国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ(第3回) 議事要旨

1.日時

平成16年10月26日(火曜日) 10時30分~11時50分

2.場所

三菱ビル地下1階 M1会議室

3.議題

  1. 平成16年度下期に発生した事故・故障等のINESレベル評価について
  2. その他

4.配付資料

  •  資料INES16上‐00  第2回 INES評価ワーキング・グループの議事概要(案)
  •  資料INES16上‐01  日本原子力研究所東海研究所TRACY施設(過渡臨界実験装置)の計画外停止について
  •  資料INES16上‐02  株式会社東芝原子力技術研究所臨界実験装置(NCA)の自動停止について

5.出席者

委員

中澤委員長 山中副委員長 越塚委員 須藤委員 土屋委員 二ノ方委員 三澤委員 渡部委員

文部科学省

青木原子力規制室長 吉田運転管理・検査管理官 他

6.議事要旨

(1) 前回の議事概要(案)について了承を求めたところ、コメントがあれば本ワーキング・グループ終了時までに事務局に申し出ること、申し出がなければ(案)のとおり了承することとした。

(2) 日本原子力研究所東海研究所TRACY施設(過渡臨界実験装置)の計画外停止について、資料INES16‐上01に基づき、事務局より説明の後、次のとおり委員から意見等があった。

(委員) ポリエチレンシートの小片が挟まっただけで安全棒が落下したのか。

(事務局) 安全棒の落下に十分な保持力の低下が、挟み込みによって起こったとしている。

(委員) ポリエチレンシートの小片や金属片が電磁石と安全棒の吸着面に混入するのは品質保証の欠如でINESレベルの格上げ対象になるのではないか。

(事務局) 対策として、作業管理の徹底を実施すると原研から報告を受けている。

(委員) 異物が安全棒の他の場所に噛み込み、安全棒が落下すべき時に落下しない場合が考えられるのでは。

(事務局) 起動前点検で安全棒の落下機能を確認するとともに、安全棒を支える部位の隙間は十分に狭く異物混入は困難なことから、落下すべき時に落下しないことは無いと考えている。しかし、品質保証に問題があり、本年2月の試験炉規則改正で品質保証が原子力事業者に義務づけられたことから、その執行状況を保安検査で確認していく所存。

(委員長)今後、品質保証についてしっかり国が指導していただきたい。

検討結果: 原子力規制室が暫定的に評価したレベル0 (尺度以下)

 [基準1 : ‐、 基準2 : ‐、 基準3 : 0]は妥当なものと判断する。

(3) 株式会社東芝原子力技術研究所臨界実験装置(NCA)の自動停止について、資料INES16‐上02に基づき、事務局より説明の後、次のとおり委員から意見があった。

(委員) 経年劣化による電圧変動は必然的なものである。また、5.事象内容に「~推定された」とあるが、推定されたのは原因が経年劣化ということであって、その他の事項は事実として確認されたものではないのか。

(事務局) 誤解を与える表現なので検討する。事務局側で修正し、再度各委員に確認していただくことにしたい。

(委員) 低圧電源は20年以上使用されているが、過去に同様な事象は発生しなかったのか。

(事務局) 発生の事実はないと東芝から聞いている。なお、NCAは臨界実験装置であるため、長時間の運転はなく、低圧電源の使用時間の累計は少ないこと、また、安全を最優先であるが、どのくらいを目処として交換するのかは難しい問題。

(委員長) ノイズが出ているということについては今後注意をはらうべき。品質保証の観点から、点検・確認していくべきではないか。

(委員) そもそも法令報告に該当しないのではないか。また、本ワーキング・グループにおける検討は法令報告事象のみか。

(事務局) 速やかに原因が判り、部品の交換等で原子炉の運転に支障がないことが確認されれば法令報告には該当しない。本事象では原因が判明するまでに約2週間ほどを要した。また、本ワーキング・グループで検討頂く事象は法令報告。

(委員長) 不具合が生じた機器は、特注品であり一般的な消耗品に該当しないのではないか。従って約30年間使用してきたのであろう。

(委員) 機器の何が経年劣化したのか。

(事務局) 低圧電源のどの部分が故障したかについては、一過性の事象であったこともあり特定できていない。他のチャンネルの機器と入れ替えを行うことにより低圧電源の問題であることが判った。

(委員) 低圧電源の作動については、定期的な点検や、日常的に絶縁抵抗等の点検を行うことが必要である。

(事務局) 当該低圧電源については取り替える。また、同型機にはフィルタを付けて電圧変動に対応することとした。また、自主検査で確認を行う。

(委員) INESレベル格上げの観点から、どのような対策を行ったか情報が提供されないとどれくらい重大な事象であったかが判らない。また、経年劣化が原因とするのであれば、当該低圧電源をいつから、どういう頻度で、どのように使用したかについても併せて説明してほしい。

(事務局) 今後の資料作成及び説明の方法を考慮したい。

検討結果: 原子力規制室が暫定的に評価したレベル0 (尺度以下)

 [基準1 : ‐、 基準2 : ‐、 基準3 : 0]は妥当なものと判断する。

(4) その他

事務局より以下の説明を行った。

1.本日の検討結果を踏まえ、文部科学省としてINES正式値を速やかに確定する。

2. 本日の検討結果とINES正式値を平成16年11月9日開催予定の研究炉等安全規制検討会に対し報告を行う。

3. 平成16年度下期に検討対象事象があればその検討結果と本日の検討結果とをまとめ、平成16年度INES評価結果として原子力安全委員会へ報告を行う予定である。

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