平成19年10月31日(水曜日) 14時~16時
三菱ビル 地下1階 M6会議室
中込委員長、山中委員長代理、石田委員、須藤委員、土屋委員、ニノ方委員、蜂谷委員 、三澤委員、山中委員、渡部委員
小原原子力規制室長、中矢運転管理・検査管理官、南山統括原子力保安検査官、国井室長補佐、江田安全調査係長
(1) 第5回ワーキング・グループにおいて中込委員を委員長に互選した件について、確認がなされた。
中込委員長の自己紹介の後、委員長より委員長代理として山中委員が指名され、山中委員は了承された。
(2) 独立行政法人日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センター製錬転換施設における放射性物質漏えいについてについて、資料INES19 上-02 に基づき事務局より説明があった。主な質疑は次のとおり。
(委員) 汚染の発生した時期についての知見はあるのか。
(事務局) 事業所としても出来る限りの調査をしたものの、発見されたものが漏洩痕ということで、特定に至るまでの情報は得られなかったとの報告を受けた。また、漏洩痕は点検者から見て高所であったり配管の裏側であったりと、日常の汚染検査等では発見することが出来なかった。
(委員) するべきことをしていなかった、ということか。
(事務局) 今回発見されたところは、倉庫の中など、通常人の出入りのない所であり、部屋の中や廊下等通常チェックすべきところはチェックされており、データも残されている。なお、漏洩時期については、日常巡視の記録より、平成11年の運転終了後に発生したものと推定されている。
(委員長) 配管の漏洩箇所はフランジ構造とねじ込み構造があるとの説明を受けたが、ねじ込み構造の経年劣化というのはシール部を指すのか。
(事務局) 配管の漏洩箇所53ヶ所の内訳は、フランジ構造が23ヶ所、ねじ込み構造が13ヶ所、原因はいずれもシール機能の劣化であると特定している。
(委員長) 管理区域外のふっ素電解室の配管の構造はどのようなものか。
(事務局) 一重管である。設計が古く、漏洩対策を講じた設計はされていない。これを前提とした管理がされていたのか、文部科学省としても着目してきた。
(委員) 漏洩痕が発見された場所への立入については、平成11年の運転停止後は稀であったということでよろしいか。
(事務局) そのとおり、ただし巡視路に当たる場所は日常的に立ち入っていたものの、漏洩痕の発見には至らなかったものである。
(委員) 漏洩した配管は、平成11年の運転停止後使われていないということか。
(事務局) 二階分析室の手洗い水などはときどき流していた。
(委員長) 深層防護の付加要因について、安全文化の欠如、管理等の人員配置、マニュアル類の不備、水平展開への不十分な対応などからするとプラスとの判断もあると考えるが。
(事務局) 本件は、様々な課題があることは間違いないものの、仮に事象が進展した場合などの潜在的な危険性の大きさ、実際の影響のいずれも十分小さく、レベル0の事象であると判断した。
(委員) 安全文化の劣化が生じないよう、本件の背景要因については何らかの方法で他の事業所を含め伝承することが肝要である。
(事務局) 当省としても、事業所が行う本件から得た経験の水平展開状況はフォローしていきたい。
(委員長) それでは、当ワーキング・グループの結論としては、本件のINESレベル0は妥当であるとしたいがよろしいか。
(各委員) 異議なし。
(3) 日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センター濃縮工学施設における遠心機処理設備局所排気処理装置の排気ダクト破損について、資料INES19 上‐03 に基づき、事務局より説明があった。主な質疑は次のとおり。
(委員) ダクトの内部は核燃料物質を含む気体廃棄物が通っているということか。
(事務局) そのとおり。遠心分離機の除染試験設備にある排気設備である。
(委員) 破損したダクトから汚染は見つかったのか。
(事務局) 事業所の表面汚染検査では、有意な汚染はなかった。
(事務局) ダクト破損の原因は、フィルタの前段と後段にエアスニファを設置し、そこでデータを得ようと特徴的に設けられたもの。フィルタユニット系の排風機が停止され、ダンパーが閉止されたにも関わらずこのエアスニファを連続運転していたことから負圧部が生じ、ダクト破損に至ったもの。
(委員) 操作上の問題はあったのか。
(事務局) 手順違反はなかったが、手順書において隔離箇所の考慮がされていなかった。
(委員) 操作上の問題でないのであれば、負圧になったときに座屈するかの確認は設計上の問題と捉えるべきと考える。原因が手順書の問題ということだけで終わらせてほしくない。
(委員) ダクトの破損に至った経緯はどんなものか。
(事務局) 排風機が運転中は-4kPa、設計値が-12kPa であり、運転停止後、エアスニファ系による隔離箇所の連続吸引で約―30kPa に近い状況が生じた。平成11年に装置が設置されてから破損までにこの運転・停止が34回繰り返されていたことが確認されている。
(委員長) 破損はいつ気づいたのか。
(事務局) 5月7日の朝、負圧異常の警報が出ていることを確認した操作員が、使用前点検で現場に入った際に確認した。
(委員長) 圧力チャートなどの記録はあるのか。
(事務局) 詳細なものは残っていない。
(委員長) それでは、当ワーキング・グループの結論としては、本件のINESレベル0は妥当であるとしたいがよろしいか。
(各委員) 異議なし。
(4) 最近の法令報告事例
INES19 上‐04 に基づき、事務局より、今後INES ワーキング・グループにおいて審議される事象3件についての紹介がなされ、次のとおり委員より質問がなされた。
(委員) 日本原子力研究開発機構の法令報告には、事象発生から報告まで大変時間が経過しているものがあるが。
(事務局) 事象の事後対策も含め、現場作業などを慎重に行っていたもの。報告を受け取るまでにおいても、文部科学省は事業所との接触を継続して行っている。
(委員) 高速実験炉「常陽」の漏水事象について、法令報告となった理由は漏洩量(管理区域内へ約700リットル)なのか、漏洩が階下に広がったことなのか。
(事務局) 後者の、封じ込めるべき範囲を超えて汚染が広かったことである。
(事務局) 原子力科学研究所の事象については過去の汚染ということもあり、INESでどのように取り扱うのか、ワーキング・グループでご議論頂きたい。
(委員長) 非常に重い提案を頂いた。それぞれ異なる立場で議論頂きたいと考える。
(5) その他
・ 本日の検討結果を踏まえ、文部科学省としてINES評価正式値を速やかに確定する。
担当:国井、江田
電話番号:03-6734-4033
ファクシミリ番号:03-6734-4037