影響の説明が、INESマニュアルの104ページにございます。この104ページの下から2つ目のパラグラフ、(1)というところがあると思いますが、「深層防護のもとでの評価の上限は、最大の潜在的な放射線の影響を考慮することによって定められるべきである」というふうに書いてあります。これだけではちょっとわかりづらいところがございますので、事例をもとに説明をさせていただければと思います。
 135ページの事例の51をご確認いただければと思います。この事例の51、135ページにありますが、これは臨界管理の失敗という事象でございます。燃料製造施設において運転規則の遵守状況に関する点検を行ったところ、燃料ペレットの6個のサンプルが正しく包装されていなかったことがわかったという事象でございます。この事象自体は特に影響はございませんが、次の136ページをご確認いただければと思います。この中で、事象の説明の6.2.1の最大の潜在的影響ということがございます。この事象自体は実際の影響はございませんが、燃料製造の臨界事象が発生し得る可能性があるということなので、最大の潜在的影響はレベル4というふうに評価しております。このように、潜在的な影響については、安全対策に関するさらなる失敗が重なると、どのような事故に至るのかということを考慮することによって評価することができます。それでは、これを踏まえて、今回の事象の最大の潜在的事象を決定したいと思います。スライドの18をおめくりください。
 基準3の一番上のところで、最大の潜在的影響という項目がございます。原子力機構においては、今回漏えいした60Coの総量を評価したところ、約68kBqということで評価しております。これが仮に地表面に点線源で存在していたとしても、1年当たり約0.2mSvという評価になります。これらのことから、今回工事が、仮に施設管理者のもとに行われていなかったり、また今回工事する付近に放射線廃液が流れる配管があるということを知らずに工事していたとしても、法令に定める線量限度を下回っていることから、今回の最大の潜在的影響はレベル0という形で評価されることになります。
 この評価を受けまして、またスライドの15にお戻りいただければと思います。今回、最大の潜在的影響を決定したということで、下の菱形のところに進みます。その中では、「安全設備に対し、作動要求が施設の寿命期間中に発生することが予期され、さらに意図された安全設備がすべて利用可能であったか」という項目になっております。今回、事象が発生いたしましたのは埋設配管ということになりますので、配管に対する安全設備などは設けられておりません。このため、「いいえ」というところで、下の菱形に進みます。下の菱形では、「全ての安全設備が許容制限範囲内で、安全設備に対し作動要求はなかったか」という項目でございます。これにつきましても先ほどと同じ考え方で、配管には安全設備が設けられていないため、「いいえ」ということで、その下に進みます。ここからは、残っている安全対策と、その独立性を確認いたします。
 それでは、その下の菱形にいきまして、「健全性又は信頼性の高い安全防護層が利用可能であるか」、6.2.3節及び6.2.2.4節ということがございます。これでは、まずこの菱形の中で、6.2.2.3を確認したいと思います。INESマニュアルの109ページをごらんください。この中で、6.2.2.3で、高健全性の安全防護層という項目がございます。この中で、横でハイフンがある全部で3つの項目があると思いますが、この3つの項目をすべて有しているときに、健全性の高い安全防護層があると判断されます。
 それでは、今回の事象について確認したいと思います。まず1つ目の、安全防護層が関連するすべての設計基準故障に対処できるように設計され、施設の安全性を正当化する際に、特に高い信頼性や健全性を必要とするものとして、明示的に、あるいは暗黙のうちに認識されているという項目でございます。今回の埋設配管については、設計基準故障など、そういうものは設計されておりませんので、こちらについては該当がないということになります。
 続きまして、2つ目の項目です。健全性の劣化が特定されるよう、適切な監視や検査を通じて、安全防護層の健全性が確保されている。今回は、水廃漏えい試験が平成11年度以降行われていなかったということになりますので、こちらについても該当なしということになります。
 そして、3つ目。安全防護層に何らかの劣化が見つかった場合、その異常を修理、または緩和するために、事前に定めた手順を用いるのか、あるいは、利用できる長い時間をかけてその事象に対処し、是正措置を実施するための明確な手段が存在している。こちらにつきましては、事故が起きた際の対処方法について保安規定などに定められており、また、事象が発生した後に、どのような形で是正措置を講じたほうがいいのかという明確な手段が存在しておりますので、こちらについては該当ありということになります。ただし今回、6つのうち1つしか該当ございませんでしたので、今回のこの健全性の高い安全防護層はないということで結論づけられます。
 続きまして、6.2.2.4、110ページ、次のページの利用可能な時間について評価いたします。この利用可能な時間とは、最初の1行目から2行目にかけて、この最初の行に、利用可能な時間の説明があります。「是正措置を実施するために利用可能な時間が、是正措置を実施するのに必要な時間よりもはるかに大きく、追加的な安全防護層が利用可能となる場合」とあります。そうすると、これだけではちょっとわかりませんので、これについても事例を説明しながら進めたいと思います。P123の事例の41をごらんください。
 事例41というのが、冷却材圧力の上昇による停止時冷却機能の喪失という事象でございます。この事象は、冷却材圧力の上昇による停止時冷却機能の喪失であり、具体的には余熱除去系の喪失による一次冷却材の温度上昇が非常に緩やかであったという事象でございます。こちらにつきましては、次のページ、124ページに評価の説明というところがございまして、この中の6.2.2の安全防護層の数の中で、利用可能な時間について説明しております。今回の事象は、4つのハードウェアの安全防護層、SG2個とRHR配管2系統があり、このうちの蒸気発生器、SG2個が利用可能な状態で保たれていたため、必要な措置を講じるのに十分長い時間が使用でき、RHR系の補修を行うものにも十分な時間があったということが書いております。つまり、利用可能な時間というものについては、何か安全防護層が起こっていて、そのために措置を講じる時間が十分長い時間確保できるというものでございます。この2例にならって、今回の漏えい事象について検討いたしますが、今回はこのような安全防護層はなかったため、該当なしということになります。以上を踏まえ、最後の菱形については「いいえ」ということで下に進みます。それでは、スライド16のほうにいきたいと思います。
 続きまして、独立した安全防護層の数を決定いたします。INESマニュアルのP108ページをごらんください。このP108ページのところに、上から5行目以降、横のハイフンがあると思いますが、それぞれ安全防護層の例の幾つかが記載されております。今回、この例の中で、実際にどの安全対策が残っていたかということを評価したいと思います。それでは、スライド18をちょっとおめくりいただければと思います。
 スライド18の真ん中の四角になりますが、安全防護層の数というところでございます。それでは、それについて検討したいと思います。まず1つ目ですけれども、モニタリングポストのデータに変動はなかったということでございます。これにつきましては、INESマニュアルの中の上から2つ目にございます、「固定式の放射線及び/又は放射能検知器及び警報器‐それらに信頼性のあることを示すことができること、及び職員が適切かつ十分迅速に対応できることを条件とする」、この項目が該当すると考えております。続きまして、2つ目の安全防護層の内容です。本作業は、施設管理者のもとに実施していた。これについては、上から3つ目のハイフンになりますが、「放射線の異常レベル又は汚染の拡大を検知し他の者に警報する放射線防護技術者の存在」、これに該当するということで評価しております。そして最後、屋外での作業のため、自然環境の状態であった。これにつきましては、ハイフンの下から5つ目にあります、「自然換気、煙突効果又は自動的な冷却/換気」に該当するということで評価しております。今回の事例については、利用できる安全防護層の数が3つ存在しているということで評価しております。これを受けて、またスライド16にお戻りいただければと思います。
 それでは、スライド16の説明をいたします。その安全防護層の数を決定したということで、その下の四角に進みまして、表11を参照して、基本評価値を決定とあります。表11というのは、このフローチャートの下に書かれている、最大の潜在的影響評価、残っている安全防護層の数が書かれているものでございます。この表を確認すると、レベル0というものはございません。今回の最大の潜在的影響はレベル0ということになりますので、安全防護層の数にかかわらずレベルは0という評価になりますので、今回の基本評価値は0ということになります。続きまして、その下に進みます。
 試験間隔と比較して不作動期間が非常に長い場合は評価値を1レベル下げるということがございます。今回、試験間隔等はございませんので、これについては該当なしということで下に進みます。そして、基本評価値、さらにその下に進みまして、最後の四角になりますが、「付加的要因により評価値を1レベル引き上げる必要性について検討」というものがございます。これは6.2.4にあります。INESのマニュアルにおいては、113ページに載っておりますので、113ページをお開きいただければと思います。
 113ページの左上に、6.2.4の付加的要因の考慮というものがございます。付加的要因の考慮においては、3つの要因を評価する必要があります。1つ目が、共通要因故障、2つ目が手順上の不備、そして3つ目が、安全文化の問題でございます。それでは、まず共通要因故障について説明いたします。共通要因故障については、113ページの下に書いてございますが、「共通要因故障とは、単一の特定事象又は同一の原因結果として多くの装置又は機器がその目的とする機能を果たすことに失敗することである」というふうに書いてございます。今回の事象については、そのようなものはございませんでした。続きまして、手順上の不備ということで、INESマニュアルの次のページをごらんいただければと思います。
 114ページになりますが、6.2.4.2、手順上の不備。「不適切な手順のために、深層防護の幾つかの防護層に対し同時に脅威が生じることがある」ということでございます。今回の事象につきましては、不適切な施工はあったものの、その当時、手順自体には問題がなく、この配管に流す廃液についても、機構内の要領に基づき適切に流していたと確認しております。これらの点から、これについても該当しないと評価いたします。
 そして、最後に、安全文化に関する事象について評価いたします。これについても、同じページのところに書いてあります。6.2.4.3です。安全文化に関する事象ということで、これらについては、その下の太い字で、許可された制限値の違反。そして、次のページをめくってもらうと、115ページの下のほうに、その他安全文化の問題ということで、安全文化の欠如に関する指標はほかの例にはない、以下のようなものがあるということで、人的過誤の繰り返しや事前許可がない手順の違反などが挙げられております。これらについて評価いたしますと、本事象については、許可された制限値の違反によるものではございません。また、事象の再発によるものではございません。以上から、付加的要因については、特に検討する必要がないということで、結論づけられると思います。これを踏まえて、またスライドの16にお戻りいただければと思います。
 スライドの16で、今、下の付加的な要因まで評価は終わりました。これを受けて図4、ボックス3ですね。最初のスライドに戻りたいと思います。スライドの13にお戻りいただければと思います。スライドの13の右側の「深層防護に対する最大レベル」というものを評価しております。そしてその下、「最大評価値を採用」ということになります。これにつきましては、基準1が該当なし、基準2が該当なし、基準3がゼロということで、レベルがゼロということになります。これを踏まえて下の矢印に向かいますと、「評価値が表1の尺度の一般記述と整合しているか確認」というのがございます。これについては、スライドの11をごらんください。
 スライドの11に、先ほどお見せいたしましたが、INESのレベル0から7の事象の説明がございます。今回は、INESのレベルが0ということで記述がございません。仮にレベル1の記述を確認すると、レベル1にももちろん該当いたしませんので、今回はレベル0ということで整合しているということで判断させていただきます。これを受けまして、またスライド13にお戻りいただければと思います。
 スライドの13に戻り確認をし、そして終了ということで、これに基づきまして、INESの評価手順が終わります。そして最後、結論ということで、スライドの19をおめくりいただければと思います。
 今までの評価のおさらいになりますが、まず基準1、人と環境への影響の評価については、人と環境への影響がなく、適用されない。そして「‐」ですね。そして基準の2、施設における放射線バリアと管理への影響の評価。これについても適用されないということで「‐」。そして基準の3、深層防護への影響の評価。こちらについては、最大の潜在的影響による基本評価値はレベル0、付加的要因は該当なし。これらの結果から、レベル0、評価結果は基準1が「‐」、基準2も「‐」、基準3がレベル0、そして最大評価値がレベル0という評価になります。以上をもちまして、JMTRの事象の説明になります。

【中込委員長】
 ありがとうございます。行ったり来たりの、フローチャートが今度新しくなりましたので、大変複雑かと思いますけれども、一応論理的に説明していただいたと思っていますが、もしわからないこと等まずありましたら、ご質問を受けたいと思います。よろしくお願いいたします。先生、どうぞ。

【須藤委員】
 スライドの9ページ、(6)原因の背景のところの2つ目の、き裂の発生時期というところの文章なんですけれども、発生時期が特定できなかった原因として、組織としてマニュアル化に対する考慮が不足していて、検査等の重要性、引き継ぎが十分に行われていないと考える。これの発生時期とこの表現の関係がよくわからなくて、これは何を説明しているかを。

【葛谷規制第3係長】
 これについては、水張り漏えい検査というのを年1回やっておりました。言葉が足らなくて申しわけなかったんですけれども、平成11年の3月、平成10年度をもちまして担当者がやめられたということで、次の担当者に、水張り漏えい検査をするという、点検業務についての引き継ぎが十分行われなかったために、点検がそれ以降行われませんでした。それに伴って、毎年1回ずつやっていれば、少なくとも年単位では漏えい時期が確認できましたが、そういうことができなかったということで、このような書きぶりになっています。

【須藤委員】
 今のは大事なポイントがあったと思うんですけれども、年1回検査をするという手順があったけど、それが遵守されなかったと理解するんですか。

【葛谷規制第3係長】
 手順化はされていなくて、担当者個人のほうでこれはやらないといけないということで、文書化はされていなかったんですね。年1回、水張り漏えい検査をするということについて、この配管について、限定的な書き方では手順書には明記されておりませんでした。ただし、この担当者は、配管設備一般としてこういうものが必要だということの認識のもとに、こういう検査をやっていたということでございます。つまり、マニュアルにしっかり書いていれば、引き継ぎされたらやらないといけないないですよね。

【須藤委員】
 微妙な感じですね。はい。

【中込委員長】
 安全文化だっけ。

【土屋委員】
 いいんですかね、これで。

【中込委員長】
 現状はそういうことだそうです。

【須藤委員】
 もう一つよろしいでしょうか。

【中込委員長】
 はい。

【須藤委員】
 あと、フローチャートのところで、安全防護層という言葉が何回か出てくるんですけれども、これは厳密な定義とかは特になくて、何か安全対策として、申請書上何か明確にされているようなものじゃなくて、安全対策として効果があるものがあれば、それは安全防護層だという認識でよろしいですか。

【葛谷規制第3係長】
 そのとおりです。

【須藤委員】
 いいんですよね。

【葛谷規制第3係長】
 許可書上とは関係ないです、もちろん。

【須藤委員】
 いわゆる厳密に、炉とか再処理施設とかで安全に重要な施設とか、ああいうものとは全然レベルが違って、いわゆる一般的な安全対策として、そういう理解でよろしいですね。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね、はい。

【須藤委員】
 わかりました。

【中込委員長】
 よろしいですか。そのほか。はい、どうぞ。

【石田委員】
 塩ビ配管のところと鋼管の塩ビライニングの管と2種類ありますよね。当初、43年の最初のころはすべて塩ビだったのが、平成元年に鋼管にかえたんですか。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね。

【石田委員】
 そのときにほかの部分というか、居室実験室建家のほうの部分は、塩ビのまま残ったということなんですかね。

【葛谷規制第3係長】
 はい。

【石田委員】
 ああ、そういうことで、全部を鋼管にかえたんじゃなかったと。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね。

【石田委員】
 そのためにこういうことが発生したということが考えられると。

【葛谷規制第3係長】
 そうです。

【石田委員】
 なぜかえなかったかというのは、何か。

【葛谷規制第3係長】
 それについてはちょっとわからないですね。済みませんが。

【中込委員長】
 よろしいですか。確認ということで。

【石田委員】
 はい。

【中込委員長】
 どうぞ。

【越塚委員】
 15ページのINESのフローチャートについてお伺いしたいんですけれども、2つ目の菱形のところで、安全設備に対して作動要求はなかったかというのがありまして、YES、NOで分かれているんですけれども、これはYES、NOなんですか。「はい」、「いいえ」なんでしょうか。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね。「はい」と「いいえ」、フローチャート上はこうなっております。

【越塚委員】
 作動要求がなかったほうが軽そうなので、作動要求がなかったで、「はい」だと右にいっちゃう。どう考えたら……。済みません、ここはどう考えるんでしょうか。

【葛谷規制第3係長】
 ああ、そうですね。これについては、今回該当なしということで、その下にいきましたが……。

【越塚委員】
 まあ、結論は変わらないとは思うんですけれども。

【葛谷規制第3係長】
 結論は同じなんですけれども、ちょっと確認させてください。これは図10なので、マニュアル上は151ページに載っております。

【中込委員長】
 全然内容とは関係ないんだけど、ちょっと小さ過ぎて読めない人がたくさんいるんじゃないかという。

【葛谷規制第3係長】
 なるほど。ちょっとこれにつきましては、はい。

【中込委員長】
 肝心なのがあったら、音でちょっと次回以降ちょっともらったほうが。

【葛谷規制第3係長】
 このフローチャートについては、今後必要になりますので、大きい文字のものを準備させていただければと思います。

【中込委員長】
 はい。

【越塚委員】
 これは実際のご判断としては、安全設備に対する作動要求がなかったという判断?

【葛谷規制第3係長】
 作動要求はなかったというか、そもそも安全設備がないということで、該当なしでNOというふうに今回は進めさせていただいております。

【中込委員長】
 それはNOのほうね。

【葛谷規制第3係長】
 はい。

【越塚委員】
 ああ、なかった。

【葛谷規制第3係長】
 そこら辺はいろいろな解釈があると思うので、むしろご検討いただいて、あれば今回YESと判断すべきということではYESという道もあるかと思います。今回初めての評価なので、事例が積み重なっていないので、これがすべてというわけではないと思っております。

【中込委員長】
 たまたま安全設備、そういうのが関係なかったということでいってしまったということですね。

【吉田原子力規制室長】
 該当しないということで。

【中込委員長】
 あった場合のどうのというのは、ここ、誤訳じゃないけど、ちょっと見ないといけませんね。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね。そこはしっかり確認させてもらいます。

【中込委員長】
 今回は結論には影響ないということとして考えていいわけですね。設備自身がなかったという。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね。そう理解しております。

【中込委員長】
 そういうことでよろしいですか。一応の、ほんとうに正しく訳されたかどうかも含めて。

【杉山運転管理・検査管理官】
 合っていると思いますけれどもね。

【中込委員長】
 ああ、そうですか。ちょっと英語が全然読めないのでね。

【杉山運転管理・検査管理官】
 作動要求がなかったかということですから、作動しなかったということを想定していただければ。もし安全設備があるのに作動しなかったという事象であれば、作動要求が……。

【中込委員長】
 NOだと、作動しなかったといったら厳しく……。

【杉山運転管理・検査管理官】
 ええ、YESです。作動しなかったらYESのほうにいきますから。

【中込委員長】
 要求はないとなると、問題だよということだね。

【葛谷規制第3係長】
 あったなら多分問題ではないのでというのはイメージ的にはわかるんですけれども、ちょっと再度、もう一度……。

【中込委員長】
 動いたか動かなかったかという話ではなくて、その設備があるかないかですね。

【杉山運転管理・検査管理官】
 今回はそうです。

【葛谷規制第3係長】
 今回はそうですけれども。

【中込委員長】
 いや、ここでもそうじゃない。

【須藤委員】
 英語が、Was the challenge to safety provision、challengeという言葉を使っていて、必ずしも作動ということまで限定するかどうかというのはちょっと微妙なんですけれども。

【葛谷規制第3係長】
 そこは微妙ですね。

【須藤委員】
 challengeなので、動かないものでも、静的なものでも。

【中込委員長】
 今回は影響がなくても、今後ちょっと影響があるかもしれませんので、ちょっとこの辺、拡大して検討を。こことは別にちょっとやろうと思いますので。

【葛谷規制第3係長】
 わかりました。

【中込委員長】
 そのほか、ご質問はありますか。はい、どうぞ。

【土屋委員】
 済みません。このスライド18に、最大の潜在的影響というところのご説明で、「今回漏えいした60Coの総量を評価したところ」というふうに書いてあるんですけれども、そういう評価でいいんですか。素人考えなんですけれども、この配管に流れ得る最大の放射性物質の量みたいなのは考えなくてもいいんですか。

【葛谷規制第3係長】
 これは平成11年3月以降に漏えいが発生したと仮定しておりまして、それ以降、放射性廃液が流れておりますが、その廃液がすべて流れたと仮定してもその程度ということです。

【土屋委員】
 ああ、そういう意味なんですね。

【葛谷規制第3係長】
 はい。もとから低濃度の放射性廃液しか流しておりませんので、あまり濃度自体はないと聞いております。

【土屋委員】
 ちょっと今回だけのことを評価したみたいに読めるので……。

【葛谷規制第3係長】
 ああ、済みません、そうですね。書き方をちょっと注意したいと思います。

【土屋委員】
 多分、原子力機構さんの評価は、きっと全部流れたとしてもということなんですね。

【葛谷規制第3係長】
 そのとおりです。そう聞いております。

【須藤委員】
 全部漏れたとして?

【葛谷規制第3係長】
 漏れたとしてです。

【中込委員長】
 として、ということですね。

【葛谷規制第3係長】
 ええ。

【須藤委員】
 平成11年から今回までの11年間までの間に流した量が60ccでしたということですか。

【葛谷規制第3係長】
 ああ、68kBqです。

【須藤委員】
 ああ、そうですか。済みません。

【葛谷規制第3係長】
 ベクレルの総量になるだけです。

【須藤委員】
 流したと、廃棄したと。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね。

【須藤委員】
 例えば、もっと突っ込んで、今回発見されなかったとして、これが放置されていたらということまで考える必要はない?

【葛谷規制第3係長】
 そこを考えると、いつまでというレベルになってしまって、基準が難しいので。今回、発見されたという基準があった上でそこを検討しないと、この評価はできないかなと思います。

【中込委員長】
 INESは、今後、それを防止するためにどうやっていこうかという位置づけになると思いますので。簡単に言うと、見つからなければいいのかという話になりますが、それは全然INESとは別の世界の話になりますね。
 よろしいでしょうか。はい、どうぞ。

【目黒委員】
 INESの評価とは関係ないんですけれども、先ほどの水張り検査は、今後どうなることに。

【葛谷規制第3係長】
 今後、年1回。

【目黒委員】
 それは文書化、マニュアルにきちんと記載して?

【葛谷規制第3係長】
 そうですね。はい。

【目黒委員】
 それはこの施設だけじゃなくて、全所的に水平展開になるんですか。

【葛谷規制第3係長】
 水平展開はしていると聞いています。

【須藤委員】
 もう1点、済みません。先ほど、ちょっと説明について聞き逃したんですけれども、スライドの18ページの、今の安全防護層の数で、2つ目のポツ、「本作業は、施設管理者の下に実施してきた」というところの説明を、例を一応挙げて説明したところで、ちょっとどこの例だったかをちょっと。

【葛谷規制第3係長】
 これは108ページのハイフンがあると思うんですけれども、その上から3つ目です。「放射線の異常レベル又は汚染の拡大を検知し、ほかの者に警告する放射線防護技術者の存在」。

【須藤委員】
 これは施設管理者の下にといっているのは、今回の工事の作業をいっているんですか。

【葛谷規制第3係長】
 そのとおりです。

【須藤委員】
 放出の配管にき裂が発生して、フランジにき裂が発生したということに対しては、管理者はいなかった――いなかったというと語弊があるんですけれども、実質上は管理されていない、ふだん見ていないわけですよね。年1回の点検しかないわけですよね。それに対していうんじゃないんですか。この工事は、ただ発見したということだけであって。

【葛谷規制第3係長】
 今回、もし管理のもとに行われて、被ばくという観点がありますよね。そういう問題も出てくると思うので、少なくとも工事については評価する必要があると思います。

【須藤委員】
 ええ。

【葛谷規制第3係長】
 おっしゃるとおり、本質的な配管自体の管理という意味では、そこについては、そうですね、ちょっと難しいところではありますが。

【須藤委員】
 工事作業中の作業者の被ばくの管理は、確かにこれでいいと思うんですけれども、漏えいした場合の施設外、あるいはサイトにいる人たちの被ばくなりに関しては違うんですよね。これは該当しないんですよね。しないというとおかしいんですよね。ちょっとそれは言い過ぎな気がするんですけれども、何だろうな。何かごちゃごちゃしている。発見されれば、確かに常に統括者から管理者ってずっと何人もいるんですけれども、配管のき裂ということに対する管理は、年1回しかチャンスはないんですよね。

【葛谷規制第3係長】
 はい。

【須藤委員】
 それがやられていなかったと。いいのかな。

【越塚委員】
 これ、毎年水張り検査をするほどの施設にしちゃって問題ないですか。例えば、数年で68kBqですよね。水張り検査をすると、その水って全部放射性廃棄になって、また大変ですよね、管理が。

【葛谷規制第3係長】
 ただ、その水張り検査をしないと、今回のように、漏えい時期も特定できないし、非管理区域汚染ということになりますので。管理区域内であれば、また違う考え方があると思うんですけれども、非管理区域を通っている配管なので、年1回の水張り漏えい検査は必要だと理解しています。

【越塚委員】
 ああ、必要なんですか。

【葛谷規制第3係長】
 非管理区域を通っていますので。

【越塚委員】
 そうですか。

【須藤委員】
 関連でよろしいですか。今と追加質問で。

【中込委員長】
 はい、どうぞ。

【須藤委員】
 水張り検査は、法令上はどこまで要求されるんですか。要らないんですか。それとも、何年に一遍とか定められるんですか。

【葛谷規制第3係長】
 そこはないですね。自主的ですね。

【須藤委員】
 要求はされていないと。

【葛谷規制第3係長】
 ええ。自主的にやっていただくしかないですね。

【須藤委員】
 ああ、そうなんだ。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね、はい。

【中込委員長】
 非管理区域ですからね。管理区域ですと、規制できますよね。

【葛谷規制第3係長】
 漏れたとしても、ある一定以上の濃度じゃないと、法令はここにはありません。

【二ノ方委員】
 表の11では、レベル、最大の潜在的要求というのは……。

【中込委員長】
 何ページですか。

【二ノ方委員】
 ごめんなさい、これは111ページ、またはスライドの16ページ目ですが、レベルの0に対しては、この表11というのは適用されない?

【葛谷規制第3係長】
 そうですね、適用されないと。ええ。

【二ノ方委員】
 ですよね。となると、残っている安全防護の層が何層であろうとなかろうと……。

【葛谷規制第3係長】
 はい、そのとおりです。

【二ノ方委員】
 そうすると、ここのN、N、Nできているところというのは意味があるんですか。

【葛谷規制第3係長】
 意味があるかどうかはわからないんですけれども、フローチャート上はそういうふうになっているので、それに従って防護層を確定していくという作業をしたわけです。

【二ノ方委員】
 表の11に到達して、表の11を見たときには、例えば、安全防護層の数が何ぼであろと0なんですね。

【葛谷規制第3係長】
 そのとおりなんですね。結果的に見れば、レベル0と確定した時点で、防護層の影響については関係ないということになります。

【二ノ方委員】
 右側のスライド18で安全防護層の数として、例えば、「屋外での作業のため、自然換気」というのが安全防護層になっているとか、ちょっと何か無理な感じもちょっと受けるんですよね。

【葛谷規制第3係長】
 一般にもわかるようにつくられているので、そういう言葉になっているかもしれないですね。

【二ノ方委員】
 安全な作業であるから、だからそういう防護層も必要ないというような言い方なのかもしれないと思ったんですけれども。

【中込委員長】
 実は、これはINESの評価の仕方の問題ですね。

【二ノ方委員】
 はい。そこまで要求されるかどうかはちょっと……。

【中込委員長】
 一応2008年バージョンとしてこういう形が出されているから、これをスキップしたというと勝手にやったということになるからいけないということで、一応入っているわけですよね。

【葛谷規制第3係長】
 そのとおりです。はい。

【中込委員長】
 ほかによろしいでしょうか。はい、どうぞ。

【目黒委員】
 今の表11、さっき気がついたのに言うのを忘れていたんですけれども、これ、表11で、安全防護層の数の訳し方なんですけれども、More than 3は……。

【葛谷規制第3係長】
 「3を超える」だと思いますね。ええ、そのとおりです。修正いたします。4以上です。修正いたします。ミスだと思います。

【中込委員長】
 More than 3ですからね。
 ほかによろしいでしょうか。はい、どうぞ。

【須藤委員】
 スライド13ページのフローチャートで、スタートからYESできて菱形、「放射能の放出又は個人の被ばくがあるか」というところなんですけれども、これはサイト外の放出があるかということですか。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね。この評価上ではそう書いてあります。

【須藤委員】
 サイト外でいいんですね。

【葛谷規制第3係長】
 サイト外です。事業所外ですね。

【須藤委員】
 配管漏えい、微量なんですけれども、一応サイト内漏えいということではあるんですけれども、ここはサイト外でやりますよということですね。

【葛谷規制第3係長】
 外です。はい。

【須藤委員】
 わかりました。

【中込委員長】
 よろしいでしょうか。大方意見も、ご質問等も出尽くしたと思いますので、特にないようでしたら、本事象につきまして、INESレベルの暫定評価値レベルというのが0と、妥当だという、本会合の検討結果としますけれども、ご異議ございませんでしょうか。ありがとうございます。それでは、本事象につきましては、原子力規制室が定めましたINESレベルの暫定値レベル0が妥当であるとの結論にしたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、次の議題に移らせていただきますが、次は、原子力機構――また原子力機構ですが――の東海研究開発センター原子力科学研究所における放射性物質の漏えいについてということで、これも事務局のほうから説明をお願いいたします。

【村上統括原子力保安検査官】
 それでは、INES11‐2、原子力科学研究所廃液輸送管撤去作業における管理区域外での放射性物質の漏えいについてということで、ご説明をさせていただきます。ページは、シートの右下のほうに書いてありますページを利用させていただきます。
 それでは、2ページ目をお願いします。目次が書いてありまして、このシートの説明の構造は、先ほどと同じようになっておりまして、事象の概要がまず前半部分で述べられておりまして、その事象の概要に基づいて、INESによる評価を行うということになっております。
 それから、3ページ目にまいりまして、発生場所ですが、日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所で起こっておりまして、第3廃棄物処理棟前ということで起こりました。それは4ページに図がありますけれども、後ほど説明いたします。それから、発生日時についてですが、これも2通りありまして、これも事象の中身のところでご説明いたしますが、平成22年10月29日の金曜日11時半に、管理区域外での汚染の確認がなされております。それから、同日の10時55分に、汚染の可能性があるのではないかという認識が行われたということになります。
 4ページにいっていただきまして、この事象なんですけれども、実はこれは地中の排水配管を撤去する作業のときに起こっております。左側の図が、原子力科学研究所の全体の配置図でございまして、第3廃棄物処理棟というのが海側のほうにあります。この第3廃棄物処理棟自体の事故ではありませんで、第3廃棄物処理棟前の配管を撤去する作業中に起こりました事象であります。もうちょっと詳しく説明をいたしますと、まず右の図で、廃液輸送管の全体図ということで書いてありまして、点線と太い点線と実線という3つの線がいろいろと書いてあると思います。それで、地中の配管を既に撤去をしてしまったところが、細い点線で書いてあります。それから、太い点線は、これから平成23年度に撤去する配管の予定であります。そして、平成22年度に関しては、実線の部分で書いてある配管を撤去するといったような工程で行われておりました。本事象は、第3廃棄物処理棟の前で起こった事象であります。
 5ページに進んでいただきまして、上のほうの図が、第3廃棄物処理棟と、それから、今回撤去しようとしていた配管を上から見た図です。下のほうが、それを廃棄物処理棟のほうに向かって見た図であります。そして、玄関というのが書いてありますけれども、この玄関の横に、踏み段が書いてあります。そして、その下の手前のほうですけれども、配管が一番下ですね。細い長いのが横にずっと走っていると思いますけれども、これが撤去をしようとした配管であります。そして、玄関の正面、入口のほうは、管理区域が設定されておりません。そして、玄関に向かいまして左側が3工区ということで、こちらは管理区域が設定してあります。それから、右側は4工区というところで、こちら側も管理区域になっております。いろいろと処理をするところが4工区の右側のところに、グリーンハウスというのが設定されておりまして、こちらでいろいろと作業をするといったような段取りになっておりました。この図ですけれども、10月15日から、3工区のほうにあります配管を切断しまして、配管の中にあった残留水を、ウエスを敷いたパットに回収したといったところまで進みました。
 そして、6ページに移っていただきまして、この3工区側の配管を切断して、3工区にある部分はもう取り除いてしまいました。そうすると、4工区側につながっている長い棒の先が、3工区の中に残るということになります。こちらの3工区の中に残った配管の先のところですけれども、まずこれは、中に残留水がありますので、これの水抜きをいたしまして、それで下の図ですが、閉止キャップというものをはめまして、ビニルで覆いまして、その前に閉止キャップのところはテープでとめました。それから、その上にビニルをかぶせて、さらにビニルの口のところも配管にテープでとめました。このようにしておいて、4工区側に引き抜いて、グリーンハウスで切断するといったような手順で進めようとしておりました。
 7ページにいっていただきまして、3工区から4工区の中のほうに配管を引き抜くわけですけれども、3工区と4工区の間はU字溝が生きておりまして、ここは土の中なんですけれども、土は全部排除してありまして、このU字溝の中は中空になっております。したがって、ここには泥はない。普通の空気があるといったような状態のところを、4工区のほうに閉止措置をされた配管を引き抜いていって、グリーンハウスの中で切断をするといったような作業をしておりました。
 それで、引き抜いておったところ、10月29日の10時20分、その先を目視したところ、閉止キャップがずれていたということに気がつきました。10時40分に配管末端部に汚染が検出されております。そして、10時55分に3工区側、ここは管理区域であります。具体的には、汚染部Aと書かれたものがU字溝の断面図のところにありますけれども、3工区の管理区域内で10時55分に水たまりのようなもの、少量の水が発見をされております。濡れていることが発見されました。このことから、管理区域外のU字溝、U字溝の中は管理区域ではありませんので、ここにもしかしたら垂れているかもしれないということを認識をいたしました。11時12分に、その下の丸ですけれども、引き抜き経路である工区外のU字溝のところに、染みのようになった汚染が検出されております。
 断面図を見ていただきますと、汚染部B、汚染部Cというのが書かれておりまして、これが11時30分に確定をされたということであります。これは3工区と4工区の管理区域の間に挟まれた非管理区域ということになっておりますので、管理区域外漏えいということになります。
 線量のほうは幾らあったかということですけれども、右側の汚染部の除染結果というところを見ていただきますと、一番最初に測定された線量が書いてあります。ただし、単位を見ていただきますと、Bp/cm2となっておりまして、これは体積を持ったというよりは、染みのように体積があまりない状態で下に垂れていたということです。汚染部Aが53、汚染部Bが25、汚染部Cが0.69ということで、それぞれ測定がなされております。除染を行いまして、最終的には汚染を全部除去しております。
 8ページにお移りください。8ページですけれども、ここは後ほどINESの評価にかかわってきますのでちょっと申し上げますと、微量な汚染、25 Bp/cm2、それから、0.69 Bp/cm2が確認されたが、このU字溝自体が透水されない、下に浸水していかないようになっておりまして、浸透防止措置が施されておりまして、天井部はコンクリート蓋で密閉をされているといったようなことになっております。だから、ここから外に気化してどこかへ出ていくといったようなことや、下に染み込んでいくといったようなことはないといった状況になっております。
 それから、次の丸ですけれども、3工区と4工区について、空気汚染がないということが確認されておりまして、周辺環境への汚染の恐れはないと。その後、汚染箇所も速やかに除染しておりますので、事業所外へも影響はしていないと。それから、被ばくですけれども、ポケット線量計を持っておりましたので、作業者は被ばくをしていない。これらのことを総合しますと、事業所内及び事業所外での影響は確認されていないということで、非常に微量の汚染であって、事業所内外への影響はないといったようなことが結論づけられるかと思います。
 それでは、9ページにお進みください。原因ですけれども、これは配管を撤去いたしまして、それから、残った部分に閉止キャップをはめてビニルテープでとめて、さらにビニルをかぶせまして、そのビニルの入口の口のところをテープで固定をするといったようなことをしたわけですけれども、実は、閉止キャップなんですけれども、配管と同じ径の規格のものをはめておりまして、通常だったらこれでぴったりはまるわけですが、規格品とはいえちょっと緩めのやつで、きちんと押し込んでも外れやすいといったようなものを使ったということであります。それをテープで固定をしたんですけれども、このテープは養生用のはがれやすいテープを使ったようでございまして、このテープがはがれやすかったということで、一応ここら辺は、手順に定められたとおりにしたわけですけれども、この配管の撤去作業を行っていたときに、配管の閉止措置をした部分が床面と接触をした拍子に、少し弱かったのでこれが外れて、下のほうに液が垂れてしまったといったようなことが原因となっております。
 それでは、10ページにお進みください。(6)の原因の背景ということですけれども、これは配管末端部の閉止措置をするということに関しては、手順に示されたとおりに行っていたわけですけれども、作業する人は、なぜそういうことをきちんとしなければならないかという重要性が十分に認識、それから、周知徹底をされていなかったということで、とりあえずは密封措置をしたんですけれども、その措置が不十分な場合どういう結果を及ぼすかということは、あまり配慮をされていなかったようでありまして、十分にがっちりと固定をするといったようなことがなされないまま、作業が行われてしまいました。
 このように長尺の配管を引き抜く作業におきましては、閉止キャップを適切に装着し、それから、漏えい防止に対する特別な認識といいましょうか、注意が必要であったんだけれども、それが不十分でありまして、漏えい防止の観点からのリスクアセスメントがきちんと実施をされていなかったということで、手順の違反はなかったんですけれども、なぜそういう行為をしなければいけないかというのを、作業をする人がきちんと十分認識をしていなかったために、手順どおりにやったんだけれども、床と接触して漏えいをしたといったような事象でございます。
 では、11ページにお進みください。いよいよINESの評価のほうに移っていきますけれども、基準の1と基準の2と基準の3について行います。これは先ほどと同じでございます。
 それから、12ページと13ページはちょっと飛ばしていただきまして、14ページのスタートのところから始めたいと思います。スタートの下にいっていただきまして、「放射線又は原子力安全に関連する事象に該当するか」ということでありまして、これは該当いたしますので、Yのほうに進みます。「放射線の放出又は個人の被ばくがあるか」ということで、先ほどやりましたとおり、これはありませんのでNのほうに進みますが、下のほうに進みますと、基準の1というところにかかってきます。これは進みませんでしたので、基準の1は「‐」ということになります。
 それから、Nのところをずっと右にいっていただきまして、「施設における放射性物質の管理失敗(燃料損傷を含む)があるか」ということですけれども、これは配管撤去作業中に起こりました不注意による漏えいでございまして、放射性物質を直接的に取り扱って作業したとかそういうことではございませんので、これはNのほうにまいります。Yのほうにいきますと、基準2ということになるんですけれども、ここはYのほうに進みませんでしたので、基準の2は「‐」ということになります。
 Nのほうをずっと進んでいただきますと、深層防護に突き当たります。ここの判断に関しては、15ページの図の7でやるということになりますので、15ページのほうにお移りください。「輸送及び放射線源、出力運転中の原子炉、特定の施設」ということで、ここから始まります。発電用原子炉における事象かどうかということですけれども、これは発電用原子炉の事象ではありませんから、Nのほうに進みます。そして、「燃料サイクル施設、研究炉、加速器、又はカテゴリー1の放射線源を製造又は使用する施設」かどうかということですけれども、これは配管自体は施設そのものを使用する施設ではございませんが、それに付随するものということで、Yのほうに進みます。Yのほうに進むと図10に進むとありまして、それは16ページに図の10が書いておりますので、そちらのほうに進みます。16ページにお移りください。
 図7からということで、処理ボックスが書いてありまして、「安全防護層アプローチ、最大の潜在的影響、安全対策の有効性、付加的要因」というのをこれからやっていくということになります。それから、下にいきまして、「構造上の欠陥を含む潜在的故障について」、第6章を参照しろということで、103ページ、第6章には深層防護のことが書いてありますが、先ほどと構造は全く同じでございますので、説明を省略させていただいて、下にまいります。最大の潜在的影響を決定しろということで、事象に関する説明は105ページに書いてありますけれども、こちらのほうでは、安全対策が不十分であった場合に起こり得る事象を挙げるべきだ、検討すべきだというふうに書いてあります。ここで6.2のところを中心に見ていて、準備ができたと今はさせていただいて、判断するボックスに移らせていただきます。
 「安全設備に対し、作動要求が施設の寿命期間中に発生することが予想され、さらに意図された安全設備が全て利用可能であったか」ということですけれども、これは配管を撤去するという特別な工事でありまして、施設の寿命期間中に発生することが予想されたというもの、特にそうとも思えませんし、意図された安全装置というものがついていたというわけでもありませんので、これはNのほうに進ませていただきます。それで、「全ての安全設備が許可制限範囲内で、安全設備に対し作動要求はなかったか」ということですけれども、これも安全設備自体が、ここでは特に配管撤去ということに対して設けられておりませんので、ちょっと先ほど議論はあったんですけれども、Nのほうに進みます。「残っている安全対策とその独立性を確認」ということで、6.2.2を見ろということですけれども、これも先ほど参照したと思います。安全防護層の数の特定をやりますけれども、これは後のほうで、残りは3ということを説明したいと思います。
 「健全性又は信頼性の高い安全防護層が利用可能であるか」ということですけれども、この設備では、健全性または信頼性の高い安全防護層というものは装備されていないということになります。これも先ほど、3つの特性を満足しているものが、信頼性の高い安全防護層であるという説明がありましたけれども、そこには該当しません。例えば、原子力圧力容器というようなことが書いてありますけれども、これは適用にはなりません。したがって、Nのほうにいきます。
 17ページにお移りいただきまして、独立した安全防護層の数を決定ということで、ここは一応3ということにしまして、後ほど説明をさせていただきます。それから、表11を参照して、基本評価値を決定せよということで、6.2.3.1を見ろということですけれども、表11というのが、まさにその下に書いてありますので、これでご説明をします。この事象は、もともとはレベル0なのでございますけれども、この表にはレベル0のところはありません。この表を無理に使うとしますと、仮に(3)、レベル1、2だとしますと、0、0、0、1とこの縦の列を使いまして、残っている安全防護層の数は、一応後ほど検討しますが、3残っていると考えておりますのでBになります。Bのところを横にいきますと、交わるところは0でございますので、かなりにレベル0を突き抜けてレベル1、2であったとしても、これはレベル0ということになります。
 その下のボックスにいきまして、「試験期間と比較して不作動期間が非常に短い場合は評価値を1レベル引き下げる」とありますけれども、ここは0ですので下げようもありませんし、そのようなことにもなりませんので、次の基本評価値のところにいきます。付加的要因により評価値を1レベル上げる必要性について検討するということで、図の4、ボックス3にいけということですけれども、これは14ページの下から4つ目の箱になりますので、14ページのほうにお戻りいただきます。14ページの下から4つ目の箱を見ますと、ボックス3、「深層防護基準に対する最大レベル」というのは0でございます。それから、「最大評価値を採用」で、ボックス1、2、3を見ろということなんですけれども、ボックス1は左側のほうに、ボックス1、2、3を見ろという、ちょうど左側のほうにボックス1というのがあって、人と環境への環境基準に対する最大レベルということですけれども、これはこちらにいきませんでした。「‐」でした。なので、ここは「‐」となります。それから、その隣、「最大評価値の採用」の左隣にあるボックス2というところを見ますと、「施設の放射線バリアと管理への影響基準に対する最大レベル」とありますけれども、ここもいきませんでしたので、こちらも「‐」です。ボックス3は、今さっき見ましたように、最大でも0ということになります。
 次の箱に移りますと、評価値が表1の尺度の一般記述と整合しているか確認せよということですから、これは12ページに帰っていただきまして、12ページの表1で確認をすることになります。今、基準1と基準2は「‐」でしたので、これはレベル0以下ですので、ここは確認のしようもありませんので飛ばさせていただきまして、基準3のところのレベル0になるんですけれども、もしかしたら1かもしれないということで、1の欄を見ていただきますと、「法令による限度を超えた公衆の過大な被ばく」、これはありませんでした。それから、「重要な安全防護層が残ったままの状態での安全機器の軽微な問題」ということですけれども、今回のは閉止キャップをきちんとしめなかったというところに問題があるわけでして、安全機器の軽微な問題にも至らない。それから、あと一番最後、「低放射能の線源、装置又は輸送パッケージの紛失又は盗難」ということで、こちらは輸送のときの問題でありますのでこちらにも当たらないということで、逸脱の1にも該当しないということで、レベル0でよかろうという判断ができると思います。
 一応これでボックス3の下の処理が全部終わりました。14ページのところでいうと、表の1を確認いたしましたので終了ということで、18ページに移ります。18ページに移りまして、ここで改めて基準1と基準2と基準3について評価を確認させていただきます。まず(1)の基準1、人と環境への影響ですけれども、作業者の被ばくはなくて、それから、事業所外への放射性物質の放出はないため適用されないということで、基準1の人と環境への影響の評価は「‐」となります。それから、(2)基準2、施設における放射線バリアと管理への影響ということで、「本基準はINESレベル5(数百~千TBq程度のヨウ素の大気への放出と放射線学的に等価な量の放射能に相当する環境放出をもたらす事象)以上と評価されることもあり得る放射性物質の放出の可能性がある(起こりそうもない)主要な施設のみに適用」ということで、これは2通りほど考えられると思います。配管が瞬時破断をして、その中にかなり線量の高い液があったというようなことと、それから、第3廃棄物処理棟の前で起こりましたので、この工事が第3廃棄物処理棟に影響を及ぼして、第3廃棄物処理棟が何らかの損傷を受けるといった2通りが考えられると思います。
 それで、ちょっとページを戻っていただきまして、9ページをちょっと見ていただきたいんですけれども、9ページの右の写真を見てください。この配管というのがものすごく細くて、この中が仮に満水になったとしても、大した放射性物質は入らないような量となっております。したがって、こちらは今回は、ここが満水になって破断をしたという評価は採用しておりません。もう一度18ページにお戻りください。
 今回の最大の事故の想定ですけれども、どのようにやっているかといいますと、第3廃棄物処理棟の前において発生する最大事故について、使用許可で0.21TBqのヨウ素が大気へ放出されると評価をされております。この0.21TBqですけれども、先ほどの数百から千TBq程度のヨウ素の大気への放出があったときには基準の2が適用されるということになっておりますので、0.21ではかなり及びませんので、基準の2は評価の適用外ということになります。基準の2の結論といたしましては、施設における放射線バリアと管理への影響の評価は「‐」ということになります。
 それで(3)といたしまして、基準3、深層防護への影響ということを、これから先ほど来、図でやったやつをもう少し詳しく見ていきたいと思います。最大の潜在的影響ということで、最大の潜在的影響は、最大の潜在的な放射線の影響(基準1及び基準2に基づく最大レベル)を考慮することによって定めるべきとされており、その評価はレベル1~7の間で分類されるということで、原子力機構の評価によれば、今回漏えいした放射能は137Csと60Coを合わせて約8Bqとなります。先ほどちょっと放射能をBp/cm2ということで単位を表記させていただきましたけれども、それでは総量として幾ら漏えいしたのかというのがわかりませんので、ここは機構に評価をしてもらいまして、この137Csと60Coを合わせても8Bq程度にしかならないということで、仮にこれを作業していた人が経口摂取をした、飲んでしまったということで評価をいたしましても、約0.0001mSvということになります。そうしますと、これは法令で定める線量限度を下回っているということになりまして、最大の潜在的影響としてはレベル0ということにいたしました。最大の潜在的影響による基本評価値はレベル0という結論に至っております。
 先ほど、安全防護層の数は3であるというふうに申しましたけれども、具体的には勘定をしておりませんでしたが、ここで具体的にどうやって3を勘定したのかというのを述べさせていただきます。作業者はポケット線量計を着用していたということで、これは下のU字溝の部分は非管理区域だったんですけれども、3工区と4工区は共に管理区域として設定をされておりましたので、そこに立ち入っている作業者はポケット線量計をつけておりました。したがって、これは安全防護層に数えられるということです。それから、本作業は、施設管理者の下に実施をされておりまして、放射線のサーベイとか、それから、あと場の線量のサーベイとか、空気中の濃度をはかったりとか、そういったことが可能な状態になっておりました。それから、あと本作業は、作業要領書を定めておりまして、そのとおりに行うということになっておりました。ということで、この3つを安全防護層の数に、今回は数えさせていただきました。もちろんレベル0ですので、安全防護層の数が幾ら残っていても0は0なんですけれども、一応挙げられるものとしてはここに挙げておりました。
 それから、付加的要因の検討ということで、まず、共通要因故障として、単一の事象や原因の結果として多数の装置や機器が機能しなくなる、こういうことはありませんでした。それから、手順上の不備として、不適切な手順による安全防護層への同時の影響は生じていないということになります。今回は一応すべて手順を守っておりまして、安全防護層へ直接影響するような違法な作業はやっていないということです。それから、安全文化に関連する事象といたしまして、許可された制限値の違反によるものではありませんでした。これは手順のとおりやったと。それから、事象の再発によるものではないということで、以前にこういう事故が起きて、全く同じことをもう一回繰り返したというものもございません。したがって、基準3、深層防護への評価は0となります。
 次のページ、20ページにいきまして、結論といたしまして、基準の1、人と環境への影響の評価、これは「‐」でございます。人と環境への影響はなく、適用されない。基準2、施設におけるバリアと管理への影響の評価も「‐」であります。施設における放射線バリアと管理への影響はなく、適用されないということです。それから、基準の3、深層防護への影響、これだけはレベル0ということになります。最大の潜在的影響、経口摂取をしたとしても、法令の線量まではいかないということで0であります。それから、先ほど検討しましたとおり、付加的影響については該当はありません。したがって、最終的には「‐」、「‐」、0ということになりますので、結果としてはレベル0という判定となります。以上であります。

【中込委員長】
 ありがとうございます。ただいま事務局のほうからご説明ありましたけれども、内容的にわからないこと等ありましたら、確認の意味でお願いいたします。はい、二ノ方先生。

【二ノ方委員】
 ちょっと確認ですが、確かにレベル0で全然問題ないと思いますが、安全防護層の数のところで、例えば、「本作業は作業要領書に定めていた」というのが1つの層になっていますけれども、前の10枚目の説明のところで、スライドの10だったかな、原因の背景のところで、「密封措置を施すことを定めていた」って、これはいわゆるマニュアルに書いてあったということなんですね。書いてあった、ないしはそういうマニュアル的なもので指示されていた。それに対する措置が不十分であったということは、どちらかというとマニュアルを遵守していなかったというふうにとられてもおかしくないと思うし、そのときに作業要領書に定めていたことが、防護層として働いていないと。これは防護層ととっていいんですかという感じがちょっとあるんだけど。

【村上統括原子力保安検査官】
 一応作業の要領書のとおりにはやっていた、やらなかったわけではなくて……。

【二ノ方委員】
 逆に言うと、安全文化の欠如というところにつながるのかなと。

【葛谷規制第3係長】
 ちょっと補足すると、Pの108に「影響を緩和するために策定された措置」とあるので、一応今回、原因にはキャップが外れて、非管理区域汚染には至ったんですけれども、それ以外の件については、影響を緩和するためにしっかりといろいろな措置を講じていますので、そういう意味でここが該当するというふうに判断しております。

【二ノ方委員】
 現実問題としては、安全防護措置が働いていなかったと。

【葛谷規制第3係長】
 そういう部分もありましたね。はい。そこで広くとらえて全体的にはされているということでここには入れておりますが、そういう意見もございますので、そこは検討の余地というか、そういうのがあるところでございます。

【二ノ方委員】
 そこの扱いがちょっとよくわからなかったので、質問したんですけれどもね。

【須藤委員】
 同じことでいいですか。

【中込委員長】
 はい、どうぞ。

【須藤委員】
 私も同じ考えなんですけれども、ここは残っている安全防護層をカウントするんですよね。これは一たんもう密封したバリアが破れていますから、定めてあったとしても、もう残っていないんですよね。だから、そういう意味ではカウントできない。だけど、要領書のほうに、例えば汚染検査をちゃんとするとか、異常があったらどういう措置をするとか、間違いなくそういうものが定めてあると思うんですけれども、そういう意味でカウントはできると思うんですよね。だから、そういう視点を明確に記載すればカウントできる。密封措置は書いてあったけれども、それは働かなくてもう破れちゃっていて、それはもう失敗しちゃったから残っていないんですよ。そういうカウントの仕方はできない。ただし、それ以後の措置に関してはカウントできると思います。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね。影響を緩和するという。

【中込委員長】
 ほか、よろしいですか。どうぞ。

【山中委員】
 同じような事象が2つ続いたんですけれども、そもそも廃液の配管が非管理区域を通るということを、あまり好ましくないという自主的な判断でこれは進められているという、そういうことなんでしょうか。まず1点目の質問なんですけれども。何か文科省さんのご指導があって進められているわけではなくて、自主的な判断でこういうことを進められているのかなという。

【葛谷規制第3係長】
 これは平成20年に原科研で、非管理区域の中に汚染がありまして、廃液輸送管の撤去の中ですね。それを受けて、廃液輸送管を順次撤去していくという法令上の措置に基づいてやっています。非管理区域にある配管がよくないというわけではなくて、たまたま使っていない配管があったので、それを廃棄しましょうという流れでこういう作業をしています。

【山中委員】
 2番目が、作業は実際は請負業者がやっていたんじゃないかなと思うんですが、そういう場合、いわゆる施設管理者とのコミュニケーションの問題とか、あるいはマネジメントの問題というのは、どういうふうに文科省さんはお考えなのかなという、それが2点目です。

【中込委員長】
 お答えできますか。ただ契約書に書いてありますというのは、お答えにはなりませんので。

【杉山運転管理・検査管理官】
 一応作業する場合に当たっては、例の黒板に書いてとかということはやっていたそうです。

【中込委員長】
 いわゆる教育はやっていたという。

【杉山運転管理・検査管理官】
 やっていたと。

【葛谷規制第3係長】
 教育はもちろん保安規定にもありますので、請負業者のですね。

【杉山運転管理・検査管理官】
 やっていたそうなんですけれども、実情をお話ししますと、今回請け負った業者は、たまたま今回初めて請け負ったと。前年、先ほど20年からやっていましたという話なんですけれども、20年、21年は別の業者がやっておりまして、同じキャップ、同じとめ方でやっていてトラブルはなかったというのが現状です。ちょっとそういう実情もございます。

【葛谷規制第3係長】
 補足すると、放射線業務従事者に登録するときに、いろいろな教育をしないといけないというのが定められていて、そういう必要な教育はしています。

【山中委員】
 それから3点目が、前のJMTRの件と今回の件というのは根本的に違っていて、JMTRの件は、知らんうちに漏れてしまったということで、これはやはりまずいよねと思うんですが、後者の件は、いわゆるもう少し合理的な作業の進め方というか、管理区域と管理区域を結んだ間の非管理区域での作業で、十分何かあったときには対処できるし、モニターはちゃんとつけていますし、作業を始める段階で、何かもう少しあってもいいのかなというような気はする。これはあくまでもコメントですけれども。いや、こういうふうにしたほうが現場はやりやすいというのであれば、こういう判断でもいいでしょうし、何か規制側と、こういう作業がどんどん進んでいくのであれば、当然こんなことは多々起きてくるというか、汚染の漏れというのが非管理区域で起こるというのはあり得る話かなと思うので、何か暫定的管理区域とかそういうような考え方で、合理的に作業を進めるというのもあってもいいのかなとは思うんですけれども。これはレベル判定の話とは全然別で、コメントなんですけれども。以上です。

【中込委員長】
 今の山中先生のご指摘について、何か。

【杉山運転管理・検査管理官】
 今回はこの5ページを見ていただきますと、3工区と4工区を結んでいる、今、U字溝に蓋してあるところなんですけれども、これはどこからも入れないんですね。3工区から入るか4工区から入るかしかできません。ここを管理区域にしていれば、今回全然法令報告にならなかった事象でございます。これはなぜしなかったかといいますと、彼らが工事の計画を立てて所内で申請したときに、たまたまここを管理区域にしなかったというちょっとしたミスがありまして、ここを管理区域にして手続してあれば、今回法令報告にならなかったというものです。そういう点を踏まえまして、今回のこういう資料がありますけれども、この中では改善方策としまして、すべて管理区域にするというようなことにしております。

【中込委員長】
 今の回答としては、工事中、一時管理区域って今は言わないんですけれども、管理区域を設けるという形にしようという。山中先生からのご提案もありましたけれどもね。

【杉山運転管理・検査管理官】
 そうですね。もともと設けるというふうに彼らはうたっているんですけれども、たまたま図面上外してしまったというのが実情ですね。

【葛谷規制第3係長】
 正確に言うと、3工区内、4工区内も一時的に設けた管理区域です。

【中込委員長】
 どちらも一時的なんですか、これは。

【葛谷規制第3係長】
 はい。正確に言うとそうです。

【山中委員】
 たまたま外れていたと、間が。

【山中委員】
 そうですね、図面の色を塗っていただければ……。

【葛谷規制第3係長】
 まあ、人が立ち入らないということでですね。

【吉田原子力規制室長】
 だから、3工区、4工区すべてグリーンハウスで、この写真がどこかにありましたね。9ページで、ちょっと小さくて大変申しわけないですけれども、9ページの赤いこれが、内部の図です。

【須藤委員】
 これは3工区ですね、右側の写真。

【吉田原子力規制室長】
 ええ。これが内部で、こういう大きなのがあります。何メートルか、人が携わって……。

【須藤委員】
 それで緑のシートの一番先端が、共同溝の先っちょなのかなみたいな。

【吉田原子力規制室長】
 ええ、コンクリートU字溝ですか、こういうところだと思ってもらえれば。

【葛谷規制第3係長】
 この右側の写真は4工区です。引っ張った後です。今回の参考資料の3がありますよね。参考資料の3に、題名と写真がありますので。

【須藤委員】
 でも、先端が見えているということは……。

【杉山運転管理・検査管理官】
 これ、4工区の引き抜いた後なの?

【葛谷規制第3係長】
 引き抜いた後なので。引き抜いて事象がわかったので、引き抜く前は写真は撮っていなかったということなので、事象がわかってからということなんです。

【吉田原子力規制室長】
 だから、工事はしっかりやっておられて、我々もそこはよかったなと思っているんですけれども。

【中込委員長】
 私の印象ですと、最終的には0で問題ないとは思うんですけれども、ただ、先ほど二ノ方先生からもご指摘ありましたように、10ページのところの原因の背景で、認識が十分周知徹底されていなかったというのは非常に気になっていまして、これが大量の放射能だったら、放射性の廃液だったら、やはり周知徹底していないって、安全文化のものすごい問題になるんですね。たまたま微量なものですから、多分そのことも勘案して、今後注意してねということになるのかもしれませんけれども、根本原因はやはり周知徹底して。よくわかるんですよ。我々も現場持っていましたので、こういった抜くとき、例えばはがれやすいテープを使うとかというのも。
 これはちょっとやっぱり経験不足かなということもありますから、必要かと思うんですけれども、今回たまたま放射能的に低かったということで、皆さんも、まあ、仕方ないかとなっているかと思うんですけれどもね。根本原因は、やはりちょっとたるんでいるのかなという気はしますね。だから、レベルを1に上げろと2に上げろとかという、そこまでは今回の場合はない。最初から放射能がものすごい廃液のところをやるとしたら、こんなやり方ではなかったかと思うんですけれどもね。

【越塚委員】
 ちょっとよろしいでしょうか。今の件に関連してなんですけれども、スライドの3ページ目の発生日時のところの記述なんですけれども、これは汚染の可能性の認識、10時55分と書いてあって、これがどうして括弧で2行目に書いてあるんでしょうか。これの真意というか。前の資料だと、認識したのが先に書いてあってその後。これは何で括弧で。何か特別な意味が。

【葛谷規制第3係長】
 これは事象が発生したときにプレス発表をするんですけれども、その時間で10時55分というのを掲載していたので、そことの関係で掲載したのみですね。特に意味はないです。

【中込委員長】
 時系列的にいったら、10時55分に認識と、括弧書きにしないほうがいいですね。

【越塚委員】
 何か予測とか、そういうことではないですね。

【葛谷規制第3係長】
 ではないです。全く違います。

【中込委員長】
 認識して、10時30分に確認したと。これは全然問題ないと思いますけれどもね。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね、汚染というか、そうです。

【中込委員長】
 要するに、括弧をやると、やっているのに言いたくないというふうに思われるから。

【越塚委員】
 わかりました。特に何か深い意味が……。

【葛谷規制第3係長】
 深い意味はないです。はい。

【越塚委員】
 どうもありがとう。

【須藤委員】
 あくまでも発生日時は11時30分ですよと。

【中込委員長】
 そうですよね、公式的には。

【須藤委員】
 補足情報として括弧書きで入れたんでしょう。

【葛谷規制第3係長】
 そのとおりです。そう理解いただければと思います。

【須藤委員】
 きっと意図していることは。

【越塚委員】
 じゃ、実際には30分ぐらいで汚染の確認をされたんですね。

【葛谷規制第3係長】
 そうです。

【中込委員長】
 そうでしょうね。破れてやばいとかですね。

【須藤委員】
 よろしいでしょうか。結論に影響を与えるものじゃないですけれども、二、三細かなことなんですけれども、ちょっと確認させてください。7ページの管理区域に設定しなかったU字下のところなんですけれども、これは45センチ角の穴で、入れる人は入れるけど、あまり入りづらいところで、それでしなかったのかなという考えもあるんですが、これは汚染チェックしますけれども、50センチ、50センチ、1メートル奥のところまで、最終的には全部中に人が入って、全部汚染チェックしたんですか。

【村上統括原子力保安検査官】
 これははがしたとき……。

【吉田原子力規制室長】
 あけたんでしょう。

【須藤委員】
 あけたんですか?

【村上統括原子力保安検査官】
 はい。

【須藤委員】
 人が入ったんじゃなくて、あけたんですか。

【吉田原子力規制室長】
 一時管理区域を設けて、それであけたんでしょう、これ。

【村上統括原子力保安検査官】
 そうです。開放したときに。

【中込委員長】
 染みを見てということでしょうね。3カ所、ああ、実際は2カ所か。BとCですね。

【吉田原子力規制室長】
 実際は非管理区域2カ所なんですけれども、すぐわかったので、蓋をあけて。

【須藤委員】
 狭いと蓋をあけていっても、深いですよね。1.何メートル下だから、かなり掘らないといけないんですよね。157センチ下の土があるので。階段とかもあるんでしょう。だから、汚染チェックができない、やりづらい、人が入れないということがあると、やっぱり管理区域にちょっと遠慮するような気持ちもできるかもしれない。ちょっとこれはあれなんですけれどもね。わかりました。それはちゃんとチェックしたんですね。わかりました。
 あと次は、表現の問題ですけれども、18ページ。(2)の大きいほうの字で、「第3廃棄物処理棟前において発生する最大事故について、使用許可において0.21TBqのヨウ素が大気が放出されると評価されており」ということですが、これはちょっと多分言葉が走り過ぎていると思うんです。まず、ヨウ素が大気へ放出されると評価はしていないと思うんですけれども。ヨウ素が出るわけじゃなくて、それに相当する放射能量が出るという評価をしているんですよね。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね。これの場合だと、正確に言うと、廃棄物処理場の設備で事故が起きたので、廃棄物処理場の最大事故影響評価をしています。その中で、ヨウ素換算すると0.21TBqの大気が放出される。

【中込委員長】
 ヨウ素がと言うから……。

【須藤委員】
 何か換算とか、あるいは相当とかいう言葉が。

【葛谷規制第3係長】
 それが正確ですね。「相当」とか。

【須藤委員】
 あと1行目の、今説明されたからわかりますけれども、使用許可の評価に「第3廃棄物処理棟前において発生する最大事故」なんて評価をしているはずがないので。

【葛谷規制第3係長】
 そのとおりですね。

【須藤委員】
 使用許可上の全体としての最大評価事故がそうだったといっているだけですよね。

【葛谷規制第3係長】
 そうですね。

【須藤委員】
 はい。

【中込委員長】
 やっぱりちょっと0.21よりはるかに少ないから問題ないと言いたいんでしょうけれども、これはちょっと誤解を招きますね。

【須藤委員】
 これは先ほどのJMTRも見返したら「ヨウ素放出」と書いてあったので……。

【葛谷規制第3係長】
 JMTRはヨウ素です。

【須藤委員】
 あれはヨウ素ですか。

【葛谷規制第3係長】
 ヨウ素と書いてあります。あれは正確です。

【中込委員長】
 リアクターそのもの。

【須藤委員】
 ああ、なるほど。わかりました。
 それとの関連で、最後ですけれども、19ページのほうに、(3)の潜在的影響の中の放射能量が137Csと60Coというので8Bqと出ているんですけれども、先ほどのJMTRのほうは60Coだけだったんですけれども、これは検出された核種が2核種だけであったと。JMTRは60Coだけであったという認識でいいんですか。ほかもあるんだけど、マイナーで無視しましたということなんですか。

【葛谷規制第3係長】
 JMTRの話をまずすると、137Csも最初は検出されておりますが、次の半径10センチごとの評価をしておりますが、あのときは評価はほとんどされなかったので無視しています。それ以外の核種は、今回出ていないということですね。こちらの廃液輸送管の撤去については、検出されたのがこの2つということで、2つ合わせて評価しているということでございます。

【須藤委員】
 わかりました。

【中込委員長】
 そのほか。そもそもこの輸送管なんですけれども、これは何のために使っていたんですか。ほとんどかすみたいなものを流すだけなのか。目的なんですけれども。

【葛谷規制第3係長】
 これは目的が、各施設で発生した液体廃棄物を廃棄物処理場へ輸送するために使用した、そのとおりですね。

【中込委員長】
 廃棄物って、要するに、除染とかそういう関係があるんですかね。いやいや、ほんとうに廃液だったら、こんな量で済むとは思えないんですよね。

【葛谷規制第3係長】
 ああ。多分事前にとっているので、ある程度バッドで採取した残りのかすだけなので、ああいう評価になっていると思います。

【中込委員長】
 いや、何でこんな質問をしたかというと、それで軽い気持ちでやってしまうと、どうせ放射能が低いやつだからというので軽く考えられるとちょっと困るかなという気はしているんですけれどもね。
 そのほか、ご意見よろしいでしょうか。そうしましたら、特にございませんようですので、本事象につきましては、INESレベルの暫定レベルが0が妥当であるというふうに、この検討結果としますけれども、ご異議ございませんでしょうか。ありがとうございます。それでは、ご異議はございませんので、本事象につきましては、原子力規制室が定めましたINESのレベルの暫定値レベル0というのが妥当であるというふうに結論したいと思います。どうもありがとうございました。
 本日の議題は以上ですが、ほかに何かございますでしょうか。私から、1つ、以前に0のレベルの中で、0プラスとか0マイナスとか、経済産業省所管の原子力施設はそういうのをやっているんですけれども、0なんだけれどもちょっと注意してほしいなという0プラスとか、そういったことを検討したらどうかという、三澤先生からのご意見がありましたけれども、それについての進捗はいかがでしょうか。今、どうしなくちゃならないということは言いませんけれども。

【横井専門職】
 前回は昨年の3月に開催されたんですけれども、それ以降に発生した事象としては今回の2件でございまして、この2件がちょうど2008年版マニュアルで初めてということもありますので、これを契機に経験を積んでいきたいと考えておりますので、現状ではこれをもっての分析はしておりません。

【中込委員長】
 多分、委員の皆さんも、何となく心情的には0というのは0なんだけれども、きょうみたいなのは0プラスと言ってもいいかなとか、内心思っているかもしれませんので、その辺をよく考えていただければというふうに思っています。
 それではほかになければ、事務局からお願いいたします。

【吉田原子力規制室長】
 ご議論どうもありがとうございました。原子力機構の大洗研究開発センターの材料試験炉、それから、原子力機構の東海研究開発センターの原子力研究開発に係る今回の2つの事象でございますけれども、正式には、本日の会合の結果を参考にいたしまして、私どもで決定させていただきたいと思います。
 次回の開催については、これはトラブルの関係で、ないほうがよろしいと思いますけれども、今、お話があった0プラス、マイナスの話とか、それから、先ほど新しい2008年版マニュアルがちょっと見にくいとかいろいろございますので、その辺また踏まえて開催させていただきたいと思います。そのときは、またお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。

【中込委員長】
 ありがとうございます。最終的には0ということで問題ないんですけれども、今の皆さんのご意見等反映する形、それから、文章の表現の仕方も大変貴重なご意見をいただいたと思っておりますので、ぜひ反映させていただきたいと思っております。
 それでは、本日はどうもありがとうございました。以上をもちまして、第11回のINES評価ワーキンググループを閉会させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

‐了‐

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

井上、吉田
電話番号:03-6734-4033

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)